JP2014184610A - 積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Norifumi Miwa
規文 三羽
Yasuyuki Ishida
康之 石田
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殷美 朴
Do Gyoon Kim
度均 金
Junji Michizoe
純二 道添
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Abstract

【課題】成型性、自己修復性、意匠性と耐化粧品性とを両立する積層フィルムを提供する。
【解決手段】支持基材の少なくとも一方に、表面層を有する積層フィルムであって、下記条件1及び条件2を満たすことを特徴とする積層フィルム。条件1:前記表面層の60℃におけるオレイン酸吸収係数をAb60として、30℃におけるオレイン酸吸収係数をAb30とした際に、Ab60とAb30の差が8.0以下である。条件2:微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、前記表面層の厚み方向の最大変位量が1.00μm以上2.90μm以下、前記表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上1.00μm以下、荷重を0mNまで解放したときの前記表面層の厚み方向の残存変位量が0.20μm以上0.80μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、成型材料に求められる成型追従性と耐擦傷の両立に加え、意匠性、耐汚染性に優れた積層フィルムに関する。
加飾成型などの成型材料では、成型時の傷防止や成型後の物品使用過程での傷を防止するために表面硬度化層が設けられる。しかしながら表面硬度化層は、成型に追従する伸びが不足するため、成型時にクラックが発生したり、極端な場合にはフィルムが破断したり、表面硬度化層が剥離したりするために、一般的には成型後に表面硬度化層を形成したり、セミ硬化状態で成型した後、加熱や活性線照射などで完全硬化させるなどの手段が適用されている。しかしながら成型後の物品は3次元に加工されているため、後加工で表面硬度化層を設けるのは非常に困難であり、またセミ硬化状態で成型する場合には、成型条件によっては金型の汚れを誘発する場合がある。以上の点より成型に追従する耐擦傷性材料が嘱望され、軽度の傷を自身の弾性回復範囲の変形を自己修復できる「自己修復材料」が注目されている。
また、これらの自己修復材料のうち、傷の修復過程を視認することができる材料は、その機能を直接認識できるため、外装部材に使用すると成型材料としての「意匠性」を高めることができ、その点からも注目されている。以上のような自己修復材料としては特許文献1および2の材料が提案されている。
一方で、成形材料の重要な機能の一つとして耐汚染性、特に化粧品による汚れを防ぐことが挙げられる(以下、耐化粧品性とする)。この耐化粧品性とは,成形材料を日常的に使用すると、人の肌に付着している化粧品が成形材料に付着して不快な印象を与えると共に,汚れが拭きとりにくく,さらに一旦拭き取りにより清浄にしても,しばらくすると再度汚れが染み出してくるというものである。特に最近ではスマートフォン・タッチパネル、キーボード、テレビ・エアコンのリモコン等の様に、手で操作する電子機器が増加しており、例えばこれらの機器の筐体を掴むことで手に付着した化粧品が付着し、化粧品汚れが目立ち品位が損なわれるというような問題がある。
このような問題に対し、耐汚染性と耐擦傷性を有する部材として、特許文献3では「ハードコート層および光透過層を有する積層体であって、このハードコート層が、(A)活性エネルギー線硬化性シリコーンアクリル共重合体;および(B)活性エネルギー線硬化性多官能化合物;を含むハードコート用組成物から得られるハードコート層であり、およびこの(A)活性エネルギー線硬化性シリコーンアクリル共重合体が、(a−1)ポリシロキサンブロック、(a−2)活性エネルギー線硬化性二重結合基含有アクリルブロック、(a−3)フルオロアルキル基含有アクリルブロック、を有する、積層体」が提案されている。
また、化粧品汚れを防ぐ成形材料として、特許文献4では「多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)と、光ラジカル重合開始剤(C)と、重合性基を有する含フッ素化合物(D)とを含むことを特徴とするハードコート層形成用組成物。透明基材上に、該ハードコート層形成用組成物を硬化したハードコート層を有し、かつ、前記ハードコート層表面の表面自由エネルギーが20mN/m以下であり、膜厚が5〜25μmであるハードコートフィルム」が提案されている。

国際公開第2011/136042号パンフレット 特許3926461号公報 特開2009−143048号公報 特開2009−263600号公報
前述の自己修復材料として提案されている特許文献1、特許文献2の技術については、本発明者らが確認したところ、成自己修復性に優れるものの、耐化粧品性が不十分な問題があった。
また、前述の特許文献3、特許文献4の技術について、本発明者らが確認したところ耐化粧品性には優れるものの、これらの材料は成型性や自己修復性を示すものでなく、また当該発明の材料を前述の特許文献1、2の技術と組み合わせることでは耐化粧品性と自己修復性,成型性,意匠性を両立することが不可能な技術であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、成型性、自己修復性、意匠性と耐化粧品性を両立する積層フィルム提供することにある。
上記課題を解決するために本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 支持基材の少なくとも一方に、表面層を有する積層フィルムであって、
下記条件1及び条件2を満たすことを特徴とする積層フィルム。
条件1:前記表面層の60℃におけるオレイン酸吸収係数をAb60として、30℃におけるオレイン酸吸収係数をAb30とした際に、Ab60とAb30の差が6.5以下である。
条件2:微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、前記表面層の厚み方向の最大変位量が1.00μm以上2.90μm以下、前記表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上1.00μm以下、荷重を0mNまで解放したときの前記表面層の厚み方向の残存変位量が0.20μm以上0.80μm以下である。
<2> 前記Ab30が、8.0以下であることを特徴とする、前記<1>に記載の積層フィルム。
<3> 前記<1>または<2>に記載の積層フィルムの製造方法であって、前記支持基材の少なくとも一方に、以下の塗料組成物を塗布する工程(以下、塗布工程という)を有することで、前記表面層を形成することを特徴とする、積層フィルムの製造方法。
塗料組成物:以下の原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含み、かつ、下記条件3及び条件4を満たす。
原料(a):1分子中に2つ以上の水酸基、並びに、(ポリ)カプロラクトンセグメントを有する化合物。
原料(b):1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物。
原料(c):1分子中に2つ以上8つ以下の活性エネルギー線反応性部位、並びに、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物。
原料(d):光重合開始剤
条件3:σcd<σad
条件4:2.5≦R((MPa)1/2)≦10
(R=[(σcd−σad+(σcp−σap+(σch−σah1/2
ここで、原料(a)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσad、極性項をσap、水素結合項をσahとし、原料(c)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσcd、極性項をσcp、水素結合項をσchとする。
<4> 前記原料(b)が、ヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、前記<3>に記載の積層フィルムの製造方法。
<5> 前記塗布工程、次いで乾燥工程を行った後、下記の工程(A)と工程(B)を行うことを特徴とする、前記<3>または<4>に記載の積層フィルムの製造方法。
工程(A):加熱することで、前記原料(a)と前記原料(b)とを反応させる工程。
工程(B):活性エネルギー線を照射することで、前記原料(c)同士を反応させる工程。
本発明によれば、成形性、自己修復性、意匠性、及び耐化粧品性を両立する積層フィルムを得ることができる。
本発明の積層フィルムに対し、正三角錐を用いて押し込み負荷/除荷試験を行ったときの加重−押し込み深さ線図である。
本発明の実施形態を説明する前に、従来技術の問題点,すなわち成形性、自己修復性、意匠性、及び耐化粧品性の両立について、本発明者の視点で考察する。
まず、特許文献1および特許文献2に記載の従来技術の自己修復性材料が、自己修復性と耐化粧品性を両立できない理由は、従来技術が塗膜中の架橋構造の密度を下げることにより、自己修復性の発現しているため、化粧品成分、特に、化粧品に含まれる溶媒や低分子量成分が自己修復性材料内部に過剰に侵入し、自己修復材料内部が変色や変質を起こし外観不良となり、耐化粧品性が十分ではなかったためと考えている。
また、特許文献3や特許文献4の技術は、材料表面に架橋構造の密度が高く、そこに防汚層が形成されているため、優れた耐化粧品性を示す一方で、自己修復性及び意匠性は示さない。さらに特許文型1や2の材料に特許文献3や4の材料を組み合わせても、自己修復性と耐化粧品性がトレードオフの関係になるため、両立することができない。
そこで、本発明者らは上記課題を解決する方法として、積層フィルムの表面層の後述する機械的特性と化粧品成分の浸透量温度依存性を特定の範囲にすることが有効であることを見出した。
また、本発明者らは積層フィルムの表面層の粘弾性挙動に着目し、表面層の荷重に対する変位量とクリープ変位量をある特定の組み合わせにすることが、成形性、自己修復性、意匠性の向上に有効であることを見出した。特にクリープ変形量がある値をとると、自己修復挙動に時間遅れが発生するため、傷の修復過程の視認性が向上して意匠性を向上させることができる。
具体的には機械的特性として、微小硬度計測定における表面層の厚み方向の最大変位量、クリープ変位量、荷重を除いた(0mNまで解放した)ときの残存変位量に着目し、この3つのパラメーターを特定の範囲にすることが重要である。
さらに、積層フィルムの表面層の耐化粧品性に対し、成形材料表面に浸透する化粧品成分の温度依存性に着目した理由は、従来技術の自己修復材料の耐化粧品性が悪い理由が、表面層を形成する材料の密度の温度依存性が大きく、化粧品成分の浸透量が大きく異なるため、スマートフォンなどの各種電子機器が機器内部で発生する熱を筐体表面から放熱することに起因して、表面温度が高低した際、温度変化により自己修復材料内部に化粧品成分が浸透/析出していることを発見したことに基づく。この化粧品成分の浸透量温度依存性として、具体的には成形材料表面へのオレイン酸吸収係数を特定の範囲にすることが重要である。
さらに上記の本発明者らは、積層フィルムの表面層の機械的特性、化粧品成分の浸透量温度依存性を上記範囲にする方法として、積層フィルムの表面層内に成型性、自己修復性、意匠性に優れる架橋ポリマーネットワークと耐化粧品性に優れる架橋ポリマーネットワークからなる「相互貫入構造」を形成することが好ましいことを見出した。この相互貫入構造については後述するが、それぞれの特性を持つ架橋ポリマーが独立に存在するため、機械的特性である自己修復性と化学的特性である耐化粧品性を両立することが可能となった。
前記相互貫入構造とは、後述のような2種以上のポリマーからなる相互貫入ポリマー網状組織のことを意味する。2種以上のポリマー類(両方とも網状組織形態にある)の密な組み合わせ(このポリマーの少なくとも1つを、もう1つのポリマーを直ぐ近くに存在させて合成または架橋させる)として相互貫入ポリマー網状組織(IPN)を定義する。このように同時合成する場合、異なる2種以上のポリマー類のモノマー類を、非干渉(non−interfering)機構で架橋および重合させる。このポリマー系の少なくとも1つを架橋させることで、IPNは化学的ブレンド物から区別される。このように構造的に異なる2種以上のポリマー類を物理的に組み合わせる方法は、個々のポリマーが有するいろいろな特性を組み合わせる便利な方法である。相互貫入ポリマー網状組織に関する包括的論評が「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、8巻、279−341頁(1985)の中に記述されている。コンタクトレンズ用IPN材料の開発で現在行われていることは、親水性ポリマー類が有する柔らかさ、湿潤性および酸素透過性と疎水性ポリマー類が有する優れた機械的特性を組み合わせることが挙げられる。

