JPWO2012168993A1 - オニオンライクカーボンの作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 オニオンライクカーボン(OLC)を低コストで作製する。【解決手段】 本発明では、第1ステップとしてのDLC粉末作製処理において、炭化水素系ガスを材料ガスとするプラズマCVD法によって硬質炭素粉末であるDLC粉末が作製される。続いて、第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理において、当該DLC粉末が真空中または不活性ガス雰囲気中でヒータ加熱される。これにより、DLC粉末がOLCに変換され、つまり当該OLCが作製される。このように、本発明によれば、炭化水素系ガスを出発原料としてOLCが作製されるので、当該OLCを極めて低コストで作製することができる。

Description

本発明は、オニオンライクカーボン(Onion Like Carbon;以下「OLC」と言う。)の作製方法および作製装置に関する。
OLCは、直径が数nm〜数十nmの球状粒子であり、大気中および真空中のいずれにおいても極めて低い摩擦係数を示し、また耐面圧性にも優れていることから、特に固体潤滑剤としての応用が期待されている。このようなOLCの作製方法として、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。この従来技術によれば、衝撃合成法(爆発法)によって直径4nm〜6nmのダイヤモンド微粉末(Diamond Nano Powder;以下「DNP」と言う。)が作製される。そして、このDNPが1600℃〜1800℃の不活性ガス雰囲気中で加熱処理されることによってOLCが作製される。
特開平11−157818号公報
しかし、上述の従来技術では、出発原料であるDNPが高価(1g当たり5000円前後)であるため、最終目的物であるOLCもまた高価になる。つまり、コスト面に問題がある。
そこで、本発明は、従来よりも低コストでOLCを作製できる方法および装置を提供することを、目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、OLCの作製方法に係る第1発明と、当該OLCの作製装置に係る第2発明と、を提供する。このうちの第1発明は、材料ガスとして炭化水素系ガスを用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってDLC(Diamond like Carbon)粉末を作製するDLC粉末作製過程と、このDLC粉末作成過程において作製されたDLC粉末を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することによって当該DLC粉末をオニオンライクカーボンに変換する変換過程と、を具備する。
即ち、本第1発明によれば、炭化水素系ガスを出発原料としてOLCが作製(または「合成」とも呼ばれる。)される。具体的には、DLC粉末作製過程において、炭化水素系ガスを材料ガスとして用いたプラズマCVD法によって硬質炭素粉末であるDLC粉末が作製される。そして、変換過程において、当該DLC粉末が真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱される。これにより、DLC粉末がOLCに変換され、つまり当該OLCが作製される。
なお、炭化水素系ガスとしては、アセチレン(C)ガスやメタン(CH)ガス,エチレン(C)ガス,ベンゼン(C)ガス等があるが、DLC粉末の作製効率やコスト、取り扱い易さ、調達容易性、安全性等の総合的な観点から、アセチレンガスが好適である。
また、DLC粉末作成過程は、次のようなプラズマ発生過程とガス導入過程と温度制御過程とを含むものであってもよい。即ち、プラズマ発生過程において、基準電位に接続された真空槽と当該真空槽内に設置された開口形状の容器とを一対の電極として、これらに交流の放電用電力が供給される。これにより、容器内を含む真空槽内にプラズマが発生する。そして、ガス導入過程において、真空槽内に炭化水素系ガスが導入される。すると、炭化水素系ガスがプラズマによって分解(解離)されて、容器の表面、特に当該容器の内壁に、DLC粉末が作製される。このとき、容器内の温度、言わばDLC粉末の作製温度が、高すぎると、詳しくは300℃を超えると、プラズマによる炭化水素系ガスの分解粒子である水素ラジカルや水素イオンがDLC粉末と反応して、当該DLC粉末がガス化される。その結果、DLC粉末の作製効率が低下する。この不都合を回避するために、温度制御過程において、容器内の温度が300℃よりも高くならないように当該容器内の温度が制御される。
