JPWO2014061182A1 - 透湿性防水シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

通気性を有していながら洗濯処理等による耐水圧の低下を抑制できる透湿性防水シートを提供する。本発明に係る透湿性防水シートは、表面が開放された複数の孔を有する多孔質膜の少なくとも片面上および/または当該多孔質膜中に、ポリウレタンを含む多孔質層が形成されたものである。さらに、当該透湿性防水シートは、通気度が0.005cm3/cm2・s以上、1cm3/cm2・s以下であり、10回洗濯処理後の耐水圧保持率が10%以上であることが好ましい。

Description

本発明は、透湿性防水シートおよびその製造方法に関するものである。
合羽やスキーウエア、ウインドブレーカーをはじめ、テント、靴材、手袋などでは、身体から放出される汗などの湿気は通過させるが、雨などの水の浸入を防止する透湿性防水布帛が使用されている。
透湿性防水布帛には、繊維布帛に多孔質膜を積層したものが知られている。多孔質膜を用いた透湿性防水布帛は、透湿性や防水性を有するだけではなく通気性を有している。このため、このような透湿性防水布帛で製造された合羽などを着用すれば、雨の中でも快適な環境のもと作業が可能である。
しかしながら、多孔質膜を用いた透湿性防水布帛は、多孔質膜の表面が開放されているので、洗濯処理などを行うと耐水圧が低下し、防水性が悪化するといった問題を有していた。これは、洗濯処理時に用いられた洗剤に含まれる界面活性剤が多孔質膜内に残留し、水を引き込みやすくするためである。この耐水圧が低下する現象は、洗濯処理時に限らず、汗や汚れ成分などの中に親水性成分が含まれている場合にも発生する。
そこで、多孔質膜の表面や多孔質膜中に透湿性を有する無孔質層を形成することによって、多孔質膜内への界面活性剤の浸入を抑制して耐水圧の低下を抑制するとともに、万が一、多孔質膜内に界面活性剤が残留した場合においても無孔質層により耐水圧の低下を防ぐ技術が提案されている(特許文献1)。
特開2003−326661号公報
しかしながら、多孔質膜に無孔質層を形成したものは、洗濯処理等による耐水圧の低下を抑制することはできるものの、多孔質膜の特徴である通気性が著しく低下するという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、多孔質膜を用いた透湿性防水シートであって、通気性を有していながら洗濯処理等による耐水圧の低下を抑制できる透湿性防水シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る透湿性防水シートは、表面が開放された複数の孔を有する多孔質膜の少なくとも片面上および/または当該多孔質膜中に、ポリウレタンを含む多孔質層が形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る透湿性防水シートにおいて、通気度が0.005cm/cm・s以上、1cm/cm・s以下であることが好ましい。
また、本発明に係る透湿性防水シートにおいて、10回洗濯処理後の耐水圧が5000mm以上であることが好ましい。
また、本発明に係る透湿性防水シートにおいて、前記多孔質膜は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜であることが好ましい。
また、本発明に係る透湿性防水シートにおいて、前記多孔質層の表面に撥水剤が付着されていることが好ましい。
また、本発明に係る透湿性防水シートの製造方法は、表面が開放された複数の孔を有する多孔質膜とポリウレタン溶液とを積層することを特徴とする。
また、本発明に係る透湿性防水シートの製造方法において、前記多孔質膜は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜であることが好ましい。
また、本発明に係る透湿性防水シートの製造方法において、前記ポリウレタン溶液は、W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液であることが好ましい。
本発明によれば、通気性を有していながら洗濯処理等による耐水圧の低下を抑制することができる透湿性防水シートを得ることができる。したがって、この透湿性防水シートを、ウインドブレーカー、合羽、コート、ジャケット、スキーウエア、スノーボードウエア、ヤッケ、テント、手袋、靴、寝袋、鞄またはフィルター等に用いることにより、衣服内等への水の浸入を抑えながら、ムレを抑え、洗濯処理を行っても耐水圧の低下が抑制され、優れた防水性を発揮できる繊維製品を提供することができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではなく、本発明の精神と実施の範囲において多くの変形が可能であることを理解されたい。
[透湿性防水シート]
本発明の実施の形態に係る透湿性防水シートは、表面が開放された多孔質膜(以下、「開放された多孔質膜」、あるいは単に「多孔質膜」ということもある)の少なくとも片面上および/または当該多孔質膜中に、ポリウレタンを含む多孔質層(以下、単に「多孔質層」ともいう)が形成されたものである。さらに、本実施の形態における透湿性防水シートは、通気度が0.005cm/cm・s以上、1cm/cm・s以下であり、10回洗濯処理後の耐水圧保持率が10%以上であることが好ましい。
