JPWO2013176001A1 - サンルーフ装置 - Google Patents

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Abstract

サンルーフ装置において、駆動側歯部が長手方向に並設されガイドレールに沿って車両前後方向に移動駆動される駆動用ケーブルと、車両前後方向への移動に伴って可動パネルと共に機能ブラケットの姿勢を制御する摺動部材とを備える。摺動部材に形成され駆動側歯部と噛合して駆動用ケーブル及び摺動部材の車両前後方向への相対移動を規制する従動側歯部と、ガイドレールに形成され駆動側歯部及び従動側歯部の噛合状態にある駆動用ケーブル及び摺動部材が装着されてこれらを車両幅方向及び車両高さ方向で保持する被装着部とを備える。

Description

本発明は、車両の屋根部に形成された開口部を可動パネルで開閉するサンルーフ装置に関するものである。
従来、こうしたサンルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。図11に示すように、このサンルーフ装置は、車両の屋根部に形成された開口部の車両幅方向各縁部に延設されたガイドレールに沿って車両前後方向に移動可能に設けられる摺動部材91を備える。この摺動部材91は、車両前後方向に並設された複数(5つ)の係合爪91aを有するとともに、車両高さ方向に立設された支持部91bを有する。
摺動部材91の各係合爪91aは、ガイドレールに沿って車両前後方向に移動駆動される駆動用ケーブルとしての平歯ラックベルト92に形成された複数(5つ)の係合孔92aに嵌挿されている。従って、摺動部材91は、平歯ラックベルト92が車両前後方向に移動駆動されることで一体で車両前後方向に移動する。
一方、摺動部材91の支持部91bは、可動パネルの車両幅方向縁部に固定される機能ブラケット93に連結されている。機能ブラケット93は、摺動部材91の車両前後方向への移動に伴い、可動パネルと共にその姿勢が制御されることで、開口部を開閉する。
特許第3650327号公報(第[0011]段落、第3図)
ところで、特許文献1では、平歯ラックベルト92は、摺動部材91の各係合爪91aが嵌挿される係合孔92aが形成されることで強度低下を余儀なくされ、強度を確保する上ではその小型化に自ずと限界がある。
本発明の目的は、可動パネルの姿勢制御に係る摺動部材に連結される駆動用ケーブルの強度を損ねることなく、該駆動用ケーブルをより小型化することができるサンルーフ装置を提供することにある。
上記課題を解決するサンルーフ装置は、車両の屋根部に形成された開口部を開閉する可動パネルの車両幅方向縁部を支持するよう構成される機能ブラケットと、前記開口部の車両幅方向縁部に設けられ車両前後方向に延在するよう構成されるガイドレールと、駆動側歯部が長手方向に並設され前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動駆動される駆動用ケーブルと、前記機能ブラケットに連係されて前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられ車両前後方向への移動に伴って前記可動パネルと共に前記機能ブラケットの姿勢を制御する摺動部材と、前記摺動部材に形成され、前記駆動側歯部と噛合して前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材の車両前後方向への相対移動を規制する従動側歯部と、前記ガイドレールに形成され、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態にある前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材が装着されてこれら駆動用ケーブル及び摺動部材を車両幅方向及び車両高さ方向で保持する被装着部とを備える。
同構成によれば、前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材は、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部が噛合することで車両前後方向で保持される。そして、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態にある前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材は、前記被装着部に装着されることで車両幅方向及び車両高さ方向で保持される。これにより、車両前後方向に移動駆動される前記駆動用ケーブルと一体で、前記摺動部材を車両前後方向に移動させることができる。この場合、基本的に前記駆動用ケーブルに穴開けをすることなく前記駆動側歯部を利用して前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材の一体的な車両前後方向への移動を実現できるため、前記駆動用ケーブルの強度低下を回避できる分、該駆動用ケーブルを小型化できる。
上記サンルーフ装置について、前記駆動用ケーブルは、一定間隔にて設けられた歯部を有し、前記歯部と噛合して前記駆動用ケーブルを駆動する駆動源を備え、前記歯部と前記駆動側歯部とが共通形状であることが好ましい。
同構成によれば、前記駆動用ケーブルに前記駆動側歯部の新たな形状を設けることなく、前記駆動源と噛合する歯部の形状を流用することができる。
上記サンルーフ装置について、前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材に設けられ、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態を位置決めする位置決め部を備えることが好ましい。
同構成によれば、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態は、前記位置決め部にて実現されるため、前記従動側歯部が前記駆動側歯部に対して任意の車両前後方向の位置で該駆動側歯部に噛合することを回避できる。
上記サンルーフ装置について、前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材を仮組み状態で保持する保持部を備えることが好ましい。
同構成によれば、前記保持部により、前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材を仮組み状態で簡易に保持することができ、前記ガイドレール(被装着部)に装着する際の組付性を向上することができる。
