JPWO2012147880A1 - 加飾樹脂シート - Google Patents
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Abstract
透明保護層11、図柄層13及び支持層15を、順次、備える積層型の加飾樹脂シート1において、透明保護層は、熱可塑性樹脂又は硬化樹脂を含み、支持層は、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R2)を含む層と、熱可塑性樹脂(R2)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R1)を含む層とを備える。支持層は、図柄層側から、熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)、及び、熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)の順に構成されたものとすることができる。また、支持層は、図柄層側から、層(A)、層(B)、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)の順に構成されたものとすることができる。
Description
本発明は、透明保護層、図柄層及び支持層を、順次、備える加飾樹脂シート並びにその支持層の形成に用いられるベースフィルムに関し、更に詳しくは、支持層側で接合した樹脂基材部を備える加飾成形品であって、図柄層により示されている文字、数字、絵、模様等が、透明保護層を介して視認される加飾成形品の形成に好適な加飾樹脂シートに関する。
従来、樹脂成形物等の表面に、文字、数字、絵、模様等の画像が形成されてなる加飾成形品は、自動車等の車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体や表面材、容器等として、広く用いられている。このような加飾成形品の製造方法としては、例えば、透明保護層と、画像を示すパターンが形成されてなる図柄層と、支持層とを、順次、備える加飾樹脂シートを、射出成形用金型の内部に配置した後、支持層側の表面に向けて、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等を含む熱可塑性樹脂組成物の溶融物を金型内に射出充填することにより、キャビティと同じ形状の樹脂成形物を形成すると同時に、この樹脂成形物の表面に加飾樹脂シートを接着させて一体化する方法が知られている。
加飾樹脂シートとしては、例えば、特許文献1において、アクリルフィルム上に図柄が設けられ、その上にアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム(基材フィルム)が積層された絵付インサートフィルムが開示されている。そして、上記フィルムのブタジエン含有比率は20〜50重量%が好ましいとされている。
特許文献2には、透明アクリル樹脂からなる表面シートの裏面に、バインダー樹脂がアクリル樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合物からなる絵柄インキ層、アクリル樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体との混合物からなる接着剤層、及び、ブタジエン成分の比率が20質量%未満のアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂からなる基材シートを、この順に積層した射出成形同時加飾用シートが開示されている。
また、特許文献3には、アクリル系樹脂からなる第一の樹脂層と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とブタジエンを必須の単量体とする含ブタジエン樹脂及び無機フィラーを含有する樹脂組成物であって、無機フィラーの含量が1〜40重量%であり、アセトン不溶樹脂分が5〜40重量%である第二の樹脂層とが積層されている積層フィルムが開示されている。そして、積層フィルムを予備賦形したときのカールの発生が有効に防止されるとされている。
しかしながら、これまでの加飾樹脂シートにあっては、耐熱性に優れ、しかも、可撓性、耐傷性、耐薬品性、硬度、真空成形性、製膜性及び押出性に優れた加飾樹脂シートを得ることは困難であった。
透明保護層を介して、図柄層(加飾層)により示されている画像を視認できる加飾成形品を、図10に示すような射出成形を利用した方法で製造する場合には、金型のキャビティ形状に依存することなく、可撓性に優れた加飾樹脂シートが求められている。また、得られる加飾成形品において視認される画像の変形が抑制される耐熱性に優れた加飾樹脂シートが求められている。更には、射出成形時において、例えば、加飾樹脂シートにおける透明保護層が金型の内表面に接触した際の耐傷性、並びに、加飾成形品における透明保護層の耐傷性も求められている。
本発明の目的は、耐熱性、可撓性、耐傷性、硬度、真空成形性、製膜性及び押出性に優れた加飾樹脂シート並びにこの加飾樹脂シートの支持層の形成に用いられるベースフィルムを提供することにある。
本発明の目的は、耐熱性、可撓性、耐傷性、硬度、真空成形性、製膜性及び押出性に優れた加飾樹脂シート並びにこの加飾樹脂シートの支持層の形成に用いられるベースフィルムを提供することにある。
本発明は以下のとおりである。
1.透明保護層、図柄層及び支持層を、順次、備える積層型の加飾樹脂シートにおいて、上記透明保護層は、熱可塑性樹脂又は硬化樹脂を含み、上記支持層は、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)と、該熱可塑性樹脂(R2)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)とを備えることを特徴とする加飾樹脂シート。
2.上記支持層は、上記図柄層側から、上記層(A)、上記層(B)の順に構成され、上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度は125℃以上であり、上記熱可塑性樹脂(R1)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有するアクリル系樹脂(R11)を含む上記1に記載の加飾樹脂シート。
3.上記支持層が、更に、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)を備え、上記図柄層側から、上記層(A)、上記層(B)、及び、上記層(C)の順に構成され、上記熱可塑性樹脂(R3)のガラス転移温度は、上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度より低い上記2に加飾樹脂シート。
4.上記熱可塑性樹脂(R2)が、ゴム質重合体(b1)の存在下に、重合性不飽和単量体(b2)を重合して得られたゴム強化グラフト樹脂、重合性不飽和単量体(b3)に由来する構造単位を有する(共)重合体及びポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記1乃至3のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
5.上記重合性不飽和単量体(b2)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含む上記4に記載の加飾樹脂シート。
6.上記重合性不飽和単量体(b3)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含む上記4又は5に記載の加飾樹脂シート。
7.上記マレイミド系化合物に由来する構造単位の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、10〜25質量%である上記5又は6に記載の加飾樹脂シート。
8.上記重合性不飽和単量体(b3)に含まれる上記芳香族ビニル化合物がα−メチルスチレンを含み、該α−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、30〜60質量%である上記6に記載の加飾樹脂シート。
9.上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれる、上記ゴム質重合体(b1)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して10〜20質量%である上記4乃至8のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
10.上記アクリル系樹脂(R11)が、ゴム質重合体(a1)の存在下に、重合性不飽和単量体(a2)を重合して得られたゴム強化樹脂(L1)であって、ゴム強化グラフト樹脂、及び、上記重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を有する(共)重合体を含むゴム強化樹脂(L1)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(共)重合体(L2)とを用いて得られ、上記ゴム強化樹脂(L1)及び上記(共)重合体(L2)の使用量の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%である上記2乃至9のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
11.上記アクリル系樹脂(R11)の全体に対して、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の割合が25〜95質量%である上記2乃至10のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
12.上記熱可塑性樹脂(R1)に含まれる、上記ゴム質重合体(a1)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R1)に対して10〜20質量%である上記10又は11に記載の加飾樹脂シート。
13.上記熱可塑性樹脂(R3)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(共)重合体、ゴム質重合体(c1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)を重合して得られたゴム強化グラフト樹脂並びに飽和ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記3乃至12のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
14.厚さが50〜1,500μmである上記1乃至13のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
15.上記1乃至14のいずれか一項に記載の加飾樹脂シートを備えることを特徴とする加飾成形品。
16.加飾樹脂シートの支持層に用いられるフィルムであって、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R1)を含む層と、該熱可塑性樹脂(R1)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R2)を含む層とを備えることを特徴とする加飾樹脂シート用ベースフィルム。
1.透明保護層、図柄層及び支持層を、順次、備える積層型の加飾樹脂シートにおいて、上記透明保護層は、熱可塑性樹脂又は硬化樹脂を含み、上記支持層は、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)と、該熱可塑性樹脂(R2)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)とを備えることを特徴とする加飾樹脂シート。
2.上記支持層は、上記図柄層側から、上記層(A)、上記層(B)の順に構成され、上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度は125℃以上であり、上記熱可塑性樹脂(R1)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有するアクリル系樹脂(R11)を含む上記1に記載の加飾樹脂シート。
3.上記支持層が、更に、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)を備え、上記図柄層側から、上記層(A)、上記層(B)、及び、上記層(C)の順に構成され、上記熱可塑性樹脂(R3)のガラス転移温度は、上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度より低い上記2に加飾樹脂シート。
4.上記熱可塑性樹脂(R2)が、ゴム質重合体(b1)の存在下に、重合性不飽和単量体(b2)を重合して得られたゴム強化グラフト樹脂、重合性不飽和単量体(b3)に由来する構造単位を有する(共)重合体及びポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記1乃至3のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
5.上記重合性不飽和単量体(b2)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含む上記4に記載の加飾樹脂シート。
6.上記重合性不飽和単量体(b3)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含む上記4又は5に記載の加飾樹脂シート。
7.上記マレイミド系化合物に由来する構造単位の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、10〜25質量%である上記5又は6に記載の加飾樹脂シート。
8.上記重合性不飽和単量体(b3)に含まれる上記芳香族ビニル化合物がα−メチルスチレンを含み、該α−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、30〜60質量%である上記6に記載の加飾樹脂シート。
9.上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれる、上記ゴム質重合体(b1)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して10〜20質量%である上記4乃至8のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
10.上記アクリル系樹脂(R11)が、ゴム質重合体(a1)の存在下に、重合性不飽和単量体(a2)を重合して得られたゴム強化樹脂(L1)であって、ゴム強化グラフト樹脂、及び、上記重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を有する(共)重合体を含むゴム強化樹脂(L1)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(共)重合体(L2)とを用いて得られ、上記ゴム強化樹脂(L1)及び上記(共)重合体(L2)の使用量の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%である上記2乃至9のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
11.上記アクリル系樹脂(R11)の全体に対して、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の割合が25〜95質量%である上記2乃至10のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
12.上記熱可塑性樹脂(R1)に含まれる、上記ゴム質重合体(a1)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R1)に対して10〜20質量%である上記10又は11に記載の加飾樹脂シート。
13.上記熱可塑性樹脂(R3)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(共)重合体、ゴム質重合体(c1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)を重合して得られたゴム強化グラフト樹脂並びに飽和ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記3乃至12のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
14.厚さが50〜1,500μmである上記1乃至13のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
15.上記1乃至14のいずれか一項に記載の加飾樹脂シートを備えることを特徴とする加飾成形品。
16.加飾樹脂シートの支持層に用いられるフィルムであって、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R1)を含む層と、該熱可塑性樹脂(R1)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R2)を含む層とを備えることを特徴とする加飾樹脂シート用ベースフィルム。
本発明によれば、加飾樹脂シートを、例えば、図10に示す方法で用い、射出成形用金型の内部に配置した後、支持層側の表面に向けて、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等を含む熱可塑性樹脂組成物の溶融物を金型内に射出充填することにより、キャビティと同じ形状の樹脂成形物を形成すると同時に、この樹脂成形物の表面に加飾樹脂シートを接着させて一体化した加飾成形品を効率よく形成することができる。そして、得られる加飾成形品において視認される画像の変形が抑制されて耐熱性に優れる。また、本発明の加飾樹脂シートは、可撓性に優れて取扱いが容易であり、耐傷性、硬度、真空成形性、製膜性及び押出性に優れる。
更に、本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルムは、加飾樹脂シートの支持層用フィルムとして好適であり、その表面に、図柄層及び透明保護層を不具合なく形成することができ、上記優れた性能を有する加飾樹脂シートを与える。
更に、本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルムは、加飾樹脂シートの支持層用フィルムとして好適であり、その表面に、図柄層及び透明保護層を不具合なく形成することができ、上記優れた性能を有する加飾樹脂シートを与える。
以下、本発明を詳しく説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
本発明の加飾樹脂シートは、透明保護層11と図柄層13と支持層15とを、順次、備える積層型シートであり、図1〜図3に示すように、透明保護層11及び支持層15の間に図柄層13を備える。
上記透明保護層は、布、ブラシ等による摩擦、物品等との接触により、その表面における傷付きが抑制される透明な保護層である。透明保護層の透明性は、JIS K7136に準じて測定されるヘイズにより規定される。透明保護層を構成するフィルムにおけるヘイズは、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下である。尚、「透明」とは、透明保護層を介して、図柄層が認識されるのであれば、加飾樹脂シートにおける意匠性の観点から、透明保護層を構成するフィルムの外観が半透明であるものも含まれる。
上記透明保護層に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂及び硬化樹脂のいずれでもよい。また、上記透明保護層は、透明性を低下させない範囲で、滑剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、可塑剤、蛍光増白剤、耐候剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、抗菌剤、防かび剤、防汚剤、粘着付与剤等を含んでもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくはアクリル系樹脂であり、その具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル・スチレン共重合体等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくはアクリル系樹脂であり、その具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル・スチレン共重合体等が挙げられる。
上記透明保護層が熱可塑性樹脂を含む層である場合、好ましくは、熱可塑性樹脂を含むフィルムを、透明保護層形成用フィルムとして用いて形成されたものである。上記透明保護層における支持層側の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー塗工等の易接着処理が施されていてもよい。このような処理がされていると、透明保護層と図柄層との密着性、並びに、透明保護層と支持層との密着性を向上させることができる。
上記硬化樹脂としては、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂等の硬化物等が挙げられる。硬化樹脂は、硬化性樹脂(プレポリマー等)、硬化剤(重合開始剤等)等を含む未硬化の硬化性組成物を、熱処理、光照射等に供することにより、又は、湿気硬化させることにより、生成させることができる。
上記硬化樹脂は、好ましくはアクリル系樹脂の硬化物であり、従来、公知のハードコート層形成用材料であるコーティング剤組成物を用いて形成されたものとすることができる。コーティング剤組成物は、好ましくは、アクリル系プレポリマーを含む紫外線硬化型のコーティング剤組成物であり、これを用いると、透明性及び耐傷性に優れた皮膜を得ることができる。アクリル系プレポリマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等が挙げられる。本発明においては、多官能のアクリル系プレポリマーを用いることが好ましい。
アクリル系プレポリマーを含む紫外線硬化型のコーティング剤組成物は、更に、単官能性単量体、光重合開始剤、活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、微粒子、ワックス、非反応性ポリマー、有機溶剤等を含んでもよい。
単官能性単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリロイル基を有する脂肪酸エステル等が挙げられる。
光重合開始剤としては、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。
微粒子としては、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の無機酸化物を主成分とする粒子を用いることができる。この微粒子の数平均粒子径は、好ましくは1〜200nm程度である。
また、有機溶剤としては、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類等が挙げられる。
光重合開始剤としては、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。
微粒子としては、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の無機酸化物を主成分とする粒子を用いることができる。この微粒子の数平均粒子径は、好ましくは1〜200nm程度である。
また、有機溶剤としては、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類等が挙げられる。
コーティング剤組成物を用いて、硬化樹脂を含む透明保護層を形成する方法としては、コーティング剤組成物を、例えば、支持層形成用フィルムにおける層(A)の表面に図柄層が形成された支持層形成用フィルムの層(A)側の表面に塗布し、塗膜に対して熱処理、光照射等を行う方法が挙げられる。
上記コーティング剤組成物の塗布方法としては、ダイレクトグラビアロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、キスコーティング法、リバースロールコーティング法、トランスファーロールコーティング法、ディッピングコーティング法、スプレーコーティング法、フローコーティング法、シャワーコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗り法等が挙げられる。
上記コーティング剤組成物の塗布方法としては、ダイレクトグラビアロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、キスコーティング法、リバースロールコーティング法、トランスファーロールコーティング法、ディッピングコーティング法、スプレーコーティング法、フローコーティング法、シャワーコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗り法等が挙げられる。
また、紫外線硬化型のコーティング剤組成物を用いる場合には、例えば、コーティング剤組成物を、支持層形成用フィルムにおける層(A)の表面に図柄層が形成された支持層形成用フィルムの層(A)側の表面に塗布(塗布量:乾燥状態で0.1〜10g/m2程度)した後、塗膜に、水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いて紫外線を照射することにより、強靱で透明性に優れる硬化樹脂を含む透明保護層を形成することができる。
上記透明保護層の厚さは、その構成材料又は形成材料により、適宜、選択される。熱可塑性樹脂を主として含む透明保護層の場合、その厚さは、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜300μm、更に好ましくは15〜200μmである。
また、硬化樹脂を主として含む透明保護層の場合、その厚さは、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜70μm、更に好ましくは1〜40μmである。
また、硬化樹脂を主として含む透明保護層の場合、その厚さは、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜70μm、更に好ましくは1〜40μmである。
上記図柄層は、印刷、塗工、蒸着、スパッタリング等により形成された画像部を含む層であり、透明保護層を介して、画像(文字、数字、絵、模様等)を示す層である。この図柄層は、図1に示すように、透明保護層及び支持層の間の全てを構成する層であってよいし、図2及び図3に示すように、所望のパターン等によって部分的に形成された層であってもよい。
上記図柄層の構成材料は、通常、公知の印刷用又は塗料用インキに含まれる媒体を除く成分若しくはその一部等の反応生成物を含む成分、又は、金属成分である。印刷用又は塗料用インキの主成分は、例えば、樹脂バインダー、着色剤等であり、必要に応じて、分散剤、ワックス等が含有される。また、金属成分としては、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛や、これらの金属元素を含む合金又はその化合物が挙げられる。
上記インキに含まれる樹脂バインダーとしては、アクリル系樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
