JPWO2014109177A1 - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明が解決しようとする課題は、成型性、自己修復性、意匠性、光沢感、耐指紋性を満足する積層フィルム提供することである。本発明の積層フィルムは、支持基材の少なくとも一方の面に表面層を有する積層フィルムであって、表面層が以下の1から3の特性を満たすことを特徴とする積層フィルムである。1.JIS Z8741(1997年)で規定する60°鏡面光沢度が60%以上2.オレイン酸の後退接触角θrが50°以上3.微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、前記層の厚み方向の最大変位量が1.0μm以上3.0μm以下であり、前記層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上0.5μm以下であり、荷重を0mNまで解放したときの、前記層の厚み方向の永久変位量が0.2μm以上0.7μm以下

Description

本発明は、成型材料に求められる成型追従性と耐擦傷の両立に加え、意匠性、耐指紋性に優れた積層フィルムに関する。
加飾成型などに用いられる成型材料では、成型時の傷防止や成型後の物品使用過程での傷を防止するために表面硬度化層が設けられる。しかしながら表面硬度化層は、成型に追従する伸びが不足するため、成型時にクラックが発生したり、極端な場合にはフィルムが破断したり、表面硬度化層が剥離したりするために、一般的には成型後に表面硬度化層を形成したり、半硬化状態で成型した後、加熱や活性線照射などで完全硬化させるなどの手段が適用されている。しかしながら成型後の物品は3次元に加工されているため、後加工で表面硬度化層を設けるのは非常に困難であり、また半硬化状態で成型する場合には、成型条件によっては金型の汚れを誘発する場合がある。以上の点より成型に追従する耐擦傷性材料が嘱望され、軽度の傷を自身の弾性回復範囲の変形を自己修復できる「自己修復材料」または「自己治癒材料」が注目されている。
また、これらの自己修復材料のうち、傷の修復過程を視認することができる材料は、その機能を直接認識できるため、外装部材に使用すると成型材料の「意匠性」を高めることができ、その点からも注目されている。以上のような自己修復、もしくは自己治癒材料としては特許文献1および2の材料が提案されている
一方、成型材料の中でも、特に強い光沢感、さらに高い反射率、透明性が求められる用途においては、日常生活で表面に人の指が触れることによって指紋(ここで指紋とは、指先の皮膚にある汗腺の開口部が隆起した線(隆線)によりできる紋様、及び前記紋様が物体の表面に付着した跡をいう)が視認されやすく、さらにそれを容易に拭き取ることができないと、見た目が汚れたような不快な印象を与えるという問題がある。特に最近ではスマートフォン・タッチパネル、キーボード、テレビ・エアコンのリモコン等の様に、指で操作する電子機器が増加しており、例えばこれらの機器の筐体を掴むことで指紋が付着し、指紋が目立って清潔感が損なわれるというような問題がある。
このような問題に対して、物品表面へ指紋が付着しにくい、視認されにくい、もしくは付着した指紋を容易に拭き取ることができる特性(前記物性を以降、耐指紋性と呼ぶ)を有する部材が特許文献3および4に提案されている。
国際公開第2011/136042号 特開平11−228905号公報 特開2009−122416号公報 特開2011−99744号公報
前述の自己修復材料として提案されている特許文献1、特許文献2の技術については、本発明者らが確認したところ、成型性と自己修復性に優れるものの、耐指紋性が不十分な問題があった。
また、前述の特許文献3、特許文献4の技術について、本発明者らが様々な条件にて耐指紋性を確認したところ、これらの特性を満たすだけでは指紋を目立たなくする、もしくは指紋を拭き取りやすい効果が不十分であった。さらにこれらの材料は成型性や自己修復性を示すものでなく、前述の特許文献1、2の技術と組み合わせることが不可能な技術であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、成型性、自己修復性、意匠性、光沢感、耐指紋性を満足する積層フィルム提供することにある。
上記課題を解決するために本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
<1>支持基材の少なくとも一方の面に表面層を有する積層フィルムであって、表面層が以下の1から3を満たすことを特徴とする積層フィルム。
1.JIS Z8741(1997年)で規定する60°鏡面光沢度が60%以上
2.オレイン酸の後退接触角θが50°以上
3.微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、前記表面層の厚み方向の最大変位量が1.0μm以上3.0μm以下であり、
前記表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上0.5μm以下であり、
荷重を0mNまで解放したときの、前記表面層の厚み方向の永久変位量が0.2μm以上0.7μm以下
<2>前記表面層のオレイン酸の前進接触角θ、後退接触角θが下記式(1)を満たす<1>に記載の積層フィルム。
(θ−θ)≦ 15° ・・・ 式(1)
<3>前記表面層のオレイン酸吸収係数Aが30以上であることを特徴とする<1>または<2>に記載の積層フィルム。
ここで、オレイン酸吸収係数Aとは前記表面層にオレイン酸を2μl滴下し、シリンジからの吐出時に液滴形状から求めた体積(V)、着滴時の着滴部の面積(S)、25℃、無風状態にて10時間保持後の体積(V)および前記表面層の厚み(T)から、以下の式(2)により求められる値を指す。
=(V−V)/(S×T) 式(2)
<4>前記表面層において、飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により測定される、フッ素に由来するFフラグメントイオン(M/Z=19)が面内で均一に存在し、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が以下のいずれかで存在することを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載の積層フィルム。
・島状に存在
・網目状に存在
・島状および網目状に存在
<5>前記表面層において、前記ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンが存在する領域の占有率が30%以上、70%以下であることを特徴とする、<1>から<4>のいずれかに記載の積層フィルム。
<6>前記表面層に、下記の条件下で模擬指紋を付着した前後のJIS Z8730(2009年)およびJIS Z8722(2009年)で規定する正反射光込みの色差ΔE ab(di:8°)Sb10W10が0.4以下、かつ、正反射光除去の色差ΔE ab(de:8°)Sb10W10が4以下である<1>から<5>のいずれかに記載の積層フィルム。
模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaで付着させたもの。
<7>前記表面層が、以下の式(3)および式(4)を満たすことを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載の積層フィルム。
0.5≦3 式(3)
0.5−K10≧1 式(4)
ここで、
0.5=[(ΔESCI−0.5+(ΔESCE−0.51/2 式(5)
10=[(ΔESCI−10+(ΔESCE−101/2 式(6)
ΔESCI−0.5、ΔESCE−0.5
前記表面層に下記の方法で模擬指紋を付着する前の状態を基準とし、模擬指紋付着から30分後に測定したJIS Z8730(2009)およびJIS Z8722(2009)で規定するΔE ab(di:8°)Sb10W10と、ΔE ab(de:8°)Sb10W10をそれぞれ指す。
ΔESCI−10、ΔESCE−10
前記表面層に前記方法で模擬指紋を付着する前の状態を基準とし、模擬指紋付着から10時間後に測定したJIS Z8730(2009)およびJIS Z8722(2009)で規定するΔE ab(di:8°)Sb10W10と、ΔE ab(de:8°)Sb10W10をそれぞれ指す。
模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaで付着させたもの。
<8>前記表面層に、下記の方法で模擬指紋を付着させた時に形成される油滴の、面積基準頻度分布から算出したメジアン径(D)が以下の式(7)および式(8)を満たすことを特徴とする<1>から<7>のいずれかに記載の積層フィルム。
P0.5≦80μm 式(7)
(DP0.5−DP10)/DP0.5≧0.5 式(8)
P0.5:前記模擬指紋の付着から30分後に測定した、模擬指紋を構成する油滴の面積基準頻度分布から算出したメジアン径
P10:前記模擬指紋の付着から10時間後に測定した、模擬指紋を構成する油滴の面積基準頻度分布から算出したメジアン径
模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaで付着させたもの。
<9>前記表面層に下記の条件下で模擬指紋付着および模擬指紋拭き取り試験を行い、JIS Z8730(2009年)およびJIS Z8722(2009年)に従って求めた模擬指紋付着前の状態を基準とした模擬指紋拭き取り試験後の正反射光込みの色差ΔE ab(di:8°)Sb10W10(以降ΔESCI−2とする)および模擬指紋付着前の状態を基準とした模擬指紋拭き取り試験後の正反射光除去の色差ΔE ab(de:8°)Sb10W10(以降ΔESCE−2とする)が、下記式(9)を満たすことを特徴とする<1>から<8>のいずれかに記載の積層フィルム。
((ΔESCI−2+(ΔESCE−21/2 ≦2.0・・・ 式(9)
模擬指紋付着および模擬指紋拭き取り試験の条件
・模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaの圧力で付着させたもの。
・模擬指紋拭き取り条件:前記条件で付着した模擬指紋を不織布にて30kPaの圧力、5cm/秒の速度で3回擦る
<10>前記表面層に含まれる樹脂が以下の(1)から(3)を有していることを特徴とする<1>から<9>のいずれかに記載の積層フィルム。
(1)(ポリ)カプロラクトンセグメント、
(2)ウレタン結合、
(3)フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメント(以降フッ素化合物セグメントとする)
<11>前記フッ素化合物セグメントが、フルオロポリエーテルセグメントであることを特徴とする<10>に記載の積層フィルム。
<12>前記表面層に含まれる樹脂が(4)(ポリ)シロキサンセグメント及び/またはポリジメチルシロキサンセグメントを有していることを特徴とする<10>または<11>に記載の積層フィルム。
本発明によれば、成型性、自己修復性、意匠性、光沢感、耐指紋性を満足する積層フィルムを得ることができる。
本発明の積層フィルムに対し、正三角錐を用いて押し込み負荷/除荷試験を行ったときの加重−押し込み深さ線図である。 本発明の積層フィルムにおいて、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が島状に存在する場合の例である。 本発明の積層フィルムにおいて、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が網目状に存在する場合の例である。 本発明の積層フィルムにおいて、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が島状および網目状に存在する場合の例である。
上記課題、すなわち成型性、自己修復性、意匠性、光沢感、耐指紋性を満足するために、本発明の積層フィルムは、支持基材の少なくとも一方の面に表面層を有する積層フィルムであって、表面層の厚み方向の最大変位量、クリープ変位量、荷重を解放したときの永久変位量が以下の特定の範囲を満たすことが好ましい。
成型性と自己修復性と意匠性の観点から、本発明の積層フィルムは微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、表面層の厚み方向の最大変位量が1.0μm以上3.0μm以下、より好ましくは1.0μm以上1.7μm以下であり、表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上0.5μm以下、より好ましくは0.2μm以上0.5μm以下であり、荷重を0mNまで解放したときの、表面層の厚み方向の永久変位量が0.2μm以上0.7μm以下、より好ましくは0.4μm以上0.65μm以下である。
表面層の厚み方向の最大変位量が3.0μmより大きいと表面層の自己修復性が不完全となる場合があり、表面層の厚み方向の最大変位量が1.0μmより小さいと表面層の意匠性、すなわち回復過程の視認性が悪くなる場合がある。
表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.5μmより大きくても0.05μmより小さくても、自己修復性、もしくは意匠性が不完全となる場合がある。
表面層の厚み方向の永久変位量が0.7μmより大きいと、表面層の自己修復後にも視認可能な傷が残り外観が悪くなる場合がある。また表面層の自己修復性の観点からは、永久変位量は小さければ小さいほど好ましいが、一般的に自己修復材料は塑性変形するため、本測定方法においては永久変位量の下限は0.2μmと考えられる。これらの微小硬度計測定の厚み方向での最大変位量、クリープ変位量、永久変位量の測定方法は後述する。
光沢感の観点からは、本発明の積層フィルムは鏡面光沢度を特定の範囲にすることが好ましく、JIS Z8741(1997年)に規定される60°鏡面光沢度の測定による値で、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。鏡面光沢度が60%未満では光沢感が不十分と感じられる場合がある。鏡面光沢度の上限は、材料の屈折率にもよるが、一般的な材料を用いた場合には180%程度である。
耐指紋性の観点から本発明の積層フィルムは、前記表面層へのオレイン酸の後退接触角θが50°以上であることが好ましく、55°以上がより好ましく、60°以上が特に好ましい。
後退接触角の測定方法と意味については後述するが、後退接触角は高い分には問題なく、一方で50°よりも低くなると指紋成分が徐々に付着しやすくなり、耐指紋性が低下する場合がある。
さらに、耐指紋性、特に指紋拭き取り性に対しては、前記表面層の指紋成分の前進接触角θと後退接触角θの関係が、前述の式(1)を満たすことが好ましい。
(θ−θ)≦ 15° ・・・ 式(1)
これは、指紋拭き取り性が「指紋成分の拭き取る材料への転移しやすさ」と「表面層上での指紋成分の移動しやすさ」の2つの因子によって支配されることに着目し、前者が後退接触角、後者が前進接触角で表すことができ、これらを統合した式(1)を満たせば、付着した指紋を容易に拭き取ることができることを意味している。
前記表面層のオレイン酸の前進接触角θ、後退接触角θが前記式(1)を満たすこと、すなわち15°以下であることが好ましく、12°以下がより好ましく、10°以下が特に好ましい。式(1)の値は0もしくは正の値であれば小さい分には好ましく、一方でこの値が15°よりも大きくなると、指紋の拭き取り性が不十分なため、耐指紋性が低下する場合がある。
ここで、前述の後退接触角と前進接触角について説明する。固体表面の液体の接触角は本来熱力学的な量であり、系が定まれば1つの値をとるはずである。しかし実際には液体が固体表面を動く場合には、進行方向の接触角と反対側(後退側)の接触角は同じ値をとらないことが多い。このときの進行方法の接触角を前進接触角、反対側の接触角を後退接触角と呼ぶ。
この前進接触角、後退接触角の値にはいくつかの測定方法による値があるが、拡張−収縮法による値が好ましい。他の方法として転落角法があるが、この方法は前進接触角、後退接触角の算出に液滴の質量を必要とし、さらに測定の都合上、指紋付着時の油滴サイズ(直径1〜20μm)に比べ、大きな油滴(数mm以上)を必要とするため実際の指紋付着とは異なる現象を観測してしまうため、適当ではない。
ここでは、拡張−収縮法による測定を説明する。拡張−収縮法による前進接触角の値は、表面層上に液体(オレイン酸)を付与して液滴を拡張するとき、液滴の接触角を連続的に複数回測定し、接触角が一定になったところの平均値で表される。同様にして後退接触角の値は、表面層上に液体(オレイン酸)を付与して液体を徐々に吐出して液滴を拡張した後、その液滴を吸引し液滴が収縮する過程で、液滴の接触角を連続的に複数回測定し、接触角が一定になったところの平均値で表される。具体的に、例えば1〜50μLの間で液体を吐出−吸引(液滴を拡張収縮)させる場合において、前進接触角は液滴吐出時の1μLから50μLまでの間、後退接触角は液滴吸引時の50μLから1μLまでの間、1μLの間隔で測定し、液体の拡張、もしくは収縮過程において液滴の接触角がほぼ一定になったところの値を求めることにより決定することができる。拡張収縮法における接触角の測定は、例えば、Drop Master(協和界面科学株式会社製)を用いて測定することができる。
さらに、自己修復性と耐指紋性を両立する観点から、本発明の積層フィルムは、前記表面層のオレイン酸吸収係数Aが30以上であることが好ましい。
これは、前述の後退接触角θを高くすることによる指紋成分の付着量を低減するのに加えて、付着した指紋成分を塗膜内に吸収することによって表面から消失させるもので、その能力を表す指標が、オレイン酸吸収係数Aである。具体的にはオレイン酸を付着させた際に、付着直後のオレイン酸付着物の体積および付着面積と、一定時間経過後のオレイン酸付着物の体積および前記成型材料の前記表面層の厚みから算出されるものであり、単位体積あたりのオレイン酸吸収係数Aが30以上であることが好ましく、40以上がより好ましい。
一方、前記表面層のオレイン酸吸収係数Aは指紋成分の吸収性の観点からは高い方が好ましいが、付着量を低減させ、全体として耐指紋性を向上させる観点からは200以下であることが好ましい。
オレイン酸吸収係数Aの具体的な測定方法は、厚さTの前記表面層にオレイン酸を約2μl滴下し、シリンジからの吐出時の液滴形状から求めた体積(V)、着滴時の着滴部の面積(S)、25℃、無風状態にて10時間保持後の体積(V)から、以下の式(2)により求められる無次元量を指す。
=(V−V)/(S×T) 式(2)
ここで、V、V、Sにはいくつかの測定方法があるが、例えば協和界面化学株式会社接触角測定装置DM500、および同社解析ソフトDropMasterにより測定することができる。測定の詳しい手順については後述する。また前記表面層の厚みTの測定方法についても後述する。
また、このような特性を発現する表面層は、最表面に撥油材料と親油材料の両方が特定の形態で存在することが好ましい。より具体的には前記表面層の飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により測定される、フッ素に由来するFフラグメントイオン(M/Z=19)が面内に「均一に存在」し、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が、「島状に存在」、「網目状に存在」、または「島状および網目状に存在」することが好ましく、さらに、Fフラグメントイオンが面内に「均一に存在し」、かつSi(CHフラグメントイオンが、「島状および網目状に存在」することがより好ましい。
