JP6047790B2 - ブレーカー及びそれを備えた安全回路並びに2次電池 - Google Patents

ブレーカー及びそれを備えた安全回路並びに2次電池 Download PDF

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Description

本発明は、電気機器の2次電池パック等に内蔵される小型のブレーカーに関するものである。
従来、各種電気機器の2次電池やモーター等の保護装置(安全回路)としてブレーカーが使用されている(図11及び図12参照)。ブレーカーは、充放電中の2次電池の温度が過度に上昇した場合、又は自動車、家電製品等の機器に装備されるモーター等に過電流が流れた場合等の異常が生じた際に、2次電池やモーター等を保護するために電流を遮断する。このような保護装置として用いられるブレーカーは、機器の安全を確保するために、温度変化に追従して正確に動作する(良好な温度特性を有する)ことと、通電時の抵抗値が安定していることが求められる。
また、ブレーカーが、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型携帯情報端末機器又はスマートフォンと称される薄型の多機能携帯電話機等の電気機器に装備される2次電池等の保護装置として用いられる場合、上述した安全性の確保に加えて、小型化が要求される。特に、近年の携帯情報端末機器にあっては、ユーザーの小型化(薄型化)の志向が強く、各社から新規に発売される機器は、デザイン上の優位性を確保するために、小型に設計される傾向が顕著である。こうした背景の下、携帯情報端末機器を構成する一部品として、2次電池と共に実装されるブレーカーもまた、さらなる小型化が強く要求されている。
ブレーカーには、温度変化に応じて動作し、電流を導通又は遮断する熱応動素子が備えられている。特許文献1には、熱応動素子としてバイメタルを適用したブレーカーが示されている。バイメタルとは、熱膨張率の異なる2種類の板状の金属材料が積層されてなり、温度変化に応じて形状を変えることにより、接点の導通状態を制御する素子である。同文献に示されたブレーカーは、固定片(ベースターミナル)、可動片(可動アーム)、熱応動素子、PTCサーミスター等の部品が、ケースに収納されてなり、固定片及び可動片の端子が電気機器の電気回路に接続されて使用される。
WO2011−105175号公報
上記特許文献1に示されたブレーカーにおいては、蓋部材がケース本体に超音波溶着されてケースが一体化されると共に、固定部が蓋部材(カバー部材)とケース本体とによって表裏両面から挟み込まれて、可動片の姿勢が固定される(同文献の段落(0032)、(0037)等参照)。超音波溶着の工程においては、蓋部材とケース本体との間に適正な摩擦力が生ずるように、蓋部材にはケース本体の方向に応力が掛けられる。この応力は、溶着工程の後も蓋部材の内部に残留し、時間の経過に伴い徐々に減少する。
ところが、2次電池パック又は安全回路等にブレーカーを実装し、ブレーカーの端子を回路に接続する際に、溶接又ははんだ付け等の作業の手際如何によっては、可動片等から伝達された熱によって蓋部材が高温にさらされることがある。通常、端子のはんだ付け等は迅速に遂行されるため、蓋部材が過度の高温にさらされることはないが、例えば、高温雰囲気中におけるはんだ付け等の作業が余儀なくされる過酷な条件下・劣悪な環境下においては、端子のはんだ付け等の作業に手間取ると、蓋部材が高温となり蓋部材の内部に残留していた応力が急激に解放されて蓋部材に歪みが生じ、可動片を適正な姿勢で固定することが困難となる虞がある。
このような蓋部材の歪みに伴って可動片の姿勢に変動が生ずるとその先端部に設けられている可動接点とケース本体に設けられている固定接点との位置関係が変動し、通電時における両接点の接触抵抗に影響を及ぼす虞がある。また、可動接点と固定接点との位置関係の変動は、ブレーカーの温度特性を悪化させる一因となる。こうした蓋部材の歪みに伴う不具合は、ブレーカーの小型化を追求する程に顕著に現れる問題とされていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型化を図りつつ、ケースの歪みを減少させて、通電時における安定した抵抗値と良好な温度特性を得ることができるブレーカーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、固定接点を有する固定片と、弾性変形する弾性部と該弾性部の先端部に可動接点とを有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収納する樹脂製のケースとを備えたブレーカーにおいて、前記可動片は、前記ケースを構成する樹脂が接着する樹脂接着部を有し、前記ブレーカーは、前記樹脂接着部及び/又はその近傍に、樹脂を収容するための樹脂溜め部をさらに備えることを特徴とする。
この発明において、前記樹脂溜め部は、前記ケースにおいて前記樹脂接着部との当接部位及び/又はその近傍に設けられていることが好ましい。
この発明において、前記ケースは、前記固定片をインサートして成形される第1ケースと、前記第1ケースに装着され、該第1ケース及び前記樹脂接着部に溶着される第2ケースを有し、前記樹脂溜め部は、前記第2ケースに設けられていることが好ましい。
