本発明の静電荷像現像剤は、結着樹脂及び着色剤を含む着色樹脂粒子と、外添剤とを含有する静電荷像現像剤において、前記外添剤が、個数平均一次粒径が20〜120nm及びアスペクト比が3〜15である、疎水化処理された板状のアルミナ微粒子を含有し、且つ、前記アルミナ微粒子の含有量が、前記着色樹脂粒子100質量部に対して、0.05〜1質量部であることを特徴とする。
以下、本発明の現像剤について説明する。
本発明の現像剤は、結着樹脂及び着色剤を含有する着色樹脂粒子と、外添剤として特定の条件を満たす前記アルミナ微粒子を特定量含有する。
本発明の現像剤は、前記着色樹脂粒子の表面に、外添剤として前記アルミナ微粒子を付着添加することにより得られるものであることが好ましい。
以下、本発明に使用される着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子及び前記アルミナ微粒子を用いた本発明の現像剤の製造方法並びに本発明の現像剤について、順に説明する。
1.着色樹脂粒子の製造方法
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れた現像剤が得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つ現像剤を得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子エマルションを得て、着色剤分散液等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等の現像剤成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
本発明の着色樹脂粒子は、湿式法、又は乾式法を採用して製造することが出来る。湿式法の中でも好ましい懸濁重合法を採用する場合には、以下のようなプロセスにより行われる。
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体及び着色剤、さらに必要に応じて添加される離型剤及び帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機やインライン型乳化分散機を用いて行う。
本発明で重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等の二トリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールにカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られる現像剤の保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。
マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラーの現像剤を作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、213、237、251、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本発明では、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部である。
定着時における現像剤の定着ロールからの離型性を改善する観点から、重合性単量体組成物には、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般に現像剤の離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。
上記離型剤は、エステルワックス及び炭化水素系ワックスの内の少なくともいずれか1つを含有することが好ましい。これらのワックスの内の少なくともいずれか1つを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベへニル等のモノエステル化合物;ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもモノエステル化合物が好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられる炭化水素系ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックス等が挙げられ、中でも、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックスが好ましく、石油系ワックスがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
上記離型剤の他にも、例えば、ホホバ等の天然ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;等を用いることができる。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
