JPWO2014041593A1 - 生体試料用包装容器及びそれを用いた生体試料の輸送方法 - Google Patents

生体試料用包装容器及びそれを用いた生体試料の輸送方法 Download PDF

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Abstract

凹部を備えた試料収容容器と、該試料収容容器の上面を封止する蓋部材と、蓋部材の裏面若しくは試料収容容器の上面に設けられた少なくとも1つのパッキンとを備え、試料収容容器は、生体試料を内部に保持する機能を有し、蓋部材は、試料収容容器と外部との間で液体及び気体の移動を可能とする流路チューブが設けられた第一の蓋部材と、流路チューブの無い第二の蓋部材とを含み、試料収容容器は、第一の蓋部材と第二の蓋部材とが交換可能に構成されている生体試料用包装容器。

Description

本発明は、生体試料の包装容器及び生体試料の輸送方法に係り、特に、細胞処理施設で製造された生体試料を収納して医療機関等へ輸送し、治療として生体へ適用するような用途に適した包装容器、及びその輸送方法に関する。
細胞を原料として製造した再生組織等の生体試料を用い、臓器等の機能を回復させる再生医療は、従来治療法のなかった疾病に対する根治療法として期待されている。再生医療に用いる再生組織等の生体試料の製造工程は、医薬品等の製造管理及び品質管理の基準である適正製造基準(GMP;Good Manufacturing Practice)に基づく。製造は細胞処理施設(CPC;Cell Processing Center)で行い、GMPを満たした標準手順書(SOP;Standard Operational Procedure)に従う。GMPは、日本国内では、厚生労働省の定める法規が施行されている(例えば厚生省令第179号、薬発第480号)。日本国外では、欧米の機関(例えば米国食料医薬品庁、欧州委員会)を中心に関連法規が施行されている。
CPCの運用には多大なコストと専門の培養技術を有した人材を必要とする。よって再生医療の産業化段階では、生産拠点となるCPCで再生組織を製造し、当該製造された生体試料を各地の医療機関、研究機関へ輸送し、患者への治療或いは研究に用いると考えられる。
上記背景に対する従来技術として、再生組織等の生体試料の輸送、包装技術に関する報告が幾つかある。特許文献1には、滅菌物であるピペット用チップやディッシュを滅菌袋により多重包装した多重滅菌包装物に関し、輸送後の施設内の空間清浄度に応じ順次包装袋から取り出すことで、内部の滅菌物の清浄度を維持する技術が開示されている。
特許文献2には、内部が密閉されていない開放系培養容器を、無菌的に収容可能な培養容器収納ボックスが開示されている。この培養容器収納ボックスには、気体のみを通過させ、菌や粒子等は外部から侵入しないフィルタが設置されている。このボックスを用い、細胞処理施設の細胞調製室にて開放系培養容器を収容することで、清浄性を維持した状態で細胞処理施設外へ運び出すことが可能となる。
特開2008−239168号公報 特開2004−154099号公報
生体試料の製造コストを下げるため、培養工程の一部ないし全てを自動化する自動培養装置の導入が求められている。培養工程を手作業ではなく自動培養装置により実施することで省力化とコストダウンを実現し、大量生産が可能となる。加えて自動培養装置による操作は一定であるため、製造後に得られる再生組織の品質一定化への寄与も期待される。
将来的に自動培養装置が製造工程に導入される可能性を考慮すると、自動培養装置による製造工程と、その後の輸送工程において、清浄性を維持しつつ、培養容器を円滑に輸送工程へ移行可能な技術が必要である。
また、胞処理施設で製造した再生組織等を含む生体試料を包装容器に収容して輸送する場合、清浄性の維持が重要である。
すなわち、輸送した生体試料を治療として生体へ適用するにあたり、輸送後の生体試料が代謝機能や細胞生存率といった指標に対し、良好な状態を維持している必要がある。特に、輸送中は清浄性を維持し、かつ、治療時に輸送時に用いた容器から生体試料を取り出す過程においても清浄性を維持する必要がある。CPCにて製造された生体試料は、治療を行う手術室まで、清浄性が制御されていない空間を通過する。よってその間、菌等の生物や粒子が生体試料を収容した容器の外部に付着する可能性がある。治療を行う際には、当該容器の内側にある生体試料に、菌等が付着し生物学的汚染を生じることがないよう、無菌的に取り出す必要がある。さらに、将来的に自動培養装置が製造工程に導入される可能性を考慮し、自動培養装置による製造工程と、その後の輸送工程において、円滑に工程が切り替わる技術も必要である。
特許文献1に記載の方法では、輸送時に多重包装した多重滅菌包装物を用いるため、滅菌包装物の内容物が外部から汚染される危険性は低く、清浄性を維持した輸送が可能である。しかし、生体試料及びそれを浸す培地を収容した開放系の培養容器を使用して自動培養装置等による製造を行い、その後の輸送工程でこの開放系の培養容器を輸送する場合を想定すると、輸送中に滅菌袋内において開放系の培養容器からの培地漏出を生じ、包装物の開封時に清浄ではない外部と培地を介し接触することとなり、結果として生物学的汚染の危険性が生じる。そのため、輸送中に培養容器から培地が漏出しない機構が必要となる。
また、輸送後の生体試料は移植等の治療に用いる前に、観察・検査し品質を確認する必要がある。細胞処理施設と手術室が同一敷地内にあり、輸送時間が短時間である場合は必ずしも必要ではないが、両者が異なる敷地内にあり、長時間の輸送が必要な場合は、輸送された生体試料の品質の確認が必要である。またその方法は、非侵襲である必要がある。特許文献1に記載の方法では、輸送された生体試料の品質の確認を行う場合、多重包装した滅菌袋を開封して生体試料が収容された容器を取り出し、位相差顕微鏡等で細胞を非侵襲的に観察することとなる。このとき、輸送先である医療機関、研究機関等にCPCの様な無菌状態を維持できる細胞処理施設が無ければ、無菌状態ではない検査室等において滅菌袋を開封し観察することになる。これは生体試料を収容した容器を汚染空間に曝すことを意味し、培養容器外に菌等が付着し汚染される可能性を示唆している。手術室へ当該培養容器を持ち込む際にエタノール消毒等を実施したとしても、全ての付着物を必ずしも除去できない。移植等の治療を行う時、培養容器の蓋を開ける際に除去しきれなかった菌や粒子等が落下し生体試料に付着、或いは培地内に入ると、生物学的汚染が生じる可能性がある。
輸送先である医療機関、研究機関等が細胞処理施設を有する場合、無菌的に開封し細胞を観察し、再度滅菌バッグ等に収容することは可能である。しかしその工程において、作業者が無菌性を維持したまま実施したことを実証することは困難である。標準手順書に従い作業を実施するものの、作業後の無菌性を治療時までに評価することは難しい。また、細胞処理施設を保有すること自体、多大なコストと専門の培養技術を有した人材を必要とし、容易には実現できない。
さらに移植時に生体試料を培養容器から取り出す際、培養容器内の培地が外部へ漏出することを回避する必要がある。前述の通り、輸送中は非清浄空間を通過するため、生体試料を収容した容器の外部の清浄性は失われている。また、輸送後に必要に応じ生体試料を検査する必要があり、同じく培養容器外の清浄性は必ずしも維持されていない。そのため、生体試料を培養容器から取り出す際に培地が漏出することは、生体試料に生物学的汚染が生じる危険性を意味する。よって、培養容器を治療時に開封する際、培地漏出の回避が必要である。
特許文献2に記載の培養容器収納ボックスは、開放系培養容器を無菌的に収容可能な容器であるが、この培養容器収納ボックスに開放系培養容器を収容した状態で輸送すると、開放系培養容器からの培地漏出の可能性がある。よって、輸送後の検査時及び治療時においてボックスから生体試料を取り出す際、漏出した培地を介し生物学的汚染の生じる危険性が生じる。
以上のように再生組織等の生体試料を輸送する場合、輸送時、輸送後の検査時及び治療する際の開封時において、清浄性を維持する機能が必要である。そのためには、輸送中は清浄性を維持すると同時に培養容器からの培地漏出を回避する必要がある。また輸送後、清浄性を維持したまま生体試料の観察が可能である必要がある。さらに、治療時に輸送した生体試料を取り出す時、培地漏出を防止し清浄な状態を維持したまま開封する技術が必要である。
以上を踏まえ、本発明の目的は、生体試料の輸送時やその前後において試料を収容した培養容器の清浄性を維持し、非侵襲的な検査及び開封時の培地漏出を回避できる、生体試料用包装容器及びその輸送方法を提供することにある。
本発明の代表的な構成例を示すと、次の通りである。
生体試料用包装容器は、凹部を備えた試料収容容器と、該試料収容容器の上面を封止する蓋部材と、前記蓋部材の裏面若しくは前記試料収容容器の上面に設けられた少なくとも1つのパッキンとを備え、前記試料収容容器は、生体試料を内部に保持する機能を有し、前記蓋部材は、前記試料収容容器と外部との間で液体及び気体の移動を可能とする流路チューブが設けられた、第一の蓋部材と、前記流路チューブの無い第二の蓋部材とを含み、前記試料収容容器は、前記第一の蓋部材と前記第二の蓋部材とが交換可能に構成されている。
本発明に係る生体試料用包装容器は、輸送中及び輸送後の包装容器開封時等における、内部からの培地漏出を防止し、生物学的汚染の危険性を抑制することが可能となる。
