JPWO2014098082A1 - エアバッグ用織物 - Google Patents
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Abstract
Description
通気度の抑制には、織物に樹脂被膜を設ける方法があるが、高速展開のためには、樹脂被膜のない軽量な織物をエアバッグ基布として用いることが有利である。
すなわち、本発明は以下のエアバッグ用織物に関する。
R=φa/φb
(但し、φaおよびφbは、織物の表面および裏面における曲率半径φの内、大きい方がφaであり、小さい方がφbである。)
(2)引裂き強力(N)の引張り強力(N/cm)に対する引裂き利用率Eが0.20〜0.50であることを特徴とする上記(1)項に記載のエアバッグ用織物。
(3)120℃の環境下に100時間暴露したのちの引裂き利用率が、暴露以前と比較して90%以上であることを特徴とする上記(1)または(2)項に記載のエアバッグ用織物。
(4)前記交接部の接触角度θの、織物の表裏における下式で表される非対称性Uが1.05〜1.40の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(3)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
U=θb/θa
(但し、θbはφb面における接触角度であり、θaはφa面における接触角度である。)
(5)シクロヘキサン抽出油分を0.03〜0.3重量%含有することを特徴とする上記(1)〜(4)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(6)合成繊維が実質的に丸断面の合成繊維からなることを特徴とする上記(1)〜(5)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(7)織物が平織物であることを特徴とする上記(1)〜(6)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(8)織物を構成する合成繊維の繊度が300〜720dtexであることを特徴とする上記(1)〜(7)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(9)織物を構成する合成繊維の繊度が380〜550dtexであり、その単糸繊度が2dtexを超え、8dtex未満であることを特徴とする上記(8)項に記載のエアバッグ用織物。
(10)織物の表裏における100kPa差圧下の通気度の比が0.90〜0.20であることを特徴とする上記(1)〜(9)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(11)バーコードが印字されていることを特徴とする上記(1)〜(10)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(12)織物を製織する織糸原糸として、実質的に無撚でエア交絡が5〜30個/mの合成繊維を用いることを特徴とする(1)〜(11)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(13)上記(1)〜(11)項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物を用いたエアバッグ。
(14)樹脂被覆を有していない上記(13)項に記載のエアバッグ。
(15)合成繊維からなるエアバッグ用織物の製造方法であって、1)経糸を高張力としてウォータージェット織機で製織し、2)引き続き、80℃以下の水洗処理工程を実施し、または水洗処理工程を実施せずに、3)引き続き、120℃以下の温度で乾燥し、4)引き続き、カレンダー加工を行なうことからなることを特徴とするエアバッグ用織物の製造方法。
織物を構成する経緯の織糸は屈曲して相互に接触しているが、織物の織糸の中心線に沿って切断すると、屈曲する緯糸の長さ方向断面と経糸の横断面、または、屈曲する経糸の長さ方向断面と緯糸の横断面が接しており、経糸緯糸相互の交接部である接触線分が最長となる切断面を観察することができる。図1は経糸の中心線に沿って切断した図であり、図中1が屈曲する経糸の長さ方向断面であり、2が経糸と交接する緯糸の横断面である。経糸緯糸相互の交接部である接触線分は、図中弧ACBで表され、AおよびBが接触線分の両端であり、Cが接触線分の中央部である。本発明では、この接触線分の両端と中央部の3点から外接円3を求め、交接部を接触円弧とし、外接円3における接触円弧ACBの中心角θを経糸と緯糸が接触する交接部の接触角度とした。また、外接円3の半径φを交接部の曲率半径とした。
R=φa/φb
但し、上式においてφaおよびφbは、織物の表面および裏面の曲率半径φの内、大きい方がφaであり、小さい方がφbである。