本実施の形態において、開放された多孔質膜とは、膜の表面が無数に開放された複数の微細孔を有する多孔質膜のことをいい、本実施の形態では、これらの微細孔が連通したものであって、雨などの浸入を抑制しながら、通気性を有し、気体状の汗などの湿気を多孔質膜の一方の面から他方の面に通過させることができる性能を有するとともに、洗剤を含む液体や汗が多孔質膜の孔内に浸入可能なものである。
多孔質膜に形成される孔の大きさは特に限定されるものではないが、例えば、孔径で0.01μm〜30μm程度のものを挙げることができる。
より具体的には、表面が開放された多孔質膜として、前記のような構造を有する多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(以下、「PTFE膜」ともいう)、多孔質ポリウレタン膜、多孔質ポリエステル膜、多孔質ポリエチレン膜、または多孔質ポリプロピレン膜などを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
このうち、多孔質膜としては、初期(洗濯処理前や衣服着用前)の防水性に優れるPTFE膜を用いることが好ましい。PTFE膜は、日本ゴア株式会社または日本ドナルドソン株式会社などで取り扱われており、PTFEやe−PTFE(expanded PTFE)と称され、厚さは10μm〜300μm程度のものが市販されている。なお、透湿性防水シートをウインドブレーカーや合羽等の衣服に用いる場合、衣料用の防水性、透湿性、工程通過性または風合いなどの観点から、厚みが20μm以上100μm以下のPTFE膜を用いることが好ましい。
また、本実施の形態において、ポリウレタンを含む多孔質層とは、表面が開放された多孔質膜の表面および/または当該多孔質膜中に、ポリウレタンを用いて形成された多孔質の層のことをいう。多孔質層に形成される孔の孔径は、0.001μm〜30μm程度である。多孔質膜中に形成される多孔質層の孔(すなわち、多孔質膜の中の孔の中にポリウレタンで形成される孔)は、多孔質膜が存在しない多孔質層部分に形成される孔に比べ、多孔質膜の孔の影響を受け、その孔径は小さくなる傾向にある。
また、多孔質膜中の孔は、多孔質層を形成するためのポリウレタンで閉塞されることもあるが、多孔質膜中の多孔質層も多孔質であるため、少なくとも一部は閉塞しておらず連通している。これにより、得られる透湿性防水シートは、通気性が保たれたものとなっている。
また、多孔質層の厚みは、5〜100μm程度であることが好ましい。より好ましくは10μm以上であり、50μm以下がより好ましい。多孔質層の厚みが5μm未満の場合は、洗濯処理による耐水圧の低下を抑制する効果が十分発揮できないおそれがある。一方、多孔質層の厚みが100μmを超える場合は、耐水圧の低下を抑制する効果がさほど向上せず、また、風合いも硬化するおそれがある。なお、多孔質層の厚みとは、多孔質膜面上の多孔質層の厚みと、多孔質膜中の多孔質層の厚みとを合計したものをいう。
以上のように、表面が開放された多孔質膜の少なくとも片面上および/または多孔質膜中に、ポリウレタンを含む多孔質層を形成することにより、洗濯処理後においても耐水圧の低下が抑制され、優れた防水性を発揮できる透湿性防水シートを得ることができる。この効果は、特に多孔質膜としてPTFE膜を用いたときにより発揮される。
また、本実施の形態における透湿性防水シートについては、衣服等として用いた際の揉みや摩耗時に対する耐久性を付与するとの観点からは、多孔質膜中の少なくとも一部にポリウレタンを含む多孔質層が形成されている形態が特に好ましい。
多孔質層を構成するポリウレタンとしては、エーテル系、エステル系、エステル−エーテル系またはポリカーボネート系等のポリウレタンを用いることができ、特に限定されるものではないが、透湿性の観点からは、親水性のポリウレタンであることが好ましく、膜強度(耐揉性、耐擦過性)の観点からは、疎水性のポリウレタンであることが好ましい。また、これらのポリウレタンは、複数の種類を配合して用いてもよい。
また、洗濯処理による耐水圧の低下を抑制するとの観点からは、多孔質層の表面に撥水剤が付着しているとよい。撥水剤を付着する方法としては、多孔質層を形成するポリウレタン溶液に撥水剤を添加したり、多孔質層を形成した後に、多孔質層の表面にパディング法、グラビア法またはスプレー法などによって撥水剤を付与してもよい。より好ましくは、多孔質層を形成するためのポリウレタン溶液に撥水剤を添加したもので多孔質層を形成し、さらに、形成された多孔質層の表面に、パディング法、グラビア法またはスプレー法などによって撥水剤を付与するとよい。つまり、ポリウレタン溶液に撥水剤を内添しておくとともに、さらに、後撥水処理を行うとよい。これにより、透湿性防水シートの品質を安定させることができる。撥水剤としては、フッ素系、シリコーン系またはパラフィン系等の撥水剤を用いることができ、特に限定されるものではないが、耐久性の観点からはフッ素系のものを用いることが好ましい。
また、多孔質層を構成するポリウレタンとして、主鎖や側鎖にシリコーンセグメントやフッ素セグメントを有するものを用いてもよい。
なお、PTFE膜に対して、ポリウレタンを含む多孔質層を形成せずに撥水剤を付与しても、洗濯処理による耐水圧の低下を抑制する効果はほとんど見受けられないが、多孔質膜の表面および/または多孔質膜中にポリウレタンを含む多孔質層を形成した透湿性防水シートについては、多孔質層に撥水剤を付与することによって、洗濯処理による耐水圧の低下を大きく抑制することができる。
