JP2007186745A - 燃料タンク用鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガソリン、アルコール単独あるいはアルコール混合ガソリンなどの燃料に対して優れた耐食性を示す燃料タンク用鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板の少なくとも片面に、亜鉛系めっき層を有し、さらにその上層に、ビスフェノール型エポキシ樹脂、リン酸変性エポキシ樹脂、一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂、グリコールウリル樹脂および金属化合物により形成した有機皮膜を有し、かつ該金属化合物は少なくともV化合物を含有し、さらに前記有機皮膜全固形分に対して、前記グリコールウリル樹脂が5〜20質量%、かつ前記金属化合物が10〜20質量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、主に燃料タンクに供する高耐食性の鋼板に係り、特にガソリン中に微量の水が含まれた場合や、アルコール系燃料の劣化により該燃料中に蟻酸などの有機酸が生成した場合などの腐食性の高い環境下でも耐食性に優れ、またプレス成形性に優れ、鉛とクロム溶出のない燃料タンク用鋼板に関する。
北米、中南米、欧州等では、エネルギー対策として石油依存率の低減を国策とする国が多い。そのため、これらの国では駆動用燃料としてアルコール(メタノール、エタノール)そのもの、あるいはこれらをガソリンに5〜20%混合した、いわゆるガソホールの導入比率が年々拡大の傾向にある。
しかしながら、これらのアルコール系燃料は、(a)水を含みやすい、(b)水混入量の増加や温度の低下によって層分離しやすい、(c)酸化劣化して有機酸を生成する可能性があり(例えば、メタノールの場合は蟻酸、エタノールの場合は酢酸へと変化する)、下層にアルコール及び/または有機酸と水を主成分とする分離層を生じるため、通常のガソリン燃料に比べて一段と強い腐食性を有している。
また、燃料タンク用鋼板には、抵抗溶接、特にシーム溶接によって形成する溶接部に欠陥がないこと、タンクの内外面ともに腐食が発生しないこと、さらには燃料循環系統でフィルターの目詰まりを発生するような浮遊性の腐食生成物が生じないことが要求される。さらに、近年、環境問題への関心が急速に高まっており、有害元素を含有しない表面処理鋼板、特に人体への毒性が極めて強いことで知られている鉛やクロムを全く含有しない表面処理鋼板の開発が切望されている。
駆動用の燃料タンク用鋼板としてこれまでに実用化されている鋼板は、例えば特許文献1に示されるようなPb−Sn合金溶融めっき鋼板や、特許文献2に示されるような亜鉛めっき鋼板に厚クロメート処理を施した鋼板など、鉛やクロムを含有するものであり、これらの有害元素を全く含有しない燃料タンク用鋼板は未だ実用化はされていない。
また、特許文献1に示されるようなPb−Sn合金溶融めっき鋼板は、メタノールを40%以上含むアルコールとガソリン混合物ではPb−Sn層などの合金めっき層を溶解する問題がある。
家電製品用筐体等の一般用途においては、有害元素であるクロムを含有しない、いわゆるクロムフリー皮膜を用いた表面処理技術に関して、例えば下記のように数多くの提案がなされている。
特許文献3には、(a)少なくとも4個のフッ素原子と、チタン、ジルコニウムなどの少なくとも1個の元素とからなる陰イオン成分、(b)コバルト、マグネシウムなどの陽イオン成分、(c)pH調節のための遊離酸および(d)有機樹脂を含有するクロムフリー組成物からなる金属の表面処理方法が提案されている。
特許文献4には、(a)水酸基含有共重合体、(b)リン酸および(c)銅、コバルトなどの金属のリン酸系化合物を含有するクロムフリー組成物からなる金属の表面処理方法が提案されている。
特許文献5には、(a)ポリヒドロキシエーテルセグメントと不飽和単量体セグメントを有する樹脂、(b)リン酸および(c)カルシウム、コバルトなどの金属のリン酸系化合物を含有するクロムフリー組成物からなる金属の表面処理剤が提案されている。
特許文献6には、(a)マンガン、コバルトなどの多価金属イオン、(b)フルオロ酸、リン酸などの酸、(c)シランカップリング剤および(d)重合単位2〜50の水溶性重合体を水性媒体に溶解した水溶性表面処理剤が提案されている。
特許文献7には、(a)チオカルボニル基含有化合物、(b)リン酸イオンおよび(c)水分散性シリカを含有する水性防錆コーティング剤を亜鉛被覆鋼にコーティングする方法が提案されている。
特許文献3〜7の方法において、金属板に十分な付着量の表面処理剤(被覆剤、コーティング剤)を被覆した場合、すなわち、十分な膜厚の皮膜を施した場合には、まずまずの耐食性が得られるが、例えば、金属板の凸部などの一部が露出するような皮膜が施されていたり、膜厚が薄過ぎる場合には、耐食性が極めて不十分であった。つまり、金属板上の皮膜に欠陥部や傷が入るとその部分から、腐食が進行してしまうため耐食性が不十分であった。
さらに、特許文献3〜7の従来技術は、いずれも金属表面と表面処理剤が形成する皮膜とを界面で強固に付着させる発想に基づく技術である。しかしながら、微視的にとらえれば、金属表面と表面処理剤との密着が不完全なため、湿潤環境での密着性(湿潤密着性)には限界があり、皮膜に損傷部があると腐食環境下で発錆し、ここを起点として腐食が周囲に進行してしまう問題点があり、特に腐食性の強いアルコールと蟻酸の混合されたアルコール系燃料に対してはその傾向が強まることがあった。
