JPWO2013151176A1 - 野菜または果物のスナック菓子の製造方法 - Google Patents

野菜または果物のスナック菓子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 野菜や果物が元来持っている甘味成分や旨味成分、色合い、栄養分を極力活かし、野菜や果物本来の美味しさを楽しめる栄養価の高いスナック菓子を提供する。【解決手段】 野菜または果物のスナック菓子を製造する方法であって、糖度が10度以上の野菜または果物に対し、減圧条件下で油揚げまたは減圧条件下で焼成する油揚げ温度Cが85℃<C<140℃かつその油揚げ時間または焼成時間Tが8分≦T<30分である。本発明によれば、心地よい食感で、かつ野菜や果物が元来持っている甘味や旨味、色合いなどを充分に感じられる、栄養価が高く美味しいスナック菓子を製造することができる。

Description

本発明は、野菜または果物のスナック菓子の製造方法に関し、より詳細には、生の野菜または生の果物の糖度が比較的高いものをスナック菓子にするのに好適な製造方法に関する。
野菜や果物のスナック菓子は、野菜や果物を薄く平らな形状、あるいは棒状に形成した加工食品であり、従来、健康的なイメージの菓子として製造販売がされている。一方、野菜や果物自体はその含水による瑞々しさやシャキシャキとした歯応え、独特の酸味と甘みのバランス、芳醇な香り、多様な色彩等、独特の食感や風味、彩色が特徴であるところ、通常、スナック菓子は水分の少ないパリパリとした食感の乾燥した食品であり、調味料や香味料による風味に頼るところが多く、野菜や果物本来の特徴とは相反する食品とも言える。従って、従来の野菜や果物のスナック菓子に係る加工技術は如何にして野菜や果物の独特の食感や風味を残しつつスナック菓子の特徴とマッチングさせられるかが大きなポイントである。
そのようなスナック菓子の製造方法の一つとしては、例えば、特許文献1に開示されている、根菜類をスライスして減圧条件下で油揚げする乾燥野菜(スナック菓子)の製造方法や、特許文献2に開示されている、ビートやヤーコンなどの塊根類をスティック状にカットして糖液に浸漬し、加圧および減圧条件下で油揚げするスナック菓子の製造方法、あるいは特許文献3に開示されている、生サツマイモ切片を急速冷凍した後、減圧条件下で油揚げするスナック菓子の製造方法が挙げられる。
特開平8−332046号公報 特許第3318864号公報 特許第4327803号公報
特許文献1に開示されているスナック菓子の製造方法では、野菜切片を90℃以上もの熱水で数分間茹でた後に冷凍することから、当該製造方法により得られるスナック菓子は、野菜本来の甘味成分や旨味成分、栄養分などが損なわれたものとなるという懸念がある。
また、特許文献2に開示されているスナック菓子の製造方法では、野菜切片をブランチング後に冷凍するのみならず、さらに糖液に浸漬することから、上述の懸念に加え、当該製造方法により得られるスナック菓子は人工的な味を呈するものとなりかねず、野菜本来の美味しさを味わうことができるものではない。その上、特許文献1や2に開示されているスナック菓子の製造方法では、油揚げする時間が35分〜60分と長時間であることから、比較的糖度が高い野菜や果物の場合には、褐色変化が進行し過ぎて苦味や焦げ臭さを生じてしまい、しかも野菜や果物本来の色彩を失う懸念がある。
また、特許文献3に開示されているスナック菓子の製造方法においても、野菜切片を糖液に浸漬することから、当該製造方法により得られるスナック菓子は、やはり野菜本来の美味しさを味わうことができるものとはならない。
すなわち、上述した特許文献1〜3に開示されているスナック菓子の製造方法は、いずれも、本願発明に係るスナック菓子の製造方法とは発明特定事項やその効果が大きく異なっているといえる。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものであって、野菜や果物が本来持っている甘味成分や旨味成分、栄養分、色彩を極力活かし、かつビートなどのエグ味を有するものについてはエグ味を抑制し、野菜や果物本来の美味しさや色合いに加えて心地よい食感を楽しめる、栄養価の高いスナック菓子を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、糖度が比較的高い野菜や果物の凍結切片を、解凍せずに凍結したままの状態で減圧条件下で油揚げまたは焼成する際に、油揚げ温度または焼成温度Cを85℃<C<140℃かつその油揚げ時間または焼成時間Tを8分≦T<30分とすることにより、ビートなどのエグ味を有するものについてはエグ味を抑制し、水分が充分に蒸発して心地よい食感を有し、かつ褐色変化が抑制されて苦味を生じず、主原料となる野菜が本来持っている色や甘味、旨味などを充分に感じられる、栄養価が高く美味しいスナック菓子を製造することができることを見出し、下記の各発明を完成した。
(1)野菜または果物のスナック菓子を製造する方法であって、凍結したままの状態の前記凍結切片を減圧条件下で油揚げまたは減圧条件下で焼成する減圧加熱工程を有し、
糖度が10度以上の前記生の野菜または前記生の果物に対し、前記減圧加熱工程における油揚げ温度または焼成温度Cを85℃<C<140℃かつその油揚げ時間または焼成時間Tを8分≦T<30分とする前記方法。
(2)前記減圧加熱工程の前に、生の野菜または生の果物から生の切片を調製する生切片調製工程および前記生の切片が変色する前に前記生の切片を冷凍して凍結切片を調製する凍結切片調製工程を有する、(1)に記載の方法。
(3)前記減圧加熱工程の前に、生の野菜または生の果物から生の切片を調製する生切片調製工程、前記生の切片を蒸して蒸し切片を調製する蒸し切片調製工程および前記蒸し切片を冷凍して凍結切片を調製する凍結切片調製工程を有する、(1)に記載の方法。
(4)野菜または果物がビートである、(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
