JP2005206947A - 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 防食に有効なバリア層とめっき金属との反応層を、二層皮膜としてではなく単層皮膜内に実現させることにより高度の耐食性が得られるようにした表面処理鋼板であり、亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、(a)エポキシ基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応生成物であって、且つ前記活性水素含有化合物の一部又は全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸とを含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜を有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
具体的には、以下のような方法を挙げることができる。
(1) タンニン酸などの多価フェノールカルボン酸とシランカップリング剤を配合した処理液に浸漬しまたは処理液を塗布することにより皮膜を形成する方法(例えば、特許文献1,2)
(2) 有機樹脂にタンニン酸などの多価フェノールカルボン酸またはリン酸化合物を配合した処理液を用いて皮膜を形成する方法(例えば、特許文献3〜6)
(3) 有機樹脂とシランカップリング剤を配合した処理液を塗布する方法(例えば、特許文献7)
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、表面処理皮膜中にクロムなどの重金属を含まず、しかも優れた耐食性が得られる表面処理鋼板を提供することにある。
表面処理皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板の腐食は以下の過程で進む。
(1) 表面処理皮膜中に腐食因子(酸素、水、塩素イオンなど)が浸入し、これらがめっき皮膜/表面処理皮膜界面に拡散する。
(2) めっき皮膜/表面処理皮膜界面において、以下のような酸化還元反応により亜鉛が溶解する。
カソード反応:2H2O+O2+4e− → 4OH−
アノード反応:2Zn → 2Zn2++4e−
(i) 腐食因子の拡散障壁となる高度なバリア層(主として上記カソード反応を抑制する作用をする)
(ii) めっき皮膜表層を不活性化するめっき金属との反応層(主として上記アノード反応を抑制する作用をする)
を有する皮膜構成とすること、さらに好ましくは、上記反応層に欠損が生じた場合に自己補修作用が働くような皮膜構成とすることが最も効果的である。
[1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
(a)エポキシ基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応生成物であって、且つ前記活性水素含有化合物の一部又は全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、
(b)シランカップリング剤と、
(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸
を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[3] 上記[1]または[2]の表面処理鋼板において、表面処理組成物がさらに、水溶性リン酸塩を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜60重量部含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜50重量部含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物がさらに、固形潤滑剤を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で1〜50重量部含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物が、ヘキサフルオロ金属酸としてTi、Si、Zrの中から選ばれる1種以上の元素を含むヘキサフルオロ金属酸の少なくとも1種を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[10] 上記[5]〜[9]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物が、非クロム系防錆添加剤としてカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[14] 上記[11]〜[13]のいずれかの表面処理鋼板において、水性エポキシ樹脂分散液がさらに、水酸基と架橋する基を有する硬化剤を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[16] 上記[15]の表面処理鋼板において、表面処理皮膜が、さらにシラン化合物を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[17] 上記[15]または[16]の表面処理鋼板において、表面処理皮膜が、P、Znまたは/およびAl、およびOを含む析出化合物を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[19] 上記[15]〜[18]のいずれかの表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板の表面に表面処理皮膜を有する表面処理鋼板であって、非晶質化合物層中のZnとPのモル比[Zn]/[P]が0.9〜1.4であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[20] 上記[17]〜[19]のいずれかの表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板の表面に表面処理皮膜を有する表面処理鋼板であって、表面処理皮膜が含有する析出化合物中のZnとPのモル比[Zn]/[P]が0.9〜1.4であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[22] 上記[15]〜[21]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理皮膜がさらに、非クロム系防錆添加剤を、有機樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜50重量部含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
[25] 上記[15]〜[24]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理皮膜がさらに、固形潤滑剤を、有機樹脂の固形分100重量部に対して固形分で1〜50重量部含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
[26] 上記[1]〜[25]のいずれかの表面処理鋼板の皮膜厚を0.02μm以上5μm未満とした表面処理皮膜の上層に、さらに皮膜厚が0.02μm以上5μm未満の有機樹脂皮膜を有し、該有機樹脂皮膜と前記表面処理皮膜の合計の皮膜厚が5μm以下であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