この発明において、前記樹脂溜め部は、前記可動片における前記樹脂接着部及び/又はその近傍に設けられていることが好ましい。
また、本発明の電気機器用の安全回路は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
また、本発明の2次電池パックは、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
本発明のブレーカーによれば、可動片の樹脂接着部が、ケースを構成する樹脂と接着する際に、この樹脂接着部の近傍に備えられている樹脂溜め部が、樹脂を収容するので、溶着時にケース内部で発生し残留する応力を抑制できる。このように、もともとケースの内部に残留する応力が小さくなるので、過酷な条件下でブレーカーを実装しなければならない場合であっても、残留応力の解放に伴って生ずるケースの歪みを減少させることができる。これにより、ブレーカーの小型化を図りつつ、ケースの歪みを減少させて、通電時における安定した抵抗値と良好な温度特性を得ることが可能となる。
また、樹脂溜め部が、ケースにおいて樹脂接着部との当接部位及び/又はその近傍に設けられている構成によれば、樹脂が流れ込みやすい場所に樹脂溜め部が配設されているので、接着時にケース内部で発生し残留する応力を効果的に抑制でき、より一層ケースの歪みを減少させることが可能となる。また、成形性の高い樹脂製のケースに樹脂溜め部を設ける構成であるので、樹脂溜め部を樹脂の流れ込みに適した形状に容易かつ安価に成形することができる。
また、第2ケースが第1ケース及び樹脂接着部に接着される構成によれば、可動片は第2ケースとの接着によって第2ケースに強固に固定され、この第2ケースは第1ケースと一体化されケースが形成される。このとき可動片の位置及び姿勢は、第1ケースによって正確に規定され、第2ケースを構成する樹脂の流動による影響を受けない。一方、可動片を位置決めする第1ケースには、固定片がインサート成形されているので、固定接点と可動接点の位置関係は、固定片、可動片及び第1ケースの精度に依存することになる。すなわち、接着時における第2ケースを構成する樹脂の流動が、固定接点と可動接点の位置関係に影響を及ぼす虞を排除できる。これにより、通電時における抵抗値がより一層安定すると共に、より一層良好な温度特性を得ることが可能となる。
また、樹脂溜め部が可動片における樹脂接着部及び/又はその近傍に設けられる構成によれば、樹脂溜め部に流れ込んだ樹脂によって可動片とケースが強固に接合され、可動片の姿勢がより一層安定する。これにより、通電時における抵抗値がより一層安定すると共に、より一層良好な温度特性を得ることが可能となる。
また、本発明のブレーカーを備えた安全回路又は2次電池パックによれば、過酷な条件下でブレーカーを実装する場合であっても、ケースの歪みを減少させて、通電時における安定した抵抗値と良好な温度特性を得ることができる。
本発明の一実施形態によるブレーカーの構成を示す組み立て斜視図。 通常の充電又は放電状態におけるブレーカーの動作を示す断面図。 過充電状態又は異常時などにおけるブレーカーの動作を示す断面図。 樹脂ベースに装着されるカバー部材を裏返して示す斜視図。 樹脂ベースに可動片が組み込まれ、カバー部材が装着される様子を時系列で示す断面図。 樹脂溶着部の周辺を拡大して示す断面図 カバー部材の変形例を示す斜視図。 カバー部材の別の変形例を示す斜視図。 カバー部材のさらに別の変形例を示す斜視図。 本発明のブレーカーに適用される可動片の変形例を示す斜視図。 本発明のブレーカーを備えた2次電池パックの構成を示す平面図。 本発明のブレーカーを備えた安全回路の回路図。
本発明の一実施形態によるブレーカーについて図面を参照して説明する。図1乃至図3はブレーカーの構成を示す。ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、先端部に可動接点3を有する可動片4と、温度変化に伴って変形する熱応動素子5と、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター6と、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を収納するケース7等によって構成されている。ケース7は、樹脂ベース(第1ケース)71と樹脂ベース71の上面に装着されるカバー部材(第2ケース)72等によって構成されている。
固定片2は、リン青銅を主成分とする金属板(この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの金属板)をプレス加工することにより形成され、樹脂ベース71にインサート成形により埋め込まれている。固定片2の一端には外部と電気的に接続される端子22が形成され、他端部の近傍にはPTCサーミスター6が載置されている。PTCサーミスター6は、固定片2の他端部の近傍に3箇所形成された凸状のダボ(小突起)の上に載置される。固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル−銀合金の他、銅−銀合金、金−銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、メッキ又は塗布等により可動接点3に対向する位置に形成され、樹脂ベース71の上方に形成されている開口73bから露出されている。端子22は樹脂ベース71の一端から外側に露出されている。