その他の添加物として、現像剤の帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般に現像剤用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)を現像剤粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性現像剤を得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
また、その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般に現像剤用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明においては、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行うことが好ましい。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(荏原製作所社製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中でも、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
本発明において、水系媒体は、水を主成分とする媒体のことを言う。
本発明において、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られる重合現像剤が画像を鮮明に再現することができ、更に環境安定性を悪化させない。
(A−3)重合工程
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行った後、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子は、そのまま外添剤を添加して重合現像剤として用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色樹脂粒子を用いてコアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することによりコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
(A−4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸や、蟻酸及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂及び着色剤、さらに必要に応じて添加される離型剤及び帯電制御剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂及び着色剤、さらに必要に応じて添加される離型剤及び帯電制御剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
結着樹脂としては、他にも、従来から現像剤に広く用いられている樹脂を使用することができる。粉砕法で用いられる結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等を例示することができる。
2.着色樹脂粒子
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、現像剤を構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、重合現像剤の流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター製、商品名「マルチサイザー」)等を用いて測定することができる。
本発明の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標である。平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
3.本発明の現像剤の製造方法
上述した(A)懸濁重合法又は(B)粉砕法により得られる着色樹脂粒子を、後述するアルミナ微粒子を含有する外添剤と共に混合攪拌することにより、着色樹脂粒子の表面に、均一かつ好適に付着添加(外添)させることができる。
後述するアルミナ微粒子等の外添剤を、着色樹脂粒子の表面に付着添加(外添)する方法は、特に限定されず、混合攪拌が可能な装置を用いて行うことができる。
混合攪拌が可能な装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、メカノミル(:商品名、岡田精工社製)、及びノビルタ(:商品名、ホソカワミクロン社製)等の高速攪拌機が代表的に挙げられる。
本発明の現像剤は、外添剤として、個数平均一次粒径が20〜120nm及びアスペクト比が3〜15である、疎水化処理された板状のアルミナ微粒子を、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.05〜1質量部含有する。