加えて、ガス導入過程においては、真空槽と絶縁された状態にあるガス導入管を介して炭化水素系ガスが当該真空槽内に導入されると共に、当該ガス導入管の真空槽内への炭化水素系ガスの噴出口が容器の開口部の近傍に位置するのが、望ましい。これにより、容器内に炭化水素系ガスが直接的に導入され、当該容器の内壁へのDLC粉末の作製効率が向上する。併せて、DLC粉末作製過程は、ガス導入管に対して基準電位を基準とする正電位の直流電力を供給する直流電力供給過程をさらに含むのが、望ましい。このような直流電力供給過程が設けられることで、ガス導入管が言わば陽極として機能し、当該ガス導入管にプラズマ内の電子が引き込まれる。この結果、ガス導入管の周囲、特に当該ガス導入管の炭化水素系ガスの噴出口付近に、高密度の放電、いわゆるホローアノード放電が発生する。そして、このホローアノード放電が発生することによって、炭化水素系ガスの分解効率が向上し、ひいては容器の内壁へのDLC粉末の作製効率がより一層向上する。
また、直流電力供給過程は、プラズマの安定化にも寄与する。即ち、プラズマは、上述したように真空槽と容器とを一対の電極とする交流の放電用電力の供給によって発生する。その一方で、DLC粉末作製過程においては、容器の表面(内壁)のみならず、真空槽の表面(内壁)にも、DLC粉末が付着する。このように一対の電極としての真空槽と容器との両方の表面にDLC粉末が付着すると、特に基準電位に維持されることが前提とされる真空槽の表面にDLC粉末が付着すると、当該真空槽の電極としての機能が低下し、ひいてはプラズマが不安定になる。ここで、直流電力供給過程が設けられると、上述の如く陽極としてのガス導入管にプラズマ内の電子が引き込まれるので、当該プラズマの発生が維持され、ひいてはプラズマが安定化される。
さらに、DLC粉末作製過程は、容器内にプラズマを閉じ込めるための磁場を真空槽内に形成する磁場形成過程を含んでもよい。このような磁場形成過程が設けられることで、容器内におけるプラズマの密度が向上し、ひいては当該容器の内壁へのDLC粉末の作製効率が一段と向上する。
そして、変換過程は、真空槽内を真空または不活性ガス雰囲気とする変換環境形成過程と、当該真空または不活性ガス雰囲気とされた真空槽内においてDLC粉末を700℃〜2000℃で加熱する加熱過程と、を含むものであってもよい。即ち、DLC粉末が700℃以上で加熱されれば、当該DLC粉末がOLCに変換されることが、このたび実験によって確認された。また、このDLC粉末の加熱温度が高いほど、DLC粉末からOLCへの変換効率が向上することも確認された。なお、DLC粉末の加熱法としては、ヒータ加熱法や赤外線加熱法、高周波誘導加熱法、電子ビーム照射加熱法、プラズマ加熱法等がある。また、DLC粉末は、上述の容器に収容された状態で加熱されてもよいし、別の適当な容器に移し換えられてから加熱されてもよい。ただし、DLC粉末の加熱時に例えば真空槽内に酸素が存在すると、当該DLC粉末が酸化され、詳しくは一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO)等にガス化される。この不都合を回避するべく、当該加熱を担う加熱過程の前に、変換環境形成過程が設けられ、つまり真空槽内が真空または不活性ガス雰囲気とされる。
本発明の第2発明は、第1発明に対応する方法発明であり、材料ガスとして炭化水素系ガスを用いたプラズマCVD法によってDLC粉末を作製するDLC粉末作製手段と、このDLC粉末作製手段によって作製されたDLC粉末を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することによって当該DLC粉末をオニオンライクカーボンに変換する変換手段と、を具備する。
なお、本第2発明においても、炭化水素系ガスとしては、アセチレンガスが最も好適である。
また、本第2発明の具体的な構成としては、基準電位に接続された真空槽と、この真空槽内に設置された開口形状の容器と、を具備するものとする。そして、DLC粉末作製手段は、次のようなプラズマ発生手段とガス導入手段と温度制御手段とを含むものとする。即ち、プラズマ発生手段は、真空槽と容器とを一対の電極として、これらに交流の放電用電力を供給することによって、当該容器内を含む真空槽内にプラズマを発生させる。そして、ガス導入手段は、真空槽内に炭化水素系ガスを導入する。さらに、温度制御手段は、容器内の温度が300℃よりも高くならないように当該容器内の温度を制御する。
加えて、ガス導入手段は、真空槽と絶縁された状態にあるガス導入管を含んでもよい。この場合、炭化水素系ガスは、ガス導入管を介して真空槽内に導入される。そして、ガス導入管は、その真空槽内への炭化水素系ガスの噴出口を容器の開口部の近傍に位置させるように設けられる。その上で、DLC粉末作製手段は、当該ガス導入管に対して基準電位を基準とする正電位の直流電力を供給する直流電力供給手段をも含むものとしてもよい。
さらに、DLC粉末作製手段は、容器内にプラズマを閉じ込めるための磁場を真空槽内に形成する磁場形成手段をも含んでもよい。
そして、変換手段は、真空槽内を真空または不活性ガス雰囲気とする変換環境形成手段と、当該真空または不活性ガス雰囲気とされた真空槽内においてDLC粉末を700℃〜2000℃で加熱する加熱手段と、を含んでもよい。