上記インキに含まれる着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、蓄光顔料等の無機顔料;アルミニウム、亜鉛、銀、銅等の金属粉からなるメタリック顔料;溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ニトロ系顔料、キノフタロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン顔料、金属錯体顔料、有機白顔料等の有機顔料が挙げられる。
上記図柄層を印刷法により形成する場合には、グラビア印刷、シルク印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等が適用される。また、塗工法により形成する場合には、リップコーター、リバースコーター、グラビアコーター等が用いられる。
上記図柄層の厚さは、透明保護層を介した画像の視認性の観点から、通常、0.2〜50μm、好ましくは0.3〜30μm、更に好ましくは0.5〜20μmである。
次に、支持層は、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)と、この熱可塑性樹脂(R2)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)とを備える積層型の樹脂層である。
上記支持層は、層(A)及び層(B)を備えるが、これらの層を、それぞれ、1種のみ含むものであってよいし、いずれか一方又は両方を、2種以上含むものであってもよい。また、上記支持層は、更に、層(A)及び層(B)以外の他の層を備えてもよい。
本発明の加飾樹脂シートに係る上記支持層は、少なくとも層(A)及び層(B)を備えることで、加飾樹脂シートに優れた特性を付与している。
層(A)及び層(B)の位置関係は、特に限定されず、例えば、図4〜図6に示す態様とすることができる。図4〜図6は、支持層のみを取り出した場合の断面(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルムの断面)を示す。
図4は、層(A)151及び層(B)152からなる2層型構造の態様(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)である。本発明の加飾樹脂シートが、図4で示される支持層を備える場合、層(A)が透明保護層に接合されていてよいし、層(B)が透明保護層に接合されていてもよい。
また、図5は、3層型構造の支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の1例であり、層(A)151、層(B)152、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含む他の層(C)153を、順次、備える態様である。尚、図示していないが、層(A)151及び層(B)152の間に、更に他の層を備える態様であってもよい。
本発明において、図5の態様の支持層であって、熱可塑性樹脂(R3)のガラス転移温度を、熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度より低くした層(C)153を備える支持層とし、更に、層(A)151を透明保護層に接合することにより、加飾樹脂シートにおける耐熱性及び可撓性をより確実なものとすることができる。この効果は、図6に示すように、層(B)152の両面側に、熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)を備える支持層(図中、151A及び151B)である場合に、特に好適に得られる。
尚、図示していないが、層(A)151及び層(B)152を、交互に、4層、5層等と配した支持層とすることもできる。層(A)及び層(B)のいずれか一方又は両方が連続的に積層されてなる層とすることもできる。
層(A)及び層(B)の位置関係は、特に限定されず、例えば、図4〜図6に示す態様とすることができる。図4〜図6は、支持層のみを取り出した場合の断面(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルムの断面)を示す。
図4は、層(A)151及び層(B)152からなる2層型構造の態様(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)である。本発明の加飾樹脂シートが、図4で示される支持層を備える場合、層(A)が透明保護層に接合されていてよいし、層(B)が透明保護層に接合されていてもよい。
また、図5は、3層型構造の支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の1例であり、層(A)151、層(B)152、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含む他の層(C)153を、順次、備える態様である。尚、図示していないが、層(A)151及び層(B)152の間に、更に他の層を備える態様であってもよい。
本発明において、図5の態様の支持層であって、熱可塑性樹脂(R3)のガラス転移温度を、熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度より低くした層(C)153を備える支持層とし、更に、層(A)151を透明保護層に接合することにより、加飾樹脂シートにおける耐熱性及び可撓性をより確実なものとすることができる。この効果は、図6に示すように、層(B)152の両面側に、熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)を備える支持層(図中、151A及び151B)である場合に、特に好適に得られる。
尚、図示していないが、層(A)151及び層(B)152を、交互に、4層、5層等と配した支持層とすることもできる。層(A)及び層(B)のいずれか一方又は両方が連続的に積層されてなる層とすることもできる。
本発明において、熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度(以下、「Tg2」ともいう)は120℃以上であり、熱可塑性樹脂(R1)のガラス転移温度(以下、「Tg1」ともいう)は、上記熱可塑性樹脂(R2)のTg2より低くなっている。Tg2とTg1との差は、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上である。熱可塑性樹脂(R1)及び熱可塑性樹脂(R2)は、JIS K 7121に準じて、示差走査熱量計により測定されたガラス転移温度により区別されるものである。また、熱可塑性樹脂(R1)及び熱可塑性樹脂(R2)は、いずれも、複数の熱可塑性樹脂からなるものであってよい。そして、DSC曲線で複数のガラス転移温度が得られた場合、より高い方のガラス転移温度が採用されて、Tg1及びTg2が決定される。
上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度(Tg2)は120℃以上であり、この熱可塑性樹脂(R2)は、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上からなるものであってよいし、これらの樹脂と、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上からなるものであってもよい。熱可塑性樹脂(R2)が、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂を含む場合、その含有割合の上限は、好ましくは70質量%である。可撓性及び成形加工性の観点から、更には、得られる加飾成形品において透明保護層を介して視認される画像の変形が抑制されることから、熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度(Tg2)の下限は、好ましくは120℃、より好ましくは125℃、更に好ましくは128℃、特に好ましくは132℃であり、Tg2の上限は、好ましくは220℃、より好ましくは190℃、更に好ましくは170℃、より更に好ましくは160℃、特に好ましくは145℃である。
また、上記熱可塑性樹脂(R1)は、ガラス転移温度(Tg1)が熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度(Tg2)より低い樹脂である。この熱可塑性樹脂(R1)は、熱可塑性樹脂の1種又は2種以上からなるものであってよい。また、ガラス転移温度(Tg1)がガラス転移温度(Tg2)より低くなるのであれば、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を含んでもよい。熱可塑性樹脂(R1)が、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂を含む場合、その含有割合の上限は、好ましくは40質量%、より好ましくは30質量%である。可撓性の観点から、更には、得られる加飾成形品において透明保護層を介して視認される画像の変形が抑制されることから、熱可塑性樹脂(R1)のガラス転移温度(Tg1)の上限は、好ましくは120℃未満、より好ましくは115℃、更に好ましくは113℃、特に好ましくは110℃であり、Tg1の下限は、好ましくは90℃、より好ましくは95℃、更に好ましくは97℃である。尚、層(A)用の熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂を含み、この熱可塑性樹脂に由来するガラス転移温度がDSC曲線で確認でき、Tg1であるとされた場合にも、このガラス転移温度がTg2より低い温度であれば、本発明に係る熱可塑性樹脂(R1)として用いることができる。また、層(A)用の熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂を含んでも、この熱可塑性樹脂に由来するガラス転移温度がDSC曲線で確認されないこともあるので、この場合には、通常、DSC曲線で確認される、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂を主とした熱可塑性樹脂(R1)と解釈される。
後述するように、上記熱可塑性樹脂(R1)は、加飾樹脂シートの耐傷性の観点から、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を、25質量%を超えて含むアクリル系樹脂(以下、「アクリル系樹脂(R11)」という)、又は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を、35質量%を超えて含み、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む場合には、その含有量が25質量%未満である芳香族ビニル系樹脂(以下、「芳香族ビニル系樹脂(R12)」という)を含む樹脂であるが、熱可塑性樹脂(R1)が、複数の熱可塑性樹脂からなる場合、すべての樹脂のガラス転移温度が120℃未満である必要はない。
後述するように、上記熱可塑性樹脂(R1)は、加飾樹脂シートの耐傷性の観点から、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を、25質量%を超えて含むアクリル系樹脂(以下、「アクリル系樹脂(R11)」という)、又は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を、35質量%を超えて含み、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む場合には、その含有量が25質量%未満である芳香族ビニル系樹脂(以下、「芳香族ビニル系樹脂(R12)」という)を含む樹脂であるが、熱可塑性樹脂(R1)が、複数の熱可塑性樹脂からなる場合、すべての樹脂のガラス転移温度が120℃未満である必要はない。
以下、上記支持層を、層(B)及び層(A)の順に説明する。
上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)としては、ゴム質重合体(b1)の存在下に、重合性不飽和単量体(b2)を重合して得られたゴム強化グラフト樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体、N−フェニルマレイミド・アクリロニトリル・スチレン共重合体、N−フェニルマレイミド・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・α−メチルスチレン共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等の、重合性不飽和単量体(b2)と同一であってもよい重合性不飽和単量体(b3)に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・α−オレフィン系樹脂等)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を、単独で又は2種以上を組み合わせてTg2を120℃以上としたものとすることができる。熱可塑性樹脂(R2)は、ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体が好ましい。また、ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた重合性不飽和単量体(b2)を重合して得られた樹脂組成物(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)に含まれるゴム強化グラフト樹脂;アクリロニトリル・スチレン共重合体、N−フェニルマレイミド・アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体等の、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む芳香族ビニル系(共)重合体等の芳香族ビニル系樹脂が好ましい。
上記ゴム強化グラフト樹脂は、ゴム質重合体(b1)の存在下に、重合性不飽和単量体(b2)を重合(グラフト重合)して得られた樹脂組成物(以下、「ゴム強化樹脂」という)に含まれる、ゴム強化グラフト樹脂である。このゴム強化グラフト樹脂は、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位を含む(共)重合体が、ゴム質重合体(b1)にグラフトしている樹脂であり、ゴム質重合体部と、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位を含む(共)重合体部(グラフト部)とからなる。
上記ゴム強化グラフト樹脂の形成に用いられるゴム質重合体(b1)は、25℃でゴム質であれば、特に限定されず、単独重合体及び共重合体のいずれでもよい。また、このゴム質重合体(b1)は、架橋重合体及び非架橋重合体のいずれでもよい。
上記ゴム質重合体(b1)としては、共役ジエン系ゴム、水添共役ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を用いてもよい。加飾樹脂シートの耐衝撃性の観点から、共役ジエン系ゴムが好ましく、耐候性の観点からは、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム及び水添共役ジエン系ゴムが好ましい。
共役ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、ブタジエン・スチレンブロック共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。共役ジエン系ゴムのガラス転移温度は、通常、−20℃以下であり、このガラス転移温度を有する共役ジエン系ゴムを用いて得られたゴム強化グラフト樹脂を用いると、加飾樹脂シートの可撓性、低温衝撃性等に優れる。
水添共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系化合物に由来する構造単位を含む(共)重合体を水素添加してなる(共)重合体であれば、特に限定されない。この水添共役ジエン系ゴムとしては、共役ジエン系化合物に由来する構造単位からなる(共)重合体を水素添加してなる(共)重合体、共役ジエン系化合物及び芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む共重合体を水素添加してなる共重合体等が挙げられる。好ましい水添共役ジエン系ゴムは、ポリブタジエンの水素添加物、共役ジエン系化合物及び芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むランダム共重合体の水素添加物、共役ジエン系化合物に由来する構造単位を含むブロックと、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むブロックとを有するブロック共重合体(AB型、ABA型、(AB)n型、(AB)nA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型等)の水素添加物、共役ジエン系化合物及び芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むブロックと、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むブロックとを有するブロック共重合体の水素添加物等である。
ポリブタジエンの水素添加物としては、1,2−ビニル結合含量が20質量%以下のブロックと、1,2−ビニル結合含量が20質量%を超えるブロックとを有するブロック共重合体の水素添加物を用いることができる。
尚、上記水添共役ジエン系ゴムにおいて、水添前の(共)重合体に対する水素添加率は、通常、90%以上である。
また、上記水添共役ジエン系ゴムの重量平均分子量は、通常、30,000〜1,000,000である。
ポリブタジエンの水素添加物としては、1,2−ビニル結合含量が20質量%以下のブロックと、1,2−ビニル結合含量が20質量%を超えるブロックとを有するブロック共重合体の水素添加物を用いることができる。
尚、上記水添共役ジエン系ゴムにおいて、水添前の(共)重合体に対する水素添加率は、通常、90%以上である。
また、上記水添共役ジエン系ゴムの重量平均分子量は、通常、30,000〜1,000,000である。
アクリルゴムとしては、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位の割合が上記アクリルゴムを構成する構造単位の全量に対して80質量%以上である(共)重合体が好ましい。
シリコーンゴムは、ラテックス状のゴムが好ましく、その一例としては、米国特許第2,891,920号明細書、米国特許第3,294,725号明細書等に記載された方法により製造されたポリオルガノシロキサン系ゴムが挙げられる。
シリコーン・アクリル複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンゴムと、ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムとを含有する複合ゴムである。好ましいシリコーン・アクリル複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンゴム及びポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムが分離できないように相互に絡み合った構造を有する複合ゴムである。
シリコーン・アクリル複合ゴムは、例えば、特開平4−239010号公報、特開平4−100812号公報等に記載された方法で製造することができる。
シリコーン・アクリル複合ゴムは、例えば、特開平4−239010号公報、特開平4−100812号公報等に記載された方法で製造することができる。
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構造単位を含む共重合体であり、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体等が挙げられる。
上記ゴム質重合体(b1)の形状は、例えば、粒子状(球状、略球状)、直線状、曲線状等とすることができる。粒子状である場合、その体積平均粒子径は、機械的物性や加工性の観点から、好ましくは5〜2,000nm、より好ましくは10〜1,500nm、更に好ましくは50〜1,200nmである。上記体積平均粒子径は、電子顕微鏡写真を用いた画像解析、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
上記ゴム強化グラフト樹脂の形成に用いられる重合性不飽和単量体(b2)としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル化合物は、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されない。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの中では、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−イソプロピルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、アクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、N−フェニルマレイミドが好ましい。
尚、ゴム強化グラフト樹脂に、マレイミド系化合物に由来する構造単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物を共重合した後にイミド化する方法がある。
本発明において、上記重合性不飽和単量体(b2)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、芳香族ビニル化合物を含むことがより好ましく、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むことが特に好ましい。芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の合計使用量は、成形加工性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、重合性不飽和単量体(b2)全量に対し、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、成形加工性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、更に好ましくは65〜75質量%及び25〜35質量%、特に好ましくは60〜95質量%及び5〜40質量%である。
また、上記重合性不飽和単量体(b2)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物からなる場合の使用比率は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは25〜92質量%、5〜50質量%及び3〜70質量%、より好ましくは30〜80質量%、6〜40質量%及び10〜60質量%、更に好ましくは35〜70質量%、7〜30質量%及び15〜55質量%である。
また、上記重合性不飽和単量体(b2)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物からなる場合の使用比率は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは25〜92質量%、5〜50質量%及び3〜70質量%、より好ましくは30〜80質量%、6〜40質量%及び10〜60質量%、更に好ましくは35〜70質量%、7〜30質量%及び15〜55質量%である。
上記ゴム強化グラフト樹脂を製造する場合には、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、又は、これらを組み合わせた重合方法が用いられる。これらの重合方法を用いたグラフト重合において、ゴム質重合体(b1)及び重合性不飽和単量体(b2)は、反応系において、ゴム質重合体(b1)全量の存在下に、重合性不飽和単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、ゴム質重合体(b1)の一部存在下、又は、非存在下に、重合性不飽和単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。この際、ゴム質重合体(b1)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
上記ゴム強化グラフト樹脂を乳化重合により製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記重合開始剤の使用量は、上記重合性不飽和単量体(b2)全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記連鎖移動剤の使用量は、上記重合性不飽和単量体(b2)全量に対し、通常、0.05〜2.0質量%である。上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩、脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記乳化剤の使用量は、上記重合性不飽和単量体(b2)全量に対し、通常、0.3〜5.0質量%である。
乳化重合は、重合性不飽和単量体(b2)、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。この乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、樹脂成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この際に用いる凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が挙げられる。
上記ゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率、即ち、ゴム質重合体部に対するグラフト部の質量割合は、機械的物性、押出性等の観点から、50〜200%程度である。
グラフト率は、下記式により求めることができる。
グラフト率(%)={(S−T)/T}×100
グラフト率(%)={(S−T)/T}×100
上記式中、Sは、ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂1グラムをアセトン(ゴム質重合体(b1)がアクリルゴムの場合はアセトニトリル)20mlに投入し、25℃の温度条件下で振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tは、ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂1グラムに含まれるゴム質重合体(b1)の質量(g)である。このゴム質重合体(b1)の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトルにより求める方法等により得ることができる。
上記のグラフト重合により製造された、ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂において、アセトン又はアセトニトリルに可溶な成分(以下、「アセトン可溶分」又は「アセトニトリル可溶分」ともいう)は、グラフト重合により副製した未グラフト重合体であり、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位を有する(共)重合体である。アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、押出性、成形加工性、密着性等の観点から、好ましくは0.05〜0.8dl/g、より好ましくは0.07〜0.7dl/gである。
