JPWO2013094725A1 - ブレーカー及びそれを備えた安全回路並びに2次電池パック - Google Patents

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Abstract

弾性変形する弾性部43と弾性部43の先端部に可動接点とを有し、可動接点を固定接点に押圧して接触させる可動片4と、凸曲面状に形成され、温度変化に伴って変形することにより可動接点が固定接点から離反するように可動片4を作動させる熱応動素子5と、可動片4及び熱応動素子5を収容する樹脂ケース7とを備える。可動片4の基端部42aの下面が、熱応動素子5の上面の頂点5aより距離Dだけ下方に位置される。これにより、2次電池等の保護装置として使用されるブレーカーにおいて、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、小型化を実現する。【選択図】図4

Description

本発明は、電気機器の2次電池等に内蔵される小型のブレーカーに関するものである。
従来、各種電気機器の2次電池やモーター等の保護装置としてブレーカーが使用されている(図8及び図9参照)。ブレーカーは、充放電中の2次電池の温度が過度に上昇した場合、又は自動車、家電製品等の機器に装備されるモーター等に過電流が流れた場合等の異常が生じた際に、2次電池やモーター等を保護するために電流を遮断する。このような保護装置として用いられるブレーカーは、機器の安全を確保するために、温度変化に追従して正確に動作することと、通電時の抵抗値が安定していることが求められる。
また、ブレーカーが、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型携帯情報端末機器又はスマートフォンと称される薄型の多機能携帯電話機等の電気機器に装備される2次電池等の保護装置として用いられる場合、上述した安全性の確保に加えて、小型化が要求される。特に、近年の携帯情報端末機器にあっては、ユーザーの小型化(薄型化)の志向が強く、各社から新規に発売される機器は、デザイン上の優位性を確保するために、小型に設計される傾向が顕著である。こうした背景の下、携帯情報端末機器を構成する一部品として、2次電池と共に実装されるブレーカーもまた、さらなる小型化が強く要求されている。
ブレーカーには、温度変化に応じて動作し、電流を導通又は遮断する熱応動素子が備えられている。特許文献1には、熱応動素子としてバイメタルを適用したブレーカーが示されている。バイメタルとは、熱膨張率の異なる2種類の板状の金属材料が積層されてなり、温度変化に応じて形状を変えることにより、接点の導通状態を制御する素子である。同文献に示されたブレーカーは、固定片(ベースターミナル)、可動片(可動アーム)、熱応動素子、PTCサーミスター等の部品が、樹脂ケースに収容されてなり、固定片及び可動片の端子が電気機器の電気回路に接続されて使用される。
WO2011/105175号公報
上記特許文献1に開示された実施形態のブレーカーにおいては、可動片の基端部(同特許文献中固定部33)及びその近傍の小突起(同特許文献中符号38)を含む領域で樹脂ケースの厚みがネックとなり、ブレーカーのさらなる薄型化の推進を阻む一因となっていた。樹脂ケースによって固定部を表裏両面から強固に固定する必要性があるためと、その近傍において小突起及び熱応動素子を収容するにあたって相応の内部空間を必要とするためである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、小型化を実現できるブレーカーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のブレーカーは、固定接点を有する固定片と、弾性変形する弾性部と該弾性部の先端部に可動接点とを有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、凸曲面状に形成され、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容するケースとを備えたブレーカーにおいて、前記弾性部の基端部の下面は、前記固定接点と前記可動接点が接触している状態で、前記熱応動素子の上面の頂点より下方に位置されていることを特徴とする。
本発明のブレーカーによれば、弾性部の基端部の下面が、熱応動素子の上面の頂点より下方に位置されているので、弾性部の基端部より上方の厚みを従来のブレーカーと同等に設定しながらも、ケースの全厚を薄くすることができ、ブレーカーのさらなる薄型化を図ることができる。
本発明の一実施形態によるブレーカーの構成を示す組み立て斜視図。 通常の充電又は放電状態におけるブレーカーの動作を示す断面図。 過充電状態又は異常時などにおけるブレーカーの動作を示す断面図。 熱応動素子の頂点及び可動片の基端部の近傍を拡大して示す断面図。 ブレーカーの平面図。 カバー部材の斜視図。 可動片の変形例を示す断面図。 本発明のブレーカーを備えた2次電池パックの構成を示す平面図。 本発明のブレーカーを備えた安全回路の回路図。
