JPWO2014083842A1 - 歯科用硬化性組成物及び歯科用フロアブルコンポジットレジン - Google Patents

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Abstract

本発明は、硬化物が、機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性に優れ、ペーストが、シリンジ先端のニードルから吐出するための適度な稠度と、ニードルから吐出後の良好な賦形性及び操作性を有する、フロアブルコンポジットレジンに好適な歯科用硬化性組成物を提供する。本発明は、重合性単量体(A)、特定構造のシランカップリング剤で表面処理された平均粒子径0.1〜0.3μmの不定形無機粒子(B)、及び特定構造のシランカップリング剤で表面処理された平均粒子径5〜50nmの無機超微粒子(C)を含有する歯科用硬化性組成物であって、前記不定形無機粒子(B)及び前記無機超微粒子(C)を無機粒子の全量中にそれぞれ92.5〜98重量%及び2〜7.5重量%含有し、稠度が25〜55である歯科用硬化性組成物である。

Description

本発明は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得る歯科材料、特に歯科用フロアブルコンポジットレジンとして好適に使用できる歯科用硬化性組成物に関する。
重合性単量体、フィラー及び重合開始剤から構成される歯科用硬化性組成物は、コンポジットレジンと呼ばれ、歯の欠損部や虫歯を修復するための材料として今日最も多用される歯科材料となっている。コンポジットレジンには、重合硬化後の硬化物においては、天然歯と置換可能な十分な機械的強度、天然歯と同等の光沢を得るための研磨性及び滑沢耐久性等が要求され、重合硬化前のペースト状態では、歯科用インスツルメントを用いて窩洞への充填操作をするのに適した賦形性及び操作性等があることが要求されている。
近年では、さらにフロアブルコンポジットレジンと呼ばれる重合硬化前の流動性の高いコンポジットレジンが開発されている。フロアブルコンポジットレジンは、ペーストを収容している容器(シリンジ)の先端に装着した、窩洞よりも口径の小さな孔を有するニードルから、窩洞に直接ペーストを充填し治療を行うのに用いられるものである。シリンジから窩洞にペーストを流しこむだけで充填操作ができることから、処置時間が短縮されるため、フロアブルコンポジットレジンは臨床現場でより多く使用されるようになってきている。
歯科用硬化性組成物がフロアブルコンポジットレジンとして機能するには、通常のコンポジットレジンに要求される硬化物の機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性に加えて、ペーストのフロアブルコンポジットレジン独特の流動性、すなわち、シリンジ先端のニードルから吐出するのに適した稠度、ニードルから吐出したペーストの賦形性及び操作性が要求される。これらの要求特性に最も影響を与えるのは、歯科用硬化性組成物に含有されるフィラーである。しかしながら、これらの要求特性は、相互に関係するものである。つまり、1つの特性を向上させようとフィラーを変更すると、他の特性が低下するものであり、そのため、すべての要求特性を高いレベルで同時に満たすことは難しく、これまでに種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、フロアブルコンポジットレジンを主用途とした歯科用硬化性組成物が開示されている。当該歯科用硬化性組成物は、重合性単量体に、特定構造のシランカップリング剤で処理した平均粒子径1.0〜5.0μmの不定形の無機粒子、及び特定構造のシランカップリング剤で処理した平均粒子径0.01〜0.10μmの無機微粒子の2種のフィラーを配合したものであり、ペーストの賦形性及び稠度が良好で硬化物の機械的強度に優れるものである。しかしながら本発明者らの検討では、特許文献1の歯科用硬化性組成物は、研磨性及び滑沢耐久性に改善の余地があることがわかった。
また、コンポジットレジンに使用可能な、表面処理した粒子径の異なる2種類のフィラーを組み合わせた歯科材料/歯科用組成物が、特許文献2〜4に開示されている。しかしながら、特許文献2〜4には、フロアブルコンポジットレジンを意図した記載はなく、少なくともそれらの実施例で検討されたものは、フロアブルコンポジットレジンに適したペーストの流動性を有していなかったり、研磨性、滑沢耐久性等に改善の余地のあるものであった。
国際公開2008/093596号 特表2002−518309号公報 国際公開2002/05752号 国際公開2011/074222号
そこで本発明は、硬化物が、機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性に優れ、ペーストが、シリンジ先端のニードルから吐出するための適度な稠度と、ニードルから吐出後の良好な賦形性及び操作性を有する、フロアブルコンポジットレジンに好適な歯科用硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明は、重合性単量体(A)、
式(1)(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは加水分解可能な基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を示し、pは2又は3、qは8〜13の整数である)で表されるシランカップリング剤(a)で表面処理された平均粒子径0.1〜0.3μmの不定形無機粒子(B)、及び
前記式(1)中のqが1〜6の整数である以外はシランカップリング剤(a)と同様に表されるシランカップリング剤(b)で表面処理された平均粒子径5〜50nmの無機超微粒子(C)を含有する歯科用硬化性組成物であって、
前記不定形無機粒子(B)及び前記無機超微粒子(C)を無機粒子の全量中にそれぞれ92.5〜98重量%及び2〜7.5重量%含有し、
歯科用硬化性組成物の稠度が25〜55である、
歯科用硬化性組成物である。
Figure 2014083842
本発明の歯科用硬化性組成物の好ましい一実施態様では、前記重合性単量体(A)の重合後の屈折率が1.52〜1.58であり、前記不定形無機粒子(B)の屈折率が1.52〜1.58であり、かつ前記無機超微粒子(C)の屈折率が1.43〜1.50である。
本発明の歯科用硬化性組成物においては、前記重合性単量体(A)の含有量が、無機粒子の全量100重量部に対して25〜50重量部であることが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物の好ましい一実施態様では、前記無機超微粒子(C)が凝集して凝集粒子を形成しており、当該凝集粒子の平均粒子径が1〜10μmである。
本発明はまた、上記の歯科用硬化性組成物を含む歯科用フロアブルコンポジットレジンである。
本発明はまた、上記の歯科用フロアブルコンポジットレジンを含有する容器と、前記容器の先端に装着されるニードルチップとを含むパッケージである。
本発明の歯科用硬化性組成物は、硬化物が、機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性に優れ、ペーストが、シリンジ先端のニードルから吐出するための適度な稠度と、ニードルから吐出後の良好な賦形性及び操作性を有する。よってフロアブルコンポジットレジンに好適である。
歯科用硬化性組成物を用いた従来のコンポジットレジンは、該組成物が高い粘性を有するため、該組成物を収容している容器から直接歯の窩洞に充填することはできず、通常は、該組成物を容器から適量取り出した後、歯科用インスツルメント等の歯科充填用器材を用いて窩洞に詰め、窩洞に適合するように賦形し、硬化させることにより歯の充填治療を行うものである。これに対し、近年開発されたコンポジットレジンは、該組成物を収容している容器(シリンジ)の先端に装着した、窩洞よりも口径の小さな孔を有するニードルから、窩洞に直接該組成物を充填して賦形し、硬化させることにより歯の充填治療を行うものである。本明細書では、後者を「フロアブルコンポジットレジン」と称する。
