JPWO2013145486A1 - 交流電機システム及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この交流電機システムでは、電力変換器10による電力変換動作、及び、交流電機20による電動機動作、発電機動作等により、電力変換器10と交流電機20との間で交流電力を授受している。
上記構成において、交流電機20はリアクタンス成分が存在し、電力変換器10と交流電機20との間のケーブルにもリアクタンスが存在する。また、ケーブルの途中に接続された部品としてのリアクトルやフィルタにもリアクタンスが存在する。図11において、30は、交流電機20を除いたリアクタンス成分を示す。
この交流電機システムにおいては、インバータ11のスイッチング素子111〜116をオン、オフして交流電動機21に供給する三相(U,V,W相)の交流電力を制御することにより、交流電動機21の発生トルクや回転速度を調整することができる。
この種の交流電機システムは公知であるため、回路の構成や動作についての詳細な説明は省略する。
図12の交流電機システムを例示して説明すれば、インバータ11の運転停止時、すなわちインバータ11の全てのスイッチング素子111〜116をオフした際に、交流電動機21の有する電磁エネルギーがインバータ11に流入することにより、次のような問題が生じる。
これに対し、主コンデンサ50と直列に、半導体スイッチング素子と抵抗との直列接続回路(ダイナミックブレーキ回路)を付加し、主コンデンサ50に印加される電圧が過大になった場合にダイナミックブレーキ回路を動作させて主コンデンサ50の電圧上昇を抑える方法がある。しかし、この方法も、ダイナミックブレーキ回路を付加することにより、コストや体積の増大が避けられない。特に、電流通流時に電力変換器の運転を停止するのは非常時のみという場合が多く、そのためだけにダイナミックブレーキ回路を設けることは著しく不経済である。
図13によれば、元々400[V]であった直流電圧部の電圧(図中のインバータ直流電圧)が、時刻t1以後は800[V]まで上昇している。このため、主コンデンサ50の耐圧が800[V]よりも低い場合には、主コンデンサ50が破損してしまう。
例えば、図14に示すように、電源40がバッテリー41と直流リレーのリレー接点(以下、直流スイッチという)42とによって構成されている場合に、インバータ11の運転停止と同時に直流スイッチ42がオフされると、PMモータからの回生電力による電流を、インバータ11の還流ダイオードを介してバッテリー41に流し込むことができなくなり、主コンデンサ50に過電圧が印加される。
このシミュレーションでは、PMモータを高速回転させて無負荷誘起電圧が直流電圧部の電圧よりも高くなり、インバータ11が回生動作を行っている時刻t1でインバータ11の運転を停止し、その後の時刻t2で直流スイッチ42を遮断したときのシステムの挙動を求めている。
また、直流スイッチ42を遮断する時刻t2以後は、直流電圧部の電圧が大幅に上昇しているため、主コンデンサ50の耐圧が問題になる。
特許文献1の従来技術では、回路の主スイッチ(図14における直流スイッチ42に相当)が何らかの理由で開放されたとき、インバータの上アームまたは下アームのスイッチング素子を全てオン状態としてモータの固定子巻線を短絡させ、モータからインバータへの電磁エネルギーの流入を回避している。
これにより、電源側に過大な電流が流入し、または、主コンデンサに過電圧が印加されるのを防止することができる。
(1)この従来技術では、モータを短絡させることで過大な電流が持続して流れるので、モータの過熱や永久磁石の減磁を生じ得る。
(2)この従来技術では、モータの短絡により流れる過大な電流の減衰を、モータの減速に依存しているため、通常、過大な短絡電流が減衰するまでに相当な時間を必要とする。また、モータが充分に減速する前にインバータの運転を停止、すなわち全てのスイッチング素子をオフすると、大きな短絡電流によってリアクタンス成分に蓄積された電磁エネルギーがインバータに流入する。
また、前記電気端子を流れる電流をゼロ近傍にするには、電力変換器の下アームまたは上アームのスイッチング素子及び還流ダイオードにより電流を還流させ、これによって交流電機の複数の電気端子同士を短絡すればよい。
