JPWO2014042076A1 - 改質油脂組成物を用いたポリヒドロキシアルカノエートの製造方法 - Google Patents

改質油脂組成物を用いたポリヒドロキシアルカノエートの製造方法 Download PDF

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    • C12N1/20Bacteria; Culture media therefor

Abstract

本発明は、加工特性に優れた高分子量のポリヒドロキシアルカノエートを製造するために改質された植物由来の炭素源を提供すること、さらにそれを利用したポリエステルの製造方法を提供することを課題とする。植物油脂由来の炭素源の高遊離脂肪酸画分を活性白土により処理することで、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸が効率よく除去可能であること、及び、当該処理後の炭素源を用いて微生物を培養することで、より高分子量のポリヒドロキシアルカノエートを製造できることを見出した。ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mM以下であり、遊離脂肪酸含有量が20重量%以上である植物由来の炭素源を用いて、微生物を培養することを特徴とする、ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法を提供する。

Description

本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート(以下PHA)の製造方法の技術に関する。
環境問題、食糧問題、健康・安全に対する意識の高まり、天然/自然志向の高まりなどを背景に、微生物の生産や微生物による物質製造(発酵生産、バイオ変換など)の意義・重要性が益々高まっている。
微生物の生産や微生物による物質の製造においては、微生物によって好適に資化される炭素源(培養、発酵などのための炭素源)が必要である。その炭素源の代表的なものとして、糖質、油脂(例えば、植物油脂)、脂肪酸(例えば、植物由来の脂肪酸)などが挙げられる。近年、これらの炭素源として、環境問題などを背景に、再生可能な炭素源(特に非石油由来炭素源)、さらに、食糧と競合しない炭素源(所謂、非可食の炭素源)が望まれている。
この観点から、脂肪酸(例えば、植物由来の脂肪酸)は、好適な炭素源の候補の一つとして考えられている。これらの脂肪酸は、例えば、やし、パーム(パーム核を含む)などから得られる。これらの植物に由来する代表的な脂肪酸としては、炭素数12のラウリン酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数16のパルミチン酸などの長鎖飽和脂肪酸や炭素数18のオレイン酸などの長鎖不飽和脂肪酸といった長鎖脂肪酸が挙げられる。
脂肪酸等の炭素源により広範な微生物によって生成されるポリエステル型有機分子ポリマーとして、PHAが挙げられる。PHAは生分解性を有し、熱可塑性高分子であること、また、再生可能資源から産生されることから、環境調和型素材または生体適合型素材として工業的に生産し、多様な産業へ利用する試みが行われている。例えば、パーム油精製工程由来の脂肪酸混合物であるPFAD(Palm fatty acid distillate)やパーム核油由来の脂肪酸混合物PKAO(Palm kernel acid oil)を用いてPHAを生産する研究が行われている(非特許文献1)。
PHAはその分子量によって特性が変化し、繊維などに加工する際にはできるだけ高分子量であることが望ましい。発酵生産工程におけるPHAの分子量制御、特に、分子量を高めるための技術が必要とされている。
これまでに、微生物が産生するPHAの分子量に強く影響する物質が報告されている。例えば、Ralstonia eutropha(現在の分類はCupriavidus necator)に炭素源としてグルコースと種々の有機化合物を添加したところ、1−プロパノールや1−ブタノール、1,4ブタンジオール、グリセロール、エチレングリコールなどのヒドロキシル基を有する化合物に分子量を低下させる効果があることが報告されている(非特許文献2)。しかしながら、油脂精製副産物である脂肪酸混合物中にそのようなヒドロキシル基を保有した物質が含まれているとは考えにくく、産業上有用な植物由来の脂肪酸混合物を利用して、分子量の低下を抑制しながらPHAを生産する技術には課題が残されていた。
植物油由来の脂肪酸混合物の1つとして、産業上重要なパーム核油由来である組成物(以後、PKFAD(Palm kernel fatty acid distillate、PKAOと同義)と記載)(非特許文献3)が存在するが、微生物によるPHAの製造における有用性は知られていない。
Appl Microbiol Biotechnol, 89: 1373-1386 (2011) Biological Macromolecules, 25: 43-53 (1999) Journal of Oleo Science 56(1):13-17 (2007)
