JPWO2013141401A1 - 皿ばね - Google Patents

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Abstract

【課題】配置スペースの長方形に対応することができ、非線形の荷重特性を得ることができるのはもちろんのこと、長半径部側湾曲部と短半径部側湾曲部との応力差を低減することができる楕円形の皿ばねを提供する。【解決手段】楕円皿ばね100は、外周が楕円形をなす皿形状の本体110を備えている。本体110の中央部には孔部110Aが形成されている。孔部110Aの形状としては、たとえば円形であっても楕円形であってもよく、種々の変形が可能である。本体110は、長半径部111と短半径部112を有している。長半径部111の板幅aは、短半径部112の板幅bよりも大きく設定されている(すなわち、a>b)。【選択図】図1

Description

本発明は、押圧手段や衝撃緩衝手段等の各種用途に使用される皿ばねに係り、特に、皿ばねの本体の形状の改良に関する。
皿ばねは、皿形状(略円錐形状)の本体を備え、本体は、中央部に孔部を有してリング状をなしている。皿ばねは、車両や、産業用機械、家電等の分野において押圧手段や衝撃緩衝手段等の各種用途に使用されている。たとえばハイブリッド自動車や電気自動車の変換器(コンバータおよびインバータ)では、半導体素子をヒートシンクに押さえ付けるための押圧手段として皿ばねが用いられている。車両用駆動装置では、クラッチ機構のクラッチ締結時の衝撃緩衝手段として皿ばねが用いられている(たとえば特許文献1,2)。
実公平4−38127 特許第4065178
しかしながら、皿ばねを半導体素子用の押圧手段として用いる場合、変換器では、通常、複数の半導体素子が直線状に並んで配列されており、押圧手段の設置スペースの形状は長方形である。しかしながら、たとえば図7(A)に示すように皿ばね1を1個用いる場合、円形の皿ばね1の外径を設置スペースSの長方形の短辺に対応させる必要があるが、この場合、設置スペースSの長方形の長辺側では、皿ばね1による押圧が不可能なデッドスペースが生じてしまう。その結果、半導体素子毎に皿ばね1を設ける必要があるから、たとえば図7(B)に示すように複数の皿ばね1が必要になる。そのため、部品点数およびコストの増大を招く。
そこで、設置スペースの長方形に対応する形状をなす板ばねを用いることが考えられる。ところが、板ばねの荷重特性は、図8(A)に示すように非線形特性を示す皿ばねの荷重特性とは異なり、図8(B)に示す線形特性となるため、半導体素子同士の間の高さのバラツキや熱膨張により高さが少しでも変化すると、発生荷重が大きく変動する。そこで、部品点数およびコストの削減を図るとともに、非線形の荷重特性を得るために、皿ばねの外周を楕円形にすることが考えられる。
他方、皿ばねをクラッチ機構用の衝撃緩衝手段として用いる特許文献1,2は、本体の外周を楕円形とすることを提案している。たとえば特許文献2では、皿ばねをクラッチ機構の衝撃緩衝手段として用いており、クラッチ機構への皿ばねの組付性の向上を図るために、皿ばねの本体および孔部を楕円形としている。この場合、皿ばねの本体の全てにおいて板幅を等しく設定している。クラッチ機構では、ピストンにおける摩擦板側の対向面に環状溝部を設け、その環状溝部に皿ばねの孔部の内周部を係合させている。ところが、楕円形の皿ばねでは、外周部において長半径部側湾曲部の応力が短半径部側湾曲部のものよりも高くなり、設計時に長半径部側湾曲部の応力を考慮する必要があるため、設計に制約が生じる。なお、本願では、長半径部側湾曲部は、曲率半径の小さな長半径部側の部分であって、楕円形の外周部における長軸から所定角度の範囲内の部分、短半径部側湾曲部は、長半径部側湾曲部よりも曲率半径の大きな短半径部側の部分であって、楕円形の外周部における長半径部側湾曲部以外の部分である。
