JPWO2014157107A1 - シアリル化糖鎖が付加されたポリペプチド - Google Patents

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Abstract

【課題】均一性の高いシアリル化糖鎖が付加した、インターフェロンβ活性を有するポリペプチドを提供する。【解決手段】下記の(1)から(4)よりなる群より選択される、いずれかのポリペプチド;(1)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(2)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたポリペプチド、(3)インターフェロンβの類縁体であるポリペプチド、および、(4)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して、80%以上の相同性を有するポリペプチド、において、4から6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されており、前記糖鎖の非還元末端のいずれもがシアリル化されている糖鎖付加ポリペプチドである。【選択図】なし

Description

本発明は、シアリル化糖鎖が付加されたポリペプチドに関する。より具体的には、均一性の高いシアリル化糖鎖が付加された、インターフェロンβ活性を有するポリペプチドに関する。
天然のヒトインターフェロンβ(IFN−β)は、166個のアミノ酸残基からなる糖タンパク質である。インターフェロンβは、サイトカインファミリーに属し、免疫調整作用、抗ウイルス活性、細胞増殖抑制作用に関与することが知られている。また、ヒトインターフェロンβは、天然のアミノ酸配列における17位、31位、141位に3つのCysを有しており、80位のAsnに1本の複合型のN結合型オリゴ糖を有している。また、31位と141位のCysにおいてジスルフィド結合を有していることが知られている。
薬剤としてのインターフェロンβは、細胞発現系を利用して製造されており、発現させる宿主の違いによりIFN−β−1aまたはIFN−β−1bに分類される。IFN−β−1aは、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞を用いた発現系であり、天然のインターフェロンβと同様に糖鎖を有する糖タンパク質である。一方、IFN−β−1bは大腸菌で発現させたものであり、糖鎖を有さないタンパク質である。
IFN−β−1aは、IFN−β−1bと比べて、免疫原性、抗ウイルス活性、および、抗腫瘍特性において、より強力な効能を有していることが知られている。さらに、糖タンパク質中に含まれる糖鎖構造は、薬物動態に対して強い影響力を有することが知られている。
また、ポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性ポリマーをタンパク質に結合させると、タンパク質の物理的安定性、熱安定性、血漿中安定性の向上などの効果がもたらされることが知られている。そのような効果を期待して、PEGで修飾したIFN−βに関する報告が存在する。例えば、IFN−β−1bのN末端にPEG修飾を施したIFN−β複合体に関する報告がある(特許文献1、2)。また、IFN−β−1aのN末端にPEG修飾を施したIFN−β複合体に関する報告も存在する(特許文献3)。そのような修飾は、確かにタンパク質の上記安定性などには寄与するかもしれないが、一方で、IFN−βの薬剤としての活性を低下させることが懸念される。例えば、PEGの分子量2万以上である場合などには、活性が劇的に低下することが報告されている(非特許文献1)。
PEG修飾の上述のような懸念を考慮して、高分子量のPEGを結合させてもIFN−βの活性が維持され得るような位置を選択して、部位特異的にPEG修飾を施した報告も存在する(特許文献4)。しかしながら、PEGは生体内に存在しない化合物であり、PEG修飾IFN−βを長期投与した場合の蓄積性、安全性、有効性に関しては、未だ十分な検討は確立されていない。
なお、部位特異的に糖鎖修飾を施したIFN−β複合体に関する報告も存在する(特許文献5)。特許文献5では、天然型IFN−βのアミノ酸配列に対して、N結合型糖鎖の認識部位となるコンセンサス配列(Asn−X−Ser/Thr)を有するようにアミノ酸変異を導入し、CHO細胞を用いて発現している。しかしながら、この方法では、コンセンサス配列を導入するために、糖鎖を付加するアミノ酸以外にもアミノ酸変異が生じることとなる。また、一般に、CHO細胞で発現した場合には、糖鎖の不均一性が生じることが知られている。
米国特許出願公開第2009/0214472号明細書 米国特許第7829659号明細書 米国特許第7446173号明細書 国際公開第2005/019260号 国際公開第02/074806号
J.Control.Rel. 88巻 35−42頁 (2003)
インターフェロンβの物理的安定性、熱安定性、血漿中安定性などを向上させるために、上述したように、インターフェロンβのポリペプチドをPEGで修飾した例が存在する。しかしながら、PEGで修飾をした場合には、上述したように、インターフェロンβの薬剤としての活性が低下する場合がある。また、PEGは生体内に存在する物質ではないため、生体内での蓄積による薬害の心配がある。
一方で、インターフェロンβのポリペプチドを糖鎖で修飾した例も存在する。しかしながら、例えば、CHO細胞での発現により糖鎖付加インターフェロンβを製造する場合、上述したように、付加される糖鎖の種類や付加される位置に不均一性が生じることが知られている。糖鎖が不均一である場合には、医薬品として、ロット間で薬効に差が生じる可能性もあり、また、天然型の糖鎖付加インターフェロンβでは、血中滞留時間が短いという欠点も生じていた。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、インターフェロンβのポリペプチドに対し、糖鎖の非還元末端がいずれもシアリル化された糖鎖付加アミノ酸で、4から6箇所のアミノ酸を置換することにより、天然のヒトインターフェロンβよりも血中滞留性に優れ、かつ、抗腫瘍活性に優れる糖鎖付加ポリペプチドが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、一態様において、インターフェロンβ活性を有する糖鎖付加ポリペプチドであって、前記糖鎖付加ポリペプチドが、下記の(1)から(4)よりなる群より選択される、いずれかのポリペプチド;
(1)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたポリペプチド、
(3)インターフェロンβの類縁体であるポリペプチド、および、
(4)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して、80%以上の相同性を有するポリペプチド、
において、4から6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されており、前記糖鎖の非還元末端のいずれもがシアリル化されていることを特徴とする、糖鎖付加ポリペプチドに関する。
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸は、それぞれ独立に、糖鎖付加Cysまたは糖鎖付加Asnであり得る。
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖は、いずれも独立に、ジシアロ糖鎖、トリシアロ糖鎖、および、テトラシアロ糖鎖からなる群より選択され得る。
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖は、いずれも独立に、下記式(1)、式(2)、式(3)および式(4)からなる群より選択され得る。

式(1)

式(2)

式(3)

式(4)
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖は、いずれも同一であり得る。
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存し得る。
ここで、本発明の一態様においては、さらに、前記各糖鎖付加アミノ酸は、いずれも、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、2位、5位、6位、9位、12位、13位、16位、19位、20位、23位、27位、33位、37位、39位、40位、43位、53位、54位、55位、57位、58位、61位、62位、64位、65位、68位、69位、73位、78位、83位、86位、87位、90位、93位、94位、100位、124位、125位、128位、131位、132位、138位、141位、142位、145位、148位、149位、152位、153位、156位、159位、160位、または、163位の位置に相当する位置に存しないこととすることができる。
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、41位、48位、75位、79位、107位、112位、123位、および、136位からなる群より選択される位置に相当する位置に存し得る。
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも3つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、41位、48位、75位、79位、107位、112位、123位、および、136位からなる群より選択される位置に相当する位置に存し得る。
本発明の一態様においては、前記各糖鎖付加アミノ酸は、いずれも、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存し得る。
本発明の一態様においては、前記糖鎖付加ポリペプチドが、化学的に合成され得る。
また、本発明は、一態様において、
(1)前記糖鎖付加ポリペプチドおよび/または薬学的に許容されるその塩、および、
(2)薬理学的に許容される担体を含む、
医薬組成物に関する。
本発明の一態様においては、前記医薬組成物は、インターフェロンβに関連する疾患の治療または予防のために用いられ得る。ここで、前記疾患は、脳腫瘍、皮膚悪性黒色腫、B型慢性活動性肝炎、C型慢性肝炎、亜急性硬化性全脳炎、C型代償性肝硬変、および、多発性硬化症からなる群より選択され得る。
また、本発明の一態様においては、すでに述べた糖鎖付加ポリペプチドの配列、糖鎖付加アミノ酸におけるアミノ酸、糖鎖付加アミノ酸における糖鎖の種類及び構造、糖鎖付加アミノ酸によるアミノ酸置換の位置、糖鎖付加ポリペプチドの合成方法、医薬組成物としての対象疾患について、それぞれ上記の群より選択される任意の組み合わせとすることができる。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、化学的に合成することができるため、均一な糖鎖構造を有する。そのため、本発明によれば、ロット間のばらつきが少なく、品質の安定した、インターフェロンβ活性を有する糖鎖付加ポリペプチドおよび当該糖鎖付加ポリペプチドを含む医薬組成物を提供することができる。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、生体内に存在する糖鎖が付加したポリペプチドであり得る。したがって、本発明によれば、長期投与をしても人体に安全である、糖鎖付加ポリペプチドおよび当該糖鎖付加ポリペプチドを含む医薬組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、天然型インターフェロンβよりも血中滞留性が高く、抗腫瘍活性も高い糖鎖付加ポリペプチドおよび当該糖鎖付加ポリペプチドを含む医薬組成物を提供することができる。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、天然型インターフェロンβよりも血中滞留性が高く、さらに、抗腫瘍活性も高いことが示された。
従来技術として知られるPEG修飾をしたインターフェロンβでは、天然型ヒトインターフェロンβと比較して、血中滞留性は向上するものの、抗腫瘍活性の向上は見られなかった。本発明により、PEGよりも分子量の小さい糖鎖を用いて、PEG修飾体と同様、またはそれを上回る血中滞留性の向上を実現できたこと、さらには、PEG修飾体では抗腫瘍活性は向上しなかったにもかかわらず、本発明の糖鎖付加体では抗腫瘍活性が著しく向上したことは、驚くべきことである。したがって、本発明における糖鎖付加ポリペプチドは、高いインターフェロンβ活性を有し、インターフェロンβに関連する疾患の治療において、非常に有用であると考えられる。
(実施例3−1)で得られた2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)および(実施例4−1)で得られた2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)について、質量分析(ESIイオン化法)を行った結果を示すマススペクトルである。 (実施例3−1)で得られた2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)および(実施例4−1)で得られた2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)について、SDS−PAGEを行った結果を示す写真である。 (実施例3−1)で得られた2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)および(実施例4−1)で得られた2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の糖鎖成分について、順相HPLCにより分析を行った結果を示すマススペクトルである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)を皮下投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの血漿中濃度推移を示すグラフである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)を皮下投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの薬物速度論的パラメータを示す表である。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)を、静脈内投与および皮下投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの血漿中濃度推移をグラフ化したものである。左のグラフが静脈内投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの血漿中濃度推移をグラフ化したものであり、右のグラフが皮下投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの血漿中濃度推移を示すグラフである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)を、静脈内投与および皮下投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの薬物速度論的パラメータを示す表である。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)を、静脈内投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの血漿中濃度推移を示すグラフである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)を、静脈内投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの薬物速度論的パラメータを示す表である。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、PEG20K修飾IFN−βを皮下投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの血漿中濃度推移を示すグラフである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、PEG20K修飾IFN−βを皮下投与した際の、各糖鎖付加ポリペプチドの薬物速度論的パラメータを示す表である。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、2−6diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)を皮下投与した胆がんマウスにおける、抗腫瘍活性の評価の結果を示すグラフである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)を皮下投与した胆がんマウスにおける、抗腫瘍活性の評価の結果を示すグラフである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、2−6triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、2−6tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)を皮下投与した胆がんマウスにおける、抗腫瘍活性の評価の結果を示すグラフである。 2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)、PEG20K修飾IFN−βを皮下投与した胆がんマウスにおける、抗腫瘍活性の評価の結果を示すグラフである。 本発明における、インターフェロンβのアミノ酸配列の例として、インターフェロンβ−1bのアミノ酸配列(配列番号1)を示す。
本発明は、シアリル化糖鎖が付加されたポリペプチドに関する。具体的には、均一性の高いシアリル化糖鎖が付加された、インターフェロンβ活性を有する、糖鎖付加ポリペプチドに関する。
本明細書中において、「糖鎖」とは、単位糖(単糖および/またはその誘導体)が1つ以上連なってできた化合物をいう。単位糖が2つ以上連なる場合、各々の単位糖同士の間は、グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。このような糖鎖としては、例えば、生体中に含有される単糖類および多糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体)の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体物質から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。
本発明において、好ましい糖鎖は、インターフェロン複合体のインターフェロンβ活性を消失させない糖鎖である。このような糖鎖は特に限定されず、生体内で複合糖質(糖ペプチドまたは糖タンパク質、プリテオグリカン、糖脂質等)として存在する糖鎖であってもよいし、生体内では複合糖質として存在しない糖質であってもよい。
生体内で複合糖質として存在する糖鎖は、本発明のインターフェロン複合体が生体に投与されるという観点から好ましい。生体内で複合糖質として存在する糖鎖としては、生体内で糖ペプチドまたは糖タンパク質としてペプチドまたはタンパク質に結合している糖鎖であるN−結合型糖鎖、O−結合型糖鎖等が挙げられる。
本発明の一態様においては、好ましくは、N−結合型糖鎖が用いられる。N−結合型糖鎖としては、例えば、高マンノース(ハイマンノース)型、複合(コンプレックス)型、混成(ハイブリッド)型を挙げることができ、特に好ましくは、複合型が良い。
本発明における糖鎖は、糖鎖の非還元末端がいずれもシアリル化されていることを特徴とする。本明細書において、「糖鎖の非還元末端がいずれもシアリル化されている」とは、例えば、2分岐型複合糖鎖の場合は、2つの非還元末端がいずれもシアリル化されていることを意味し、3分岐型複合糖鎖の場合は、3つの非還元末端がいずれもシアリル化されていることを意味し、4分岐型複合糖鎖の場合は、4つの非還元末端がいずれもシアリル化されていることを意味する。
本発明において、シアリル化とは、糖鎖の非還元末端にシアル酸が結合していることを意味する。シアル酸とは、ノイラミン酸のアミノ基やヒドロキシ基が置換されたものの総称である。本発明においては、糖鎖の非還元末端に存在するシアル酸は、本発明の糖鎖付加ポリペプチドのインターフェロン活性を消失または著しく低減させるものでない限り、ノイラミン酸のあらゆる置換体を含み得る。中でも、本発明の糖鎖付加ポリペプチドが生体に投与されるという観点から、本発明における糖鎖付加ポリペプチドにおける糖鎖のシアリル化は、天然に存在するシアル酸であることが好ましい。天然に存在するシアル酸としては、例えば、5位がアセチル化されたN−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)や、5位がグリコール酸で修飾されたN−グライコリルノイラミン酸(Neu5Gc)などが知られている。
本発明の一態様として、非還元末端がいずれもシアリル化されている糖鎖の具体例としては、例えば、生体内に存在することが知られている糖鎖として、N−結合型糖鎖の複合型糖鎖が挙げられる。N−結合型糖鎖の複合型糖鎖としては、N−結合型糖鎖の複合型糖鎖として一般的に知られている糖鎖の基本骨格を有するものであれば、その結合様式、フコースの有無、側鎖の置換基に対する修飾の有無等が異なるものであっても含まれる。N−結合型の複合型糖鎖としては、糖鎖の分岐構造の違いにより、例えば、ジシアロ糖鎖、トリシアロ糖鎖、および、テトラシアロ糖鎖などを挙げることができる。すなわち、本発明において「ジシアロ糖鎖」とは、N−結合型の複合型糖鎖であって、2分岐型の構造を有し、かつ、非還元末端がいずれもシアリル化されたものをいう。同様に、「トリシアロ糖鎖」は、N−結合型の複合型糖鎖であって、3分岐型の構造を有し、かつ、非還元末端がいずれもシアリル化されたものをいう。同様に、「テトラシアロ糖鎖」は、N−結合型の複合型糖鎖であって、4分岐型の構造を有し、かつ、非還元末端がいずれもシアリル化されたものをいう。
これらの糖鎖としては、さらに具体的には、下記式(1)で表わされるα2−6ジシアロ糖鎖、式(2)で表わされるα2−3ジシアロ糖鎖、式(3)で表わされるα2−6トリシアロ糖鎖、および、式(4)で表わされるα2−6テトラシアロ糖鎖などを挙げることができる。
式(1)
式(2)
式(3)
式(4)
本発明におけるシアリル化糖鎖は、上記具体例に限定されず、α2−3トリシアロ糖鎖、α2−3テトラシアロ糖鎖など、糖鎖とシアル酸との結合様式の異なるものも含まれる。これらの結合様式は、シアリル化糖鎖において全ての分岐鎖が同一の結合様式であっても良いし、異なる結合様式が含まれていても良い。
さらに、本発明におけるシアリル化糖鎖には、フコースがついた付いたものも含まれる。フコースが付いた複合型糖鎖としては、たとえば、ジシアロ糖鎖であれば、下記式(13)、トリシアロ糖鎖であれば下記式(15)及び式(16)、テトラシアロ糖鎖であれば下記式(17)を具体例として挙げることができる。