本発明は、微生物を使用した、高分子量のPHAの生産方法を提供することを課題とする。さらに、改質された植物由来の炭素源を提供すること、およびそれを利用したPHAの製造方法を提供することを課題とする。具体的には、植物由来の炭素源中に存在し、微生物によって合成されるPHAの分子量を低下させている物質を除去して得られる炭素源、及び、当該炭素源によるPHAの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、パーム核油由来であり、遊離脂肪酸含量の高いPKFAD(Palm kernel fatty acid distillate)を用いてPHAの生産研究を行った結果、遊離脂肪酸含量の低いパーム核油(PKO)と比較して、分子量の低いPHAが生産されることを見出した。さらに、白土処理した植物由来の炭素源を用いると、微生物によって生産されるPHAの分子量が向上することを見出し、さらに、白土処理で選択的に除去されている物質がブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸であることを見出し、それらが実際に分子量低下を引き起こしていることを見出して本発明を完成させた。
本発明は、ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mM以下であり、遊離脂肪酸含有量が20重量%以上である植物由来の炭素源を用いて、微生物を培養することを特徴とする、ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関する。
さらに、ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mMを超え、遊離脂肪酸含有量が20重量%以上である植物由来の炭素源から、ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mM以下である植物由来の炭素源を調製する工程を含むことが好ましい。
植物由来の炭素源中のブタン酸の含有量が6mM以下であることが好ましい。
植物由来の炭素源中のヘキサン酸の含有量が35mM以下であることが好ましい。
植物由来の炭素源が、活性白土により処理されたものであることが好ましい。
植物由来の炭素源がパーム核油であることが好ましい。
微生物がCupriavidus属細菌であることが好ましい。
Cupriavidus属細菌がCupriavidus necator、又はその遺伝子組み換え体であることが好ましい。
ポリヒドロキシアルカノエートがポリヒドロキシブチレートヘキサノエートであることが好ましい。
また、本発明は、植物由来の炭素源を活性白土と接触させることを特徴とする、微生物培養のための炭素源の製造方法に関する。
本発明は、産業上有意義な、植物油脂製造工程で生産される炭素源を利用し、高分子量のPHAを生産することを可能とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるPHAの種類としては、微生物が生産するPHAであれば特に限定されないが、好ましくは、炭素数4〜16の3−ヒドロキシアルカン酸から選択される構成成分を重合して得られるPHAや、炭素数4〜16の3−ヒドロキシアルカン酸から選択される構成成分を共重合して得られる共重合PHAである。
例えば、炭素数4の3−ヒドロキアルカン酸を重合して得られるポリヒドロキシブチレートP(3HB)、炭素数4と6の3−ヒドロキシアルカン酸を共重合して得られるポリヒドロキシブチレートヘキサノエートP(3HB−co−3HH)、炭素数4と5の3−ヒドロキシアルカン酸を共重合して得られるポリヒドロキシブチレートバレレートP(3HB−co−3HV)、炭素数4〜14の3−ヒドロキシアルカン酸を重合或いは共重合して得られるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などが挙げられる。製造するPHAは、例えば、宿主微生物として用いるC.necatorに、公知のPHA合成に関する遺伝子を導入する際に、適宜選択することができる。
本発明では、微生物の培養において、植物由来の炭素源を使用する。植物由来の炭素源は脂肪酸混合物を含むものであってもよい。脂肪酸混合物とは、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、及び遊離脂肪酸などの脂溶性有機物の混合物を指す。
植物由来の炭素源は、PHA生産微生物が資化可能であればいずれの植物に由来する炭素源でも使用可能である。植物は限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、コーン油、やし油、オリーブ油、大豆油、菜種油、ヤトロファ油などの油脂の製造工程にて蒸留除去された遊離脂肪酸を多く含む植物由来の炭素源が好ましい。より短鎖の脂肪酸を構成脂肪酸として含むという理由から、植物油脂であるパーム核油、ヤシ油などがより好ましい。