したがって、本発明は、配置スペースの長方形に対応することができ、非線形の荷重特性を得ることができるのはもちろんのこと、長半径部側湾曲部と短半径部側湾曲部との応力差を低減することができる楕円形の皿ばねを提供することを目的としている。
本発明の皿ばねは、孔部を有するとともに、外周が楕円形をなす皿形状の本体を備え、本体の長半径部の板幅が本体の短半径部の板幅よりも大きく設定されていることを特徴とする。なお、本願では、長半径部および短半径部を次のように定義している。楕円形の本体における最大外径(長径)を有している部分は長軸部であり、楕円形の本体における最小外径(短径)を有している部分は短軸部であり、長軸部および短軸部のそれぞれは、楕円形の中心に関して対称である。長半径部は、長軸部を楕円形の中心で分割したそれぞれの部分であり、短半径部は、短軸部を楕円形の中心で分割したそれぞれの部分である。板幅について、長半径部の板幅は、長軸部の外径(長径)と内径との差の1/2であり、短半径部の板幅は、短軸部の外径(短径)と内径との差の1/2である。
本発明の皿ばねでは、皿形状の本体を備えているから、外周が円形をなす従来の皿ばねと同様、非線形の荷重特性を得ることができる。しかも、本体の外周が楕円形をなし、長径および短径を適宜設定することができるから、配置スペースの長方形に対応することができる。本体の外周が楕円形をなす皿ばねでは、長半径部と短半径部の板幅を等しく設定した場合、長半径部側湾曲部の発生応力は、長半径部側湾曲部よりも曲率半径が大きな短半径部側湾曲部の発生応力よりも高くなるが、本発明の皿ばねでは、長半径部の板幅を短半径部の板幅よりも大きく設定しているから、長半径部側湾曲部と短半径部側湾曲部との応力差を低減することができる。その結果、本体の周方向において発生応力の均一化を図ることができる。したがって、従来の楕円形の皿ばねとは異なり、曲率半径の小さな長半径部側湾曲部での応力に制限されずにストロークの適用範囲(荷重)を大きく設定することが可能となる。
本発明の皿ばねは、種々の構成を用いることができる。たとえば 長軸部の内径が短軸部の内径以上に設定されている態様を用いることができる。この態様では、長半径部側湾曲部と短半径部側湾曲部との応力差を効果的に低減することができ、本体の周方向において発生応力の均一化を効果的に図ることができる。
本発明の皿ばねによれば、配置スペースの長方形に対応することができ、非線形の荷重特性を得ることができるのはもちろんのこと、長半径部側湾曲部と短半径部側湾曲部との応力差を低減することができる等の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る皿ばねの構成を表し、(A)は中央図が皿ばねの上面図、下側図が皿ばねの長軸部の軸線方向断面図、右側図が皿ばねの短軸部の軸線方向断面図、(B)は皿ばねの一部の上面図である。 (A),(B)は、本発明の一実施形態に係る皿ばねの変形例の構成を表す上面図である。 配置スペース上に設けられた本発明例の楕円皿ばねの上面図である。 本発明例の楕円皿ばねと比較例の皿ばねの荷重特性を表すグラフである。 実施例の楕円皿ばねでの各サイズを説明するための図である。 実施例において長径を変化させたときの角度と発生応力の関係を表すグラフである。 (A),(B)は配置スペースに設けられた従来例の皿ばねの上面図である。 (A)は皿ばねの荷重特性を表すグラフ、(B)は板ばねの荷重特性を表すグラフである。

