JPWO2014057622A1 - 電力変換装置 - Google Patents

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泰仁 田中
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Abstract

接続不良などの不具合を低減し、また、専用の接続工具を不要とするとともに、線材も短くすることができる、信頼性の高い安価な電力変換装置を提供する。この電力変換装置(1)は、複数の実装基板(21、22、23)が相互に間隔を保って対向配置され、制御回路基板(23)は、自身側方周囲に遮蔽部となる伝熱支持部材(32,33)を有しない状態で支持される一方、電源回路基板(22)は、伝熱支持部材(32、33)による遮蔽部を自身側方に有し、制御回路基板(23)は、外部コネクタ(50)が第一の辺(23f)近傍に配置されるとともに、第一の辺(23f)とは反対側の第二の辺(23s)近傍に基板間コネクタ(60)が配置され、電源回路基板(22)は、制御回路基板(23)の第二の辺(23s)と同じ側の辺であって且つ遮蔽部のない第三の辺(22t)近傍に基板間コネクタ(60)が配置されている。

Description

本発明は、電力変換用の半導体スイッチング素子を内蔵したモジュール上に、間隔を隔てて上記半導体スイッチング素子を駆動する回路部品を実装した実装基板を支持するようにした電力変換装置に関する。
この種の電力変換装置として、本出願人は、特許文献1に記載された電力変換装置を提案した。この電力変換装置は、筐体内に水冷ジャケットを配置し、この水冷ジャケット上に電力変換用の半導体スイッチング素子としてのIGBTを内蔵した半導体パワーモジュールを配置している。また、筐体内には、相互に間隔を保って対向配置(以下、「積層」ともいう)された複数の実装基板が、半導体パワーモジュールの水冷ジャケットとは反対側に配置されている。なお、同文献記載の例では、複数の実装基板として3枚の実装基板が積層された例が示されている。
特願2011−237862(未公開)
ところで、この種の電力変換装置においては、複数の実装基板には、モータの制御に要する伝送を行う部品である複数のコネクタが実装される。しかし、図7にコネクタの配置例を示すように、電力変換装置100の外部との伝送を行うために後付けするハーネス170と接続される外部コネクタ150が、半導体パワーモジュール111上の複数(この例では三枚)の実装基板121,122,123の積層方向の中間又は最下段に位置する実装基板121,122に配置された場合、最上段の実装基板123に配置した場合に比べてコネクタ150の視認性が低下し、更には筐体102の壁面が邪魔になる等により、コネクタ150の位置まで手が入らないことでハーネス170との接続が困難となる。そのため、コネクタ150の接続不良による品質低下や、ハーネス170との装着用に専用の接続工具を要することでコストアップの要因となるという問題がある。
また、複数の実装基板121,122,123に実装する複数のコネクタのうち、図8に例示するように、積層された実装基板121,122間を接続するハーネス172と接続される基板間コネクタ160が、中間又は最下段に位置する実装基板121,122上の中央の位置や、自身周囲に構成部品132,133によって自身側方が遮蔽された遮蔽部に対して配置された場合、最上段の基板123や構成部品132,133が邪魔となり、視認性が低下、更には基板間コネクタ160の位置まで手が入らないことでハーネス172の接続が困難となるという問題がある。
さらに、複数の実装基板121,122,123に実装する複数のコネクタのうち、図9に例示するように、積層された実装基板121,122,123間をハーネス172を介して接続される基板間コネクタ160が、複数の実装基板121,122,123の各々異なる端面に配置された場合、同じ端面側の配置と比べて接続されるハーネス172の線材が長くなる。そのため、線材のコストアップの要因となるという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、接続不良などの不具合を低減し、また、コストアップを抑制して、信頼性の高い安価な電力変換装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電力変換装置は、半導体パワーモジュールと、該半導体パワーモジュールを駆動するための回路部品が実装され且つ該半導体パワーモジュールに対して上部方向に積層された複数の実装基板とを備えた電力変換装置であって、前記複数の実装基板に実装される複数のコネクタのうち、当該電力変換装置の外部との伝送をする外部コネクタを、前記複数の実装基板のうち前記半導体パワーモジュールから最も離れて位置する第1の実装基板に設置したことを特徴とする。
