JPWO2014157107A1 - シアリル化糖鎖が付加されたポリペプチド - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、インターフェロンβのポリペプチドを糖鎖で修飾した例も存在する。しかしながら、例えば、CHO細胞での発現により糖鎖付加インターフェロンβを製造する場合、上述したように、付加される糖鎖の種類や付加される位置に不均一性が生じることが知られている。糖鎖が不均一である場合には、医薬品として、ロット間で薬効に差が生じる可能性もあり、また、天然型の糖鎖付加インターフェロンβでは、血中滞留時間が短いという欠点も生じていた。
すなわち、本発明は、一態様において、インターフェロンβ活性を有する糖鎖付加ポリペプチドであって、前記糖鎖付加ポリペプチドが、下記の(1)から(4)よりなる群より選択される、いずれかのポリペプチド;
(1)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたポリペプチド、
(3)インターフェロンβの類縁体であるポリペプチド、および、
(4)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して、80%以上の相同性を有するポリペプチド、
において、4から6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されており、前記糖鎖の非還元末端のいずれもがシアリル化されていることを特徴とする、糖鎖付加ポリペプチドに関する。
式(1)
式(2)
式(3)
式(4)
(1)前記糖鎖付加ポリペプチドおよび/または薬学的に許容されるその塩、および、
(2)薬理学的に許容される担体を含む、
医薬組成物に関する。
従来技術として知られるPEG修飾をしたインターフェロンβでは、天然型ヒトインターフェロンβと比較して、血中滞留性は向上するものの、抗腫瘍活性の向上は見られなかった。本発明により、PEGよりも分子量の小さい糖鎖を用いて、PEG修飾体と同様、またはそれを上回る血中滞留性の向上を実現できたこと、さらには、PEG修飾体では抗腫瘍活性は向上しなかったにもかかわらず、本発明の糖鎖付加体では抗腫瘍活性が著しく向上したことは、驚くべきことである。したがって、本発明における糖鎖付加ポリペプチドは、高いインターフェロンβ活性を有し、インターフェロンβに関連する疾患の治療において、非常に有用であると考えられる。
これらの糖鎖としては、さらに具体的には、下記式(1)で表わされるα2−6ジシアロ糖鎖、式(2)で表わされるα2−3ジシアロ糖鎖、式(3)で表わされるα2−6トリシアロ糖鎖、および、式(4)で表わされるα2−6テトラシアロ糖鎖などを挙げることができる。
さらに、本発明におけるシアリル化糖鎖には、フコースがついた付いたものも含まれる。フコースが付いた複合型糖鎖としては、たとえば、ジシアロ糖鎖であれば、下記式(13)、トリシアロ糖鎖であれば下記式(15)及び式(16)、テトラシアロ糖鎖であれば下記式(17)を具体例として挙げることができる。
式(13)
式(15)
式(16)
式(17)
糖鎖が結合するアミノ酸の種類に特に限定はなく、天然アミノ酸、非天然アミノ酸のいずれを用いることもできる。
上記の理由から、本発明の一態様において、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様において、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも3つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様において、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも4つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様において、5箇所以上が糖鎖付加アミノ酸により置換される場合には、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも5つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様においては、その他の(79位以外の)各糖鎖付加アミノ酸の1つないし複数が、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することがより好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、3位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、41位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、48位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、75位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、79位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、107位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、112位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、123位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、136位に相当する位置に存することが好ましい。
1位、48位、79位、107位、112位、および、123位;
1位、3位、48位、79位、107位、および、112位;
1位、48位、79位、99位、107位、および、112位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、130位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、136位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、139位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、164位;
1位、29位、48位、79位、107位、および、136位;
1位、35位、48位、79位、107位、および、136位;
1位、41位、48位、79位、107位、および、136位;
1位、48位、75位、79位、107位、および、136位;
48位、75位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、75位、79位、103位、107位、および、136位;
41位、75位、79位、106位、107位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、109位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、115位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、119位、および、136位;
1位、28位、48位、70位、および、79位;
1位、48位、79位、107位、および、112位;
24位、79位、107位、112位、および、136位;
25位、79位、107位、112位、および、136位;
32位、79位、107位、112位、および、136位;
35位、79位、107位、112位、および、136位;
38位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、79位、107位、112位、および、136位;
7位、79位、107位、112位、および、136位;
48位、79位、107位、112位、および、136位;
75位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、および、136位;
42位、75位、79位、107位、および、136位;
45位、75位、79位、107位、および、136位;
46位、75位、79位、107位、および、136位;
47位、75位、79位、107位、および、136位;