以上のように、従来提案されている燃料タンク用鋼板は鉛やクロムなどの有害物質を含有するという環境上の問題点を有しており、一方で、従来提案されているクロメートフリー処理鋼板は燃料、特にアルコール系燃料に対する耐食性が充分でないとの問題点を有しており、これらの問題点を解決した燃料タンク用鋼板はいまだ実用化されていない。
特公昭57−61833号公報 特公昭53−19981号公報 特開平5−195244号公報 特開平9−241856号公報 特開平11−50010号公報 特開平11−106945号公報 特開平11−29724号公報
本発明は、上記の現状を鑑みてなされたものであり、鉛、クロムといった有害物質を含有することがなく、ガソリン、アルコール単独あるいはアルコール混合ガソリンなどの燃料に対して優れた耐食性を示し、プレス成形性に優れる燃料タンク用鋼板を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)鋼板の少なくとも片面に、亜鉛系めっき層を有し、さらにその上層に、ビスフェノール型エポキシ樹脂、リン酸変性エポキシ樹脂、一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂、グリコールウリル樹脂および金属化合物により形成した有機皮膜を有し、かつ該金属化合物は少なくともV化合物を含有し、さらに前記有機皮膜全固形分に対して、前記グリコールウリル樹脂が5〜20質量%、かつ前記金属化合物が10〜20質量%であることを特徴とする燃料タンク用鋼板。
(2)前記金属化合物がさらにMg、MnおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含み、かつ前記金属化合物がリン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、フッ化物、オキソ酸塩およびホウ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物であることを特徴とする(1)の燃料タンク用鋼板。
(3)前記金属化合物として、さらに、Zn、Co、Ti、Sn、Ni、Fe、Zr、Sr、Y、Cu、Ca、W、Mo、Ba、Na、NbおよびKからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含み、かつリン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、フッ化物、オキソ酸塩、ホウ酸塩およびモリブデン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含むことを特徴とする(2)の燃料タンク用鋼板。
(4)前記亜鉛系めっき層がNiを5〜30質量%含む電気Zn−Ni合金めっき層である(1)〜(3)のいずれかの燃料タンク用鋼板。
本発明によれば、ガソリン、アルコール単独あるいはアルコール混合ガソリンなどの燃料に対して優れた耐食性を示し、プレス成形性にも優れ、かつ鉛、クロムを皮膜中に含有しない、環境に適した燃料タンク用材料として最適の鋼板を提供することができる。
本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の燃料タンク用鋼板は、鋼板の少なくとも片面に亜鉛系めっき層を有する。
亜鉛系めっき層が形成される鋼板(めっき原板)としては、以下の成分組成を有する鋼板が好適である。すなわち、C:0.0007〜0.0050質量%、Si:0.5質量%以下、Mn:2.0質量%以下、B:0.001〜0.01質量%、P:0.1質量%以下、S:0.015質量%以下、Al:0.01〜0.20質量%、N:0.01質量%以下及びTi:0.005〜0.08質量%を含み、残部鉄および不可避的不純物の組成である。なお、各成分の上記含有量が好適である理由は、次のとおりである。
C:0.0007〜0.0050質量%
Cは、深絞り性に悪影響を及ぼす成分であり、できるだけ低減することが好ましいため、C含有量の上限を0.0050質量%とした。なお、C含有量を0.0007質量%未満としても、それ以上の深絞り性の向上が得られず、逆に、より高度な脱炭処理を行う必要が生じるため、これに伴って、コストの上昇を招くので、その下限を0.0007質量%とした。
Si:0.5質量%以下、Mn:2.0質量%以下
Si及びMnは、いずれも鋼の強度を増加させる作用を有するので、所望の強度に応じて添加する。しかし、Si及びMnの添加量がそれぞれ0.5質量%及び2.0質量%を超えると、深絞り性が低下する。このため、Si及びMnの含有量は、それぞれ0.5質量%以下及び2.0質量%以下とした。
B:0.001〜0.01質量%
Bは、燃料タンク用鋼板の組成成分のうち、最も重要な成分の一つであり、特に溶接部割れを有効に防止する作用を有している。溶接部割れを防止するためには、B含有量を0.001質量%以上にすることが必要であるが、0.01質量%を超えると深絞り性が劣化する。このため、B含有量は0.001〜0.01質量%の範囲とした。尚、溶接部割れが発生する理由は、溶接時に、電極の主成分であるCuとめっき成分のZnとが液体金属を形成し、これが鋼板の結晶粒界に侵入することによって脆性割れを引き起こすことによるものと推定されるが、上述したように鋼板中にBを積極的に含有させることにより、Bが粒界に偏析し、粒界が強化される結果として、溶接部割れが抑制できるものと考えられる。より好ましくは0.001〜0.004質量%である。
P:0.1質量%以下
