本発明は、磁気抵抗効果素子を用いて回転軸等の回転角度を検出する回転角度検出装置に関する。
外部から印加された磁界を検出する磁界磁電変換素子として、ホール素子のほかに磁気抵抗効果素子が知られている。磁気抵抗効果素子には、AMR(Anisotropic Magneto-Resistance:異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(Giant Magneto-Resistance:巨大磁気抵抗効果)素子、及びTMR(Tunnel Magneto-Resistance:トンネル磁気抵抗効果)素子などがある。特に、他に比べて大きなMR比が得られるGMR素子及びTMR素子が注目されている。
特許文献1において、スピンバルブ構造を有するGMR素子及びTMR素子が開示されている。一般に、スピンバルブ構造の磁気抵抗効果素子は、非磁性の薄膜層によって仕切られた、強磁性体の第1薄膜層(自由層)及び第2薄膜層(固着層)を有する。強磁性体の第2薄膜層の磁化方向は固定されている。第2薄膜層の磁化方向を固定させるために、反強磁性体の薄膜層が強磁性体の第2薄膜層に付着される。代替構造として、反強磁性体の薄膜層を、高飽和保磁力かつ高電気抵抗を有する強磁性の層にすることもできる。
次に、スピンバルブ構造を有する磁気抵抗効果素子を用いた回転角度検出装置の動作原理について説明する。周面を多極に着磁した円筒磁石を搭載した磁石回転子を、軸を中心にして回転させる。磁気抵抗効果素子を用いて磁石回転子の回転角度を検出する場合、図37に示すように、円筒磁石の周面から所定の距離r離れた位置にセンサデバイスを配置する。センサデバイスに円筒磁石の着磁幅λと同一の間隔で領域A,Bを設け、領域Aには磁気抵抗効果素子RA1,RA2を、領域Bには磁気抵抗効果素子RB1,RB2を配置する。図38に示すように、RA1,RA2,RB1,RB2は、ブリッジ回路を構成するように接続する。
図37では、磁石回転子の周面上の円筒磁石を模式的に直線状に記載している。この状態で磁石回転子が回転すると、センサデバイスに対して磁石回転子の周面が矢印の方向に移動する。
ここで、図37に示す位相角度θは、領域Aと磁石回転子1の磁極との位相関係を示す。位相角度θは、領域Aにおける磁界の角度と一致する。また、図40に示す位相角度θ’は、領域Aと磁石回転子1の磁極との位相関係がθである場合の領域Bにおける磁界の角度を示す。
磁石回転子の移動に伴って、磁気抵抗効果素子RA1,RA2に対向する磁石回転子の周面の極性は、N極((a)θ=0°)から、N極,S極の境界((b)θ=90°)、S極((c)θ=180°)、S極,N極との境界((d)θ=270°)、N極((e)θ=360°)と変化する。従って、図39に示すように、領域Aに配置された磁気抵抗効果素子RA1,RA2が感知する磁界の角度θは、0°から360°に変化する。同様に、領域Bに配置された磁気抵抗効果素子RB1,RB2が感知する磁界の角度は、図40に示すように変化する。
スピンバルブ構造を有する磁気抵抗効果素子では、素子に印加された磁界の角度に対応して抵抗値が変化する。図41に示すように、磁気抵抗効果素子RA1,RA2及びRB1,RB2の抵抗値は、磁石回転子の回転に伴って、ほぼ正弦波状に変化する。従って、図38に示すブリッジ回路の中点電位V1,V2及びブリッジ出力Voutは、図42に示すような波形となる。
図43は、従来の回転角度検出装置の磁界の角度を詳細に示す説明図である。通常、磁石回転子により生じる半径方向(図43のx軸方向)と回転方向(図43のy軸方向)の磁界は、それぞれ位相角度に対してほぼ正弦波状に変化する。しかしながら、図43に示すように、回転方向と半径方向とでは、磁界の振幅は異なる。半径方向の磁界の振幅Pは、回転方向の磁界の振幅Qの1〜2倍になるのが一般的である。従って、位相角度θにおける磁界のx軸成分Hx及びy軸成分Hyは、下記の式(1)(2)で表すことができる。よって、位相角度θにおける磁界の方向を表すtanα及び磁界の方向αは、それぞれ下記の式(3)(4)で表すことができる。
図44は、従来の回転角度検出装置の、位相角度θと磁気抵抗効果素子が感知する磁界の角度αの関係を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す図である。通常は、上述のように、Q/P=1〜0.5である。図44に示すように、Q/P=1、即ち回転方向と半径方向の磁界の大きさの振幅とが等しい場合は、θ=αとなる。一方、半径方向の磁界の大きさの振幅が、回転方向の磁界の大きさの振幅より大きくなる場合、例えばQ/P=0.7又はQ/P=0.5の場合、図44に示すような関係となる。従って、磁石回転子の回転に伴い、各磁気抵抗効果素子の抵抗値は、図45に示すように、三角波状に変化する。
図46及び図47は、従来の回転角度検出装置の出力電圧の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す波形図である。図45に示したように磁気抵抗効果素子の抵抗値が三角波状の波形を示すと、ブリッジ回路の出力電圧Voutに3次の高調波成分が付加され、出力波形が歪む。5次以降の高調波の影響は小さく、3次の高調波成分が歪みの主な原因となる。出力波形が歪んで、図46のような三角波、或いは図47のような台形波となった場合は、正確な角度情報が得られない。
特許文献2においては、検出した半径方向,回転方向の磁界の大きさをアナログ−デジタル(A−D)変換してそれぞれVx信号,Vy信号を得て、それぞれの振幅が同じになるように、回転方向の検出信号に補正係数kを乗算し、歪みなく回転角度を検出することができる回転角度検出装置が開示されている。
特公平8−21166号公報
国際公開第2009/099054号
特開昭63−279101号公報
特開平2−24512号公報
特開平2−194316号公報
特開2009−210550号公報
上述のように、周面を多極に着磁した円筒磁石を搭載した磁石回転子を、軸を中心にして回転させて、その回転角度を検出する場合、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅が異なれば、検出した出力波形に、主に3次の高調波成分による歪が印加される。そのため、正確な角度情報が得られない。特許文献2による回転角度検出装置を用いれば、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅が同一になり、検出出力波形に印加される3次高調波成分が抑制され、正確な角度情報が得られるようになる。しかし、この回転角度検出装置を得るためには、A−D変換器、係数kを演算するための回路、及び係数kを乗算するための乗算器が必要になるため、回路規模が大きくなる。
本発明の目的は、回路規模を小さくしつつ、正確な角度情報が得られる回転角度検出装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、回転角度検出装置であって、N極及びS極が、着磁幅λで周面に沿って交互に着磁された回転体と、回転体が発生する磁界を感知する第1磁気検出部及び第2磁気検出部とを備え、第1磁気検出部と第2磁気検出部とは距離L隔てて配置され、第1基準電位と第2基準電位との間に、直列接続された第1磁気検出部及び第2磁気検出部が配置され、第1磁気検出部と第2磁気検出部の中点電位を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力し、L=2λ/n(nは2以上の整数)の関係を満たす。
また、本発明の一態様は、回転角度検出装置であって、N極及びS極が、着磁幅λで周面に沿って交互に着磁された回転体と、回転体が発生する磁界を感知する第1〜第4磁気検出部とを備え、第1磁気検出部及び第4磁気検出部は、第1検出位置に配置され、第2磁気検出部及び第3磁気検出部は、第2検出位置に配置され、第1検出位置と第2検出位置とは距離L隔てて設けられ、第1基準電位と第2基準電位との間に、直列接続された第1磁気検出部及び第3磁気検出部と、直列接続された第2磁気検出部及び第4磁気検出部とが並列接続され、第1〜第4磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、第1磁気検出部と第4磁気検出部、第2磁気検出部と第3磁気検出部とが、それぞれブリッジ回路の交差するアームに配置され、第1磁気検出部と第3磁気検出部の中点電位V1と、第2磁気検出部と第4磁気検出部の中点電位V2との差Vout(=V2−V1)を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力し、L=2λ/n(nは2以上の整数)の関係を満たす。
また、本発明の一態様は、回転角度検出装置であって、N極及びS極が、着磁幅λで周面に沿って交互に着磁された回転体と、回転体が発生する磁界を感知する第1〜第8磁気検出部とを備え、第1磁気検出部及び第4磁気検出部は、第1検出位置に配置され、第2磁気検出部及び第3磁気検出部は、第2検出位置に配置され、第5磁気検出部及び第8磁気検出部は、第3検出位置に配置され、第6磁気検出部及び第7磁気検出部は、第4検出位置に配置され、第1検出位置と第2検出位置とは距離L12隔てて設けられ、第3検出位置と第4検出位置とは距離L12隔てて設けられ、第1検出位置と第3検出位置とは距離L13隔てて設けられ、第1基準電位と第2基準電位との間に、直列接続された第1磁気検出部及び第3磁気検出部と、直列接続された第2磁気検出部及び第4磁気検出部とが並列接続され、第1〜第4磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、第1磁気検出部と第4磁気検出部、第2磁気検出部と第3磁気検出部とが、それぞれブリッジ回路の交差するアームに配置され、第3基準電位と第4基準電位との間に、直列接続された第5磁気検出部及び第7磁気検出部と、直列接続された第6磁気検出部及び第8磁気検出部とが配置され、第5〜第8磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、第5磁気検出部と第8磁気検出部、第6磁気検出部と第7磁気検出部とが、それぞれブリッジ回路の交差するアームに配置され、第1磁気検出部と第3磁気検出部の中点電位V1と、第2磁気検出部と第4磁気検出部の中点電位V2との差V12(=V2−V1)と、第5磁気検出部と第7磁気検出部の中点電位V3と、第6磁気検出部と第8磁気検出部の中点電位V4との差V34(=V4−V3)との差Vout(=V34−V12)を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力し、L12=2λ/n1(n1は2以上の整数)、L13=2λ/n2(n2は2以上の整数)の関係を満たす。