本発明の一実施形態によるブレーカーについて図面を参照して説明する。図1乃至図3はブレーカーの構成を示す。ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、先端部に可動接点3を有する可動片4と、温度変化に伴って変形する熱応動素子5と、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター6と、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を収容する樹脂ケース7等によって構成されている。樹脂ケース7は、樹脂ベース(第1ケース)71と樹脂ベース71の上面に装着されるカバー部材(第2ケース)72等によって構成されている。なお、本出願においては、図1乃至図3における上方向、すなわちPTCサーミスター6、熱応動素子5、可動片4が順次積み重ねられる方向を、ブレーカー1の上方向として説明している。上記方向は、ブレーカー1を2次電池等に実装する姿勢に応じて、さらには、2次電池等を電気機器に搭載する姿勢に応じて適宜読み替えることができるものとする。
固定片2は、リン青銅を主成分とする金属板(この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの金属板)をプレス加工することにより形成され、樹脂ベース71にインサート成形により埋め込まれている。固定片2の一端には外部と電気的に接続される端子22が形成され、他端部の近傍にはPTCサーミスター6が載置されている。PTCサーミスター6は、固定片2の他端部の近傍に3箇所形成された凸状のダボ(小突起)の上に載置される。固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル−銀合金の他、銅−銀合金、金−銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、メッキ又は塗布等により可動接点3に対向する位置に形成され、樹脂ベース71の上方に形成されている開口73の一部から露出されている。端子22は樹脂ベース71の一端から外側に突出されている。
可動片4は、固定片2と同等の金属板をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。可動片4の長手方向の一端には外部と電気的に接続される端子41が形成されて樹脂ベース71から外側に突出される。本実施形態においては、固定片2の端子22と可動片4の端子41の高さを揃えるために、可動片4は、樹脂ケース7の内部の第1段曲げ部46においてクランク状に屈曲されている。可動片4の他端(アーム状の可動片4の先端に相当)には可動接点3が形成されている。可動接点3は、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接又はかしめ(crimping)等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。可動片4は、可動接点3と端子41の間に、固定部42、弾性部43を有している。
本明細書においては、樹脂ベース71のアーム支持面74とカバー部材72の押え部77によって挟み込まれている領域のうち、第1段曲げ部46よりも弾性部43側の領域を固定部42とする。固定部42は、アーム支持面74と押え部77によって挟み込まれて固定されているため、実質的に弾性変形できない。そして、弾性部43の基端すなわち弾性変形できない固定部42と弾性変形可能な弾性部43との境界部位を基端部42a(図4参照)とする。すなわち、固定部42において樹脂ベース71とカバー部材72によって挟み込まれて可動片4が固定され、基端部42a及びそこから先端部の側の弾性部43が押え部77に押されて弾性変形することにより、その先端に形成されている可動接点3が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。
また、可動片4は、端子41と固定部42との間に形成された第1段曲げ部46と、弾性部43に形成された第2段曲げ部48及び第3段曲げ部49を有する。第2段曲げ部48は、特許請求の範囲における段曲げ部に相当し、熱応動素子5の上面の頂点5a近傍に対向する弾性部43の中央部と固定部42側の基端部42aとの間に配設され、弾性部43と基端部42aとを段違いに配置する。これにより、カバー部材72の押え部77に当接し押えられる固定部42(基端部42a)の上面は、弾性部43の最上部よりも下方に位置される。また、第3段曲げ部49は、特許請求の範囲における曲げ部に相当し、熱応動素子5の上面の頂点5a近傍に対向する弾性部43の中央部と可動接点3が設けられる先端部との間に配設され、可動接点3が設けられている先端部を可動片4の弾性部43の中央部よりも下方に配置する。
