JPWO2014122900A1 - 亜鉛系めっき鋼板用表面処理液ならびに表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板用表面処理液ならびに表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

表面処理皮膜にクロム化合物を含まず、平板部耐食性、耐黒変性および耐水しみ性に優れるのはいうまでもなく、連続高速プレス成形等の過酷なしごき加工を施した後も耐黒ずみ性、耐フレーク状めっき剥離性、および耐食性に優れる表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を得るための表面処理液を提供する。本発明の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液は、炭酸ジルコニウム化合物(A)と、リン酸化合物(B)と、ヒドロキシカルボン酸(C)と、テトラアルコキシシラン(D)と、エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)と、バナジン酸化合物(F)と、ニッケル化合物(G)とを含有し、これら(A)〜(G)の含有量が特定の条件を満足するように調整されたことを特徴とする。

Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板の表面に形成された表面処理皮膜中に6価クロム等の公害規制物質を含まない環境調和型の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法、ならびに該表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を得るための表面処理液に関する。
従来、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向上させる目的で、亜鉛系めっき鋼板の表面に、クロム酸、重クロム酸またはその塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理を施した鋼板が広く用いられてきた。しかしながら、最近の地球環境問題から、クロメート処理によらない無公害な表面処理鋼板、所謂クロムフリー処理鋼板を採用することへの要請が高まっている。
このような表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板(以下、単に「鋼板」ともいう。)は、自動車、家電製品、OA機器等の部品として使用する場合が多い。特にモーターケース等の部品として使用する場合には、絞り加工等のプレス成形が施される。例えば、鋼板の表面に潤滑油を塗布し、順送プレス機等で1分間に100個以上の成形品を製造する連続高速プレス成形を行う場合もある。この連続高速プレス成形のような過酷なプレス環境では、鋼板と金型の摺動によって表面処理皮膜が剥離したり、亜鉛系めっき層の一部が剥離するという問題があった。また、このような表面処理皮膜や亜鉛系めっき層の剥離により、成形品の一部表面に金属光沢が生じ外観を著しく損ねたり、耐食性の劣化を招いたりすることも問題であった。
また、剥離した表面処理皮膜や亜鉛系めっき層は潤滑油に蓄積される。これらの極微細な剥離物は、以後のプレス成形品に付着・残存して、表面の黒ずみとなることも、プレス成形後の外観を損ねていた。特に、速乾油を使用してプレス成形する工程においては最終工程にて洗浄を行わないが、黒ずみが発生した場合、黒ずみを除去する工程を設ける必要が生じ生産性が阻害される。また、除去しきれない黒ずみによる耐黒ずみ性の悪化も問題であった。
さらに、モーターケース用途の亜鉛系めっき鋼板は、未塗装で使用される場合がほとんどであり、表面外観が重視される。このため、モーターケース用途の亜鉛系めっき鋼板は、製造後からプレス成形まで表面の変質、変色がないことが求められる。したがって、モーターケース用途の亜鉛系めっき鋼板には平板部耐食性、耐黒変性および耐水しみ性の諸性能も求められる。
特許文献1には、水溶性ジルコニウム化合物、水分散性微粒子シリカ、シランカップリング剤、バナジン酸化合物、リン酸化合物、ニッケル化合物およびアクリル樹脂エマルションを特定の割合で含む水系表面処理液によって表面処理皮膜を形成し、平板部耐食性、耐黒変性およびプレス成形後の外観と耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板を得る技術が記載されている。また、特許文献2には、水溶性ジルコニウム化合物と、水分散性微粒子シリカと、シランカップリング剤と、バナジン酸化合物と、リン酸化合物と、ニッケル化合物と、アクリル樹脂エマルションと、オルガノポリシロキサン化合物とを、特定の割合で含む表面処理液によって表面処理皮膜を形成し、プレス成形後の外観、耐食性に優れているだけでなく、高温および高温高湿環境下の油保持性にも優れた亜鉛系めっき鋼板を得る技術が記載されている。
特許文献3には、特定の合金化溶融亜鉛めっき層の表面上に、ジルコニウム化合物と、微粒子シリカと、シランカップリング剤由来成分と、バナジン酸化合物と、リン酸化合物と、ニッケル化合物と、アクリル樹脂を含有する表面処理皮膜を形成して、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性に著しく優れる表面処理鋼板を得る技術が記載されている。特許文献4には、水溶性ジルコニウム化合物と、水分散性微粒子シリカと、シランカップリング剤と、バナジン酸化合物と、リン酸化合物と、ニッケル化合物と、アクリル樹脂エマルションとを、特定の割合で含む表面処理液によって、優れた導電性、耐食性、塗料密着性を有する表面処理皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板を得る技術が記載されている。
特許文献5には、リチウムシリケート、シランカップリング剤、バナジウム化合物、チタン化合物およびワックスを配合した表面処理液によって表面処理皮膜を形成し、深絞り加工を施した場合の黒ずみ発生を抑制した亜鉛系めっき鋼板を得る技術が記載されている。特許文献6には、リチウムシリケートおよびケイ酸ナトリウムを主成分とし、さらにシランカップリング剤と、バナジウム化合物と、を含有する表面処理液によって表面処理皮膜を形成し、深絞り加工を施した場合の黒ずみ発生を抑制した亜鉛系めっき鋼板を得る技術が記載されている。
特開2008−169470号公報 特開2012−026033号公報 特開2010−121198号公報 特開2012−062565号公報 特開2010−037584号公報 特開2010−215973号公報
従来のプレス成形では、高粘度のプレス油を使用してプレス成形を行い、加工後に有機溶剤によりプレス表面を脱脂、洗浄するのが普通であった。このため、プレス表面に黒ずみ物質が付着しても、これを洗浄できれば問題はなく、洗浄しきれない黒ずみを抑制することで十分であった。しかし、近年は環境への関心の高まりより、速乾油を使用してプレス成形した後、有機溶剤による洗浄を省略する要請が生じつつある。この場合、プレス表面にはそもそも黒ずみ物質が付着しにくいことが求められる。しかも、速乾油は従来のプレス油より粘度が低いため、潤滑性が十分でなく、従来のプレス油よりも黒ずみを発生させ易い。よって、より高レベルな耐黒ずみ性の向上が求められている。ここで、特許文献1の技術はプレス成形後の黒ずみを抑制することを指向するものであるが、本発明者らの検討によれば、上記高レベルの耐黒ずみ性向上の観点からは改善の余地があることが判明した。