本発明に係る野菜や果物のスナック菓子の製造方法によれば、野菜や果物の独特の甘味や旨味等、野菜独特の風味や色彩、栄養価とスナック菓子独特の心地よい食感をマッチングさせたスナック菓子を製造することができる。
また、糖液への浸漬などの工程を必要とせず、加熱時間も比較的短いことから、野菜や果物が元来有する成分を生かしたスナック菓子を簡便かつ低コストで製造することができる。
さらに、野菜や果物がビートなどのエグ味を多く含有する食材であっても、特段のエグ味除去処理(アク抜き)を必要とせず適度にエグ味を抑えたスナック菓子を簡便かつ低コストで製造することができる。
様々な油揚げ温度および油揚げ時間で油揚げすることにより製造したビートのスナック菓子の画像を示す図である。 様々な油揚げ温度および油揚げ時間で油揚げすることにより製造したバナナおよびカボチャのスナック菓子の画像を示す図である。 約85〜90℃で7分(x)または8分(y)油揚げすることにより製造したカボチャのスナック菓子の画像を示す図である。 様々な油揚げ温度および油揚げ時間で油揚げすることにより製造したビートのスナック菓子の画像を示す図である。 糖度が10度未満の野菜や果物(ニンジン;G、ダイコン;H)および糖度が10度以上の野菜や果物(タマネギ;I)を約140〜142℃で10分油揚げすることにより製造したスナック菓子の画像を示す図である。 減圧条件下で焼成することにより製造したビートのスナック菓子の画像を示す図である。 ビートの生の切片を空気に触れた状態に置いて時間経過に伴う変色や状態変化を示す画像の図である。 常温水に浸漬したビートの生の切片の状態を示す画像と、切片浸漬前後の常温水および温水における糖度ならびに浸漬前後のビートの生の切片の糖度を示す図表である。 ビートの生の切片を常圧条件下で油揚げすることにより製造したビートのスナック菓子、および油揚げ後の油の画像を示す図である。 ビートの凍結切片を常圧条件下で油揚げすることにより製造したビートのスナック菓子の画像を示す図である。 ビートの凍結切片の解凍後の状態の画像を示す図である。 ビートのスナック菓子を試食した45名による評価の結果を百分率で示す図である。
以下、本発明に係る野菜または果物のスナック菓子の製造方法について詳細に説明する。本発明に係る野菜または果物のスナック菓子の製造方法は、
(i)凍結したままの状態の野菜または果物の凍結切片を減圧条件下で油揚げまたは減圧条件下で焼成する減圧加熱工程、
以上(i)の工程を有し、糖度が10度以上の前記野菜または前記果物に対し、(i)の減圧加熱工程における油揚げ温度または焼成温度Cを85℃<C<140℃かつその油揚げ時間または焼成時間Tを8分≦T<30分とすることを特徴としている。
本発明における「野菜」は、食用となりうる植物をいい、例えば、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ビート、ビーツ(赤ビーツ、赤甜菜)、カエンサイ(火焔菜)、ブリャーク、チコリの根、カブ、サツマイモ、ヤーコン、キャッサバ、サトイモ、ジャガイモ、レンコン、クワイ、ニンニク、エシャロット、ナガイモ、ヤマノイモ、ラッキョウ、ショウガ、ユリネなどの根菜、アスパラガス、ウド、タケノコなどの茎菜、キャベツ、ホウレンソウ、ハクサイ、クレソン、ケール、コマツナ、サンチュ、シュンギク、シロナ、セロリ、ニラ、チンゲンサイ、パセリ、タマネギなどの葉菜、トマト、ナス、カボチャ、ピーマン、トウガラシ、パプリカ、キュウリ、ズッキーニ、ウリ、オクラ、トウガン、シシトウなどの果菜、ミョウガ、カリフラワー、ブロッコリー、アーティチョークなどの花菜、エノキタケ、エリンギ、シイタケ、ブナシメジ、キクラゲ、マイタケ、マッシュルームなどの茸などを挙げることができるが、ビート(甜菜、砂糖大根)が好ましい。
本発明における「果物」は、食用となりうる果実をいい、例えば、リンゴ、梨、マルメロ、柿、パイナップル、イチゴ、バナナ、キウイ、マンゴー、モモ、スモモ、アンズ、クリ、アボカド、ウメ、パパイヤ、西洋ナシ、ライチ、ビワ、メロンなどを挙げることができる。
本発明において、「野菜または果物のスナック菓子」とは、野菜または果物を主たる原料とするスナック菓子をいい、野菜または果物のみを原料とするもののほか、野菜または果物と野菜または果物以外とを原料とするものも含まれる。
(i)の減圧加熱工程において、減圧条件下で油揚げする方法は、定法に従い行うことができ、例えば、市販の真空フライヤー(減圧フライヤー、バキュームフライヤー)などを用いて行うことができる。また、減圧条件下で焼成する方法は、定法に従い行うことができ、例えば、市販の真空オーブンなどを用いて行うことができる。減圧条件下における圧力は、地上での一般的な大気圧である760torr以下の範囲で、フライヤーの容量、油の温度、油で揚げる時間、原料とする野菜や果物の種類、凍結切片の形状、最終製品に必要な味や食感に応じて適宜設定することができるが、例えば、30torr以下、25torr以下、20torr以下、18torr以下、16torr以下、15torr以下、14torr以下、13torr以下、12torr以下、11torr以下、10torr以下、9torr以下、8torr以下、7torr以下、6torr以下、5torr以下、4torr以下、3torr以下、2torr以下、1torr以下などとすることができる。
本発明において、野菜や果物の「糖度」は、野菜や果物における糖類(ブドウ糖、ショ糖、果糖など)の含有量の指標となる値であり、「Brix糖度」、「Brix値」と交換可能に用いられる。糖類の含有量が異なると光の屈折率が異なる関係に基づいて、試料の屈折率を測定することにより糖度を測定することができ、1%(w/w)のショ糖水溶液の屈折率を、糖度が1度として定義される。本発明において、野菜や果物の「糖度」は市販の糖度計(Brix計、屈折計)を用いて簡便に測定することができる。