まず、請求項1,2に相当する本発明の実施形態を説明する。この実施形態は、例えば、図12,図14に示した三相の交流電機システムに適用されるが、交流電機システムの相数が三相を超える場合にも適用可能である。
すなわち、図14に示したような三相の交流電機システムにおいて、インバータ11の運転を三相同時に停止させると、停止時の各相の電力が等しい条件であれば、どの時点でインバータ11を停止しても交流電動機21等のリアクタンス成分は必ず電磁エネルギーを有し、この電磁エネルギーがインバータ11側に流入して前述したような問題を生じる。
すなわち、三相の交流電動機21の電流を各相について個別に見ると、各相電流は交流であるため、電流がゼロとなる瞬間が半周期に1回、必ず発生する。この点に着目し、本実施形態では、各相個別に電流がゼロ近傍になったときに当該相についてインバータ11の上下アームのスイッチング素子をオフ状態とし、これを三相すべてについて順次行う。
各相の通流電流がゼロであれば、当該相のリアクタンス成分が有する電磁エネルギーはゼロであるから、当該相のスイッチング素子をオフにする操作を行うことにより、交流電動機21からインバータ11側への電磁エネルギーの流入を防止または抑制することができる。
図1において、期間aは、インバータ11が回生動作している期間、すなわち、交流電動機21を回生運転させてその発生電力をインバータ11が制御している期間(以下、変換器動作期間ともいう)、期間bは、インバータ11の各相の電流がゼロになった時点から上下アームのスイッチング素子を一括して順次オフしていく期間(以下、変換器移行期間ともいう)、期間cは、インバータ11の運転を完全に停止する期間(以下、変換器停止期間ともいう)である。
なお、図1の各波形において、VuvはU−V相間の線間電圧、iu,iv,iwはU,V,W相の出力電流、idcは図14のバッテリー41に流れる直流電流、Vdcはインバータ11の直流電圧(直流電圧部の電圧)である。
この図2は、図14に示したフルブリッジ型のインバータ11の一相(例えばU相)について、上下アームのスイッチング素子を一括してオフにした状態を示している。なお、図2において、111D,112DはU相の還流ダイオードである。
例えば、マトリクスコンバータにおいても、ある相の電流がゼロ近傍となった時点で当該相のスイッチング素子をオフすることができる。その場合、当該相は実質的に開放状態となり、前述のように還流ダイオードのみを介して導通する状態とは異なる。請求項1,2の記載から明らかなように、本発明は、電力変換器としてインバータだけでなくマトリクスコンバータを用いる場合も包含する。
図3において、前記同様に期間aは変換器動作期間、期間bは変換器移行期間、期間cは変換器停止期間である。図3では、期間aから期間bに移行する際、交流電動機21の各相の電気端子を短絡させることにより、交流電動機21の電流を還流させた後(この動作モードを還流モードという)、以下に説明する所定のスイッチング素子の操作を期間bにて行う様子を示している。
なお、交流電動機21の各相の電気端子を短絡して電流を還流させる手段は、例えばインバータ11のスイッチング素子のオン、オフ状態を制御することにより、あるいは、専用の回路を付加することによって実現可能である。図3の例では、インバータ11の下アームのスイッチング素子112,114,116を全てオンすることにより、交流電動機21の各相の電気端子を短絡している。
フルブリッジ型のインバータ11によって交流電動機21を駆動する場合には、インバータ11の上アームの全てのスイッチング素子111,113,115または下アームの全てのスイッチング素子112,114,116をオン状態にすれば、交流電動機21の全相の電気端子を短絡することができる。図4では、○印で囲んだ下アームの全てのスイッチング素子112,114,116をオンさせている。
なお、このようにインバータ11の上アームまたは下アームの全てのスイッチング素子をオンさせることにより、インバータ11に接続された負荷の電気端子を短絡させる技術自体は公知であるため、詳述を省略する。
この実施形態では、変換器動作期間aにおいて、図4に示したように下アームの全てのスイッチング素子112,114,116をオン状態、上アームの全てのスイッチング素子111,113,115をオフ状態とし、その後に変換器移行期間bを開始する。