上記サンルーフ装置について、前記駆動用ケーブルの車両高さ方向縁部に形成され、車両幅方向に開口する切り欠きと、前記切り欠きに対向する車両幅方向に前記摺動部材に突設され、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態で前記切り欠きに嵌合される位置決め突部とを備えることが好ましい。
同構成によれば、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態は、前記切り欠きに前記位置決め突部が嵌合された状態で実現されるため、前記従動側歯部が前記駆動側歯部に対して任意の車両前後方向の位置で該駆動側歯部に噛合することを回避できる。
上記サンルーフ装置について、前記位置決め突部は、前記切り欠きに遊嵌され、前記切り欠きの形成された前記駆動用ケーブルの車両高さ方向縁部に長手方向略全長に亘って形成され、前記摺動部材から離隔する側の車両幅方向で前記駆動用ケーブルを車両高さ方向に縮幅する段差と、前記位置決め突部の車両幅方向先端部から車両前後方向両側に突設され、前記切り欠きを挟む車両前後方向両側で前記段差にそれぞれ引っ掛かる一対の掛止突起とを備えることが好ましい。
同構成によれば、例えば前記ガイドレール(被装着部)への装着に先立って、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態で前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材を仮組みした際、前記切り欠きへの前記位置決め突部の遊嵌に伴って、前記一対の掛止突起が前記段差にそれぞれ引っ掛かる。従って、前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材を仮組み状態で簡易に保持することができ、前記ガイドレール(被装着部)に装着する際の組付性を向上することができる。
上記サンルーフ装置について、前記摺動部材は、シュー側歯部を有し、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に摺動可能な樹脂製のシュー部材と、プレート側歯部を有し、前記シュー部材に取着されるとともに前記機能ブラケットに連係される金属製のプレート部材とを備え、前記従動側歯部は、車両高さ方向に重ねられる前記シュー側歯部及びプレート側歯部の協働で構成されていることが好ましい。
同構成によれば、前記従動側歯部は、金属製の前記プレート側歯部を含んで前記駆動側歯部に噛合するため、前記摺動部材及び前記駆動用ケーブルの車両前後方向における保持強度を好適に確保することができる。
上記サンルーフ装置について、前記シュー側歯部は、前記プレート側歯部が貫通する筒状の被嵌挿部を備えることが好ましい。
同構成によれば、前記シュー部材は、前記プレート側歯部が前記被嵌挿部を貫通することで、前記プレート側歯部をより確実に保持することができる。
上記サンルーフ装置について、前記摺動部材は、前記位置決め突部の先端から車両前後方向両側にそれぞれ延出する一対の延出部を有し、車両幅方向において前記摺動部材の前記両延出部に対向する部位である一対の対向部及び前記両延出部のいずれか一方に前記従動側歯部が形成されており、前記両対向部及び前記両延出部のいずれか他方は、前記駆動側歯部において前記従動側歯部と噛合状態にある前記駆動用ケーブルの背面を保持するように構成されることが好ましい。
同構成によれば、前記駆動側歯部において前記従動側歯部と噛合状態にある前記駆動用ケーブルは、前記両対向部又は前記両延出部によりその背面が保持されることで前記摺動部材に仮組みされる。従って、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態にある前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材を前記ガイドレール(被装着部)に装着する際の組付性を向上することができる。
本発明では、可動パネルの姿勢制御に係る摺動部材に連結される駆動用ケーブルの強度を損ねることなく、該駆動用ケーブルをより小型化できる効果がある。
(a)(b)は、本発明の第1の実施形態を示す平面図及び横断面図。 (a)(b)は、同実施形態を示す分解斜視図及び斜視図。 摺動部材を示す斜視図及びその拡大図。 (a)〜(c)は、第1シュー部材を示す車両幅方向内側からの立面図、平面図及び車両後方からの立面図。 第2シュー部材を示す平面図。 車両のルーフを示す斜視図。 車両のルーフを模式的に示す平面図。 (a)(b)は、本発明の第2の実施形態を示す横断面図。 (a)(b)は、同実施形態を示す分解斜視図。 (a)(b)は、図8の10A−10A線及び10B−10B線に沿った断面図。 従来形態を示す分解斜視図。
(第1の実施形態)
以下、サンルーフ装置の第1の実施形態について説明する。なお、以下では、車両前後方向を「前後方向」といい、車両高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両幅方向外側を「車外側」という。
図6に示すように、自動車などの車両の屋根部としてのルーフ10には、開口部としての略四角形のルーフ開口部10aが形成されるとともに、サンルーフ装置11が搭載される。このサンルーフ装置11は、前後方向に移動してルーフ開口部10aを開閉する、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12を備える。
次に、可動パネル12の開閉作動等に係るサンルーフ装置11の概略構造について説明する。
図7に示すように、サンルーフ装置11は、ルーフ開口部10aの車両幅方向両側縁部に配置・固定される一対のガイドレール13を備える。各ガイドレール13は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。
各ガイドレール13には、摺動部材31が前後方向に移動可能に案内支持されている。そして、両摺動部材31には、これらの間に橋渡しされる態様で前記可動パネル12の車両幅方向両側縁部が連係・支持されている。摺動部材31は、ガイドレール13に沿う移動に伴い、ルーフ開口部10aを開閉すべく可動パネル12を移動させる。
また、サンルーフ装置11は、両ガイドレール13の車両前側端部に連結されて車両幅方向に延在する、例えば樹脂材からなるフロントハウジング16を備える。このフロントハウジング16の長手方向中間部には、駆動源17(例えば出力ギヤを有する電動モータ)が設置されている。この駆動源17は、例えば樹脂材からなる略帯状の一対の駆動用ケーブルとしての平歯ラックベルト21を介して両摺動部材31に駆動連結されており、これら摺動部材31を同時に前後方向に移動駆動する。