糖度が10度以上の野菜や果物に対しては、(i)の減圧加熱工程における、油揚げ温度または焼成温度Cは、85℃<C<140℃であり、かつ、その油揚げ時間または焼成時間Tは8分≦T<30分である。ここで、油揚げ温度Cは、油揚げする場合は油の温度をいい、焼成温度Cはオーブンなどの焼成装置の庫内温度をいう。また、油揚げ時間Tは、所定の温度帯にある油中に野菜や果物の凍結切片を保持する時間をいい、焼成時間Tは、所定の温度帯にある焼成装置の庫内に野菜や果物の凍結切片を保持する時間をいう。油揚げ温度または焼成温度Cや油揚げ時間または焼成時間Tがこれらの温度帯や時間帯であれば、10度以上の比較的高い糖度を有する野菜や果物であっても、褐色変化を抑制して苦味や焦げ臭さの発生を抑え、野菜が本来持つ色合いや甘味、旨味を生かし、かつエグ味や苦味、土臭さなどを抑制し、水分が充分に蒸発して油染みがなく、変色もない、サクサクあるいはパリッとした心地よい食感を有する美味しいスナック菓子を製造することができる。
本発明に係る野菜または果物のスナック菓子の製造方法は、(i)の減圧加熱工程の前に、
(ii)生の野菜または生の果物から生の切片を調製する生切片調製工程、
(iii)前記生の切片が変色する前に前記生の切片を冷凍して凍結切片を調製する凍結切片調製工程
以上(ii)および(iii)の工程を有していてもよい。
本発明において「生の野菜」または「生の切片」という場合の「生」とは、煮る、ゆでる、焼く、揚げるなどの一切の加熱処理をしていないという意味である。
本発明における切片の態様は特に限定されず、野菜の種類や最終製品の形態などに応じて適宜設定することができる。切片の態様としては、例えば、薄く平らな形状(チップス状)、棒状(スティック状)、球状、サイコロ状、ハート型、リング状、円錐状、四角錐状、三角錐状などを挙げることができるが、チップス状や棒状であることが好ましい。また、粉状あるいは粒状の切片を調製した後、それを固めるなどしてチップス状、棒状、球状、サイコロ状、ハート型、リング状、円錐状、四角錐状、三角錐状などに成型して得られる切片でもよい。切片の態様がチップス状である場合、その厚さは、野菜の種類、最終製品に必要とされる味や食感などに応じて適宜設定することができ、具体的には、例えば、3mmより薄くすることができ、2.9mm、2.7mm、2.5mm、2.3mm、2.0mm、1.8mm、1.5mm、1.2mm、1.0mm、0.8mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmなどとすることができる。また、切片を調製する方法は、切片の態様に応じて定法に従い行うことができ、例えば、包丁やナイフ、スライサー、カッターなどを用いて行うことができる。
本発明において、「生の切片が変色する」とは、生の切片の色調が、調製した直後の色調とは異なる色調になることをいい、例えば、ビートの生の切片であれば、調製直後に白色ないし薄いクリーム色であった色調が、紫色や黒色などに変化することをいう。
(iii)の凍結切片調製工程において、生の切片が変色する前に当該生の切片を冷凍して凍結切片を調製する方法としては、例えば、生の切片を、変色開始前に素速く冷凍する方法を挙げることができる。後述する実施例で示すように、ビートの生の切片であれば、調製後、常温下において約10分以内は変色を開始しないため、この間に素速く冷凍することにより、生の切片が変色する前に凍結切片を調製することができる。また、生の切片は冷温下に置くことにより、あるいは空気に触れない状態におくことにより、変色開始を遅延させることができるため、生の切片を冷凍するまでの間、冷温下や空気に触れない状態におき、その後冷凍して凍結切片を調製してもよい。
また、凍結切片調製工程において、生の切片が変色する前に当該生の切片を冷凍して凍結切片を調製する、その他の方法としては、生の切片について、定法に従い変色抑制処理を行ってから冷凍して凍結切片を調製する方法を挙げることができる。この場合の変色抑制処理の方法としては、例えば、低温の水やコメのとぎ汁、塩水、レモン果汁やライム果汁、食酢、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)、ローズマリー抽出物などの酸化防止剤を添加した水溶液に浸漬する方法や、これらの酸化防止剤を直接ふりかける方法、これらの酸化防止剤またはその水溶液を噴霧する方法などを挙げることができる。低温の水や前記水溶液を用いる場合、変色抑制効果の他、生の切片から糖分などが流出するのを抑制するという効果も奏する。なお、低温の水を用いる場合の水温は0℃〜10℃が好ましい。
また、本発明に係る野菜または果物のスナック菓子の製造方法は、(i)の減圧加熱工程の前に、
(ii)生の野菜または生の果物から生の切片を調製する生切片調製工程、
(iv)前記生の切片を蒸して蒸し切片を調製する蒸し切片調製工程、
(v)前記蒸し切片を冷凍して凍結切片を調製する凍結切片調製工程、
以上(ii)、(iv)および(v)の工程を有していてもよい。
(iv)の蒸し切片調製工程において、生の切片を蒸して蒸し切片を調製する方法は、定法に従い行うことができ、常圧下で蒸してもよく、圧力釜などを用いて加圧下で蒸してもよい。蒸す温度や時間は、原料とする野菜や果物の種類、切片の形状などに応じて適宜設定することができ、例えば、常圧下で蒸す場合の温度は90℃〜100℃、時間は5分〜20分、加圧下で蒸す場合の温度は90℃〜120℃、時間は3分〜5分、圧力は1.2〜2.5気圧などとすることができる。切片は、蒸すことにより、糖分などの野菜や果物の栄養成分、旨味成分の流出を抑えつつ、殺菌をすることができ、また、エグ味や変色を抑制することができる。
本発明に係る野菜や果物のスナック菓子の製造方法には、本発明の特徴を損なわない限り、他の工程を含むことができ、そのような工程としては、例えば、洗浄工程、変色抑制処理工程、成型工程、脱油工程、調味工程、冷却工程などを挙げることができる。