式(13)

式(15)

式(16)

式(17)
本発明の一態様において、本発明の糖鎖付加ポリペプチド中の各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖は、いずれも同一とすることもできるし、異なるものを含むこともできる。なお、本明細書中において、糖鎖付加ポリペプチド中の各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖が同一であるとは、本発明において、4から6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換された場合に、その4から6箇所の糖鎖付加アミノ酸における糖鎖同士を比較したとき、糖鎖を構成する糖の種類、結合順序、および結合様式が糖鎖付加ポリペプチド内において同一であることをいう。
また、本発明の一態様において、本発明の糖鎖付加ポリペプチドを含む組成物において、糖鎖付加ポリペプチドにおける各糖鎖は、それぞれ実質的に均一であることが好ましい。本明細書において、糖鎖付加ポリペプチドにおける各糖鎖がそれぞれ実質的に均一とは、糖鎖付加ポリペプチド間において糖鎖が付加する位置ごとに各糖鎖を比較した場合に、ポリペプチドにおける位置が同一であり、かつ、それぞれの位置における糖鎖を構成する糖の種類、結合順序、および糖間の結合様式が、各糖鎖において、それぞれ実質的に同一であることをいう。本発明において、糖鎖付加ポリペプチドにおける各糖鎖は、少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上均一である。
糖鎖付加ポリペプチドにおける各糖鎖がそれぞれ実質的に均一である糖鎖付加ポリペプチドを含む組成物は、品質が一定であり、特に医薬品の製造や、アッセイなどの分野において好ましい。均一な糖鎖の割合は、例えば、HPLC、キャピラリー電気泳動、質量分析等を用いた方法によって測定することが可能である。
本発明における、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」は、インターフェロンβ−1bのアミノ酸配列である(図16参照)。インターフェロンβ−1bは、天然のヒト型インターフェロンβにおける1位のMetが欠損し、17位のCysがSerに置換されていることが知られている。
本発明の「糖鎖付加ポリペプチド」は、たとえば、配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドなどにおいて、4から6箇所のアミノ酸が「糖鎖付加アミノ酸」で置換されたものをいう。
本明細書中において、「糖鎖付加アミノ酸」とは、糖鎖が結合したアミノ酸であり、ここで糖鎖とアミノ酸とは、リンカーを介して結合していてもよい。
糖鎖が結合するアミノ酸の種類に特に限定はなく、天然アミノ酸、非天然アミノ酸のいずれを用いることもできる。
糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している場合、リンカーとの結合容易性という観点からは、糖鎖付加アミノ酸のアミノ酸は、アスパラギン酸やグルタミン酸等の分子内に2つ以上のカルボキシ基を持つアミノ酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン等の分子内に2以上のアミノ基を持つアミノ酸、セリン、スレオニン、チロシン等の分子内に水酸基を持つアミノ酸、システイン等の分子内にチオール基を持つアミノ酸、アスパラギン、グルタミン等の分子内にアミド基を持つアミノ酸、が好ましい。特に、反応性の観点からは、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、スレオニン、グルタミンが好ましい。
なお、本発明の任意の糖鎖付加ポリペプチドについて、糖鎖構造、糖鎖以外の構造、糖鎖の付加部位および糖鎖の付加数が同一である場合に、糖鎖付加アミノ酸が、糖鎖付加Asnの場合と糖鎖付加Cysの場合で、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの血中半減期に大きな違いはないと考えられる。
糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している場合、リンカーとしては、当該分野において用いられているものを広く使用することができるが、例えば、−NH−(CO)−(CH−CH−(式中、aは整数であり、目的とするリンカー機能を阻害しない限り限定されるものではないが、好ましくは0〜4の整数を示す。)、C1−10ポリメチレン、−CH−R−(ここで、Rは、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、炭素環基、置換された炭素環基、複素環基および置換された複素環基からなる群より選択される基から水素原子が1つ脱離して生ずる基である)、−(CO)−(CH−(CO)−(式中、aは整数であり、目的とするリンカー機能を阻害しない限り限定されるものではないが、好ましくは0〜4の整数を示す。)等を挙げることができる。
なお、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、その記載(例えば、「アミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換された糖鎖付加ポリペプチド」という記載)によって何ら製造方法が限定されるものではなく、後述のA法またはB法のいずれの方法で製造した糖鎖付加ポリペプチドであっても、「アミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換された糖鎖付加ポリペプチド」に含まれる。また、例えば、アミノ酸の結合していない糖鎖を、ペプチド上のアミノ酸に直接またはリンカーを介して結合した糖鎖付加ポリペプチド;糖鎖付加ポリペプチドにおいて、付加した糖鎖にさらに糖または糖鎖を付加することで既に付加された糖鎖を伸長させた糖鎖付加ポリペプチド;糖鎖付加アミノ酸のアミノ基および/またはカルボキシ基に1または数個のアミノ酸を結合させ、さらにこれを1または複数のインターフェロンβフラグメントと連結させた糖鎖付加ポリペプチド;アミノ酸の結合した糖鎖を、ペプチド上のアミノ酸にリンカーを介して結合した糖鎖付加ポリペプチド、なども最終的な構造が一致している限り、本発明の糖鎖付加ポリペプチドに含まれる。
本発明の一態様において、上述の「4から6箇所のアミノ酸」を糖鎖付加アミノ酸で置換する位置は、糖鎖付加アミノ酸の置換によってインターフェロンβの活性が低下することのないように、種々の観点から選択すべきである。たとえば、天然のインターフェロンβにおいて糖鎖が結合している80位のAsn(配列番号1で表わされるアミノ酸配列においては79位に相当)は、本発明において糖鎖付加アミノ酸で置換する位置として好ましい。
本発明の一態様において、糖鎖付加アミノ酸の置換位置としては、ポリペプチドのフォールディングにおいて、インターフェロンβの立体構造形成の障害とならないように、選択することが好ましい。インターフェロンβの立体構造形成の障害とならないようにするためには、糖鎖付加アミノ酸の置換位置を、インターフェロンβが天然と同様の立体構造を形成した場合において、立体構造の表面に存在するアミノ酸の位置とすることができる。言いかえれば、インターフェロンβが天然と同様の立体構造を形成した場合において、立体構造の表面付近を構成しないアミノ酸の位置(本発明において、「非表面アミノ酸の位置」ともいう。)ではない位置とすることとができる。また、本発明の一態様において、糖鎖付加アミノ酸の置換位置としては、インターフェロンβのレセプター結合部位ではないことが好ましい。本発明者らは、インターフェロンβの立体構造解析等のデータを用いて、鋭意検討を行い、インターフェロンβの非表面アミノ酸の位置や、その他の立体形成の障害となりうる位置、レセプターとの結合に障害となりうる位置を推定した。このような観点から、本発明の一態様において、糖鎖付加アミノ酸は、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、2位、5位、6位、9位、12位、13位、16位、19位、20位、23位、27位、33位、37位、39位、40位、43位、53位、54位、55位、57位、58位、61位、62位、64位、65位、68位、69位、73位、78位、83位、86位、87位、90位、93位、94位、100位、124位、125位、128位、131位、132位、138位、141位、142位、145位、148位、149位、152位、153位、156位、159位、160位、または、163位の位置に相当する位置に存しないことが好ましい。また、本明細書を見た当業者であれば、これらの位置に準じて、同様に糖鎖付加アミノ酸の置換位置として好ましくない位置を適宜検討することができるであろう。
本発明の一態様において、糖鎖付加アミノ酸の置換位置としては、天然のインターフェロンβにおいてジスルフィド結合を形成している31位と141位のCys(配列番号1で表わされるアミノ酸配列においては30位と140位に相当)ではないことが好ましい。
本発明の発明者らは、上述のような観点から鋭意研究を重ね、アミノ酸配列上の種々のアミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換した数多くのの糖鎖付加ポリペプチドを合成してインターフェロンβ活性を測定した。その結果、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、少なくとも、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位は、糖鎖付加によりインターフェロンβの活性の維持または向上に寄与する位置であることを見出した。
上記の理由から、本発明の一態様において、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様において、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも2つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様において、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも3つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様において、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも4つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様において、5箇所以上が糖鎖付加アミノ酸により置換される場合には、各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも5つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、上述の各糖鎖付加アミノ酸は、いずれも、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することがより好ましい。
本発明の一態様においては、糖鎖付加アミノ酸の1つが、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、79位の位置に相当する位置に存することがより好ましい。
また、本発明の一態様においては、その他の(79位以外の)各糖鎖付加アミノ酸の1つないし複数が、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することがより好ましい。
また、これらの位置は好適な具体例であり、ここに挙げられた位置に限定をするものではない。本発明を見た当業者であれば、本発明と同様にして、糖鎖付加アミノ酸で置換する位置を選択することができるであろう。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、3位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、41位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、48位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、75位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、79位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、107位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、112位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、123位に相当する位置に存することが好ましい。
本発明の一態様においては、各糖鎖付加アミノ酸の1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、136位に相当する位置に存することが好ましい。
また、本発明の一態様においては、アミノ酸を糖鎖付加アミノ酸で置換する場合は、上記の置換位置より選択される位置の任意の組み合わせとすることができる。
本発明における、上述の各糖鎖付加アミノ酸が存する位置として好適な組み合わせの具体例としては、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、下記の位置に相当する位置を例示することができるが、これらに限定されない。
1位、48位、79位、107位、112位、および、123位;
1位、3位、48位、79位、107位、および、112位;
1位、48位、79位、99位、107位、および、112位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、130位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、136位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、139位;
1位、48位、79位、107位、112位、および、164位;
1位、29位、48位、79位、107位、および、136位;
1位、35位、48位、79位、107位、および、136位;
1位、41位、48位、79位、107位、および、136位;
1位、48位、75位、79位、107位、および、136位;
48位、75位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、75位、79位、103位、107位、および、136位;
41位、75位、79位、106位、107位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、109位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、115位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、119位、および、136位;
1位、28位、48位、70位、および、79位;
1位、48位、79位、107位、および、112位;
24位、79位、107位、112位、および、136位;
25位、79位、107位、112位、および、136位;
32位、79位、107位、112位、および、136位;
35位、79位、107位、112位、および、136位;
38位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、79位、107位、112位、および、136位;
7位、79位、107位、112位、および、136位;
48位、79位、107位、112位、および、136位;
75位、79位、107位、112位、および、136位;
41位、75位、79位、107位、および、136位;
42位、75位、79位、107位、および、136位;
45位、75位、79位、107位、および、136位;
46位、75位、79位、107位、および、136位;
47位、75位、79位、107位、および、136位;
48位、75位、79位、107位、および、136位;
49位、75位、79位、107位、および、136位;
50位、75位、79位、107位、および、136位;
1位、48位、79位、および、107位;
1位、3位、48位、および、79位;
79位、107位、112位、および、136位;
1位、79位、107位、および、136位;
28位、79位、107位、および、136位;
35位、79位、107位、および、136位;
70位、79位、107位、および、136位;
75位、79位、107位、および、136位。
本明細書において、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における位置に相当する位置とは、アミノ酸の付加、欠失等がない限り、配列番号1で表わされるアミノ酸配列におけるアミノ酸の位置に対応する位置のアミノ酸をいう。また、配列番号1で表わされるアミノ酸配列内において、アミノ酸の付加、欠失が存在する場合には、アミノ酸の付加、欠失によるアミノ酸配列上の移動を考慮した位置にあるアミノ酸をいう。例えば、1位から4位までにSer−Tyr−Asn−Leu−の配列を有する糖鎖付加インターフェロンβ−1bにおいて、1位と2位のアミノ酸の間に1つのアミノ酸(Trp)が付加された場合(Ser−Trp−Tyr−Asn−Leu−)に、「2位(Tyr)に相当する位置」とは、Trpの付加によりC末端側に1つ移動したアミノ酸(Tyr)の位置をいう。
本明細書中において、「アミノ酸」とは、そのもっとも広い意味で用いられ、天然のアミノ酸のみならず、アミノ酸変異体および誘導体といったような非天然アミノ酸を含み得る。当業者であれば、この広い定義を考慮して、本明細書中におけるアミノ酸として、例えば、天然のタンパク原性L−アミノ酸;D−アミノ酸;アミノ酸変異体および誘導体などの化学修飾されたアミノ酸;ノルロイシン、β−アラニン、オルニチンなどの天然非タンパク原性アミノ酸;およびアミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられることを理解するであろう。非天然アミノ酸の例として、α−メチルアミノ酸(α−メチルアラニンなど)、D−アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、および、α−メチル−ヒスチジンなど)、側鎖に余分のメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)、および、側鎖中のカルボン酸官能基アミノ酸がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸など)が挙げられる。好ましい態様において、本発明の化合物に含まれるアミノ酸は、天然アミノ酸のみからなる。
