JPWO2014136878A1 - 締付構造および締付方法 - Google Patents

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Abstract

装置内に所定荷重で部材を組み付ける場合に従来の皿ばねやリングを用いたときに生じる不具合の発生を抑制することができる締付構造および締付方法を提供する。締付構造100では、ナット103は、たとえばその締付によって皿ばね110を介して、ディスク102をハブ101の支持部101Bに対して押圧している。皿ばね110は、ディスク102に所定荷重を付与している。皿ばね110の本体111の凹面113の外周端部側には、傾斜面113Aに対して傾斜している平坦面113Bが形成されている。平坦面113Bは、衝撃発生時にディスク102に面接触可能である。皿ばね110のたわみ量は、図2(B)に示すように、ナット103の締付完了時に皿ばね110の凹面113の支持点Pが平坦面113Bの内周側端部113Cあるいはそれよりも内周側に位置するように設定されている。

Description

本発明は、クランプ部材を用いて所定荷重で部材を装置内に組み付けるための締付構造および締付方法に係り、特に、クランプ部材として皿ばねを用いた締付技術の改良に関する。
各種装置では、装置内に所定荷重で部材を組み付けるためにクランプ部材を用いている。クランプ部材としては、たとえば皿ばねやリング(樹脂製リングあるいは金属製リング)等が使用されている。たとえばハードディスク装置(HDD)では、装置内にディスクを組み付ける際、クランプ部材を用いて、一定荷重でディスクをハブに対して押圧して保持している(たとえば特許文献1)。
特開2006−65959号公報
ハードディスク装置(HDD)では、衝撃発生時のディスク変形を抑制するために、ディスクとハブとの接触面積を大きく設定することが望ましい。また、一定荷重でディスクを押圧して保持するために、クランプ部材は、荷重特性においてたわみ量に対する荷重変化の小さな領域を有することが望ましい。しかしながら、従来の皿ばねやリングでは、上記要求特性を両立することが困難であった。
たとえば図8(A)に示すようにクランプ部材として皿ばね11を用いる場合、皿ばね11はたとえば図8(B)に示すようにたわみ量に対する荷重変化の小さな領域(たとえば略フラット領域)を有する非線形な荷重特性を示すから、荷重特性においてたわみ量に対する荷重変化の小さな領域でディスク2をハブ1に対して保持することができる。これにより、一定荷重でのディスク2の保持が容易となる。また、その他の弾性部材を用いる場合と比較して、省スペースで要求される荷重を満たすことができる。ところが、皿ばね11の外周下端部とディスク2との接触は、線接触となるため、その接触面積は小さくなってしまう。なお、符号3は、固定部材である。符号Oは回転中心軸線(一点鎖線)である。
たとえば図9(A)に示すようにクランプ部材としてリング12を用いる場合、リング12とディスク2との接触は面接触となるため、その接触面積は大きくなる。ところが、リング12の荷重特性は、たとえば図9(B)に示すように線形性を示し、そのばね定数が高くなる。ばね定数が高い場合、組付時には、図9(B)に示すようにたわみ量の小さな変動に対して荷重変動が大きくなってしまう。また、ばね定数が高い場合、組付後には、たとえば経時変化で固定部材3による固定具合が弱くなり、ディスク2と固定部材3との間の間隔が増大し、たわみ量が小さくなるとき、図9(B)に示すようにたわみ量の小さな減少に対して荷重変動が大きくなってしまう。このようなリング12のようにばね定数が高い場合では、一定荷重でディスク2を保持することが困難であった。
従って、本発明は、装置内に所定荷重で部材を組み付ける構造において、従来の皿ばねやリングを用いた場合に生じる上記不具合の発生を抑制することができる技術を提供することを目的としている。
本発明者は、締付部材と被押圧部材(たとえばハードディスク装置の場合にはディスク)との間に被押圧部材を押圧するためのクランプ部材を介在させて、締付部材の締付によって被押圧部材を支持部材に対して押圧して保持する締付技術(締付方法および締付構造)について鋭意検討を行った。具体的には、そのような締付技術において、クランプ部材として一定荷重で被押圧部材(たとえばディスク)を押圧して保持することが可能な皿ばねを用いた形態について、従来の皿ばねの上記不具合発生の抑制を鋭意検討した。その結果、皿ばねの凹面の外周側端部の形状に改良を加えるだけでなく、組付完了時の皿ばねの状態を工夫することにより、従来の皿ばねの上記不具合発生の抑制を図ることができるとの知見を得、本発明の完成に至った。