この操作により、期間bでは交流電動機21の各相が短絡されているので、交流電動機21から発生する電圧、及び、交流電動機21のリアクタンス成分を流れる電流に起因した磁気エネルギーにより、比較的大きな短絡電流iu,iv,iwが、交流電動機21と下アームのスイッチング素子112,114,116を通って還流する。
このような操作を行えば、当該相については、還流ダイオードに流れる電流が減少していき、やがてゼロになった時点で、当該還流ダイオードに並列接続されている能動スイッチング素子がオフされているため、電流はゼロのままで維持される。これにより、当該相に関しては、電流がゼロの状態でスイッチング素子をオフするという操作が実現される。
なお、図5における符号eは、W相電流iwがゼロになる時点を示し、符号fは、U相電流iu,V相電流ivがゼロになる時点を示している。また、符号gは、その時点で正の電流iwが流れているW相の下アームのスイッチング素子116をオフすることを示し、符号hは、その時点で正の電流ivが流れているV相の下アームのスイッチング素子114をオフすることを示している。
以上のような操作を各相について行うことにより、電流がゼロになった時点でスイッチング素子をオフさせることができる。
なお、図5において460[V]から570[V]に電圧が上昇しているのは、交流電動機21の電気端子における電流の通流が継続している状態でスイッチング素子をオフしたことによる。しかし、スイッチング素子をオフした時の電流値が図13に比べて小さくなっていることによって電圧の上昇が抑制されているのであり、これは本発明の所期の効果が達成されていることを示している。
この実施形態も、四相以上の交流電機システムに適用可能である。
電流情報取得手段の他の例としては、請求項7に記載するように、短絡操作開始時点における交流電機システムの状態(各相の電流の振幅及び位相、並びに交流電動機21の回転速度等)に基づき、交流電動機21の数学的モデルを用いて短絡後の電流の挙動を推定演算することによって実現可能である。これは特に、交流電動機21の相電流を検出せずに推定して交流電動機21を駆動する交流電機システムにおいて有用である。
図14において、交流電動機21に通電中にインバータ11の運転を停止すると、交流電動機21からインバータ11に電磁エネルギーが流入するが、バッテリー41によって直流電圧部の電圧がクランプされているため、直流電圧の跳ね上がりは実質的に生じない。しかし、その代わりに、バッテリー41に過電流が流入する怖れがある。
バッテリー41は、過電流の流入によって著しく劣化することがあるため、このような状況を生じさせないことが望ましい。
すなわち、まず、交流電動機21の全ての電気端子を短絡する。短絡の方法は、前述したようにインバータ11の上アームまたは下アームの全てのスイッチング素子をオンさせればよい。これにより、前述したようにバッテリー41を流れる電流はゼロとなる。
この状態で、バッテリー41と直流電圧部との間の直流スイッチ42をオフする。直流電路を開閉するスイッチは、電路を流れている電流が過大な状態ではオフできないことがあるが、バッテリー41を流れる電流がゼロの状態であれば直流スイッチ42を確実にオフすることができる。
このようにすれば、バッテリー41に過電流が流入するのを回避しながら、直流電圧部の電圧上昇を抑制し、システムを安全に停止させることが可能となる。
本発明に係る技術は、特に、交流電機がPMモータの場合に大きな効果を発揮する。すなわち、PMモータは永久磁石の磁束に起因する誘導起電力(磁石起電力)を有し、その振幅は一般的に回転速度に比例する。従って、高速回転領域では比較的高い起電力がPMモータの端子間に発生するため、インバータ等の電力変換器によってPMモータを駆動している最中に電力変換器の運転を停止すると、PMモータから電力変換器に流入する電磁エネルギーが大きくなり易い傾向がある。
なお、誘導電動機や巻線型同期電動機においては、高速回転時に電流を調整することによって起電力を低下させることができるため、この点でPMモータとは相違する。
PMモータを適用対象とする交流電機システムにおいて、誘導起電力の線間ピーク値が、PMモータを駆動するインバータ11の直流電圧部の電圧よりも高くなる場合は、本発明の作用効果は大きくなる。
なお、周知のように、PMモータは永久磁石型同期発電機と構造が同一であるから、本実施形態はこれらの両者を含む永久磁石型同期機に適用可能である。