すなわち、右側の摺動部材31(以下、摺動部材31Rともいう)に接続される片側の平歯ラックベルト21(以下、平歯ラックベルト21Rともいう)は、駆動源17の後方でフロントハウジング16に沿って配索されている。
この平歯ラックベルト21Rの車両外側面(ルーフ開口部10aの反中心側面)には、車両内外方向に凹凸する複数の歯部としての駆動側歯部22Rが長手方向に所定間隔で並設されている。平歯ラックベルト21Rは、駆動源17の後方に配置される駆動側歯部22Rの部位で駆動源17と噛合する。また、平歯ラックベルト21Rは、駆動側歯部22Rにおいて摺動部材31Rと噛合する。
同様に、左側の摺動部材31(以下、摺動部材31Lともいう)に接続される片側の平歯ラックベルト21(以下、平歯ラックベルト21Lともいう)は、駆動源17の前方でフロントハウジング16に沿って配索されている。
この平歯ラックベルト21Lの車両内側面(ルーフ開口部10aの中心側面)には、車両内外方向に凹凸する複数の歯部としての駆動側歯部22Lが長手方向に所定間隔で並設されている。平歯ラックベルト21Lは、駆動源17の前方に配置される駆動側歯部22Lの部位で駆動源17と噛合する。また、平歯ラックベルト21Lは、駆動側歯部22Lにおいて摺動部材31Lと噛合する。
つまり、摺動部材31(31R,31L)と噛合する駆動側歯部22(22R,22L)は、駆動源17と噛合する駆動側歯部22(22R,22L)と共通形状であって、駆動源17と噛合する歯部の形状が流用されている。
次に、可動パネル12の開閉作動等に係るサンルーフ装置11の構造について更に説明する。
図1(a)(b)に示すように、ガイドレール13は、前後方向(図1(b)において紙面に直交する方向)に延びる略長尺状の底壁13aを有するとともに、車両幅方向に互いに平行となるように該底壁13aから上向きに立設された一対の縦壁部13bを有する。また、ガイドレール13は、縦壁部13bの上端から互いの対向する車両幅方向に突設された一対の上側フランジ13cを有するとともに、縦壁部13bの車両高さ方向中間部から互いの対向する車両幅方向に突設された一対の中間フランジ13dを有する。そして、各中間フランジ13dの先端には、底壁13aに対向して下方に突条13eが突設されるとともに、底壁13aには、各突条13eに対向して上方に突条13fが突設されている。
ガイドレール13は、底壁13a、各縦壁部13b、各中間フランジ13d及び各突条13e,13fの協働で車両幅方向に開口する断面略C字状の第1レール部14を形成するとともに、各縦壁部13b、各上側フランジ13c及び各中間フランジ13dの協働で車両幅方向に開口する断面略U字状の第2レール部15を第1レール部14の上側に形成する。
車内側の第1レール部14には、前記平歯ラックベルト21が前後方向に摺動自在に装着されている。平歯ラックベルト21は、前記電気的駆動源17により第1レール部14(ガイドレール13)に沿って前後方向に移動駆動される。この際、平歯ラックベルト21は、隣接する縦壁部13b及び突条13e,13fによってガイドレール13に対する車両幅方向の位置ずれが規制され、底壁13a及び隣接する中間フランジ13dによってガイドレール13に対する車両高さ方向の位置ずれが規制される。
なお、図2(a)(b)に併せ示すように、平歯ラックベルト21には、その車内側の上縁部及び下縁部をそれぞれ略四角形に面取りすることで一対の段差23が長手方向略全長に亘って形成されている。従って、平歯ラックベルト21は、両段差23により車外側に対して車内側が車両高さ方向に縮幅されている。また、平歯ラックベルト21の後端部には、その上縁部及び下縁部をそれぞれ略U字溝状に切り欠くことで車両幅方向に開口する一対の切り欠き24が形成されている。
そして、平歯ラックベルト21には、前記摺動部材31が一体で前後方向に移動するように連結されている。この摺動部材31は、シュー部材を構成する樹脂製の第1シュー部材32及び第2シュー部材33と、金属製のプレート部材34とを備えて構成される。
図4(a)〜(c)に併せ示すように、第1シュー部材32は、前後方向に並設された一対の略四角筒状の被嵌挿部32aを有するとともに、車内側で両被嵌挿部32a間を前後方向に接続する略平板状の接続部32bを有する。そして、各被嵌挿部32aの上壁及び下壁には、車両幅方向に凹凸する複数の従動側歯部を構成するシュー側歯部35,36がそれぞれ形成されるとともに、接続部32bには、同じく車両幅方向に凹凸する複数の従動側歯部37が形成されている。これらシュー側歯部35,36及び従動側歯部37は、前記駆動側歯部22と同等の間隔で前後方向に並設されており、該駆動側歯部22に対して車両幅方向に重ねられることでこれらに噛合する。なお、被嵌挿部32aは、車両幅方向に開口している。
また、第1シュー部材32は、両被嵌挿部32aの下面に両端の接続された薄板状の弾性片32cを有する。この弾性片32cは、下向きに凸となる略弓形に成形されている。さらに、第1シュー部材32には、上側の両シュー側歯部35及び従動側歯部37の歯元近傍で略長尺状の規制片32dが上方に立設されている。この規制片32dは、第1シュー部材32の略全長に亘って前後方向に延設されている。
また、第1シュー部材32には、接続部32bの上縁部及び下縁部から一対の略フランジ状の位置決め突部38が車内側(切り欠き24に対向する車両幅方向)に突設されている。つまり、両位置決め突部38の配置範囲では、従動側歯部37が車両高さ方向に縮幅されている。各位置決め突部38の前後方向の長さは平歯ラックベルト21の切り欠き24の前後方向の開口幅よりも若干小さく設定されており、両位置決め突部38の対向面間の車両高さ方向の距離は切り欠き24の配置された平歯ラックベルト21の車両高さ方向の高さよりも若干大きく設定されている。従って、両位置決め突部38は、車両幅方向に沿って両切り欠き24に遊嵌可能である。図2(a)に示すように、第1シュー部材32は、両位置決め突部38を両切り欠き24に遊嵌しつつ車両幅方向に平歯ラックベルト21に重ねることで、該平歯ラックベルト21に対し所要の前後方向の位置に位置決めされた状態でシュー側歯部35,36及び従動側歯部37が駆動側歯部22に噛合する。つまり、両位置決め突部38は、シュー側歯部35,36及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態で両切り欠き24に遊嵌されている。