本発明の一態様に係る電力変換装置によれば、外部コネクタが、複数の実装基板のうち半導体パワーモジュールから最も離れて位置する第一の実装基板に設けられているので、第一の実装基板の周囲が当該電力変換装置の構成部品によって遮られない。そのため、外部コネクタが、相互に間隔を保って対向配置された複数の実装基板の積層方向の中間又は最下段位置に配置された場合に比べて、コネクタの視認性が向上し、更にはコネクタの位置に容易に手が入るためハーネスとの接続が簡単となる。そのため、接続不良などの不具合を低減し、また、装着用に専用の接続工具を不要とすることによりコストアップを抑制して、信頼性の高い安価な電力変換装置を提供することができる。
ここで、本発明の一態様に係る電力変換装置において、前記第1の実装基板は、前記電力変換装置の構成部品によって自身下方側面が遮蔽され、当該構成部品によって遮蔽される側に、前記電力変換装置の外部との伝送をする外部コネクタが設置されていれば、電力変換装置の外部と内部双方間の電磁ノイズを構成部品によって遮蔽する上で好適である。
また、本発明の一態様に係る電力変換装置において、前記複数の実装基板に実装されるコネクタのうち、前記複数の実装基板間を伝送する対の基板間コネクタを、前記複数の実装基板の同じ側の端部にそれぞれ設置することが好ましい。このような構成であれば、積層された実装基板間を接続するハーネスと接続される基板間コネクタが、各々同じ側の端部に配置されるので、異なる端部側に配置された場合に比べて接続されるハーネスの線材を短くすることができる。そのため、コストアップを抑制する上でより好適である。
また、本発明の一態様に係る電力変換装置において、前記第1の実装基板において、前記外部コネクタの設置部と、前記基板間コネクタの設置部とを、互いに異なる側に設置すれば、外部コネクタの設置部と基板間コネクタの設置部相互を可及的に離隔できるので、外部ハーネスと内部ハーネスによる電磁ノイズを、互いに影響させないようにする上で好適である。
なお、本発明の一態様に係る電力変換装置において、前記第1の実装基板以外の他の実装基板に実装されるコネクタを、配線作業スペースを有する端部に設置することができる。ここで、前記配線作業スペースは、前記他の実装基板の側方を遮蔽する前記構成部品に設けた開口部であることは好ましい。
また、本発明の一態様に係る電力変換装置において、前記複数の実装基板のうち、前記第1の実装基板以外の他の実装基板は、前記電力変換装置の構成部品によって自身側方が遮蔽され、当該他の実装基板に実装されるコネクタを、前記構成部品によって遮蔽されない側の端部に設置することが好ましい。
このような構成であれば、他の実装基板について、これに実装されるコネクタが、当該他の実装基板における、構成部品によって遮蔽されない側の端部に設置されるので、コネクタを視認することが可能であり、また、コネクタの位置に手が入るため、装着用に専用の接続工具を用いなくともハーネスとの接続が可能となる。そのため、接続不良などの不具合を低減し、また、コストアップを抑制して、信頼性の高い安価な電力変換装置を提供する上で好適である。
また、本発明の一態様に係る電力変換装置において、前記構成部品は、前記複数の実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に間隔を保って支持するとともに前記複数の実装基板の熱を冷却体に伝熱する伝熱支持部材であることは好ましい。このような構成であれば、電力変換装置の上記コネクタ配置を採用しつつも、実装基板の熱を伝熱支持部材によって筐体を介することなく冷却体に放熱することができる上、この伝熱支持部材が、遮蔽部を形成する構成部品とされることから、発熱する複数の実装基板をモジュール上に積層して搭載する電力変換装置の構造として好適である。
上述のように、本発明によれば、接続不良などの不具合を低減し、また、コストアップを抑制して、信頼性の高い安価な電力変換装置を提供することができる。
本発明に係る電力変換装置を車両の走行用モータを駆動するモータ駆動回路に適用した一実施形態の全体構成を示す断面図である。 図1に示す本発明に係る電力変換装置の一実施形態を示す拡大断面図である。 伝熱支持部材を示す側面図である。 図1に示す電力変換装置におけるコネクタの配置を説明する模式図である。 図4の斜視図である。 図4に示す各基板におけるコネクタの配置を説明する図であり、同図(a)は図4のA矢視図、(b)は図4のB矢視図、(c)は図4のC矢視図をそれぞれ模式的に示している。 コネクタの配置例とその問題点を説明する模式的斜視図である。 コネクタの配置例とその問題点を説明する模式的斜視図である。 コネクタの配置例とその問題点を説明する模式的斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。