本発明の一実施形態に係るOLC作製装置の概略構成を示す図である。 同実施形態におけるOLCの作製手順を示すフローチャートである。 同実施形態におけるDLC粉末作成処理でのDLC粉末の作製温度と作製速度との関係を示すグラフである。 同実施形態において作製されたOLCの電子顕微鏡による撮影画像の一例を示す図である。 同OLCの直前原料としてのDLC粉末の電子顕微鏡による撮影画像の一例を示す図である。 同OLCのXRD回折分析結果を比較対照物質の分析結果と併せて示す図である。 同OLCのラマン分光分析結果を比較対照物質の分析結果と併せて示す図である。
本発明の一実施形態について、以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るOLC作製装置10は、両端が閉鎖された概略円筒形の真空槽12を備えている。この真空槽12は、当該円筒形の一方端に当たる部分を上壁とし、他方端に当たる部分を底壁として、設置されている。なお、この真空槽12の内部空間の直径は、約1100mmであり、高さ寸法は、約1000mmである。この真空槽12の形状や寸法は、一例であり、状況に応じて適宜に定められてもよい。また、真空槽12は、高耐食性および高耐熱性の金属、例えばSUS304等のステンレス鋼、によって形成されており、その壁部は、基準電位としての接地電位に接続されている。
さらに、真空槽12の壁部の適宜位置、例えば底壁の中央よりも僅かに外方寄り(図1において左側寄り)の位置には、排気口14が設けられている。この排気口14には、図示しない排気管を介して、真空槽12の外部に設けられた図示しない排気手段としての真空ポンプが結合されている。なお、真空ポンプは、真空槽12内の圧力Pを制御する圧力制御手段としても機能する。加えて、排気管の途中には、図示しないバルブが設けられており、このバルブもまた、圧力制御手段として機能する。
そして、真空槽12内の略中央位置には、容器としてのルツボ16が配置されている。詳しくは、このルツボ16は、一方端が開口され、他方端が閉鎖された概略円筒形のものであり、その開口部を上方に向けた状態で配置されている。なお、当該ルツボ16の外径は、約300mmであり、高さ寸法は、約300mmであり、厚さ寸法(肉厚)は、側壁部および底壁部共に約1mm(数mm)である。また、このルツボ16の素材は、導電性および非磁性を有し、加えて後述するDLC粉末100との密着性の低い高融点材料、例えばモリブデン(Mo)である。勿論、モリブデンに限らず、タンタル(Ta)やタングステン(W)、グラファイト(C)等の他の高融点材料であってもよい。そして、このルツボ16の形状および寸法もまた、状況に応じて適宜に定められればよく、特に形状については、概略円筒形に限らず、枡形や皿形等の開口形状であればよい。
ルツボ16には、真空槽12の外部に設けられた放電用電力供給手段としてのパルス電源装置18から、放電用電力としての非対称パルス電力Epが供給される。厳密に言えば、真空槽12を陽極とし、ルツボ16を陰極として、これらに当該非対称パルス電力Epが供給される。この非対称パルス電力Epの電圧態様は、ハイレベルの電圧値が+37V固定、ローレベルの電圧値が−37V以下の矩形波であり、その周波数は、パルス電源装置18によって10kHz〜500kHzの範囲で任意に調整可能とされている。また、当該矩形波電圧のデューティ比およびローレベル電圧値も、パルス電源装置18によって任意に調整可能とされており、これらデューティ比およびローレベル電圧値が調整されることで、詳しくはデューティ比が50%以下とされると共に、ローレベル電圧値が−37V〜−2000Vの範囲で調整されることで、当該矩形電圧の平均電圧値(直流換算値)Vpが0V〜−1000Vの範囲で任意に設定可能とされている。
加えて、ルツボ16の周囲(側壁および底壁)を取り囲むように、当該ルツボ16よりも一回り大きめの概略円筒形のヒータ20が設けられている。このヒータ20は、真空槽12の外部に設けられた図示しないヒータ加熱用電源からのヒータ加熱用電力の供給によって加熱される。そして、このヒータ20が加熱されることで、ルツボ16の温度、詳しくは当該ルツボ16の内壁の温度が、100℃〜2000℃の範囲で任意に制御される。
さらに、真空槽12の壁部の適宜位置、例えば上壁を貫通するように、ガス導入管22が設けられている。このガス導入管22は、モリブデンまたはタンタル等の高融点金属製であり、絶縁碍子24によって真空槽12と絶縁されている。そして、このガス導入管22の先端、詳しくは真空槽12内側の端部は、ルツボ16の開口部の略中央に位置している。一方、当該ガス導入管22の基端は、真空槽12の外部に設けられた図示しない放電用ガス供給源としてのアルゴン(Ar)ガス供給源と、図示しない材料ガス供給源としてのアセチレンガス供給源とに、結合されている。また、真空槽12の外部に位置するガス導入管22の途中には、当該ガス導入管22内を流れるアルゴンガスおよびアセチレンガスの流量を個別に調整するための図示しない流量調整手段、例えばマスフローコントローラと、当該アルゴンガスおよびアセチレンガスの流通を個別に開閉するための図示しない開閉手段、例えば開閉バルブとが、設けられている。