なお、各位置決め突部38の先端部には、図2(b)に拡大して示すように、上端から前後方向両側に一対の掛止突起39が突設されている。これら掛止突起39は、各位置決め突部38を切り欠き24に遊嵌する際、該切り欠き24に押圧されて潰れるようにそれぞれ弾性変形するとともに、平歯ラックベルト21の車内側(車両幅方向で摺動部材31から離隔する側)に形成された前記段差23への到達に伴い弾性復帰して該段差23にそれぞれ引っ掛かる。従って、第1シュー部材32は、シュー側歯部35,36及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態では、切り欠き24を挟む前後方向両側で各位置決め突部38の両掛止突起39が段差23にそれぞれ引っ掛かることで、平歯ラックベルト21に対して一時的に保持可能となっている。
また、図2(a)に示すように、第1シュー部材32は、接続部32bの上面を挟んでその車両幅方向両側に規制片32d及び位置決め突部38が上方に突出することで、前後方向に連通する略U字溝状のレールガイド部32gを形成する。
図2(b)に示すように、前記第2シュー部材33は、第1シュー部材32と同等の前後方向の長さを有する略四角ブロック状の本体部33aを有するとともに、該本体部33aの車内側の下縁部から下方に延出する略長尺状の規制片33bを有する。この規制片33bは、第2シュー部材33の略全長に亘って前後方向に延設されている。また、第2シュー部材33は、本体部33aの前後方向中間部の上面に両端の接続された薄板状の弾性片33cを有する。この弾性片33cは、上向きに凸となる略弓形に成形されており、本体部33aに対して上方に離隔されている。さらに、図5に示すように、第2シュー部材33は、本体部33aの前後方向中間部の車外側面に両端の接続された薄板状の弾性片33dを有する。この弾性片33dは、車外側に凸となる略弓形に成形されており、本体部33aに対して車外側に離隔されている。
図2(a)に示すように、前記プレート部材34は、前後方向に延在する略長尺状の本体部34aを有するとともに、該本体部34aの長手方向中間部において車内側縁部及び車外縁部から上方にそれぞれ立設された一対の縦壁部34b,34cを有する。また、プレート部材34は、本体部34aの車内側の縦壁部34bを挟む前端部及び後端部から車内側に突出する一対の嵌挿片34dを有する。
そして、各嵌挿片34dの先端部には、車両幅方向に凹凸する複数の従動側歯部を構成するプレート側歯部41が形成されている。プレート部材34は、車内側の縦壁部34bが第1シュー部材32の両被嵌挿部32a間に挟入されつつ両嵌挿片34dが両被嵌挿部32aにそれぞれ嵌挿されることで、第1シュー部材32と一体で前後方向に移動するようにこれに連結される。このとき、図3に拡大して示したように、被嵌挿部32aを貫通するプレート側歯部41は、前記シュー側歯部35,36が車両高さ方向に重なるように設定されている。従って、第1シュー部材32のシュー側歯部35,36及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態では、プレート部材34のプレート側歯部41も併せて駆動側歯部22に噛合する。
また、プレート部材34は、本体部34aの車外側の縦壁部34cを挟む前端部及び後端部から上方に立ち上がって車外側に突出する略L字形状の一対の嵌合片34eを有する。プレート部材34は、第2シュー部材33の規制片33bに両嵌合片34eの基端部が近接又は当接する状態でそれらの先端部が本体部33aにそれぞれ嵌合されることで、第2シュー部材33と一体で前後方向に移動するようにこれに連結される。
第1及び第2シュー部材32,33並びにプレート部材34の一体化された摺動部材31は、両掛止突起39等により前述の態様で平歯ラックベルト21に対して仮保持された状態で、図1(b)に示すように、前記ガイドレール13の長手方向に沿ってこれに装着される。そして、平歯ラックベルト21及び摺動部材31は、前述の噛合状態を保ったまま、ガイドレール13に沿って前後方向に移動自在となる。
すなわち、第1シュー部材32の両位置決め突部38等を含めて平歯ラックベルト21がガイドレール13の第1レール部14に対し前後方向に移動自在に装着され、第2シュー部材33が第2レール部15に対し前後方向に移動自在に装着される。このとき、平歯ラックベルト21の車内側面が隣接する縦壁部13bに当接又は近接し、平歯ラックベルト21の車外側面が隣接する突条13e,13fに当接又は近接することで、平歯ラックベルト21の車両幅方向への位置ずれが一定範囲に制限されている。加えて、平歯ラックベルト21の下面が底壁13aに当接又は近接し、平歯ラックベルト21の上面が隣接する上側フランジ13cに当接又は近接することで、平歯ラックベルト21の車両高さ方向への位置ずれが一定範囲に制限されている。
同時に、平歯ラックベルト21と噛合する第1シュー部材32は、レールガイド部32gに隣接する突条13eが嵌入し、下側の位置決め突部38の車外側の先端面が隣接する突条13fに当接又は近接することで、車両幅方向への位置ずれが一定範囲に制限されている。加えて、第1シュー部材32は、下側の位置決め突部38の下面が底壁13aに当接又は近接し、上側の位置決め突部38の上面が隣接する中間フランジ13dに当接又は近接するとともにレールガイド部32gに隣接する突条13eが嵌入することで、車両高さ方向への位置ずれが一定範囲に制限されている。このとき、第1シュー部材32の弾性片32cは底壁13aに弾性的に接触する。
また、第1シュー部材32にプレート部材34を介して連結された第2シュー部材33は、規制片33bがプレート部材34の嵌合片34eの基端側の車外側面及び隣接する突条13eの車内側面にそれぞれ当接又は近接することで、車両幅方向への位置ずれが一定範囲に制限されている。このとき、第2シュー部材33の弾性片33cが隣接する上側フランジ13cに弾性的に接触するとともに、弾性片33dが隣接する縦壁部13bに弾性的に接触する。
以上により、平歯ラックベルト21及び摺動部材31が車両幅方向及び車両高さ方向に離れることが抑制され、第1レール部14においてシュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態が保持される。このとき、平歯ラックベルト21及び摺動部材31の前後方向への相対移動が規制されることはいうまでもない。つまり、平歯ラックベルト21からの前後方向の駆動力(押し引き力)は、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合によって摺動部材31に伝達される。第1及び第2レール部14,15は、被装着部を構成する。
