JPWO2013176092A1 - 電極合剤 - Google Patents
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Abstract
Description
このように電極は、正極活物質や負極活物質の粉末電極材料と結着剤とを有機溶剤に混合分散した、スラリー状の電極合剤を用いて作製される。
また、リチウムイオン二次電池の形態は円形型、角型、ラミ型等であり、電極シートは捲回、プレスして導入されるので、電極シートが割れたり、粉末電極材料が脱落したり、集電基材と剥離したりしやすいことから、電極には柔軟性も望まれるようになった。また、合わせて高電圧における耐久性も重要である。
上記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオライド(VdF)に基づく重合単位及びテトラフルオロエチレン(TFE)に基づく重合単位のみからなることが好ましい。
上記含フッ素重合体は、重量平均分子量が50000〜2000000であることが好ましい。
以下に本発明を詳細に説明する。
上記含フッ素重合体は、VdFに基づく重合単位(「VdF単位」ともいう)を、全重合単位に対して80.0〜89.0モル%含む。
VdF単位が80.0モル%未満であると電極合剤の粘度の経時変化が大きくなり、89.0モル%より多いと合剤から得られる電極の柔軟性が劣る傾向がある。
上記含フッ素重合体は、VdF単位を全重合単位に対して80.5モル%以上含むことが好ましく、82.0モル%以上含むことがより好ましい。82.0モル%以上含むと、本発明の電極合剤から得られる電極を用いた電池のサイクル特性がより良好となる傾向がある。
上記含フッ素重合体は、VdF単位を全重合単位に対して82.5モル%以上含むことが更に好ましい。また、88.9モル%以下含むことが好ましく、88.8モル%以下含むことがより好ましい。
上記含フッ素重合体の組成は、NMR分析装置を用いて測定することができる。
本発明の効果を達成するためには、VdFとTFEとの共重合体で充分であるが、さらに共重合体の優れた非水電解液膨潤性を損なわない程度にそれらと共重合しうる単量体を共重合させて接着性をさらに向上させることができる。
上記VdF及びTFEと共重合し得る単量体に基づく重合単位の含有量は、上記含フッ素重合体の全重合単位に対して、3.0モル%未満が好ましい。3.0モル%以上であると、一般的にVdFとTFEの共重合体の結晶性が著しく低下し、その結果非水電解液膨潤性が低下する傾向がある。
ところで、以上のような極性基などを含む化合物以外でもフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体の結晶性を少し低下させ、材料に柔軟性を与えることによりアルミや銅の金属箔からなる集電体との接着性が向上しうることがこれまでの研究より類推できるようになった。これより、たとえばエチレン、プロピレンなどの不飽和炭化水素系モノマー(CH2=CHR、Rは水素原子、アルキル基またはClなどのハロゲン)や、フッ素系モノマーである3フッ化塩化エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、CF2=CF−O−CnF2n+1(nは1以上の整数)、CH2=CF−CnF2n+1(nは1以上の整数)、CH2=CF−(CF2CF2)nH(nは1以上の整数)、さらにCF2=CF−O−(CF2CF(CF3)O)m−CnF2n+1(m、nは1以上の整数)も使用可能である。
そのほか式(1):
これら単量体の中でも、柔軟性と耐薬品性の観点から、ヘキサフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンが特に好ましい。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを用い50℃で測定することができる。
上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを用い50℃で測定することができる。
上記引張弾性率は、ASTM D−638(1999)の方法に準拠して測定できる。
上記重合においては、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、及び、溶媒を使用することができ、それぞれ従来公知のものを使用することができる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類などが、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などが代表的なものとして挙げられる。
上記溶媒としては、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
フッ素系溶媒を用いないで水を分散媒とした懸濁重合においては、メチルセルロース、メトキシ化メチルセルロース、プロポキシ化メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチン等の懸濁剤を、水に対して0.005〜1.0質量%、好ましくは0.01〜0.4質量%の範囲で添加して使用する。