さらに、速乾油で板厚減少を伴うような厳しい加工を行う際には、局部的に非常に高い面圧がかかる場合がある。この場合、金型と鋼板の強い摺動によってかじりが発生し、亜鉛系めっき層の一部がフレーク状に剥離し、このフレーク状の剥離物が、以後のプレスで金型や成形品を傷つけてしまうという問題を生じることを、本発明者らは新たに知見した。特許文献1では、通常のプレス油で高速連続プレス成形した際の亜鉛系めっき層の剥離に伴う黒ずみを問題としている(特許文献1の段落[0003]参照)。しかし、黒ずみの原因となる剥離物は、目視では粒状にも見えないほどの極微細な粒状の剥離物であり、上記のような、速乾油を用いたことにより生じうるフレーク状の剥離物を抑制することについては、特許文献1は何ら考慮していない。
特許文献2〜4の技術においてはアクリル樹脂エマルションが必須成分となっているが、この含有量が多くなると、プレス表面に黒ずみ物質が付着しやすくなり、高レベルの耐黒ずみ性は得られない。
また、特許文献5および6の技術は、リチウムシリケートが主成分の表面処理液から表面処理皮膜を形成する技術である。シリケート系皮膜は、亜鉛系めっき層との密着性が十分でないことから、プレス成形時に高い面圧がかかる場合は、表面処理皮膜が剥離して亜鉛系めっき層が露出し、亜鉛系めっき層と金型の摺動によって亜鉛系めっき層よりフレーク状の剥離物が発生する(耐フレーク状めっき剥離性が劣る)という問題を生じる。
このように、鋼板をモーターケースの部品に使用する場合等に求められる上記全ての特性をバランス良く満足することが可能な技術は未だ確立されていない。
本発明は、従来技術に見られる上記問題を解決したものであり、表面処理皮膜にクロム化合物を含まず、平板部耐食性、耐黒変性および耐水しみ性に優れるのはいうまでもなく、連続高速プレス成形等の過酷なしごき加工を施した後も耐黒ずみ性、耐フレーク状めっき剥離性、および耐食性に優れる表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法、ならびに、該表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を得るための表面処理液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、炭酸ジルコニウム化合物と、リン酸化合物と、ヒドロキシカルボン酸と、テトラアルコキシシランと、エポキシ基を有するシランカップリング剤と、バナジン酸化合物と、ニッケル化合物とを特定の成分比で含有するアルカリ性の水系表面処理液を塗布し、加熱乾燥して、亜鉛系めっき鋼板上に表面処理皮膜を形成することによって、上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)炭酸ジルコニウム化合物(A)と、リン酸化合物(B)と、ヒドロキシカルボン酸(C)と、テトラアルコキシシラン(D)と、エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)と、バナジン酸化合物(F)と、ニッケル化合物(G)とを含有し、以下の(i)〜(vi)の条件を満足するように調整されたことを特徴とする亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
(i)前記リン酸化合物(B)のP換算の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(B/A)が0.30超え2.20以下
(ii)前記ヒドロキシカルボン酸(C)の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(C/A)が0.05〜0.87
(iii)前記テトラアルコキシシラン(D)の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(D/A)が0.11〜1.80
(iv)前記シランカップリング剤(E)の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(E/A)が0.06〜0.50
(v)前記バナジン酸化合物(F)のV換算の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(F/A)が0.02〜0.30
(vi)前記ニッケル化合物(G)のNi換算の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(G/A)が0.02〜0.16
(2)フッ素樹脂エマルション(H)を含有し、該フッ素樹脂エマルション(H)の固形分と前記表面処理液の全固形分(X)との質量比(H/X)が0.001〜0.010である上記(1)に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
(3)ワックス(I)を含有し、該ワックス(I)の固形分と前記表面処理液の全固形分(X)との質量比(I/X)が0.01〜0.05である上記(1)または(2)に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に、乾燥後の付着量が片面当たり50〜1500mg/m2となるように塗布し、次いで加熱乾燥することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
(5)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、加熱乾燥して得た、片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
(6)片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板であって、
検出器として反射電子検出器を有する走査型電子顕微鏡を用いて、入射電圧が500V以下の条件で、前記反射電子検出器を用いて前記表面処理皮膜の表面を観察した走査型電子顕微鏡像において、フッ素の面積率が40%以上であることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
(7)片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板であって、
走査型電子顕微鏡を用いて、エネルギー分散型X線分光法により前記表面処理皮膜の表面の任意の100箇所の元素分析を行う場合に、40箇所以上でフッ素が検出されることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
(8)鋼板引抜き試験における引抜き力が1200kgf以下である上記(5)〜(7)のいずれか1項に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