48位、75位、79位、107位、および、136位;
49位、75位、79位、107位、および、136位;
50位、75位、79位、107位、および、136位;
1位、48位、79位、および、107位;
1位、3位、48位、および、79位;
79位、107位、112位、および、136位;
1位、79位、107位、および、136位;
28位、79位、107位、および、136位;
35位、79位、107位、および、136位;
70位、79位、107位、および、136位;
75位、79位、107位、および、136位。
糖鎖付加ポリペプチドは、例えば、以下に概略を示す糖鎖付加Asnを用いた固相合成によって製造することができる。
(1)脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸のカルボキシ基を樹脂(レジン)へ結合させる。この場合、アミノ酸のアミノ基窒素を脂溶性保護基で保護しているので、アミノ酸同士の自己縮合は防止され、レジンとアミノ酸とが反応して結合が起こる。
(2)得られた反応物の脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(3)この遊離アミノ基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸のカルボキシ基とを、アミド化反応させる。
(4)上記脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(5)上記(3)および(4)の工程を1回以上繰り返すことにより、任意の数の任意のアミノ酸が連結した、末端にレジンを結合し、他端に遊離アミノ基を有するペプチドが得られる。
(6)最後に、酸でレジンを切断することにより、所望のアミノ酸配列を有するペプチドを得ることができる。
また、(2)の後、または、(3)と(4)を1回以上の任意の回数繰り返した後、(3)において、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加Asnを用いれば、任意の箇所に糖鎖を付加することができる。
このように、(1)および(3)のいずれかの工程で、2回以上、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加Asnを用いることで、任意の2ヶ所以上に糖鎖が付加されたペプチドを得ることができる。
糖鎖付加アミノ酸を結合させた後、脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させ、その直後に工程(6)を行えば、N末端に糖鎖付加Asnを有するペプチドを得ることができる。
また、C末端をアミド化する場合には、例えば、アミノ基で官能化されたRink−Amide−PEGAレジン(メルク社製)を用いることが好ましい。このレジンとペプチドを酸で切断することにより、ペプチドのC末端アミノ酸をアミド化することができる。
樹脂と脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸との結合は、例えば、水酸基を有する樹脂や塩素で官能化された樹脂を使用するには、アミノ酸のカルボキシ基を樹脂へエステル結合させる。また、アミノ基で官能化された樹脂を使用する場合には、アミノ酸のカルボキシ基を樹脂にアミド結合により結合させる。
また、上記天然アミノ酸のD体を使用することもできる。
また、脂溶性保護基で保護したアミノ酸であって、側鎖に保護基を導入したものとして、例えば、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Cys(Acm)−OH、Fmoc−Cys(StBu)−OH、Fmoc−Cys(tBu)−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−His(Trt)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OHを挙げることができる。
糖鎖付加ポリペプチドは、まずペプチド鎖を合成し、後で合成したペプチド鎖へ糖鎖を付加する方法によっても製造することができる。具体的には、糖鎖を付加したい位置にCysを含むペプチドを、固相合成法、液相合成法、細胞により合成する方法、天然に存在するものを分離抽出する方法等により製造する。ここで、ジスルフィド結合を形成する予定の位置にあるCys等、糖鎖を付加しないCysに対しては、例えばアセトアミドメチル(Acm)基で保護しておく。また、糖鎖を付加せず、かつ、ジスルフィド結合の形成にも使用しないCysを糖鎖付加ポリペプチドに導入する場合には、糖鎖付加工程およびジスルフィド結合形成工程の間、Cysを保護基により保護しておき、その後脱保護するようにしてCysを導入することができる。このような保護基としては、例えば、tert−ブチル(tBu)や4−メトキシベンジルを挙げることができる。
次に、ハロアセチル化複合型糖鎖誘導体を上記で得た無保護のCysを含むペプチドと反応させることにより、糖鎖を無保護のCysのチオール基と反応させ、ペプチドに結合させる。上記反応は、リン酸緩衝液、トリス‐塩酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはこれらの混合溶液中において、通常0〜80℃、好ましくは、10〜60℃、更に好ましくは15〜35℃で行うのが良い。反応時間は、通常10分〜24時間、好ましくは、通常30分〜5時間程度である。反応終了後は、適宜、公知の方法(例えば、HPLC)で精製するのが良い。
このように、シアル酸のカルボキシ基をベンジル基等で保護することにより、製造工程におけるHPLC等による分離・精製工程が容易となる。また、シアル酸のカルボキシ基の保護は、酸に不安定なシアル酸の脱離を防ぐことも可能である。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、インターフェロンβ活性を有している。本明細書において、「インターフェロンβ活性」とは、免疫調整作用、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性等公知の活性のうち少なくとも1つの活性を有することを意味する。
抗腫瘍活性の測定試験は、例えば、腫瘍を有するマウスに、対象となる糖鎖付加ポリペプチドを皮下投与し、経時的な腫瘍体積の測定により調べることができる。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物は、インターフェロンβに関連する疾患の治療または予防に有効である。インターフェロンβに関連する疾患には、例えば、脳腫瘍、皮膚悪性黒色腫、B型慢性活動性肝炎、C型慢性肝炎、亜急性硬化性全脳炎、C型代償性肝硬変、および、多発性硬化症等が含まれる。なお、上記の脳腫瘍には、膠芽腫、髄芽腫、および、星細胞腫等が含まれる。本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物は、上記疾患の治療または予防に有効である。
このような医薬組成物としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、注射剤等が挙げられる。
さらに、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは安定して簡便に大量に供給することが可能であり、品質の安定した、高品質の医薬品の提供という観点からも、非常に有用である。
例えば、IFN 1−78(S1Thi−C30Acm)MESNAと示した場合においては、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1−78番目のアミノ酸配列と同等のペプチド配列を持ち、そのペプチド配列に対して、1番目のセリンがチアゾリジン構造を有するシステインへ置換され、30番目のシステインの側鎖がAcmによって保護され、C末端が2-メルカプトエタンスルホン酸(MESNA)によってアルキルチオエステル化されたペプチドフラグメントのことを示す。
例えば、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)と示した場合には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1位のセリン、48位のグルタミン、79位のアスパラギン、107位のリジン、112位のアルギニン、123位のアルギニンの各アミノ酸がCysへ置換されて、下記式(1)に示されるα2−6ジシアロ糖鎖構造が、各置換におけるCysに結合していることを示す。