また、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、エタノール、n−プロパノール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、プロピオン酸エチル、四塩化炭素等の連鎖移動剤を添加して、得られる重合体の重合度を調節することも可能である。その使用量は、通常は、単量体合計量に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%である。
単量体の合計仕込量は、単量体合計量:水の重量比で1:1〜1:10、好ましくは1:2〜1:5であり、重合は温度10〜50℃で10〜100時間行う。
上記の懸濁重合により、容易に上記含フッ素重合体を得ることができる。
上記PVdFは、VdFに基づく重合単位のみからなるホモポリマーであってもよいし、VdFに基づく重合単位と、上記VdFに基づく重合単位と共重合可能な単量体(α)に基づく重合単位とからなるものであってもよい。
そのほか式(1):
上述の範囲であると、電極合剤の粘度低下が抑制でき、電極密度が高く柔軟性に優れた電極を製造することができる。
上記粉末電極材料としては、非水系電池電極活物質、電気二重層キャパシタ分極性電極形成用活物質、及び、これらの活物質と導電助剤との混合物が挙げられる。
上記非水系電池電極活物質としては、正極活物質及び負極活物質を挙げることができる。
本発明の電極合剤は、例えば、正極活物質を含む場合は、正極合剤となり、負極活物質を含む場合は、負極合剤となる。
上記正極合剤は、上記粉末電極材料として、正極活物質及び導電助剤を含むことが好ましい。
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質;炭素質物質{例えば天然黒鉛、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、或いはこれらピッチを酸化処理したもの、ニードルコークス、ピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等の有機物の熱分解物、炭化可能な有機物(例えば軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ、或いは乾留液化油等の石炭系重質油、常圧残油、減圧残油の直流系重質油、原油、ナフサ等の熱分解時に副生するエチレンタール等分解系石油重質油、更にアセナフチレン、デカシクレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジン等のN環化合物、チオフェン、ビチオフェン等のS環化合物、ビフェニル、テルフェニル等のポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、これらのものの不溶化処理品、含窒素性のポリアクニロニトリル、ポリピロール等の有機高分子、含硫黄性のポリチオフェン、ポリスチレン等の有機高分子、セルロース、リグニン、マンナン、ポリガラクトウロン酸、キトサン、サッカロースに代表される多糖類等の天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性樹脂、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等の熱硬化性樹脂)及びこれらの炭化物、又は炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレン、キノリン、n−へキサン等の低分子有機溶媒に溶解させた溶液及びこれらの炭化物}を400から3200℃の範囲で一回以上熱処理された炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスが良く好ましい。
また、上記活性炭としては、フェノール樹脂系活性炭、やしがら系活性炭、石油コークス系活性炭などが挙げられる。
上記集電体としては、例えば、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属網等が挙げられる。
上記非水系電解液二次電池は、正極合剤が正極集電体に保持されてなる正極、負極合剤が負極集電体に保持されてなる負極、及び、非水電解液を備えている。
上記負極合剤は、上述の粉末電極材料、結着剤及び有機溶剤を含み、上記粉末電極材料は負極活物質であることが好ましい。
上記正極集電体としては、例えば、アルミ箔等が挙げられ、上記負極集電体としては例えば銅箔等が挙げられる。
内容積6Lのオートクレーブに純水1.9kgを投入し、充分に窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.8kgを仕込み、系内を37℃、攪拌速度580rpmに保った。その後、TFE/VdF=5/95モル%の混合ガス260g、酢酸エチル0.6gを仕込み、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を2.8g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFE/VdF=5/85モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.3MPaGに保った。32時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Aの白色粉末900gを得た。