なお、車外側の縦壁部34cには、縦壁部34bに対向して上端部から車内側に略フランジ状の係合片34fが突設されるとともに、車両高さ方向中間部から車内側に有底略円筒状の支持突部34gが突設されている。これら係合片34f及び支持突部34gは、例えば金属板からなる機能ブラケット46に連係されている。この機能ブラケット46は、前記可動パネル12の車両幅方向縁部を支持するためのもので、プレート部材34(摺動部材31)は、前後方向への移動に伴って可動パネル12と共に機能ブラケット46の姿勢を制御する。
次に、本実施形態の動作について説明する。
既述のように、両掛止突起39等により平歯ラックベルト21に摺動部材31を仮保持した状態でこれらをガイドレール13に装着すると、前述の態様で平歯ラックベルト21及び摺動部材31の車両幅方向及び車両高さ方向への位置ずれが一定範囲にそれぞれ制限される。これにより、平歯ラックベルト21及び摺動部材31が車両幅方向及び車両高さ方向に離れることが抑制され、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態が保持される。また、ガイドレール13上の摺動部材31の摺動に際しては、第1シュー部材32の弾性片32c、第2シュー部材33の弾性片33c,33dが摺接することでその摺動抵抗が抑制される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、平歯ラックベルト21及び摺動部材31は、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22とが噛合することで前後方向に保持される。そして、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態にある平歯ラックベルト21及び摺動部材31は、第1及び第2レール部14,15(被装着部)に装着されることで車両幅方向及び車両高さ方向で保持される。これにより、電気的駆動源により車両前後方向に移動駆動される平歯ラックベルト21と一体で、摺動部材31を前後方向に移動させることができる。この場合、基本的に平歯ラックベルト21に穴開けをすることなく駆動側歯部22を利用して平歯ラックベルト21及び摺動部材31の一体的な前後方向への移動を実現できるため、平歯ラックベルト21の強度低下を回避できる分、該平歯ラックベルト21を小型化できる。
(2)本実施形態では、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態は、両切り欠き24に両位置決め突部38が遊嵌された状態で実現されるため、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37が駆動側歯部22に対して任意の前後方向の位置で該駆動側歯部22に噛合することを回避できる。
(3)本実施形態では、各切り欠き24に各位置決め突部38が遊嵌された際、切り欠き24を挟む前後方向両側で段差23に一対の掛止突起39がそれぞれ引っ掛かる。従って、例えばガイドレール13(被装着部)への装着に先立って、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態で平歯ラックベルト21及び摺動部材31を仮組みした際、各切り欠き24への位置決め突部38の遊嵌に伴って、一対の掛止突起39が段差23にそれぞれ引っ掛かる。従って、平歯ラックベルト21及び摺動部材31を仮組み状態で簡易に保持することができ、ガイドレール13(被装着部)に装着する際の組付性を向上することができる。
(4)本実施形態では、樹脂製のシュー側歯部35,36は、金属製のプレート側歯部41に車両高さ方向に重ねられて該プレート側歯部41との協働で駆動側歯部22に噛合するため、平歯ラックベルト21及び摺動部材31の前後方向における保持強度を好適に確保することができる。
また、プレート側歯部41の歯数を調整することで、平歯ラックベルト21及び摺動部材31の前後方向における保持強度を簡易に調整することができる。
さらに、被嵌挿部32aの一部がプレート部材34(嵌挿片34d)との連結に利用されたとしても、これによって駆動側歯部22との車両高さ方向での噛合面積が縮小されることを回避できる。
(5)本実施形態では、平歯ラックベルト21に摺動部材31(プレート部材34)を車両幅方向に貫通させることなくこれらを連結できる。このため、例えばガイドレール13の縦壁部13bに摺動部材との干渉を避けるための断面形状(いわゆる十字断面形状)を設定する必要がなく、ガイドレール13の構造をより簡素化することができる。
(6)本実施形態では、平歯ラックベルト21の端末切断工程と同時に切り欠き24を加工することができる。特に、穴開け加工に比べて加工用の工具を小さくできる切り欠き加工によって切り欠き24を形成することができる。
(7)本実施形態では、摺動部材31(第1及び第2シュー部材32,33)の両規制片32d,33bによりガイドレール13に対する摺動部材31の車両幅方向両側への位置ずれを一定範囲に制限することができ、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態をより確実に保持することができる。
(8)本実施形態では、平歯ラックベルト21は、駆動源17と噛合する歯部(駆動側歯部22)と駆動側歯部22とが共通形状であることで、平歯ラックベルト21に摺動部材31と噛合するための駆動側歯部の新たな形状を設けることなく、駆動源17と噛合する歯部の形状を流用することができる。
(9)本実施形態では、第1シュー部材32(シュー部材)は、プレート側歯部41(嵌挿片34d)が被嵌挿部32aを貫通することで、プレート側歯部41をより確実に保持することができる。
(第2の実施形態)
図8〜図10を参照してサンルーフ装置の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、駆動用ケーブル及び摺動部材を仮組みする際の保持構造が前記第1の実施形態とは主に異なる構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