本発明の締付構造は、締付部材と被押圧部材との間に被押圧部材を押圧するためのクランプ部材を介在させて、締付部材の締付によって被押圧部材を支持部材に対して押圧して保持する締付構造であって、クランプ部材として、皿ばねを用い、皿ばねは、凹面の外周端部側に形成されるとともに、凹面の内周側の一面に対して傾斜している平坦面を有し、皿ばねは、凹面が被押圧部材に対向するとともに、凸面が締付部材に対向するようにして配置され、皿ばねのたわみ量は、凹面の支持点が平坦面の内周側端部あるいはそれよりも内周側に位置するように設定されていることを特徴とする。
本発明の締付構造では、クランプ部材としての皿ばねは、凹面が被押圧部材に対向するとともに、凸面が締付部材に対向するようにして配置されている。この場合、衝撃発生時の変形が抑制されるのが望ましい被押圧部材側に対向する皿ばねの凹面の外周端部側には、凹面の内周側の一面に対して傾斜している平坦面が形成されている。このような平坦面は、衝撃発生時に被押圧部材に面接触することができるから、皿ばねと被押圧部材との接触面積が広くなる。その結果、衝撃発生時の被押圧部材の変形の抑制を図ることができる。
ここで本発明では、皿ばねの平坦面と被押圧部材との面接触は、締付部材の締付完了時に実現していてもしていなくてもよく、衝撃発生時に実現可能であることが重要である。皿ばねの荷重特性(荷重/たわみ量の特性曲線)では、衝撃発生時に上記面接触が実現可能な領域がたわみ量の所定範囲に存在しているから、締付部材の締付完了時には、たわみ量について厳密な管理は不要である。
また、荷重特性においてたわみ量に対する荷重変化の小さな領域を有する非線形な荷重特性を示す皿ばねをクランプ部材として用いているから、荷重特性においてたわみ量に対する荷重変化の小さな領域で被押圧部材を支持部材に対して押圧して保持することができる。これにより、一定荷重での被押圧部材の保持が容易となる。なお、荷重特性では、たわみ量に対する荷重変化が0あるいは略0となる略フラット領域を用いることが最も望ましいが、必ずしも略フラット領域で用いる必要はなく、その周辺の領域を使う場合にも、従来のリングの場合と比較して、十分な効果が得られる。
ここで本発明では、締付部材の締付完了後の装置の使用時に経時変化で締付部材による締付具合が弱くなる傾向があるが、皿ばねのたわみ量は、凹面の支持点が平坦面の内周側端部あるいはそれよりも内周側に位置するように設定されているから、上記面接触が完全に実現されている場合よりも、被押圧部材に不具合が生じない程度に強く締め付けることができる。これにより、上記のように締付具合が弱くなっても、一定荷重での被押圧部材の保持が可能となる。
加えて、締付部材の締付完了時に上記たわみ量に設定すると、その設定たわみ量は、上記荷重の変動量の増大領域内にあるから、トルクレンチで締付部材を締め付ける場合には、トルクレンチによる締付量の制御で上記荷重の変動量を指標として用いることにより、その締付量の制御が容易となる。
本発明の締付構造は、種々の構成を用いることができる。たとえば皿ばねの平坦面は、内周側から外周側に向かうに従って板厚が減少することにより形成されている態様を用いることができる。また、皿ばねの平坦面を、内周側端部とそれと隣接する部位との境界部を折り曲げることにより形成されている態様とすることもできる。この態様では、皿ばねの平坦面を曲げ成形により得ることができ、研磨等を用いる場合と比較して低価格化を図ることができるから、締付構造の低価格を図ることができる。
たとえば皿ばねは、締付部材の頂部を収容するための凹部を有する態様を用いることができる。この態様では、通常の皿ばね形状よりも更に締付構造の更なる省スペース化を図ることができる。たとえば皿ばねは、軸線方向断面において、多段状をなしている態様を用いることができる。この態様では、たとえば支持部材が皿ばねの凹面に対向する場合、皿ばねの形状を支持部材の形状に容易に対応させることができるから、締付構造の省スペース化を図ることができる。
本発明の締付方法は、本発明の締付構造を得るための方法の一形態である。すなわち、本発明の締付方法は、締付部材と被押圧部材との間に被押圧部材を押圧するためのクランプ部材を介在させて、締付部材の締付によって被押圧部材を支持部材に対して押圧して保持する締付方法であって、クランプ部材として、凹面の外周端部側に形成されるとともに、凹面の内周側の一面に対して傾斜している平坦面を有する皿ばねを用い、締付部材の締付開始時に、皿ばねの凹面の平坦面の外周側端部を被押圧部材に当接させ、皿ばねの凸面の内周側端部を締付部材に当接させ、締付部材の締付完了時に、皿ばねのたわみ量を、皿ばねの凹面の支持点が平坦面の内周側端部あるいはそれよりも内周側に位置するように設定することを特徴とする。