式(1)
式(2)
式(5)
式(6)
式(3)
式(4)
式(14)
式(1)
(実施例1−1)IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びジクロロメタン(DCM)で十分に洗浄した。続いてFmoc−Trp(Boc)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに加えた後、4時間攪拌した。
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、3−Fmoc−4−diaminobenzoic acid(150μmol)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)(150μmol)及びジイソプロピルエチルアミン(300μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で2時間攪拌した。
(実施例1−1)と同様にして、以下に示すチオエステルフラグメントの合成を行った。
IFN 1−78(S1Thi−N3C−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号5)
IFN 1-78(S1Thi−E28C−C30Acm−Q48C−R70C)Ethan(配列番号6)
IFN 1−78(C30Acm)MESNA(配列番号7)
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm)MESNA(配列番号8)
IFN 1−78(F7C−C30Acm)MESNA(配列番号9)
IFN 1−78(N24C−C30Acm)MESNA(配列番号10)
IFN 1−78(G25C−C30Acm)MESNA(配列番号11)
IFN 1−78(E28C−C30Acm)MESNA(配列番号12)
IFN 1−78(C30Acm−K32C)MESNA(配列番号13)
IFN 1−78(C30Acm−M35C)MESNA(配列番号14)
IFN 1−78(C30Acm−D38C)MESNA(配列番号15)
IFN 1−78(C30Acm−E41C)MESNA(配列番号16)
IFN 1−78(C30Acm−Q48C)MESNA(配列番号17)
IFN 1−78(C30Acm−R70C)MESNA(配列番号18)
IFN 1−78(C30Acm−S75C)MESNA(配列番号19)
IFN 1−78(C30Acm−E41C−S75C)MESNA(配列番号20)
IFN 1−78(C30Acm−E42C−S75C)MESNA(配列番号21)
IFN 1−78(C30Acm−Q45C−S75C)MESNA(配列番号22)
IFN 1−78(C30Acm−L46C−S75C)MESNA(配列番号23)
IFN 1−78(C30Acm−Q47C−S75C)MESNA(配列番号24)
IFN 1−78(C30Acm−Q48C−S75C)MESNA(配列番号25)
IFN 1−78(C30Acm−F49C−S75C)MESNA(配列番号26)
IFN 1−78(C30Acm−Q50C−S75C)MESNA(配列番号27)
IFN 1−78(S1Thi−Y29C−C30Acm−Q48C)MESNA(配列番号28)
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−M35C−Q48C)MESNA(配列番号29)
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−E41C−Q48C)MESNA(配列番号30)
(実施例2−1)IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−R123C−C140Acm)(配列番号31)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びDCMで十分に洗浄した。続いてFmoc−Asn(Trt)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに入れた後、4時間攪拌した。
(実施例2−1)と同様にして、以下に示すペプチドフラグメントを合成した。
IFN 79−165(N79C−C140Acm)(配列番号32)
IFN 79−165(N79C−K107C−C140Acm)(配列番号33)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−C140Acm)(配列番号34)
IFN 79−165(N79C−K107C−E136C−C140Acm)(配列番号35)
IFN 79−165(N79C−T99C−K107C−R112C−C140Acm)(配列番号36)
IFN 79−165(N79C−E103C−K107C−E136C−C140Acm)(配列番号37)
IFN 79−165(N79C−E106C−K107C−E136C−C140Acm)(配列番号38)
IFN 79−165(N79C−K107C−D109C−E136C−C140Acm)(配列番号39)
IFN 79−165(N79C−K107C−L115C−E136C−C140Acm)(配列番号40)
IFN 79−165(N79C−K107C−L119C−E136C−C140Acm)(配列番号41)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−H130C−C140Acm)(配列番号42)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−E136C−C140Acm)(配列番号43)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−H139C−C140Acm)(配列番号44)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−C140Acm−R164C)(配列番号45)
(実施例3−1)2-6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-R123C-C140Acm)(配列番号31)を、4−メルカプトフェニル酢酸を含むpH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mリン酸溶液、125mM4−メルカプトフェニル酢酸)に溶解させ、室温で静置した。24時間後、反応溶液に対してジチオトレイトール溶液(2Mジチオトレイトール)を加え、室温で3時間静置した。反応終了後、メトキシアミン溶液(1Mメトキシアミン塩酸塩)と塩酸溶液(1M塩酸、8Mグアニジン塩酸塩)を溶液に加え、pHを4.0へ調整した後、室温で24時間静置した。反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって脱塩し、凍結乾燥した。
式(7)
IFN 1−78(C30Acm−Q48C−S75C)MESNA(配列番号25)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C−E136C-C140Acm)(配列番号43を、4−メルカプトフェニル酢酸を含むpH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mリン酸溶液、125mM4−メルカプトフェニル酢酸)に溶解させ、室温で静置した。24時間後、反応溶液に対してジチオトレイトール溶液(2Mジチオトレイトール)を加え、室温で3時間静置した。反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって脱塩し、凍結乾燥した。
IFN 1−78(S1Thi−N3C−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号5)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-C140Acm)(配列番号34)について、下記式(8)で表わされるブロモアセチル化されたジシアロ糖鎖に変更した以外は(実施例3−1)と同様にして、ジシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行なった結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−3diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)の質量と一致した(計算値=33346.9 Da、実測値=33346.6 Da)。