また、直流電圧部にバッテリー41が接続されていない場合でも、そもそも停止時のモータ端子電圧が高いため、直流電圧部に流入する電流が大きくなり易く、この電流を抑制する必要性は高い。
PMモータを用いた交流電機システムにおいては、上述した直流電圧部の電圧上昇という問題が存在するため、安全上の見地から、PMモータの誘導起電力を低めに、極端な場合には直流電圧部の電圧よりも低く設計しなくてはならない場合が多い。このことは、同じ仕事量をモータにさせる場合に、必要な電流が大きくなることを意味しており、電流値が大きくなることは駆動用インバータやケーブルの容量増大につながり、不経済であると共に、インバータの寸法や質量の増大を招く。
これらの問題は、交流電機システムを各種産業や電気自動車などに適用する際の大きな障害となる。従って、本発明により直流電圧部の電圧が過度に上昇するのを解決することによって、上記障害を取り除くことができ、交流電機システムの経済性と小型軽量化を大きく推進することが可能となる。
図1,図3,図5からわかるように、本発明では、変換器移行期間bにおいて、瞬間的に大きな電流が交流電動機21の固定子巻線に流れる。一般に、永久磁石には非可逆減磁という現象がある。これは、永久磁石を減磁する方向に大きな磁束が作用すると、永久磁石の磁化が非可逆的に弱まり、再度着磁しない限り元に戻らない現象をいう。
PMモータでは、固定子巻線に電流が流れると磁束が発生し、ロータの位置によっては、固定子巻線から発生した磁束が永久磁石を減磁させる方向に作用する場合がある。つまり、PMモータの巻線に流れる電流値によっては、PMモータ内の永久磁石が非可逆減磁することがあり、これによってPMモータは所望の特性を発揮できなくなる。
すなわち、交流電機システム全体の安全を担保するために、本発明を適用してシステムが安全に停止した後に、システムを再度運転する必要が生じる場合がある。そのような場合には、上述したような方法により、永久磁石が非可逆減磁しないようにモータを設計すればよい。
すなわち、非可逆減磁することにより、非可逆減磁させない場合に対して、一般に永久磁石の量を減らせたり、永久磁石のグレードを下げたりすることが可能であるため、PMモータの低コスト化が可能である。また、非可逆減磁によって誘導起電力が低下するため、PMモータからインバータ側へ流入する電磁エネルギーが減少し、変換器移行期間bにおいて流れる電流が減少するので、PMモータやインバータの発熱を抑えることができる。
上述した各実施形態の上位概念に相当する技術思想は、以下のとおりである。
すなわち、変換器移行期間bにおいて、インバータ11等の電力変換器の操作によって交流電動機21等の交流電機から電力変換器へのエネルギーの流入を防止または抑制し、かつ、交流電機を駆動する力学的動力源のエネルギーを消費させて電磁エネルギーが安全なレベルまで減衰するのを待たずに、換言すれば、交流電機が安全な速度レベルまで減速するのを待たずに、電力変換器を安全に停止させることである。
よって、本発明によれば、前述した変換器移行期間bにおいて電力変換器のスイッチング素子を制御するタイミングを適切に操作することにより、交流電機を長期間にわたって短絡させずに、言い換えれば交流電機が安全なレベルまで減速するのを待たずに、システムを安全に停止させることができる。
しかし、本発明は、過電流検出時に直ちに遮断動作に移行しない点で「過電流トリップ」とは相容れない。従って、本発明を適用する場合には、過電流トリップ機能を停止させる必要がある。一つの方法としては、交流電機の回転速度および電流が所定値よりも小さい場合には交流電機から発生する電磁エネルギーも相対的に小さいため、過電流トリップ機能を有効にしておき、回転速度および電流が所定値を上回った場合に本発明を適用することが考えられる。
図7において、201は抵抗、202はコンデンサ、203は波形整形回路、204はNOTゲート、205,206はORゲート、207はゼロラッチ回路、208,211はANDゲート、209は前述した電流情報取得手段としての電流検出器、210はコンパレータ、212,213はアンプである。また、前述したように、111は例えばインバータ11のU相の上アームのスイッチング素子、112は下アームのスイッチング素子であり、111D,112Dはこれらのスイッチング素子111,112にそれぞれ逆並列に接続された還流ダイオードである。