また、フロアブルコンポジットレジンとしては、稠度によって2つのタイプが汎用されており、本明細書では、歯科材料分野の慣習にならい、稠度を低めに設定し賦形性を高めたタイプを「ローフロー」タイプと称し、稠度を高めに設定しやや賦形性を低めて流動性を確保したタイプを「ハイフロー」タイプと称する。
まず、本発明の歯科用硬化性組成物の必須成分である重合性単量体(A)、不定形無機粒子(B)及び無機超微粒子(C)について説明する。
重合性単量体(A)
本発明で用いられる重合性単量体(A)は、公知の重合性単量体がなんら制限なく用いられる。重合性単量体(A)は、1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。重合性単量体(A)の重合後の屈折率は、不定形無機粒子(B)の屈折率と近似させることが容易であることから、1.52〜1.58であることが好ましく、1.525〜1.58がより好ましく、1.53〜1.58がさらに好ましい。なお、本明細書において屈折率とは、25℃でアッベ屈折計を用いて測定される屈折率のことをいう。また、重合性単量体(A)の重合後の屈折率とは、重合性単量体(A)の重合体の屈折率のことをいう。重合性単量体(A)において、重合後に所望の屈折率を得るためには、一般的に重合性単量体よりもその重合体の方が屈折率がわずかに高くなる傾向を考慮に入れつつ、1種類の重合性単量体を選択するか、屈折率の異なる数種類の重合性単量体を、適当な配合比で混合すればよい。
上記重合性単量体(A)の中でも、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。重合性単量体(A)におけるラジカル重合性単量体の具体例としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸などのエステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体などが挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリルとの表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル系及び(メタ)アクリルアミド誘導体系の重合性単量体の例を以下に示す。
(I)一官能性(メタ)アクリレート及び一官能性(メタ)アクリルアミド誘導体
メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
(II)二官能性(メタ)アクリレート
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン(通称Bis−GMA)、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(通称UDMA)等が挙げられる。
(III)三官能性以上の(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
本発明で用いられる重合性単量体(A)としては、上記記載の重合性単量体の中でも、重合後の屈折率及びペーストの取扱い性の観点より、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレートが好ましく用いられる。
さらに、重合性単量体(A)としては、重合後の屈折率及びペーストの取扱い性の調整し易さの点より、重合性単量体(A)の合計を100重量部とした時、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパンを40〜85重量部、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を10〜50重量部、並びに2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート、及びN,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を0〜25重量部含有することが好ましい。
重合性単量体(A)の含有量は、無機粒子の全量100重量部に対して25〜50重量部であることが好ましく、28〜47重量部であることがより好ましく、30〜45重量部であることがさらに好ましい。配合量が25重量部未満の場合には、フロアブルコンポジットレジンとして使用するには、ペーストの稠度が低くなりすぎて、シリンジからニードルを通じて吐出する際の吐出力が高くなりすぎて、押し出せなくなるおそれがある。配合量が50重量部より多い場合には、無機粒子の量が不十分になり、十分な機械的強度を与える歯科用硬化性組成物が得られないおそれがある。なお、無機粒子の全量とは、不定形無機粒子(B)、無機超微粒子(C)、及び任意に添加される不定形無機粒子(B)及び無機超微粒子(C)以外の無機材料の粒子の合計量のことを言う。
また、本発明においては、直接充填を行うのに好適なフロアブルコンポジットレジンの操作性を得るという観点から、重合性単量体(A)の粘度が40℃において20〜400mPa・sであることが好ましく、40〜200mPa・sであることがより好ましい。なお、重合性単量体を2種以上用いる場合は、重合性単量体全体の粘度は、重合性単量体の加重平均粘度により表すことができ、平均粘度として40℃において20〜400mPa・sが好ましく、40〜200mPa・sがより好ましい。重合性単量体(A)の粘度は、例えば、コーンプレート型粘度計(例、東機産業社製、TV−30型粘度計)を用いて測定することができる。
不定形無機粒子(B)
本発明に用いられる不定形無機粒子(B)は、下記式(1)で表されるアルキル鎖の長いシランカップリング剤(a)で表面処理された不定形無機粒子であり、その平均粒子径は、0.1〜0.3μmである。
Figure 2014083842
式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは加水分解可能な基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を示し、pは2又は3、qは8〜13の整数である。
球状無機粒子の場合は、不定形無機粒子と比較して、比表面積が低下するため、重合性単量体との結合性が弱まり、機械的強度が低下する。そこで本発明では、無機粒子(B)は不定形である。
不定形無機粒子の平均粒子径が0.1μm未満の場合には、硬化物の研磨性は十分なものになるものの、ペーストの稠度が低くなりやすく、フロアブルコンポジットレジンとして好適な稠度25〜55のペーストを得られなくなる。またフィラー含有量を高くすることが難しく、機械的強度が低下する。平均粒子径が0.3μmより大きい場合には、十分な機械的強度が得られるものの、研磨性が低下する。特に、臨床において重要となる長期間における研磨性、すなわち滑沢耐久性については、0.3μmより大きい場合には、早期に低下してしまう。さらに、臨床現場では、硬化物の光沢を得るために、長時間(1歯に対して1分間以上)研磨することは、処置時間が長くなるため好まれないところ、平均粒子径が0.3μmより大きい場合には、初期の光沢を得るための研磨性が低下し、長い処置時間が必要となる。硬化物の機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性、ペーストの操作性の観点から、不定形無機粒子(B)の平均粒子径は、0.12〜0.25μmが好ましく、0.15〜0.2μmがより好ましい。なお、不定形無機粒子(B)の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