Pは、Bと同様に、燃料タンク用鋼板の組成成分のうち、最も重要な成分の一つである。特に、Pが粒界に偏析することにより粒界が強化され、溶接部割れを抑制する作用と鋼を強化する作用を有するので、所望の強度に応じて添加する。しかし、P含有量が0.1質量%を超えると深絞り性が劣化する。このため、P含有量は、0.1質量%以下とした。尚、特に溶接部割れをより一層抑制する必要がある場合には、P含有量を0.01〜0.05質量%の範囲にすることが好ましい。P含有量が0.01質量%未満では、溶接部割れを抑制する効果が顕著ではなくなり、また、0.05質量%を超えると深絞り性が低下する傾向があるからである。
S:0.015質量%以下
Sは、深絞り性に悪影響を及ぼす成分であり、できるだけ低減することが好ましいため、S含有量の上限を0.015質量%とした。
Al:0.01〜0.20質量%
Alは、脱酸及び炭窒化物形成元素の歩留り向上のために添加する。しかし、Al含有量が0.01質量%未満では添加効果が少なく、一方、0.20質量%を超えて含有させても含有量に見合う効果が得られない。そのため、Al含有量は0.01〜0.20質量%の範囲とした。
N:0.01質量%以下
Nは、深絞り性に悪影響を及ぼす成分であり、できるだけ低減するのが好ましいため、その含有量の上限を0.01質量%とした。
Ti:0.005〜0.08質量%
Tiは、鋼中のCと結合して炭化物として析出させ、固溶Cによる深絞り性劣化を防止する効果を有している。Ti含有量は、0.005質量%未満だと前記効果が少なく、また、0.08質量%を超えて含有させても含有量に見合う効果が得られない。そのため、Ti含有量は0.005〜0.08質量%の範囲とした。
尚、その他の組成成分については特に限定を要しないが、熱延板の結晶粒を微細化し、冷間圧延−焼鈍後の深絞り性を向上させる場合には、Nbを0.0005〜0.0050質量%の範囲内で含有させることが好ましい。
また、鋼板中に不可避的に含有する不純物成分については特に規定はしていないが、不可避不純物成分は通常含有する範囲内であればよい。例えば、不可避的不純物成分としてのOは、0.010質量%以下の範囲内であればよい。
本発明の燃料タンク用鋼板は、鋼板の少なくとも片面にZnまたはZnを主成分とするめっき層を有する。該Znを含有するめっき層(亜鉛系めっき層)は、鉄素地より卑な電位を示す。そのため、めっき層が損傷したプレス成形部においてもZnの犠牲防食作用により赤錆の発生を抑制し、耐食性を向上させることができる。
鋼板表面に亜鉛系めっき層だけが形成された場合、タンク内面では、亜鉛が酸によって溶出し、浮遊性の白色生成物が生じやすくなる。本発明では、亜鉛系めっき層の上に、後述の有機皮膜を有することで、この皮膜のバリアー効果によってZnの溶出を十分に抑制することができる。
本発明の燃料タンク用鋼板はタンク内面側の面に亜鉛系めっき層と有機皮膜を有することにより燃料に対して優れた耐食性を有し、タンク形状へのプレス成形性を有するものであり、タンク外面側の面はめっきのない鋼板であってもよく、亜鉛系めっき層まま、またはさらに本発明の有機皮膜又は他の皮膜を有していても良い。
亜鉛系めっき層としては、特に限定はしないが、例えば電気亜鉛めっき、電気亜鉛−ニッケル合金めっき、電気亜鉛−コバルト合金めっき、電気亜鉛−鉄合金めっき、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融亜鉛−アルミニウムめっき、溶融亜鉛−マグネシウムめっき、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウムめっきなどの他、シリカ、アルミナ、有機樹脂などをめっき層中に分散させた亜鉛系分散めっきや、これらを積層した多層めっきなどで形成する場合が挙げられる。
亜鉛−ニッケル合金めっきは、従来のガソリンと異なった燃料、すなわちアルコール燃料あるいはアルコール含有ガソリン燃料などに含まれる、水分、あるいはホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド等のアルコール酸化物、蟻酸、そして酢酸等の不純物による腐食を抑制する働きがあることから、少なくともタンク内面となる鋼板面(燃料と接する面)に電気亜鉛−ニッケル合金めっきを用いることが好適である。
電気亜鉛−ニッケル合金めっき層は、Niを5〜30質量%含み、残部Znからなる成分組成が好ましい。すなわち、Ni含有量が5質量%以上であると、Ni添加の効果が発揮され、皮膜欠陥部からのめっき層の腐食が早期に生じることなく十分な耐食性を発揮することができる。一方、Ni含有量が30質量%以下とすると、該めっき層の硬度が高すぎることがないため、腐食の起点となるめっき割れがプレス成形時に生じず、タンク成形品としての耐食性が確保できる。
亜鉛系めっき層の付着量は、片面当たり1〜200g/m2とすることが好ましい。めっき層の付着量が1g/m2以上で充分な耐食性が得られ、一方200g/m2以下で、溶接性を劣化させることなく、充分な耐食性の向上効果が期待できるからである。前記付着量は、より好ましくは10〜100g/m2の範囲である。
また、本発明では鋼板の少なくとも片面に形成した亜鉛系めっき層上に、Pb、Cr等の環境負荷物質を含まない有機皮膜を形成させる。
本発明の有機皮膜は、(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(b)リン酸変性エポキシ樹脂、(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂、(d)グリコールウリル樹脂および(e)金属化合物により形成された硬化有機皮膜であり、前記(e)金属化合物は少なくともV化合物を含有するものである。この有機皮膜は、基板である亜鉛系めっき鋼板に強固に密着している。本発明において、硬化は完全硬化、半硬化または部分硬化を言う。