本発明者らは、前記表面層に前記相互貫入構造を形成する方法として、成型性、自己修復性、意匠性に優れる架橋ポリマーネットワークを形成するプロセスと、耐化粧品性に優れる架橋ポリマーネットワークを形成するプロセスを逐次に行うことが有効であることを見出した。具体的には、前記表面層を形成するために用いる塗料組成物中が、加熱により架橋ポリマーを形成する材料と、活性エネルギー線の照射により架橋ポリマーを形成する材料とを有することが有効である。これは、それぞれの材料が架橋ポリマーを形成する工程が異なるため、それぞれ独立な架橋ポリマーを形成し、相互貫入構造を形成することができるからである。
本発明者らは前述のような特性(自己修復性、耐化粧品性)を示す成形材料において、良好な自己修復性を有する架橋ポリマーの前駆体の溶解度と良好な耐化粧品性を有する架橋ポリマーの前駆体の溶解度の間には好ましい条件が存在することを見出した。

以下、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
上記課題、すなわち成形性、自己修復性、意匠性、及び耐化粧品性を満足するために、本発明の積層フィルムは、支持基材の少なくとも一方に、表面層を有する積層フィルムであって、下記条件1及び条件2を満たすことが重要である。
条件1:前記表面層の60℃におけるオレイン酸吸収係数をAb60として、30℃におけるオレイン酸吸収係数をAb30とした際に、Ab60とAb30の差が6.5以下である。
条件2:微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、前記表面層の厚み方向の最大変位量が1.00μm以上2.90μm以下、前記表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上1.00μm以下、荷重を0mNまで解放したときの前記表面層の厚み方向の残存変位量が0.20μm以上0.80μm以下である。

なお、成形性と自己修復性と意匠性の観点から、本発明の積層フィルムは、微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、表面層の厚み方向の最大変位量は1.00μm以上2.90μm以下であることが重要であるが、より好ましくは1.21μm以上2.40μm以下であり、特に好ましくは1.50μm以上2.10μm以下である。
同様に成形性と自己修復性と意匠性の観点から、本発明の積層フィルムは、微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上1.00μm以下であることが重要であるが、より好ましくは0.20μm以上0.65μm以下であり、特に好ましくは0.30μm以上0.45μm以下である。
また同様に、成形性と自己修復性と意匠性の観点から、本発明の積層フィルムは、微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加え、続いて該荷重を0mNまで解放したときの、表面層の厚み方向の残存変位量が0.20μm以上0.80μm以下であることが重要であるが、より好ましくは0.50μm以上0.74μm以下であり、特に好ましくは0.60m以上0.71μm以下である。
前述の条件2を満たすためには、後述する条件3及び条件4を満たす原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含む塗料組成物を用いて表面層を形成することで可能である。このようにして表面層を形成することで、成型性、自己修復性、意匠性に優れる架橋ポリマーと耐化粧品性に優れる架橋ポリマーとからなる相互貫入構造を形成することができるからである。
微小硬度計測定にて0.5mN荷重を10秒間加えたときの表面層の厚み方向の最大変位量が2.9μmより大きいと表面層の自己修復性が不完全となり、表面層の厚み方向の最大変位量が1.00μmより小さいと表面層の意匠性、すなわち回復過程の視認性が悪くなる。
微小硬度計測定にて0.5mN荷重を10秒間加えたときの表面層の厚み方向のクリープ変位量が1.00μmより大きい場合や0.05μmより小さい場合には、自己修復性、もしくは意匠性が不完全となる。
微小硬度計測定にて0.5mN荷重を10秒間加え、続いて該荷重を0mNまで解放したときの、表面層の厚み方向の残存変位量が0.80μmより大きいと、表面層の自己修復後にも視認可能な傷が残り外観が悪くなる。また表面層の自己修復性の観点からは、残存変位量は小さければ小さいほど好ましいが、一般的に自己修復材料は塑性変形するため、本測定方法においては残存変位量の下限は0.20μm程度と考えられる。これらの微小硬度計測定時の厚み方向での最大変位量、クリープ変位量、残存変位量の測定方法は後述する。

耐化粧品性の観点から、前記表面層の60℃におけるオレイン酸吸収係数をAb60として、30℃におけるオレイン酸吸収係数をAb30とした際に、Ab60とAb30の差が6.5以下であることが重要であるが、4.5以下がより好ましく、3.5以下が特に好ましい。
オレイン酸吸収係数の測定方法と意味については後述する。またAb60とAb30の差は小さいほど好ましいが、自己修復材料はその柔軟性により、下限値は0.3程度と考えられる。一方でAb60とAb30の差が6.5よりも大きくなると、温度変化によって前記表面層内部に浸透した化粧品が表面層表面に析出し、耐化粧品性が低下する場合がある。なお、Ab60とAb30の差が8.0以下でありさえすれば、Ab60とAb30のいずれが大きくても構わない。また、Ab60とAb30の差を6.5以下とするためには、後述する条件3及び条件4を満たす原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含む塗料組成物を用いて表面層を形成することで可能である。このようにして表面層を形成することで、成型性、自己修復性、意匠性に優れる架橋ポリマーと耐化粧品性に優れる架橋ポリマーとからなる相互貫入構造を形成することができるからである。
このオレイン酸吸収係数A(Ab60及びAb30)の測定方法は、後述する。
さらに、耐化粧品性の観点から、前記表面層の30℃におけるオレイン酸吸収係数Ab30は8.0以下であることが好ましく、7.0以下がより好ましく、6.0以下が特に好ましい。
オレイン酸吸収係数Ab30が小さいと、前記表面層への化粧品成分の浸透量が抑えられ、耐化粧品性が良くなる。Ab30は小さいほど好ましいが、自己修復材料はその柔軟性により、下限値は0.5程度と考えられる。一方でAb30が8.0よりも大きくなると、前記表面層内部への化粧品浸透量が過剰となり、表面層内部が変色や変質を起こし外観不良となり、耐化粧品性が低下する場合がある。オレイン酸吸収係数Ab30を8.0以下とするためには、後述する条件3及び条件4を満たす、原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含む塗料組成物を用いて表面層を形成することで可能である。このようにして表面層を形成することで、成型性、自己修復性、意匠性に優れる架橋ポリマーと耐化粧品性に優れる架橋ポリマーとからなる相互貫入構造を形成することができるからである。