一般的にシランカップリング剤を用いて無機粒子の表面を処理すると、無機粒子の表面が疎水化され、重合性単量体との親和性が向上するため、組成物中における無機粒子の含有量を増加させることができることが知られている。しかし、平均粒子径が0.1〜0.3μmの不定形無機粒子(B)に対して、アルキル鎖の短いシランカップリング剤(例えば、後述のシランカップリング剤(b))を用いて表面処理を行った場合、不定形無機粒子(B)の含有量を増加させることはできるものの、十分な強度が発現する程度に前記処理後の不定形無機粒子(B)を含有させると、稠度が20以下のペーストしか得られず、歯へ直接充填可能となるフロアブルコンポジットレジンに適した稠度(25〜55)が得られない。しかしながら、平均粒子径が0.1〜0.3μmの不定形無機粒子(B)に対して、アルキル鎖の長いシランカップリング剤(a)を用いて表面処理を行うと、不定形無機粒子(B)表面の疎水性が非常に高くなり、重合性単量体(A)との親和性がより高くなる。その結果、稠度25〜55を維持したまま、不定形無機粒子(B)の含有量を高くすることが可能となって、機械的強度の高いフロアブルコンポジットレジンを得ることができ、また、表面硬度が向上することにより研磨性も向上する。
上記一般式(1)で表わされるシランカップリング剤(a)において、Rは水素原子又はメチル基、Rは加水分解可能な基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を示し、pは2又は3、qは8〜13の整数である。Rで示される加水分解可能な基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基や、塩素原子又はイソシアネート基が挙げられ、Rで示される炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
炭素数2〜6のアルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。
炭素数2〜6のアルキニル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、1−エチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、5−ヘキシニル、1−エチル−3−ブチニルが挙げられる。
上記一般式(1)で表されるシランカップリング剤(a)の具体例としては、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、9−メタクリロイルオキシノニルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルジクロロメチルシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリクロロシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルジメトキシメチルシラン、12−メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの中では、平均粒子径が0.1〜0.3μmの不定形無機粒子(B)を組成物中により多く含有させることと、フロアブルコンポジットレジンとして好適な稠度25〜55のペーストを得ることを両立しやすいという観点から、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、9−メタクリロイルオキシノニルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランが好ましく、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランがより好ましい。
無機粒子のシランカップリング剤による表面処理の方法としては、シランカップリング剤が無機粒子表面に吸着する方法であれば特に限定されず、例えば、無機粒子を混合槽で攪拌しつつ、シランカップリング剤を溶媒にて希釈した溶液を噴霧し、攪拌を続けながら槽内で一定時間加熱乾燥する方法や、無機粒子及びシランカップリング剤を溶媒中で攪拌混合させた後、加熱乾燥する方法等が挙げられる。
不定形無機粒子(B)におけるシランカップリング剤(a)による処理量は、処理前の不定形無機粒子(B)100重量部に対して、0.5〜15重量部が好ましく、1〜13重量部がより好ましい。0.5重量部より少ない場合は、表面処理が十分に行われず、疎水性の低い無機粒子しか得ることができなくなるおそれがある。15重量部より多い場合は、余剰のシランカップリング剤がオリゴマーとなり、表面処理を阻害するおそれがある。
不定形無機粒子(B)の屈折率は1.52〜1.58であることが好ましい。屈折率が1.52より小さい場合、並びに、屈折率が1.58より大きい場合は、重合性単量体(A)の重合体との屈折率差が大きくなりやすく、硬化物は白く不透明なものになり、天然歯に近似する透明性が得られないおそれがある。不定形無機粒子(B)の屈折率は、重合性単量体(A)の重合体との屈折率差を小さくしやすいことから1.525〜1.58がより好ましく、1.53〜1.58がさらに好ましい。また、重合性単量体(A)の重合後の屈折率と不定形無機粒子(B)の屈折率の差が、絶対値で0.03以下であることが好ましい。このとき、透明性が特に優れたものとなる。
不定形無機粒子(B)は、平均粒子径が0.1〜0.3μmである不定形無機粒子であればなんら制限なく用いられる。当該無機粒子としては、各種ガラス類〔シリカを主成分とし、必要に応じ、重金属、ホウ素、アルミニウム等の酸化物を含有する。例えば、Eガラス、バリウムガラス(GM27884、8235、ショット社製、E2000、E3000、ESSTECH社製)、ランタンガラスセラミックス(GM31684、ショット社製)等の歯科用ガラス粉末〕、各種セラミック類、シリカ−チタニア及びシリカ−ジルコニア等の複合酸化物、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、マイカ、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、上記の無機粒子の中でも、シリカを主成分として含む無機粒子を、本発明の歯科用硬化性組成物の不定形無機粒子(B)として用いることが好ましい。
無機超微粒子(C)
本発明に用いられる無機超微粒子(C)は、前記式(1)中のqが1〜6の整数である以外はシランカップリング剤(a)と同様に表されるシランカップリング剤(b)で表面処理された無機超微粒子であり、その平均粒子径が5〜50nmである。
平均粒子径としては、10〜40nmが好ましい。なお、無機超微粒子(C)の平均粒子径は、超微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、無作為に選択した100個の超微粒子の粒子径の平均値として測定できる。なお、超微粒子が非球状である場合には、粒子径は、超微粒子の最長と最短の長さの算術平均をもって粒子径とする。
本発明の歯科用硬化性組成物では、アルキル鎖の長いシランカップリング剤(a)を用いて平均粒子径が0.1〜0.3μmである不定形無機粒子(B)を処理し、不定形無機粒子(B)表面の疎水性をより高めることで、フィラー含有量を高くすることが可能となり、硬化物の高い機械的強度と、ペーストの適度な稠度が得られる。しかし、不定形無機粒子(B)の使用のみでは、フロアブルコンポジットレジンとして使用するには賦形性と操作性が充分ではなかった。そこで、本発明では、さらに特定のシランカップリング剤で処理された無機超微粒子(C)を組成物のペースト性状調整剤として用い、適度なチクソトロピー性を付与した。それにより、フロアブルコンポジットレジンに適した稠度を維持したまま、フロアブルコンポジットレジンとして使用するのに適した賦形性及び操作性のペースト性状の組成物を得ることが可能となった。
本発明では不定形無機粒子(B)を多量に含有させて高研磨性及び滑沢耐久性を達成することから、無機超微粒子(C)は少量で増粘剤としての効果を発揮させる必要がある。不定形無機粒子(B)をシランカップリング剤(a)を用いて表面処理した場合には、疎水性が高くなり、重合性単量体や前述の特定の表面処理を行った不定形無機粒子(B)と同程度の疎水性を有することに起因して、これらと容易に馴染んでしまうため、少量の添加では適度な賦形性を与えることができない。一方、表面処理されていない無機超微粒子(C)を用いた場合は、重合性単量体及び無機超微粒子(C)との親和性が著しく損なわれるため、長時間放置後に無機超微粒子(C)が分離、沈降してしまい、安定な組成物を得ることが困難となる。