本発明に使用されるアルミナ微粒子の製造方法は、上記条件を満たしていれば特に限定はないが、水和物を含む硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の、水に溶解させると酸性となるアルミニウム化合物(以下、「酸性アルミニウム化合物」とも称する。)と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の、水に溶解させるとアルカリ性となる水酸化アルカリ化合物とを中和反応させて水酸化アルミニウム化合物を生成させた後、水熱反応を行い、ろ過、水洗、及び乾燥してベーマイト微粒子を得た後、高温処理を行うと、上記条件を満たすアルミナ微粒子を得やすくなるので好ましい。水熱反応とは高温高圧の熱水存在下で結晶を析出及び成長させる反応であり、反応温度は100℃以上であることが好ましく、200〜400℃であることがより好ましい。また、反応圧力は0.1MPa以上であることが好ましく、20〜40MPaであることがより好ましく、反応時間は30秒以上であることが好ましく、30秒〜8時間であることがより好ましい。高温処理の処理温度は500〜1000℃であることが好ましく、処理時間は0.01〜8時間が好ましい。このような条件を選定することで、本発明に使用できるアルミナ微粒子を好ましく得ることができる。
板状のアルミナ微粒子は、実質的に板状の立体形状、好ましくは四角板状を有するものであれば、板状の頂点が丸みを帯びる等多少変形したものでもよい。
板状のアルミナ微粒子を外添剤として使用することにより、現像剤間における電荷移動を促進し、現像剤の帯電量を均一化する効果があるものと推察される。
本発明に使用されるアルミナ微粒子の個数平均一次粒径が20nmより小さいと、高温高湿(H/H)環境下における帯電量の低下が著しくなり、印字カブリが発生する。一方、当該アルミナ微粒子の個数平均一次粒径が120nmより大きいと、低温低湿(L/L)環境下における帯電量の上昇が著しくなり、印字カブリが発生する。本発明に使用されるアルミナ微粒子の個数平均一次粒径は30〜100nmであることが好ましく、40〜80nmであることがより好ましく、50〜70nmであることが更に好ましい。
個数平均一次粒径は、例えば、以下のように測定できる。まず、個々の粒子について、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)等により粒子の長径を測定し、当該長径をそのアルミナ微粒子の粒径とする。次に、200個以上のアルミナ微粒子の粒径を計測し、その平均値を、そのアルミナ微粒子の個数平均一次粒径とする。なお、上述したように、本発明に使用されるアルミナ微粒子には、板形状の各頂点が丸みを帯びているものや、一辺が丸みを帯びているものもあると考えられるが、このような微粒子についても、ほぼ直方体と見立てた上で、粒径を計測する。
アルミナ微粒子の個数平均一次粒径は、水熱反応法における水熱温度を上げたり、滞留時間を長くしたりすると、大きくなる傾向がみられる。滞留時間は0.2〜60分間であることが好ましい。滞留時間が0.2分間より短いと、個数平均一次粒径が小さくなりすぎるおそれがあり、一方、滞留時間が60分間より長いと、個数平均一次粒径が大きくなりすぎるおそれがある。
滞留時間は0.5〜30分間であることがより好ましい。
また、アルミナ微粒子のアスペクト比が3より小さいと帯電量の変化が大きくなり、環境差による変動も大きくなる。また、アスペクト比が15より大きいと、アルミナ微粒子の形状がもはや板状ではなく、針状等になるため、トナー粒子から脱離し易くなり、本発明の効果を奏しなくなる。アスペクト比は3〜10が好ましく、3.5〜8がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
アスペクト比は、例えば、以下のように測定できる。まず、個々の粒子について、TEM等により粒子の短径を測定し、当該短径をアルミナ微粒子の厚さとする。次に、200個以上のアルミナ微粒子の厚さを計測し、その平均値を、そのアルミナ微粒子の平均厚さとする。個数平均一次粒径を、平均厚さで除した値を、そのアルミナ微粒子のアスペクト比とする。
アルミナ微粒子のアスペクト比は、水熱反応法における水熱温度を上げると小さくなり、中和度を高くすると大きくなる傾向がみられる。水熱温度は100〜450℃であることが好ましく、中和度は0.8〜2.0であることが好ましい。水熱温度が100℃未満であると、アスペクト比が大きくなりすぎるおそれがあり、一方、水熱温度が450℃を超えると、アスペクト比が小さくなりすぎるおそれがある。また、中和度が0.8未満であると、アスペクト比が小さくなりすぎるおそれがあり、一方、中和度が2.0を超えると、アスペクト比が大きくなりすぎるおそれがある。
水熱温度は250〜400℃であることがより好ましく、中和度は0.9〜1.2であることがより好ましい。
ここで、中和度とは、酸性アルミニウム化合物のアルミニウム当量数に対する、中和に使用する水酸化アルカリ化合物の水酸基の当量数のことである。
着色樹脂粒子100質量部に対して、本発明に使用される前記アルミナ微粒子の含有量が0.05質量部より少ないと、低温低湿(L/L)環境下における帯電量の上昇が著しくなり、印字カブリが発生する。一方、当該含有量が1質量部より多いと、高温高湿(H/H)環境下における帯電量の低下が著しくなり、印字カブリが発生する。本発明に使用される前記アルミナ微粒子の含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることが好ましく、0.2〜0.4質量部であることがより好ましい。