式(8)
(実施例3−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号49)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−T99C−K107C−R112C)(配列番号50)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−H130C)(配列番号51)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号52)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−H139C)(配列番号53)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R164C)(配列番号54)
2−6 diSialo(S1C−Y29C−Q48C−N79C−K107C−E136C)(配列番号55)
2−6 diSialo(S1C−M35C−Q48C−N79C−K107C−E136C)(配列番号56)
2−6 diSialo(S1C−E41C−Q48C−N79C−K107C−E136C)(配列番号57)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号58)
2−6 diSialo(S1C−E28C−Q48C−R70C−N79C)(配列番号59)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号60)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)
2−6 diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C)(配列番号62)
2−6 diSialo(S1C−N79C−K107C−E136C)(配列番号63)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−E103C−K107C−E136C)(配列番号64)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−E106C−K107C−E136C)(配列番号65)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−D109C−E136C)(配列番号66)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号67)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−L115C−E136C)(配列番号68)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−L119C−E136C)(配列番号69)
2−6 diSialo(N24C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号70)
2−6 diSialo(G25C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号71)
2−6 diSialo(K32C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号72)
2−6 diSialo(M35C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号73)
2−6 diSialo(D38C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号74)
2−6 diSialo(E41C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号75)
2−6 diSialo(F7C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号76)
2−6 diSialo(Q48C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号77)
2−6 diSialo(S75C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号78)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号79)
2−6 diSialo(E42C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号80)
2−6 diSialo(Q45C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号81)
2−6 diSialo(L46C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号82)
2−6 diSialo(Q47C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号83)
2−6 diSialo(Q48C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号84)
2−6 diSialo(F49C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号85)
2−6 diSialo(Q50C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号86)
2−6 diSialo(N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号87)
2−6 diSialo(E28C−N79C−K107C−E136C)(配列番号88)
2−6 diSialo(M35C−N79C−K107C−E136C)(配列番号89)
2−6 diSialo(R70C−N79C−K107C−E136C)(配列番号90)
2−6 diSialo(S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号91)
2−3 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号92)
(実施例3−5−A)IFN 1−25(S1Thi)thiophenyl(配列番号101)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びジクロロメタン(DCM)で十分に洗浄した。続いてFmoc−Trp(Boc)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに加えた後、4時間攪拌した。
(実施例3−5−A)の操作と同様にして、ペプチドフラグメントを合成した。なお、IFN 26−47(R26C−C30Acm)Ethanthiolにおいてチオール源としてEthanthiolを使用した。
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、3−Fmoc−4−diaminobenzoic acid(150μmol)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)(150μmol)及びジイソプロピルエチルアミン(300μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で1時間攪拌した。
