JP5682713B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電力変換用の半導体スイッチング素子を内蔵した半導体パワーモジュール上に、半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板を支持するようにした電力変換装置に関する。
この種の電力変換装置としては、特許文献1に記載された電力変化装置が知られている。この電力変換装置は、筐体内に、水冷ジャケットを配置し、この水冷ジャケット上に電力変換用の半導体スイッチング素子としてのIGBTを内蔵した半導体パワーモジュールを配置して冷却するようにしている。また、筐体内には、半導体パワーモジュールの水冷ジャケットとは反対側に所定距離を保って制御回路基板を配置し、この制御回路基板で発生する熱を、放熱部材を介して制御回路基板を支持する金属ベース板に伝達し、さらに金属ベース板に伝達された熱を、この金属ベース板を支持する筐体の側壁を介して水冷ジャケットに伝達するようにしている。
特許第4657329号公報
ところで、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、制御回路基板で発生する熱を、制御回路基板→放熱部材→金属ベース板→筐体→水冷ジャケットという経路で放熱するようにしている。このため、筐体が伝熱経路の一部として利用されることにより、筐体にも良好な伝熱性が要求されることになり、材料が熱伝導率の高い金属に限定され、小型軽量化の要求される電力変換装置おいて、樹脂等の軽量な材料の選択が不可能となり軽量化が困難となるという未解決の課題がある。
また、筐体には、防水・防塵が要求されることが多いため、金属ベース板と筐体との間、筐体と水冷ジャケットとの間には液状シール剤の塗布やゴム製パッキンの挟み込みなどが一般的に行われている。液状シール剤やゴム製パッキンは熱伝導率が一般的に低く、これらが熱冷却経路に介在することで熱抵抗が増え冷却効率が低下するという未解決の課題もある。この未解決の課題を解決するためには、基板や実装部品の除去しきれない発熱を筐体や筐体蓋からの自然対流による放熱も必要となり、筐体や筐体蓋の表面積を大きくするために、筐体や筐体蓋の外形が大きくなり電力変換装置が大型化することになる。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、基板に実装された発熱回路部品の熱を効率よく冷却体に放熱することができる電力変換装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換装置の第1の態様は、冷却液を通流する通液路を有し、該通液路の一部に開放窓を有する冷却体と、一面に、前記冷却体の開放窓ないに挿通される接液部を有すると共に、前記冷却体の開放窓を閉塞する冷却部材が形成された半導体パワーモジュールとを備えている。また、第1の態様は、前記半導体パワーモジュールを駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板と、該実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に所定間隔を保って支持し、当該実装基板の熱を前記冷却体に伝熱するため前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有する伝熱支持部材とを備えている。
この構成によると、実装基板に実装されている発熱回路部品の熱を伝熱支持部材によって冷却体に直接放熱することができる。この場合、冷却体が冷却液を通流する通液路を有し、この通液路に開放窓が形成され、この開放窓に半導体パワーモジュールの冷却部材の接液部と伝熱支持部材の接液部とが挿通されて冷却液に直接接触するので、半導体パワーモジュール及び伝熱支持部材の冷却効果を向上させることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第2の態様は、前記実装基板が金属ベース回路基板で構成されている。
この構成によると、金属ベース回路基板の放熱板を伝熱支持部材に連結することにより、発熱回路部品の放熱を効率良く行うことができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第3の態様は、冷却液を通流する通液路を有し、該通液路の一部に開放窓を有する冷却体と、電力変換用の半導体スイッチング素子をケース体に内蔵し、当該ケース体の一面に、前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有すると共に、前記冷却体の開放窓を閉塞する冷却部材が形成された半導体パワーモジュールとを備えている。また、上記第3の態様は、前記半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板と、該実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に所定間隔を保って支持し、当該実装基板の発熱を前記冷却体に筐体を介することなく放熱するように前記半導体パワーモジュールの少なくとも一側面側を通って前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有する伝熱支持部材とを備えている。
この構成によると、実装基板に実装されている発熱回路部品の熱を伝熱支持部材によって筐体を介することなく冷却体に放熱することができる。この場合、冷却体が冷却液を通流する通液路を有し、この通液路に開放窓が形成され、この開放窓に半導体パワーモジュールの冷却部材の接液部と伝熱支持部材の接液部とが挿通されて冷却液に直接接触するので、半導体パワーモジュール及び伝熱支持部材の冷却効果を向上させることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第4の態様は、前記実装基板が金属ベース回路基板で構成されている。