これは本発明の表面層が、指紋成分の付着量を極力少なく、かつ付着した指紋成分を塗膜内に吸収することによって表面から消失させる特性を発現するためには、表面層の最表面がフッ素を含む化合物により面内が均一に被覆されることにより高い撥油性を示すことで、指紋成分の付着量を低減すると同時に、親油的なジメチルシロキサンを含む化合物が微細な島状、もしくは網目状に存在することで、わずかに表面付着した指紋成分が、表面に存在する島状、もしくは網目状の親油的な部分を通って最表面、および表面層内に拡散し、その結果、指紋汚れが消失すると考えている。なお、飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)による表面層の最表面の測定方法については、実施例の項にて述べる。
また、前記「均一に存在」とは、飛行時間型2次イオン質量分析計にて、100μm×100μmの範囲を縦128点×横128点で測定した全測定点における2次イオン強度の変動係数が0.4以内であることを指す。
「島状に存在」とは、図2に示すように、測定を行った測定点のSi(CHの2次イオン強度を図示したとき、最大強度の20%に相当する境界値に満たない部分で周りを囲まれている(図の外周にかかるものは除く)ことを指す。なお境界値の詳細については後述する。また島の大きさの上限は、現実的には飛行時間型2次イオン質量分析計による測定範囲内に収まることが条件となり、上述の測定条件においては、その外接円の直径が50μm以下のものを島とする。一方、大きさの下限は上記条件により区分できれば特にないが、実際には測定器の空間分解能に依存し、上述の測定条件においては0.8μm程度と示唆される。
「網目状に存在」とは、図3に示すように、Si(CHフラグメントの2次イオン強度を図示したとき、前述の境界値未満の領域が島状に存在していることを指す。
「島状および網目状に存在」とは、図4に示すようにSi(CHフラグメントの2次イオン強度を図示したとき、測定範囲内に前記の島状に存在する領域と網目状に存在する領域とが共存していることを指す。Si(CHフラグメントイオンの存在形態としては「島状および網目状に存在」することがより好ましいが、これは「島状に存在」する場合と比較すると、指紋汚れの表面層最表面における面方向への拡散性に優れ、「網目状に存在」する場合と比較すると指紋汚れの付着量を低減させる能力に優れるためであると考えられる。
さらに、前記ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンが存在する領域の占有率が30%以上、70%以下であることが好ましく、30%以上、50%以下がより好ましく、30%以上、40%以下が特に好ましい。ここで、占有率とは、全測定点のうち、Si(CHフラグメントイオンが境界値以上存在する点の割合を指す。占有率の算出方法については実施例の項にて述べるが、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンの存在する領域(換言すると、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンの存在する部分)が占める割合が30%より少ないと、付着した指紋成分を塗膜内に吸収する能力が不十分で、指紋汚れの消失性が低下する場合があり、70%を超えると指紋汚れの付着量を低減させる能力が低下する場合がある。
加えて、「マッピング図」(Si(CH3)フラグメントの2次イオン強度を示した図(例えば図2や図3))の辺方向に垂直もしくは平行な任意の1直線上に分布する、Si(CHフラグメントイオンが存在する線分の長さはそれぞれ30μm以下に分割されていることが好ましく、20μm以下がより好ましい。上記の値を上回る場合には指紋汚れの付着量を低減させる能力が低下する場合がある。一方同じ直線上でSi(CHフラグメントイオンが境界値に満たない線分の長さはそれぞれ50μm以下に分割されていることが好ましく、30μm以下がより好ましい。上記の値を上回る場合には付着した指紋成分を塗膜内に吸収する能力が不十分で、指紋汚れの消失性が低下する場合がある。なお上記長さの下限については上記条件により区分できれば特にないが、実際には測定器の空間分解能に依存し、上述の測定条件においては0.8μm程度と示唆される。
一方で、本発明の課題を解決するためには、前述の表面層の力学的や表面科学的な物性に加えて、表面層に以下に示す特定条件にて実際の指紋の組成に近い模擬指紋を一定条件下で付着させた際の光学的な特性として、模擬指紋の付着前後の正反射光込みの色差と正反射光除去の色差が特定の範囲であることが好ましい。
ここで「正反射光込みの色差」とは、JIS Z8722(2009年)に記載の、「幾何条件cにて試料からの鏡面反射となる成分を含む条件」で測定された色差を指し、「正反射光除去の色差」とは、幾何条件cにて試料からの鏡面反射となる成分を除く条件」で測定された色差をさす。
具体的には、模擬指紋付着前後の色差であって、JIS Z8730(2009年)およびJIS Z8722(2009年)で規定する正反射光込みの色差(ΔE ab(di:8°)Sb10W10)は0.4以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下が特に好ましい。模擬指紋付着前後の色差であるので、小さいほど好ましいが、同条件で付着させた場合、材料の限界と測定方法の限界から0.01程度が下限である。また、模擬指紋付着前後の色差であって、JIS Z8730(2009年)およびJIS Z8722(2009年)で規定する正反射光除去の色差(ΔE ab(de:8°)Sb10W10)は4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下が特に好ましい。模擬指紋付着前後の色差であるので、小さいほど好ましいが、同条件で付着させた場合、材料の限界と測定方法の限界から、0.05程度が下限である。模擬指紋付着前後の正反射光込みの色差と模擬指紋付着前後の正反射光除去の色差がそれぞれ0.4と4を超えると指紋付着痕が明確に視認されるようになる場合がある。具体的な模擬指紋転写の手順については以下の通りである。
模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaで付着させる。
さらに、本発明の成型材料は、模擬指紋の付着前、付着直後の正反射光込みの色差と正反射光除去の色差を特定の値以下とし、かつ色差の経時減少量を特定の値以上にすることが好ましい。これは、前述の指紋成分を表面層が吸収することにより消失する効果と対応する。具体的には以下の通りである。
まず、模擬指紋付着前と付着直後の正反射光込みの色差と正反射光除去の色差について、以下の式(5)で表されるパラメーターK0,5は3以下が好ましく、2以下がより好ましい。3を超えると指紋付着痕が視認されやすく、かつ十分な前記の付着指紋の浸透効果を得ることが困難となる場合がある。
0.5=[(ΔESCI−0.5+(ΔESCE−0.51/2 式(5)。
ここで、前記 ΔESCI−0.5は、模擬指紋付着前後の色差であって、JIS Z8730(2009)およびJIS Z8722(2009)で規定される正反射光込みの色差(ΔE ab(di:8°)Sb10W10)を指し、ΔESCE−0.5は、模擬指紋付着前後の色差であって、正反射光除去の色差(ΔE ab(de:8°)Sb10W10)を指す。
ΔE ab(di:8°)Sb10W10とΔE ab(de:8°)Sb10W10は等価な次元を有する物理量であり、それぞれの値を軸とした2次元座標系において原点からの距離に相当するパラメーターK0.5を小さくすることが模擬指紋付着前後の指紋の視認性を低下させることに相当する。なおパラメーターK0.5は小さいほど指紋付着防止性に優れているといえるが、本発明が課題とする高い光沢感と透明感を有する材料において、後述の指紋の経時変化の効果を認識するためには1を超えることが現実的である。
なお、前記模擬指紋付着直後とは後述する模擬指紋の付着方法により成型材料表面に模擬指紋を付着してから30分後のことを指す。
また、前述の模擬指紋付着前後の色差の経時減少量は、すなわち以下の式(4)の左辺の値が、1以上であることが好ましく、1.2以上がより好ましい。以下の式(4)の左辺の値が1を下回ると、指紋汚れの消失感を得ることが困難となる場合がある。
0.5−K10≧1 式(4)
ここで、式(4)中のK0.5は前述の通りであり、K10は以下の式(6)で表される。
10=[(ΔESCI−10+(ΔESCE−101/2 式(6)
ここで式(6)中のΔESCI−10は、模擬指紋付着前と、模擬指紋付着後に25℃、無風状態下で10時間静置した後の色差であって、JIS Z8730(2009)およびJISZ8722(2009)で規定される正反射光込みの色差(ΔE ab(di:8°)Sb10W10)を指し、ΔESCE−2は、同じサンプルの正反射光除去の色差(ΔE ab(de:8°)Sb10W10)を指す。
これらの特性を示す表面層は、指紋成分が付着した際に形成する油滴が特徴的な形状、および経時での挙動を示す。一つは本発明の成型材料上の前記模擬指紋を構成する油滴の大きさは小さくなっていることが好ましい。これは前記成型材料において表面の油滴付着部分の占める面積が増加する程に指紋の視認性が増加することから、油滴の前記成型材料表面方向への投影像を用いて、油滴径の頻度分布にその面積に応じた重み付けを行った面積基準頻度分布で油滴の形状を評価することができる。前記面積基準頻度分布において、その累積頻度が全体のN%となる直径をDと表記する。このうちNが50の直径を特にメジアン径(以下D)と呼ぶ。本発明においては、前記模擬指紋付着直後の油滴の面積基準頻度分布から算出されるメジアン径DP0.5が80μm以下であることを好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。この値を外れると油滴による光の散乱から指紋が視認されやすくなる場合がある。DP0.5はその値が小さいほど指紋が見えにくくなるため、指紋を見えにくくするという観点では特に下限値は存在しないが、一方で数100nm以下になると、表面自由エネルギーにより油滴が凝集する、もしくは揮発するため、現実的に100nm以下の液滴は存在しない。
さらに、前記模擬指紋付着後、25℃、無風状態下において10時間静置した同材料表面の面積基準頻度分布から算出される油滴のメジアン径をDP10とした際に、メジアン径の時間変化を模擬指紋付着直後のメジアン径DP0.5で規格化した値、(DP0.5−DP10)/DP0.5には好ましい値が存在する。具体的には、この値が0.5以上であることが好ましく、0.6以上が特に好ましい。この値が0.5より小さいと、時間が経過した後も指紋が視認される状態で残ったままとなる場合がある。さらに、前述と同様に模擬指紋を一定条件下で付着、次いで拭き取りを行い、付着前、拭き取り後の反射色を正反射光込みと正反射光除去の2つの方法で測定し、付着前の状態を基準とした拭き取り後の色差が、前述の式(9)を満たすものが、指紋拭き取り性の面で好ましい。これは、人間の目が指紋、もしくは指紋に起因する汚れを光沢感の変化と色味の変化により認識しているという点に着眼し、光沢感の変化を正反射光込みの色差で、色味の変化を正反射光除去の色差で評価し、これらの値を統合した式(9)を満たす範囲では指紋を視認しにくくなることを見出したためである。
具体的には、前記表面層に下記の条件下で模擬指紋付着および模擬指紋拭き取り試験を行い、JIS Z8730(2009年)およびJIS Z8722(2009年)に従って求めた模擬指紋付着前の状態を基準とした模擬指紋拭き取り試験後の正反射光込みの色差(ΔE ab(di:8°)Sb10W10)=ΔESCI−2と模擬指紋付着前の状態を基準とした模擬指紋拭き取り試験後の正反射光除去の色差(ΔE ab(de:8°)Sb10W10)=ΔESCE−2は下記の式(9)を満たすこと、すなわち式(9)の左辺が2.0以下であることが好ましく、1.7以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。式(9)の左辺の値は0もしくは正の値であれば小さい分には問題なく、一方でこの値が2.0よりも大きくなると、指紋の拭き取り性が不十分で、結果として耐指紋性が低下する場合がある。
((ΔESCI−2+(ΔESCE−21/2 ≦2.0・・・ 式(9)
ここで、模擬指紋付着条件は前述の通りで、模擬指紋拭き取り試験の条件は以下のとおりである。
・模擬指紋拭き取り条件:前記条件で付着した模擬指紋を不織布にて30kPaの圧力、5cm/秒の速度で3回擦る
また、前記力学的、表面科学的、光学的な特性に加えて、本発明の積層フィルムの表面層に含まれる樹脂が以下の(1)から(3)を有していることが好ましい。
(1)(ポリ)カプロラクトンセグメント、
(2)ウレタン結合、
(3)フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメント(以降フッ素化合物セグメントとする)。ここで樹脂とは高分子化合物からなる物質を指し、その範囲はポリマーからオリゴマーまでの範囲を含む。
前記(1)(ポリ)カプロラクトンセグメントは化学式1で示されるセグメントを指し、前記(2)ウレタン結合は化学式2で示される結合を指す。なお化学式1でnは1から35の整数である。
前記(1)(ポリ)カプロラクトンセグメント、(2)ウレタン結合(3)、フッ素化合物セグメントの詳細については後述するが、(1)は自己修復性を高める機能を有し、(2)は表面層の強靱性を向上させると共に自己修復性を高める機能を有し、(3)は表面エネルギーを低下させることにより、指紋を構成する液体の接触角を上昇させて付着量を低減させるものである。
さらに好ましくは前記フッ素化合物セグメントが、フルオロポリエーテルセグメントである。前記フルオロポリエーテルセグメントとは、フルオロアルキル基、オキシフルオロアルキル基、オキシフルオロアルカンジイル基などからなるセグメントで、化学式(3)、(4)に代表される構造である。
ここで、n1は1〜3の整数、n2〜n5は1または2の整数、k、m、p、sは0以上の整数でかつp+sは1以上である。好ましくは、n1は2以上、n2〜n5は1または2の整数であり、より好ましくは、n1は3、n2とn4は2、n3とn5は1または2の整数である。
前記フルオロポリエーテルセグメントの詳細については後述するが、表面層がこれを含むことにより最表面に低表面エネルギーを示す分子を高密度に存在させることができる。
このフルオロポリエーテルセグメントの鎖長には好ましい範囲があり、炭素数が、4以上12以下が好ましく、4以上10以下がより好ましく、6以上8以下が特に好ましい。炭素数が、3以下では表面エネルギーが十分に低下しないため撥油性が低下する場合があり、13以上では溶媒への溶解性が低下するため、表面層の品位が低下する場合がある。
さらに、本発明の積層フィルムの表面層に含まれる樹脂は(4)(ポリ)シロキサンセグメント及び/またはポリジメチルシロキサンセグメントを有していることが好ましい。前記(ポリ)シロキサンセグメントとは、化学式5で示されるセグメントを指す。前記(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントとは、化学式6で示されるセグメントを指す。
は、OHまたは炭素数1〜8のアルキル基のいずれかである。Rは、OHまたは炭素数1〜8のアルキル基のいずれかである。nは100〜300の整数である。
mは10〜300の整数である。
前記(ポリ)シロキサンセグメント及び/またはポリジメチルシロキサンセグメントの詳細については後述するが、前記表面層がこれらのセグメントを有することで耐熱性、耐候性の向上や、表面層の潤滑性による耐擦傷性を向上することができる。以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[積層フィルム、および表面層]
本発明の積層フィルムは本発明の特性を示す表面層を有していれば平面状(フィルム、シート、プレート)、3次元形状(成型体)のいずれであってもよい。ここで、本発明における表面層とは、前記積層フィルムの表面から厚み方向(平面状の場合)または内部方向(3次元形状の場合)に向かい、厚み方向または内部方向に隣接する部位と元素組成、含有物(粒子等)の形状、物理特性が不連続な境界面を有することにより区別でき、有限の厚さを有する部位を指す。より具体的には、前記積層フィルムを表面から厚み方向に各種組成/元素分析装置(IR、XPS、XRF、EDAX、SIMS等)、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面により区別される。
前記表面層は本発明の課題としている成型性、意匠性、自己修復性、光沢感、耐指紋性の他に、反射防止、帯電防止、防汚性、導電性、熱線反射、近赤外線吸収、電磁波遮蔽、易接着等の他の機能を有してもよい。
前記表面層の厚みは特に限定はないが、5μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましく、前述した他の機能に応じてその厚みを選択することができる。
[塗料組成物]
本発明の積層フィルムは、後述する支持基材上に塗料組成物を塗布、乾燥、および硬化からなる一般的な塗布プロセスを経て、前述の表面層を設けることにより得ることができる。
この塗料組成物は、少なくとも前述の(ポリ)カプロラクトンセグメント、ウレタン結合、フッ素化合物セグメントを含む樹脂、もしくは塗布プロセス内でそれらを形成可能な材料(以降これを前駆体と呼ぶ)を含むものであり、後述する製造方法に当該塗料組成物を用いることで、表面層に含まれる樹脂がこれらのセグメントを有することができる。
本発明の積層フィルムを得るため、支持基材上に表面層を形成するのに好ましい塗料組成物には次の2つのタイプがある。
第1のタイプは少なくとも以下の材料を含むことが好ましい塗料組成物(以下塗料組成物Aとする)であり、前記塗布プロセスの硬化工程において熱による硬化、または熱による硬化と活性エネルギー線による硬化を併用することが好ましい塗料組成物である。
・フッ素化合物D
・ポリカプロラクトンポリオールA、またはポリカプロラクトンポリオール共重合体A
・イソシアネート基を含有する化合物
すなわち塗料組成物Aは、(ポリ)カプロラクトンセグメントとして、ポリカプロラクトンポリオールAまたはポリカプロラクトンポリオール共重合体Aを、ウレタン結合を形成する前駆体として前記ポリオールとイソシアネート基を含有する化合物を、フッ素化合物セグメントとして、フッ素化合物Dを含むものである。これら各材料の詳細については後述する。
さらに塗料組成物Aは、全固形分濃度100質量%中に前記イソシアネート基を含有する化合物を11質量%以上22質量%以下含んでいることが好ましい。また、塗料組成物A中には、アルコキシメチロールメラミンなどのメラミン架橋剤、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系架橋剤、ジエチルアミノプロピルアミンなどのアミン系架橋剤などの他の架橋剤を含むことも可能である。必要に応じてウレタン結合の形成反応を促進させるためにジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキソエートなどの架橋触媒を用いてもよい。さらに、後述するポリシロキサン、ポリジメチルシロキサンを含むことが好ましく、さらに溶媒や、光重合開始剤、レベリング剤などの各種添加剤を含んでもよい。
次に、第2のタイプは、少なくとも以下の材料を含むことが好ましい塗料組成物(以下塗料組成物Bとする)であり、前記塗布プロセスの硬化工程において活性エネルギー線による硬化を用いることが好ましい塗料組成物であり、前述の本発明の課題を解決した上で、さらに塗料組成物Aに比べてハンドクリーム等の油脂成分を含む化粧品による汚染への耐性(以降これを耐化粧品性と呼ぶ)に優れた特徴を有する。
