JPWO2013027324A1 - 回折光学素子および回折光学素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本願に開示された回折光学素子は、第1樹脂を含む第1光学材料からなる基体102であって、回折格子104の設けられた第1領域105と、第1領域の外側に位置する第2領域106とを含む表面102aを有する基体102と、第2樹脂を含む第2光学材料からなる光学調整層103であって、基体表面の第2領域106の少なくとも一部および第1領域を覆って基体に設けられた光学調整層103と、第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料を含む接着界面部109であって、基体表面の第2領域106において、少なくとも一部が光学調整層103の下方に位置し、かつ、少なくとも表面から内部にかけて位置する接着界面部109とを備える。

Description

本願は回折光学素子に関し、異なる樹脂をそれぞれ含む2つ以上の部材によって構成される回折光学素子およびその製造方法に関する。
回折光学素子(回折格子レンズ)は、ガラスや樹脂等の光学材料からなる基体に光を回折させる回折格子が設けられた構造を備える。回折光学素子は、撮像装置や光学記録装置を含む種々の光学的機器の光学系に用いられており、例えば、特定次数の回折光を1点に集めるように設計されたレンズや、空間ローパスフィルタ、偏光ホログラム等が知られている。
回折光学素子は、光学系をコンパクトにできるという特長を有する。また、屈折とは逆に長波長の光ほど大きく回折することから、回折光学素子と屈折を利用する通常の光学素子とを組み合わせることにより、光学系の色収差や像面湾曲を改善することも可能である。
しかし、回折効率は理論的に光の波長に依存することから、特定の波長の光における回折効率が最適となるように回折光学素子を設計すると、その他の波長の光では回折効率が低下するという課題が生じる。例えば、カメラ用レンズ等白色光を利用する光学系に回折光学素子を用いる場合、この回折効率の波長依存性によって、色むらや不要次数光によるフレアが生じ、回折光学素子だけで適切な光学特性を有する光学系を構成するのは困難である。
このような課題に対して、特許文献1は、光学材料からなる基体の表面に回折格子を設け、基体と異なる光学材料からなる光学調整層で回折格子を覆うことによって、位相差型の回折光学素子を構成し、光学特性が所定の条件を満たすように2つの光学材料を選択することによって、設計した回折次数での回折効率を波長によらず高くする、つまり、回折効率の波長依存性を低減する方法を開示している。
回折光学素子を透過する光の波長をλとし、2種類の光学材料の波長λにおける屈折率をn1(λ)およびn2(λ)とし、回折格子の深さをdとした場合、下記式(1)を満たす場合、波長λの光に対する回折効率が100%となる。
Figure 2013027324
したがって、回折効率の波長依存性を低減するためには、使用する光の波長帯域内において、dがほぼ一定となるような波長依存性を持つ屈折率n1(λ)の光学材料と屈折率n2(λ)の光学材料とを組み合わせればよい。一般的には、屈折率が高く、波長分散の低い材料と屈折率が低く波長分散の高い材料とが組み合わされる。特許文献1は、基体となる第1光学材料としてガラスまたは樹脂を用い、第2光学材料として紫外線硬化樹脂を用いることを開示している。
特許文献2は、同様の構造を有する位相差型の回折光学素子において、第1光学材料としてガラスを用い、第2光学材料として、粘度が5000mPa・s以下のエネルギー硬化型樹脂を用いることにより、回折効率の波長依存性を低減して、色むらや不要次数光によるフレア発生等を有効に防止できることを開示している。
基体となる第1光学材料としてガラスを用いる場合、樹脂と比較して微細加工が難しいため、回折格子のピッチを狭くし、回折性能を向上させることが容易ではないため、光学素子の小型化を図りながら光学性能を高めることが困難である。また、ガラスの成形温度は樹脂より高温であるため、ガラスを成形するための金型の耐久性が樹脂を成形するための金型に比べて低く、生産性にも課題がある。
一方、基体となる第1光学材料として樹脂を用いる場合、回折格子の加工性および成形性の点でガラスより優れる。しかし、ガラスと比べて種々の値の屈折率を実現することが難しく、第1光学材料と第2光学材料との屈折率差が小さくなるため、式(1)から明らかなように、回折格子の深さdは大きくなる。
その結果、基体自体の加工性は優れるものの、回折格子を形成するための金型を深く加工したり、溝の先端を鋭利な形状に成形したりする必要があり、金型の加工が困難になる。また、回折格子が深くなるほど、基体および金型の少なくとも一方の加工上の制約から回折格子のピッチを大きくする必要がある。このため回折格子の数を増やすことができず、回折光学素子の設計上の制約が大きくなる。
このような課題を解決するため、本願の出願人は、特許文献3において、光学調整層として、マトリクス樹脂中に平均粒径1nm〜100nmの無機粒子を含んだコンポジット材料を用いることを提案している。このコンポジット材料は、分散させる無機粒子の材料や無機粒子の添加量によって屈折率およびアッベ数を制御でき、従来の樹脂にはない屈折率およびアッベ数を得ることができる。したがって、コンポジット材料を光学調整層に用いることにより、基体である第1の光学材料として樹脂を用いた場合の回折格子の設計自由度を高くして、成形性を向上させ、かつ優れた回折効率の波長特性を得ることができる。
特開平10−268116号公報 特開2001−249208号公報 国際公開第07/026597号
しかし、本願発明者の検討によれば、基体および光学調整層が樹脂材料によって構成される従来の回折光学素子では、基体と光学調整層との密着性が十分ではない場合があることが分かった。本願の限定的ではない例示的な実施形態は、基体と光学調整層との密着性が高められた回折光学素子およびその製造方法を提供する。
本発明の一態様である回折光学素子は、第1樹脂を含む第1光学材料からなる基体であって、回折格子の設けられた第1領域と、前記第1領域の外側に位置する第2領域とを含む表面を有する基体と、第2樹脂を含む第2光学材料からなる光学調整層であって、前記表面の前記第2領域および前記第1領域を覆って前記基体に設けられた光学調整層と、前記第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料を含む接着界面部であって、前記基体表面の第2領域において、少なくとも一部が前記光学調整層の下方に位置し、かつ、前記表面から内部にかけて位置する接着界面部とを備える。
または、本発明の一態様である回折光学素子の製造方法は、第1樹脂を含む第1光学材料からなる基体であって、回折格子の設けられた第1領域と、前記第1領域の外側に位置する第2領域とを含む表面を有する基体を用意する工程(A)と、前記基体表面の第2領域の少なくとも一部に、接着性を有する接着性材料の原料を配置する工程(B)と、前記基体表面の第1領域全体、および前記第2領域に配置された接着性材料の原料の少なくとも一部を覆うように、前記基体上に第2樹脂の原料を含む第2光学材料の原料を配置する工程(C)と、前記第2樹脂の原料を硬化させることにより、前記第2光学材料からなる光学調整層を形成する工程(D)とを包含する。
本発明の一態様によれば、第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料を含む接着界面部が、基体表面の第2領域において、表面から内部にかけて設けられている。この接着界面部によって基体と光学調整層との密着性が向上し、光学調整層を形成する際の樹脂の収縮や型からの離型による応力によって光学調整層の端部が基体から浮き上がったり剥離したりするのを防止することができる。
(a)および(b)は、回折光学素子の第1の実施形態を示す上面図および断面図であり、(c)は第1の実施形態の他の例を示す断面図である。 (a)、(b)および(c)は、図1に示す回折光学素子における接着界面部の他の配置を示す上面図である。 図1に示す回折光学素子における他の基体の構造を示す断面図である。 (a)および(b)は、回折光学素子の第2の実施形態を示す断面図である。 回折光学素子において、第1光学材料と第2光学材料の原料との接触時間と、形成される接着界面部の厚さの例を示すグラフである。 (a)から(e)は、回折光学素子の製造方法の実施形態を示す工程断面図である。 (a)、(b)は接着界面部および接着性材料層の他の配置例を示す図である。 (a)、(b)は、光学調整層の端部と、接着界面部および接着性材料層との他の配置例を示す図である。 回折格子が変形した従来技術の回折光学素子を示す断面図である。 基体と光学調整層の界面に屈折率変化層が形成された従来技術の回折光学素子を示す断面図である。 (a)、(b)は、屈折率変化層が形成された従来技術の回折光学素子において発生する不要回折光を説明する断面図である。 基体と光学調整層の界面に屈折率が変化した層が形成された光学素子における光の屈折を説明する断面図である。
本願発明者は、特許文献1から3に開示された位相差型の回折光学素子において、樹脂を含む材料を用いて基体および光学調整層を構成した場合における課題、特に、基体と光学調整層との界面の安定性が回折効率に与える影響について検討した。