併せて、ガス導入管22には、真空槽12の外部に設けられた直流電力供給手段としてのノズル用電源装置26から、接地電位を基準とする正電位の直流電力Eaが供給される。この直流電力Eaの電圧値Vaは、ノズル用電源装置26によって例えば+10V〜+100Vの範囲で任意に調整可能とされている。
また、真空槽12の外部には、当該真空槽12の上壁および底壁のそれぞれの周縁に沿うように、磁場形成手段としての一対の電磁コイル28および30が設けられている。これらの電磁コイル28および30は、真空槽12の外部に設けられた図示しない磁場形成用電源装置から直流の磁場形成用電力が供給されることによって、真空槽12内の中央に後述するプラズマ200が閉じ込められるように、好ましくはルツボ16内に当該プラズマ200が閉じ込められるように、真空槽12内にいわゆるミラー磁場を形成する。このミラー磁場の強さは、ルツボ16内において1mT〜10mTの範囲で任意に調整可能とされている。
このように構成されたOLC作製装置10によれば、アセチレンガスを出発原料としてOLCを作製することができる。
具体的には、図2に示すように、まず第1ステップとしてのDLC粉末作製処理が実施される。このDLC粉末作成処理においては、アセチレンガスを材料ガスとするプラズマCVD法によってDLC粉末100が作製される。続いて、第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理が実施される。このDLC−OLC変換処理においては、先のDLC粉末作製処理によって作製されたDLC粉末100がアルゴンガス雰囲気中で上述のヒータ20により加熱される。この加熱によって、DLC粉末がOLCに変換され、つまり当該OLCが作製される。なお、図2には示されていないが、第1ステップとしてのDLC粉末作製処理に先立って、前処理としての真空引きが行われる。そして、第2ステップとしての変換処理の後、最終的に完成されたOLCを真空槽12の外部に取り出すための後処理が行われる。
より具体的には、前処理としての真空引きにおいて、真空槽12内の圧力Pが2×10−3Pa以下となるまで、好ましくは5×10−4Pa以下となるまで、当該真空槽12内が上述の真空ポンプによって排気される。
この真空引き後、第1ステップとしてのDLC粉末作製処理が実施される。即ち、ガス導入管22を介して真空槽12内にアルゴンガスが導入される。この状態で、真空槽12を陽極とし、ルツボ16を陰極として、これらにパルス電源装置18から非対称パルス電力Epが供給される。すると、真空槽12内のアルゴンガスが放電して、当該真空槽12内にプラズマ200が発生する。その上で、ガス導入管22を介して真空槽12内にアセチレンガスが導入される。すると、このアセチレンガスは、プラズマ200によって分解されて、当該アセチレンガスの分解粒子である炭素イオンが生成される。そして、この炭素イオンは、陰極であるルツボ16の表面、特に内壁に入射される。これにより、当該ルツボ16の内壁にDLC粉末100が作製される。また、ガス導入管22の先端がルツボ16の開口部の略中央に位置しているので、当該ガス導入管22の先端から噴出されるアセチレンガスが当該ルツボ16内に直接的に導入される。これにより、ルツボ16の内壁へのDLC粉末100の作製効率、例えば作製速度、の向上が図られている。
なお、DLC粉末100は、次の2つのプロセスが同時進行することによって作製されるものと、推察される。1つめは、ルツボ16の内壁にDLCの被膜が形成されるものの、このDLC被膜が自身の内部応力によってルツボ16の内壁から剥離し、これがDLC粉末100となる。そして、2つめは、プラズマ200によるアセチレンガスの分解粒子である炭素ラジカルや炭素イオンが気相中で再結合して、これがDLC粉末100としてルツボ16の内壁に堆積する。これらの2つのプロセスが同時に進行することによって、DLC粉末100が作製されるものと、推察される。
このDLC粉末作製処理においては、さらに、各電磁コイル28および30に磁場形成用電力が供給される。これにより、真空槽12内に上述のミラー磁場が形成され、ルツボ16内にプラズマ200が閉じ込められる。この結果、プラズマ100の密度が向上し、ルツボ16の内壁へのDLC粉末100の作製速度がより一層向上する。
加えて、ガス導入管22にノズル用電源装置26から直流電力Eaが供給される。すると、ガス導入管22が言わば第2の陽極として機能するようになり、この第2の電極としてのガス導入管22にプラズマ200内の電子が引き込まれる。この結果、ガス導入管22の周囲、特に当該ガス導入管22の先端付近に、高密度の放電、いわゆるホローアノード放電300が発生する。そして、このホローアノード放電300が発生することによって、アセチレンガスの分解効率が向上し、ひいてはルツボ16の内壁へのDLC粉末100の作製速度が一段と向上する。