以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1,2は、本発明の一実施形態に係る楕円皿ばねの構成を表す図である。なお、図1(B)では、XY座標系を設定し、楕円の中心をXY座標系の原点に設定し、楕円形の長径を有している部分(長軸部)をX軸方向に設定し、楕円形の短径を有している部分(短軸部)をY軸方向に設定している。楕円皿ばね100は、X軸およびY軸のそれぞれに関して対称な形状をなすから、図1(B)では、図示の便宜上、XY座標系の第1象限のみを図示している。
楕円皿ばね100は、押圧手段や衝撃緩衝手段等の各種用途に使用される。楕円皿ばね100(皿ばね)は、たとえば図1(A),(B)に示すように皿形状(略円錐形状)をなすとともに外周が楕円形である本体110を備えている。本体110の中央部には孔部110Aが形成されている。本体110は、長半径部111と短半径部112を有している。長半径部111は、長軸部を座標系の原点0(楕円形の中心)で分割したX軸プラス方向部分およびX軸マイナス方向部分である。短半径部112は、短軸部を座標系の原点0(楕円形の中心)で分割したY軸プラス方向部分およびY軸マイナス方向部分である。
長半径部111の板幅aは、短半径部112の板幅bよりも大きく設定されている(すなわち、a>b)。具体的には、長半径部111の板幅aは、長軸部の外径Dao(長径)と内径Daiとの差の1/2である(すなわち、a=(Dao−Dai)/2)。短半径部112の板幅bは、短軸部の外径Dbo(短径)と内径Dbiとの差の1/2である(すなわち、b=(Dbo−Dbi)/2)。なお、本体の所定部位の板幅は、外径(楕円形の中心を通る直線と楕円形の外周部との交点同士の間隔)と内径(楕円形の中心を通る直線と楕円形の内周部との交点同士の間隔)との差の1/2である。
たとえば図1(B)に示す長半径部側湾曲部111Aは、長半径部111側の湾曲部であって、本体110の外周部におけるX軸から所定角度の範囲内(たとえばX軸を基準として0〜α(°)の範囲内)の部分である。たとえば図1(B)に示す短半径部側湾曲部112Aは、短半径部112側の湾曲部であって、本体110の外周部における長半径部側湾曲部111A以外の部分(たとえばY軸を基準として0〜β(°)の範囲内の部分、ただしα+β=90(°))である。
本体110では、上記のように長半径部111の板幅aが短半径部112の板幅bよりも大きく設定され、たとえば板幅が長半径部111から短半径部112に向かうに従って小さくなるように設定されている。本体110では、たとえば高さはH、板厚はTに設定されている。高さHは、用途に応じて適宜設定することができる。
孔部110Aの形状としては、種々の形状を用いることができる。たとえば図1に示す楕円皿ばね100では、孔部110Aが円形をなし、長軸部の内径Daiと短軸部の内径Dbiとが等しく設定されている(すなわち、Dai=Dbi)。
たとえば図2(A),(B)に示す楕円皿ばね100では、孔部110Aが楕円形をなしている。図2(A)に示す孔部110Aでは、たとえば長軸部の内径Daiが短軸部の内径Dbiよりも小さく設定されている(すなわち、Dai<Dbi)。図2(B)に示す孔部110Aでは、たとえば長軸部の内径Daiが短軸部の内径Dbiよりも大きく設定されている(すなわち、Dai>Dbi)。
長軸部の内径Daiは、短軸部の内径Dbi以上に設定されていること(すなわち、Dai≧Dbi)が好適である。また、楕円皿ばね100をクラッチ機構に適用する場合、ピストンの対向面の環状溝部に孔部110Aの内周部を係合させるとき、孔部110Aの形状を楕円形に設定することが好適である。
楕円皿ばね100の製造方法について説明する。まず、たとえばプレス加工によって、板厚Tの板材から、中央部に孔部を有する楕円形のブランク(楕円ブランク)を打ち抜く。次いで、たとえば楕円ブランクに曲げ成形を行うことにより、楕円ブランクを皿形状にする。続いて、必要に応じて皿形状の楕円ブランクに熱処理を行うことにより、外周が楕円形をなす皿形状の楕円皿ばね100(板厚T、高さH)が得られる。なお、ブランクへの曲げ成形および熱処理は同時に行ってもよい。なお、楕円皿ばね100の製造方法は、種々の変形が可能であり、たとえば本発明の範囲内で公知の皿ばねの製造手法を用いることができる。
本実施形態では、皿形状の本体110を備えているから、外周が円形をなす従来の皿ばねと同様、非線形の荷重特性を得ることができる。また、本体110の外周が楕円形をなし、長径および短径を適宜設定することができるから、配置スペースの長方形に対応することができる。