・フッ素化合物D
・ウレタン(メタ)アクリレートB
・ウレタン(メタ)アクリレートC
すなわち塗料組成物Bは、ウレタン(メタ)アクリレートB、ウレタン(メタ)アクリレートCの少なくとも一方に、後述するポリカプロラクトンセグメントを、両方がウレタン結合を含み、フッ素化合物Dがフッ素化合物セグメントを含むものである。
前記ウレタン(メタ)アクリレートBは自己修復性に優れ、ウレタン(メタ)アクリレートCは耐化粧品性に優れた材料であり、具体的にはそれぞれを単独で硬化させて形成した層(X層、Y層)がそれぞれ特定の特性を示す材料であり、これらの特性を有することにより自己修復性と耐化粧品性を両立している。以上の塗料組成物の構成材料については後述する。
塗料組成物B中のウレタン(メタ)アクリレートBとウレタン(メタ)アクリレートCとの含有比率:(ウレタン(メタ)アクリレートBの質量/ウレタン(メタ)アクリレートCの質量)は、70/30から30/70の範囲が好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートBとウレタン(メタ)アクリレートCの含有比率:(ウレタン(メタ)アクリレートBの質量/ウレタン(メタ)アクリレートCの質量)が、70/30から30/70の範囲から外れると、自己修復性と耐化粧品性の特性を両立することが困難となる場合がある。
前記塗料組成物Bは、このほかに、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキレングリコールを含むことが好ましく、さらに溶媒や、光重合開始剤、硬化剤、触媒などの各種添加剤を含んでもよい。
[支持基材]
本発明の積層フィルムに用いられる支持基材を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、支持基材を構成する樹脂は、成型性が良好であるため、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂は、十分な延伸性と追従性を備える樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、強度・耐熱性・透明性の観点から、特に、ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、酸成分及びそのエステルとジオール成分の重縮合によって得られる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またこれらに酸成分やジオール成分として他のジカルボン酸およびそのエステルやジオール成分を共重合したものであってもよい。これらの中で透明性、寸法安定性、耐熱性などの点でポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
また、支持基材には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。支持基材は、単層構成、積層構成のいずれであってもよい。
支持基材の表面には、前記表面層を形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
[フッ素化合物セグメント、フッ素化合物D]
本発明では、表面層に含まれる樹脂がフッ素化合物セグメントを有することが好ましい。このフッ素化合物セグメントは、フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むセグメントを指す。
ここで、フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基、フルオロオキシアルカンジイル基とはアルキル基、オキシアルキル基、アルケニル基、アルカンジイル基、オキシアルカンジイル基が持つ水素の一部、あるいは全てがフッ素に置き換わった置換基であり、いずれも主にフッ素原子と炭素原子から構成される置換基であり、構造中に分岐があってもよく、これらの置換基が複数連結したダイマー、トリマー、オリゴマー、ポリマー構造を形成していてもよい。
また、前記フッ素化合物セグメントとしては、フルオロポリエーテルセグメントが好ましく、これはフルオロアルキル基、オキシフルオロアルキル基、オキシフルオロアルカンジイル基などからなる置換基で、より好ましくは化学式(3)、(4)に代表されるフルオロポリエーテルセグメントであることはすでに述べたとおりである。
この表面層に含まれる樹脂がフッ素化合物セグメントを含むには、前述の塗料組成物A、もしくは塗料組成物Bがフッ素化合物Dを含むことが好ましい。このフッ素化合物Dは化学式7で示される化合物である。
ここで、Rf1はフッ素化合物セグメント、Rはアルカンジイル基、アルカントリイル基、およびそれらから導出されるエステル構造、ウレタン構造、エーテル構造、トリアジン構造を、Dは反応性部位を示す。
この反応性部位とは、熱または光などの外部エネルギーにより他の成分と反応する部位を指す。このような反応性部位として、反応性の観点からアルコキシシリル基及びアルコキシシリル基が加水分解されたシラノール基や、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。なかでも、反応性、ハンドリング性の観点から、ビニル基、アリル基、アルコキシシリル基、シリルエーテル基あるいはシラノール基や、エポキシ基、アクリロイル(メタクリロイル)基が好ましい。
フッ素化合物Dの一例は次の化学式で表される化合物である。3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリイソシアネートシラン、2−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリクロロシラン、2−パーフルオロオクチルイソシアネートシラン、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、2−パーフルオロブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロデシルエチルアクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−3−メトキシブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−パーフルオロブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロデシルエチルメタクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−3−メチルブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−6−メチルオクチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、トリアクリロイル−ヘプタデカフルオロノネニル−ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
なお、フッ素化合物Dは1分子あたり複数のフルオロポリエーテルセグメントを有していてもよい。
上記フッ素化合物Dの市販されている例としては、RS−75(DIC株式会社)、オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社)、C10GACRY、C8HGOL(油脂製品株式会社)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる
[(ポリ)カプロラクトンセグメント]
本発明の積層フィルムにおいて、表面層に含まれる樹脂が(ポリ)カプロラクトンセグメントを有することが好ましい、ここで(ポリ)カプロラクトンセグメントとは前述の化学式1で示されるセグメントを指す。さらに(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂を含む塗料組成物Aもしくは塗料組成物Bを用いて表面層を形成することにより、表面層は(ポリ)カプロラクトンセグメントを有することができる。
(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂は、少なくとも1以上の水酸基(ヒドロキシル基)を有することが好ましい。水酸基は(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂の末端にあることが好ましい。
(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂としては、特に2〜3官能の水酸基を有する(ポリ)カプロラクトンが好ましい。具体的には、化学式8で示される(ポリ)カプロラクトンジオール、
(ここで、m+nは4〜35の整数で、RはCまたはCOC
または化学式9で示される(ポリ)カプロラクトントリオール、
(ここで、l+m+nは3〜30の整数で、RはCHCHCH、CHC(CH、CHCHC(CH
などのポリカプロラクトンポリオールや化学式10で示される(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
(ここで、nは1〜25の整数で、RはHまたはCH
などの活性エネルギー線重合性カプロラクトンを用いることができる。
ここで活性エネルギー線重合性とはUV、EBなどの活性エネルギー線によって架橋が進行する性質のことであり、(メタ)アクリレート基などの官能基を有する化合物が該当する。ほかの活性エネルギー線重合性カプロラクトンの例として、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
さらに本発明において、(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂は、(ポリ)カプロラクトンセグメント以外に、他のセグメントやモノマーが含有(あるいは、共重合)されていてもよい。たとえば、後述するポリジメチルシロキサンセグメントや(ポリ)シロキサンセグメント、イソシアネート化合物を含有する化合物が含有(あるいは、共重合)されていてもよい。
また、本発明において、(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂中の、(ポリ)カプロラクトンセグメントの重量平均分子量は500〜2,500であることが好ましく、より好ましい重量平均分子量は1,000〜1,500である。(ポリ)カプロラクトンセグメントの重量平均分子量が500〜2,500であると、自己修復性の効果がより発現し、また耐傷性がより向上するため好ましい。
(ポリ)カプロラクトンセグメントが共重合される場合であっても、別途添加される場合であっても、表面層を形成するために用いる塗料組成物の全固形分濃度100質量%において、(ポリ)カプロラクトンセグメントの含有量が5〜50質量%であると、自己修復性、耐汚染性の点で好ましい。
[ウレタン結合、イソシアネート基を含有する化合物]
本発明において、ウレタン結合とは前述の化学式2で示される結合を指す。表面層を形成するために用いる塗料組成物が、市販のウレタン変性樹脂を含むことにより、表面層に含まれる樹脂はウレタン結合を有することが可能となる。また、表面層を形成する際に前駆体としてイソシアネート基を含有する化合物と水酸基を含有する化合物を含む塗料組成物を塗布することにより、塗布工程にてウレタン結合を生成させて、表面層にウレタン結合を含有させることもできる。
本発明では好ましくはイソシアネート基と水酸基を反応させてウレタン結合を生成させることにより、表面層に含まれる樹脂はウレタン結合を有する。イソシアネート基と水酸基を反応させてウレタン結合を生成させることにより、表面層の強靱性を向上させると共に自己修復性を向上させることができる。
また、前述した(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂や、後述するポリシロキサンセグメントを含有する樹脂やポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂などが、水酸基を有する場合は、熱などによってこれら樹脂と前駆体としてイソシアネート基を含有する化合物との間にウレタン結合を生成させることも可能である。イソシアネート基を含有する化合物と、水酸基を有する(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂や水酸基を有するポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂を用いて表面層を形成すると、表面層の強靱性および弾性回復性(自己修復性)および表面のすべり性を高めることができるため好ましい。
本発明において、イソシアネート基を含有する化合物とは、イソシアネート基を含有する樹脂や、イソシアネート基を含有するモノマーやオリゴマーを指す。イソシアネート基を含有する化合物は、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンイソシアネートのビューレット体などのポリイソシアネート、および上記イソシアネートのブロック体などを挙げることができる。
これらのイソシアネート基を含有する化合物の中でも、脂環族や芳香族のイソシアネートに比べて脂肪族のイソシアネートが、自己修復性が高く好ましい。イソシアネート基を含有する化合物は、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートである。また、イソシアネート基を含有する化合物は、イソシアヌレート環を有するイソシアネートが耐熱性の点で特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が最も好ましい。イソシアヌレート環を有するイソシアネートは、自己修復性と耐熱特性を併せ持つ表面層を形成する。
[ウレタン(メタ)アクリレートB、ウレタン(メタ)アクリレートC]
前述のように自己修復性に加えて耐化粧品性という特性を付与するには、表面層の形成に、自己修復性の優れたウレタン(メタ)アクリレートBと耐化粧品性の優れたウレタン(メタ)アクリレートCとを含む塗料組成物Bを用いることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートBとは、分子内にウレタン結合を有する化合物であり、ウレタン(メタ)アクリレートBと光開始剤の混合物を、照度400mW/cmの高圧水銀灯による紫外線で、厚み30μmに硬化させた層(以下X層という)の物性が、次の範囲にあるウレタン(メタ)アクリレートを意味する。
1.X層表面にオレイン酸を塗布して60℃で1時間保持したときのX層の質量増加率が45質量%以下
2.微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときのX層の厚み方向の最大変位量が1.0μm以上3.0μm以下
3.上記2の微小硬度計測定において、X層の厚み方向のクリープ変位量が0.4μm以上0.7μm以下。
また、ウレタン(メタ)アクリレートCとは、分子内にウレタン結合を有する化合物であり、ウレタン(メタ)アクリレートCと光開始剤の混合物を、照度400mW/cmの高圧水銀灯による紫外線で、厚み30μmに硬化させた層(以下Y層という)の物性が、次の範囲にあるウレタン(メタ)アクリレートを意味する。
1.Y層表面にオレイン酸を塗布して60℃で1時間保持したときのY層の質量増加率が5.0質量%以下
2.微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、Y層の厚み方向の最大変位量が0.2μm以上3.0μm以下
3.上記2の微小硬度計測定において、Y層の厚み方向のクリープ変位量が0.02μm以上0.35μm以下。
さらに表面層を形成するために用いる塗料組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートB及びウレタン(メタ)アクリレートCを含み、該ウレタン(メタ)アクリレートBが(ポリ)カプロラクトンセグメントを有し、該ウレタン(メタ)アクリレートCが(ポリ)アルキレングリコール(メタ)セグメントを有することにより、自己修復性と耐化粧品性により優れた表面層を得ることができる。これは耐化粧品性に優れる(ポリ)アルキレングリコールセグメントが表面張力と分子間力の差により、硬化時に表面に偏在し、自己修復性に優れる(ポリ)カプロラクトンセグメントが内層に偏在することにより、効果がより顕著になったものと考えられる。
特に、表面層に含まれる樹脂中の(1)(ポリ)アルキレングリコールセグメントの質量mと表面層に含まれる樹脂中の(3)(ポリ)カプロラクトンセグメントの質量nが、0.3n≦m≦10nを満たすことが好ましく、0.3n≦m≦5nを満たすことがより好ましく、0.65n≦m≦1.20nを満たすことがさらに好ましい。表面層に含まれる樹脂中の(1)(ポリ)アルキレングリコールセグメントの質量mと表面層に含まれる樹脂中の(3)(ポリ)カプロラクトンセグメントの質量nが、0.3n≦m≦10nを満たすと、前述の硬化時における各セグメントの偏在がより顕著に起こり、自己修復性と耐化粧品性がさらに優れた表面層を得ることができる。表面層に含まれる樹脂中の(1)(ポリ)アルキレングリコールセグメントの質量mとA層に含まれる樹脂中の(3)(ポリ)カプロラクトンセグメントの質量nが、0.3n≦m≦10nを満たさない場合、前述の硬化時における各セグメントの分散性が上がり、偏在が弱くなる場合がある。
[(ポリ)シロキサンセグメント]
本発明では、表面層が(4)(ポリ)シロキサンセグメント及び/又はポリジメチルシロキサンセグメントを有することが好ましい。本発明において、(ポリ)シロキサンセグメントとは、前述の化学式5で示されるセグメントを指す。
表面層が(4)(ポリ)シロキサンセグメントを有するためには、表面層を形成するために用いる前述の塗料組成物が、(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂を含むことで可能となる。
本発明では、加水分解性シリル基を含有するシラン化合物の部分加水分解物、オルガノシリカゾルまたは該オルガノシリカゾルにラジカル重合体を有する加水分解性シラン化合物を付加させた塗料組成物を、ポリシロキサンセグメントを含有する樹脂として用いることができる。
(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂は、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシランなどの加水分解性シリル基を有するシラン化合物の完全もしくは部分加水分解物や有機溶媒に分散させたオルガノシリカゾル、オルガノシリカゾルの表面に加水分解性シリル基の加水分解シラン化合物を付加させたものなどを例示することができる。
また、本発明において、(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂は、(ポリ)シロキサンセグメント以外に、他のセグメント等が含有(共重合)されていてもよい。たとえば、(ポリ)カプロラクトンセグメント、ポリジメチルシロキサンセグメントを有するモノマー成分が含有(共重合)されていてもよい。
本発明においては、(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂として、イソシアネート基と反応する水酸基を有するモノマー等が共重合されていることが好ましい。(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂に、イソシアネート基と反応する水酸基を有するモノマー等が共重合すると、表面層の強靱性を向上する。