この電力変換装置は、車両の走行用モータを駆動するモータ駆動回路に適用した例であり、図1に示すように、筐体2内に電力変換装置1が収納されている。筐体2は、合成樹脂材から成形され、水冷ジャケットの構成を有する冷却体3を挟んで上下に分割された下部筐体2A及び上部筐体2Bを有する。冷却体3は、冷却水の給水口3a及び排水口3bが筐体2の外方に開口され、これら給水口3a及び排水口3bは例えばフレキシブルホースを介して図示しない冷却水供給源に接続されている。冷却体3は、例えば熱伝導率の高いアルミニウム、アルミニウム合金を射出成形して形成されている。冷却体3は、下面が平坦面とされている。また、冷却体3には、下部筐体2Aに保持されたフィルムコンデンサ4の絶縁被覆された正負の電極4aを上下に挿通する挿通孔3eが形成されている。
下部筐体2Aは、有底角筒体で構成され、開放上部が冷却体3で覆われており、内部に平滑用のフィルムコンデンサ4が収納されている。一方、上部筐体2Bは、上端及び下端に開放された角筒体2aと、この角筒体2aの上端を閉塞する蓋体2bとを備えている。角筒体2aの下端は冷却体3で閉塞されている。角筒体2aの下端と冷却体3との間には、図示しないが、液状シール剤の塗布やゴム製パッキンの挟み込みなどのシール材が介在されている。
電力変換装置1は、図2にも示すように、電力変換用の例えばインバータ回路を構成する半導体スイッチング素子として、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を内蔵した半導体パワーモジュール11を備えている。半導体パワーモジュール11は、扁平な直方体状の絶縁性のケース体12内にIGBTを内蔵しており、図2に示すように、ケース体12の下面に金属製の放熱部材13が形成されている。ケース体12及び放熱部材13には、平面視で四隅に固定部材としての固定ねじ14を挿通する挿通孔15が形成されている。また、ケース体12の上面には、挿通孔15よりも内方寄りの4箇所に、所定高さの基板固定部16が突出形成されている。
基板固定部16の上端には、図2に示すように、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTを駆動する駆動回路等が実装された第三の実装基板としての駆動回路基板21が固定されている。また、駆動回路基板21の上方には、駆動回路基板21との対向方向に所定間隔を保って第二の実装基板としての電源回路基板22が固定されている。電源回路基板22は、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTに電源を供給する発熱回路部品を含む電源回路等が実装されている。さらに、電源回路基板22の上方には、電源回路基板22との対向方向に所定間隔を保って第一の実装基板としての制御回路基板23が固定されている。制御回路基板23は、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTを制御する相対的に発熱量の大きい、又は発熱密度の大きい発熱回路部品を含む制御回路等が実装されている。各基板21,22,23は、平面視で、上記半導体パワーモジュール11を上方から覆うように配置される長方形状をなしている。つまり、半導体パワーモジュール11の長辺の側と各基板21,22,23の長辺の側とが同じ側とされている。
そして、駆動回路基板21は、基板固定部16に対向する位置に形成した挿通孔21a内に継ぎねじ24の雄ねじ部24aを挿通し、この雄ねじ部24aを基板固定部16の上面に形成した雌ねじ部16aに螺合することにより固定されている。
また、電源回路基板22は、継ぎねじ24の上端に形成した雌ねじ部24bに対向する位置に形成した挿通孔22a内に継ぎねじ25の雄ねじ部25aを挿通し、この雄ねじ部25aを継ぎねじ24の雌ねじ部24bに螺合することにより固定されている。
さらに、制御回路基板23は、継ぎねじ25の上端に形成した雌ねじ部25bに対向する位置に形成した挿通孔23a内に固定ねじ26を挿通し、この固定ねじ26を継ぎねじ25の雌ねじ部25bに螺合することにより固定されている。
また、電源回路基板22及び制御回路基板23は、伝熱支持部材32及び33によって筐体2を介することなく冷却体3への放熱経路を独自に形成するように支持されている。これら伝熱支持部材32及び33は、熱伝導率が高い金属例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
