JPWO2014038538A1 - ポリイミド及び耐熱性材料 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、従来のポリイミドフィルムは、分子構造由来の電荷移動相互作用により強く着色しており(例えば非特許文献1)、また、各種プロセス適合性のために求められる高度な低熱膨張特性は必ずしも十分ではない。
そのため、現行のポリイミドフィルムを何ら特性改善することなくそのままプラスチック基板等の光学部材に適用することは困難である。
しかしながら、この場合、ポリイミド骨格中に耐熱性に劣る脂環構造単位が導入されるため、従来の全芳香族ポリイミドに比べると、熱安定性の大幅な低下は避けられない。また、脂環構造導入はポリイミド主鎖の直線性の低下も招くため、無色透明ポリイミドはしばしば低熱膨張特性を示さない。
このように、プラスチック基板として全ての要求特性を完璧に満たすことは材料設計上容易なことではない。
そのため、OLED用プラスチック基板材料としては、できるだけ高温域までVOCの発生を抑制するための極めて高い熱安定性、高度な熱寸法安定性(即ち、低熱膨張特性)、ガラス並みの無色透明性及び優れた膜形成能(膜靱性)を併せ持つ、従来にない材料が求められているが、これら全ての要求特性をターゲットとする樹脂材料開発のハードルは極めて高い。
そのため、トップ・エミッション方式のOLEDディスプレー用プラスチック基板では、極めて高いVOC抑制能(基板材料自身からVOCが発生しない性質のことである。以下同じ。)、極めて低い線熱膨張係数(以下CTEと称する)及び優れた膜形成能(膜靱性)が求められる。
しかし、ポリパラフェニレンは有機溶媒への溶解性を全く有しておらず、これを重合して得ようとすると分子量が増加する前に沈殿が生じてしまうため、その重合反応そのものが極めて困難である。
例えば、下記式(X4)で表される繰り返し単位構造を有するポリベンゾオキサゾールは、上記用途に適用するのに理想的な分子構造、即ち、置換基や連結基を一切有さず、剛直で直線状の主鎖構造を有している。
この点に加え、VOC抑制能と低熱膨張特性の発現を目指して、上記式(X4)に例示したように、ポリベンゾオキサゾールから連結基を完全に排除した上で、剛直で直線性の高い主鎖構造となるように分子設計すると、ポリベンゾオキサゾールの前駆体であるポリヒドロキシアミドの段階でさえも有機溶媒への溶解性が乏しくなるという重大な問題が生じる(例えば非特許文献7)。
即ち、本発明は、
1.式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド、
2.前記X1が、式(2)〜(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の4価の基である1.のポリイミド、
4.1.〜3.のいずれかのポリイミドからなる耐熱性材料、
5.4.の耐熱性材料からなる耐熱性薄膜、
6.厚さが1〜100μmである5.の耐熱性薄膜、
7.15ppm/K以下の線熱膨張係数、370℃以上のガラス転移温度、及び、窒素雰囲気中、570℃以上の5%重量減少温度及び20%以上の破断伸びを有することを特徴とする、5.又は6.の耐熱性薄膜、
8.5.〜7.のいずれかの耐熱性薄膜からなる、光電変換素子、発光素子又は電子回路用の基板、
9.式(5)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体を含むワニス、
10.前記X1が、式(2)〜(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の4価の基である9.のワニス、
12.9.〜11.のいずれかのワニスを基板上に塗布し、これを350℃以上で加熱することを特徴とする、耐熱性薄膜の製造方法、
13.式(5)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、
14.固有粘度が、0.3dL/g以上である13.のポリイミド前駆体
を提供する。
本発明のポリイミドは、式(1)で表される繰り返し単位を有する。
このような炭素原子数6〜14の4価の芳香族基の具体例としては、ベンゼン−1,2,4,5−テトライル基、ベンゼン−1,2,3,4−テトライル基、ナフタレン−1,2,3,4−テトライル基、ナフタレン−1,2,5,6−テトライル基、ナフタレン−1,2,6,7−テトライル基、ナフタレン−1,2,7,8−テトライル基、ナフタレン−2,3,5,6−テトライル基、ナフタレン−2,3,6,7−テトライル基、ナフタレン−1,4,5,8−テトライル基、ビフェニル−2,2’,3,3’−テトライル基、ビフェニル−2,3,3’,4’−テトライル基、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトライル基、アントラセン−1,2,3,4−テトライル基、アントラセン−1,2,5,6−テトライル基、アントラセン−1,2,6,7−テトライル基、アントラセン−1,2,7,8−テトラキル基、アントラセン−2,3,6,7−テトライル基、フェナントラセン−1,2,3,4−テトライル基、フェナントラセン−1,2,5,6−テトライル基、フェナントラセン−1,2,6,7−テトライル基、フェナントラセン−1,2,7,8−テトライル基、フェナントラセン−1,2,9,10−テトライル基、フェナントラセン−2,3,5,6−テトライル基、フェナントラセン−2,3,6,7−テトライル基、フェナントラセン−2,3,9,10−テトライル基、フェナントラセン−3,4,5,6−テトライル基、フェナントラセン−3,4,9,10−テトライル基、フェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトライル基、ハイドロキノン−ジフタリックアンハイドライド−テトライル基等が挙げられる。繰り返し単位中のX1は、同一であっても、異なっていてもよい。