また、本発明の一態様は、回転角度検出装置であって、N極及びS極が、着磁幅λで周面に沿って交互に着磁された回転体と、回転体が発生する磁界を感知する第1〜第8磁気検出部とを備え、第1磁気検出部及び第4磁気検出部は、第1検出位置に配置され、第2磁気検出部及び第3磁気検出部は、第2検出位置に配置され、第6磁気検出部及び第7磁気検出部は、第3検出位置に配置され、第5磁気検出部及び第8磁気検出部は、第4検出位置に配置され、第1検出位置と第2検出位置とは距離L12隔てて設けられ、第3検出位置と第4検出位置とは距離L12隔てて設けられ、第1検出位置と第3検出位置とは距離L13隔てて設けられ、第1基準電位と第2基準電位との間に、直列接続された第1磁気検出部、第5磁気検出部、第3磁気検出部及び第7磁気検出部と、直列接続された第2磁気検出部、第6磁気検出部、第4磁気検出部及び第8磁気検出部とが並列接続され、第1〜第8磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、ブリッジ回路の第1アームには、第1磁気検出部及び第5磁気検出部が配置され、ブリッジ回路の第2アームには、第2磁気検出部及び第6磁気検出部が配置され、ブリッジ回路の第3アームには、第3磁気検出部及び第7磁気検出部が配置され、ブリッジ回路の第4アームには、第4磁気検出部及び第8磁気検出部が配置され、第1アームと第4アームとが、ブリッジ回路の交差する位置に配置され、第2アームと第3アームとが、ブリッジ回路の交差する位置に配置され、第1アームと第3アームの中点電位V1と、第2アームと第4アームの中点電位V2との差Vout(=V2−V1)を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力し、L12=2λ/n1(n1は2以上の整数)、L13=2λ/n2(n2は2以上の整数)の関係を満たす。
また、本発明の一態様は、回転角度検出装置であって、N極及びS極が、着磁幅λで周面に沿って交互に着磁された回転体と、回転体が発生する磁界を感知する2p+1個の磁気検出部とを備え、磁気検出部は、2p個の検出位置にそれぞれ2つずつ配置され、第i検出位置(iは1以上の整数)と第j検出位置(jは1以上の整数)との間の距離はLijであって、第1基準電位と第2基準電位との間に、直列接続された2p個の磁気検出部と、直列接続された2p個の磁気検出部とが並列接続され、2p+1個の磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、ブリッジ回路の各アームには、2p−1個の磁気検出部がそれぞれ配置され、第1アームと第4アームとが、ブリッジ回路の交差する位置に配置され、第2アームと第3アームとが、ブリッジ回路の交差する位置に配置され、同じ検出位置に配置された磁気検出部は、ブリッジ回路の交差するアームに配置され、第1アームと第3アームの中点電位V1と、第2アームと第4アームの中点電位V2との差Vout(=V2−V1)を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力し、Lij=2λ/nk(nkは2以上の整数)の関係を満たす。
本発明によれば、L=2λ/n(nは2以上の整数)の関係を満たす距離Lを隔てて配置された第1磁気検出部及び第2磁気検出部の中点電位を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力する。その結果、n次の高調波成分が抑制された出力信号を得ることができるため、回転体の正確な角度情報を得ることができる。
本発明の回転角度検出装置の構成図である。
本発明の実施の形態1による、センサデバイスに設けた領域の配置図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の出力電位の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図5の出力電位と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の、磁気抵抗効果素子の抵抗値、及び出力電位の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の出力電位の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図8の出力電位と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値及び中点電位の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の出力電圧の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図12の出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の、磁気抵抗効果素子の抵抗値及び中点電位の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の出力電圧の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図15の出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジ回路Aが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図18の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジ回路Bが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図18の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、差動電圧及び出力電圧の変化を、図18の配置について示す波形図である。
図21の差動電圧及び出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジAが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図24の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジBが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図24の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、差動電圧及び出力電圧の変化を、図18の配置について示す波形図である。
図27の差動電圧及び出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値及び中点電位の変化を示す波形図である。
図31の中点電位、及び出力電圧と直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、p種類の高調波成分を抑制可能な、各領域の配置間隔及び各磁気抵抗効果素子の配線の例を示す表である。
本発明の回転角度検出装置の構成の代替図である。
従来の回転角度検出装置による、センサデバイスに設けた領域の配置図である。
従来の回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
従来の回転角度検出装置の領域Aにおける磁界の角度を示す説明図である。
従来の回転角度検出装置の領域Bにおける磁界の角度を示す説明図である。
従来の回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化を示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の中点電位及び出力電圧の変化を示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の磁界の角度を詳細に示す説明図である。
従来の回転角度検出装置の、位相角度θと磁気抵抗効果素子が感知する磁界の角度αの関係を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す図である。
従来の回転角度検出装置の磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の出力電圧の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の出力電圧の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す別の波形図である。
1 磁石回転子、 2 円筒磁石、 3 センサデバイス、 4、4a〜4c 差動増幅器、 5 信号処理部。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施
の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
以下の実施形態において、磁石回転子の回転に伴って変化する磁界を検出するための磁気検出部として、印加される磁界の方向によって抵抗の大きさが変化する磁気抵抗効果素子を用いた場合について説明する。しかし、他の磁気検出部を用いた場合でも同様の効果を得ることが可能である。以下、磁気抵抗効果素子を単に「素子」と記載する。
実施の形態1.