前述のごとく、交流電動機21の電流を検出せずに推定演算によって電流がゼロ近傍になる時点を取得する場合には、電流情報取得手段として、電流検出器209による検出値の代わりに、演算手段により求めた電流推定値がコンパレータに入力されることになる。
緊急停止信号ESが「1」である間は、インバータ11のU相の上下アームのスイッチング素子111,112は、それぞれ制御用スイッチング信号S1,S2によってオン、オフされる。いま、緊急停止信号ESが「0」になると、制御用スイッチング信号S1,S2はANDゲート211,208の作用によって無効となる。これにより、上アームのスイッチング素子111がオフ状態になる一方、下アームのスイッチング素子112はオン状態になると同時に、電流iの極性に応じて出力信号を切り替えるコンパレータ210の入力が有効化される。このコンパレータ210は、電流iが正の場合には「0」を、電流iが負の場合には「1」を出力し、その出力はORゲート206を介してゼロラッチ回路207に入力される。
ゼロラッチ回路207の出力信号は、下アームのスイッチング素子112の制御信号を生成するANDゲート208の入力信号となっており、この入力信号が「0」になることによってスイッチング素子112はオフ状態となる。
図4の構成において、請求項5に記載したように、変換器移行期間bに三相のうち最初の一相(ここではA相と呼ぶ)の下アームのスイッチング素子がオフ状態になった場合、残りの二相(B相,C相と呼ぶ)が短絡状態にある場合には、更に次の現象が生じ得る。
具体的には、A相の電流が一旦ゼロになった後、通流を再開したことを検知し、あるいは再び通流可能状態にあると判定された場合には、図9に示すように各スイッチング素子の状態を変化させればよい。なお、図9では、オン状態のスイッチング素子を○印により囲んである。
すなわち、図9に示す動作により、交流電動機21における電流通流状態を維持したまま、電流の短絡ルートを下アームのスイッチング素子群から上アームのスイッチング素子群に切り替えたことになる。
上記の操作により、やがてB相,C相を流れる電流はゼロに至り、その時点で先にオン状態とした上アームのスイッチング素子をオフ状態にすることによって、インバータ11の全てのスイッチング素子がオフ状態となり、電流がゼロの状態で変換器停止期間cに移ることが可能となる。
変換器移行期間b1において、図8に示したW相の電流がゼロとなった後、再び流れ始めた期間b2で、上述した上下アームのスイッチング素子群の切り替え操作を行うことにより、U相,V相(B相,C相)の通流状態を維持しつつ、W相の電流が上アームの還流ダイオードによって遮断されている。
その後、U相,W相の電流もゼロとなり、期間b2が終了して変換器停止期間cに至る。このときの直流電圧部の電圧の上昇は極めて小さく、この例では、460[V]→463[V]となっており、実質的には電圧の上昇が解消されていると言える。
また、請求項13,14の制御方法を、請求項8のようにバッテリー41等の直流電源を有する交流電機システムに適用することも可能である。
11:インバータ
20:交流電機
21:交流電動機
30:リアクタンス成分
40:電源
50:主コンデンサ
111〜116:半導体スイッチング素子
111D,112D:還流ダイオード
201:抵抗
202:コンデンサ
203:波形整形回路
204:NOTゲート
205,206:ORゲート
207:ゼロラッチ回路
208,211:ANDゲート
209:電流検出器
210:コンパレータ
212,213:アンプ
すなわち、図14に示したような三相の交流電機システムにおいて、インバータ11の運転を三相同時に停止させると、停止時の各相の電力が等しい条件であれば、どの時点でインバータ11を停止しても交流電動機21等のリアクタンス成分は必ず電磁エネルギーを有し、この電磁エネルギーがインバータ11側に流入して従来の問題を生じる。
また、直流電圧部にバッテリー41が接続されていない場合でも、そもそも停止時のモータ端子電圧が高いため、直流電圧部に流入する電流が大きくなり易く、この電流を抑制する必要性は高い。
Claims (14)
- 交流電機と、
前記交流電機の複数の電気端子に接続され、前記交流電機との間で電力を授受する電力変換器と、
前記電力変換器を構成する半導体スイッチング素子を制御する制御装置と、
を有する交流電機システムにおいて、