そこで、本発明ではシランカップリング剤(b)を用いて無機超微粒子(C)の表面を処理することで適度な疎水性を持たせることにより、少量の添加でも組成物に適度な賦形性を付与し、形態保持性に優れた組成物を調製することが可能となった。
シランカップリング剤(b)は前記式(1)中のqが1〜6の整数である以外はシランカップリング剤(a)と同様の構造を有し、式(1)のR、R、Rおよびpの定義の範囲内で、シランカップリング剤(b)のR、R、Rおよびpはそれぞれ、シランカップリング剤(a)のR、R、Rおよびpと同一でも異なっていてもよい。シランカップリング剤(b)の具体例としては、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、4−メタクリロイルオキシブチルトリメトキシシラン、5−メタクリロイルオキシペンチルトリメトキシシラン、6−メタクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。これらの中では、適度な形態保持性を付与するという観点から、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、4−メタクリロイルオキシブチルトリメトキシシランが好ましく、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
無機超微粒子(C)としては、歯科用硬化性組成物等に使用される公知の無機超微粒子が何ら制限なく使用される。好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物粒子、又はこれらからなる複合酸化物粒子、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フッ化イットリウム、フッ化イッテルビウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。好ましくは、火炎熱分解法で作製されるシリカ、アルミナ、チタニア、シリカ/アルミナ複合酸化物、シリカ/ジルコニア複合酸化物の粒子であり、例えば、日本アエロジル社製、商品名:アエロジル、アエロジル130、アエロジル380、アエロジルOX−50、アエロキサイドAluC、アエロキサイドTiOP25、アエロキサイドTiOP25S、VP Zirconium Oxide 3−YSZ、VP Zirconium Oxide 3−YSZ PHが挙げられる。また、無機超微粒子(C)の形状は特に限定されず、適宜選択して使用することができる。
また本発明において、無機超微粒子(C)は、無機超微粒子(C)が凝集して形成された凝集粒子の形態でも好適に用いることができる。なかでも、該凝集粒子の粒子径が1〜10μmの範囲にある場合には、機械的強度に優れ、審美性に優れる歯科用硬化性組成物を得ることができる。よって、本発明の別の好ましい実施態様の一つとして、歯科用硬化性組成物が、平均(一次)粒子径が5〜50nmの無機超微粒子(C)を一次粒子とする平均二次粒子径が1〜10μmである凝集粒子を含有する。凝集粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
無機超微粒子(C)が凝集粒子を形成する場合、光の屈折、散乱のサイトとなる重合性単量体(A)との界面を多くしやすいこと、及び適度な強度の凝集体を得やすいことから、無機超微粒子(C)の平均粒子径は、5〜35nmが好ましく、7〜20nmがより好ましい。無機超微粒子(C)の凝集体の平均粒子径は、好適には1〜10μmであるが、1〜8μmがより好ましく、1.2〜5μmがさらに好ましい。平均粒子径が1μmよりも小さい場合には、透過光の調整機能が弱くなり、そのため配合量を増やさなければならず、硬化物の光拡散性と透明性が低下するおそれがある。一方、平均粒子径が10μmより大きい場合には、光の屈折や散乱が大きくなり、硬化物の透明性が低下するおそれがあり、また、平均一次粒子径が5〜50nmの凝集体であっても、研磨性(特に易研磨性)が低下するおそれがある。
通常、市販の無機超微粒子は凝集体として存在しているが、水もしくは5重量%以下のヘキサメタ燐酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加した水(分散媒)300mLに無機超微粒子粉体10mgを添加し、30分間、出力40W、周波数39KHzの超音波強度で分散処理するとメーカー表示の粒子径まで分散される程度の弱い凝集力しか有しない。しかしながら、本発明における凝集粒子は、かかる条件でもほとんど分散されない粒子同士が強固に凝集したものである。
市販の無機超微粒子から、強固に凝集した凝集粒子を作製する方法として、凝集力をさらに高めるために、その無機超微粒子が融解する直前の温度付近まで加熱して、接触した無機超微粒子同士がわずかに融着する程度に加熱する方法が好適に用いられる。またこの場合、凝集粒子の形状をコントロールするため、加熱前に凝集した形態を作っておいてもよい。その方法として例えば、無機超微粒子を適当な容器に入れて加圧したり、一度溶剤に分散させた後、噴霧乾燥などの方法で溶剤を除去する方法が挙げられる。
またさらに、無機超微粒子の凝集体の好適な別の作製方法として、湿式法で作製されたシリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等を用い、これを凍結乾燥や噴霧乾燥等の方法で乾燥し、必要に応じて加熱処理することで容易に、粒子同士が強固に凝集した凝集粒子を得ることが出来る。ゾルの具体例としては、日本触媒社製、商品名=シーホスター、日揮触媒化成社製、商品名=OSCAL、QUEEN TITANIC、日産化学社製、商品名=スノーテックス、アルミナゾル、セルナックス、ナノユース等が挙げられる。該無機超微粒子の形状は特に限定されず、適宜選択して使用することができる。また、市販されている無機超微粒子の凝集体をそのまま使用することもでき、その例として、シリカマイクロビードP500(日揮触媒化成社製)、シリカマイクロビードP1500(日揮触媒化成社製)が挙げられる。
無機超微粒子(C)の凝集粒子の比表面積と細孔容積は、特に制限はないが、硬化物の光拡散性及び透明性の得やすさから、比表面積が50〜400m/gであり、かつ細孔容積が0.05〜1.5mL/gであることが好ましく、比表面積50〜300m/gであり、かつ細孔容積が0.1〜1.0mL/gであることがより好ましく、比表面積80〜250m/gであり、かつ細孔容積が0.15〜0.5mL/gであることが特に好ましい。
本発明で用いられる無機超微粒子(C)は、屈折率が1.43〜1.50であることが好ましい。無機超微粒子(C)の屈折率が1.43未満の場合には、重合性単量体(A)の重合体及び不定形無機粒子(B)との屈折率差が大きくなりすぎるため、十分な透明性が得られないおそれがあり、屈折率が1.50より大きい場合には、重合性単量体(A)の重合体及び不定形無機粒子(B)との屈折率差が小さくなりすぎるため十分な光拡散性が得られないおそれがある。無機超微粒子(C)の屈折率は、重合性単量体(A)の重合体及び不定形無機粒子(B)との屈折率差を大きくしやすいことから1.43〜1.48が好ましく、1.43〜1.46がより好ましい。なお、無機超微粒子(C)が凝集粒子を形成している場合は、凝集粒子の屈折率が上記の範囲内にあることが好ましい。また、重合性単量体(A)の重合後の屈折率と無機超微粒子(C)の屈折率(無機超微粒子(C)が凝集粒子を形成している場合は、凝集粒子の屈折率)の差{(A)−(C)}が0.05以上であることが好ましい。このとき、光拡散性が特に優れたものとなる。