本発明の締付方法は、種々の構成を用いることができる。たとえば皿ばねとして、位置決め用孔部を有する皿ばねを用い、支持部材として、位置決め用凹部が形成された支持部材を用い、締付部材の締付前に、位置決め部材を、皿ばねの位置決め用孔部を通じて支持部材の位置決め用凹部に係合させ、締付部材の締付完了後に、位置決め部材を、位置決め用凹部および位置決め用孔部から取り外す態様を用いることができる。この態様では、締付部材の締付時に、締付部材の回転等の動きと連動して皿ばねが被押圧部材に対して相対的に移動することを抑制することができる。これにより、被押圧部材表面の傷付きやコンタミの発生等を抑制することができる。
本発明の締付構造あるいは締付方法によれば、衝撃発生時の被押圧部材の変形の抑制を図ることができ、かつ、荷重特性においてたわみ量に対する荷重変化の小さな領域で被押圧部材を支持部材に対して押圧して保持することができる等の効果を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る締付構造の概略構成の右半分を表す軸線方向断面図である。 本発明の第1実施形態に係る締付構造の一部構成を表し、(A)は締付部材の締付開始時の軸線方向拡大断面図、(B)は締付部材の締付完了時の軸線方向拡大断面図、(C)は装置使用での衝撃発生時の軸線方向拡大断面図である。 図1に示す締付構造の皿ばねの荷重特性の一例を表す図である。 本発明の第2実施形態に係る締付構造の概略構成の右半分を表す軸線方向断面図である。 本発明の第2実施形態に係る締付構造の一部構成を表し、(A)は締付部材の締付開始時の軸線方向拡大断面図、(B)は締付部材の締付完了時の軸線方向拡大断面図、(C)は装置使用での衝撃発生時の軸線方向拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に係る締付構造の変形例の一部構成を表し、締付部材の締付開始時の軸線方向拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る締付構造の変形例の一部構成を表し、締付部材の締付開始時の軸線方向拡大断面図である。 クランプ部材として皿ばねを用いた従来のハードディスク装置の概略構成の右半分を表す軸線方向断面図である。 クランプ部材としてリングを用いた従来のハードディスク装置の概略構成の右半分を表す軸線方向断面図である。
100,200…締付構造、101,201B…ハブ(支持部材)、201A…スペーサ(支持部材)、101B…支持部、102,202A…ディスク(被押圧部材)、103…ナット(締付部材)、110,110A,210,210A…皿ばね、111,211…本体、111A,211A…孔部、112,112P,212,212P…凸面、113,213,213P…凹面、113A,213A…傾斜面(内周側の一面)、113B,213B…平坦面、113C,213C…内周側端部、113D,213D…外周側端部、201C…位置決め用凹部、201D…内周側凹部、203…ボルト(締付部材)、211B…位置決め用孔部、211C…ボルト用凹部(締付部材用凹部)、213E…湾曲面、213F…水平面、P…凹面の支持点。
(1)第1実施形態
(1A)締付構造
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る締付構造の概略構成の右半分を表す軸線方向断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る締付構造の一部構成を表し、(A)は締付部材の締付開始時の軸線方向拡大断面図、(B)は締付部材の締付完了時の軸線方向拡大断面図、(C)は装置使用での衝撃発生時の軸線方向拡大断面図である。なお、図1は、締付構造において皿ばねが被押圧部材であるディスクと面接触している状態を表している。符号Oは、回転中心軸線(一点鎖線)である。方向の記載について、回転中心軸線Oと平行な方向を軸線方向と表記し、回転中心軸線Oの方向に垂直な方向を水平方向と表記している。
第1実施形態では、たとえば締付構造100をハードディスク装置に適用している。締付構造100は、たとえばハブ101(支持部材)を備えている。ハブ101の上部は、たとえば外周部に雄ネジ部101Aを有し、雄ネジ部101Aの下端部には、たとえば水平方向に突出する支持部101Bが形成されている。