可動片4は、板状の金属材料をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。可動片4の材料としては、固定片2と同等のリン青銅を主成分とするものが好ましい。この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの導電性弾性材料を用いてもよい。可動片4の長手方向の一端には外部回路と電気的に接続される端子41が形成されて樹脂ベース71から外側に露出される。可動片4の他端(アーム状の可動片4の先端に相当)には可動接点3が形成されている。可動接点3は、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。なお、本出願においては、可動片4において、可動接点3が接合されている面(すなわち図1において下側の面)を裏(うら)面、その反対側の面を表(おもて)面として説明している。可動片4は、可動接点3と端子41の間に、固定部42(アーム状の可動片4の基端に相当)、弾性部43を有している。固定部42において樹脂ベース71とカバー部材72によって裏表両面側から挟み込まれて可動片4が固定され、弾性部43が弾性変形することにより、その先端に形成されている可動接点3が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。樹脂ベース71とカバー部材72には、可動片4の固定部42と当接し、固定部42を固定状態で保持する当接部74と当接部79(図4参照)がそれぞれ形成されている。本実施形態では、樹脂ベース71の収納部73の外縁から樹脂ベース71の外壁に亘る領域に当接部74が形成されている。また、カバー部材72において、段部77を含み、可動片4を挟んで当接部74と対向する領域に当接部79が形成されている。固定部42は、その裏面において樹脂ベース71の当接部74と当接し、その表面においてカバー部材72の当接部79と当接する。カバー部材72の当接部79を構成する樹脂は、樹脂ベース71とカバー部材72との超音波溶着時に溶融し、固定部42の表面は、溶融した樹脂が溶着する樹脂溶着部(樹脂接着部)42aとなる。可動片4は、当接部74及び当接部79によって固定部42の裏表両面から挟み込まれた状態で、表面の樹脂溶着部42aにおいてカバー部材72に溶着されることにより、ケース7に対して強固に固定される。
可動片4は、弾性部43において、プレス加工により湾曲又は屈曲されている。湾曲又は屈曲の度合いは、熱応動素子5を収納できる限り特に限定はなく、動作温度及び復帰温度における弾性力、接点の押圧力などを考慮して適宜設定すればよい。また、弾性部43の下面には、熱応動素子5に対向して一対の小突起44が形成されている。小突起44と熱応動素子5とは接触して、小突起44を介して熱応動素子5の変形が弾性部43に伝達される(図2及び図3参照)。
また、可動片4には、可動片4の厚み方向に貫通し、樹脂ベース71の突起74aが挿通される貫通穴45と、クランク状に形成された段曲げ部46と、段曲げ部46に形成された斜面47と、樹脂ベース71の位置決め部75と係合される一対の係合部48と、可動片4の長手方向に対して垂直な短手方向に可動片4の一部が切除されたくびれ部49が形成されている。貫通穴45、段曲げ部46、斜面47、係合部48及びくびれ部49は、弾性部43を挟んで可動接点3とは反対側、すなわち弾性部43に対して端子41の側に設けられている。貫通穴45は、可動片4の長手方向の中心線上に設けられている。斜面47は、可動片4の方向に沿って連続して形成されている。係合部48は、可動片4の短手方向に沿って2箇所に設けられている。
貫通穴45は、可動片4の固定部42に形成されている。固定部42は、弾性部43に対して可動片4の短手方向に幅広に形成されている。これにより、固定部42における可動片4の長手方向に垂直な断面積が、弾性部43における該断面積に対して大きい箇所となる。また、貫通穴45は、平面視で(可動片4の厚み方向に視て)可動片4の短手方向に長い長円形状に形成されている。
係合部48は、くびれ部49の端子41の側の端縁にて形成される。くびれ部49は、固定部42を挟んで弾性部43とは反対側で、固定部42と端子41の間に配設されている。くびれ部49の幅寸法(可動片4の短手方向の長さ寸法、以下同様)は、弾性部43の幅寸法に対して同等以下に設定されているのが望ましいが、少なくとも固定部42及び端子41の幅寸法よりも小さく設定されていればよい。本実施形態におけるくびれ部49は、上記特許文献1における第2弾性部としての機能を有しており、端子41に加えられた外力や衝撃を吸収し、可動接点3の位置を適正に維持する。
熱応動素子5は円弧状に湾曲した初期形状をなし、バイメタル、トリメタルなどの複合材料からなる。過熱により動作温度に達すると湾曲形状はスナップモーションを伴って逆反りし、冷却により復帰温度を下回ると復元する。熱応動素子5の初期形状は、プレス加工により形成することができる。所期の温度で熱応動素子5の逆反り動作により可動片4の弾性部43が押し上げられ、かつ弾性部43の弾性力により元に戻る限り、熱応動素子5の材質及び形状は特に限定されるものでないが、生産性及び逆反り動作の効率性の観点から矩形が望ましく、小型でありながら弾性部43を効率的に押し上げるために正方形に近い長方形であるのが望ましい。なお、熱応動素子5の材料としては、例えば、高膨脹側に銅−ニッケル−マンガン合金又はニッケル−クロム−鉄合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金をはじめとする、洋白、黄銅、ステンレス鋼など各種の合金からなる熱膨張率の異なる2種類の材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。