(a)エポキシ基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応生成物であって、且つ前記活性水素含有化合物の一部又は全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、
(b)シランカップリング剤と、
(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸
を含有し、pHが0.5〜6に調製された表面処理組成物を塗布し、水洗することなく50℃〜300℃の到達板温で加熱乾燥し、皮膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[28] 上記[27]の製造方法により得られた表面処理鋼板の皮膜厚を0.02μm以上5μm未満とした表面処理皮膜の上層に、皮膜厚が0.02μm以上5μm未満の有機樹脂皮膜を、前記表面処理皮膜厚と合計した皮膜厚が5μm以下となるように形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板など)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mgめっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)などを用いることができる。
また、本発明の表面処理鋼板のベースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用いることができる。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解または非水溶媒中での電解)、溶融法および気相法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することもできる。
さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき皮膜中に1〜2000ppm程度のNi,Co,Feの微量元素を析出させたり、或いはめっき皮膜表面にNi,Co,Feを含むアルカリ性水溶液又は酸性水溶液による表面調整処理を施し、これらの元素を析出させるようにしてもよい。
本発明の表面処理鋼板において亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜は、
(a)エポキシ基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応生成物であって、且つ前記活性水素含有化合物の一部又は全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、
(b)シランカップリング剤と、
(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸
を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理皮膜である。この表面処理皮膜はCrを全く含まない。
エポキシ基含有樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有モノマーと共重合したアクリル系共重合体樹脂、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂およびこれらの樹脂の付加物若しくは縮合物を1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記変性エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基または水酸基に各種変性剤を反応させた樹脂を挙げることができ、例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂;アクリル酸またはメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分で変性したエポキシアクリレート樹脂;イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
また、このアクリル系共重合体樹脂はポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などによって変性させた樹脂とすることもできる。
このようなビスフェノールA型エポキシ樹脂は、当業界において広く知られた製造法により得ることができる。
・活性水素を有するヒドラジン誘導体
・活性水素を有する第1級または第2級のアミン化合物
・アンモニア、カルボン酸などの有機酸
・塩化水素などのハロゲン化水素類
・アルコール類、チオール類
・活性水素を有しないヒドラジン誘導体または第3級アミンと酸との混合物である4級塩化剤
本発明ではこれらの1種または2種以上を使用できるが、優れた耐食性を得るために活性水素含有化合物の少なくとも一部(好ましくは全部)は、活性水素を有するヒドラジン誘導体であることが必要である。
(1) ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどの1個の2級アミノ基と1個以上の1級アミノ基を含有するアミン化合物の1級アミノ基を、ケトン、アルデヒドまたはカルボン酸と例えば100〜230℃程度の温度で加熱反応させてアルジミン、ケチミン、オキサゾリンまたはイミダゾリンに変性した化合物;
(2) ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−または−ios−プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン;
(3) モノエタノールアミンなどのようなモノアルカノールアミンとジアルキル(メタ)アクリルアミドとをミカエル付加反応により付加させて得られる第2級アミン含有化合物;
(4) モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、2−ヒドロキシ−2′(アミノプロポキシ)エチルエーテルなどのアルカノールアミンの1級アミン基をケチミンに変性した化合物;
活性水素を有するヒドラジン誘導体の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
(i) カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミドなどのヒドラジド化合物;
(ii) ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ピラゾロン、3−アミノ−5−メチルピラゾールなどのピラゾール化合物;
(v) 5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどのチアジアゾール化合物;
(vi) マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ−3−ピリダゾンなどのピリダジン化合物;
また、これらのなかでも5員環または6員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有するピラゾール化合物、トリアゾール化合物が特に好適である。