詳しくは、伝熱支持部材32は、平板状の伝熱支持板部32aと、上下に折り曲げ部を有する伝熱支持側板部32cとを備える。伝熱支持板部32aには、伝熱部材35を介して電源回路基板22が固定ねじ36によって固定される。伝熱部材35は、伸縮性を有する弾性体であり電源回路基板22と同じ外形寸法に構成されている。この伝熱部材35としては、シリコンゴムの内部に金属フィラーを介在させることにより絶縁性能を発揮しながら伝熱性を高めたものが適用されている。
伝熱支持側板部32cは、図2に示すように、冷却体3の上面に配置される下側の折り曲げ部である底板部34と、この底板部34の長辺側の外周縁に一体に連結されて上方に延長する連結板部32dと、この連結板部32dの上端から同図左方に延長するように形成された上側の折り曲げ部である上板部32eとを有する。連結板部32dは、半導体パワーモジュール11の長辺側の同図右側面を通って上方に延長している。伝熱支持側板部32cは、伝熱支持板部32aに対して図2で見て半導体パワーモジュール11の長辺に沿う右端側に固定ねじ32bで上板部32eが固定されている。そして、伝熱支持側板部32cの下側の底板部34が、半導体パワーモジュール11側とは反対側(外側)に向けて折り曲げられることで冷却体3上面に接触している。底板部34は、固定ねじ40によって冷却体3上面に固定されている。なお、伝熱支持部材32の伝熱支持板部32aの下面には、絶縁距離を短くするために絶縁シート42が貼着されている。
伝熱支持部材33は、平板状の伝熱支持板部33aと、上下に折り曲げ部を有する伝熱支持側板部33cとを備える。伝熱支持板部33aには、伝熱部材37を介して制御回路基板23が固定ねじ38によって固定される。伝熱部材37は、伸縮性を有する弾性体であり制御回路基板23と同じ外形寸法に構成されている。この伝熱部材37としては、シリコンゴムの内部に金属フィラーを介在させることにより絶縁性能を発揮しながら伝熱性を高めたものが適用されている。
伝熱支持側板部33cは、図2に示すように、冷却体3の上面に配置される下側の折り曲げ部である底板部34と、この底板部34の長辺側の外周縁に一体に連結されて上方に延長する連結板部33dと、この連結板部33dの上端から同図右方に延長するように形成された上側の折り曲げ部である上板部33eとを有する。連結板部33dは、半導体パワーモジュール11の長辺側の同図左側面を通って上方に延長している。伝熱支持側板部33cは、伝熱支持板部33aに対して図2で見て半導体パワーモジュール11の長辺に沿う左端側に固定ねじ33bで上板部33eが固定されている。そして、伝熱支持側板部33cの下側の底板部34が、半導体パワーモジュール11側とは反対側(外側)に向けて折り曲げられることで冷却体3上面に接触している。底板部34は、固定ねじ40によって冷却体3上面に固定されている。なお、伝熱支持部材33の伝熱支持板部33aの下面には、絶縁距離を短くするために絶縁シート43が貼着されている。
また、伝熱支持部材33の伝熱支持側板部33cにおける連結板部33dには、図3に示すように、半導体パワーモジュール11の図1に示す3相交流出力端子11bに対応する位置に図1に示すブスバー55を挿通する例えば円形の3つの挿通孔33iが形成されている。このように、3つの挿通孔33iを連結板部33dに形成することにより、隣接する挿通孔33i間に比較的幅広の伝熱路Lhを形成することができ、全体の伝熱路の断面積を増加させて効率よく伝熱することができる。また、振動に対する剛性も確保することができる。同様に、伝熱支持部材32の伝熱支持側板部32cの連結部にも、図1に示すように、半導体パワーモジュール11の正極及び負極端子11aに対向する位置にそれぞれ同様に形成された挿通孔32iが設けられている。
ここで、上述した各基板21,22,23には、図4および図5に模式図を示すように、相互を繋ぐ基板間コネクタ60および当該電力変換装置1の外部機器との伝送をする外部コネクタ50が、モータの制御に要する伝送を行うために所定の配置とされるように、基板の上面に実装されている。
詳しくは、上記複数の実装基板21,22,23のうち、第一の実装基板である制御回路基板23以外の他の実装基板21,22は、当該電力変換装置1の構成部品によって自身側方が遮蔽された遮蔽部を有している。本実施形態の例では、遮蔽部を形成する構成部品として、伝熱支持部材32及び33が配置されている。なお、本実施形態の例では、上述のように、遮蔽部を形成する伝熱支持部材32及び33は、複数の実装基板22,23を半導体パワーモジュール11との間に間隔を保って支持するとともに複数の実装基板22,23の発熱を、筐体2を介することなく冷却体3に放熱するように冷却体3に接触している。
