JP5375197B2 - オニオンライクカーボンの作製方法 - Google Patents

オニオンライクカーボンの作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、オニオンライクカーボンの作製方法に関する。
オニオンライクカーボンは、カーボンSPがタマネギ状に構成された直径数nmの安定な構造を有したナノ粒子であり、ナノメートルレベルの機械材料への応用のみならず、次世代のナノトライボロジーに適した材料として期待される物質である。
オニオンライクカーボンの作製は、爆発法による均質なダイヤモンドナノ粒子が供給されるようになったことから、現在のところ、ダイヤモンドナノ粒子の熱アニールによるオニオンライクカーボンの合成が主流となっている。
しかしながら、かかるダイヤモンドナノ粒子の熱アニールによるオニオンライクカーボンの合成によれば、比較的多量のオニオンライクカーボンが得られるものの、合成時のカーボンの表面拡散により、オニオンライクカーボン粒子間でのSP結合の形成や、有機溶媒に難溶性を示すなど、薄膜化や分散化に課題がある。
一方、グラファイトが大気中で良好な潤滑特性を示すことは古くから知られており、そのメカニズムは層構造のすべりや表面にダングリングボンドを含まない化学的に不活性な構造に由来すると考えられている。
特開2005−13495号公報 特開2009−39439号公報
上述のように、従来用いられているダイヤモンドナノ粒子の熱アニールによるオニオンライクカーボンの作製では、薄膜化や分散化に問題がある。かかる薄膜化や分散化の問題は、オニオンライクカーボンの持つ優れた潤滑特性を活用する障害となる。
上記問題に鑑みて、本発明は、薄膜化や分散化に優れたオニオンライクカーボンの作製方法を提供し、オニオンライクカーボンの潤滑特性を十分に活用することを目的とする。
上記問題を解決すべく、本発明者らは、様々な実験を重ねた結果、本発明に係るオニオンライクカーボンの作製方法を完成した。
すなわち、本発明の第1の観点のオニオンライクカーボンの作製方法は、真空度が10 −7 Pa以上に保持された超高真空反応室内で、カーボンロッドをカソードに用いたアークプラズマガンによりカーボンを蒸発させターゲットに蒸着させ、アークプラズマガンによる放電パルス数を、オニオンライクカーボンの粒径制御パラメータとして用い、放電パルス数を増減してオニオンライクカーボンの粒径を制御して作製するものである。
かかる方法によれば、薄膜化や分散化に優れたオニオンライクカーボンを作製することができる。
ここで、真空度を10−7Pa以上とするのは、10−6Pa程度の真空度の場合、オニオンライクカーボンは作製されず、アモルファス状炭素が作製されることになる。
またカーボンロッドをカソードに用いることにより、高純度のカーボンをターゲットに蒸着させることができる。
また、上記のアークプラズマガンにおける放電パルス数を増減して、オニオンライクカーボンの粒径を制御することが可能である。すなわち、放電パルス数はオニオンライクカーボンの粒径制御パラメータとして使用できるのである。
次に、本発明の第2の観点のオニオンライクカーボンの作製方法は、第1の基板と所定距離隔てて該第1の基板に対向して第2の基板を設け、ダイヤモンドナノ粒子を有機溶媒に分散させた溶液を第1の基板に塗布し、第1の基板をダイヤモンドの融点以下の所定温度に過熱し、ダイヤモンドナノ粒子を昇華させ、第2の基板にオニオンライクカーボンを蒸着させることにより、オニオンライクカーボン、特に、2次元的な単分散のオニオンライクカーボンを作製できるものである。
具体的には、高融点金属であるタンタル基板上に、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)を有機溶媒のエタノールに溶かした希釈溶液を塗布するもので、塗布後、ダイヤモンドナノ粒子を1400℃程度の温度でアニールし、オニオンライクカーボンを昇華させ、タンタル基板に対向して配設したHOGP基板上に、2次元的な単分散の一様なオニオンライクカーボン薄膜を作製するものである。アニールは、タルタル基板の両端の電極に電圧をかけて電流を流すことで行っている。