光拡散性とは、歯科用複合材料のような半透明の材料に光が入射した場合に、光が材料内部の充填材によって屈折/反射されて様々な方向へ光が拡散される性質であり、観察される反射拡散光は歯科用複合材料の色調やその背景色を反映した色調を有することになるため、光拡散性が高ければ、修復物の背景色や修復物と天然歯との輪郭をぼかす効果も大きく、従って、天然歯との色調適合性が高くなると考えられる。この光拡散性の指標としては、下記式(2)で定義される拡散度Dが提案されている。
D=(I20/cos20°+I70/cos70°)/(2I) (2)
(式中、Iは試料を透過した光の光度を表し、I、I20及びI70は試料板に垂直な方向(光の入射方向)に対する、零度、20度、70度方向の光度(光の強さ)をそれぞれ表す。)
これら光度(光の強さ)の測定は、変角光度計あるいはゴニオフォトメーターを用いて測定することができる。この拡散度Dの値が高いほど硬化物の光拡散性が高いことを意味する。
本発明の歯科用硬化性組成物によれば、この拡散度Dが、0.01〜0.5という値を達成することも可能である。拡散度Dの値は、0.01より小さいと、歯科用硬化性組成物の光拡散性が不十分となり、天然歯との調和が得られにくく、0.5より大きいと、光拡散性が強すぎて十分な透明性が得られないものである。従って、本発明の歯科用硬化性組成物は、天然歯との調和が得られる高い光拡散性を有することも可能である。この拡散度Dの値としては、天然歯との調和という観点から、0.02〜0.45が好ましく、0.03〜0.42がより好ましい。本発明の歯科用硬化性組成物は、前記屈折率差を調整することにより、拡散度Dをこれらの好ましい範囲にすることも可能である。傾向として、屈折率差が小さいほど、拡散度Dが小さくなる。
無機超微粒子(C)におけるシランカップリング剤(b)による処理量は、使用する無機粒子の平均粒子径等を考慮して適宜調整すれば良いが、処理前の無機超微粒子(C)100重量部に対して、1〜20重量部が好ましい。無機超微粒子(C)が凝集粒子を形成している場合には、一次粒子となる無機超微粒子(C)のそれぞれが、シランカップリング剤(b)により処理されていてもよいし、凝集粒子がシランカップリング剤(b)により処理されていてもよい。
無機粒子の全量中、不定形無機粒子(B)は、92.5〜98重量%、無機超微粒子(C)は、2〜7.5重量%含有される。不定形無機粒子(B)の含有量が92.5重量%より少ない時(無機超微粒子(C)の含有量が7.5重量%より多い時)は、フロアブルコンポジットレジンに適した稠度のペーストが得られなくなる。また、シリンジからニードルを通じて吐出する際の吐出力が高くなりすぎて、押し出せなくなる場合がある。また、機械的強度が低下する場合がある。不定形無機粒子(B)の含有量が98重量%より多い時(無機超微粒子(C)の含有量が2重量%より少ない時)は、賦形性が低く、垂れやすいペーストとなり、フロアブルコンポジットレジンとして操作性の良いペーストが得られなくなる。また、機械的強度が低下する場合がある。
本発明の歯科用硬化性組成物の稠度は、特にフロアブルコンポジットレジンとして使用可能なように、25〜55である。なお、本明細書で用いる稠度とは、25℃で、ペースト0.5mLを40gの荷重で押しつぶし、120秒経過後にペーストの長径と短径を測定した際の、その両者の算術平均を算出した値のことである。稠度は、27〜45であることが好ましく、29〜40であることがさらに好ましい。25より小さい時は、ペーストの稠度が低くなりすぎて、シリンジからニードルを通じて吐出する際の吐出力が高くなり、吐出性が悪くなる。一方、55より大きい時は、垂れやすいペーストとなりフロアブルコンポジットレジンとして操作性の良いペーストを得られなくなる。
本発明の歯科用硬化性組成物は、前記不定形無機粒子(B)及び無機超微粒子(C)以外の他の無機粒子を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
本発明の歯科用硬化性組成物は、重合硬化を容易にするために、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、通常、重合性単量体の重合性と重合条件を考慮して選択する。
常温重合を行う場合には、例えば、有機過酸化物/アミン系、有機過酸化物/アミン/スルフィン酸(又はその塩)系等のレドックス系の重合開始剤が好適に用いられる。レドックス系の重合開始剤を使用する場合、酸化剤と還元剤が別々に包装された包装形態をとり、使用する直前に両者を混合する必要がある。酸化剤としては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシカーボネート類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などの有機過酸化物を挙げることができる。具体的には、ジアシルパーオキサイド類としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類としては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。パーオキシカーボネート類としては、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートが挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンが挙げられる。パーオキシケタール類としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。ケトンパーオキサイド類としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイドが挙げられる。ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドが挙げられる。還元剤としては、通常第三級アミンが用いられ、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−i−プロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジt−ブチルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。上記の他、クメンヒドロパーオキサイド/チオ尿素系、アスコルビン酸/Cu2+塩系、有機スルフィン酸(又はその塩)/アミン/無機過酸化物系等の酸化−還元系開始剤の他、トリブチルボラン、有機スルフィン酸なども好適に用いられる。
可視光線照射による光重合を行う場合には、α−ジケトン/第3級アミン、α−ジケトン/アルデヒド、α−ジケトン/メルカプタン等の酸化−還元系開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、例えば、α−ジケトン/還元剤、ケタール/還元剤、チオキサントン/還元剤等が挙げられる。α−ジケトンの例としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンなどが挙げられる。ケタールの例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。チオキサントンの例としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。還元剤の例としては、ミヒラーケトン等;2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、ジメチルアミノフェナントール等の第三級アミン;シトロネラール、ラウリルアルデヒド、フタルジアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド類;2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、4−メルカプトアセトフェノン、チオサリチル酸、チオ安息香酸等のチオール基を有する化合物等をあげることができる。これらの酸化−還元系に有機過酸化物を添加したα−ジケトン/有機過酸化物/還元剤の系も好適に用いられる。