図1は、本発明の回転角度検出装置の構成図である。回転角度検出装置10は、円筒磁石2を搭載した磁石回転子1と、円筒磁石2により生じる磁界を感知するセンサデバイス3とを備える。円筒磁石2は、N極及びS極が周面に沿って着磁幅λで交互に着磁された2m極(mは1以上の整数)を有する。図1は、m=5とした場合の構成図を示している。センサデバイス3は、磁石回転子1から所定の距離を隔てて配置している。
図2は、本発明の実施の形態1による、センサデバイスに設けた領域の配置図である。図2に示すように、センサデバイス3に、距離Lを隔てて領域A及び領域Bを設ける。領域Aに素子RAを、領域Bに素子RBをそれぞれ配置し、素子RAとRBとの間の距離もLとなるようにする。以下でも同様に、領域間の距離は、該領域に配置された素子間の距離に等しいものとする。
図3は、本発明の実施の形態1による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。図3に示すように、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に、素子RA,RBが直列接続されている。センサデバイス3はまた、検出部RAとRBの中点電位(=出力電位)Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する信号処理部5を備える。円筒磁石2の着磁幅をλとして、距離Lは下記の式(5)で表される。
上述のように磁石回転子1の磁界の大きさの振幅が、半径方向と回転方向で異なる場合、検出信号Voutに3次の高調波成分の歪が生じる。また、3次の高調波成分が検出信号Voutの歪の最も大きな原因となる。よって、以下でn=3、n=5場合を例に挙げて、各素子の抵抗値及び出力電位Voutの挙動について説明する。
(n=3の場合)
図1において、磁石回転子1が矢印の方向に回転すると、図2に示すように、センサデバイス3に対して磁極が矢印の方向へ移動する。磁極の移動に伴い、素子RA,RBが感知する磁界の方向が変化し、それに伴って素子RA,RBの抵抗値も図4に示すように変化する。
半径方向の磁界の大きさPと回転方向の該振幅Qとが等しい場合、即ちQ/P=1の場合、素子RA,RBの抵抗値は、図4に細線で示すように、正弦波状に変化する。一方、回転方向の磁界の大きさの振幅Qが半径方向の該振幅Pより小さい場合、例えばQ/P=0.7の場合、素子RA,RBの抵抗値は、図4に太線で示すように、三角波状に変化する。
素子RA,RBは、図2に示すように、距離L(=2λ/n(n=3))を隔てて配置する。よって、素子RA,RBの抵抗値は、図4に示すように、120°(=180°×2/3)の位相差を有する。ここで、図4中のθは、磁石回転子1の位相角度を表しており、周面上の着磁1極対で360°となる。これは、他の図でも同様である。
図5の太線、細線は、それぞれL=λとした場合、L=2/3λとした場合の、出力電位Voutの波形である。また、図6は、図5に示す出力電位Voutの波形と正弦波との差分信号を表す。ここでいう「正弦波」は、出力電位Voutとの差分が最も小さくなるように、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波である。これは、図9、図13、図16、図22、図28、図32でも同様である。
図6で、L=λの場合とL=2λ/3の場合を比較すると、L=2λ/3の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/3倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電位Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、L=2λ/3の場合に、3次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。
(n=5の場合)
図7には、5次の高調波成分を付加した素子RA,RBの抵抗値が示されている。素子RA,RBの抵抗値は、図7に示すように、72°(=180°×2/5)の位相差を有する。素子RA,RBの抵抗値は5次の高調波成分が付加され歪んでいるが、出力電位Voutは正弦波に近いものとなっていることがわかる。
また、図8に、L=λとした場合、L=2/5λとした場合の、出力電位Voutの波形を示す。また、図9は、図8に示す出力電位Voutの波形と正弦波との差分信号を表す。図8で、L=λの場合とL=2λ/5の場合を比較すると、L=2λ/5の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/5倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電位Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、L=2λ/5の場合に、5次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。
以上のように、素子RA,RBを着磁幅λの2/n倍の距離を隔てて配置し、図3に示すように素子を配置、接続することにより、歪の原因となるn次の高調波成分を抑制することができることがわかった。
尚、図1等に示すように、本実施形態では、周方向に磁束密度分布を作る磁界を生じるように着磁された円筒磁石2を使用したが、図36に示すように、軸方向に磁束密度分布を作る磁界を生じるように着磁された円筒磁石2を使用してもよい。その場合、センサデバイス3は、軸方向を上下方向として、磁極の上又は下に配置する。これは、以下の実施形態についても同様である。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。本実施形態による回転角度検出装置は、領域A,Bにそれぞれ2つの素子を配置し、4つの素子で構成したブリッジ回路を有する点で実施形態1の構成と異なる。また、ブリッジ回路に差動増幅器4を設ける。その他の構成は、実施形態1と同様である。
本実施形態に係る回転角度検出装置10において、センサデバイス3の領域Aに2つの素子RA1,RA2を、領域Bに2つの素子RB1,RB2をそれぞれ配置する。素子RA1及びRA2は、大きさ、向きが同じ磁界を円筒磁石1から感知するように配置する。これは以下で、同じ領域に2つの素子を配置した場合も同様である。
図10に示すように、ブリッジ回路の第1アームArm1〜第4アームArm4に、素子RA1,RB2,RB1,RA2をそれぞれ配置する。ブリッジ回路は、第1アームと第4アームが交差し、第2アームと第3アームが交差する構成を有する。即ち、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。また、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第1アームと第3アームとを直列接続し、同じく直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第2アームと第4アームとを直列接続する。第1アーム及び第3アームと、第2アーム及び第4アームとは並列接続する。
第1アームと第3アームの中点電位をV1、第2アームと第4アームの中点電位をV2とする。第1アームと第3アームの中点を差動増幅器4の反転入力端子(−)に接続し、第2アームと第4アームの中点を差動増幅器4の非反転入力端子(+)に接続する。差動増幅器4は、電圧Vout(=V2−V1)を出力する。信号処理部5は、出力電圧Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する。
本実施形態においても、素子RA1,RA2及びRB1,RB2を円筒磁石2の着磁幅λの2/n倍の距離を隔てて配置することにより、出力電圧Voutのうち、n次の高調波成分を抑制することができる。実施形態1の場合と同様に、n=3の場合、n=5の場合について説明する。
(n=3の場合)
回転方向の磁界の大きさの振幅Pが半径方向の該振幅Qより小さい場合、例えばQ/P=0.7の場合、図11に細線で示すように、素子RA1,RB1の抵抗値は三角波状に変化する。本実施形態において、素子RA1,RA2、素子RB1,RB2は、それぞれ大きさ、向きが同じ磁界を円筒磁石1から感知するように配置しているので、素子RA1とRA2の抵抗値は等しく、素子RB1とRB2の抵抗値は等しい。
また、素子RA1,RB1の中点電位V1は、実施形態1の素子RA,RBの中点電位Voutに対応している。図5に太線で示した出力電圧Voutは、正弦波に近い形であった。これと同様に、中点電位V2は、図11に太線で示すように、正弦波に近い形となることがわかる。これは、素子RA2,RB2の中点電位V2も同様である。従って、図12に示すように、出力電圧Vout(=V2−V1)でも、L=λの場合(細線)とL=2λ/3の場合(太線)を比較すると、L=2λ/3の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/3倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電圧Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、L=2λ/3の場合に、3次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。これは、出力電圧Voutと正弦波との差分を示した図13においても確認できる。
(n=5の場合)
図14に、5次の高調波成分を付加した、素子RA1,RA2及び素子RB1,RB2の抵抗値を示す。素子RA1,RA2及びRB1,RB2の抵抗値は、n=3の場合と同様に、5次の高調波成分が付加され歪んでいるが、中点電位V1,V2は正弦波に近いものとなっていることがわかる。
また図15に、L=λとした場合、L=2/5λとした場合の、出力電圧Vout(V2−V1)の波形を示す。また、図16は、図15に示す出力電圧Voutの波形と正弦波との差分信号を表す。図15で、L=λの場合とL=2λ/5の場合を比較すると、L=2λ/5の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/5倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電圧Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、よって、L=2λ/5の場合に、5次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。
次に、ブリッジ回路を構成したことによる利点を説明する。本実施形態においては、同一の磁界を感知する、素子RA1,RA2及び素子RB1,素子RB2をそれぞれ交差するアームに配置して、ブリッジ回路を構成している。よって、中間電位V1及びV2に付加される高調波成分のうち、偶数次の高調波は、V1とV2で位相が逆になる。出力電圧VoutはV1とV2の差動出力ゆえ、偶数次の高調波は打ち消し合う。これにより、回転方向と半径方向で磁界の大きさの振幅が異なることに起因する出力電圧Voutの高調波成分は、奇数次のみを考えればよい。さらに、外部ノイズが出力電圧Voutに付加された場合も、2次の高調波成分に相当するノイズを抑制することができる。
以上、本実施形態の構成を有する場合でも、実施形態1と同様に、領域A,Bを円筒磁石2の着磁幅λの2/3倍の距離を隔てて配置することにより、3次の高調波成分が抑制され、歪のレベルを小さくすることができることがわかった。さらに、ブリッジ回路を構成しているので、外部ノイズなど、2次の高調波成分も抑制できる。