図9に示すように、従来の回折光学素子751は、表面に回折格子704’が設けられた基体702と、回折格子704’を覆うように設けられた光学調整層703とを備えている。光学調整層703および基体702は、樹脂を含む光学材料によってそれぞれ形成されている。両者の光学材料の相互作用が強い場合、基体702と光学調整層703とが接する部分において、基体702の膨潤や溶解により、図9に示すように回折格子704’の形状が崩れてしまう。回折格子704’の形状が崩れると、所望の次数の回折光が十分な強度で得られなかったり、不要な回折光が生じたりする。
本願発明者は、回折格子の形状に変化が生じていなくても回折光学素子に設計した次数とは異なる次数の回折光(以下「不要回折光」と呼ぶ)が発生する場合があることを見出した。詳細な実験の結果、図10に示すように、回折光学素子752において、光学調整層703に含まれる樹脂が基体702の表面から内部へ浸透すると、樹脂の浸透した部分の基体702の屈折率が変化してしまい、基体702と光学調整層703との界面に、屈折率が異なる層705(以下「屈折率変化層」と呼ぶ)が形成されることを確認した。この屈折率変化層705は光学顕微鏡や、屈折率を高精度に測定できるプリズムカプラ等を用いて確認が可能であり、本願発明者が確認したところ、その厚さは50nmから5000nm程度である。
図11(a)に示すように、屈折率N1の樹脂からなる基体702aおよび屈折率N2の樹脂からなる光学調整層703aを備え、1次回折光を利用する回折光学素子752Aを考える。上述した理由により、屈折率変化層705aが形成される場合、その屈折率N3は、N1<N3<N2の関係を満たす。屈折率N1およびN2が、使用する光の波長帯域内において式(1)を満たすように設計されている場合、屈折率変化層705aの形成により、回折格子704aを構成する段差の光学的距離の差、つまり位相差が設計値より小さくなる。このため、使用する波長帯域内の光707を入射させた場合の回折光学素子752Aの回折効率、つまり、1次回折光709の出射効率が設計値より低くなる。この時、不要回折光として主に、1次回折光709よりも焦点距離が長い0次回折光708が発生する。
一方、図11(b)に示すように、光学調整層として、特許文献3に開示されるようなマトリクス材721および無機粒子722を含むコンポジット材料を用いる1次回折光を利用する回折光学素子752Bを考える。基体702の屈折率をN1、光学調整層703bの屈折率をN2、光学調整層703bのマトリクス材721の屈折率をN4とする。各屈折率が、N1<N2かつN4<N1の関係を満たしている場合、生成する屈折率変化層705bの屈折率N3は、N1>N3<N2の関係を満たす。これは、ナノメートルオーダーの無機粒子722は基体702bへ移動することができず、基体702bよりも屈折率の小さいマトリクス材721のみが浸透することによって、屈折率変化層705bが生成するからである。
この場合、屈折率変化層705bにより位相差が設計値より大きくなり、1次回折光709の出射効率が設計値より低くなる。この時、不要回折光として主に、1次回折光709よりも焦点距離が短い2次回折光710が発生する。
通常の屈折現象のみを利用した光学素子753においては、図12に示すように、基体702と光学調整層703との間に屈折率変化層705が生成したとしても、基体702との屈折率の差が0.01程度であれば、基体702から進入した入射光707が、基体702と屈折率変化層705との界面で屈折する角度は小さい。また屈折率変化層705が薄ければ、屈折した角度で入射光707が屈折率変化層705中を進む距離も短い。このため、屈折率変化層705が生成した場合でも設計における出射光711と実際の出射光712との光路のずれは小さく、したがって光学性能への影響も無視し得るほど小さい。しかし回折光学素子の場合、たとえ光学顕微鏡によって観察できない程度の微小な屈折率変化層であっても、回折の条件(1)を満たさなくなるため、不要回折光の発生に直結し、結果として設計次数における回折効率が大きく低下する。
特に、生産性の観点から光学調整層として紫外線硬化樹脂や熱硬化型樹脂を含む材料を使用する場合、光学調整層を形成する工程において、未硬化状態の樹脂、すなわちモノマやオリゴマが基体と接触する。モノマやオリゴマは硬化後の樹脂と比較して分子量が小さいことから、基体への反応性や浸透性が硬化後の樹脂と比較して大きくなる。つまり、先述した回折格子704の変形や、屈折率変化層705(705a、705b)の生成に伴う回折効率の低下が発生しやすい。
また、光学調整層にコンポジット材料を用いる場合、無機粒子722をマトリクス材721中に均一に分散させたり、光学調整層703bを形成する工程における光学調整層原料の粘度を調整したりするため、光学調整層の原料中に溶媒を添加することがある。このような溶媒は、光学調整層の原料中の未硬化状態の樹脂と同様、基体702bへの溶解および浸透による屈折率変化層705bを生成し、先述した問題の原因となる。
このような問題を解決する手段としては、基体702と光学調整層703を構成する樹脂との溶解度パラメータの差を所定の値以上に確保すること、また、未硬化状態の樹脂や溶媒と基体702との接触時間をできるだけ短時間とするプロセスを採用することが考えられる。しかしこうした手段を採用し、屈折率変化層705の形成を防止した場合、2種類の樹脂間の相互作用が小さくなるため、界面での樹脂分子間の絡み合いが十分に起こらず、基体702と光学調整層703との密着性が低下する。この結果、回折光学素子に何らかの応力が加わった際に、光学調整層703の基体702からの浮き上がりや剥離が生じてしまう。回折光学素子に作用する応力としては、光学調整層703を構成する樹脂成分の硬化収縮や、成形により光学調整層703を形成する場合に離型時にかかる応力など製造プロセス中に発生する応力、および、基体702と光学調整層703の熱膨張率の差異により温度変化時に発生する熱応力や、水分や薬品の吸収に伴う体積膨張に伴う応力など使用環境中にて発生する応力が挙げられる。
このように、密着性の低い光学調整層703が回折光学素子の有効領域上のみに形成されている場合、たとえ端部において基体702からのわずかな浮き上がりや剥離が発生しても、回折格子近傍の幾何学的構造および光学的構造が変化し、不要回折光や迷光等、設計時に想定していない光線が発生する。この結果、回折光学素子の特性は、設計に対して大きく低下してしまう。また、このような光学調整層703の浮き上がりや剥離が徐々に生じる場合、回折光学素子の長期信頼性が損なわれてしまう。
本願発明者はこのような課題に鑑み、新規な構造を有する回折光学素子を想到した。本発明の一態様の概要は以下のとおりである。
本発明の一態様である回折光学素子は、第1樹脂を含む第1光学材料からなる基体であって、回折格子の設けられた第1領域と、前記第1領域の外側に位置する第2領域とを含む表面を有する基体と、第2樹脂を含む第2光学材料からなる光学調整層であって、前記表面の前記第2領域および前記第1領域を覆って前記基体に設けられた光学調整層と、前記第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料を含む接着界面部であって、前記基体表面の第2領域において、少なくとも一部が前記光学調整層の下方に位置し、かつ、前記表面から内部にかけて位置する接着界面部とを備える。
前記接着界面部は、前記基体表面の第2領域において、前記第1領域を連続的に囲んでいる。
前記接着界面部を複数備え、前記複数の接着界面部は、前記表面の第2領域において、前記第1の領域の周囲に間隙を設けて配置されている。
前記基体は、前記表面の前記第1領域において、レンズ作用を有する曲面のベース形状を有し、前記回折格子は前記ベース形状上において同心円に配置された複数の輪帯を含む。
前記表面において、前記第2領域は、前記第1領域を囲んでおり、前記接着界面部は、前記第2領域において、前記回折格子の同心円の中心と一致する点を中心として同心円状に配置されている。
前記接着性材料は前記第2樹脂を含む。
前記第2樹脂はエネルギー硬化型樹脂である。
前記接着性材料は第3樹脂を含む。
前記第3樹脂はエネルギー硬化型樹脂である。
前記第3樹脂は、前記第2樹脂と共重合する官能基を有するエネルギー線硬化型樹脂である。
前記第3樹脂の溶解度パラメータと前記第1樹脂の溶解度パラメータとの差は0.8[cal/cm3]1/2以下である。
前記第1樹脂は、熱可塑性樹脂である。
前記接着界面部は、前記第2領域において、前記基体の表面から、前記光学調整層の内部にかけて位置している他の一部を有する。
前記接着界面部と前記光学調整層との間に位置し、前記接着性材料を含む接着性材料層をさらに備える。
前記基体は、前記表面の前記第2領域に位置する凹凸形状を有し、前記接着界面部は、前記凹凸形状の表面から内部にかけて位置している。
前記基体の表面は、前記第2領域の外周に位置し平坦な表面部分を有する第3領域をさらに含む。
前記第2光学材料はさらに無機粒子を含み、前記無機粒子が前記第2樹脂中に分散している。
前記光学調整層は前記第1領域の全体において、前記基体の表面と直接接触している。
本発明の一態様である回折光学素子の製造方法は、第1樹脂を含む第1光学材料からなる基体であって、回折格子の設けられた第1領域と、前記第1領域の外側に位置する第2領域とを含む表面を有する基体を用意する工程(A)と、前記基体表面の第2領域の少なくとも一部に、接着性を有する接着性材料の原料を配置する工程(B)と、前記基体表面の第1領域全体、および前記第2領域に配置された接着性材料の原料の少なくとも一部を覆うように、前記基体上に第2樹脂の原料を含む第2光学材料の原料を配置する工程(C)と、前記第2樹脂の原料を硬化させることにより、前記第2光学材料からなる光学調整層を形成する工程(D)とを包含する。