これらのヒドラジン誘導体は1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明では、以上のようにして得られるエポキシ基含有樹脂と一部または全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体からなる活性水素含有化合物との反応生成物である、上記(a)の水分散性樹脂または水溶性樹脂の1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(ii) 上記(i)の化合物単独またはそれらの混合物と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価アルコール類;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトールなどの4価アルコール;ソルビトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコールなど)との反応生成物であって、1分子中に少なくとも2個のイソシアネートが残存する化合物
これらのポリイソシアネート化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
(i) メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクチルアルコールなどの脂肪族モノアルコール類;
(ii) エチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールのモノエーテル類、例えば、メチル、エチル、プロピル(n−,iso)、ブチル(n−,iso,sec)などのモノエーテル;
(iii) フェノール、クレゾールなどの芳香族アルコール;
(iv) アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシムなどのオキシム;
などが使用でき、これらの1種または2種以上と前記ポリイソシアネート化合物とを反応させることにより、少なくとも常温下で安定に保護されたポリイソシアネート化合物を得ることができる。
また、付着性など若干の物性向上を狙いとして、エポキシ基含有樹脂とともに公知のアクリル、アルキッド、ポリエステル等の樹脂を混合して用いることもできる。
(I) エポキシ基含有樹脂のエポキシ基と活性水素含有化合物である二塩基酸または第2級アミンを反応させ、中和剤である3級アミン、酢酸または燐酸などで中和、水分散化させる手法
(II) エポキシ樹脂とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの末端水酸基含有ポリアルキレンオキサイドをイソシアネートと反応させてなる変性エポキシ樹脂(a3)を分散剤に用いて、水分散化させる手法。
(III) 上記(I)と(II)を併用する手法
上記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどを用いることができるが、そのなかでも特に、ポリエチレングリコールが好適である。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、得られる樹脂の水分散性、貯蔵性などの点から400〜20000、好ましくは500〜10000の範囲が適している。
また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するビスフェノール系化合物であって、特に、ビスフェノール系化合物とエピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン)との縮合反応によって得られるビスフェノールのジグリシジルエーテルが、可撓性および防食性に優れた皮膜が得られやすいため好適である。
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂の製造時における製造安定性などの点から、一般に約310〜10000、特に望ましくは約320〜2000の数平均分子量を有していることが好ましく、また、エポキシ当量は約155〜5000、特に望ましくは約160〜1000の範囲のものが好ましい。
すなわち、ポリアルキレングリコールの水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基との当量比は1/1.2〜1/10、好ましくは1/1.5〜1/5、特に好ましくは1/1.5〜1/3とするのが適当である。また、活性水素含有化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基との当量比は1/2〜1/100、好ましくは1/3〜1/50、特に好ましくは1/3〜1/20とするのが適当である。また、ポリアルキレングリコール、ビスフェノール型エポキシ樹脂および活性水素含有化合物の水酸基の合計量とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基との当量比は1/1.5以下、好ましくは1/0.1〜1/1.5、特に好ましくは1/0.1〜1/1.1とするのが適当である。
上記で得られたポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂(A)と、このポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ基含有樹脂(B)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)と、さらに必要に応じてこのヒドラジン誘導体(C)以外の活性水素含有化合物(D)とを反応させることにより、容易に水中に分散することができ、且つ素材に対する付着性の良好な水性エポキシ樹脂分散液(X)を得ることができる。
また、エポキシ基含有樹脂(B)としては、上記エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基または水酸基に各種変性剤を反応させた樹脂を挙げることができ、例えば、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂;アクリル酸またはメタクリル酸などを含有する重合性不飽和モノマー成分で変性したエポキシアクリレート樹脂;イソシアネート化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
また、このアクリル系共重合体樹脂はポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などによって変性させた樹脂とすることもできる。
このようなビスフェノールA型エポキシ樹脂は、当業界において広く知られた製造法により得ることができる。
・活性水素を有するヒドラジン誘導体
・活性水素を有する第1級または第2級のアミン化合物
・アンモニア、カルボン酸などの有機酸
・塩化水素などのハロゲン化水素類
・アルコール類、チオール類
・活性水素を有しないヒドラジン誘導体または第3級アミンと酸との混合物である4級塩化剤
上記水性エポキシ樹脂分散液(X)を調整する際には、これらの1種または2種以上を使用できるが、優れた耐食性を得るために、活性水素含有化合物の少なくとも一部(好ましくは全部)は、活性水素を有するヒドラジン誘導体であることが必要である。すなわち、これらのうち活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)を必須成分とし、必要に応じてこのヒドラジン誘導体(C)以外の活性水素含有化合物(D)を用いる。