本発明によれば、表面処理皮膜にクロム化合物を含まず、平板部耐食性、耐黒変性および耐水しみ性に優れるのはいうまでもなく、連続高速プレス成形等の過酷なしごき加工を施した後も耐黒ずみ性、耐フレーク状めっき剥離性、および耐食性に優れる表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法、ならびに、該表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を得るための表面処理液を提供することができる。
鋼板引抜き試験の方法を示す模式図である。 検出器として反射電子検出器を有する走査型電子顕微鏡を用いて表面処理皮膜の表面を観察する際の模式図である。 後述の方法で二値化した画像の例である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
<亜鉛系めっき鋼板>
本発明において、ベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、そのめっき層中に亜鉛を含有する鋼板であればよく、特に制限はないが、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)またはこれを合金化した合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)等の亜鉛めっき鋼板、Zn−Niめっき鋼板、Zn−Al−Mgめっき鋼板(例えばZn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板、Zn−11質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板)、Zn−Alめっき鋼板(例えば、Zn−5質量%Al合金めっき鋼板、Zn−55質量%Al合金めっき鋼板)などを用いることが可能である。
また、亜鉛めっき層に少量の異種金属元素あるいは不純物としてニッケル、コバルト、マンガン、鉄、モリブデン、タングステン、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム、鉛、アンチモン、錫、銅の1種または2種以上を含有してもよい。また、上記亜鉛めっき層のうち、同種または異種のものを2層以上めっきしてもよい。
<亜鉛系めっき鋼板用表面処理液>
本発明の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液(以下、単に「表面処理液」という。)は、炭酸ジルコニウム化合物(A)と、リン酸化合物(B)と、ヒドロキシカルボン酸(C)と、テトラアルコキシシラン(D)と、エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)と、バナジン酸化合物(F)と、ニッケル化合物(G)と、水とを含有し、更に必要に応じて、フッ素樹脂エマルション(H)および/またはワックス(I)を含有させることもできる。
本発明の表面処理液は、炭酸ジルコニウム化合物(A)を含有する。炭酸ジルコニウム化合物を含有する表面処理液を用いると、一旦乾燥すると再度水には溶解し難い表面処理皮膜が得られるため、平板部耐食性および耐水しみ性に優れる。また、表面処理皮膜の密着性に優れるため、プレス成形後の耐黒ずみ性、耐フレーク状めっき剥離性、および耐食性に優れる表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を得ることができる。
炭酸ジルコニウム化合物(A)として、例えば、炭酸ジルコニウム化合物のナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの塩が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。なかでも、炭酸ジルコニウムアンモニウムが耐水しみ性などの点から好ましい。
本発明の表面処理液は、リン酸化合物(B)を含有する。第1に、リン酸化合物は、亜鉛系めっき層と接触すると亜鉛をエッチングして、鋼板表面に亜鉛と難溶性の金属塩からなる反応層を生成する。また、炭酸ジルコニウム化合物(A)との反応により、リン酸ジルコニウムを生成する。これら反応層およびリン酸ジルコニウムによって、厳しいプレス成形後の耐フレーク状めっき剥離性および耐食性を向上させることができる。第2に、後述するバナジン酸化合物等と同じく、表面処理皮膜中に、水に溶解しやすい状態で存在することにより、腐食時に溶解してきた亜鉛イオンを捕捉し不溶化するため、通常の平板部耐食性を向上することもできる。
リン酸化合物(B)は表面処理液に溶解するものであれば特に制限はなく、無機リン酸および有機リン酸から選ばれる少なくとも1種を使用できる。無機リン酸化合物としては、例えば、リン酸、第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩、ピロリン酸、ピロリン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩などの縮合リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩などを用いることができる。有機リン酸化合物としては、ホスホン酸またはホスホン酸塩を用いることができ、例えばニトリロトリスメチレンホスホン酸、ホスフォノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメリレンホスホン酸、メチルジホスホン酸、メチレンホスホン酸、エチリデンジホスホン酸、およびこれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩などが挙げられる。
無機リン酸化合物は亜鉛、ジルコニウムとの金属塩を生成しやすい。また、有機リン酸化合物は液安定性が優れる(亜鉛系めっき層表面から表面処理液中に微量溶出する亜鉛をキレート化し、沈殿物の発生を防止する効果を有する)ため、両者を併用することが好ましい。その場合、無機リン酸化合物の質量Pinと有機リン酸化合物Pogとの比(Pin/Pog)が0.1〜1.5とするのが好ましく、0.3〜1.3であることがより好ましい。質量比が0.1以上の場合には、プレス成形時の耐フレーク状めっき剥離性をさらに向上させることができ、1.5以下の場合には、耐黒変性および耐水しみ性を低下させることがない。また、有機リン酸はホスホン酸であるのが好ましい。
リン酸化合物(B)の含有量は、リン酸化合物(B)のP換算の固形分質量と炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(B/A)が0.30超え2.20以下とする必要があり、0.31〜2.20とすることが好ましく、0.5〜1.3とすることがより好ましい。質量比が0.30以下の場合には、平板部耐食性、厳しいプレス成形後の耐フレーク状めっき剥離性および耐食性を十分に得ることができない。質量比が2.20を超えた場合には、耐黒変性、耐水しみ性、およびプレス成形後の耐黒ずみ性が低下する。