また、ガス導入管22が第2の陽極として機能することによって、プラズマ200の安定化も図られる。即ち、プラズマ200は、上述の如く真空槽12を陽極とし、ルツボ16を陰極として、これらに非対称パルス電力Epが供給されることによって発生する。その一方で、当該プラズマ200を利用して作製されるDLC粉末100は、ルツボ16の内壁(表面)のみならず、真空槽12の内壁(表面)にも付着する。このように陽極としての真空槽12と陰極としてのルツボ16との両方の表面にDLC粉末100が付着すると、特に接地電位に維持されることが前提とされる陽極としての真空槽12の表面にDLC粉末100が付着すると、当該真空槽12の電極としての機能が低下し、ひいてはプラズマ200が不安定になる。ここで、ガス導入管22が第2の陽極として機能することで、上述の如く当該第2の陽極としてのガス導入管22にプラズマ200内の電子が引き込まれる。つまり、ガス導入管22がプラズマ200を発生させるための電極としても機能する。これにより、プラズマ200の発生が維持され、当該プラズマ200が安定化される。このようにプラズマ200が安定化されることで、長時間にわたるDLC粉末100の作製処理が可能になり、ひいては当該DLC粉末100の大量作製が可能になり、言い換えれば最終目的物であるOLCの大量作製が可能になる。
さらに、ヒータ20にヒータ加熱用電力が供給されることによって、当該ヒータ20が加熱され、ひいてはルツボ16の内壁の温度、言わばDLC粉末100の作製温度が、制御される。ただし、このDLC粉末100の作製温度が高すぎると、プラズマ200によるアセチレンガスの分解粒子である水素ラジカルや水素イオンがDLC粉末100と反応して、当該DLC粉末100がガス化される。これにより、DLC粉末100の作製速度が低下する恐れがある。図3に、DLC粉末100の作製温度と当該DLC粉末100の作製速度との関係を示す。なお、この図3は、アルゴンガスの流量が50mL/min、アセチレンガスの流量が300mL/min、真空槽12内の圧力Pが3Pa、非対称パルス電力Epの周波数が100kHz、当該非対称パルス電力Epのデューティ比が30%、当該非対称パルス電力Epの平均電圧値Vpが−500V、直流電力Eaの電圧値Vaが+30V、ルツボ16内の磁場が5mTであるときの当該関係の実測結果である。
この図3から分かるように、DLC粉末100の作製温度が概ね300℃以下であるときは、当該DLC粉末100の作製速度が約8g/hであり、言わば大量生産を実現し得るレベルである。ところが、DLC粉末100の作製温度が300℃を超えると、当該DLC粉末100の作製速度が極端に低下する。特に、DLC粉末100の作製温度が700℃であるときの作製速度は3.4g/hであり、当該作製温度が300℃以下であるときの半分以下である。従って、DLC粉末100の作製温度は300℃以下、好ましくは100℃〜300℃の範囲内に制御されるのが、肝要である。
このような要領で第1ステップとしてのDLC粉末作製処理が実施された後、続いて、第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理が実施される。即ち、各電磁コイル28および30への磁場形成用電力の供給が停止される。併せて、ガス導入管22への直流電力Eaの供給が停止されると共に、ルツボ16への非対称パルス電力Epの供給が停止される。さらに、ガス導入管22を介しての真空槽12内へのアルゴンガスおよびアセチレンガスの導入が停止される。なお、ヒータ20へのヒータ加熱用電力の供給は、そのままでもよいし、停止されてもよい。その上で、真空槽12内が改めて真空引きされる。
この改めての真空引き後、ガス導入管22を介して真空槽12内にアルゴンガスのみが導入される。そして、このアルゴンガスの導入によって、真空槽12内が当該アルゴンガス雰囲気とされる。このときの真空槽12内の圧力Pは、例えば10Paとされる。この状態で、ヒータ20によって、ルツボ16の内壁の温度が1600℃に加熱される。これにより、ルツボ16内のDLC粉末100が、OLCに変換される。このDLC−OLC変換処理は、例えば30分間にわたって行われる。そして、このDLC−OLC変換処理の後、完成されたOLCを真空槽12の外部に取り出すための後処理が行われる。
即ち、後処理として、ヒータ20へのヒータ加熱用電力の供給が停止される。併せて、ガス導入管22を介しての真空槽12内へのアルゴンガスの供給が停止される。さらに、真空槽12内の圧力Pが徐々に大気圧と同程度に戻される。そして、適当な時間、例えば10分間〜30分間の、冷却期間が置かれる。その上で、真空槽12内が大気に開放されて、当該真空槽12内からOLCがルツボ16ごと取り出される。これをもって、後処理とし、当該後処理を含む一連のOLC作製処理が終了する。なお、ルツボ16ごと取り出されたOLCは、ブラシ等の適用な回収手段によって回収される。
このような要領で作製されたOLCを透過形電子顕微鏡(Transmission