ハブ101の支持部101Bの上面には、たとえばディスク102(被押圧部材)が支持されている。ハブ101の雄ネジ部101Aには、たとえばナット103(締付部材)が締め付けられている。ナット103の内周面は、たとえばハブ101の雄ネジ部101Aに螺合する雌ネジ部103Aを有している。ディスク102の上面とナット103の下面との間には、たとえば皿ばね110が配置されている。ナット103は、たとえばその締付によって皿ばね110を介して、ディスク102をハブ101の支持部101Bに対して押圧している。
(1B)皿ばね
皿ばね110は、たとえばディスク102を押圧することにより、ディスク102に所定荷重を付与している。皿ばね110は、たとえば皿形状(略円錐形状)をなす本体111を備えている。本体111の中央部には、たとえば断面円形状をなす孔部111Aが形成され、本体111は、たとえば本体111の上面から見た場合、リング状をなしている。孔部111A内には、ハブ101の雄ネジ部101Aが挿入される。本体111は、たとえば凸面112(上面、表面)および凹面113(下面、裏面)を有している。
具体的には、本体111の凸面112は、たとえば軸線方向断面において、水平方向に対して傾斜している直線状の一面である。本体111の凹面113は、たとえば軸線方向断面において、凸面112と平行な傾斜面113Aを内周端部側に有している。本体111の凹面113の外周端部側には、内周側の傾斜面113Aに対して所定角度で傾斜している平坦面113Bが形成されている。傾斜面113Aと平坦面113Bで形成される角部は、たとえば鈍角である。
平坦面113Bは、たとえば軸線方向断面において、直線状に延在している。平坦面113Bの内周側端部113Cは、傾斜面113Aの外周側端部に接続され、平坦面113Bの外周側端部113Dは、凹面113の外周端部を構成している。平坦面113Bは、たとえば図1,2(C)に示すようにディスク102との面接触が可能な平坦面である。平坦面113Bは、たとえば内周側端部113Cから外周側端部113Dに向かうに従って板厚が減少することにより形成されている。この場合、平坦面113Bは、皿成形を行う前の板状の素材に研磨や切削、プレス加工等を行うことにより形成してもよいし、皿成形を行った後の皿形状の素材に研磨や切削、プレス加工等を行うことにより形成してもよい。
皿ばね110の弾性変形および荷重特性(荷重/たわみ量の特性曲線)について、たとえば図3を参照して説明する。たわみ量は、皿ばね110を押圧していない初期状態(自由状態)の高さと皿ばね110を押圧した状態の高さとの差である。皿ばね110の高さは、軸線方向における凹面113の最下点から凸面112の最上点までの高さである。図3では、装置の使用状態での衝撃発生時に平坦面113Bの全面が相手部材に面接触可能な領域を面接触可能領域と表記し、それ以外の領域を線接触領域と表記している。
たとえば皿ばね110の凸面112の内周端部を上側部材(図1の例では、ナット103)に当接させ、凹面113の平坦面113Bの外周端部113Dを下側部材(図1の例では、ディスク102)に当接させた状態では、平坦面113Bの外周側端部113Dは下側部材と線接触している。この場合、皿ばね110の凹面113の支持点Pは、平坦面113Bの外周側端部113Dである。
上側部材を下側部材に向けて移動させていくと、皿ばね110は軸線方向に押圧され、皿ばね110の本体111は、弾性変形してたわんでいく。図3の符号Sは、皿ばね110の凹面113の支持点Pが外周側端部113Dから内周側端部113Cに移行するときのたわみ量である。図3の矢印Nは、皿ばね110の凹面113の支持点Pが内周側端部113Cあるいはそれよりも内周側(傾斜面113A側)に位置している状態の領域を示している。
皿ばね110の凹面113の支持点Pが外周側端部113Dから内周側端部113Cに移行する間、凹面113の平坦面113Bが下側部材と面接触する。この場合の面接触は、凹面113の平坦面113Bの全面の面接触だけでなく、凹面113の少なくとも一部の面接触も含む。
上側部材を下側部材に向けて引き続き移動させていくと、皿ばね110の本体111は、弾性変形して更にたわんでいき、皿ばね110の凹面113の支持点Pが凹面113の平坦面113Bの内周側端部113Cあるいは傾斜面113A側に移動する。
このような弾性変形を行う皿ばね110の荷重特性は、略階段状の非線形性を示す。具体的には、皿ばね110の凹面113の支持点Pが凹面113の平坦面113Bの外周側端部113Dから内周側端部113Cに移行するまでの間、荷重特性では、たわみ量が大きくなるに従って荷重変化が小さくなり、フラットになっていく。皿ばね110の凹面113の支持点Pが平坦面113Bの内周側端部113Cあるいはそれよりも内周側(傾斜面113A側)に移行すると、たわみ量に対する荷重変化が増大する。このように皿ばね110の荷重特性は、略階段状の非線形性を示す。