熱応動素子5の逆反り動作により固定片2と可動片4との通電が遮断されたとき、PTCサーミスター6に流れる電流が増大する。PTCサーミスター6は、温度上昇と共に抵抗値が増大して電流を制限する正特性サーミスターであれば、動作電流、動作電圧、動作温度、復帰温度などの必要に応じて種類を選択でき、その形状はこれらの諸特性を損なわない限り特に限定されるものではない。
ケース7を構成する樹脂ベース71及びカバー部材72は、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂により成形されている。樹脂ベース71には、熱応動素子5及びPTCサーミスター6などを収納するための収納部73及び可動片4を収納するための開口73a,73bなどが形成されている。なお、樹脂ベース71に組み込まれた熱応動素子5及びPTCサーミスター6の端縁は、収納部73の内部に形成されている枠によってそれぞれ当接され、熱応動素子5の逆反り時に案内される。
また、樹脂ベース71は、可動片4の貫通穴45に挿通される突起74aと、可動片4を位置決めするための一対の位置決め部75と、可動片4の端子41を外部に露出させるための窓76を有する。突起74aは、貫通穴45に対応し、平面視で長円形状に形成され、樹脂ベース71を補強する。突起74aの高さすなわち突出量は、可動片4の厚みより大きく設定され、カバー部材72の裏面には、突起74aの頂部に対応する凹部94(図4参照)が必要に応じて設けられる。位置決め部75は、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って2箇所に設けられている。本実施形態では、窓76の存在によって、樹脂ベース71の側壁の一部が可動片4のくびれ部49に対応する形状に形成され、位置決め部75を構成する。すなわち、位置決め部75は、くびれ部49の近傍において切除された部分に介在し、樹脂ベース71を補強する。
カバー部材72は、その内壁面から可動片4の段曲げ部46に対応する形状に突出する段部77と、段部77に形成された斜面78(図5参照)とを有する。斜面78は、可動片4の斜面47に対応し、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って連続して形成されている。
カバー部材72には、カバー片8がインサート成形によって埋め込まれている。カバー片8は、上述したリン青銅を主成分とする金属板又はステンレス鋼等の金属板をプレス加工することにより形成される。カバー片8は、図2及び図3に示すように、可動片4の上面と適宜当接し、可動片4の動きを規制すると共に、カバー部材72のひいては筐体としてのケース7の剛性・強度を高める。
図1に示すように、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6等を収納した樹脂ベース71の収納部73を塞ぐように、カバー部材72が、樹脂ベース71の上面に装着される。樹脂ベース71とカバー部材72とは、例えば超音波溶着によって接合される。
図2は、通常の充電又は放電状態におけるブレーカー1の動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、熱応動素子5は初期形状を維持し(逆反り前であり)、固定接点21と可動接点3は接触し、可動片4の弾性部43などを通じてブレーカー1の両端子22、41間は導通している。可動片4の弾性部43と熱応動素子5とは接触しており、可動片4、熱応動素子5、PTCサーミスター6及び固定片2は、回路として導通している。しかし、PTCサーミスター6の抵抗は、可動片4の抵抗に比べて圧倒的に大きいため、PTCサーミスター6を流れる電流は、固定接点21及び可動接点3を流れる量に比して実質的に無視できる程度である。
図3は、過充電状態又は異常時などにおけるブレーカー1の動作を示している。過充電又は異常により高温状態となると、PTCサーミスター6が過熱され、動作温度に達した熱応動素子5は逆反りし、可動片4の弾性部43が押し上げられて固定接点21と可動接点3とが離反する。このとき、固定接点21と可動接点3の間を流れていた電流は遮断され、僅かな漏れ電流が熱応動素子5及びPTCサーミスター6を通して流れることとなる。PTCサーミスター6は、このような漏れ電流の流れる限り発熱を続け、熱応動素子5を逆反り状態に維持させつつ抵抗値を激増させるので、電流は固定接点21と可動接点3の間の経路を流れず、上述の僅かな漏れ電流のみが存在する(自己保持回路を構成する)。この漏れ電流は安全装置の他の機能に充てることができる。
過充電状態を解除し、又は異常状態を解消すると、PTCサーミスター6の発熱も収まり、熱応動素子5は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部43の弾性力によって可動接点3と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、図2に示す導通状態に復帰する。