(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂が水酸基を有する共重合体である場合、水酸基を有する(ポリ)シロキサンセグメントを含有する樹脂(共重合体)とイソシアネート基を含有する化合物とを含む塗料組成物を用いて表面層を形成すると、効率的に、(ポリ)シロキサンセグメントとウレタン結合とを有する表面層とすることができる。
(ポリ)シロキサンセグメントが、共重合される場合であっても、別途添加される場合であっても、表面層を形成するために用いる塗料組成物の全成分100質量%において(ポリ)シロキサンセグメントが1〜20質量%であると、自己修復性、耐汚染性、耐候性、耐熱性の点で好ましい。塗料組成物の全成分100質量%には、反応に関与しない溶媒は含まない。反応に関与するモノマー成分は含む。
[ポリジメチルシロキサンセグメント]
本発明において、ポリジメチルシロキサンセグメントとは、前述の化学式6で示されるセグメントを指す。
表面層に含まれる樹脂が、(4)ポリジメチルシロキサンセグメントを有すると、ポリジメチルシロキサンセグメントが表面層の表面に配位することとなる。ポリジメチルシロキサンセグメントが表面層の表面に配位することにより、表面層表面の潤滑性が向上し、摩擦抵抗を低減することができる。この結果、傷付き性を抑制することができる。
表面層が(ポリ)シロキサンセグメント及び/又はポリジメチルシロキサンセグメントを有するためには、表面層を形成するために用いる塗料組成物が、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂を含むことで可能である。本発明においては、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂としては、ポリジメチルシロキサンセグメントにビニルモノマーが共重合された共重合体を用いることが好ましい。
表面層の強靱性を向上させる目的で、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂は、イソシアネート基と反応する水酸基を有するモノマー等が共重合されていることが好ましい。ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂が水酸基を有する共重合体である場合、水酸基を有するポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂(共重合体)とイソシアネート基を含有する化合物とを含む塗料組成物を用いて表面層を形成すると、効率的にポリジメチルシロキサンセグメントとウレタン結合とを有する表面層とすることができる。
ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂が、ビニルモノマーとの共重合体の場合は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂がビニルモノマーとの共重合体の場合、これを、ポリジメチルシロキサン系共重合体という。ポリジメチルシロキサン系共重合体は、リビング重合法、高分子開始剤法、高分子連鎖移動法などにより製造することができるが、生産性を考慮すると高分子開始剤法、高分子連鎖移動法を用いるのが好ましい。
高分子開始剤法を用いる場合には化学式11で示される高分子アゾ系ラジカル重合開始剤
(mは10〜300の整数、nは1〜50の整数)
を用いて他のビニルモノマーと共重合させることができる。またペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
高分子連鎖移動法を用いる場合は、例えば、化学式12に示すシリコーンオイル
(mは10〜300の整数)
に、HS−CHCOOHやHS−CHCHCOOH等を付加してSH基を有する化合物とした後、SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることでブロック共重合体を合成することができる。
ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体を合成するには、例えば、化学式13に示す化合物、
(mは10〜300の整数)
すなわちポリジメチルシロキサンのメタクリルエステルなどとビニルモノマーを共重合させることにより容易にグラフト共重合体を得ることができる。
ポリジメチルシロキサンとの共重合体に用いられるビニルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート,n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセチトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコールなどを挙げることができる。
また、ポリジメチルシロキサン系共重合体は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤などを単独もしくは混合溶媒中で溶液重合法によって製造されることが好ましい。
必要に応じてベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリルなどの重合開始剤を併用する。重合反応は50〜150℃で3〜12時間行うのが好ましい。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体中のポリジメチルシロキサンセグメントの量は、表面層の潤滑性や耐汚染性の点で、ポリジメチルシロキサン系共重合体の全成分100質量%において1〜30質量%であるのが好ましい。またポリジメチルシロキサンセグメントの重量平均分子量は1,000〜30,000とするのが好ましい。
ポリジメチルシロキサンセグメントが、共重合される場合であっても、別途添加される場合であっても、表面層を形成するために用いる塗料組成物の全成分100質量%においてジメチルシロキサンセグメントが1〜20質量%であると、自己修復性、耐汚染性、耐候性、耐熱性の点で好ましい。塗料組成物の全成分100質量%には、反応に関与しない溶媒は含まない。反応に関与するモノマー成分は含む。
本発明において、表面層を形成するために用いる塗料組成物として、ポリジメチルシロキサンセグメントを含有する樹脂を使用する場合は、ポリジメチルシロキサンセグメント以外に、他のセグメント等が含有(共重合)されていてもよい。たとえば、(ポリ)カプロラクトンセグメントや(ポリ)シロキサンセグメントが含有(共重合)されていてもよい。
表面層を形成するために用いる塗料組成物には、(ポリ)カプロラクトンセグメントとポリジメチルシロキサンセグメントの共重合体、(ポリ)カプロラクトンセグメントと(ポリ)シロキサンセグメントとの共重合体、(ポリ)カプロラクトンセグメントとポリジメチルシロキサンセグメントと(ポリ)シロキサンセグメントとの共重合体などを用いることが可能である。このような塗料組成物を用いて得られる表面層は、(ポリ)カプロラクトンセグメントとポリジメチルシロキサンセグメント及び/又は(ポリ)シロキサンセグメントとを有することが可能となる。
(ポリ)カプロラクトンセグメント、(ポリ)シロキサンセグメント及びポリジメチルシロキサンセグメントを有する表面層を形成するために用いる塗料組成物中の、ポリジメチルシロキサン系共重合体、(ポリ)カプロラクトン、および(ポリ)シロキサンの反応は、ポリジメチルシロキサン系共重合体合成時に、適宜(ポリ)カプロラクトンセグメント及びポリシロキサンセグメントを添加して共重合することができる。
[(ポリ)アルキレングリコールセグメント]
本発明では、表面層が、(ポリ)アルキレングリコールセグメントを有することが好ましい。本発明において、(ポリ)アルキレングリコールセグメントとは、化学式14で示されるセグメントを指す。
但し、nは2〜4の整数、mは2〜11の整数である。
アルキレングリコールはその炭素数nが2〜4のグリコールである。更に、アルキレングリコールの繰返し単位数mは2〜11であり、好ましくは3〜6である。アルキレングリコールの炭素数nが4を越える場合又はアルキレングリコールの繰返し単位数mが11を超える場合には、アルキレングリコールの分子鎖が長くなって硬化物の架橋密度が低くなり、その硬度が低くなって塗膜強度、耐擦傷性等が低下する場合がある。一方、アルキレングリコールの繰返し単位数mが2未満となる場合には、アルキレングリコールの分子鎖が短くなり硬化物の架橋密度が高くなり、硬化物が柔軟性を失うため、硬化物の自己修復性と加工性が低下する場合がある。
(ポリ)アルキレングリコールセグメントを含有する樹脂を含む塗料組成物を用いて表面層を形成することにより、表面層は、(ポリ)アルキレングリコールセグメントを有することができる。
(ポリ)アルキレングリコールセグメントを含有する樹脂は、少なくとも1以上の水酸基(ヒドロキシル基)を有することが好ましい。水酸基は、(ポリ)アルキレングリコールセグメントを含有する樹脂の末端にあることが好ましい。
(ポリ)アルキレングリコールセグメントを含有する樹脂としては、弾性を付与するために、末端にアクリレート基を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートであることが好ましい。(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートのアクリレート官能基(またはメタクリレート官能基)数は限定されないが、硬化物の自己修復性の点から単官能であることが最も好ましい。
表面層を形成するために用いる塗料組成物中に含有される(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)ブチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。それぞれ次の化学式15、化学式16、化学式17に代表される構造である。
(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート:
(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート:
(ポリ)ブチレングリコール(メタ)アクリレート:
化学式15、化学式16、化学式17でRは水素(H)又はメチル基(−CH)、mは2〜11となる整数である。
これらのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのうち、アルキレングリコールの炭素数mが2のエチレングリコールである(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートが特に好ましい。(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートは、化学式14における炭素数nが最も小さいことから、得られる硬化物の耐化粧品性と耐擦傷性の両立に寄与することができる。
本発明では、好ましくは、上述したイソシアネート基を含有する化合物と(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの水酸基を反応させてウレタン(メタ)アクリレートとして表面層に用いることにより、表面層が、(2)ウレタン結合及び(3)(ポリ)アルキレングリコールセグメントを有することができ、結果として表面層の強靱性を向上させると共に自己修復性を向上することができて好ましい。
前述のイソシアネート基を含有する化合物と(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートとのウレタン化反応の際には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、長鎖アルコール等を配合することができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを配合することにより、硬化物である表面層の硬度を高めることができる。長鎖アルコールを配合することにより、硬化物である表面層の表面滑性を高めることができ、その結果耐擦傷性を向上させることができる。なお、この長鎖アルコールは前記長鎖アルキル基含有化合物の概念に含まれる化合物である。
イソシアネート基を含有する化合物と(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートとのウレタン化反応の際に同時に配合するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が例示される。
イソシアネート基を含有する化合物と(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートとのウレタン化反応の際に同時に配合する長鎖アルコールとしては、トリデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、グリセロールモノステアレート等が挙げられる。特に好ましい長鎖アルコールとしては、ポリエーテル変性セチルアルコール等のポリエーテル変性された長鎖アルコールが挙げられる。なぜならば、ポリエーテル変性された長鎖アルコールを使用すれば、硬化物である表面層に帯電防止効果を付与することができるからである。
前記イソシアネート基を含有する化合物と(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートとのウレタン化反応は、有機溶剤中で触媒、重合禁止剤等の存在下に行われる。ウレタン化反応における反応温度は常温〜100℃が好ましく、反応時間は1〜10時間が好ましい。反応温度が常温より低い場合又は反応時間が1時間より短い場合には、反応の進行が遅く、目的とするウレタン(メタ)アクリレートの収率が低下する場合がある。一方、反応温度が100℃を超える場合又は反応時間が10時間より長い場合には、副反応が起きやすくなる場合がある。
前記イソシアネート基を含有する化合物と(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートとのウレタン化反応に用いる有機溶剤の例は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。触媒の例としては、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキソエート、ジブチル錫サルファイト等が挙げられる。重合禁止剤の例としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。
[溶媒、溶媒E]
前記塗料組成物A、塗料組成物Bは溶媒を含んでもよい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下である。
ここで「溶媒」とは、塗布後の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。
ここで、溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2−プロパノールと、n−プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
さらに、溶媒を含む場合には以下の特性(条件1)を示す溶媒であることが好ましい。
条件1 酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度(ASTM D3539−87(2004年))が最も低い溶媒を溶媒Eとした際に、溶媒Eの相対蒸発速度が0.3以下
ここで、溶媒の酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度とは、ASTMD3539−87(2004年)に準拠して測定される蒸発速度である。具体的には、乾燥空気下で酢酸n−ブチルが90質量%蒸発するのに要する時間を基準とする蒸発速度の相対値として定義される値である。
前記溶媒Eの相対蒸発速度が0.3よりも大きい場合にはフッ素化合物Dの表面への配向に要する時間が短くなるため耐指紋性の低下を生じる場合がある。また、前記溶媒Eの相対蒸発速度の下限は、乾燥工程において蒸発して塗膜から除去できる溶媒であれば問題なく、一般的な塗布工程においては、0.005以上であればよい。
溶媒Eとしては、イソブチルケトン(相対蒸発速度:0.2)、イソホロン(相対蒸発速度:0.026)、ジチレングリコールモノブチルエーテル(相対蒸発速度:0.004、)、ジアセトンアルコール(相対蒸発速度:0.15)、オレイルアルコール(相対蒸発速度:0.003)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(相対蒸発速度:0.2)、ノニルフェノキシエタノール(相対蒸発速度:0.25)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(相対蒸発速度:0.1)などがある。
[他の添加剤]
前記塗料組成物A、Bには、重合開始剤や硬化剤や触媒を含むことが好ましい。重合開始剤および触媒は、表面層の硬化を促進するために用いられる。重合開始剤としては、塗料組成物に含まれる成分をアニオン、カチオン、ラジカル重合反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
重合開始剤、硬化剤および触媒は種々のものを使用できる。また、重合開始剤、硬化剤および触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の重合開始剤、硬化剤および触媒を同時に用いてもよい。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤や光重合開始剤を併用してもよい。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましい。アルキルフェノン形化合物の具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2.2−ジメトキシ−1.2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタン、1−シクロヒキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−エトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2−フェニル−2−オキソ酢酸)オキシビスエチレン、およびこれらの材料を高分子量化したものなどが挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、表面層を形成するために用いる塗料組成物A、Bにレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を加えてもよい。これにより、表面層はレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を含有することができる。レベリング剤の例としては、アクリル共重合体又はシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、トリアジン系及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が挙げられる。帯電防止剤の例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩が挙げられる。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムの表面に形成される表面層は、前述の塗料組成物を前述の支持基材上に塗布−乾燥−硬化することにより形成する製造方法を用いることが好ましい。