また、本実施の形態における透湿性防水シートの10回洗濯処理後の耐水圧保持率は、10%以上であり、より好ましくは20%、さらに好ましくは30%である。
ここで、耐水圧保持率とは、洗濯処理を10回行った後の耐水圧を、洗濯処理前(初期)の耐水圧で除したものの百分率のことであり、下記式で求められる。
耐水圧保持率(%)=洗濯処理を10回行った後の耐水圧÷洗濯処理前(初期)の耐水圧×100
なお、10回洗濯処理とは、JIS L0217 103法に準じて行われる。具体的には、25分間洗剤を含む洗濯液中で洗濯を行い、その後10分間注水を行いながらのすすぎを2回行ったものを洗濯5回としたときに、この操作を2回繰り返し、乾燥処理として最後に1回のみ吊り干し乾燥を行ったものとした。この場合、洗濯用合成洗剤は花王株式会社製のアタック高活性バイオEXを1g/lで使用し、洗濯機は旧松下電気産業株式会社製(現パナソニック株式会社)のナショナル全自動電気洗濯機NA−F50Y2を用いた。なお、乾燥後、ドライアイロン仕上げなどの熱処理は行わないものとした。
また、透湿性防水シートの耐水圧とは、JIS L1092−1998耐水度試験B法(高水圧法)に準じて測定したものをいう。なお、試験中に水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのタテ糸とヨコ糸の密度の合計が210本程度のもの)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行う。
透湿性防水シートの洗濯処理前の耐水圧は10000mm以上であるとよい。また、透湿性防水シートの10回洗濯処理後の耐水圧は5000mm以上であることが好ましい。さらに、10回洗濯処理後の耐水圧についても10000mm以上であるとよい。透湿性防水シートの10回洗濯処理後の耐水圧が10000mm以上であると、激しい風雨などの場合においても雨の浸入を防止する。
10回洗濯処理後の耐水圧の上限は特に限定されるものではないが、耐水圧が高すぎると透湿性防水シートの風合いが硬化してしまうおそれがあるため、100000mm程度が上限である。
また、本実施の形態における透湿性防水シートは、通気度が0.005cm/cm・s以上である。通気度が0.005cm/cm・s以上であれば、衣服内の湿気等を外部に放出することができるので、ムレを抑制し快適性を維持できる。よりムレを抑制するとの観点からは、通気度は、0.01cm/cm・s以上が好ましく、0.05cm/cm・s以上がさらに好ましい。
また、通気度の上限は、特に限定するもではないが、通気度は、1cm/cm・s以下とすることが好ましい。通気度が1cm/cm・s以下の透湿性防水シートであれば、防水性を維持しながら、ムレを抑制する効果に優れる。
なお、通気度の測定は、JIS L1096 A法(フラジール形法)に準じて測定することができる。
なお、本実施の形態における透湿性防水シートの透湿性とは、特に限定されるものではないが、JIS L1099−1993 A−1法に準じて測定した透湿度(塩化カルシウム法)が5000〜20000g/m・24時間であることが好ましい。透湿度が5000g/m・24時間未満であると、透湿性防水布帛から得られる衣服等を着用した場合にムレるおそれがある。また、透湿度が20000g/m・24時間以上を超えると、十分な防水性が得られないおそれがある。
また、透湿性防水シートの透湿度を、JIS L1099−1993 B−1法またはB−2法に準じて測定する場合、透湿度(酢酸カリウム法)は5000〜200000g/m・24時間であることが好ましい。なお、B−2法は、耐水圧が低下し、B−1法による測定では漏水する場合に用いる。
また、本実施の形態における透湿性防水シートは、当該透湿性防水シートの片面または両面に繊維布帛が積層されているとよい。すなわち、多孔質膜や多孔質層の片面または両面に繊維布帛が積層されているとよい。
この場合、繊維布帛とは、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、アクリル、レーヨン、アセテート、ポリ乳酸、大豆蛋白、絹、羊毛、綿または麻などの化学繊維や天然繊維等、いかなる繊維であってもよく、また、これらの繊維は、混繊、混紡、交織または交編等がなされているものであってもよい。また、繊維布帛の形態としては、織物、編物または不織布等、いかなる形態を有するものであってもよい。
多孔質膜や多孔質層と繊維布帛との積層は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、多孔質膜、多孔質層および繊維布帛の少なくともいずれかに、接着剤(バインダー)などを点状、線状または格子状などとして付与し、貼り合せることにより積層すればよい。この場合、接着剤も特に限定されるものではなく、接着剤としては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、メラミン系、ナイロン系、ポリエステル系またはアクリル系などの接着剤を用いることができる。また、接着剤は、1液型および2液型のいずれであってもよく、また、湿気硬化型などを含むホットメルトタイプのウレタン樹脂であってもよい。
また、繊維布帛に対して、染色加工、捺染加工、撥水加工、制電加工、吸水加工、SR加工、抗菌防臭加工、制菌加工、消臭加工、紫外線遮蔽加工、防炎加工またはカレンダー加工などを施してもよい。