この構成によると、金属ベース回路基板の放熱板を伝熱支持部材に連結することにより、発熱回路部品の放熱を効率良く行うことができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第5の態様は、冷却液を通流する通液路を有し、該通液路の一部に開放窓を有する冷却体と、電力変換用の半導体スイッチング素子をケース体に内蔵し、当該ケース体の一面に、前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有すると共に、前記冷却体の開放窓を閉塞する冷却部材が形成された半導体パワーモジュールとを備えている。また、第5の態様は、前記半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板と、該実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に所定間隔を保って支持し、当該実装基板の発熱を前記冷却体に筐体を介することなく放熱するように前記半導体パワーモジュールの少なくとも一側面側を通って前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有する伝熱支持部材と、前記実装基板と前記伝熱支持部材との間に介挿した伝熱部材とを備えている。
この第5の態様によると、第3の態様の作用に加えて実装基板の発熱回路部品の熱を伝熱部材を介して伝熱支持部材に効率よく伝熱することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第6の態様は、前記伝熱支持部材が、前記伝熱部材を介して前記実装基板を支持する伝熱支持板部と、該伝熱支持板部の側面を固定支持して前記冷却体に接触される伝熱支持側板部とで構成されている。
この第6の態様によると、実装基板を伝熱支持板部で支持するので、実装基板の剛性を高めることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第7の態様は、前記伝熱支持板部と前記伝熱支持側板部とが一体に形成されている。
この第7の態様によると、伝熱支持板部と伝熱支持側板部とが一体に形成されているので、両者間の連結部に継ぎ目がなく、連結部での熱抵抗を小さくすることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第8の態様は、前記伝熱支持板部が、複数の伝熱支持側板部に固定支持されている。
この第8の態様によると、伝熱支持板部が複数の伝熱支持側板部に固定支持されているので、冷却体への伝熱面積を増加させて、効率の良い放熱を行うことができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第9の態様は、前記伝熱支持部材の接液部が、前記冷却体の開放窓内に、冷却液の通液方向と交差する方向に延長して配置されている。
この第9の形態によると、伝熱支持部材の接液部が冷却液の通液方向と交差する方向に延長して配置されているので、接液部の冷却温度が略一定となり、良好な冷却効果を発揮することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第10の態様は、前記伝熱支持部材の接液部が、櫛歯状に形成されている。
この第10の態様によると、伝熱支持部材の接液部が櫛歯状に形成されているので、冷却液の通流を阻害することなく、冷却効果を発揮することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第11の態様は、前記伝熱支持部材の接液部は、前記冷却体の開放窓内に、冷却液の通液方向と平行に延長して配置されている。
この第11の態様によると、伝熱支持部材の接液部が冷却液の通液方向と平行に配置されているので、冷却液の通液を阻害することなく冷却効果を発揮することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第12の態様は、前記伝熱支持部材が前記半導体パワーモジュールを挟んで対向する第1の伝熱支持部材及び第2の伝熱支持部材で構成され、前記第1の伝熱支持部材の接液部が前記冷却部材の接液部の上流側に配置され、前記第2の伝熱支持部材の接液部が前記冷却部材の接液部の下流側に配置されている。
この第12の態様によると、冷却部材の接液部の上流側及び下流側に第1の伝熱支持部材の接液部及び第2の伝熱支持部材の接液部を配置するので、第1の伝熱支持部材の接液部の冷却温度を第2の伝熱支持部材の冷却温度より低くすることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第13の態様は、前記第1の伝熱支持側板部に連結される伝熱支持板部に実装される第1の実装基板に、前記第2の伝熱支持側板部に連結される伝熱支持板部に支持される前記実装基板に実装される発熱回路部品より高い発熱量の発熱回路部品を実装する。
この第13の態様によると、冷却温度の低い第1の伝熱支持部材で支持する第1の実装基板に高い発熱量の発熱回路部品を実装し、冷却温度の高い第2の伝熱支持部材で支持する第2の実装基板に低い発熱量の発熱回路部品を実装するので、高い発熱量の発熱回路部品の放熱を良好に行うことができる。
本発明に係る電力変換装置の第14の態様は、前記伝熱支持側板部及び前記冷却体の接触面と前記伝熱支持側板部及び前記冷却部材の接触面とに封止部材を設けている。
この第14の態様によると、前記伝熱支持側板部及び前記冷却体の接触面と前記伝熱支持側板部及び前記冷却部材の接触面とに夫々封止部材を設けているので、冷却液の漏れを確実に防止することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第15の態様は、前記伝熱支持側板部及び前記冷却体の接触面に封止部材を設け、前記伝熱支持側板部及び前記冷却部材の接触面に互いに伸縮性を有する板状弾性部材及び接着層の何れか介在させている。
この第15の態様によると、パッキン等の板状弾性部材又は接着剤層によって伝熱支持側板部及び冷却部材の接触面を確実に液密にシールすることができ、特に板状弾性部材を使用する場合には、冷却体と冷却体接触板部との接触を確実に行って冷却効果を高めることができる。
本発明によれば、発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板を冷却体に接触する伝熱支持部材で支持するので、発熱回路部品で生じる熱を、伝熱支持部材を介して直接冷却体に放熱することができ、熱抵抗を抑えて冷却効率の良い熱冷却を行うことができる。このため、筐体や筐体蓋からの放熱作用との併用を減少させることができ、筐体や筐体蓋の大きさを抑えて小型化されて安価な電力変換装置を提供することができる。
しかも、筐体に良好な伝熱性を要求することがないので、筐体に樹脂等の軽量な材料を用いることができ、筐体を軽量化して安価な電力変換装置の提供が可能となる。
さらに、伝熱支持部材に冷却体に通流する冷却液に接触する接液部を設けているので、冷却効率をより向上させることができる。