非対称性Rが1.05以上であれば、高圧下の通気度が低く、引裂き強力が高い。非対称性が1.05以上と大きいと、片面の曲率半径が小さく経緯の織糸がしっかり噛み合っていて高圧下での通気度を抑制している。とりわけ、曲率半径φが小さい面(φb面)を内側にして差圧負荷がかかる場合は、φb面は織物のたわみによって、織糸噛み合いがより一層締まる面であり、動的通気度の低減に寄与している。一方で、反対面の曲率半径の大きい面(φa面)は、経緯の織糸同士の噛み合いが比較的外れやすいため、引裂き強力の低下が抑制される。一方、非対称性Rが1.50以下であれば、織組織の無理な変形による引裂き強力の低下などが避けられる。非対称性Rは、より好ましくは、1.10から1.40である。
U=θb/θa
但し、上式においてθaおよびθbは、それぞれφa面およびφb面における交接部の接触角度である。
接触角度の非対称性Uが1.05以上であれば、曲率半径の非対称性Rが大きく、接触角度の非対称性Uが1.40以下であれば曲率半径の非対称性Rが小さい。接触角度の非対称性Uは、より好ましくは1.08から1.40である。
織物を構成するポリアミド系繊維としては、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド4・6、それらの共重合体およびそれらの混合物の樹脂からなる繊維が挙げられる。特にポリアミド6・6繊維としては、主としてポリヘキサメチレンアジパミド樹脂からなる繊維である事が好ましい。ポリヘキサメチレンアジパミド樹脂とは100%のヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とから構成される融点が250℃以上のポリアミド樹脂を指すが、本発明で用いられるポリアミド6・6樹脂からなる繊維は、樹脂の融点が250℃未満とならない範囲で、ポリヘキサメチレンアジパミドにポリアミド6、ポリアミド6・I、ポリアミド6・10、ポリアミド6・Tなどを共重合、あるいはブレンドした樹脂からなる繊維でもよい。
本発明の織物に用いる合成繊維は、整経時に糊付けせずに高密度製織が可能となるように、単糸切れによる毛羽が108mあたりに100個以下であることが好ましい。
また、本発明の織物に用いる合成繊維は単糸の集合の集束性を得るためにエア交絡が5〜30回/mであることが好ましい。エア交絡が5回/m以上で高密度織物を無糊かつ無精練または弱精練で製織し仕上げることができるようになる。エア交絡が30回/m以下で、製織時に経緯糸の食い込み形態を織物の表裏で非対称なものにしやすくなる。さらには、高温環境に暴露した後も織物表裏での非対称性を維持できるようになる。エア交絡が30回/m以下で少なければ、製織中に単糸集束が解消され、織糸の屈曲形態が制御された相互食い込み形態にできる。また、製織後の織物中の単糸集束が十分に解消されていれば、高温環境への暴露によって相互食い込みが解消されてゆくようなことにはなりにくい。
CF=(√経糸繊度(dtex))×経糸密度(本/2.54cm)+ (√緯糸繊度(dtex))×緯糸密度(本/2.54cm)
ここで、経糸繊度と緯糸繊度は、それぞれ、布帛を構成する合成繊維の繊度である。
カバーファクタは、平面における繊維の充填度合いであり、2000以上であれば、静的通気度が抑制されている。カバーファクタが2600以下であれば、製織工程での困難性はない。
織物の織組織は、基本的に経緯とも同一繊維で単一繊維による平織物が好ましい。高密度の平織物を得るために、経緯とも2本の斜子織で織って平織物を得ても良い。また、経緯の織密度の差は10%程度以下で、実質的に同等であることが好ましい。
本発明の織物を得るために、まず、織機上で織糸が非対称に噛み合った屈曲形態を作ることが重要である。織機上で経糸開口する際、上糸と下糸の張力に5から90%の差をつけることが好ましい。より好ましくは10から50%である。上糸と下糸の張力に差をつける方法として、バックローラー(テンショニングローラー)の位置を綜絖による開口中心から上下にずらすと、経緯の糸の交差部である織前までに上糸と下糸の走行長が変わるため、経糸張力を織物の表裏の面で変えることができる。
一方、バックロールに接した面は、織糸が十分に噛み合った屈曲形態がやや解放され、経緯糸の曲率半径φが大きめになる。この面を内側に織物を屈曲する場合はより柔軟性を有している。
(1)合成繊維の交絡数(個/m):合成繊維の交絡数は、交絡測定用の水浴バスを用い、合成繊維を水面に浮かべて単糸束の状態を観測して行った。水浴バスは、長さ1.0m、幅20cm、高さ(水深)15cmの大きさであり、供給口から供給された水はバスから溢流により排水される。すなわち、常に新しい水を約500cc/分の流量で供給することによって測定バス内の水を更新させる。この水浸法により、図2に示すように水面に拡がった単糸束の交絡部aの数をカウントする。この測定を10回繰り返して平均値を求めた。
(3)織密度(本/2.54cm):JIS L1096:2010 8.6.1b)B法で附属書FAにより計測した。