図4は、樹脂ベース71に装着されるカバー部材72を裏返して示している。図4に示すように、カバー部材72は、可動片4の樹脂溶着部42aとの当接部位においてリブ状に突出する突出部91と、突出部91の周辺かつ近傍に設けられた樹脂溜め部92を有する。内天面93からの各突出部91の突き出し高さは同等である。本実施形態において、突出部91は、可動片4の短手方向に延出して形成され、可動片4の長手方向に2列に並設されているが、延出方向や配列される方向はこれに限られない。
突出部91を構成する樹脂のうち、その頂部及びその近傍の樹脂は、カバー部材72が樹脂ベース71及び可動片4の樹脂溶着部42aに溶着される際に溶融し、周辺に流動する。これに伴い、突出部91の頂部及びその近傍は、樹脂溶着部42aによって平坦化される。樹脂溜め部92は、突出部91の頂部及びその近傍から流れてきた樹脂を収容し得るように、可動片4の樹脂溶着部42aとカバー部材72の内天面93との間に樹脂溜め用の凹状空間を形成する。本実施形態においては、突出部91が、カバー部材72の内天面93から突出して形成されているので、内天面93のうち突出部91の周辺領域が樹脂溜め部92となる。また、樹脂溜め部92と凹部94を連通させることによって、より大きな凹状空間を形成することも可能となる。凹状空間を大きく形成することにより、より多くの樹脂を溜め込むことが可能となり、カバー部材72の寸法誤差や超音波溶着時にケース7に付与する応力等の変動に対する許容値を大きくできる。
図5(a)(b)は、樹脂ベース71に可動片4が組み込まれ、カバー部材72が装着されて溶着される様子を時系列で示す。可動片4は、樹脂ベース71の開口73a,73bに案内されて樹脂ベース71に組み込まれる。このとき、図1に示すように、可動片4に形成されているくびれ部49の両側の係合部48に位置決め部75が係合されると共に、貫通穴45に樹脂ベース71の突起74aが挿通される。また、貫通穴45に突起74aが挿通されることに加え、一対の係合部48と一対の位置決め部75との係合により、樹脂ベース71に対する可動片4の回転が規制され、仮の位置決めが容易に行われる。
この仮の位置合わせの段階では、樹脂ベース71に対する可動片4の位置合わせが正確になされている必要はない。また、可動片4は、後の工程で最終的な位置合わせができるように、樹脂ベース71の上に載置された状態であり、固定されてはいない。なお、樹脂ベース71の開口73a,73b及び突起74aの位置、形状、寸法等は、仮の位置合わせがなされた位置から完全に位置決めされる定位置まで可動片4を案内し易くなるように、可動片4の対応する箇所と相似形に形成されている。
図5(a)に示すように可動片4が樹脂ベース71に組み込まれた後、樹脂ベース71にカバー部材72が装着される。カバー部材72は、樹脂ベース71の開口73aに段部77を挿入し、可動片4の段曲げ部46に段部77を押し当てることで可動片4を位置合わせしながら、樹脂ベース71に装着される。
図5(b)に示すように、カバー部材72が樹脂ベース71の方向(図中白抜き矢印方向)に押圧されると、可動片4の斜面47とカバー部材72の斜面78とが当接する。斜面47及び斜面78は、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って連続して形成されているので、なおもカバー部材72が樹脂ベース71の方向に押圧されると、可動片4の斜面47はカバー部材72の斜面78によって可動片4の長手方向に押される(付勢される)。その結果、斜面78,47によって力の方向が変換され、可動片4の全体が長手方向すなわち固定片2の存在する矢印A方向に押されて移動する。このとき、斜面47に対向して配設されている一対の係合部48と、斜面78に対向して配設されている一対の位置決め部75とが当接して係合する。これにより、突起74a等によって仮の位置合わせがなされていた可動片4は、樹脂ベース71に対して正確に位置決めされる。すなわち、樹脂ベース71に対して可動片4が組み込まれる際に生じている仮の位置合わせ時の誤差は軽減され、樹脂ベース71に対する可動片4の位置決め誤差を、実質的に樹脂ベース71の位置決め部75と可動片4の係合部48の製造時における寸法誤差程度に留めることができる。
樹脂ベース71にカバー部材72が装着されるとき、樹脂ベース71がカバー部材72の方向に押圧されながら、樹脂ベース71又はカバー部材72のいずれか一方又は両方に超音波振動が付与されると、樹脂ベース71とカバー部材72との当接部位(主として、樹脂ベース71及びカバー部材72の周縁部)は摩擦熱により溶着し、樹脂ベース71とカバー部材72とが一体化され、ケース7を構成する。