本発明において、「配列番号1で表されるアミノ酸配列」は、インターフェロンβ−1bのアミノ酸配列を示す(図16参照)。インターフェロンβ−1bは、天然のヒト型インターフェロンβにおける1位のMetが欠損し、17位のCysがSerに置換されていることが知られている。
本明細書中において、「アミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された」という場合、置換等されるアミノ酸の個数は、インターフェロンβ活性を保持する限りにおいて特に限定されないが、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または、10個程度アミノ酸が相違していることを意味する。あるいは、全体のアミノ酸配列の長さの20%以内、好ましくは10%以内のアミノ酸が相違する場合も含み得る。置換または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、または、アミノ酸アナログであり得、好ましくは天然のアミノ酸である。本発明の一態様として、「アミノ酸配列における1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された」ポリペプチドとしては、天然型のヒトインターフェロンβが挙げられる。前述のとおり、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、すなわち、インターフェロンβ−1bは、天然のヒト型インターフェロンβにおける1位のMetが欠損し、17位のCysがSerに置換されたものである。すなわち、天然型のヒトインターフェロンβは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して1個のアミノ酸が付加し、1個のアミノ酸が置換されたものである。本発明の明細書を見た当業者であれば、本明細書の開示を参照して、本件実施例に用いられたヒトインターフェロンβ−1bのアミノ酸配列に替えて、天然型のヒトインターフェロンのアミノ酸配列(インターフェロンβ−1a)を用いても、本発明と同様に糖鎖付加ペプチドを製造し、使用することができる。天然型のヒトインターフェロンβ−1aのアミノ酸配列を配列番号2として示す。本発明の一態様において、本件実施例に用いられたヒトインターフェロンβ−1bのアミノ酸配列に替えて、天然型のヒトインターフェロンβ−1aのアミノ酸配列を用いる場合には、天然の80位に不均一な糖鎖が結合していないアミノ酸配列を用いることが好ましい。
本発明において、「インターフェロンβの類縁体」とは、インターフェロンβと構造上類似したポリペプチドおよび/またはインターフェロンβと重複した構造を有するポリペプチド、例えば、インターフェロンβのアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が保存的に置換されたポリペプチド、インターフェロンβ改変体、インターフェロンβ活性を有するインターフェロンβのフラグメント、インターフェロンβ活性を有する伸長インターフェロンβが挙げられる。
本明細書中において、「アミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が保存的に置換された」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数および/または疎水性指数が類似している置換であって、そのような置換の前後で、インターフェロンβ活性の明らかな低下または消失を生じない置換をいう。
本明細書中において、「インターフェロンβ改変体」とは、インターフェロンβの改変体であって、インターフェロンβの天然に存在する変異体、またはインターフェロンβを人工的に改変した化合物を含み、そのような改変としては、例えば、インターフェロンβの1または複数のアミノ酸残基の、アルキル化、アシル化(例えばアセチル化)、アミド化、カルボキシル化、エステル化、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、水酸化、標識成分の結合等が挙げられる。
本明細書中において、「インターフェロンβ活性を有するインターフェロンβのフラグメント」とは、インターフェロンβのN末端および/またはC末端から1個またはそれ以上のアミノ酸が欠失し、かつインターフェロンβ活性を維持したペプチドである。
本明細書中において、「インターフェロンβ活性を有する伸長インターフェロンβ」とは、インターフェロンN末端および/またはC末端に1個またはそれ以上のアミノ酸が付加され、かつインターフェロンβ活性を維持したペプチドである。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、4から6箇所のアミノ酸が、糖鎖付加アミノ酸で置換されているものを含み得る。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、当業者に公知のペプチド合成方法に、糖鎖付加工程を組み込むことで製造することができる。糖鎖付加に際しては、トランスグルタミナーゼに代表される、酵素を利用する方法も用いることができるが、この場合、付加する糖鎖が大量に必要になる、最終工程後の精製が煩雑になる、糖鎖の付加位置および付加可能な糖鎖が制限される、等の問題があるため、アッセイ用等の少量の合成には用いることが可能でも、医薬品製造等の大規模な製造には実用的な方法とは言えないことがある。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドの簡便な製造方法であって、かつ、糖鎖の構造が均一である糖鎖付加ポリペプチドの安定した製造方法の具体例として、以下、糖鎖付加アミノ酸として糖鎖付加Asnを使用し、固相合成、液相合成等の公知のペプチド合成方法を適用することにより糖鎖付加ポリペプチドを製造する方法(A法)、および、配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド等の任意のアミノ酸をCysで置換したポリペプチドを、公知のペプチド合成方法に従って製造し、その後、Cysに化学合成により糖鎖を付加し、糖鎖付加ポリペプチドを製造する方法(B法)を例示する。これらの製造方法を参考に、当業者であれば様々な糖鎖付加ポリペプチドを製造することが可能であり、得られる糖鎖付加ポリペプチドおよびその製造方法は、特に医薬品製造の分野において、非常に有用である。
また、これらのA法およびB法は、2つ以上を組み合わせて行うことも可能である。アッセイなどに用いる少量の合成であれば、さらに、上記の方法に、転移酵素による糖鎖伸長反応を組み合わせることも可能である。なお、A法は、国際公開第2004/005330号パンフレット(US2005222382(A1))に、B法は、国際公開第2005/010053号パンフレット(US2007060543(A1))に、それぞれ記載されており、その開示は全体として本明細書に参照により組み込まれる。また、A法およびB法において用いられる糖鎖構造が均一な糖鎖の製造に関しては、国際公開第03/008431号パンフレット(US2004181054(A1))、国際公開第2004/058984号パンフレット(US2006228784(A1))、国際公開第2004/058824号パンフレット(US2006009421(A1))、国際公開第2004/070046号パンフレット(US2006205039(A1))、国際公開第2007/011055号パンフレット等に記載されており、その開示は全体として本明細書に参照により組み込まれる。
糖鎖付加ポリペプチドを製造する方法(A法)
糖鎖付加ポリペプチドは、例えば、以下に概略を示す糖鎖付加Asnを用いた固相合成によって製造することができる。
(1)脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸のカルボキシ基を樹脂(レジン)へ結合させる。この場合、アミノ酸のアミノ基窒素を脂溶性保護基で保護しているので、アミノ酸同士の自己縮合は防止され、レジンとアミノ酸とが反応して結合が起こる。
(2)得られた反応物の脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(3)この遊離アミノ基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸のカルボキシ基とを、アミド化反応させる。
(4)上記脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させる。
(5)上記(3)および(4)の工程を1回以上繰り返すことにより、任意の数の任意のアミノ酸が連結した、末端にレジンを結合し、他端に遊離アミノ基を有するペプチドが得られる。
(6)最後に、酸でレジンを切断することにより、所望のアミノ酸配列を有するペプチドを得ることができる。
ここで、(1)において、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加Asnを用い、当該アスパラギン部分のカルボキシ基とレジンの水酸基とを反応させれば、C末端に糖鎖付加Asnを有するペプチドを得ることができる。
また、(2)の後、または、(3)と(4)を1回以上の任意の回数繰り返した後、(3)において、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加Asnを用いれば、任意の箇所に糖鎖を付加することができる。
このように、(1)および(3)のいずれかの工程で、2回以上、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された糖鎖付加Asnを用いることで、任意の2ヶ所以上に糖鎖が付加されたペプチドを得ることができる。
糖鎖付加アミノ酸を結合させた後、脂溶性保護基を脱離して遊離アミノ基を形成させ、その直後に工程(6)を行えば、N末端に糖鎖付加Asnを有するペプチドを得ることができる。
樹脂(レジン)としては、通常、固相合成で使用する樹脂(レジン)であればよく、例えば、塩素で官能化された2−クロロトリチルクロリド樹脂(メルク社製)や、アミノ基で官能化されたAmino−PEGAレジン(メルク社製)、水酸基を有するNovaSyn TGTアルコール樹脂(メルク社製)、Wangレジン(メルク社製)、HMPA−PEGAレジン(メルク社製)等を用いることができる。また、Amino−PEGAレジンとアミノ酸との間にリンカーを存在させてもよく、このようなリンカーとして、例えば、4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸(HMPA)、4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ) −ブチル酢酸(HMPB)等を挙げることができる。
また、C末端をアミド化する場合には、例えば、アミノ基で官能化されたRink−Amide−PEGAレジン(メルク社製)を用いることが好ましい。このレジンとペプチドを酸で切断することにより、ペプチドのC末端アミノ酸をアミド化することができる。
樹脂と脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護されたアミノ酸との結合は、例えば、水酸基を有する樹脂や塩素で官能化された樹脂を使用するには、アミノ酸のカルボキシ基を樹脂へエステル結合させる。また、アミノ基で官能化された樹脂を使用する場合には、アミノ酸のカルボキシ基を樹脂にアミド結合により結合させる。
アミノ酸としては全てのアミノ酸を用いることができ、例えば、天然アミノ酸である、セリン(Ser)、アスパラギン(Asn)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、アラニン(Ala)、チロシン(Tyr)、グリシン(Gly)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、プロリン(Pro)を挙げることができる。
また、上記天然アミノ酸のD体を使用することもできる。
脂溶性保護基としては、例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、ベンジル基、アリル基、アリルオキシカルボニル基、アセチル基等の、カーボネート系またはアミド系の保護基等を挙げることができる。アミノ酸に脂溶性保護基を導入するには、例えばFmoc基を導入する場合には9−フルオレニルメチル−N−スクシニミジルカーボネートと炭酸水素ナトリウムを加えて反応を行うことにより導入できる。反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約1〜5時間程度行うのが良い。
脂溶性保護基で保護したアミノ酸としては、市販のものも使用することができる。例えば、Fmoc−Ser−OH、Fmoc−Asn−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Ile−OH、Fmoc−AIa−OH、Fmoc−Tyr−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Lys−OH、Fmoc−Arg−OH、Fmoc−His−OH、Fmoc−Asp−OH、Fmoc−Glu−OH、Fmoc−Gln−OH、Fmoc−Thr−OH、Fmoc−Cys−OH、Fmoc−Met−OH、Fmoc−Phe−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OHを挙げることができる。
また、脂溶性保護基で保護したアミノ酸であって、側鎖に保護基を導入したものとして、例えば、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Cys(Acm)−OH、Fmoc−Cys(StBu)−OH、Fmoc−Cys(tBu)−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−His(Trt)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Trp(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OHを挙げることができる。
また、糖鎖付加ポリペプチドのアミノ酸配列中に、リンカーを付加させたい場合には、固相合成の過程において、上記の脂溶性保護基で保護したアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基で保護したリンカーを使用することで、好ましい位置に、リンカーを挿入することができる。
2−クロロトリチルクロリド樹脂を用いる場合、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン、ピリジン、2,4,6−コリジン等の塩基を用いることでエステル化を行うことができる。また、水酸基を有する樹脂を用いる場合、エステル化触媒として、例えば1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)等の公知の脱水縮合剤を用いることができる。アミノ酸と脱水縮合剤との使用割合は、前者1重量部に対して、後者が、通常1〜10重量部、好ましくは2〜5重量部である。
エステル化反応は、例えば、固相カラムにレジンを入れ、このレジンを溶剤で洗浄し、その後アミノ酸の溶液を加えることにより行うのが好ましい。洗浄用溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、2−プロパノール、ジクロロメタン等を挙げることができる。アミノ酸を溶解する溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、DMF、ジクロロメタン等を挙げることができる。エステル化反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約10分〜30時間程度、好ましくは15分〜24時間程度行うのが良い。
この時固相上の未反応の水酸基を、無水酢酸等を用いてアセチル化してキャッピングすることも好ましい。
脂溶性保護基の脱離は、例えば塩基で処理することにより行うことができる。塩基としては、例えばピペリジン、モルホリン等を挙げることができる。その際、溶媒の存在下で行うのが好ましい。溶媒としては、例えばDMSO、DMF、メタノール等を挙げることができる。
遊離アミノ基と、脂溶性保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸のカルボキシ基とのアミド化反応は、活性化剤および溶媒の存在下行うのが好ましい。
活性化剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSC/HCl)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルシアノホスホネート(DEPC)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウム(DIPCI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、ペンタフルオロフェノール(Pfp−OH)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスホネート(HATU)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロジ−4−オキサ−1,2,3−ベンゾトリアジン(Dhbt)等を挙げることができる。
活性化剤の使用量は、脂溶性の保護基でアミノ基窒素が保護された任意のアミノ酸に対して、1〜20当量、好ましくは1〜10当量、さらに好ましくは、1〜5当量とするのが好ましい。
溶媒としては、例えばDMSO、DMF、ジクロロメタン等を挙げることができる。反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約10〜30時間程度、好ましくは15分〜24時間程度行うのが良い。脂溶性保護基の脱離は、上記と同様に行うことができる。