図6(a)〜(c)に遮蔽部の有無を示すように、各実装基板21,22,23において、伝熱支持部材32及び33によって遮蔽部を形成する、視認困難ないし手が入らない基板表面の範囲を網掛け部分(符号N)によって示し、遮蔽部が形成されていない、視認可能且つ手が入る基板表面の範囲を白抜き部分(符号Y)によって示している。
本実施形態では、矩形平面をなす複数の実装基板22,23との組をなす複数の伝熱支持部材32及び33を備え、複数の実装基板22,23は、半導体パワーモジュール11から最も離れた側に配置された制御回路基板23と、この制御回路基板23よりも半導体パワーモジュール11寄りの側に配置された電源回路基板22とを有し、制御回路基板23は、自身側方周囲に遮蔽部を有しない状態で支持され、電源回路基板22は、伝熱支持部材33により自身側方に遮蔽部を有する状態で支持されている。
そして、図4、図5および図6(a)に示すように、複数の実装基板21,22,23に実装される複数のコネクタのうち、当該電力変換装置1の外部との伝送をする外部コネクタ50は、複数の実装基板21,22,23のうち半導体パワーモジュール11から最も離れて位置する制御回路基板23に設けられている。ここで、外部コネクタ50は、半導体パワーモジュール11から最も離れて位置する制御回路基板23に実装されていれば、任意の位置に実装することができる。しかし、当該電力変換装置1の外部と内部双方間の電磁ノイズを構成部品によって好適に遮蔽する上では、当該構成部品によって遮蔽される側に、外部コネクタ50が設置されることが好ましい。本実施形態の例では、伝熱支持部材33が、制御回路基板23の下方側面を遮蔽する構成部品に相当し、図5において、制御回路基板23の同図奥側の長辺端部に二か所配置された外部コネクタ50が、制御回路基板23によって遮蔽される側に配置された外部コネクタ50に相当する。
また、当該他の実装基板21,22に実装される複数のコネクタ50,60において、基板間コネクタ60は、図6(b)および(c)に示すように、他の実装基板21,22の遮蔽部を有しない側の端部、および遮蔽部のない制御回路基板23に配置されている。これにより、複数の実装基板21,22,23において、各コネクタ50,60を視認することが可能であり、また、各コネクタ50,60の位置に手が入るため、装着用に専用の接続工具を用いなくともハーネスとの接続が可能とされている。
また、本実施形態では、図6(a)に示すように、制御回路基板23において、外部コネクタ50の設置部と基板間コネクタ60の設置部とを、同一でない側、つまり互いに異なる側に設置している。本実施形態の例では、4つの辺の2つの短辺のうち、一方の辺の端部に外部コネクタ50の設置部を設け、対向する他方の辺の端部に基板間コネクタ60の設置部を設けている。さらに、4つの辺の2つの長辺のうち、一方の辺(この例では伝熱支持部材33側)の端部に外部コネクタ50の設置部を設け、対向する他方の辺の端部に基板間コネクタ60の設置部を設けている。これにより、外部コネクタ50の設置部と基板間コネクタ60の設置部相互を可及的に離隔できるので、外部ハーネスと内部ハーネスによる電磁ノイズを、互いに影響させないようにする上で好適である。
また、本実施形態では、複数の実装基板21,22,23に実装される複数のコネクタ50,60のうち、複数の実装基板21,22,23相互間を伝送する対の基板間コネクタ60は、複数の実装基板21,22,23の同じ側の端部にそれぞれ配置されている。これにより、積層された実装基板21,22,23間を接続するハーネス72に接続される対の基板間コネクタ60が、各々同じ側の端部に配置されるので、異なる端部側に配置された場合に比べて接続されるハーネス72の線材を短くすることができる。
ここで、電源回路基板22及び制御回路基板23の相互を繋ぐ基板間コネクタ60は、配線作業スペースが確保された側に配置されることが好ましい。本実施形態の例では、複数の伝熱支持部材32及び33による遮蔽部を有しない短辺側の端部に基板間コネクタ60を設けている。
より詳しく説明すれば、図6に示すように、本実施形態では、制御回路基板23は、自身の一辺である第一の辺23fの近傍に外部コネクタ50が配置されるとともに、この第一の辺23fとは反対側の第二の辺23sの近傍に基板間コネクタ60が配置され、電源回路基板22は、制御回路基板23の第二の辺23sと同じ側の辺であって且つ遮蔽部を有しない辺である第三の辺22tの近傍に制御回路基板23の基板間コネクタ60に接続される基板間コネクタ60が配置されている。これにより、配線作業スペースが確保されるので作業性が良い。そして、電力変換装置1に上記コネクタ配置を採用しつつも、複数の実装基板22,23それぞれの放熱経路を好適に形成可能としている。