塗布による積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材等に塗布することにより表面層を形成することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法または、ダイコート法が塗布方法としてより好ましい。
次いで、支持基材等の上に塗布された液膜を乾燥する。得られる積層フィルム中から完全に溶媒を除去することに加え、塗布により形成された液膜中のフッ素化合物Dを表面へ移動し、フッ素化合物セグメントを表面層の最表面に偏析させる観点からも、乾燥工程では液膜の加熱を伴うことが好ましい。
乾燥方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などが挙げられる。この中でも、本発明の製造方法では、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱、または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
乾燥過程は一般的に(A)恒率乾燥期間、(B)減率乾燥期間に分けられ、前者は、液膜表面において溶媒分子の大気中への拡散が乾燥の律速になっているため、乾燥速度は、この区間において一定で、乾燥速度は大気中の被蒸発溶媒分圧、風速、温度により支配され、膜面温度は熱風温度と大気中の被蒸発溶媒分圧により決まる値で一定になる。後者は、液膜中での溶媒の拡散が律速となっているため、乾燥速度はこの区間において一定値を示さず低下し続け、液膜中の溶媒の拡散係数により支配され、膜面温度は上昇する。ここで乾燥速度とは、単位時間、単位面積当たりの溶媒蒸発量を表わしたもので、g・m−2・s−1の次元からなる。
前記乾燥速度には、好ましい範囲があり、10g・m−2・s−1以下であることが好ましく、5g・m−2・s−1以下であることがより好ましい。下限値は0.1g・m−2・s−1以上が好ましい。恒率乾燥区間における乾燥速度をこの範囲にすることにより、乾燥速度の不均一さに起因するムラを防ぐことができる。
0.1g・m−2・s−1以上10g・m−2・s−1以下の範囲の乾燥速度が得られるならば、特に特定の風速、温度に限定されない。
本発明の積層フィルムの製造方法においては、減率乾燥期間では残存溶媒の蒸発と共に、フッ素化合物Dの配向が行われる。この過程においては配向のための時間を必要とするため、減率乾燥期間における膜面温度上昇速度には好ましい範囲が存在し、5℃/秒以下であることが好ましく、1℃/秒以下であることがより好ましい。
さらに、熱またはエネルギー線を照射することによるさらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。硬化工程において、塗料組成物Aを用いる場合に熱で硬化する場合には、室温から200℃であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、100℃以上200℃以下がより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)及び/又は紫外線(UV線)であることが好ましい。また紫外線により硬化する場合は、酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度ができるだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下(窒素パージ)で硬化する方がより好ましい。酸素濃度が高い場合には、最表面の硬化が阻害され、表面の硬化が不十分となり、耐指紋性が不十分となる場合がある。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000mW/cm、好ましくは200〜2,000mW/cm、さらに好ましくは300〜1,500mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましく、紫外線の積算光量が100〜3,000mJ/cm、好ましく200〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがより好ましい。ここで、紫外線の照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計及び被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
<フッ素化合物D>
[フッ素化合物D1]
フッ素化合物D1としてフルオロポリエーテルセグメントを含むアクリレート化合物(“メガファック” RS−75 DIC株式会社製 固形分濃度40質量% 溶媒(トルエンおよびメチルエチルケトン)60質量%)を使用した。
[フッ素化合物D2]
フッ素化合物D2としてフルオロポリエーテルセグメントを含むシロキサン化合物(KY−108 信越化学工業株式会社製 固形分濃度20質量% 溶媒(メタノールおよびイソプロピルアルコール)80質量%)を使用した。
[フッ素化合物D3]
フッ素化合物D3としてフルオロポリエーテルセグメント(フルオロテトラエチレングリコールセグメント)を含む2官能アクリレート化合物(FPTMG−A 油脂製品株式会社製 固形分濃度100質量%)を使用した。
[フッ素化合物D4]
フッ素化合物D4としてフルオロアルキルセグメントを含むアクリレート化合物(トリアクリロイル−ヘプタデカフルオロノネニル−ペンタエリスリトール 共栄社化学株式会社製 固形分濃度100質量%)を使用した。
[フッ素化合物D5]
フッ素化合物D5としてフルオロアルキルセグメントを含むアクリレート化合物(ペンタアクリロイル−ヘプタデカフルオロノネニル−ジペンタエリスリトール 共栄社化学株式会社製 固形分濃度100質量%)を使用した。
<ポリシロキサンの合成>
[ポリシロキサン(a)]
攪拌機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えた500ml容量のフラスコにエタノール106質量部、テトラエトキシシラン320質量部、脱イオン水21質量部、および1質量%塩酸1質量部を仕込み、85℃で2時間保持した後、昇温しながらエタノールを回収し、180℃で3時間保持した。その後、冷却し、粘調なポリシロキサン(a)を得た。
[ポリシロキサン(b)]
攪拌機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えた500ml容量フラスコにエタノール106質量部、メチルトリメトキシシラン270質量部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン23質量部、脱イオン水100質量部、1質量%塩酸1質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部を仕込み、80℃で3時間反応させ、ポリシロキサン(b)を合成した。これをメチルイソブチルケトンで50質量%に調整した。
<ポリジメチルシロキサン化合物の合成>
[ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)]
ポリシロキサン(a)の合成と同様の装置を用い、トルエン50質量部、およびメチルイソブチルケトン50質量部、ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬株式会社製 VPS−0501)20質量部、メタクリル酸メチル18質量部、メタクリル酸ブチル38質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸1重量部および1−チオグリセリン0.5質量部を仕込み、180℃で8時間反応させてポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を得た。得られたブロック共重合体は、固形分濃度50質量%であった(溶媒(トルエンおよびメチルイソブチルケトン)が50質量%であった)。
[ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)]
ポリシロキサン(a)の合成に用いた装置を用い、トルエン50質量部、酢酸イソブチル50質量部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル20質量部、カプロラクトンメタクリルエステル(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFM−5)32質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート17質量部、ポリシロキサン(b)10質量部、片末端メタクリル基ポリジメチルシロキサン(東亞合成株式会社製 AK−32)20質量部、およびメタクリル酸1質量部、1,1−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル2質量部を混合した。この混合モノマーを上記のトルエン、酢酸ブチルの混合液に2時間かけて滴下した。その後、110℃で8時間反応させ、固形分濃度50質量%の水酸基を有するポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)を得た。得られたブロック共重合体(b)は、固形分濃度50質量%であった(溶媒(トルエンおよび酢酸イソブチル)が50質量%であった)。
[ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(c)]
ポリシロキサン(a)の合成と同様の装置を用い、トルエン50質量部、およびメチルイソブチルケトン50質量部、ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬株式会社製 VPS−0501)20質量部、メタクリル酸メチル18質量部、メタクリル酸ブチル38質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸1重量部および1−チオグリセリン0.5質量部を仕込み、180℃で8時間反応させてポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(c)を得た。得られたブロック共重合体(c)は、固形分濃度50質量%であった(溶媒(トルエンおよびメチルイソブチルケトン)が50質量%であった)。
[ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(d)]
モノマー組成をメタクリル酸メチル20質量部、メタクリル酸ブチル26質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、ポリシロキサン(a)10質量部、メタクリル酸1質量部および片末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製 X−22−174DX)20質量部とした以外、ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)と同様の方法でポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(d)を合成した。得られたグラフト共重合体(d)は、固形分濃度50質量%でであった(溶媒(トルエンおよび酢酸イソブチル)が50質量%であった)。
あった。
[ポリジメチルシロキサン化合物(e)]
ポリジメチルシロキサン化合物(e)として、ダイセルサイテック株式会社製、EBECRYL350(2官能、シリコーンアクリレート)を用いた。
[ポリジメチルシロキサン化合物(f)]
ポリジメチルシロキサン化合物(f)として、ダイセルサイテック株式会社製、EBECRYL1360(6官能、シリコーンアクリレート)を用いた。
<ウレタン(メタ)アクリレートBの合成>
[ウレタン(メタ)アクリレートB1]
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(三井化学株式会社製タケネートD−170N)50質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA5)76質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、70℃で5時間保持した。その後、トルエン79質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートB1のトルエン溶液を得た。
[ウレタン(メタ)アクリレートB2]
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(三井化学株式会社製 タケネートD−170N)25質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA10)162.8質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、70℃で5時間保持した。その後、トルエン137.8部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートB2のトルエン溶液を得た。なお、このウレタン(メタ)アクリレートにおけるアクリレートモノマー残基当たりのカプロラクトン単位の繰り返し数は10である。
[ウレタン(メタ)アクリレートB3]
トルエン100質量部、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート(協和発酵キリン株式会社製 LDI)50質量部及びポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルCD−210HL)119質量部を混合し、40℃にまで昇温して8時間保持した。それから、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学株式会社製 ライトエステルHOA)28質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製 M−400)5部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を加えて70℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02質量部を加えて80℃で6時間保持した。そして、最後にトルエン97質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートB3のトルエン溶液を得た。
[ウレタン(メタ)アクリレートB4]
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(三井化学株式会社製 タケネートD−170N)50質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA5)70質量部、ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製 X−22−160AS)8部ジブチル錫ラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、70℃で5時間保持した。その後、トルエン79質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートB4のトルエン溶液を得た。
[ウレタン(メタ)アクリレートB5]
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(三井化学株式会社製 タケネートD−170N)34質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA10)57質量部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA3)57質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、70℃で5時間保持した。その後、トルエン137.8質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートB5のトルエン溶液を得た。
<ウレタン(メタ)アクリレートCの合成>
[ウレタン(メタ)アクリレートC1]
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性タイプ(旭化成ケミカルズ株式会社製 デュラネート24A−90CX、不揮発分:90質量%、イソシアネート含有量:21.2質量%)50質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA2D)92質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、70℃で5時間保持した。その後、トルエン82質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートC1のトルエン溶液を得た。なお、このウレタン(メタ)アクリレートにおけるアクリレートモノマー残基当たりのカプロラクトン単位の繰り返し数は2である。
[ウレタン(メタ)アクリレートC2]
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(三井化学株式会社製 タケネートD−170N)50質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFA3)114質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を加え、70℃で3時間保持した。その後、トルエン118.2質量部を加えて固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートC2のトルエン溶液を得た。なお、このウレタン(メタ)アクリレートにおけるアクリレートモノマー残基当たりのカプロラクトン単位の繰り返し数は3である。
[ウレタン(メタ)アクリレートC3]
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(三井化学株式会社製 タケネートD−170N、イソシアネート基含有量:20.9質量%)50質量部、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油株式会社製 ブレンマーAE−90、水酸基価:332(mgKOH/g))42質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込んだ。そして、70℃で5時間保持して反応を行った。反応終了後、反応液にメチルエチルケトン(以下MEKという)92質量部を加え、固形分濃度50質量%のウレタン(メタ)アクリレートC3のトルエン溶液を得た。
[ウレタン(メタ)アクリレートC4]
ウレタン(メタ)アクリレートC3において、ポリエチレングリコールモノアクリレートをブレンマーAE−150(水酸基価:264(mgKOH/g))53質量部、反応液のMEKを102質量部に変更した以外はウレタン(メタ)アクリレートC3と同様にしてウレタン(メタ)アクリレートC4のトルエン溶液を得た。
[ウレタン(メタ)アクリレートC5]
ウレタン(メタ)アクリレートC3において、ポリエチレングリコールモノアクリレートをブレンマーAE−200(水酸基価:205(mgKOH/g))68質量部、反応液のMEKを118質量部に変更した以外はウレタン(メタ)アクリレートC3と同様にしてウレタン(メタ)アクリレートC5のトルエン溶液を得た。