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、3−Fmoc−4−diaminobenzoic acid(150μmol)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)(150μmol)及びジイソプロピルエチルアミン(300μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で1時間攪拌した。
式(18)
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びDCMで十分に洗浄した。続いてFmoc−Asn(Trt)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに入れた後、4時間攪拌した。
Fmoc基もしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
(工程1.Kinetic Ligation工程)
IFN 1−25(S1Thi)thiophenyl(配列番号101)とIFN 26−47(R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号102)を、pH6.8のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.2Mリン酸溶液、20mMTCEP)に溶解させ、室温で3時間反応させた。反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥した。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、IFN1−47(S1Thi−R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号106)の質量と一致した(計算値=5796.8 Da、実測値=5796.7 Da)。
ジシアロ糖鎖付加IFN 67−87(A67Thi,N79)thiophenyl(配列番号104)とIFN 88−165(C140Acm)(配列番号105)を、pH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.2Mリン酸溶液、20mMTCEP)に溶解させ、チオフェノール(3%V/V)加え、室温で反応させた。23時間後、メトキシアミン溶液(6Mグアニジン塩酸塩、0.2Mメトキシアミン塩酸塩、20mMTCEP)を反応溶液に加え、pHを4.0へ調整した後、室温で4時間反応させた。反応溶液に対して50mMNaOH水溶液を加え、反応溶液を塩基性にしたのち、氷上で0.5時間反応させた。反応終了後、反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、ジシアロ糖鎖付加IFN 67−165(A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号107)の質量と一致した(計算値=14247.9 Da、実測値=14247.2 Da)。
工程2で得られたジシアロ糖鎖付加IFN 67−165(A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号107)とIFN 48−66(Q48Thi)MESNA(配列番号103)を、pH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.2Mリン酸溶液、20mMTCEP、30mMMPAA)に溶解させ、室温で反応させた。18時間後、メトキシアミン溶液(6Mグアニジン塩酸塩、0.2Mメトキシアミン塩酸塩、20mMTCEP)を反応溶液に加え、pHを4.0へ調整した後、室温で反応させた。5時間後、反応溶液に対して2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを加え、室温で1時間反応させた。反応終了後、反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、ジシアロ糖鎖付加IFN 48−165(Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号108)の質量と一致した(計算値=16507.6 Da、実測値=16507.9 Da)。
工程1で得られたIFN1−47(S1Thi−R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号106)と、工程3で得られたジシアロ糖鎖付加IFN 48−165(Q48C,A67C,N79、A88C,C140Acm)(配列番号108)を、工程3と同様にして、反応させた。反応で得られた化合物はESI−MSによって質量を分析した結果、目的とするジシアロ糖鎖付加IFN 1−165(S1C−R26C−C30Acm−Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号109)の質量と一致した(計算値=22230.2 Da、実測値=22230.3 Da)。
工程4で得られたジシアロ糖鎖付加IFN 1−165(S1C−R26C−C30Acm−Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号109)をpH8.5のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mトリス溶液)に溶解させ、下記式(19)で表わされるブロモアセチル化されたジシアロ糖鎖(25等量)を加えて、室温で2時間反応させた。
式(19)
反応終了後、反応溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、1、26、48、67、88位にシステインの側鎖硫黄原子を介して付加されたジシアロ糖鎖を有し、79位にアスパラギンの側鎖を介して付加された糖鎖を有する2−6diSialo(S1C−R26C−C30Acm−Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号110)の質量と一致した(計算値=33545.4 Da、実測値=33545.5 Da)。
上記工程5によって得られた凍結乾燥物を、酢酸銀溶液(100mM酢酸銀、90%酢酸水溶液)に溶解し室温で反応させた。4時間後、HPLCとESI−MSを用いて、目的物が生成していることを確認した。反応溶液にジチオスレイトールを加え、室温で15分間撹拌したのち、遠心分離を行い、沈殿物を除く上澄み液を回収した。その回収した上澄み液をメンブレンフィルターで濾過し、目的物を含む濾液部分を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、1、26、48、67、88位にシステインの側鎖硫黄原子を介して付加されたジシアロ糖鎖を有し、79位にアスパラギンの側鎖を介して付加された糖鎖を有する2−6diSialo(S1C−R26C−Q48C−A67C−N79−A88C)(配列番号111)の質量と一致した(計算値=33403.3 Da、実測値=33403.2 Da)。
上記工程6によって得られた凍結乾燥物を、pH8.5のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)に溶解させ室温で30分静置した。溶液を冷却条件(4℃)において希薄されたグアニジン塩酸塩溶液(4.5Mグアニジン塩酸塩、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)へ置換した。置換された溶液に対して、硫酸銅溶液(300mM硫酸銅II五水和物)を加え、冷却条件(4℃)で3時間静置した。反応後、エチレンジアミン四酢酸(400mMエチレンジアミン四酢酸)を加え、冷却条件(4℃)で0.5時間静置した。反応後の溶液を酢酸溶液(10mM酢酸溶液)へ冷却条件(4℃)で終夜置換することによって変性剤を除去した。フォールディング後の溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、質量分析(ESIイオン化法)を行った結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6diSialo(S1C−R26C−Q48C−A67C−N79−A88C)(配列番号100)の質量と一致した(計算値=33401.2 Da、実測値=33401.2 Da)。