また、繊維布帛が積層されない多孔質膜や多孔質層の表面に、意匠性を付与するため、多孔質層に顔料等の着色剤を含有させ着色したり、多孔質膜や多孔質層の表面に顔料等の着色剤を含むポリウレタンやアクリル樹脂などを、点状、格子状、幾何柄または花柄などの柄模様で付与してもよい。
また、耐水圧の向上、タッチの改良または抗菌性の付与などを目的として、多孔質層に顔料、有機粒子、無機粒子、抗菌剤、蓄熱剤または難燃剤などを含有させたり、多孔質膜や多孔質層の表面に、点状や線状など部分的に顔料、有機粒子、無機粒子、抗菌剤、蓄熱剤または難燃剤などを含む他のポリウレタンやアクリル樹脂などを本発明の主旨を逸脱しない範囲で付着させてもよい。
以下に、本実施の形態における透湿性防水シートの好ましい製造方法について説明を行う。なお、本実施の形態における透湿性防水シートは、下記の製造方法で製造されるものに限定されない。また、開放された多孔質膜および多孔質層等は、前記で述べたものと同一である。
透湿性防水シートの製造方法は、表面が開放された多孔質膜の上に、ポリウレタン溶液を積層する工程を含むものである。
ポリウレタン溶液の積層方法としては、ナイフコータ、バーコータ、コンマコータ、キスコータ、グラビアコータまたはダイコータなどを用いて、ポリウレタン溶液を多孔質膜上に直接塗布し、積層する方法が挙げられる。
また、本製造方法で用いられるポリウレタン溶液は、多孔質層を形成するためのものであるので、さらに、ポリウレタン溶液を発泡等させることによりポリウレタン溶液を多孔質化する多孔質化工程を含む。ポリウレタン溶液を発泡させることによって、多孔質化されたポリウレタンを含む多孔質層を形成することができる。このような多孔質化工程(発泡工程)を行うタイミングは、多孔質膜の上にポリウレタン溶液を積層する前、多孔質膜の上にポリウレタン溶液を積層した後、および、多孔質膜の上にポリウレタン溶液を積層すると同時のいずれであってもよい。
例えば、ポリウレタン溶液を多孔質膜に積層する前に発泡させる方法としては、高圧発泡機などを用いて、ポリウレタン溶液を空気とともにミキシングして発泡させ、発泡したポリウレタン溶液を上記のようなコータを用いて多孔質膜上に直接塗布し、積層させ、その後、熱処理を行うことで多孔質層を形成する方法(機械発泡法)がある。
また、ポリウレタン溶液を多孔質膜に積層した後に発泡させる方法としては、ポリウレタン溶液の中に熱膨張性のマイクロカプセルを添加しておき、ポリウレタン溶液を多孔質膜上に直接塗布し、積層した後、熱処理を行うことでマイクロカプセルを膨張(発泡)させて多孔質層を形成する方法がある。
また、ポリウレタン溶液を多孔質膜に積層すると同時に発泡させる方法としては、以下の方法がある。
例えば、ポリウレタン溶液として未反応のイソシアネート基を含有させたものを用いるとともに発泡剤として水や水蒸気を用いて、水とイソシアネートとの反応により炭酸ガスを発生させることにより多孔質膜に多孔質層を成膜する方法(ケミカル発泡法)がある。
あるいは、ポリウレタン溶液としてW/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液を用いて、当該ポリウレタン溶液を多孔質膜上に直接塗布し、積層した後、熱処理することにより、W/O型エマルジョンに含まれるトルエンやメチルエチルケトンなどの水よりも低沸点の有機溶剤を揮発させ、残留する水によりポリウレタンを凝固させ、その後水も蒸発させることによって多孔質膜に多孔質層を成膜する方法もある。
あるいは、ポリウレタン溶液として溶媒に水と親和性の高いジメチルホルムアミドなどを用いた湿式凝固用のポリウレタン溶液を用いて、当該ポリウレタン溶液を多孔質膜上に塗布し積層した後、水中に浸漬することにより、ジメチルホルムアミドと水とが置き換わることで多孔質膜に多孔質層を形成する方法(湿式凝固法)もある。
また、水溶性成分を添加したポリウレタン溶液を塗布し、熱処理により成膜し、あるいは水中で凝固させ成膜した後、水中で洗浄処理し、成膜された膜から水溶性成分を除去することで、多孔質膜に多孔質層を形成する方法などを用いてもよい。
また、多孔質膜とポリウレタン溶液とを積層する場合、ポリウレタン溶液を直接多孔質膜に塗布する方法を用いるのではなく、離型紙や離型フィルム上に、ナイフコータ、バーコータ、コンマコータ、キスコータ、グラビアコータまたはダイコータなどを用いてポリウレタン溶液を塗布し、塗布されたポリウレタン溶液の上に多孔質膜を重ね合わせることで、多孔質膜にポリウレタン溶液を積層する方法を用いてもよい。
なお、ポリウレタン溶液に多孔質膜を積層する方法においても、多孔質化工程は、ポリウレタン溶液を多孔質膜上に塗布したときの方法を応用すればよく、例えば、離型紙上にW/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液を塗布し、その上に多孔質膜を積層し、熱処理することにより、多孔質膜の片面上および多孔質膜中に、ポリウレタンを含む多孔質層を形成することができる。
多孔質層を形成または成膜するための熱処理温度は、ポリウレタンの種類や発泡法により異なるが、60〜200℃程度で1秒〜1時間程度の熱処理を行えばよい。
なお、多孔質層を形成する方法は上記に限定されるものではなく、発泡剤として水以外の化合物を用いたり、上記の方法を組み合わせて多孔質層を形成したり、また、上記に記載のない他の公知の方法で多孔質層を形成してもよい。