図8(a)に示すように、前記ガイドレール13に代わる左側のガイドレール111Lは、車両幅方向に並設された一対の縦壁部111a,111bを有する。そして、車外側の縦壁部111aの上端には、車内側に開口する断面略C字状の第1レール部112が接続されている。第1レール部112の閉塞側は、縦壁部111aよりも車外側に位置している。一方、車内側の縦壁部111bの上端には、車外側に延出する略平板状の底壁部111cが接続されるとともに、該底壁部111c上面には、車両幅方向に並設された一対の突条111d,111eが立設されている。そして、車内側の突条111eの上端には、車外側に開口する断面略C字状の第2レール部113が接続されている。第2レール部113の閉塞側は、突条111eよりも車内側に位置している。また、第1レール部112の車両高さ方向の範囲は、突条111e及び第2レール部113を合わせた車両高さ方向の範囲と同等に設定されている。
なお、底壁部111c及び両突条111d,111eは、上方に開口する断面略U字状の第3レール部114を形成する。また、底壁部111c及び第2レール部113の上壁部は、突条111dよりも車外側で当該側に開口する第4レール部115を形成する。この第4レール部115が車両幅方向で第1レール部112に対向していることはいうまでもない。
図8(b)に示すように、前記ガイドレール13に代わる右側のガイドレール111Rは、左右対称形状であることを除きガイドレール111Lと同一形状を呈しており、同様に第1〜第4レール部112〜115を有する。
なお、両ガイドレール111L,111Rの第3レール部114には、前記平歯ラックベルト21に代わる平歯ラックベルト121がそれぞれ前後方向に摺動自在に装着されている。各平歯ラックベルト121は、両突条111d,111eによってガイドレール111L,111Rに対する車両幅方向の位置ずれが規制され、底壁部111c及び第2レール部113の上壁部によってガイドレール111L,111Rに対する車両高さ方向の位置ずれが規制される。
図9(a)(b)に併せ示すように、両ガイドレール111L,111Rに装着される平歯ラックベルト121は、それらの駆動側歯部122が互いに同一方向となるように配置される。すなわち、左側の平歯ラックベルト121の駆動側歯部122は車内側に配置されており、右側の平歯ラックベルト121の駆動側歯部122は車外側に配置されている。なお、各平歯ラックベルト121の後端部には、その上縁部を略U字溝状に切り欠くことで車両幅方向に開口する切り欠き123が形成されている。
図9(a)に示すように、左側の平歯ラックベルト121には、前記摺動部材31(シュー部材)に代わる樹脂製の摺動部材131Lが一体で前後方向に移動するように連結されている。この摺動部材131Lは、前後方向に延在する略ブロック状の車内側シュー部132Lを有するとともに、該車内側シュー部132Lの長手方向中央部上部から車外側に延出する略平板状の連結片133Lを有し、更に該連結片133Lの先端部に接続されて下方に突出する車外側シュー部134Lを有する。なお、車外側シュー部134Lの車外側面には、薄板状の弾性片134aの両端が接続されている。この弾性片134aは、車外側に凸となる略弓形に成形されている。
また、摺動部材131Lは、車内側シュー部132Lの長手方向中央部上部から車内側(切り欠き123に対向する車両幅方向)に延出する略平板状の位置決め突部135Lを有するとともに、該位置決め突部135Lの先端から前後方向両側にそれぞれ延出する一対の延出部136Lを有する。なお、位置決め突部135Lの前後方向の長さは平歯ラックベルト121の切り欠き123の前後方向の開口幅よりも若干小さく設定されている。
両延出部136Lの車内側シュー部132Lに対向する車外側部には、車両幅方向に凹凸する複数の従動側歯部137Lがそれぞれ形成されている。つまり、複数の従動側歯部137Lは、位置決め突部135Lを挟んでその前後方向両側に配設されている。これら従動側歯部137Lは、前記駆動側歯部122と同等の間隔で前後方向に並設されており、該駆動側歯部122に噛合可能である。
すなわち、図10(a)に併せ示すように、摺動部材131Lは、位置決め突部135Lを切り欠き123に遊嵌しつつ車両高さ方向に平歯ラックベルト121に重ねることで、該平歯ラックベルト121に対し所要の前後方向の位置に位置決めされた状態で従動側歯部137Lが駆動側歯部122に噛合する。このとき、車内側シュー部132Lは、位置決め突部135Lを挟むその前後方向両側で平歯ラックベルト121の背面に当接又は近接する。車両幅方向において摺動部材131L(車内側シュー部132L)の両延出部136Lに対向する部位は、一対の対向部138Lを形成する。従動側歯部137L及び駆動側歯部122の噛合状態にある平歯ラックベルト121は、その背面に両対向部138Lを当接又は近接させることで摺動部材131Lの車両幅方向への移動を規制し、切り欠き123に位置決め突部135Lを遊嵌させることで摺動部材131Lの下方への移動を規制する。これにより、平歯ラックベルト121は摺動部材131Lを仮保持する。
そして、図8(a)に示すように、従動側歯部137L及び駆動側歯部122の噛合状態で摺動部材131Lを仮保持する平歯ラックベルト121は、第3レール部114に対して前後方向に移動自在に装着される。このとき、摺動部材131Lは、車外側シュー部134Lが第1レール部112に対して前後方向に移動自在に装着されるとともに、車内側シュー部132Lが第4レール部115に対して前後方向に移動自在に装着され、更に両延出部136Lが第2レール部113に対して前後方向に移動自在に装着される。
一方、図9(b)に示すように、右側の平歯ラックベルト121にも、前記摺動部材31(シュー部材)に代わる樹脂製の摺動部材131Rが一体で前後方向に移動するように連結されている。この摺動部材131Rも、摺動部材131Lに準じて車内側シュー部132R、連結片133R、車外側シュー部134R、位置決め突部135R、一対の延出部136R及び一対の対向部138Rを有する。ただし、両対向部138Rの両延出部136Rに対向する車内側部に、車両幅方向に凹凸する複数の従動側歯部137Rがそれぞれ形成されている。これら従動側歯部137Rは、前記駆動側歯部122と同等の間隔で前後方向に並設されており、該駆動側歯部122に噛合可能である。
すなわち、図10(b)に併せ示すように、摺動部材131Rは、位置決め突部135Rを切り欠き123に遊嵌しつつ車両高さ方向に平歯ラックベルト121に重ねることで、該平歯ラックベルト121に対し所要の前後方向の位置に位置決めされた状態で従動側歯部137Rが駆動側歯部122に噛合する。このとき、両延出部136Rは、位置決め突部135Rを挟むその前後方向両側で平歯ラックベルト121の背面に当接又は近接する。従動側歯部137R及び駆動側歯部122の噛合状態にある平歯ラックベルト121は、その背面に両延出部136Rを当接又は近接させることで摺動部材131Rの車両幅方向への移動を規制し、切り欠き123に位置決め突部135Rを遊嵌させることで摺動部材131Rの下方への移動を規制する。