また、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)の一部を活性水素含有化合物(D)に置き換えることもできるが、置き換える量としては90モル%以下、好ましくは70モル%以下、より好ましくは10〜60モル%の範囲内とすることが防食性、付着性の観点から適当である。
また、ポリイソシアネート化合物の保護剤(ブロック剤)の具体例も先に述べた通りであり、それらの1種または2種以上と前記ポリイソシアネート化合物とを反応させることにより、少なくとも常温下で安定に保護された硬化剤としてのポリイソシアネート化合物を得ることができる。
このシランカップリング剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、上記シランカップリング剤のなかでも、上記(a)の水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と反応性が高い官能基を有するという観点から、特に反応性官能基としてアミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製のKBM−903、KBE−903、KBM−603、KBE−602、KBE−603(いずれも商品名)などを用いることができる。
ヘキサフルオロ金属酸の種類は特に限定されないが、特にフッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、けいフッ酸などのようなTi、Si、Zrの中から選ばれる1種以上の元素を含むヘキサフルオロ金属酸が好ましく、これらの1種または2種以上を用いることができる。
皮膜中でのリン酸塩の存在形態も特別な限定はなく、また、結晶若しくは非結晶であるか否かも問わない。また、皮膜中でのリン酸塩のイオン性、溶解度についても特別な制約はない。水溶性リン酸塩を配合することにより耐食性が向上する理由は、水溶性リン酸塩が皮膜形成時に緻密な難溶性化合物を形成するためであると考えられる。
この非クロム系防錆添加剤は、特に下記(e1)〜(e5)の群の中から選ばれる1つ以上を用いることが好ましい。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウム又はカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
これら(e1)〜(e5)の非クロム系防錆添加剤の詳細及び防食機構は以下の通りである。
コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学(株)製のスノーテックスO、20、30、40、C、S(いずれも商品名)を用いることができ、また、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL R971、R812、R811、R974、R202、R805、130、200、300、300CF(いずれも商品名)を用いることができる。また、カルシウムイオン交換シリカとしては、W.R.Grace&Co.製のSHIELDEX C303、SHIELDEX AC3、SHIELDEX AC5(いずれも商品名)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDEX、SHIELDEX SY710(いずれも商品名)などを用いることができる。これらシリカは、腐食環境下において緻密で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制する。
上記(e2)の成分であるカルシウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種または2種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカルシウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウム・マグネシウムなどのようなカルシウムとカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用してもよい。この(e2)の成分は、腐食環境下においてめっき金属である亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解し、これがカソード反応により生成したOH−と緻密で難溶性の生成物として欠陥部を封鎖し、腐食反応を抑制する。また、上記のようなシリカとともに配合された場合には、表面にカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的に中和して凝集する。その結果、緻密で且つ難溶性の保護皮膜が生成して腐食が封鎖し、腐食反応を抑制する。
なお、上記(e1)〜(e5)の防錆添加剤を2種以上複合添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特に、上記(e1)の成分としてカルシウムイオン交換シリカを用い、且つこれに(e3)、(e4)、(e5)の成分の1種以上、特に好ましくは(e3)〜(e5)の成分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得られる。
(1) ポリオレフィンワックス,パラフィンワックス:例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など
(2) フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
また、これらのなかで、ポリオレフィンワックスとテトラフルオロエチレンの併用により特に優れた潤滑効果が期待できる。
固形潤滑剤の配合量は、上記(a)の成分である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して、固形分で1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部とするのが適当である。上記(a)の成分である潤滑剤の配合量が1重量部未満では潤滑効果が乏しく、一方80重量部を超えると塗装性が低下する。
また、以上述べた表面処理皮膜の上層には、第2層皮膜として有機樹脂皮膜を形成することができる。この場合、第2層皮膜である有機樹脂皮膜の皮膜厚を0.02μm以上5μm未満、好ましくは0.05μm以上5μm未満とするとともに、第1層皮膜である上記表面処理皮膜の膜厚を0.02μm以上5μm未満、好ましくは0.05μm以上5μm未満とし、且つ両皮膜の合計が5μmを超えないようにすることが好ましい。
本発明において亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜の皮膜構造は、P、Znまたは/およびAl、およびOを含有する非晶質化合物層と、その上層のヒドラジン誘導体で変性したエポキシ基含有樹脂をマトリックスとする有機樹脂マトリックス層とからなるもので、好ましくは皮膜(非晶質化合物層または/および有機樹脂マトリックス層)中に、P、Znまたは/およびAl、およびOを含む析出化合物、さらに好ましくはP、Znまたは/およびAl、SiおよびOを含む析出化合物を含有したものである。この表面処理皮膜はCrを全く含まない。
(i) 有機樹脂によって腐食因子の拡散障壁となる高度なバリア層を形成し、カソード反応を抑制する。