前記交流電機の各電気端子を流れる電流がゼロ近傍である時点を取得する電流情報取得手段を備え、
前記電力変換器と前記交流電機との間で電力を授受している変換器動作期間から電力の授受を行わない変換器停止期間へ移行するための変換器移行期間において、
前記電流情報取得手段が前記時点を取得した場合に、前記制御装置により、前記電気端子を開放状態とし、または、前記電力変換器の内部の整流素子を介して当該電気端子を導通可能な状態にする操作を、全ての前記電気端子について行うことを特徴とする交流電機システム。 - 交流電機と、
前記交流電機の複数の電気端子に接続され、前記交流電機との間で電力を授受する電力変換器と、
前記電力変換器を構成する半導体スイッチング素子を制御する制御装置と、
を有する交流電機システムにおいて、
前記電力変換器と前記交流電機との間で電力を授受している変換器動作期間から、電力の授受を行わない変換器停止期間へ移行するための変換器移行期間に、
前記交流電機の各電気端子を流れる電流がゼロ近傍となった時点で当該電気端子を開放し、または、前記電力変換器の内部の整流素子を介して当該電気端子を導通可能な状態にする操作を、全ての前記電気端子について行うことを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項2に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記変換器移行期間における前記電力変換器の操作として、前記交流電機の複数の電気端子同士を短絡する操作により、前記電気端子を流れる電流がゼロ近傍となる状態を生成することを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項3に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記電力変換器がフルブリッジ型のインバータであり、
前記電気端子同士の短絡操作を、前記インバータを構成する半導体スイッチング素子と、当該スイッチング素子に逆並列に接続された還流ダイオードとにより電流を還流させて行うことを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項4に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記変換器移行期間では、
各電気端子を流れる電流の方向が前記電力変換器から前記交流電機に向かう正方向である場合、または、各電気端子を流れる電流の大きさが所定の負値からゼロまでの範囲にある場合には、当該電気端子に接続されている前記電力変換器の上下アームの半導体スイッチング素子をオフ状態にしてその状態を維持し、
各電気端子を流れる電流の大きさが前記所定の負値以下である場合には、当該電気端子に接続されている上アームのスイッチング素子をオフ状態にし、かつ、下アームのスイッチング素子をオン状態にして、
当該電気端子を流れる電流がゼロ近傍となった時点で下アームのスイッチング素子をオフ状態にする操作を行うことを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項4に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記変換器移行期間では、
各電気端子を流れる電流の方向が前記電力変換器から前記交流電機に向かう正方向である場合、または、各電気端子を流れる電流の大きさが所定の負値からゼロまでの範囲にある場合には、当該電気端子に接続されている前記電力変換器の上アームの半導体スイッチング素子をオン状態、下アームの半導体スイッチング素子をオフ状態にし、
各電気端子を流れる電流の大きさが前記所定の負値以下である場合には、当該電気端子に接続されている前記電力変換器の上下アームの半導体スイッチング素子をオフ状態にしてその状態を維持し、
当該電気端子を流れる電流がゼロ近傍となった時点で上アームのスイッチング素子をオフ状態にする操作を行うことを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項5または請求項6に記載した交流電機システムの制御方法において、