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。本実施形態においては、例えば図18に示すように、センサデバイス3にA〜Dの4つの領域を設け、各領域には、それぞれ2つの素子を配置する。本実施形態による回転角度検出装置は、2系統のブリッジ回路を有し、3つの差動増幅器4A〜4Cを使用する点で実施形態2の構成と異なる。その他の構成は、実施形態2と同様である。
本実施形態に係る回転角度検出装置10において、センサデバイス3の領域Aに素子RA1,RA2を、領域Bに素子RB1,RB2を、領域Cに素子RC1,RC2を、領域Dに素子RD1,RD2をそれぞれ配置する。
素子RA1,RB1,RA2,RB2の4つの素子を用いて、図10に示すブリッジ回路Aを構成する。さらに、素子RC1,RD1,RC2,RD2の4つの素子を用いて、ブリッジ回路Aと同様にブリッジ回路Bを構成する。図17に示すように、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。
ブリッジ回路Aには、差動増幅器4Aを設け、ブリッジ回路Bには、差動増幅器4Bを設ける。差動増幅器4Aは、素子RA1,RB1の中間電位V1と素子RA2,RB2の中間電位V2との差動電圧V12(=V2−V1)を出力し、差動増幅器4Bは、素子RC1,RD1の中間電位V3と素子RC2,RD2の中間電位V4との差動電圧V34(=V4−V3)を出力する。さらに、差動増幅器4Aを、差動増幅器4Cの反転入力端子(−)に接続し、差動増幅器4Bを、差動増幅器4Cの非反転入力端子(+)に接続する。差動増幅器4Cは、電圧Vout(=V34−V12)を出力する。信号処理部5は、出力電圧Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する。
次に、それぞれの領域間の距離について説明する。本実施形態では、n1及びn2の2種類の次数の高調波成分を抑制できるように、領域の配置を決定する。
以下、n1>n2の場合の一例として、n1=3及びn2=2、即ち2次及び3次の高調波成分を抑制可能な配置について説明する。以下、領域Aと領域Bとの間の距離をLABのように記載する。
(配置例3−1)
図18は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置図である。本配置例において、領域A〜領域Dは、LAB=LCD=2λ/n1(n1=3)、LAC=2λ/n2(n2=2)を満たすように配置する。これにより、2次及び3次の高調波成分を抑制することができる。
図19は、ブロック回路Aの各素子の抵抗値、中点電位V1,V2及び差動増幅器4Aが出力する差動電圧V12(=V2−V1)を示している。図20は、ブロック回路Bの各素子の抵抗値、中点電位V3,V4及び差動増幅器4Bが出力する差動電圧V34(=V4−V3)を示している。LAB=LCD=2λ/3ゆえ、差動電圧V12及びV34は、3次の高調波成分が抑制された波形である。また、図21には、差動増幅器4Cの出力電圧Vout(=V4−V3)を示している。LAC=LBD=λゆえ、出力電圧Voutは、2次の好調波がさらに抑制された波形である。出力電圧Voutは、3次及び2次の高調波成分が抑制されて正弦波に近い波形となっている。これは、V12、V34及びVoutと正弦波との差分を示した図22においても確認できる。
図23は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。図23に示すように、領域A〜Dを、LAB=2λ/n1(n1=3)、LAC=LBD=2λ/n2(n2=2)を満たすように配置しても図18の配置と同様の効果が得られる。即ち、領域Cと領域Dの並びが逆の場合は、各領域間の距離は、(2λ−2λ/n1)に等しい。同様に領域Aと領域Bの並びが逆の場合は、各領域間の距離は、(2λ−2λ/n1)に等しい。さらに、領域Aと領域Cの並びが逆の場合は、各領域間の距離は、(2λ−2λ/n2)に等しい。
(配置例3−2)
上記では、n1>n2として、2次及び3次の高調波成分を抑制する場合について説明した。逆に、n1<n2の場合も、同様の効果が得られる。以下、n1=2、n2=3として、2次及び3次の高調波成分を抑制する場合について説明する。
図24は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。本配置例において、領域A〜領域Dは、LAB=LCD=2λ/n1(n1=2)、LAC=2λ/n2(n2=3)を満たすように配置する。
図25は、ブロック回路Aの各素子の抵抗値、中点電位V1,V2及び差動増幅器4Aが出力する差動電圧V12(=V2−V1)を示している。図26は、ブロック回路Bの各素子の抵抗値、中点電位V3,V4及び差動増幅器4Bが出力する差動電圧V34(=V4−V3)を示している。LAB=LCD=λゆえ、差動電圧V12及びV34は、2次の高調波成分が抑制された波形である。また、図27には、差動増幅器4Cの出力電圧Vout(=V4−V3)を示している。LAC=LBD=2λ/3ゆえ、出力電圧Voutは、3次の好調波がさらに抑制された波形である。出力電圧Voutは、3次及び2次の高調波成分が抑制されて正弦波に近い波形となっている。これは、V12、V34及びVoutと正弦波との差分を示した図28においても確認できる。
図29は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。図29に示すように、領域A〜Dを、LAB=LCD=2λ/n1(n1=2)、LAC=2λ/n2(n2=3)を満たすように配置しても図24の配置と同様の効果が得られる。即ち、領域Aと領域Bの並びが逆の場合は、各領域間の距離は(2λ−2λ/n1)に等しい。同様に領域Cと領域Dの並びが逆の場合は、各領域間の距離は(2λ−2λ/n1)に等しい。さらに、領域Aと領域Cの並びが逆の場合は、各領域間の距離は(2λ−2λ/n2)に等しい。
実施の形態4.
図30は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。本実施形態では、センサデバイス3に設ける領域の数を増加させて、抑制可能な高調波成分の数p(pは1以上の整数)を増加させる。図30に示すように、本実施形態による回転角度検出装置は、ブリッジ回路を1つ有し、ブリッジ回路の各アームに複数の素子を配置する点で実施形態2と異なる。本実施形態のその他の構成は、実施形態2と同様である。
(p=2の場合)
実施形態3と同様に、センサデバイス3にA〜Dの4つの領域を設け、各領域には、それぞれ2つの素子を配置する。センサデバイス3の領域Aに素子RA1,RA2を、領域Bに素子RB1,RB2を、領域Cに素子RC1,RC2を、領域Dに素子RD1,RD2をそれぞれ配置する。
図30に示すように、ブリッジ回路の第1アームに素子RA1,RD1を、第2アームに素子RB2,RC2を、第3アームに素子RB1,RC1を、第4アームに素子RA2、RD2をそれぞれ配置する。ブリッジ回路は、第1アームと第4アームが交差し、第2アームと第3アームが交差する構成を有する。即ち、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。また、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第1アームと第3アームとを直列接続し、同じく直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第2アームと第4アームとをそれぞれ直列接続する。第1アーム及び第3アームと、第2アーム及び第4アームとは並列接続する。尚、同一アーム内であれば、素子を接続する順序は入れ替えてもよい。
第1アームと第3アームの中点電位をV1、第2アームと第4アームの中点電位をV2とする。第1アームと第3アームの中点を差動増幅器4の反転入力端子(−)に接続し、第2アームと第4アームの中点を差動増幅器4の非反転入力端子(+)に接続する。差動増幅器4は、電圧Vout(=V2−V1)を出力する。信号処理部5は、出力電圧Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する。
実施形態3と同様に、例えば図18、図23、図24又は図29のように、センサデバイス3に領域A〜領域Dを設けることで、n1及びn2の2種類の次数の高調波成分を抑制できる。
例として、n1=3、n2=2とした場合の、各素子の抵抗値及び中点電位V1,V2を図31に示す。また、図32は、差動増幅器4の出力電圧Vout及びVoutと正弦波との差分を示している。出力電圧Voutは、ほぼ正弦波に近い波形であることがわかる。
本実施形態の構成により、2種類の次数の高調波成分を抑制することができる。さらに、実施形態3と比較して、差動増幅器の個数を減らすことができるという利点がある。
(p=3の場合)
図33は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。図30では8つの素子を配置した。その2倍の16個の素子を使用することにより、3種類の次数の高調波成分を抑制することができる。図33に示すように、センサデバイス3にA〜Hの8つの領域を設ける。センサデバイス3の領域Aに素子RA1,RA2を、領域Bに素子RB1,RB2を、領域Cに素子RC1,RC2を、領域Dに素子RD1,RD2を、領域Eに素子RE1,RE2を、領域Fに素子RF1,RF2を、領域Gに素子RG1,RG2を、領域Hに素子RH1,RH2をそれぞれ配置する。
例えば、図33に示すように、領域A〜Hを、LAB=LCD=LEF=LGH=2λ/n1、LAC=LEG=2λ/n2、LAE=2λ/n3(n3は2以上の整数)を満たすように配置することができる。
図34は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。ブリッジ回路の第1アーム〜第4アームに図34に示すように素子を配置する。尚、同一アーム内であれば、素子を接続する順序は入れ替えてもよい。
p=2の場合と同様に、差動増幅器4は、電圧Vout(=V2−V1)を出力する。これにより、n1次、n2次及びn3次の3つの次数の高調波成分が抑制された電圧が出力される。そして、信号処理部5により歪みが抑制された磁石回転子1の正確な回転角度を得ることができる。
(p≧4の場合)
図35は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、p種類の高調波成分を抑制可能な、各領域の配置間隔及び各磁気抵抗効果素子の配線の例を示す表である。この規則に従えば、4種類以上の次数の高調波成分も抑制可能である。尚、同一アーム内であれば、素子を接続する順序は入れ替えてもよい。配置間隔及び配線は一例にすぎず、他の構成によっても、p種類の好調波成分を抑制可能である。
まず、領域の配置について説明する。センサデバイス3上に、領域(1)〜領域(2p)を設ける。また、図35の規則に従うと、領域(2km−(2k−1))と領域(2km−(2k−1)+2k−1)とは、距離Lk隔てて配置する(k,mは1以上の整数)。領域(j)には、2つの素子R(j)1及び素子R(j)2を配置する(jは1以上の整数)。距離Lkは、下記の式(6)で表される。
素子R(1)1〜R(2p)1、素子R(1)2〜R(2p)2は、ブリッジ回路を構成する。ブリッジ回路は、第1アームと第4アームが交差し、第2アームと第3アームが交差する構成を有する。素子の配置について、例として、p=4の場合を考える。尚、素子R(1)1〜R(16)1が素子RA1〜RP1に、素子R(1)2〜R(16)2が素子RA2〜RP2にそれぞれ対応するものとする。ブリッジ回路の第1アームには、8個の直列接続した素子RA1,RD1,RF1,RG1,RJ1,RK1,RM1,RP1を配置する。第2アームには、8個の素子RB2,RC2,RE2,RH2,RI2,RL2,RN2,RO2を配置する。第3アームには、8個の素子RB1,RC1,RE1,RH1,RI1,RL1,RN1,RO1を配置する。第4アームには、8個の素子RA2,RD2,RF2,RG2,RJ2,RK2,RM2,RP2を配置する。