本発明の表面処理液は、ヒドロキシカルボン酸(C)を含有する。ヒドロキシカルボン酸(C)を含有することにより、炭酸ジルコニウム化合物(A)を含む表面処理液中にリン酸化合物(B)を高濃度で配合することができる。すなわち、リン酸と炭酸ジルコニウムは、アルカリ溶液中ではリン酸ジルコニウムの結晶を析出しやすく、液安定性を低下させる傾向にあるが、ヒドロキシカルボン酸(C)を所定量配合することにより、炭酸ジルコニウムが液中で安定化され、リン酸ジルコニウムの析出を抑制することができるのである。リン酸化合物(B)を高濃度で配合できる結果、既述のように表面処理皮膜の密着性を高めることができ、そのため、厳しいプレス成形後の耐フレーク状めっき剥離性および耐食性を向上させることができる。また、ヒドロキシカルボン酸(C)は、後述するテトラアルコキシシラン(D)、エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)および炭酸ジルコニウム化合物(A)の三次元架橋構造をより緻密にすると考えられ、そのため平板部耐食性、耐黒変性、耐水しみ性の他、厳しいプレス成形後の耐フレーク状めっき剥離性および耐食性を一層向上させることができる。
ヒドロキシカルボン酸(C)は、例えば乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられ、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
ヒドロキシカルボン酸(C)の含有量は、ヒドロキシカルボン酸(C)の固形分質量と炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(C/A)が0.05〜0.87とする必要があり、0.15〜0.40とすることが好ましい。質量比が0.05未満の場合には、液安定性を維持したまま本発明で規定する(B/A)が0.30超えとなる量のリン酸化合物(B)を配合することができない。質量比が0.87を超えた場合には、Zrが過剰に安定化され、表面処理皮膜形成性が劣り、特に耐水しみ性が低下する。
本発明の表面処理液は、テトラアルコキシシラン(D)を含有する。テトラアルコキシシランは、コロイダルシリカよりも極めて緻密なSi化合物で、水に溶解すると加水分解し、シラノール基を生じる。このシラノール基が、後述するエポキシ基を有するシランカップリング剤(E)と炭酸ジルコニウム化合物(A)とで三次元架橋し、極めて緻密で、亜鉛系めっき層との密着性に優れた表面処理皮膜が得られる。そのため、平板部耐食性および耐水しみ性の向上、さらには厳しいプレス成形後の耐黒ずみ性および耐食性の向上にも寄与する。
テトラアルコキシシラン(D)は、1分子中に、加水分解性基として4個の低級アルコキシル基を含有するものであれば、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。なかでも、上記各効果をより十分に得る観点から、テトラエトキシシランおよび/またはテトラメトキシシランの使用が好ましい。
テトラアルコキシシラン(D)の含有量は、テトラアルコキシシラン(D)の固形分質量と炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(D/A)が0.11〜1.80とする必要があり、0.25〜0.90であることが好ましい。質量比が0.11未満の場合には、平板部耐食性および耐水しみ性の向上の効果、さらには厳しいプレス成形後の耐黒ずみ性および耐食性の向上の効果を十分に得ることができず、質量比が1.80を超えた場合には、相対的にリン酸化合物の含有量が減少するため、プレス成形後の耐フレーク状めっき剥離性および耐食性が低下する。
本発明の表面処理液は、エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)を含有する。既述のとおり、エポキシ基を有するシランカップリング剤は、炭酸ジルコニウム化合物(A)およびテトラアルコキシシラン(D)とともに、極めて緻密であるとともに、シランカップリング剤の加水分解によって生じたシラノール基が、亜鉛系めっき層または難溶性の金属塩からなる反応層との密着性に優れた表面処理皮膜の形成に寄与する。
エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)は、Siを含む1分子中にグリシジル基と加水分解性基として低級アルコキシル基を含有するものであれば特に限定されず、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)の含有量は、シランカップリング剤(E)の固形分質量と炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(E/A)が0.06〜0.50とする必要があり、0.50未満が好ましく、0.10〜0.35とすることがより好ましい。質量比が0.06未満の場合には、平板部耐食性、耐水しみ性、厳しいプレス成形後の耐食性の向上の効果を十分に得ることができず、質量比が0.50を超えた場合には、表面処理皮膜の硬さが低下し、やはり厳しいプレス成形後の耐黒ずみ性、耐フレーク状めっき剥離性および耐食性の向上の効果を十分に得ることができない。
本発明の表面処理液は、バナジン酸化合物(F)を含有する。バナジン酸化合物は、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、バナジウムアセチルアセトネートが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。バナジン酸化合物(F)の配合割合は、バナジン酸化合物(F)のV換算の固形分質量と炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(F/A)が0.02〜0.30とする必要があり、0.03〜0.20とすることが好ましい。質量比が0.02未満の場合には、平板部耐食性、およびプレス成形後の耐食性が低下し、0.30を超えた場合には、耐水しみ性および耐黒変性が低下する。
本発明の表面処理液は、ニッケル化合物(G)を含有する。ニッケル化合物は、例えば、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、リン酸ニッケルなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。ニッケル化合物(G)の含有量は、ニッケル化合物(G)のNi換算の固形分質量と炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(G/A)が0.02〜0.16とする必要があり、0.03〜0.08とすることが好ましい。質量比が0.02未満の場合には、耐黒変性が低下し、0.16を超えた場合には、平板部耐食性、およびプレス成形後の耐食性が低下する。
本発明の表面処理液には、フッ素樹脂エマルション(H)を添加してもよい。フッ素樹脂エマルション(H)が添加された表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、加熱乾燥して得た表面処理皮膜は、油のぬれ拡がりが抑制され、すなわち油はじき性が向上する。よって、該鋼板がモーターケースに用いられた場合、モーターの軸受部から潤滑油が染み出にくく、潤滑油が軸受部に適切に保持され、モーターの振動や騒音を抑制できる。