前記工程(D)において、前記第2樹脂の原料と同時に、接着性材料の原料を硬化させる。
前記工程(D)において、前記第2樹脂の原料および接着性材料の原料の硬化を、エネルギー線の照射により行う。
前記工程(C)は、前記第2光学材料の原料を金型上に配置する工程と、前記接着性材料の原料を前記第2領域に配置した基体を前記金型に設置する工程とを含む。
前記工程(C)の後に、前記基体を加熱する工程(E)をさらに包含する。
前記接着性材料の原料は溶媒を含み、前記工程(E)において前記溶媒が前記接着性材料の原料から除去される。
前記基体は、前記表面の前記第2領域に位置する凹凸形状を有し、前記工程(A)は、前記基体の第2領域の凹凸形状を、前記凹凸形状に対応した形状が表面に形成された型を用い、成形により前記基体を形成する。
(第1の実施形態)
以下、本発明による回折光学素子の第1の実施形態を説明する。図1は第1の実施形態である回折光学素子151の構造を示しており、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のA−A’断面における断面図を示している。図1(b)に示すように、回折光学素子151は、基体102と、光学調整層103と、接着界面部109とを備える。
1.基体102
基体102は、第1樹脂を含む第1光学材料からなり、表面102aを有する。図1(a)および(b)に示すように、基体102の表面102aは、第1領域105および第2領域106を含み、第1領域105に回折格子104が設けられている。
本実施形態では、基体102の表面102aは、第1領域105においてレンズ作用を有する曲面のベース形状102dを有しており、このベース形状102dに、同心円に配置された複数の輪帯を有する回折格子104が設けられている。回折格子104の半径方向の断面形状は、矩形、鋸歯状、段差状、曲面形状、フラクタル形状、ランダム形状等であってよく、他の形状であってもよい。回折格子104の輪帯の配置パターンならびに配置ピッチも、回折光学素子151に要求される特性を満たすものであれば特に限定されない。
回折格子104の輪帯の段差dは上記式(1)の関係を満足する場合、回折光学素子151は、波長に依存せずに100%の回折効率を得ることができる。ここで、n1(λ)は使用波長λにおける基体102を構成する第1光学材料の屈折率であり、n2(λ)は、使用波長λにおける光学調整層103を構成する第2光学材料の屈折率である。しかし、実際の回折光学素子151においては、回折効率が100%でなくても、おおむね回折効率が90%以上であれば、十分な光学性能を得ることができる。この条件は、詳細な検討によれば、式(1’)で示される。
Figure 2013027324
ベース形状102dは、回折格子104の底部(各輪帯の段差の底部)または、上部(各輪帯の段差の上部)を通る包絡面である。ベース形状102dは、球面、非球面またはシリンドリカル面であってもよい。特にベース形状102dが非球面である場合、球面の場合に補正できないレンズ収差を補正することが可能となる。本実施形態では図1に示すように、ベース形状102dは凸形状である。しかし、光学系における回折光学素子151に求められる機能に応じて、ベース形状102dは凹形状あるいは平面形状であってもよい。
本実施形態においては、基体102の表面102aと反対側の表面102bは平坦であり、回折格子104の同心円の中心と一致する点を中心を有する曲面形状102cが設けられている。曲面形状102cは、屈折により光路を規定する機能を有し、その形状は回折光学素子151を含む光学系全体の設計に応じて決定される。本実施形態では図1に示すように、曲面形状102cは凹形状である。しかし、光学系における回折光学素子151に求められる機能に応じて、曲面形状102cは凸形状であってもよいし、あるいは表面102bに曲面形状102cを形成せず、平面形状としてもよい。
また、本実施形態においては、基体102は一方の表面102aにのみ回折格子104および光学調整層103を備えている。しかし、基体102は、表面102aと表面102bの両方に回折格子104および光学調整層103を備えていてもよい。両面に回折格子104が設けられる場合、両面の回折格子104の溝の深さや断面形状は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。両面における光学調整層103の各々の材料および各々の厚さも同じであってもよいし、異なっていてもよい。
基体102の表面102aにおいて、第1領域105の外側に第2領域106が位置している。第2領域106は第1領域105を完全に囲んでいてもよい。以下において、説明するように、第2領域106に接着界面部109が設けられる。本実施形態では、基体102の表面102aは、第2領域106において平坦形状を有している。
基体102は、表面102aの第2領域106のさらに外側に第3領域107を備えていてもよい。この場合、第3領域107は平坦であることが好ましい。第3領域107を設けることによって、回折光学素子151を光学モジュールに実装する際、第3領域107を実装のための保持部として使用することができる。また、第3領域107を、光学モジュールの構成部品間の実装精度を確保したり、フォーカス位置の調整を行うための基準面として使用してもよい。
第3領域107を実装時の基準面として使用する場合、第3領域107の表面粗さRaは1.6μm以下であることが好ましい。第3領域107の形状ならびに大きさは、回折光学素子151が組み込まれる光学モジュールや機器によって要求される仕様等により適宜決定されるものであり、本実施形態において特に限定されるものではない。
基体102は、先述したように第1樹脂を含む第1光学材料からなる。第1光学材料として樹脂を含む材料を使用するのは、レンズの生産において射出成形等の量産性の高い製造方法を適用することができるからである。また、樹脂を含む材料は金型成形や他の加工法により微細加工を実施することが容易であるため、回折格子104のピッチを小さくすることによって回折光学素子151の性能向上および小型化・軽量化が実現できる。
第1樹脂としては、光学素子の材料として一般に使用される透光性の樹脂材料の中から、以下の条件を満たすものを選択することが好ましい。
(i)回折光学素子151の設計次数での回折効率の波長依存性を低減可能な屈折率特性と波長分散性を有する。
(ii)光学調整層103の原料中に含まれる第2樹脂の原料(モノマまたはオリゴマ)および/または第2樹脂の溶媒に浸食されることなく透光性および屈折率特性を維持し、かつ回折格子104の形状を保つ。
(iii)接着性材料中の第3樹脂の浸透ないし溶解により接着界面部109を形成する。
例えば、第1樹脂としてポリカーボネート系樹脂(例えば、帝人化成社製“パンライト”、SABICイノベーティブプラスチックス社製“レキサン”“ザイレックス”等)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、脂環式アクリル樹脂等のアクリル系樹脂、脂環式オレフィン樹脂(例えば、日本ゼオン社製“ZEONEX”、三井化学社製“アペル”等)、ポリエステル系樹脂(例えば、大阪ガスケミカル社製“OKP4”等)、シリコーン樹脂等の中から適宜選択することができる。
また、これらの樹脂に対し、成形性や機械特性等を向上させる目的で他の樹脂を添加した共重合体樹脂や、ポリマーアロイ、ブレンドポリマーを第1樹脂として用いてもよい。さらに、これらの樹脂中に、屈折率等の光学特性や、熱膨張性等の力学特性を調整するための無機粒子や、特定の波長領域の電磁波を吸収する染料や顔料等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
2.光学調整層103
光学調整層103は、先述したとおり、回折光学素子151における回折効率の波長依存性を低減するために設けられる。表面の少なくとも一方に回折格子104を形成した基体102に光学調整層103を形成し、位相型回折格子を構成する場合、ある波長λにおいてレンズの1次回折効率が100%となる回折格子深さdは式(1)により与えられる。式(1)の右辺がある波長領域において一定値になれば、その波長領域内において1次回折効率の波長依存性がなくなる。そのためには、基体102を構成する第1光学材料と光学調整層103を構成する第2の光学材料を低屈折率・高波長分散性材料と高屈折率・低波長分散性材料との組み合わせにより構成すればよい。
先述したように、波長400〜700nmの可視光の全領域において、式(1’)を満たす第1光学材料および第2光学材料の組合せを用いることによって、1次回折効率が可視光領域において90%以上となり、実質的に波長に依存しない回折光学素子151が実現する。このような回折光学素子151を、例えばレンズとして撮像用途に適用すると、フレア等の発生が抑制され画質が向上する。
光学調整層103は、回折格子104による凹凸を完全に埋め込んで平滑な表面形状を形成していれば、光学特性上は問題ない。光学調整層103の膜厚が極端に増大すると、レンズとして使用した場合にコマ収差等が増大するとともに、光学調整層103の形成時における樹脂の硬化収縮の影響が増大して表面形状の制御が困難となり、集光特性が低下する可能性がある。以上の観点から、光学調整層103の膜厚は、最も厚い部分で、回折格子深さd以上200μm以下であることが好ましく、特に回折格子深さd以上100μm以下であることがより好ましい。