p≧5の場合も同様に、第1〜第4アームに、上記順序で素子を配置する。各アームには、それぞれ2p−1個の素子が配置される。また、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。
p=2,3の場合と同様に、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に、直列接続した2p個の素子R(1)1〜R(2p)1を配置する。また、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に、直列接続した2p個の素子R(1)2〜R(2p)2を配置する。第1アーム及び第3アームと、第2アーム及び第4アームとは並列接続する。
差動増幅器4は、p種類の次数の高調波成分が抑制された電圧Vout(=V2−V1)を出力する。そして、信号処理部5により、歪みが抑制された磁石回転子1の正確な回転角度を得ることができる。
本発明は、磁気抵抗効果素子を用いて回転軸等の回転角度を検出する回転角度検出装置に関する。
外部から印加された磁界を検出する磁電変換素子として、ホール素子のほかに磁気抵抗効果素子が知られている。磁気抵抗効果素子には、AMR(Anisotropic Magneto-Resistance:異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(Giant Magneto-Resistance:巨大磁気抵抗効果)素子、及びTMR(Tunnel Magneto-Resistance:トンネル磁気抵抗効果)素子などがある。特に、他に比べて大きなMR比が得られるGMR素子及びTMR素子が注目されている。
特許文献1において、スピンバルブ構造を有するGMR素子及びTMR素子が開示されている。一般に、スピンバルブ構造の磁気抵抗効果素子は、非磁性の薄膜層によって仕切られた、強磁性体の第1薄膜層(自由層)及び第2薄膜層(固着層)を有する。強磁性体の第2薄膜層の磁化方向は固定されている。第2薄膜層の磁化方向を固定させるために、反強磁性体の薄膜層が強磁性体の第2薄膜層に付着される。代替構造として、反強磁性体の薄膜層を、高飽和保磁力かつ高電気抵抗を有する強磁性の層にすることもできる。
次に、スピンバルブ構造を有する磁気抵抗効果素子を用いた回転角度検出装置の動作原理について説明する。周面を多極に着磁した円筒磁石を搭載した磁石回転子を、軸を中心にして回転させる。磁気抵抗効果素子を用いて磁石回転子の回転角度を検出する場合、図37に示すように、円筒磁石の周面から所定の距離r離れた位置にセンサデバイスを配置する。センサデバイスに円筒磁石の着磁幅λと同一の間隔で領域A,Bを設け、領域Aには磁気抵抗効果素子RA1,RA2を、領域Bには磁気抵抗効果素子RB1,RB2を配置する。図38に示すように、RA1,RA2,RB1,RB2は、ブリッジ回路を構成するように接続する。
図37では、磁石回転子の周面上の円筒磁石を模式的に直線状に記載している。この状態で磁石回転子が回転すると、センサデバイスに対して磁石回転子の周面が矢印の方向に移動する。
ここで、図37に示す位相角度θは、領域Aと磁石回転子1の磁極との位相関係を示す。位相角度θは、領域Aにおける磁界の角度と一致する。また、図40に示す位相角度θ’は、領域Aと磁石回転子1の磁極との位相関係がθである場合の領域Bにおける磁界の角度を示す。
磁石回転子の移動に伴って、磁気抵抗効果素子RA1,RA2に対向する磁石回転子の周面の極性は、N極((a)θ=0°)から、N極,S極の境界((b)θ=90°)、S極((c)θ=180°)、S極,N極との境界((d)θ=270°)、N極((e)θ=360°)と変化する。従って、図39に示すように、領域Aに配置された磁気抵抗効果素子RA1,RA2が感知する磁界の角度θは、0°から360°に変化する。同様に、領域Bに配置された磁気抵抗効果素子RB1,RB2が感知する磁界の角度は、図40に示すように変化する。
スピンバルブ構造を有する磁気抵抗効果素子では、素子に印加された磁界の角度に対応して抵抗値が変化する。図41に示すように、磁気抵抗効果素子RA1,RA2及びRB1,RB2の抵抗値は、磁石回転子の回転に伴って、ほぼ正弦波状に変化する。従って、図38に示すブリッジ回路の中点電位V1,V2及びブリッジ出力Voutは、図42に示すような波形となる。
図43は、従来の回転角度検出装置の磁界の角度を詳細に示す説明図である。通常、磁石回転子により生じる半径方向(図43のx軸方向)と回転方向(図43のy軸方向)の磁界は、それぞれ位相角度に対してほぼ正弦波状に変化する。しかしながら、図43に示すように、回転方向と半径方向とでは、磁界の振幅は異なる。半径方向の磁界の振幅Pは、回転方向の磁界の振幅Qの1〜2倍になるのが一般的である。従って、位相角度θにおける磁界のx軸成分Hx及びy軸成分Hyは、下記の式(1)(2)で表すことができる。よって、位相角度θにおける磁界の方向を表すtanα及び磁界の方向αは、それぞれ下記の式(3)(4)で表すことができる。
図44は、従来の回転角度検出装置の、位相角度θと磁気抵抗効果素子が感知する磁界の角度αの関係を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す図である。通常は、上述のように、Q/P=1〜0.5である。図44に示すように、Q/P=1、即ち回転方向と半径方向の磁界の大きさの振幅とが等しい場合は、θ=αとなる。一方、半径方向の磁界の大きさの振幅が、回転方向の磁界の大きさの振幅より大きくなる場合、例えばQ/P=0.7又はQ/P=0.5の場合、図44に示すような関係となる。従って、磁石回転子の回転に伴い、各磁気抵抗効果素子の抵抗値は、図45に示すように、三角波状に変化する。
図46及び図47は、従来の回転角度検出装置の出力電圧の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す波形図である。図45に示したように磁気抵抗効果素子の抵抗値が三角波状の波形を示すと、ブリッジ回路の出力電圧Voutに3次の高調波成分が付加され、出力波形が歪む。5次以降の高調波の影響は小さく、3次の高調波成分が歪みの主な原因となる。出力波形が歪んで、図46のような三角波、或いは図47のような台形波となった場合は、正確な角度情報が得られない。
特許文献2においては、検出した半径方向,回転方向の磁界の大きさをアナログ−デジタル(A−D)変換してそれぞれVx信号,Vy信号を得て、それぞれの振幅が同じになるように、回転方向の検出信号に補正係数kを乗算し、歪みなく回転角度を検出することができる回転角度検出装置が開示されている。
特公平8−21166号公報
国際公開第2009/099054号
特開昭63−279101号公報
特開平2−24512号公報
特開平2−194316号公報
特開2009−210550号公報
上述のように、周面を多極に着磁した円筒磁石を搭載した磁石回転子を、軸を中心にして回転させて、その回転角度を検出する場合、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅が異なれば、検出した出力波形に、主に3次の高調波成分による歪が印加される。そのため、正確な角度情報が得られない。特許文献2による回転角度検出装置を用いれば、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅が同一になり、検出出力波形に印加される3次高調波成分が抑制され、正確な角度情報が得られるようになる。しかし、この回転角度検出装置を得るためには、A−D変換器、係数kを演算するための回路、及び係数kを乗算するための乗算器が必要になるため、回路規模が大きくなる。
本発明の目的は、回路規模を小さくしつつ、正確な角度情報が得られる回転角度検出装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、回転角度検出装置であって、N極及びS極が、着磁幅λで周面に沿って交互に着磁された回転体と、回転体が発生する磁界を感知する第1〜第8磁気検出部とを備え、第1磁気検出部及び第4磁気検出部は、第1検出位置に配置され、第2磁気検出部及び第3磁気検出部は、第2検出位置に配置され、第5磁気検出部及び第8磁気検出部は、第3検出位置に配置され、第6磁気検出部及び第7磁気検出部は、第4検出位置に配置され、第1検出位置と第2検出位置とは距離L 12 隔てて設けられ、第3検出位置と第4検出位置とは距離L 12 隔てて設けられ、第1検出位置と第3検出位置とは距離L 13 隔てて設けられ、第1基準電位と第2基準電位との間に、直列接続された第1磁気検出部及び第3磁気検出部と、直列接続された第2磁気検出部及び第4磁気検出部とが並列接続され、第1〜第4磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、第1磁気検出部と第4磁気検出部、第2磁気検出部と第3磁気検出部とが、それぞれブリッジ回路の交差するアームに配置され、第3基準電位と第4基準電位との間に、直列接続された第5磁気検出部及び第7磁気検出部と、直列接続された第6磁気検出部及び第8磁気検出部とが配置され、第5〜第8磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、第5磁気検出部と第8磁気検出部、第6磁気検出部と第7磁気検出部とが、それぞれブリッジ回路の交差するアームに配置され、第1磁気検出部と第3磁気検出部の中点電位V 1 と、第2磁気検出部と第4磁気検出部の中点電位V 2 との差V 12 (=V 2 −V 1 )と、第5磁気検出部と第7磁気検出部の中点電位V 3 と、第6磁気検出部と第8磁気検出部の中点電位V 4 との差V 34 (=V 4 −V 3 )との差Vout(=V 34 −V 12 )を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力し、L 12 =2λ/n 1 (n 1 は2以上の整数)、L 13 =2λ/n 2 (n 2 は2以上の整数)の関係を満たす。
また、本発明の一態様は、回転角度検出装置であって、N極及びS極が、着磁幅λで周面に沿って交互に着磁された回転体と、回転体が発生する磁界を感知する2 p+1 (pは2以上の整数)個の磁気検出部とを備え、磁気検出部は、2 p 個の検出位置にそれぞれ2つずつ配置され、第i検出位置(iは1以上の整数)と第j検出位置(jは1以上の整数)との間の距離はL ij であって、第1基準電位と第2基準電位との間に、直列接続された2 p 個の磁気検出部と、直列接続された2 p 個の磁気検出部とが並列接続され、2 p+1 個の磁気検出部は、ブリッジ回路を構成し、ブリッジ回路の各アームには、2 p−1 個の磁気検出部がそれぞれ配置され、第1アームと第4アームとが、ブリッジ回路の交差する位置に配置され、第2アームと第3アームとが、ブリッジ回路の交差する位置に配置され、同じ検出位置に配置された磁気検出部は、ブリッジ回路の交差するアームに配置され、第1アームと第3アームの中点電位V1と、第2アームと第4アームの中点電位V2との差Vout(=V2−V1)を基に、回転体の回転角度に対応した信号を出力し、L ij =2λ/n k(ij) (n k(ij) は2以上の整数)の関係を満たす。
本発明によれば、ブリッジ回路を構成する複数の磁気検出部から得られるVoutを基に、外部ノイズを含めて2種類以上の次数の高調波成分が抑制された、回転体の回転角度に対応する信号が出力される。その結果、回転体の正確な角度情報を得ることができる。