(4)合成繊維の繊度(dtex):JIS L1096:2010 8.9.1.1a)2)B法で附属書Hの方法Bにより計測した。
(7)引張強力(N/cm):JIS L1096:2010 8.14.A1法(ストリップ法)により計測し、試料幅3cmで除して求めた。
(8)引裂き利用率:上記引裂き強力を引張強力で除して求めた。
(9)シクロヘキサン抽出油分(OPU):織物試料をシクロヘキサンで8時間ソックスレー抽出した。シクロヘキサン抽出分の乾固重量から試料中の油剤成分量(重量%)を求めた。
(10)高圧通気度(mm/s):ASTMD6476に準拠するTEXTEST社製のFX3350にて動的通気度を計測し、昇圧が100kPaに達した際の通気度を求めた。
(13)熱暴露後の評価:布帛を120℃のエアオーブン中に吊るし、100時間熱暴露した後、標準状態とし、上記(6)〜(8)項に従って引裂き利用率を求めた。また、熱暴露前後の引裂き利用率から、暴露前後の変化率(暴露後引裂利用率E/暴露前引裂利用率E)を求めた。
ポリヘキサメチレンアジパミド樹脂を溶融紡糸、熱延伸して得られた強度8cN/dtexの繊維を織糸として用いた。繊維には樹脂重合時に添加した銅が50ppm含有され、沃素が1500ppm含有されていた。この繊維は、繊度が470dtex、単糸が136本、沸水収縮率が7.0%であり、水浸法の交絡数は10個/mであった。この繊維を、織糸として用いた。経糸用に無撚無糊で引き揃え、整経ビームとした。緯糸用に無撚無糊で巻取りパッケージからそのまま供給した。ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力を上糸張力に対して1.05倍高く設定し、平織りを400回転/分で実施した。得られた織物を精練すること無しに、60℃で乾燥し、織物水分率を3%にした。次いで、熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度160℃、圧力490N/cmで処理した。織物を挟む上下のカレンダーロールは、上部の加熱用の金属ロールが12cm直径であり、下部のロールはペーパー表面を有する24cm直径ロールで、表面速度は上下同速である。ペーパーロール表面はショアD硬度が65である。このとき、経糸高張力織りした面を加熱ロールで処理した。仕上がり織物の織り密度は経緯とも51.0本/2.54cmであった。織物の製造条件と評価結果を表1に示す。織物は表裏で織り糸の屈曲構造に差があり、非対称構造である。高圧通気は織物の表裏面のどちらを加圧面にするかで通気度に差があり、曲率半径が小さいほうの面を加圧面にした時に低通気度を示し、面は良く通気度抑制されている。引裂き強力は高い。織物の表裏でガス展張した面での柔軟性クッション性に違いがあり、低通気度面を内側にしてガス展張した場合は、定圧維持のガスフローリーク量が少なく、ガス展張の外側からの押込みは人体に優しい感触が得られた。曲率半径が小さいほうの低通気度面でのインクジェット印字性も良好で、識別情報表示に問題は生じなかった。
ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力を上糸張力に対して1.10倍高く設定したことを除いて実施例1と同様に実施した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。高圧下の通気抑制がより効いて、引裂き強力も良好、ガス展張時の柔軟性、クッション性も優れている。インクジェット印字も良好である。
ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力を上糸張力に対して1.20倍高く設定したことを除いて実施例1と同様に実施した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。高圧下の通気抑制がより効いて、引裂き強力も良好、ガス展張時の柔軟性、クッション性も優れている。インクジェット印字も良好である。
ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力を上糸張力に対して1.30倍高く設定したことを除いて実施例1と同様に実施した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。高圧下の通気抑制がより効いて、引裂き強力も良好、ガス展張時の柔軟性、クッション性も優れている。インクジェット印字も良好である。
ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力を上糸張力に対して1.40倍高く設定したことを除いて実施例1と同様に実施した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。高圧下の通気抑制がより効いて、引裂き強力も良好、ガス展張時の柔軟性、クッション性も優れている。インクジェット印字も良好である。