植物由来の炭素源中のブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計は、50mM以下であり、好ましくは42mM以下、より好ましくは40mM以下、さらに好ましくは20mM以下である。ブタン酸、ペンタン酸に関しては好ましくは6mM以下、より好ましくは4mM以下、さらに好ましくは2mM以下である。ヘキサン酸に関しては、好ましくは35mM以下、より好ましくは30mM以下、さらに好ましくは25mM以下である。
非可食の有用炭素源として期待されるPFADやPKFADは、有機酸であるブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mMを超える場合がある。植物由来の炭素源中のブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が多い場合には、当該炭素源から、ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mM以下である植物由来の炭素源を調製して使用することができる。調製法としては、例えば、該炭素源から前記有機酸を除去する方法が挙げられる。除去方法は、除去が可能であればその方法を選ばないが、例えば、活性白土処理法、活性炭処理法、水等の水溶性成分を用いた抽出法や、それらの併用が挙げられる。また、前記有機酸の含有量の合計が50mMを超える炭素源を、PKO(Palm Kernel Oil)やPOO(Palm Olein Oil)等の他の炭素源と混合(希釈)することで、炭素源全体における遊離脂肪酸含有量を20重量%以上に維持しつつ、上記有機酸の含有量の合計が50mM以下である植物由来の炭素源を調製してもよい。これらの調製法の中でも、上記有機酸を除去する方法が好ましく、特に、植物由来の炭素源を活性白土と接触させることによる、活性白土処理法が好ましい。
植物由来の炭素源中の、長鎖の遊離脂肪酸含有量は、遊離脂肪酸を多く含む非可食成分の産業利用という観点から、20重量%以上であり、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。ここで、遊離脂肪酸とは、他の化合物と結合していない脂肪酸を指す。長鎖の遊離脂肪酸として、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸などが挙げられる。
PHAの製造に使用する微生物は、PHAを合成可能な微生物やその遺伝子組み換え体であれば、特に限定されないが、例えば、ラルストニア(Ralstonia)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、ワウテルシア(Wautersia)属、アエロモナス(Aeromonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomonas)属等が挙げられ、この中でもCupriavidus属細菌が好ましい。Cupriavidus属細菌の中では、Cupriavidus necatorがより好ましい。勿論、前記微生物を人工的に突然変異処理して得られる変異株、遺伝子工学的手法により変異処理された遺伝子組み換え体も使用できる。
宿主微生物に導入するための、PHA合成に関わる遺伝子としては、3HBの供給系であるチオラーゼ、レダクターゼ、PHB合成酵素であるPHBシンターゼ、PHA合成酵素であるPHAシンターゼ、β酸化の酵素であるアシル−CoAトランスフェラーゼ、エノイル−CoAヒドラターゼ、アシル−CoAデヒドロゲナーゼ等が挙げられる。チオラーゼとしては、β−ケトチオラーゼ等が挙げられ、レダクターゼとしては、アセトアセチルCoAレダクターゼ等が挙げられ、PHAシンターゼとしては、Aeromonas caviae由来のPHAシンターゼ変異体遺伝子であるN149S/D171G変異体等が挙げられ、アシル−CoAトランスフェラーゼとしては、3−ヒドロキシアシルACP−CoAトランスフェラーゼ等が挙げられる。これらの遺伝子は、例えばAeromonas caviae、Aeromonas hydrophila、Chromobacterium属などのPHA生産細菌由来であることが好ましい。これらの遺伝子に変異を導入して使用することも可能である。
遺伝子を宿主微生物に導入するためにプラスミドを使用する場合、プラスミドは、選択圧が存在しない条件でも宿主微生物内において安定に複製及び維持されることが好ましい。このようなプラスミドとしては、国際公開公報WO2007/049716号公報に記載のpCUP2等が挙げられる。pCUP2にはC.necatorと近縁であるカプリアビダス・メタリデュランス(Cupriavidus metallidurans)CH34株が保有するメガプラスミドpMOL28由来のプラスミドの複製や安定維持に必要な領域が含まれている。一方、ベクターは、宿主微生物内における安定的な複製及び維持のために、薬剤耐性遺伝子を含んでいてもよい。
宿主微生物に遺伝子を導入して形質転換体を作製する方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。例えば、エレクトロポレーション法や、カルシウム法、接合伝達法などを用いることができる。
PHAは、微生物を前培養培地で増殖させた後、PHA生産培地で培養することにより、微生物内に蓄積させることができる。前培養培地は、微生物を増殖可能な培地であれば特に限定されない。