(1C)締付方法
締付構造100の組立手順について、おもに図2(A)〜2(C)を参照して説明する。まず、ハブ101の支持部101Bに設けられたディスク102の上面に、皿ばね110を配置する。この場合、皿ばね110の孔部111A内にハブ101の雄ネジ部101Aを挿入する。皿ばね110の凹面113をディスク102の上面に対向させ、凹面113の平坦面113Bの外周側端部113Dがディスク102の上面に当接してディスク102の上面と線接触している。皿ばね110には、荷重が付与されていなく、図3に示す荷重特性において、たわみ量が0である初期状態にある。
次いで、たとえば図2(A)に示すように、ナット103の雌ネジ部103Aをハブ101の雄ネジ部101Aの上端部に螺合させて取り付け、ナット103の締付を開始する。この場合、皿ばね110の凸面112をナット103の下面に対向させ、凸面112の内周端部は、ナット103の下面に当接しており、凹面113の平坦面113Bの外周側端部113Dは、ディスク102の上面と線接触している。皿ばね110の凹面113の支持点Pは、平坦面113Bの外周側端部113Dである。
続いて、ナット103の締付を引き続き行い、皿ばね110を介して、ディスク102をハブ101の支持部101Bに対して押圧する。この場合、荷重特性では、たとえば図3に示すように、たわみ量が大きくなるに従って荷重変化が小さくなっていく。皿ばね110の凹面113の支持点Pが平坦面113Bの内周側端部113Cあるいはそれよりも内周側(傾斜面113A側)に移行すると、たわみ量に対する荷重変化が増大する。
ここで第1実施形態では、皿ばね110のたわみ量は、たとえば図2(B)に示すように、ナット103の締付完了時に皿ばね110の凹面113の支持点Pが平坦面113Bの内周側端部113Cあるいはそれよりも内周側(傾斜面113A側)に位置するように設定されている。この場合、図3の荷重特性では、たわみ量がたわみ量S以上の領域(矢印Nで示される領域)に設定される。これにより、ディスク102は、皿ばね110により所定荷重で保持された締付構造100が得られる。ナット103の締付完了後に、締付構造100の上面にカバー(図示略)を適宜取り付けてもよい。
なお、たとえば図2(B)に示すように皿ばね110の凹面113の支持点Pが平坦面113Bの内周側端部113Cあるいはそれよりも内周側に位置する場合には、平坦面113Bがディスク102の上面から若干浮いている状態となる。荷重特性では、たわみ量に対する荷重変化の小さな領域(たとえば、たわみ量に対する荷重変化が0あるいは略0となる略フラット領域の周辺の領域)を使う場合にも、従来のリングの場合と比較して、十分な効果が得られるから、たわみ量に対する荷重変化の小さな領域を使う場合には不具合は生じない。
このような締付構造100の使用では、締付構造100を備えたハードディスク装置に衝撃が加わったとき、ディスク102が変形する虞がある。しかしながら、ディスク102の上面に近接する皿ばね110の凹面113の外周端部側に平坦面113Bが形成されているから、ディスク102の変形時には、たとえば図2(C)に示すようにディスク102の上面は、皿ばね110の平坦面113Bと面接触することができ、その結果、ディスク102の変形量を抑制することができる。
以上のように第1実施形態では、皿ばね110の平坦面113Bは、衝撃発生時にディスク102に面接触することができるから、皿ばね110とディスク102との接触面積が広くなる。その結果、衝撃発生時のディスク102の変形の抑制を図ることができる。
ここで第1実施形態では、皿ばね110の平坦面113Bとディスク102との面接触は、ナット103の締付完了時に実現していてもしていなくてもよく、衝撃発生時に実現可能であることが重要である。皿ばね110の荷重特性では、衝撃発生時に上記面接触が実現可能な領域がたわみ量の所定範囲に存在しているから、ナット103の締付完了時には、たわみ量について厳密な管理は不要である。
また、荷重特性においてたわみ量に対する荷重変化の小さな領域を有する非線形な荷重特性を示す皿ばね110をクランプ部材として用いているから、荷重特性においてたわみ量に対する荷重変化の小さな領域でディスク102をハブ101の支持部101Bに対して押圧して保持することができる。これにより、一定荷重でのディスク102の保持が容易となる。