本発明に係る電力変換装置の第1の実施形態の全体構成を示す断面図である。 第1の実施形態の要部を示す拡大断面図である。 実装基板の取り付け状態の具体的構成を示す拡大断面図である。 実装基板の伝熱支持部材への取り付け方法を示す図である。 実装基板を伝熱支持部材へ取り付けた状態を示す断面図である。 伝熱部材の変形例を示す断面図である。 伝熱支持部材を示す側面図である。 発熱回路部品の放熱経路を説明する図である。 電力変換装置に対して上下振動や横揺れが作用した状態を示す図である。 実装基板への発熱回路部品の配置例を示す断面図である。 実装基板への発熱回路部品の他の配置例を示す断面図である。 伝熱支持部材の接液部の他の例を示す断面図である。 伝熱支持部材の他の例における放熱経路を説明する図である。 伝熱支持部材のさらに他の例を示す断面図である。 金属ベース回路基板を適用した場合の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
図1は本発明に係る電力変換装置の全体構成を示す断面図である。
図中、1は電力変換装置であって、この電力変換装置1は筐体2内に収納されている。筐体2は、合成樹脂材を成形したものであり、水冷ジャケットの構成を有する冷却体3を挟んで上下に分割された下部筐体2A及び上部筐体2Bで構成されている。
下部筐体2Aは有底角筒体で構成されている。この下部筐体2Aは開放上部が冷却体3で覆われ、内部に平滑用のフィルムコンデンサ4が収納されている。
上部筐体2Bは、上端及び下端を開放した角筒体2aと、この角筒体2aの上端を閉塞する蓋体2bとを備えている。そして、角筒体2aの下端が冷却体3で閉塞されている。この角筒体2aの下端と冷却体3との間には、図示しないが、液状シール剤の塗布やゴム製パッキンの挟み込みなどのシール材が介在されている。
冷却体3は、例えば熱伝導率の高いアルミニウム、アルミニウム合金を射出成形して扁平な板状に形成されている。冷却液の給液口3a及び排液口3bが筐体2の外方に開口されている。これら給液口3a及び排液口3bは例えばフレキシブルホースを介して図示しないラジエーター等の冷却液供給源に接続されている。そして、冷却液供給源から例えば冷却水にロングライフクーラントや不凍液などを添加した冷却液が供給される。
給液口3a及び排液口3b間には、通液路3cが形成されている。この通液路3cは、給液口3a及び排液口3bに連通し、給液口3a及び排液口3b間を結ぶ線上に形成された直線路3d及び3eを有する。そして、通液路3cは、直線路3d及び3e間に連通して上方に凸状に屈曲する屈曲路3fを有する。この屈曲路3fの上面には開放窓3gが形成されている。この冷却体3は、上面の開放窓3gの周囲に周溝3hが形成されている。
また、冷却体3には、下部筐体2Aに保持されたフィルムコンデンサ4の絶縁被覆された正負の電極4aを上下に挿通する挿通孔3iが形成されている。
電力変換装置1は、図2とともに参照して明らかなように、電力変換用の例えばインバータ回路を構成する半導体スイッチング素子として例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を内蔵した半導体パワーモジュール11を備えている。この半導体パワーモジュール11は、扁平な直方体状の絶縁性のケース体12内にIGBTを内蔵しており、ケース体12の下面に金属製で熱伝導率の高い例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で形成された冷却部材13が形成されている。この冷却部材13には、平坦な下面における冷却体3の開放窓3gに対向する中央部に、下方に突出する多数の冷却フィン13aが形成されている。これら冷却フィン13aは冷却体3に形成された開放窓3g内に挿通されている。
ケース体12及び冷却部材13には平面からみて四隅に固定部材としての固定ねじ14を挿通する挿通孔15が形成されている。また、ケース体12の上面には、挿通孔15の内側における4箇所に所定高さの基板固定部16が突出形成されている。
この基板固定部16の上端には、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTを駆動する駆動回路等が実装された駆動回路基板21が固定されている。また、駆動回路基板21の上方に所定間隔を保って半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTを制御する相対的に発熱量の大きい、又は発熱密度の大きい発熱回路部品を含む制御回路等を実装した実装基板としての制御回路基板22が固定されている。
さらに、制御回路基板22の上方に所定間隔を保って半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTに電源を供給する発熱回路部品を含む電源回路等を実装した実装基板としての電源回路基板23が固定されている。
そして、駆動回路基板21は、基板固定部16に対向する位置に形成した挿通孔21a内に継ぎねじ24の雄ねじ部24aを挿通し、この雄ねじ部24aを基板固定部16の上面に形成した雌ねじ部16aに螺合することにより固定されている。
また、制御回路基板22は継ぎねじ24の上端に形成した雌ねじ部24bに対向する位置に形成した挿通孔22a内に継ぎねじ25の雄ねじ部25aを挿通し、この雄ねじ部25aを継ぎねじ24の雌ねじ部24bに螺合することにより固定されている。
さらに、電源回路基板23は継ぎねじ25の上端に形成した雌ねじ部25bに対向する位置に形成した挿通孔23a内に固定ねじ26を挿通し、この固定ねじ26を継ぎねじ25の雌ねじ部25bに螺合することにより固定されている。
また、制御回路基板22及び電源回路基板23は、伝熱支持部材32及び33によって筐体2を介することなく冷却体3への放熱経路を独自に形成するように支持されている。これら伝熱支持部材32及び33は、熱伝導率が高い金属例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
また、伝熱支持部材32及び33は、制御回路基板22を支持する冷却体3の周溝3h内に配置されて角枠状の共通の底板部34を有する。したがって、伝熱支持部材32及び33は底板部34によって一体に連結されている。そして、底板部34の内周縁は冷却体3の屈曲路3f内に突出されて冷却液に直接接触する接液部34aが形成されている。この接液部34aは、屈曲路3f内に突出する枠状部34bと、この枠状部34bの内周縁における冷却液の通液方向と直交する辺から下方に延長する突出片34cとで図1及び図2に示すように断面L字状に形成されている。ここで、突出片34cは櫛歯状に形成されており、冷却液の流路抵抗を減少させるようにしている。