この有機皮膜は、亜鉛系めっき層に対して強固に密着するとともに、その表面を被覆することにより、亜鉛系めっき層の表面への腐食因子の侵入を防止して、タンク内外面において優れた耐食性を発揮する作用があり、加えて皮膜厚が薄くても耐食性が確保できるために、抵抗溶接時には溶接電流の通電経路が確保でき、燃料タンク用鋼板として良好な溶接性を得ることが可能となる。
有機皮膜の膜厚は0.1〜5μmであるのが好ましく、0.5〜2.0μmであるのがより好ましく、0.7〜1.5μmであるのが特に好ましい。厚さが5μmを超えると、耐食性の向上効果はあるものの、厳しい加工を受ける際に有機皮膜がパウダリングする場合がある。一方厚さが0.1μm未満であると、耐食性の向上効果が小さくなる傾向がある。
有機皮膜の膜厚は断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察し、1視野につき任意の3箇所の膜厚を求め、少なくとも5視野を観察し、合計15箇所以上の平均値とする。
本発明の有機皮膜に使用されるエポキシ樹脂は、(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(b)リン酸変性エポキシ樹脂および(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂からなる。
(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂
(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が500〜5000のビスフェノール型エポキシ樹脂であるのが好ましく、900〜4000であるのがさらに好ましい。エポキシ当量が500未満であると、グリコーリウリル樹脂との反応率が上がらず、所望の硬化皮膜が得られず、耐食性が低下するおそれがある。逆にエポキシ当量が5000を超えると、エポキシ基が反応しにくくなり、所望の硬化皮膜が得られず、耐食性が劣化するおそれがある。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などであり、さらにはそれらの二級水酸基をポリイソシアネートなどで架橋したものでもよい。
(b)リン酸変性エポキシ樹脂
(b)リン酸変性エポキシ樹脂は、エポキシ当量が500以下のビスフェノール型エポキシ樹脂にリン酸化合物を反応させて得られたものが好ましい。エポキシ当量が500を超えると、得られる(b)リン酸変性エポキシ樹脂のP−OH基の含有量が少なくなるため、所望の硬化皮膜が得られないおそれがある。
リン酸化合物は、リン原子に結合する水酸基を2個以上有するリン酸類であり、五酸化二リンを水和して得られる酸を総称したものである。具体的には、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸などが挙げられるが、好ましいのはオルトリン酸である。また、モノメチルリン酸、モノオクチルリン酸、モノフェニルリン酸などのリン酸モノエステルを使用することもできる。
また、(b)リン酸変性エポキシ樹脂は、アミンで中和することによってより安定な水性樹脂組成物を生成するので、その使用が好ましい。アミンとしては、例えば、アンモニア、ジメタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン、ジメチルエタノールアミンなどのアルキルアルカノールアミンなどが挙げられる。
(b)リン酸変性エポキシ樹脂は、P−OH基当量が150〜1000、好ましくは300〜800である。P−OH基当量が150未満の場合には、表面処理剤として使用した場合に、べたつきを生じて使用が困難となり、1000を超えた場合には、金属板との密着性が低下するおそれがある。
(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂
(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂は、エポキシ当量が好ましくは500〜5000、より好ましくは900〜4000のビスフェノール型エポキシ樹脂を、一級アミン、二級アミン、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、またはカルボン酸化合物などと反応させて得たエポキシポリオール樹脂であるのが好ましい。(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は好ましくは550〜40000、より好ましくは600〜25000である。エポキシ当量が550未満であると、グリコールウリル樹脂との反応率が上がらず、所望の硬化皮膜が得られず、耐食性が低下するおそれがある。逆に、40000を超えると、エポキシ基の反応が起きにくく、所望の硬化皮膜が得られず、耐食性が低下するおそれがある。
(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂を製造する際に使用される一級アミンまたは二級アミンとしては、モノエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルアミノプロピルエタノールアミンまたはジブチルアミン、ジオクチルアミンなどのジアルキルアミンなどのアルカノールアミンが挙げられる。中でも、ジエタノールアミンなどを用いて得られる一級水酸基を有するエポキポリオール樹脂は低温でも硬化が可能となるため好ましい。