紫外線照射による光重合を行う場合には、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が好適である。さらに、アシルフォスフィンオキサイド系やビスアシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤も好適に用いられる。かかるアシルフォスフィンオキサイドとしては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。前記ビスアシルフォスフィンオキサイドとしては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。さらに、これらの(ビス)アシルフォスフィンオキサイドは、水溶性の置換基を含有しても構わない。これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤は、単独もしくは各種アミン類、アルデヒド類又はメルカプタン類、スルフィン酸塩等の還元剤と併用することもできる。上記可視光線の光重合開始剤とも好適に併用することができる。
上記重合開始剤は単独で又は2種以上を適宜組合せて用いることができ、重合開始剤の総含有量は、重合性単量体全量100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5.0重量部がより好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物には、重合性単量体、無機粒子以外に、重合禁止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、顔料等の添加剤を配合してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−t−ブチルフェノール、4−メトキシフェノール等が挙げられ、これらを1種又は2種以上配合しても良い。
本発明の歯科用硬化性組成物は、重合性単量体(A)と所定量の不定形無機粒子(B)及び無機超微粒子(C)を含有していれば特に限定はなく、当業者に公知の方法により、用途に応じた状態(1ペースト状態、2ペースト状態、粉−液状態、成型された状態)で容易に製造することができる。なお、化学重合性の機能もしくは化学重合性及び光重合性をあわせ持つ重合開始機能を使用する場合は、酸化剤を含む組成物と還元剤を含む組成物が別々に包装された包装形態をとり、使用する直前に両者を混合する必要がある。
本発明の歯科用硬化性組成物は、硬化物が、機械的強度、研磨性及び滑沢耐久性に優れ、ペーストが、シリンジ先端のニードルから吐出するための適度な稠度と、ニードルから吐出後の良好な賦形性及び操作性を有する。よって、本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得るものとして好適に用いられるものであり、フロアブルコンポジットレジンに最適である。よって、歯科の充填治療において、本発明の歯科用硬化性組成物を収容している容器(シリンジ型容器)の先端に装着した口径の小さなニードルからの吐出が可能であり、シリンジから窩洞への直接充填が可能となる。よって、シリンジから窩洞に流し込むだけで充填操作ができることから処置時間の短縮化も可能となる。
本発明の歯科用硬化性組成物を歯科用フロアブルコンポジットレジンとして提供する際には、例えば、フロアブルコンポジットレジンを含有する容器と、前記容器の先端に装着されるニードルチップとを含むパッケージとして提供される。前記の容器は、例えば筒状のシリンジと、当該シリンジの後端から挿入するのに適したプランジャーから構成される。ニードルチップが有するニードルの内径は、通常、0.3〜0.9mmである。フロアブルコンポジットレジンが2剤型であった場合には、例えば、前記の容器は、並列に連結された2つのシリンジ及び並列に連結された2つのプランジャーから構成され、両シリンジの先端部にはスタティックミキサーが備えられていてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
〔無機粒子Bの平均粒子径〕
無機粒子Bの平均粒子径は、レーザー回折散乱法により粒度分布を求め、体積中位粒径として求めた。なお、体積中位粒径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
測定機:SALD−2100型(島津製作所製)
解析ソフト:光透過式遠心沈降法
分散液:0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム
分散条件:前記分散液20mLに試料15mgを添加し、超音波分散機にて30分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を測定し、体積中位粒径及び0.01〜100μmの粒子径を有する粒子数の割合を求める。
〔屈折率〕
アッベ屈折計を用い、ナトリウムのD線を光源として、イオウの溶解したジヨードメタン、1−ブロモナフタレン、サリチル酸メチル、ジメチルホルムアミド、1−ペンタノール等を液体として液浸法で25℃にて測定した。
〔無機超微粒子Cの平均粒子径〕
無機超微粒子100個以上の電子顕微鏡写真をもとに画像解析ソフト(Mac−View;マウンテック社製)を用いて画像解析を行った後に体積平均粒子径として算出した。無機超微粒子Cが凝集粒子である場合には、凝集粒子の粒子径は、無機粒子Bの平均粒子径と同じ方法により求めた。
無機粒子の製造例1
バリウムガラス「GM27884NanoFine180(平均粒子径0.18μm 屈折率1.53)」(ショット社製)100g、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン11g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた平均粒子径0.18μmの無機粒子(b−1)を得た。
無機粒子の製造例2
バリウムガラス「GM27884NanoFine180(平均粒子径0.18μm 屈折率:1.53)」(ショット社製)100g、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン11g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた平均粒子径0.18μmの無機粒子(b−2)を得た。
無機粒子の製造例3
バリウムガラス「GM27884NanoFine180(平均粒子径0.18μm 屈折率1.53)」(ショット社製)100g、13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン11g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた平均粒子径0.18μmの無機粒子(b−3)を得た。
無機粒子の製造例4
バリウムガラス「GM27884(平均粒子径0.10μm 屈折率1.53)」(ショット社製)100g、13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン11g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた平均粒子径0.10μmの無機粒子(b−4)を得た。
無機粒子の製造例5
バリウムガラス「GM27884 UF0.4(平均粒子径0.4μm 屈折率1.53)」(ショット社製)100g、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン7.0g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた平均粒子径0.4μmの無機粒子(b−5)を得た。
無機粒子の製造例6
バリウムガラス「GM27884NanoFine180(平均粒子径0.18μm 屈折率1.53)」(ショット社製)100g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン11g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた平均粒子径0.18μmの無機粒子(b−6)を得た。