また、W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液を用いる場合には、低沸点の有機溶剤を先に揮発させておくために、40℃〜110℃、より好ましくは50〜90℃にて、10秒〜10分程度にて予め熱処理し、その後、多孔質層を形成(成膜)するために、100℃〜200℃にて15秒〜10分程度の熱処理を行うとよい。
なお、本実施の形態における製造方法は、多孔質膜と多孔質層との接着強度の観点から、多孔質層を単独で成膜した後に、接着剤等にて当該多孔質層と多孔質膜とを積層するのではなく、多孔質層を形成するためにポリウレタン溶液を多孔質膜上に積層するものである。つまり、ポリウレタン溶液を多孔質膜に積層することで多孔質膜に多孔質層を形成するものである。このような製造方法を用いることにより、合羽等に用いて洗濯処理を行ったり、着用により揉まれたりした場合においても、多孔質膜と多孔質層とが剥がれることを抑制できる透湿性防水シートを得ることができる。
より好ましくは、ポリウレタン溶液の少なくとも一部が多孔質膜に含浸し、多孔質膜中にポリウレタンを含む多孔質層が形成されていることがよい。
また、安定した防水性、透湿性または接着強度を得るとの観点からは、離型紙や離型フィルム上に、ナイフコータ、バーコータ、コンマコータ、キスコータ、グラビアコータまたはダイコータなどを用いてポリウレタン溶液を塗布し、塗布されたポリウレタン溶液の上に多孔質膜を重ね合わせて積層する方法を用いることが好ましい。特に、多孔質膜としてPTFE膜を用いた場合には、離型紙や離型フィルム上にポリウレタン溶液を塗布し、塗布されたポリウレタン溶液の上に多孔質膜を重ね合わせて積層する方法がよい。
また、離型紙上等にポリウレタン溶液を塗布し、塗布されたポリウレタン溶液の上に多孔質膜を積層する場合には、多孔質膜について特に限定はされないが、多孔質膜に直接ポリウレタン溶液を塗布する際に張力がかかることにより伸びてしまう多孔質膜を用いる場合には、多孔質膜を繊維布帛等にあらかじめ貼り合せておくことが好ましい。これにより、張力がかかった場合においても多孔質膜が伸びたり幅方向の長さが短くなったりすることを抑制できる。
また、安定した通気度を維持するとの観点からは、ポリウレタン溶液はW/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液、または、ジメチルホルムアミド等の水と親和性の高い溶媒を含む湿式凝固用のポリウレタン溶液が好ましく用いられる。また、加工の安定性や生産工程中における風合いやタッチの観点からは、ポリウレタン溶液として、特にW/O型エマルジョンのポリウレタン溶液が好ましく用いられる。
W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液には、水よりも沸点が低い有機溶剤が含まれていることが好ましい。この場合、有機溶剤としては、水とある程度の相互溶解性があるものが好ましく用いられる。
W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液に用いることのできる有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−N−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチルまたは酢酸エチルを用いることが好ましく、また、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン(TOL)、キシレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブまたはセルソルブアセテート等も用いることもできる。これらの有機溶剤は混合して用いてもよい。また、これらの有機溶剤のうち、水との相互溶解度に限界のないもの、あるいは全く溶解しないものは、他の有機溶剤との混合物とし、水との相互溶解度に限界を持たせて使用することが好ましい。
なお、W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液中のポリウレタンは、有機溶剤中に全てが溶解したものであってもよいし、一部が析出したものであってもよい。ポリウレタンが析出しているものを用いる場合には、多孔質層の品位や防水性の観点から粒子径が大きいものは除去して使用するとよい。具体的には、多孔質層の厚みにもよるが、20μm以上、より好ましくは10μm以上の粒子径のものは除去するとよい。
また、W/O型エマルジョンのポリウレタン溶液としては、DIC株式会社のXOLTEX(PX550、PX―309、PX−300、PX−100Fなど)、または、大日精化工業株式会社のハイムレン(X−3038、X−3040、X−3041、X−3050、X−3062、ATX−1、ATX−10など)の商品が挙げられる。
また、ポリウレタン溶液には、ポリウレタン以外に、着色のための顔料、あるいは吸湿性などを付与するためのシルクパウダー、ゼラチンパウダーや卵殻膜パウダーなどの有機粒子、透湿性や防水性を向上させるための酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機粒子、分散染料による樹脂膜の汚染対策のための多孔質状のシリカなどの多孔性粒子、または、抗菌性付与のための銀ゼオライトやピリジン系などの抗菌剤をはじめ、消臭剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤または赤外線吸収剤等を添加してもよい。