詳細な機構は明らかではないが、着色樹脂粒子に対する前記アルミナ微粒子の含有量が上記範囲内である場合、現像剤の帯電量を均一化する効果が発揮されると推察される。
前記アルミナ微粒子について、粒径分布を小粒径側から起算した体積累計が10%に該当する粒径をDv10とし、当該体積累計が90%に該当する粒径をDv90としたとき、Dv90/Dv10が、1.5〜3.0であることが好ましい。
Dv90/Dv10が1.5より小さいアルミナ微粒子は、現行技術では作製が困難である。一方、Dv90/Dv10が3.0より大きいアルミナ微粒子を用いると、着色樹脂粒子に対するアルミナ微粒子の付着が不均一となり、外添効果にばらつきが発生するおそれがある。
Dv10及びDv90は、動的光散乱式粒径分布測定装置等の粒径測定装置により測定できる。
本発明において外添剤として用いる前記アルミナ微粒子は、疎水化処理されていることが必要であり、シランカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸及び脂肪酸金属塩等の疎水化処理剤により疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理剤としては、高画質が得られるという観点から、シランカップリング剤、及びシリコーンオイルがより好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のジシラザン;環状シラザン;トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリアセトキシシラン等のアルキルシラン化合物、並びにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物;等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
疎水化処理剤は、上記のうち、1種のみを用いてもよく、又は2種以上用いてもよい。
正帯電性の現像剤を得る場合、良好な正帯電性を持つ現像剤が得られ易いことから、アミノシラン化合物やアミノ変性シリコーンオイル等のアミノ基を含有するケイ素化合物を用いることがさらに好ましく、アミノ変性シリコーンオイルを用いることが特に好ましい。この場合、高い正帯電性と疎水性を付与するためには、疎水化処理剤として、アミノ基を含有するケイ素化合物と、アミノ基を含有しないケイ素化合物とを併用することが特に好ましい。疎水化処理は、トナーの外添剤として用いられているシリカと同様に公知の方法で実施することができる。
シランカップリング剤及びシリコーンオイルは、アルミナ微粒子表面のアルミノール基と反応すると推測される。
本発明に用いられる前記アルミナ微粒子は、水熱反応法により得られるベーマイト(Boehmite:アルミナ一水和物)粒子を、焼成し、疎水化処理することにより作製できる。
疎水化処理されたアルミナ微粒子の製造例は以下の通りである。まず、バイヤー法等により原料となる水酸化アルミニウムを作製する。次に、得られた水酸化アルミニウムを用いて、水熱反応法によりベーマイト粒子を作製する。水熱反応法の詳細は特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウムにNaOH等の結晶制御剤を添加して水熱反応させてもよいし、又は、水酸化アルミニウムにアルミニウム塩水溶液及びアルカリ水溶液を添加して水熱反応させてもよい。また、水熱反応には、連続式水熱反応装置等の装置を用いてもよい。続いて、得られたベーマイト粒子を高温で焼成することによりアルミナ微粒子を作製する。高温で焼成する場合、処理温度は500〜1000℃が好ましく、処理時間は0.01〜8時間が好ましい。
最後に、得られたアルミナ微粒子を、上述した疎水化処理剤で処理することにより、疎水化処理されたアルミナ微粒子が得られる。
水熱反応前の水酸化アルミニウム粒子は、アモルファスに近く、水洗したとしても原料由来の不純物(例えば、Cl、S、Na等)の除去が困難である。水熱反応により、アルミナ微粒子の結晶性を高く、且つ結晶粒径を大きくでき、さらに、結晶成長の際に不純物が除去され、高純度化が図れる。また、結晶性が高くなることにより、アルミナ微粒子の分散性も向上する。
水熱反応においては、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩を添加してもよい。脂肪酸塩の添加量が多いほど、得られるアルミナ微粒子の個数平均一次粒径が小さくなる傾向がみられる。水熱反応において添加する脂肪酸塩の添加量は、ベーマイト粒子の理論生成量に対して0.01〜5質量%であることが好ましい。
本発明において、外添剤として、アルミナ微粒子に加えて、個数平均一次粒径が5〜30nmのシリカ微粒子Aを含有していることが好ましい。
シリカ微粒子Aの個数平均一次粒径が、5nm未満である場合には、着色樹脂粒子の表面から内部に、当該シリカ微粒子が埋没し易くなり、流動性を現像剤粒子に十分に付与させることができず、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シリカ微粒子Aの個数平均一次粒径が、30nmを超える場合には、現像剤粒子の表面に対して、当該シリカ微粒子が占める割合(被覆率)が低下するため、流動性を現像剤粒子に十分に付与させることができない場合がある。