また、本実施形態では、制御回路基板23用の伝熱支持部材33は、外部コネクタ50および基板間コネクタ60のいずれもが配置されていない上記電源回路基板22の辺である第四の辺22fに対向する側面を通って冷却体に接触され、電源回路基板22用の伝熱支持部材32は、第四の辺22fとは反対側に位置する上記第三の辺22tに対向する側面を通って冷却体3に接触されている。これにより、本実施形態のように、実装基板と伝熱支持板部との組が複数存在する場合に、電力変換装置1の上記コネクタ配置を採用しつつも、実装基板毎に異なる放熱経路を形成する上で好適であり、また、各伝熱支持部材32,33が実装基板の一側面をそれぞれ通って冷却体3に接触するので、伝熱経路を短くする上で好適である。
また、本実施形態では、半導体パワーモジュール11のケース体12は、長方形の平面を有する直方体形状を有し、伝熱支持部材32,33は、ケース体12の長辺側の側面を通るようにそれぞれ配置される。これにより、電力変換装置1の上記コネクタ配置を採用しつつも、伝熱支持部材32,33の伝熱断面積を広くすることができ、放熱効果を向上させることを可能としている。
ここで、上述のように、電源回路基板22及び制御回路基板23の相互を繋ぐ基板間コネクタ60は、配線作業スペースが確保された側に配置されることが好ましい。しかし、配線作業スペースが確保されていれば、例えば図5の斜視図に示されるように、伝熱支持部材32の適所に開口部32jを設け、この開口部32jを配線作業スペースとすることもできる。このような構成とすれば、伝熱支持部材32が配置された側をも配線作業スペースを有する端部とすることができるため、同図のように、伝熱支持部材32の配置された側についても基板間コネクタ60を設けることができる。
次に、上記電力変換装置1の組立方法を説明する。
先ず、図2に示すように、制御回路基板23を伝熱支持部材33の伝熱支持板部33aに伝熱部材37を介して重ね合わせ、固定ねじ38によって伝熱部材37を圧縮した状態で制御回路基板23、伝熱部材37及び伝熱支持板部33aを固定して、制御回路ユニットU1を形成しておく。同様に、電源回路基板22を伝熱支持部材32の伝熱支持板部32aに伝熱部材35を介して重ね合わせ、固定ねじ36によって伝熱部材35を圧縮した状態で電源回路基板22、伝熱部材35及び伝熱支持板部32aを固定して電源回路ユニットU2を形成しておく。
一方、冷却体3の上面に、半導体パワーモジュール11に形成した放熱部材13の下面を冷却体3の上面に密着させた状態で固定ねじ14で固定する。また、伝熱支持部材32及び33の底板部34を固定ねじ40で固定する。半導体パワーモジュール11には、冷却体3に固定する前又は固定した後に、その上面に形成された基板固定部16に駆動回路基板21を載置する。そして、この駆動回路基板21をその上方から4本の継ぎねじ24によって基板固定部16に固定する。そして、伝熱支持板部32aを伝熱支持側板部32cに固定ねじ32bで連結する。
そして、継ぎねじ24の上面に電源回路ユニットU2の電源回路基板22を載置し、4本の継ぎねじ25によって固定する。さらに、継ぎねじ25の上面に制御回路ユニットU1の制御回路基板23を載置し、4本の固定ねじ26によって固定する。そして、伝熱支持板部33aを伝熱支持側板部33cに固定ねじ33bによって連結する。
その後、図1に示すように、半導体パワーモジュール11の正負の直流入力端子に11aに、ブスバー55を接続し、このブスバー55の他端に冷却体3を貫通するフィルムコンデンサ4の正負の電極4aを固定ねじ51で連結する。さらに、半導体パワーモジュール11の直流入力端子11aに外部のコンバータ(不図示)に接続する接続コード52の先端に固定された圧着端子53を固定する。
さらに、半導体パワーモジュール11の3相交流出力端子11bにブスバー55を固定ねじ56でそれぞれ接続し、このブスバー55の途中に電流センサ57を配置する。そして、外部の3相電動モータ(不図示)に接続したモータ接続ケーブル58の先端に固定した圧着端子59をブスバー55の他端に固定ねじ60で固定して接続する。その後、冷却体3の下面及び上面に、下部筐体2A及び上部筐体2Bを、シール材を介して固定する。そして、図4に示すように、上述した各基板21,22,23相互を繋ぐ基板間コネクタ60および当該電力変換装置1の外部との伝送をする外部コネクタ50を各々にハーネス70,72を介して接続して、電力変換装置1の組立を完了する。
この状態で、外部のコンバータ(不図示)から直流電力を供給するとともに、電源回路基板22に実装された電源回路、制御回路基板23に実装された制御回路を動作状態とし、制御回路から例えばパルス幅変調信号でなるゲート信号を駆動回路基板21に実装された駆動回路を介して半導体パワーモジュール11に供給する。これによって、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTが制御されて、直流電力を交流電力に変換する。変換した交流電力は3相交流出力端子11bからブスバー55を介してモータ接続ケーブル58に供給され、上記3相電動モータを駆動制御することができる。