尚、アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分は、例えば、10グラムのゴム強化樹脂を、100〜200mlのアセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリルを使用)に投入し、振とう機等を用いて、25℃で2〜3時間の振とうを行い、生成した不溶分及び可溶分を分離した後の可溶分である。
尚、アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分は、例えば、10グラムのゴム強化樹脂を、100〜200mlのアセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリルを使用)に投入し、振とう機等を用いて、25℃で2〜3時間の振とうを行い、生成した不溶分及び可溶分を分離した後の可溶分である。
極限粘度[η]は、以下の要領で求めることができる。
ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂をアセトン又はアセトニトリルに投入し、遠心分離後に回収されたアセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製し、ウベローデ粘度管のより、30℃で各濃度における溶液の還元粘度を測定し、極限粘度[η]を求める。
ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂をアセトン又はアセトニトリルに投入し、遠心分離後に回収されたアセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製し、ウベローデ粘度管のより、30℃で各濃度における溶液の還元粘度を測定し、極限粘度[η]を求める。
上記グラフト率及び極限粘度[η]は、ゴム強化グラフト樹脂を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等の種類や量、溶剤等の種類や量、更には、仕込時期、仕込時間、重合温度、重合時間等を調節することにより、制御することができる。
上記熱可塑性樹脂(R2)は、ゴム強化グラフト樹脂を1種のみ含んでよいし、2種以上を含んでもよい。
本発明において、好ましいゴム強化グラフト樹脂は、以下に示される。
(1)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
(2)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
(3)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
(4)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
上記(1)〜(4)における芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよい。
(1)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
(2)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
(3)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
(4)ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物からなる重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂
上記(1)〜(4)における芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよい。
上記のようなグラフト重合を行った場合には、通常、ゴム強化グラフト樹脂のほかに、ゴム質重合体(b1)にグラフトしていない(共)重合体(以下、「未グラフト重合体」という。)が形成され、両者の組み合わせである「ゴム強化樹脂」(樹脂組成物)として得られる。この未グラフト重合体は、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位を有するビニル系(共)重合体である。上記熱可塑性樹脂(R2)が、ゴム強化樹脂を含む場合には、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体を含むのであるが、ゴム質重合体(b1)及び重合性不飽和単量体(b2)の種類並びに使用量によって、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体の両方が、120℃以上のガラス転移温度を有する場合と、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体のいずれか一方が、120℃以上のガラス転移温度を有し、他方が120℃未満のガラス転移温度を有する場合と、がある。本発明においては、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体の両方が、120℃以上のガラス転移温度を有する場合、並びに、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体のいずれか一方が、120℃以上のガラス転移温度を有し、他方が120℃未満のガラス転移温度を有する場合、のいずれも好ましい。
本発明において、グラフト重合により得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂(R2)として用いることができる一方、熱可塑性樹脂(R2)に対する、ゴム強化グラフト樹脂に由来するゴム質重合体の含有割合を調整すること、Tg2を調整すること等のために、重合性不飽和単量体(b2)と同一であってもよい重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含み、未グラフト重合体と同一の又は異なるビニル系(共)重合体が、更に併用されてなる、ゴム強化グラフト樹脂との混合物を、熱可塑性樹脂(R2)として用いることができる。
上記いずれの場合も、熱可塑性樹脂(R2)の構成は、ゴム強化グラフト樹脂、及び、重合性不飽和単量体(以下、「重合性不飽和単量体(b3)」という。)に由来する構造単位を有するビニル系(共)重合体(以下、「ビニル系(共)重合体(V)」という)の混合物である。このビニル系(共)重合体(V)を構成する構造単位、即ち、重合性不飽和単量体(b3)に由来する構造単位は、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位と同一であっても、異なってもよい。但し、上記のように、別途、併用されるビニル系(共)重合体が、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位と異なる構造単位を有する場合には、熱可塑性樹脂(R2)は、具体的には、ゴム強化グラフト樹脂と、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位からなる未グラフト重合体と、未グラフト重合体と異なる他のビニル系(共)重合体とからなる。
本発明においては、ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体(V)の両方が、125℃以上のガラス転移温度を有し、熱可塑性樹脂(R2)として含まれる態様、並びに、ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体(V)のいずれか一方が、125℃以上のガラス転移温度を有し、他方が125℃未満のガラス転移温度を有する態様、が好ましい。
本発明において、グラフト重合により得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂(R2)として用いることができる一方、熱可塑性樹脂(R2)に対する、ゴム強化グラフト樹脂に由来するゴム質重合体の含有割合を調整すること、Tg2を調整すること等のために、重合性不飽和単量体(b2)と同一であってもよい重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含み、未グラフト重合体と同一の又は異なるビニル系(共)重合体が、更に併用されてなる、ゴム強化グラフト樹脂との混合物を、熱可塑性樹脂(R2)として用いることができる。
上記いずれの場合も、熱可塑性樹脂(R2)の構成は、ゴム強化グラフト樹脂、及び、重合性不飽和単量体(以下、「重合性不飽和単量体(b3)」という。)に由来する構造単位を有するビニル系(共)重合体(以下、「ビニル系(共)重合体(V)」という)の混合物である。このビニル系(共)重合体(V)を構成する構造単位、即ち、重合性不飽和単量体(b3)に由来する構造単位は、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位と同一であっても、異なってもよい。但し、上記のように、別途、併用されるビニル系(共)重合体が、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位と異なる構造単位を有する場合には、熱可塑性樹脂(R2)は、具体的には、ゴム強化グラフト樹脂と、重合性不飽和単量体(b2)に由来する構造単位からなる未グラフト重合体と、未グラフト重合体と異なる他のビニル系(共)重合体とからなる。
本発明においては、ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体(V)の両方が、125℃以上のガラス転移温度を有し、熱可塑性樹脂(R2)として含まれる態様、並びに、ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体(V)のいずれか一方が、125℃以上のガラス転移温度を有し、他方が125℃未満のガラス転移温度を有する態様、が好ましい。
上記重合性不飽和単量体(b3)としては、上記重合性不飽和単量体(b2)として例示した化合物が用いられる。上記重合性不飽和単量体(b3)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、芳香族ビニル化合物を含むことがより好ましく、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むことが特に好ましい。芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含むことが好ましい。重合性不飽和単量体(b3)が芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む場合、これらの合計量は、上記重合性不飽和単量体(b3)全体に対し、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、成形加工性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは40〜95質量%及び5〜60質量%、更に好ましくは50〜90質量%及び10〜50質量%である。
上記重合性不飽和単量体(b3)における芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物は、重合性不飽和単量体(b2)におけるそれらと同じ化合物であってよいし、異なる化合物であってもよい。
上記重合性不飽和単量体(b3)における芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物は、重合性不飽和単量体(b2)におけるそれらと同じ化合物であってよいし、異なる化合物であってもよい。
上記ビニル系(共)重合体(V)は、ゴム強化グラフト樹脂のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する共重合体を含むことが好ましく、この共重合体を含み、ゴム強化グラフト樹脂を除く重合体成分の混合物になり得るビニル系(共)重合体(V)のガラス転移温度がゴム強化グラフト樹脂のガラス転移温度より高いことが特に好ましい。
本発明において、ビニル系(共)重合体(V)は、マレイミド系化合物に由来する構造単位を有するビニル系共重合体を含むことが好ましい。このビニル系共重合体としては、スチレン・マレイミド共重合体、スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン・アクリロニトリル・N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン・N−フェニルマレイミド・無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、本発明において、ビニル系(共)重合体(V)は、芳香族ビニル化合物であるα−メチルスチレンに由来する構造単位を有するビニル系共重合体を含むことが好ましい。このビニル系共重合体としては、スチレン・α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体等の、α−メチルスチレンに由来する構造単位と、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位とを有する共重合体等が挙げられる。
本発明において、ビニル系(共)重合体(V)は、マレイミド系化合物に由来する構造単位を有するビニル系共重合体を含むことが好ましい。このビニル系共重合体としては、スチレン・マレイミド共重合体、スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン・アクリロニトリル・N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン・N−フェニルマレイミド・無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、本発明において、ビニル系(共)重合体(V)は、芳香族ビニル化合物であるα−メチルスチレンに由来する構造単位を有するビニル系共重合体を含むことが好ましい。このビニル系共重合体としては、スチレン・α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体等の、α−メチルスチレンに由来する構造単位と、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位とを有する共重合体等が挙げられる。
上記ビニル系(共)重合体(V)が未グラフト重合体と、別途、配合されるビニル系(共)重合体とからなる場合、後者のビニル系(共)重合体は、重合開始剤の存在下又は非存在下に、重合性不飽和単量体を重合することにより製造することができる。重合方法は、重合開始剤を用いる場合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよい。また、重合開始剤を用いない場合は熱重合を採用することができる。
上記ビニル系(共)重合体(V)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、上記未グラフト重合体の極限粘度[η]と同様にして測定することができ、押出性、成形加工性、密着性等の観点から、好ましくは0.1〜1.0dl/g、より好ましくは0.15〜0.9dl/gである。
上記熱可塑性樹脂(R2)が、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含む場合、マレイミド系化合物に由来する構造単位は、ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体(V)のいずれに由来するものであってもよい。ゴム強化グラフト樹脂を含有する熱可塑性樹脂(R2)の好ましい態様は、以下の通りである。
(R2−1)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体、並びに、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−2)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物に由来する構造単位に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−3)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−4)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−1)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体、並びに、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−2)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物に由来する構造単位に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−3)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−4)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−5)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−6)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−7)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)を用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂を主として含有する熱可塑性樹脂
(R2−8)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)を用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂を主として含有する熱可塑性樹脂
(R2−6)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体並びに芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−7)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)を用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂を主として含有する熱可塑性樹脂
(R2−8)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とマレイミド系化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)を用いて得られた樹脂混合物であって、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂を主として含有する熱可塑性樹脂
上記熱可塑性樹脂(R2)が、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含む場合、α−メチルスチレンに由来する構造単位は、ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体(V)のいずれに由来するものであってもよい。ゴム強化グラフト樹脂を含有する熱可塑性樹脂(R2)の好ましい態様は、以下の通りである。
(R2−9)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−10)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−11)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−12)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)を用いて得られた樹脂混合物であって、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂を主として含有する熱可塑性樹脂
(R2−9)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−10)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−11)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体を含むビニル系(共)重合体(V)とを含有する熱可塑性樹脂
(R2−12)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(b1)の存在下に、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含む重合性不飽和単量体(b2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)を用いて得られた樹脂混合物であって、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂を主として含有する熱可塑性樹脂
上記熱可塑性樹脂(R2)が、ゴム強化グラフト樹脂を含む場合、ゴム質重合体(b1)の含有割合は、機械的性質の観点から、熱可塑性樹脂(R2)全体に対して、好ましくは3〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。尚、熱可塑性樹脂(R2)、又は、この熱可塑性樹脂(R2)を含有する熱可塑性樹脂組成物におけるゴム質重合体(b1)の含有割合は、熱分解ガスクロマトクラフィー(PyGC)等により得ることができる。
上記熱可塑性樹脂(R2)は、ゴム強化グラフト樹脂を含む場合、更に、他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂(R2)が、他の熱可塑性樹脂を含有する場合、その含有量の上限は、上記ゴム強化グラフト樹脂及びビニル系(共)重合体(V)の合計100質量部に対して、好ましくは120質量部、より好ましくは80質量部である。
本発明において、上記熱可塑性樹脂(R2)は、ゴム強化グラフト樹脂を除く態様として、ビニル系(共)重合体であってもよい。Tg2が120℃以上であるビニル系(共)重合体の好ましい態様は、以下の通りである。
(R2−13)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とマレイミド系化合物に由来する構造単位とからなるビニル系共重合体
(R2−14)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とシアン化ビニル化合物に由来する構造単位とマレイミド系化合物に由来する構造単位とからなるビニル系共重合体
(R2−15)α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とシアン化ビニル化合物に由来する構造単位とからなるビニル系共重合体
(R2−13)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とマレイミド系化合物に由来する構造単位とからなるビニル系共重合体
(R2−14)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とシアン化ビニル化合物に由来する構造単位とマレイミド系化合物に由来する構造単位とからなるビニル系共重合体
(R2−15)α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とシアン化ビニル化合物に由来する構造単位とからなるビニル系共重合体
上記(R2−13)のビニル系(共)重合体としては、N−フェニルマレイミド・スチレン共重合体等が挙げられる。
上記(R2−14)のビニル系(共)重合体としては、N−フェニルマレイミド・アクリロニトリル・スチレン共重合体等が挙げられる。
また、上記(R2−15)のビニル系(共)重合体としては、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。
更に、スチレン・N−フェニルマレイミド・無水マレイン酸共重合体等を用いることもできる。
上記(R2−14)のビニル系(共)重合体としては、N−フェニルマレイミド・アクリロニトリル・スチレン共重合体等が挙げられる。
また、上記(R2−15)のビニル系(共)重合体としては、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。
更に、スチレン・N−フェニルマレイミド・無水マレイン酸共重合体等を用いることもできる。
上記ビニル系(共)重合体は、上記ゴム強化グラフト樹脂と組み合わせて、熱可塑性樹脂(R2)として用いることができる。
上記ビニル系(共)重合体は、重合開始剤の存在下、又は、非存在下に、重合性不飽和単量体を重合することにより製造することができる。重合方法は、重合開始剤を用いる場合、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせてもよい。一方、重合開始剤を用いない場合、熱重合を適用することができる。
重合開始剤を用いる場合、上記ゴム強化グラフト樹脂の製造方法の説明にて例示した化合物を用いることができる。このとき、重合開始剤の使用量は、重合性不飽和単量体全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。尚、必要に応じて、上記ゴム強化グラフト樹脂の製造時に使用可能な連鎖移動剤や乳化剤を用いることができる。
上記ビニル系(共)重合体の製造に際して、重合性不飽和単量体の全量を反応系に収容した状態で重合を開始してよいし、任意に選択した単量体成分を分割添加又は連続添加して重合を行ってもよい。更に、上記の重合開始剤を用いる場合は、反応系に一括して又は連続的に添加することができる。
上記熱可塑性樹脂(R2)がマレイミド系化合物に由来する構造単位を含む場合、その含有量の下限は、耐熱性の観点から、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、好ましくは5質量%、より好ましくは10質量%である。また、上限は、好ましくは40質量%、より好ましくは35質量%、更に好ましくは25質量%である。
また、上記熱可塑性樹脂(R2)がα−メチルスチレンに由来する構造単位を含む場合、その含有量の下限は、耐熱性の観点から、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、好ましくは30質量%、より好ましくは40質量%である。また、上限は、好ましくは70質量%、より好ましくは60質量%である。
また、上記熱可塑性樹脂(R2)がα−メチルスチレンに由来する構造単位を含む場合、その含有量の下限は、耐熱性の観点から、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、好ましくは30質量%、より好ましくは40質量%である。また、上限は、好ましくは70質量%、より好ましくは60質量%である。
本発明の加飾樹脂シートにおける好ましい態様として、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)のTg2は125℃以上であり、より好ましくは128℃〜220℃、更に好ましくは130℃〜190℃、特に好ましくは130℃〜145℃である。上記のように、熱可塑性樹脂(R2)は、複数の熱可塑性樹脂からなるものとすることができ、この場合、ガラス転移温度が125℃以上の熱可塑性樹脂の2種以上からなるものとすることができる。また、熱可塑性樹脂(R2)は、ガラス転移温度が125℃以上の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上と、ガラス転移温度が125℃未満の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上とからなるものであってもよい。