(実施例4−1)2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号93)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C−R123C−C140Acm)(配列番号31)について、下記式(9)および下記式(10)で表わされるブロモアセチル化されたモノシアロ糖鎖混合物(化合物比率1:1)(5等量)に変更した以外は(実施例3−1)と同様の方法により、モノシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行なった結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の質量と一致した(計算値=31557.2 Da、実測値=31556.6 Da)を得た。(実施例3−1)および(実施例4−1)における質量分析の結果を図1に示す。
式(9)
式(10)
SDS−PAGEの結果を見ると、クリアなバンドが検出されていることから、いずれの化合物においても、均一に糖鎖が付加されていることが示唆された。同様に、逆相HPLCによる分析においても、均一に糖鎖が付加されていることを示唆するデータが得られた(Data not shown)。
(実施例4−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 monoSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号94)
2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号95)
(実施例5−1)2−6 triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号96)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-R123C-C140Acm)(配列番号31)について、下記式(11)で表わされるブロモアセチル化されたトリシアロ糖鎖(5等量)を加えた以外は(実施例3−1)と同様の方法により、トリシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行なった結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6 triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の質量と一致した(計算値=37244.3 Da、実測値=37243.2 Da)。
式(11)
(実施例5−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号97)
(実施例6−1)2−6 tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号98)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-R123C-C140Acm)(配列番号31)について、下記式(12)で表わされるブロモアセチル化されたテトラシアロ糖鎖(5等量)に変更した以外は(実施例3−1)と同様の方法により、テトラシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行った結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6 tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の質量と一致した(計算値=41183.8 Da、実測値=41182.6 Da)。
式(12)
(実施例6−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号99)
(実施例7−1)投与薬、試薬の調製
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号60)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、および、Avonex(バイオジェンアイデック)は、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で588nMに調製した。Avonexは、天然型のIFN−β(IFN−β−1a)であり、対照薬として用いた。なお、Avonexは、CHO細胞系を用いて製造されたものであり、天然のヒトインターフェロンβの80位の位置(本発明における、配列番号1で表されるアミノ酸配列における79位の位置に相当)に1本の糖鎖を有し、その糖鎖構造は、各ポリペプチド毎にN結合型糖鎖の複合型の種々の糖鎖でありうる。
マウス(Balb/cマウス、雄性、8週令、体重21−23g)に対し、2352pmol/kgの用量で、飽食下で、背部皮下から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kgで投与した。皮下投与前、および投与後10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、および、30時間に尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取した血液と同体積の6mMEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖4−6本修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図4に示す。
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血中濃度曲線下面積(AUC∞)を台形法により算出した。また、血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)、および皮下投与時の実測値より最大血中濃度(Cmax)、最大血中濃度到達時間(Tmax)を求めた。得られた薬物速度論的パラメータを図5に示す。
(実施例8−1)投与薬、試薬の調製
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号95)、および、Avonexは、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で112nMに調製した。
マウス(Balb/cマウス、雄性、8週令、体重21−23g)に対し、448pmol/kgの用量で、飽食下で、尾静脈もしくは背部皮下から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kg投与した。静脈内投与時は投与前、および投与後2分、10分、30分、1時間、3時間、6時間、8時間、24時間に、皮下投与時は、投与前、および投与後10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、30時間に尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取血液と同体積のEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖の4本糖鎖修飾IFN−β、monoSialo糖鎖の4本糖鎖修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図6に示す。
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血漿中濃度曲線下面積(AUC)を台形法により算出した。また、外挿法により静脈内投与時の予測初期濃度(C0)、さらに血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)、および皮下投与時の実測値より最大血中濃度(Cmax)、最大血中濃度到達時間(Tmax)を求めた。結果を図7に示す。
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号93)、および、Avonexは、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で588nMに調製した。