このとき、半導体パワーモジュール11は、内蔵されたIGBTから発熱するが、この発熱は半導体パワーモジュール11に形成された放熱部材13が冷却体3に直接接触されているので、冷却体3に供給されている冷却水によって冷却される。一方、電源回路基板22及び制御回路基板23に実装されている電源回路及び制御回路には発熱回路部品が含まれており、これら発熱回路部品で発熱を生じるが、伝熱部材35及び37に伝熱された熱は、効率良く伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aに伝達される。そして、伝熱支持板部32a及び33aには、伝熱支持側板部32c及び33cが連結されているので、伝熱支持板部32a及び33aに伝達された熱は、伝熱支持側板部32c及び33cを通って底板部34に伝達される。底板部34は、冷却体3の上面に直接接触されているので、伝達された熱は冷却体3に効率良く放熱される。
また、電源回路基板22及び制御回路基板23には金属製の伝熱支持板部32a及び33aが固定されているので、電源回路基板22及び制御回路基板23の剛性を高めることができる。すなわち、伝熱支持板部32a及び33aで伝熱機能と剛性強化機能を発揮することができる。そのため、電力変換装置1を車両の走行用モータを駆動するモータ駆動回路として適用する場合のように、電力変換装置1に上下振動や横揺れが作用する場合でも、伝熱支持部材32及び33で剛性を高めることができる。したがって、上下振動や横揺れ等の影響が少ない電力変換装置1を提供することができる。
ここで、上記電力変換装置1は、冷却体3に接触する伝熱支持部材32,33が、基板21,22の側面を通って配置されるため、伝熱支持部材32,33が遮蔽部を形成する構成部品となっている。
しかし、本実施形態の電力変換装置1によれば、外部コネクタ50が、複数の実装基板21,22,23のうち半導体パワーモジュール11から最も離れて位置する制御回路基板23に設けられているので、制御回路基板23の周囲が当該電力変換装置1の構成部品によって遮られない。そのため、外部コネクタ50が、相互に間隔を保って対向配置された複数の実装基板21,22,23の積層方向の中間又は最下段に位置する実装基板21,22に配置された場合に比べて、外部コネクタ50の視認性が向上し、更には外部コネクタ50の位置に容易に手が入るためハーネス70との接続が簡単となる。そのため、接続不良などの不具合を低減し、また、装着用に専用の接続工具を不要とすることによりコストアップを抑制して、信頼性の高い安価な電力変換装置を提供することができる。
また、上記電力変換装置1は、複数の実装基板21,22,23のうち制御回路基板23以外の他の実装基板21,22は、当該電力変換装置1の構成部品によって自身側方が遮蔽された遮蔽部を有するところ、上記電力変換装置1によれば、当該他の実装基板21,22に実装される複数の基板間コネクタ60が、当該他の実装基板21,22の前記遮蔽部を有しない側の端部に配置されているので、基板間コネクタ60を視認することが可能であり、また、基板間コネクタ60の位置に手が入るため、装着用に専用の接続工具を用いなくともハーネス72との接続が可能となる。そのため、接続不良などの不具合を低減し、また、コストアップを抑制して、信頼性の高い安価な電力変換装置を提供することができる。
さらに、上記電力変換装置1によれば、積層された実装基板21,22,23間を接続するハーネス72に接続される基板間コネクタ60が、各々同じ側の端部に配置されるので、異なる端部側に配置された場合に比べて、接続されるハーネス72の線材を短くすることができる。そのため、コストアップを抑制する上でより好適である。
なお、上記電力変換装置1の例では、遮蔽部を形成する構成部品は、複数の実装基板22,23を半導体パワーモジュール11との間に間隔を保って支持するとともに複数の実装基板22,23の発熱を、筐体を介することなく冷却体3に放熱するように冷却体3に接触する伝熱支持部材32,33とされた例で説明したが、遮蔽部を形成する構成部品は、伝熱支持部材32,33に限定されるものではない。
しかし、電力変換装置において、遮蔽部を形成する構成部品が、実装基板の発熱を、筐体を介することなく冷却体に放熱するように冷却体に接触する伝熱支持部材とされていれば、上述したような本発明に係るコネクタ配置を採用しつつも、実装基板の熱を伝熱支持部材によって筐体を介することなく冷却体に放熱できる上に、この伝熱支持部材が、遮蔽部を形成する構成部品とされることから、発熱する複数の実装基板をモジュール上に積層して搭載する構成をもつ電力変換装置の構造として好適である。