上記層(B)は、必要に応じて、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、耐候剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、粘着付与剤、着色剤、蛍光増白剤等の添加剤を含んでもよい。
次に、上記熱可塑性樹脂(R1)としては、芳香族ビニル系樹脂(R12)(例えば、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂;アクリロニトリル・スチレン共重合体等の、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む芳香族ビニル系(共)重合体等)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・α−オレフィン系樹脂等)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂(R11)(例えば、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体;ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂等)、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を、単独で又は2種以上を組み合わせてTg1を120℃未満としたものとすることができる。本発明においては、熱可塑性樹脂(R1)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有するアクリル系樹脂(R11)、及び、芳香族ビニル系樹脂(R12)が好ましい。これらの樹脂が、ゴム強化グラフト樹脂を含むことも好ましい態様である。
上記熱可塑性樹脂(R1)が、ゴム質重合体の存在下に、重合性不飽和単量体を重合して得られたゴム強化樹脂を含む場合には、上記熱可塑性樹脂(R2)において記載したように、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体を含むのであるが、ゴム質重合体及び重合性不飽和単量体の種類並びに使用量によって、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体の両方が、120℃未満のガラス転移温度を有する場合と、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体のいずれか一方が、120℃未満のガラス転移温度を有し、他方が120℃以上のガラス転移温度を有する場合と、がある。本発明においては、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体の両方が、120℃未満のガラス転移温度を有する場合、並びに、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体のいずれか一方が、120℃以上のガラス転移温度を有し、他方が120℃未満のガラス転移温度を有する場合、のいずれも好ましい。
尚、上記のように、層(A)及び層(B)に含まれる熱可塑性樹脂の関係は、Tg2>Tg1であるので、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体の両方又はいずれか一方のガラス転移温度が、120℃以上であり、層(A)用の熱可塑性樹脂をDSC測定に供して得られたDSC曲線で120℃以上のガラス転移温度が確認されても、Tg2より低ければ、熱可塑性樹脂(R1)として用いることができる。また、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体のいずれか一方のガラス転移温度がTg2より高い場合であっても、DSC曲線で、それに由来するガラス転移温度が認められず、他方の低いガラス転移温度のみ認められるのであれば、これらの混合物を、熱可塑性樹脂(R1)として用いることができる。
尚、上記のように、層(A)及び層(B)に含まれる熱可塑性樹脂の関係は、Tg2>Tg1であるので、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体の両方又はいずれか一方のガラス転移温度が、120℃以上であり、層(A)用の熱可塑性樹脂をDSC測定に供して得られたDSC曲線で120℃以上のガラス転移温度が確認されても、Tg2より低ければ、熱可塑性樹脂(R1)として用いることができる。また、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体のいずれか一方のガラス転移温度がTg2より高い場合であっても、DSC曲線で、それに由来するガラス転移温度が認められず、他方の低いガラス転移温度のみ認められるのであれば、これらの混合物を、熱可塑性樹脂(R1)として用いることができる。
上記熱可塑性樹脂(R1)が、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂及び芳香族ビニル系(共)重合体を含む芳香族ビニル系樹脂(R12)からなる場合には、可撓性に優れた加飾樹脂シートを得ることができる。
また、上記熱可塑性樹脂(R1)が、(メタ)アクリル系(共)重合体、ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂等のアクリル系樹脂(R11)からなる場合には、透明保護層の表面における適度な硬度及び耐傷性を得ることができ、可撓性に優れた加飾樹脂シートを得ることができる。
また、上記熱可塑性樹脂(R1)が、(メタ)アクリル系(共)重合体、ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂等のアクリル系樹脂(R11)からなる場合には、透明保護層の表面における適度な硬度及び耐傷性を得ることができ、可撓性に優れた加飾樹脂シートを得ることができる。
上記熱可塑性樹脂(R1)が、複数の熱可塑性樹脂からなる場合には、上記のように、すべての樹脂のガラス転移温度が120℃未満である必要はないが、このアクリル系樹脂(R11)及び芳香族ビニル系樹脂(R12)のガラス転移温度は、好ましくは、120℃未満、より好ましくは116℃未満である。
上記熱可塑性樹脂(R1)に好適な芳香族ビニル系樹脂(R12)について、説明する。
上記芳香族ビニル系樹脂(R12)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を35質量%を超えて含み、好ましくは50質量%を超えて含み、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む場合には、その含有量が25質量%未満の樹脂である。
上記芳香族ビニル系樹脂(R12)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を35質量%を超えて含み、好ましくは50質量%を超えて含み、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む場合には、その含有量が25質量%未満の樹脂である。
上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂の形成のための、ゴム質重合体及び重合性不飽和単量体として使用可能な化合物は、それぞれ、上記ゴム質重合体(b1)及び重合性不飽和単量体(b2)として例示した化合物である。また、ゴム質重合体の物性も、また、ゴム質重合体(b1)のそれと同様とすることができる。
上記ゴム質重合体としては、耐衝撃性の観点から、共役ジエン系ゴムが好ましく、耐候性の観点から、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、水添共役ジエン系ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム及びシリコーン・アクリル複合ゴムが好ましい。
上記重合性不飽和単量体は、芳香族ビニル化合物のみからなるものであってよいし、芳香族ビニル化合物、及び、この化合物と共重合可能な他の単量体からなるものであってもよい。他の単量体は、シアン化ビニル化合物を含むことが好ましい。尚、他の単量体は、更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含んでもよい。芳香族ビニル化合物としては、スチレンが好ましく、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリルが好ましい。
他の単量体がシアン化ビニル化合物のみである場合、即ち、上記重合性不飽和単量体が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる場合、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、更に好ましくは60〜95質量%及び5〜40質量%、特に好ましくは65〜85質量%及び15〜35質量%である。
上記熱可塑性樹脂(R1)のガラス転移温度(Tg1)を120℃未満とするためのゴム強化芳香族ビニル系樹脂として、好ましい樹脂を、以下に示す。
(1)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(3)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
上記重合性不飽和単量体は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
(1)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(3)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
上記重合性不飽和単量体は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂の製造方法及びそれに含まれるゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率は、上記熱可塑性樹脂(R2)に用いられるゴム強化グラフト樹脂のそれらと同様とすることができる。
上記熱可塑性樹脂(R1)が、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を含む芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する場合、上記熱可塑性樹脂(R1)に含まれるゴム質重合体の含有割合は、耐熱性、耐衝撃性、可撓性等の観点から、熱可塑性樹脂(R1)全体に対して、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは8〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%、特に好ましくは12〜18質量%である。ゴム質重合体の含有量が40質量%を超えると、加飾樹脂シートの耐熱性が十分でない場合がある。一方、ゴム質重合体の含有量が5質量%未満となると、耐衝撃性及び可撓性が十分でない場合がある。
尚、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を含む熱可塑性樹脂(R1)、又は、この熱可塑性樹脂(R1)を含有する熱可塑性樹脂組成物に含まれるゴム質重合体の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)、赤外線吸収スペクトル(IR)等を用いて求めることができる。
尚、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を含む熱可塑性樹脂(R1)、又は、この熱可塑性樹脂(R1)を含有する熱可塑性樹脂組成物に含まれるゴム質重合体の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)、赤外線吸収スペクトル(IR)等を用いて求めることができる。
一方、上記熱可塑性樹脂(R1)に含まれる芳香族ビニル系(共)重合体は、ゴム質重合体の非存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られるものである。この重合性不飽和単量体として使用可能な化合物は、上記熱可塑性樹脂(R2)用のゴム強化グラフト樹脂の形成に用いることができる重合性不飽和単量体(b2)として例示した化合物である。上記熱可塑性樹脂(R1)として、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂及び芳香族ビニル系(共)重合体を併用する場合、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を形成する重合性不飽和単量体及び芳香族ビニル系(共)重合体を形成する重合性不飽和単量体は、互いに、同一であってよいし、異なってもよい。また、化合物の種類が同一である場合、各化合物の使用量の割合は、同一であってよいし、異なってもよい。
上記芳香族ビニル系(共)重合体を形成する重合性不飽和単量体は、芳香族ビニル化合物のみからなるものであってよいし、上記のように、芳香族ビニル化合物、及び、この化合物と共重合可能な他の単量体からなるものであってもよい。他の単量体は、シアン化ビニル化合物を含むことが好ましい。尚、他の単量体は、更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含んでもよい。
他の単量体がシアン化ビニル化合物のみである場合、即ち、上記重合性不飽和単量体が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる場合、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、更に好ましくは60〜95質量%及び5〜40質量%、特に好ましくは65〜85質量%及び15〜35質量%である。
上記熱可塑性樹脂(R1)のガラス転移温度(Tg1)が120℃未満である芳香族ビニル系(共)重合体として、好ましい態様は、以下の通りである。
(1)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、及び、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位からなる芳香族ビニル系共重合体
(2)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなる芳香族ビニル系共重合体
上記芳香族ビニル系共重合体は、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
(1)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、及び、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位からなる芳香族ビニル系共重合体
(2)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなる芳香族ビニル系共重合体
上記芳香族ビニル系共重合体は、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記芳香族ビニル系(共)重合体の製造方法は、上記熱可塑性樹脂(R2)用のビニル系(共)重合体のそれと同様とすることができる。
上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂及び/又は芳香族ビニル系(共)重合体を用いて、熱可塑性樹脂(R1)のガラス転移温度(Tg1)を、120℃未満、好ましくは110℃以下とするための態様は、以下の通りである。
(R1−1)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−2)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−3)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−4)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−5)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂を主として含む熱可塑性樹脂
(R1−6)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂を含む熱可塑性樹脂
(R1−7)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を主として含む熱可塑性樹脂
(R1−8)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を主として含む熱可塑性樹脂
これらの態様において、芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
(R1−1)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−2)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−3)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−4)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂と、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を用いて得られた芳香族ビニル系共重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を含む熱可塑性樹脂
(R1−5)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂を主として含む熱可塑性樹脂
(R1−6)共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化芳香族ビニル系樹脂を含む熱可塑性樹脂
(R1−7)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を主として含む熱可塑性樹脂
(R1−8)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位、及び、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する芳香族ビニル系共重合体を主として含む熱可塑性樹脂
これらの態様において、芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記(R1−1)〜(R1−8)で例示される芳香族ビニル系樹脂(R12)は、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、この構造単位を含む場合、このマレイミド系化合物に由来する構造単位は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂及び芳香族ビニル系(共)重合体のいずれに由来するものであってもよい。また、この芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する熱可塑性樹脂(R1)に含まれるマレイミド系化合物に由来する構造単位の含有量は、上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれた場合のマレイミド系化合物に由来する構造単位の含有量より少ないことが好ましい。
更に、上記芳香族ビニル系樹脂(R12)は、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含んでもよいが、この構造単位を含む場合、この芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する熱可塑性樹脂(R1)に含まれるα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量は、上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれた場合のα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量より少ないことが好ましい。
更に、上記芳香族ビニル系樹脂(R12)は、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含んでもよいが、この構造単位を含む場合、この芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する熱可塑性樹脂(R1)に含まれるα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量は、上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれた場合のα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量より少ないことが好ましい。
上記熱可塑性樹脂(R1)が、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂及び芳香族ビニル系(共)重合体を用いて得られた芳香族ビニル系樹脂(R12)である場合、上記熱可塑性樹脂(R2)と同様に、熱可塑性樹脂(R1)は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を構成するゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体(芳香族ビニル系(共)重合体に相当する)と、別途、配合された芳香族ビニル系(共)重合体とからなる。
上記熱可塑性樹脂(R2)におけるビニル系(共)重合体(V)と同様にして得られた、上記の未グラフト重合体及び芳香族ビニル系(共)重合体からなる重合体の混合物の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、好ましくは0.1〜2.5dl/g、より好ましくは0.2〜1.5dl/g、更に好ましくは0.25〜1.2dl/gである。
上記熱可塑性樹脂(R2)におけるビニル系(共)重合体(V)と同様にして得られた、上記の未グラフト重合体及び芳香族ビニル系(共)重合体からなる重合体の混合物の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、好ましくは0.1〜2.5dl/g、より好ましくは0.2〜1.5dl/g、更に好ましくは0.25〜1.2dl/gである。
上記熱可塑性樹脂(R1)が、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂及び/又は芳香族ビニル系(共)重合体からなる芳香族ビニル系樹脂(R12)を含む場合、本発明の目的を損なわない範囲で、更に、他の熱可塑性樹脂を含有してもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。他の熱可塑性樹脂を含有する場合、その含有量の上限は、上記芳香族ビニル系樹脂(R12)100質量部に対して、好ましくは10質量部、より好ましくは5質量部である。
上記熱可塑性樹脂(R1)に好適なアクリル系樹脂(R11)について、説明する。
上記アクリル系樹脂(R11)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む樹脂であり、ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂であってよいし、(メタ)アクリル系(共)重合体であってもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の含有量の下限は、アクリル系樹脂(R11)に対して、好ましくは25質量%、より好ましくは30質量%である。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の含有量の上限は、アクリル系樹脂(R11)に対して、好ましくは95質量%、より好ましくは90質量%である。尚、アクリル系樹脂(R11)が芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む場合には、その含有量は30質量%未満である。
上記アクリル系樹脂(R11)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む樹脂であり、ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂であってよいし、(メタ)アクリル系(共)重合体であってもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の含有量の下限は、アクリル系樹脂(R11)に対して、好ましくは25質量%、より好ましくは30質量%である。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の含有量の上限は、アクリル系樹脂(R11)に対して、好ましくは95質量%、より好ましくは90質量%である。尚、アクリル系樹脂(R11)が芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む場合には、その含有量は30質量%未満である。
本発明におけるアクリル系樹脂(R11)の具体的な態様は、以下に例示される。
(R1−9)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R1−10)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有しないビニル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R1−11)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R1−12)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体
(R1−13)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体と、グラフトしていないゴム質重合体とからなる樹脂混合物
(R1−9)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R1−10)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むゴム強化グラフト樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有しないビニル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R1−11)ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、ゴム強化グラフト樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R1−12)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体