続いて、本発明の製造方法について説明する。
本発明の積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、前記支持基材の少なくとも一方に、以下の塗料組成物を塗布する工程(以下、塗布工程という)を有することで、前記表面層を形成する方法が好ましい。
塗料組成物:以下の原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含み、かつ、下記条件3及び条件4を満たす。
原料(a):1分子中に2つ以上の水酸基、並びに、(ポリ)カプロラクトンセグメントを有する化合物。
原料(b):1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物。
原料(c):1分子中に2つ以上8つ以下の活性エネルギー線反応性部位、並びに、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物。
原料(d):光重合開始剤
原料(a)における(ポリ)カプロラクトンセグメントは化学式1で示されるセグメントを指し、原料(c)における(ポリ)シロキサンセグメントは化学式2で示されるセグメントを指し、原料(c)における(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントは化学式3で示されるセグメントを指す。これらの詳細は後述する。
Figure 2014184610
(なお化学式1でnは1から35の整数である。)
Figure 2014184610
(R、Rは、OHと炭素数1〜8のアルキル基のいずれかであり、式中においてそれぞれを少なくとも1つ以上有するものであり、nは100〜300の整数である。)
Figure 2014184610
(mは10〜300の整数である。)
原料(a)は、1分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物であるが、原料(a)中の水酸基の数は5つ以下であることが好ましい。また、原料(a)の1分子中の水酸基の数は2つ以上4つ以下であることがより好ましく、2つ以上3つ以下であることが特に好ましい。
原料(b)は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であるが、原料(b)中のイソシアネート基の数は10以下であることが好ましい。また、原料(b)の1分子中のイソシアネート基の数は2つ以上6つ以下であることがより好ましく、2つ以上3つ以下であることが特に好ましい。
原料(c)は、1分子中に2つ以上8つ以下の活性エネルギー線反応性部位を有する化合物であるが、原料(c)の1分子中の活性エネルギー線反応性部位の数は2つ以上6つ以下であることがより好ましく、2つ以上3つ以下であることが特に好ましい。
ここで活性エネルギー線反応性部位とは、活性エネルギー線の照射により反応性部位同士が結合を形成する官能基を意味する。活性エネルギー線の詳細は後述するが、汎用性の観点から電子線(EB線)及び/又は紫外線(UV線)などが挙げられる。
前記塗料組成物が原料(d)を含むと(光重合開始剤を含むと)、活性エネルギー線の照射により、原料(c)中の活性エネルギー線反応性部位の反応が促進されるため、好ましい。原料(d)の詳細については後述する。
前記原料(a)、原料(b)、原料(c)、原料(d)の詳細については後述するが、原料(a)と原料(b)は自己修復性を高める機能、および表面層の強靭性を向上させる機能を有する。一方で原料(c)と原料(d)は耐化粧品性を高める機能を有する。ここで、原料(a)と原料(b)は加熱により架橋ポリマーを形成し、原料(c)は活性エネルギー線の照射により架橋ポリマーを形成する。この2種の架橋ポリマーは架橋を形成する工程が異なるため、相互貫入構造を形成し、前記表面層が自己修復性と耐化粧品性を両立することが可能となる。
原料(a)の(ポリ)カプロラクトンセグメントは自己修復性を高める機能を有する。
前記原料(a)が1分子中に2つ以上の水酸基を有し、原料(b)が1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有すると、前記塗料組成物の塗布工程にて前記表面層がウレタン結合による架橋構造を有し、表面層の強靭性を向上させると共に自己修復性を向上させることができる。原料(a)の有する水酸基が1つ以下、または原料(b)の有するイソシアネート基が1つ以下の場合は、前記表面層がウレタン結合による架橋構造を有することができず、表面層の強靭性および自己修復性を十分に向上させることができない場合がある。一方、原料(a)の有する水酸基が5つより多い場合、自己修復性、成形性、および意匠性を十分に高めることができない場合がある。また、原料(b)の有するイソシアネート基が10より多い場合、自己修復性、成形性、および意匠性が悪化する場合がある。なお、ウレタン結合は化学式4で示される結合を指す。
Figure 2014184610
前記原料(c)が、1分子中に2つ以上8つ以下の活性エネルギー線反応性部位、並びに、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有すると、得られる表面層が耐化粧品性に優れる架橋ポリマーを有することができ、前記表面層の耐化粧品性が向上する。原料(c)の活性エネルギー線反応性部位が2つより少ない場合、原料(c)は架橋構造を形成することができず、耐化粧品性が悪化する場合がある。原料(c)の1分子中の活性エネルギー線反応性部位の数が8つより多い場合、原料(c)が架橋構造を形成する際の硬化収縮が大きくなり、本発明の積層フィルムに皺やカールが発生し、意匠性が悪化する場合がある。

また前述の通り、本発明の積層フィルムの製造方法に用いられる塗料組成物は、記条件3及び条件4を満たすことが好ましい。
条件3:σcd<σad
条件4:2.5≦R((MPa)1/2)≦10
(R=[(σcd−σad+(σcp−σap+(σch−σah1/2
ここで、原料(a)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσad、極性項をσap、水素結合項をσahとし、原料(c)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσcd、極性項をσcp、水素結合項をσchとする。
積層フィルムの製造に用いる塗料組成物が条件3を満たすと、原料(c)が表面層中で最表面側へ配向が進み、耐化粧品性が向上するため好ましい。原料(c)の表面層中の最表面側への配向は、ファンデルワールス相互作用による効果であり、すなわちハンセンの溶解度パラメーターの分散項に由来すると考えられる。従って塗料組成物が条件3を満たさない場合には、表面層内部へのオレイン酸浸透量が増加しやすく、耐化粧品性が悪化する場合がある。塗料組成物が条件3を満たすためには、ハンセンの溶解度パラメーターの分散項がそれぞれ特定の値を持つ原料(a)及び原料(c)を選択することで可能である。
条件4について、パラメーターR((MPa)1/2)が2.5以上10以下であることが好ましく、4.5以上9.0以下であることがより好ましく、5.0以上6.2以下であることが特に好ましい。
このパラメーターRは、ハンセンの溶解度パラメーターの分散項、極性項、および水素結合項を軸とした3次元座標軸における、原料(c)の座標点(σcd、σcp、σch)と原料(a)の座標点(σad、σap、σah)の距離に対応する。そして、この距離が遠いほど両者の混合は困難となり、近いほど両者は容易に混ざり合う。従って、塗料組成物のパラメーターRが10(MPa)1/2を超える場合には、原料(c)と原料(a)が十分に混ざり合わず、耐化粧品性や自己修復性や透明性が低下する場合があり、一方パラメーターRが2.5(MPa)1/2に満たない場合には、原料(c)と原料(a)が完全に混ざり合い、原料(c)が前記表面層の最表面に配向が進まず、耐化粧品性が悪化する場合がある。塗料組成物が条件4を満たすためには、ハンセンの溶解度パラメーターの分散項、極性項、および水素結合項がそれぞれ特定の値を持つ原料(a)及び原料(c)を選択することで可能となる。

なお、多くの溶媒や一部の樹脂についてハンセンの溶解度パラメーターの値が調べられており、例えば“Polymer Handbook (fourth Edition)”,J.BRANDRUPら編(JOHN WILEY & SONS)にその値が記載されている。一方、上記のようなデータベースに溶解度パラメーター値が記されていない場合には、溶解度パラメーターの値が類似するもの同士が溶け合いやすいという性質の下、実施例に示した方法によりパラメーター値が既知である溶媒への溶けやすさを規定することで、Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)ver.3.1.03(http://www.hansen−solubility.com/index.php?id)を用いて各パラメーターを計算することができる。