PHA生産培地は、植物由来の炭素源を含み、その他に、窒素源、無機塩類等を含んでいてもよい。窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。無機塩類としては、例えばリン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。培地には、遺伝子発現プラスミドが含む薬剤耐性遺伝子に対応する抗生物質(カナマイシン等)を添加してもよい。
培養温度は、微生物が生育可能な温度であればよいが、20℃から40℃が好ましい。培養時間は、特に制限はないが、1日から10日間程度でよい。
微生物からのPHAの回収は、例えば、次の方法により行うことができる。培養終了後、培養液から遠心分離機等で菌体を分離し、その菌体を蒸留水およびメタノール等により洗浄し、乾燥させる。この乾燥菌体から、クロロホルム等の有機溶剤を用いてPHAを抽出する。このPHAを含んだ溶液から、濾過等によって菌体成分を除去し、そのろ液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒を加えてPHAを沈殿させる。さらに、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させてPHAを回収する方法が挙げられる。
微生物菌体の生産量は吸光度法や乾燥菌体重量測定法などの公知の方法で測定でき、また、微生物が産生する物質の生産量はGC法、HPLC法などの公知の方法で測定できる。細胞中に蓄積されたPHAの含量は、加藤らの方法(Appl.MicroBiol.Biotechnol.,45巻、363頁、(1996);Bull.Chem.Soc.,69巻、515頁(1996))に従い、培養細胞からクロロホルムなどの有機溶媒を用いて抽出し、乾燥することで測定できる。
以下に実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。なお全体的な遺伝子操作は、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press、(1989))に記載されているように行うことができる。また、遺伝子操作に使用する酵素、クローニング宿主等は、市場の供給者から購入し、その説明に従い使用することができる。なお、酵素としては、遺伝子操作に使用できるものであれば特に限定されない。
(実施例1)
(1)PKFADの白土処理による改質
炭素源PKFADはMALAYSIAN BIOTECHNOLOGY CORPORATION SDN BDHより入手した。PKFADを1kg計量し、90℃にて10分間、エバポレーター(EYELA製、N−1200型)にて高温減圧処理を行った。その後、PKFADに対して10wt%の活性白土(水澤化学工業社製)を添加し、再度90℃、30分間、同様のエバポレーターにて高温減圧処理を行うことで、PKFAD中のブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸等の脂肪酸成分を白土に吸着させた。その後、ろ過によって白土を分離除去することで改質した植物油脂(以下、改質PKFAD)を作製した。
(2)PKFAD、及び改質PKFAD中の脂肪酸分析
PKFAD、改質PKFAD、トリオレイン(和光純薬工業社製:参考例1にて標準炭素源として利用)中の脂肪酸を定量分析した。脂肪酸量は、水素炎イオン化検出器(FID)を用いた有効炭素数法によって解析した。
(2−1)サンプル調製
PKFADおよび改質PKFADをφ0.45μm ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルター(ADVANTEC社製)でろ過した。それぞれ500μLを1.5mLバイアル管中でヘキサン500μL(内標準)と混合し、8mm ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)/シリコンセプタムを挟んで蓋をした。
(2−2)測定条件
GC測定は、以下の条件下で行った。
・装置
GC装置:ガスクロマトグラフGC−14B(島津製作所社製)
キャピラリーカラム:
100% メチルポリシロキサン無極性カラム1010−11143
(架橋タイプ、内径0.25mm×30mm、膜厚0.4μm)(ジーエルサイエンス社製)
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
オートインジェクタ:AOC−20iオートインジェクタ221−44527−30(島津製作所社製)
オートサンプラ:AOC−20sオートサンプラ221−44880−30(島津製作所社製)
解析装置:クロマトパックC−R7A plus(島津製作所社製)
ガス圧力を、表1に示す。
Figure 2014042076
温度設定を、表2に示す。
Figure 2014042076
(2−3)GC測定データの解析