シリカ微粒子Aの個数平均一次粒径は、10〜30nmであることがより好ましく、15〜25nmであることが更に好ましい。シリカ微粒子Aはフュームドシリカであることが好ましく、更に疎水化処理されているとより好ましい。
本発明において、外添剤として、アルミナ微粒子に加えて、個数平均一次粒径が35〜80nmのシリカ微粒子Bを含有していることが好ましい。
シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径が、35nm未満である場合には、スペーサー効果が低下し、カブリの発生など印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径が、80nmを超える場合には、現像剤粒子の表面から、当該シリカ微粒子が遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径は、40〜60nmであることがより好ましく、更に疎水化処理されているとより好ましい。
シリカ微粒子Aの含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1質量部であることが更に好ましい。
シリカ微粒子Bの含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.2〜3質量部であることが好ましく、0.3〜2質量部であることがより好ましく、0.5〜1.5部質量部であることが更に好ましい。
シリカ微粒子Aの含有量が0.1質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、流動性が低下したり、保存性や耐久性が低下したりする場合がある。一方、シリカ微粒子Aの含有量が2質量部を超える場合、現像剤粒子の表面から、当該シリカ微粒子が遊離し易くなり、高温高湿環境下での帯電性が低下してカブリが発生する場合がある。
シリカ微粒子Bの含有量が0.2質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シリカ微粒子Bの含有量が3質量部を超える場合、現像剤粒子の表面から、当該シリカ微粒子が遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
より好適な疎水化処理済みのシリカ微粒子A及びシリカ微粒子Bを得るための疎水化処理剤としては、上述したアルミナ微粒子の疎水化処理に使用できるものと同様の疎水化処理剤を用いることができる。疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、及びシリコーンオイル等を用いることが好ましい。疎水化処理剤は、上記のうち、1種のみを単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ微粒子Aとしては、種々の市販品を用いることができ、例えば、クラリアント社製のHDK2150(:商品名、個数平均一次粒径:12nm);日本アエロジル社製のR504(:商品名、個数平均一次粒径:12nm)、RA200HS(:商品名、個数平均一次粒径:12nm);テイカ社製のMSP−012(:商品名、個数平均一次粒径:16nm)、MSP−013(:商品名、個数平均一次粒径:12nm);キャボット社製のTG820F(:商品名、個数平均一次粒径:7nm)、TG7120(:商品名、個数平均一次粒径:20nm)等が挙げられる。
シリカ微粒子Bとしては、種々の市販品を用いることができ、例えば、日本アエロジル社製のNA50Y(:商品名、個数平均一次粒径:35nm)、VPNA50H(:商品名、個数平均一次粒径:40nm);クラリアント社製のH05TA(:商品名、個数平均一次粒径:50nm);等が挙げられる。
なお、本発明では、前記アルミナ微粒子の他に、外添剤として、シリカ微粒子Aのみを加えて用いてもよいし、シリカ微粒子Bのみを加えて用いてもよいが、シリカ微粒子A及びシリカ微粒子Bを組み合わせて用いるとより好ましい。
4.本発明の静電荷像現像剤
上記工程を経て得られる本発明の静電荷像現像剤は、外添剤として、個数平均一次粒径が20〜120nm及びアスペクト比が3〜15である、疎水化処理された板状のアルミナ微粒子を含有し、且つ、該アルミナ微粒子の含有量が、前記着色樹脂粒子100質量部に対して、0.05〜1質量部であることにより、低温低湿環境、常温常湿環境、及び高温高湿環境のいずれの環境下においても、帯電量の変化が小さく、カブリの発生がない、環境安定性に優れたものとなる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準を意味する。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
1.着色樹脂粒子の製造例及び評価