これらの中でも、X1は、ベンゼン−1,2,4,5−テトライル基、ナフタレン−1,2,3,4−テトライル基、ナフタレン−1,2,5,6−テトライル基、ナフタレン−1,2,6,7−テトライル基、ナフタレン−1,2,7,8−テトライル基、ナフタレン−2,3,5,6−テトライル基、ビフェニル−2,2’,3,3’−テトライル基、ビフェニル−2,3,3’,4’−テトライル基、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトライル基であることが好ましく、下記式(2)〜(4)のいずれかであることがより好ましい。
このような炭素原子数6〜20の芳香族基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
本発明のポリイミドは、下記式(5)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体から製造することができる。
まず、下記式(8)で表されるジアミン(後述の方法により得られる式(6)で表されるジアミンに対応する)を溶媒に溶解し、これに下記式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0〜100℃、好ましくは20〜60℃で0.5〜100時間、好ましくは1〜72時間撹拌する。
本発明の耐熱性薄膜の靭性の観点から、ポリイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましく、それゆえ、反応溶媒中のモノマー濃度を5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%としてポリイミド前駆体を調製することが望ましい。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが使用可能である。
更に、フェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン等の一般的な溶媒も部分的に使用してもよい。
本発明の耐熱性薄膜は、上記の方法で得られたポリイミド前駆体を加熱脱水環化反応(イミド化反応)することで製造することができる。
本発明のポリイミド前駆体を含むワニスを、ガラス、銅、アルミニウム、ステンレス、シリコン等の基板上に流延し、オーブン中、40〜180℃、好ましくは50〜150℃で乾燥し、ポリイミド前駆体フィルムを作製する。
得られたポリイミド前駆体フィルムを基板上で真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中、加熱することで本発明の耐熱性薄膜(ポリイミドフィルム)が得られる。
この際、加熱温度は、イミド化反応を完結するという観点から200℃以上、好ましくは250℃以上、生成したポリイミドフィルムの熱分解を抑制するという観点から450℃以下、好ましくは430℃以下である。
また、イミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中で行ってもよい。
また、これらの脱水環化試薬をあらかじめポリイミド前駆体を含むワニス中に室温で投入・撹拌し、それを上記基板上に流延・乾燥することで、部分的にイミド化したポリイミド前駆体フィルムを作製することもでき、これを更に上記のように熱処理することでポリイミドフィルムが得られる。
以上説明した本発明の耐熱性薄膜は、本発明の優れた膜形成能を有するポリイミドの前駆体から容易に製造することができ、極めて高いVOC抑制能と高度な低熱膨張特性を有することから、有機EL素子、液晶表示素子や有機太陽電気等の基板における耐熱性の薄膜として好適に用いることができる。
本発明のポリイミド前駆体及びポリイミドは、前述したようにそのモノマーであるテトラカルボン酸二無水物とBO含有ジアミンより得られる。
本発明で用いるBO基含有ジアミンは、下記式(8)で表される。
次に、ナス型フラスコ中、p−HABの2倍モル量の4−ニトロ安息香酸クロリドをA液と同様の溶媒に溶解し、セプタムキャップでシールしてB液とする。
そして、A液を氷浴中で冷却し、回転子で撹拌しながらシリンジにてB液をA液に少しずつ加え、添加終了後数時間撹拌を続け、ジアミド体を合成する。
生成した沈殿物を濾過により集めて水で繰り返し洗浄した後、100℃で12時間真空乾燥して下記式(10)で表されるジニトロ体を合成する
反応終了後、濾過によりPd/Cを分離した後、濾液を大量の水にゆっくりと滴下して生成物を析出させる。沈殿物を濾過により集めて水で繰り返し洗浄した後、100℃で12時間真空乾燥する。必要に応じて適当な溶媒から再結晶して高純度化することもできる。