また、弾性部43の下面には、熱応動素子5に対向して一対の突起44a,44bが形成されている。突起44a,44bと熱応動素子5とが二個所で接触して、突起44a,44bを介して熱応動素子5の逆反り変形が弾性部43に伝達される(図2及び図3参照)。突起44a,44bは、必須ではなく、いずれか一方又は両方が廃されていてもよい。可動片4の材料としては、リン青銅を主成分とするものが好ましい。この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの導電性弾性材料を用いてもよい。
図2に示すように、熱応動素子5は、中央部が同図において上方に突出するように、球面状又は非球面状に湾曲した初期形状をなし、バイメタル、トリメタルなどの複合材料からなる。過熱により動作温度に達すると、図3に示すように、熱応動素子5の湾曲形状はスナップモーションを伴って逆反りし、冷却により復帰温度を下回ると復元する。熱応動素子5は、上述した初期形状において上面側に頂点5aを有し、プレス加工により形成することができる。所期の温度で熱応動素子5の逆反り動作により可動片4の弾性部43が押し上げられ、かつ弾性部43の弾性力により元に戻る限り、熱応動素子5の材質及び形状は特に限定されるものでないが、生産性及び逆反り動作の効率性の観点から平面視で矩形が望ましく、小型でありながら弾性部43を効率的に押し上げるために正方形に近い長方形であるのが望ましい。なお、熱応動素子5の材料としては、例えば、高膨脹側に銅−ニッケル−マンガン合金又はニッケル−クロム−鉄合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金をはじめとする、洋白、黄銅、ステンレスなど各種の合金からなる熱膨張率の異なる2種類の材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。
熱応動素子5の逆反り動作により固定片2と可動片4との通電が遮断されたとき、PTCサーミスター6に流れる電流が増大する。PTCサーミスター6は、温度上昇と共に抵抗値が増大して電流を制限する正特性サーミスターであれば、動作電流、動作電圧、動作温度、復帰温度などの必要に応じて種類を選択でき、その形状はこれらの諸特性を損なわない限り特に限定されるものではない。
樹脂ケース7を構成する樹脂ベース71及びカバー部材72は、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂により成形されている。樹脂ベース71には、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6などを収容するための開口73などが形成されている。なお、樹脂ベース71に組み込まれた熱応動素子5及びPTCサーミスター6の端縁は、開口73の内部に形成されている枠によってそれぞれ当接され、熱応動素子5の逆反り時に案内される。
カバー部材72は、その内壁面から可動片4の斜面47に対応する形状に突出する段部75と、開口73に対応する開口76と、可動片4の固定部42の上面と当接し、可動片4を押える押え部77とを有する。
カバー部材72には、カバー片8がインサート成形によって埋め込まれている。カバー片8は、上述したリン青銅を主成分とする金属板又はステンレス等の金属板をプレス加工することにより形成される。カバー片8は、図2及び図3に示すように、可動片4の上面と適宜当接し、可動片4の動きを規制すると共に、カバー部材72のひいては筐体としての樹脂ケース7の剛性・強度を高める。
図1に示すように、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6等を収容した樹脂ベース71の開口73を塞ぐように、カバー部材72が、樹脂ベース71の上面に装着される。樹脂ベース71とカバー部材72とは、例えば超音波溶着によって接合される。
図2は、通常の充電又は放電状態におけるブレーカー1の閉回路動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、熱応動素子5は初期形状を維持し(逆反り前であり)、固定接点21と可動接点3は接触し、可動片4の弾性部43などを通じてブレーカー1の両端子22、41間は導通している。可動片4の弾性部43と熱応動素子5とは接触しており、可動片4、熱応動素子5、PTCサーミスター6及び固定片2は、回路として導通している。しかし、PTCサーミスター6の抵抗は、可動片4の抵抗に比べて圧倒的に大きいため、PTCサーミスター6を流れる電流は、固定接点21及び可動接点3を流れる量に比して実質的に無視できる程度である。
図3は、過充電状態又は異常時などにおけるブレーカー1の開回路動作を示している。過充電又は異常により高温状態となると、PTCサーミスター6が過熱され、動作温度に達した熱応動素子5は逆反りし、可動片4の弾性部43が押し上げられて固定接点21と可動接点3とが離反する。このとき、固定接点21と可動接点3の間を流れていた電流は遮断され、僅かな漏れ電流が熱応動素子5及びPTCサーミスター6を通して流れることとなる。PTCサーミスター6は、このような漏れ電流の流れる限り発熱を続け、熱応動素子5を逆反り状態に維持させつつ抵抗値を激増させるので、電流は固定接点21と可動接点3の間の経路を流れず、上述の僅かな漏れ電流のみが存在する(自己保持回路を構成する)。この漏れ電流は安全装置の他の機能に充てることができる。