無機粒子の製造例7
凝集シリカ「シリカマイクロビード P−500(超微粒子平均粒子径12nm、凝集体平均粒子径2μm)」(日揮触媒化成社製)100g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、平均粒子径1.6μm、屈折率1.44、比表面積99m/g、細孔容積0.19mL/gのシラン処理無機粒子(c−1)を得た。
無機粒子の製造例8
日産化学製シリカゾル スノーテックスST−20(平均粒子径14nm)を、入口温度200℃、内部温度80℃、エアー流量30mL/min、液流量15mL/minの条件下で、マイクロミストドライヤー「MDL−050」(藤崎電機(株)社製)を使用して、噴霧乾燥によって予備乾燥させた。得られた球状粉末を、400℃に設定した電気炉で1時間焼成し、焼成粉末を得た。得られた粉末100g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、平均粒子径4.9μm、屈折率1.45、比表面積110m/g、細孔容積0.17mL/gのシラン処理無機粒子(c−2)を得た。
無機粒子の製造例9
平均粒子径が20nmの無機超微粒子アエロジル130(屈折率1.45 日本アエロジル社製)100g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた無機超微粒子(c−3)を得た。
無機粒子の製造例10
平均粒子径40nmの微粒子無機フィラー(屈折率1.45 日本アエロジル社製、商品名:アエロジルOX−50)100g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン40g、及びトルエン600mLを三口フラスコに入れ、20分間、30℃で激しく攪拌した。トルエンを30℃、減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、表面処理層が設けられた無機粒子(c−4)を得た。
無機粒子の製造例11
平均粒子径7nmの微粒子無機フィラー(屈折率1.45 日本アエロジル社製、商品名:アエロジル380)100g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン40g、及びトルエン600mLを三口フラスコに入れ、20分間、30℃で激しく攪拌した。トルエンを30℃、減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、表面処理層が設けられた無機粒子(c−5)を得た。
無機粒子の製造例12
凝集シリカ「シリカマイクロビード P−500(超微粒子平均粒子径12nm、凝集体平均粒子径2μm、屈折率1.44)」(日揮触媒化成社製)100g、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン7.0g、及びトルエン200mLを三口フラスコに入れ、2時間、室温下で攪拌した。トルエンを減圧下で留去した後、40℃で16時間真空乾燥を行い、さらに90℃で3時間加熱し、表面処理層が設けられた無機粒子(c−6)を得た。
無機粒子の製造例13(有機無機複合フィラーの製造方法)
トリエチレングリコールジメタクリレート70重量部、Bis−GMA10重量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート20重量部、過酸化ベンゾイル0.5重量部からなる重合性単量体混合物32gに、上記超微粒子フィラー(c−5)68gを配合し均一になるまで練和した。得られた組成物を窒素雰囲気下、100℃にて24時間加熱して硬化させたものを粉砕及び分級することにより、平均粒子径2μm、屈折率1.47の有機無機複合フィラー(c−7)を得た。
実施例1〜23及び比較例1〜6の調製方法
表1〜4に示す重合性単量体総量100重量部に対してカンファーキノン0.20重量部、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル0.30重量部、トリメチルジフェニルホスフィンオキシド0.25重量部、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.05重量部を混合し、重合性単量体組成物を得た。なお、表中の重合性単量体の略号は以下の通りである。
D2.6E:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン
DD:1,10−デカンジオールジメタクリレート
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
HD:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
U−4TH:N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート
得られた重合性単量体組成物に、不定形無機粒子(B)、無機超微粒子(C)を混合練和して均一にしたものを真空脱泡し、表1〜4に示す実施例1〜23及び比較例1〜6のペースト状の歯科用硬化性組成物を調製した。調製した歯科用硬化性組成物について以下の特性評価試験を実施した。結果を表1〜4に示す。
試験例1(研磨性)
調製した歯科用硬化性組成物をテフロン型(直径10mm、厚み2.0mm)に充填した。上下面をスライドガラスで圧接し、上側からのみ歯科技工用可視光線照射器(ペンキュア2000、モリタ社製)で、10秒間光照射して硬化させた。テフロン型から試験片を取り出し、綺麗な平滑面を#600研磨紙にて乾燥条件下で研磨した。さらに、技工用エンジンとしてVolvere RX(NSK社製)を使用し、注水条件下、シリコンポイント茶色(松風社製)を用いて回転速度約5000rpmで10秒間研磨し、続けてシリコンポイント青色(松風社製)を用いて回転速度約5000rpmで10秒間研磨した。その後、この研磨面の光沢を光沢度計(日本電色社製VG−2000、測定角度60度)を用いて測定し、鏡を100とした時の割合(光沢度)で示した。光沢度65以上が好適とされ、70以上がさらに好適とされる。
試験例2(滑沢耐久性)
調製した歯科用硬化性組成物をテフロン型(直径10mm、厚み2.0mm)に充填した。上下面をスライドガラスで圧接し、上側からのみ歯科技工用可視光線照射器(ペンキュア2000、モリタ社製)で、10秒間光照射して硬化させた。テフロン型から試験片を取り出し、綺麗な平滑面を#1500研磨紙、#2000研磨紙、#3000研磨紙の順に乾燥条件下で研磨し、最後にダイヤモンドペーストで光沢度が90となるまで研磨した。ここで作製した試験片を、歯ブラシ磨耗試験{歯ブラシ:ビットウィーンライオン(硬さふつう)、歯磨き粉:デンタークリアーMAX(ライオン社製)、荷重250g、試験溶液:蒸留水/歯磨き粉=90/10wt%(50mL)、磨耗回数4万回}した後の試験片の光沢度を測定した。残存光沢度が60以上であれば、滑沢耐久性が好適とされ、残存光沢度が65以上であればさらに好適とされる。
試験例3(稠度)
調製した歯科用硬化性組成物を真空脱泡後、シリンジに充填し、25℃に2時間静置した試料を稠度試験試料とした。0.5mLの試料を量り取り、25℃の恒温室内(湿度40%)でガラス板(5cm×5cm)の中心に盛り上げる様に静置した。その上に40gのガラス板(5cm×5cm)を載せ、120秒経過後の試料の長径と短径をガラス板越しに測定し、その両者の算術平均を算出し、稠度とした。なお、試料の長径とは、試料の中心を通る直径のうち最も長いものを、試料の短径とは、試料の中心を通る直径のうち試料の長径に直交するもののことである。
試験例4(吐出力)
吐出力の測定には、ポリオレフィン系樹脂製のシリンジ(内径8mm×長さ63mmクリアフィルマジェスティLV用容器)と、シリンジ後端側からシリンジに嵌め込まれた円筒状のプランジャーとからなる収納容器、及び前記シリンジの先端側に装着されたニードルチップ(20G×1/2” ニードル部内径0.65mm×長さ19mm ニードル部は先端より8.5mmで45度に屈曲している)を用いた。収納容器は環境光非透過性の部材で構成されている。