光学調整層103の材料としてナノコンポジット材料を使用すると、樹脂を単独で使用する場合より基体102との屈折率差を拡大することができるため、式(1)から明らかなように、回折格子深さdを小さくすることができる。よって、光学調整層103として必要な膜厚も小さくなり、透光性が改善される。
光学調整層103の基体102と反対側の表面103aは、回折格子104の底部を通るベース形状102d(包絡面)とほぼ同じ形状を有するように形成されていてもよい。これにより、屈折作用と回折作用の組み合わせにより色収差や像面湾曲等がバランスよく改善され、MTF特性が向上した高い撮像性能を有するレンズを得ることが可能となる。
光学調整層103は、基体102からの浮き上がりや剥離による光学特性の劣化を抑制するため、基体102の表面102aの第1領域105のみならず、第2領域106の少なくとも一部を覆うように形成される。より好ましくは、接着界面部109の少なくとも一部を覆うように形成される。
光学調整層103は、第2樹脂を含む第2光学材料からなる。第2光学材料は先述したように式(1’)を満たしうるための屈折率特性を有するものの中から、基体102の表面102aの第1領域105に対する非浸食性、形状制御性、プロセスにおける取扱い性、耐環境性等の特性を考慮して選択される。第2光学材料は、第1光学材料を侵食しにくく、先述した屈折率変化層を形成しにくいものであることが好ましい。具体的には、基体102を構成する第1光学材料に含まれる第1樹脂の溶解度パラメータ(SP値)と、第2樹脂の溶解度パラメータとの差が、0.4[cal/cm31/2以上であることが好ましく、0.8[cal/cm31/2以上であることがより好ましい。
溶解度パラメータは、正則溶液理論における凝集エネルギー密度の平方根であり、ある物質の溶解度パラメータδは、モル体積Vと1モルあたりの凝集エネルギーΔEを用いて、以下の式により定義される。
δ=(ΔE/V)1/2
溶解度パラメータは物質の分子間力の指標であり、溶解度パラメータが近い物質ほど親和性が高い。溶解度パラメータには、さまざまな導出方法が存在するが、例えばFedorsらによる分子構造式から計算する方法により求めた値等を用いることができる。本願明細書で用いる溶解度パラメータはこの分子構造式から計算する方法により求めた値である。
第2樹脂と第1樹脂とが上述した溶解度パラメータの関係を満たす限り、第2樹脂として用いることのできる樹脂に特に制限はない。例えば、ポリメタクリル酸メチル、アクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;エポキシ樹脂;オキセタン樹脂;エン−チオール樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリカプロラクトン等のポリエステル樹脂;ポリスチレン等のポリスチレン樹脂;ポリプロピレン等のオレフィン樹脂;ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミドやポリエーテルイミド等のポリイミド樹脂;ポリビニルアルコール;ブチラール樹脂;酢酸ビニル樹脂;脂環式ポリオレフィン樹脂等を用いることができる。また、これらの樹脂の混合体や共重合体を用いてもよいし、これらの樹脂を変性したものを用いてもよい。
これらの中でも特に、光学調整層103の形成工程が簡易となることから、熱硬化型樹脂、エネルギー線硬化型樹脂などのエネルギー硬化型樹脂を第2樹脂として用いることができる。具体的には、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、シリコーン樹脂、エン−チオール樹脂等が挙げられる。先述したように、接着性材料に含まれる第3樹脂には、この第2樹脂と共重合可能な樹脂を選定することができる。
樹脂材料はガラスと比較して、屈折率およびその波長分散が大きく異なる材料を選択することが難しい。つまり、式(1)を満たす第1樹脂を含む第1光学材料および第2樹脂を含む第2光学材料の組み合わせの数は少ない。この問題を解決するため、マトリクス材となる樹脂に無機粒子を分散させたコンポジット材料を光学調整層103の第2光学材料として使用することができる。マトリクス材に分散させる無機粒子の種類や量、大きさによって、第2光学材料の屈折率およびアッベ数を微調整することが可能となり、式(1)を満たす第1光学材料および第2光学材料の組み合わせの候補を増やすことができる。また、第1光学材料および第2光学材料がより高い精度で式(1)を満たすようにできるため、回折光学素子151の回折効率をより向上させることができる。さらに、樹脂としても様々な物性を有する材料を使用することが可能となり、光学特性と機械特性や耐環境性、プロセスにおける取扱い性との両方を満足する第2光学材料の選択の幅が広くなる。
基体102に第1樹脂を含む第1光学材料を用い、光学調整層103として、コンポジット材料を第2光学材料として用いる場合、一般に無機粒子は樹脂より高屈折率であることが多い。このため、コンポジット材料は高屈折率低波長分散性を示すよう調整すれば、無機粒子、第1樹脂および第2樹脂として選択し得る材料が多くなる。
コンポジット材料によって構成される第2光学材料の屈折率は、マトリクス材となる第2樹脂および無機粒子の屈折率から、例えば下記式(2)にて表されるマックスウェル−ガーネット理論により推定できる。式(2)よりのd線(587.6nm)F線(486.1nm)C線(656.3nm)における屈折率をそれぞれ推定することにより、さらにコンポジット材料のアッベ数を推定することも可能である。逆にこの理論に基づく推定から、マトリクス材となる第2樹脂と無機粒子との混合比を決定してもよい。
Figure 2013027324
なお、式(2)において、nCOMλはある特定波長λにおけるコンポジット材料の平均屈折率であり、n、nはそれぞれこの波長λにおける無機粒子およびマトリクス材となる第2樹脂の屈折率である。Pは、コンポジット材料全体に対する無機粒子の体積比である。無機粒子が光を吸収する場合や無機粒子が金属を含む場合には、式(2)の屈折率を複素屈折率として計算する。
先述したとおり、光学調整層103の第2光学材料としてコンポジット材料を使用する場合、コンポジット材料は高屈折率かつ低波長分散性を示すことが好ましい。そこで、コンポジット材料中に分散させる無機粒子についても、低波長分散性、すなわち高アッベ数の材料を主成分とすることが好ましい。例えば、酸化ジルコニウム(アッベ数:35)、酸化イットリウム(アッベ数:34)、酸化ランタン(アッベ数:35)、アルミナ(アッベ数:76)およびシリカ(アッベ数:68)、酸化ハフニウム(アッベ数:32)、YAG(アッベ数:52)および酸化スカンジウム(アッベ数:27)からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸化物を主成分とすることができる。また、これらの複合酸化物を用いてもよい。さらにこれらの無機粒子に加えて、例えば酸化チタンや酸化亜鉛等に代表される高屈折率を示す無機粒子等を共存させても、コンポジット材料である第2光学材料の屈折率が使用する波長領域において式(1)を満たしていれば差し支えない。
コンポジット材料中における無機粒子の中心粒径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。中心粒径が100nm以下であれば、レイリー散乱による損失を低減させ、光学調整層103の透明性を高くすることができる。また、中心粒径が1nm以上であれば、量子効果による発光等の影響を抑制することができる。コンポジット材料中には、必要に応じて、無機粒子の分散性を改善する分散剤や、重合開始剤、レベリング剤等の添加剤を含有してもよい。
コンポジット材料を第2光学材料として用いて光学調整層103を形成する場合、形成工程内においては溶媒を共存させても良い。コンポジット材料に含まれる溶媒は、無機粒子を第2樹脂中で分散させやすくしたり、粘度を調整して気泡なく光学調整層103を形成したりするために使用される。溶媒の種類については、無機粒子の分散性、コンポジット材料のマトリクス材となる樹脂の溶解性、プロセスにおける取扱い性(基体への濡れ性、乾燥の容易性(沸点、蒸気圧)等)等、必要とされる特性を満たすものを選定すればよい。
3.接着界面部109
接着界面部109は、回折格子104が設けられた第1領域105以外の第2領域106において、基体102および光学調整層103のそれぞれと強い相互作用を有することによって、光学調整層103が基体102から剥離するのを抑制する。接着界面部109は、基体102の表面102aの第2領域106に位置しており、少なくとも一部が光学調整層103の下方に位置し、かつ、表面102aから基体102の内部にかけて位置している。接着界面部109は、回折格子104が設けられた第1領域105には、設けられておらず、第1領域105において光学調整層103と基体102の表面102aとは直接接触し、密着している。図1(a)に示すように、本実施形態では、接着界面部109は、基体102の表面102aの第2領域106において、第1領域105を連続的に囲んでおり、リング形状を有している。また、接着界面部109の全体が光学調整層103の下方に位置している。同心円状に配置された複数の輪帯によって構成される回折格子104が基体102の表面102aの第1領域105に設けられている場合、好ましくは、図1(a)に示すように、接着界面部109のリング形状の中心は、輪帯の同心円の中心と一致する。これにより、接着界面部109を介して基体102と光学調整層103との間に働く力が回折格子104の同心円の中心(回折光学素子151の光軸111)に対して均一に分散する。よって、光学調整層103を形成する際に生じる応力が均一になり、応力が集中する特定の箇所を起点とした光学調整層103の基体102からの剥離を抑制することができる。