本発明の第一の実施例に係る、生体試料包装容器の構成例を示す縦断面図である。 図1Aに示した包装容器の平面図である。 図1Aに示した包装容器を各構成要素に分解して示した図である。 第一の実施例に係る培養用の生体試料包装容器の、他の構成例を示す断面図である。 図2Aに示した包装容器の平面図である。 第一の実施例において、包装容器の、蓋部を設置及び開封する操作を示す図である。 第一の実施例において、包装容器の、蓋部を設置及び開封する操作を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する操作を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する操作を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する操作を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する操作を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する他の操作法を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する他の操作法を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する他の操作法を示す図である。 第一の実施例において、包装容器に包装した試料容器を輸送する細胞輸送容器の構成を示す図である。 第一の実施例に係る、細胞輸送容器内に収容する蓄熱材容器の構成と機能を示す図である。 比較例における、蓄熱材容器の構成と機能を示す図である。 第一の実施例に係る包装容器を用いた、自動培養装置の構成例を示す図である。 第一の実施例において、自動培養装置の中等で培養していた培養容器を、包装容器にしてCPCより運び出す手順の一例を示す図である。 第一の実施例に係る包装容器を、CPCより運び出す一例を示す図である。 第一の実施例に係る包装容器を、医療機関等に運び入れる一例を示す図である。 本発明の第二の実施例に係る包装容器の一例を示す縦断面図である。 第二の実施例に係る包装容器の、他の例を示す縦断面図である。 第二の実施例に係る包装容器の、他の例を示す縦断面図である。 第二の実施例に係る包装容器の、他の例を示す縦断面図である。 第二の実施例に係る包装容器の、他の例を示す縦断面図である。 本発明の第三の実施例に係る包装容器を示す縦断面図である。 図14Aの包装容器を示す平面図である。 本発明の第四の実施例に係る包装容器を示す縦断面図である。
本発明の代表的な実施の形態は、以下の構成を有する。包装容器は、試料容器を内部に保持する凹部を備えた試料収容容器と、この試料収容容器の上面を封止する包装容器と、包装容器蓋部の裏面に設けられた少なくとも1つのパッキンとを備えている。試料収容容器は、生体試料の培養時及び該生体試料の輸送時に試料容器を内部に保持するために使用され、包装容器蓋部は、試料収容容器と外部と液体及び気体の移動を可能とする流路チューブを有し生体試料の培養時に使用される第一の包装容器蓋部と、流路チューブが無く、生体試料の輸送時に使用される第二の包装容器蓋部とを含んでいる。
また、包装容器は、生体試料を内部に有する試料容器を保持する包装容器本体部と、当該包装容器本体部を封止する包装容器蓋部(第一の包装容器蓋部、第二の包装容器蓋部)から成る。包装容器本体部或いは包装容器蓋部には、輸送中及び包装容器開封時に培地の移動を抑制することで、生物学的汚染が生じる危険性の抑制を目的とした第一パッキンと、圧着時は気体及び液体の移動を抑制し、包装容器外から菌等が侵入することを防止することで包装容器内部の清浄性を維持し、また航空機等により空輸する場合は、減圧下においても内部の気密性を維持することを目的とした第二パッキンを有する。これら第一、第二パッキンにより、包装容器外からの菌の侵入を抑制する。かつ、輸送時及び開封時において培地の移動を抑制し、結果として生物学的汚染の危険性の抑制を特徴とする。
さらに本包装容器本体部は、輸送に用いられる第二の包装容器蓋部を、外部との液体及び気体の移動を可能とする流路チューブを有する第一の包装容器蓋部と交換可能である。このような培養用の蓋部材を備えた生体試料用包装容器を用いることで、気密化した状態で培地交換、顕微鏡観察、自動培養の全て或いはいずれかを実施可能な自動培養装置による培養が可能である。すなわち、第一の包装容器蓋部を用いた自動培養装置による培養後は、自動培養時に取り付けていた蓋部材を輸送用の第二の包装容器蓋部へ交換することにより包装容器本体部を包装し、包装容器本体部はそのままの状態で、内部の滅菌物の清浄度を維持しながら、輸送することを可能とする。
なお、本明細書及び請求の範囲において、「試料収容容器」、「試料容器」、「培養容器」、「容器」の用語は、何れも「培養容器」を意味する。以下では、説明を分かり易くするために、「培養容器」と共にあるいはこれに代えて、「試料容器」、「培養容器」、「容器」の用語が用いられることが有る。
本発明の第一の実施例を、図1A〜図12を参照しながら説明する。
まず、図1A〜図1Cを用いて、第一の実施例に係る、生体試料の入った試料容器(培養容器)を収容する輸送用の包装容器の基本的な構成要素を説明する。再生組織等の生体試料の入った試料容器は、包装容器本体部及び包装容器蓋部により包装される。ここでは、インサート型培養容器を用いて培養した再生組織を輸送する場合の輸送用の生体試料包装容器100の縦断面図を図1A、平面図を図1Bに示し、各構成要素に分解したものを図1Cに示す。生体試料包装容器100は、生体試料を有する試料容器(試料容器110、インサート型培養容器113)を内部に保持する包装容器であって、試料容器を内部に保持する凹部を備えた試料収容容器(包装容器本体部105:図1C参照)と、試料収容容器の上面を封止する第二の蓋部材(第二の包装容器蓋部101:図1C参照)と、ねじリング部115とを有する。第二の包装容器蓋部101は、試料収容容器を封止する際に、上記凹部の上端面に当接する環状の第一パッキン103と、試料収容容器の側壁の上面に当接する環状の第二パッキン104とを備える。第一パッキン103及び第二パッキン104は、透明性を有する包装容器蓋部本体102の裏面に固定されている。第一パッキン103は、包装容器蓋部102を包装容器本体部105へ封止する方向において、第二パッキン104よりもより長い。なお、輸送用の包装容器なので、包装容器蓋部本体102の表面側には、流路チューブ等は設けられていない。
試料収容容器(包装容器本体部105)は、上端外縁部にねじ構造108を有するカップ状の包装容器本体部底部107と、この包装容器本体部底部107の内側に位置し、略円筒状で、上端部において内周側が低い段差構造を有する包装容器本体部おさえ部109とで構成されている。119は、包装容器本体部105の底面に設けられた観察用穴である。包装容器本体部底部107の底面に観察用穴119よりも径の大きな中空部を有する環状の弾性部材106が設置され、その上に試料容器110が設置される。包装容器本体部底部107と包装容器本体部おさえ部109は、突起117及び円周方向に延びた係合溝118とによって、一体に固定される。包装容器本体部おさえ部109の段差構造の低い側でインサート型培養容器113の鍔部114を保持する。111は培地、112は再生組織等の生体試料である。第一パッキン103は、インサート型培養容器113の鍔部114に対応する位置に設けられている。
試料容器110及びインサート型培養容器113を包装容器本体部105に収納し、包装容器蓋部本体102を被せ、その外側からねじリング部115を包装容器本体部105にねじ構造108に螺合させることで、包装容器蓋部101が包装容器本体部105に圧着して固定される。116はねじリング部115の中央開口部である。試料容器110及びインサート型培養容器113自体は、容器の内部と外部との通気性が確保された開放系培養容器であるが、包装容器蓋部101により包装容器100の内部と外部との通気性は遮断される。
本例では、試料容器として一般に用いられる培養皿及びインサート型培養容器を用いた例を示しているため、包装容器及びそれに関する部分は全て同心円状となっている。例えば、包装容器との一体化に際し立体障害を生じることがない限り、方形状等の試料容器であっても構わない。
包装容器本体部105、包装容器蓋部101、各種弾性部材の素材は、滅菌処理による無菌化が可能である必要がある。例えば、包装容器本体部105、包装容器蓋部101の素材をポリスチレンとする場合、使用前にγ線照射またはエチレンオキシダイドガス処理による滅菌操作を施し、無菌化が可能である。上記ではポリスチレンを例としたが、生体試料にとって有害ではない素材で滅菌が可能であれば、適用可能であることは云うまでもない。各種弾性部材はシリコーン、ゴム、発泡材、海綿状弾性体等であり、γ線照射、エチレンオキシダイドガス処理等による滅菌処理が可能で、有害物質等を発することのない、医療用途の品質のものが好ましい。
第一パッキン103は弾性を有し、包装容器蓋部101を包装容器本体部105へ圧着する時は、包装容器100の内部に生体試料112と共に封入される培地111の移動を抑制する役割を有する。
第一パッキン103は、非圧着時において空気の通過が可能であり、圧着時は気体及び液体の移動を抑制することが望ましい。これを満たす海綿状弾性体を素材とし、例えば発泡材が挙げられるが、同等の性質を有すれば他の素材であっても良い。また包装容器の開封時においては、培地が包装容器外に漏出することを防止する役割も有する。