本発明の回転角度検出装置の構成図である。
本発明の実施の形態1による、センサデバイスに設けた領域の配置図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の出力電位の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図5の出力電位と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の、磁気抵抗効果素子の抵抗値、及び出力電位の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態1による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の出力電位の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図8の出力電位と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値及び中点電位の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の出力電圧の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図12の出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の、磁気抵抗効果素子の抵抗値及び中点電位の変化を示す波形図である。
本発明の実施の形態2による回転角度検出装置の、5次の高調波成分が付加された場合の出力電圧の変化を、磁気抵抗効果素子の配置間隔が異なる場合について示す波形図である。
図15の出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジ回路Aが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図18の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジ回路Bが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図18の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、差動電圧及び出力電圧の変化を、図18の配置について示す波形図である。
図21の差動電圧及び出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジ回路Aが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図24の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、ブリッジ回路Bが含む磁気抵抗効果素子の抵抗値、中点電位及び差動電圧の変化を、図24の配置について示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、差動電圧及び出力電圧の変化を、図24の配置について示す波形図である。
図27の差動電圧及び出力電圧と、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値及び中点電位の変化を示す波形図である。
図31の中点電位、及び出力電圧と直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波との差分を示す波形図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、p種類の高調波成分を抑制可能な、各領域の配置間隔及び各磁気抵抗効果素子の配線の例を示す表である。
本発明の回転角度検出装置の構成の代替図である。
従来の回転角度検出装置による、センサデバイスに設けた領域の配置図である。
従来の回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。
従来の回転角度検出装置の領域Aにおける磁界の角度を示す説明図である。
従来の回転角度検出装置の領域Bにおける磁界の角度を示す説明図である。
従来の回転角度検出装置の、磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化を示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の中点電位及び出力電圧の変化を示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の磁界の角度を詳細に示す説明図である。
従来の回転角度検出装置の、位相角度θと磁気抵抗効果素子が感知する磁界の角度αの関係を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す図である。
従来の回転角度検出装置の磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の出力電圧の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す波形図である。
従来の回転角度検出装置の出力電圧の変化を、半径方向と回転方向の磁界の大きさの振幅の比が異なる場合について示す別の波形図である。
1 磁石回転子、 2 円筒磁石、 3 センサデバイス、 4、4a〜4c 差動増幅器、 5 信号処理部。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施
の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
以下の実施形態において、磁石回転子の回転に伴って変化する磁界を検出するための磁気検出部として、印加される磁界の方向によって抵抗の大きさが変化する磁気抵抗効果素子を用いた場合について説明する。しかし、他の磁気検出部を用いた場合でも同様の効果を得ることが可能である。以下、磁気抵抗効果素子を単に「素子」と記載する。
実施の形態1.
図1は、本発明の回転角度検出装置の構成図である。回転角度検出装置10は、円筒磁石2を搭載した磁石回転子1と、円筒磁石2により生じる磁界を感知するセンサデバイス3とを備える。円筒磁石2は、N極及びS極が周面に沿って着磁幅λで交互に着磁された2m極(mは1以上の整数)を有する。図1は、m=5とした場合の構成図を示している。センサデバイス3は、磁石回転子1から所定の距離を隔てて配置している。
図2は、本発明の実施の形態1による、センサデバイスに設けた領域の配置図である。図2に示すように、センサデバイス3に、距離Lを隔てて領域A及び領域Bを設ける。領域Aに素子RAを、領域Bに素子RBをそれぞれ配置し、素子RAとRBとの間の距離もLとなるようにする。以下でも同様に、領域間の距離は、該領域に配置された素子間の距離に等しいものとする。
図3は、本発明の実施の形態1による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。図3に示すように、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に、素子RA,RBが直列接続されている。センサデバイス3はまた、素子RAとRBの中点電位(=出力電位)Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する信号処理部5を備える。円筒磁石2の着磁幅をλとして、距離Lは下記の式(5)で表される。
上述のように磁石回転子1の磁界の大きさの振幅が、半径方向と回転方向で異なる場合、検出信号Voutに3次の高調波成分の歪が生じる。また、3次の高調波成分が検出信号Voutの歪の最も大きな原因となる。よって、以下でn=3、n=5場合を例に挙げて、各素子の抵抗値及び出力電位Voutの挙動について説明する。
(n=3の場合)
図1において、磁石回転子1が矢印の方向に回転すると、図2に示すように、センサデバイス3に対して磁極が矢印の方向へ移動する。磁極の移動に伴い、素子RA,RBが感知する磁界の方向が変化し、それに伴って素子RA,RBの抵抗値も図4に示すように変化する。
半径方向の磁界の大きさPと回転方向の該振幅Qとが等しい場合、即ちQ/P=1の場合、素子RA,RBの抵抗値は、図4に細線で示すように、正弦波状に変化する。一方、回転方向の磁界の大きさの振幅Qが半径方向の該振幅Pより小さい場合、例えばQ/P=0.7の場合、素子RA,RBの抵抗値は、図4に太線で示すように、三角波状に変化する。
素子RA,RBは、図2に示すように、距離L(=2λ/n(n=3))を隔てて配置する。よって、素子RA,RBの抵抗値は、図4に示すように、120°(=180°×2/3)の位相差を有する。ここで、図4中のθは、磁石回転子1の位相角度を表しており、周面上の着磁1極対で360°となる。これは、他の図でも同様である。
図5の太線、細線は、それぞれL=λとした場合、L=2/3λとした場合の、出力電位Voutの波形である。また、図6は、図5に示す出力電位Voutの波形と正弦波との差分信号を表す。ここでいう「正弦波」は、出力電位Voutとの差分が最も小さくなるように、直流成分、振幅、周波数及び位相を調整した正弦波である。これは、図9、図13、図16、図22、図28、図32でも同様である。
図6で、L=λの場合とL=2λ/3の場合を比較すると、L=2λ/3の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/3倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電位Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、L=2λ/3の場合に、3次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。
(n=5の場合)
図7には、5次の高調波成分を付加した素子RA,RBの抵抗値が示されている。素子RA,RBの抵抗値は、図7に示すように、72°(=180°×2/5)の位相差を有する。素子RA,RBの抵抗値は5次の高調波成分が付加され歪んでいるが、出力電位Voutは正弦波に近いものとなっていることがわかる。
また、図8に、L=λとした場合、L=2/5λとした場合の、出力電位Voutの波形を示す。また、図9は、図8に示す出力電位Voutの波形と正弦波との差分信号を表す。図9で、L=λの場合とL=2λ/5の場合を比較すると、L=2λ/5の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/5倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電位Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、L=2λ/5の場合に、5次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。
以上のように、素子RA,RBを着磁幅λの2/n倍の距離を隔てて配置し、図3に示すように素子を配置、接続することにより、歪の原因となるn次の高調波成分を抑制することができることがわかった。
尚、図1等に示すように、本実施形態では、周方向に磁束密度分布を作る磁界を生じるように着磁された円筒磁石2を使用したが、図36に示すように、軸方向に磁束密度分布を作る磁界を生じるように着磁された円筒磁石2を使用してもよい。その場合、センサデバイス3は、軸方向を上下方向として、磁極の上又は下に配置する。これは、以下の実施形態についても同様である。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。本実施形態による回転角度検出装置は、領域A,Bにそれぞれ2つの素子を配置し、4つの素子で構成したブリッジ回路を有する点で実施形態1の構成と異なる。また、ブリッジ回路に差動増幅器4を設ける。その他の構成は、実施形態1と同様である。