接着界面部109の表面102aにおける、回折格子104の同心円の半径方向の幅は、基体102と光学調整層103との密着性が接着界面部109によって確保される限り、特に制限はない。例えば、第1領域の直径が0.5mm以上5.0mm以下程度である場合には、接着界面部109の表面102aにおける幅は、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは50μm以上である。上限値は、回折光学素子151全体の設計、すなわち基体102の表面102aの第2領域106の幅により規定される。
回折光学素子151は、複数の独立した接着界面部109を備えていてもよい。図2(a)、(b)、(c)に示すように、複数の接着界面部109が、基体102の表面102aの第2領域106において、第1領域105の周囲に間隙を設けて配置されていてもよい。この場合、好ましくは、複数の接着界面部109は、回折格子104の輪帯の同心円の中心と一致する点を中心とする同心円上に配置されていることが好ましい。また、接着界面部109の数をNとした場合、360/N(度)間隔で配置されていることが好ましい。図2(a)、(b)、(c)は、Nが2、3、6である場合を示しているが、特に個数に制限はない。接着界面部109が360/N(度)間隔で配置されることにより、先述したように光学調整層103に生じる応力が、回折格子104の同心円の中心(回折光学素子151の光軸)に対して均一になる。
接着界面部109は、光学調整層103を構成する第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料を含む。本実施形態では、接着性材料は、基体102を構成する第1光学材料に含まれる第1樹脂および光学調整層103を構成する第2光学材料に含まれる第2樹脂とは異なる第3樹脂を含む。第3樹脂の原料は、基体102を構成する第1光学材料に対して溶解性ないし浸透性を有するとともに、光学調整層103を構成する第2光学材料とも相互作用する。
接着界面部109は、基体102の表面102aの第2領域106に、上述した接着界面部109の形状および個数で接着性材料を配置し、第3樹脂を基体102の表面102aから内部へ浸透させることによって形成される。
第3樹脂の原料が基体102の表面102aから内部へ浸透することによって、基体102の表面102aから内部に第3樹脂の原料が拡散し、基体102中に第1光学材料と組成の異なる領域が形成される。この第1光学材料と組成の異なる領域を接着界面部109と定義する。接着界面部109は第1光学材料および第3樹脂を含んでいる。基体102中に接着界面部109が存在することは、FT−IR、ラマン分光、NMR、X線マイクロアナライザ等の方法による構成材料の組成の特定、あるいは、組成の変化を検出することによって確認することが可能である。また、接着性材料の浸透ないし溶解により組成とともに屈折率が変化する場合は、光学顕微鏡観察によっても接着界面部の存在を確認することができる。
第3樹脂の原料が基体102の表面102aから内部へ浸透する際、基体102中の第1光学材料が接着性材料へ浸透し、接着性材料内へ第1光学材料が拡散し得る。第1光学材料の接着性材料への浸透速度が速い場合、基体102の表面102aに配置した接着性材料へ第1光学材料が拡散することによって、接着性材料と基体102との明瞭な界面が観察できなくなる。この場合、図1(b)に示すように表面102a上の接着性材料と基体102中の接着界面部109は、全体として、第1光学材料および第3樹脂を含む一体的な接着界面部109を形成する。つまり、接着界面部109は、基体102の表面102aから基体102の内部にかけて位置しているのに加えて、基体102の表面102aから、光学調整層103の内部にかけても位置している。この場合、接着性材料は、基体102に溶解したと定義する。
一方、第1光学材料の接着性材料への浸透速度が遅い場合、基体102の表面102aに配置した接着性材料には第1光学材料がほとんど含まれず、接着性材料と基体102との明瞭な界面が観察される。この場合、図1(c)に示すように、表面102aには、主に接着性材料のみを含み、接着界面部109と異なる組成を有する接着性材料層108が形成される。つまり、接着界面部109は、主に基体102の表面102aから基体102の内部にかけて位置し、基体102の表面102aから光学調整層103の内部にかけては、接着性材料層108が存在する。言い換えると、接着性材料層108は、光学調整層103と接着界面部109との間に存在する。
接着界面部109では、第1光学材料に含まれる第1樹脂の分子鎖と、浸透ないし溶解した接着性材料の第3樹脂とが分子レベルで相互に絡み合うことにより、基体102と接着界面部109との密着性が発現している。
接着界面部109は、基体102の表面102aから0.1μm以上100μm以下、より好ましくは1μm以上20μm以下の深さにまで形成されていることが好ましい。接着界面部109の深さが0.1μm未満の場合、基体102と接着界面部109との密着性が十分ではない可能性がある。一方、接着界面部109の深さが100μmより大きい場合、接着性材料の基体102に対する浸透ないし溶解性が非常に高いことを示しており、基体102の光学特性ならびに形状に変化が生じている可能性がある。
図1(c)に示す接着性材料層108の表面102aからの高さ、または、図1(b)に示す接着界面部109の表面102aからの高さは光学調整層103の厚さより小さければよい。具体的には、高さは、0.1μm以上であり、かつ、光学調整層103の厚みの95%以下であることが好ましく、1μm以上であり、かつ、光学調整層103の厚みの90%以下であることがより好ましい。高さが、0.1μmより小さい場合、基体102内に形成される接着界面部109も浅くなりやすく、先述した好ましい深さを有する接着界面部109が形成されない可能性がある。また、光学調整層103の厚みの95%より厚くなると、光学調整層103のうち接着性材料層108または接着界面部109を覆う部分の厚みが極端に薄くなり、強度が十分に確保できない可能性がある。
なお先述したように、接着性材料が基体102に対して溶解し、一体化した接着界面部109が形成される場合、接着界面部109における基体102の表面102aの位置は明確ではない。この場合は、第2領域106および/または第3領域107における、接着界面部109の周辺の表面102aの位置から先述した接着界面部109の深さおよび高さを規定する。
接着界面部109と光学調整層103とは、主として、第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料によって接合する。図1(c)に示すように、一体的な接着界面部109を備えている場合には、接着界面部109と光学調整層103とが直接接するため、接着性材料によって接着界面部109と光学調整層103とが密着する。接着性材料層108を備えている場合には、接着性材料により構成される接着性材料層108が光学調整層103と接するため、接着性材料層108および接着界面部109によって、接着界面部109と光学調整層103とが密着する。
接着性材料の第2光学材料に対する接着性は、接着性材料と第2光学材料との相互作用により得られる。具体的には、第2光学材料に含まれる第2樹脂と接着性材料に含まれる第3樹脂との共重合による共有結合形成、および、第2樹脂と第3樹脂とのイオン結合、水素結合、π電子相互作用、配位結合等による。
接着性材料に含まれる第3樹脂は、基体102を構成する第1光学材料に浸透または溶解する性質を備えていることが好ましい。具体的には、第3樹脂の溶解度パラメータと第1光学材料に含まれる第1樹脂の溶解度パラメータとの差が、0.8[cal/cm31/2以下であることが好ましい。これにより、第3樹脂が基体102へ浸透あるいは溶解しやすくなり、強力な接着力が得られる。
一方、第3樹脂と第2光学材料との相互作用については、上述した相互作用のなかから第2光学材料の組成に応じて適切なメカニズムを選定する。特に、第2光学材料に含まれる第2樹脂として形成工程が簡易なエネルギー硬化型樹脂を使用する場合、第3樹脂としては、第2樹脂と共重合による共有結合形成が可能なエネルギー硬化型樹脂を使用することが好ましい。これにより、第2樹脂の硬化反応により光学調整層103を形成すると同時に、第2樹脂と第3樹脂の間に共有結合が形成され、結果として光学調整層103と接着性材料層108が強固に接着される。
以上の観点から、接着性材料に含まれる第3樹脂としては、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタン基を有する樹脂、シリコーン樹脂、エン−チオール樹脂等の中から、後述する第2樹脂と共重合する樹脂を使用することができる。