得られた含フッ素重合体Aは以下の組成及び物性を有していた。
VdF/TFE=83.0/17.0(モル%)
5wt%NMP溶液粘度:440mPa・s(25℃)
数平均分子量 :270000
重量平均分子量:870000
引張弾性率:450MPa
内容積4Lのオートクレーブに純水1.3kgを投入し、充分に窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.3kgを仕込み、系内を37℃、攪拌速度580rpmに保った。その後、TFE/VdF=4/96モル%の混合ガス200g、酢酸エチル0.4gを仕込み、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFE/VdF=13/87モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.3MPaGに保った。17時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Bの白色粉末190gを得た。
得られた含フッ素重合体Bは、以下の組成及び物性を有していた。
VdF/TFE=86.6/13.4(モル%)
数平均分子量:274000
重量平均分子量:768000
引張弾性率:500MPa
内容積4Lのオートクレーブに純水1.3kgを投入し、充分に窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.3kgを仕込み、系内を37℃、攪拌速度580rpmに保った。その後、TFE/VdF=3/97モル%の混合ガス200g、酢酸エチル0.4gを仕込み、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFE/VdF=11/89モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.3MPaGに保った。20時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Cの白色粉末190gを得た。
得られた含フッ素重合体Cは、以下の組成及び物性を有していた。
VdF/TFE=88.8/11.2(モル%)
数平均分子量:305000
重量平均分子量:854000
引張弾性率:550MPa
内容積4Lのオートクレーブに純水1.3kgを投入し、充分に窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.3kgを仕込み、系内を37℃、攪拌速度580rpmに保った。その後、TFE/VdF=6/94モル%の混合ガス200g、酢酸エチル0.4gを仕込み、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFE/VdF=19/81モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.3MPaGに保った。11時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Dの白色粉末130gを得た。
得られた含フッ素重合体Dは以下の組成及び物性を有していた。
VdF/TFE=81.0/19.0(モル%)
数平均分子量:283000
重量平均分子量:795000
引張弾性率:400MPa
内容積4Lのオートクレーブに純水1.3kgを投入し、充分に窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.3kgを仕込み、系内を37℃、攪拌速度580rpmに保った。その後、TFE/VdF=7/93モル%の混合ガス200g、酢酸エチル0.4gを仕込み、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFE/VdF=22/78モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.3MPaGに保った。6時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Eの白色粉末60gを得た。
得られた含フッ素重合体Eは、以下の組成及び物性を有していた。
VdF/TFE=78.0/22.0(モル%)
数平均分子量:265000
重量平均分子量:750000
引張弾性率:400MPa
内容積4Lのオートクレーブに純水1.3kgを投入し、充分に窒素置換を行った後、オクタフルオロシクロブタン1.3kgを仕込み、系内を37℃、攪拌速度580rpmに保った。その後、TFE/VdF=2/98モル%の混合ガス200g、酢酸エチル1gを仕込み、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液を1g添加して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFE/VdF=8/92モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.3MPaGに保った。20時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して、含フッ素重合体Fの白色粉末130gを得た。