(R1−13)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体と、グラフトしていないゴム質重合体とからなる樹脂混合物
上記アクリル系樹脂(R11)は、好ましくは、(R1−9)、(R1−10)、(R1−11)及び(R1−12)であり、ゴム質重合体の存在下に、重合性不飽和単量体を重合して得られた、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体を含むゴム強化(メタ)アクリル系樹脂と、重合性不飽和単量体を重合して得られたビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物である。本発明において、特に好ましいアクリル系樹脂(R11)は、上記態様(R1−9)及び(R1−11)である。そして、ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂及びビニル系(共)重合体を用いて、上記態様(R1−9)又は(R1−11)の構成とした樹脂混合物であって、未グラフト重合体及びビニル系(共)重合体の合計量に対して、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を50質量%以上含むことが好ましい。
上記態様(R1−9)のアクリル系樹脂は、上記のように、ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られた、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体を含むゴム強化樹脂(ゴム強化(メタ)アクリル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、この(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体とを混合することにより得ることができる。
また、上記態様(R1−11)のアクリル系樹脂は、ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られた、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体を含むゴム強化樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、この(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体とを混合することにより得ることができる。このようにして得られた樹脂混合物において、ゴム強化グラフト樹脂を除く成分は、通常、複数の(共)重合体からなる混合物である。
尚、上記態様(R1−9)及び(R1−11)のアクリル系樹脂は、いずれも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含む(共)重合体を含有してもよい。
また、上記態様(R1−11)のアクリル系樹脂は、ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られた、ゴム強化グラフト樹脂及び未グラフト重合体を含むゴム強化樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、この(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体とを混合することにより得ることができる。このようにして得られた樹脂混合物において、ゴム強化グラフト樹脂を除く成分は、通常、複数の(共)重合体からなる混合物である。
尚、上記態様(R1−9)及び(R1−11)のアクリル系樹脂は、いずれも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含まない重合性不飽和単量体に由来する構造単位を含む(共)重合体を含有してもよい。
上記態様(R1−12)のアクリル系樹脂としては、アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなるビニル系(共)重合体、メタクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなるビニル系(共)重合体、アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位及びメタクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むビニル系共重合体、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位及び芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むビニル系共重合体等が挙げられる。その具体例としては、アクリル酸エチル・アクリル酸ブチル共重合体、スチレン・アクリル酸ブチル共重合体等がある。
上記熱可塑性樹脂(R1)は、アクリル系樹脂(R11)を1種のみ含んでよいし、2種以上を含んでもよい。
本発明において、好ましいアクリル系樹脂(R11)は、ゴム質重合体(a1)の存在下に、重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(L1)であって、ゴム強化グラフト樹脂及び重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を有する(共)重合体(未グラフト重合体)を含むゴム強化樹脂(L1)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体(L2)とを用いて得られ、上記ゴム強化樹脂(L1)及び上記(メタ)アクリル系(共)重合体(L2)の使用量の割合を、透明保護層における耐傷性及び硬度の観点から、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%、より好ましくは10〜40質量%及び60〜90質量%、更に好ましくは13〜30質量%及び70〜87質量%とするものである。
上記ゴム強化樹脂(L1)の形成に用いられるゴム質重合体(a1)は、25℃でゴム質であれば、特に限定されず、単独重合体及び共重合体のいずれでもよい。また、このゴム質重合体(a1)は、架橋重合体及び非架橋重合体のいずれでもよい。
上記ゴム質重合体(a1)としては、共役ジエン系ゴム、水添共役ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム等が挙げられる。これらのゴムの具体例は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂を製造する際に用いるゴム質重合体(b1)についての記載が適用される。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を用いてもよい。加飾樹脂シートの耐衝撃性の観点から、共役ジエン系ゴムが好ましく、耐候性の観点からは、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム及び水添共役ジエン系ゴムが好ましい。
上記ゴム質重合体(a1)の粒子径は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂を製造する際に用いるゴム質重合体(b1)についての記載が適用される。
上記ゴム強化樹脂(L1)の形成に用いられる重合性不飽和単量体(a2)としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合性不飽和単量体(a2)の具体例は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂を製造する際に用いる重合性不飽和単量体(b2)についての記載が適用される。
上記重合性不飽和単量体(a2)は、芳香族ビニル化合物を含むことが好ましく、芳香族ビニル化合物のみからなるものであってよいし、芳香族ビニル化合物、及び、この化合物と共重合可能な他の単量体からなるものであってもよい。他の単量体としては、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物が好ましい。本発明において、上記重合性不飽和単量体(a2)は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むことが特に好ましい。
尚、上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、その場合、このα−メチルスチレンの含有量は、上記重合性不飽和単量体(a2)に対して、 質量%以下である。
また、上記重合性不飽和単量体(a2)は、マレイミド系化合物を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
尚、上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、その場合、このα−メチルスチレンの含有量は、上記重合性不飽和単量体(a2)に対して、 質量%以下である。
また、上記重合性不飽和単量体(a2)は、マレイミド系化合物を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記重合性不飽和単量体(a2)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む場合、その合計使用量は、成形加工性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、重合性不飽和単量体(a2)全量に対し、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、成形加工性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、更に好ましくは60〜95質量%及び5〜40質量%である。
上記重合性不飽和単量体(a2)が、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む場合、その合計使用量は、成形加工性、硬度、耐加水分解性、成形外観性等の観点から、重合性不飽和単量体(a2)全量に対し、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の使用比率は、成形加工性、硬度、耐加水分解性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%及び10〜90質量%である。
上記ゴム強化樹脂(L1)として、好ましい樹脂は、以下の通りである。
(L1−1)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(L1−2)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(L1−3)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(L1−4)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
また、上記重合性不飽和単量体(a2)は、マレイミド系化合物を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
(L1−1)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(L1−2)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(L1−3)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
(L1−4)共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物からなる重合性不飽和単量体(a2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂
上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
また、上記重合性不飽和単量体(a2)は、マレイミド系化合物を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記ゴム強化樹脂(L1)は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂と同様にして製造することができる。
上記ゴム強化樹脂(L1)に含まれるゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂と同様にして測定することができ、機械的物性や押出性の観点から、好ましくは30〜150%、より好ましくは40〜130%である。
上記のグラフト重合により製造されたゴム強化樹脂(L1)において、アセトン又はアセトニトリルに可溶な成分(アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分)は、グラフト重合により副製した未グラフト重合体であり、重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を有する(共)重合体である。アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、上記熱可塑性樹脂(R2)として用いられるゴム強化樹脂に含まれる未グラフト重合体と同様にして測定することができ、押出性、成形加工性、密着性等の観点から、好ましくは0.05〜0.90dl/g程度である。
上記(共)重合体(L2)は、別途、配合される、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体である。上記(共)重合体(L2)は、単独重合体及び共重合体のいずれでもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の含有量は、上記(共)重合体(L2)の全体に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%である。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物は、好ましくは、エステル部が炭素原子数1〜4の炭化水素基である化合物であり、その具体例は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル及び(メタ)アクリル酸ブチルである。
上記(共)重合体(L2)が他の構造単位を含む場合、他の構造単位を与える単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物と共重合可能な化合物であれば、特に限定されず、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、その場合、このα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量は、上記(共)重合体(L2)に対して、10質量%以下である。
また、上記(共)重合体(L2)は、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
尚、上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、その場合、このα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量は、上記(共)重合体(L2)に対して、10質量%以下である。
また、上記(共)重合体(L2)は、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記(共)重合体(L2)は、重合開始剤の存在下又は非存在下に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合することにより製造することができる。重合方法は、重合開始剤を用いる場合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよい。また、重合開始剤を用いない場合は熱重合を採用することができる。
上記(共)重合体(L2)として、好ましい(共)重合体は、以下の通りである。
(L2−1)α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体(スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等)
(L2−2)α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体(スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体等)
(L2−3)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル樹脂等)
(L2−4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体、並びに、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた共重合体の混合物
(L2−5)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体、並びに、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体の混合物
(L2−6)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体、並びに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体の混合物
これらの態様において、芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
(L2−1)α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体(スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等)
(L2−2)α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体(スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体等)
(L2−3)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル樹脂等)
(L2−4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体(を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体、並びに、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた共重合体の混合物
(L2−5)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体、並びに、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体の混合物
(L2−6)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系(共)重合体、並びに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体の混合物
これらの態様において、芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
これらのうち、上記態様(L2−3)及び(L2−4)が好ましい。
上記(共)重合体(L2)に含まれる、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系(共)重合体の重量平均分子量は、好ましくは30,000〜150,000であり、より好ましくは40,000〜120,000である。尚、重量平均分子量は、GPC法により測定された標準ポリスチレン換算値である。
上記(共)重合体(L2)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、上記熱可塑性樹脂(R2)の原料として用いられるゴム強化樹脂に含まれる未グラフト重合体と同様にして測定することができ、成形加工性や密着性の観点から、好ましくは0.05〜0.9dl/g程度である。
上記ゴム強化樹脂(L1)及び(共)重合体(L2)を用いて得られたアクリル系樹脂(R11)において、アセトン又はアセトニトリルに可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、押出性、成形加工性、密着性等の観点から、好ましくは0.05〜0.9dl/g程度である。
上記ゴム強化樹脂(L1)及び(共)重合体(L2)を用いた場合に限られないが、ゴム強化グラフト樹脂を含有するアクリル系樹脂(R11)を含む熱可塑性樹脂(R1)において、ゴム強化樹脂(L1)に由来するゴム質重合体(a1)の含有割合は、硬度、機械的物性、加工性の観点から、熱可塑性樹脂(R1)を100質量%とした場合に、好ましくは3〜35質量%であり、より好ましくは4〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%、特に好ましくは12〜18質量%である。ゴム質重合体(a1)の含有割合は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)等を用いて求めることができる。
上記アクリル系樹脂(R11)は、マレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、その場合、このマレイミド系化合物に由来する構造単位の含有量は、上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれた場合のマレイミド系化合物に由来する構造単位の含有量より少ないことが好ましい。
更に、上記アクリル系樹脂(R11)は、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含んでもよいが、その場合、このアクリル系樹脂(R11)を含有する熱可塑性樹脂(R1)に含まれるα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量は、上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれた場合のα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量より少ないことが好ましい。
更に、上記アクリル系樹脂(R11)は、α−メチルスチレンに由来する構造単位を含んでもよいが、その場合、このアクリル系樹脂(R11)を含有する熱可塑性樹脂(R1)に含まれるα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量は、上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれた場合のα−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量より少ないことが好ましい。
上記熱可塑性樹脂(R1)が、アクリル系樹脂(R11)を含む場合、本発明の目的を損なわない範囲で、更に、他の熱可塑性樹脂を含有してもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。他の熱可塑性樹脂を含有する場合、その含有量の上限は、上記アクリル系樹脂(R11)100質量部に対して、好ましくは20質量部、より好ましくは10質量部である。
上記層(A)は、必要に応じて、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、耐候剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、粘着付与剤、着色剤、蛍光増白剤等の添加剤を含んでもよい。
本発明の加飾樹脂シートにおいて、層(A)及び層(B)からなる支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)は、図柄層13側から、層(A)151及び層(B)152の順に構成されることが好ましい(図4参照)。
上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)が、図4に示すような2層型構造を有し、層(A)がアクリル系樹脂(R11)を含有する場合、上記層(A)及び層(B)の厚さは、耐熱性、可撓性等の観点から、それぞれ、好ましくは10〜400μm及び10〜400μmであり、より好ましくは20〜300μm及び20〜300μmである。
この場合、支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の厚さは、加飾樹脂シートとしての可撓性、機械的物性等の観点から、好ましくは20〜800μm、より好ましくは30〜600μmである。
この場合、支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の厚さは、加飾樹脂シートとしての可撓性、機械的物性等の観点から、好ましくは20〜800μm、より好ましくは30〜600μmである。
一方、上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)が、図4に示すような2層型構造を有し、層(A)が芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する場合、層(B)及び層(A)の厚さは、それぞれ、好ましくは5〜200μm及び20〜250μm、より好ましくは10〜150μm及び30〜200μm、更に好ましくは15〜100μm及び40〜150μmである。
この場合、支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の厚さは、好ましくは50〜300μm、より好ましくは75〜250μm、更に好ましくは100〜200μmである。この厚さが50μm未満であると、加飾樹脂シートの機械的強度が十分でない場合があり、図7に示される複合構造体(加飾成形品)5を製造する際に、支持層15の部分から破断することがある。一方、厚さが300μmを超えると、加飾樹脂シートとしての可撓性が低下し、折り曲げ白化する等の問題が生じる場合がある。
この場合、支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の厚さは、好ましくは50〜300μm、より好ましくは75〜250μm、更に好ましくは100〜200μmである。この厚さが50μm未満であると、加飾樹脂シートの機械的強度が十分でない場合があり、図7に示される複合構造体(加飾成形品)5を製造する際に、支持層15の部分から破断することがある。一方、厚さが300μmを超えると、加飾樹脂シートとしての可撓性が低下し、折り曲げ白化する等の問題が生じる場合がある。
本発明において、芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する層(A)を備える場合には、支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)を、図6に示すような3層型構造として、優れた耐熱性及び可撓性を得ることができる。