(ii) 表面処理組成物とめっき皮膜表層との反応によってめっき皮膜表層に緻密な不活性層(反応層)を形成し、この不活性層によるめっき皮膜表面の不活性化作用によってアノード反応を抑制する。
ことが効果的であり、さらに好ましくは、
(iii) 上記不活性層の欠損部分(若しくは破損部分)と反応してこれを修復し、その部分から溶出しようとする亜鉛イオンなどの金属イオンを捕捉・難溶化する自己補修物質を有する(すなわち、自己補修性を有する)。
ことが効果的である。
上記非晶質化合物層は、表面処理組成物とめっき皮膜表層とが反応することにより生成した非晶質化合物の濃化層ないし皮膜であり、めっき皮膜成分であるZn,Alに由来するZnまたは/およびAlを含む化合物からなるものである。めっき鋼板が亜鉛系めっき鋼板である場合、上記非晶質化合物の組成上の特徴は、ZnとPを等モル含むこと、より具体的には、ZnとPのモル比[Zn]/[P]が0.9〜1.4である点にある。この化合物は第二リン酸塩系の化合物(例えば、ZnHPO4・2H2O)であると推定される。
この非晶質化合物層の層厚は、耐食性の点から10nm以上であることが好ましい。
非晶質化合物層を積極的に形成させるためには、表面処理組成物を塗布した後の加熱処理を誘導加熱方式(誘導加熱炉)で行うことが好ましい。これは、誘導加熱方式による加熱では、鋼板側から加熱されるためめっき皮膜と表面処理組成物との反応が促進され、非晶質化合物層の生成に有利な条件となるからである。
また、表面処理皮膜により高度な耐白錆性を付与するためには、表面処理皮膜が特定の析出化合物を含有することが好ましい。この析出化合物は、P、Znまたは/およびAl、及びOを含む非晶質の析出化合物であり、さらにこの析出化合物がSiを含むことにより、耐白錆性の向上効果がより高められる。この析出化合物中に含まれるZn,Alはめっき皮膜成分であるZn,Alに由来するものであり、また、Siは表面処理組成物に含まれるシランカップリング剤に由来するものである。
また、析出化合物にSiが含まれることによって、より優れた耐白錆性が得られる理由も必ずしも明らかではないが、Siの含有によって腐食環境下での析出化合物の溶解性が高まること、析出化合物中のSiが非晶質化合物層に取り込まれることにより、腐食過程でめっき皮膜から溶出する亜鉛イオンなどの金属イオンとの反応生成物がより安定になること、などの要因が考えられる。
めっき鋼板が亜鉛系めっき鋼板である場合、通常、表面処理皮膜が含有する析出化合物はZnとPを等モル含むものである。より具体的には、ZnとPのモル比[Zn]/[P]が0.9〜1.4であり、この化合物は第二リン酸塩系の化合物(例えば、ZnHPO4・2H2O)であると推定される。
また、表面処理皮膜を形成するための表面処理組成物は、上述したような化合物層(非晶質化合物層)や析出化合物を生成させるため水溶媒系のものである必要があり、したがって、有機樹脂も水分散性樹脂または/および水溶性樹脂が用いられる。
現在広く用いられている透過電子顕微鏡、エネルギー分散型X線分析装置により求めた皮膜断面の局所的な組成の定量値は、断面試料の作成方法、データの測定条件、データ処理法、定量補正計算法などによって変わってしまうのが実態である。これは、(i)透過電子顕微鏡で観察可能な未知試料に適した元素分析用標準試料を逐次準備することが実質的に不可能であるため、標準試料を用いない理論計算に基づく定量計算を採用せざるを得ず、そのための計算モデルが多様である、(ii)Na以下の軽元素に対するNa以上の重元素の相対濃度の定量計算方法が世界的にも確立されていない、などの理由によるものである。こうした状況に加えて、断面試料の形状や断面試料の支持台などに起因する、測定対象部分以外からの特性X線の取り扱い方も定量結果を大きく左右する。
このようにして作成した断面試料の組成分析には、電界放出型電子銃を搭載したPhilips社製の透過電子顕微鏡CM20FEGと、これに付設したSuper-UTW型検出器を備えたEDAX社製のエネルギー分散型X線分析装置Phoenixを用いた。なお、顕微鏡像観察ならびに元素分析時の加速電圧はいずれも200kVとした。
表面処理皮膜の非晶質化合物層および析出化合物のZnとPのモル比は、このようにして求めたZnとPの原子濃度の比として求めることができる。
亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に上記表面処理皮膜を形成するには、上述した組成を有する表面処理組成物(処理液)を乾燥皮膜厚が上記範囲となるようにめっき鋼板面に塗布し、水洗することなく加熱乾燥させる。
表面処理組成物(処理液)はpH0.5〜6、好ましくは2〜4に調整することが望ましい。表面処理組成物のpHが0.5未満では処理液の反応性が強すぎるため外観ムラが生じ、一方、pHが6を超えると処理液の反応性が低くなり、めっき金属と皮膜との結合が不十分となり耐食性が低下する。
また、上記のようにして形成された表面処理皮膜の上層に第2層皮膜として有機樹脂皮膜を形成する場合には、第2層皮膜用の処理組成物を上述した膜厚となるよう上記表面処理皮膜面に塗布し、加熱乾燥させる。処理組成物の塗布や加熱乾燥は、上述した表面処理皮膜の形成に用いた方法に準じて行えばよい。
[1] 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
(a)エポキシ基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応生成物であって、且つ前記活性水素含有化合物の一部又は全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、
(b)シランカップリング剤と、
(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸
を含有し、pHが0.5〜6に調製された表面処理組成物を塗布し、水洗することなく50℃〜300℃の到達板温で加熱乾燥し、皮膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[3] 上記[1]または[2]の製造方法において、表面処理組成物がさらに、水溶性リン酸塩を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜60重量部含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、表面処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜50重量部含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
[8] 上記[1]〜[7]のいずれかの製造方法において、表面処理組成物が、シランカップリング剤として、反応性官能基としてアミノ基を有するシランカップリング剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[10] 上記[5]〜[9]のいずれかの製造方法において、表面処理組成物が、非クロム系防錆添加剤としてカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[14] 上記[11]〜[13]のいずれかの製造方法において、水性エポキシ樹脂分散液がさらに、水酸基と架橋する基を有する硬化剤を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[15] 上記[1]〜[14]のいずれかの製造方法において、皮膜厚が0.05〜5μmの表面処理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