そして、図8(b)に示すように、従動側歯部137R及び駆動側歯部122の噛合状態で摺動部材131Rを仮保持する平歯ラックベルト121は、第3レール部114に対して前後方向に移動自在に装着される。このとき、摺動部材131Rは、車外側シュー部134Rが第1レール部112に対して前後方向に移動自在に装着されるとともに、車内側シュー部132Rが第4レール部115に対して前後方向に移動自在に装着され、更に両延出部136Rが第2レール部113に対して前後方向に移動自在に装着される。
なお、摺動部材131L,131Rには、プレート部材34に準じた適宜の支持部材(図示略)が前後方向に一体移動するように連結されており、該支持部材において前記機能ブラケット46に連係されている。
次に、本実施形態の動作について説明する。
既述のように、平歯ラックベルト121に摺動部材131L,131Rを仮保持した状態でこれらをガイドレール111L,111Rに装着すると、前述の態様で平歯ラックベルト121及び摺動部材131L,131Rの車両幅方向及び車両高さ方向への位置ずれが一定範囲にそれぞれ制限される。これにより、平歯ラックベルト121及び摺動部材131L,131Rが車両幅方向及び車両高さ方向に離れることが抑制され、従動側歯部137L,137Rと駆動側歯部122との噛合状態が保持される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)〜(2)、(5)〜(6)、(8)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、駆動側歯部122において従動側歯部137Lと噛合状態にある平歯ラックベルト121は、両対向部138Lによりその背面が保持されることで摺動部材131Lに仮組みされる。同様に、駆動側歯部122において従動側歯部137Rと噛合状態にある平歯ラックベルト121は、両延出部136Rによりその背面が保持されることで摺動部材131Rに仮組みされる。従って、駆動側歯部122及び従動側歯部137L,137Rの噛合状態にある平歯ラックベルト121及び摺動部材131L,131Rをガイドレール111L,111R(被装着部)に装着する際の組付性を向上することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、平歯ラックベルト21R,21Lのいずれか一方を捻る等して、駆動側歯部22における摺動部材31のシュー側歯部35,36と噛み合う部分が車両外側又は車両内側を向くようにしてもよい。
・前記第1の実施形態において、摺動部材31(第1及び第2シュー部材32,33)の両規制片32d,33bを割愛してもよい。
・前記第1の実施形態において、プレート部材を含めて樹脂のみで一体的に成形した摺動部材を採用してもよい。つまり、平歯ラックベルト21及び摺動部材の噛合において、金属部位(プレート側歯部41)を必ずしも協働させる必要はない。
・前記第1の実施形態においては、第1及び第2レール部14,15の協働で被装着部を構成したが、平歯ラックベルト21及び摺動部材31の噛合状態でこれらを車両幅方向及び車両高さ方向で保持できるのであれば、被装着部の構造は任意である。
・前記第1の実施形態において、平歯ラックベルト21の車両高さ方向両側に一対の段差23を配設したが、少なくとも一方を割愛してもよい。また、これに伴って、該当側の位置決め突部38に配設した一対の掛止突起39を割愛してもよい。
・前記第1の実施形態において、平歯ラックベルト21の段差23及び摺動部材31の掛止突起39に代えて、平歯ラックベルト21及び摺動部材31を仮組み状態で保持する適宜の保持部を設けてもよい。この場合であっても、平歯ラックベルト21及び摺動部材31を仮組み状態で簡易に保持することができ、ガイドレール13(被装着部)に装着する際の組付性を向上することができる。
・前記第1の実施形態においては、平歯ラックベルト21の車両高さ方向両側に一対の切り欠き24を配設したが、少なくとも一方を割愛してもよい。また、これに伴って、摺動部材31(第1シュー部材32)の車両高さ方向両側に配設した一対の位置決め突部38の少なくとも一方を割愛してもよい。
・前記第1の実施形態において、切り欠き24及び位置決め突部38に代えて、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態を位置決めする適宜の位置決め部を平歯ラックベルト21及び摺動部材31に設けてもよい。この場合であっても、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41及び従動側歯部37と駆動側歯部22との噛合状態は、位置決め部にて実現されるため、シュー側歯部35,36、プレート側歯部41が駆動側歯部22に対して任意の車両前後方向の位置で該駆動側歯部22に噛合することを回避できる。
・前記第2の実施形態において、車内側シュー部132L,132R又は車外側シュー部134L,134Rの下面に、下向きに凸となる略弓形の弾性片を配設してもよい。
・前記第2の実施形態において、左右両側に共に摺動部材131L又は摺動部材131Rを配設する構造であってもよい。この場合、要すれば、摺動部材131Lの従動側歯部137L又は摺動部材131Rの従動側歯部137Rに平歯ラックベルト121の駆動側歯部122が噛合可能なように、該当の平歯ラックベルト121を捻る等してもよい。
・前記第2の実施形態において、ガイドレール111Lの車外側及びガイドレール111Rの車外側に第2レール部113を配置してもよい。この場合、ガイドレール111Lの第2レール部113に摺動部材131Rを配設し、ガイドレール111Rの第2レール部113に摺動部材131Lを配設することが好ましい。
・前記第2の実施形態においては、第1〜第4レール部112〜115の協働で被装着部を構成したが、平歯ラックベルト121及び摺動部材131L,131Rの噛合状態でこれらを車両幅方向及び車両高さ方向で保持できるのであれば、被装着部の構造は任意である。
・前記各実施形態において、駆動用ケーブルとして平歯ラックベルト21,121に代えて、例えばはす歯(いわゆるねじ山)の形成された円柱ケーブル(ギヤードケーブルなど)を採用してもよい。この場合、ギヤードケーブルの駆動側歯部に噛合可能な従動側歯部を有する摺動部材を採用すればよい。