[ウレタン(メタ)アクリレートC6]
ウレタンメタアクリレートC3において、ポリエチレングリコールモノアクリレートをブレンマーAE−400(水酸基価:98(mgKOH/g))142部、反応液のMEKを192質量部に変更した以外はウレタン(メタ)アクリレートC3と同様にしてウレタン(メタ)アクリレートC6のトルエン溶液を得た。
[ウレタン(メタ)アクリレートC7]
1,3−ビスイソシアネートメチルシクロヘキサンを50質量部、ヒドロキシアルキルアクリレートを100質量部、ジブチル錫ラウレート0.05質量部、ハイドロキノン2質量部を添加し、70℃で3時間保持した。その後85℃で2時間の熟成を行い、ウレタン(メタ)アクリレートC7のトルエン溶液を得た。
<塗料組成物Aの調合>
[塗料組成物A1−1]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−1を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−2]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−2を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 2質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−3]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−3を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 10質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−4]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−4を得た。
・フッ素化合物D2溶液(固形分濃度20質量%) 12質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−5]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−5を得た。
・フッ素化合物D3 2.4質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−6]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−6を得た。
・フッ素化合物D4 2.4質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−7]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−7を得た。
・フッ素化合物D5 2.4質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308 重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−8]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−8を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A1−9]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A1−9を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A2]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A2を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 17質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A3]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A3を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 8質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A4]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A4を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b) 100質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサンメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 12質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A5]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A5を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル312重量平均分子量1250) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A6]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A6を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(c)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A7]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A7を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体 バイエル株式会社製 デスモジュールN3200) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A8]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A8を得た。
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部。
[塗料組成物A9]
<原料A8の調合>
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A9を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 36質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A10]
<原料A9の調合>
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A10を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトントリオール ダイセル化学工業株式会社製 プラクセル308、重量平均分子量850) 15質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 25質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)溶液(固形分濃度50質量%) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A11]
<原料B1の調合>
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A11を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 DIC株式会社製 バーノックDN−950、固形分濃度:75質量%) 12質量部
・ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(d)溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・光ラジカル重合開始剤 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
[塗料組成物A12]
<原料A11の調合>
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物A12を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6質量部
・ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b) 100質量部
・イソシアネート基を有する化合物(ヘキサンメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 三井化学株式会社製 タケネートD−170N) 25質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1質量部。
<塗料組成物Bの調合>
[塗料組成物B1]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B1を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(東亞合成株式会社製 M−5400 固形分濃度100質量%) 10質量部
・トルエン 10質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 3質量部。
[塗料組成物B2]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B2を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB2溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC2溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B3]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B3を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB2溶液(固形分濃度50質量%) 70質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC2溶液(固形分濃度50質量%) 30質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B4]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B4を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB3溶液(固形分濃度50質量%) 30質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC2溶液(固形分濃度50質量%) 70質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B5]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B5を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB3溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B6]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B6を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.8質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC3溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−1]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−1を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−2]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−2を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 1.3質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−3]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−3を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 6.3質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−4]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−4を得た。
・フッ素化合物D2溶液(固形分濃度20質量%) 7.5質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−5]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−5を得た。
・フッ素化合物D3 1.5質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−6]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−6を得た。
・フッ素化合物D4 1.5質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−7]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−7を得た。
・フッ素化合物D5 1.5質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−8]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−8を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−9]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−9を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−10]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−10を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ポリジメチルシロキサン化合物(e) 3 質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−11]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−11を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ポリジメチルシロキサン化合物(f) 3 質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−12]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−12を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ポリジメチルシロキサン化合物(e) 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B7−13]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B7−13を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ポリジメチルシロキサン化合物(e) 25質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B8]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B8を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC5溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B9]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B9を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC6溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B10]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B10を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 10質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B11]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B11を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC4溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B12]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B11を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B13]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B13を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB2溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B14]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B14を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB2溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB1溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B15]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B15を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB3溶液(固形分濃度50質量%) 80質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC2溶液(固形分濃度50質量%) 20質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B16]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B16を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB3溶液(固形分濃度50質量%) 80質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB2溶液(固形分濃度50質量%) 20質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B17]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B17を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB3溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートB2溶液(固形分濃度50質量%) 50質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物B18]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物B18を得た。