第二パッキン104は弾性を有し、圧着時は気体及び液体の移動を抑制する。同時に包装容器の外部から菌等が侵入することを防止し、包装容器内部の清浄性を維持する。また、本包装容器を用いて航空機等により空輸する場合、減圧下においても内部の気密性を維持することが望ましい。仮に第二パッキン104による気密性が、空輸時の減圧下(客室では最大800hPaまで低下)において十分作用しない場合、包装容器の外側に気密性を維持する気密容器をさらに設置し空輸時の減圧の影響を回避する。第二パッキン103はこれらを満たす弾性体を素材とし、例えばシリコーン、ゴムが挙げられるが、同等の性質を有すれば他の素材であっても良い。
また、本例では包装容器蓋部102に第一パッキン103、第二パッキン104が取り付けられた例を示しているが、これらを包装容器本体部105に設けたり、包装容器蓋部102と包装容器本体部105に片方ずつを設置したりしても構わない。これは、他の形態の包装容器においても同様である。なお、包装容器本体部105側に第一パッキン103を設ける場合、インサート型培養容器113を保持するときに、環状の第一パッキン103を通して鍔部114を包装容器本体部105内に押し込むことになる。
ねじリング部115は、包装容器蓋部101と包装容器本体部105を一体化し固定するものである。包装容器本体部105とねじリング部115は、ねじ構造により一体化すると同時に、包装容器100内の他の部品を圧着する。尚、封止する他の方法として、勘合、ピン止め、バネ材等により、複数箇所を固定することにより保持できることは言うまでもない。
包装容器本体部105の底面に保持される試料容器110は、例えば、一般に細胞培養に使用される市販品の培養皿を使用することが可能である。BD社製、コーニング社製、グライナー社製等があり、使用可能な製品は限定されない。また、セルシード社製の温度応答性培養皿器への適用も可能である。市販品の培養皿の使用を可能とすることにより、細胞培養時において接着、伸展、増殖、分化等の細胞動態は同等となる。臨床へ適用可能な医療機器承認を取得済のものを使用することも可能である。市販品の培養皿以外のものも使用可能であり、使用者の用途に合わせ適応できる。試料容器110内に入っている培地111の種類は多々あるが、栄養分を供給するものの例として、例えば表皮細胞、角膜上皮細胞の場合はKCM培地、皮膚線維芽細胞の場合は10%血清含有培地がある。また栄養分を供給しないものの例として、細胞内部と浸透圧が同じであるPBS培地、生理食塩水、臓器移植に用いる灌流液、UW液等がある。輸送時間、輸送条件等に応じ適宜選択する。
図1Cの(d)に、培養後の再生組織112を有したインサート型培養容器113を示している。インサート型培養容器は市販のセルカルチャーインサート容器でよく、BD社製、コーニング社製、グライナー社製等があり、使用可能な製品は限定されない。また、セルシード社製の温度応答性セルカルチャーインサート容器への適用も可能である。セルカルチャーインサート容器の底面は多孔性膜であり、例えば直径0.4μm程度の孔を多数有する。これにより、上層及び下層間にて、培地及び液性因子の移動が可能となる。なお、1130は半径方向外側に伸びた突起である。
以上述べた生体試料輸送用の包装容器100は、細胞処理施設における生体試料112の製造が終了した後、製造された生体試料を収納したまま、各地の医療機関、研究機関へ輸送する場合等に使用される。
本発明の特徴の1つは、輸送可能な生体試料用包装容器と、自動培養装置等において生体試料を培養するのに使用する生体試料用包装容器とが、同じ構造の包装容器本体部を有し、かつ、この包装容器本体部に個別に対応する第二の包装容器蓋部、第一の包装容器蓋部が、同じ構成の第一パッキン103と第二パッキン104を有する蓋構造になっていることにある。なお、包装容器100の包装容器本体部と包装容器200の包装容器本体部とは、後の実施例で述べるように同じ構造のものを別個に準備しても良いが、ここでは、包装容器本体部として単一のものを共通に使用する例について説明する。
図2Aは、生体試料培養用の包装容器200を示し、図2Bにその平面図を示している。生体試料用包装容器200は、図1A〜1Cで示した包装容器100と同じ包装容器本体部105と、第一の包装容器蓋部201と、ねじリング部215とを備えている。第一の包装容器蓋部201は、包装容器蓋部101と同様に、透明性を有する第一の包装容器蓋部本体202と、これに固定された第一パッキン203及び第二パッキン204とで構成され、さらに、包装容器蓋部本体202には、4本の流路チューブ(211〜214)が設けられている。
培養する状態の生体試料用包装容器200は、その第一の包装容器蓋部201が、複数本の流路チューブを有する構造において第一の包装容器蓋部と異なっており、その他の構成については、生体試料用包装容器100と同じ構造であり、両者の第一パッキン、第二パッキン及びねじリング部の形状やサイズも同じである。従って、図2Aの包装容器蓋部と図1A〜1Cで示した包装容器蓋部とは、同じ包装容器本体部105に対して共通に使用可能である。
包装容器本体部105の内部にはインサート型培養容器113と培養皿110を試料容器として設置する。例えば、上層となるインサート型培養容器113内には口腔粘膜細胞、角膜上皮細胞、表皮細胞といった上皮系細胞を播種し、下層となる培養皿110にはマウス由来3T3細胞等のフィーダー細胞を播種し、フィーダー法により培養を行う。培養中は、流路チューブ211〜214を介し、古い培地を排出し新しい培地を供給する培地交換を行う。本例では、上層に使用する供給用流路チューブ211と排出用流路チューブ212、下層に使用する供給用流路チューブ213と排出用流路チューブ214の計4本を有する場合を示している。この例では、供給と排出が異なる流路チューブによりなされるため、新しい培地と古い培地が混じることを回避可能である。
また、図2Bに示したように、培養皿110の中心O2とインサート型培養容器113の中心O1がずれている。これは、輸送工程の前に、自動培養装置による自動培養工程を実施するのに適した構成である。自動培養工程では、自動で培地を交換するため、流路チューブを培養皿及びインサート型培養容器へ挿入可能である必要がある。4本の流路チューブが第一の包装容器蓋部201の一方に集約して、上下方向に延びるように配置されているため、流路チューブの挿入が容易である。
次に、包装容器本体部に対する第一、第二の包装容器蓋部の設置及び開封の操作について説明する。
包装容器本体部に対する包装容器蓋部の設置は、細胞処理施設における細胞調製室における生体試料の製造が終了した後、輸送工程へ移行する直前に実施することになる。図3Aは、包装容器本体部105に対する包装容器蓋部の設置の操作を示した図である。図3Aの(a)は包装容器蓋部を示しており、包装容器蓋部本体102は第一パッキン103(図2Aでは203)、第二パッキン104(図2Aでは204)を有する。また、包装容器蓋部本体102には第一パッキン103の内側に下方に突出した環状の段部120を有する。第二パッキン104よりも第一パッキン1031の方が長く、そのため包装容器蓋部を包装容器本体部へ設置する時、第一パッキン103が包装容器本体部(包装容器本体部おさえ部109)へ先に接地する。逆に、包装容器蓋部を包装容器本体部から取り外す時では、第二パッキン104が先に包装容器本体部(包装容器本体部底部107)から離れる。つまり、第二パッキン104よりも第一パッキン103の方がつぶし代は大きい。
図3Aの(b)は、包装容器蓋部を包装容器本体部へ設置する操作において、第一パッキン103が先に接地した状態を示したものである。本作業は、前述の通り、培養工程が終了した段階で実施される。この非圧着時において、第一パッキン103は包装容器本体部から外への空気の通過を可能にし、かつ液体の移動を抑制する。培養工程が正常に実施されている限り、培地が本包装容器の外部へ飛散していることはなく、培養容器の内側のみに存在している。また、第一パッキン103は縦方向(封止する方向)に長いので、輸送中及び包装容器開封時における培地の移動が抑制される。
図3Aの(c)は、第二パッキン104が包装容器本体部底部107に接地した状態を示したものである。この状態で、包装容器蓋部と包装容器本体部を一体化し固定するために、ねじリング部115により固定する。この状態で輸送することになるが、輸送中、第二パッキン104は気体及び液体の移動を抑制し、さらに包装容器100の外部から菌等が侵入することを防止することにより、包装容器内部の清浄性を維持する。また、本包装容器100を用いて航空機等により空輸する場合、減圧下においても内部の気密性を維持する。また、第一パッキン103も、包装容器蓋部本体102の段部120と包装容器本体部おさえ部109とにより押され、インサート型培養容器113の鍔部114に圧着された状態となり、気体のみならず液体の移動も阻止する。図3Aの(c)の状態で行われる輸送時において、包装容器100の内部から第一パッキン103より外側の領域へ、包装容器100の外部から第二パッキン104よりも内側の領域へ、培地が移動することが抑制される。
次に、包装容器蓋部の開封は、輸送工程が終了し移植等による治療が行われる手術室等において、包装容器本体部から生体試料を取り出すために実施される。