各スイッチング素子の操作を、前記変換器移行期間の開始時点におけるシステムの状態からその後のシステムの挙動を推定して実現することを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項4〜6の何れか1項に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記電力変換器の直流電圧部には、直流スイッチを介して直流電源が接続され、
前記変換器移行期間では、
前記交流電機の複数の電気端子同士が短絡されている間に前記直流スイッチがオフされ、
その後、前記複数の電気端子につき、各電気端子を通って流れる電流を順にゼロ近傍に減少させ、かつ、その時点で当該電気端子を開放し、または、前記電力変換器の内部の整流素子を介して当該電気端子を導通可能な状態にする操作を、全ての前記電気端子について行うことを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項2に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記交流電機が永久磁石型同期機であることを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項9に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記電力変換器がフルブリッジ型のインバータであり、
前記永久磁石型同期機の誘導起電力の線間ピーク値が、前記インバータの直流電圧部の電圧よりも高くなる期間が存在することを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項9または10に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記永久磁石型同期機は、当該同期機の電気端子の短絡によって流れる電流により、内部の永久磁石が非可逆減磁しないように構成されていることを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 交流電機と、
前記交流電機の複数の電気端子に接続され、前記交流電機との間で電力を授受する電力変換器と、
前記電力変換器を構成する半導体スイッチング素子を制御する制御装置と、
を有する交流電機システムにおいて、
前記電力変換器と前記交流電機との間で電力を授受している変換器動作期間から、電力の授受を行わない変換器停止期間へ移行するための変換器移行期間に、
前記スイッチング素子を制御することにより、前記交流電機から前記電力変換器にエネ
ルギーが供給されるのを防止または抑制し、かつ、前記交流電機を駆動する力学的動力源のエネルギーを消費させて当該エネルギーを安全なレベルまで低減させる以前に、
前記変換器停止期間に移行することを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項5に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記変換器移行期間に、
前記電力変換器の上下アーム双方のスイッチング素子がオフ状態になっている前記電気端子について、電流が一旦ゼロになった後に通流を再開したことを検知し、あるいは再び通流可能な状態にある場合に、
当該電気端子ではないその他の電気端子につき、下アームのスイッチング素子をオフ状態にすると共に、流れる電流が正の場合には上アームのスイッチング素子をオン状態とし、流れる電流がゼロ近傍になった時点で上アームのスイッチング素子をオフ状態とする操作を行うことを特徴とする交流電機システムの制御方法。 - 請求項5に記載した交流電機システムの制御方法において、
前記変換器移行期間に、
前記電力変換器の上下アーム双方のスイッチング素子がオフ状態になっている前記電気端子について、電流が一旦ゼロになった後に通流を再開したことを検知し、あるいは再び通流可能な状態にある場合に、
当該電気端子ではないその他の電気端子につき、上アームのスイッチング素子をオフ状態にすると共に、流れる電流が負の場合には下アームのスイッチング素子をオン状態とし、流れる電流がゼロ近傍になった時点で下アームのスイッチング素子をオフ状態とする操作を行うことを特徴とする交流電機システムの制御方法。
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