以下、本発明に係る野菜または果物のスナック菓子の製造方法について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1>ビートのスナック菓子の製造;油揚げによる加熱
(1)生切片を用いた製造
ブラシを用いて生のビートの根部を水洗し、0℃〜10℃の水に浸漬した後、上部および下部を切り落とし、1個につき4〜6ブロックに切り分けた。切り分けたブロックの皮のうち、表面より2mm程度の厚さの部分を剥ぎ、さらに側根を除去した後、0℃〜10℃の水またはコメのとぎ汁に浸漬することにより変色を抑制した。続いて、各ブロックの水分を切り、スライサーを用いて厚さが0.8〜1.5mm程度になるようにスライスすることで生の切片を調製した。調製した生の切片をさらに0℃〜10℃の水に浸漬して変色を抑制した後、水分を切り、重ならないように天板に並べたうえで、−18℃以下で冷凍することで凍結切片を調製した。続いて、解凍せずに凍結したままの状態の凍結切片を真空フライヤーの油に投入し、減圧条件下で油揚げした後、充分に脱油し、自然冷却することにより、ビートのスナック菓子を製造した。
(2)蒸し切片を用いた製造
実施例1(1)に記載の方法によりビートの生の切片を調製して、水に浸漬した後、水分を切った。これを蒸し用バットに均一に並べた後、95℃で5分間蒸した。得られた蒸し切片は、食品衛生法で定める加熱後摂取冷凍食品の規格基準(生菌数;1×10CFU/g以下、大腸菌群;陰性)を満たす程度に殺菌されていた。また、蒸し切片は空気中に放置しても変色が見られなかった。粗熱を取った後、−18℃以下で冷凍することで凍結切片を調製した。続いて、解凍せずに凍結したままの状態の凍結切片を真空フライヤーの油に投入し、減圧条件下で油揚げした後、充分に脱油し、自然冷却することにより、ビートのスナック菓子を製造した。
<実施例2>油揚げ温度および油揚げ時間の検討
(1)実験1;ビートの生切片
実施例1(1)に記載の方法によりビートのスナック菓子を製造し、サンプルa〜jとした。ただし、ビートは糖度が約12度のものを、揚げ油はパーム油(100%;月島食品工業社)を、真空フライヤーはガス式真空フライヤー(500gバッチ用;佐久間製作所社)をそれぞれ用い、切片の厚さは0.8mmおよび1.5mmとした。また、サンプルを油に投入する量は1回あたり80gとし、圧力は1torr、油揚げ温度(加熱温度)および油揚げ時間は下記のとおりとした。凍結切片を油に投入後、油揚げ中に温度計を目視しつつ、火加減を調整することにより油の温度(油温)を調整した。製造したサンプルa〜jについて、観察および試食を行った。c、d、f、gおよびhの0.8mm厚のもの、ならびにeおよびgの1.5mm厚のものについての観察結果を図1に示す。
サンプル名:加熱温度(油温の推移)/油揚げ時間
a:約90℃(投入時105℃、投入から10秒後85℃、投入から5分後以降90℃)/15分
b:約90℃(投入時105℃、投入から10秒後83℃、投入から5分後以降90℃)/20分
c:約100℃(投入時115℃、投入から10秒後92℃、投入から5分後以降100℃)/8分
d:約100℃(投入時115℃、投入から10秒後93℃、投入から5分後以降100℃)/15分
e:約110℃(投入時120℃、投入から10秒後95℃、投入から5分後以降110℃)/15分
f:約115℃(投入時128℃、投入から10秒後98℃、投入から5分後以降115℃)/15分
g:約120℃(投入時125℃、投入から10秒後115℃、投入から5分後以降120℃)/10分
h:約120℃(投入時128℃、投入から10秒後105℃、投入から5分後以降122〜120℃)/15分
i:約90℃(投入時130℃、投入から10秒後115℃、投入から5分後以降90℃)/15分
j:約90℃(投入時130℃、投入から10秒後113℃、投入から5分後以降90℃)/20分
図1および観察結果より、a〜cの0.8mm厚および1.5mm厚のものは、いずれも、菓子としては一定のレベルになりうるものの、水分の蒸発が不充分で柔らかく、油染みが多いものとなり、それらの色調はいずれも焼成色(褐色)ではなく、白色ないし薄いクリーム色であった。また、試食すると、いずれも、脂っこくて生っぽい味であった。
これに対し、d〜hの0.8mm厚および1.5mm厚のものは、いずれも、水分が充分に蒸発しているため、良好な固さを有して油染みのないものとなり、dおよびeの0.8mm厚および1.5mm厚のものの色調は、いずれも焼成色(褐色)ではなく、白色ないし薄いクリーム色であり、fの0.8mm厚および1.5mm厚のものの色調は、いずれもわずかな焼成色(褐色)を帯びたクリーム色であり、gの0.8mm厚および1.5mm厚のものの色調は、fよりもやや濃い焼成色(褐色)を帯びたクリーム色であり、hの0.8mm厚および1.5mm厚は、さらにgよりもやや濃い焼成色(褐色)を帯びたクリーム色であった。試食すると、いずれもサクサクとした食感で、かつ自然の甘さが充分に感じられる美味しいスナック菓子に仕上がっていた。特に、d〜fの0.8mm厚および1.5mm厚のものは、かすかなエグ味が感じられたものの苦味は全くなく、良好な後味を呈し、gおよびhの0.8mm厚および1.5mm厚のものは、苦味やエグ味が全くなく、良好な後味を呈した。
一方、iおよびjの0.8mm厚および1.5mm厚のものは、いずれも、良好な固さで油染みのないものとなり、色調は、hの0.8mm厚および1.5mm厚のものと同等(図示しない)であり、菓子としては一定のレベルになりうるものの、試食すると、エグ味が強いものであった。
すなわち、ビートの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際に、油揚げ温度Cを90℃≦C≦120℃、油揚げ時間Tを8分≦T≦20分とすると、一定レベルのビートのスナック菓子を製造することができ、油揚げ温度Cを90℃<C≦120℃、油揚げ時間Tを8分<T<20分とすると、水分が充分に蒸発してサクサクと心地よい食感を有し、苦味やエグ味がなく、ビートの自然の色と甘味が生かされた、より美味しいスナック菓子を製造することができることが明らかになった。