本実施形態に係る回転角度検出装置10において、センサデバイス3の領域Aに2つの素子RA1,RA2を、領域Bに2つの素子RB1,RB2をそれぞれ配置する。素子RA1及びRA2は、大きさ、向きが同じ磁界を円筒磁石2から感知するように配置する。これは以下で、同じ領域に2つの素子を配置した場合も同様である。
図10に示すように、ブリッジ回路の第1アームArm1〜第4アームArm4に、素子RA1,RB2,RB1,RA2をそれぞれ配置する。ブリッジ回路は、第1アームと第4アームが交差し、第2アームと第3アームが交差する構成を有する。即ち、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。また、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第1アームと第3アームとを直列接続し、同じく直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第2アームと第4アームとを直列接続する。第1アーム及び第3アームと、第2アーム及び第4アームとは並列接続する。
第1アームと第3アームの中点電位をV1、第2アームと第4アームの中点電位をV2とする。第1アームと第3アームの中点を差動増幅器4の反転入力端子(−)に接続し、第2アームと第4アームの中点を差動増幅器4の非反転入力端子(+)に接続する。差動増幅器4は、電圧Vout(=V2−V1)を出力する。信号処理部5は、出力電圧Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する。
本実施形態においても、素子RA1,RA2及びRB1,RB2を円筒磁石2の着磁幅λの2/n倍の距離を隔てて配置することにより、出力電圧Voutのうち、n次の高調波成分を抑制することができる。実施形態1の場合と同様に、n=3の場合、n=5の場合について説明する。
(n=3の場合)
回転方向の磁界の大きさの振幅Pが半径方向の該振幅Qより小さい場合、例えばQ/P=0.7の場合、図11に細線で示すように、素子RA1,RB1の抵抗値は三角波状に変化する。本実施形態において、素子RA1,RA2、素子RB1,RB2は、それぞれ大きさ、向きが同じ磁界を円筒磁石2から感知するように配置しているので、素子RA1とRA2の抵抗値は等しく、素子RB1とRB2の抵抗値は等しい。
また、素子RA1,RB1の中点電位V1は、実施形態1の素子RA,RBの中点電位Voutに対応している。図5に太線で示した出力電圧Voutは、正弦波に近い形であった。これと同様に、中点電位V2は、図11に太線で示すように、正弦波に近い形となることがわかる。これは、素子RA2,RB2の中点電位V2も同様である。従って、図12に示すように、出力電圧Vout(=V2−V1)でも、L=λの場合(細線)とL=2λ/3の場合(太線)を比較すると、L=2λ/3の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/3倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電圧Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、L=2λ/3の場合に、3次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。これは、出力電圧Voutと正弦波との差分を示した図13においても確認できる。
(n=5の場合)
図14に、5次の高調波成分を付加した、素子RA1,RA2及び素子RB1,RB2の抵抗値を示す。素子RA1,RA2及びRB1,RB2の抵抗値は、n=3の場合と同様に、5次の高調波成分が付加され歪んでいるが、中点電位V1,V2は正弦波に近いものとなっていることがわかる。
また図15に、L=λとした場合、L=2/5λとした場合の、出力電圧Vout(V2−V1)の波形を示す。また、図16は、図15に示す出力電圧Voutの波形と正弦波との差分信号を表す。図15で、L=λの場合とL=2λ/5の場合を比較すると、L=2λ/5の場合、即ち素子RA,RBを円筒磁石2の着磁幅λの2/5倍の距離を隔てて配置した場合に、より出力電圧Voutが正弦波に近づくことがわかる。よって、L=2λ/5の場合に、5次の高調波成分が抑制され、歪のレベルが小さくなっているといえる。
次に、ブリッジ回路を構成したことによる利点を説明する。本実施形態においては、同一の磁界を感知する、素子RA1,RA2及び素子RB1,素子RB2をそれぞれ交差するアームに配置して、ブリッジ回路を構成している。よって、中点電位V1及びV2に付加される高調波成分のうち、偶数次の高調波は、V1とV2で位相が逆になる。出力電圧VoutはV1とV2の差動出力ゆえ、偶数次の高調波は打ち消し合う。これにより、回転方向と半径方向で磁界の大きさの振幅が異なることに起因する出力電圧Voutの高調波成分は、奇数次のみを考えればよい。さらに、外部ノイズが出力電圧Voutに付加された場合も、2次の高調波成分に相当するノイズを抑制することができる。
以上、本実施形態の構成を有する場合でも、実施形態1と同様に、領域A,Bを円筒磁石2の着磁幅λの2/3倍の距離を隔てて配置することにより、3次の高調波成分が抑制され、歪のレベルを小さくすることができることがわかった。さらに、ブリッジ回路を構成しているので、外部ノイズなど、2次の高調波成分も抑制できる。
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。本実施形態においては、例えば図18に示すように、センサデバイス3にA〜Dの4つの領域を設け、各領域には、それぞれ2つの素子を配置する。本実施形態による回転角度検出装置は、2系統のブリッジ回路を有し、3つの差動増幅器4A〜4Cを使用する点で実施形態2の構成と異なる。その他の構成は、実施形態2と同様である。
本実施形態に係る回転角度検出装置10において、センサデバイス3の領域Aに素子RA1,RA2を、領域Bに素子RB1,RB2を、領域Cに素子RC1,RC2を、領域Dに素子RD1,RD2をそれぞれ配置する。
素子RA1,RB1,RA2,RB2の4つの素子を用いて、図17に示すブリッジ回路Aを構成する。さらに、素子RC1,RD1,RC2,RD2の4つの素子を用いて、ブリッジ回路Aと同様にブリッジ回路Bを構成する。図17に示すように、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。
ブリッジ回路Aには、差動増幅器4Aを設け、ブリッジ回路Bには、差動増幅器4Bを設ける。差動増幅器4Aは、素子RA1,RB1の中点電位V1と素子RA2,RB2の中点電位V2との差動電圧V12(=V2−V1)を出力し、差動増幅器4Bは、素子RC1,RD1の中点電位V3と素子RC2,RD2の中点電位V4との差動電圧V34(=V4−V3)を出力する。さらに、差動増幅器4Aを、差動増幅器4Cの反転入力端子(−)に接続し、差動増幅器4Bを、差動増幅器4Cの非反転入力端子(+)に接続する。差動増幅器4Cは、電圧Vout(=V34−V12)を出力する。信号処理部5は、出力電圧Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する。
次に、それぞれの領域間の距離について説明する。本実施形態では、n1及びn2の2種類の次数の高調波成分を抑制できるように、領域の配置を決定する。
以下、n1>n2の場合の一例として、n1=3及びn2=2、即ち2次及び3次の高調波成分を抑制可能な配置について説明する。以下、領域Aと領域Bとの間の距離をLABのように記載する。
(配置例3−1)
図18は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置図である。本配置例において、領域A〜領域Dは、LAB=LCD=2λ/n1(n1=3)、LAC=2λ/n2(n2=2)を満たすように配置する。これにより、2次及び3次の高調波成分を抑制することができる。
図19は、ブリッジ回路Aの各素子の抵抗値、中点電位V1,V2及び差動増幅器4Aが出力する差動電圧V12(=V2−V1)を示している。図20は、ブリッジ回路Bの各素子の抵抗値、中点電位V3,V4及び差動増幅器4Bが出力する差動電圧V34(=V4−V3)を示している。LAB=LCD=2λ/3ゆえ、差動電圧V12及びV34は、3次の高調波成分が抑制された波形である。また、図21には、差動増幅器4Cの出力電圧Vout(=V4−V3)を示している。LAC=LBD=λゆえ、出力電圧Voutは、2次の高調波がさらに抑制された波形である。出力電圧Voutは、3次及び2次の高調波成分が抑制されて正弦波に近い波形となっている。これは、V12、V34及びVoutと正弦波との差分を示した図22においても確認できる。
図23は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。図23に示すように、領域A〜Dを、LAB=2λ/n1(n1=3)、LAC=LBD=2λ/n2(n2=2)を満たすように配置しても図18の配置と同様の効果が得られる。即ち、領域Cと領域Dの並びが逆の場合は、各領域間の距離は、(2λ−2λ/n1)に等しい。同様に領域Aと領域Bの並びが逆の場合は、各領域間の距離は、(2λ−2λ/n1)に等しい。さらに、領域Aと領域Cの並びが逆の場合は、各領域間の距離は、(2λ−2λ/n2)に等しい。
(配置例3−2)
上記では、n1>n2として、2次及び3次の高調波成分を抑制する場合について説明した。逆に、n1<n2の場合も、同様の効果が得られる。以下、n1=2、n2=3として、2次及び3次の高調波成分を抑制する場合について説明する。
図24は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。本配置例において、領域A〜領域Dは、LAB=LCD=2λ/n1(n1=2)、LAC=2λ/n2(n2=3)を満たすように配置する。
図25は、ブリッジ回路Aの各素子の抵抗値、中点電位V1,V2及び差動増幅器4Aが出力する差動電圧V12(=V2−V1)を示している。図26は、ブリッジ回路Bの各素子の抵抗値、中点電位V3,V4及び差動増幅器4Bが出力する差動電圧V34(=V4−V3)を示している。LAB=LCD=λゆえ、差動電圧V12及びV34は、2次の高調波成分が抑制された波形である。また、図27には、差動増幅器4Cの出力電圧Vout(=V4−V3)を示している。LAC=LBD=2λ/3ゆえ、出力電圧Voutは、3次の高調波がさらに抑制された波形である。出力電圧Voutは、3次及び2次の高調波成分が抑制されて正弦波に近い波形となっている。これは、V12、V34及びVoutと正弦波との差分を示した図28においても確認できる。
図29は、本発明の実施の形態3による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。図29に示すように、領域A〜Dを、LAB=LCD=2λ/n1(n1=2)、LAC=2λ/n2(n2=3)を満たすように配置しても図24の配置と同様の効果が得られる。即ち、領域Aと領域Bの並びが逆の場合は、各領域間の距離は(2λ−2λ/n1)に等しい。同様に領域Cと領域Dの並びが逆の場合は、各領域間の距離は(2λ−2λ/n1)に等しい。さらに、領域Aと領域Cの並びが逆の場合は、各領域間の距離は(2λ−2λ/n2)に等しい。
実施の形態4.