図3Bは、包装容器本体部105に対する包装容器蓋部の開封の操作を示した図である。図3Bの(d)は、ねじリング部115を外して、輸送後の包装容器蓋部を包装容器本体部から開封する操作において、第二パッキン104が包装容器本体部(107)から接地しなくなる直前の状態を示した図である。圧着されていた第一パッキン103及び第二パッキン104は、形状が元に戻る途中の状態である。ここで、輸送中に包装容器100が傾き、内部の培地が第一パッキン103に接触した場合、多くの場合は重力に従い元の場所へ培地は戻る。すなわち、第一パッキン103は縦方向(封止する方向)に長いので、輸送中及び包装容器開封時における培地の移動が抑制される。第一パッキンは、先に述べたように海綿状弾性体を想定しているが、仮に第一パッキンが内包する空隙から培地が、第一パッキンより外側、第二パッキンより内側の領域へ浸み出すことも想定される。その場合は、図3Bの(d)において、圧着されていた第一パッキン103が元の形状へ戻るに従い、浸み出した培地を吸引することが可能である。
図3Bの(e)は、第二パッキン104が包装容器本体部(107)に接地していない状態を示している。この時点においても第一パッキン103は包装容器本体部(109)に対し接地状態を維持しているため、何らかの原因により培地が包装容器外へ移動しようとしても、第一パッキン103により制限され、外部に漏出することはない。完全に培地が包装容器内部に留まっている安定状態となって初めて、図3Bの(f)で示すように、第一パッキン103を包装容器本体部(109)に接地しない状態へ移行させ、包装容器蓋部を包装容器本体部より完全に分離させる。
尚、仮に第二パッキン104より第一パッキン103が先に包装容器本体部に対して接地状態ではなくなる構造の場合、その状態において何らかの原因により培地が包装容器外へ移動する力が作用した場合、培地は第二パッキンまで到達する。よって包装容器蓋部を取り外した時、内部の培地が外部へ容易に漏出する。第二パッキンの外側は輸送時において非清浄状態となりうるため、菌等が付着している可能性があるため、第二パッキンの外側まで培地が漏出すると、漏出した培地を介し菌等が内部へ侵入する生物学的汚染の生じる危険性がある。これは、生体試料を治療に用いることができないことを意味する。このような事態を回避するため本発明では、第一パッキン103よりも第二パッキン104が先に包装容器本体部に対して接地状態ではなくなるようにしている。
この作用により、包装容器の開封時において、培地が包装容器外に漏出することを防止し、結果として生物学的汚染の生じる危険性を抑制する。また輸送後、治療前の時点において必要に応じ、包装容器外から顕微鏡により生体試料の状態を確認する。包装容器100は透明性を有しており、また包装容器の下部には図1Aに示す通り、包装容器本体部105の底面に設けられた観察用穴119があり、培養皿110が露出している。よって手作業での培養工程での観察時と同等の光学条件により、包装容器内の細胞観察が可能である。
なお、包装容器蓋部本体102の裏面のパッキンは、包装容器本体部105やインサート型培養容器113の形状によっては、必ずしも2個必要ではなく、1個でも良い場合もある。同様に、包装容器蓋部本体102の段部120も必ずしも必要ではなく、用途によっては包装容器蓋部本体102の裏面が平坦であっても良い。
次に、生体試料用包装容器200を用いて自動培養装置若しくは手作業による培養を行った後に、生体試料用包装容器200内の生体試料を包装容器へ収容する操作について、図4A〜4Dで説明する。
まず、図4Aは、自動培養装置により培養する状態を示している。この状態は、図2Aと同じであり、生体試料用包装容器200には、包装容器本体部105に対する包装容器蓋部として、包装容器蓋部本体202に流路チューブ211〜214が設けられた蓋が使用されている。培養中、自動培養装置により顕微鏡観察を定期的に行う。試料容器である培養皿は観察用穴119を介して露出しているため、手作業時と同様の光学条件にて観察が可能である。培養中、流路チューブ211〜214は閉鎖系流路に接続された状態となっており、培養系外とは隔離されている。これにより、清浄性を維持した閉鎖系培養が可能となる。
培養工程が終了し輸送工程へ移行する段階で、自動培養装置内から培養容器を無菌的に切り離し安全キャビネット内へ運ぶ。そして、図4Bに示すように、ねじリング部215を操作して、生体試料用包装容器200の培養に使用した流路チューブを有する包装容器蓋部本体202を包装容器本体部105から外す。図4Bは、包装容器本体部105に培養後の再生組織112を有したインサート型培養容器113、及び培養皿110を収容した状態となっている。
さらに、図4Cに示すように、包装容器本体部105に流路チューブの無い包装容器蓋部本体102を包装容器蓋部として被せる。すなわち、図4Cは、包装容器本体部105に第二の包装容器蓋部101を設置した状態を示している。
次に、図4Dに示すように、ねじリング部115でこの包装容器蓋部を包装容器本体部105に固定し、生体試料用包装容器100とする。すなわち、図4Dは、包装容器本体部105にねじリング部115をさらに設置し、全部品を一体化した輸送用の生体試料用包装容器100の状態を示している。この状態で、包装容器内部の清浄性を維持可能となる。また航空機等により空輸する場合、減圧下においても内部の気密性を維持する。包装容器内部では、第一パッキンにより、第一パッキンと第二パッキンの間の領域へ培地が移動することを抑制する。輸送後は、必要に応じ包装容器を気密化したままの状態で検査を行う。試料容器110の底面は露出しているため、試料容器110を包装容器に収容していない通常の細胞観察時と同じ光学条件(特に焦点距離)により、位相差顕微鏡等による観察が可能である。この時、必要に応じ培地を輸送用の培地へ交換しても良い。輸送用培地の例は図1Aに示した通りである。
包装容器蓋部を交換し、再度密封した図4Dの状態としてから、生体試料用包装容器100を細胞輸送容器に収容し輸送する。細胞輸送容器に関しては、後で図6を用いて説明する。
このように、自動培養装置による自動培養工程から輸送工程への移行において、蓋部のみを交換すれば良い。包装容器本体部は、自動培養工程においても輸送工程と同様に使用が可能である。包装容器本体部の汎用性を高めることにより生体試料の移し替え作業が不要となるため、生物学的汚染が生じる危険性と、生体試料に損傷が生じる危険性の低減が可能となる。
次に、第一の実施例の変形例に係る、自動培養装置若しくは手作業による培養後に、包装容器へ収容する操作について、図5A〜図5Cで説明する。
図5Aは、図4Aと同じく生体試料用包装容器200を用いて自動培養装置により培養する状態を示している。但しインサート型培養容器は用いず培養皿110のみを試料容器として使用しており、1層培養に相当する。例として、心筋細胞、線維芽細胞等を播種し培養する。図4Aと同じく、図1で示した包装容器蓋部に対し、包装容器蓋部本体202と2本の流路チューブを有した蓋部を用いている。但し、本例は1層培養であるため、流路チューブの本数は、培養皿である試料容器に対する供給用流路チューブ213と排出用流路チューブ214の2本である。尚、図4Aと同じく、新しい培地と古い培地が混じることを回避する必要がない場合、供給用及び排出用流路チューブの機能を1本の流路チューブで兼ねることも可能である。培養中の観察条件は図4Aと同様である。
図5Aの状態から、培養工程が終了し輸送工程へ移行する段階で、自動培養装置内から培養容器を無菌的に切り離し安全キャビネット内へ運ぶ。そして、図4B〜4Dに示したのと同様に、ねじリング部215を操作して、生体試料用包装容器200の培養に使用した流路チューブを有する第一の包装容器蓋部を包装容器本体部105から外し、次に、輸送用の第二の包装容器蓋部へ交換して、生体試料用包装容器100とする。
さらに、図5B、図5Cは、手培養で培養した培養皿113に対し、包装容器で収容し輸送する手順を示している。手培養で培養したインサート型培養容器を包装容器へ収容し輸送する場合は、包装容器をあらかじめ用意しておき、手培養後のインサート型培養容器を安全キャビネット内に運び入れ、無菌的に包装容器本体部の中へ設置する。培養終了後の生体試料及び培地113が入った培養皿111を、包装容器本体部105の包装容器本体部底部107内へ無菌的に収容する(図5B)。106は弾性部材である。続いて、包装容器本体部おさえ部109を同じく無菌的に設置する(図5C)。この時、包装容器本体部底部107の突起117が包装容器本体部おさえ部109の係合溝118に係合するように、包装容器本体部おさえ部109を回転させながら包装容器本体部底部107内へ押し込む。これにより、培養皿111は、包装容器本体部105内に固定される。その後、第二の包装容器蓋部101、ねじリング部115を取り付け、包装容器を密封化して、生体試料用包装容器100とする。
輸送中においてもフィーダー細胞を必要とする場合、包装容器内の培養皿上にてあらかじめフィーダー細胞を培養しておき、手培養後のインサート型培養容器をその中へ設置する。その後輸送用培地を入れ、図5B、5Cと同じく、包装容器本体部に第二の包装容器蓋部、ねじリング部を取り付け、密封化した生体試料用包装容器とし、これを輸送する。
以上述べたとおり、包装容器本体部と、包装容器蓋部に流路チューブを付与した第一包装容器蓋部と、この蓋と互換性があり流路チューブの無い第二の包装容器蓋部とを備え、第一包装容器蓋部を使用して1層培養及び2層培養を自動培養装置で実施し、輸送時は流路チューブの無い第二の包装容器蓋部へ交換するだけで、清浄性を維持した生体試料の培養及び輸送が可能となる。