ここで第1実施形態では、皿ばね110のたわみ量は、凹面113の支持点Pが平坦面113Bの内周側端部113Cあるいはそれよりも内周側に位置するように設定されているから、ディスク102に不具合が生じない程度に強く締め付けることができる。これにより、たとえばナット103の締付完了後の装置の使用時に経時変化でナット103による締付具合が弱くなったとしても、一定荷重でのディスク102の保持が可能となる。
加えて、ナット103の締付完了時に上記たわみ量に設定すると、その設定たわみ量は、上記荷重の変動量の増大領域内にあるから、トルクレンチでナット103を締め付ける場合には、トルクレンチによる締付量の制御で上記荷重の変動量を指標として用いることにより、その締付量の制御が容易となる。
(2)第2実施形態
(2A)締付構造
図4は、本発明の第2実施形態に係る締付構造の概略構成の右半分を表す軸線方向断面図である。図5は、本発明の第2実施形態に係る締付構造の一部構成を表し、(A)は締付部材の締付開始時の軸線方向拡大断面図、(B)は締付部材の締付完了時の軸線方向拡大断面図、(C)は装置使用での衝撃発生時の軸線方向拡大断面図である。なお、図4は、締付構造において皿ばねが被押圧部材であるディスクと面接触している状態を表している。
本発明の第2実施形態では、たとえば締付構造200をハードディスク装置に適用している。第2実施形態では、ハードディスク装置の態様が第1実施形態のものとは異なるから、締付構造200では、それに対応して皿ばね210が第1実施形態の皿ばね110とは異なっている。
締付構造200は、たとえばスペーサ201Aおよびハブ201B(支持部材)を備えている。スペーサ201Aの上面には、ディスク202A(被押圧部材)が支持されている。スペーサ201Aの内周側側面には、ハブ201Bが設けられている。ハブ201Bの上面には、位置決め用凹部201Cが形成されている。ハブ201Bの上面における皿ばね210の内周端部が配置される部分には、皿ばね210の凹部211Cの形状に対応する内周側凹部201Dが形成されている。ハブ201Bの下端部には、たとえば水平方向に突出する支持部201Eが形成されている。スペーサ201Aの下面とハブ201Bの支持部201Eの上面とにより、ディスク202Bが挟持されている。
ハブ201Bの内周部は、雌ネジ部(図示略)を有している。ハブ201Bの雌ネジ部には、たとえばボルト203(締付部材)が締め付けられる。ボルト203の小径部は、ハブ201Bの雌ネジ部に螺合する雄ネジ部(図示略)を有している。スペーサ201Aおよびハブ201Bの上面には、皿ばね210が配置されている。ボルト203の大径部(頂部)は、たとえば締付によって皿ばね210を介して、ディスク202Aをスペーサ201Aに対して押圧している。
(2B)皿ばね
皿ばね210は、たとえばディスク202Aを押圧することにより、ディスク202Aに所定荷重を付与している。皿ばね210は、たとえば図4に示すように締結部材であるボルト203および支持部材であるスペーサ201Aおよびハブ201Bの上面の形状に対応した形状をなす本体211を有している。本体211の中央部には、たとえば断面円形状をなす孔部211Aが形成され、本体211は、たとえば本体211の上面から見た場合、略リング状をなしている。皿ばね210の孔部211A内にはボルト203の小径部が挿入される。
本体211の内周側端部には、締付完了時にボルト203の大径部が収容されるボルト用凹部211C(締付部材用凹部)が形成されている。本体211には、たとえばハブ201Bの位置決め用凹部201Cに対応する箇所に、位置決め用孔部211Bが形成されている。位置決め用孔部211Bおよび位置決め用凹部201Cは、少なくとも1個形成されていればよい。
本体211は、たとえば凸面212(上面、表面)および凹面213(下面、裏面)を有している。具体的には、本体211の凹面213は、軸線方向断面において、水平方向に対して傾斜している傾斜面213Aを有する。傾斜面213Aは、たとえば軸線方向断面において、湾曲しており、直線状部分を含んでいてもよい。本体211の凹面213の外周端部側には、傾斜面213Aに対して所定角度で傾斜している平坦面213Bが形成されている。平坦面213Bは、たとえば軸線方向断面において、直線状に延在している。平坦面213Bの内周側端部213Cは、傾斜面213Aの外周側端部に接続されている。平坦面213Bは、たとえば図4,5(C)に示すようにディスク202Aとの面接触が可能な平坦面である。