(2)実験2:ビートのエグ味除去処理をした生切片および蒸し切片
実施例1(1)に記載の方法によりビートのスナック菓子を製造し、サンプルkおよびlとした。また、実施例1(2)に記載の方法によりビートのスナック菓子を製造し、サンプルm〜oとした。ただし、ビートは糖度が14度のものを、揚げ油および真空フライヤーは本実施例2(1)に記載のものをそれぞれ用い、切片の厚さは2.6mmとした。サンプルを油に投入する量は1回あたり100gとし、加熱温度、油揚げ時間および圧力は下記のとおりとした。また、各サンプルの生の切片について、下記のエグ味除去処理を行った。製造したサンプルk〜oについて、観察および試食を行った。
サンプル名:エグ味除去処理;加熱温度/油揚げ時間/圧力
k:米糠を1%(w/w)含有する45℃の水に30分間浸漬した;約85℃/30分/1torr
l:重曹を1%(w/w)含有する45℃の水に30分間浸漬した;約85℃/30分/1torr
m:何もしない;約110℃/20分/15torr
n:何もしない;約115℃/20分/15torr
o:何もしない;約120℃/20分/15torr
その結果、kおよびlは、エグ味がある上に長時間加熱により濃い焼成色(褐色)を帯びていて苦味があった。これに対して、m〜oはエグ味がなく、ビートの自然なクリーム色を呈していて苦味もなく、自然の甘さが充分に感じられ、食感はサクサクとしていた。すなわち、ビートの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際に、ビートのエグ味を除去し、かつ加熱過多による褐色変化や苦味を抑制するためには、油揚げ温度を85℃より大きくし、かつ、油揚げ時間を30分より小さくする必要があることが明らかになった。そして、ビートの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際の油揚げ温度Cを110℃≦C≦120℃、油揚げ時間TをT=20分とすると、浸漬等のエグ味除去処理をせずともエグ味が解消され、褐色変化も小さくビートの自然の色と甘味が生きた、サクサクと心地よい食感を有する美味しいスナック菓子を製造することができることが明らかになった。
(3)実験3;バナナおよびカボチャの蒸し切片
ビートの代わりにバナナ(糖度約17度)およびカボチャ(糖度約19度)を用いて、実施例1(2)に記載の方法によりスナック菓子を製造し、サンプルp〜sとした。ただし、バナナの場合、生の切片を水に浸漬することは行わずに、切片を蒸した後、加糖練乳を約50%(w/w)含有する水溶液(練乳水溶液)に前記蒸し切片を1分弱浸漬した後、冷凍して凍結切片を調製した。なお、練乳水溶液にバナナの蒸し切片を長時間浸漬するとスナック菓子の食感が固くなることから、当該浸漬時間はスナック菓子の食感が固くならない程度の短時間とすることが好ましい。また、揚げ油および真空フライヤーは本実施例2(1)に記載のものをそれぞれ用い、切片の厚さはバナナが3mm、カボチャが2mm、圧力は10torrとし、加熱温度および油揚げ時間は下記のとおりとした。製造したサンプルp〜sについて、観察および試食を行った。観察結果を図2に示す。
サンプル名:野菜または果物;加熱温度/油揚げ時間
p:バナナ;約120℃/15分
q:バナナ;約140℃/15分
r:カボチャ;約85℃/20分の後120℃/20分
s:カボチャ;約130℃/8分
図2に示すように、qは高温加熱、rは長時間加熱によりいずれも濃い焼成色(褐色)を帯びており、焦げ臭さや苦味が感じられた。これに対して、pはバナナの自然な淡黄色、sはカボチャの自然な橙色を呈しており、いずれも焦げ臭さや苦味、エグ味がなく、自然の甘さが充分に感じられ、食感はサクサクとしていた。すなわち、バナナやカボチャの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際に、加熱過多による褐色変化や苦味を抑制するためには、加熱温度を140℃より小さくし、かつ、油揚げ時間を40分より小さくする必要があることが明らかになった。そして、バナナおよびカボチャの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際の油揚げ温度Cを120℃≦C<140℃、油揚げ時間Tを8分≦T≦15分とすると、褐色変化が抑制されてバナナおよびカボチャの自然の色と甘味が生かされ、サクサクとした美味しいスナック菓子を製造することができることが明らかになった。
(4)実験4;バナナ、リンゴおよびカボチャの蒸し切片
ビートの代わりにバナナ(糖度約17.6度)、リンゴ(糖度約10.9度)およびカボチャ(糖度約12.4度)を用いて、実施例1(2)に記載の方法によりスナック菓子を製造し、サンプルt〜yとした。ただし、バナナおよびリンゴの場合、水に代えて脱脂粉乳を約10%(w/w)含有する水溶液に生の切片を1分弱浸漬した後その切片を蒸し、これを冷凍して凍結切片を調製した。また、揚げ油および真空フライヤーは本実施例2(1)に記載のものをそれぞれ用い、切片の厚さは3mm、切片の蒸し時間はバナナが3分、リンゴが5分、カボチャが3〜5分とした。サンプルを油に投入する量は1回あたり60gとし、真空フライヤーの圧力は10torr、加熱温度および油揚げ時間は下記のとおりとした。製造したサンプルt〜yについて、観察および試食を行った。カボチャについての観察結果を図3に示す。
サンプル名:野菜または果物;加熱温度/油揚げ時間
t:バナナ;約85〜90℃/15分
u:バナナ;約85〜90℃/20分
v:リンゴ;約85〜90℃/15分
w:リンゴ;約85〜90℃/20分
x:カボチャ;約85〜90℃/7分
y:カボチャ;約85〜90℃/8分