上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)が、図6に示すような、芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する層(A)151A、層(B)152及び芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する層151Bからなる場合、層151A、層152及び層151Bの厚さは、それぞれ、好ましくは12〜120μm、4〜151μm及び12〜120μm、より好ましくは30〜119μm、5〜115μm及び30〜119μm、更に好ましくは32〜115μm、6〜111μm及び32〜115μmである。
図6の態様であって、厚さが250μmの支持層(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)である場合、層151A、層152及び層151Bの厚さは、それぞれ、好ましくは25〜120μm、10〜200μm及び25〜120μm、より好ましくは42〜119μm、12〜166μm及び42〜119μm、更に好ましくは44〜115μm、15〜150μm及び44〜115μmである。層151Aが厚すぎると、耐熱性が十分でない場合があり、薄すぎると、可撓性が十分でない場合がある。
また、図6の態様であって、厚さが100μmの支持層(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)である場合、層151A、層152及び層151Bの厚さは、それぞれ、好ましくは10〜48μm、4〜80μm及び10〜48μm、より好ましくは17〜47μm、5〜66μm及び17〜47μm、更に好ましくは19〜45μm、6〜62μm及び19〜45μmである。層151Aが厚すぎると、耐熱性が十分でない場合があり、薄すぎると、可撓性が十分でない場合がある。
上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)が、図6に示すような、芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する層(A)151A、層(B)152及び芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する層151Bからなる場合、層151A、層152及び層151Bの厚さは、それぞれ、好ましくは12〜120μm、4〜151μm及び12〜120μm、より好ましくは30〜119μm、5〜115μm及び30〜119μm、更に好ましくは32〜115μm、6〜111μm及び32〜115μmである。
図6の態様であって、厚さが250μmの支持層(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)である場合、層151A、層152及び層151Bの厚さは、それぞれ、好ましくは25〜120μm、10〜200μm及び25〜120μm、より好ましくは42〜119μm、12〜166μm及び42〜119μm、更に好ましくは44〜115μm、15〜150μm及び44〜115μmである。層151Aが厚すぎると、耐熱性が十分でない場合があり、薄すぎると、可撓性が十分でない場合がある。
また、図6の態様であって、厚さが100μmの支持層(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)である場合、層151A、層152及び層151Bの厚さは、それぞれ、好ましくは10〜48μm、4〜80μm及び10〜48μm、より好ましくは17〜47μm、5〜66μm及び17〜47μm、更に好ましくは19〜45μm、6〜62μm及び19〜45μmである。層151Aが厚すぎると、耐熱性が十分でない場合があり、薄すぎると、可撓性が十分でない場合がある。
上記芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する、図6の態様の支持層(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の場合、層151A、層152及び層151Bの厚さを、それぞれ、t1、t2及びt3とした場合、耐熱性及び可撓性が得られるだけでなく、反り(カール)が抑制されて形状安定性に優れた加飾樹脂シートとするために、これらの厚さは、下記式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
0.5≦t1/t3≦1.5 (1)
0.25≦(t1+t3)/t2≦22 (2)
0.5≦t1/t3≦1.5 (1)
0.25≦(t1+t3)/t2≦22 (2)
上記式(1)を満たすことにより、反り(カール)が抑制されて形状安定性に優れた加飾樹脂シートを得ることができる。この式(1)の条件は、好ましくは0.6≦t1/t3≦1.4、より好ましくは0.7≦t1/t3≦1.3である。
また、上記式(2)を満たすことにより、耐熱性及び可撓性に優れた加飾樹脂シートを得ることができる。この式(2)の条件は、好ましくは0.5≦(t1+t3)/t2≦15である。
また、上記式(2)を満たすことにより、耐熱性及び可撓性に優れた加飾樹脂シートを得ることができる。この式(2)の条件は、好ましくは0.5≦(t1+t3)/t2≦15である。
また、上記支持層が、芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する3層型構造を有する場合(図示せず)であって、例えば、層(B)、層(A)及び層(B)からなる場合、これらの層の厚さは、それぞれ、好ましくは5〜100μm、50〜240μm及び5〜100μm、より好ましくは7〜75μm、100〜236μm及び7〜75μm、更に好ましくは10〜50μm、150〜230μm及び10〜50μmである。
次に、上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)が、アクリル系樹脂(R11)を含む層(A)151と、層(B)152と、層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度(Tg2)より低いガラス転移温度(以下、「Tg3」という)を有する熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)153とを、順次、備える3層型構造を有する態様について、説明する(図5参照)。
図5の態様の支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の層(A)151は、図柄層13に面することが好ましい。
この態様において、上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度(Tg2)は、好ましくは125℃以上であり、上記熱可塑性樹脂(R1)及び(R3)のガラス転移温度(Tg1及びTg3)は、いずれも、上記熱可塑性樹脂(R2)のTg2より低くなっている。
図5の態様の支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の層(A)151は、図柄層13に面することが好ましい。
この態様において、上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度(Tg2)は、好ましくは125℃以上であり、上記熱可塑性樹脂(R1)及び(R3)のガラス転移温度(Tg1及びTg3)は、いずれも、上記熱可塑性樹脂(R2)のTg2より低くなっている。
尚、上記熱可塑性樹脂(R3)は、複数の熱可塑性樹脂からなるものであってよい。そして、Tg3もまた、JIS K 7121に準じて、示差走査熱量計(DSC)により測定されたDSC曲線で複数のガラス転移温度が得られた場合、より高い方のガラス転移温度が採用される。
上記層(C)に含まれる熱可塑性樹脂(R3)のTg3は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)のTg2より低く、得られる加飾成形品において透明保護層を介して視認される画像の変形が抑制されることから、好ましくは120℃未満、より好ましくは80℃以上120℃未満、更に好ましくは90℃以上120℃未満である。
上記のように、熱可塑性樹脂(R3)は、複数の熱可塑性樹脂からなるものとすることができ、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂の2種以上からなるものとすることができる。また、熱可塑性樹脂(R3)は、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上と、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上とからなるものであってもよい。熱可塑性樹脂(R3)が、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂を含む場合、その含有割合の上限は、好ましくは40質量%、より好ましくは30質量%である。
上記のように、熱可塑性樹脂(R3)は、複数の熱可塑性樹脂からなるものとすることができ、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂の2種以上からなるものとすることができる。また、熱可塑性樹脂(R3)は、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上と、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上とからなるものであってもよい。熱可塑性樹脂(R3)が、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂を含む場合、その含有割合の上限は、好ましくは40質量%、より好ましくは30質量%である。
上記熱可塑性樹脂(R3)としては、ゴム質重合体(c1)の存在下に、重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリル酸メチル・メタクリル酸メチル共重合体等の重合性不飽和単量体(c2)と同一であってもよい重合性不飽和単量体(c3)に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・α−オレフィン系樹脂等)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂を、単独で又は2種以上を組み合わせて、Tg3を120℃未満としたものとすることができる。
本発明において、可撓性及び真空成形性の観点から、ガラス転移温度(Tg3)が120℃未満の熱可塑性樹脂(R3)の好ましい態様は、以下に例示される。
(R3−1)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂と、上記ビニル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R3−2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂と、上記ビニル系(共)重合体と、上記(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R3−3)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂と、上記(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂((R3−1)及び(R3−2)を除く)
(R3−4)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体を主として含む熱可塑性樹脂((R3−1)〜(R3−3)を除く)
(R3−5)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体を主として含む熱可塑性樹脂((R3−2)及び(R3−3)を除く)
(R3−6)飽和ポリエステル樹脂を主として含む熱可塑性樹脂
上記態様(R3−1)〜(R3−5)における熱可塑性樹脂は、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
(R3−1)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂と、上記ビニル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R3−2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂と、上記ビニル系(共)重合体と、上記(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂
(R3−3)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ゴム強化芳香族ビニル系樹脂)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体とを用いて得られた樹脂混合物であって、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有するゴム強化グラフト樹脂と、上記(メタ)アクリル系(共)重合体とを含有する熱可塑性樹脂((R3−1)及び(R3−2)を除く)
(R3−4)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体を主として含む熱可塑性樹脂((R3−1)〜(R3−3)を除く)
(R3−5)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(メタ)アクリル系(共)重合体を主として含む熱可塑性樹脂((R3−2)及び(R3−3)を除く)
(R3−6)飽和ポリエステル樹脂を主として含む熱可塑性樹脂
上記態様(R3−1)〜(R3−5)における熱可塑性樹脂は、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記態様(R3−1)〜(R3−3)において、ゴム強化グラフト樹脂の形成に用いられるゴム質重合体(c1)は、25℃でゴム質であれば、特に限定されず、単独重合体及び共重合体のいずれでもよい。また、このゴム質重合体(a1)は、架橋重合体及び非架橋重合体のいずれでもよい。
上記ゴム質重合体(c1)としては、共役ジエン系ゴム、水添共役ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム等が挙げられる。これらのゴムの具体例は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂を製造する際に用いるゴム質重合体(b1)についての記載が適用される。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を用いてもよい。加飾樹脂シートの耐衝撃性の観点から、共役ジエン系ゴムが好ましく、耐候性の観点からは、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム及び水添共役ジエン系ゴムが好ましい。
上記ゴム質重合体(c1)の粒子径は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂を製造する際に用いるゴム質重合体(b1)についての記載が適用される。
上記ゴム強化グラフト樹脂の製造に用いられる重合性不飽和単量体(c2)は、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物を含むことが好ましく、芳香族ビニル化合物のみからなるものであってよいし、芳香族ビニル化合物、及び、この化合物と共重合可能な他の単量体からなるものであってもよい。他の単量体としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらのうち、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物が特に好ましい。
上記重合性不飽和単量体(c2)が、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む場合、その合計使用量は、成形加工性、耐薬品性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、重合性不飽和単量体(c2)全量に対し、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、成形加工性、耐薬品性、耐加水分解性、寸法安定性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、更に好ましくは60〜95質量%及び5〜40質量%である。
上記熱可塑性樹脂(R3)は、ゴム強化グラフト樹脂を1種のみ含んでよいし、2種以上を含んでもよい。
上記ゴム強化グラフト樹脂は、好ましくは、共役ジエン系ゴムからなるゴム質重合体(c1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)をグラフト重合して得られたゴム強化グラフト樹脂である。このゴム強化グラフト樹脂は、上記態様(R3−1)〜(R3−3)において、好ましく用いられる。
上記ゴム強化グラフト樹脂は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂と同様にして製造することができる。
上記ゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率は、上記層(B)に含まれる熱可塑性樹脂(R2)として示したゴム強化グラフト樹脂と同様にして測定することができ、機械的物性や押出性の観点から、50〜200%程度である。
上記のグラフト重合により製造されたゴム強化樹脂において、アセトン又はアセトニトリルに可溶な成分(アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分)は、グラフト重合により副製した未グラフト重合体であり、重合性不飽和単量体(c2)に由来する構造単位を有するビニル系(共)重合体である。アセトン可溶分又はアセトニトリル可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、上記熱可塑性樹脂(R2)として用いられるゴム強化樹脂に含まれる未グラフト重合体と同様にして測定することができ、押出性、成形加工性、密着性等の観点から、好ましくは0.05〜0.8dl/g、より好ましくは0.07〜0.7dl/gである。
上記熱可塑性樹脂(R3)が、上記態様(R3−1)〜(R3−3)に示すような、ゴム強化樹脂、及び、別途、調製された、重合性不飽和単量体(c3)に由来する構造単位を有するビニル系(共)重合体((メタ)アクリル系(共)重合体を含む)を用いて得られた樹脂混合物である場合、このビニル系(共)重合体は、単独重合体及び共重合体のいずれでもよい。このビニル系(共)重合体を構成する構造単位の種類は、重合性不飽和単量体(c2)に由来する構造単位と同一であっても、異なってもよいが、上記のように、別途、配合されるビニル系(共)重合体が、重合性不飽和単量体(c2)に由来する構造単位と異なる構造単位を有する場合には、熱可塑性樹脂(R3)は、具体的には、ゴム強化グラフト樹脂、重合性不飽和単量体(c2)に由来する構造単位を含む未グラフト重合体、及び、未グラフト重合体と異なるものであって、重合性不飽和単量体(c3)に由来する構造単位を含む他のビニル系(共)重合体からなる。
上記重合性不飽和単量体(c3)に含まれる化合物は、好ましくは芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物である。
上記重合性不飽和単量体(c3)は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記重合性不飽和単量体(c3)に含まれる化合物は、好ましくは芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物である。
上記重合性不飽和単量体(c3)は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記重合性不飽和単量体(c3)が、芳香族ビニル化合物を含む場合、重合性不飽和単量体(c3)は、芳香族ビニル化合物のみであってよいし、この芳香族ビニル化合物と他の単量体との組合せであってもよい。他の単量体としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、その場合、このα−メチルスチレンの含有量は、上記重合性不飽和単量体(c3)に対して、10質量%以下である。
また、上記重合性不飽和単量体(c3)は、マレイミド系化合物を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
尚、上記芳香族ビニル化合物は、α−メチルスチレンを含んでもよいが、その場合、このα−メチルスチレンの含有量は、上記重合性不飽和単量体(c3)に対して、10質量%以下である。
また、上記重合性不飽和単量体(c3)は、マレイミド系化合物を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記重合性不飽和単量体(c3)が、芳香族ビニル化合物を含む場合、ビニル系(共)重合体は、好ましくは共重合体である。この場合、芳香族ビニル化合物の使用量の割合は、重合性不飽和単量体(c3)全量に対して、50質量%以上であることが好ましい。そして、重合性不飽和単量体(c3)は、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物等とからなることが好ましい。
上記重合性不飽和単量体(c3)が芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む場合、これらの合計使用量は、重合性不飽和単量体(c3)全量に対し、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、成形加工性、耐薬品性、成形外観性等の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは40〜95質量%及び5〜60質量%、更に好ましくは50〜90質量%及び10〜50質量%である。
上記重合性不飽和単量体(c3)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む場合、重合性不飽和単量体(c3)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物のみであってよいし、この(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物と他の単量体との組合せであってもよい。他の単量体としては、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合性不飽和単量体(c3)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む場合、ビニル系(共)重合体は、好ましくは共重合体である。この場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の使用量の割合は、重合性不飽和単量体(c3)全量に対して、50質量%以上であることが好ましい。そして、重合性不飽和単量体(c3)は、2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物からなることが好ましい。
上記別途、配合される、重合性不飽和単量体(c3)に由来する構造単位を有するビニル系(共)重合体は、重合開始剤の存在下又は非存在下に、重合性不飽和単量体(c3)を重合することにより製造することができる。重合方法は、重合開始剤を用いる場合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよい。また、重合開始剤を用いない場合は熱重合を採用することができる。
上記ゴム強化樹脂と併用されるビニル系(共)重合体((メタ)アクリル系(共)重合体を含む)として、好ましい(共)重合体は、以下の通りである。
(1)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位からなる共重合体
(2)2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなる共重合体
(3)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなる共重合体
上記(1)及び(3)における共重合体は、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
(1)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位からなる共重合体
(2)2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなる共重合体
(3)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなる共重合体
上記(1)及び(3)における共重合体は、α−メチルスチレンに由来する構造単位及びマレイミド系化合物に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
上記ビニル系(共)重合体の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、上記熱可塑性樹脂(R2)として用いられるゴム強化樹脂に含まれる未グラフト重合体と同様にして測定することができ、押出性、成形加工性、密着性等の観点から、好ましくは0.1〜1.0dl/g、より好ましくは0.15〜0.9dl/gである。
上記ゴム強化樹脂及び/又はビニル系(共)重合体を用いて、熱可塑性樹脂(R3)のガラス転移温度を、例えば、120℃未満とするためには、熱可塑性樹脂(R3)が、スチレン等の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と、アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物に由来する構造単位とを主として含むビニル系共重合体を含有することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂(R3)が、上記態様(R3−2)及び(R3−3)である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の割合は、熱可塑性樹脂(R3)の全体に対し、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは10〜93質量%、更に好ましくは30〜90質量%である。
上記態様(R3−2)及び(R3−3)の熱可塑性樹脂は、ゴム質重合体の存在下に重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂(N1)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られる(メタ)アクリル系(共)重合体(N2)とを混合して得られた樹脂混合物であることが好ましい。そして、(メタ)アクリル系(共)重合体(N2)の全体に対して、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を50〜100質量%含み、ゴム強化樹脂(N1)及び(メタ)アクリル系(共)重合体(N2)の使用量の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは10〜80質量%及び20〜90質量%である。
上記層(C)に含まれる熱可塑性樹脂(R3)は、層(A)に含有させることができるアクリル系樹脂(R11)と同じであっても、異なっていてもよい。