また、上記実施形態においては、伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aと伝熱支持側板部32c及び33cとを別体で構成する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、伝熱支持板部32a及び33aと伝熱支持側板部32c及び33cとを一体に構成するようにしてもよい。この場合には、伝熱支持板部32a及び33aと伝熱支持側板部32c及び32cとの間に継ぎ目がなくなるので、熱抵抗を小さくしてより効率の良い放熱を行うことができる。
また、上記実施形態では、平滑用のコンデンサとしてフィルムコンデンサ4を適用した場合について説明したが、これに限定されず、円柱状の電解コンデンサを適用するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、本発明による電力変換装置を電気自動車に適用する場合について説明したが、これに限定されず、軌条を走行する鉄道車両にも本発明を適用することができ、任意の電気駆動車両に適用することができる。さらに電力変換装置としては電気駆動車両に限らず、他の産業機器における電動モータ等のアクチュエータを駆動する場合に本発明の電力変換装置を適用することができる。
1…電力変換装置
2…筐体
3…冷却体
4…フィルムコンデンサ
5…蓄電池収納部
11…半導体パワーモジュール
12…ケース体
13…放熱部材
21…駆動回路基板
22…電源回路基板(第二の実装基板)
23…制御回路基板(第一の実装基板)
24,25…継ぎねじ
32…伝熱支持部材
32a…伝熱支持板部
32b…固定ねじ
32c…伝熱支持側板部
33…伝熱支持部材
33a…伝熱支持板部
33b…固定ねじ
33c…伝熱支持側板部
34…底板部
35,37…伝熱部材
50…外部コネクタ
60…基板間コネクタ
70,72…ハーネス

Claims (8)

  1. 半導体パワーモジュールと、該半導体パワーモジュールを駆動するための回路部品が実装され且つ該半導体パワーモジュールに対して上部方向に積層された複数の実装基板とを備えた電力変換装置であって、
    前記複数の実装基板に実装される複数のコネクタのうち、当該電力変換装置の外部との伝送をする外部コネクタを、前記複数の実装基板のうち前記半導体パワーモジュールから最も離れて位置する第1の実装基板に設置したことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記第1の実装基板は、前記電力変換装置の構成部品によって自身下方側面が遮蔽され、当該構成部品によって遮蔽される側に、前記電力変換装置の外部との伝送をする外部コネクタを設置したことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記複数の実装基板に実装されるコネクタのうち、前記複数の実装基板間を伝送する対の基板間コネクタを、前記複数の実装基板の同じ側の端部にそれぞれ設置したことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
  4. 前記第1の実装基板において、前記外部コネクタの設置部と、前記基板間コネクタの設置部とを、互いに異なる側に設置したことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記第1の実装基板以外の他の実装基板に実装されるコネクタを、配線作業スペースを有する端部に設置したことを特徴とする請求項3または4に記載の電力変換装置。
  6. 前記配線作業スペースは、前記他の実装基板の側方を遮蔽する前記構成部品に設けた開口部であることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
  7. 前記複数の実装基板のうち、前記第1の実装基板以外の他の実装基板は、前記電力変換装置の構成部品によって自身側方が遮蔽され、当該他の実装基板に実装されるコネクタを、前記構成部品によって遮蔽されない側の端部に設置したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  8. 前記構成部品は、前記複数の実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に間隔を保って支持するとともに前記複数の実装基板の熱を冷却体に伝熱する伝熱支持部材であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
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