接着性材料中には、第3樹脂の他に、第3樹脂を硬化させる重合開始剤、接着性を強化する樹脂やエラストマー、工程中の作業性を改善する無機フィラーや増粘剤、その他必要に応じた添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態の回折光学素子によれば、第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料を含む接着界面部が、基体表面の第2領域において、表面から内部にかけて設けられている。このため、接着界面部がアンカーとして機能し、光学調整層と基体とを密着させる。このため、光学調整層を形成する際の樹脂の収縮や型からの離型による応力によって光学調整層の端部が基体から浮き上がったり、剥離したりするのを防止することができ、製造時の不良を抑制でき、生産歩留まりを向上させることができる。また、環境の変化や長期の使用により、光学調整層の端部が徐々に基体から浮き上がったり剥離したりするのを防止できるため、回折光学素子の長期信頼性を高めることができる。また、接着界面部は、回折格子が設けられた領域の外側である第2領域に設けられるため、回折格子の光学特性を損ねることがない。
特に第1光学材料に含まれる第1樹脂として、生産性の高い射出成形等が適用でき、樹脂分子鎖中に他の材料と共重合可能な官能基を基本的に持たない熱可塑性樹脂を使用する場合でも、本実施形態によれば、簡易でありかつ効果的に基体と光学調整層の密着性を確保することが可能となる。
なお、本実施形態において、第2領域106は平坦形状を有していたが、他の形状を有していてもよい。図3に示す回折光学素子151’’は、表面102aの第2領域106に、溝が設けられ、凹凸形状301を備えている。この凹凸形状301の上に接着性材を配置し、基体102へ浸透させることにより、凹凸形状301の表面から内部に接着界面部109’’が位置している。これにより、基体102内に位置する接着界面部109’’の接着界面部109’’と基体102との接触面積が増大し、アンカー効果が発現するため、両者の密着性がさらに増大する。
凹凸形状301は、図3においては鋸刃状の断面を有している。凹凸形状301の断面は、基体102と接着性材料層108との密着性が確保できる限り、特に制限はなく、断面は、矩形、三角形、円弧であってもよい。また、表面102aは、第2領域106において、シボ加工形成やサンドブラスト等による粗面によって構成される凹凸形状301を備えていてもよい。また、これらの形状を組み合わせてもよい。
この場合、接着界面部109’’の深さは、凹凸形状301の最も低い部分から上述した範囲にあることが好ましい。
また、図1、図2および図3に示すように、本実施形態では、接着性材料層108または接着界面部109、109’、109’’は、光学調整層との界面において凸状断面形状を有していた。しかし、基体102と光学調整層103との密着性が確保される限り、矩形、三角形、波形等、他の断面形状を有していてもよい。
(第2の実施形態)
以下本発明による回折光学素子の第2の実施形態を説明する。
図4は第2の実施形態である回折光学素子152Aの断面構造を示している。図4(a)に示すように、回折光学素子152Aは、基体102、光学調整層103’および接着界面部404を備えている。接着界面部404は、基体102の表面102aの第2領域106において、表面102aから基体102の内部にかけて位置しており、表面102aから上部には位置していない点および接着界面部404が第3樹脂に代えて第2樹脂を含む点で、第1の実施形態と異なっている。回折光学素子152Aの他の構成は第1の実施形態と同じである。
なお、図4においては、光学調整層103’を構成する第2光学材料として、第2樹脂を含むマトリクス材403中に無機粒子402を分散させたナノコンポジット材料を使用した場合について例示しているが、第2光学材料は、第2樹脂を含む限りにおいては、ナノコンポジット材料に限定されるものではない。
基体102を構成する第1光学材料への接着性材料の溶解性および浸透性は、溶解度パラメータを1つの指標とする物質の極性ならびに分子サイズに加えて、温度等の周辺環境、溶媒や添加剤等の共存物質等にも影響を受ける。例えば高温下においては、第1光学材料に含まれる第1樹脂材料の分子鎖の運動性が高くなることから、接着性材料が第1樹脂の分子鎖のすき間に入りやすくなり、溶解性および浸透性が向上する。また、溶媒は一般的に分子サイズが小さく、第1樹脂の分子鎖のすき間に入りやすいと考えられる。すなわち溶媒により第1樹脂は膨潤し、第1樹脂の分子鎖のすき間が拡大された状態をとる。したがって接着性材料が溶媒に溶解している場合は、単独で第1樹脂に接触している場合より浸透ないし溶解しやすいものと考えられる。
図5に、第1光学材料の第1樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用し、接着性材料として2種類のエネルギー硬化型樹脂、およびこの樹脂を含むナノコンポジット材料を使用した場合に、ポリカーボネート樹脂に形成される接着界面部の厚みを示す。図5より、同一の接着性材料を使用しても、第1光学材料との接触時間の長さ、溶媒の有無、溶媒乾燥方法の違いにより、接触界面層の厚みが大きく異なっている。
このことから、基体102の表面102aの第1領域105上に形成される光学調整層103と、基体102の表面102aの第2領域106上に形成される接着性材料に、共通の材料、すなわち第2樹脂を含む第2光学材料を使用しても、両者の形成工程を分離することにより、基体102の表面102aの第1領域105には、接着界面部を形成せず、第2領域106にのみ接着界面部404を形成することが可能である。
光学調整層103の第2光学材料に含まれる第2樹脂としてエネルギー硬化型樹脂を使用する場合、基体102を構成する第1樹脂を含む第1光学材料への浸透ないし溶解性が高いのは、未硬化状態の原料である。したがって、光学調整層103の形成工程において、基体102が、第2樹脂を含む接着性材料と接触する時間を、基体102が光学調整層103の原料と接触する時間と比較して十分長くとる、および/または接着性材料と基体102とを高温下にて接触させることにより、第2領域106の下部にのみ接着界面部404を形成することが可能となる。あるいは、接着性材料のみ溶媒に溶解した状態で基体102と接触させ、加熱ないし減圧乾燥により溶媒を除去する工程を実施することによっても、接着界面部404の形成が可能である。
この場合、光学調整層103と接着性材料は同じ材料により構成されることから、最終的に得られる回折光学素子401においては、図4に示すように、光学調整層103と接着性材料層が一体化し、接着性材料層の存在が確認されない。しかし、接着性材料を配置した基体102の表面102aの第2領域106から深さ方向には、第2樹脂を含む接着性材料が浸透ないし溶解し、接着界面部404が形成されている。接着界面部404は第1の実施形態で説明した方法により確認することが可能である。
光学調整層103および接着性材料として、マトリクス材403に第2樹脂を含むナノコンポジット材料を使用し、接着性材料の浸透により接着界面部404を形成する場合、接着界面部404には第2樹脂を含む有機成分が浸透しており、ナノコンポジット材料中に含まれる無機粒子402は含まれない。これは、ナノメートルオーダーの大きさを持つ無機粒子402は、基体102を構成する第1光学材料の分子鎖のすき間に対して十分に大きく、基体102側に浸透できないためである。一方、図4(b)に示すように、接着性材料が基体102の第1光学樹脂に溶解する場合、接着性材料の第1光学材料に対する溶解性に応じた割合で無機粒子402がさらに含まれる接着界面部405を備えた回折光学素子152Bが形成される。
先述したように、第2光学材料および接着層材料としてナノコンポジット材料を使用する場合、製造工程内においては溶媒を共存させても良い。特に接着層材料としてナノコンポジット材料を使用する場合、無機粒子分散性や粘度調整の作用の他、第1光学材料への接着性材料の浸透ないし溶解を促進し、接着界面部404、405の形成を補助する作用も有する。
本実施形態の回折光学素子によれば、接着性材料が第2樹脂を含むため、光学調整層103と接着性材料層との共有結合が容易に形成され、両者の密着性が確保される。また、接着性材料層を配置するための設備として、光学調整層103の原料を配置する設備を共用することが可能であり、生産性をより高めることができる。この結果、光学特性と生産歩留まり・信頼性を両立した回折光学素子を、高い生産性で作製することができる。
(第3の実施形態)
本発明による回折光学素子を製造する方法の実施形態を説明する。まず、図6(a)に示すように表面102aの第1領域105に回折格子104が形成された基体102を用意する。第1樹脂を含む第1光学材料を用いて、表面102aに回折格子104が形成された基体102を成形する。先述したように、基体102の表面は球面形状や非球面形状を有し、レンズ作用を備えていてもよいし、平坦であってよい。第1領域105の回折格子104、および第2領域106に形成する凹凸形状301(図6には図示していない)は、例えば成形、転写、切削、研削、研磨、レーザー加工、エッチング等、その形状と基体102の材質に応じた方法で形成することができる。基体102が第1樹脂を含む第1光学材料によって構成されるため、射出成形等の成形を用いて、回折格子104および凹凸形状301が形成された基体102を一体的に形成することが非常に簡便であり好ましい。これにより、生産性を大きく向上することができる。あるいは、成形により、回折格子104が形成された基体102を一体的に形成し、第2領域106上の凹凸形状301のみを、バイトなどを用いた切削によって形成してもよい。基体102が第1樹脂を含む第1の光学材料によって形成されているため、このような方法によっても容易に凹凸形状301を形成することができる。