マウス(Balb/cマウス、雄性、体重21−23g)に対し、2352pmol/kgの用量で、飽食下で、尾静脈から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kg投与した。静脈内投与前、および投与後2分、10分、30分、1時間、3時間、6時間、8時間、24時間に、尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取血液と同体積のEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖の6本糖鎖修飾IFN−β、monoSialo糖鎖の6本糖鎖修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図8に示す。
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血漿中濃度曲線下面積(AUC)を台形法により算出した。また、外挿法により静脈内投与時の予測初期濃度(C0)、さらに血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)を求めた。結果を図9に示す。
(実施例10−1)投与薬、試薬の調製
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、PEG20K修飾IFN−βおよびAvonexは、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で558nMに調製した。
マウス(Balb/cマウス、雄性、8週令、体重21−23g)に対し、2352pmol/kgの用量で、飽食下で、背部皮下から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kg投与した。皮下投与前、および投与後10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、および、30時間に尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取血液と同体積のEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖6本修飾IFN−β、PEG20K修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図10に示す。
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血中濃度曲線下面積(AUC)を台形法により算出した。また、外挿法により静脈内投与時の予測初期濃度(C0)、さらに血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)を求めた。結果を図11に示す。
t1/2およびMRTについては、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βとPEG20K修飾IFN−βとの間の比較において、同程度の結果であった。
これらの結果から、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βは、PEG20Kと同程度またはそれ以上に、Avonexの生体中における安定性を向上させることが示された。
diSialo糖鎖4、5、6本修飾IFN−βのin vivoにおける抗腫瘍活性を、担がんマウスを用いて評価した。
(実施例11−1)細胞培養
抗腫瘍活性試験には、ヒトバーキットリンパ腫であるDaudi細胞を接種することにより作製された担がんマウスを用いた。培地はRPMI1640(Invitrogen)に、56℃で30分間非働化処理したFetal Bovine Serum(GIBCO)を10%、ペニシリン・ストレプトマイシン(SIGMA)を加えたものを用いた。培養プレートは、Non−treat dish(IWAKI)を用い、37℃、CO2濃度5%条件下で培養し、2−3日に1度継代を行った。
培養したDaudi細胞をチューブに回収し、遠心分離(1300rpm、4度、3分)した。上清をアスピレーターで除き、HBSS(ナカライ)を加え、細胞を懸濁した。次に再度遠心分離を行い、上清を除いた。この細胞洗浄処理を計3回行った。そして、血球計算板を用いて細胞数を計算し、2×108cells/mLになるようにHBSSを用いて細胞懸濁液を作成した。Daudi細胞接種直前に、細胞懸濁液と同体積のマトリゲル(BD)を加えて2倍希釈し、接種用細胞懸濁液を作製した。接種用細胞懸濁液は接種直前まで、氷上に保存した。麻酔薬として、ソムノペンチル(共立製薬)をPBSで5mg/mLに希釈して用いた。SCIDマウス(C.B−17/Icr−scid/scidJclマウス、雄性、6週令)(日本クレア)に、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて、麻酔薬を300μL腹腔内投与した。麻酔が導入された事を確認後、バリカンを使用してマウスの右腹側部を刈毛した。26G1/2注射針(テルモ)と1mLの注射筒(テルモ)を用いて、接種用細胞懸濁液を100μL皮下接種した。
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号60)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)および2−6diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号49)および対照薬であるAvonexを、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液を用いて588nMに調製した。投与液の調製は、投与直前に行った。
調製した投与液を用いて、背部皮下に2352pmol/kgの用量になるよう4mL/kgの容量でインスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2を用いて投与した。Vehicle投与群には、投与液調製時に用いたL−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液を4mL/kgの容量で投与した。群分けおよび初回投与を行った日をday0とし、day9まで隔日で5回背部皮下投与を行った。
投与開始24日目にマウスよりがん組織を摘出し、組織湿重量を測定した。抗腫瘍活性の指標として、Vehicle投与群の組織湿重量を100%とした時のdiSialo糖鎖4−6本修飾IFN−βおよびAvonex投与群の組織湿重量の相対値(%T/C:test/control)を算出した。結果を図12に示す。
以上の結果から、1日1回、隔日×5回、2352pmol/kg皮下投与を実施した場合、diSialo糖鎖修飾本数が増加するほど、抗腫瘍活性が強い傾向が観察された。
(実施例11−1)と同様の方法で細胞培養をし、(実施例11−2)と同様の方法で担がんマウスを作成した。
(実施例11−3)の投与液を、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号93)および対照薬であるAvonexとした以外は、(実施例11−3)と同様の方法で投与液を調製し、(実施例11−4)と同様の方法で担がんマウスに投与した。
以上の結果から、1日1回、隔日×5回、2352pmol/kg皮下投与を実施した場合、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βでは、Avonex投与群よりはるかに優れた、がん組織がほぼ消滅するほどの強い抗腫瘍活性が示された一方、2つの非還元末端のうち、片方しかシアリル化されていないmonoSialo糖鎖6本修飾IFN−βでは、Avonex投与群より優れた抗腫瘍活性は、認められなかった。このことから、全ての非還元末端がシアリル化されていることが抗腫瘍活性にとって重要であることが分かった。
(実施例11−1)と同様の方法で細胞培養をし、(実施例11−2)と同様の方法で担がんマウスを作成した。
(実施例11−3)の投与液を、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、2−6triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号96)、2−6tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号98)および対照薬であるAvonexとした以外は、(実施例11−3)と同様の方法で投与液を調製し、(実施例11−4)と同様の方法で担がんマウスに投与した。