上記熱可塑性樹脂(R3)が、上記態様(R3−1)であって、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体(c2)を用いて得られたゴム強化グラフト樹脂と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を含む共重合体とからなる場合、ゴム質重合体(c1)の含有量は、密着性、機械的物性等の観点から、熱可塑性樹脂(R3)を100質量%とした場合に、好ましくは3〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%である。ゴム質重合体(c1)の含有割合は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)等により得ることができる。
また、上記熱可塑性樹脂(R3)が、上記態様(R3−2)又は(R3−3)である場合、ゴム質重合体(c1)の含有量は、硬度、機械的物性、加工性の観点から、熱可塑性樹脂(R3)を100質量%とした場合に、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは6〜30質量%である。
上記熱可塑性樹脂(R3)が、上記態様(R3−1)〜(R3−3)の各熱可塑性樹脂を含む場合、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。この場合、その含有量の上限は、上記態様(R3−1)〜(R3−3)の各熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部、より好ましくは30質量部である。
上記態様(R3−4)の熱可塑性樹脂に含まれるビニル系(共)重合体は、好ましくはα−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む共重合体である。この場合、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、共重合体を100質量%とした場合に、50質量%以上であることが好ましい。そして、この共重合体は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等から選ばれた他の単量体に由来する構造単位とを含むことができるが、α−メチルスチレンを除く芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の両方に由来する構造単位からなることが好ましい。
上記態様(R3−5)の熱可塑性樹脂に含まれる(メタ)アクリル系(共)重合体は、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む共重合体である。この場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の含有量は、共重合体を100質量%とした場合に、50質量%以上であることが好ましい。そして、この(メタ)アクリル系(共)重合体は、2種以上の、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位からなることが好ましい。
上記態様(R3−6)の熱可塑性樹脂に含まれる飽和ポリエステル樹脂は、強度及び寸法安定性の観点から、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂である。
上記層(C)は、必要に応じて、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、耐候剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、粘着付与剤、着色剤、蛍光増白剤等の添加剤を含んでもよい。
上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)が、図5に示すような、アクリル系樹脂(R11)を含む層(A)151、層(B)152及び層(C)153からなる場合、これらの3つの層の厚さは、耐熱性、可撓性等の観点から、それぞれ、好ましくは10〜300μm、5〜250μm及び10〜300μmであり、より好ましくは20〜250μm、10〜200μm及び20〜250μmである。
この場合、支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の厚さは、加飾樹脂シートとしての可撓性、機械的物性等の観点から、好ましくは50〜500μm、より好ましくは75〜400μm、更に好ましくは100〜300μmである。
この場合、支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の厚さは、加飾樹脂シートとしての可撓性、機械的物性等の観点から、好ましくは50〜500μm、より好ましくは75〜400μm、更に好ましくは100〜300μmである。
また、上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)が、図6に示すような3層型構造を有し、層(A)151Aが芳香族ビニル系樹脂(R12)を含有する場合、透明保護層側から層(A)151A、層(B)152及び層(C)151Bとした場合、層(A)151A及び層(C)151Bの厚さは、いずれも、好ましくは20〜250μm、より好ましくは30〜220μmであり、層(B)152の厚さは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μmである。
上記支持層15(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)は、層(A)、層(B)及び他の層(C)以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、更に他の層を備えてもよい。他の層の位置は、目的、用途等により、適宜、選択されるが、層(A)と層(B)の間、層(B)の表面(層(C)を有さない場合)、層(B)と層(C)の間、層(C)の表面等とすることができる。他の層の構成材料及びその形成方法は、特に限定されない。
以下、上記支持層を構成する各層に含有させることができる添加剤について、説明する。
上記充填剤としては、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、フュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、カオリン、硅藻土、ゼオライト、酸化チタン、生石灰、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスバルーン、シラスバルーン、サランバルーン、フェノールバルーン等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、多価アルコールのエステル、エポキシ系可塑剤、高分子型可塑剤、塩素化パラフィン等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、含硫黄化合物、含リン化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤としては、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルや、これらの変性化合物、縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、スズ酸亜鉛等が挙げられる。
また、反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記着色剤としては、顔料、染料等が挙げられる。これらは、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
上記支持層を白色系の着色層とする場合には、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化二アンチモン等の白色顔料が好ましく用いられる。
また、上記支持層を暗色系の着色層とする場合には、カーボンブラック、黒色酸化鉄等が好ましく用いられる。尚、必要に応じて、図柄層の絵柄の基調色となる着色剤を併用することもできる。
上記支持層を白色系の着色層とする場合には、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化二アンチモン等の白色顔料が好ましく用いられる。
また、上記支持層を暗色系の着色層とする場合には、カーボンブラック、黒色酸化鉄等が好ましく用いられる。尚、必要に応じて、図柄層の絵柄の基調色となる着色剤を併用することもできる。
上記着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、例えば、着色剤の分散安定性を高めるため、湿潤・分散剤を少量添加することができる。湿潤・分散剤としては、脂肪酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、燐酸塩等のアニオン性化合物、脂肪族アミン塩等のカチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物、両性化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
本発明の加飾樹脂シートの構成は、図1〜図3に例示される。図1〜図3の加飾樹脂シートは、透明保護層11、図柄層13及び支持層15の順に配されており、透明保護層11及び支持層15の間に、接着層17を備えることができる(図2及び図3参照)。図2及び図3は、図柄層13が、それぞれ、透明保護層11側又は支持層15側の表面に、部分的に接着形成されており、図柄層13のないところでは、透明保護層11及び支持層15が接着層17により接合された態様である。図2及び図3では、それぞれ、接着層17が、支持層15又は透明保護層11と、図柄層13との間にも形成されているが、図柄層13のないところで、透明保護層11及び支持層15の十分な接着が得られるのであれば、接着層17が、支持層15又は透明保護層11と、図柄層13との間に形成されていなくてもよい(図示せず)。
本発明は、これらの態様に限定されるものではなく、図柄層13が透明保護層11及び支持層15の間に、全面に渡って形成されており、且つ、透明保護層側及び支持層側のいずれの表面に形成されている場合であっても、透明保護層11及び支持層15の間に、接着層を備えることができる。この態様は、正しくは、接着層が、透明保護層11又は支持層15と、図柄層13との間に形成されている(図示せず)。
本発明は、これらの態様に限定されるものではなく、図柄層13が透明保護層11及び支持層15の間に、全面に渡って形成されており、且つ、透明保護層側及び支持層側のいずれの表面に形成されている場合であっても、透明保護層11及び支持層15の間に、接着層を備えることができる。この態様は、正しくは、接着層が、透明保護層11又は支持層15と、図柄層13との間に形成されている(図示せず)。
上記態様等において接着層が配される場合、接着層の構成材料は、透明な膜を与える材料であることが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂等を含む組成物が挙げられる。
上記接着層の厚さの上限値は、加飾樹脂シートの可撓性の観点から、通常、30μm、好ましくは20μm、更に好ましくは10μmである。尚、下限値は、通常、0.1μm、好ましくは0.2μm、更に好ましくは0.5μmである。
本発明の加飾樹脂シートの厚さは、可撓性、機械的強度、加工性等の観点から、好ましくは50〜1,300μmであり、より好ましくは80〜1,000μm、特に好ましくは100〜900μmである。
本発明の加飾樹脂シートの製造方法は、目的、用途等により、適宜、選択され、特に限定されない。
本発明の加飾樹脂シートを製造する際には、予め、作製された支持層形成用フィルム(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)を用いることが好ましい。層(A)及び層(B)からなる支持層形成用フィルム(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)の作製方法は、以下に例示される。
(i)熱可塑性樹脂(R1)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供する方法
(ii)熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)形成用フィルム、及び、熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
層(A)、層(B)及び層(C)からなる支持層形成用フィルム(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)も、同様にして作製することができ、以下に例示される。
(iii)熱可塑性樹脂(R1)を含有する組成物、熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供する方法
(iv)熱可塑性樹脂(R1)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供して、層(A)及び(B)からなる積層フィルムを得た後、この積層フィルムにおける層(B)の表面に、別途、準備した、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
(v)熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供して、層(B)及び(C)からなる積層フィルムを得た後、この積層フィルムにおける層(B)の表面に、別途、準備した、熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
(vi)熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)形成用フィルム、熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)形成用フィルム、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
(i)熱可塑性樹脂(R1)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供する方法
(ii)熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)形成用フィルム、及び、熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
層(A)、層(B)及び層(C)からなる支持層形成用フィルム(本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム)も、同様にして作製することができ、以下に例示される。
(iii)熱可塑性樹脂(R1)を含有する組成物、熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供する方法
(iv)熱可塑性樹脂(R1)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供して、層(A)及び(B)からなる積層フィルムを得た後、この積層フィルムにおける層(B)の表面に、別途、準備した、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
(v)熱可塑性樹脂(R2)を含有する組成物、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含有する組成物を、それぞれ、Tダイ成形、インフレーション成形等に供して、層(B)及び(C)からなる積層フィルムを得た後、この積層フィルムにおける層(B)の表面に、別途、準備した、熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
(vi)熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)形成用フィルム、熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)形成用フィルム、及び、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)形成用フィルムを、接着剤により接合する方法
上記方法(i)及び(iii)〜(v)に示した組成物は、各熱可塑性樹脂、添加剤等を、溶融混練装置により溶融混練することにより、調製される。溶融混練に用いる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー等が挙げられる。溶融混練の温度は、熱可塑性樹脂の種類等により、適宜、選択されるが、通常、190℃〜260℃程度である。
上記方法(iv)及び(vi)において、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)形成用フィルムとして、市販の飽和ポリエステル樹脂フィルムを用いることもできる。市販品としては、例えば、帝人デュポンフィルム社製「PETフィルムU2」(商品名)、東レ社製「ルミラーX10P」(商品名)、「ルミラーX10S」(商品名)、帝人デュポンフィルム社製「Melinex238」(商品名)、SKC社製「SR55」(商品名)等が挙げられる。
本発明においては、支持層形成用フィルムにおける層(A)と図柄層との密着性、並びに、層(A)と透明保護層との密着性を向上させるために、上記支持層形成用フィルムにおける層(A)の表面には、直接、又は、接着層等を介した、他層との密着性を向上させるため、等の目的で、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー塗工等の易接着処理を施しておいてもよい。
また、本発明の加飾樹脂シートを製造する際には、上記のように、硬化性を有するコーティング剤組成物を用いる方法が好ましいが、コーティング剤組成物、熱可塑性樹脂、又は、熱可塑性樹脂組成物を用いて、予め、作製された、透明保護層形成用フィルムを用いてもよい。そして、上記のように、その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー塗工等の易接着処理を施しておいてもよい。
本発明における好ましい態様の加飾樹脂シートを製造する方法は、以下に例示される。
(1)支持層形成用フィルムにおける層(A)の表面に、印刷法又は塗工法により、図柄層を形成し、次いで、透明保護層形成用組成物であるコーティング剤組成物を用いた塗膜形成、熱処理、光照射等により、透明保護層を形成する方法
(図柄層が層(A)の表面全体に形成されていない場合には、コーティング剤組成物は、少なくとも、図柄層が形成されていない、露出している層(A)の表面に塗布される)
(2)支持層形成用フィルムにおける層(A)の表面に、印刷法又は塗工法により、図柄層を形成し、次いで、透明な接着層を形成する接着剤を用いて、透明保護層形成用フィルムと接着させる方法
(3)透明保護層形成用フィルムの1面側表面に、印刷法又は塗工法により、図柄層を形成し、次いで、透明な接着層を形成する接着剤を用いて、層(A)の表面において、支持層形成用フィルムと接着させる方法
(1)支持層形成用フィルムにおける層(A)の表面に、印刷法又は塗工法により、図柄層を形成し、次いで、透明保護層形成用組成物であるコーティング剤組成物を用いた塗膜形成、熱処理、光照射等により、透明保護層を形成する方法
(図柄層が層(A)の表面全体に形成されていない場合には、コーティング剤組成物は、少なくとも、図柄層が形成されていない、露出している層(A)の表面に塗布される)
(2)支持層形成用フィルムにおける層(A)の表面に、印刷法又は塗工法により、図柄層を形成し、次いで、透明な接着層を形成する接着剤を用いて、透明保護層形成用フィルムと接着させる方法
(3)透明保護層形成用フィルムの1面側表面に、印刷法又は塗工法により、図柄層を形成し、次いで、透明な接着層を形成する接着剤を用いて、層(A)の表面において、支持層形成用フィルムと接着させる方法
上記方法(1)により、図1に示す加飾樹脂シートを得ることができる。上記方法(2)により、図3に示す加飾樹脂シートを得ることができる。上記方法(3)により、図2に示す加飾樹脂シートを得ることができる。
本発明の加飾樹脂シートを用いて、透明保護層11をその表面側に配置した複合構造体である加飾成形品5を製造することができる(図7参照)。加飾成形品5は、樹脂成形部3の表面に加飾樹脂シート1が積層された構成を有し、加飾樹脂シート1はその支持層15側が樹脂成形部3に積層される。図7において符号3で示される部分は、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい熱可塑性樹脂組成物により形成された樹脂成形部を示す。この熱可塑性樹脂組成物は、特に限定されず、ゴム質重合体の存在下に、重合性不飽和単量体をグラフト重合して得られたゴム強化樹脂(ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂等)、ゴム質重合体の非存在下に、芳香族ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた(共)重合体(ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・N−フェニルマレイミド共重合体等)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、イミド系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂、生分解性プラスチック等から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む組成物とすることができる。本発明においては、これらのうち、支持層形成用熱可塑性樹脂組成物に含まれると同一又は同種の熱可塑性樹脂が好ましい。
加飾成形品5が、図1〜図3の加飾樹脂シートを用いて得られた場合であって、樹脂成形部3に含まれる熱可塑性樹脂が、支持層形成用熱可塑性樹脂組成物に含まれると同一又は同種の熱可塑性樹脂である場合には、この加飾成形品5において、加飾樹脂シートにおける支持層15の全体又は一部(例えば、層(B)のみ)と、樹脂成形部3とは一体化しているので、組成物どうしの間で、色等の違いがある場合を除いて、その境界を区別できないことがある。
上記樹脂成形部3を構成する樹脂成形体の形状は、目的、用途等により選択され、特に限定されないが、例えば、板状(平板、曲面板)、柱状、三次元立体物等とすることができる。これらの形状において、凹部、凸部等を備えてもよい。
本発明の加飾樹脂シートは、後述するような加飾成形品の製造方法に供されて、その表面に透明保護層11が配された加飾成形品5の製造に用いられる(図7及び図10参照)。本発明の加飾樹脂シートが、図1〜図3に示す態様である場合に、図柄層の一部又は全体から、透明保護層を介して、所望の色を有する画像を視認させるようにするために、着色された支持層とすることもできる。この場合、層(A)及び層(B)のいずれの層が着色されていてもよい。
着色された支持層とするために、顔料、染料等の着色剤を用いることができる。着色剤は、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、上記支持層を白色系の着色層とする場合には、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化二アンチモン等の白色顔料が好ましく用いられる。また、上記支持層を暗色系の着色層とする場合には、カーボンブラック、黒色酸化鉄等が好ましく用いられる。尚、必要に応じて、図柄層の絵柄の基調色となる着色剤を併用することもできる。
着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、支持層におけるその分散安定性を高めるため、熱可塑性樹脂を含む支持層形成用原料に、湿潤・分散剤を少量添加することができる。湿潤・分散剤としては、脂肪酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、燐酸塩等のアニオン性化合物、脂肪族アミン塩等のカチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物、両性化合物、含フッ素化合物等が挙げられる。
以下、図10を用いて、加飾成形品5の製造方法の一例を示す。図10に示す形態は、雄型71及び雌型72を備える射出成形型を用いて、加飾成形品5を製造するものである。
先ず、図10(A)に示すように、加飾樹脂シート1を、雄型71及び雌型72の間に配置する。その後、図10(B)に示すように、雌型72に配された吸引孔75等の吸引手段を用いて、加飾樹脂シート1を、透明保護層側表面をもって、雌型72の内表面に密着させる。加飾樹脂シート1は、可撓性を有するので、雌型72の内表面に、容易に沿わせて密着させることができる。尚、図示していないが、加飾樹脂シート1は、例えば、枠状のシートクランプで固定してもよい。
次いで、図10(C)に示すように、雄型71及び雌型72を型締めし、両型で形成されるキャビティに、加熱溶融状態、即ち、流動状態にある、支持層形成用熱可塑性樹脂組成物2を供給する。このとき、加飾樹脂シート1は予熱されていてもよい。その後、樹脂組成物が冷却等によって固化され、そして、型開きして、一体化した樹脂成形品を取り出す。このとき、加飾樹脂シートの不要部分がある場合には、それを、適宜、トリミングする。以上の工程により、図10(D)で示される、加飾成形品(樹脂成形品)5が得られる。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.評価方法
1−1.耐熱性
下記のように、加飾樹脂シート又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)から試験片を作製し、支持層部分における樹脂組成物の押出方向と、それに対して直交する方向とにおける寸法を、熱処理前後において測定し、変化の度合いを調べた。
120mm(MD:Tダイからの樹脂の押出方向)×120mm(TD:MDに対して直交方法)の試験片の表面の中央に、100mm(MD)×100mm(TD)の正方形を描いた。この試験片を、恒温槽中に静置して、大気雰囲気下、150℃又は130℃で30分間熱処理した。その後、試験片を取り出して、上記正方形のMD及びTD方向の各辺の長さを25℃で測定し、下記式により、収縮率を算出した。
収縮率(%)={(加熱後の長さ)−(加熱前の長さ)}/(加熱前の長さ)×100
上記式より求めた収縮率から、下記基準に従って、耐熱性を評価した。尚、下記収縮率は、加熱後に試験片が収縮すると負の値に、加熱後に試験片が膨張すると正の値となる。
1:収縮率(s)が、−3.0%<s≦0%又は0≦s<3.0%であった。
2:収縮率(s)が、−5.0%<s≦−3.0%又は3.0≦s<5.0%であった。
3:収縮率(s)が、s≦−5.0%又はs≧5.0%であった。
1−1.耐熱性
下記のように、加飾樹脂シート又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)から試験片を作製し、支持層部分における樹脂組成物の押出方向と、それに対して直交する方向とにおける寸法を、熱処理前後において測定し、変化の度合いを調べた。
120mm(MD:Tダイからの樹脂の押出方向)×120mm(TD:MDに対して直交方法)の試験片の表面の中央に、100mm(MD)×100mm(TD)の正方形を描いた。この試験片を、恒温槽中に静置して、大気雰囲気下、150℃又は130℃で30分間熱処理した。その後、試験片を取り出して、上記正方形のMD及びTD方向の各辺の長さを25℃で測定し、下記式により、収縮率を算出した。
収縮率(%)={(加熱後の長さ)−(加熱前の長さ)}/(加熱前の長さ)×100
上記式より求めた収縮率から、下記基準に従って、耐熱性を評価した。尚、下記収縮率は、加熱後に試験片が収縮すると負の値に、加熱後に試験片が膨張すると正の値となる。