また、撥水性向上、防水性向上および洗濯処理後の耐水圧性低下抑制の観点より、ポリウレタン溶液には、撥水剤を添加することが好ましい。
また、ポリウレタン溶液の中には、多孔質層の強度を向上させために架橋剤を添加したり、多孔質膜内への樹脂の含浸を調整するために濡れ向上剤や増粘剤を添加したり、また、消泡剤など添加してもよい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤またはオキサゾリン系架橋剤などが挙げられる。
また、透湿性防水シートとして繊維布帛を積層した構成とする場合には、ポリウレタン溶液を多孔質膜上に塗布する前または後に接着剤を用いて多孔質膜と繊維布帛とを貼り合せることにより積層すればよい。また、多孔質層上に繊維布帛を積層する場合には、多孔質層を形成した後、接着剤を用いて多孔質層と繊維布帛とを貼り合せればよい。
透湿性防水シートの通気性を維持するために、接着剤は、点状、線状または格子状などに付与されることが好ましく、繊維布帛と多孔質膜との接触面のすべてを覆ってしまわないように部分的に接着剤を塗布するとよい。また、繊維布帛と多孔質膜との接触面の全面を接着剤で覆ってもよいが、この場合、接着剤も多孔質状のものを用い、通気性を確保することが好ましい。
接着剤としては、上述のように、ウレタン系、エポキシ系、メラミン系、ナイロン系、ポリエステル系またはアクリル系などの接着剤を用いることができる。また、接着剤は、1液型および2液型のいずれであってもよく、また、湿気硬化型などを含むホットメルトタイプのウレタン樹脂であってもよい。
また、繊維布帛は、得られる透湿性防水シートの両面(多孔質膜の表面および多孔質層が形成された面)に積層されていてもよいし、また、多孔質膜の表面および多孔質層が形成された面のいずれか一方の面のみに積層されていてもよい。
また、透湿性防水シートの繊維布帛が積層されていない面に、上記と同様に本発明の目的を逸脱しない範囲で、耐水圧の向上、タッチの改良、意匠性の向上のための柄の付与、または、機能性の付与を目的として、ウレタン樹脂膜の片面に点状や線状など部分的に顔料、有機粒子、無機粒子、抗菌剤、蓄熱剤または防炎剤などを含む他のポリウレタンやアクリル樹脂を、グラビアコータやスクリーン捺染機を用いて付着させてもよい。
また、透湿性防水シートを得た後、必要に応じ、撥水剤、抗菌剤、難燃剤、SR剤、消臭剤、帯電防止剤、吸水剤または紫外線吸収剤など含む溶液を、パディング法、スプレー法またはグラビア法などにより、当該透湿性防水シートに付与してもよい。
以下、実施例により本発明に係る透湿性防水シートの説明を更に行うが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、以下に記載される「部」とは、「質量部」のことであり、「%」とは質量%のことであり、配合比とは質量比のことである。また、以下の例における各種物性値等の測定および評価は次の方法で行った。
<A 透湿度>
塩化カルシウム法による透湿度は、JIS L1099−1993A−1法にて測定した。また、酢酸カリウム法による透湿度は、JIS L1099−1993B−1法にて測定した。
なお、塩化カルシウム法、酢酸カルシウム法ともに、24時間当りの透湿量に換算した。また、B−2法は、耐水圧が低下し、漏水する場合に用いた。
<B 耐水圧>
耐水圧は、JIS L1092−1998耐水度試験(静水圧法)A法(低水圧法)およびB法(高水圧法)に準じた方法で測定した。なお、単位は、低水圧法、高水圧法とも比較しやすいように、低水圧法の単位に換算した。
また、水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのタテ糸とヨコ糸の密度の合計が210本程度のもの)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行った。
10回洗濯処理は、JIS L0217 103法に準じて行った。すなわち、25分間洗剤を含む洗濯液中で洗濯を行い、その後10分間注水を行いながらのすすぎを2回行ったものを洗濯5回としたときに、この操作を2回繰り返し、乾燥処理として最後に1回のみ吊り干し乾燥を行ったものとした。この場合、洗濯用合成洗剤は花王株式会社製のアタック高活性バイオEXを1g/lで使用し、洗濯機は旧松下電気産業株式会社製(現パナソニック株式会社)のナショナル全自動電気洗濯機NA−F50Y2を用いた。なお、乾燥後、ドライアイロン仕上げなどの熱処理は行わないものとした。
<C 耐水圧保持率>
耐水圧保持率は、洗濯処理を10回行った後の耐水圧を、洗濯処理前(初期)の耐水圧で除したものの百分率であり、下記式で求めた。
耐水圧保持率(%)=洗濯処理を10回行った後の耐水圧/洗濯処理前(初期)の耐水圧×100
<D 通気度>
通気度は、JIS L1096 A法(フラジール形法)に準じて測定を行った。
<E 風合い>
風合いは、手でさわって判断を行った。
<F 温度上昇差>