FIDを用いた有効炭素数法とは、炭化水素では相対モル感度が炭素原子数に比例し、また炭化水素の水素原子が他の原子や官能基と置換した誘導体では、これらが結合する炭素原子に一定の補正値を増減して算出されるいわゆる有効炭素原子数の総和に比例すると考え、その物質のモル濃度を算出する方法である。Sternbergら(Sternberg,J.C.,Gallaway,W.E.,and Jones,D.T.L.:Gas Chromatography. Academic Press,New York:207(1962))によれば、各型の炭素1原子あたりの有効炭素原子数および結合各原子による補正値は表3に示す。
有効炭素原子数および補正値
Figure 2014042076
例えばヘキサン酸のモル濃度を算出しようとした場合、ヘキサン酸の有効炭素原子数は、(飽和脂肪族)+(カルボニル)−(第一アルコール)であり、1.0×5 +0.0−0.6=4.4となる。
解析結果を表4に示す。
Figure 2014042076
(参考例1)ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸添加培養
実施例1の結果、改質PKFADでは、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸の濃度が低下していることが明らかとなった。そこで、上記脂肪酸の添加によるPHAの分子量低下効果について検討を行った。
(1)菌株
使用した菌株を以下に示す。
・Escherichia coli S17−1(Simon, R.,Priefer,U.,and Puhler,A.:Abroad host range mobilization system for in vivo genetic engineering transposon mutagenesis in gram negative bacteria.Biotechnology,1:784−791(1983):参照)
・d1(特開2007−259708号公報参照)
(2)プラスミド
使用したプラスミドを以下に示す。
・pBBREE 32d13dPB NSDG
(Watanabe,Y.,Ichinomiya,Y.,Shimada,D.,Saika.A.,Abe,H.,Taguchi,S.,and Tsuge,T.:Dvelopment and validation of an HPLC−based screening method to acquire polyhydroxyalkanoate synthase mutants with altered substrate specificity.J Biosci Bioeng.113:286−292(2011):参照)
(3)培地
すべての培地は121℃、2気圧、20分のオートクレーブ処理により滅菌した。また、培地組成中のオートクレーブ後に加える試薬については、0.20μmフィルターによりフィルター滅菌を行った。寒天プレート培地を作成する場合には、1.5%(w/v)の割合で寒天を添加した。抗生物質を添加する場合においては、オートクレーブ後の培地に、カナマイシンを終濃度50μg/mLになるよう添加した。
(3−1)Luria−Bertani(LB)培地
遺伝子の接合伝達に使用したE.coli S17−1株はLB培地で培養した。LB培地の組成を表5に示す。オートクレーブ後に抗生物質を添加した。
Figure 2014042076
(3−2)Nutrient−Rich(NR)培地
接合伝達および前培養に使用したd1株はNR培地で培養した。NR培地の組成を表6に示す。オートクレーブ後に抗生物質を添加した。
Figure 2014042076
(3−3)シモンズクエン酸培地
接合伝達におけるd1株のスクリーニングにはシモンズクエン酸培地を使用した。シモンズクエン酸培地の組成を表7に示す。オートクレーブ後に抗生物質を添加した。
Figure 2014042076
(3−4)Mineral salt(MS)培地
PHA生合成におけるd1株はMS培地で培養した。MS培地の組成を表8〜9に示す。トリオレインを炭素源として培養する場合には、トリオレインを20g/L添加してからオートクレーブした。また、微量金属成分、硫酸マグネシウム、連鎖移動剤は、それぞれオートクレーブ後に添加した。なお、脂肪酸は培地全体中の終濃度が1mM、トリオレイン中の濃度が50mMとなるよう添加した。
Figure 2014042076
Figure 2014042076
(3−5)SOC培地
塩化カルシウム法での形質転換にSOC培地を使用した。SOC培地の組成を表10に示す。
Figure 2014042076
(4)形質転換
(4−1)塩化カルシウム法
目的遺伝子のサブクローニングに塩化カルシウム法を用いた。
(i)E.coli S17−1株のコンピテントセルを氷上で溶かし、プラスミドDNA(pBBREE32d13dPB NSDG)溶液2μLを静かに添加した。
(ii)氷上で30〜60分冷却した後、42℃の恒温槽中で30〜90秒ヒートショックした。
(iii)ヒートショック後、速やかに氷上に移して2〜3分間冷却した。
(iv)SOC培地900μLを加え、37℃で30〜60分間振とう培養した。
(v)カナマイシンを含むLB寒天培地に塗り広げ、37℃で一晩培養した。