[17] 上記[15]の製造方法により得られた表面処理鋼板の皮膜厚を0.05μm以上5μm未満とした表面処理皮膜の上層に、皮膜厚が0.05μm以上5μm未満の有機樹脂皮膜を、前記表面処理皮膜厚と合計した皮膜厚が5μm以下となるように形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
表面処理組成物用の樹脂組成物として表2に示す水分散性樹脂を用い、これにシランカップリング剤(表3)、リン酸またはヘキサフルオロ金属酸(表4)、水溶性リン酸塩(表5)、非クロム系防錆添加剤(表6)、固形潤滑剤(表7)を適宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間攪拌し、表面処理組成物を調製した。
得られた表面処理鋼板の皮膜組成と品質性能(皮膜外観、耐白錆性、導電性、塗料密着性)を評価した結果を表8〜表19に示す。なお、品質性能の評価は以下のようにして行った。
各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無し)を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○ :ムラが全く無い均一な外観
△ :ムラが若干目立つ外観
× :ムラが目立つ外観
(2)耐白錆性
各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を施し、120時間経過後の白錆面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上、10%未満
○−:白錆面積率10%以上、25%未満
△ :白錆面積率25%以上、50%未満
× :白錆面積率50%以上
JIS C 2550により層間絶縁抵抗値を測定した。評価基準は以下の通りである。
○ :3Ω・cm2/枚未満
△ :3〜5Ω・cm2/枚
× :5Ω・cm2/枚超え
(4)塗料密着性
各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料を塗装(膜厚30μm)した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁盤目(10×10個,1mm間隔)のカットを入れて接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積率を測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:剥離なし
○:剥離面積率5%未満
△:剥離面積率5%以上、20%未満
×:剥離面積率20%以上
*1:表1に記載のNo.(めっき鋼板)
*2:表2に記載のNo.(水分散性樹脂)
*3:表3に記載のNo.(シランカップリング剤)
*4:表4に記載のNo.(リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸)
*5:表5に記載のNo.(水溶性リン酸塩)
*6:表6に記載のNo.(防錆添加剤)
*7:表7に記載のNo.(固形潤滑剤)
*8:水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対する重量部
表面処理組成物用の樹脂組成物として表20に示す水性エポキシ樹脂分散液を用い、これにシランカップリング剤(表3)、リン酸またはヘキサフルオロ金属酸(表4)、水溶性リン酸塩(表21)、非クロム系防錆添加剤(表6)、固形潤滑剤(表7)を適宜配合し、さらにアンモニア水、硝酸、酢酸、硫酸、リン酸、ヘキサフルオロ金属酸等でpHを0.5〜6に調整した後、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間撹拌し、表面処理組成物を調製した。
得られた表面処理鋼板の皮膜組成と品質性能(皮膜外観、耐白錆性、導電性、塗料密着性)を評価した結果を表22〜表33に示す。なお、品質性能の評価は[実施例1]と同様にして行ったが、耐白錆性については、168時間経過後の白錆面積率で評価した。
・ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂の製造
製造例1
温度計、撹拌機、冷却管を備えたガラス製4ツ口フラスコに、数平均分子量4000のポリエチレングリコール1688gとメチルエチルケトン539g加え、60℃で撹拌混合し均一透明になった後、トリレンジイソシアネート171gを加え、2時間反応させた後、エピコート834X90(エポキシ樹脂,シェルジャパン社製、エポキシ当量250)1121g、ジエチレングリコーリエチルエーテル66gおよび1%ジブチルチンジラウレート溶液1.1gを添加し、さらに2時間反応させた。その後80℃まで昇温し、3時間反応させてイソシアネート価が0.6以下になったことを確認した。その後90℃まで昇温し、減圧蒸留により固形分濃度が81.7%になるまでメチルエチルケトンを除去した。除去後、プロピレングリコールモノメチルエーテル659g、脱イオン水270gを加えて希釈し、固形分濃度76%のポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を得た。
製造例2
EP1004(エポキシ樹脂,油化シェルエポキシ社製,エポキシ当量1000)2029gとプロピレングリコールモノブチルエーテル697gを四つ口フラスコに仕込み、110℃まで昇温して1時間で完全にエポキシ樹脂を溶解した。このものに、製造例1で得たポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を1180gおよび3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(分子量84)311.7g加えて100℃で5時間反応させた後、プロピレングリコールモノブチルエーテル719.6gを加えて樹脂溶液D1を得た。
上記樹脂溶液D1を257.6gにMF−K60X(イソシアネート硬化剤,旭化成工業社製)50gおよびScat24(硬化触媒)0.3gを混合し、よく攪拌した後、水692.1gを少しずつ滴下・混合撹拌し、水性エポキシ樹脂分散液E1を得た。
EP1004(エポキシ樹脂,油化シェルエポキシ社製,エポキシ当量1000)2029gとプロピレングリコールモノブチルエーテル697gを四つ口フラスコに仕込み、110℃まで昇温して1時間で完全にエポキシ樹脂を溶解した。このものに、製造例1で得たポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂溶液A1を1180gおよびプロピレングリコールモノブチルエーテル527.0gを加えて樹脂溶液D2を得た。
上記樹脂溶液D2を257.6gにMF−K60X(イソシアネート硬化剤,旭化成工業社製)50g及びScat24(硬化触媒)0.3gを混合しよく攪拌した後、水692.1gを少しずつ滴下・混合撹拌し、水性エポキシ樹脂分散液E2を得た。
*1:表1に記載のNo.(めっき鋼板)
*2:表20に記載のNo.(水分散性樹脂)
*3:表3に記載のNo.(シランカップリング剤)
*4:表4に記載のNo.(リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸)
*5:表21に記載のNo.(水溶性リン酸塩)
*6:表6に記載のNo.(防錆添加剤)