図6は、包装容器100内に収容した試料容器に対し、蓄熱材により内部を温度一定に維持可能な細胞輸送容器500を用い輸送する場合の構成例を示したものである。細胞輸送容器500は、内部の構成部品を収容する細胞輸送容器本体501と細胞輸送容器蓋502とで構成され、その内側に、断熱材503を配置し、さらにその内側に、蓄熱材が封入された蓄熱材ボックス504を配置する。蓄熱材ボックス504に挟まれた場所に、試料容器収容部505の中に配置された、包装容器100に収容されている試料容器と、輸送中の温度、圧力、振動等を計測するモニタリング装置507を配置する。
蓄熱材は、一定の融点を有する純物質、或いは、熱容量が大きく融点の温度変化が小さい(例えば±1℃以下)物質とすることが好ましい。これにより、輸送中の内部温度の変化幅を小さくすることが可能となり、生体試料への温度の影響は小さくなる。蓄熱材の例として、純物質である炭化水素が挙げられる。例えば化学式がC20H42である炭化水素の融点は36.4℃である。Cの数が異なる炭化水素は融点も異なる。よって炭化水素の種類の選択により、細胞輸送容器が一定に維持する温度の値を変えることも可能である。
モニタリング装置507により、輸送時の環境を輸送後に確認可能となる。
図7は、図6で示した蓄熱材ボックス504において、内部に収容している蓄熱材の熱分布を均一化させる機構を示した図である。図7の(a)において、蓄熱材ボックス601の内部には蓄熱材602が封入されている。蓄熱材ボックス601の内部にはさらに、線状金属603を設置する。線状金属603は体積・重量が十分に小さく、輸送時に細胞輸送容器全体の重量を増加させないものである。また体積は小さく、蓄熱材の搭載量を大きく減少させることはない。アルミニウム等の金属とし、高熱伝導性を有する。
図7の(b)は、蓄熱材ボックス601の外部表面の温度Touter、蓄熱材602の内部温度Tin、及び、蓄熱材ボックス601内の包装容器100の温度Cellと時間の関係を示している。蓄熱材602は外部の温度Touterの変化の影響を受け、蓄熱材602の外部から温度Touterを変化(通常は低下)させる。そのため蓄熱材602の内部が温度Tinを変化させる時刻は、蓄熱材602の外部が温度を変化させる時刻より遅れる。これは蓄熱材ボックス601内の温度の非一様性を意味する。線状金属603の設置により、蓄熱材の熱を効率よく放出することが可能となり、結果として細胞輸送容器500の全体の温度Cellを高めに維持する時間を長くすることが見込める。
図8の(a)は、比較例として、蓄熱材ボックス601の内部に蓄熱材602のみ封入した状態を示している。蓄熱材の熱を効率よく放出することができず、図8の(b)に示したように、細胞輸送容器500全体の温度Cellを高めに維持する時間が短くなる。
なお、図7の(a)の構成に加えて、蓄熱材ボックス601内に撹拌具を設置しても良い。撹拌具は例えば球状の物体であり、蓄熱材ボックス601の底面が水平ではない時、すなわち細胞輸送容器を輸送している時、蓄熱材ボックス601に対する相対的な位置を容易に変える。蓄熱材602の中で撹拌具が動くことにより蓄熱材602に対し撹拌流が生じ、蓄熱材602の熱分布は均一となる。これらを踏まえ、線状金属603及び撹拌具の組み合わせにより、蓄熱材602の熱分布はより一様となる。
次に、図9を参照しながら、自動培養装置の構成例を説明する。図9は、閉鎖系の生体試料用包装容器200を培養する時の全体流路を説明する図である。生体試料用包装容器200には、4本の流路チューブ、すなわち、生体試料用包装容器200の上層に使用する供給用流路チューブ211と上層の排出用流路チューブ212、下層に使用する供給用流路チューブ213及び下層の排出用流路チューブ214がある。自動培養装置は、1枚若しくは複数の閉鎖系の生体試料用包装容器200と、これらの各生体試料用包装容器200の供給側との間に、第二の流路回路(流路チューブ)の導入部1040を介して細胞バッグ1030が接続され、第一の流路回路(流路チューブ)の導入部1050を介して他の細胞バッグ1020が接続されている。また、これらの生体試料用包装容器200に、第一、第二の流路回路(流路チューブ)の導入部、複数の二方弁1060、流体移動制御機構部1080、多分岐部を介して、培地バッグ1110、ガス供給部1165、フィルタ1170が接続されている。各流体移動制御機構部1080は、流体を移動させるポンプとして機能する。また、各培養容器200の供給側には、第二の流路回路の分岐路1210、第一の流路回路の分岐路1220、第一の電磁弁1300、第二の電磁弁1320、及び無菌脱着部1180が設けられている。各培養容器200の排出口側は、無菌脱着部1180を介して第二の流路回路の分岐路1230、第一の流路回路の分岐路1240が接続されており、これらの流路回路はさらに、流体移動制御機構部1080、三方弁1070を介して、排液バッグ1130、排液回収バッグ1140、及びフィルタに接続されている。
このような流路回路を備えた自動培養装置において、各二方弁1060、各流体移動制御機構部1080、各第一の電磁弁1300、各第二の電磁弁1320、各三方弁1070は、予め与えられた制御プロトコルにより、コントローラ1000で所定のシーケンスに基づいて制御される。これにより、4本の流路チューブ211〜214を経由して培養容器200に対して培地が常に一方向に流れるように、かつ、古い培地を排出後に新しい培地を供給するように、第一、第二の流路回路が制御される。
次に、図10〜図12を用い、本実施例に示す包装容器を用いて、自動培養装置の中等で培養していた培養容器を包装容器にして、CPC等の細胞処理施設から手術室へ細胞を輸送する時の一連の手順について説明する。図10は、培養容器を包装容器にしてCPCより運び出す手順の一例を示す図である。図11は、細胞処理施設から試料容器を運び出す時の過程、図12は、手術室に運び込む時の過程を示している。以下、図10の手順に沿って説明する。
<ステップS01:細胞の培養>
細胞の培養は、図9に示した自動培養装置において、生体試料用包装容器200を用いて行われる。包装容器本体部105、適切な流路チューブ付の、第一の包装容器蓋部201、適切な試料容器110、112を無菌的に組み立てて生体試料用包装容器200とし、それを自動培養装置に設置し培養に用いる。尚、各部品を製造する工場にて全てを組み上げ、最終滅菌した状態で細胞処理施設内へ搬入し、無菌的に自動培養装置へ設置しても良い。また適切な試料容器とは、2層培養の場合、例えばインサート型培養容器及び培養皿を使用し、1層培養の場合、例えば培養皿を使用する。適切な流路チューブ付の蓋部とは、例えば2層培養或いは1層培養の条件に合わせ、さらに培地交換時に古い培地と新しい培地の混入を回避するか否かに合わせ、流路チューブの本数、配置を選択する。細胞は、手作業で培養が行われる場合もある。
図11に示すように、細胞はCPC等の細胞処理施設内の細胞調製室内で培養容器(生体試料用包装容器)200を用いて培養する。この部屋の清浄度は、例えばEU-GMP基準におけるグレードBである。手作業で培養する場合、培養時の試料容器110、113は包装容器本体部105に保持されたままインキュベータに入れられ、必要に応じて取り出しグレードAの清浄度の安全キャビネット内にて培地交換等の作業を実施する。また定期的に顕微鏡により非侵襲的に生体試料用包装容器200の細胞の形態、増殖等を評価する。自動培養装置により培養する場合、例えばグレードBの細胞調製室内に設置し、手培養時と同等の清浄性を維持した状態で培養される。必要に応じ培地交換、細胞観察を自動で行う。
安全キャビネット内では、必要に応じ、恒温槽の温度と同じ値に設定したヒートブロック等の設備をあらかじめ準備しておく。これを用い、細胞輸送容器500への培養容器の包装容器本体部105の収容が終了するまでの間、培養容器の温度を一定に維持する。
<ステップS02〜S03:培養容器を安全キャビネット内へ収容>
自動培養装置の中で自動培養していた培養容器(生体試料用包装容器)200を、安全キャビネット内へ移動する。または、恒温槽の中で手作業により培養していた培養容器(生体試料用包装容器)200を、安全キャビネット内へ移動する。なお、自動培養装置から培養容器の包装容器本体部105を取り外す際には蓋部材の流路チューブは無菌的に切断する。
<ステップS04〜S06:包装容器蓋の交換>
手作業または自動培養装置による培養が終わり、手術室へ運ぶことになったサンプルを試料容器110、113に収容した包装容器本体部105は、図11に示すように、安全キャビネット内で包装して生体試料用包装容器100とする。すなわち、自動培養装置を用いた培養の場合、安全キャビネット内に移動した生体試料用包装容器200の包装容器本体部105から第一の包装容器蓋部201を取り外し、培養容器の中へ輸送用の培地を満たす。続いて包装容器本体部105に第二の包装容器蓋部101を取り付け、生体試料用包装容器100とする。
包装手順は、図4A〜4D、図5A〜5Cにおいて説明した通りである。包装容器100は事前に滅菌処理を施し無菌状態である。これにより包装し終えた時点で、試料容器内及び包装容器の内外はグレードAと同等の清浄性を有する。
手作業による培養の場合、かつ輸送対象がインサート型培養容器の場合、包装容器100の包装容器本体部105の中に無菌的にインサート型培養容器を入れた後、輸送用培地を満たす。続いて包装容器蓋部を取り付け、包装された生体試料用包装容器100とする。
全作業を通じ、無菌的に手早く実施する、また、培地がこぼれないように注意する。作業後や待ち時間等では、培養容器の温度の低下を極力避けるため、ヒートブロック等を利用する。