重合性単量体としてスチレン81部とn−ブチルアクリレート19部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)5部を、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名「アクリベース FCA−161P」)1部、離型剤として脂肪酸エステルワックス(日本油脂社製、商品名「WEP3」)5部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.6部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
他方、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.2部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌した。そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーブチルO)6部を添加した後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間高速剪断攪拌して分散を行い、重合性単量体組成物の液滴形成を行った。
上記重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が、ほぼ100%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性)0.3部を添加し、90℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記着色樹脂粒子の水分散液を、室温下で、硫酸を攪拌しながら滴下し、pHが6.5以下となるまで酸洗浄を行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分にイオン交換水500部を加えて再スラリー化させて、水洗浄処理(洗浄、濾過、及び脱水)を数回繰り返し行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分を乾燥機の容器内に入れ、45℃で48時間乾燥を行い、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子について、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)及び粒径分布(Dv/Dn)を調べた。
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mLを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、20W(Watt)の超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
得られた着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は9.7μm、個数平均粒径(Dn)は8.5μm、粒径分布(Dv/Dn)は1.14であった。
得られた着色樹脂粒子について、平均円形度を調べた。
容器中に、予めイオン交換水10mLを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式1:(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
得られた着色樹脂粒子の平均円形度は0.987であった。
2.アルミナ微粒子の製造例及び評価
[製造例1]
原料として、硝酸アルミニウム九水和物水溶液(Al量:6.9mol)と水酸化ナトリウム水溶液(OH量:21.3mol)との中和反応により水酸化アルミニウム含有水溶液を調製した[中和度(OH量/(Al量×3))=1.0、pH=10.6]。また、その調製時に水酸化アルミニウム含有水溶液には、ベーマイト理論生成量に対して1.0質量%のオレイン酸ナトリウムを添加した。この調製原料を連続式水熱反応装置により温度350℃、圧力28MPa、滞留時間1.3minにて水熱反応を行い、その後、ろ過、水洗、及び乾燥させて板状のベーマイト微粒子を得た。得られたベーマイト微粒子を600℃の温度条件下、2時間熱処理を行い、個数平均一次粒子径66nm、アスペクト比5.2、比表面積71.0m2/gである板状のγ−アルミナ微粒子(アルミナ微粒子1)を得た。
[製造例2]
製造例1で得られたγ−アルミナ微粒子(アルミナ微粒子1)をエタノール900g中に分散させた。そして、このエタノール分散液を攪拌しながら、疎水化処理剤としてメチルトリエトキシシラン(モメンティブ社製)25gを添加した。その後、混合分散液を80℃にて減圧乾燥し、最後に100℃にて24時間熱処理を行って、疎水化処理された板状のγ−アルミナ微粒子(アルミナ微粒子2)を得た。
アルミナ微粒子1及びアルミナ微粒子2について、透過型電子顕微鏡(日立製作所製:H−7600)を用いて、加速電圧100kVにて、倍率20万倍でTEM観察を行い、粒子の形状を確認し、個数平均一次粒径、及びアスペクト比を算出した。
図1は、アルミナ微粒子1のTEM画像である。図1より、アルミナ微粒子1は板状であることが確認できる。