ここで、オニオンライクカーボン薄膜の膜厚は、タルタル基板の両端の電極からの通電時間でコントロールする。また、反応装置自体は、10−4Pa程度の低真空に保てば十分である。
上記のオニオンライクカーボンの作製方法により得られたオニオンライクカーボンは、薄膜性や分散性に優れており、かかるオニオンライクカーボンを添加した潤滑油は、他のナノカーボン粒子に比較して優れた低摩擦特性、高い潤滑性を有する。
また、上記のオニオンライクカーボンの作製方法により得られたオニオンライクカーボンを分散させて含有させた耐静電性低摩擦塗膜や、得られたオニオンライクカーボン薄膜を表面に形成させた有機高分子材料や、得られたオニオンライクカーボンをコーティングした医療用チューブは、その優れた低摩擦特性、高い潤滑性から、他のナノカーボン粒子を分散させて含有させた耐静電性低摩擦塗膜、他のナノカーボン薄膜を表面に形成させた有機高分子材料、他のナノカーボンをコーティングした医療用チューブと比べて、機能性が向上することになる。
上述したように、本発明によれば、薄膜化や分散化に優れたオニオンライクカーボンの作製方法を提供でき、また、オニオンライクカーボンの潤滑特性を十分に活用することができるといった効果を有する。
実施例1のアークプラズマガンによるオニオンライクカーボンの作製装置の概略図を示す。 アークプラズマガンによるカーボン照射後の試料の透過型電子顕微鏡の写真画像(TEM像)を示す。 本実施例の作製方法により合成したオニオンライクカーボンおよび、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)の熱アニールにより合成したオニオンライクカーボンの粒径分布を示す。 走査型トンネル顕微鏡(STM)観察結果を示す。 合成したオニオンライクカーボン薄膜及びHOPGの原子間力顕微鏡(AFM)による摩擦力測定結果を示す。 ポリアルファオレフェイン(PAO30)に対して、実施例1の作製方法で得られたオニオンライクカーボンの添加量に対する摩擦係数の変化を示したグラフである。 粘度の異なる3種類のポリアルファオレフェイン(PAO2、PAO30、PAO400)への各種ナノカーボン添加時の摩擦係数を示したグラフである。 自然酸化したポリアルファオレフェイン(PAO30)における各接触圧力下における摩擦係数を示す。 オニオンライクカーボンを添加したポリアルファオレフェイン(PAO30)における荷重の連続変化時の摩擦係数変化を示す。 実施例3のオニオンライクカーボンの作製装置の概略図を示す。 実施例3のダイヤモンドナノ粒子(DNP)を昇華させて形成したオニオンライクカーボン薄膜の画像である。 実施例3の試料を乾燥させたSEM像である。 実施例3の作製した試料の濃度と膜厚の関係図である。 実施例3の作製した試料のTEM像である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
(オニオンライクカーボンの作製方法)
実施例1では、アークプラズマガンによりオニオンライクカーボンを合成し、オニオンライクカーボン薄膜を作製する方法について説明する。オニオンライクカーボンの作製方法は、10−7Pa以上の真空度に保持された反応室内で、アークプラズマ発生手段としてアークプラズマガンを用いてカーボンイオンをターゲットに照射させ、オニオンライクカーボンを合成するものである。
アークプラズマガンのカソードとしてカーボンロッドを搭載し、高純度のカーボンイオンを照射した。また、オニオンライクカーボンの合成は、放電電圧、放電パルス数、真空度をパラメータとした。なお、アークプラズマガンは、株式会社アルバック社製(型式:APG−100)を用いた。
図1に、実施例1のアークプラズマガンによるオニオンライクカーボンの作製装置の概略図を示す。