一級アミン、二級アミン、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸またはカルボン酸化合物などのビスフェノール型エポキシ樹脂に対する当量比率は、生成される(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂のエポキシ当量を好ましくは600〜25000に維持できるように決定されるが、通常はエポキシ基1当量に対して0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量である。
(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(b)リン酸変性エポキシ樹脂と(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂の混合比は、(a)/(b)/(c)=10/10/80〜10/40/50が好ましく、10/20/70〜10/30/60がより好ましい。該組成比から逸脱する場合には、エポキシ樹脂の高分子化が不十分で、脱水(脱アルコール)縮合に関与するグリコールウリル樹脂が不足し、耐食性が劣化するおそれがある。
(d)グリコールウリル樹脂
本発明において、グリコールウリル樹脂は、グリコールウリルの1−,3−,4−,6−のアミノ基の全部または一部にメチロール、ブチロールなどが付加した誘導体、メチル化、メチル/エチル化、ブチル化などのアルキルエーテル化誘導体、メチロールなどを介して縮合してなるオリゴマーおよびそれらのアルキル誘導体を言う。好適なのはテトラメチロール化グリコールウリルとそのオリゴマーである。
本発明の有機皮膜は、湿潤密着性に優れ、さらに耐食性にも優れるが、これはエポキシ樹脂がグリコールウリル樹脂により硬化されることにより達成される。すなわち、グリコールウリル樹脂の柔軟な構造が、形成された硬化皮膜の硬く脆い構造に強靱性を付与する。また、硬化皮膜のグリコールウリル構造によって、下地の金属板との密着性も増す。これにより、有機皮膜への環境中の塩素イオンなどの腐食因子の侵入の抑止力が増すとともに、有機皮膜/下地境界面への毛細管現象による腐食因子の侵入濃化の抑止力も増すため耐食性が改善される。さらに金属化合物の存在が、耐食性の向上を増大させる。
グリコールウリル樹脂によるエポキシ樹脂の硬化は、下記の機構によるものと推定される。
(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂、(b)リン酸変性エポキシ樹脂および(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂が有するエポキシ基と水酸基[(b)リン酸変性エポキシ樹脂の場合、リン原子に結合した水酸基]とが互いに付加して高分子化される際に生成した水酸基、およびエポキシ樹脂中に存在していた水酸基が、表面処理剤を150〜240℃近辺の温度で焼付けする際に、グリコールウリル樹脂の水酸基(メチロール基、アルキルメチロール基など)と脱水(脱アルコール)縮合して、エポキシ樹脂が硬化される。硬化されたエポキシ樹脂のグリコールウリル構造および水酸基構造が、金属板の素地との強固な湿潤密着性に寄与し、その結果として腐食性の強いアルコールと蟻酸の混合されたアルコール系燃料に対して優れた耐食性を発現するものと推定される。
グリコールウリル樹脂は皮膜全固形分に対して5〜20質量%とする。20質量%超であるとグリコールウリル樹脂の残存率が高くなり、耐食性が劣化する。また5質量%未満であるとグリコールウリル樹脂が不足し、十分な硬化皮膜が得られず耐食性が劣化する。
(e)金属化合物
本発明において、有機皮膜に使用される金属化合物は、少なくともV化合物を含有することが必要である。また、該金属化合物は、さらにMg、MnおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物であることが好ましく、これらにさらに、Zn、Co、Ti、Sn、Ni、Fe、Zr、Sr、Y、Cu、Ca、W、Mo、Ba、Na、NbおよびKからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を併用することがより好ましい。特に好ましいのはV化合物と、Mg、MnおよびAlの金属化合物を併用する場合であり、これらにさらに、他の金属化合物、特にZn化合物を併用する場合である。
前記V化合物は、バナジン酸塩が好ましい。バナジン酸塩としては、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、バナジン酸ストロンチウム、バナジン酸水素ナトリウム、リンバナジン酸等のメタバナジン酸塩、ピロバナジン酸塩、オルトバナジン酸塩、ポリバナジン酸塩等が挙げられ、これらの一種以上を使用することができる。より好ましいのはアンモニウム塩である。
前記Mg、MnおよびAlの金属化合物は、リン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、フッ化物、オキソ酸塩およびホウ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物であることが好ましい。より好ましいのはリン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、オキソ酸塩およびホウ酸塩である。