本実施例では、保温性を表す指標として温度上昇差を求めた。温度上昇差は、パナソニック(株)製写真用レフランプのデイライトカラ−用PRF−500WB/Dから15cmの距離に2枚の試験片(実施例3の透湿性防水シートと、実施例3において赤外線吸収剤を添加しなかった以外は同一の方法で製造した透湿性防水シート(比較試料))を設置して多孔質層面に光を照射し、非接触型温度計(EMISSION THERMOMETER MODEL 530 04:横河製作所製)を用いて、比較試料の多孔質層面の温度が40℃になった時の実施例3の透湿性防水シートの多孔質層面の温度を測定して下記式により温度上昇差を求めた。
温度上昇差(℃)=実施例3の透湿性防水シートの温度−比較試料の温度(40℃)
(実施例1)
実施例1では、開放された多孔質膜として、PTFE膜(日本ドナルドソン(株)製、TX2201)を用いた。
まず、フルダル離型紙EV130TPD(リンテック(株)製)上に下記のポリウレタン溶液をコンマコータを用いてスリットの厚み0.07mmで全面塗布し、引き続き、離型紙上に塗布された湿潤状態のポリウレタン溶液の上に白色のPTFE膜を積層した。
[ポリウレタン溶液]
・W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液(XOLTEX PX550(DIC(株)製)、固形分29〜33%。溶剤:MEK:水=95:5) 100部
・配合有機溶剤(MEK/TOL(1:1)) 60部
・フッ素系撥水剤(ASSISTOR SD27M(DIC(株)製)) 1部
・水/MEK(9:1) 75部
・顔料(DILAC Black HS9530(DIC(株)製)) 5部
次に、第1室60℃、第2室80℃、第3室100℃、第4室120℃に設定した乾燥機に、離型紙、ポリウレタン樹脂溶液、PTFE膜の順に積層されたものを、各部屋での滞留時間が30秒になるような速度で通過させ、熱処理を行うことでPTFE膜上に多孔質層を形成した。
次に、室温にて24時間放置した後、離型紙を剥離した。これにより、多孔質層がグレーに着色された透湿性防水シートを得た。
(実施例2)
実施例1と同様に製造した、離型紙、多孔質層、PTFE膜の順番に積層されたものを24時間放置し、グラビアコータを用いてPTFE膜の上に下記の接着剤樹脂溶液を点状に塗布し、120℃で乾燥した。
[接着剤樹脂溶液]
・2液型ポリウレタン樹脂(HI−MUREN Y134−45(大日精化工業(株)製)、固形分60%) 100部
・トルエン 30部
・MEK 40部
・イソシアネート(コロネートHL(日本ポリウレタン工業(株)製)) 9部
・アミン系触媒(HI−299(大日精化工業(株))) 0.5部
次に、基布となる繊維布帛としてポリエステルタフタを用い、PTFE膜の接着剤が付与された面に当該ポリエステルタフタを載せ、ニップロールでニップした後、150℃で30秒間の熱処理を行った。
なお、このとき用いたポリエステルタフタとしては、タテ糸およびヨコ糸がともに83デシテックス/72フィラメントで、密度がタテ180本/2.54cm、ヨコ90本/2.54cmであり、また、分散染料で青色に染色し、フッ素系撥水剤アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)の5%水溶液を用いてパディング法にて撥水加工し、撥水加工後、170℃にてカレンダー加工したものを用いた。
次に、70℃にて48時間のエージングを行った後、離型紙を剥離し、透湿性防水シートを得た。
(比較例1)
多孔質層を設けなかった以外は、実施例2と同様の方法によって透湿性防水シートを得た。
(実施例3)
実施例3でも、開放された多孔質膜として、PTFE膜(日本ドナルドソン(株)、TX2201)を用いた。
まず、フルダル離型紙EV130TPD(リンテック(株)製)上に下記のポリウレタン溶液をコンマコータを用いてスリットの厚み0.07mmで全面塗布し、引き続き、離型紙上に塗布された湿潤状態のポリウレタン溶液の上にPTFE膜を積層した。
[ポリウレタン溶液]
・W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液(XOLTEX PX550(DIC(株)製)、固形分29〜33%。溶剤:MEK:水=95:5) 100質量部
・MEK/TOL(1:1)の配合有機溶剤 60質量部
・イソシアネート系架橋剤(XOLTEX CL−15(DIC(株)製)) 3質量部
・水/MEK(9:1) 60質量部
・赤外線吸収剤(セルナックスCXZ330H(日産化学工業(株)製)) 5質量部
次に、第1室60℃、第2室80℃、第3室100℃、第4室120℃に設定した乾燥機に、離型紙、ポリウレタン樹脂溶液、PTFE膜の順に積層されたものを、各部屋での滞留時間が30秒になるような速度で通過させ、熱処理を行うことでPTFE膜上に多孔質層を形成した。
次に、湿気硬化型ホットメルトタイプウレタン樹脂タイホースNH300(DIC(株)製)を100℃に加熱し、溶融させて、グラビアコータを用いて点状にPTFE膜の上に付与した。
次に、基布となる繊維布帛としてポリエステルタフタを用い、PTFE膜の接着剤が付与された面に当該ポリエステルタフタを載せ、100℃に加熱されたニップロールでニップした。
なお、ポリエステルタフタとしては、タテ糸およびヨコ糸がともに83デシテックス/72フィラメントで、密度がタテ180本/2.54cm、ヨコ90本/2.54cmであり、また、分散染料で青色に染色し、170℃にてカレンダー加工したものを用いた。
次に、70℃にて48時間のエージングを行った後、離型紙を剥離した。