図6は、樹脂ベース71にカバー部材72が溶着された後における樹脂溶着部42aの周辺を拡大して示す。同図において、溶着前のカバー部材72の突出部91及び樹脂溜め部92の原形は、破線で示される。樹脂ベース71にカバー部材72が装着され、樹脂ベース71がカバー部材72の方向に押圧されると、まず突出部91の頂部が樹脂溶着部42aに当接する。この状態で、樹脂ベース71等に超音波振動が付与されると、突出部91の頂部と樹脂溶着部42aとの間に摩擦熱が生じ、突出部91の頂部を構成する樹脂の一部が溶融する。溶融した樹脂の一部は、可動片4の長手方向に流れ込んで、樹脂溜め部92によって収容される。その結果、図6において破線で示した突出部91及び樹脂溜め部92の原形は維持されなくなり、突出部91及び樹脂溜め部92は、樹脂溶着部42aに対応する平坦な形状に成形される。なお、頂部の樹脂が溶融した突出部91、及び溶融した樹脂が流れ込んだ樹脂溜め部92は、痕跡として残る。例えば、完成品したブレーカー1の樹脂ベース71から引き剥がしたカバー部材72をルーペ、拡大鏡、顕微鏡等を用いて観察することにより、突出部91と樹脂溜め部92の存在の痕跡が確認され得る。突出部91が存在していた場所に転写された可動片4の樹脂溶着部42aの粒子、樹脂溜め部92に移動して硬化した樹脂、さらには、この樹脂によって完全に埋め尽くされずに僅かに残った凹状空間等はその具体例である。同様に、可動片4の樹脂溶着部42aにも、突出部91との摩擦による擦れ跡が確認され得る。
このとき、突出部91に生ずる応力は、溶融し液状化又はゲル状化した樹脂が樹脂溜め部92に逃がされることに伴い、緩和される。従って、樹脂ベース71とカバー部材72とを一体的に接合する際に、樹脂溶着部42aとの当接部位及びその周辺領域に発生し残留する応力は低減される。このように、樹脂溜め部92による応力緩和作用は、樹脂と金属との接合に有効である。また、本実施形態においては、超音波溶着の際に樹脂溶着部42aに当接する突出部91が可動片4の長手方向に2列に並べて配列されているので、可動片4を安定した姿勢で支持しながら樹脂溶着部42aとカバー部材72を溶着できる。
以上のように、本実施形態のブレーカー1によれば、可動片4の樹脂溶着部42aが、カバー部材72を構成する樹脂の一部と溶着する際に、この樹脂溶着部42aの近傍に備えられている樹脂溜め部92が、溶融して流れ込んだ樹脂の一部又は全てを収容するので、溶着時にカバー部材72の内部で発生し残留する応力を抑制できる。このように、もともとカバー部材72の内部に残留する応力が小さくなるので、過酷な条件下でブレーカーを実装しなければならない場合であっても、残留応力の解放に伴って生ずるカバー部材72の歪みを減少させることができる。これにより、ブレーカー1の小型化を図りつつ、カバー部材72の歪みを減少させて、通電時における安定した抵抗値と良好な温度特性を得ることが可能となる。
また、樹脂溜め部92が、カバー部材72において樹脂溶着部92との当接部位に設けられている構成によれば、溶融した樹脂が流れ込みやすい場所に樹脂溜め部92が配設されているので、溶着時にカバー部材72の内部で発生し残留する応力を効果的に抑制でき、より一層カバー部材72の歪みを減少させることが可能となる。また、成形性の高い樹脂製のカバー部材72に樹脂溜め部92を設ける構成であるので、樹脂溜め部92を溶融した樹脂の流れ込みに適した形状に容易かつ安価に成形することができる。
また、カバー部材72が樹脂ベース71及び可動片4の樹脂溶着部42aに溶着されるので、可動片4はカバー部材72との溶着によってカバー部材72に強固に固定され、このカバー部材72は樹脂ベース71と一体化されケース7が形成される。このとき可動片4の位置及び姿勢は、樹脂ベース71によって正確に規定され、カバー部材72を構成する樹脂の溶融・流動による影響を受けない。一方、可動片4を位置決めする樹脂ベース71には、固定片2がインサート成形されているので、固定接点21と可動接点3の位置関係は、固定片2、可動片4及び樹脂ベース71の精度に依存することになる。すなわち、溶着時におけるカバー部材72を構成する樹脂の流動が、固定接点21と可動接点3の位置関係に影響を及ぼす虞を排除できる。これにより、通電時における抵抗値がより一層安定すると共に、より一層良好な温度特性を得ることが可能となる。
また、ブレーカー1を備えた安全回路又は2次電池パックによれば、過酷な条件下でブレーカーを実装する場合であっても、ケース7の歪みを減少させて、通電時における安定した抵抗値と良好な温度特性を得ることができる。
また、可動片4の係合部48から可動接点3の接触箇所(図1及び図2参照)までの距離と、樹脂ベース71の位置決め部75から固定接点21の接触箇所(図1及び図2参照)までの距離とは、平面視で等しく設定さている。そのため、可動片4が正確に位置決めされると、可動接点3と固定接点21とが適正な接触箇所で接触する。これにより、通電時における両者間の接触抵抗が適正化される。
本実施形態においては、係合部48及び位置決め部75が可動片4の短手方向に沿って、それぞれ一対設けられる。さらに、一対の係合部48及び一対の位置決め部75は、可動片4の短手方向において斜面47、斜面78を挟んで外側の部分に位置しているので、可動片4の回転による樹脂ベース71とのずれを抑制できる。また、これにより、可動片4の先端部と樹脂ベース71の開口73bとのクリアランスを小さく設定しても、可動片4の先端部と樹脂ベース71との干渉を防止できるので、樹脂ベース71のさらなる小型化を図ることができる。
また、樹脂ベース71にカバー部材72が装着されて超音波溶着されるとき、樹脂ベース71の突起74aの先端がカバー部材72の内壁面と当接し接合される。これに伴い、可動片4が、貫通穴45の周辺すなわち固定部42において、樹脂ベース71及びカバー部材72によって上下方向から強固に接合される。これにより、可動片4が、樹脂ベース71に対して定位置(あるべき位置)で固定される。なお、カバー部材72が樹脂ベース71に溶着され、可動片4が固定された後も、斜面47と斜面78とは当接状態を維持し、可動片4は、矢印A方向に押され続ける。また、これに伴い、位置決め部75と係合部48とは係合状態を維持し、樹脂ベース71に対する可動片4の位置及び姿勢は、正常に維持され続ける。