図1に示される反応室10は、図示しないターボ分子ポンプ(TMP)を用いて、10−7 Pa以上の超高真空を保つ反応室であり、ターゲット11をクリーニングするためのスパッタイオンガン14と、オニオンライクカーボンをターゲット11に蒸着させるためのアークプラズマガン13を備えている。反応室10の配管(16,17)は、ターボ分子ポンプ(TMP)に接続されている。
また、ターゲット11は、グラファイトを用いた。
そして、オニオンライクカーボンの合成から解析まで大気暴露せず、汚染物を排除するために、超高真空中において表面観察ならびにトライボロジー特性の解析を実施した。超高真空中での表面観察には、オミクロン社製の走査トンネル顕微鏡(型式:UHV−AFM/STM)を用いている。
観察用試料として、コロジオン支持膜付きグリッドメッシュを用い、アークプラズマガンによるターゲットへの照射後、直ちに透過型電子顕微鏡による観察を行った。
上記のオニオンライクカーボンの作製装置において、アークプラズマガンの放電電圧が100V、放電パルス数100ショット、真空度10−7Paの条件下で、オニオンライクカーボンの合成が確認された。アークプラズマガンによるカーボン照射後の試料の透過型電子顕微鏡の写真画像(TEM像)を図2に示す。
また、図2の右下の矢印Aに示すように、制限視野電子回折パターンより明瞭なグラファイト構造由来の回折リングが観察された。
また、放電パルス数によらず、オニオンライクカーボンの合成が確認されている。また、放電パルス数を制御することで、所望のオニオンライクカーボンの薄膜が形成できることの知見を得た。一方、圧力に対する著しい依存性も確認されており、真空度10−6Pa以下においては、アモルファス状の炭素が形成されていた。
図3に、本実施例の作製方法により合成したオニオンライクカーボンおよび、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)の熱アニールにより合成したオニオンライクカーボンの粒径分布を示す。本実施例の作製方法による合成では、直径10nm程度のオニオンライクカーボンが多数を占め、DNPを用いた場合よりも粒径の増大が確認されている。
(オニオンライクカーボン薄膜のトライボロジー特性)
本作製方法により得られたオニオンライクカーボン薄膜を評価するため、高配向燒結グラファイト基板(HOPG)上へ、アークプラズマガンの放電電圧が100V、放電パルス数100ショット、真空度10−7Paの条件下で、カーボン照射を行った。図4は、走査型トンネル顕微鏡(STM)観察結果を示している。
HOPG表面上の広域にわたって、図4(a)中の領域Bで示す薄膜の形成が観察され、また局所的に薄膜形態の異なる領域Aの形成が合わせて観察された。これらの領域を詳しく見ると、図4(b)に示されるようにその境界は原子レベルで明瞭であり、またその断面観察から、最大高さはほぼ一定で、領域Aにおいて空間密度が高いことがわかる(図4(c)を参照)。
領域Aの高倍率観察した結果の図4(d)および領域Bの高倍率観察した結果の図4(e)から、直径10nm程度のドメインの形成が確認できた。また、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、オニオンライクカーボンの粒径に近い値が得られた。
一方、領域Aにおける高い平坦性はアモルファイス状カーボンの局所的な形成によるものと考えられ、形成粒子との混合状態にあると推察している。
次に、合成したオニオンライクカーボン薄膜及びHOPGの原子間力顕微鏡(AFM)による摩擦力測定結果を図5に示す。AFMによる観察において、上述の図4で示されたような局所領域Aは感度の制約上検出できず、摩擦領域はよりオニオンライクカーボンの存在が顕著なBにおけるものと推察している。
図5の摩擦力測定結果から、本作製方法により得られたオニオンライクカーボン薄膜は、荷重範囲0−70nNにおいて、HOPGに比べ低摩擦を示すことが確認された。なお、最大荷重70nNにおいて、ヘルツ接触圧力は500MPa程度であり、HOPG及び本作製方法により合成したオニオンライクカーボン薄膜において、AFMにより検出される摩耗は観察されていない。