フッ素樹脂エマルション(H)は、フッ素化アクリレートモノマーの単独重合体またはフッ素化アクリレートモノマーとエチレン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等のエチレン系モノマーとの共重合体であれば特に制限はなく、相溶性があれば乳化剤などの有無や種類に制限はない。
フッ素樹脂エマルション(H)の含有量は、フッ素樹脂エマルション(H)の固形分と表面処理液の全固形分(X)との質量比(H/X)が0.001〜0.010とすることが好ましく、0.002〜0.005とすることがより好ましい。質量比が0.001以上の場合には、油のぬれ拡がりが抑制される。また、質量比が0.010以下であれば、プレス成形後の耐黒ずみ性が低下することがない。
また、フッ素樹脂エマルション(H)は、最低造膜温度(Minimum Film forming Temperature:MFT)が10〜50℃であることが好ましい。MFTが10℃以上であれば、プレス成形後の耐黒ずみ性が低下することがなく、プレス成形後の耐フレーク状めっき剥離性の効果も確実に得ることができる。MFTが50℃以下であれば、プレス成形後の耐食性が低下することがない。
本発明の表面処理液には、連続高速プレス時の潤滑性能を更に向上させるためにワックス(I)を添加してもよい。ワックスとしては、液に相溶するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ラノリン系ワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックスなどが挙げられ、これらの1種以上を好適に使用することができる。また、前記ポリオレフィンワックスとしては、例えばポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられ、これら1種以上を使用することができる。
ワックス(I)の含有量は、ワックス(I)の固形分と表面処理液の全固形分(X)との質量比(I/X)が0.01〜0.05とすることが好ましく、0.02〜0.04とすることがより好ましい。質量比が0.01以上の場合には、連続高速プレス時の潤滑性能が十分に高まり、プレス成形後の耐食性がより向上し、質量比が0.05以下であれば、有機成分が多くなりすぎることがないため、プレス成形後の耐黒ずみ性が低下することがない。
表面処理液は、好ましくはpH8〜10であり、より好ましくはpH8.2〜9.6とする。pHが8以上であれば、表面処理液の保管安定性や、表面処理皮膜の密着性および外観を損なうことがない。また、pHが10以下であれば、亜鉛めっき層に対するエッチングが激しくなりすぎず、平板部耐食性や表面処理皮膜の外観を損なうことがない。pH調整に用いる添加物に特に制限はなく、公知の酸、アルカリ化合物を用いることができるが、アルカリとしてはアンモニウム、アミン、アミンの誘導体、およびアミノポリカルボン酸から選ばれる化合物が好ましく、酸としては上記ヒドロキシカルボン酸(C)、リン酸化合物(B)から選択されることが好ましい。
本発明の表面処理液は、上記した成分を脱イオン水、蒸留水等の水中で混合することにより得られる。表面処理液の固形分割合は適宜選択すればよい。また、表面処理液には、必要に応じてアルコール、ケトン、セロソルブ、アミン系の水溶性溶剤、消泡剤、防菌防カビ剤、着色剤、均一塗工のための濡れ性向上剤、界面活性剤等を添加してもよい。ただし、これらは本発明で得られる品質を損なわない程度に添加することが重要であり、添加量は多くても表面処理液の全固形分に対して5質量%未満とすることが好ましい。表面処理液には、上記以外の固形分は含まないことが好ましい。
<表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法>
本発明の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法では、上記の表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、次いで加熱乾燥することにより表面処理皮膜を形成する。
加熱乾燥後の表面処理皮膜の付着量(皮膜量)は、片面当たり50〜1500mg/m2とし、好ましくは300〜1200mg/m2であり、より好ましくは400〜1000mg/m2である。付着量が50mg/m2未満では、平板部耐食性、プレス成形後の耐黒ずみ性、耐フレーク状めっき剥離性および耐食性を得ることができない。付着量が1500mg/m2を超えると、耐黒変性および耐水しみ性が低下する。
表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布する方法としては、処理される亜鉛系めっき鋼板の形状等によって適宜最適な方法を選択すればよく、ロールコート法、バーコート法、浸漬法、スプレー塗布法等が挙げられる。また、塗布後にエアーナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
加熱乾燥を行う手段としてはドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。加熱温度は特に限定されないが、最高到達板温(Peak Metal Temperature:PMT)で50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましく、60〜180℃が特に好ましい。250℃以下であれば、表面処理皮膜にクラックが入らず、平板部耐食性が低下しない。一方、50℃以上であれば、表面処理皮膜の成分間の結合が不足することがないため、本発明の諸性能が低下しない。加熱時間は、使用される亜鉛系めっき鋼板の種類等によって適宜最適な条件が選択され、生産性等の観点からは、0.1〜60秒が好ましく、1〜30秒がより好ましい。
また、亜鉛系めっき鋼板に表面処理液を塗布する前に、必要に応じて、亜鉛系めっき鋼板表面の油分や汚れを除去することを目的とした前処理を亜鉛系めっき鋼板に施してもよい。亜鉛系めっき鋼板は、防錆目的で防錆油が塗られている場合が多く、また、防錆油で塗油されていない場合でも、作業中に付着した油分や汚れ等がある。上記の前処理を施すことにより、亜鉛系めっき層の表面が清浄化され、均一に濡れやすくなる。亜鉛系めっき鋼板表面に油分や汚れ等がなく、表面処理液が均一に濡れる場合は、前処理工程は特に必要はない。なお、前処理の方法は特に限定されず、例えば湯洗、溶剤洗浄、アルカリ脱脂洗浄等の方法が挙げられる。
<表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板>
本発明の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板は、既述の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、加熱乾燥して得た、片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有することを特徴とする。
特に、フッ素樹脂エマルジョン(H)を添加した表面処理液で形成した表面処理皮膜の場合、本発明者らの検討によれば、表面処理皮膜の表面においてフッ素が現れる面積率が所定値以上の場合に、油のぬれ拡がりが顕著に抑制されることがわかった。これは、以下のような観察・分析方法を用いることによって、表面処理皮膜の表面のフッ素の有無を明確に把握することができたことに基づく知見である。