樹脂(レジン)からペプチド鎖を切断するには酸で処理するのが好ましい。酸としては、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)、弗化水素(HF)等を挙げることができる。
このようにして、所望の位置を糖鎖付加Asnで置換した糖鎖付加ポリペプチドを得ることができる。
なお、本発明の一実施態様において、固相合成に用いる糖鎖付加Asnにおける糖鎖上の非還元末端にシアル酸を含む場合には、酸処理によりシアル酸が切断されるのを防ぐために、当該シアル酸のカルボキシ基を、保護基により保護していることが好ましい。保護基としては、例えば、ベンジル基、アリル基、ジフェニルメチル基等を挙げることができる。保護基の導入および保護基の脱離の方法は、公知の方法により行うことができる。
糖鎖付加ポリペプチドを製造する方法(B法)
糖鎖付加ポリペプチドは、まずペプチド鎖を合成し、後で合成したペプチド鎖へ糖鎖を付加する方法によっても製造することができる。具体的には、糖鎖を付加したい位置にCysを含むペプチドを、固相合成法、液相合成法、細胞により合成する方法、天然に存在するものを分離抽出する方法等により製造する。ここで、ジスルフィド結合を形成する予定の位置にあるCys等、糖鎖を付加しないCysに対しては、例えばアセトアミドメチル(Acm)基で保護しておく。また、糖鎖を付加せず、かつ、ジスルフィド結合の形成にも使用しないCysを糖鎖付加ポリペプチドに導入する場合には、糖鎖付加工程およびジスルフィド結合形成工程の間、Cysを保護基により保護しておき、その後脱保護するようにしてCysを導入することができる。このような保護基としては、例えば、tert−ブチル(tBu)や4−メトキシベンジルを挙げることができる。
また、糖鎖付加ポリペプチド中のCysに、異なる糖鎖を付加する場合には、最初に糖鎖を導入するCysを無保護とし、次に異なる糖鎖を導入するCysを、StBu等により保護しておくことで、異なる糖鎖を導入することができる。具体的には、固相合成等によりペプチドを合成する際、第一の糖鎖を導入したいCysを無保護とし、かつ、第二の糖鎖を導入したいCysをFmoc−Cys(StBu)−OH等を用いて、保護基を有するCysとする。その後、StBu等の保護基を保持したまま、無保護のCysへ糖鎖を導入する。次に、StBu基等を脱保護することで、無保護となったCysへ異なる糖鎖を導入することができる。なお、第一の糖鎖を導入したいCysおよび第二の糖鎖を導入したいCysは、1つ又は複数個とすることができる。
なお、StBu基の脱保護は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)、ジチオトレイトール(DTT)、トリブチルホスフィン等の還元剤を用いて反応させることにより脱保護することができる。上記反応は、通常0〜80℃、好ましくは、5〜60℃、更に好ましくは10〜35℃で行うのが良い。反応時間は、好ましくは、通常30分〜5時間程度である。反応終了後は、適宜、公知の方法(例えば、高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC))で精製するのが良い。
糖鎖付加ポリペプチドのアミノ酸配列中に、リンカーを付加させたい場合には、例えば固相合成の過程において、脂溶性保護基で保護したアミノ酸の代わりに、脂溶性保護基で保護したリンカーを使用することで、合成したポリペプチドの好ましい位置に、リンカーを挿入することができる。
次に、ハロアセチル化複合型糖鎖誘導体を上記で得た無保護のCysを含むペプチドと反応させることにより、糖鎖を無保護のCysのチオール基と反応させ、ペプチドに結合させる。上記反応は、リン酸緩衝液、トリス‐塩酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはこれらの混合溶液中において、通常0〜80℃、好ましくは、10〜60℃、更に好ましくは15〜35℃で行うのが良い。反応時間は、通常10分〜24時間、好ましくは、通常30分〜5時間程度である。反応終了後は、適宜、公知の方法(例えば、HPLC)で精製するのが良い。
ハロアセチル化複合型糖鎖誘導体は、例えば、複合型アスパラギン結合型糖鎖の1位の炭素に結合している水酸基を、−NH−(CH−(CO)−CHX(Xはハロゲン原子、aは整数であり、目的とするリンカー機能を阻害しない限り限定されるものではないが、好ましくは0〜4の整数を示す。)で置換した化合物である。
具体的には、ハロアセチル化複合型糖鎖誘導体とCys含有ペプチドとをリン酸緩衝液中、室温で反応させる。反応終了後、HPLCで精製することにより糖鎖付加Cysで置換した糖鎖付加ポリペプチドを得ることができる。
また、DMSO、DMF、メタノール、アセトニトリルといった有機溶媒と、上記の緩衝液との混合溶液中で反応を行うこともできる。このとき、有機溶媒の比率は、0〜99%(v/v)の範囲で、上記緩衝液に添加することができる。緩衝液への溶解性が低い無保護のCysを含むペプチドは、このような有機溶媒を添加することにより反応溶液への溶解性を向上させることができ、好ましい。
または、DMSO、DMF、メタノール、アセトニトリルといった有機溶媒や、それらの混合溶液中で反応を行うこともできる。その際、塩基の存在下で行うのが好ましい。塩基としては、例えばDIPEA、トリエチルアミン、ピリジン、2,4,6−コリジン等を挙げることができる。
また、グアニジン塩酸塩や尿素を緩衝溶液に加えた混合溶液中においても反応を行うことができる。なお、グアニジン塩酸塩や尿素は、最終濃度が1M〜8Mとなるように上記緩衝液に加えることができる。グアニジン塩酸塩や尿素の添加によっても、緩衝液への溶解性の低いペプチドの溶解性を向上させることができ、好ましい。
さらに、無保護のCysを含むペプチドが、ジスルフィド結合を介した2量体を形成することを防止するために、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)やジチオトレイトール(DTT)を緩衝液に添加して反応させることもできる。TCEPやDTTは、最終濃度が10μM〜10mMとなるように緩衝液に加えることができる。
また、糖鎖を目的のCysへ結合させた後、Acm等で保護されたCysの保護基を脱保護する。保護基がAcm基である場合は、水、メタノール、酢酸、またはこれらの混合溶液中において、ヨウ素、酢酸水銀(II)、硝酸銀(I)、または、酢酸銀(I)等を用いて反応させることにより脱保護することができる。
上記反応は、通常0〜80℃、好ましくは、5〜60℃、更に好ましくは10〜35℃で行うのが良い。反応時間は、好ましくは、通常5分〜24時間程度である。反応終了後は、DTTや塩酸等により処理した後、適宜、公知の方法(例えば、HPLC)で精製するのが良い。
このようにして、所望の位置を糖鎖付加Cysで置換した糖鎖付加ポリペプチドを得ることができる。また、このように精製された糖鎖付加ポリペプチドは、後述するように、脱保護されたCys同士でのジスルフィド結合を形成させる。
また、ジシアロ糖鎖やモノシアロ糖鎖等のシアル酸含有糖鎖をペプチド配列中に複数本有する糖鎖付加ポリペプチドを製造する際には、導入する糖鎖上のシアル酸のカルボキシ基が、ベンジル(Bn)基、アリル基、ジフェニルメチル基、フェナシル基等により保護されたシアル酸含有糖鎖を用いることができる。
シアル酸のカルボキシ基が保護された糖鎖を導入した際には、糖鎖付加ポリペプチドにおけるジスルフィド結合の形成工程の後、シアル酸保護基の脱保護の工程をすることができる。
このように、シアル酸のカルボキシ基をベンジル基等で保護することにより、製造工程におけるHPLC等による分離・精製工程が容易となる。また、シアル酸のカルボキシ基の保護は、酸に不安定なシアル酸の脱離を防ぐことも可能である。
糖鎖上のシアル酸のカルボキシ基の保護反応は、当業者に周知の方法により行うことができる。また、ジスルフィド結合を形成させた糖鎖付加ポリペプチドにおいて、シアル酸のカルボキシ基の保護基は、塩基性条件下で加水分解することによって脱保護できる。上記反応は、通常0〜50℃、好ましくは、0〜40℃、更に好ましくは0〜30℃で行うのが良い。反応時間は、好ましくは、通常5分〜5時間程度である。反応終了後は、リン酸や酢酸などの弱酸によって中和した後、適宜、公知の方法(例えば、HPLC)で精製するのが良い。
また、上記A法およびB法により作製された糖鎖付加ポリペプチドは、空気および/または酸素、ヨウ素、DMSO、酸化および還元されたグルタチオンの混合物、フェリシアン酸カリウム、エルマン試薬(5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸))、トリフルオロ酢酸タリウム(III)、ならびに、アルキルトリクロロシランスルホキシドなどを用いた当業者に周知の方法で、Cys同士のジスルフィド結合を形成することができる。
なお、Cys−Cys間でのジスルフィド結合を形成させる際に、ジスルフィド結合することが望ましくない糖鎖付加ポリペプチド中のCysに対しては、保護基により保護しておく。このような保護基としては、Acm、tBu、4−メトキシベンジル、4−メチルベンジル等、酸化条件で安定な保護基を用いることができる。
また、B法において、ジスルフィド結合の形成は、糖鎖の導入の前に行うことも可能である。ただし、ジスルフィド結合させたいCysに保護基が導入されている場合には、脱保護の工程がジスルフィド結合形成の工程よりも先となる。
(活性)
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、インターフェロンβ活性を有している。本明細書において、「インターフェロンβ活性」とは、免疫調整作用、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性等公知の活性のうち少なくとも1つの活性を有することを意味する。
例えば、糖鎖付加ポリペプチドのインターフェロンβ活性は、実施例11から14に記載の抗腫瘍活性測定試験などを用いて測定することができる。
抗腫瘍活性の測定試験は、例えば、腫瘍を有するマウスに、対象となる糖鎖付加ポリペプチドを皮下投与し、経時的な腫瘍体積の測定により調べることができる。
(医薬組成物)
本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物は、インターフェロンβに関連する疾患の治療または予防に有効である。インターフェロンβに関連する疾患には、例えば、脳腫瘍、皮膚悪性黒色腫、B型慢性活動性肝炎、C型慢性肝炎、亜急性硬化性全脳炎、C型代償性肝硬変、および、多発性硬化症等が含まれる。なお、上記の脳腫瘍には、膠芽腫、髄芽腫、および、星細胞腫等が含まれる。本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物は、上記疾患の治療または予防に有効である。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物の投与対象は、任意の生物個体を意味し、好ましくは動物、さらに好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体である。
上記医薬組成物は、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いて、通常の医薬組成物の形態に製剤したものである。
このような医薬組成物としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、注射剤等が挙げられる。
医薬組成物中に含有される本発明の糖鎖付加ポリペプチドの量は、特に限定されず広い範囲内から適宜選択することができるが、通常、医薬組成物中に本発明の糖鎖付加ポリペプチドを1〜90重量%含有させるのが好ましく、1〜70重量%含有させるのがより好ましい。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物は、さらに他の有効成分を含有することもできるし、他の有効成分を含有する医薬組成物と組み合わせて用いることもできる。また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物は、糖鎖付加ポリペプチドを薬学的に許容可能な塩として含むこともできるし、さらに異なる1以上の本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有することもできる。また、異なる1以上の本発明の糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含有する医薬組成物と組み合わせて用いることもできる。また、医薬組成物に含有させることのできるその他の成分としては、当業者に周知の薬学的に許容される担体等を挙げることができる。
本発明に係る医薬組成物の投与方法としては特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与される。錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合の投与方法としては、例えば、経口投与が挙げられる。また、注射剤の場合には、単独で、またはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して、静脈内、筋肉内、皮内、皮下または腹腔内に投与することができる。坐剤の場合には、直腸内に投与される。点眼剤の場合は、結膜嚢などの眼組織に適用する。吸入剤の場合には、気管支または肺に適用する。
上記医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、体重1kgに対して本発明の糖鎖付加ポリペプチドが0.001〜100nmol、好ましくは0.01〜10nmol、より好ましくは0.01〜1nmolとなる投与量とすることができる。
上記医薬組成物の投与回数は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、3回/1日、2回/1日、1回/1日、さらにはその血中安定性に応じて、より頻度の少ない投与回数(例えば、1回/週、1回/月など)も選択しうる。好ましくは、上記医薬組成物の投与回数は、1回以下/1日である。
本発明の糖鎖付加ポリペプチドに付加された糖鎖は、体内の代謝系で容易に分解される。また、本発明の一態様において、該糖鎖は生体内で糖ペプチド(または糖タンパク質)として結合して存在する構造を有する。従って、本発明の糖鎖付加ポリペプチドおよび当該糖鎖付加ポリペプチドを有効成分として含む医薬組成物は、生体内に投与しても副作用や抗原性を示すことがなく、アレルギー反応や、抗体産生により薬効が得られなくなる心配が少ないなどの利点を有する。
さらに、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは安定して簡便に大量に供給することが可能であり、品質の安定した、高品質の医薬品の提供という観点からも、非常に有用である。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられる場合があるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、しかしながら、本発明はいろいろな形態により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
本明細書中におけるポリペプチドフラグメントの表記方法について下記に説明する。
例えば、IFN 1−78(S1Thi−C30Acm)MESNAと示した場合においては、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1−78番目のアミノ酸配列と同等のペプチド配列を持ち、そのペプチド配列に対して、1番目のセリンがチアゾリジン構造を有するシステインへ置換され、30番目のシステインの側鎖がAcmによって保護され、C末端が2-メルカプトエタンスルホン酸(MESNA)によってアルキルチオエステル化されたペプチドフラグメントのことを示す。
また、IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−M35C−Q48C)MESNAと示した場合においては、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1−78番目のアミノ酸配列と同等のペプチド配列を持ち、そのペプチド配列に対して、1番目のセリンがチアゾリジン構造を有するシステインへ置換され、30番目のシステインの側鎖がAcmによって保護され、35番目のメチオニンがシステインへ置換され、48番目のグルタミンがシステインへ置換され、C末端が2-メルカプトエタンスルホン酸(MESNA)によってアルキルチオエステル化されたペプチドフラグメントのことを示す。
同様にして、IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethanと示した場合においては、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1−78番目のアミノ酸配列と同等のペプチド配列を持ち、そのペプチド配列に対して、1番目のセリンがチアゾリジン構造を有するシステインへ置換され、30番目のシステインの側鎖がAcmによって保護され、48番目のグルタミンがシステインへ置換され、C末端がエタンチオール(Ethanthiol)によってアルキルチオエステル化されたペプチドフラグメントのことを示す。
また、IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−R123C−C140Acm)と示した場合においては、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における79−165番目のアミノ酸配列と同等のペプチド配列を持ち、そのペプチド配列に対して、79番目のアスパラギンがシステインへ置換され、107番目のリジンがシステインに置換され、112番目のリジンがシステインへ置換され、123番目のアルギニンがシステインへ置換され、140番目のシステインがAcm基によって保護されたペプチドフラグメントのことを示す。
糖鎖修飾されたポリペプチドの表記方法について下記に説明する。
例えば、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)と示した場合には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1位のセリン、48位のグルタミン、79位のアスパラギン、107位のリジン、112位のアルギニン、123位のアルギニンの各アミノ酸がCysへ置換されて、下記式(1)に示されるα2−6ジシアロ糖鎖構造が、各置換におけるCysに結合していることを示す。