投与開始21日目にマウスよりがん組織を摘出し、組織湿重量を測定した。抗腫瘍活性の指標として、Vehicle投与群の組織湿重量を100%とした時のAvonex投与群の組織湿重量の相対値(%T/C:test/control)を算出した。結果を図14に示す。
なお、糖鎖の構造に関し、糖鎖における分岐数の違いに着目すると、2分岐型のdiSialo糖鎖6本修飾体は強い抗腫瘍活性を示すが、3分岐型のtriSialo糖鎖6本修飾体、4分岐型のtetraSialo糖鎖6本修飾体においては、diSialo糖鎖6本修飾体より弱い抗腫瘍活性を示した。これは、後述の実施例16における結果(表4)に示されるようなin vitroでの細胞増殖抑制活性の違いや、生体内での血中動態の違い等が関与している可能性が考えられる。
(実施例11−1)と同様の方法で細胞培養をし、(実施例11−2)と同様の方法で担がんマウスを作成した。
(実施例11−3)の投与液を、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、PEG20K修飾IFN−β、および対照薬であるAvonexとした以外は、(実施例11−3)と同様の方法で投与液を調製し、(実施例11−4)と同様の方法で担がんマウスに投与した。
4,5,6本糖鎖修飾IFN−βのin vitroでの細胞増殖抑制活性を以下の方法により評価した。
ヒト・バーキットリンパ腫細胞株Daudiを10% Fetal bovine serum、100U/mL penicillin、100μg/mL streptomycine含有RPMI 1640培地(10%FCS−RPMI1640)を用いて1.25×105個/mLとなるよう懸濁した。細胞懸濁液を1×104/80μL/wellずつ96穴平底プレートに播種した。さらに10%FCS−RPMI1640を用いて段階希釈した複数本糖鎖修飾IFN−βを20μL/wellずつ添加し、CO2濃度を5%に調整したCO2インキュベーター中で37度、3日間培養した。細胞増殖抑制活性は、培養3日目のミトコンドリア脱水素酵素活性を指標として、Cell counting kit−8(同人科学)を用いてキット添付のマニュアルに従って測定を行った。
また、対照として、Avonexを使用した。IC50価はGraphPad Prismを用いて算出した。結果を下記(表4)に示す。
図4、図5、及び図12において示されるように、ジシアロ糖鎖修飾IFN−βは、糖鎖の本数が4本よりも5本、5本よりも6本、と、本数が多くなるにつれて血中滞留性が高くなり、また、抗腫瘍活性も高くなることが示された。
また、本発明において、糖鎖の非還元末端が全てシアリル化されていることが、IFN−βの血中滞留性の向上及び生体内での抗腫瘍活性の向上に重要であることが示された。
また、糖鎖の非還元末端が全てシアリル化された糖鎖として、ジシアロ糖鎖の他、トリシアロ糖鎖、テトラシアロ糖鎖などの種々の糖鎖を用いた場合において、いずれも、天然のIFN−β(Avonex)よりも高い血中滞留性および高い抗腫瘍活性を有することが示された。
したがって、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、優れたインターフェロンβ活性を有する薬剤として有用であると考えられる。
Claims (14)
- インターフェロンβ活性を有する糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記糖鎖付加ポリペプチドが、下記の(1)から(4)よりなる群より選択される、いずれかのポリペプチド;
(1)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたポリペプチド、
(3)インターフェロンβの類縁体であるポリペプチド、および、
(4)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して、80%以上の相同性を有するポリペプチド、
において、
4から6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されており、
前記糖鎖の非還元末端のいずれもがシアリル化されていることを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項1に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸が、それぞれ独立に、糖鎖付加Cysまたは糖鎖付加Asnであることを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項1または2に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖が、いずれも独立に、ジシアロ糖鎖、トリシアロ糖鎖、および、テトラシアロ糖鎖からなる群より選択されることを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖が、いずれも独立に、下記式(1)、式(2)、式(3)および式(4)からなる群より選択されることを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。
式(1)
式(2)
式(3)
式(4) - 請求項1から4のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖が、いずれも同一であることを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、41位、48位、75位、79位、107位、112位、123位、および、136位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも3つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、41位、48位、75位、79位、107位、112位、123位、および、136位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸が、いずれも、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、2位、5位、6位、9位、12位、13位、16位、19位、20位、23位、27位、33位、37位、39位、40位、43位、53位、54位、55位、57位、58位、61位、62位、64位、65位、68位、69位、73位、78位、83位、86位、87位、90位、93位、94位、100位、124位、125位、128位、131位、132位、138位、141位、142位、145位、148位、149位、152位、153位、156位、159位、160位、または、163位の位置に相当する位置に存しないことを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記各糖鎖付加アミノ酸が、いずれも、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 請求項1から10のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
前記糖鎖付加ポリペプチドが、化学的に合成されたことを特徴とする、
糖鎖付加ポリペプチド。 - 医薬組成物であって、
前記医薬組成物が、
(1)請求項1から11のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドおよび/または薬学的に許容されるその塩、および、
(2)薬理学的に許容される担体を含むことを特徴とする、
医薬組成物。 - 請求項12に記載の医薬組成物であって、
インターフェロンβに関連する疾患の治療または予防のために用いられることを特徴とする、医薬組成物。 - 請求項13に記載の医薬組成物であって、
前記インターフェロンβに関連する疾患が、脳腫瘍、皮膚悪性黒色腫、B型慢性活動性肝炎、C型慢性肝炎、亜急性硬化性全脳炎、C型代償性肝硬変、および、多発性硬化症からなる群より選択されることを特徴とする、
医薬組成物。
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