なお、安全キャビネット内において培養時に用いた培地は、必要に応じ輸送用培地へ置き換える。また自動培養装置により培養した場合は、特に自動培養装置が閉鎖系流路による培養を行う場合、培養容器の蓋等に流路チューブが設置されているため、最初にそれらを無菌的に切り離す。そして流路チューブ等を有さない包装容器へ切り替える。一つの例として、自動培養装置の閉鎖系培養容器において蓋部のみに流路チューブが設置されている場合、蓋のみを安全キャビネット内にて輸送用のものへ切り替えることにより輸送が可能となる。
<ステップS10:輸送の事前準備>
ステップS01〜S06と並行して、細胞を輸送するための事前準備を行う。自動培養装置により培養したインサート型培養容器或いは培養皿を輸送する場合、細胞輸送容器500の包装容器100と共に、蓋部も滅菌しておく。包装容器100は、事前にオートクレーブバッグ等により包装し、その状態で滅菌処理を施し無菌化する。滅菌処理の方法は、オートクレーブ処理、エチレンオキシダイドガス処理、γ線照射等とし、滅菌処理を施すことにより、包装容器の性質を変化させない方法を選択する。例えば素材がポリスチレンであれば、γ線照射処理を採用する。
蓄熱材を封入した蓄熱材ボックス504は、蓄熱材に熱を蓄えるため、インキュベータの中に入れ温度が安定するまで静置する。例として、融点が36.4℃である炭化水素C20H42の場合、さらに輸送する外界の温度の大半が36.4℃以下であるならば、インキュベータの温度は37℃とする。輸送中、外界の温度の方がC20H42の融点よりも温度が低いため、熱は細胞輸送容器500の中から外へ出ていくからである。逆に、輸送する外界の温度の大半が36.4℃以上である場合、インキュベータの温度は36℃とする。輸送中、外界の温度の方がC20H42の融点よりも温度が高いため、熱は細胞輸送容器の中へ外から入り込むためである。
<ステップS12:細胞処理施設内への運び込み・播種>
滅菌を施した包装容器100は、次に、細胞処理施設内の所定の細胞調製室内へ運び込む。
細胞処理施設内の部屋間の移動に際しては、部屋の清浄性の維持と交差汚染防止のため、図11に示すように、パスボックスを通過させる必要がある。パスボックスを通過させる時には滅菌時に使用した滅菌袋の外側からエタノールを噴霧して消毒し、パスボックスの中に入れ、移動する部屋の側の扉から取り出す。細胞培養エリアに到着後、滅菌袋の周囲をエタノール噴霧により消毒し、安全キャビネット内へ入れる。その後、包装の外側に触れないように包装容器を無菌的に取り出す。
手培養で培養したインサート型培養容器を輸送する場合で、さらにフィーダー細胞と共に輸送中する場合、滅菌後の包装容器100を用い、包装容器内の包装容器本体部105に保持された試料容器である培養皿内へフィーダー細胞を事前に播種しておく。少なくとも接着するまで培養しておくことが望ましく、その場合はフィーダー細胞を播種後、インキュベータ内にて数時間程度、無菌的に培養する。フィーダー細胞と共に輸送しない場合、ステップS14へ進む。手培養で培養した培養皿を輸送する場合も、ステップS14へ進む。
<ステップS14:細胞輸送容器への収容>
次に、事前に用意した細胞輸送容器500の培養容器収容部505へ、ステップS06で包装した培養容器100を収容する。次に、細胞輸送容器500の内部へ、蓄熱材ボックス504、包装した培養容器100を収容した培養容器収容部、モニタリング装置507を収容する。モニタリング装置507は、収容する前に電源を入れて測定を開始し、輸送中の全行程にわたり、温度、圧力、衝撃を測定する。
<ステップS16:細胞処理施設外への運び出し>
細胞輸送容器500を、細胞培養を実施する部屋から、細胞処理施設外へ運び出す。部屋間の移動に際しては、交差汚染防止のため、エタノール噴霧により消毒してから、パスボックスを通過させる。
包装容器本体部105を包装容器100へ収容後、この状態でパスボックスを通り、最終的に細胞処理施設外へ包装した試料容器(生体試料用包装容器100)を運び出す。この時、必要に応じ温度、圧力を一定に維持し、振動、衝撃を抑制する細胞輸送容器内へ収容する。尚、細胞処理施設外である輸送環境中は清浄性が制御されていないため、一番外側に位置する包装容器の外部には菌等の生物や粒子が付着する可能性がある。一方、包装容器内の試料容器等は、輸送中において未開封状態のため、グレードAの清浄性を維持する。
<ステップS18:細胞輸送容器の輸送>
輸送先の手術室の場所に応じ、移動手段を選択して細胞輸送容器500を輸送する。輸送手段は主に、車両、鉄道、航空機、手運びである。車両、鉄道、航空機で運んでいる最中は、細胞輸送容器が横転しないよう、必要に応じて細胞輸送容器を床面に固定することが望ましい。また、手運びの場合は、細胞輸送容器500が極力揺れないよう、輸送作業者が注意を払う。
培養容器(生体試料用包装容器100)内の培地は、培養容器内に満たした状態となっている。輸送中に培養容器が傾いた場合に生じる細胞への影響は、細胞が気相の中に入り乾くこと、細胞が気相と液相の間に生じた表面張力による作用を受けること、液相の中に対流が生じて細胞にシアストレスの生じることが想定される。これらは、培養容器内の気相部分が小さいほど、影響も小さくなる。本発明による輸送方法では、培地を培養容器内に極力満たした状態となっているため、輸送中の気相の影響は、あまり大きくないと考えられる。また、輸送中の傾きにより、生体試料にかかる重力の方向は、細胞処理施設内での培養時と比べ、変わる。この影響については、細胞輸送容器が直立している限りは、細胞処理施設内での培養時と同じ重力の方向である。また、細胞輸送容器が直立していない状態を長時間とることはない。よって、重力による影響は軽微と考えられる。
<ステップS20:輸送先における受入検査>
輸送先では、生体試料の受入検査を行う。輸送先である手術室への細胞輸送容器500の到着後、まず、輸送中の生体試料の周辺温度の確認を行う。モニタリング装置のデータをPC等へ移動させ、評価を行う。続いて、輸送した生体試料の状態を確認する。検査の方法は様々にあるが、治療に用いるサンプルに対しては、非侵襲的な検査である必要がある。すなわち、生体試料に対し、直接的、もしくは培地等を介して、接触することとのない方法である。本発明の包装容器100を用いる場合は、非侵襲的な検査方法として、倒立式位相差顕微鏡による細胞形態、細胞接着等の評価、生体試料の厚さの計測を行う。これは、全サンプルに対して評価を実施することが可能である。また、検査を行う時は、細胞輸送容器から培養容器を一旦取り出し、顕微鏡にて素早く評価を実施し、速やかに細胞輸送容器へ再び収容する。これにより、検査後も、培養容器は同じ温度下に保管されることになる。尚、治療に用いないサンプルについては、侵襲的な検査により、より詳細に調べてもよい。その場合、生体試料に対して各種処置を行い、細胞数、細胞生存率、組織構造、特定タンパク質の発現状況等を調べることが可能である。
図12は、手術室に包装容器100を運び込む時の過程を示したものである。輸送後、まず生体試料の状態を評価する。手術室が同一敷地内にあり、生体試料の製造終了後、速やかに手術を行う場合は実施しないこともありうる。評価を実施する場合、その結果を受け、治療に用いることが可能か評価する。この時、非侵襲的な評価方法である必要がある。侵襲的な評価方法では生体試料の質が変化するからである。また、全数検査を実施できることが望ましい。培養した生体試料は同じ細胞ソースを用い、同じ製造工程を経ているため培養後の質も同じと考えられるが、細胞はわずかな環境の変化により容易に質が変わりうるからである。よって本実施例では、試料容器を包装した状態のまま、前述した非侵襲的な評価方法である顕微鏡観察を実施する。
<ステップS21〜S24:治療>
評価の結果、輸送したサンプルが治療に適することが確認できたならば、治療の準備を開始する。治療の準備に1日程度を要することはありうる。加えて、全ての医療機関に、恒温槽等の設備があるとは限らない。その場合は、医療機関に到着後も、治療を開始する時まで、細胞輸送容器の中に培養容器を収容したままにし、温度と清浄性を維持する。
治療の準備が整ったら、治療を行う部屋(以下手術室とする)へ細胞輸送容器を移動させる。手術室へ着いたら、包装容器100に包装された培養容器を取り出す。必要に応じ、この状態で、手術室に設置された恒温槽へ培養容器を入れ、所定の温度下に維持する。例えば、培養容器が温度応答性培養表面を有している場合、治療を行う直前に、低温処理(例として20℃下に30分晒す)を施し、温度応答性培養表面に接着していた生体試料を剥離させる。
続いて、生体試料を培養容器より取り出す。包装容器100の外側は、日常空間を通過しているため、菌等の生物や粒子が付着している可能性が高い。よって、包装容器の内部が清浄性を維持するよう、段階的に開封する。まず、手術室における不潔野の作業者が、エタノールあるいはポビドンヨード等の消毒薬により、包装容器100の外側を清拭する。続いて包装容器蓋部を取り去る。そして清潔野の作業者が、無菌的に、ピンセット等で生体試料を取り出す。この時、培養容器と生体試料が、接しないように無菌的に取り出す。インサート型培養容器内に生体試料が入っている場合は、包装容器100から直接生体試料を取り出さず、先にインサート型培養容器を取り出すことも可能である。その後、生体試料を取り出す。尚、以上の実施例に限ることは無く、清浄レベルが細分化された施設等への運び込みに対応するために、包装容器100の外部に多重包装形態を採用することも可能である。