式(1)
また、2−3diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)と示した場合には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列におけるにおける1位のセリン、48位のグルタミン、79位のアスパラギン、107位のリジン、112位のアルギニン、123位のアルギニンの各アミノ酸がCysへ置換されて、下記式(2)に示されるα2−3ジシアロ糖鎖構造が、各置換におけるCysに結合していることを示す。

式(2)
また、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)と示した場合には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1位のセリン、48位のグルタミン、79位のアスパラギン、107位のリジン、112位のアルギニン、123位のアルギニンの各アミノ酸がCysへ置換されて、下記式(5)または下記式(6)に示されるα2−6モノシアロ糖鎖構造が、各置換におけるCysに結合していることを示す。

式(5)

式(6)
また、2−6triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)と示した場合には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列におけるにおける1位のセリン、48位のグルタミン、79位のアスパラギン、107位のリジン、112位のアルギニン、123位のアルギニンの各アミノ酸がCysへ置換されて、下記式(3)に示されるα2−6トリシアロシアロ糖鎖構造が、各置換におけるCysに結合していることを示す。

式(3)
また、2−6tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)と示した場合には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1位のセリン、48位のグルタミン、79位のアスパラギン、107位のリジン、112位のアルギニン、123位のアルギニンの各アミノ酸がCysへ置換されて、下記式(4)に示されるα2−6テトラシアロ糖鎖構造が、各置換におけるCysに結合していることを示す。

式(4)
糖鎖構造がCysに結合した構造について、α2−6ジシアロ糖鎖の場合を例として下記式(14)に示す。下記式中において、波線は、下記式の右端に記載されたシステインに対して、ペプチド結合により結合している隣接するアミノ酸の記載を省略したことを示す。

式(14)
なお、「diSialo」はジシアロ糖鎖を意味し、「monoSialo」はモノシアロ糖鎖を意味し、「triSialo」はトリシアロ糖鎖を意味し、「tetraSialo」はテトラシアロ糖鎖を意味する。
また、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79−K107C−R112C−R123C)と示した場合には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列における1位のセリン、48位のグルタミン、107位のリジン、112位のアルギニン、123位のアルギニンの各アミノ酸がCysへ置換されており、下記式(1)に示されるα2−6ジシアロ糖鎖構造が、上記の各置換におけるCys、および、79位のアスパラギンに結合していることを示す。

式(1)
また、以下の実施例において、4、5、6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されているIFN−βを、それぞれ、「4、5、6本糖鎖修飾IFN−β」と表わす場合がある。本発明における、「4箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されている糖鎖付加ポリペプチド」と「4本糖鎖修飾IFN−β」は同義であり、同様に、「5箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されている糖鎖付加ポリペプチド」と「5本糖鎖修飾IFN−β」は同義であり、同様に、「6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されている糖鎖付加ポリペプチド」と「6本糖鎖修飾IFN−β」は同義である。
(実施例1)チオエステルフラグメントの合成
(実施例1−1)IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びジクロロメタン(DCM)で十分に洗浄した。続いてFmoc−Trp(Boc)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに加えた後、4時間攪拌した。
樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護した。DMFで洗浄し、その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合した。
FmocもしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
得られた樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄した後、トリフルオロエタノールと酢酸の混合溶液(1:1)を加え、18時間室温で撹拌することで樹脂から保護ペプチドを分離した。保護ペプチドを含む反応溶液を減圧下で濃縮した後、減圧下で乾燥した。乾燥した保護ペプチドをDMF(3.0mL)に溶解した後、窒素雰囲気下、−15℃〜−20℃に冷却した。これに対しエタンチオール(5.0mmol)を加えた後、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(0.50mmol)、続いて、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.5mmol)を加えた。−15℃〜−20℃において2時間攪拌した後、酢酸(0.8mL)を加え、徐々に室温に戻した。室温に戻った後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をトリフルオロ酢酸:水:フェノール:チオアニソール:トリイソプロピルシラン(=95:2.5:2.5:2.5:5)を加え室温で撹拌した。2時間後、再度、この溶液を別途用意したジエチルエーテルに加え沈殿させた後、遠心分離を行い、溶液部分を除くことで目的とするペプチドチオエステル体を含む残渣を得た。この得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]で精製し、ESI-MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、目的とするIFN1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethanの質量と一致した(計算値=9445.8 Da、実測値=9445.5 Da)。
(実施例1−2)IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C−S75C)MESNA(配列番号4)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、3−Fmoc−4−diaminobenzoic acid(150μmol)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)(150μmol)及びジイソプロピルエチルアミン(300μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で2時間攪拌した。
攪拌後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護した後、DMFで樹脂を十分に洗浄した。その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて順次アミノ酸を縮合した。
FmocもしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
得られた樹脂をDMF、DCMによって洗浄した後、4−Nitrophenyl Chloroformate(0.25mmol)をDCMに溶解させ、固相合成カラムに添加した後、室温で30分攪拌した。攪拌後、樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄し、ジイソプロピルエチルアミン(2.5mmol)加え、室温で15分攪拌した。得られた樹脂をDMF、DCMによって洗浄した後、トリフルオロ酢酸:水:フェノール:チオアニソール:トリイソプロピルシラン(=95:2.5:2.5:2.5:5)を加え室温で撹拌した。5時間後、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを含むpH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mリン酸溶液、300mM 2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)で樹脂を十分に洗浄した。上記バッファーを樹脂に加え室温で12時間攪拌した。
攪拌後、得られた溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]で精製し、ESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、目的とするIFN1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C−N75C)MESNAの質量と一致した(計算値=9540.9 Da、実測値=9541.6 Da)。
(実施例1−3)その他のチオエステルフラグメントの合成
(実施例1−1)と同様にして、以下に示すチオエステルフラグメントの合成を行った。
IFN 1−78(S1Thi−N3C−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号5)
IFN 1-78(S1Thi−E28C−C30Acm−Q48C−R70C)Ethan(配列番号6)
(実施例1−2)と同様にして、以下のチオエステルフラグメントを合成した。
IFN 1−78(C30Acm)MESNA(配列番号7)
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm)MESNA(配列番号8)
IFN 1−78(F7C−C30Acm)MESNA(配列番号9)
IFN 1−78(N24C−C30Acm)MESNA(配列番号10)
IFN 1−78(G25C−C30Acm)MESNA(配列番号11)
IFN 1−78(E28C−C30Acm)MESNA(配列番号12)
IFN 1−78(C30Acm−K32C)MESNA(配列番号13)
IFN 1−78(C30Acm−M35C)MESNA(配列番号14)
IFN 1−78(C30Acm−D38C)MESNA(配列番号15)
IFN 1−78(C30Acm−E41C)MESNA(配列番号16)
IFN 1−78(C30Acm−Q48C)MESNA(配列番号17)
IFN 1−78(C30Acm−R70C)MESNA(配列番号18)
IFN 1−78(C30Acm−S75C)MESNA(配列番号19)
IFN 1−78(C30Acm−E41C−S75C)MESNA(配列番号20)
IFN 1−78(C30Acm−E42C−S75C)MESNA(配列番号21)
IFN 1−78(C30Acm−Q45C−S75C)MESNA(配列番号22)
IFN 1−78(C30Acm−L46C−S75C)MESNA(配列番号23)
IFN 1−78(C30Acm−Q47C−S75C)MESNA(配列番号24)
IFN 1−78(C30Acm−Q48C−S75C)MESNA(配列番号25)
IFN 1−78(C30Acm−F49C−S75C)MESNA(配列番号26)
IFN 1−78(C30Acm−Q50C−S75C)MESNA(配列番号27)
IFN 1−78(S1Thi−Y29C−C30Acm−Q48C)MESNA(配列番号28)
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−M35C−Q48C)MESNA(配列番号29)
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−E41C−Q48C)MESNA(配列番号30)
(実施例1−1)、(実施例1−2)、(実施例1−3)で得られた化合物の質量分析結果を下記(表1)に示す。
(実施例2)ペプチドフラグメントの合成
(実施例2−1)IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−R123C−C140Acm)(配列番号31)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びDCMで十分に洗浄した。続いてFmoc−Asn(Trt)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに入れた後、4時間攪拌した。
攪拌後、樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護した。DMFで洗浄後、その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合した。
FmocもしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
得られた樹脂をトリフルオロ酢酸:水:フェノール:チオアニソール:トリイソプロピルシラン(=95:2.5:2.5:2.5:5)を加え室温で撹拌した。3時間後、再度、この溶液を別途用意したジエチルエーテルに加え沈殿させた後、遠心分離を行い、溶液部分を除くことで目的とするペプチドを含む残渣が得られた。この得られた残渣を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]で精製し、ESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−R123C−C140Acm)の質量と一致した(計算値=10499.1 Da、実測値=10498.1 Da)。
(実施例2−2)その他ペプチドフラグメントの合成
(実施例2−1)と同様にして、以下に示すペプチドフラグメントを合成した。
IFN 79−165(N79C−C140Acm)(配列番号32)
IFN 79−165(N79C−K107C−C140Acm)(配列番号33)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−C140Acm)(配列番号34)
IFN 79−165(N79C−K107C−E136C−C140Acm)(配列番号35)
IFN 79−165(N79C−T99C−K107C−R112C−C140Acm)(配列番号36)
IFN 79−165(N79C−E103C−K107C−E136C−C140Acm)(配列番号37)
IFN 79−165(N79C−E106C−K107C−E136C−C140Acm)(配列番号38)
IFN 79−165(N79C−K107C−D109C−E136C−C140Acm)(配列番号39)
IFN 79−165(N79C−K107C−L115C−E136C−C140Acm)(配列番号40)
IFN 79−165(N79C−K107C−L119C−E136C−C140Acm)(配列番号41)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−H130C−C140Acm)(配列番号42)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−E136C−C140Acm)(配列番号43)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−H139C−C140Acm)(配列番号44)
IFN 79−165(N79C−K107C−R112C−C140Acm−R164C)(配列番号45)
(実施例2−1)、(実施例2−2)で得られた化合物の質量分析結果を下記(表2)に示す。
(実施例3)ジシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例3−1)2-6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-R123C-C140Acm)(配列番号31)を、4−メルカプトフェニル酢酸を含むpH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mリン酸溶液、125mM4−メルカプトフェニル酢酸)に溶解させ、室温で静置した。24時間後、反応溶液に対してジチオトレイトール溶液(2Mジチオトレイトール)を加え、室温で3時間静置した。反応終了後、メトキシアミン溶液(1Mメトキシアミン塩酸塩)と塩酸溶液(1M塩酸、8Mグアニジン塩酸塩)を溶液に加え、pHを4.0へ調整した後、室温で24時間静置した。反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって脱塩し、凍結乾燥した。
得られた粗精製物をpH8.5のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)に溶解させ、下記式(7)で表わされるブロモアセチル化されたジシアロ糖鎖(5等量)を加えて1時間静置した。

式(7)
反応終了後、メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム溶液(200mMメルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)を加え、室温で30分静置した。反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって脱塩し、凍結乾燥した。
上記工程によって得られた粗精製物を、酢酸銀溶液(60mM酢酸銀、7.5M尿素、875mM酢酸)に溶解し室温で4時間静置した。反応後ジチオトレイトール溶液(2Mジチオトレイトール)を加えた。反応物に対して、pH8.5のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸塩、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)を加え、HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって脱塩し、凍結乾燥した。
得られた凍結乾燥物を、pH8.5のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)に溶解させ室温で30分静置した。溶液を冷却条件(4℃)において希薄されたグアニジン塩酸塩溶液(4.5Mグアニジン塩酸塩、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)へ置換した。置換された溶液に対して、硫酸銅溶液(300mM硫酸銅II五水和物)を加え、冷却条件(4℃)で4時間静置した。反応後、エチレンジアミン四酢酸(400mMエチレンジアミン四酢酸)を加え、冷却条件(4℃)で1時間静置した。反応後の溶液を酢酸溶液(10mM酢酸溶液)へ冷却条件(4℃)で終夜置換することによって変性剤を除去した。フォールディング後の溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、質量分析(ESIイオン化法)を行った結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の質量と一致した(計算値=33304.8 Da、実測値=33303.6 Da)。
(実施例3−2)2−6diSialo(Q48C−S75C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号47)の合成
IFN 1−78(C30Acm−Q48C−S75C)MESNA(配列番号25)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C−E136C-C140Acm)(配列番号43を、4−メルカプトフェニル酢酸を含むpH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mリン酸溶液、125mM4−メルカプトフェニル酢酸)に溶解させ、室温で静置した。24時間後、反応溶液に対してジチオトレイトール溶液(2Mジチオトレイトール)を加え、室温で3時間静置した。反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって脱塩し、凍結乾燥した。
得られた粗精製物を用い、(実施例3−1)と同様にして、質量分析(ESIイオン化法)を行った。その結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6diSialo(Q48C−S75C−N79C−K107C−R112C−E136C)の質量と一致した(計算値=33331.8 Da、実測値=33331.2 Da)。
(実施例3−3)2−3diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号48)の合成
IFN 1−78(S1Thi−N3C−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号5)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-C140Acm)(配列番号34)について、下記式(8)で表わされるブロモアセチル化されたジシアロ糖鎖に変更した以外は(実施例3−1)と同様にして、ジシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行なった結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−3diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)の質量と一致した(計算値=33346.9 Da、実測値=33346.6 Da)。