ポリエチレンテレフタレート繊維で、繊度が550dtex、単糸が144本、強度が7cN/dtex、沸水収縮が2.2%、交絡数が10個/mの繊維を織糸として用いた。ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力を上糸張力に対して1.10倍高く設定し、平織りを400回転/分で実施した。引き続いて、精練すること無しに60℃で乾燥し、水分率を0.8%とした。次いで、熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度180℃、圧力490N/cmで行なった。織物を挟む上下のカレンダーロールは、上部の加熱用の金属ロールが12cm直径であり、下部のロールはペーパー表面を有する24cm直径ロールで、表面速度は上下同速である。ペーパーロール表面はショアD硬度が65である。このとき、経糸高張力織りした面を加熱ロールで処理した。仕上がり織物の織り密度は経緯とも51.0本/2.54cmとした。表1に製造条件と織物評価結果を示す。
高圧下の通気抑制が効いて、引裂き強力も良好、ガス展張時の柔軟性およびクッション性も優れている。インクジェット印字も良好である。
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の水浸法の交絡数を25個/mとした以外は、実施例1と同様に実施した。織物の製造条件と評価結果を表1に示す。実施例1と同等の特性を示した。
ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力と上糸張力を同じ値に合わせて設定したことを除いて実施例1と同様に実施した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。片カレンダーによって、熱カレンダー面でのインクジェット印字性は良い。しかし、製織段階で織り糸屈曲構造の非対称性が得られないため、仕上がり後も屈曲構造の非対称性が無い。よって、高圧下での通気度抑制は限定的であり、引裂き強力も悪い。
ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力を上糸張力に対して1.02倍高く設定したことを除いて実施例1と同様に実施した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。片カレンダーによって、熱カレンダー面でのインクジェット印字性は良い。しかし、製織段階で織り糸屈曲構造の非対称性がわずかであるため、仕上がり後も屈曲構造の非対称性が小さい。よって、高圧下での通気度抑制は限定的であり、引裂き強力も悪い。
実施例2の製織後に、90℃の温水で3分間精練した後に、60℃で乾燥し、水分率を0.8%とした。次いで、ピンテンターにて180℃の1分間、反物の経送りのオーバーフィードが2%、反物幅が1%幅入れで熱セット仕上げした。表1に製造条件と織物評価結果を示す。製織段階で形成された織り糸屈曲構造の非対称性が、精練工程で緩和されてしまい、さらに、テンターセット工程でも緩和されてしまうため、仕上がり後の屈曲構造の非対称性が小さい。よって、高圧下での通気度抑制は限定的であり、引裂き強力も悪い。
実施例2の製織後に、精練すること無しに60℃で乾燥し、水分率を0.8%とした。次いで、ピンテンターにて180℃で1分間、反物の経送りのオーバーフィードが3%、反物幅が2%幅入れで熱セット仕上げした。表1に製造条件と織物評価結果を示す。製織段階で形成された織り糸屈曲構造の非対称性が、精練無しで維持されるが、テンターセット工程で緩和されてしまうため、仕上がり後の屈曲構造の非対称性が小さい。よって、高圧下での通気度抑制は限定的であり、引裂き強力も悪い。
実施例2の製織後に、90℃の温水で3分間精練した後に、60℃で乾燥し、水分率を0.8%とした。次いで、熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度180℃、圧力490N/cmで行なった。織物を挟む上下のカレンダーロールは、上部の加熱用の金属ロールが12cm直径であり、下部のロールはペーパー表面を有する24cm直径ロールで、表面速度は上下同速である。ペーパーロール表面はショアD硬度が65である。このとき、経糸高張力織りした面を加熱ロールで処理した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。製織段階で形成された織り糸屈曲構造の非対称性が、精練工程で緩和されてしまう。片カレンダーでは織り糸屈曲構造の非対称性の形成は少なく、高圧下での通気度抑制は限定的であり、引裂き強力も悪い。