・前記各実施形態において、平歯ラックベルト21,121には、駆動源17と噛合する歯部と別に、これとは形状の異なる駆動側歯部が設けられていてもよい。例えば平歯ラックベルト21,121の長手方向において、駆動源17と噛合する歯部と駆動側歯部とを互いに独立した範囲に配設してもよい。
・前記各実施形態において、平歯ラックベルト21,121に対する摺動部材31,131L,131Rの前後方向の位置決めは、例えばこれら平歯ラックベルト21,121及び摺動部材31,131L,131Rに配設した適宜のマーク(図形など)を突き合わせることで行ってもよい。
・前記各実施形態において、切り欠き24,123及び位置決め突部38,135L,135Rは嵌合してもよい。
10…ルーフ(屋根部)、10a…ルーフ開口部(開口部)、11…サンルーフ装置、12…可動パネル、13,111L,111R…ガイドレール、14,112…第1レール部(被装着部)、15,113…第2レール部(被装着部)、17…駆動源、21,21R,21L,121…平歯ラックベルト(駆動用ケーブル)、22,22R,22L,122…駆動側歯部(歯部)、23…段差(保持部)、24…切り欠き(位置決め部)、31,31R,31L,131L,131R…摺動部材、32…第1シュー部材(シュー部材)、32a…被嵌挿部、33…第2シュー部材(シュー部材)、34…プレート部材、35,36…シュー側歯部(従動側歯部)、37,137L,137R…従動側歯部、38…位置決め突部(位置決め部)、39…掛止突起(保持部)、41…プレート側歯部(従動側歯部)、46…機能ブラケット、114…第3レール部(被装着部)、115…第4レール部(被装着部)、135L,135R…位置決め突部、136L,136R…延出部、138L,138R…対向部。

Claims (9)

  1. 車両の屋根部に形成された開口部を開閉する可動パネルの車両幅方向縁部を支持するよう構成される機能ブラケットと、
    前記開口部の車両幅方向縁部に設けられ車両前後方向に延在するよう構成されるガイドレールと、
    駆動側歯部が長手方向に並設され前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動駆動される駆動用ケーブルと、
    前記機能ブラケットに連係されて前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられ車両前後方向への移動に伴って前記可動パネルと共に前記機能ブラケットの姿勢を制御する摺動部材と、
    前記摺動部材に形成され、前記駆動側歯部と噛合して前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材の車両前後方向への相対移動を規制する従動側歯部と、
    前記ガイドレールに形成され、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態にある前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材が装着されてこれら駆動用ケーブル及び摺動部材を車両幅方向及び車両高さ方向で保持する被装着部とを備える、サンルーフ装置。
  2. 請求項1に記載のサンルーフ装置において、
    前記駆動用ケーブルは、一定間隔にて設けられた歯部を有し、
    前記歯部と噛合して前記駆動用ケーブルを駆動する駆動源を備え、
    前記歯部と前記駆動側歯部とが共通形状である、サンルーフ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のサンルーフ装置において、
    前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材に設けられ、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態を位置決めする位置決め部を備える、サンルーフ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のサンルーフ装置において、
    前記駆動用ケーブル及び前記摺動部材を仮組み状態で保持する保持部を備える、サンルーフ装置。
  5. 請求項1又は2に記載のサンルーフ装置において、
    前記駆動用ケーブルの車両高さ方向縁部に形成され、車両幅方向に開口する切り欠きと、
    前記切り欠きに対向する車両幅方向に前記摺動部材に突設され、前記駆動側歯部及び前記従動側歯部の噛合状態で前記切り欠きに嵌合される位置決め突部とを備える、サンルーフ装置。
  6. 請求項5に記載のサンルーフ装置において、
    前記位置決め突部は、前記切り欠きに遊嵌され、
    前記切り欠きの形成された前記駆動用ケーブルの車両高さ方向縁部に長手方向略全長に亘って形成され、前記摺動部材から離隔する側の車両幅方向で前記駆動用ケーブルを車両高さ方向に縮幅する段差と、
    前記位置決め突部の車両幅方向先端部から車両前後方向両側に突設され、前記切り欠きを挟む車両前後方向両側で前記段差にそれぞれ引っ掛かる一対の掛止突起とを備える、サンルーフ装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のサンルーフ装置において、
    前記摺動部材は、
    シュー側歯部を有し、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に摺動可能な樹脂製のシュー部材と、
    プレート側歯部を有し、前記シュー部材に取着されるとともに前記機能ブラケットに連係される金属製のプレート部材とを備え、
    前記従動側歯部は、車両高さ方向に重ねられる前記シュー側歯部及びプレート側歯部の協働で構成されている、サンルーフ装置。
  8. 請求項7に記載のサンルーフ装置において、
    前記シュー側歯部は、前記プレート側歯部が貫通する筒状の被嵌挿部を備える、サンルーフ装置。
  9. 請求項5に記載のサンルーフ装置において、
    前記摺動部材は、前記位置決め突部の先端から車両前後方向両側にそれぞれ延出する一対の延出部を有し、
    車両幅方向において前記摺動部材の前記両延出部に対向する部位である一対の対向部及び前記両延出部のいずれか一方に前記従動側歯部が形成されており、
    前記両対向部及び前記両延出部のいずれか他方は、前記駆動側歯部において前記従動側歯部と噛合状態にある前記駆動用ケーブルの背面を保持するように構成される、サンルーフ装置。
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