その結果、tおよびuはバナナの自然な淡黄色、vおよびwはリンゴの自然な白色を呈しており、いずれも焦げ臭さや苦味、エグ味がなく、自然の甘さが充分に感じられ、水分が充分に蒸発して食感はサクサクとしていた(t〜wの観察結果は図示しない)。また、図3に示すように、xおよびyはカボチャの自然な橙色を呈しており、いずれも焦げ臭さや苦味、エグ味はなく、自然の甘さが感じられたものの、xは中心部に水分蒸発が不充分で、食感が柔らかかった。これに対して、yは水分が充分に蒸発して良好な固さを有し、食感はサクサクとしていた。すなわち、バナナやリンゴ、カボチャの凍結切片を、減圧条件下で85℃〜90℃で油揚げする際に、水分を充分に蒸発させるためには、油揚げ時間を7分より大きくする必要があることが明らかになった。そして、バナナ、リンゴおよびカボチャの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際の油揚げ温度Cを85℃≦C≦90℃、油揚げ時間Tを7分<T≦20分とすると、褐色変化が抑制されてバナナ、リンゴおよびカボチャの自然の色と甘味が生かされ、良好な固さのサクサクとした美味しいスナック菓子を製造することができることが明らかになった。
(5)実験5;ビートの蒸し切片
実施例1(2)に記載の方法によりビートのスナック菓子を製造し、サンプルA〜Fとした。ただし、A〜Dについては切片の厚さを1.5mとした。また、EおよびFについては、スライスすることに代えて、太さ約1cm角かつ長さ約6cmのスティック状にカットすることにより切片を調製した。また、ビートは糖度が11.2度(A〜D)および17.8度(E、F)のものを用い、切片の蒸し時間はA〜Dが5分、EおよびFが15分とした。揚げ油および真空フライヤーは本実施例2(1)に記載のものをそれぞれ用いて、サンプルを油に投入する量は1回あたり60gとし、圧力は10torr、加熱温度および油揚げ時間は下記のとおりとした。製造したサンプルA〜Fについて、観察および試食を行った。観察結果を図4に示す。
サンプル名:加熱温度/油揚げ時間
A:約85〜90℃/7分
B:約85〜90℃/8分
C:約135〜140℃/7分
D:約140〜145℃/7分
E:約80〜85℃/31分
F:約100℃/25分
図4に示すように、AおよびBはいずれもビートの自然なクリーム色を呈していたが、Aはやや生っぽくてエグ味や土臭さが残存しており、水分の蒸発が不充分で食感は柔らかかった。これに対してBは、エグ味がなく自然の甘さが感じられ、水分が充分に蒸発して良好な固さであった。すなわち、ビートの凍結切片を、減圧条件下で85℃〜90℃で油揚げする際に、水分を充分に蒸発させるためには、油揚げ時間を7分より大きくする必要があることが明らかになった。
また、Cは焼成色(褐色)を帯びたクリーム色であったが、中心部はやや生っぽく、エグ味や土臭さが残存しており、食感は柔らかかった。Dは濃い焼成色(褐色)を帯びたクリーム色であり焦げ臭さや苦味が感じられた。すなわち、ビートの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際に、加熱過多による褐色変化や苦味を抑制し、かつ水分を充分に蒸発させるためには、加熱温度を140℃より小さくし、油揚げ時間を7分より大きくする必要があることが明らかになった。
また、Eはやや濃い焼成色(褐色)を帯びたクリーム色であり、エグ味や土臭さが残存しており、中心部が生っぽくて柔らかかった。Fはわずかな焼成色(褐色)を帯びたクリーム色であり、エグ味や苦味がなく、自然の甘さが感じられ、水分が充分に蒸発して良好な固さであった。すなわち、ビートの凍結切片を減圧条件下で油揚げする際に、加熱過多による褐色変化や苦味を抑制し、かつ水分を充分に蒸発させるためには、加熱温度を85℃より大きくし、かつ油揚げ時間を31分より小さくする必要があることが明らかになった。
(6)実験6;ニンジン、ダイコンおよびタマネギの蒸し切片
ビートの代わりにニンジン(糖度約6.5度)、ダイコン(糖度約5.0度)およびタマネギ(糖度約10.2度)を用いて、実施例1(2)に記載の方法によりスナック菓子を製造し、サンプルG〜Iとした。ただし、タマネギについてはスライスすることに代えて、6分割にカットすることにより切片を調製した。また、切片の厚さはニンジンが1.5mm、ダイコンが3mmとし、揚げ油および真空フライヤーは本実施例2(1)に記載のものをそれぞれ用いた。サンプルを油に投入する量は1回あたり60gとし、真空フライヤーの圧力は10torr、加熱温度は約140〜142℃、油揚げ時間は10分とした。製造したサンプルG〜Iについて、観察および試食を行った。観察結果を図5に示す。
図5に示すように、Gはニンジンの自然な橙色、Hは肌色を呈しており、いずれも焦げ臭さや苦味、エグ味はなく、自然の甘さが感じられ、水分が蒸発してサクサクとした良好な食感であった。これに対して、Iはやや焼成色(褐色)を帯びており、良好な食感であったが、苦味が感じられた。すなわち、凍結切片を減圧条件下で油揚げする際の油揚げ温度を140〜142℃とすると、ニンジンやダイコンでは褐色変化や苦味が生じにくいのに対して、タマネギでは加熱過多となり褐色変化や苦味が生じていしまうことが明らかになった。これらの結果から、糖度が10度以上の野菜や果物に対して、苦味がなく、野菜や果物の自然の色と甘味が生きた美味しいスナック菓子を製造するためには、凍結切片を減圧条件下で油揚げする際の油揚げ温度CをC<140℃とする必要があることが明らかになった。
以上の本実施例2(1)実験1〜(6)実験6の結果を表1にまとめて示す。表1の結果における○はスナック菓子として一定のレベルを有することを、◎は見た目や食感、風味および味の点で優れたスナック菓子であることを示す。表1に示すように、糖度が10度以上の野菜または果物の凍結切片を減圧条件下で油揚げする際の油揚げ温度Cは85℃<C<140℃、油揚げ時間Tは8分≦T<30分が好適であることが明らかになった。
<実施例3>ビートのスナック菓子の製造;焼成による方法