(4−2)接合伝達法
d1に遺伝子を導入する目的で接合伝達を行った。
(i)形質転換によって目的のプラスミドを導入したE.coli S17−1株をカナマイシンを含むLB培地1.7mLに植菌し、37℃で16時間培養した。
(ii)導入する宿主(d1株)もNR培地1.7mLに植菌し、30℃で16時間培養した。
(iii)培養後、それぞれの培養液全量をオートクレーブ済みエッペンチューブに移し、10,000rpmで1min遠心した。
(iv)カナマイシンを含むE.coli S17−1株には、更にLB培地500μLを加えて遠心することにより、抗生物質を完全に除去した。
(v)上清を50μLほど残るように捨てて、E.coli S17−1株とR. eutropha d1株を混合し、LB寒天培地に滴下し、乾燥後、30℃で5時間培養した。
(vi)培養後、カナマイシンを含むシモンズクエン酸寒天培地にストリークし、30℃で2日間培養した。
(vii)得られた単一コロニーを再度カナマイシンを含むシモンズクエン酸培地にストリークし、30℃で2日間培養した。
(viii)形成された単一コロニーをカナマイシンを含むNR寒天培地にストリークし、30℃で2日間培養した。
(ix)形成された単一コロニーをカナマイシンを含むNR培地1.7mLに植菌し、30℃で16時間培養後、培養液100μLとオートクレーブ済みの30%グリセロール溶液100μLを混合し、−80℃で保存した。
(5)振とう培養および集菌
(5−1)培養方法
d1/pBBREE32d13dPB NSDGの培養はNR培地およびMS培地を用いた。上記で作成したグリセロールストック溶液をカナマイシンを含むNR寒天培地にストリークし、30℃で2日間培養した。形成された単一コロニーをカナマイシンを含むNR液体培地1.7mLに植菌し、30℃、150min−1で16時間振とう培養した(前培養)。500mL振とうフラスコに、単一炭素源としてトリオレイン(20g/L)を含む50mLのMS液体培地を入れ、前培養液500μLを植菌し、30℃、130min−1で72時間振とう培養した(本培養)。なお、抗生物質としてカナマイシン(50mg/L)を加えた。
(5−2)集菌方法
本培養液を250mL遠沈管に移し、振とうフラスコ内を適量のヘキサンで1回、純水で3回すすぎ、この洗液も遠沈管に加えて激しく撹拌した後、4℃、6000rpmで10min遠心分離し、上清を除いた。菌体ペレットを適量の純水で懸濁、激しく撹拌した後、6000rpmで10min遠心分離し、上清を除いた。ペレットを適量の純水(5mL未満)で懸濁し、懸濁液を風袋を秤量済みの5mL集菌チューブに移し、パラフィルムでチューブの口を塞いで−20℃で凍結した。チューブの口を塞いだパラフィルムに数か所の風穴を開け、真空乾燥機で水分を完全に除去した(おおよそ3日間)。パラフィルムを除き、チューブを秤量することで乾燥菌体重量を得た。
(6)ポリマー分析
(6−1)PHAの含有率とモノマー組成比の分析
培養した菌体が合成したPHAの含有率とモノマー組成比は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて内部標準法(Sternberg,J.C.,Gallaway,W.E.,and Jones,D.T.L.:Gas Chromatography.Academic Press,New York:207(1962)参照)により求めた。この方法では、メタノリシス反応により生じた乾燥菌体内PHA分解物であるメチルエステルを測定する。
メタノリシス反応によるPHAの分解
Figure 2014042076
(6−2)GC測定サンプル調製
乾燥菌体をネジ蓋付き試験管に約10mg採り、15%硫酸−メタノール溶液2mLとクロロホルム2mLを加え、途中で数回激しく撹拌しながら100℃で140min加熱した。室温まで放冷した後、超純水1mLを加えて激しく混合し、一晩放置した。二層分離したサンプル溶液の下層(クロロホルム層)をパスツールピペットで採り、φ0.45μm ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルター(ADVANTEC製)でろ過した。1.5mLバイアル管にこのろ液と0.1vol% オクタン酸メチル−クロロホルム溶液を500μLずつ加え、8mmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)/シリコンセプタムを挟んで蓋をした。
(6−3)GC測定
GC測定は、以下の条件で行った。
・装置
GC装置:ガスクロマトグラフGC−14B(島津製作所社製)
キャピラリーカラム:
100%メチルポリシロキサン無極性カラム1010−11143
(架橋タイプ、内径0.25mm×30m、膜厚0.4μm)(ジーエルサイエンス社製)
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
オートインジェクタ:AOC−20iオートインジェクタ221−44527−30(島津製作所社製)
オートサンプラ:AOC−20sオートサンプラ221−44880−30(島津製作所社製)
解析装置:クロマトパックC−R7A plus(島津製作所社製)