Electron Microscope;TEM)で観察したところ、図4に示すような画像が得られた。この図4において、白の破線丸印で囲まれた部分がOLCを示す。即ち、この図4から、OLCの存在が認められる。なお、この図4に示すOLCは、その直前原料としてのDLC粉末100が作製される際に(つまり第1ステップとしてのDLC粉末作製処理において)、当該DLC粉末100の作製温度が200℃とされた以外は、上述の図3に係るのと同じ条件とされたものである。
ここで、OLCの直前原料であるDLC粉末100についても、透過形電子顕微鏡で観察したところ、図5に示すような画像が得られた。この図5において、白の破線丸印で囲まれた部分にOLCの存在が認められる。つまり、この図5から、DLC粉末100中にも僅かながらOLCが作製されていることが確認された。言い換えれば、このDLC粉末100が1600℃で加熱されることによって(つまり第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理が実施されることによって)、当該DLC粉末100が確実にOLCに変換されることが確認された。
さらに、OLCについて、X線回折(X-Ray Diffraction;XRD)分析を行った。その結果を、図6に示す。なお、この図6において、実線の曲線L1が、当該OLCの分析結果を示す。他の曲線L2〜L5は、比較対照物質の分析結果である。詳しくは、一点鎖線の曲線L2は、第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理において、DLC粉末100を1000℃で加熱することによって得られたOLCの分析結果を示す。そして、二点鎖線の曲線L3は、OLCの直前原料であるDLC粉末100の分析結果を示す。さらに、長破線の曲線L4は、上述した従来技術における出発原料であるDNPの分析結果を示す。そして、短破線の曲線L5は、当該従来技術においてDNPを1600℃で加熱することによって作製されたOLCの分析結果を示す。
この図6から分かるように、いずれの曲線L1〜L5においても、43度付近の角度にピークが見られる。この43度付近のピークは、ダイヤモンド成分の存在を意味する。そして、DNPの分析結果を示す曲線(長破線)L4以外の曲線L1〜L3およびL5においては、26度付近にもピークが見られる。特に、本実施形態によるOLCの分析結果を示す曲線(実線)L1と、従来技術によるOLCの分析結果を示す曲線(短破線)L5とに、注目すると、これらの曲線L1およびL5における当該26度付近のピークは顕著である。これはまさに、OLCの存在を意味する。即ち、このX線回折分析の結果からも、本実施形態によってOLCが作製されることが認められる。
なお、DLC粉末100を1000℃で加熱することによって得られたOLCの分析結果を示す曲線(一点鎖線)L2においては、本実施形態によるOLCの分析結果を示す曲線(実線)L1と比較して、26度付近のピークが小さい。これは、DLC粉末100を1000℃で加熱することによっても当該DLC粉末100をOLCに変換することはできるものの、その変換効率が低いこと、言い換えれば1000℃という加熱温度ではDLC粉末100をOLCに確実に変換し得ないこと(つまり当該加熱温度が不足していること)を、意味する。また、DLC粉末100の分析結果を示す曲線(二点鎖線)L3においても、僅かながら26度付近にピークがあるのは、図5を参照しながら説明したように、当該DLC粉末100中に僅かながらOLCが存在していることを意味する。DNPの分析結果を示す曲線(長破線)L4において、26度付近のピークが見られないのは、当該DNP中にOLCが存在しないからである。
加えて、本実施形態によるOLCについて、ラマン分光分析を行った。その結果を、図7に示す。なお、この図7において、実線の曲線L11が、当該OLCの分析結果を示す。他の曲線L12および13は、比較対照物質の分析結果である。詳しくは、一点鎖線の曲線L12は、第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理において、DLC粉末100を1000℃で加熱することによって得られたOLCの分析結果を示す。そして、短破線の曲線L13は、従来技術においてDNPを1600℃で加熱することによって作製されたOLCの分析結果を示す。
この図7から分かるように、いずれの曲線L11〜L3についても、ラマンシフトが1340cm−1付近のいわゆるDバンドと、1580cm−1付近のいわゆるGバンドとが、一致している。特に、本実施形態によるOLCの分析結果を示す曲線(実線)L11と、従来技術によるOLCの分析結果を示す曲線(短破線)L13とに、注目すると、これらの曲線L11およびL13は当該DバンドおよびGバンドを含め全般的に一致している。これもまた、OLCの存在を意味する。なお、DLC粉末100を1000℃で加熱することによって得られたOLCの分析結果を示す曲線(一点鎖線)L12については、他の曲線L11およびL13と比較して、多少のずれがある。これもまた、1000℃という加熱温度ではDLC粉末100をOLCに確実に変換し得ないことを、意味する。