・フッ素化合物D1溶液(固形分濃度40質量%) 3.6質量部
・ウレタン(メタ)アクリレートC7溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
[塗料組成物X、塗料組成物Y]
ウレタン(メタ)アクリレートB(B1〜B5)、ウレタン(メタ)アクリレートC(C1〜C7)の各組成について、下記比率で混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度40質量%の塗料組成物X(X1〜X5)、Y(Y1〜Y7)を得た。
・ウレタン(メタ)アクリレートB、またはC溶液(固形分濃度50質量%) 100質量部
・光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガキュア184) 1.5質量部。
<積層フィルムの製造方法>
[積層フィルムの作製A]
支持基材としてポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と称することがある)樹脂フィルム上に易接着性塗料が塗布されている厚み100μmの“ルミラー”(登録商標)U46(東レ株式会社製)を用いた。前記塗料組成物A(A1−1〜A12)を、スロットダイコーターを有する連続塗布装置を用い、乾燥後の厚みが30μmになるようにダイスロットからの吐出流量を調整して塗布した。塗布から乾燥、硬化までの間に液膜にあたる乾燥工程、硬化工程の条件は下記の通りである。
第1乾燥工程
送風温湿度 : 温度:80℃
風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒
風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直
滞留時間 : 1分間
第2乾燥工程
送風温湿度 : 温度:160℃
風速 : 塗布面側:10m/秒、反塗布面側:10m/秒
風向 : 塗布面側:基材の面に対して垂直、反塗布面側:基材の面に対して垂直
滞留時間 : 2分間
硬化工程
照射出力:400W/cm、積算光量:120mJ/cm
酸素濃度:0.1体積%。
なお、風速、温湿度は熱線式風速計(日本カノマックス株式会社 アネモマスター風速・風量計 MODEL6034)による測定値を使用した。 次いで、20℃で14日間保管(エージング)を行い、実施例A1−1〜A7、比較例A1〜A5の積層フィルムを得た。
[積層フィルムの作製B]
支持基材としてPET樹脂フィルム上に易接着性塗料が塗布されている厚み100μmの“ルミラー”(登録商標)U46(東レ株式会社製)を用いた。前記塗料組成物B(B1〜B18)、塗料組成物X(X1〜X5)、塗料組成物Y(Y1〜Y7)を、スロットダイコーターを有する連続塗布装置を用い、乾燥後の厚みが30μmになるようにダイスロットからの吐出流量を調整して塗布した。塗布から乾燥、硬化までの間に液膜にあたる乾燥風の条件は下記の通りである。
乾燥工程
送風温湿度 : 温度:80℃、 相対湿度:1%以下
風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒
風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直
滞留時間 : 2分間
硬化工程
照射出力:400W/cm、積算光量:120mJ/cm
酸素濃度:0.1体積%。
なお、風速、温湿度は熱線式風速計(日本カノマックス株式会社製 アネモマスター風速・風量計 MODEL6034)による測定値を使用した。以上の方法により実施例B1〜B10、比較例B1〜B8、およびウレタン(メタ)アクリレートB(B1〜B5)の特性を評価するための積層フィルムX(X1〜X5)、ウレタン(メタ)アクリレートC(C1〜C17)の特性を評価するための積層フィルムY(Y1〜Y7)の積層フィルムを作成した。
<ウレタン(メタ)アクリレートB、ウレタン(メタ)アクリレートCの評価>
[オレイン酸塗布時の質量増加率]
前述の方法で得られた支持基材上にウレタン(メタ)アクリレートB,ウレタン(メタ)アクリレートCを含む塗料組成物を塗布した積層フィルムX、およびYを200mm×200mm長に切り出し、この積層フィルムの質量をAとした。ベークライト板に固定し、X層、またはY層側の100mm幅×100mm長にオレイン酸を塗布した。塗布する際はプラスチックで囲いを作り、オレイン酸が流れ出ないようにした(すなわち、積層フィルムに吸収される量よりも多い量のオレイン酸を塗布した)。これを60℃に加熱したオーブンに1時間保存した。保存後、ハイゼガーゼを用いて積層フィルムが透明になるまで拭き取りを行い、23℃の雰囲気下で24時間保存した(すなわち、積層フィルムに吸収されなかった塗料組成物を拭き取った)。この後測定したフィルムの質量をBとした。このときのオレイン酸による質量増加率は以下の計算式より求めた。測定はそれぞれ3回行い、その平均値を採用した。
(B−A)/(100×t×d)×100
t:オレイン酸塗布前の、X層またはY層厚み(cm)
d:オレイン酸塗布前の、X層またはY層の比重(g/cm)。
ここで、前記X層、Y層の比重は積層フィルムからX層、Y層の切片を片刃ナイフで切り出し、臭化ナトリム水溶液を媒体とした密度勾配管法(JIS K7112(1999年))に従い測定した。この時、測定は5検体について行い、その平均値を採用した。
得られた結果を表1、表2に示す。
<積層フィルムの評価>
作製した積層フィルムについて、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表3−1、3−2、4−1、4−2、5−1、5−2に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
[表面層の60°鏡面光沢度]
積層フィルムの表面層の光沢度は、日本電色工業株式会社製 VG7000を用いて、積層フィルム表面の光沢度をJIS Z8741(1997年)に従い60°鏡面光沢度を測定し、60%以上を合格とした。
[表面層のオレイン酸前進接触角、後退接触角]
前進接触角、後退接触角の測定は拡張−収縮法により測定を行い、協和界面科学製接触角計Drop Master DM−501を用いて、同装置の拡張−収縮法測定マニュアルに従った。前進接触角は、具体的にはシリンジからオレイン酸(ナカライ規格一級 ナカライテスク株式会社製)を液吐出速度8.5μL/秒で最終液量50μLまで連続的に吐出し、液滴の形状を吐出開始前から吐出終了後まで0.5秒毎に30回撮影し、同画像から、同装置付属の統合解析ソフト“FAMAS”を用いてそれぞれの接触角を求めた。液滴の拡張過程での接触角は最初、拡張につれて変化し、次いでほぼ一定になる挙動を示すため、測定順に接触角データを並べ、その順に連続した5点を選択したとき、連続した5点の標準偏差が最初に1°以下になった時の平均値をその測定の前進接触角とし、この測定を1サンプルについて5回行い、その平均値を試料の前進接触角とした。なお、吐出開始前および吐出終了後も一定時間撮影はされるが、解析ソフトでは吐出開始前および吐出終了後の撮影データは接触角を算出するための5点のデータからは除外されるようになっている。
後退接触角は、初期液滴量50μL、液吐出速度8.5μL/秒で液滴を連続的に吸引し、同液滴の縮小過程の形状を吸引開始前から吸引終了後まで撮影し、同様の方法でそれぞれの接触角を求めた。なお、吸引開始前および吸引終了後も一定時間撮影はされるが、解析ソフトでは吸引開始前および吸引終了後の撮影データは接触角を算出するための5点のデータからは除外されるようになっている。液滴の収縮過程の接触角は最初、収縮につれて変化し、次いでほぼ一定になる挙動を示すため、液滴の収縮していく方向に接触角を並べ、その順に連続した5点を選択したとき、連続した5点の標準偏差が最初に1°以下になったときの平均値をその測定の後退接触角とし、この測定を1サンプルについて5回行い、その平均値を試料の後退接触角とした。なお、サンプルによっては液滴の収縮過程の接触角が一定にならず、連続的に低下し続けるものもあるが、これについては後退接触角を0°とした。
[オレイン酸吸収係数]
オレイン酸吸収係数の算出に必要な値のうち、表面層に着滴したオレイン酸の体積、および付着領域の面積の測定には協和界面科学株式会社 接触角計Drop Master DM−501を用いて、同装置の静的接触角測定マニュアルに従った。具体的にはシリンジ先端にオレイン酸(ナカライ規格一級 ナカライテスク)2μLの液滴を作成し、成型材料表面に着滴させた後、その付着状態の画像を撮影、同装置付属の統合解析ソフト“FAMAS”を用いて体積および接触面積を算出した。なお体積については付着油滴の形状を切断球形として近似し算出し、接触面積については接触線の長さを真円の直径と仮定した際の同真円の面積として算出した。更にこの付着油滴を25℃、無風状態下で10時間静置した後に同様の測定により体積を計測した。
また、表面層の厚みTについては成型材料作成時の塗布厚みを元に算出した。一方で塗布厚みが未知である場合には先に記述したとおり、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面の存在を基にその厚みを見積もることができる。
[飛行時間型2次イオン質量分析法:TOF−SIMSによるFフラグメントイオン(M/Z=19)とジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンの面内での分布の測定]
ION TOF社製、飛行時間型2次イオン質量分析計TOF−SIMSVおよび同社測定ソフトSURFACE LAB 6を用い、積層フィルムの最表面について、2次イオン質量分析法によってFフラグメントイオン(M/Z=19)とジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンを測定し、面内での各フラグメントイオンの分布を求めた。測定条件は以下の通りである。
・測定条件
一次イオン種 :Bi
一次イオン電流:1.000pA
加速電圧 :25kV
検出イオン極性:negative(F)、positive(Si(CH3
測定範囲 :100μm×100μm
分解能 :128×128
スキャン回数 :36回。
測定データの解析については、まず2次イオン質量分析計に内蔵されているソフトウェアを用いて、前記積層フィルムの最表面における2次元の位置情報、および対応する位置での各フラグメントイオンの2次イオン強度の情報を抽出した。位置情報については測定条件に設定された測定範囲を分解能の数値で均等に分割した、直交座標の格子点として出力される。2次イオン強度の変動係数については、抽出した2次イオン強度の値を元に算出することができる。すなわち、すべての抽出した2次イオン強度の値を用いて、2次イオン強度の標準偏差および平均値を算出し、(標準偏差)/(平均値)の値を変動係数とする。
次に2次イオン質量分析計に内蔵されているソフトウェアを用いて、それぞれのフラグメントイオンについて、前述の2次元の位置情報に2次イオン強度を加えた3次元の情報を、図2から図4のような平面分布像(マッピング像)に変換した。この際2次イオン強度のスケールは、測定領域における最大値、最小値から上記のソフトウェアにより自動設定される。一方で検出強度が少ない部分については、それぞれフラグメントイオンの由来となる化学種に期待される撥油性および親油性の効果が十分に得られないことから、具体的には2次イオン強度において最大値の20%を境界値とし、この値に満たない領域を、着目している化学種が実質影響しない領域とみなし、前述の境界値未満の領域とした。
この結果から得られた、Fフラグメントイオン(M/Z=19)と、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンの平面分布像およびスケールバーを、画像処理ソフトEasyAccess Ver6.7.1.23 にて画像をグレースケールに変換し、ホワイトバランスを最明部と最暗部が8bitのトーンカーブに収まるように調整、さらに2次イオン分布における前述の境界値が明確に見分けられるようにスケールバーを参照しながらコントラストを調節した。次いで画像解析ソフトImageJ 1.45sを用いて前述の境界を境に画素の2値化を行い、平面分布像のみを切り出した後に、それぞれのフラグメントイオンの分布領域のなす面積を算出した。更に該当領域の面積を測定範囲全域の面積で除算することで、フラグメントイオンが存在する領域の占める割合、占有率を求めた。
そして、飛行時間型2次イオン質量分析計にて、100μm×100μmの範囲を縦128点×横128点で測定した全測定点における2次イオン強度の変動係数が0.4以内であれば、Fフラグメントイオンが「均一に存在」すると判断した。
また、画像を観察した結果、図2に示すように、測定を行った測定点のSi(CHの2次イオン強度を図示したとき、最大強度の20%に相当する境界値に満たない部分で周りを囲まれている(図の外周にかかるものは除く)場合は、Si(CHフラグメントイオンが「島状に存在」すると判断した。
一方、画像を観察した結果、図3に示すように、Si(CHフラグメントの2次イオン強度を図示したとき、前述の境界値未満の領域が島状に存在している場合、Si(CHフラグメントイオンが「網目状に存在」すると判断した。
または、画像を観察した結果、図4に示すようにSi(CHフラグメントの2次イオン強度を図示したとき、測定範囲内に前記の島状に存在する領域と網目状に存在する領域とが共存している場合、Si(CHフラグメントイオンが「島状および網目状に存在」すると判断した。
更に前述の平面分布像から前述の位置情報の直交座標に平行もしくは垂直な、任意の列または行の情報を抽出し、以下のラインプロファイル解析を実施した。まず抽出した行もしくは列を、前述の2次イオン強度の境界値を元に、「各フラグメントイオンが存在する線分」と「境界値以下の線分」の2種類に分割した。ついでおのおのの線分の長さを算出し、その平均値を求めた。
[表面層の破壊伸度]
積層フィルムを10mm幅×200mm長に切り出し、長辺方向へ延伸されるようにチャックで把持し、インストロン型引っ張り試験機(インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848)にて引っ張り速度100mm/分で伸張した。この時の測定雰囲気は23℃・65RH%である。伸張する際に、伸張中のサンプルを観察しておき、目視でクラック(亀裂)が生じたら停止する(停止するときの伸度は5(%)の整数倍となるように調整する)。次から測定するサンプルは、停止時の伸度より、5%単位で伸張伸度を低くしていったサンプルを順次採取し、最終的に目視にてクラックが入らなくなる伸度まで行った。
採取したサンプルのクラック部分の断面を切り出し、観察する表面層の厚みが、透過型電子顕微鏡の観察画面上において、30mm以上になるような倍率で表面層を観察し、表面層の平均厚みの50%以上のクラックが発生している場合をクラック有り(表面層の破壊有り)として、クラック有りとされたサンプルの中で、最も低い伸度を有するサンプルの伸度値を破壊伸度とした。そして、同一の測定を計3回行い、それらの破壊伸度の平均値を表面層の破壊伸度とし、30%以上を合格とした。
[表面層の厚み方向の最大変位量、クリープ変位量、および永久変位量]
平滑な金属板(ダイス鋼:SKD−11)に、東レ・ダウコーニング株式会社製「ハイバキュームグリース」を1g塗布し、それに積層フィルムの支持基材側をハイバキュームグリース塗布部分に貼り付け、積層フィルムの表面層側に濾紙を設置し、ハンドプレス機で空気が噛まないようにプレスした。このような方法で得られた静置された試料に対し、正三角錐を用いて押し込み負荷/除荷試験を行い、加重−押し込み深さ線図(図1参照)を取得した。
この線図から、荷重を加えてから除荷するまでの厚み方向の変位量(最大変位量)と、荷重が0.5mNに達してから10秒間保持し続けたときの厚み方向の変位量(クリープ変位量)と、10秒間保持してから荷重を0mNまで解放した時の厚み方向の変位量(永久変位量)を求めた。
装置:ダイナミック超微小硬度計「DUH−201」(株式会社島津製作所製)
使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子(稜間角115°)
測定モード:2
最大荷重:0.5mN
0.5mN荷重に達したときの保持時間:10秒
荷重速度、除荷速度:0.1,422mN/秒。
[表面層の自己修復性]
温度20℃で12時間放置した後、同環境にて表面層表面を、真鍮ブラシ(TRUSCO製)に下記の荷重をかけて、水平に5回引っ掻いたのち、5分間放置後の傷の回復状態を、下記の基準に則り目視で判定を行い、4点以上を合格とした。
10点:荷重9.8N(1kg重)で傷が残らない
7点: 荷重9.8N(1kg重)では傷が残るが、6.9N(700g重)では傷が残らない
4点: 荷重6.9N(700g重)では傷が残るが、4.9N(500g重)では傷が残らない
1点: 荷重4.9N(500g重)で傷が残る。
[表面層の意匠性]
温度20℃で12時間放置した後、同環境にて表面層表面を、真鍮ブラシ(TRUSCO製)に、500gの荷重をかけ、水平に5回引っ掻いたときの傷の回復状態を、下記の基準に則り目視で判定を行い、4点以上を合格とした。
10点:全ての傷が3秒未満に回復する。
7点: 全ての傷が3秒以上10秒未満に回復する。
4点: 全ての傷が10秒以上30秒未満に回復する。
1点: その他(全ての傷の回復が30秒以上かかるか、回復しない傷が存在するか、または、傷が入らないなど。)。
[模擬指紋付着方法]
本発明の積層フィルムの対象とする面への模擬指紋の付着は、1.模擬指紋シートの作製、2.模擬指紋のシリコーンゴムへの転写、3.模擬指紋の積層フィルム表面への付着の3ステップで行った。
1.模擬指紋シートの作成
下記材料を下記比率で秤量後、30分間マグネチックスターラーにて攪拌して、模擬指紋シート作成用塗料を得た。
オレイン酸 14質量部
シリカ粒子(数平均粒子径 2μm) 6質量部
イソプロピルアルコール 80質量部