前記他の金属化合物は、リン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、フッ化物、オキソ酸塩、ホウ酸塩およびモリブデン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物であることが好ましい。より好ましいのはリン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、オキソ酸塩およびホウ酸塩である。
金属化合物は、皮膜全固形分に対し、10〜20質量%とする。10質量%未満、20質量%を超えると耐食性が劣る。金属化合物を併用する場合の各化合物の質量比に特に制限はないが、例えばMg、MnおよびAlの金属化合物を併用する場合、Mg/Mn/Al=1/1/1〜5/5/1が好ましい。
金属化合物は耐食性の向上に寄与する。金属化合物の存在による耐食性の向上理由については、詳細は不明であるが、亜鉛めっき鋼板の場合は、次のように推定される。一般にめっき表層は時間の経過により酸化され酸化物で覆われるため、表面処理剤の濡れや、これを焼き付け形成した有機皮膜の密着性が不充分となる。金属化合物を表面処理剤に添加することにより、金属化合物がめっき表層に強固に析出付着し、析出付着した金属化合物が酸化される前に、金属化合物の表層を有機皮膜が覆うことになる。つまり、めっき表層と有機皮膜との間にさらに酸化物ではない無機層を一層設けた皮膜構造に近似する状態となり、湿潤密着性が向上したものと推定される。また、本発明に使用される金属化合物は、めっき層の亜鉛の腐食生成物を安定化したり緻密化する効果もあると考えられ、このことによっても耐食性の持続効果が上がるものと推定される。さらにこの湿潤密着性向上の結果、耐ガソリン耐食性が向上するものと推定される。
さらに、腐食環境下において、表面処理した皮膜下の亜鉛めっき、特に皮膜損傷部から下記(1)のアノード反応および(2)のカソード反応によって、Zn2+とOH-が溶出し、下記(3)の腐食生成物の形成反応および(4)の脱水反応によって導電性のZnOを生成する。結果として腐食が進行する。この際、皮膜損傷部(腐食部)に、金属イオンMen+存在すると下記(5)の反応によって、MeとZnからなる安定な腐食生成物が形成され、耐食性が発揮されると推定される。
Zn→Zn2++2e- (1)
2O+1/2O2+2e-→2OH- (2)
Zn2++2OH-→Zn(OH)2 (3)
Zn(OH)2→ZnO+H2O (4)
Men++Zn2++xOH-→(Me,Zn)(OH)x (5)
本発明の有機皮膜は、金属化合物を使用していることで、耐食性に優れるが、より耐食性の改善を図る場合には、強靱な皮膜を形成し得るウレタン樹脂を含有させると効果的である。すなわち、ウレタン樹脂の含有により、有機皮膜への腐食因子の侵入の抑止力が上がり、耐食性が改善される。その上、有機皮膜の密着性も改善される。ウレタン樹脂としては、エーテル骨格またはさらにエーテル・エステル骨格を有する自己乳化型のアニオン性ウレタン樹脂が好適である。ウレタン樹脂は、皮膜全固形分に対して5〜20質量%含有されるのが好ましい。
本発明の有機皮膜にさらにプレス成形性を向上させる目的でさらに撥水剤を含有してもよい。撥水剤は疎水性であるため、有機皮膜の表層に濃化する傾向がある。そのため、有機皮膜への腐食因子の侵入を表層で抑止し、耐食性を改善する。その上、湿潤密着性をも改善する。撥水剤はフッ素樹脂、ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックスで被覆した樹脂などである。撥水剤は、表面処理剤の固形分に対して5〜20質量%含有されるのが好ましい。本発明の有機皮膜には、有機皮膜に添加して各種性能を付与、向上させることができる各種添加剤をさらに含有させることができる。例えば、密着性のさらなる改善のためにシランカップリング剤などを含有させることができる。
次に本発明の燃料タンク用鋼板の製造方法について説明する。
本発明に適用される鋼板(めっき原板)は通常のプロセスで製造される鋼板でよい。この鋼板に電気めっき設備で電気亜鉛系めっき又は溶融めっき設備で溶融亜鉛系めっきを施し、鋼板の少なくとも片面に亜鉛系めっき層を形成した鋼板を得る。
本発明の有機皮膜は、有機皮膜に使用される各種成分を含有する表面処理剤を調製し、それを鋼板の亜鉛系めっき層表面に塗布し、硬化することにより形成される。表面処理剤は、エポキシ樹脂、グリコールウリル樹脂および金属化合物、必要に応じて撥水剤、さらにウレタン樹脂などを、水性溶媒に添加し、攪拌混合して調製された水性溶液または水性分散液である。必要に応じて、加熱し、ノニオン系乳化剤を使用して水性化し、調製してもよい。表面処理剤の濃度は、有機樹脂の安定性が確保される固形分範囲であればよく、固形分濃度として5〜35質量%程度である。
本発明の有機皮膜は、鋼板表面に、表面処理剤をロールコート、スプレー塗装、刷毛塗り、浸漬塗装、カーテンフローなどの手段により接触させ、リンガーロールで押圧し、乾燥して、焼付けすることにより、水性溶媒が揮発し、エポキシ樹脂の硬化が進行することにより形成される。鋼板表面は、有機皮膜の形成前に、予め前処理してもよく、リン酸塩処理などの化成処理を施してもよい。塗布量・付着量は前記した有機皮膜の膜厚の範囲内となるように調整するが、化成処理層などを設けた場合には化成処理層も合計した全皮膜の膜厚は0.1〜5μmであるのが好ましい。
焼付けは、最高到達板温として150〜240℃程度で実施される。焼付け温度が下限値を下回る場合には、硬化がやや不充分であったり、有機皮膜中に溶媒が残存するので、やや耐食性に劣ることがある。また焼付け温度が上限値を上回る場合には、特に問題はないが、有機皮膜中の成分の部分的な分解による黄変が認められることがある。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(1)亜鉛系めっき鋼板の作製