これについて実施例を用いて具体的に説明する。実施例では、長方形の配置スペースSに設けるばねとして、図3に示す本発明例の楕円皿ばね100を用い、図7(B)に示す比較例の3枚の皿ばね1を用いた。本発明例の楕円皿ばね100では、長径を60mmに設定し、短径を23.5mmに設定し、長半径部の板幅aを短半径部の板幅bよりも大きく設定した。比較例の各皿ばね1では、外径を23.5mmに設定し、内径を16mmに設定した。本発明例の楕円皿ばね100および比較例の3枚の皿ばね1について荷重特性を調べたところ、図4に示すように、本発明例の楕円皿ばね100は、比較例の3枚の皿ばね1と略同等の特性を示した。
このように本実施形態の楕円皿ばね100は、非線形の荷重特性を得ることができるから、半導体素子用の押圧手段として用いる場合、半導体素子同士の間の高さバラツキや熱膨張により高さが変化しても、発生荷重の変動を抑制することができる。この場合、1枚の楕円皿ばね100により配置スペースSの長方形に対応することができるから、部品点数およびコストの削減を図ることができる。
しかも、楕円皿ばね100では、長半径部111の板幅aを短半径部112の板幅bよりも大きく設定しているから、長半径部側湾曲部111Aと短半径部側湾曲部112Aとの応力差を低減することができ、その結果、本体110の周方向において発生応力の均一化を図ることができる。
これについて実施例を用いて具体的に説明する。実施例では、図5に示す楕円皿ばねについて、長軸部の外径Dao(長径)、短軸部の外径Dbo(短径)、および、短軸部の内径Dbiを一定にした状態で、長軸部の内径Daiを変化させ、外周縁部の発生応力を調べた。この場合、角度θが0〜90°の範囲内において等間隔で21点の発生応力データを取得した。
本発明例11,12および比較例11の楕円皿ばねの全てについて、長軸部の外径Daoを60mm、短軸部の外径Dboを50mm、短軸部の内径Dbiを40mmに設定した。短半径部の板幅bは5mmで一定とした。本発明例11の楕円皿ばねの長軸部の内径Daiを49.5mm(すなわち、長半径部の板幅aを5.25mm)に設定した。本発明例12の楕円皿ばねの長軸部の内径Daiを49mm(すなわち、長半径部の板幅aを5.5mm)、比較例11の楕円皿ばねの長軸部の内径Daiを50mm(すなわち、長半径部の板幅aを5mm)に設定した。
図6は、本発明例11,12および比較例11の楕円皿ばねについて得られた角度θと発生応力との関係を表すグラフである。図6では、角度0°が長半径部側湾曲部での長軸位置、角度90°が短半径部側湾曲部での短軸位置である。
円形の皿ばねでは、通常、本体の周方向において発生応力は均一となるが、図6から判るように、長半径部の板幅aと短半径部の板幅bとを等しく設定した本発明範囲外の比較例11では、長半径部側湾曲部の発生応力が短半径部側湾曲部のものよりも高くなり、応力差が大きかった。これに対して長半径部の板幅aを短半径部の板幅bよりも大きく設定するに従って、長半径部側湾曲部の発生応力が低くなり、応力差が小さくなった。このように本発明範囲内の本発明例11,12では、本発明範囲外の比較例11と比較して、長半径部側湾曲部と短半径部側湾曲部との応力差を低減することができることを確認した。
以上のように本実施形態の楕円皿ばね100では、長半径部側湾曲部111Aと短半径部側湾曲部112Aとの応力差を低減することができるから、本体110の周方向において発生応力の均一化を図ることができる。したがって、従来の楕円形の皿ばねとは異なり、曲率半径の小さな長半径部側湾曲部111Aの応力に制限されずにストロークの適用範囲(荷重)を大きく設定することが可能となる。
特に、たとえば長軸部の内径Daiを短軸部の内径Dbi以上に設定することにより、長半径部側湾曲部111Aと短半径部側湾曲部112Aとの応力差を効果的に低減することができ、本体110の周方向において発生応力の均一化を効果的に図ることができる。
100…楕円皿ばね(皿ばね)、110…本体、110A…孔部、111…長半径部、112…短半径部、a…長半径部の板幅、b…短半径部の板幅、111A…長半径部側湾曲部、112A…短半径部側湾曲部、Dai…長軸部の内径、Dbi…短軸部の内径

Claims (2)

  1. 孔部を有するとともに、外周が楕円形をなす皿形状の本体を備え、
    前記本体の長半径部の板幅が前記本体の短半径部の板幅よりも大きく設定されていることを特徴とする皿ばね。
  2. 長軸部の内径が短軸部の内径以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の皿ばね。
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