過充電状態を解除し、又は異常状態を解消すると、PTCサーミスター6の発熱も収まり、熱応動素子5は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部43の弾性力によって可動接点3と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、図2に示す導通状態に復帰する。
図4は、熱応動素子5の頂点5a及び可動片4の固定部42並びに基端部42aの近傍を拡大して示す。可動片4の固定部42の下面は、樹脂ベース71のアーム支持面74(図1参照)に載置され、樹脂ベース71の底面に平行に配設される。アーム支持面74の端縁と当接する部位が弾性部43の基端部42aとなる。この場合、基端部42aは、開口73の内部から視てアーム支持面74の端縁から略水平方向に突出している弾性部43の根元であるとしてもよい。アーム支持面74は、樹脂ベース71の底面に平行な平面に形成されているので、樹脂ベース71の底面を基準とすると、基端部42aの下面は、固定部42の下面と同等の高さとなる。また、固定部42から第2段曲げ部48の近傍に亘って可動片4の基本的な形状(突起44aを除く形状)が平面状に形成されているので、固定部42から第2段曲げ部48の近傍に亘って可動片4の下面の高さは一定となる。
可動片4の弾性部43において、基端部42aの近傍には、第2段曲げ部48が形成され、第2段曲げ部48が弾性部43の中央部を上方に退避させる。第2段曲げ部48によって弾性部43の中央部が退避されて生じた空間には、熱応動素子5の中央部が収容される。
熱応動素子5は、その上面の頂点で基端部42aの下面よりも図中距離D(Dは正数)だけ上方に位置されるように、湾曲して形成されている。すなわち、可動片4の基端部42aの下面は、熱応動素子5の上面の頂点5aより、距離Dだけ下方に形成されている。距離Dは、熱応動素子5の曲率や突起44aの突出量及び樹脂ケースの全厚等に応じて適宜定められる。
また、カバー部材72には、固定部42及び基端部42aの上面と当接して可動片4を押える押え部77が形成されている。本実施形態では、押え部77は、突起44aと平面視で重複する位置に形成されているが、熱応動素子5の逆反り変形時に、熱応動素子5の押え部77側の端縁において、熱応動素子5と可動片4とが当接する部位と平面視で重複する位置又はその近傍に形成されていればよい。
図5は、ブレーカー1の平面図を示す。同図においては、熱応動素子5及び押え部77は、破線のハッチングで示される。また、図6は、裏返したカバー部材72を示す。カバー部材72の中央部には、樹脂ベース71の開口73に対応する開口76が形成され、逆反り変形の最中における可動片4との干渉が防止される。また、開口76に隣接して押え部77が形成される。押え部77は、開口76の内側に突出して形成されている。これにより、図5に示すように、押え部77は、平面視で熱応動素子5と重複する領域を含むことになる。本実施形態においては、押え部77が、突起44aと熱応動素子5との当接部位よりも開口76の内側に突出するように構成されている。このように可動接点3の側に押え部78を延出して設けることにより、弾性部43を下方に付勢して固定接点21と可動接点3との接触圧力が高められる。なお、段曲げ部48の上部空間に余裕がある場合は、段曲げ部48の上部を含む領域まで、押え部78が延出されていてもよい。
以上のように、本実施形態のブレーカー1によれば、弾性部43の基端部42aの下面が、熱応動素子5の上面の頂点5aより下方に位置されているので、弾性部43の基端部42aより上方の厚みを従来のブレーカーと同等に設定しながらも、樹脂ケース7の全厚を薄くすることができ、ブレーカー1のさらなる薄型化を図ることができる。
また、可動片4が第2段曲げ部48を有するので、熱応動素子5の頂点5a近傍において、熱応動素子5と可動片4との干渉を回避しつつ、弾性部43の基端部42aの下面を熱応動素子5の上面の頂点5aより下方に容易に位置させることが可能となる。特に本実施形態においては、熱応動素子5の上面の頂点5a近傍に対向する弾性部43の中央部と突起44aとの間に第2段曲げ部48が配設されているので、突起44aを下方に容易に位置させることが可能となる。これにより、突起44a上方の厚みを従来のブレーカーと同等に設定しながらも、樹脂ケース7の全厚を薄くすることができ、ブレーカー1のさらなる薄型化を図ることができる。
また、平面視で熱応動素子5と重複する領域まで開口73の内側に突出して形成された押え部77によって弾性部43を下方に付勢することにより、固定接点21と可動接点3との接触圧力を高め、両者間の接触抵抗を低減すると共に、通電時の抵抗値を安定させることができる。また、熱応動素子5の変形時に突起44aと当接する基端部42aの近傍が上方に移動することを防止できるので、開回路時における熱応動素子5による突起44bの押し上げ量すなわち固定接点21と可動接点3との距離を大きくでき、電流の遮断を確実に行うことができる。