そして、伝熱支持部材32及び33と底板部34とは黒色の表面を有する。これら伝熱支持部材32及び33と底板部34との表面を黒色化にするには、表面に黒色樹脂をコーティングしたり、黒色塗料で塗装したりすればよい。このように、伝熱支持部材32及び33と底板部34との表面を黒色とすることにより、金属の素材色と比較し熱放射率が大きくなり、放射伝熱量を増やすことができる。このため、伝熱支持部材32及び33と底板部34との周囲への放熱が活発化され、制御回路基板22及び電源回路基板23の熱冷却を効率良く行うことができる。なお、底板部34を除いて伝熱支持部材32及び33のみの表面を黒色にするようにしてもよい。
伝熱支持部材32は、平板上の伝熱支持板部32aと、この伝熱支持板部32aの図2で見て半導体パワーモジュール11の長辺に沿う右端側に固定ねじ32bで固定された伝熱支持側板部32cとで構成されている。そして、伝熱支持側板部32cが共通の底板部34に連結されている。
伝熱支持板部32aには、伝熱部材35を介して制御回路基板22が固定ねじ36によって固定される。伝熱部材35は、伸縮性を有する弾性体で電源回路基板23と同じ外形寸法に構成されている。この伝熱部材35としては、シリコンゴムの内部に金属フィラーを介在させることにより絶縁性能を発揮しながら伝熱性を高めたものが適用されている。
また、伝熱支持側板部32cは、図2に示すように、冷却体3の周溝3h内に配置される共通の底板部34の長辺側の外周縁に一体に連結されて上方に延長する連結板部32dと、この連結板部32dの上端から左方に延長する上板部32eとで断面逆L字状に形成されている。連結板部32dは、半導体パワーモジュール11の例えば長辺側の右側面を通って上方に延長している。
そして、連結板部32dの底板部34及び上板部32eとの連結部を例えば円筒面の一部でなる湾曲面32f及び32gに形成している。このように連結板部32dと底板部34及び上板部32eとの連結部を円筒状の湾曲面32f及び32gとすることにより、上下振動や横揺れ等に対する耐振動性を向上することができる。すなわち、電力変換装置1に上下振動や横揺れが伝達されたときに連結板部32dと底板部34及び上板部32eとの連結部に生じる応力集中を緩和することが可能となる。
さらに、連結板部32dと底板部34及び上板部32eとの連結部を円筒状の湾曲面32f及び32gとすることにより、連結板部32dと底板部34及び上板部32eとの連結部を直角のL字形状とする場合に比較して熱伝導経路を短くすることができる。このため、伝熱支持板部32aから冷却体3までの熱伝導経路を短くして、効率的な熱冷却が可能となる。
伝熱支持部材33は、平板上の伝熱支持板部33aと、この伝熱支持板部33aの図2で見て半導体パワーモジュール11の長辺に沿う左端側に固定ねじ33bで固定された伝熱支持側板部33cとで構成されている。そして、伝熱支持側板部33cが共通の底板部34に連結されている。
伝熱支持板部33aには、前述した伝熱部材35と同様の伝熱部材37を介して電源回路基板23が固定ねじ38によって固定される。
また、伝熱支持側板部33cは、図2及び図3に示すように、冷却体3の周溝3h内に配置される共通の底板部34の長辺側の外周縁に一体に連結されて上方に延長する連結板部33dと、この連結板部33dの上端から方に延長する上板部33eとで断面逆L字状に形成されている。連結板部33dは、半導体パワーモジュール11の長辺側の左側面を通って上方に延長している。
そして、連結板部33dの底板部34及び上板部33eとの連結部を例えば円筒面の一部でなる湾曲面33f及び33gに形成している。このように連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部を円筒状の湾曲面33f及び33gとすることにより、上下振動や横揺れ等に対する耐振動性を向上することができる。すなわち、電力変換装置1に上下振動や横揺れが伝達されたときに連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部に生じる応力集中を緩和することが可能となる。
さらに、連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部を円筒状の湾曲面33f及び33gとすることにより、連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部を直角のL字形状とする場合に比較して熱伝導経路を短くすることができる。このため、伝熱支持板部33aから冷却体3までの熱伝導経路を短くして、効率的な熱冷却が可能となる。
さらに、制御回路基板22及び電源回路基板23には、発熱回路部品39が、図4及び図5に示すように、下面側に実装されている。
そして、制御回路基板22及び電源回路基板23と、伝熱部材35,37及び伝熱支持板部32a,33aとの連結が図4に示すように行われる。これら制御回路基板22及び電源回路基板23と、伝熱支持板部32a及び33aとの連結は左右が逆となることを除いては実質的に同じであるので、電源回路基板23及び伝熱支持板部33aを代表として説明する。
この電源回路基板23と伝熱支持板部33aとの連結には、図4及び図5に示すように、伝熱部材37の厚みTより低い伝熱板部管理高さHを有する間隔調整部材としての間座40が用いられる。この間座40は、伝熱支持板部33aに形成された固定ねじ38が螺合する雌ねじ部41の外周側に接着等によって仮止めされている。ここで、間座40の伝熱板部管理高さHは、伝熱部材37の圧縮率が約20〜30%となるように設定されている。このように、伝熱部材37を約20〜30%程度に圧縮することにより、熱抵抗が減り効率良い伝熱効果を発揮することができる。
一方、伝熱部材37には、継ぎねじ25を挿通可能な挿通孔37aと、間座40を挿通可能な挿通孔37bとが形成されている。
そして、伝熱支持板部33aに仮止めされた間座40を挿通孔37bに挿通されるように伝熱部材37を伝熱支持板部33aに載置する。そして、この伝熱支持板部33aの上に電源回路基板23を発熱回路部品39が伝熱部材37に接するように載置する。
この状態で、固定ねじ38を電源回路基板23の挿通孔23bを通じ、間座40の中心開口を通じて伝熱支持板部33aの雌ねじ部41に螺合させる。そして、固定ねじ38を伝熱部材37の上面が間座40の上面と略一致するまで締め付ける。
このため、伝熱部材37が20〜30%程度の圧縮率で圧縮されることになり、熱抵抗が減って効率の良い伝熱効果を発揮することができる。このとき、伝熱部材37の圧縮率は間座40の高さHによって管理されるので、締め付け不足や締め付け過剰が生じることなく、適切な締め付けが行われる。