(分析方法1)
検出器として反射電子検出器を有する走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、入射電圧(landing voltage、ただし、landing energyが同義で用いられることもある。)が500V以下の条件で、フッ素樹脂エマルジョン(H)を添加した表面処理液で形成した表面処理皮膜の表面を観察する。この条件で得られる、反射電子検出器で結像したSEM像では、像強度が相対的に弱い(灰色が強い)部分と、像強度が相対的に強い(白色が強い)部分とに目視で明確に区別できた。そして、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy、以降「EDX」と呼ぶ。)を用いて元素分析を行った結果、像強度が弱い部分ではフッ素が検出され、像強度が強い部分ではフッ素が検出されなかった。つまり、像強度が弱い部分は、表面処理液中のフッ素樹脂エマルジョン(H)に起因するフッ素樹脂であることがわかった。このことから、像強度の差すなわちSEM像のコントラストから、表面処理皮膜の表面におけるフッ素樹脂の分布が把握できることがわかった。
この分析方法の模式図を図2に示す。「入射電圧」とは、試料に入射する段階での電子の電圧すなわちエネルギーである。通常のSEMでは、電子銃10から放出される電子の加速電圧と同じであるが、図2のように、試料台14に電圧を印加する場合、加速電圧と試料台14への印加電圧との差が入射電圧となる。つまり、試料台14に電圧を印加することで、入射電圧を500V以下にまで低くできる。試料台14の電圧印加の基準はアースに取り、アース側が正極、試料台14側が負極となっている。一方、電子銃10内にある電子を加速する為のアノードが正極、アース側が負極となっている。本明細書内では、この電子銃10内の電子の加速用アノードとアースの間の電位差を加速電圧としている。
この分析方法で得られるSEM像において、フッ素の面積率が40%以上であると、油のぬれ拡がりが顕著に抑制され、50%以上であるとより好ましい。ここで、「フッ素の面積率」は、以下のように定義される。既述のとおり像強度が相対的に強い(白色が強い)部分と相対的に弱い(灰色が強い)部分とは、目視で明確に二極化される。そのため、像強度に適切な強度範囲を設定することにより、フッ素が検出される部分と同じ像強度の部分と、それ以外の像強度の部分とにSEM像の観察領域を分けることができる。画像処理によって、フッ素が検出される部分と同じ像強度の部位を領域A、残りの部位を領域Bと区分けする。「フッ素の面積率」は、領域Aの面積/(領域A+Bの合計面積)で求められる。観察領域は、100μm×100μmとする。図3に、この方法で二値化した画像の例を示す。入射電圧は500Vである。黒い部分がフッ素を含有したフッ素樹脂と推定される領域で、白い部分がそれ以外の領域である。
(分析方法2)
本発明者らの検討によると、SEMに付属するEDXにより、表面処理皮膜の表面の任意の100箇所(分析領域:1μm四方)の元素分析を行った場合、100箇所中、フッ素が検出される箇所の割合は、上記分析方法1の「フッ素の面積率」と相関があることがわかった。つまり、100箇所の元素分析を行う場合に、40箇所以上でフッ素が検出されることが好ましく、50箇所以上がより好ましい。この分析方法2の場合は、試料に入射する電子のエネルギーは通常用いられる範囲でよいため、試料台に電圧を印加する必要はない。その為、試料台に電圧を印加する機構を有しない通常のSEMを用いることができる。また、電子を電子銃10から放出させる為の加速電圧が、そのまま入射電圧となる。
EDXにより得られるスペクトルにおいて、0.7keV付近に現れるピークをフッ素の特性X線ピークとして、当該ピークが出現した場合に、フッ素が検出されたと判定した。加速電圧は2kV以上5kV以下とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明の効果を説明するが、本実施例はあくまで本発明を説明する一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
(1)供試板(素材)
表1に示す各種亜鉛系めっき鋼板を供試板として使用した。なお、亜鉛系めっき層は鋼板の両面に形成され、表1中の付着量は片面当たりの亜鉛めっき層の付着量を意味する。
Figure 2014122900
(2)前処理(洗浄)
上記の供試板の表面を、日本パーカライジング(株)製パルクリーンN364Sを用いて処理し、表面の油分や汚れを取り除いた。次に、水道水で水洗して供試材表面が水で100%濡れることを確認した後、さらに純水(脱イオン水)を流しかけ、100℃雰囲気のオーブンで水分を乾燥した。
(3)表面処理液の調整
各成分を表2に示す組成(質量比)にて水中で混合し、亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液を得た。なお、pHの調整には、必要に応じてアンモニアを用いた。
以下に、表2で使用された化合物について説明する。
<炭酸ジルコニウム化合物(A)>
A1:炭酸ジルコニウムナトリウム
A2:炭酸ジルコニウムアンモニウム
<リン酸化合物(B)>
B1:リン酸(H3PO4
B2:リン酸二水素アンモニウム(NH4(H2PO4))
B3:ジホスホン酸(C2827
<ヒドロキシカルボン酸(C)>
C1:リンゴ酸
C2:酒石酸
C3:クエン酸
<テトラアルコキシシラン(D)>
D1:テトラメトキシシラン
D2:テトラエトキシシラン
<エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)>
E1:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
E2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
<バナジン酸化合物(F)>
F1:メタバナジン酸ナトリウム(NaVO3
F2:メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3
<ニッケル化合物(G)>
G1:硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO32・6H2O)
G2:硫酸ニッケル六水和物(NiSO4・6H2O)
<フッ素樹脂エマルション(H)>
フッ素化アルキル基含有アクリレートとアクリル酸アルキルエステル共重合体として、最低造膜温度(MFT)が以下のものを用いた。
H1:MFT 5℃
H2:MFT 14℃
H3:MFT 33℃
H4:MFT 55℃
<ワックス(I)>
I1:ポリエチレンワックス(三井化学株式会社製、ケミパール(登録商標)W900)
I2:マイクロクリスタリンワックス(サンノプコ株式会社製、ノプコ(登録商標)1245−M−SN)
Figure 2014122900
Figure 2014122900
Figure 2014122900
なお、表2中の配合成分(*a)には、成分(A)〜(I)の種類を示し、配合割合(*b)には、請求項に記載の比率を記載した。また、成分(B)について、2種の化合物を混合した例の配合比率は、以下のとおりである。