実施例6において、ウォータージェット織機にて織機上での経糸張力を設定する際、開口時の下糸張力と上糸張力を同じ値に合わせて設定し製織した。次いで、90℃の温水で3分間精練した後に、60℃で乾燥し、水分率を0.8%とした。引き続き、熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度180℃、圧力490N/cmで行なった。織物を挟む上下のカレンダーロールは、上部の加熱用の金属ロールが12cm直径であり、下部のロールはペーパー表面を有する24cm直径ロールで、表面速度は上下同速である。ペーパーロール表面はショアD硬度が65である。このとき、経糸高張力織りした面を加熱ロールで処理した。表1に製造条件と織物評価結果を示す。片カレンダーによって、熱カレンダー面でのインクジェット印字性は良い。しかし、製織段階で織り糸屈曲構造の非対称性が得られないし、精練工程でも緩和されてしまい、片カレンダー加工のみが非対称加工であるが、片カレンダー加工による織り糸屈曲構造の非対称性の形成はわずかであるため、仕上がり後も屈曲構造の非対称性は少ない。よって、高圧下での通気度抑制は限定的であり、引裂き強力も悪い。
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の水浸法の交絡数を34個/mとした以外は、実施例1と同様に実施した。織物の製造条件と評価結果を表1に示す。織物の表裏非対称性が作りにくく、非対称性Rが小さめとなる。熱暴露後の引裂き利用率が低下する。織物表面にやや乱れがありインクジェット印字も鮮明さを欠いた。高圧通気度を低く抑えられていない。
2 緯糸の横断面
3 外接円
A 接触線分の一端
B 接触線分の一端
C 接触線分の中央部
θ 交接部の接触角
φ 交接部の曲率半径
Claims (15)
- 合成繊維からなる織物であって、織物の断面において経糸と緯糸が接触する交接部の曲率半径φの、織物の表裏における下式で表される非対称性Rが1.05〜1.50の範囲であることを特徴とするエアバッグ用織物。
R=φa/φb
(但し、φaおよびφbは、織物の表面および裏面における曲率半径φの内、大きい方がφaであり、小さい方がφbである。) - 引裂き強力(N)の引張り強力(N/cm)に対する引裂き利用率Eが0.20〜0.50であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ用織物。
- 120℃の環境下に100時間暴露したのちの引裂き利用率Eが、暴露以前と比較して90%以上であることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ用織物。
- 前記交接部の接触角度θの、織物の表裏における下式で表される非対称性Uが1.05〜1.40の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
U=θb/θa
(但し、θbはφb面における接触角度であり、θaはφa面における接触角度である。) - シクロヘキサン抽出油分を0.03〜0.3重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 合成繊維が実質的に丸断面の合成繊維からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 織物が平織物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 織物を構成する合成繊維の繊度が300〜720dtexであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 織物を構成する合成繊維の繊度が380〜550dtexであり、その単糸繊度が2dtexを超え、8dtex未満であることを特徴とする請求項8に記載のエアバッグ用織物。
- 織物の表裏における100kPa差圧下の通気度の比が0.90〜0.20であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- バーコードが印字されていることを特徴とする請求項1〜10項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 織物を製織する織糸原糸として、実質的に無撚でエア交絡が5〜30個/mの合成繊維を用いることを特徴とする請求項1〜11項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物を用いたエアバッグ。
- 樹脂被覆を有していない請求項13に記載のエアバッグ。
- 合成繊維からなるエアバッグ用織物の製造方法であって、1)経糸を高張力としてウォータージェット織機で製織し、2)引き続き、80℃以下の水洗処理工程を実施し、または水洗処理工程を実施せずに、3)引き続き、120℃以下の温度で乾燥し、4)引き続き、カレンダー加工を行なうことからなることを特徴とするエアバッグ用織物の製造方法。
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