また、電源回路基板23の下面側に実装された発熱回路部品39が伝熱部材37の弾性によって伝熱部材37内に埋め込まれる。このため、発熱回路部品39と伝熱部材37との接触が過不足なく行われるとともに、伝熱部材37と電源回路基板23及び伝熱支持板部33aとの接触が良好に行われ、伝熱部材37と電源回路基板23及び伝熱支持板部33aとの間の熱抵抗を減少させることができる。
制御回路基板22と伝熱支持板部32aとの伝熱部材35を介在させた連結も上記と同様にして行われる。
なお、伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aの下面には、絶縁距離を短くするために絶縁シート42及び43が貼着されている。
また、伝熱支持部材33の伝熱支持側板部33cにおける連結板部33dには、図7に示すように、半導体パワーモジュール11の図1に示す3相交流出力端子11bに対応する位置に後述するブスバー55を挿通する例えば方形の3つの挿通孔33iが形成されている。
このように、3つの挿通孔33iを形成することにより、隣接する挿通孔33i間に比較的幅広の伝熱路Lhを形成することができ、全体の伝熱路の断面積を増加させて効率よく伝熱することができる。また、振動に対する剛性も確保することができる。
同様に、伝熱支持部材32の伝熱支持側板部32cの連結部にも、図1に示すように、半導体パワーモジュール11の正極及び負極端子11aに対向する位置にそれぞれ同様の挿通孔32iが形成されている。この挿通孔32iを形成することにより、上述した挿通孔33iと同様の作用効果を得ることができる。
また、伝熱支持部材32及び33の共通の底板部34には、図2及び図3に示すように、半導体パワーモジュール11の固定ねじ14を挿通する挿通孔15に対向する位置に固定部材挿通孔34dが形成されている。さらに、底板部34の上面と半導体パワーモジュール11に形成された冷却部材13の下面との間に例えば封止部材となる長方形枠状の板状弾性部材45が介在されている。また、冷却体3の周溝3hの開放窓3g側に封止部材としてのOリング46が配設されている。
そして、半導体パワーモジュール11及び冷却部材13の挿通孔15及び底板部34の固定部材挿通孔34dに固定ねじ14を挿通する。そして、この固定ねじ14の先端の雄ねじ部を冷却体3に形成された雌ねじ部3jに螺合させることにより、半導体パワーモジュール11と底板部34とが冷却体3に固定されている。
次に、上記第1の実施形態の電力変換装置1の組立方法を説明する。
先ず、図4で前述したように、電源回路基板23を伝熱支持部材33の伝熱支持板部33aに伝熱部材37を介して重ね合わせる。そして、固定ねじ38によって伝熱部材37を20〜30%程度の圧縮率で圧縮した状態で電源回路基板23、伝熱部材37及び伝熱支持板部33aを固定して、電源回路ユニットU3を形成しておく。
同様に、制御回路基板22を伝熱支持部材32の伝熱支持板部32aに伝熱部材35を介して重ね合わせる。そして、固定ねじ36によって伝熱部材35を20〜30%程度の圧縮率で圧縮した状態で制御回路基板22、伝熱部材35及び伝熱支持板部32aを固定して制御回路ユニットU2を形成しておく。
一方、冷却体3の周溝3h内に、伝熱支持部材32及び33に共通の底板部34を、その上面と半導体パワーモジュール11に形成した冷却部材13の下面との間に板状弾性部材45を介在させた状態で、半導体パワーモジュール11とともに固定ねじ14で固定する。
このように底板部34及び半導体パワーモジュール11を冷却体3に固定することにより、冷却体3の開放窓3gが冷却部材13及び板状弾性部材45によって閉塞される。これと同時に、冷却部材13の冷却フィン13aが冷却体3の開放窓3gを通じて屈曲路3f内に挿通されるとともに、底板部34の接液部34aの枠状部34b及び突出片34cが屈曲路3f内に挿通される。
このように、半導体パワーモジュール11と伝熱支持部材32及び33の共通の底板部34とを同時に冷却体3に固定することができるので、組立工数を減少させることができる。また、底板部34を冷却体3に固定する際に板状弾性部材45を底板部34と半導体パワーモジュール11の冷却部材13との間に介在させる。このため、板状弾性部材45によって底板部34が冷却体3の周溝3hの底部に押し付けられて、底板部34が冷却体3に確実に接触されて、広い接触面積を確保することができる。しかも、底板部34の上下面が板状弾性部材45及びOリング46でシールされて、冷却体3の通液路3cに冷却液を通液したときに冷却液の液漏れを確実に阻止することができる。
また、半導体パワーモジュール11には、冷却体3に固定する前又は固定した後に、その上面に形成された基板固定部16に駆動回路基板21を載置する。そして、この駆動回路基板21をその上方から4本の継ぎねじ24によって基板固定部16に固定する。そして、伝熱支持板部32aを伝熱支持側板部32cに固定ねじ32bで連結する。
そして、継ぎねじ24の上面に制御回路ユニットU2の制御回路基板22を載置し、4本の継ぎねじ25によって固定する。さらに、継ぎねじ25の上面に電源回路ユニットU3の電源回路基板23を載置し、4本の固定ねじ26によって固定する。そして、伝熱支持板部33aを伝熱支持側板部33cに固定ねじ33bによって連結する。
その後、図1に示すように、半導体パワーモジュール11の正負の直流入力端子に11aに、ブスバー50を接続し、このブスバー50の他端に冷却体3を貫通するフィルムコンデンサ4の正負の電極4aを固定ねじ51で連結する。さらに、半導体パワーモジュール11の直流入力端子11aに外部のコンバータ(図示せず)に接続する接続コード52の先端に固定された圧着端子53を固定する。
さらに、半導体パワーモジュール11の3相交流出力端子11bにブスバー55を固定ねじ56で接続し、このブスバー55の途中に電流センサ57を配置する。そして、ブスバー55の他端に外部の3相電動モータ(図示せず)に接続したモータ接続ケーブル58の先端に固定した圧着端子59を固定ねじ60で固定して接続する。
その後、冷却体3の下面及び上面に、下部筐体2A及び上部筐体2Bを、図示しないシール材を介して固定して電力変換装置1の組立を完了する。
この状態で、外部のコンバータ(図示せず)から直流電力を供給するとともに、電源回路基板23に実装された電源回路、制御回路基板22に実装された制御回路を動作状態とする。これにより、制御回路から例えばパルス幅変調信号でなるゲート信号を駆動回路基板21に実装された駆動回路を介して半導体パワーモジュール11に供給する。これによって、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTが制御されて、直流電力を交流電力に変換する。変換した交流電力は3相交流出力端子11bからブスバー55を介してモータ接続ケーブル58に供給し、3相電動モータ(図示せず)を駆動制御する。