式(8)
(実施例3−4)その他ジシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例3−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号49)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−T99C−K107C−R112C)(配列番号50)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−H130C)(配列番号51)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号52)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−H139C)(配列番号53)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R164C)(配列番号54)
2−6 diSialo(S1C−Y29C−Q48C−N79C−K107C−E136C)(配列番号55)
2−6 diSialo(S1C−M35C−Q48C−N79C−K107C−E136C)(配列番号56)
2−6 diSialo(S1C−E41C−Q48C−N79C−K107C−E136C)(配列番号57)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号58)
2−6 diSialo(S1C−E28C−Q48C−R70C−N79C)(配列番号59)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号60)
2−6 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)
2−6 diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C)(配列番号62)
2−6 diSialo(S1C−N79C−K107C−E136C)(配列番号63)
(実施例3−2)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−E103C−K107C−E136C)(配列番号64)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−E106C−K107C−E136C)(配列番号65)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−D109C−E136C)(配列番号66)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号67)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−L115C−E136C)(配列番号68)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−L119C−E136C)(配列番号69)
2−6 diSialo(N24C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号70)
2−6 diSialo(G25C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号71)
2−6 diSialo(K32C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号72)
2−6 diSialo(M35C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号73)
2−6 diSialo(D38C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号74)
2−6 diSialo(E41C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号75)
2−6 diSialo(F7C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号76)
2−6 diSialo(Q48C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号77)
2−6 diSialo(S75C−N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号78)
2−6 diSialo(E41C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号79)
2−6 diSialo(E42C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号80)
2−6 diSialo(Q45C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号81)
2−6 diSialo(L46C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号82)
2−6 diSialo(Q47C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号83)
2−6 diSialo(Q48C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号84)
2−6 diSialo(F49C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号85)
2−6 diSialo(Q50C−S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号86)
2−6 diSialo(N79C−K107C−R112C−E136C)(配列番号87)
2−6 diSialo(E28C−N79C−K107C−E136C)(配列番号88)
2−6 diSialo(M35C−N79C−K107C−E136C)(配列番号89)
2−6 diSialo(R70C−N79C−K107C−E136C)(配列番号90)
2−6 diSialo(S75C−N79C−K107C−E136C)(配列番号91)
(実施例3−3)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−3 diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号92)
(実施例3−5)2−6diSialo(S1C−R26C−Q48C−A67C−N79−A88C)(配列番号100)の合成
(実施例3−5−A)IFN 1−25(S1Thi)thiophenyl(配列番号101)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びジクロロメタン(DCM)で十分に洗浄した。続いてFmoc−Trp(Boc)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに加えた後、4時間攪拌した。
樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護した。DMFで洗浄し、その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合した。
Fmoc基もしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
得られた樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄した後、トリフルオロエタノールと酢酸の混合溶液(1:1)を加え、18時間室温で撹拌することで樹脂から保護ペプチドを分離した。保護ペプチドを含む反応溶液を減圧下で濃縮した後、減圧下で乾燥した。乾燥した保護ペプチドをDMF(2.1mL)に溶解した後、窒素雰囲気下、−15℃〜−20℃に冷却した。これに対しチオール源としてチオフェノール(0.2mmol)を加えた後、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(1.4mmol)、続いて、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.2mmol)を加えた。−15℃〜−20℃において2時間攪拌した後、トリフルオロ酢酸(0.2mL)を加え、徐々に室温に戻した。室温に戻った後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をトリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシラン(=92.5:2.5:5)を加え室温で撹拌した。2時間後、再度、この溶液を別途用意したジエチルエーテルに加え沈殿させた後、遠心分離を行い、溶液部分を除くことで目的とするペプチドチオエステル体を含む残渣を得た。この得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]で精製し、ESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、目的とするIFN1−25(S1Thi)thiophenyl(配列番号101)の質量と一致した(計算値=3062.6 Da、実測値=3062.5 Da)。
(実施例3−5−B)IFN 26−47(R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号102)の合成
(実施例3−5−A)の操作と同様にして、ペプチドフラグメントを合成した。なお、IFN 26−47(R26C−C30Acm)Ethanthiolにおいてチオール源としてEthanthiolを使用した。
合成した化合物はESI−MSによって質量を分析した結果、目的とするIFN 26−47(R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号102)の質量と一致した(計算値=2844.4 Da、実測値=2844.5 Da)。
(実施例3−5−C)IFN 48−66(Q48Thi)MESNA(配列番号103)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、3−Fmoc−4−diaminobenzoic acid(150μmol)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)(150μmol)及びジイソプロピルエチルアミン(300μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で1時間攪拌した。
攪拌後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護した後、DMFで樹脂を十分に洗浄した。その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて順次アミノ酸を縮合した。
Fmoc基もしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
得られた樹脂をDMF、DCMによって洗浄した後、4−Nitrophenyl Chloroformate(1.4mmol)をDCMに溶解させ、固相合成カラムに添加した後、室温で40分攪拌した。攪拌後、樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄し、DMF溶液に溶解させたジイソプロピルエチルアミン(5.0mmol)を加え、室温で15分攪拌した。得られた樹脂をDMF、DCMによって洗浄した後、トリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシラン(=92.5:2.5:5)を加え室温で撹拌した。2時間後、DMF、DCMによって樹脂を十分に洗浄した後、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを含むpH8.5のバッファー溶液(6Mグアニジン塩酸液、0.2Mリン酸溶液、1M 2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)で樹脂を十分に洗浄した。上記バッファーを樹脂に加え室温で2時間攪拌した。攪拌後、得られた溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]で精製し、ESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、目的とするIFN 48−66(Q48Thi)MESNA(配列番号103)の質量と一致した(計算値=2413.8 Da、実測値=2413.9 Da)。
(実施例3−5−D)ジシアロ糖鎖付加IFN 67−87(A67Thi,N79)thiophenyl(配列番号104)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、3−Fmoc−4−diaminobenzoic acid(150μmol)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)(150μmol)及びジイソプロピルエチルアミン(300μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で1時間攪拌した。
攪拌後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護した後、DMFで樹脂を十分に洗浄した。その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて順次アミノ酸を縮合した。
Fmoc基もしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
得られた8残基ペプチドに対して、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護し、DMFで洗浄後、別途用意した遠沈管にジベンジルジシアロ糖鎖アスパラギン(0.2mmol)とDEPBT(0.2mmol)をDMF/DMSO(1:1混合溶液、2.2ml)に溶解させ、固相合成用カラムに入れ、DIPEA(0.15mmoL)を加えて室温にて18時間攪拌した。DMFとDCMとで洗浄すると、固相上に下記式(18)で表されるジベンジルジシアロ糖鎖アスパラギンが結合した9残基糖鎖ペプチドが得られた。

式(18)
その後の糖ペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ酸を保護したアミノ酸とHOBt(0.50mmol)、DIPCI(0.475mmol)をDMF(6.3ml)に溶解させ、15分間活性化させた後、固相合成用カラムに入れた。室温で1時間撹拌した後、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて20分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、アミノ酸を順次縮合させた。
得られた樹脂をDCM及びDMFを用いて洗浄した後、トリフルオロエタノールと酢酸の混合溶液(1:1)を十分に樹脂が浸る程度加え、18時間室温で撹拌することで、樹脂と糖鎖付加ペプチドフラグメントとを切り離した。切り離した樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を濃縮し、アミノ酸側鎖が保護された糖鎖ペプチドを得た。
得られた糖鎖付加ペプチドフラグメント(50mmol)をナスフラスコに移し、DMFに溶解させた後、窒素雰囲気下、−15℃〜−20℃に冷却した。このものにチオフェノール(0.15mmol)を加えた後、PyBOP(2.5mmol)、続いて、DIPEA(0.15mmol)を加えた。−15℃〜−20℃において2時間攪拌した後、トリフルオロ酢酸を加え、徐々に室温に戻した。室温に戻った後、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をトリフルオロ酢酸:水:TIPS(=95:2.5:2.5)を加え室温で撹拌した。2時間後、再度、この溶液を別途用意したジエチルエーテルに加え沈殿させた後、遠心分離を行い、溶液部分を除くことで目的とするペプチドチオエステル体を含む残渣が得られた。この得られた残渣をHPLC[カラム:SHISEIDO proteonavi]で精製し、ESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、目的とするジシアロ糖鎖付加IFN67−87(A67Thi,N79)thiophenyl(配列番号104)の質量と一致した(計算値=4903.1 Da、実測値=4903.1 Da)。
(実施例3−5−E)IFN 88−165(C140Acm)(配列番号105)の合成
固相合成用カラム上にAmino−PEGAレジン(メルク社製)(50μmol)を加え、4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(125μmol)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)(125μmol)及びN−エチルモルホリン(125μmol)をDMF(1.25ml)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。樹脂をDMF及びDCMで十分に洗浄した。続いてFmoc−Asn(Trt)−OH(0.25mmol)、1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)(0.25mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.187mmol)をDCM(1.25ml)に溶解させて固相合成用カラムに入れた後、4時間攪拌した。
攪拌後、樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて15分間処理し脱保護した。DMFで洗浄後、その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合した。
Fmoc基もしくはBoc基で保護されたアミノ酸をDMFに溶解し、その溶液を固相合成カラムに加えた(0.25mmol)。0.2M 1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム 3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)/DMF(0.25mmol)を固相合成カラムに加え、0.8M N−メチルモルホリン/DMF(0.50mmol)もしくは、0.8M 2,6,4−トリメチルピリジン/DMF(0.50mmol)を固相合成用カラムに添加した。室温で15分間もしくは30分間攪拌した後、樹脂をDMFによって洗浄し、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF溶液(2ml)を用いて10分間処理し脱保護した。この操作を繰り返し、Fmoc固相合成法によってアミノ酸を順次縮合した。
得られた樹脂をトリフルオロ酢酸:水:フェノール:チオアニソール:トリイソプロピルシラン(=95:2.5:2.5:2.5:5)を加え室温で撹拌した。3時間後、再度、この溶液を別途用意したジエチルエーテルに加え沈殿させた後、遠心分離を行い、溶液部分を除くことで目的とするペプチドを含む残渣が得られた。この得られた残渣を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]で精製し、ESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、IFN 88−165(C140Acm)(配列番号105)の質量と一致した(計算値=9647.3 Da、実測値=9647.2 Da)。
(実施例3−5−F)各フラグメントの結合
(工程1.Kinetic Ligation工程)
IFN 1−25(S1Thi)thiophenyl(配列番号101)とIFN 26−47(R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号102)を、pH6.8のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.2Mリン酸溶液、20mMTCEP)に溶解させ、室温で3時間反応させた。反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥した。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、IFN1−47(S1Thi−R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号106)の質量と一致した(計算値=5796.8 Da、実測値=5796.7 Da)。
(工程2.Native Chemical Ligation工程A)
ジシアロ糖鎖付加IFN 67−87(A67Thi,N79)thiophenyl(配列番号104)とIFN 88−165(C140Acm)(配列番号105)を、pH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.2Mリン酸溶液、20mMTCEP)に溶解させ、チオフェノール(3%V/V)加え、室温で反応させた。23時間後、メトキシアミン溶液(6Mグアニジン塩酸塩、0.2Mメトキシアミン塩酸塩、20mMTCEP)を反応溶液に加え、pHを4.0へ調整した後、室温で4時間反応させた。反応溶液に対して50mMNaOH水溶液を加え、反応溶液を塩基性にしたのち、氷上で0.5時間反応させた。反応終了後、反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、ジシアロ糖鎖付加IFN 67−165(A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号107)の質量と一致した(計算値=14247.9 Da、実測値=14247.2 Da)。
(工程3.Native Chemical Ligation工程B)
工程2で得られたジシアロ糖鎖付加IFN 67−165(A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号107)とIFN 48−66(Q48Thi)MESNA(配列番号103)を、pH7.2のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.2Mリン酸溶液、20mMTCEP、30mMMPAA)に溶解させ、室温で反応させた。18時間後、メトキシアミン溶液(6Mグアニジン塩酸塩、0.2Mメトキシアミン塩酸塩、20mMTCEP)を反応溶液に加え、pHを4.0へ調整した後、室温で反応させた。5時間後、反応溶液に対して2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを加え、室温で1時間反応させた。反応終了後、反応終了後の溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、ジシアロ糖鎖付加IFN 48−165(Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号108)の質量と一致した(計算値=16507.6 Da、実測値=16507.9 Da)。
(工程4.Native Chemical Ligation工程C)
工程1で得られたIFN1−47(S1Thi−R26C−C30Acm)Ethanthiol(配列番号106)と、工程3で得られたジシアロ糖鎖付加IFN 48−165(Q48C,A67C,N79、A88C,C140Acm)(配列番号108)を、工程3と同様にして、反応させた。反応で得られた化合物はESI−MSによって質量を分析した結果、目的とするジシアロ糖鎖付加IFN 1−165(S1C−R26C−C30Acm−Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号109)の質量と一致した(計算値=22230.2 Da、実測値=22230.3 Da)。
(工程5.糖鎖付加工程)
工程4で得られたジシアロ糖鎖付加IFN 1−165(S1C−R26C−C30Acm−Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号109)をpH8.5のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mトリス溶液)に溶解させ、下記式(19)で表わされるブロモアセチル化されたジシアロ糖鎖(25等量)を加えて、室温で2時間反応させた。

式(19)
反応終了後、反応溶液を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、1、26、48、67、88位にシステインの側鎖硫黄原子を介して付加されたジシアロ糖鎖を有し、79位にアスパラギンの側鎖を介して付加された糖鎖を有する2−6diSialo(S1C−R26C−C30Acm−Q48C−A67C−N79−A88C−C140Acm)(配列番号110)の質量と一致した(計算値=33545.4 Da、実測値=33545.5 Da)。
(工程6.Acm基の脱保護)
上記工程5によって得られた凍結乾燥物を、酢酸銀溶液(100mM酢酸銀、90%酢酸水溶液)に溶解し室温で反応させた。4時間後、HPLCとESI−MSを用いて、目的物が生成していることを確認した。反応溶液にジチオスレイトールを加え、室温で15分間撹拌したのち、遠心分離を行い、沈殿物を除く上澄み液を回収した。その回収した上澄み液をメンブレンフィルターで濾過し、目的物を含む濾液部分を逆相HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、凍結乾燥品を得た。この得られた凍結乾燥品をESI−MSによって質量を分析した結果、得られた化合物の質量は、1、26、48、67、88位にシステインの側鎖硫黄原子を介して付加されたジシアロ糖鎖を有し、79位にアスパラギンの側鎖を介して付加された糖鎖を有する2−6diSialo(S1C−R26C−Q48C−A67C−N79−A88C)(配列番号111)の質量と一致した(計算値=33403.3 Da、実測値=33403.2 Da)。
(工程7.フォールディング工程)
上記工程6によって得られた凍結乾燥物を、pH8.5のバッファー溶液(8Mグアニジン塩酸液、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)に溶解させ室温で30分静置した。溶液を冷却条件(4℃)において希薄されたグアニジン塩酸塩溶液(4.5Mグアニジン塩酸塩、0.1Mトリスヒドロキシメチルアミノメタン)へ置換した。置換された溶液に対して、硫酸銅溶液(300mM硫酸銅II五水和物)を加え、冷却条件(4℃)で3時間静置した。反応後、エチレンジアミン四酢酸(400mMエチレンジアミン四酢酸)を加え、冷却条件(4℃)で0.5時間静置した。反応後の溶液を酢酸溶液(10mM酢酸溶液)へ冷却条件(4℃)で終夜置換することによって変性剤を除去した。フォールディング後の溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi]によって精製し、質量分析(ESIイオン化法)を行った結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6diSialo(S1C−R26C−Q48C−A67C−N79−A88C)(配列番号100)の質量と一致した(計算値=33401.2 Da、実測値=33401.2 Da)。
(実施例4)モノシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例4−1)2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号93)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C−R123C−C140Acm)(配列番号31)について、下記式(9)および下記式(10)で表わされるブロモアセチル化されたモノシアロ糖鎖混合物(化合物比率1:1)(5等量)に変更した以外は(実施例3−1)と同様の方法により、モノシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行なった結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の質量と一致した(計算値=31557.2 Da、実測値=31556.6 Da)を得た。(実施例3−1)および(実施例4−1)における質量分析の結果を図1に示す。