(変形例)
図7乃至図9は、カバー部材72の変形例を示す。図7に示すカバー部材72は、突出部91aの形態が図4に示したカバー部材72とは異なる。すなわち、この変形例において、突出部91aは、カバー部材72の内天面93から球面状又は概略球面状に突出する小突起によって構成される。複数個の突出部91aは、可動片の長手方向及び短手方向にマトリクス状に並べて配列されている。突出部91aの大きさ、個数、配列等は、ブレーカー1自体の大きさやカバー部材72の溶着時に流動する樹脂の流れ具合等に応じて適宜設定される。また、内天面93のうち突出部91aの周辺領域が樹脂溜め部92aとなる。この変形例においては、突出部91aの頂部を構成する樹脂が溶融すると、樹脂溜め部92aに流れ込んで収容される。
図8に示すカバー部材72は、突出部91bの形態が図4、図7に示したカバー部材72とは異なる。すなわち、この変形例において、突出部91bは、カバー部材72の内天面93からドーナツ状に突き出し、その中央領域に樹脂溜め部92bを有する。また、内天面93のうち突出部91bの周辺領域も樹脂溜め部92bとなる。突出部91bの大きさ、個数、配列等も、ブレーカー1自体の大きさやカバー部材72の溶着時に流動する樹脂の流れ具合等に応じて適宜設定することができ、図7に示した突出部91aに準じて、小型の突出部91bをマトリクス状に配列してもよい。この変形例にあっては、突出部91bの中央領域にも樹脂溜め部92bが形成されているので、溶融した樹脂を突出部91bの中央領域及び周辺領域にて効率よく収容することができる。
図9に示すカバー部材72は、突出部91c及び樹脂溜め部92cの形態が図4、図7、図8に示したカバー部材72とは異なる。突出部91cは、樹脂溜め部92cの周辺において内天面93に対して同一面上に形成されているが、樹脂溜め部92cが内天面93に対して溝状に陥没して形成されているので、突出部91cは、樹脂溜め部92cに対して突出していることになる。樹脂溜め部92cの延出方向、形状、個数、配列等はブレーカー1自体の大きさやカバー部材72の溶着時に流動する樹脂の流れ具合等に応じて適宜設定することができる。この変形例においても、突出部91cの頂部を構成する樹脂が溶融すると、樹脂溜め部92cに流れ込んで収容される。
図10は、可動片4の変形例を示す。図10(a)に示す変形例においては、可動片4の樹脂溶着部42aに、凸状の突出部95aが形成され、その周辺部が樹脂溜め部96aとなる。すなわち、突出部95aと樹脂溜め部96a等によって樹脂溶着部42aが構成される。カバー部材72における突出部95aと当接部位の樹脂は、摩擦熱により溶融し、樹脂溜め部96aに流れ込み収容される。突出部95aの形状は、溶融した樹脂が樹脂溜め部96aに流れ込み易いように、平面視でなだらかな円弧状とされる。この変形例においては、樹脂溶着部42aの表面積が大きくなり、突出部95aから樹脂溜め部96aに流れ込んだ樹脂によって可動片4とカバー部材72が強固に接合され、可動片4の姿勢がより一層安定する。これにより、通電時における抵抗値がより一層安定すると共に、より一層良好な温度特性を得ることが可能となる。
また、図10(b)に示す変形例においては、可動片4の樹脂溶着部42aに、突出部95bと溝状の樹脂溜め部96bが形成される。突出部95bは、樹脂溜め部96bの周辺部において樹脂溶着部42aに対して同一面上に形成される。樹脂溜め部92cが樹脂溶着部42aに対して溝状に陥没して形成されているので、突出部91cは、樹脂溜め部92cに対して突出していることになる。樹脂溜め部96bの延出方向、形状、個数、配列等は、ブレーカー1自体の大きさやカバー部材72の溶着時に流動する樹脂の流れ具合等に応じて適宜設定することができる。カバー部材72における突出部95bと当接部位の樹脂は、摩擦熱により溶融し、樹脂溜め部96bに流れ込み収容される。この変形例においても、樹脂溶着部42aの表面積が大きくなり、突出部95bから樹脂溜め部96bに流れ込んだ樹脂によって可動片4とカバー部材72が強固に接合され、可動片4の姿勢がより一層安定する。これにより、通電時における抵抗値がより一層安定すると共に、より一層良好な温度特性を得ることが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも可動片4は、ケース7を構成する樹脂の一部が溶着する樹脂溶着部42aを有し、ブレーカー1は、樹脂溶着部42a及び/又はその近傍に、溶融して流れ込んだ樹脂の一部を収容する樹脂溜め部92等をさらに備えていればよい。ここで、カバー部材72において樹脂溜め部92,92a,92b,92cは、溶融した樹脂を収容できる範囲で樹脂溶着部42aとの当接部位の近傍に設けられていればよい。例えば、斜面78の領域に、樹脂溜め部92等が形成されていてもよい。この場合、斜面78の領域に、突出部91等が形成されていてもよい。また、樹脂溜め部92等の形状、配置、大きさ等も、溶融した樹脂を収容できる限り、特に限定はない。可動片4における樹脂溜め部96a,96bに関しても同様である。