成形性、自己修復性の観点から、原料(b)はヘキサメチレンジイソシアネートであることが好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートはその分子構造から柔軟性に優れるため、水酸基を有する化合物とウレタン結合を形成する。従って、前記表面層の成形性と自己修復性が向上する。

さらに、本発明の積層フィルムの製造方法において、前記塗布工程、次いで乾燥工程を行った後、下記の工程(A)と工程(B)を行うことが重要である。
工程(A):加熱することで、前記原料(a)と前記原料(b)とを反応させる工程。
工程(B):活性エネルギー線を照射することで、前記原料(c)同士を反応させる工程。
乾燥工程の詳細は後述するが、乾燥工程とは支持基材上に塗布された塗料組成物に含まれる有機溶媒を減らす、もしくは除去することを指す。この乾燥のためには、対流伝熱、伝導伝熱、輻射伝熱等の方法による加熱を行うことが好ましい。
乾燥工程は前述の通り有機溶媒を減らす、もしくは除去する工程であるが、有機溶媒の乾燥速度には好ましい範囲が存在する。また、乾燥工程における温度は特に限定されるものではないが、前述の好ましい乾燥速度を得るためには、乾燥工程の温度が15℃以上129℃以下であることが好ましく、50℃以上129℃以下であることがより好ましく、50℃以上99℃以下であることが特に好ましい。
工程(A)と工程(B)の詳細は後述するが、工程(A)と工程(B)の両方を有することで、前記表面層が原料(a)と原料(b)からなる架橋ポリマーと原料(c)からなる架橋ポリマーによる、相互貫入構造を有することができる。
原料(a)と原料(b)からなる架橋ポリマーは自己修復性に優れ、原料(c)からなる架橋ポリマーは耐化粧品性に優れるため、この二種の架橋ポリマーを相互貫入構造とすることで、前記表面層は自己修復性を向上する効果と耐化粧品性を向上する効果の両方を得ることができる。
また本発明の製造方法においては、工程(A)と工程(B)の順序は限定されない。
工程(A)により、前記塗料組成物に含まれる原料(a)の水酸基と原料(b)のイソシアネート基とが反応し、ウレタン結合による架橋ポリマーを形成する。前記表面層が原料(a)と原料(b)からなる、ウレタン結合による架橋ポリマーを有することで、前記表面層の強靭性を向上させると共に自己修復性を向上させることができる。工程(A)では、加熱により原料(a)と原料(b)の温度を上昇させることで硬化反応が起きるが、その温度は15℃以上200℃以下であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、100℃以上200℃以下がより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
工程(B)により、前記塗料組成物に含まれる原料(c)の活性エネルギー線反応性部位が反応し、架橋ポリマーを形成する。前記表面層が原料(c)からなる架橋ポリマーを有することで、前記表面層の耐化粧品性を向上させることができる。工程(B)では、活性エネルギー線として、電子線(EB線)及び/又は紫外線(UV線)などを照射する。その照射線量は、塗料組成物中の原料(c)の組成に応じて、適宜調整することができる。

以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[積層フィルム、および表面層]
本発明の積層フィルムは、特定の特性を示す表面層を有し、平面状(フィルム、シート、プレート)であればよい。ここで、特定の特性を示す表面層とは、条件1及び条件2を満たす表面層を意味する。
前記表面層は、本発明の課題としている成型性、意匠性、自己修復性、耐化粧品性の他に、光沢性、耐指紋性、反射防止、帯電防止、防汚性、導電性、熱線反射、近赤外線吸収、電磁波遮蔽、易接着等の他の機能を有してもよい。
前記表面層の厚みは特に限定はないが、5μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましく、前述した他の機能に応じてその厚みを選択することができる。

[塗料組成物]
本発明の積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、本発明の積層フィルムは、後述する支持基材の少なくとも一方に、原料(a)〜原料(d)を含みさらに条件3及び条件4を満たす塗料組成物を塗布する工程、必要に応じて乾燥する工程(乾燥工程)や硬化する工程(工程(A)、工程(B))を経て、得ることができる。
この塗料組成物は、少なくとも前述の原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含み、条件3及び条件4を満たすものであり、後述する製造方法に当該塗料組成物を用いることで、表面層が条件1及び条件2を満たすことができる。

また、原料(c)の詳細は後述するが、原料(a)及び原料(b)とは反応性を持たないことが好ましい。反応性を持たないことで、前記表面層中において、原料(a)、原料(b)からなる架橋ポリマーとは独立である、原料(c)からなる架橋ポリマーを形成し、相互貫入構造を形成することが可能となる。原料(c)が、原料(a)及び原料(b)とは反応性を持たないためには、原料(c)が水酸基及びイソシアネート基を有さないことで可能となる。つまり原料(c)は、水酸基及びイソシアネート基を有さないことが好ましい。
また、塗料組成物中には、後述の溶媒やその他の成分を含んでもよい。

[支持基材]
本発明の積層フィルムに用いられる支持基材を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。より好ましくは、支持基材を構成する樹脂は、成型性が良好であるため、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂は、十分な延伸性と追従性を備える樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、強度・耐熱性・透明性の観点から、特に、ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、酸成分及びそのエステルとジオール成分の重縮合によって得られる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またこれらに酸成分やジオール成分として他のジカルボン酸およびそのエステルやジオール成分を共重合したものであってもよい。これらの中で透明性、寸法安定性、耐熱性などの点でポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
また、支持基材には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。支持基材は、単層構成、積層構成のいずれであってもよい。
支持基材の表面には、前記表面層を形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。

[原料(a)]
本発明の積層フィルムの製造方法に用いる塗料組成物中の原料(a)は、1分子中に2つ以上の水酸基、並びに、(ポリ)カプロラクトンセグメントを有する化合物を指す。
〔(ポリ)カプロラクトンセグメント〕
本発明の積層フィルムの製造方法において、原料(a)が(ポリ)カプロラクトンセグメントを有することが重要である、ここで(ポリ)カプロラクトンセグメントとは前述の化学式1で示されるセグメントを指す。
原料(a)は(ポリ)カプロラクトンセグメントと、少なくとも1分子中に2つ以上の水酸基(ヒドロキシル基)を有することが重要である。水酸基は(ポリ)カプロラクトンセグメントを含有する樹脂の末端にあることが好ましい。
原料(a)は(ポリ)カプロラクトンセグメントと、2つ以上3つ以下の水酸基を有することが特に好ましい。このような原料(a)の具体例としては、化学式5で示される(ポリ)カプロラクトンジオール、
Figure 2014184610
(ここで、m+nは4〜35の整数で、RはC、COC、C(CH(CH
化学式6で示される(ポリ)カプロラクトントリオール、
Figure 2014184610
(ここで、l+m+nは3〜30の整数で、RはCHCHCH、CHC(CH、CHCHC(CH
又は化学式7で示される(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
Figure 2014184610
(ここで、nは1〜25の整数で、RはHまたはCHなどの活性エネルギー線反応性部位を有するカプロラクトン)
を用いることができる。
活性エネルギー線反応性部位の定義は前述の通りであり、その具体例は後述する。(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート以外の活性エネルギー線反応性部位を有するカプロラクトンの例として、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。

また、本発明の積層フィルムの製造方法において、原料(a)中の、(ポリ)カプロラクトンセグメントの重量平均分子量は500〜2,500であることが好ましく、より好ましい重量平均分子量は1,000〜1,500である。(ポリ)カプロラクトンセグメントの重量平均分子量が500〜2,500であると、自己修復性がより向上し、また耐傷性がより向上するため好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法に用いる塗料組成物中の原料(a)には、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントが共重合されていてもよい。つまり原料(a)としては、2つ以上の水酸基並びに(ポリ)カプロラクトンセグメントに加えて、さらに(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物を用いることができる。

〔(ポリ)シロキサンセグメント〕
本発明において、(ポリ)シロキサンセグメントとは、前述の化学式2で示されるセグメントを指す。
本発明では、加水分解性シリル基を含有するシラン化合物の部分加水分解物、オルガノシリカゾルまたは該オルガノシリカゾルにラジカル重合体を有する加水分解性シラン化合物を付加させた組成物を、(ポリ)シロキサンセグメントを有する化合物として用いることができる。
(ポリ)シロキサンセグメントを有する化合物は、テトラアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシランなどの加水分解性シリル基を有するシラン化合物の完全もしくは部分加水分解物や有機溶媒に分散させたオルガノシリカゾル、オルガノシリカゾルの表面に加水分解性シリル基の加水分解シラン化合物を付加させたものなどを例示することができる。
原料(a)が(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有すると、(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントが本発明の積層フィルムの表面層中の最表面側に配位することとなる。(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントが表面層中の最表面側に配位することにより、表面層の最表面の潤滑性が向上し、摩擦抵抗を低減することができる。この結果、傷付き性を抑制することができるため、好ましい。