実施例1(1)に記載の方法によりビートのスナック菓子を製造し、JおよびKとした。ただし、真空フライヤーに代えて真空オーブン(富士通社)を用いて、減圧条件下で焼成することにより加熱した。真空オーブンにおける圧力は20torr、焼成温度Cは120℃および焼成時間Tは15分とした。また、Jについては、加熱する前の凍結切片に油を噴霧または塗布した。その結果を図6に示す。
図6に示すように、Jはやや濃い焼成色(褐色)を帯びたクリーム色、Kは薄い褐色を帯びたクリーム色であり、いずれもエグ味はなく、自然の甘さが感じられた。また、tは油揚げをした場合と同様のサクサクとした食感であり、Kはパリッとした食感であった。すなわち、減圧条件下で油揚げする際の好適温度および好適時間と同様の温度および時間により、ビートの凍結切片を減圧条件下で焼成すると、水分が充分に蒸発して心地よい食感を有し、エグ味がなく、褐色変化も抑制されてビートの自然の色と甘味が生かされた美味しいスナック菓子を製造することができることが明らかになった。
<実施例4>空気の有無による切片の変色や状態についての検討
実施例1(1)に記載の方法により調製したビートの生の切片について、空気に触れた状態および空気に触れない状態においた場合の変色や状態について、時間経過に伴う変化を目視により観察した。
(1)空気に触れた状態においた場合
実施例1(1)に記載の方法によりビートの生の切片を調製し、生の切片を0℃〜10℃の水に浸漬することなく、常温(約20℃以上)下または冷温(0℃〜10℃)下にて空気に触れた状態において観察した。その結果を図7に示す。
調製直後の生の切片は、水分を含んだハリがあり、色調は白色ないし薄いクリーム色であるが、図7に示すように、その後、空気に触れると、常温下の場合では約10分後にその一部が紫色に変色し始め、約1〜2時間後には全体が紫色ないし黒色に変色するとともに乾燥して萎びた状態になり、冷温下の場合では約30分後にその一部が紫色に変色し始め、約4〜6時間後には全体が紫色ないし黒色に変色するとともに乾燥して萎びた状態になった(冷温下の結果は図示しない)。なお、変色は年輪状の維管束の部分に強く見られた。
これらの結果から、ビートの生の切片を空気に触れた状態に置くと、約10分後には変色してしまうとともに、時間経過に伴い乾燥して萎びた状態になることが明らかになった。さらに、低温下におくことにより、変色の開始および進行を遅らせることができることが明らかになった。
(2)空気に触れない状態においた場合
実施例1(1)に記載の方法によりビートの生の切片を調製し、切片を0℃〜10℃の水に浸漬することなく、ビニル袋に入れてビニル袋を密着させ、切片が空気に触れない状態にした。これを、常温(約20℃以上)下または冷温(1℃〜10℃)下において観察した。その結果、常温下の場合では約30分後にその一部が紫色に変色し始め、約5〜6時間後に全体が紫色ないし黒色に変色したものの、水分は維持されてハリは保たれていた。また、冷温下の場合では約1時間後にその一部が紫色に変色し始め、約8〜9時間後に全体が紫色ないし黒色に変色したものの、やはり水分は維持されてハリは保たれていた(結果は図示しない)。
これらの結果から、ビートの生の切片を空気に触れない状態におくと、空気にさらされた状態と比較して変色の開始および進行を遅らせることができるとともに、乾燥を防止することができることが明らかになった。さらに、低温下で空気に触れない状態におくことにより、変色の開始および進行をより遅らせることができることが明らかになった。
以上の本実施例4および実施例1(2)の結果より、ビートの生の切片を調製した場合、(ア)変色する前に当該切片を凍結する、(イ)調製した当該切片を冷水に浸漬して変色を抑制する、(ウ)変色する前に当該切片を蒸すの(ア)〜(ウ)のいずれかの手段が好ましいことが示された。
<実施例5>常温水および温水への浸漬による切片の変色や糖度の変化についての検討
実施例1(1)で調製したビートの生の切片について、常温水に浸漬した場合および温水に浸漬した場合の変色や糖度の変化について観察した。実施例1(1)に記載の方法によりビートの生の切片を調製し、生の切片を3片ずつ(計約10g)、それぞれ500mLの常温水(約15℃)および温水(約35℃)に30分間浸漬し、浸漬前後の色の変化を目視により観察した。また、デジタル糖度計を用いて、浸漬後の常温水と温水の糖度、浸漬前後の生の切片の糖度を測定した。その結果を図8に示す。なお、観察結果は、常温水と温水とで同様の結果であったため、常温水の場合のみを示す。
図8に示すように、常温水および温水に浸漬した後の切片の変色は、いずれも全く見られなかった。すなわち、水温にかかわらず、ビートの生の切片を水に浸漬することで変色を一定程度抑制できることが明らかになった。一方、常温水および温水に浸漬した後の切片の糖度は、いずれの場合も大幅に低下し、浸漬後の常温水および温水の糖度が増大した。また、いずれの場合も、常温水と比較して温水の方の糖度が増大した。すなわち、ビートの生の切片を常温水または温水に浸漬すると糖分が水に流出すること、およびその糖分の流出の程度は、水温が高い場合の方が、水温が低い場合よりも大きいことが明らかになった。
以上の結果から、ビートの生の切片を水に浸漬することにより、切片の変色を抑制することができるが、糖分の流出をできるだけ抑制するためには、低温の水に浸漬して冷却することが好ましいことが明らかになり、実施例4の結果と同様に、調製した当該切片をすぐに凍結しない場合は、冷水に浸漬して変色を抑制することが好ましいことが示された。
<実施例6>常圧条件下での油揚げの検討
実施例1(1)に記載の方法により調製したビートの生の切片およびその凍結切片について、常圧条件下で油揚げして観察した。
(1)ビートの生の切片についての実験
実施例1(1)に記載の方法によりビートの生の切片を調製し、0℃〜10℃の水に浸漬して冷却した後、フライヤーの油に投入して、常圧条件下で油揚げした。油温は、160℃未満、170℃〜180℃および180℃以上とし、焼成色(褐色)を呈しているかどうかを確認しつつ、油揚げ時間を40〜90秒間の範囲で調整した。油揚げ後、常温に一定時間置いて冷却することによりスナック菓子を製造し、観察および試食を行った。その観察結果を図9に示す。