得られた含フッ素重合体Fは、以下の組成及び物性を有していた。
VdF/TFE=91.5/8.5(モル%)
数平均分子量:296000
重量平均分子量:799000
引張弾性率:980MPa
(含フッ素重合体G)
呉羽化学工業社製PVdFであるKF7200を用いた。
VdF=100モル%
数平均分子量:295000
重量平均分子量:835000
引張弾性率:1200MPa
呉羽化学工業社製PVdFであるKF9200を用いた。
VdF/マレイン酸モノメチルエステル=99.8/0.2モル%
数平均分子量:203000
重量平均分子量:650000
引張弾性率:1200MPa
<ポリマー組成>
NMR分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、VNS400MHz)を用いて、19F−NMR測定でポリマーのDMSO溶液状態にて測定した。
19F−NMR測定にて、下記のピークの面積(A、B、C、D)を求め、VdFとTFEの比率を計算した。
A:−86ppm〜−98ppmのピークの面積
B:−105ppm〜−118ppmのピークの面積
C:−119ppm〜−122ppmのピークの面積
D:−122ppm〜−126ppmのピークの面積
VdFの割合:(4A+2B)/(4A+3B+2C+2D)×100[mol%]
TFEの割合:(B+2C+2D)/(4A+3B+2C+2D)×100[mol%]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。東ソー株式会社製のHLC−8320GPC、カラム(SuperAWM−Hを3本直列に接続)を用い、溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)を用いて測定したデータ(リファレンス:ポリスチレン)より算出した。
濃度5質量%の含フッ素重合体のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を調製し、この溶液をアルミ箔上にキャストコーティングした。塗布後、送風定温恒温器(ヤマト科学(株)製)を用いて120℃で乾燥しながらNMPを完全に揮発させ、帯状の厚み10μmのキャストフィルムを作製した。
作製した含フッ素重合体のキャストフィルムをアルミ箔から剥がし、そのフィルムをASTM V型ダンベルに打抜き、テンシロンにて引張弾性率を測定した。測定方法はASTM D−638(1999)に準拠した。
(正極合剤の調製)
LiCoO2(日本化学工業(株)製):結着剤:アセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を、質量比で100:1:1となるように秤量した。
なお、結着剤として、表1に示す含フッ素重合体A〜Hを用いた。
結着剤を、濃度が5質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた後、得られたNMP溶液に、所定量のLiCoO2とアセチレンブラックを加え、撹拌機(プライミクス社製 T.K.HIVIS MIX)で、100rpmで60分攪拌を行い、更に、真空脱泡処理を施しながら、100rpmで30分攪拌を行った。攪拌後のNMP溶液を、Niメッシュ(200メッシュ)を用いてろ過し、固形分の粒径を均一化して、正極合剤を得た。
<安定性(粘度維持率(%))>
得られた正極合剤の粘度を、レオメーター(TA Instrument社製、応力制御型レオメーターDiscovery HR−1)を用いて測定した。
合剤調製時の粘度(η0)、合剤調製から24時間経過後の粘度(ηa)をそれぞれ測定し、粘度維持率(Xa)を下記の式により求めた。ここで合剤粘度とは、ジオメトリーを直径40mmの1°コーンプレートとし、25℃でせん断速度を0.01sec−1から1000sec−1まで掃引していった際の、100sec−1における粘度の値である。
Xa=ηa/η0×100[%]
(正極合剤の調製)
LiCoO2(日本化学工業(株)製):結着剤:アセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を、質量比で92:3:5となるように秤量した。
なお、結着剤として、表2に示す含フッ素重合体A〜Hを用いた。
結着剤を、濃度が5質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた後、得られたNMP溶液に、所定量のLiCoO2とアセチレンブラックを加え、撹拌機(プライミクス社製 T.K.HIVIS MIX)で、100rpmで60分攪拌を行い、更に、真空脱泡処理を施しながら、100rpmで30分攪拌を行った。攪拌後のNMP溶液を、Niメッシュ(200メッシュ)を用いてろ過し、固形分の粒径を均一化して、正極合剤を得た。
上記で得られた正極合剤を、調製から24時間静置した後に、集電体である厚さ22μmのAl箔上(東洋アルミ社製)にアプリケーターにより塗布(正極塗膜の乾燥質量が16〜17mg/cm2となる量)した。塗布後、送風定温恒温器(ヤマト科学(株)製)を用いて120℃で乾燥しながらNMPを完全に揮発させ、正極を作製した。
得られた正極について、下記の評価を行った。結果を表2に示す。