次に、繊維布帛、PTFE膜、多孔質層の順に積層されたものに対して、パディング法にて下記の撥水剤溶液を塗布することで撥水剤を多孔質層の孔の表面に付与し、120℃、30秒の熱処理の後、150℃、30秒の熱処理とともに仕上げセットを行い、透湿性防水シートを得た。
[撥水剤溶液]
・フッ素系撥水剤(アサヒガードAG−E061(旭硝子(株)製)、固形分20%) 5.0質量%
・イソシアネート系架橋剤(アクアネート100(日本ポリウレタン工業(株)製)、固形分100%) 0.2質量%
・水 94.8質量%
なお、実施例3の透湿性防水シートの多孔質層面に、裏地としてナイロン製のトリコットを上記接着剤溶液を用いて貼り合せることで得られた透湿性防水シートは、縫製時に別途裏地を準備する必要もなく、縫製時の負荷をも軽減することができる。
(比較例2)
多孔質層を設けなかった以外は、実施例3と同様の方法によって透湿性防水シートを得た。
(実施例4)
実施例1で用いたW/O型エマルジョン樹脂のポリウレタン乳濁液を、XOLTEX PX550からHI−MUREN X−3040(エーテル系ポリウレタン。大日精化工業(株)製、固形分30%。溶剤:MEK:水=94:6)に代えるとともに、実施例1で用いた顔料を、DILAC Black HS9530(DIC(株)製)からDILAC White HS9530(DIC(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法によってPTFE膜上に白色の多孔質層を形成した。
次に、実施例3と同じ湿気硬化型ホットメルトタイプウレタン樹脂タイホースNH300(DIC(株)製)を用いて、実施例3と同様に、点状にPTFE膜の上に付与した。
次に、繊維布帛としてナイロンツイルを用い、PTFE膜の接着剤が付与された面に当該ナイロンツイルを載せ、100℃に加熱されたニップロールでニップした。
なお、このとき用いたナイロンツイルとしては、タテ糸が77デシテックス/34フィラメント、ヨコ糸が92デシテックス/74フィラメント、密度がタテ124本/2.54cm、ヨコ65本/2.54cmであり、また、酸性染料で赤色に染色し、170℃にてカレンダー加工したものを用いた。
その後、70℃にて48時間のエージングを行った後、離型紙を剥離し、繊維布帛、PTFE膜、多孔質層の順に積層された透湿性防水シートを得た。
なお、実施例3では、後撥水処理を行っているが、実施例4では後撥水処理を行っていない。撥水処理は、PTFE膜と多孔質層とを貼り合わせる前に、実施例2と同様にしてナイロンツイルに行っている。
(実施例5)
ポリウレタン溶液からフッ素系撥水剤(ASSISTOR SD27M)を除いた以外は、実施例4と同様の方法によって透湿性防水シートを得た。
以上のようにして得られた実施例1〜実施例5および比較例1、2の各透湿性防水シートについて、各種物性値等の測定結果を以下の表1に示す。なお、表1には示していないが、実施例1との比較のために、PTFE膜のみ(比較例1におけるPTFE膜のみ)について10回洗濯処理を行ったところ、耐水圧は400mm〜900mm程度であった。
Figure 2014061182
表1に示すように、実施例1〜5の透湿性防水シートによれば、比較例1、2のものと比べて、通気度を著しく低下させることなく、洗濯処理による耐水圧の低下を抑制できることが分かる。
また、実施例1〜5の透湿性防水シートの断面および表面を、走査型電子顕微鏡(SEMEDX Type H形:(株)日立サイエンスシステムズ)を用いて500倍〜3000倍で観察したところ、多孔質層には直径1〜10μm程度の多数の孔が確認された。
本発明に係る透湿性防水シートは、ウインドブレーカー、合羽、ジャンパー、コート、ジャケット、スキーウエア、スノーボードウエア、ヤッケ、テント、靴、寝袋、鞄または手袋等の種々の繊維製品に広く利用することができる。

Claims (8)

  1. 表面が開放された複数の孔を有する多孔質膜の少なくとも片面上および/または当該多孔質膜中に、ポリウレタンを含む多孔質層が形成されていることを特徴とする透湿性防水シート。
  2. 通気度が0.005cm/cm・s以上、1cm/cm・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の透湿性防水シート。
  3. 10回洗濯処理後の耐水圧が5000mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透湿性防水シート。
  4. 前記多孔質膜が、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透湿性防水シート。
  5. 前記多孔質層の表面に撥水剤が付着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透湿性防水シート。
  6. 表面が開放された複数の孔を有する多孔質膜とポリウレタン溶液とを積層することを特徴とする透湿性防水シートの製造方法。
  7. 前記多孔質膜は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜であることを特徴とする請求項6に記載の透湿性防水シートの製造方法。
  8. 前記ポリウレタン溶液は、W/O型エマルジョンのポリウレタン乳濁液であることを特徴とする請求項6または7に記載の透湿性防水シートの製造方法。
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