*7:表7に記載のNo.(固形潤滑剤)
*8:水分散性樹脂の固形分100重量部に対する重量部
本発明例1〜3では、表20のNo.1の水性エポキシ樹脂分散液に対して、表3のNo.1のシランカップリング剤とリン酸を配合した表面処理組成物を用いた。また、比較例では表20のNo.1の水性エポキシ樹脂分散液のみからなる表面処理組成物を用いた。これら表面処理組成物を、表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥した表1のNo.1のめっき鋼板にロールコーターにより塗布し、140℃で加熱乾燥して0.5μmの膜厚の表面処理皮膜を形成させた。
◎ :168時間以上
○ :96時間以上、168時間未満
○−:72時間以上、96時間未満
△ :24時間以上、72時間未満
× :24時間未満
・比較例
図1に比較例の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真(明視野像)を示す。比較例の表面処理皮膜は有機樹脂のバリア層のみからなるものであるため、表34に示されるように耐白錆性は不十分である。
図2に本発明例1の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真(明視野像)を、図3に皮膜断面の組成分析結果(ライン分析:縦軸は原子濃度で表示。なお、C濃度は大半がオーバースケールとなるため記載を省略。後述する図5、図7についても同様)を、それぞれ示す。これらによれば、下層部分がP、ZnおよびOを含み且つZnとPを等モル含んだ化合物層(非晶質化合物層)、上層部分が有機樹脂マトリックス層からなる表面処理皮膜が形成されていることが判る。電子回折パターンによると、上記化合物層は非晶質状である。なお、図3(後述する図5、図7についても同様)において、化合物層中のZnとPが亜鉛めっき皮膜側で等モルからZnリッチ側に乖離するのは、電子ビームのプローブ径が有限の大きさを有するため(亜鉛めっき層そのものと化合物層が、化合物層/めっき層界面で同時にプローブ径内に含まれることによる影響)である。
表34に示されるように、本発明例1は白錆発生時間にして比較例の3倍以上の耐食性を有している。
図4に本発明例2の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真(明視野像。なお、図4中の矢印は析出化合物を示し、斜め破線は図5のライン分析位置に対応する)を、図5に皮膜断面の組成分析結果(グラフ中の下向き矢印は析出化合物の位置に対応する)を、それぞれ示す。これらによれば、本発明例1と同様に、表面処理皮膜の下層部分にはP、ZnおよびOを含み且つZnとPを等モル含んだ化合物層(非晶質化合物層)が形成されている。さらに、この本発明例2では、表面処理皮膜中にP、ZnおよびOを含む化合物が析出している。電子回折パターンによると、上記化合物層および析出化合物は非晶質状である。
表34に示されるように、本発明例2は白錆発生時間にして比較例の4倍以上の耐食性を有している。
図6に本発明例3の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真(明視野像。なお、図6中の矢印は析出化合物を示し、斜め破線は図7のライン分析位置に対応する)を、図7に皮膜断面の組成分析結果(グラフ中の下向き矢印は析出化合物の位置に対応する)を、それぞれ示す。これらによれば、本発明例1,2と同様に、表面処理皮膜の下層部分にはP、ZnおよびOを含み且つZnとPを等モル含んだ化合物層(非晶質化合物層)が形成されている。さらに、この本発明例3では、表面処理皮膜中にZn、P、SiおよびOを含む化合物が析出している。また、これらの析出化合物は、ZnとPのモル比[Zn]/[P]が1.0未満である。電子回折パターンによると、上記化合物層および析出化合物は非晶質状である。
表34に示されるように、本発明例3は白錆発生時間にして比較例の7倍以上の耐食性を有している。
*1:表20に記載のNo.(水分散性樹脂)
*2:表3に記載のNo.(シランカップリング剤)
*3:表4に記載のNo.(リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸)
*4:水分散性樹脂の固形分100重量部に対する重量部
Claims (28)
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
(a)エポキシ基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応生成物であって、且つ前記活性水素含有化合物の一部又は全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、
(b)シランカップリング剤と、
(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸
を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。 - 表面処理組成物が、シランカップリング剤を水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して1〜300重量部、リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸を水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して0.1〜80重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物がさらに、水溶性リン酸塩を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜60重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物が水溶性リン酸塩として、カチオン成分とP2O5成分のモル比[カチオン]/[P2O5]が0.4〜1.0であって、且つカチオン種がMn、Mg、Al、Niの中から選ばれる1種以上である水溶性リン酸塩を含有することを特徴とする請求項3に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物が非クロム系防錆添加剤として、下記(e1)〜(e5)の群の中から選ばれる1つ以上の防錆添加剤を含有することを特徴とする請求項5に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物 - 