C:0.0015質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.08質量%、P:0.011質量%、S:0.008質量%、Al:0.05質量%、N:0.0019質量%、Ti:0.035質量%、Nb:0.003質量%、B:0.004質量%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる板厚1.0mmの冷延鋼板の片面に、各種電気亜鉛系めっきまたは溶融亜鉛系めっきを施し、下記の亜鉛系めっき鋼板を作成した。
・亜鉛系めっき鋼板
鋼板A;電気亜鉛めっき鋼板(Zn:20g/m2
鋼板B;電気亜鉛−ニッケルめっき鋼板(Zn+Ni:20g/m2、Ni:12質量%)
鋼板C;溶融亜鉛めっき鋼板(Zn:60g/m2
鋼板D;合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Zn:60g/m2、Fe:10質量%)
鋼板E;亜鉛−5%アルミニウムめっき鋼板(60g/m2、Al:5質量%)
鋼板F;亜鉛−55%アルミニウムめっき鋼板(60g/m2、Al:55質量%)
(2)表面処理剤の調製
下記のエポキシ樹脂(a)〜(c)、グリコールウリル樹脂、ウレタン樹脂、金属化合物、撥水剤を表1に記載した割合(全固形分100質量部に対する割合)で、水に添加し、常温で攪拌混合して水性表面処理剤を調製した。
・エポキシ樹脂(a)〜(c)
(a)ビスフェノール型エポキシ樹脂は、下記の方法で製造した。
エポキシ当量1950のビスフェノールA型エポキシ樹脂(a)680gにプロピレングリコールモノメチルエーテル132gを添加し、ついでノニオン系乳化剤(“アデカプルロニックF68”)84gを添加し、均一溶液にした後、水649gを徐々に添加して、3軸ミキサーを用いて、エポキシ当量4000、固形分濃度50質量%のエポキシ樹脂エマルジョンを得た。
(b)リン酸変性エポキシ樹脂は、下記の方法で製造した。
オルトリン酸85gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル140gを仕込み、エポキシ当量の異なる各種スフェノールA型エポキシ樹脂425gを徐々に添加し、80℃で2時間反応させた。反応終了後、50℃以下で、29質量%アンモニア水溶液150gを徐々に添加し、さらに水1150gを添加して、酸価35、固形分濃度25質量%のリン酸変性エポキシ樹脂のアミン中和物(アニオン型)を得た。
(c)一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂は、下記の方法で製造した。
各種エポキシ当量のビスフェノール型エポキシ樹脂1950gをプロピレングリコールモノメチルエーテル876gに溶解し、ついでジエタノールアミン78.8gを添加して、100℃で3時間反応させ、変性エポキシ樹脂エマルジョンを得た。ついでノニオン系乳化剤(“アデカプルロニックF68”)256gを添加し、均一にした後、水2553gを徐々に添加して、3軸ミキサーを用いて、エポキシ当量が異なる固形分40重量%の一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂エマルジョンを得た。
・グリコールウリル樹脂
“サイメル1170”(完全ブチル化グリコールウリル樹脂、三井サイテック(株)製)
・ウレタン樹脂
“スーパーフレックス126”(エステル・エーテル系、アニオン性、第一工業製薬(株)製)
・金属化合物:
V化合物
(a):メタバナジン酸アンモニウム
(b):バナジン酸ナトリウム
(c):オルトバナジン酸ナトリウム
(d):メタバナジン酸
金属化合物Mg−P:リン酸マグネシウム
金属化合物Mg−H:水酸化マグネシウム
金属化合物Mg−N:硝酸マグネシウム
金属化合物Mg−B:ホウ酸マグネシウム
金属化合物Mn−C:炭酸マンガン
金属化合物Mn−P:リン酸マンガン
金属化合物Al−H:水酸化アルミニウム
金属化合物Al−A:酢酸アルミニウム
金属化合物Al−F:フッ化アルミニウム
金属化合物Zn−N:硝酸亜鉛
金属化合物Co−N:硝酸コバルト
金属化合物Ti−N:硝酸チタン
金属化合物Ni−N:硝酸ニッケル
金属化合物Ni−H:水酸化ニッケル
金属化合物Zr−H:水酸化ジルコニウム
金属化合物Sr−N:硝酸ストロンチウム
金属化合物Ca−N:硝酸カルシウム
金属化合物Ba−N:硝酸バリウム
金属化合物Na−Mo:モリブデン酸ナトリウム
金属化合物K−B:ホウ酸カリウム
・撥水剤;
“Hydrocer6099”(ポリエチレン外殻被覆フッ素樹脂エマルジョン、シャムロック(株)製)
(3)亜鉛系めっき鋼板表面への有機皮膜の形成
鋼板A〜Fのめっき表面に(2)で調製した表面処理剤をロールコート塗装した。20秒で最高到達板温が180℃となるように加熱して、膜厚が0.8〜1.2μmの有機皮膜を形成させた供試鋼板を作製した。作製した供試鋼板の各種特性を評価した。評価方法を以下に記載する。評価結果を表2に記載した。
[プレス成形性]
下記の条件で円筒成形を行い、限界絞り比を調査した。
・塗油:防錆油Z5(出光石油製)1g/m2
・ポンチ径と形状:33mmφ平底円筒
・クリアランス:1mm
・しわ押さえ荷重:3t
・絞り速度:60mm/s
・ポンチ側を有機皮膜面とする