以上のように、本実施形態によれば、アセチレンガスを出発原料としてOLCを作製することができる。アセチレンガスは、上述の従来技術における出発原料としてのDNPに比べて、極めて安価である。従って、本実施形態によれば、従来技術に比べて、極めて安価にOLCを作製することができる。
なお、本実施形態において、出発原料としてアセチレンガスが採用されたが、これに限らない。メタンガスやエチレンガス,ベンゼンガス等の他の炭化水素系ガスが採用されてもよい。また、アルコールから気化された炭化水素系ガスが採用されてもよい。ただし、メタンガスについては、アセチレンガスよりもDLC粉末100の作製速度が遅いこと、詳しくは当該アセチレンガスが採用された場合の1/5程度の作製速度しか得られないことが、実験により確認された。このことは、エチレンガスについても、同様である。そして、ベンゼンガスについては、当該ベンゼンが元々液体であるため、これを気化する必要があり、その分、気化設備を含めコストが掛かる。加えて、ベンゼンガスが採用された場合は、これが真空ポンプ中で再液化する恐れがあり、そうなると、当該真空ポンプによる排気効率が低下する。その上、ベンゼンガスは、毒性および発がん性を有するので、その弊害が大きい。アルコールもまた、液体であるので、その気化設備を含めコストが掛かる。これらを総合すると、DLC粉末100の作製速度、コスト、取り扱い易さ、調達容易性、安全性等の観点から、出発原料としてはアセチレンガスが最も好適である。
また、第1ステップとしてのDLC粉末作製処理においては、放電用電力として非対称パルス電力Epが採用されたが、これに代えて、例えば周波数が13.56MHzの正弦波の高周波電力が採用されてもよい。いずれにしても、チャージアップを防止するために、当該放電用電力として交流電力が採用されることが、肝要である。ただし、高周波電力が採用される場合には、その供給源である放電用電力供給手段としての高周波電源装置と、ルツボ16を含む負荷側と、の間のインピーダンス整合を取るためのインピーダンス整合器が必要になるため、その分、当該インピーダンス整合器を含む装置全体の構成が複雑化しかつ高コスト化する。また、上述したように、非対称パルス電力Epは、その周波数やデューティ比、平均電圧値Vpが調整可能とされているので、高周波電力よりも柔軟性が高く、様々な状況に対処し易い。従って、放電用電力としては、非対称パルス電力Epの方が、高周波電力よりも好適である。
加えて、プラズマ200の励起法として、いわゆる自己放電型(または「冷陰極型」とも言う。)の励起法が採用されたが、これに限らない。即ち、高周波プラズマCVD法やマイクロ波プラズマCVD法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマCVD法、熱陰極PIG(Penning Ionization Gauge)プラズマCVD法等の他の励起法が採用されてもよい。
そして、第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理においては、ヒータ20によってDLC粉末100を加熱するという、いわゆるヒータ加熱法が採用されたが、これに限らない。即ち、赤外線ランプ加熱法や高周波誘導加熱法、電子ビーム照射加熱法、プラズマ加熱法等の、他の加熱法が採用されてもよい。いずれにしても、DLC粉末100を700℃〜2000℃に加熱できること、好ましくは1600℃〜2000℃に加熱できることが、肝要である。なお、上述の説明では省略したが、少なくとも700℃以上の加熱温度であれば、DLC粉末100をOLCに変換できることが、実験によって確認された。ただし、上述したように、当該加熱温度が高いほど、DLC粉末100からOLCへの変換効率が向上する。また、加熱時間(つまりDLC−OLC変換処理の継続時間)は、変換効率には大きく影響せず、概ね20分間以上であれば、(加熱温度に応じた)一定の変換効率が得られることが、実験によって確認された。
さらに、この第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理においては、真空槽12内がアルゴンガス雰囲気とされたが、これに限らない。例えば、ネオン(Ne)ガスやキセノン(Xe)ガス等の他の不活性ガスによる雰囲気とされてもよい。また、不活性ガス雰囲気中ではなく、真空中で、当該DLC−OLC変換処理が実施されてもよい。
そして、上述の第1ステップとしてのDLC粉末作製処理においても、放電用ガスとして、アルゴンガスではなく、ネオンガスやキセノンガス等の他の不活性ガスが採用されてもよい。
また、第1ステップとしてのDLC粉末作製処理と、第2ステップとしてのDLC−OLC変換処理とは、別々の装置によって実施されてもよい。即ち、DLC粉末作製処理を実施するための装置と、DLC−OLC変換処理を実施するための装置とが、別々に設けられており、DLC粉末作製処理装置によって作製されたDLC粉末100が、DLC−OLC変換処理装置に移され、ここでOLCに変換されてもよい。さらに、これらDLC粉末作製処理とDLC−OLC変換処理とが、いわゆるインライン方式によって連続的に実施されるようにしてもよい。