なお、前記シリカ粒子の数平均粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察、測定した。観察試料は前記シリカ粒子を分散媒(イソプロピルアルコール)に固形分濃度5質量%にて混合、超音波にて分散後、導電テープ上に滴下、乾燥して調整した。数平均粒子径は、1視野あたり一次粒子の集合体としての個数が10個以上50個以下になる倍率にて観察を行い、得られた画像から一次粒子の外接円の直径を求めてこれを粒子径とし、観察数を増やし一次粒子100個について測定した値から数平均粒子径を求めた。
この「模擬指紋シート作成用塗料」を、支持基材としてPET樹脂フィルム上に易接着性塗料が塗布されている“ルミラー”(登録商標)U46(東レ株式会社製)上にワイヤーバー(♯7)を用いて塗布、50℃で2分間乾燥することでイソプロピルアルコールを除去して、フィルム上に模擬指紋液(オレイン酸70質量%とシリカ30質量%からなる分散物)が均一に展開された模擬指紋シートを得た。
2.模擬指紋のシリコーンゴムへの転写
JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムを#250の耐水ペーパーで表面を研磨し、JIS B0601(2001年)で規定するRaを3μmとした。次いで、前記耐水ペーパーで研磨したシリコーンゴムを模擬指紋シートに30kPaで押し付けた。シリコーンゴムへの模擬指紋液の付着量(g/m)は、シリコーンゴムの面積と付着前後の質量差から求めた値を指し、上記手法で行った結果、いずれも1.0g/mであった。
3.模擬指紋の積層フィルム表面への付着
2.にて模擬指紋液が転写されたシリコーンゴムを、積層フィルム表面に30kPaで押し付けて積層フィルム表面に形成された痕跡を模擬指紋とした。
[模擬指紋の模擬拭き取り方法]
前記方法で対象とする面に模擬指紋を付着させた積層フィルムを平板上に固定し、積層フィルム上で間隔が10cmとなるようにA点とB点を決定した。そして積層フィルム上に折り上げ寸法が12.5×12.5cmのセルロース長繊維不織布ガーゼ(“ハイゼ”ガーゼ NT−4 川本産業株式会社製)を置き、その上に錘を載せることで30kPaの圧力をかけ、この錘を載せたセルロース長繊維不織布ガーゼを、5cm/秒の速度でA点とB点の間を3往復させることにより拭き取りをおこなった。
[指紋付着前後の正反射光込み、正反射光除去の色差]
成型材料の対象とする面の反対面に黒ビニールテープを貼り付け、前述の模擬指紋の付着前と付着後の反射色をコニカミノルタ株式会社製分光測色計CM−3600Aを使用して、JIS Z8722(2009年)に基づき、正反射光除去の反射色を鏡面反射光トラップを用いた(de:8°)Sb10W10条件で、正反射光込みの反射色を鏡面反射光トラップを用いない(di:8°)Sb10W10条件で、JIS Z8730(2009年)に記載のCIE1976(L)にて測定した。模擬指紋の付着後の測定は直後、付着から30分後、10時間後の3通りについて行った。
さらに、この模擬指紋の付着前の反射色と模擬指紋の付着直後の反射色から、JIS Z8730(2009年)に記載の計算方法により、(ΔE ab(di:8°)Sb10W10)と、(ΔE ab(de:8°)Sb10W10)を求めた。
模擬指紋付着前後の正反射光込みの色差(ΔE ab(di:8°)Sb10W10)は0.4以下を、模擬指紋付着前後の正反射光除去の色差(ΔE ab(de:8°)Sb10W10)は4以下を合格とした。
つぎに、付着前と付着から30分後の値の反射色から、JIS Z8730(2009)に記載の計算方法により、(ΔE ab(di:8°)Sb10W10、ΔESCI−0.5)と、(ΔE ab(de:8°)Sb10W10、ΔESCE−0.5)を求めた。次いで測定値を元に、前述の式(5)により定義されるパラメーターK0.5を算出し、2以下を合格とした。
さらに、付着前および10時間後の反射色からJIS Z8730(2009)に記載の計算方法により、(ΔE ab(di:8°)Sb10W10、ΔESCI−10)と、(ΔE ab(de:8°)Sb10W10、ΔESCE−10)を求めた。次いで測定値を元に、前述の式(6)により定義されるパラメーターK10を算出し、前述の式(4)に示すように、パラメーターK0.5との差が1以下を合格とした。
[模擬指紋付着前、模擬指紋拭き取り後の正反射光込み、正反射光除去の色差]
積層フィルムの対象とする面の反対面に黒ビニールテープを貼り付け、前述の模擬指紋の付着前と拭き取り後の反射色をコニカミノルタ株式会社製分光測色計CM−3600Aを使用して、JIS Z 8722(2009年)に基づき、正反射光除去の反射色を鏡面反射光トラップを用いた(de:8°)S10W10条件で、正反射光込みの反射色を鏡面反射光トラップを用いない(di:8°)S10W10条件で、JIS Z8730(2009年)に記載のCIE1976(L)にて測定した。
さらに、この模擬指紋付着前、模擬指紋拭き取り後の反射色からJIS Z 8730(2009年)に記載の計算方法により、模擬指紋付着前、模擬指紋拭き取り後の反射色から(ΔE ab(di:8°)Sb10W10)と、(ΔE ab(de:8°)Sb10W10)を求め、前者をΔESCI−2に、後者をΔESCE−2とした。
[油滴径の測定]
前述の模擬指紋付着と同様の方法で成型材料表面に付着させた模擬指紋を対象に、この成型材料を25℃で24時間保管した後に、その油滴の表面投影像を、微分干渉顕微鏡を用いて撮影し、得られた画像に対して画像処理ソフトを用いて油滴径dを求め、この結果を基に面積基準頻度分布、およびその累積頻度の推移を求めた。
油滴径dの具体的な測定手順を以下に記す。
まず模擬指紋を付着させた防指紋成型材料の表面を微分干渉顕微鏡により100倍の倍率で画像を撮影した。続いて画像処理ソフトEasyAccess Ver6.7.1.23 にて画像をグレースケールに変換し、ホワイトバランスを最明部と最暗部が8bitのトーンカーブに収まるように調整、さらに油滴の境界が明確に見分けられるようにコントラストを調節した。次いで画像解析ソフトImageJ 1.45sを用いて前述の境界を境に画素の2値化を行い、個々の油滴のなす面積を算出し、そこから該当領域の面積を円形近似したときの直径として油滴径を求めた。
[油滴の面積基準頻度分布]
油滴の面積基準頻度分布の算出では、まず前述の処理により得られた油滴径dをもとにそのヒストグラムを作成した。この時油滴径は5μm毎に区分し、これに基づいてMicrosoft Excel 2003のヒストグラム機能を用いて層別をおこなった。次いで得られたヒストグラムに対し表面投影像の面積による重み付けをするため、ヒストグラムの各層別の代表面積を各基数の中心値を代表径とした円と仮定して求め、これに各層別の頻度を乗じ、再度総面積で割ることにより、面積基準頻度分布を求めた。さらに前記の面積基準頻度分布について、縦軸を頻度、横軸を油滴径としてその累積頻度をグラフ化し、累積頻度50%における油滴径の値からメジアン径Dを求めた。具体的には、累積頻度50%となる点を挟む2つの層をヒストグラムから特定し、該当層の油滴径の中心値と累積頻度とで特定される2座標間を直線で結び、この直線上で累積頻度50%となる点の油滴径としてメジアン径Dを算出した。
[面積基準頻度分布の経時変化]
前述の模擬指紋付着と同様の方法で模擬指紋を成型材料表面に付着させた後、この成型材料を25℃、無風条件下でそれぞれ30分、10時間静置した。次いで前述の油滴径の測定により30分後の油滴径と10時間後の油滴径を測定した。さらにそこから前記面積基準頻度分布に記載の解析により30分後のメジアン径DP0.5および10時間後のメジアン径DP10を算出した。
[耐指紋性(指紋付着性)]
耐指紋性(指紋付着性)は、積層フィルムの評価する面を上にして黒画用紙上に置き、指紋を押し付ける指(人差し指)と親指を3回こすってから、前記表面層の表面に指(人差し指)をゆっくりと押し付け、付着した指紋の視認性を下記の評価基準で評価し、5点以上を合格とした。
10点: 指紋が視認されない、もしくは未付着部との差がわからない
7点: 指紋がほとんど視認できない、もしくは指紋だとは認識されない
5点: 指紋が僅かに視認されるが、ほとんど気にならない
3点: 指紋が視認される
1点: 指紋が明確に視認され、非常に気になる
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
[耐指紋性(指紋消失性)]
前記耐指紋性の評価と同様に指紋を転写した後に25℃、無風状態下で10時間静置した指紋の視認性を、前記評価「耐指紋性(指紋付着性)」に対して観察角を0°近傍(サンプルを横から眺める)から90°(真上から眺める)の範囲に広げて観察を行い、10点満点で評価した。放置後の指紋の視認性を下記の評価基準で評価し、7点以上を合格とした。
10点: 指紋が視認されない、もしくは未付着部との差がわからない。
7点 : 指紋がほとんど視認できない、もしくは指紋だとは認識されない。
5点 : 指紋が僅かに視認されるが、ほとんど気にならない
3点 : 指紋が視認される
1点 : 指紋が明確に視認され、非常に気になる。
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
[耐指紋性(指紋拭き取り性)]
前述の方法で、指紋を付着させた後、次いで、折り上げ寸法が12.5×12.5cmのセルロース長繊維不織布ガーゼ(“ハイゼ”ガーゼ NT−4 川本産業株式会社製)を用いて拭き取りを行った。指紋拭き取り性は、この拭き取り方法で拭いた後の視認性を下記の評価基準で評価し、5点以上を合格とした。
10点: 1回拭くと、ほぼ視認されなくなる
7点: 1回拭くと、ほぼ気にならない程度になる
5点: 1回または2回拭いただけでは汚れが残るが、3回拭くと、ほぼ視認されなくなる
3点: 5回拭けば、ほぼ気にならない程度になる
1点: 5回以上拭いても、汚れが残る
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
[耐化粧品性]
5cm角に切り出した試料に花王株式会社製 アトリックス「ハンドクリームA」(NO413)を0.5g塗布し、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気下で6時間放置後、25℃相対湿度65%の雰囲気下で30分間放置し、表面をガーゼできれいに拭き取る。温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で24時間放置後、表面の状態を観察し、下記の基準に則り判定を行い、4点以上を合格とした。
10点:白斑の発生なし。
7点:白斑の発生がほとんどなし。
4点:白斑が発生するが、拭き取ればきれいになる。
1点:白斑が発生する。拭き取っても温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で24時間放置後に再度発生する。
表1、2にウレタンアクリレートB、Cの物性を評価するため形成したX層、Y層を有する積層フィルムX、Yの物性を、表3−1、3−2、4−1、4−2、5−1、5−2に最終的に得られた積層フィルムの評価結果等をまとめた。評価項目(60°鏡面光沢度、破壊伸度、自己修復性、意匠性、耐化粧品性、模擬指紋付着前後の色差、K0.5、K0.5-K10、耐指紋性(指紋付着性)、耐指紋性(指紋消失性)、および、耐指紋性(指紋拭取り性))において1項目でも合格とならないものについて、課題未達成と判断した。
1 最大変位量
2 クリープ変位量
3 永久変位量
4 厚み方向の変位量 h(μm)
5 荷重 P(mN)
6 加重工程
7 保持工程
8 除荷工程
9、11、13 ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が存在する領域
10、12、14 ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が境界値未満の領域
本発明に係る積層フィルムは、プラスチック成型品、家電製品、建築物や車両内装品および種々の印刷物のそれぞれの表面に同様の機能を付与するためにも用いることができる。

Claims (12)

  1. 支持基材の少なくとも一方の面に表面層を有する積層フィルムであって、表面層が以下の1から3を満たすことを特徴とする積層フィルム。
    1.JIS Z8741(1997年)で規定する60°鏡面光沢度が60%以上
    2.オレイン酸の後退接触角θが50°以上
    3.微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、前記表面層の厚み方向の最大変位量が1.0μm以上3.0μm以下であり、
    前記表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上0.5μm以下であり、
    荷重を0mNまで解放したときの、前記表面層の厚み方向の永久変位量が0.2μm以上0.7μm以下
  2. 前記表面層のオレイン酸の前進接触角θ、後退接触角θが下記式(1)を満たす請求項1に記載の積層フィルム。
    (θ−θ)≦ 15° ・・・式(1)
  3. 前記表面層のオレイン酸吸収係数Aが30以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
    ここで、オレイン酸吸収係数Aとは前記表面層にオレイン酸を2μl滴下し、シリンジからの吐出時に液滴形状から求めた体積(V)、着滴時の着滴部の面積(S)、25℃、無風状態にて10時間保持後の体積(V)および前記表面層の厚み(T)から、以下の式(2)により求められる値を指す。
    =(V−V)/(S×T) 式(2)
  4. 前記表面層において飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により測定される、フッ素に由来するFフラグメントイオン(M/Z=19)が面内で均一に存在し、ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオン(M/Z=43)が以下のいずれかで存在することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
    ・島状に存在
    ・網目状に存在
    ・島状および網目状に存在
  5. 前記表面層において、前記ジメチルシロキサンに由来するSi(CHフラグメントイオンが存在する領域の占有率が30%以上、70%以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記表面層に、下記の条件下で模擬指紋を付着した前後のJIS Z8730(2009年)およびJIS Z8722(2009年)で規定する正反射光込みの色差ΔE ab(di:8°)Sb10W10が0.4以下、かつ、正反射光除去の色差ΔE ab(de:8°)Sb10W10が4以下である請求項1から5のいずれかに記載の積層フィルム。
    模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaで付着させたもの。
  7. 前記表面層が、以下の式(3)および式(4)を満たすことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の積層フィルム。
    0.5≦3 式(3)
    0.5−K10≧1 式(4)
    ここで、
    0.5=[(ΔESCI−0.5+(ΔESCE−0.51/2 式(5)
    10=[(ΔESCI−10+(ΔESCE−101/2 式(6)
    ΔESCI−0.5、ΔESCE−0.5
    前記表面層に下記の方法で模擬指紋を付着する前の状態を基準とし、模擬指紋付着から30分後に測定したJIS Z8730(2009)およびJIS Z8722(2009)で規定するΔE ab(di:8°)Sb10W10と、ΔE ab(de:8°)Sb10W10をそれぞれ指す。
    ΔESCI−10、ΔESCE−10
    前記表面層に下記の方法で模擬指紋を付着する前の状態を基準とし、模擬指紋付着から10時間後に測定したJIS Z8730(2009)およびJIS Z8722(2009)で規定するΔE ab(di:8°)Sb10W10と、ΔE ab(de:8°)Sb10W10をそれぞれ指す。
    模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaで付着させたもの。
  8. 前記表面層に、下記の方法で模擬指紋を付着させた時に形成される油滴の、面積基準頻度分布から算出したメジアン径(D)が以下の式(7)および式(8)を満たすことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の積層フィルム。
    P0.5≦80μm 式(7)
    (DP0.5−DP10)/DP0.5≧0.5 式(8)
    P0.5:前記模擬指紋の付着から30分後に測定した、模擬指紋を構成する油滴の面積基準頻度分布から算出したメジアン径
    P10:前記模擬指紋の付着から10時間後に測定した、模擬指紋を構成する油滴の面積基準頻度分布から算出したメジアン径
    模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaで付着させたもの。
  9. 前記表面層に下記の条件下で模擬指紋付着および模擬指紋拭き取り試験を行い、JIS Z8730(2009年)およびJIS Z8722(2009年)に従って求めた模擬指紋付着前の状態を基準とした模擬指紋拭き取り試験後の正反射光込みの色差ΔE ab(di:8°)Sb10W10(以降ΔESCI−2とする)および模擬指紋付着前の状態を基準とした模擬指紋拭き取り試験後の正反射光除去の色差ΔE ab(de:8°)Sb10W10(以降ΔESCE−2とする)が、下記式(9)を満たすことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の積層フィルム。
    ((ΔESCI−2+(ΔESCE−21/2 ≦2.0・・・ 式(9)
    模擬指紋付着および模擬指紋拭き取り試験の条件
    ・模擬指紋付着条件:オレイン酸70質量%と数平均粒子径2μmのシリカ30質量%からなる分散物を、JIS B0601(2001年)で規定するRaが3μmで、JIS K6253(1997年)で規定するゴム硬度50のシリコーンゴムに1.0g/m付着させ、これを対象とする面に30kPaの圧力で付着させたもの。
    ・模擬指紋拭き取り条件:前記条件で付着した模擬指紋を不織布にて30kPaの圧力、5cm/秒の速度で3回擦る
  10. 前記表面層に含まれる樹脂が以下の(1)から(3)を有していることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の積層フィルム。
    (1)(ポリ)カプロラクトンセグメント、
    (2)ウレタン結合、
    (3)フルオロアルキル基、フルオロオキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルカンジイル基およびフルオロオキシアルカンジイル基からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むセグメント(以降フッ素化合物セグメントとする)
  11. 前記フッ素化合物セグメントが、フルオロポリエーテルセグメントであることを特徴とする請求項10に記載の積層フィルム。
  12. 前記表面層に含まれる樹脂が(4)(ポリ)シロキサンセグメント及び/またはポリジメチルシロキサンセグメントを有していることを特徴とする請求項10または11に記載の積層フィルム。
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