まず、ほぼ直方体とみたてた個々の粒子形状について、粒子の長径、短径をそれぞれ測定し、粒子の長径をそのアルミナ微粒子の粒径とし、粒子の短径をそのアルミナ微粒子の厚さとした。200個以上のアルミナ微粒子の粒径を計測し、その平均値を、そのアルミナ微粒子の個数平均一次粒径とした。また、200個以上のアルミナ微粒子の厚さを計測し、その平均値を、そのアルミナ微粒子の平均厚さとした。さらに、個数平均一次粒径を、平均厚さで除した値を、そのアルミナ微粒子のアスペクト比とした。
得られたアルミナ微粒子1及びアルミナ微粒子2の個数平均一次粒径、形状、及びアスペクト比を、後述する表1に示す。
アルミナ微粒子1及びアルミナ微粒子2について、以下の方法により粒径分布を測定した。
まず、アルミナ微粒子を水系分散液に分散させ、スラリーを調製した。次に、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製:LB−550)により、水系分散液に分散したスラリーについて測定を行い、粒径分布(Dv90/Dv10)を算出した。
得られたアルミナ微粒子1及びアルミナ微粒子2の粒径分布(Dv90/Dv10)を、後述する表1に示す。
3.静電荷像現像剤の製造
[実施例1]
上記「1.着色樹脂粒子の製造例及び評価」の項で述べた着色樹脂粒子100部に対し、アルミナ微粒子2を0.2部、シリカ微粒子Aとして、疎水化処理された個数平均一次粒径20nmのシリカ微粒子(キャボット社製、商品名:TG7120)を0.8部、シリカ微粒子Bとして、疎水化処理された個数平均一次粒径50nmのシリカ微粒子(クラリアント社製、商品名:H05TA)を1.0部添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、10分間、周速40m/sで混合攪拌して外添処理を行い、実施例1の現像剤を作製した。
[比較例1]
実施例1において、アルミナ微粒子2 0.2部を、アルミナ微粒子1 0.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の現像剤を製造した。
[比較例2]
実施例1において、アルミナ微粒子2 0.2部を、個数平均一次粒径が130nmである不定形のアルミナ微粒子(住友化学工業社製:AKP−50)0.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の現像剤を製造した。
[比較例3]
実施例1において、アルミナ微粒子2 0.2部を、個数平均一次粒径が300nm及びアスペクト比が1.1である、疎水化処理された炭酸カルシウム微粒子(丸尾カルシウム社製、商品名:CUBE−03BHS)0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例3の現像剤を製造した。
4.現像剤の物性評価
上記実施例1、及び比較例1〜比較例3の静電荷像現像剤について、カブリ試験及び帯電量の測定を行った。
カブリ試験及び帯電量の測定は、低温低湿(L/L)環境下、常温常湿(N/N)環境下、高温高湿(H/H)環境下の各環境下でそれぞれ行った。詳細は以下の通りである。
L/L環境下:温度10℃、相対湿度20%
N/N環境下:温度23℃、相対湿度50%
H/H環境下:温度35℃、相対湿度80%
カブリ試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−3040CN)を用いた。現像装置のトナーカートリッジに、現像剤を充填した後、印字用紙をセットし、温度35℃、相対湿度80%の高温高湿(H/H)環境下に24時間放置した。
放置後、黒べた印字を1枚行い、続けて白べた印字を1枚行い、白度計(日本電色社製)を用いて白べた印字物の紙面上の白色度を測定した。測定した白色度から、下記計算式2によりカブリ値を算出した。
計算式2:(カブリ値)=(印字前の印字用紙の白色度)−(白べた印字物の白色度)
次いで、白べた印字を1枚行い、その後2枚目の白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像ローラ上に担持されたトナーを、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名:210HS−2A)を用いて吸引してトナーの帯電量を測定し、トナーの単位質量当たりの帯電量Q/M(μC/g)に換算した。
また、温度10℃、相対湿度20%の低温低湿(L/L)環境下、及び、温度23℃、相対湿度50%の常温常湿(N/N)環境下においても、同様に試験を実施し、カブリ値及び帯電量を算出した。
実施例1、及び比較例1〜比較例3の静電荷像現像剤の測定及び試験結果を、外添剤の組成等と併せて表1に示す。
5.現像剤評価のまとめ
以下、表1を参照しながら、現像剤評価について検討する。
まず、比較例1の現像剤について検討する。表1より、比較例1の現像剤は、個数平均一次粒径が66nm、粒子形状が板状、アスペクト比が5.2、粒径分布(Dv90/Dv10)が1.7であり、且つ、疎水化処理がされていないアルミナ微粒子1を外添剤として含有する。
表1より、比較例1の現像剤は、低温低湿(L/L)環境下における現像剤帯電量の値が40μC/gであり、同環境下における印字カブリの値が0.6である。したがって、比較例1の現像剤については、少なくとも、低温低湿(L/L)環境下における現像剤特性に問題は見られない。