成形により、一体的に基体102を作製する場合、金型加工が容易であり、また、加工精度の高い回折格子104を形成するためには、回折格子104の深さは20μm以下であることが好ましい。回折格子104の深さが数十μmを越える場合、型を高い精度で加工することが困難となる。これは、一般に金型はバイトを用いた切削により形状加工が行われるが、回折格子104が深くなると加工量が増え、バイト先端が磨耗するため、加工の進行に伴って加工精度が劣化するからである。また、回折格子104が深くなるとピッチを狭くすることが困難となる。これは、回折格子104が深くなると先端の曲率半径の大きなバイトで金型を加工する必要があり、その結果、ある程度ピッチを広げないと回折格子104の加工ができなくなるためである。これらのことから、回折格子104が深いほど設計自由度がなくなり、回折格子104の導入による収差低減効果が得られなくなってしまう。
次に、基体102の表面102aの第2領域106上に、第2樹脂あるいは第3樹脂を含む接着性材料の原料601を配置する(図6(a))。
接着性材料の原料601を基体102上に配置する方法は、粘度等の材料特性および接着性材料層のサイズ等に応じて、公知のコーティング層形成プロセスから適宜選択される。具体的には、ディスペンサ等の注液ノズルを用いた塗布、インクジェット法等の噴射塗布、スクリーン印刷やパッド印刷等のスキージングによる塗布、転写等の方法を用いることができる。これらのプロセスを適宜組み合わせてもよい。
後述する硬化工程までの間に、配置された接着性材料の原料601から、基体102に対して第2樹脂あるいは第3樹脂を含む接着性材料が浸透ないし溶解し、基体102の表面102aの第2領域106から深さ方向に接着界面部602が形成される(図6(b))。接着性材料の原料601が溶媒を含む場合は、加熱または減圧により適宜溶媒除去を行う。特に加熱乾燥を実施すれば、溶媒の除去と同時に接着性材料の基体102への浸透ないし溶解が進行し、接着界面部602の形成が促進される。また、接着性材料の原料601が溶媒を含まない場合でも、加熱処理を実施することにより同様に接着界面部602の形成が促進される。
続いて、第2樹脂の原料を含む第2光学材料の原料603を用意し、回折格子104を完全に覆い、かつ、先の工程にて配置された接着性材料の原料601の少なくとも一部を覆うように、第2光学材料の原料を基体102上に配置する。
第2光学材料の原料603を基体102上に配置する方法は、粘度等の材料特性および回折光学素子151に要求される光学的特性から決定される光学調整層103の形状精度に応じて、公知のコーティング層形成プロセスから適宜選択される。具体的には、先に接着性材料の原料601の配置工程にて述べたプロセスの他に、型を使用した各種成形法、スピンコーティング法等の回転による塗布等の方法を用いることができる。これらのプロセスを適宜組み合わせてもよい。先述したプロセスの中でも特に、回折格子104を埋めた上で光学調整層103の表面形状を平滑に規定する観点から、成形、パッド印刷、スクリーン印刷のいずれかの方法またはこれらを組み合わせた方法を用いることが好ましい。
成形により第2光学材料の原料603を配置する場合、第2光学材料の原料603をまず型604側に配置(図6(c))した後、接着性材料の原料601を配置した基体102を型604に設置(図6(d))することにより、第2光学材料の原料603と接着性材料の原料601との間で、基体102との接触時間の差がより拡大される。特に接着性材料の原料601に第2光学材料と共通の第2樹脂を含む場合、あるいは第2光学材料の原料603中に第1光学材料に対する浸透性ないし溶解性の高い材料(モノマ、オリゴマ、溶媒等)が含まれる場合、本工程を採用することにより、接着界面部602が基体102の表面102aの第2領域106近傍にのみ形成され、光学特性と生産歩留まり・信頼性を両立した回折光学素子151を得ることができる。
その後、エネルギー硬化型樹脂を第2樹脂および/または第3樹脂に用いる場合には、これらの原料を含む第2光学材料の原料603および/または接着性材料の原料601を硬化させる工程を行う。第2樹脂の原料を硬化させることにより、第2光学材料の原料603全体が硬化し、光学調整層103が形成される。それとともに、第2光学材料中に含まれる第2樹脂と、接着性材料中に含まれる第2樹脂または第3樹脂との間に共有結合が形成され、両者の密着性が確保される。これにより回折格子104を有する基体102の表面に光学調整層103が設けられた回折光学素子151が完成する(図6(e))。
硬化の方法は、使用する樹脂の種類に応じて、熱硬化やエネルギー線照射等の工程を用いることができる。硬化工程に使用するエネルギー線としては、たとえば、紫外線、可視光線、赤外線、電子線等が挙げられる。紫外線硬化を実施する場合には、第2光学材料の原料603および/または接着性材料の原料601にあらかじめ光重合開始剤を添加しておいてもよい。電子線硬化を実施する場合には重合開始剤は通常必要ない。
なお、上記第1から第3の実施形態では、接着界面部は光学調整層に完全に覆われていた。しかし、接着界面部の少なくとも一部が光学調整層の下方に位置し、覆われていればよい。たとえば、図7(a)に示すように、回折光学素子153Aにおいて、接着界面部109および接着性材料層108が光学調整層103の端部からはみ出しており、接着性材料層108の一部が露出していてもよい。また、図7(b)に示すように、回折光学素子153Bにおいて、接着界面部109が光学調整層103の端部からはみ出しており、接着界面部109の一部が露出していてもよい。
回折光学素子153A、153Bによれば、第2領域が狭い場合でも、接着界面部109と基体102との接触面積を大きくすることができる。このため、たとえば、接着界面部109の第2樹脂または第3樹脂の原料が基体102へ十分に浸透しない場合、つまり、接着界面部109の深さが小さい場合でも、接着界面部109と基体102との間の接合力を高めることができる。
また、光学調整層は第2領域106全体において、基体の表面102aと密着していなくてもよい。図8(a)に示すように、回折光学素子154Aにおいて、光学調整層103の端部が基体102の表面から離れており、接着性材料層108が光学調整層103の離間した端部を覆っていてもよい。また、図7(b)に示すように、回折光学素子154Bにおいて、光学調整層103の端部が基体102の表面から離れており、接着界面部109が光学調整層103の離間した端部を覆っていてもよい。光学調整層103の形成時に第2光学材料の収縮が大きい場合、光学調整層103の端部が基体102から浮き上がる可能性がある。この場合でも、接着性材料層108または接着界面部109が端部を覆っていれば、光学調整層の端部がさらに基体から浮き上がったり、剥離したりするのを防止することができ、第1から第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以下、実施形態による回折光学素子の効果を確認するために、回折光学素子を作製し、特性を評価した結果を説明する。
(実施例1)
実施例1の回折光学素子を以下に説明するように作製した。図1に示すように、基体102として、ビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂(直径9mm、厚さ0.8mm、d線屈折率1.585、アッベ数28、SP値9.8)製の非球面レンズの一面に深さ15μmの輪帯状の回折格子104を設けたものを、射出成形により作製した。レンズ部の有効半径は0.821mmであり、輪帯数は33本である。最小輪帯ピッチは13μmであり、回折面の近軸R(曲率半径)は−1.0094mmであった。
この基体102の表面102aの第2領域106に、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(SP値9.0)と光重合開始剤イルガキュア(登録商標)184(樹脂に対して3重量%)との混合物を、接着性材料層108の原料としてディスペンサを用いて輪帯状の回折格子104を囲むように円周状に配置した。
続いて第2光学材料の原料として、水酸基含有アクリル系オリゴマ混合物(d線屈折率1.539、アッベ数46、硬化後の密度1.18g/cm3、SP値11.6)、光重合開始剤イルガキュア184(樹脂に対して3重量%)、酸化ジルコニウムフィラー(一次粒径6nm、酸化ジルコニウム100重量部に対してシラン系表面処理剤を45重量部含有、固形分中における重量比が62重量%)のイソプロピルアルコール分散液(全固形分62重量%)を作製した。この原料0.4μLを、ディスペンサを用いて非球面形状を規定する金型上に配置し、ホットプレート加熱(110℃、8分)によりイソプロピルアルコールを除去した。
この第2光学材料の原料を配置した金型に、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートを第2領域106に配置した基体102を設置、押圧により第2光学材料の原料を非球面形状に成形した後、UV照射(照度170mW/cm2、積算光量5000mJ/cm2)を行い、光学調整層103と接着性材料層108を同時に硬化、形成した。その後、金型から離型することにより、図1に示す構成の回折光学素子151を得た。得られた回折光学素子151の断面を光学顕微鏡により観察したところ、基体102の表面102aの第2領域106と光学調整層103との境界に、接着性材料層108が幅300μm、最大厚さ5μmにて形成されており、基体102の接着性材料層108と接触する部分においては、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートが浸透したとみられる接着界面部109が、深さ5μmにわたって形成されていることが確認した。