〔(ポリ)ジメチルシロキサンセグメント〕
本発明において、(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントとは、前述の化学式3で示されるセグメントを指す。
本発明において、(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物としては、(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントにビニルモノマーが共重合された共重合体を用いることが好ましい。
(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物が、ビニルモノマーとの共重合体の場合は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物がビニルモノマーとの共重合体の場合、これを、(ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体という。
(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物((ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体)として、(ポリ)ジメチルシロキサン系ブロック共重合体を合成するには、リビング重合法、高分子開始剤法、高分子連鎖移動法などにより製造することができるが、生産性を考慮すると高分子開始剤法、高分子連鎖移動法を用いるのが好ましい。
高分子開始剤法を用いる場合には、(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物((ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体)は、化学式8で示される高分子アゾ系ラジカル重合開始剤
Figure 2014184610
(mは10〜300の整数、nは1〜50の整数)
を用いて他のビニルモノマーと共重合させることで得ることができる。
またペルオキシモノマーと不飽和基を有する(ポリ)ジメチルシロキサンとを低温で共重合させて過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
高分子連鎖移動法を用いる場合は、(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物((ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体)は、例えば、化学式9に示すシリコーンオイル
Figure 2014184610
(mは10〜300の整数)
に、HS−CHCOOHやHS−CHCHCOOH等を付加してSH基を有する化合物とした後、SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることで得ることができる。
(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物((ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体)として、(ポリ)ジメチルシロキサン系グラフト共重合体を合成するには、例えば、化学式10に示す化合物
Figure 2014184610
mは10〜300の整数
すなわち(ポリ)ジメチルシロキサンのメタクリルエステルなどとビニルモノマーを共重合させることにより、容易に得ることができる。
(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物との共重合体に用いられるビニルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート,n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセチトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコールなどを挙げることができる。
また、(ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤などを単独もしくは混合溶媒中で溶液重合法によって製造されることが好ましい。また、必要に応じてベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリルなどの重合開始剤を併用する。重合反応は50〜150℃で3〜12時間行うのが好ましい。
本発明における(ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体中の(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントの量は、表面層の潤滑性や耐汚染性の点で、(ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体の全成分100質量%において1〜30質量%であるのが好ましい。また(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントの重量平均分子量は1,000〜30,000とするのが好ましい。

原料(a)には、(ポリ)カプロラクトンセグメントと(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントの共重合体、(ポリ)カプロラクトンセグメントと(ポリ)シロキサンセグメントとの共重合体、(ポリ)カプロラクトンセグメントと(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントと(ポリ)シロキサンセグメントとの共重合体などを用いることが可能である。
原料(a)として好適な、(ポリ)カプロラクトンセグメントと(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントと(ポリ)シロキサンセグメントとの共重合体を得るためには、(ポリ)ジメチルシロキサン系共重合体合成時に、適宜(ポリ)カプロラクトンセグメント及び(ポリ)シロキサンセグメントを添加して共重合する方法を挙げることができる。

[原料(b)]
本発明の積層フィルムの製造方法に用いる塗料組成物中の原料(b)は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を指す。
本発明の積層フィルムの製造方法に用いる塗料組成物中の原料(b)は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であることが重要である。本発明の好ましい製造方法は、原料(b)の有するイソシアネート基と原料(a)の有する水酸基とを反応させてウレタン結合を生成させることであり、これにより、表面層に含まれる樹脂がウレタン結合を有することとなる。イソシアネート基と水酸基とを反応させてウレタン結合を生成させることにより、表面層の強靱性を向上させると共に自己修復性を向上させることができる。本発明において、ウレタン結合とは前述の化学式4で示される結合を指す。
本発明において、原料(b)である1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物とは、イソシアネート基を有する樹脂や、イソシアネート基を有するモノマーやオリゴマーを指す。
原料(b)として好適なイソシアネート基を有する化合物は、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンイソシアネートのビューレット体などのポリイソシアネート、および上記イソシアネートのブロック体などを挙げることができる。
これらのイソシアネート基を有する化合物の中でも、原料(b)としては、脂環族や芳香族のイソシアネートに比べて脂肪族のイソシアネートが、自己修復性が高い積層フィルムを得ることができるために好ましい。
2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である原料(b)は、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートである。また、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である原料(b)は、イソシアヌレート環を有するイソシアネートが耐熱性の点で特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が最も好ましい。イソシアヌレート環を有するイソシアネートは、自己修復性と耐熱特性を併せ持つ表面層を形成する。

[原料(c)]
本発明の積層フィルムの製造方法において、原料(c)は、1分子中に2つ以上8つ以下の活性エネルギー線反応性部位、並びに、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有する化合物を指す。
この活性エネルギー線反応性部位の定義は前述の通りであるが、このような活性エネルギー線反応性部位として、反応性の観点からアルコキシシリル基及びアルコキシシリル基が加水分解されたシラノール基や、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。なかでも、反応性、ハンドリング性の観点から、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
また、前述の通り、原料(c)は水酸基及びイソシアネート基を有さないことが好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法に用いられる塗料組成物において、原料(c)は(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有することが重要である。なお、(ポリ)シロキサンセグメント及び(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントの詳細は前述の通りである。
原料(c)が(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有すると、(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントが本発明の積層フィルムの表面層中の最表面側に配位することとなる。原料(c)の(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントが表面層中の最表面側に配位することにより、表面層の表面自由エネルギーが低下し、表面層へのオレイン酸吸収係数を低下させることができる。この結果、耐化粧品性を向上させることができる。
また、本発明の積層フィルムの製造方法において、前述の通り、条件3及び条件4を満たす塗料組成物を用いることが重要である。そして、塗料組成物が条件3及び条件4を満たすということは、塗料組成物中の原料(a)と原料(c)が条件3及び条件4を満たすことを意味する。塗料組成物が条件3及び条件4を満たすことで、この塗料組成物を用いて得られる本発明の積層フィルムは、その自己修復性、耐化粧品性、透明性が向上する。塗料組成物が条件3および条件4を満たすためには、ハンセンの溶解度パラメーターの分散項、極性項、および水素結合項がそれぞれ特定の値を持つ原料(a)及び原料(c)を選択することで可能となる。
本発明において、条件3および条件4を満たす原料(a)と原料(c)の組み合わせの市販されている例としては、原料(a)としてプラクセル308(ダイセル化学工業株式会社製)を使用した場合、原料(c)としてEBECRYL350(ダイセル・サイテック株式会社)、X22−164AS(信越化学株式会社)、TEGORad2300、TEGORad2600、TEGORad2700(テゴ・ケミー社)、SIP900(MIWON社)を挙げることができ、これらの製品を利用することができる。

[原料(d)]
本発明の積層フィルムの製造方法に用いる塗料組成物中の原料(d)は、光重合開始剤を指す。 前記塗料組成物が原料(d)を含むと(光重合開始剤を含むと)、活性エネルギー線の照射により、原料(c)中の活性エネルギー線反応性部位の反応を促進することができる。また、光重合開始剤は単独で用いてもよく、複数の光重合開始剤を組み合わせてもよい。
光重合開始剤の例としては、アルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましい。アルキルフェノン形化合物の具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2.2−ジメトキシ−1.2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−フェニル)−1−ブタン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタン、1−シクロヒキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−エトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2−フェニル−2−オキソ酢酸)オキシビスエチレン、およびこれらの材料を高分子量化したものなどが挙げられる。