また、可動片4が第3段曲げ部49を有するので、可動片4の先端部近傍の内部空間に余裕が生ずるため、図3に示す開回路時において、固定接点21と可動接点3との距離を大きくでき、電流の遮断を確実に行うことができる。
図7は、可動片4の変形例を示す。図7(a)における可動片4は、第3段曲げ部49に替えて、可動片4が弾性部43を屈曲させた曲げ部4Aを有する形態である。曲げ部4Aは、特許請求の範囲における曲げ部に相当し、熱応動素子5の上面の頂点5a近傍に対向する弾性部43の中央部と可動接点3が設けられる先端部との間に配設され、可動接点3が設けられている先端部を弾性部43の弾性部43の中央部よりも下方に配置する。曲げ部4Aは、緩やかに湾曲する形状であってもよい。図7(b)における可動片4は、第2段曲げ部48及び第3段曲げ部49に替えて、可動片4が弾性部43をアーチ状に湾曲させた湾曲部4Bを有する形態である。湾曲部4Bにおいて、突起44a側の端縁4Cは屈曲又は湾曲される。図7(c)における可動片4は、可動片4が弾性部43をアーチ状に湾曲させた湾曲部4Bを有し、その突起44a側の端縁4C及び突起44b側の端縁4Dが屈曲又は湾曲される形態である。いずれの変形例においても、弾性部43の基端部42aの下面は、熱応動素子5の上面の頂点5aより距離Dだけ下方に位置されている。また、固定部42の上面は、弾性部43の最上部よりも下方に位置される。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも可動片4の基端部42aの下面が、熱応動素子5の上面の頂点5aより下方に位置されていればよい。すなわち、開口73の内部から視てアーム支持面74の端縁から突出している弾性部43の根元又はこの根元に隣接する固定部42の下面が熱応動素子5の上面の頂点5aよりも下方に位置されていればよい。従って、このような基端部42aの下面と熱応動素子5の上面の頂点5aとの位置関係が満たされる限り、アーム支持面74及び固定部42を変形させて、アーム支持面74の上面及び固定部42の下面の一部が熱応動素子5の上面の頂点5aよりも上方に位置されていてもよい。また、第1段曲げ部46を廃し、固定部42から端子41にかけて、平面状に形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、アーム支持面74と対向する領域から突起44aと平面視で重複する領域まで連続的に押え部77が形成されているが、それぞれの領域が分離した形態であってもよい。また、上記実施形態にあっては、カバー部材72を構成する樹脂によって、押え部77が形成されているが、カバー片8の一部を変形させて押え部77を形成してもよい。
また、固定部42に貫通孔を形成すると共に、アーム支持面74に上記貫通孔に挿通される突起を設けてもよい。この場合にあっては、樹脂ベース71に可動片4を組み込む際に、可動片4の位置決めが容易となる。また、可動片4を樹脂ベース71及びカバー部材72に強固に固定することができる。
また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、樹脂ケース7は、樹脂ベース71とカバー部材72によって構成される形態に限られることなく、2つの部品で構成される形態であれば他の形態であってもよい。また、本実施形態では、PTCサーミスター6による自己保持回路を有しているが、このような構成を省いた形態であっても適用可能であり、安定した動作を確保しつつ、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
また、特開2005−203277号公報に示されるような、可動片4が、固定部42又はその近傍において、端子41の側と可動接点3の側に構造的に分離されている形態に、本発明を適用してもよい。この場合、分離された各片は、樹脂ベース71及びカバー部材72によって押圧されて電気的に接続される。分離された各片が、溶接又はかしめ等によって接合される構成であってもよい。
また、本発明においては、第2段曲げ部48、第3段曲げ部49、曲げ部4A、湾曲部4B等を可動片4に形成することにより、弾性部43が熱応動素子5の頂点5a近傍において、上方に(熱応動素子5に対して反対側に)僅かながら突出する。そこで、カバー片8に曲げ加工又はコイニング加工等を施すことにより、カバー片8の下面に弾性部43との干渉を防止するための凹部を形成してもよい。また、固定部42及び/又はその周辺部において、可動片4がカバー片8と接触する構成であってもよい。この場合は、端子41の替わりに、カバー片8の一部をカバー部材72からブレーカー1の外部に露出させ、端子としてもよい。カバー片8の一部を端子とする形態は、例えば、その端子部分が樹脂ケース7側面に突出するものであってもよく、樹脂が省かれた樹脂ケース7の上面に露出する部分が端子として機能するものであってもよい。以上のような構成によれば、カバー部材72の厚み寸法を縮小でき、ブレーカー1のさらなる小型化を図ることができる。
また、本発明のブレーカー1は、2次電池パック、電気機器用の安全回路等にも広く適用できる。図8は2次電池パック100を示す。2次電池パック100は、2次電池101と、2次電池101の出力端回路中に設けたブレーカー1とを備える。図9は電気機器用の安全回路102を示す。安全回路102は2次電池101の出力回路中に直列にブレーカー1を備えている。