*1 Pin/Pog=0.05
*2 Pin/Pog=0.40
*3 Pin/Pog=0.60
*4 Pin/Pog=0.90
*5 Pin/Pog=1.20
*6 Pin/Pog=1.60
成分(C)について、2種の化合物を混合した例の配合比率は、以下のとおりである。
*7 C1:C2=1:10
*8 C1:C2=1:14
*9 C1:C3=1:10
*10 C1:C3=1:14
(4)処理方法
表2の「鋼板」欄に示した前処理後の各種供試材に、表2の各種表面処理液をバーコーターで塗布し、その後、水洗することなく、そのままオーブンに入れて、表2の「PMT」欄に示す最高到達板温(PMT:Peak Metal Temperature)で乾燥させ、表2に示す皮膜量(片面あたり)の表面処理皮膜を両面に形成した。
(5)評価試験の方法
得られた表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板(以下、単に「サンプル」という。)に対して、以下の(5−1)〜(5−9)の評価を行った結果を、表2に併せて示す。
(5−1)平板部耐食性
各サンプルに対して、プレスを行わず平板の状態で、JIS−Z−2371−2000に準拠する塩水噴霧試験(SST)を実施した。120時間後の白錆発生面積率で平板部耐食性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上10%未満
○−:白錆面積率10%以上25%未満
△ :白錆面積率25%以上50%未満
× :白錆面積率50%以上100%以下
(5−2)耐黒変性
各サンプルについて、プレスを行わず平板の状態で、80℃,98%RH環境下24時間保持前後のサンプル表面の色差△L*(JIS−Z−8729−2004に規定するL*、a*、b*表示系におけるCIE1976明度L*の差)の測定と目視観察にて、耐黒変性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :−2.5<△L*≦1 かつ、ムラが無い均一な外観
○ :−3<△L*≦−2.5 かつ、ムラが無い均一な外観
○−:−3.5<△L*≦−3 かつ、ムラが無い均一な外観
△ :−4<△L*≦−3.5 かつ、ムラが無い均一な外観
× :△L*≦−4 または、外観ムラあり
(5−3)耐水しみ性
各サンプルについて、プレスを行わず平板の状態で、サンプル表面に脱イオン水を300μm滴下し、炉内温度100℃の熱風オーブンに10分間投入し、オーブンから取り出した後の水滴滴下跡を目視観察して、耐水しみ性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :水滴境界が見る角度によらず確認されない
○ :水滴境界が見る角度によって若干確認される
○−:水滴境界が見る角度によらず若干確認される
△ :水滴境界が見る角度によらずはっきり確認される
× :水滴境界が滴下範囲を超えてはっきり確認される
(5−4)耐黒ずみ性(連続高速プレス成形後の外観)
各サンプルに速乾性のプレス油(日本工作油株式会社製:無洗浄プレス工作油G−6231F)を塗油した状態で、以下のプレス条件の多段絞り成形を行い、金型に付着する汚れを拭き取ることなく10サンプル連続で成形した後、10個目のサンプル表面に付着した黒ずみの程度を目視で観察し、耐黒ずみ性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(プレス条件)
成形速度450mm/秒、ブランク径φ90mm
1段目:ポンチ径Φ49mm、ポンチとダイスのクリアランス1.0mm
2段目:ポンチ径Φ39mm、ポンチとダイスのクリアランス0.8mm
3段目:ポンチ径Φ32mm、ポンチとダイスのクリアランス0.8mm
4段目:ポンチ径Φ27.5mm、ポンチとダイスのクリアランス0.8mm
5段目:ポンチ径Φ24.4mm、ポンチとダイスのクリアランス0.8mm
(評価基準)
◎ :プレス直後でも黒ずみがサンプル表面に付着していない。
○ :プレス直後は黒ずみがサンプル表面に面積率で5%以下付着しているが、時間とともに黒ずみが鋼板表面から流れてほとんど確認できなくなる。
○−:プレス直後に黒ずみがサンプル表面に面積率で5%以下付着しており、時間がたっても黒ずみが鋼板表面に残ったままである。
△ :黒ずみがサンプル表面に面積率で5%超、15%以下付着して、時間がたっても黒ずみが鋼板表面に残ったままである。
× :黒ずみがサンプル表面に面積率で15%超付着して、時間がたっても黒ずみが鋼板表面に残ったままである。
(5−5)耐フレーク状めっき剥離性(鋼板引抜き試験後の外観)
各サンプルに速乾性のプレス油(日本工作油株式会社製:無洗浄プレス工作油G−6231F)を塗油した状態で、以下の引き抜き条件で、金型に付着する汚れや剥離カスを拭き取ることなく同じ箇所を3回連続で平面引き抜きした後、サンプル表面に付着しためっき剥離カスの程度をルーペで拡大して目視観察し、耐めっき剥離性を評価した。また、引抜き力の平均値を求めた。図1に鋼板引抜き試験の方法を示す。評価基準は以下のとおりである。
(プレス条件)
ビード先端径0.5mm、押しつけ荷重200kgf、引き抜き速度16.7mm/秒、引き抜き距離100mm
(めっき剥離カスの評価基準)
◎ :めっき剥離カスが金属光沢を有さず、量が微量で細かい粒状であり、かつ、平均の引抜き力が900kgf以下である。
○ :めっき剥離カスが金属光沢を有さず、細かい粒状であり、かつ、平均の引抜き力が900kgf超え1050kgf以下である。
○−:めっき剥離カスが金属光沢を有さず、細かい粒状であり、かつ、平均の引抜き力が1050kgf超え1200kgf以下である。
△ :めっき剥離カスが金属光沢を有し、鱗片屑状であり、かつ、平均の引抜き力が1200kgf超えである。
× :めっき剥離カスが金属光沢を有し、量が多くフレーク状であり、かつ、平均の引抜き力が1200kgf超えである。
(5−6)連続高速プレス成形後の耐食性
上記「(5−4)耐黒ずみ性」に示した多段絞り成形を行ったサンプルに対して、速乾性のプレス油が乾いた後、各サンプルについてJIS−Z−2371−2000に準拠する塩水噴霧試験を実施した。16時間後の白錆発生面積率で、連続高速プレス成形後耐食性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上10%未満
○−:白錆面積率10%以上25%未満
△ :白錆面積率25%以上50%未満
× :白錆面積率50%以上100%以下
(5−7)耐油ぬれ拡がり性
40℃での動粘度が51〜69mm2/s、100℃での動粘度が11.1〜14.9mm2/sの軸受け用油(NOKクリューバー(株)製「ALL TIME J 652」)を容器に入れ、鉛直に立てたサンプルの下端部を容器内の軸受け用油に浸した状態で85℃環境下3日間静置し、軸受け用油のしみ拡がり高さを測定した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :滲み拡がり高さ0.5cm未満
○ :滲み拡がり高さ0.5cm以上1.5cm未満
○−:滲み拡がり高さ1.5cm以上3.0cm未満
△ :滲み拡がり高さ3.0cm以上4.5cm未満