なお、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)の熱アニールにより合成したオニオンライクカーボン凝集体の摩擦力は、HOPGよりも高い値を示すといった知見を既に得ている。従って、本作製方法により合成したオニオンライクカーボン薄膜は、オニオンライクカーボンの低凝着力に加え、薄膜化による平坦化も伴って、HOPGに比べ低摩擦を示したのである。
また、下表1に示すように、本作製方法のアークプラズマガンにより合成したオニオンライクカーボン(OLC)薄膜における凝着力は、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)の熱アニールにより合成したオニオンライクカーボン(OLC)薄膜における凝着力とほぼ同程度であり、HOPGにおける凝着力に比べ低い値を示した。
上述の結果から、本作製方法のアークプラズマガンにより合成したオニオンライクカーボン薄膜は、その粒径や凝着力より、従来のダイヤモンドナノ粒子(DNP)の熱アニールにより合成したオニオンライクカーボン薄膜とほぼ同様の特性を有することが確認された。
実施例2では、上述の実施例1で作製されたオニオンライクカーボンの潤滑特性について説明する。
本発明の作製方法で得られたオニオンライクカーボンを添加した潤滑油と、同じ炭素ナノ材料として構造の近いフラーレンC60を添加した潤滑油、グラフェンシートを円筒状に丸めた構造のカーボンナノチューブを添加した潤滑油、サイズ大きいものの結晶性が優れており固体潤滑材として利用されているキッシュグラファイトを添加した潤滑油を比較して、潤滑特性の効果を確認した。
潤滑特性の効果の確認として、往復摺動型の摩擦試験装置を用いて摩擦特性解析を行った。ボール及び基板材には、高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)を用いた。また潤滑油には、3種類の粘度を有するポリアルファオレフェイン(PAO2、PAO30、PAO400)を用いた。また潤滑油の添加剤として、上述の各種ナノカーボン(フラーレン、カーボンナノチューブ、キッシュグラファイト、本作製方法で得られたオニオンライクカーボン)を添加した。
図6は、ポリアルファオレフェイン(PAO30)に対して、本作製方法で得られたオニオンライクカーボンの添加量に対する摩擦係数の変化を示したグラフである。
図6において、横軸は添加量(%)であり、縦軸が摩擦係数である。図6から、各接触圧力下での摩擦試験において、オニオンライクカーボンの添加量が0.1重量%の場合に摩擦係数が最小の値を示している。したがって、以下の測定において、各種ナノカーボンの添加量は0.1重量%とすることにした。
(各潤滑油中でのナノカーボン添加特性)
図7は、粘度の異なる3種類のポリアルファオレフェイン(PAO2、PAO30、PAO400)への各種ナノカーボン添加時の摩擦係数を示したグラフである。図7において、横軸は接触圧力(GPa)であり、縦軸が摩擦係数である。図7の(a)〜(c)に示されるように、各粘度、圧力において、オニオンライクカーボンを添加した際の摩擦係数は、一部の例外を除き最も低くなっている。
このことから、各種ナノカーボン中でのオニオンライクカーボンの添加の効果の優位性は明白である。またポリアルファオレフェイン(PAO30、PAO400)においては、最も高い圧力下において最も低い摩擦係数を示しており、摩擦界面においてオニオンライクカーボンに物理的な変形や破壊または化学的な変化が生じた可能性があり、このことが潤滑油の摩擦係数に寄与したものと推察できる。
以上から、各種ナノカーボンを添加した潤滑油において、オニオンライクカーボンが最も低い摩擦係数を示し、摩擦低減効果において最も優れた特性を有することが理解できよう。
また図8に、自然酸化したポリアルファオレフェイン(PAO30)における各接触圧力下における摩擦係数を示す。図8から、酸化した潤滑油においても、オニオンライクカーボン添加時に最も低い摩擦係数を示している。このことから、オニオンライクカーボン添加によって潤滑油の高寿命化の可能性がある。