[溶媒、溶媒B]
前記塗料組成物は溶媒を含んでもよい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下、特に好ましくは1種類以上4種類以下である。
ここで「溶媒」とは、塗布後の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。
ここで、溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2−プロパノールと、n−プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
さらに、溶媒を含む場合には以下の特性を示す溶媒であることが好ましい。
条件1 酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度(ASTM D3539−87(2004))が最も低い溶媒を溶媒Bとした際に、溶媒Bの相対蒸発速度が0.4以下
ここで、溶媒の酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度とは、ASTMD3539−87(2004)に準拠して測定される蒸発速度である。具体的には、乾燥空気下で酢酸n−ブチルが90質量%蒸発するのに要する時間を基準とする蒸発速度の相対値として定義される値である。
前記溶媒Bの相対蒸発速度が0.4よりも大きい場合には、原料(c)の表面層中の最表面への配向に要する時間が短くなるため、得られる積層フィルムの耐化粧品性の低下を生じることがある。また、前記溶媒Bの相対蒸発速度の下限は、乾燥工程において蒸発して塗膜から除去できる溶媒であれば問題なく、一般的な塗布工程においては、0.005以上であればよい。
溶媒Bとしては、イソブチルケトン(相対蒸発速度:0.2)、イソホロン(相対蒸発速度:0.026)、ジチレングリコールモノブチルエーテル(相対蒸発速度:0.004、)、ジアセトンアルコール(相対蒸発速度:0.15)、オレイルアルコール(相対蒸発速度:0.003)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(相対蒸発速度:0.2)、ノニルフェノキシエタノール(相対蒸発速度:0.25)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(相対蒸発速度:0.1)、シクロヘキサノン(相対蒸発速度:0.32)などがある。

[塗料組成物中のその他の成分]
前記塗料組成物は、水酸基、並びに、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを有し、活性エネルギー線反応性部位を持たない化合物を含むことが好ましい。前記塗料組成物がこの化合物を含むと、前記表面層の最表面の潤滑性が向上し、摩擦抵抗を低減し、自己修復性が向上するため好ましい。
また、前記塗料組成物は、熱重合開始剤や硬化剤や触媒を含むことが好ましい。熱重合開始剤および触媒は、表面層の硬化を促進するために用いられる。熱重合開始剤としては、塗料組成物に含まれる成分をアニオン、カチオン、ラジカル重合反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
熱重合開始剤、硬化剤および触媒は種々のものを使用できる。また、熱重合開始剤、硬化剤および触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の熱重合開始剤、硬化剤および触媒を同時に用いてもよい。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤を併用してもよい。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、ウレタン結合の形成反応を促進させる架橋触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどが挙げられる。
また、前記塗料組成物は、アルコキシメチロールメラミンなどのメラミン架橋剤、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系架橋剤、ジエチルアミノプロピルアミンなどのアミン系架橋剤などの他の架橋剤を含むことも可能である。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、表面層を形成するために用いる塗料組成物にレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を加えてもよい。これにより、表面層はレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を含有することができる。レベリング剤の例としては、アクリル共重合体又はシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、トリアジン系及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が挙げられる。帯電防止剤の例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩が挙げられる。

[塗料組成物中の各成分の含有量]
本発明の積層フィルムを製造するのに好適な前記塗料組成物は、原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含むが、塗料組成物中のそれぞれの質量関係について説明する。
塗料組成物中の各原料の含有量は特に限定されないが、塗料組成物100質量%において、原料(a)を3質量%以上50質量%以下、原料(b)を3質量%以上30質量%以下、原料(c)を0.3質量%以上10質量%以下、原料(d)を0.025質量%以上10質量%以下、溶媒を30質量%以上90質量%以下、その他の成分を0.01質量%以上50質量%以下含有することが好ましい。より好ましい塗料祖生物は、原料(a)を5質量%以上30質量%以下、原料(b)を5質量%以上20質量%以下、原料(c)を0.5質量%以上8質量%以下、原料(d)を0.05質量%以上5質量%以下、溶媒を40質量%以上85質量%以下、その他の成分を0.05質量%以上30質量%以下含有する態様である。

[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムの表面に形成される表面層は、前述の塗料組成物を前述の支持基材上に塗布する工程を有することで、形成することができる。なお、好ましくは、塗布工程に続いて、溶媒を乾燥する「乾燥工程」を行い、続いて工程(A)と工程(B)の硬化工程を有する製造方法を用いることが好ましい。
塗布工程において、塗料組成物を塗布する方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材に塗布することにより表面層を形成することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法または、ダイコート法が塗布方法としてより好ましい。
塗布工程に次いで、乾燥工程によって、支持基材の上に塗布された液膜を乾燥する。得られる積層フィルム中から完全に溶媒を除去する(乾燥工程)ことに加え、塗布により形成された液膜中の原料(c)を表面へ移動し、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメントを表面層の最表面に偏析させる観点からも、乾燥工程では液膜の加熱を伴うことが好ましい。
乾燥工程における乾燥方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などが挙げられる。この中でも、本発明の製造方法では、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱、または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
乾燥工程における乾燥過程は、一般的に(A)恒率乾燥期間、(B)減率乾燥期間に分けられ、前者は、液膜表面において溶媒分子の大気中への拡散が乾燥の律速になっているため、乾燥速度は、この区間において一定で、乾燥速度は大気中の被蒸発溶媒分圧、風速、温度により支配され、膜面温度は熱風温度と大気中の被蒸発溶媒分圧により決まる値で一定になる。後者は、液膜中での溶媒の拡散が律速となっているため、乾燥速度はこの区間において一定値を示さず低下し続け、液膜中の溶媒の拡散係数により支配され、膜面温度は上昇する。ここで乾燥速度とは、単位時間、単位面積当たりの溶媒蒸発量を表わしたもので、g・m−2・s−1の次元からなる。
前記乾燥速度には、好ましい範囲があり、10g・m−2・s−1以下であることが好ましく、5g・m−2・s−1以下であることがより好ましい。恒率乾燥区間における乾燥速度をこの範囲にすることにより、乾燥速度の不均一さに起因するムラを防ぐことができる。
0.1g・m−2・s−1以上10g・m−2・s−1以下の範囲の乾燥速度が得られるならば、特に特定の風速、温度に限定されないが、上記乾燥速度を得るためには、温度が15℃から129℃であることが好ましく、50℃から129℃であることがより好ましく、50℃から99℃であることが特に好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法においては、減率乾燥期間では残存溶媒の蒸発と共に、原料(c)の配向が行われる。この過程においては配向のための時間を必要とするため、減率乾燥期間における膜面温度上昇速度には好ましい範囲が存在し、5℃/秒以下であることが好ましく、1℃/秒以下であることがより好ましい。

さらに乾燥工程の後に、工程(A)(加熱によって、原料(a)と原料(b)とを反応させる工程)または工程(B)(活性エネルギー線を照射することによって、原料(c)同士を反応させる工程)による、さらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。
工程(A)においては、その温度は、15℃から200℃であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、100℃以上200℃以下がより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
また、工程(B)においては、活性エネルギー線は汎用性の点から電子線(EB線)及び/又は紫外線(UV線)であることが好ましい。また紫外線を照射することによって、原料(c)同士を反応させる(硬化させる)場合は、酸素阻害を防ぐことができることから酸素濃度ができるだけ低い方が好ましく、窒素雰囲気下(窒素パージ)で硬化させる方がより好ましい。酸素濃度が高い場合には、最表面の硬化が阻害され、表面の硬化が不十分となり、耐化粧品性が不十分となる場合がある。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000mW/cm、好ましくは200〜2,000mW/cm、さらに好ましくは300〜1,500mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましく、紫外線の積算光量が100〜3,000mJ/cm、好ましく200〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがより好ましい。ここで、紫外線の照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計及び被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。

本発明の積層フィルムは、成形性、自己修復性、意匠性、及び耐化粧品性といった利点を活かし、メガネ・サングラス、化粧箱、食品容器などのプラスチック成型品、スマートフォンの筐体、タッチパネル、キーボード、テレビ・エアコンのリモコンなどの家電製品、建築物、ダッシュボード、カーナビ・タッチパネル、ルームミラーなどの車両内装品、および種々の印刷物のそれぞれの表面などに好適に用いることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
<ポリシロキサンの合成>
[ポリシロキサン(a)]
攪拌機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えた500ml容量のフラスコにエタノール106質量部、テトラエトキシシラン320質量部、脱イオン水21質量部、および1質量%塩酸1質量部を仕込み、85℃で2時間保持した後、昇温しながらエタノールを回収し、180℃で3時間保持した。その後、冷却し、粘調なポリシロキサン(a)を得た。
[ポリシロキサン(b)]
攪拌機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えた500ml容量フラスコにエタノール106質量部、メチルトリメトキシシラン270質量部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン23質量部、脱イオン水100質量部、1質量%塩酸1質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部を仕込み、80℃で3時間反応させ、ポリシロキサン(b)を合成した。これをメチルイソブチルケトンで50質量%に調整した。