治療の手順に関し、図12を用いてさらに説明を加える。治療に用いることができると判断されたなら、治療の準備を開始する。治療を行う患者への準備等を実施する。その後、試料容器を手術室へ運ぶ。手術室内は、例えばFederal Standardの基準におけるクラス100の清浄性を有する。手術室内には清潔野と不潔野が設けられている。手術室に運び込んだ試料容器は、まず外側をエタノール等により消毒する。そして不潔野で包装容器100を開封する。この時、包装容器の外部が、清浄な試料に触れないように注意を払う。また、内部の培地が漏出しないようにする。そして、清潔野の器具のみを取り扱う担当である作業者が、試料容器のみを取り出す。最後に、清潔野にて試料容器から生体試料を取り出す。それを治療に用いる。尚、包装容器100を開封直後、生体試料を直接内部から無菌的に取り出しても構わない。
本実施例によれば、包装容器が、培地の移動抑制を目的とした第一パッキンと、気体及び液体の移動抑制及び包装容器内の清浄性維持を目的とした第二パッキンとを有する包装容器蓋部を備えているので、手術室内への輸送時や開封時に内部の培地漏出の回避が可能であり、結果として生体試料の清浄性を維持することができる。
以上の実施例においては生体試料を主に記載したが、同様に清浄性が求められる、半導体チップ等の精密部品が導入された試料容器にも本発明の包装容器100を用いることが可能であることは、言うまでもない。
本実施例によれば、包装容器として、密封性、清浄性を実現し、非侵襲的な検査及び開封時の培地漏出の回避を実施することが可能な生体試料用包装容器、及びその輸送方法を提供することができる。
また、本実施例によれば、包装容器本体部は、包装容器蓋部を、外部との液体及び気体の移動を可能とする流路チューブを有する蓋部材と交換することで、気密化した状態で培地交換、顕微鏡観察、自動培養の全て或いはいずれかを実施可能な自動培養装置による培養が可能である。
さらに、本実施例によれば、自動培養装置による培養後は、自動培養時に取り付けていた蓋部材を包装容器蓋部へ交換することにより包装し、その状態で、内部の滅菌物の清浄度を維持しながら、輸送することを可能とする。
生体試料用包装容器100に関して、実施例1で述べたもの以外にも、種々のものが考えられる。これらの生体試料用包装容器を、実施例2として以下、説明する。
図13Aに示した生体試料用包装容器100は、包装容器蓋部102に窪み部301を有する。窪み部301は試料容器110側へ突出している。窪み部301は、その外径が、包装容器本体部(107、109)及び包装容器蓋部102を一体化した時、試料容器に対し立体障害を生じることがないよう、試料容器110の内径よりも小さい構造である。例として、窪み部301の底面は板状の平面構造である。試料容器を包装容器本体部及び包装容器蓋部により封止する時、試料容器110の培地113に窪み部301は接する。これにより試料容器110内において輸送中に試料容器に対し生じる振動、衝撃、傾きにより培地113が移動可能な空間は小さくなる。よって、輸送中に培地内で発生する攪拌流が減少する。結果として、撹拌流により生体試料に対し生じうるシアストレスは減少し、生体試料に損傷が生じる可能性は抑制される。
なお、このような包装容器蓋部が窪み部を有し、生体試料へのシアストレス発生を抑制する場合においては、非圧着時において空気の通過が可能であることが望ましい。包装容器蓋部102に設けられた第一パッキン103は、先に述べたように、非圧着時において空気の通過が可能であり、圧着時は気体及び液体の移動を抑制することが望ましい。これらを満たす海綿状弾性体を素材とし、例えば発泡材が挙げられるが、同等の性質を有すれば他の素材であっても良い。また、第一パッキン103は、包装容器の開封時においては、培地が包装容器外に漏出することを防止する役割も有する。
また、図13Aに示した生体試料用包装容器100に対応する自動培養装置用の生体試料用包装容器としては、例えば、図2Aに示した生体試料用包装容器200を使用することができる。
次に、図13Bは、包装容器本体部底部302の底面に開口が無く、試料容器を露出させないように構成した生体試料用包装容器100を示している。図1Aで示した通り、包装容器本体部底部107に対し試料容器110の底面が露出している場合、一般に用いられる位相差顕微鏡により、試料容器を包装容器に収容していない通常の細胞観察時と同じ光学条件での観察が可能である。本例では包装容器本体部底部107に対し試料容器が露出していないため、観察時の光学条件が異なる。特に対物レンズの試料容器への接近可能な距離が包装容器本体部底部により図1Aと異なるため、焦点距離が変化する。また、包装容器本体部底部により透明性は低下する。光学的条件が変化する代わりに、利点として、図1Aでは試料容器を包装容器本体部底部に固定する際に弾性部材を必要としたが、それが不要となる。部品点数が減る利点を得られる。なお、生体試料用包装容器100に対応する自動培養装置用の生体試料用包装容器200は、試料用包装容器100と同様に、包装容器本体部底部の底面に開口が無い構成となる。
さらに、図13Cの例は、包装容器蓋部303の一部を気体透過性膜304とした生体試料用包装容器100である。これにより、輸送中も酸素等の気体を包装容器100の外部から内部へ取り込むことが可能となる。生体試料は様々な細胞により構成されるが、例えば心筋細胞は酸素要求性が大きい。このような細胞を輸送する場合、気体透過膜より包装容器の外部から酸素を供給することで、輸送後の生体試料の状態は良好となる。また外部より二酸化炭素を供給し、培地のpH制御も可能である。このように気体透過膜を包装容器蓋部に採用することで、酸素要求性の高い細胞等の生体試料に対し良好な状態を維持したまま輸送する包装容器の提供が可能となる。なお、図13Cの生体試料用包装容器100に対応する自動培養装置用の生体試料用包装容器200としては、例えば、図2Aに示した生体試料用包装容器200を使用しても良く、あるいはまた、包装容器蓋部の一部を気体透過性膜としても良い。そして生体試料用包装容器200の外部より酸素または二酸化炭素を適量含む空気を供給する。
また、図13Dは、生体試料用包装容器100に、試料容器110を用いず、包装容器本体部底部305のみを使用する場合を示している。図1Aでは細胞の動態が既知である試料容器を使用することが可能であったが、包装容器本体部底部305を用いる場合、必ずしも既知の試料容器と細胞動態は一致しない。また、図1Aでは試料容器が露出しているため顕微鏡による観察条件を、既知の試料容器を使用する場合と同等にすることが可能であるが、本例では一致しない。その代わりに得られる利点として、図1Aでは、試料容器を包装容器本体部底部に固定する際に弾性部材と試料容器を必要としたが、それが不要となり、部品点数減少の利点が得られる。
次に、図13Eは、図1Aの生体試料用包装容器100に比べ、生体試料112をインサート型培養容器内ではなく培養皿110である試料容器内に入れた場合を示している。このように、インサート型培養容器を用いない場合にも、本発明は適用可能である。
次に、図14Aは、他の種類の試料容器を包装した場合の例として、6ウェルプレート306を包装する生体試料用包装容器100の例である。円柱状の試料容器やインサート型培養容器用容器は、水平方向の断面が円形であるため、包装容器蓋部の回転により包装容器本体部との一体化が可能である。一方、6ウェルプレートは直方体形状である。よって本図では、ネジ307を用い包装容器100の4隅を固定し一体化させるものを示している。他の方法として、勘合、ピン止め、バネ材等により、複数箇所を固定することにより保持できることは言うまでもない。6ウェルプレート306は、包装容器蓋部308及び包装容器本体部309により包装される。図1Aと同じく、両者の間に存在する第一パッキン310及び第二パッキン311により、培地漏出を防止する。尚、6ウェルプレート内にインサート型培養容器を入れた状態で包装しても良い。また、6ウェルプレートを観察する際の光学条件を、6ウェルプレートのみを観察する場合と揃えるため、包装容器本体部309に観察するための穴を設けても良い。その場合、6ウェルプレートと包装容器本体部309の間を圧着した状態とするために、図1Aと同様に弾性部材も設置する。自動培養装置に用いる培養容器200も、包装容器蓋部308の構成を除き、生体試料用包装容器100と同じ構成となる。
このように、6ウェルプレートの場合も、実施例1と同様な効果がある。
実施例1において、自動培養装置に用いる培養容器200は、流路チューブを挿入する空間の確保を容易とするため、培養皿の中心O2とインサート型培養容器の中心O1がずれている。図15に示した実施例4では、手作業による培養工程を前提として、培養容器200の培養皿の中心O2とインサート型培養容器の中心O1を揃えたものとしている。自動培養ではなく、手作業による培養工程を実施しその後輸送する場合は、試料収容容器や包装容器蓋部として、本実施例のように両者の中心を揃えたものでも良い。
100・・・生体試料用包装容器
101・・・第二の包装容器蓋部
102、202・・・包装容器蓋部本体
103・・・第一パッキン
104・・・第二パッキン
105・・・包装容器本体部
106・・・弾性部材
107・・・包装容器本体部底部
108・・・ねじ構造
109・・・包装容器本体部おさえ部
110・・・試料容器(培養容器)
111・・・培地
112・・・再生組織
113・・・インサート型培養容器
119・・・観察用穴
200・・・生体試料用包装容器
201・・・第一の包装容器蓋部