図30は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。本実施形態では、センサデバイス3に設ける領域の数を増加させて、抑制可能な高調波成分の数p(pは1以上の整数)を増加させる。図30に示すように、本実施形態による回転角度検出装置は、ブリッジ回路を1つ有し、ブリッジ回路の各アームに複数の素子を配置する点で実施形態2と異なる。本実施形態のその他の構成は、実施形態2と同様である。
(p=2の場合)
実施形態3と同様に、センサデバイス3にA〜Dの4つの領域を設け、各領域には、それぞれ2つの素子を配置する。センサデバイス3の領域Aに素子RA1,RA2を、領域Bに素子RB1,RB2を、領域Cに素子RC1,RC2を、領域Dに素子RD1,RD2をそれぞれ配置する。
図30に示すように、ブリッジ回路の第1アームに素子RA1,RD1を、第2アームに素子RB2,RC2を、第3アームに素子RB1,RC1を、第4アームに素子RA2、RD2をそれぞれ配置する。ブリッジ回路は、第1アームと第4アームが交差し、第2アームと第3アームが交差する構成を有する。即ち、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。また、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第1アームと第3アームとを直列接続し、同じく直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に第2アームと第4アームとをそれぞれ直列接続する。第1アーム及び第3アームと、第2アーム及び第4アームとは並列接続する。尚、同一アーム内であれば、素子を接続する順序は入れ替えてもよい。
第1アームと第3アームの中点電位をV1、第2アームと第4アームの中点電位をV2とする。第1アームと第3アームの中点を差動増幅器4の反転入力端子(−)に接続し、第2アームと第4アームの中点を差動増幅器4の非反転入力端子(+)に接続する。差動増幅器4は、電圧Vout(=V2−V1)を出力する。信号処理部5は、出力電圧Voutを基に、磁石回転子1の回転角度を出力する。
実施形態3と同様に、例えば図18、図23、図24又は図29のように、センサデバイス3に領域A〜領域Dを設けることで、n1及びn2の2種類の次数の高調波成分を抑制できる。
例として、n1=3、n2=2とした場合の、各素子の抵抗値及び中点電位V1,V2を図31に示す。また、図32は、差動増幅器4の出力電圧Vout及びVoutと正弦波との差分を示している。出力電圧Voutは、ほぼ正弦波に近い波形であることがわかる。
本実施形態の構成により、2種類の次数の高調波成分を抑制することができる。さらに、実施形態3と比較して、差動増幅器の個数を減らすことができるという利点がある。
(p=3の場合)
図33は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、センサデバイスに設けた領域の配置の代替図である。図30では8つの素子を配置した。その2倍の16個の素子を使用することにより、3種類の次数の高調波成分を抑制することができる。図33に示すように、センサデバイス3にA〜Hの8つの領域を設ける。センサデバイス3の領域Aに素子RA1,RA2を、領域Bに素子RB1,RB2を、領域Cに素子RC1,RC2を、領域Dに素子RD1,RD2を、領域Eに素子RE1,RE2を、領域Fに素子RF1,RF2を、領域Gに素子RG1,RG2を、領域Hに素子RH1,RH2をそれぞれ配置する。
例えば、図33に示すように、領域A〜Hを、LAB=LCD=LEF=LGH=2λ/n1、LAC=LEG=2λ/n2、LAE=2λ/n3(n3は2以上の整数)を満たすように配置することができる。
図34は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置における、磁気抵抗効果素子の配線図である。ブリッジ回路の第1アーム〜第4アームに図34に示すように素子を配置する。尚、同一アーム内であれば、素子を接続する順序は入れ替えてもよい。
p=2の場合と同様に、差動増幅器4は、電圧Vout(=V2−V1)を出力する。これにより、n1次、n2次及びn3次の3つの次数の高調波成分が抑制された電圧が出力される。そして、信号処理部5により歪みが抑制された磁石回転子1の正確な回転角度を得ることができる。
(p≧4の場合)
図35は、本発明の実施の形態4による回転角度検出装置の、p種類の高調波成分を抑制可能な、各領域の配置間隔及び各磁気抵抗効果素子の配線の例を示す表である。この規則に従えば、4種類以上の次数の高調波成分も抑制可能である。尚、同一アーム内であれば、素子を接続する順序は入れ替えてもよい。配置間隔及び配線は一例にすぎず、他の構成によっても、p種類の高調波成分を抑制可能である。
まず、領域の配置について説明する。センサデバイス3上に、領域(1)〜領域(2p)を設ける。また、図35の規則に従うと、領域(2km−(2k−1))と領域(2km−(2k−1)+2k−1)とは、距離Lk隔てて配置する(k,mは1以上の整数)。領域(j)には、2つの素子R(j)1及び素子R(j)2を配置する(jは1以上の整数)。距離Lkは、下記の式(6)で表される。
素子R(1)1〜R(2p)1、素子R(1)2〜R(2p)2は、ブリッジ回路を構成する。ブリッジ回路は、第1アームと第4アームが交差し、第2アームと第3アームが交差する構成を有する。素子の配置について、例として、p=4の場合を考える。尚、素子R(1)1〜R(16)1が素子RA1〜RP1に、素子R(1)2〜R(16)2が素子RA2〜RP2にそれぞれ対応するものとする。ブリッジ回路の第1アームには、8個の直列接続した素子RA1,RD1,RF1,RG1,RJ1,RK1,RM1,RP1を配置する。第2アームには、8個の素子RB2,RC2,RE2,RH2,RI2,RL2,RN2,RO2を配置する。第3アームには、8個の素子RB1,RC1,RE1,RH1,RI1,RL1,RN1,RO1を配置する。第4アームには、8個の素子RA2,RD2,RF2,RG2,RJ2,RK2,RM2,RP2を配置する。
p≧5の場合も同様に、第1〜第4アームに、上記順序で素子を配置する。各アームには、それぞれ2p−1個の素子が配置される。また、同じ領域に配置した素子は、ブリッジ回路の交差するアームに配置する。
p=2,3の場合と同様に、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に、直列接続した2p個の素子R(1)1〜R(2p)1を配置する。また、直流電源(VCC)とグラウンド(GND)との間に、直列接続した2p個の素子R(1)2〜R(2p)2を配置する。第1アーム及び第3アームと、第2アーム及び第4アームとは並列接続する。
差動増幅器4は、p種類の次数の高調波成分が抑制された電圧Vout(=V2−V1)を出力する。そして、信号処理部5により、歪みが抑制された磁石回転子1の正確な回転角度を得ることができる。