各サンプルの限界絞り比(絞りぬけたサンプルのブランク径/ポンチ径のうち最大の値)を求め、次の基準によりプレス成形性を評価した。
○:限界絞り比2.1以上
△:限界絞り比2.0以上2.1未満
×:限界絞り比2.0未満
[耐ガソリン耐食性]
平面部(成形前の平板サンプル)と、上記のプレス成形性評価において成形(ブランク径60mm)したカップ内面とについて評価した。平面部を評価する場合には、20mm×100mmの試験片を、無鉛ガソリンと蟻酸水溶液(蟻酸濃度:500volppm)との質量比が1:1の燃料中に浸漬し、常温で1箇月浸漬後の赤錆発生面積率(%)を測定した。成形部を評価する場合には、カップ内面に前記燃料をカップの容積の約80%投入し、常温で1箇月放置後のカップ内面の赤錆発生面積率(%)を測定した。なお、前記燃料は比重の違いにより下層に蟻酸水溶液、上層に無鉛ガソリンと分離するので、それぞれの部位における赤錆発生面積率を測定し、下記の基準で耐食性を評価した。
○:赤錆発生面積率<50%
△:50%≦赤錆発生面積率<80%
×:80%≦赤錆発生面積率
[SST環境での平板部耐食性]
試験片を70mm×150mmの大きさに剪断後、端面部をシールし、中性塩水噴霧試験(JIS Z 2371−2000)に準拠した塩水噴霧試験を行い、各試験片表面の面積の5%に錆が発生するまでに要する時間を下記の評価基準に従って評価した。
◎:120時間以上
○:96時間以上120時間未満
△:72時間以上96時間未満
×:72時間未満
[SST環境でのクロスカット部密着性;湿潤密着性]
試験片を70mm×150mmの大きさに剪断後、その表面に地鉄に到達するクロスカット傷をカッターナイフでつけ、供試材を作成した。クロスカット部を表面にして塩水噴霧試験を行い、クロスカット部分の平均剥離幅(片側)で評価する。
◎:0mm
○:0mm超1mm以下
△:1mm超2mm以下
×:2mm超
[CCT環境での加工部耐食性]
試験片を70mm×150mmの大きさに剪断後、エリクセン試験で9mmの張り出し加工を行い(表面が凸)、供試材を作製した。CCT条件として塩水噴霧8時間−休止16時間を1サイクルとして、上記加工材に錆が発生するまでのサイクル数で評価する。
◎: 4サイクル以上
○: 3サイクル
△: 2サイクル
×: 1サイクル以下
[シーム溶接性]
・電極:クロム−銅合金、断面が15mmRの中央部4.5mm幅、端部4mmRの8mm幅の円盤状電極
・溶接方法:二枚重ね、ラップシーム溶接
・加圧力:4000kgf(3920N)
・通電時間2/50秒通電ON、1/50秒通電OFF
・冷却:内部水冷
・溶接スピード:2.5m/min
・溶接電流:変化
上記の条件下でサイズが500×300mmの試験片の有機皮膜面同士を接触させて溶接を行い、Tピール引っ張り試験による母材破断の有無や、ナゲットラップの程度から適正な溶接電流(kA)の範囲を求め、適正電流範囲の幅から下記の基準により抵抗溶接性を評価した。
○:3kA≦適正電流範囲の幅
△:1kA≦適正電流範囲の幅<3kA
×:適正電流範囲の幅<1kA
Figure 2007186745
Figure 2007186745
発明例の各鋼板は、プレス成形性および耐ガソリン耐食性に優れ、またSSTでの耐食性、CCTでの耐食性、湿潤密着性、シーム溶接性にも優れる。これに対して、比較例の鋼板はプレス成形性と耐ガソリン耐食性が劣り、湿潤密着性,CCT試験での耐食性も劣る。
本発明の鋼板は、ガソリン用、アルコール単独あるいはアルコール混合ガソリンなどのアルコール系燃料タンクに使用する鋼板として利用することができる。

Claims (4)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、亜鉛系めっき層を有し、さらにその上層に、ビスフェノール型エポキシ樹脂、リン酸変性エポキシ樹脂、一級水酸基を有する変性エポキシ樹脂、グリコールウリル樹脂および金属化合物により形成した有機皮膜を有し、かつ該金属化合物は少なくともV化合物を含有し、さらに前記有機皮膜全固形分に対して、前記グリコールウリル樹脂が5〜20質量%、かつ前記金属化合物が10〜20質量%であることを特徴とする燃料タンク用鋼板。
  2. 前記金属化合物がさらにMg、MnおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含み、かつ前記金属化合物がリン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、フッ化物、オキソ酸塩およびホウ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク用鋼板。
  3. 前記金属化合物として、さらに、Zn、Co、Ti、Sn、Ni、Fe、Zr、Sr、Y、Cu、Ca、W、Mo、Ba、Na、NbおよびKからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含み、かつリン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、フッ化物、オキソ酸塩、ホウ酸塩およびモリブデン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の燃料タンク用鋼板。
  4. 前記亜鉛系めっき層がNiを5〜30質量%含む電気Zn−Ni合金めっき層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の燃料タンク用鋼板。
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