211〜214・・・流路チューブ
301・・・窪み部
302、305・・・包装容器本体部底部
303、308・・・包装容器蓋部
304・・・気体透過性膜
306・・・6ウェルプレート
307・・・ネジ
309・・・包装容器本体部
310・・・第一パッキン
311・・・第二パッキン
501・・・細胞輸送容器本体
502・・・細胞輸送容器蓋
503・・・断熱材
504・・・蓄熱材ボックス
505・・・包装容器収容部
506・・・包装容器
507・・・モニタリング装置
601・・・蓄熱材ボックス
602・・・蓄熱材
603・・・線状金属
1000・・コントローラ。

Claims (15)

  1. 凹部を備えた試料収容容器と、
    該試料収容容器の上面を封止する蓋部材と、
    前記蓋部材の裏面若しくは前記試料収容容器の上面に設けられた少なくとも1つのパッキンとを備え、
    前記試料収容容器は、生体試料を内部に保持する機能を有し、
    前記蓋部材は、
    前記試料収容容器と外部との間で液体及び気体の移動を可能とする流路チューブが設けられた、第一の蓋部材と、
    前記流路チューブの無い第二の蓋部材とを含み、
    前記試料収容容器は、前記第一の蓋部材と前記第二の蓋部材とが交換可能に構成されている
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  2. 請求項1に記載の包装容器において、
    前記パッキンは、
    前記蓋部材の裏面若しくは前記試料収容容器の上面に設けられた第一パッキンと、
    前記蓋部材の裏面若しくは前記試料収容容器の上面で、かつ、前記第一パッキンよりも外側の位置に設けられた第二パッキンとを含み、
    前記第一パッキンは、前記蓋部材を前記試料収容容器へ封止する方向において、その長さが前記第二パッキンよりも長い
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  3. 請求項2に記載の包装容器において、
    前記蓋部材を前記試料収容容器に固定した状態において、前記第一パッキンは前記凹部の上面を封止し、前記第二パッキンは前記試料収容容器の上面を封止する機能を有し、
    前記蓋部材を前記試料収容容器へ封止する際に、前記第二パッキンの先端が、前記第一パッキンの先端よりも先に、対向する前記試料収容容器若しくは前記蓋部材に接地して圧着される
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  4. 請求項1に記載の包装容器において、
    前記試料収容容器内に、前記生体試料を収容する下層の試料容器及び上層のインサート型培養容器が保持され、
    前記試料容器及び前記インサート型培養容器は、容器の内部と外部との通気性が確保された開放系培養容器であり、
    前記蓋部材を前記試料収容容器に固定した状態において、前記第一パッキンは前記凹部の上端面に保持された前記インサート型培養容器の鍔部を封止する
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  5. 請求項3に記載の包装容器において、
    前記試料容器内に、前記生体試料を収容する下層の試料容器及び上層のインサート型培養容器が保持され、
    前記第一パッキンは、非圧着時に、前記試料容器及び前記インサート型培養容器に対する気体の移動は許容し培地の移動を抑制する機能を有し、
    前記第一パッキン及び前記第二パッキンは、前記圧着状態において、前記試料容器及び前記インサート型培養容器に対する気体及び液体の移動を抑制する機能を有する
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  6. 請求項5に記載の包装容器において、
    前記第一の蓋部材には、前記流路チューブとして、前記インサート型培養容器に使用する供給用流路チューブ排出用流路チューブ、前記試料容器に使用する供給用流路チューブ及び下層の排出用流路チューブが、上下方向に設けられている
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  7. 請求項3に記載の包装容器において、
    前記試料容器内に、前記生体試料を収容する下層の試料容器が保持され、
    前記第一パッキンは、非圧着時に、前記試料容器に対する気体の移動は許容し培地の移動を抑制する機能を有し、
    前記第一パッキン及び前記第二パッキンは、前記圧着状態において、前記試料容器に対する気体及び液体の移動を抑制する機能を有し、
    前記第一の蓋部材には、前記流路チューブとして、前記試料容器に使用する供給用流路チューブ及び下層の排出用流路チューブが、上下方向に設けられている
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  8. 請求項1に記載の包装容器において、
    前記蓋部材は、前記試料収容容器の底面方向に突き出した形状の窪み部を有し、
    前記蓋部材は、前記試料収容容器と前記蓋部材の封止時に、窪み部の底面から前記試料収容容器の底面までの距離を超える高さまで、培地が試料容器内に供給されていた場合、培地と窪み部の底面は接し、窪み部の底面以外の前記蓋部材の底面と、前記試料収容容器の間に空気層を形成させ、これにより輸送時の振動等で前記培地内に生じる攪拌流の発生を抑制し、細胞に対しシアストレスが生じることを抑制する
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  9. 生体試料を有する試料容器を保持する生体試料用包装容器であって、
    前記試料容器を内部に保持する凹部を備えた試料収容容器と、
    当該試料収容容器を封止する蓋部材を有し、
    前記蓋部材の裏面若しくは前記試料収容容器の上面に設けられ、前記蓋部材を前記試料収容容器に固定した圧着状態において、前記凹部の上端面を封止する環状の第一パッキンと、
    前記蓋部材の裏面若しくは前記試料収容容器の上面で、かつ、前記第一パッキンよりも外側の位置に設けられ、前記蓋部材を前記試料収容容器に固定した圧着状態において、前記試料収容容器の上面を封止する環状の第二パッキンとを備えている
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  10. 請求項9に記載の包装容器において、
    前記第一パッキンは、前記蓋部材を前記試料収容容器へ封止する方向において、その長さが前記第二パッキンよりも長く、
    前記蓋部材を前記試料収容容器へ封止する際に、前記第二パッキンの先端が、前記第一パッキンの先端よりも先に、対向する前記試料収容容器若しくは前記蓋部材に接地して圧着される
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  11. 請求項10に記載の包装容器において、
    前記第一パッキンは、非圧着時において、前記試料収容容器から外への気体の通過を可能にし、かつ液体の移動を抑制する機能を有する
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  12. 請求項10に記載の包装容器において、
    前記蓋部材は、前記試料収容容器の底面方向に突き出した形状の窪み部を有し、
    前記蓋部材は、前記試料収容容器と前記蓋部材の封止時に、窪み部の底面から前記試料収容容器の底面までの距離を超える高さまで、培地が試料容器内に供給されていた場合、培地と窪み部の底面は接し、窪み部の底面以外の前記蓋部材の底面と、前記試料収容容器の間に空気層を形成させ、輸送時の振動等で培地内に生じる攪拌流の発生を抑制する
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  13. 請求項10に記載の包装容器において、
    前記蓋部材の一部に気体透過性膜が形成されている
    ことを特徴とする生体試料用包装容器。
  14. 生体試料用包装容器を用いた生体試料の輸送方法であって、
    前記生体試料用包装容器は、
    凹部を備えた試料収容容器と、
    該試料収容容器の上面を封止する蓋部材と、
    前記蓋部材の裏面若しくは前記試料収容容器の上面に設けられた少なくとも1つのパッキンとを備え、
    前記蓋部材は、流路チューブを有し、前記生体試料の培養時に使用される第一の蓋部材と、前記流路チューブが無く、前記生体試料の輸送時に使用される第二の蓋部材とを含み、
    前記第一の蓋部材で封止された前記生体試料用包装容器を用いて培養された生体試料を前記試料収容容器に保持した状態で、前記第一の蓋部材を外して前記第二の蓋部材と交換し、
    前記試料収容容器に前記生体試料を保持して輸送を行う
    ことを特徴とする生体試料用包装容器を用いた生体試料の輸送方法。
  15. 請求項14に記載の生体試料の輸送方法において、
    前記試料収容容器に前記培養後の生体試料保持したままの状態で、前記第一の蓋部材を外し、前記試料収容容器の中へ輸送用の培地を満たし、
    その後、該試料収容容器に前記第二の蓋部材を被せて輸送用の試料収容容器とし、前記生体試料の輸送を行う
    ことを特徴とする生体試料用包装容器を用いた生体試料の輸送方法。
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