しかし、比較例1の現像剤は、高温高湿(H/H)環境下における現像剤帯電量の値が22μC/gと低く、同環境下における印字カブリの値が7.0と高い。また、比較例1の現像剤は、常温常湿(N/N)環境下における現像剤帯電量の値が26μC/gと低く、同環境下における印字カブリの値が1.5と高い。
したがって、疎水化処理がされていないアルミナ微粒子1を外添剤として含む比較例1の現像剤は、高温高湿(H/H)環境下及び常温常湿(N/N)環境下における現像剤特性に劣ることが分かる。
次に、比較例2の現像剤について検討する。表1より、比較例2の現像剤は、個数平均一次粒径が130nmであり、粒子形状が粒子により異なり、粒径分布(Dv90/Dv10)が3.2であり、且つ、疎水化処理済のアルミナ微粒子(住友化学工業社製:AKP−50)を外添剤として含有する。なお、比較例2に使用したアルミナ微粒子については、アスペクト比は測定していない。
表1より、比較例2の現像剤は、高温高湿(H/H)環境下における現像剤帯電量の値が30μC/gであり、同環境下における印字カブリの値が0.8である。また、比較例2の現像剤は、常温常湿(N/N)環境下における現像剤帯電量の値が40μC/gであり、同環境下における印字カブリの値が0.8である。また、比較例2の現像剤は、低温低湿(L/L)環境下における現像剤帯電量の値が50μC/gである。したがって、比較例2の現像剤については、少なくとも、高温高湿(H/H)環境下及び常温常湿(N/N)環境下における現像剤特性、並びに、低温低湿(L/L)環境下における現像剤帯電量に問題は見られない。
しかし、比較例2の現像剤は、低温低湿(L/L)環境下における印字カブリの値が8.0と高い。この低温低湿(L/L)環境下における印字カブリの値は、実施例1及び比較例1〜比較例3の現像剤中最も高い。
したがって、個数平均一次粒径が120nmを超える粒径であり、粒子形状が板状ではないアルミナ微粒子(住友化学工業社製:AKP−50)を外添剤として含む比較例2の現像剤は、低温低湿(L/L)環境下における印字耐久性に劣ることが分かる。
続いて、比較例3の現像剤について検討する。表1より、比較例3の現像剤は、アルミナ微粒子の替わりに、個数平均一次粒径が300nmであり、粒子形状が六面体であり、アスペクト比が1.1、且つ疎水化処理済の炭酸カルシウム微粒子を外添剤として含有する。
表1より、比較例3の現像剤は、低温低湿(L/L)環境下における現像剤帯電量の値が45μC/gであり、同環境下における印字カブリの値が0.6である。したがって、比較例3の現像剤については、少なくとも、低温低湿(L/L)環境下における現像剤特性に問題は見られない。
しかし、比較例3の現像剤は、高温高湿(H/H)環境下における現像剤帯電量の値が15μC/gと低く、同環境下における印字カブリの値が9.8と高い。また、比較例3の現像剤は、常温常湿(N/N)環境下における現像剤帯電量の値が25μC/gと低く、同環境下における印字カブリの値が2.0と高い。高温高湿(H/H)環境下及び常温常湿(N/N)環境下における比較例3の現像剤帯電量の値は、実施例1及び比較例1〜比較例3の現像剤中いずれも最も低い。また、高温高湿(H/H)環境下及び常温常湿(N/N)環境下における比較例3の印字カブリの値は、実施例1及び比較例1〜比較例3の現像剤中いずれも最も高い。
したがって、個数平均一次粒径が120nmを超える粒径である炭酸カルシウム微粒子を外添剤として含む比較例3の現像剤は、高温高湿(H/H)環境下及び常温常湿(N/N)環境下における現像剤特性に特に劣ることが分かる。
一方、表1より、実施例1の現像剤は、個数平均一次粒径が59nm、粒子形状が板状、アスペクト比が5.2、粒径分布(Dv90/Dv10)が1.8であり、且つ、疎水化処理済のアルミナ微粒子2を外添剤として含有する。
表1より、実施例1の現像剤は、高温高湿(H/H)環境下における現像剤帯電量の値が39μC/gと高く、同環境下における印字カブリの値が0.6と低い。また、実施例1の現像剤は、常温常湿(N/N)環境下における現像剤帯電量の値が43μC/gと高く、同環境下における印字カブリの値が0.7と低い。さらに、実施例1の現像剤は、低温低湿(L/L)環境下における現像剤帯電量の値が39μC/gと高く、同環境下における印字カブリの値が0.6と低い。
したがって、個数平均一次粒径が20〜120nmの範囲内の粒径であり、粒子形状が板状であり、さらにアスペクト比が3〜15の範囲内であるアルミナ微粒子を含有する本発明の現像剤は、低温低湿環境、常温常湿環境、及び高温高湿環境のいずれの環境下においても、帯電量の変化が小さく、カブリの発生がない、環境安定性に優れた現像剤であることが分かる。
本発明で重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベへニル等のモノエステル化合物;ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミテート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもモノエステル化合物が好ましい。
したがって、個数平均一次粒径が120nmを超える粒径であり、粒子形状が板状ではないアルミナ微粒子(住友化学工業社製:AKP−50)を外添剤として含む比較例2の現像剤は、低温低湿(L/L)環境下における現像剤特性に劣ることが分かる。