実施例1の回折光学素子は、光学調整層103の端部まで基体102との密着性が確保されており、撮影画像には不要回折光や迷光に伴う顕著なフレア光の発生はなく、良好な画像が得られた。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により実施例2の回折光学素子を作製した。実施例1と異なるのは、接着性材料として第2光学材料の原料と同じ分散液を使用し、ディスペンサによる配置工程の後にホットプレート加熱(110℃、8分)によるイソプロピルアルコール除去を実施した点である。この結果、接着性材料層108が光学顕微鏡観察においては確認されなかったが、接着界面部404に関しては、基体102の表面102aの第2領域106から深さ方向に、最大厚さ20μmにわたって形成されていることを確認した。
実施例2の回折光学素子は、光学調整層103の端部まで基体102との密着性が確保されており、撮影画像には不要回折光や迷光に伴う顕著なフレア光の発生はなく、良好な画像が得られた。
(実施例3)
実施例2と同様の方法により実施例3の回折光学素子を作製した。実施例2と異なるのは、接着性材料の形状を、輪帯状回折格子を囲む円周状から、輪帯状回折格子の周辺を囲む円周上に、それぞれ0°、120°、240°の位置に配置した3ヶ所のスポット状に変更した点である。この結果、接着性材料層108が光学顕微鏡観察においては確認されなかったが、接着界面部404に関しては、基体102の表面102aの第2領域106から深さ方向に、最大厚さ20μmにわたって形成されていることを確認した。
実施例3の回折光学素子は、光学調整層103の端部まで基体102との密着性が確保されており、撮影画像には不要回折光や迷光に伴う顕著なフレア光の発生はなく、良好な画像が得られた。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により比較例1の回折光学素子を作製した。比較例1の回折光学素子は、接着性材料層108ならびに接着界面部109が形成されていない点で実施例1と異なる。
比較例1の回折光学素子は、光学調整層103のうち基体102の表面102aの第2領域106に到達していた部分が基体102から剥離していた。これを高温環境下に保持(85℃、200時間)したところ、光学調整層103の基体102からの剥離が、表面102aの第1領域105(すなわち回折光学素子の有効領域)に拡大した。
比較例1の回折光学素子については、撮影画像にフレア光の発生が確認された。これは、光学調整層103の剥離に伴い、表面に規定された非球面形状が変形し、集光特性が悪化したことに起因する。
本願に開示された回折光学素子は、撮像レンズとして携帯電話用、車載用などのカメラモジュールに利用可能である。その他、空間ローパスフィルタ、偏光ホログラム等にも利用可能である。
151、152A、152B、153A、153B 回折光学素子
154A、154B、751、752、752A、752B 回折光学素子
102、702、702a、702b 基体
102a、102b 表面
102c、曲面形状
102d ベース形状
103、103’703、703a、703b 光学調整層
103a 光学調整層の表面
104、704、704a、704b 回折格子
105 第1領域
106 第2領域
107 第3領域
108 接着性材料層
109、109’’404、405 接着界面部
301 凹凸形状
402、722 無機粒子
403、721 マトリクス材
601 接着性材料の原料
603 第2光学材料の原料
604 型
705、705a、705b 屈折率変化層
706 光軸
707 入射光
708 0次回折光
709 1次回折光
710 2次回折光
711 設計における出射光
712 出射光

Claims (25)

  1. 第1樹脂を含む第1光学材料からなる基体であって、回折格子の設けられた第1領域と、前記第1領域の外側に位置する第2領域とを含む表面を有する基体と、
    第2樹脂を含む第2光学材料からなる光学調整層であって、前記表面の前記第2領域および前記第1領域を覆って前記基体に設けられた光学調整層と、
    前記第2光学材料に対して接着性を有する接着性材料を含む接着界面部であって、前記基体表面の第2領域において、少なくとも一部が前記光学調整層の下方に位置し、かつ、前記表面から内部にかけて位置する接着界面部と
    を備えた回折光学素子。
  2. 前記接着界面部は、前記基体表面の第2領域において、前記第1領域を連続的に囲んでいる請求項1に記載の回折光学素子。
  3. 前記接着界面部を複数備え、
    前記複数の接着界面部は、前記表面の第2領域において、前記第1の領域の周囲に間隙を設けて配置されている請求項1に記載の回折光学素子。
  4. 前記基体は、前記表面の前記第1領域において、レンズ作用を有する曲面のベース形状を有し、前記回折格子は前記ベース形状上において同心円に配置された複数の輪帯を含む請求項2または3に記載の回折光学素子。
  5. 前記表面において、前記第2領域は、前記第1領域を囲んでおり、前記接着界面部は、前記第2領域において、前記回折格子の同心円の中心と一致する点を中心として同心円状に配置されている請求項4に記載の回折光学素子。
  6. 前記接着性材料は前記第2樹脂を含む請求項1から5のいずれかに記載の回折光学素子。
  7. 前記第2樹脂はエネルギー硬化型樹脂である請求項6に記載の回折光学素子。
  8. 前記接着性材料は第3樹脂を含む請求項1から5のいずれかに記載の回折光学素子。
  9. 前記第3樹脂はエネルギー硬化型樹脂である請求項8に記載の回折光学素子。
  10. 前記第3樹脂は、前記第2樹脂と共重合する官能基を有するエネルギー線硬化型樹脂である請求項9に記載の回折光学素子。
  11. 前記第3樹脂の溶解度パラメータと前記第1樹脂の溶解度パラメータとの差は0.8[cal/cm3]1/2以下である、請求項8から10のいずれかに記載の回折光学素子。
  12. 前記第1樹脂は、熱可塑性樹脂である請求項1から11のいずれかに記載の回折光学素子。
  13. 前記接着界面部は、前記第2領域において、前記基体の表面から、前記光学調整層の内部にかけて位置している他の一部を有する請求項1から5のいずれかに記載の回折光学素子。
  14. 前記接着界面部と前記光学調整層との間に位置し、前記接着性材料を含む接着性材料層をさらに備える請求項1から5のいずれかに記載の回折光学素子。
  15. 前記基体は、前記表面の前記第2領域に位置する凹凸形状を有し、前記接着界面部は、前記凹凸形状の表面から内部にかけて位置している請求項1から14のいずれかに記載の回折光学素子。
  16. 前記基体の表面は、前記第2領域の外周に位置し平坦な表面部分を有する第3領域をさらに含む請求項1から15のいずれかに記載の回折光学素子。
  17. 前記第2光学材料はさらに無機粒子を含み、前記無機粒子が前記第2樹脂中に分散している請求項1から16のいずれかに記載の回折光学素子。
  18. 前記光学調整層は前記第1領域の全体において、前記基体の表面と直接接触している請求項1から17のいずれかに記載の回折光学素子。
  19. 第1樹脂を含む第1光学材料からなる基体であって、回折格子の設けられた第1領域と、前記第1領域の外側に位置する第2領域とを含む表面を有する基体を用意する工程(A)と、
    前記基体表面の第2領域の少なくとも一部に、接着性を有する接着性材料の原料を配置する工程(B)と、
    前記基体表面の第1領域全体、および前記第2領域に配置された接着性材料の原料の少なくとも一部を覆うように、前記基体上に第2樹脂の原料を含む第2光学材料の原料を配置する工程(C)と、
    前記第2樹脂の原料を硬化させることにより、前記第2光学材料からなる光学調整層を形成する工程(D)と、
    を包含する回折光学素子の製造方法。
  20. 前記工程(D)において、前記第2樹脂の原料と同時に、接着性材料の原料を硬化させる、請求項19に記載の回折光学素子の製造方法。
  21. 前記工程(D)において、前記第2樹脂の原料および接着性材料の原料の硬化を、エネルギー線の照射により行う、請求項20に記載の回折光学素子の製造方法。
  22. 前記工程(C)は、
    前記第2光学材料の原料を金型上に配置する工程と、
    前記接着性材料の原料を前記第2領域に配置した基体を前記金型に設置する工程と
    を含む請求項19から21のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
  23. 前記工程(C)の後に、前記基体を加熱する工程(E)をさらに包含する請求項19から22のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
  24. 前記接着性材料の原料は溶媒を含み、前記工程(E)において前記溶媒が前記接着性材料の原料から除去される請求項23に記載の回折光学素子の製造方法。
  25. 前記基体は、前記表面の前記第2領域に位置する凹凸形状を有し、
    前記工程(A)は、前記基体の第2領域の凹凸形状を、前記凹凸形状に対応した形状が表面に形成された型を用い、成形により前記基体を形成する請求項19から24のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
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