調製した歯科用硬化性組成物(ペースト)を真空脱泡後、シリンジに1.5ml充填し、シリンジ先端部にニードルチップを装着し、プランジャーを押すことにより、ニードルチップ先端からペーストを吐出させた。このときの吐出力(シリンジよりペーストを押出しするのに要する力)を万能試験機(島津製作所社製、商品コード「AGI−100」)を用いて測定した。収納容器を鉛直に立て、圧縮強度試験用の治具を装着したクロスヘッドを4mm/分で降下させて、ペーストに荷重負荷を与えながら吐出し、そのときの最大荷重を吐出力とした。吐出力の測定は25℃で行った。吐出力が35N未満の場合は、容易に吐出可能で吐出性が良く、35N〜50Nでは吐出が可能であるが、吐出性は悪く、50Nより大きいと、吐出しにくく吐出性は非常に悪い。
試験例5(賦形性)
30mm×30mmの正方形のガラス板上に予め直径4mmの円を描いておき、上記の吐出力評価で使用した収納容器とニードルチップを使用して、その円内にペースト0.03gを吐出し、ガラス板を37℃の恒温器内で水平におき、その状態で30秒間静置してペーストの形状を目視で観察し、以下の評価基準に従って、吐出物の形状(賦形性)を評価した。なお、賦形性が2から4を合格品とする。さらに、ペーストがやや固めのローフロータイプでは、評価2又は3が好ましく、3がより好ましい。ペーストがやや柔らかめのハイフロータイプでは、評価3又は4が好ましく、4がより好ましい。
〔賦形性の評価基準〕
1:半球状を形成せず、押し出した形状を維持する
2:半球状を形成しつつも、押し出した形状が若干残る
3:半球を形成し、そのままの形状を維持する
4:半球を形成するが、高さが僅かに低くなる
5:半球を形成しないか、半球を形成しても直ぐにつぶれる
試験例6(操作性)
上記の賦形性試験を実施する時、ニードル先端をガラス板より1〜2cm上方にし、ペーストを吐出後、ニードル先端部を上方に引き上げた時の、ガラス板上のペーストとニードル先端部に付着したペーストの状態を目視で確認し、以下の評価基準に従って、ペーストの操作性を評価した。
〔操作性の評価基準〕
1:ペーストがニードル先端部から直ぐに離れ、ガラス板上のペーストも半球状を形成する
2:ペーストがニードル先端部に1cm程ついた後離れ、ガラス板上のペーストが若干角を形成する
3:ペーストがニードル先端部に2〜3cmついた後離れ、ガラス板上のペーストが角を形成する
4:ペーストがニードル先端部に4cm以上ついた後離れ、ガラス板上のペーストが角を形成する
試験例7(曲げ強さ)
調製した歯科用硬化性組成物(ペースト)を真空脱泡後、ステンレス製の金型(寸法2mm×2mm×25mm)に充填し、上下をスライドガラスで圧接し、歯科技工用可視光線照射器(ペンキュア2000、モリタ社製)で1点10秒、片面を5点ずつ、両面に光を照射して硬化させた。各実施例及び比較例について、硬化物を5本ずつ作製し、硬化物は、金型から取り出した後、37℃の蒸留水中に24時間保管した。万能試験機(島津製作所社製、商品コード「AGI−100」)を用いて、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分の条件下で曲げ強さを測定し、各試験片の測定値の平均値を算出し、曲げ強さとした。なお、曲げ強さが130MPa以上である場合を合格とする。
試験例8(拡散度)
調製した歯科用硬化性組成物をテフロン製の金型(直径20mm×厚さ0.5mm)に充填した。上下面をスライドガラスで圧接し、αライトII(ハロゲン光照射器;モリタ製)を用いて、表裏1分間ずつ光照射を行い、硬化させた。硬化物を金型から取り出したのち、三次元変角光度計(村上色彩技術研究所製GP−200)を用いて、透過光の光度分布を測定した。拡散度は、前述の式(2)に従って計算した。
試験例9(表面硬度:ビッカース硬度)
調製した歯科用硬化性組成物を、スライドガラスの上に適量載せ、1mmのゲージ(ミツトヨ社製)を用いて上下面をスライドガラスで圧接し、上側からのみ歯科技工用可視光線照射器(ペンキュア2000、モリタ社製)で、10秒間光照射して硬化させ、直径10mm×厚さ1mmの円盤を作製した。綺麗な平滑面を#1500研磨紙で乾燥条件下で研磨し、最後にダイヤモンドペーストで鏡面研磨した。ここで作製した試験片を、微小硬さ試験機(HM−221 ミツトヨ社製)を用いて、200gで10秒間荷重をかけて、ビッカース硬度を測定した。表面硬度は、25以上である場合を合格とする。
試験例10(重合性単量体の粘度)
重合性単量体の混合物の粘度は、TV−30型粘度計(東機産業社製)を用いて、0.8°×R24のコーンロータで、サンプル量0.6mL、40℃にて測定した。1分間のプレヒートを行った後、測定を開始し、5分後の値をその粘度とした。
Figure 2014083842
Figure 2014083842
Figure 2014083842
Figure 2014083842
表に示すように、本発明の歯科用硬化性組成物(実施例1〜23)は、初期硬度及び曲げ強度が高く、研磨性に優れ、滑沢耐久性(歯ブラシ摩耗試験後の光沢度)も高いことがわかる。また、実施例1〜8、12〜23においては、光拡散性も高く、色調適合性に優れていることもわかる。実施例1〜8は、賦形性が特に優れ、ローフロータイプとして特に優れた性能を有していることが分る。また、実施例13〜16は、吐出力が特に低く、流動性に優れるハイフロータイプとして特に優れた性能を有していることが分る。
本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得るものとして好適に用いられるものであり、フロアブルコンポジットレジンに最適である。

Claims (6)

  1. 重合性単量体(A)、
    式(1)(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは加水分解可能な基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を示し、pは2又は3、qは8〜13の整数である)で表されるシランカップリング剤(a)で表面処理された平均粒子径0.1〜0.3μmの不定形無機粒子(B)、及び
    前記式(1)中のqが1〜6の整数である以外はシランカップリング剤(a)と同様に表されるシランカップリング剤(b)で表面処理された平均粒子径5〜50nmの無機超微粒子(C)を含有する歯科用硬化性組成物であって、
    前記不定形無機粒子(B)及び前記無機超微粒子(C)を無機粒子の全量中にそれぞれ92.5〜98重量%及び2〜7.5重量%含有し、
    歯科用硬化性組成物の稠度が25〜55である、
    歯科用硬化性組成物。
    Figure 2014083842
  2. 前記重合性単量体(A)の重合後の屈折率が1.52〜1.58であり、前記不定形無機粒子(B)の屈折率が1.52〜1.58であり、かつ前記無機超微粒子(C)の屈折率が1.43〜1.50である請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  3. 前記重合性単量体(A)の含有量が無機粒子の全量100重量部に対して25〜50重量部である請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  4. 前記無機超微粒子(C)が凝集して凝集粒子を形成しており、当該凝集粒子の平均粒子径が1〜10μmである請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物を含む歯科用フロアブルコンポジットレジン。
  6. 請求項5に記載の歯科用フロアブルコンポジットレジンを含有する容器と、前記容器の先端に装着されるニードルチップとを含むパッケージ。
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