<ポリジメチルシロキサン系ブロック、またはグラフト共重合体の合成>
[ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)]
ポリシロキサン(a)の合成と同様の装置を用い、トルエン50質量部、およびメチルイソブチルケトン50質量部、ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬株式会社製、VPS−0501)20質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸ブチル26質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸1質量部および1−チオグリセリン0.5質量部を仕込み、80℃で8時間反応させてポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を得た。得られた溶液中のブロック共重合体(a)の割合は、溶液100質量%中に50質量%であった。

[ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)]
ポリシロキサン(a)の合成に用いた装置を用い、トルエン50質量部、酢酸イソブチル50質量部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル20質量部、カプロラクトンメタクリルエステル(ダイセル化学工業(株)製 プラクセルFM−5)32質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート17質量部、ポリシロキサン(b)10質量部、片末端メタクリル基ポリジメチルシロキサン(東亞合成化学工業(株)製、AK−32)20質量部、およびメタクリル酸1質量部、1,1−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル2質量部を混合した。この混合モノマーを上記のトルエン、酢酸ブチルの混合液に2時間かけて滴下した。その後、110℃で8時間反応させ、固形分濃度50質量%の水酸基を有するポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)を得た。得られた溶液中のグラフト共重合体(b)の割合は、溶液100質量%中に50質量%であった。
[ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(c)]
ポリシロキサン(a)の合成と同様の装置を用い、トルエン50質量部、およびメチルイソブチルケトン50質量部、ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬株式会社製、VPS−0501)20質量部、メタクリル酸メチル18質量部、メタクリル酸ブチル38質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸1質量部および1−チオグリセリン0.5質量部を仕込み、180℃で8時間反応させてポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(c)を得た。得られた溶液中のブロック共重合体(c)の割合は、溶液100質量%中に50質量%であった。
[ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(d)]
モノマー組成をメタクリル酸メチル20質量部、メタクリル酸ブチル26質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、ポリシロキサン(a)10質量部、メタクリル酸1質量部および片末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、X−22−174DX)20質量部とした以外、ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)と同様の方法でポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(d)を合成した。得られた溶液中のグラフト共重合体(d)の割合は、溶液100質量%中に50質量%であった。

<原料(a)>
〔原料(a)1〕
原料(a)1として、ポリカプロラクトントリオールであるプラクセル308(ダイセル化学工業株式会社製、重量平均分子量850)を使用した。
〔原料(a)2〕
原料(a)2として、ポリカプロラクトントリオールであるプラクセル312(ダイセル化学工業株式会社製、重量平均分子量1250)を使用した。
<原料(b)>
〔原料(b)1〕
原料(b)1として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるタケネートD−170(三井化学株式会社製)を使用した。
〔原料(b)2〕
原料(b)2として、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体であるデスモジュールN3200(バイエル株式会社製)を使用した。
〔原料(b)3〕
原料(b)3として、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体であるバーノックDN−950(大日本インキ化学工業株式会社製、固形分:75質量%)を使用した。
<原料(c)>
〔原料(c)1〕
原料(c)1として、シリコンジアクリレート化合物(EBECRYL350 ダイセル・サイテック株式会社製)を使用した。
〔原料(c)2〕
原料(c)2として、シリコーン化合物(TEGORad2600 テゴ・ケミー社製)を使用した。
〔原料(c)3〕
原料(c)3として、シリコーン化合物(TEGORad2700 テゴ・ケミー社製)を使用した。
〔原料(c)4〕
原料(c)4として、両末端メタクリル変性ジメチルシロキサン化合物(X−22−164AS 信越化学株式会社製)を使用した。
〔原料(c)5〕
原料(c)5として、シリコーン化合物(TEGORad2300 テゴ・ケミー社製)を使用した。
〔原料(c)6〕
原料(c)6として、シリコーン含有ウレタンアクリレート化合物(SIP900 MIWON社製)を使用した。
〔原料(c)7〕
原料(c)7として、シリコンヘキサアクリレート化合物(EBECRYL1360 ダイセル・サイテック株式会社製)を使用した。
〔原料(c)8〕
原料(c)8として、両末端メタクリル変性ジメチルシロキサン化合物(X−22−164 信越化学株式会社製)を使用した。
〔原料(c)9〕
原料(c)9として、シリコーン化合物(TEGORad2100 テゴ・ケミー社製)を使用した。
〔原料(c)10〕
原料(c)10として、シリコーン化合物(TEGORad2010 テゴ・ケミー社製)を使用した。
<原料(d)>
原料(d)として、イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ社製)を使用した。
<塗料組成物Aの調合>
[塗料組成物A1]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A1を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A2]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A2を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 2.5質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A3]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A3を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 8.5質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A4]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A4を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)2 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A5]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A5を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)3 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A6]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A6を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)4 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A7]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A7を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)5 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A8]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A8を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)6 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A9]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A9を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・エチレングリコールモノエチルエーテル 10質量部
[塗料組成物A10]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A10を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
[塗料組成物A11]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A11を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 17質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A12]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A12を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 8質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A13]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A13を得た。
・原料(a)2 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A14]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A14を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(c) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A15]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A15を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)2 15質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A16]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A16を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
[塗料組成物A17]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A17を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 36質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
[塗料組成物A18]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A18を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 25質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
[塗料組成物A19]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A19を得た。
・ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(d) 100質量部
・原料(b)3 12質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
[塗料組成物A20]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A20を得た。
・ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b) 100質量部
・原料(b)1 25質量部
・原料(c)1 6質量部
・原料(d) 1質量部
[塗料組成物A21]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A21を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)7 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部、
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A22]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A22を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)8 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A23]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A23を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)9 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A24]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A24を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)10 6質量部
・原料(d) 1質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
[塗料組成物A25]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分40質量%の塗料組成物A25を得た。
・原料(a)1 15質量部
・原料(b)1 15質量部
・原料(c)1 6質量部
・ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a) 75質量部
・ポリシロキサン(a) 10質量部
・シクロヘキサノン 10質量部
<塗料組成物Aの評価>
[ハンセンの溶解度パラメーターの測定]
前記原料(a)および原料(c)に、溶解度の異なる15種の溶媒、水、アセトン、2−ブタノン、シクロペンタノン、イソプロピルアルコール、エタノール、1−オクタノール、トルエン、ヘキサン、酢酸、酢酸ブチル、アニリン、メタンアミド、2−アミノエタノール、および2−ブトキシエタノールを、それぞれ少量ずつ、完全に溶けきるまで添加した。このときの飽和溶液濃度を元に各溶媒への溶解度を6段階(6:不溶、5:質量パーセント濃度5%未満、4:質量パーセント濃度5%以上10%未満、3:質量パーセント濃度10%以上30%未満、2:質量パーセント濃度30%以上50%未満、1:質量パーセント濃度50%以上)に分類した。こうして得られた各溶媒への溶解度の情報を元にHansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)ver.3.1.17(http://www.hansen−solubility.com/index.php?id)によってハンセンの溶解度パラメーターを計算した。
[パラメーターR]
前記原料(a)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσad、極性項をσap、水素結合項をσahとし、前記原料(c)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσcd、極性項をσcp、水素結合項をσchとしたとき、
R=[(σcd−σad+(σcp−σap+(σch−σah1/2
をパラメーターRの定義とした。前述の方法で算出された前記原料(a)および前記原料(c)のハンセンの溶解度パラメーターを用いて計算した。
[σcd<σad
前記原料(a)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項σad、前記原料(c)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項σcdについて、下記の式が成り立つときを○、下記の式が成り立たないときを×とした。
σcd<σad
<積層フィルムの製造方法>
[積層フィルムの作製]
支持基材としてPET樹脂フィルム上の両面に易接着性塗料が塗布されている厚み100μmの“ルミラー”(登録商標)U46(東レ(株)製)を用いた。前記塗料組成物A(A1〜A25)を、スロットダイコーターを有する連続塗布装置を用い、乾燥後の厚みが30μmになるようにダイスロットからの吐出流量を調整して塗布した。塗布から乾燥、硬化までの間に液膜にあたる乾燥工程、硬化工程の条件は下記の通りである。
乾燥工程
送風温湿度 : 温度:80℃
風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒
風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直
滞留時間 : 1分間
硬化工程(A)
送風温湿度 : 温度:160℃
風速 : 塗布面側:10m/秒、反塗布面側:10m/秒
風向 : 塗布面側:基材の面に対して垂直、反塗布面側:基材の面に対して垂直
滞留時間 : 2分間
硬化工程(B)
照射出力 400W/cm積算光量120mJ/cm
酸素濃度 0.1体積%
なお、風速、温湿度は熱線式風速計(日本カノマックス株式会社 アネモマスター風速・風量計 MODEL6034)による測定値を使用した。 次いで、20℃で14日間保管(エージング)を行い、実施例1〜15、比較例1〜10の積層フィルムを得た。
<積層フィルムの評価>
作製した積層フィルムについて、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表1に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
[オレイン酸吸収係数Ab60、Ab30
オレイン酸吸収係数の算出に必要な値のうち、表面層上のオレイン酸の体積の測定には協和界面科学株式会社 接触角計Drop Master DM−501を用いて、同装置の静的接触角測定マニュアルに従った。具体的にはシリンジ先端にオレイン酸(ナカライ規格一級 ナカライテスク)2μLの液滴を作成し、特定の測定温度(30℃又は60℃)として、積層フィルム表面に着滴させた後、その付着状態の画像を撮影、同装置付属の統合解析ソフト“FAMAS”を用いて体積(V)を算出した。更にこの付着油滴を、測定温度を保持した状態で、無風状態下で24時間静置した後に、同様の測定により体積(V)を計測した。なお体積については、統合解析ソフト“FAMAS”によって、付着油滴の形状を切断球形として近似し算出した。
求めた体積から、以下の式を用いて60℃におけるオレイン酸吸収係数Ab60及び30℃におけるオレイン酸吸収係数Ab30を求めた。
=100×(V−V)/V
60℃でのオレイン酸吸収係数Ab60と30℃でのオレイン酸吸収係数Ab30の差の絶対値を、Ab60とAb30の差とした。
[表面層の破壊伸度]
積層フィルムを10mm幅×200mm長に切り出し、長手方向にチャックで把持してインストロン型引っ張り試験機(インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848)にて引っ張り速度100mm/分で伸張した。この時の測定雰囲気は23℃・65RH%である。伸張する際に、伸張中のサンプルを観察しておき、目視でクラック(亀裂)が生じたら停止する(停止するときの伸度は5の整数となるように調整する)。次から測定するサンプルは、停止時の伸度より、5%単位で伸張伸度を低くしていったサンプルを順次採取し、最終的に目視にてクラックが入らなくなる伸度まで行った。
採取したサンプルのクラック部分の薄膜断面を切り出し、観察する表面層の厚みが、透過型電子顕微鏡の観察画面上において、30mm以上になるような倍率で表面層を観察し、表面層の平均厚みの50%以上のクラックが発生している場合をクラック有り(表面層の破壊有り)として、クラック有りとされたサンプルの中で、最も低い伸度を有するサンプルの伸度値を破壊伸度とした。そして、同一の測定を計3回行い、それらの破壊伸度の平均値を表面層の破壊伸度とし、30%以上を合格とした。
[表面層の厚み方向の最大変位量、クリープ変位量、および残存変位量]
平滑な金属板(ダイス鋼:SKD−11)に、東レ・ダウコーニング社製「ハイバキュームグリース」を1g塗布し、それに積層フィルムの支持基材側をハイバキュームグリース塗布部分に貼り付け、表面に濾紙を挟んでハンドプレス機で空気が噛まないようにプレスした。このような方法で得られた静地された試料に対し、正三角錐を用いて押し込み負荷/除荷試験を行い、加重−押し込み深さ線図(図1参照)を取得した。
この線図から、荷重を加えてから除荷するまでの厚み方向の変位量(最大変位量)と、0.5mNに達してから10秒間保持し続けたときの厚み方向の変位量(クリープ変位量)と、10秒間保持してから0mNまで除荷した時の厚み方向の変位量(残存変位量)を求めた。
装置:ダイナミック超微小硬度計「DUH−201」(島津製作所製)
使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子(稜間角115°)
測定モード:2
最大荷重:0.5mN
10mN荷重に達したときの保持時間:10秒
荷重速度、除荷速度:0.1422mN/秒
[表面層の自己修復性]
温度20℃で12時間放置した後、同環境にて表面層表面を、真鍮ブラシ(TRUSCO製)に下記の荷重をかけて、水平に5回引っ掻いたのち、5分間放置後の傷の回復状態を、下記の基準に則り目視で判定を行い、4点以上を合格とした。
10点:荷重1Kgで傷が残らない
7点: 荷重1Kgでは傷が残るが、700gでは傷が残らない
4点: 荷重700gでは傷が残るが、500gでは傷が残らない
1点: 荷重500gで傷が残る
[表面層の意匠性]
温度20℃で12時間放置した後、同環境にて表面層表面を、真鍮ブラシ(TRUSCO製)に、500gの荷重をかけ、水平に5回引っ掻いたときの傷の回復状態を、下記の基準に則り目視で判定を行い、4点以上を合格とした。
10点:表面の傷が全て回復するのに要する時間が3秒以下。
7点: 表面の傷が全て回復するのに要する時間が3秒より長く10秒以下。
4点: 表面の傷が全て回復するのに要する時間が10秒より長く30秒以下。
1点: その他(表面の傷が全て回復するのに要する時間が30秒より長くかかるか、回復しない傷が存在するか、または、傷が入らないなど。)
[耐化粧品性]
5cm角に切り出した試料に花王(株)製アトリックス「ハンドクリームA」(NO413)を0.5g塗布し、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気下で6時間放置後、25℃相対湿度65%の雰囲気下で30分間放置し、表面をガーゼできれいに拭き取る。温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で24時間放置後、表面の状態を観察し、下記の基準に則り判定を行い、7点以上を合格とした。
10点:白斑の発生なし。
7点:白斑の発生がほとんどなし。
4点:白斑が発生するが、拭き取ればきれいになる。さらに、拭取り後、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で24時間放置後に、白斑の再発生が起きない。
1点:その他(白斑が発生し、拭き取っても温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で24時間放置後に再度発生する場合や、白斑が発生し、拭取ってもきれいにならない場合など。)
表1に最終的に得られた積層フィルムの評価結果をまとめた。評価項目において1項目でも合格とならないものについて、課題未達成と判断した。
Figure 2014184610
本発明に係る積層フィルムは、プラスチック成型品、家電製品、建築物や車両内装品および種々の印刷物のそれぞれの表面に同様の機能を付与するためにも用いることができる。