平坦面213Bの外周側端部213Dには、湾曲面213Eが形成されている。湾曲面213Eは、たとえば軸線方向断面において、湾曲しており、直線状部分を含んでいてもよい。湾曲面213Eは、外周側に向かうに従ってディスク202Aから離間し、ディスク202Aとの間隔が大きくなるように設定されている。傾斜面213Aの内周側端部には、水平方向内周側に延在する水平面213Fが形成されている。
凹面213の傾斜面213A、平坦面213B、内周側端部213C、および、外周側端部213Dは、第1実施形態の傾斜面113A、平坦面113B、内周側端部113C、および、外周側端部113Dに対応しており、それら対応部位と同様な機能を有している。これにより、皿ばね210は、荷重特性において非線形性を示し、皿ばね110と略同様な荷重特性を示す領域を有している。
(2C)締付方法
締付構造200の組立手順について、おもに図5(A)〜5(C)を参照して説明する。なお、図5(A)〜5(C)は、第1実施形態の組立手順の説明に用いた図2(A)〜2(C)に対応しており、凹面213の傾斜面213A、平坦面213B、内周側端部213C、および、外周側端部213Dは、上記のように第1実施形態の傾斜面113A、平坦面113B、内周側端部113C、および、外周側端部113Dに対応しており、それら対応部位と同様な機能を有しているから、荷重特性に関する説明は省略している。
まず、スペーサ201Aの下面とハブ201Bの支持部201Eの上面とによってディスク202Bを挟持し、スペーサ201Aの上面にディスク202Aを配置した後、ディスク202Aおよびハブ201Bの上面に、皿ばね210を配置する。この場合、皿ばね210の孔部211A内には、ハブ201Bにおけるボルト203が配置される部分が位置している。皿ばね210の内周側端部(傾斜面213A、平坦面213B、内周側端部213C、および、外周側端部213D、および、湾曲面213Eを含む部分)がディスク202Aの上面に配置され、皿ばね210のそれ以外の内周側部分は、ハブ201Bの上面に配置されている。この場合、皿ばね210は、凹面213の平坦面213Bの外周端部213Dがディスク202Aの上面に当接し、ディスク202Aの上面と線接触している。
次いで、たとえば図5(A)に示すように、ボルト203の雄ネジ部をハブ201Bの雌ネジ部の上端部に螺合させて取り付け、ボルト203の締付を開始する。この場合、皿ばね210の凸面212の内周端部は、ボルト203の下面に当接し、凹面213の平坦面213Bの外周側端部213Dは、ディスク202Aの上面と線接触している。皿ばね210の凹面213の支持点Pは、平坦面213Bの外周側端部213Dである。ボルト203の締付開始前に、位置決め部材(図示略)を、皿ばね210の位置決め用孔部211Bに挿入し、ハブ201Bの位置決め用凹部201Cに係合させることが好適である。
続いて、ボルト203の締付を引き続き行い、皿ばね210を介して、ディスク202Aをスペーサ201Aに対して押圧する。
この場合、皿ばね210のたわみ量は、たとえば図5(B)に示すように、ボルト203の締付完了時に皿ばね210の凹面213の支持点Pが平坦面213Bの内周側端部213Cあるいはそれよりも内周側(傾斜面213A側)に位置するように設定されている。ボルト203の締付完了時には、皿ばね210のボルト用凹部211Cに、ボルト203の大径部が収容される。これにより、ディスク202Aは、皿ばね210により所定荷重で保持された締付構造200が得られる。ボルト203の締付完了後に、位置決め部材を位置決め用凹部201Cおよび位置決め用孔部211Bから取り外し、締付構造200の上面にカバー(図示略)を適宜取り付けてもよい。
第2実施形態では、第1実施形態と同様な効果を得ることができることに加えて、以下の効果を得ることができる。
ボルト203の締付開始前に、位置決め部材を、皿ばね210の位置決め用孔部211Bに挿入し、ハブ201Bの位置決め用凹部201Cに係合させることにより、ボルト203の締付時に、ボルト203の回転等の動きと連動して皿ばね210がディスク202Aに対して相対的に移動することを抑制することができる。これにより、ディスク202A表面の傷付きやコンタミの発生等を抑制することができる。
また、ボルト203の締付完了時には、皿ばね210のボルト用凹部211Cにボルト203の大径部が収容されるから、締付構造200の省スペース化を図ることができる。皿ばね210は、ボルト203、スペーサ201A、および、ハブ201Bの形状に対応した形状をなす本体211を有しているから、締付構造200の更なる省スペース化を図ることができる。
(3)変形例