式(9)

式(10)
(実施例3−1)および(実施例4−1)で得られた化合物を、SDS−PAGE、逆相HPLC[カラム:Waters BEH300]によって分析をした。SDS−PAGEの結果を図2に示す。
SDS−PAGEの結果を見ると、クリアなバンドが検出されていることから、いずれの化合物においても、均一に糖鎖が付加されていることが示唆された。同様に、逆相HPLCによる分析においても、均一に糖鎖が付加されていることを示唆するデータが得られた(Data not shown)。
また、(実施例3−1)および(実施例4−1)で得られた化合物を、pH6.0のリン酸バッファー(0.1Mリン酸)溶液において、Endo−β−N−acetylglucosaminidase(Endo−M)(東京化成工業株式会社)を添加することによって糖鎖部分の切り出しを行った。得られた遊離糖鎖の還元末端を2−Aminobenzoic acid(シグマアルドリッチ)によってラベル化した後、順相HPLC[カラム:Shodex NH2P−50]によって分析を行った結果を図3に示す。糖鎖構造分析の結果、目的とするジシアロ糖鎖と同様のレテンションタイムにおいてピークが確認され、目的の糖鎖が付加していることを確認した。
(実施例4−2)その他モノシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例4−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 monoSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号94)
2−6 monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号95)
(実施例5)トリシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例5−1)2−6 triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号96)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-R123C-C140Acm)(配列番号31)について、下記式(11)で表わされるブロモアセチル化されたトリシアロ糖鎖(5等量)を加えた以外は(実施例3−1)と同様の方法により、トリシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行なった結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6 triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の質量と一致した(計算値=37244.3 Da、実測値=37243.2 Da)。

式(11)
(実施例5−2)その他トリシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例5−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号97)
(実施例6)テトラシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例6−1)2−6 tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号98)の合成
IFN 1−78(S1Thi−C30Acm−Q48C)Ethan(配列番号3)とIFN 79−165(N79C−K107C−R112C-R123C-C140Acm)(配列番号31)について、下記式(12)で表わされるブロモアセチル化されたテトラシアロ糖鎖(5等量)に変更した以外は(実施例3−1)と同様の方法により、テトラシアロ糖鎖修飾IFN−βを合成した。質量分析(ESIイオン化法)を行った結果、得られた化合物の質量は、目的とする2−6 tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)の質量と一致した(計算値=41183.8 Da、実測値=41182.6 Da)。