(オニオンライクカーボン添加時の摩擦中の変化)
図9に、オニオンライクカーボンを添加したポリアルファオレフェイン(PAO30)における荷重の連続変化時の摩擦係数変化を示す。図9において、横軸は荷重(N)であり、縦軸が摩擦係数である。図9では、高荷重付与後の低荷重摩擦試験において摩擦係数の低下が観察されている。
また、荷重1.9(N)での摩擦試験後の表面をAFM観察すると、摩擦摺動方向に沿って薄膜の形成が観察された。またSTMによる高分解能観察では、オニオンライクカーボンの破壊によって生成したと考えられる断片が観察された。このことから、高面圧下において、オニオンライクカーボンの破壊が生じ、そのことが良好なトライボフイルム合成に関与しているものと推察できる。
実施例3では、第2の観点のオニオンライクカーボンの作製方法を説明する。
実施例3のオニオンライクカーボンの作製装置を図10に示す。実施例3のオニオンライクカーボンの作製方法は、第1の基板21と所定距離隔てて第1の基板21に対向して第2の基板22を設け、ダイヤモンドナノ粒子を有機溶媒に分散させた溶液を第1の基板21に塗布し、第1の基板21をダイヤモンドの融点以下の所定温度に過熱し、表面に生成したオニオンライクカーボンを昇華させ、第2の基板22にオニオンライクカーボンを蒸着させることにより、オニオンライクカーボン、特に、2次元的な単分散のオニオンライクカーボン薄膜24を作製できるものである。
具体的には、高融点金属であるタンタル板21上に、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)を有機溶媒のエタノールに溶かした希釈溶液を塗布するもので、塗布後、ダイヤモンドナノ粒子23を1400℃程度の温度でアニールし、オニオンライクカーボンを昇華させ、タンタル板21に対向して配設したHOGP基板上22に、2次元的な単分散の一様なオニオンライクカーボン薄膜24を作製するものである。アニールは、タルタル板21の両端の電極(25,26)に電圧をかけて電流を流すことで行っている。
ここで、オニオンライクカーボン薄膜の膜厚は、タルタル基板の両端の電極からの通電時間でコントロールする。また、反応装置自体は、10−4Pa程度の真空度で稼動が可能である。タルタル基板21上に塗布したダイヤモンドナノ粒子23の温度は放射温度計28で測定する。
実施例3のダイヤモンドナノ粒子(DNP)を昇華させて形成したオニオンライクカーボン薄膜の画像を図11に示す。図11は、2ミリリットルのエタノールに所要量のダイヤモンドナノ粒子(DNP)を混合し、超音波分散装置により十分に分散させて、濃度の異なる3種類の試料を用いることでダイヤモンドナノ粒子(DNP)の薄膜を作製したものである。なお、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)の分散液の重量パーセント濃度は、画像の左からそれぞれ2.5,3.5,4.5重量%としている。
図12は、タンタル板と、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)の懸濁液をスポイトでタンタル板に滴下させ、自然乾燥させた試料のSEM像を示している。図12(a)のSEM像では、懸濁液滴下前のタンタルいた表面には約1μm程の幅の亀裂があることがわかる。図12(b)にダイヤモンドナノ粒子(DNP)の懸濁液濃度2.5重量%のSEM像を示す。図12(a)でみられるようなタンタル板表面と異なり、作製した膜に表面がおおわれている。この膜の厚さはおよそ12μmで、またクラックが相当数入っていることが確認できた。さらにこの中には、図12(a)で確認したタンタル板表面の亀裂に沿うものも確認でき、これが影響を及ぼした可能性がある。クラック発生のその他の理由としては、圧延時の変形に起因すると推察している。