上記実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態は、各部材の構成や形状等について本発明範囲内で種々の変形が可能である。
たとえば第1実施形態では、平坦面113Bは、内周側端部113Cから外周側端部113Dに向かうに従って板厚が減少することにより形成されている態様を用いたが、平坦面113Bの形成手法は、その態様に限定されるものではない。たとえば図6に示す皿ばね110Aでは、平坦面113Bは、内周側端部113Cと傾斜面113Aとの境界部を折り曲げることにより形成されている態様を用いることができる。この場合、凸面112Pは、たとえば軸線方向断面において、凹面113と平行となる。この態様では、たとえば平坦面113Bを曲げ成形により得ることができ、研磨等を用いる場合と比較して低価格化を図ることができるから、締付構造100の低価格化を図ることができる。
また、たとえば第2実施形態では、ボルト203、スペーサ201A、および、ハブ201Bの形状に対応した形状をなす本体211を有する皿ばね210を用いたが、その形状に限定されるものではなく、凹面213の平坦面213Bが衝撃発生時に相手部材に面接触可能な形態であれば、皿ばねは、それが配置される相手部材の形状に対応可能な各種形状を用いることができる。たとえば図7に示す皿ばね210Aは、軸線方向断面において、多段状をなしている凸面212Pおよび凹面213Pを有している。この態様では、締付構造200の更なる省スペース化を図ることができる。
加えて、第1,2実施形態およびそれら変形例を適宜組み合わせてよいのは言うまでもないことである。

Claims (7)

  1. 締付部材と被押圧部材との間に被押圧部材を押圧するためのクランプ部材を介在させて、前記締付部材の締付によって前記被押圧部材を支持部材に対して押圧して保持する締付構造において、
    前記クランプ部材として、皿ばねを用い、
    前記皿ばねは、凹面の外周端部側に形成されるとともに、前記凹面の内周側の一面に対して傾斜している平坦面を有し、
    前記皿ばねは、凹面が前記被押圧部材に対向するとともに、凸面が前記締付部材に対向するようにして配置され、
    前記皿ばねのたわみ量は、前記凹面の支持点が前記平坦面の内周側端部あるいはそれよりも内周側に位置するように設定されていることを特徴とする締付構造。
  2. 前記皿ばねの前記平坦面は、内周側から外周側に向かうに従って板厚が減少することにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の締付構造。
  3. 前記皿ばねの前記平坦面は、前記内周側端部とそれと隣接する部位との境界部を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の締付構造。
  4. 前記皿ばねは、前記締付部材の頂部を収容するための凹部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の締付構造。
  5. 前記皿ばねは、軸線方向断面において、多段状をなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の締付構造。
  6. 締付部材と被押圧部材との間に被押圧部材を押圧するためのクランプ部材を介在させて、前記締付部材の締付によって前記被押圧部材を支持部材に対して押圧して保持する締付方法において、
    前記クランプ部材として、凹面の外周端部側に形成されるとともに、前記凹面の内周側の一面に対して傾斜している平坦面を有する皿ばねを用い、
    前記締付部材の締付開始時に、前記皿ばねの前記凹面の前記平坦面の外周側端部を前記被押圧部材に当接させ、前記皿ばねの凸面の内周側端部を前記締付部材に当接させ、
    前記締付部材の締付完了時に、前記皿ばねのたわみ量を、前記皿ばねの前記凹面の支持点が前記平坦面の内周側端部あるいはそれよりも内周側に位置するように設定することを特徴とする締付方法。
  7. 前記皿ばねとして、位置決め用孔部を有する皿ばねを用い、
    前記支持部材として、位置決め用凹部が形成された支持部材を用い、
    前記締付部材の締付前に、位置決め部材を、前記皿ばねの前記位置決め用孔部を通じて前記支持部材の前記位置決め用凹部に係合させ、
    前記締付部材の締付完了後に、前記位置決め部材を、前記位置決め用凹部および前記位置決め用孔部から取り外すことを特徴とする請求項6に記載の締付方法。
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