このようにして、本発明のポリイミド前駆体の重合に用いることができる下記式(6)で表されるBO基含有ジアミンが得られる。
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR5300)を用い、KBrプレート法にてBO基含有ジアミンの赤外線吸収スペクトルを測定した。また透過法にてポリイミド前駆体フィルム及びポリイミドフィルム(約5μm厚)の赤外線吸収スペクトルを測定した。
<1H−NMRスペクトル>
日本電子社製NMR分光光度計(ECP400)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中でBO基含有ジアミンの1H−NMRスペクトルを測定した。
<示差走査熱量分析(融点及び融解曲線)>
BO基含有ジアミンの融点及び融解曲線は、ブルカーエイエックス社製示差走査熱量分析装置(DSC3100)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度2℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
<固有粘度>
0.5質量%のポリイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失エネルギー曲線のピーク温度からポリイミドフィルム(20μm厚)のガラス転移温度を求めた。
<線熱膨張係数:CTE>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値としてポリイミドフィルム(20μm厚)のCTEを求めた。
<5%重量減少温度(Td 5)>
ブルカーエイエックス社製熱重量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、窒素中または空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、ポリイミドフィルム(20μm厚)の初期重量が5%減少した時の温度を測定した。これらの値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
<弾性率、破断伸び、破断強度>
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリイミド試験片(3mm×30mm×20μm厚)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、フィルムが破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。破断伸びが高いほどフィルムの靭性が高いことを意味する。
<BO基含有ジアミンの合成>
3つ口フラスコ中、p−HAB(和歌山精化社製、2.61g、12mmol)をよく脱水させたN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという。)(81mL)に溶解し、これに脱酸剤としてピリジン(2.9mL、36mmol)を添加し、セプタムキャップでシールしてA液とした。次に別のナス型フラスコ中、4−ニトロ安息香酸クロリド(4.49g、24mmol)をNMP(17mL)に溶解し、セプタムキャップでシールしてB液とした。A液を氷浴中で冷却し、回転子で撹拌しながらシリンジにてB液をA液に少しずつ加え、添加終了後3時間撹拌を続け、ジアミド体を合成した。
得られた生成物は、DMSO−d6やCDCl3に殆ど不溶であったため、1H−NMR測定は実施しなかったが、その赤外線吸収スペクトルは、1605cm−1にBO基C=N伸縮振動バンド、1518/1348cm−1にニトロ基伸縮振動バンドを示し、アミドC=O伸縮振動バンドやフェノール性O−H伸縮振動バンドは見られなかった。
これらの結果から、得られた生成物は、下記式(10)で表されるジニトロ体であると考えられる。
得られた生成物の赤外線吸収スペクトルは、3454/3380/3210cm−1にアミノ基N−H伸縮振動バンド、1621/1607cm−1にBO基C=N伸縮振動バンド、1499cm−1に1,4−フェニレン基伸縮振動バンドを示し、ニトロ基伸縮振動バンドやアミドC=O伸縮振動バンドは見られなかった。
この赤外線吸収スペクトルの結果と下記1H−NMRスペクトル及び元素分析の結果から、得られた生成物は、下記式(6)で表されるBO基含有ジアミンであることが確認された。
1H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d6,δ,ppm):8.06(s,2H),7.90−7.88(d,4H),7.75−7.71(m,4H),6.72−6.70(d,4H),6.04(s,4H)
元素分析:推定値C;74.63%,H;4.34%,N;13.39%,分析値C;74.41%,H;4.47%,N;13.26%
[実施例1]