このとき、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTで発熱する。この発熱は半導体パワーモジュール11に形成された冷却部材13の冷却フィン13aが冷却体3の通液路3cを形成する屈曲路3f内に挿通されて通流される冷却液に直接接触されているので、大きな冷却効果を発揮することができる。
一方、制御回路基板22及び電源回路基板23に実装されている制御回路及び電源回路には発熱回路部品39が含まれており、これら発熱回路部品39で発熱を生じる。このとき、発熱回路部品39は制御回路基板22及び電源回路基板23の下面側に実装されている。
そして、これら制御回路基板22及び電源回路基板23の下面側には熱伝導率が高く弾性を有する伝熱部材35及び37を介して伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aが設けられている。
このため、発熱回路部品39と伝熱部材35及び37との接触面積が大きくなるとともに密着して発熱回路部品39と伝熱部材35及び37との熱抵抗が小さくなる。したがって、発熱回路部品39の発熱が伝熱部材35及び37に効率よく伝熱される。そして、伝熱部材35及び37自体は20〜30%程度の圧縮率で圧縮されて熱伝導率が高められている。このため、図8に示すように、伝熱部材35及び37に伝熱された熱が効率良く伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aに伝達される。
さらに、伝熱支持板部32a及び33aには、伝熱支持側板部32c及び33cが連結されているので、伝熱支持板部32a及び33aに伝達された熱は、伝熱支持側板部32c及び33cを通って共通の底板部34に伝達される。この底板部34は、冷却体3の周溝3h内に直接接触されているとともに、内周側の接液部34aが冷却体3の屈曲路3f内に挿通されて、直接冷却液に接触するので、底板部34に伝達された熱は冷却体3の冷却液によって冷却される。
このように、上記第1の実施形態によると、制御回路基板22及び電源回路基板23に実装された発熱回路部品39の発熱が熱抵抗の大きな制御回路基板22及び電源回路基板23を介することなく直接伝熱部材35及び37に伝熱されるので、効率の良い放熱を行うことができる。
そして、伝熱部材35及び37に伝達された熱は伝熱支持板部32a及び33aに伝熱され、さらに伝熱支持側板部32c及び33cに伝達される。このとき、伝熱支持側板部32c及び33cが半導体パワーモジュール11の長辺に沿って設けられている。
このため、伝熱面積を広くとることができ、広い放熱経路を確保することができる。しかも、伝熱支持側板部32c及び33cは折れ曲がり部が円筒状の湾曲部とされているので、折れ曲がり部をL字状にする場合に比較して冷却体3までの伝熱距離を短くすることができる。ここで、熱輸送量Qは、下記(1)式で表すことができる。
Q=λ×(A/L)×T …………(1)
ただし、λは熱伝導率[W/m℃]、Tは温度差[℃]基板温度T1−冷却体温度T2、Aは伝熱最小断面積[m2]、Lは伝熱長さ[m]である。
この(1)式から明らかなように、伝熱長さLが短くなると、熱輸送量Qは増加することになり、良好な冷却効果を発揮することができる。
また、伝熱支持部材32及び33の伝熱支持側板部32c及び33cが共通の底板部34で一体化されているので、伝熱支持側板部32c及び33cと底板部34との間に部品同士の継ぎ目がなく、熱抵抗を抑制することができる。しかも、底板部34の接液部34aが冷却体3の冷却液に直接接触しているので、良好な冷却効果を発揮することができる。さらに、底板部34の接液部34aが枠状部34bと突出片34cとで断面L状に形成されているので、冷却液に接する表面積を広くとることができ、より良好な冷却効果を発揮することができる。このとき、突出片34cは櫛歯状に形成されているので、冷却液の通液抵抗を小さくし、半導体パワーモジュール11に形成された冷却部材13の冷却フィン13aへの通液に与える影響を抑制することができる。
また、高さが高く伝熱経路が長い伝熱支持部材33の接液部34aが半導体パワーモジュール11の冷却部材13の冷却フィン13aより上流側に配置され、高さが低く伝熱経路が短い伝熱支持部材32の接液部34aが半導体パワーモジュール11の冷却部材13の冷却フィン13aより下流側に配されている。このため、制御回路基板22及び電源回路基板23の発熱回路部品39に対する冷却効果の差を抑制することができる。
さらに、発熱回路部品39が実装された制御回路基板22及び電源回路基板23から冷却体3までの放熱経路に筐体2が含まれていないので、筐体2に伝熱性が要求されることがない。したがって、筐体2の構成材料としてアルミニウム等の高熱伝導率の金属を使用する必要がなく、合成樹脂材で筐体2を構成することが可能となり、軽量化を図ることができる。
また、放熱経路が筐体2に依存することなく、電力変換装置1単独で放熱経路を形成することができるので、半導体パワーモジュール11と、駆動回路基板21、制御回路基板22及び電源回路基板23とで構成される電力変換装置1を種々の異なる形態の筐体2や冷却体3に適用することができる。
また、制御回路基板22及び電源回路基板23に金属製の伝熱支持板部32a及び33aが固定されているので、制御回路基板22及び電源回路基板23の剛性を高めることができる。このため、電力変換装置1を車両の走行用モータを駆動するモータ駆動回路として適用する場合のように、電力変換装置1に図9に示す上下振動や横揺れが作用する場合でも、伝熱支持部材32及び33で剛性を高めることができる。したがって、上下振動や横揺れ等の影響が少ない電力変換装置1を提供することができる。
なお、上記実施形態においては、制御回路ユニットU2及び電源回路ユニットU3で、伝熱部材35及び37を制御回路基板22及び電源回路基板23と同じ外形とした場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、伝熱部材35及び37を図6に示すように発熱回路部品39が存在する箇所にのみ設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、制御回路基板22及び電源回路基板23で発熱回路部品39を裏面側の伝熱部材35及び37側に実装する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではない。すなわち、図10に示すように、制御回路基板22及び電源回路基板23の伝熱部材35及び37とは反対側の外周領域Aoに実装するようにしてよい。この場合には、発熱量の大きい発熱回路部品39が外周部側に配置されるので、発熱回路部品39を中央に配置して他の回路部品で囲まれる場合に比較して発熱回路部品の空間への放熱を行うことが可能となる。このため、効率的な熱冷却を行うことができる。