また、本発明は、上記変形例の他、種々の変形が可能である。例えば、図1等においては、可動片4は、貫通穴45、段曲げ部46、斜面47、係合部48及びくびれ部49の構成を有する形態であるが、これらの構成うちのいずれか又は全てが廃されていてもよい。例えば、貫通穴45を廃する場合は、樹脂ベース71の突起74a及びカバー部材72の凹部94も廃される。この場合、凹部94が形成されていた領域に突出部91等及び樹脂溜め部92等が形成されてもよい。また、段曲げ部46、斜面47が廃される場合は、可動片4は平面状に形成され、樹脂ベース71の当接部74及びカバー部材72の当接部79が平坦な形状となる。この構成においては、段曲げ部46及び斜面47を廃することにより、可動片4及び樹脂ベース71の長手方向の寸法を小さくして、ブレーカー1のさらなる小型化を図ることができる。なお、可動片4の段曲げ部46及び斜面47は、必要に応じて樹脂ベース71の外部に設けられていてもよい。また、係合部48及びくびれ部49が廃される場合は、可動片4は、固定部42から端子41に亘って等幅に形成され、これに伴い樹脂ベース71の位置決め部75の形状も変更される。
また、可動片4とカバー部材72との接合手法は、超音波溶着に限られることなく、両者が強固に接合される手法であれば、適宜適用することができる。例えば、液状又はゲル状(膠状)の接着剤を塗布・充填し、硬化させることにより、両者が接着されてもよい。樹脂ベース71とカバー部材72との接合手法に関しても、上記と同様である。また、ケース7は、樹脂ベース71とカバー部材72等によって構成される形態に限られることなく、2個以上の部品によって可動片4が挟まれて保持される形態であればよい。この場合、一方が第1ケース、他方が第2ケースとなる。
また、本実施形態では、PTCサーミスター6による自己保持回路を有しているが、このような構成を省いた形態であっても適用可能であり、導通抵抗を抑制しつつ、ブレーカー1の小型化を図ることができる。また、可動片4をバイメタル又はトリメタル等によって形成することにより、可動片4と熱応動素子5を一体的に形成する構成であってもよい。この場合、ブレーカーの構成が簡素化されて、さらなる小型化を図ることができる。
また、特開2005−203277号公報に示されるような、固定部42又はその近傍において、端子41の側と可動接点3の側に構造的に分離されている形態に、本発明を適用してもよい。
また、本発明のブレーカー1は、図11に示した2次電池パック及び図12に示した安全回路等にも広くにも適用できる。
1 ブレーカー
2 固定片
3 可動接点
4 可動片
5 熱応動素子
7 ケース
21 固定接点
42a 樹脂溶着部(樹脂接着部)
71 樹脂ベース(第1ケース)
72 カバー部材(第2ケース)
92 樹脂溜め部

Claims (6)

  1. 固定接点を有する固定片と、
    弾性変形する弾性部と該弾性部の先端部に可動接点とを有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、
    温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、
    前記固定片、可動片及び熱応動素子を収納する樹脂製のケースとを備えたブレーカーにおいて、
    前記可動片は、前記ケースを構成する樹脂が接着する樹脂接着部を有し、
    前記ブレーカーは、前記樹脂接着部及び/又はその近傍に、樹脂を収容するための樹脂溜め部をさらに備え
    前記ケースは、前記可動接点を収納する第1ケースと、前記第1ケース及び前記樹脂接着部に溶着されている第2ケースを有し、
    前記樹脂溜め部は、前記第2ケースに設けられていることを特徴とするブレーカー。
  2. 前記第2ケースは、前記先端部から前記樹脂接着部に亘って前記可動片を被うことを特徴とする請求項1に記載のブレーカー。
  3. 前記第2ケースは、前記第1ケースと溶着される内天面と、前記内天面から前記樹脂接着部の側に突出する突出部とを有し、
    前記樹脂溜め部は、前記内天面と同一の平面上に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブレーカー。
  4. 固定接点を有する固定片と、
    弾性変形する弾性部と該弾性部の先端部に可動接点とを有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、
    温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、
    前記固定片、可動片及び熱応動素子を収納する樹脂製のケースとを備えたブレーカーにおいて、
    前記可動片は、前記ケースを構成する樹脂が接着する樹脂接着部を有し、
    前記ブレーカーは、前記樹脂接着部及び/又はその近傍に、樹脂を収容するための樹脂溜め部をさらに備え、
    前記樹脂溜め部は、前記可動片における前記樹脂接着部及び/又はその近傍に設けられていることを特徴とするブレーカー。
  5. 請求項1乃至請求項4に記載のブレーカーを備えたことを特徴とする電気機器用の安全回路。
  6. 請求項1乃至請求項4に記載のブレーカーを備えたことを特徴とする2次電池パック。
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