さらに、図12(c)には、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)の懸濁液濃度3.5重量%のSEM像を示す。幕の厚さは約13μmである。作製したダイヤモンドナノ粒子(DNP)膜にはいくつもの内包物が観察できる。この内包物はダイヤモンドナノ粒子(DNP)と考えられ、使用しているダイヤモンドナノ粒子(DNP)の平均粒径は4〜5nmであることから、内包されているダイヤモンドナノ粒子(DNP)は凝集体を形成していると推察できる。従って、本実施例3で作製したオニオンライクカーボン薄膜は、一様に分散したダイヤモンドナノ粒子(DNP)内に局在するダイヤモンドナノ粒子(DNP)の凝集体が内包することで形成されたと推察できる。またこの膜にも相当数のクラックが確認できた。
最後に、図12(d)にDNP懸濁液濃度4.5重量%のSEM像を示す。この場合も、図12(b),(c)同様に膜の作製および、クラックが確認でき、同様にダイヤモンドナノ粒子(DNP)の凝集体の内包も確認できた。膜の厚さはおよそ23μmである。
タンタル板の加熱中において、1500℃以上の温度でダイヤモンドナノ粒子(DNP)膜がタンタル板上からほぼ脱離することを確認したため、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)膜に加える温度として加熱温度の上限を1500℃とし、1200、1300、1400、1500℃の4パターンを設定した。作製温度による膜厚の変化を図13に示す。全ての試料に対し、無造作に3点の場所の膜厚を測定し、平均としている。作製度が上がっていくほどに膜厚が減少しているのがわかる。さらに1200℃から1300℃で作成した試料の膜厚変化量と比べると1400℃で作成した試料の膜厚が急激に減少しているのがわかる。作製温度が1500℃を超えると膜がタンタル板上で観察されなくなることから、加熱によるダイヤモンドナノ粒子(DNP)の表面からの脱離、もしくはタンタル板中へのカーボンの拡散が起こると考えることができる。
ダイヤモンドナノ粒子(DNP)膜を加熱作製した膜のTEM像を図14に示す。作製条件は、順に1200、1300、1400、1500℃となっている。1200℃では、生成膜中にオニオンライクカーボンは観察されず、図14のようなアモルファスカーボン、もしくはグラファイト化の起きていないダイヤモンドが観察された。1300℃でも、1200℃と比べて大きな変化は無く、図14のようなグラファイト化していないダイヤモンドが観察された。1400℃では、ダイヤモンドの残留も観察されたが、図14に示すように1200、1300℃で確認できなかったオニオンライクカーボンが観察されており、1500℃でも同様にオニオンライクカーボンが少し多角化しているのがわかる。以上の結果から、ダイヤモンドナノ粒子(DNP)をオニオンライクカーボン化させる加熱温度として、1400℃程度が適切であることがわかる。
本発明は、潤滑油、耐静電性低摩擦塗膜、カテーテルなどの医療用チューブの被膜材の作製方法として有用である。
1 オニオンライクカーボンの作製装置
10 反応室
11 ターゲット基板
12 ヒーター
13 アークプラズマガン
14 スパッタイオンガン
15 マニュピュレータ
16,17 配管
21 第1の基板(タンタル板)
22 第2の基板(HOPG基板)
23 ダイヤモンドナノ粒子の分散溶液
24 オニオンライクカーボン膜
25,26 電極
28 放射温度計

Claims (3)

  1. 真空度が10 −7 Pa以上に保持された超高真空反応室内で、カーボンロッドをカソードに用いたアークプラズマガンによりカーボンを蒸発させターゲットに蒸着させ
    アークプラズマガンによる放電パルス数を、オニオンライクカーボンの粒径制御パラメータとして用い、放電パルス数を増減してオニオンライクカーボンの粒径を制御して作製することを特徴とするオニオンライクカーボンの作製方法。
  2. 請求項のオニオンライクカーボンの作製方法により得られたオニオンライクカーボンを添加した潤滑油。
  3. 請求項のオニオンライクカーボンの作製方法により得られたオニオンライクカーボン薄膜
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