ガス圧力を、表11に示す。
Figure 2014042076
設定温度を、表12に示す。
Figure 2014042076
(6−4)GC測定データの解析
FIDにより検出した各保持時間のピークの積分値から、PHA菌体内含有率およびモノマー組成比を決定した。GC測定結果の解析は以下の手順で行った。
GC測定の結果、各モノマーに対応するメチルエステルa、b、cが検出されたとき、その積分値をA、B、Cとし、対応する補正係数(相対感度の逆数)をX、Y、Zとすると、aのモル分率は次式から求められる。
Figure 2014042076
なお、3HBの値で規格化された各補正係数を表13に示す。
Figure 2014042076
内部標準物質であるオクタン酸メチルのピークの積分値をS、サンプルに用いた乾燥菌体の重量をm(mg)とすると、PHA菌体内含有率P(wt%)は以下の式より算出できる。
Figure 2014042076
ここでKはP(3HB)を用いて作成した検量線から決定した定数であり、次式よりK値を6.2とした。
Figure 2014042076
(7)GPC測定
(7−1)ポリマー抽出
乾燥菌体を50mLネジ口サンプル管に移し、クロロホルム50mLを加えて、室温で3日間撹拌した。その後、溶液をろ過(ADVANTEC社製 No.1 ろ紙)し、菌体を除去した。次に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、粗雑なPHAを得た。
(7−2)ポリマー精製
粗雑なPHAを適量のクロロホルムに完全に溶解し、約10倍量のメタノールに滴下した。静置後、析出物をろ別(ADVANTEC社製 No.5B ろ紙)した。その後、真空乾燥機で溶媒を完全に除去し、精製PHAを得た。
(7−3)GPCサンプル調製法
PHA 約1mgを5mLバイアル管に入れ、クロロホルム1mLを加えて一晩放置し、PHAを溶解させた。このPHA溶液をφ0.45μmのPVDFフィルター(ADVANTEC社製)でろ過し、ろ液の全量を1.5mLバイアル管に入れ、8mm PTFE/シリコンセプタムを挟んで蓋をした。
(7−4)GPC測定条件
・装置
システムコントローラー:SCL−10A VP(島津製作所社製)
オートインジェクター:SIL−10A VP(島津製作所社製)
送液ユニット:LC−10AD VP(島津製作所社製)
カラムオーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
分離カラム:K−806M、K−802(Shodex社製)
検出器:RID−10A(島津製作所社製)
・測定条件
測定条件を表14に示す。
Figure 2014042076
(7−5)GPC測定データの解析
測定サンプルの分子量および分子量分布の解析には、解析ソフトGPC for CLASS VP(島津製作所社製)を用い、標準物質であるスタンダードポリスチレンとの相対値として重量平均分子量(Mw)を算出した。
結果を表15に示す。ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸を添加することで微生物により生産されるPHAの分子量(Mw)が低下することが明らかとなった。
ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸添加によるPHA分子量への影響評価結果
Figure 2014042076
(実施例2)改質PKFADを用いたPHAの生産
実施例1にて作製した改質PKFADを用い、高密度培養によるPHAの生産を行った。生産にはPac−bktB/AS+pCUP2−631株(国際公開公報WO2009/145164号公報参照)を用いた。
種母培地の組成は1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−tryptone、0.2w/v% Yeast extract、0.9 w/v% NaHPO・12HO、0.15w/v% KHPO、(pH6.8)とした。
前培養培地の組成は1.1w/v% NaHPO・12HO、0.19w/v% KHPO、1.29w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、2.5w/v% パームオレインオイル、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)、とした。炭素源はパームオレインオイルを10g/Lの濃度で一括添加した。
PHA生産培地の組成は0.385w/v% NaHPO・12HO、0.067w/v% KHPO、0.291w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v%CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)とした。