さらには、図11に示すように、制御回路基板22及び電源回路基板23のそれぞれにおいて、発熱回路部品39を伝熱支持側板部32c及び33cに近い部分に配置することにより、冷却体3迄の放熱経路の距離を短くするようにしてもよい。この場合でも、発熱回路部品39の冷却体3までの放熱経路の距離が短くなるので、効率良い放熱を行うことができる。
このとき、伝熱支持部材33が連結されている底板部34の接液部34aが通液路3cの半導体パワーモジュール11の冷却部材13の冷却フィン13aより上流側に配置されて冷却効果が大きい。このため、接液部34aが冷却フィン13aの下流側となる伝熱支持部材32で支持されている制御回路基板22に実装する発熱回路部品39の発熱量より大きい発熱量の発熱回路部品39を伝熱回路基板23に実装することにより、良好な冷却効果を発揮することができる。
この場合、伝熱支持部材32と伝熱支持部材33とを入れ替えて、発熱量の大きい発熱回路部品39を制御回路基板22に実装することにより、伝熱経路を短くすることができるので、さらに冷却効果を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、伝熱支持部材32及び33の共通の底板部34における接液部34aを長方形枠状部34b及びその内周縁から下方に突出する突出片34cで断面L字状に形成した場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、図12に示すように、突出片34cを省略して長方形枠状部34bのみで接液部34を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、伝熱支持部材32及び33の共通の底板部34の内周縁における冷却液の通液方向と直交する辺に突出片34cを配置した場合について説明した。しかしながら、本発明では、上記構成に限定されるものではなく、冷却液の通液方向と平行な辺に突出片34cを配置するようにしてもよい。この場合には、冷却液に対して抵抗となることを抑制することができる。
また、上記実施形態においては、発熱回路部品39を実装した基板が2種類存在する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、発熱回路部品39を実装した基板が例えば制御回路基板22の一枚だけである場合には、図13(a)に示すように構成してもよい。すなわち、制御回路基板22の左右両側にそれぞれ伝熱支持側板部32c及び32fを設けて、伝熱支持板部32aの両側に放熱経路を形成する。このように構成することにより、伝熱支持板部32aの両側に放熱経路が形成されることにより、放熱効果をより向上させることができる。
さらには、図13(b)に示すように伝熱支持側板部32cに各回路ユニットU2及びU3を支持する上板部32eを複数形成して、複数の回路基板を支持するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aと伝熱支持側板部32c及び33cとを別体で構成する場合について説明した。しかしながら、本発明は、上記構成に限定されるものでなく、図14に示すように、伝熱支持板部32a及び33aと伝熱支持側板部32c及び33cとを一体に構成するようにしてもよい。この場合には、伝熱支持板部32a及び33aと伝熱支持側板部32c及び3cとの間に継ぎ目が形成されることがなくなるので、熱抵抗を小さくしてより効率の良い放熱を行うことができる。
また、上記実施形態においては、制御回路基板22及び電源回路基板23に伝熱部材35及び37を介して伝熱支持板部32a及び33aを結合した場合について説明した。しかしながら、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、制御回路基板22及び電源回路基板として、図15に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金を主体とした放熱板71上に絶縁層72を介して回路パターン73を形成した金属ベース回路基板74を適用することができる。この場合には、図15に示すように、伝熱部材35及び37と伝熱支持板部32a及び33aを省略して、金属ベース回路基板74の放熱板71を直接伝熱支持側板部32c及び33cに接続するようにすればよい。
また、上記実施形態では、冷却部材13と伝熱支持部材32及び33の共通の底板部34との間に封止部材となる板状弾性部材45を配置したが、これに代えてOリング46に略対向する位置に封止部材としてOリングを配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、制御回路基板22及び電源回路基板23と伝熱支持板部32a及び33aとの間に介挿した伝熱部材35及び37が弾性を有する場合について説明した。しかしながら、本発明では上記構成に限定されるものではなく、絶縁被覆した金属板等の弾性を有さない伝熱部材を適用することもできる。
さらに、上記実施形態では、平滑用のコンデンサとしてフィルムコンデンサ4を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、円柱状の電解コンデンサを適用するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、本発明による電力変換装置を電気自動車に適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、軌条を走行する鉄道車両にも本発明を適用することができ、任意の電気駆動車両に適用することができる。さらに電力変換装置としては電気駆動車両に限らず、他の産業機器における電動モータ等のアクチュエータを駆動する場合に本発明の電力変換装置を適用することができる。