Claims (12)

  1. 材料ガスとして炭化水素系ガスを用いたプラズマCVD法によってDLC粉末を作製するDLC粉末作製過程と、
    上記DLC粉末作成過程において作製された上記DLC粉末を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することによって該DLC粉末をオニオンライクカーボンに変換する変換過程と、
    を具備する、オニオンライクカーボンの作製方法。
  2. 上記炭化水素系ガスはアセチレンガスである、
    請求項1に記載のオニオンライクカーボンの作製方法。
  3. 上記DLC粉末作製過程は、
    基準電位に接続された真空槽と該真空槽内に設置された開口形状の容器とを一対の電極として該真空槽と該容器とに交流の放電用電力を供給することによって該容器内を含む該真空槽内にプラズマを発生させるプラズマ発生過程と、
    上記真空槽内に上記炭化水素系ガスを導入するガス導入過程と、
    上記容器内の温度が300℃よりも高くならないように該容器内の温度を制御する温度制御過程と、
    を含む、
    請求項1または2に記載のオニオンライクカーボンの作製方法。
  4. 上記ガス導入過程において上記真空槽と絶縁された状態にあるガス導入管を介して上記炭化水素系ガスを該真空槽内に導入すると共に該ガス導入管の該真空槽内への該炭化水素系ガスの噴出口を上記容器の開口部の近傍に位置させ、
    上記DLC粉末作製過程は上記ガス導入管に対して上記基準電位を基準とする正電位の直流電力を供給する直流電力供給過程をさらに含む、
    請求項3に記載のオニオンライクカーボンの作製方法。
  5. 上記DLC粉末作製過程は上記容器内に上記プラズマを閉じ込めるための磁場を上記真空槽内に形成する磁場形成過程をさらに含む、
    請求項3または4に記載のオニオンライクカーボンの作成方法。
  6. 上記変換過程は、
    上記真空槽内を上記真空または上記不活性ガス雰囲気とする変換環境形成過程と、
    上記真空または上記不活性ガス雰囲気とされた上記真空槽内において上記DLC粉末を700℃〜2000℃で加熱する加熱過程と、
    を含む、
    請求項3ないし5のいずれかに記載のオニオンライクカーボンの作製方法。
  7. 材料ガスとして炭化水素系ガスを用いたプラズマCVD法によってDLC粉末を作製するDLC粉末作製手段と、
    上記DLC粉末作製手段によって作製された上記DLC粉末を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することによって該DLC粉末をオニオンライクカーボンに変換する変換手段と、
    を具備する、オニオンライクカーボンの作製装置。
  8. 上記炭化水素系ガスはアセチレンガスである、
    請求項7に記載のオニオンライクカーボンの作製装置。
  9. 基準電位に接続された真空槽と、
    上記真空槽内に設置された開口形状の容器と、
    を具備し、
    上記DLC粉末作製手段は、
    上記真空槽と上記容器とを一対の電極として該真空槽と該容器とに交流の放電用電力を供給することによって該容器内を含む該真空槽内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
    上記真空槽内に上記炭化水素系ガスを導入するガス導入手段と、
    上記容器内の温度が300℃よりも高くならないように該容器内の温度を制御する温度制御手段と、
    を含む、
    請求項7または8に記載のオニオンライクカーボンの作製装置。
  10. 上記ガス導入手段は上記真空槽と絶縁された状態にあるガス導入管を含み、
    上記炭化水素系ガスは上記ガス導入管を介して上記真空槽内に導入され、
    上記ガス導入管は上記真空槽内への上記炭化水素系ガスの噴出口を上記容器の開口部の近傍に位置させるように設けられ、
    上記DLC粉末作製手段は上記ガス導入管に対して上記基準電位を基準とする正電位の直流電力を供給する直流電力供給手段をさらに含む、
    請求項9に記載のオニオンライクカーボンの作製装置。
  11. 上記DLC粉末作製手段は上記容器内に上記プラズマを閉じ込めるための磁場を上記真空槽内に形成する磁場形成手段をさらに含む、
    請求項9または10に記載のオニオンライクカーボンの作製装置。
  12. 上記変換手段は、
    上記真空槽内を上記真空または上記不活性ガス雰囲気とする変換環境形成手段と、
    上記真空または上記不活性ガス雰囲気とされた上記真空槽内において上記DLC粉末を700℃〜2000℃で加熱する加熱手段と、
    を含む、
    請求項9ないし11のいずれかに記載のオニオンライクカーボンの作製装置。
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