表面処理組成物がさらに、固形潤滑剤を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形分で1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物が、シランカップリング剤として、反応性官能基としてアミノ基を有するシランカップリング剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物が、ヘキサフルオロ金属酸としてTi、Si、Zrの中から選ばれる1種以上の元素を含むヘキサフルオロ金属酸の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物が、非クロム系防錆添加剤としてカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物が、(a)の成分として水分散性樹脂を含有し、該水分散性樹脂は、数平均分子量400〜20000のポリアルキレングリコール、ビスフェノール型エポキシ樹脂、活性水素含有化合物及びポリイソシアネート化合物を反応させて得られたポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂(A)と、該ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ基含有樹脂(B)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)とを反応させて得られた水性エポキシ樹脂分散液であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理組成物が、(a)の成分として水分散性樹脂を含有し、該水分散性樹脂は、数平均分子量400〜20000のポリアルキレングリコール、ビスフェノール型エポキシ樹脂、活性水素含有化合物及びポリイソシアネート化合物を反応させて得られたポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂(A)と、該ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ基含有樹脂(B)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(C)と、該ヒドラジン誘導体(C)以外の活性水素含有化合物(D)とを反応させて得られた水性エポキシ樹脂分散液であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- エポキシ基含有樹脂(B)が、数平均分子量1500〜10000、エポキシ当量150〜5000のビスフェノールA型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項11または12に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 水性エポキシ樹脂分散液がさらに、水酸基と架橋する基を有する硬化剤を含有することを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、P、Znまたは/およびAl、およびOを含有する非晶質化合物層と、その上層のヒドラジン誘導体で変性したエポキシ基含有樹脂をマトリックスとする有機樹脂マトリックス層とで構成される、皮膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜が、さらにシラン化合物を含有することを特徴とする請求項15に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜が、P、Znまたは/およびAl、およびOを含む析出化合物を含有することを特徴とする請求項15または16に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜が、P、Znまたは/およびAl、SiおよびOを含む析出化合物を含有することを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 亜鉛系めっき鋼板の表面に表面処理皮膜を有する表面処理鋼板であって、非晶質化合物層中のZnとPのモル比[Zn]/[P]が0.9〜1.4であることを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 亜鉛系めっき鋼板の表面に表面処理皮膜を有する表面処理鋼板であって、表面処理皮膜が含有する析出化合物中のZnとPのモル比[Zn]/[P]が0.9〜1.4であることを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 亜鉛系めっき鋼板の表面に表面処理皮膜を有する表面処理鋼板であって、表面処理皮膜が含有する析出化合物中のZnとPのモル比[Zn]/[P]が1.0未満であることを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜がさらに、非クロム系防錆添加剤を、有機樹脂の固形分100重量部に対して固形分で0.1〜50重量部含有することを特徴とする請求項15〜21のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜が非クロム系防錆添加剤として、下記(e1)〜(e5)の群の中から選ばれる1つ以上の防錆添加剤を含有することを特徴とする請求項22に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
(e1)酸化ケイ素
(e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物
(e3)難溶性リン酸化合物
(e4)モリブデン酸化合物
(e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物 - 表面処理皮膜が、非クロム系防錆添加剤としてカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とする請求項23に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 表面処理皮膜がさらに、固形潤滑剤を、有機樹脂の固形分100重量部に対して固形分で1〜50重量部含有することを特徴とする請求項15〜24のいずれかに記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 請求項1〜25のいずれかに記載の表面処理鋼板の皮膜厚を0.02μm以上5μm未満とした表面処理皮膜の上層に、さらに皮膜厚が0.02μm以上5μm未満の有機樹脂皮膜を有し、該有機樹脂皮膜と前記表面処理皮膜の合計の皮膜厚が5μm以下であることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
- 請求項1〜25のいずれかに記載の表面処理鋼板の製造方法であって、
亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、
(a)エポキシ基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応生成物であって、且つ前記活性水素含有化合物の一部又は全部が活性水素を有するヒドラジン誘導体である水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、
(b)シランカップリング剤と、
(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸
を含有し、pHが0.5〜6に調製された表面処理組成物を塗布し、水洗することなく50℃〜300℃の到達板温で加熱乾燥し、皮膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 - 請求項27に記載の製造方法により得られた表面処理鋼板の皮膜厚を0.02μm以上5μm未満とした表面処理皮膜の上層に、皮膜厚が0.02μm以上5μm未満の有機樹脂皮膜を、前記表面処理皮膜厚と合計した皮膜厚が5μm以下となるように形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
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