× :滲み拡がり高さ4.5cm以上
(5−8)フッ素面積率
フッ素樹脂エマルション(H)を添加した試験例についてのみ、既述の分析方法1に従ってフッ素の面積率を求めた。FEI社製のSEM(Helios Nanolab 600i)を用い、試料台への印加電圧は−4kV、入射電圧は250V、観察領域は100μm×100μm、像は内蔵されている反射電子検出器によるSEM像とした。
(5−9)フッ素検出率
フッ素樹脂エマルション(H)を添加した試験例についてのみ、既述の分析方法2に従って、フッ素検出率を求めた。SEMと当該SEMに付属のエネルギー分散型X線分析装置を用い、得られるスペクトルにおいて0.7keV付近に現れるピークをフッ素の特性X線ピークとして、当該ピークが出現した場合に、フッ素が検出されたと判定した。測定条件は、加速電圧は5kV、観察領域は20μm×20μmとし、観察領域中の任意の100箇所(分析領域:1μm四方)のうち、フッ素が検出された割合を「フッ素検出率」とした。この場合、試料台に電圧を印加しないので、加速電圧は入射電圧となる。
(6)評価結果の考察
表2に示すように、本発明に従う亜鉛系めっき鋼板はいずれも、平板部耐食性、耐黒変性および耐水しみ性に優れるのはいうまでもなく、連続高速プレス成形等の過酷なしごき加工を施した後も耐黒ずみ性、耐フレーク状めっき剥離性、および耐食性に優れる。これに対し、いずれかの要件が本発明の適正範囲を逸脱した比較例は、上記いずれかの特性を十分に得ることができない。
本発明は、モーターケース等の部品用途のように、表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を連続高速プレス成形に供する場合に有用である。
10 電子銃
12 反射電子検出器
14 試料台
EB軸 電子線(Electron Beam)軸
(6)上記(2)に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、加熱乾燥して得た、片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板であって、
検出器として反射電子検出器を有する走査型電子顕微鏡を用いて、入射電圧が500V以下の条件で、前記反射電子検出器を用いて前記表面処理皮膜の表面を観察した走査型電子顕微鏡像において、フッ素の面積率が40%以上であることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
(7)上記(2)に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、加熱乾燥して得た、片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板であって、
走査型電子顕微鏡を用いて、エネルギー分散型X線分光法により前記表面処理皮膜の表面の任意の100箇所の元素分析を行う場合に、40箇所以上でフッ素が検出されることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。

Claims (8)

  1. 炭酸ジルコニウム化合物(A)と、リン酸化合物(B)と、ヒドロキシカルボン酸(C)と、テトラアルコキシシラン(D)と、エポキシ基を有するシランカップリング剤(E)と、バナジン酸化合物(F)と、ニッケル化合物(G)とを含有し、以下の(i)〜(vi)の条件を満足するように調整されたことを特徴とする亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
    (i)前記リン酸化合物(B)のP換算の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(B/A)が0.30超え2.20以下
    (ii)前記ヒドロキシカルボン酸(C)の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(C/A)が0.05〜0.87
    (iii)前記テトラアルコキシシラン(D)の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(D/A)が0.11〜1.80
    (iv)前記シランカップリング剤(E)の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(E/A)が0.06〜0.50
    (v)前記バナジン酸化合物(F)のV換算の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(F/A)が0.02〜0.30
    (vi)前記ニッケル化合物(G)のNi換算の固形分質量と前記炭酸ジルコニウム化合物(A)のZr換算の固形分質量との比(G/A)が0.02〜0.16
  2. フッ素樹脂エマルション(H)を含有し、該フッ素樹脂エマルション(H)の固形分と前記表面処理液の全固形分(X)との質量比(H/X)が0.001〜0.010である請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
  3. ワックス(I)を含有し、該ワックス(I)の固形分と前記表面処理液の全固形分(X)との質量比(I/X)が0.01〜0.05である請求項1または2に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に、乾燥後の付着量が片面当たり50〜1500mg/m2となるように塗布し、次いで加熱乾燥することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布し、加熱乾燥して得た、片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
  6. 片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板であって、
    検出器として反射電子検出器を有する走査型電子顕微鏡を用いて、入射電圧が500V以下の条件で、前記反射電子検出器を用いて前記表面処理皮膜の表面を観察した走査型電子顕微鏡像において、フッ素の面積率が40%以上であることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
  7. 片面当たりの付着量が50〜1500mg/m2の表面処理皮膜を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板であって、
    走査型電子顕微鏡を用いて、エネルギー分散型X線分光法により前記表面処理皮膜の表面の任意の100箇所の元素分析を行う場合に、40箇所以上でフッ素が検出されることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
  8. 鋼板引抜き試験における引抜き力が1200kgf以下である請求項5〜7のいずれか1項に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
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