以上のように、本発明は、固定接点を有する固定片と、弾性変形する弾性部と該弾性部の先端部に可動接点とを有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、凸曲面状に形成され、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容するケースとを備えたブレーカーにおいて、前記弾性部の基端部の下面は、前記固定接点と前記可動接点が接触している状態で、前記熱応動素子の上面の頂点より下方に位置されていればよい。
このブレーカーによれば、弾性部の基端部の下面が、熱応動素子の上面の頂点より下方に位置されているので、弾性部の基端部より上方の厚みを従来のブレーカーと同等に設定しながらも、ケースの全厚を薄くすることができ、ブレーカーのさらなる薄型化を図ることができる。
このブレーカーにおいて、前記可動片は、前記熱応動素子の上面の頂点近傍の前記弾性部と前記基端部とを段違いに配置するための段曲げ部を有していてもよい。
このブレーカーによれば、熱応動素子の頂点において、熱応動素子と可動片との干渉を回避しつつ、弾性部の基端部の下面を熱応動素子の上面の頂点より下方に容易に位置させることが可能となる。
このブレーカーにおいて、前記ケースは、前記基端部の上面と当接して前記可動片を押える押え部を有し、前記押え部は、平面視で前記熱応動素子と重複する領域を含んで形成されていてもよい。
このブレーカーによれば、押え部によって弾性部を下方に付勢することにより、固定接点と可動接点との接触圧力を高め、両者間の接触抵抗を低減すると共に、通電時の抵抗値を安定させることができる。
このブレーカーにおいて、前記可動片は、前記熱応動素子の上面の頂点近傍の前記弾性部から前記先端部にかけて屈曲又は湾曲された曲げ部を有していてもよい。
このブレーカーによれば、可動片の先端部近傍の内部空間に余裕が生ずるため、開回路時の固定接点と可動接点との距離を大きくできるので、電流の遮断を確実に行うことができる。
また、本発明は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする電気機器用の安全回路である。
また、本発明は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする2次電池である。
この安全回路又は2次電池パックによれば、開回路時に電流を確実に遮断して電気機器の安全性を確保しつつ、安全回路又は2次電池パックの小型化を図ることが可能となる。
1 ブレーカー
2 固定片
3 可動接点
4 可動片
5 熱応動素子
21 固定接点
42 固定部
42a 基端部
43 弾性部
48 第2段曲げ部(段曲げ部)
49 第3段曲げ部(曲げ部)
4A 曲げ部
71 樹脂ベース(ケース)
72 カバー部材(ケース)
77 押え部
101 2次電池
102 安全回路

Claims (6)

  1. 固定接点を有する固定片と、
    弾性変形する弾性部と該弾性部の先端部に可動接点とを有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、
    凸曲面状に形成され、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、
    前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容するケースとを備えたブレーカーにおいて、
    前記可動片の基端部の下面は、前記固定接点と前記可動接点が接触している状態で、前記熱応動素子の上面の頂点より下方に位置されていることを特徴とするブレーカー。
  2. 前記可動片は、前記熱応動素子の上面の頂点近傍の前記弾性部と前記基端部とを段違いに配置するための段曲げ部を有することを特徴とする請求項1に記載のブレーカー。
  3. 前記ケースは、前記基端部の上面と当接して前記可動片を押える押え部を有し、
    前記押え部は、平面視で前記熱応動素子と重複する領域を含んで形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブレーカー。
  4. 前記可動片は、前記熱応動素子の上面の頂点近傍の前記弾性部から前記先端部にかけて屈曲又は湾曲された曲げ部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブレーカー。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のブレーカーを備えたことを特徴とする電気機器用の安全回路。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のブレーカーを備えたことを特徴とする2次電池パック。
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