まず、Pac−bktB/AS+pCUP2−631株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し種母培養を行なった。次に種母培養液を1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ社製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら24時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、前培養液を2.5LのPHA生産培地を入れた5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ社製MDS−U50型)に5.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量2.1L/minとし、pHは6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源として改質PKFADを断続的に添加した。培養は60時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
得られた乾燥菌体1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mlになるまで濃縮後、90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、菌体内のポリマー含量を算出した。
また、参考例1と同様の方法にて、得られたPHAの分子量、及びモノマー組成比を測定した。結果を表16に示す。
(比較例1)未改質PKFADを用いたPHAの生産
未改質のPKFADを使用した以外は実施例2と同じ方法で、PHAを製造し、分析した。結果を表16に示す。
改質PKFAD、及び未改質PKFADを用いた高密度培養結果
Figure 2014042076
ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量が少ない改質PKFADを使用することで、微生物により生産されるPHAの分子量(Mw)を向上できることが明らかとなった。
(測定例1)PFAD、又はPKFAD中の遊離脂肪酸含有量測定
PFAD、及びPKFAD、並びに、食用パーム油であるPKO(Palm kernel oil)、及びPOO(Palm Olein Oil)の遊離脂肪酸含有量を、基準油脂分析試験法「2.4.6.1−1996 トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)」に準じて測定した。結果を表17に示す。
PKFAD、PFAD及び食用油脂(PKO、POO)の遊離脂肪酸含有量
Figure 2014042076
油脂精製工程にて産生されるPFADやPKFADは、遊離脂肪酸含量が高い。本発明の方法によれば、非可食成分である、遊離脂肪酸含量が高い植物由来の炭素源を用いて、高分子量のPHAを効率的に製造することが可能である。

Claims (10)

  1. ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mM以下であり、遊離脂肪酸含有量が20重量%以上である植物由来の炭素源を用いて、微生物を培養することを特徴とする、ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  2. さらに、ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mMを超え、遊離脂肪酸含有量が20重量%以上である植物由来の炭素源から、ブタン酸、ペンタン酸、及びヘキサン酸の含有量の合計が50mM以下である植物由来の炭素源を調製する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 植物由来の炭素源中のブタン酸の含有量が6mM以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 植物由来の炭素源中のヘキサン酸の含有量が35mM以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 植物由来の炭素源が、活性白土により処理されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 植物由来の炭素源がパーム核油である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 微生物がCupriavidus属細菌である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. Cupriavidus属細菌がCupriavidus necator、又はその遺伝子組み換え体である、請求項7に記載の製造方法。
  9. ポリヒドロキシアルカノエートがポリヒドロキシブチレートヘキサノエートである、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 植物由来の炭素源を活性白土と接触させることを特徴とする、微生物培養のための炭素源の製造方法。
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