Claims (5)

  1. 支持基材の少なくとも一方に、表面層を有する積層フィルムであって、
    下記条件1及び条件2を満たすことを特徴とする積層フィルム。
    条件1:前記表面層の60℃におけるオレイン酸吸収係数をAb60として、30℃におけるオレイン酸吸収係数をAb30とした際に、Ab60とAb30の差が6.5以下である。
    条件2:微小硬度計測定において0.5mN荷重を10秒間加えたときの、前記表面層の厚み方向の最大変位量が1.00μm以上2.90μm以下、前記表面層の厚み方向のクリープ変位量が0.05μm以上1.00μm以下、荷重を0mNまで解放したときの前記表面層の厚み方向の残存変位量が0.20μm以上0.80μm以下である。
  2. 前記Ab30が、8.0以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法であって、前記支持基材の少なくとも一方に、以下の塗料組成物を塗布する工程(以下、塗布工程という)を有することで、前記表面層を形成することを特徴とする、積層フィルムの製造方法。
    塗料組成物:以下の原料(a)、原料(b)、原料(c)、及び原料(d)を含み、かつ、下記条件3及び条件4を満たす。
    原料(a):1分子中に2つ以上の水酸基、並びに、(ポリ)カプロラクトンセグメントを有する化合物。
    原料(b):1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物。
    原料(c):1分子中に2つ以上8つ以下の活性エネルギー線反応性部位、並びに、(ポリ)シロキサンセグメント及び/又は(ポリ)ジメチルシロキサンセグメント有する化合物。
    原料(d):光重合開始剤
    条件3:σcd<σad
    条件4:2.5≦R((MPa)1/2)≦10
    (R=[(σcd−σad+(σcp−σap+(σch−σah1/2
    ここで、原料(a)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσad、極性項をσap、水素結合項をσahとし、原料(c)のハンセンの溶解度パラメーターの分散項をσcd、極性項をσcp、水素結合項をσchとする。
  4. 前記原料(b)が、ヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、請求項3に記載の積層フィルムの製造方法。
  5. 前記塗布工程、次いで乾燥工程を行った後、下記の工程(A)と工程(B)を行うことを特徴とする、請求項3または4に記載の積層フィルムの製造方法。
    工程(A):加熱することで、前記原料(a)と前記原料(b)とを反応させる工程。
    工程(B):活性エネルギー線を照射することで、前記原料(c)同士を反応させる工程。
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