よく乾燥した撹拌機付密閉反応容器中に上記式(6)で表されるBO基含有ジアミン5mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したNMPに約50℃で溶解した後、室温まで放冷し、この溶液に2,3,6,7’−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(JFEケミカル社製、以下NTDAと称する)粉末5mmolを加えた(全溶質濃度:13質量%)。その後、室温で72時間撹拌して、均一で粘稠なポリイミド前駆体を含む溶液(ポリイミド前駆体溶液)を得た。
NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリイミド前駆体の固有粘度は1.15dL/gであった。
上記ポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、熱風乾燥機中80℃で3時間乾燥してポリイミド前駆体フィルムを作製した。
図1に得られたポリイミド前駆体の薄膜の赤外線吸収スペクトルを示す。2600cm−1付近にブロードな吸収帯(水素結合性COOH基O−H伸縮振動バンド)、1711cm−1に水素結合性COOH基C=O伸縮振動バンド、1678cm−1(ショルダー)/1530cm−1にアミド基C=O伸縮振動バンド、1501cm−1に1,4−フェニレン基伸縮振動バンドが観測され、一方、モノマー由来のアミノ基N−H伸縮振動バンドやテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基C=O伸縮振動バンドが見られないことから、目的とするポリイミド前駆体の生成が確認された。
図2に同一条件で別途作製されたポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを示す。3046cm−1に芳香族C−H伸縮振動バンド、1777/1721cm−1にイミド基C=O伸縮振動バンド、1618cm−1にBO基C=N伸縮振動バンド、1501cm−1に1,4−フェニレン基伸縮振動バンド、1356cm−1にイミド基N−C(芳香族)伸縮振動バンドが観測され、一方、COOH基やアミド基に由来する吸収帯が見られないことから、イミド化反応は完結しており、目的とするポリイミドの生成が確認された。
テトラカルボン酸二無水物成分としてNTDAの代わりに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(和光純薬社製、以下BPDAと称する)を同モル量用いた以外は、実施例1に記載した方法に従ってポリイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。表1に物性を示す。実施例1に記載のポリイミドと同様、優れた特性を示した。
なお、表中、NDは室温〜500℃までの動的粘弾性測定においてガラス転移が未検出であったことを表す。
テトラカルボン酸二無水物成分としてNTDAの代わりにピロメリット酸二無水物(三菱瓦斯化学社製、以下PMDAと称する)を同モル量用いた以外は、実施例1に記載した方法に従ってポリイミド前駆体を重合し、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。表1に物性を示す。実施例1に記載のポリイミドと同様、優れた特性を示した。
テトラカルボン酸二無水物成分としてPMDA、ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンを同モル量用い、実施例1に記載した方法に準じて重合、製膜、熱イミド化してポリイミドフィルムを作製した。このポリイミドフィルムは極めて低いCTE(2.8ppm/K)を示したが、非常に脆弱であり破断伸びは0%であった。また、このフィルムは折り曲げることで容易に破断した。これは、このポリイミド系の棒状主鎖構造に由来するもので、ポリマー鎖間の絡み合いが殆どないためである。
テトラカルボン酸二無水物成分としてPMDAを同モル量、ジアミン成分として4,4’−オキシジアニリンを同モル量それぞれ用い、実施例1に記載した方法に準じて重合、製膜、熱イミド化、膜物性評価を行った。このポリイミドフィルムは極めて高いガラス転移温度(408℃)を示し、破断伸び85%と優れた靱性を有していたが、CTEは42.8ppm/Kであり、低熱膨張特性を示さなかった。
Claims (14)
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリイミドからなる耐熱性材料。
- 請求項4に記載の耐熱性材料からなる耐熱性薄膜。
- 厚さが1乃至100μmである、請求項5に記載の耐熱性薄膜。
- 15ppm/K以下の線熱膨張係数、370℃以上のガラス転移温度、及び、窒素雰囲気中、570℃以上の5%重量減少温度及び20%以上の破断伸びを有することを特徴とする、請求項5又は6に記載の耐熱性薄膜。
- 請求項5乃至7のいずれか1項に記載の耐熱性薄膜からなる、光電変換素子、発光素子又は電子回路用の基板。
- 前記ポリイミド前駆体が、0.3dL/g以上の固有粘度を有する、請求項9又は10に記載のワニス。
- 請求項9乃至11のいずれか1項に記載のワニスを基板上に塗布し、これを350℃以上で加熱することを特徴とする、耐熱性薄膜の製造方法。
- 固有粘度が0.3dL/g以上である、請求項13に記載のポリイミド前駆体。
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