式(12)
(実施例6−2)その他テトラシアロ糖鎖修飾IFN−βの合成
(実施例6−1)と同様の手法を用い、以下に示す化合物の合成を行った。
2−6 tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号99)
実施例3−1、実施例3−2、実施例3−3、実施例3−4、実施例4−1、実施例4−2、実施例5−1、実施例5−2、実施例6−1、実施例6−2で得られた化合物の質量分析結果を下記(表3)示す。
(実施例7)diSialo糖鎖による4、5、6本修飾IFN−βのマウスでの薬物動態
(実施例7−1)投与薬、試薬の調製
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号60)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、および、Avonex(バイオジェンアイデック)は、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で588nMに調製した。Avonexは、天然型のIFN−β(IFN−β−1a)であり、対照薬として用いた。なお、Avonexは、CHO細胞系を用いて製造されたものであり、天然のヒトインターフェロンβの80位の位置(本発明における、配列番号1で表されるアミノ酸配列における79位の位置に相当)に1本の糖鎖を有し、その糖鎖構造は、各ポリペプチド毎にN結合型糖鎖の複合型の種々の糖鎖でありうる。
(実施例7−2)投与および採血
マウス(Balb/cマウス、雄性、8週令、体重21−23g)に対し、2352pmol/kgの用量で、飽食下で、背部皮下から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kgで投与した。皮下投与前、および投与後10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、および、30時間に尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取した血液と同体積の6mMEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
(実施例7−3)血中濃度測定
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖4−6本修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図4に示す。
図4に示されるように、血漿中でのIFN−β濃度を比較すると、いずれの測定ポイントにおいても、disialo糖鎖4,5,6本修飾IFN−βは、対照薬であるAvonexよりもはるかに高い血漿中濃度を維持しており、血中滞留性の改善が認められた。そして、diSialo糖鎖修飾本数が増えるほどTmaxが遅くなっていることから、化合物の皮下から血中への移行が遅延したと考えられた。Cmaxや消失相における血中濃度は、diSialo糖鎖修飾本数が増えるほど高くなっていた。このことから、diSialo糖鎖を付加することにより、diSialo糖鎖の本数依存的に生体中でのIFN−βの安定性が向上することが示された。
(実施例7−4)薬物速度論的パラメータの算出
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血中濃度曲線下面積(AUC∞)を台形法により算出した。また、血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)、および皮下投与時の実測値より最大血中濃度(Cmax)、最大血中濃度到達時間(Tmax)を求めた。得られた薬物速度論的パラメータを図5に示す。
図5に示されるように、モーメント解析の結果からも、diSialo糖鎖修飾IFN−βは、修飾本数依存的にt1/2、AUC、MRTを改善する効果が大きくなることが示された。
(実施例8)diSialo糖鎖およびmonoSialo糖鎖の4本糖鎖修飾IFN−βのマウスでの薬物動態
(実施例8−1)投与薬、試薬の調製
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号95)、および、Avonexは、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で112nMに調製した。
(実施例8−2)投与および採血
マウス(Balb/cマウス、雄性、8週令、体重21−23g)に対し、448pmol/kgの用量で、飽食下で、尾静脈もしくは背部皮下から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kg投与した。静脈内投与時は投与前、および投与後2分、10分、30分、1時間、3時間、6時間、8時間、24時間に、皮下投与時は、投与前、および投与後10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、30時間に尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取血液と同体積のEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
(実施例8−3)血中濃度測定
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖の4本糖鎖修飾IFN−β、monoSialo糖鎖の4本糖鎖修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図6に示す。
図6に示されるように、血漿中でのIFN−β濃度を比較すると、いずれの測定ポイントにおいても、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)は、対照薬であるAvonexよりも、t1/2、AUC∞、MRTともに大幅に向上していることが確認された。これに対し、皮下投与、尾静脈投与いずれにおいてもシアリル化が不完全な2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)は、対照薬であるAvonexよりも大幅に低い血中濃度推移を示した。この結果から、糖鎖の末端が全てシアリル化されていることが、IFN−βの血中滞留性などの向上に大きく寄与することが示された。
(実施例8−4)薬物速度論的パラメータの算出
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血漿中濃度曲線下面積(AUC)を台形法により算出した。また、外挿法により静脈内投与時の予測初期濃度(C0)、さらに血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)、および皮下投与時の実測値より最大血中濃度(Cmax)、最大血中濃度到達時間(Tmax)を求めた。結果を図7に示す。
図7に示されるように、モーメント解析の結果からも、diSialo糖鎖4本修飾IFN−βは、対照薬であるAvonexよりもt1/2、AUC∞、MRTについて改善効果が確認された。一方で、monoSialo糖鎖4本修飾IFN−βは対照薬であるAvonexよりもt1/2、AUC∞、MRTのいずれも低値を示し、血中からより早く消失することが確認された。
(実施例9)diSialo糖鎖およびmonoSialo糖鎖の6本糖鎖修飾IFN−βのマウスでの薬物動態
(実施例9−1)投与薬、試薬の調製
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号93)、および、Avonexは、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で588nMに調製した。
(実施例9−2)投与および採血
マウス(Balb/cマウス、雄性、体重21−23g)に対し、2352pmol/kgの用量で、飽食下で、尾静脈から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kg投与した。静脈内投与前、および投与後2分、10分、30分、1時間、3時間、6時間、8時間、24時間に、尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取血液と同体積のEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
(実施例9−3)血中濃度測定
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖の6本糖鎖修飾IFN−β、monoSialo糖鎖の6本糖鎖修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図8に示す。
6本修飾IFN−βにおいても、上述した4本修飾IFN−βと同様の結果が得られた。すなわち、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)は、対照薬であるAvonexよりも、t1/2、AUC∞、MRTともに大幅に向上していることが確認された。一方で、尾静脈投与において2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)は、対照薬であるAvonexよりも大幅に低い血中濃度推移を示した。このことから、6本糖鎖修飾IFN−βにおいても、4本糖鎖修飾IFN−βと同様に、糖鎖の末端が全てシアリル化されていることが、IFN−βの血中滞留性などの向上にとって、非常に重要であることが確認できた。
(実施例9−4)薬物速度論的パラメータの算出
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血漿中濃度曲線下面積(AUC)を台形法により算出した。また、外挿法により静脈内投与時の予測初期濃度(C0)、さらに血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)を求めた。結果を図9に示す。
図9に示されるように、モーメント解析の結果からも、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)は、対照薬であるAvonexよりもt1/2、AUC∞、MRTともに大幅に向上していることが示された。一方、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)は、対照薬であるAvonexよりもt1/2、AUC∞、MRTのいずれも低い値を示し、血中からより早く消失することが示された。
(実施例10)diSialo糖鎖6本修飾IFN−βとPEG20K修飾IFN−βのマウスでの薬物動態
(実施例10−1)投与薬、試薬の調製
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、PEG20K修飾IFN−βおよびAvonexは、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液で558nMに調製した。
(実施例10−2)投与および採血
マウス(Balb/cマウス、雄性、8週令、体重21−23g)に対し、2352pmol/kgの用量で、飽食下で、背部皮下から、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて容量4mL/kg投与した。皮下投与前、および投与後10分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、16時間、24時間、および、30時間に尾静脈からヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(HIRSHMANN LABORGERATE)を用いて75μL採血した。採取血液と同体積のEDTA−PBSと速やかに混和し、遠心分離(15000rpm、4度、10分)した。上清を90μL採取し、血漿サンプルとした。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
(実施例10−3)血中濃度測定
IFN−βの血中濃度の測定は、ヒトインターフェロンβELISAキット(鎌倉テクノサイエンス)を用いた。検量線を作成するためのスタンダードとして、投与に用いたものと同一ロットのdiSialo糖鎖6本修飾IFN−β、PEG20K修飾IFN−β、Avonexを用い、200pM、100pM、50pM、25pM、12.5pM、6.25pM、および、3.125pMになるようにキット付属希釈液で調製した。検量線には、血漿サンプルの希釈率に応じ、同じ持ち込み量となるようにブランク血漿を添加した。得られたIFN−βの血漿中濃度推移をグラフ化したものを図10に示す。
(実施例10−4)薬物速度論的パラメータの算出
得られたIFN−βの血漿中濃度推移からモーメント解析を用い、血中濃度曲線下面積(AUC)を台形法により算出した。また、外挿法により静脈内投与時の予測初期濃度(C0)、さらに血中半減期(t1/2)、平均滞留時間(MRT)を求めた。結果を図11に示す。
図10及び図11に示されるように、血漿中濃度推移及びモーメント解析の結果から、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βおよびPEG20K修飾IFN−βは、いずれも、Avonexよりもt1/2、AUC∞、MRTともに大幅に向上させた。また、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βは、AUC∞およびCmaxについて、PEG20K修飾IFN−βを上回ることが分かった。
t1/2およびMRTについては、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βとPEG20K修飾IFN−βとの間の比較において、同程度の結果であった。
これらの結果から、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βは、PEG20Kと同程度またはそれ以上に、Avonexの生体中における安定性を向上させることが示された。
(実施例11)diSialo糖鎖4、5、6本修飾IFN−βのin vivoにおける抗腫瘍活性
diSialo糖鎖4、5、6本修飾IFN−βのin vivoにおける抗腫瘍活性を、担がんマウスを用いて評価した。
(実施例11−1)細胞培養
抗腫瘍活性試験には、ヒトバーキットリンパ腫であるDaudi細胞を接種することにより作製された担がんマウスを用いた。培地はRPMI1640(Invitrogen)に、56℃で30分間非働化処理したFetal Bovine Serum(GIBCO)を10%、ペニシリン・ストレプトマイシン(SIGMA)を加えたものを用いた。培養プレートは、Non−treat dish(IWAKI)を用い、37℃、CO濃度5%条件下で培養し、2−3日に1度継代を行った。
(実施例11−2)担がんマウスの作成法
培養したDaudi細胞をチューブに回収し、遠心分離(1300rpm、4度、3分)した。上清をアスピレーターで除き、HBSS(ナカライ)を加え、細胞を懸濁した。次に再度遠心分離を行い、上清を除いた。この細胞洗浄処理を計3回行った。そして、血球計算板を用いて細胞数を計算し、2×10cells/mLになるようにHBSSを用いて細胞懸濁液を作成した。Daudi細胞接種直前に、細胞懸濁液と同体積のマトリゲル(BD)を加えて2倍希釈し、接種用細胞懸濁液を作製した。接種用細胞懸濁液は接種直前まで、氷上に保存した。麻酔薬として、ソムノペンチル(共立製薬)をPBSで5mg/mLに希釈して用いた。SCIDマウス(C.B−17/Icr−scid/scidJclマウス、雄性、6週令)(日本クレア)に、インスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2(テルモ社)を用いて、麻酔薬を300μL腹腔内投与した。麻酔が導入された事を確認後、バリカンを使用してマウスの右腹側部を刈毛した。26G1/2注射針(テルモ)と1mLの注射筒(テルモ)を用いて、接種用細胞懸濁液を100μL皮下接種した。
細胞接種処理からおよそ30日後、ノギス(Mitsutoyo)を用いて形成された腫瘍組織の長径(mm)と短径(mm)を測定した。得られた数値を用いて、腫瘍体積(mm)を求めた。腫瘍体積は、腫瘍体積(mm)=長径(mm)×短径(mm)×短径(mm)×0.5の式を用いて算出し、担がんマウスを4群に群分けした(n=4/群)。群分け時の腫瘍体積は、およそ800mmであった。
(実施例11−3)投与液の調製法
2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)(配列番号61)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号60)、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)および2−6diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)(配列番号49)および対照薬であるAvonexを、L−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液を用いて588nMに調製した。投与液の調製は、投与直前に行った。
(実施例11−4)投与方法
調製した投与液を用いて、背部皮下に2352pmol/kgの用量になるよう4mL/kgの容量でインスリン用シリンジマイジェクター29G×1/2を用いて投与した。Vehicle投与群には、投与液調製時に用いたL−Arginine、ポリソルベートを含む酢酸緩衝液を4mL/kgの容量で投与した。群分けおよび初回投与を行った日をday0とし、day9まで隔日で5回背部皮下投与を行った。
(実施例11−5)抗腫瘍活性能の評価
投与開始24日目にマウスよりがん組織を摘出し、組織湿重量を測定した。抗腫瘍活性の指標として、Vehicle投与群の組織湿重量を100%とした時のdiSialo糖鎖4−6本修飾IFN−βおよびAvonex投与群の組織湿重量の相対値(%T/C:test/control)を算出した。結果を図12に示す。
図12に示されるように、がん組織の組織湿重量の相対値(%T/C)は、Avonex投与群では44.5%であったのに対し、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)投与群で0.3%、2−6diSialo(S1C−N3C−Q48C−N79C−K107C−R112C)投与群で0.4%、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C)投与群で18.9%、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C)投与群で28.1%であり、本発明のdiSialo糖鎖4、5、6本修飾IFN−βは、がん組織をほぼ消滅させ、または、非常に縮小させるほどの優れた抗腫瘍活性を示した。
以上の結果から、1日1回、隔日×5回、2352pmol/kg皮下投与を実施した場合、diSialo糖鎖修飾本数が増加するほど、抗腫瘍活性が強い傾向が観察された。
(実施例12)diSialo糖鎖・monoSialo糖鎖6本修飾IFN−βのin vivoにおける抗腫瘍活性
(実施例11−1)と同様の方法で細胞培養をし、(実施例11−2)と同様の方法で担がんマウスを作成した。
(実施例11−3)の投与液を、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、2−6monoSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号93)および対照薬であるAvonexとした以外は、(実施例11−3)と同様の方法で投与液を調製し、(実施例11−4)と同様の方法で担がんマウスに投与した。
投与開始22日目にマウスよりがん組織を摘出し、組織湿重量を測定した。抗腫瘍活性の指標として、Vehicle投与群の組織湿重量を100%とした時のAvonex投与群の組織湿重量の相対値(%T/C:test/control)を算出した。結果を図13に示す。
図13に示されるように、がん組織の組織湿重量の相対値(%T/C)は、Avonex投与群では63.0%であったのに対し、diSialo糖鎖6本修飾IFN−β投与群で1.3%とであり、強い抗腫瘍活性が確認された。一方、monoSialo糖鎖6本修飾IFN−β投与群では79.3%であった。
以上の結果から、1日1回、隔日×5回、2352pmol/kg皮下投与を実施した場合、diSialo糖鎖6本修飾IFN−βでは、Avonex投与群よりはるかに優れた、がん組織がほぼ消滅するほどの強い抗腫瘍活性が示された一方、2つの非還元末端のうち、片方しかシアリル化されていないmonoSialo糖鎖6本修飾IFN−βでは、Avonex投与群より優れた抗腫瘍活性は、認められなかった。このことから、全ての非還元末端がシアリル化されていることが抗腫瘍活性にとって重要であることが分かった。
(実施例13)diSialo糖鎖・triSialo糖鎖・tetraSialo糖鎖6本修飾IFN−βのin vivoにおける抗腫瘍活性
(実施例11−1)と同様の方法で細胞培養をし、(実施例11−2)と同様の方法で担がんマウスを作成した。
(実施例11−3)の投与液を、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、2−6triSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号96)、2−6tetraSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号98)および対照薬であるAvonexとした以外は、(実施例11−3)と同様の方法で投与液を調製し、(実施例11−4)と同様の方法で担がんマウスに投与した。
投与開始21日目にマウスよりがん組織を摘出し、組織湿重量を測定した。抗腫瘍活性の指標として、Vehicle投与群の組織湿重量を100%とした時のAvonex投与群の組織湿重量の相対値(%T/C:test/control)を算出した。結果を図14に示す。
図14に示されるように、がん組織の組織湿重量の相対値(%T/C)は、Avonex投与群では55.5%であったのに対し、diSialo糖鎖6本修飾IFN−β投与群で3.6%、tetraSialo糖鎖6本修飾IFN−β投与群で9.1%、triSialo糖鎖6本修飾IFN−β投与群で28.7%となり、いずれの糖鎖6本修飾IFN−βも、強い抗腫瘍活性を有することが示された。
なお、糖鎖の構造に関し、糖鎖における分岐数の違いに着目すると、2分岐型のdiSialo糖鎖6本修飾体は強い抗腫瘍活性を示すが、3分岐型のtriSialo糖鎖6本修飾体、4分岐型のtetraSialo糖鎖6本修飾体においては、diSialo糖鎖6本修飾体より弱い抗腫瘍活性を示した。これは、後述の実施例16における結果(表4)に示されるようなin vitroでの細胞増殖抑制活性の違いや、生体内での血中動態の違い等が関与している可能性が考えられる。
(実施例14)diSialo糖鎖6本修飾IFN−βとPEG20K修飾IFN−βのin vivoにおける抗腫瘍活性
(実施例11−1)と同様の方法で細胞培養をし、(実施例11−2)と同様の方法で担がんマウスを作成した。
(実施例11−3)の投与液を、2−6diSialo(S1C−Q48C−N79C−K107C−R112C−R123C)(配列番号46)、PEG20K修飾IFN−β、および対照薬であるAvonexとした以外は、(実施例11−3)と同様の方法で投与液を調製し、(実施例11−4)と同様の方法で担がんマウスに投与した。
投与開始21日目にマウスよりがん組織を摘出し、組織湿重量を測定した。抗腫瘍活性の指標として、Vehicle投与群の組織湿重量を100%とした時のAvonex投与群の組織湿重量の相対値(%T/C:test/control)を算出した。結果を図15に示す。
図15に示されるように、がん組織の組織湿重量の相対値(%T/C)は、Avonex投与群では62.6%であったのに対し、diSialo糖鎖6本修飾IFN−β投与群で0.3%であり、がん組織がほぼ消滅するほどの非常に高い抗腫瘍活性が示された。一方、PEG20K修飾IFN−β投与群の%T/Cは58.5%であり、対照薬であるAvonex投与群と同程度にすぎなかった。このことから、diSialo糖鎖6本修飾IFNβは、対照薬であるAvonex及び従来技術として知られるPEG20K修飾IFN−βに比べて、非常に優れたIFN−β活性を有することが明らかとなった。
一般的に、従来技術として、タンパク質の物理的安定性や血漿中安定性が向上させるために、ポリペプチドにPEGを付加することが行われてきた。本発明の(実施例10)においても、PEG修飾IFN−βは、Avonexと比較して著しく改善された血中濃度推移を示した。しかしながら、(実施例14)において、PEG修飾IFN−βは、Avonexと同程度の抗腫瘍活性しか示さなかった。すなわち、一般的に血中滞留性を向上させる効果があるとして知られているPEG修飾では、IFN−βの抗腫瘍活性に関しては向上が見られなかったのに対し、本発明の糖鎖修飾IFN−βでは、驚くべきことに、(実施例10)が示すように血中滞留性がAvonexよりも著しく高く、さらに、抗腫瘍活性についても著しく向上した。このことから、本発明の糖鎖修飾IFN−βが、天然のIFN−βやPEG修飾IFN−βよりも、薬剤としての有用性が非常に高いことが示された。
(実施例15)4,5,6本糖鎖修飾IFN−βのin vitroでの細胞増殖抑制活性
4,5,6本糖鎖修飾IFN−βのin vitroでの細胞増殖抑制活性を以下の方法により評価した。
ヒト・バーキットリンパ腫細胞株Daudiを10% Fetal bovine serum、100U/mL penicillin、100μg/mL streptomycine含有RPMI 1640培地(10%FCS−RPMI1640)を用いて1.25×10個/mLとなるよう懸濁した。細胞懸濁液を1×10/80μL/wellずつ96穴平底プレートに播種した。さらに10%FCS−RPMI1640を用いて段階希釈した複数本糖鎖修飾IFN−βを20μL/wellずつ添加し、CO濃度を5%に調整したCOインキュベーター中で37度、3日間培養した。細胞増殖抑制活性は、培養3日目のミトコンドリア脱水素酵素活性を指標として、Cell counting kit−8(同人科学)を用いてキット添付のマニュアルに従って測定を行った。
また、対照として、Avonexを使用した。IC50価はGraphPad Prismを用いて算出した。結果を下記(表4)に示す。
本発明で抗腫瘍活性の向上効果が見られた糖鎖修飾IFN−βとは異なる位置を糖鎖修飾した糖鎖付加ポリペプチドに関しても、(表4)に示したとおり、種々の糖鎖付加ポリペプチドにおいて、in vitroでの細胞増殖抑制活性の向上が見られた。(表4)に示した糖鎖付加ポリペプチドについても、前述の糖鎖付加プリペプチドと同様に、非還元末端がいずれもシアリル化された本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、インターフェロンβ活性を有する薬剤として、抗腫瘍活性等のインターフェロン活性の優れた薬剤として使用できると考えられる。
以上より、本発明の4−6本糖鎖修飾IFN−βは、天然のIFN−β(Avonex)よりも高い血中滞留性および高い抗腫瘍活性を有することが示された。
図4、図5、及び図12において示されるように、ジシアロ糖鎖修飾IFN−βは、糖鎖の本数が4本よりも5本、5本よりも6本、と、本数が多くなるにつれて血中滞留性が高くなり、また、抗腫瘍活性も高くなることが示された。
また、本発明において、糖鎖の非還元末端が全てシアリル化されていることが、IFN−βの血中滞留性の向上及び生体内での抗腫瘍活性の向上に重要であることが示された。
また、糖鎖の非還元末端が全てシアリル化された糖鎖として、ジシアロ糖鎖の他、トリシアロ糖鎖、テトラシアロ糖鎖などの種々の糖鎖を用いた場合において、いずれも、天然のIFN−β(Avonex)よりも高い血中滞留性および高い抗腫瘍活性を有することが示された。
したがって、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、優れたインターフェロンβ活性を有する薬剤として有用であると考えられる。

Claims (14)

  1. インターフェロンβ活性を有する糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記糖鎖付加ポリペプチドが、下記の(1)から(4)よりなる群より選択される、いずれかのポリペプチド;
    (1)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (2)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたポリペプチド、
    (3)インターフェロンβの類縁体であるポリペプチド、および、
    (4)配列番号1で表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して、80%以上の相同性を有するポリペプチド、
    において、
    4から6箇所のアミノ酸が糖鎖付加アミノ酸で置換されており、
    前記糖鎖の非還元末端のいずれもがシアリル化されていることを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  2. 請求項1に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸が、それぞれ独立に、糖鎖付加Cysまたは糖鎖付加Asnであることを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  3. 請求項1または2に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖が、いずれも独立に、ジシアロ糖鎖、トリシアロ糖鎖、および、テトラシアロ糖鎖からなる群より選択されることを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖が、いずれも独立に、下記式(1)、式(2)、式(3)および式(4)からなる群より選択されることを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。

    式(1)

    式(2)

    式(3)

    式(4)
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸における糖鎖が、いずれも同一であることを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  7. 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも1つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、41位、48位、75位、79位、107位、112位、123位、および、136位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  8. 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸の少なくとも3つは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、41位、48位、75位、79位、107位、112位、123位、および、136位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  9. 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸が、いずれも、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、2位、5位、6位、9位、12位、13位、16位、19位、20位、23位、27位、33位、37位、39位、40位、43位、53位、54位、55位、57位、58位、61位、62位、64位、65位、68位、69位、73位、78位、83位、86位、87位、90位、93位、94位、100位、124位、125位、128位、131位、132位、138位、141位、142位、145位、148位、149位、152位、153位、156位、159位、160位、または、163位の位置に相当する位置に存しないことを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  10. 請求項6に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記各糖鎖付加アミノ酸が、いずれも、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において、1位、3位、7位、24位、25位、28位、29位、32位、35位、38位、41位、42位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、70位、75位、79位、99位、103位、106位、107位、109位、112位、115位、123位、130位、136位、139位、および、164位からなる群より選択される位置に相当する位置に存することを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドであって、
    前記糖鎖付加ポリペプチドが、化学的に合成されたことを特徴とする、
    糖鎖付加ポリペプチド。
  12. 医薬組成物であって、
    前記医薬組成物が、
    (1)請求項1から11のいずれか一項に記載の糖鎖付加ポリペプチドおよび/または薬学的に許容されるその塩、および、
    (2)薬理学的に許容される担体を含むことを特徴とする、
    医薬組成物。
  13. 請求項12に記載の医薬組成物であって、
    インターフェロンβに関連する疾患の治療または予防のために用いられることを特徴とする、医薬組成物。
  14. 請求項13に記載の医薬組成物であって、
    前記インターフェロンβに関連する疾患が、脳腫瘍、皮膚悪性黒色腫、B型慢性活動性肝炎、C型慢性肝炎、亜急性硬化性全脳炎、C型代償性肝硬変、および、多発性硬化症からなる群より選択されることを特徴とする、
    医薬組成物。
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