正極をギャップが75μmのロールプレスに70℃で2回通し、さらにギャップを35μmに変更して2回通した後、正極の面積/膜厚/重量を測定して電極密度(g/cm3)を算出した。
作製した正極を縦3cm、横6cmに切り取った後、180°折り畳んだ後広げて、正極の割れの有無を目視で確認した。割れが確認されない場合は○、割れが確認された場合は×と評価した。
(正極合剤の調製)
LiCoO2(日本化学工業(株)):結着剤:アセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を、質量比で100:1:1となるように秤量した。
なお、結着剤として、表3に示す含フッ素重合体を用いた。
結着剤を、濃度が8質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた後、得られたNMP溶液に、所定量のLiCoO2とアセチレンブラックを加え、撹拌機(プライミクス社製 T.K.HIVIS MIX)で、100rpmで60分攪拌を行い、更に、真空脱泡処理を施しながら、100rpmで30分攪拌を行った。攪拌後のNMP溶液を、Niメッシュ(200メッシュ)を用いてろ過し、固形分の粒径を均一化して、正極合剤を得た。
上記で得られた正極合剤を、調製から24時間静置した後に、集電体である厚さ22μmのAl箔上(東洋アルミ社製)にアプリケーターにより塗布(正極塗膜の乾燥質量が16〜17mg/cm2となる量)した。塗布後、送風定温恒温器(ヤマト科学(株)製)を用いて120℃で乾燥しながらNMPを完全に揮発させ、正極を作製した。
得られた正極について、下記の評価を行った、結果を表3に示す。
正極をギャップが0μm、圧力が4tのロールプレスに室温下で通し、正極の面積/膜厚/重量を測定して電極密度(g/cm3)を算出した。
作製した正極を縦3cm、横6cmに切り取った後、180°折り畳んだ後広げて、正極の割れの有無を目視で確認した。割れが確認されない場合は○、割れが確認された場合は×と評価した。
1.2×8.0cmに切った正極の電極側を可動式治具に固定し、集電体側にテープを張り、そのテープ側を100mm/分の速度でテープを90度に引っ張った時の応力(N/mm)をオートグラフにて測定した。オートグラフのロードセルには1Nを用いた。
人造黒鉛粉末(日立化成(株)製、商品名MAG−D)に、蒸留水で分散させたスチレン−ブタジエンゴムおよびカルボキシメチルセルロースをそれぞれ固形分で1.2質量%となるように加え、ディスパーザーで混合してスラリー状としたものを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に均一に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、その後ローラープレス機により圧縮成型して、負極を作成した。
リチウム金属と上記で得られた正極を打ち抜き機で直径13mmの円形に打ち抜き、この正極と上記で得られた負極との間に微孔性ポリプロピレンフィルムセパレーターを介在させ、非水電解質を注液してコイン型電池を作成した。非水電解質としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比3/7で混合した溶媒にLiPF6を1モル/Lの濃度で溶解させてなる非水電解液を用いた。
帯状の正極を40mm×72mm(10mm×10mmの正極端子付)に切り取り、また帯状の負極を42mm×74mm(10mm×10mmの負極端子付)に切り取り、各端子にリード体を溶接した。また、厚さ20μmのポリプロピレンフィルムセパレーターを78mm×46mmの大きさに切ってセパレーターとし、セパレーターを挟むように正極と負極をセットし、これらをアルミニウムラミネート包装材内に入れた。ついで包装材中に電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比3/7で混合した溶媒にLiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解したもの)を2mlずつ入れて密封した。
上記で作製したコイン型電池について、25℃の温度環境下、0.2Cの定電流で電圧4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で電圧3.0Vまで放電を行い、正極の初期放電容量(mAh/g)を測定した。
上記で作製したコイン型電池について、25℃の温度環境下、定電流(0.2C)− 定電圧(4.2V)で充電し、放電終止電圧3.0Vまで0.2Cで放電する充放電サイクルを3回行った後、充電率(SOC)100%での0.5C、1C、2C、5C放電時の電圧低下(放電開始15秒後の電圧低下値)を測定して、各電流値と各電圧低下値から初期内部抵抗(Ω)を求めた。
サイクル特性については、上記で作製したラミネート型電池を用いて、充放電条件(1.0Cで4.2Vにて充電電流が1/10Cになるまで充電し1C相当の電流で3.0Vまで放電する)で行う充放電サイクルを1サイクルとし、最初のサイクル後の放電容量と300サイクル後の放電容量を測定する。サイクル特性は、つぎの計算式で求められた値をサイクル維持率の値とする。
サイクル維持率(%)=300サイクル放電容量(mAh)/1サイクル放電容量(mAh)×100
(正極合剤の調製)
LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(日本化学工業(株)製、以下NMCとする)あるいはLiNi0.80Co0.15Al0.05O2(戸田工業(株)製、以下NCAとする):結着剤:アセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を、質量比で93:3:4となるように秤量した。
結着剤を、濃度が8質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた後、得られたNMP溶液に、所定量のLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NMC)あるいはLiNi0.80Co0.15Al0.05O2(NCA)とアセチレンブラックを加え、撹拌機(プライミクス社製 T.K.HIVIS MIX)で、100rpmで60分攪拌を行い、更に、真空脱泡処理を施しながら、100rpmで30分攪拌を行った。攪拌後のNMP溶液を、Niメッシュ(200メッシュ)を用いてろ過し、固形分の粒径を均一化して、正極合剤を得た。
得られた正極合剤を、調製から24時間静置した後に、集電体である厚さ22μmのAl箔上(東洋アルミ社製)にアプリケーターにより塗布(正極塗膜の乾燥質量が13mg/cm2となる量)した。塗布後、送風定温恒温器(ヤマト科学(株)製)を用いて120℃で乾燥しながらNMPを完全に揮発させ、正極を作製した。
得られた正極について、下記の評価を行った、結果を表4に示す。
得られた正極合剤の粘度を、レオメーター(TA Instrument社製、応力制御型レオメーターDiscovery HR−1)を用いて測定した。
合剤調製時の粘度(η0)、合剤調製から24時間経過後の粘度(ηa)をそれぞれ測定し、粘度維持率(Xa)を下記の式により求めた。ここで合剤粘度とは、ジオメトリーを直径40mmの1°コーンプレートとし、25℃でせん断速度を0.01sec−1から1000sec−1まで掃引していった際の、100sec−1における粘度の値である。
Xa=ηa/η0×100[%]
正極を、ギャップが0μm、圧力が0.5tのロールプレスに室温下で通し、正極の面積/膜厚/重量を測定して電極密度(g/cm3)を算出した。
1.2×8.0cmに切った正極の電極側を可動式治具に固定し、集電体側にテープを張り、そのテープ側を100mm/分の速度でテープを90度に引っ張った時の応力(N/mm)をオートグラフにて測定した。オートグラフのロードセルには1Nを用いた。
リチウム金属と上記で得られた正極を打ち抜き機で直径13mmの円形に打ち抜き、この正極と、上述で得られた負極との間に微孔性ポリプロピレンフィルムセパレーターを介在させ、非水電解質を注液してコイン型電池を作成した。非水電解質としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比3/7で混合した溶媒にLiPF6を1モル/Lの濃度で溶解させてなる非水電解液を用いた。
上記で作製したコイン型電池について、25℃の温度環境下、定電流(0.2C)− 定電圧(4.1V)で充電し、放電終止電圧3.0Vまで0.2Cで放電する充放電サイクルを3回行った後、充電率(SOC)100%での0.2C、0.5C、1C、5C、10C放電時の電圧低下(放電開始15秒後の電圧低下値)を測定して、各電流値と各電圧低下値のプロットの傾きより初期内部抵抗(Ω)を求めた。
上記で作製したコイン型電池について、25℃の温度環境下、定電流(0.2C)− 定電圧(4.1V)で充電し放電終止電圧3.0Vまで0.2Cで放電する充放電サイクルを3回行った後、電圧範囲4.1V〜3.0Vでの0.2Cならびに10Cレートにおける放電容量を測定した。なお初回充放電サイクル3回以後の充電条件は0.5Cレートでの定電流(0.5C)− 定電圧(4.1V)充電とした。0.2Cレートでの放電容量値に対する10Cレートでの放電容量値を、10Cレートでの特性値とした。
Claims (3)
- 粉末電極材料、結着剤、及び、有機溶剤を含む電極合剤であって、
前記結着剤は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位及びテトラフルオロエチレンに基づく重合単位からなる含フッ素重合体であり、
前記含フッ素重合体は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を全重合単位に対して80.0〜89.0モル%含み、
前記有機溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、及び/又は、N,N−ジメチルアセトアミドである
ことを特徴とする電極合剤。 - 含フッ素重合体は、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位及びテトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなる請求項1記載の電極合剤。
- 含フッ素重合体は、重量平均分子量が50000〜2000000である請求項1又は2記載の電極合剤。
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