1…電力変換装置、2…筐体、3…冷却体、3a…給液口、3b…排液口、3c…通液路、3d,3e…直線路、3f…屈曲路、3g…開放窓、4…フィルムコンデンサ、5…蓄電池収納部、11…半導体パワーモジュール、12…ケース体、13…冷却部材、13a…冷却フィン、21…駆動回路基板、22…制御回路基板、23…電源回路基板、24,25…継ぎねじ、32…伝熱支持部材、32a…伝熱支持板部、32b…固定ねじ、32c…伝熱支持側板部、33…伝熱支持部材、33a…伝熱支持板部、33b…固定ねじ、33c…伝熱支持側板部、34…底板部、35,37…伝熱部材、39…発熱回路部品、40…間座(間隔調整部材)、45…板状弾性部材、71…放熱板、72…絶縁層、73…回路パターン、74…金属ベース回路基板

Claims (15)

  1. 冷却液を通流する通液路を有し、該通液路の一部に開放窓を有する冷却体と、
    一面に、前記冷却体の開放窓ないに挿通される接液部を有すると共に、前記冷却体の開放窓を閉塞する冷却部材が形成された半導体パワーモジュールと、
    前記半導体パワーモジュールを駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板と、
    該実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に所定間隔を保って支持し、当該実装基板の熱を前記冷却体に伝熱するため前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有する伝熱支持部材と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記実装基板は金属ベース回路基板で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 冷却液を通流する通液路を有し、該通液路の一部に開放窓を有する冷却体と、
    電力変換用の半導体スイッチング素子をケース体に内蔵し、当該ケース体の一面に、前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有すると共に、前記冷却体の開放窓を閉塞する冷却部材が形成された半導体パワーモジュールと、
    前記半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板と、
    該実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に所定間隔を保って支持し、当該実装基板の熱を前記冷却体に筐体を介することなく放熱するように前記半導体パワーモジュールの少なくとも一側面側を通って前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有する伝熱支持部材と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  4. 前記実装基板は金属ベース回路基板で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 冷却液を通流する通液路を有し、該通液路の一部に開放窓を有する冷却体と、
    電力変換用の半導体スイッチング素子をケース体に内蔵し、当該ケース体の一面に、前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有すると共に、前記冷却体の開放窓を閉塞する冷却部材が形成された半導体パワーモジュールと、
    前記半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板と、
    該実装基板を前記半導体パワーモジュールとの間に所定間隔を保って支持し、当該実装基板の熱を前記冷却体に筐体を介することなく放熱するように前記半導体パワーモジュールの少なくとも一側面側を通って前記冷却体の開放窓内に挿通される接液部を有する伝熱支持部材と、
    前記実装基板と前記伝熱支持部材との間に介挿した伝熱部材と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置。
  6. 前記伝熱支持部材は、前記伝熱部材を介して前記実装基板を支持する伝熱支持板部と、該伝熱支持板部の側面を固定支持して前記接液部を有する伝熱支持側板部とで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
  7. 前記伝熱支持板部と前記伝熱支持側板部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
  8. 前記伝熱支持板部は、複数の伝熱支持側板部に固定支持されていることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
  9. 前記伝熱支持部材の接液部は、前記冷却体の開放窓内に、冷却液の通液方向と交差する方向に延長して配置されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電力変換装置。
  10. 前記伝熱支持部材の接液部は、櫛歯状に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
  11. 前記伝熱支持部材の接液部は、前記冷却体の開放窓内に、冷却液の通液方向と平行に延長して配置されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電力変換装置。
  12. 前記伝熱支持部材は前記半導体パワーモジュールを挟んで対向する第1の伝熱支持部材及び第2の伝熱支持部材で構成され、前記第1の伝熱支持部材の接液部が前記冷却部材の接液部の上流側に配置され、前記第2の伝熱支持部材の接液部が前記冷却部材の接液部の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電力変換装置。
  13. 前記第1の伝熱支持部材に実装される第1の実装基板に、前記第2の伝熱支持部材に支持される第2の実装基板に実装される発熱回路部品より高い発熱量の発熱回路部品を実装したことを特徴とする請求項12に記載の電力変換装置。
  14. 前記伝熱支持側板部及び前記冷却体の接触面と前記伝熱支持側板部及び前記冷却部材の接触面とに封止部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電力変換装置。
  15. 前記伝熱支持側板部及び前記冷却体の接触面に封止部材を設け、前記伝熱支持側板部及び前記冷却部材の接触面に互いに伸縮性を有する板状弾性部材及び接着剤層の何れか介在させたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電力変換装置。
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