図9に示すように、160℃未満において、やや焼成色(褐色)を帯びるまで(約40秒間)油揚げした場合は、水分の蒸発が不充分で柔らかく、油染みが多いスナック菓子が得られ、これを試食すると脂っこい味であった。また、160℃未満において、全体が焼成色(褐色)を帯びるまで(約90秒間)油揚げした場合は、水分が充分に蒸発して固いスナック菓子が得られたが、冷却後の油抜けが悪く、これを試食すると脂っこくてエグ味および苦味を呈していた。また、170〜180℃で全体が焼成色(褐色)を帯びるまで(約20秒間)油揚げした場合は、水分の蒸発が不充分で柔らかいスナック菓子が得られ、これを試食すると焦げ臭いとともにエグ味および苦味を呈していた。また、170〜180℃で真っ黒になるまで(約40秒間)油揚げした場合の得られたスナック菓子は、油揚げの直後は固いものの、冷却後は柔らかくなった(図示しない)。さらに、180℃以上で油揚げした場合は、ごく短時間(10秒間以下)で真っ黒に焦げてしまい、スナック菓子として認められなかった(図示しない)。
以上の結果から、生の切片を常圧条件下で油揚げすると、美味しいスナック菓子を製造することができないことが明らかになった。さらに、160℃未満、170℃〜180℃および180℃以上のいずれにおいても、油揚げ後、油自体が褐色になり、劣化が進んだ状態となることから、生の切片を常圧条件下で油揚げすると、用いる油の劣化を早めることが明らかになった。
(2)ビートの凍結切片についての実験
実施例1(1)に記載の方法によりビートの凍結切片を調製し、解凍せず凍結したままの状態の凍結切片をフライヤーの油に投入して、常圧条件下で油揚げした。油温は160℃未満および170℃〜180℃とし、焼成色(褐色)を呈しているかどうかを確認しつつ、油揚げ時間を40〜90秒間の範囲で調整した。油揚げ後、常温に一定時間置いて冷却することによりスナック菓子を製造し、観察および試食を行った。その結果を図10に示す。
図10に示すように、160℃未満において、やや焼成色(褐色)を帯びるまで(約40秒間)油揚げした場合は、水分の蒸発が不充分で柔らかいスナック菓子が得られた。160℃未満において、全体が焼成色(褐色)を帯びるまで(約90秒間)油揚げした場合の得られたスナック菓子は、冷却後の油抜けが悪く、これを試食すると脂っこくてエグ味および苦味を呈していた。また、170〜180℃で全体が焼成色(褐色)を帯びるまで(約20秒間)油揚げした場合の得られたスナック菓子は、色調は白色ないし薄いクリーム色を呈したものの加熱不充分のようであり、これを試食すると生っぽい味であった。170〜180℃において、やや焼成色(褐色)を帯びるまで(約40秒間)油揚げした場合の得られたスナック菓子は、これを試食すると、サクサクとした食感であったが、エグ味および苦味のある味を呈していた。
以上の結果から、ビートの凍結切片を常圧条件下で油揚げすると、美味しいスナック菓子を製造することができないことが明らかになった。
<実施例7>解凍による切片の変色や糖度の変化についての検討
実施例1(1)に記載の方法によりビートの凍結切片を調製した後、空気にさらした状態で常温下におくことにより解凍して、解凍後の状態や色の変化を目視により観察し、デジタル糖度計を用いて糖度を測定した。観察結果を図11に示す。図11に示すように、解凍に伴い水分が流出したため、解凍後の切片はシワがよって縮み、ハリのないものとなり、その一部が紫色に変色していた。また、糖度については、解凍前(生の切片について測定した値)が12.8度であったのに対し、解凍後は8.5度と大幅に低下した。これらの結果から、ビートの凍結切片を解凍すると、製品として使用不可となることが明らかになった。
<実施例8>試食アンケート
実施例1(1)に記載の方法により、ビートのスナック菓子を製造した。ただし、ビートは糖度が約11度のものを用いて、油揚げ温度は110℃、油揚げ時間は15分とした。これを、年齢が多様な男性18名および女性27名の計45名に試食してもらい、「食感」、「甘さ」、「見た目」、「味の総合評価」および「購入意欲」についての5段階評価を得、百分率に換算して円グラフに表した。その結果を図12に示す。図12に示すように、「食感」、「甘さ」、「見た目」、「味の総合評価」および「購入意欲」のいずれにおいても、良好な評価が得られた。この結果から、実施例1に記載の方法により製造したスナック菓子は、万人にとって好ましい味を有し、購入意欲を刺激するものであることが示された。

Claims (4)

  1. 野菜または果物のスナック菓子を製造する方法であって、
    凍結したままの状態の前記凍結切片を減圧条件下で油揚げまたは減圧条件下で焼成する減圧加熱工程を有し、
    糖度が10度以上の前記生の野菜または前記生の果物に対し、前記減圧加熱工程における油揚げ温度または焼成温度Cを85℃<C<140℃かつその油揚げ時間または焼成時間Tを8分≦T<30分とする前記方法。
  2. 前記減圧加熱工程の前に、生の野菜または生の果物から生の切片を調製する生切片調製工程および前記生の切片が変色する前に前記生の切片を冷凍して凍結切片を調製する凍結切片調製工程を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記減圧加熱工程の前に、生の野菜または生の果物から生の切片を調製する生切片調製工程、前記生の切片を蒸して蒸し切片を調製する蒸し切片調製工程および前記蒸し切片を冷凍して凍結切片を調製する凍結切片調製工程を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 野菜または果物がビートである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
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