1:収縮率(s)が、−3.0%<s≦0%又は0≦s<3.0%であった。
2:収縮率(s)が、−5.0%<s≦−3.0%又は3.0≦s<5.0%であった。
3:収縮率(s)が、s≦−5.0%又はs≧5.0%であった。
1−2.可撓性
加飾樹脂シート又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)からなる試験片の大きさを、100mm(MD方向)×100mm(TD方向)とし、MD方向の対称軸に沿って、透明保護層が内側へくるように折り曲げた後、TD方向の対称軸に沿って折り曲げた。その後、折り曲げた状態の試験片を、JIS Z0237に準拠して手動式圧着ロール(2,000g)を用い、5mm/秒の速度で各折り目上を2往復させた後、折り目を広げて元の状態に戻し、折り目を目視にて観察し、下記基準で判定した。折り目が割れていないものが可撓性に優れる。
1:折り目が割れておらず、再度折り曲げて広げても折り目が割れなかった。
2:折り目が割れていないが、再度折り曲げて広げたら折り目が割れた。
3:折り目が割れた。
加飾樹脂シート又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)からなる試験片の大きさを、100mm(MD方向)×100mm(TD方向)とし、MD方向の対称軸に沿って、透明保護層が内側へくるように折り曲げた後、TD方向の対称軸に沿って折り曲げた。その後、折り曲げた状態の試験片を、JIS Z0237に準拠して手動式圧着ロール(2,000g)を用い、5mm/秒の速度で各折り目上を2往復させた後、折り目を広げて元の状態に戻し、折り目を目視にて観察し、下記基準で判定した。折り目が割れていないものが可撓性に優れる。
1:折り目が割れておらず、再度折り曲げて広げても折り目が割れなかった。
2:折り目が割れていないが、再度折り曲げて広げたら折り目が割れた。
3:折り目が割れた。
1−3.真空成形性
加飾樹脂シート又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)からなる試験片の大きさを、300mm(MD方向)×210mm(TD方向)とし、図9(IV)に示す成形品を、図8に示す真空成形用型8を備える成光産業社製小型真空成形機「300X」を用いて作製した。図8に示す真空成形用型8は、高さが45mmであり、底面の大きさが150mm×150mmであり、上面の大きさが140m×140mmであり、上面の中央には、100mm×100mmの大きさであって、深さ20mmの凹部が形成されており、全体に渡って微細な貫通孔を有する。
加飾樹脂シートを、その透明保護層側の表面を真空成形用型8の方へ向けた状態で、真空成形用型8の上面から上方に、40mmの間隔をもって固定した(図9(I))。その後、予め、450℃に加熱したヒーター(図示せず)を用いて、加飾樹脂シートを、その周縁側から加熱した。次いで、真空成形用型8を上方に移動させて、上面と、加飾樹脂シートにおける透明保護層とを接触させた(図9(II))。その後、真空成形用型8の底面側より減圧し、加飾樹脂シートが真空成形用型8の凹部の内表面に密着させ、真空成形を実施した(図9(III))。次いで、真空成形用型8を脱型して、図9(IV)に示す成形品を得た。真空成形用型8の凹部への追従性を目視観察し、以下の基準で評価した。支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)についても、同様の評価を行った。尚、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の固定は、層(A)側表面を真空成形用型8の方へ向けた状態で行った。
1:真空成形用型8の凹部への追従性が良好であり、しわが観察されない。
2:しわが観察される。
加飾樹脂シート又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)からなる試験片の大きさを、300mm(MD方向)×210mm(TD方向)とし、図9(IV)に示す成形品を、図8に示す真空成形用型8を備える成光産業社製小型真空成形機「300X」を用いて作製した。図8に示す真空成形用型8は、高さが45mmであり、底面の大きさが150mm×150mmであり、上面の大きさが140m×140mmであり、上面の中央には、100mm×100mmの大きさであって、深さ20mmの凹部が形成されており、全体に渡って微細な貫通孔を有する。
加飾樹脂シートを、その透明保護層側の表面を真空成形用型8の方へ向けた状態で、真空成形用型8の上面から上方に、40mmの間隔をもって固定した(図9(I))。その後、予め、450℃に加熱したヒーター(図示せず)を用いて、加飾樹脂シートを、その周縁側から加熱した。次いで、真空成形用型8を上方に移動させて、上面と、加飾樹脂シートにおける透明保護層とを接触させた(図9(II))。その後、真空成形用型8の底面側より減圧し、加飾樹脂シートが真空成形用型8の凹部の内表面に密着させ、真空成形を実施した(図9(III))。次いで、真空成形用型8を脱型して、図9(IV)に示す成形品を得た。真空成形用型8の凹部への追従性を目視観察し、以下の基準で評価した。支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)についても、同様の評価を行った。尚、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の固定は、層(A)側表面を真空成形用型8の方へ向けた状態で行った。
1:真空成形用型8の凹部への追従性が良好であり、しわが観察されない。
2:しわが観察される。
1−4.耐傷性
東測精密工業社製往復動摩擦試験器を使用し、綿帆布かなきん3号、及び、垂直荷重500gの条件で、加飾樹脂シートにおける透明保護層側の表面、又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の層(A)側表面を500往復摩擦後、当該表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
1:傷が観察されない。
2:傷が僅かに観察される。
3:傷が明確に観察される。
東測精密工業社製往復動摩擦試験器を使用し、綿帆布かなきん3号、及び、垂直荷重500gの条件で、加飾樹脂シートにおける透明保護層側の表面、又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の層(A)側表面を500往復摩擦後、当該表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
1:傷が観察されない。
2:傷が僅かに観察される。
3:傷が明確に観察される。
1−5.鉛筆硬度
加飾樹脂シートにおける透明保護層側の表面、又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の層(A)側表面の鉛筆硬度を、JIS K5400に準じて測定した。
加飾樹脂シートにおける透明保護層側の表面、又は支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の層(A)側表面の鉛筆硬度を、JIS K5400に準じて測定した。
1−6.加飾樹脂シートにおける図柄層の画像視認性
加飾樹脂シートの透明保護層を介して、図柄層の画像を認識できるかどうかを、目視で観察し、以下の基準で評価した。
1:図柄層の画像が鮮明に認識される。
2:図柄層の画像が、不鮮明ではあるが認識できる。
3:図柄層の画像がほとんど認識されない。
加飾樹脂シートの透明保護層を介して、図柄層の画像を認識できるかどうかを、目視で観察し、以下の基準で評価した。
1:図柄層の画像が鮮明に認識される。
2:図柄層の画像が、不鮮明ではあるが認識できる。
3:図柄層の画像がほとんど認識されない。
1−7.ガラス転移温度
JIS K 7121に準じて、TA Instruments社製示差走査熱量計「DSC2910」(型式名)により測定した。
JIS K 7121に準じて、TA Instruments社製示差走査熱量計「DSC2910」(型式名)により測定した。
2.製造原料
2−1.透明保護層形成用材料
下記の方法により得られた紫外線硬化型の組成物を用いた。この硬化性組成物を用いて形成される皮膜(単層フィルム)におけるヘイズ(JIS K7136に準拠)は0.2%である。
以下の実験例において、この硬化性組成物を用いて透明保護層を形成する際には、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の表面に形成した図柄層の側の表面に、組成物を塗布した後、塗膜に紫外線を照射して硬化させた。組成物を用いて製造した加飾樹脂シートにおける透明保護層の厚さは、表4〜表12に示した。
2−1.透明保護層形成用材料
下記の方法により得られた紫外線硬化型の組成物を用いた。この硬化性組成物を用いて形成される皮膜(単層フィルム)におけるヘイズ(JIS K7136に準拠)は0.2%である。
以下の実験例において、この硬化性組成物を用いて透明保護層を形成する際には、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の表面に形成した図柄層の側の表面に、組成物を塗布した後、塗膜に紫外線を照射して硬化させた。組成物を用いて製造した加飾樹脂シートにおける透明保護層の厚さは、表4〜表12に示した。
<硬化性組成物の製造方法>
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレート1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を、攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに、新中村化学社製のペンタエリスリトールトリアクリレート60%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40%とからなる多官能性モノマー「NKエステルA−TMM−3LM−N」(商品名)549部を、30℃で1時間かけて滴下した(尚、これらのうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである)。次いで、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む粒子変性剤を得た。これにより、粒子変性剤773部及びペンタエリスリトールテトラアクリレート220部を含む組成物が得られた。
その後、この組成物6.06部(粒子変性剤を4.72部含む)に、平均粒子径13nmのシリカ粒子を含む固形分31%の日産化学工業社製シリカ粒子分散液「メタノールシリカゾル」(商品名)61.95部、0.05mol/l硫酸水溶液0.02部、及び、p−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部を添加し、この混合液を、60℃で撹拌した。4時間攪拌した後、メチルトリメトキシシラン0.98部を添加し、更に1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子分散液を得た。
次に、この反応性粒子分散液に、日本化薬社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート「KAYARAD DPHA」(商品名)22.11部、BASFジャパン社製光重合開始剤「イルガキュア184」(商品名)1.26部、BASFジャパン社製光重合開始剤「イルガキュア907」(商品名)0.76部、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテル56.86部を添加し、固形分が50%になるように濃縮して硬化性組成物を得た。
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレート1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を、攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに、新中村化学社製のペンタエリスリトールトリアクリレート60%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40%とからなる多官能性モノマー「NKエステルA−TMM−3LM−N」(商品名)549部を、30℃で1時間かけて滴下した(尚、これらのうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである)。次いで、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む粒子変性剤を得た。これにより、粒子変性剤773部及びペンタエリスリトールテトラアクリレート220部を含む組成物が得られた。
その後、この組成物6.06部(粒子変性剤を4.72部含む)に、平均粒子径13nmのシリカ粒子を含む固形分31%の日産化学工業社製シリカ粒子分散液「メタノールシリカゾル」(商品名)61.95部、0.05mol/l硫酸水溶液0.02部、及び、p−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部を添加し、この混合液を、60℃で撹拌した。4時間攪拌した後、メチルトリメトキシシラン0.98部を添加し、更に1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子分散液を得た。
次に、この反応性粒子分散液に、日本化薬社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート「KAYARAD DPHA」(商品名)22.11部、BASFジャパン社製光重合開始剤「イルガキュア184」(商品名)1.26部、BASFジャパン社製光重合開始剤「イルガキュア907」(商品名)0.76部、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテル56.86部を添加し、固形分が50%になるように濃縮して硬化性組成物を得た。
2−2.図柄層形成用材料
図柄層の形成に用いたインキ(以下、「図柄層形成用インキ」という。)は、アクリル樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を、質量比6:4で混合させてなるバインダーと、キナクリドンレッド、イソインドリノン、フタロシアニンブルー及びカーボンブラックからなる着色剤とを混合して得られた組成物である。
図柄層の形成に用いたインキ(以下、「図柄層形成用インキ」という。)は、アクリル樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を、質量比6:4で混合させてなるバインダーと、キナクリドンレッド、イソインドリノン、フタロシアニンブルー及びカーボンブラックからなる着色剤とを混合して得られた組成物である。
2−3.支持層形成用材料(1)
実施例1−1〜1−7及び比較例1−1〜1−2における支持層(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の形成に用いた熱可塑性樹脂は、表1に示され、その製造原料は、以下の通りである。尚、グラフト率、極限粘度等の測定は、上記記載の方法に準じて行った。
実施例1−1〜1−7及び比較例1−1〜1−2における支持層(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の形成に用いた熱可塑性樹脂は、表1に示され、その製造原料は、以下の通りである。尚、グラフト率、極限粘度等の測定は、上記記載の方法に準じて行った。
2−3−1.ゴム強化芳香族ビニル系樹脂
合成例1
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水35部、ロジン酸カリウム0.35部、tert−ドデシルメルカプタン0.2部、体積平均粒子径300nmのポリブタジエンゴム(ゲル含有率80%)32部を含むラテックス80部、体積平均粒子径600nmのスチレン・ブタジエン共重合体ゴム(スチレン単位量30%)8部を含むラテックス19部、スチレン14部及びアクリロニトリル6部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が40℃に達したところで、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.005部及びブドウ糖0.3部を、イオン交換水8部に溶解した水溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。
30分間重合させた後、イオン交換水45部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert−ドデシルメルカプタン0.13部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部を、3時間かけて連続的に添加した。その後、更に1時間重合を継続し、反応系に、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を完結させた。
次いで、反応生成物を含むラテックスを、硫酸マグネシウム水溶液に添加して、樹脂成分を凝固し、水洗した後、乾燥し、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を得た。この樹脂のグラフト率は55%、未グラフトの(共)重合体(以下、「アセトン可溶分」ともいう。)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.45dl/gであった。
合成例1
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水35部、ロジン酸カリウム0.35部、tert−ドデシルメルカプタン0.2部、体積平均粒子径300nmのポリブタジエンゴム(ゲル含有率80%)32部を含むラテックス80部、体積平均粒子径600nmのスチレン・ブタジエン共重合体ゴム(スチレン単位量30%)8部を含むラテックス19部、スチレン14部及びアクリロニトリル6部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が40℃に達したところで、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.005部及びブドウ糖0.3部を、イオン交換水8部に溶解した水溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。
30分間重合させた後、イオン交換水45部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert−ドデシルメルカプタン0.13部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部を、3時間かけて連続的に添加した。その後、更に1時間重合を継続し、反応系に、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を完結させた。
次いで、反応生成物を含むラテックスを、硫酸マグネシウム水溶液に添加して、樹脂成分を凝固し、水洗した後、乾燥し、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂を得た。この樹脂のグラフト率は55%、未グラフトの(共)重合体(以下、「アセトン可溶分」ともいう。)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.45dl/gであった。
2−3−2.アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)
アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、27.5%及び72.5%である共重合体を用いた。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)は、0.70dl/gである。
アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、27.5%及び72.5%である共重合体を用いた。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)は、0.70dl/gである。
2−3−3.N−フェニルマレイミド・アクリロニトリル・スチレン共重合体(マレイミド系共重合体)
日本触媒社製「ポリイミレックスPAS1460」(商品名)を用いた。N−フェニルマレイミドに由来する構造単位、アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、40%、9%及び51%であり、ガラス転移温度は、173℃であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)は、0.55dl/gである。
日本触媒社製「ポリイミレックスPAS1460」(商品名)を用いた。N−フェニルマレイミドに由来する構造単位、アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、40%、9%及び51%であり、ガラス転移温度は、173℃であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)は、0.55dl/gである。
上記の原料を、表1に示す割合で高速混合機により混合した後、φ58mmベント式二軸押出機(L/D=32)に供給して、260℃で混練することにより、4種の支持層形成用熱可塑性樹脂を調製した。尚、加飾樹脂シートの作製に際しては、ストランドカット法により得られたペレットを、支持層形成用熱可塑性樹脂として用いた。
表1に示した熱可塑性樹脂(R1)及び熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠して、TA Instruments社製示差走査熱量計「DSC2910」(型式名)により測定した値である。尚、熱可塑性樹脂(R1)又は(R2)に、熱可塑性樹脂が2種以上含まれて、DSC曲線で複数のガラス転移温度が得られた場合、より高い方のガラス転移温度を採用した。
2−4.支持層形成用材料(2)
実施例2−1〜2−25及び3−1〜3−41並びに比較例2−1〜2−3における支持層(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の形成に用いた熱可塑性樹脂は、表2及び表3に示され、その製造原料は、以下の通りである。尚、グラフト率、極限粘度等の測定は、上記記載の方法に準じて行った。
実施例2−1〜2−25及び3−1〜3−41並びに比較例2−1〜2−3における支持層(加飾樹脂シート用ベースフィルム)の形成に用いた熱可塑性樹脂は、表2及び表3に示され、その製造原料は、以下の通りである。尚、グラフト率、極限粘度等の測定は、上記記載の方法に準じて行った。
2−4−1.ゴム強化樹脂(P1)
合成例2
攪拌機を備えたガラス製反応器に、イオン交換水110部、ゴム質重合体としてポリブタジエンラテックス(体積平均粒子径:180nm、ゲル含有率80%)50部(固形分換算)を入れ、窒素気流中で攪拌しながら昇温した。内温が70℃に達した時点でピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.005部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水15部に溶解した水溶液を加え、スチレン9.5部と、アクリロニトリル3部と、tert−ドデシルメルカプタン0.025部、クメンハイドロパーオキサイド0.07部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05部をイオン交換水1.2部に溶解した水溶液とを、1時間かけて連続的に添加した。次いで、スチレン28部と、アクリロニトリル9.5部と、tert−ドデシルメルカプタン0.075部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15部をイオン交換水3.5部に溶解した水溶液とを、3時間かけて連続的に添加した。添加終了後、更に1時間重合させた後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチレン−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。得られたラテックスに硫酸マグネシウムを添加し、樹脂成分を凝固させた。その後、水洗、更に乾燥することにより、ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂(P1)を得た。この樹脂(P1)に含まれるゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率は73.4%であり、ゴム強化樹脂を構成するゴム質重合体部の体積平均粒子径は182nmであった。また、ゴム強化樹脂(P1)に含まれるゴム質重合体、スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は、これらの合計を100%とした場合に、それぞれ、50%、37%及び13%であり、未グラフトの(共)重合体(アセトン可溶分)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.23dl/gであった。更に、このゴム強化樹脂(P1)のガラス転移温度は、108℃であった。
合成例2
攪拌機を備えたガラス製反応器に、イオン交換水110部、ゴム質重合体としてポリブタジエンラテックス(体積平均粒子径:180nm、ゲル含有率80%)50部(固形分換算)を入れ、窒素気流中で攪拌しながら昇温した。内温が70℃に達した時点でピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.005部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水15部に溶解した水溶液を加え、スチレン9.5部と、アクリロニトリル3部と、tert−ドデシルメルカプタン0.025部、クメンハイドロパーオキサイド0.07部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05部をイオン交換水1.2部に溶解した水溶液とを、1時間かけて連続的に添加した。次いで、スチレン28部と、アクリロニトリル9.5部と、tert−ドデシルメルカプタン0.075部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15部をイオン交換水3.5部に溶解した水溶液とを、3時間かけて連続的に添加した。添加終了後、更に1時間重合させた後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチレン−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。得られたラテックスに硫酸マグネシウムを添加し、樹脂成分を凝固させた。その後、水洗、更に乾燥することにより、ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂(P1)を得た。この樹脂(P1)に含まれるゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率は73.4%であり、ゴム強化樹脂を構成するゴム質重合体部の体積平均粒子径は182nmであった。また、ゴム強化樹脂(P1)に含まれるゴム質重合体、スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は、これらの合計を100%とした場合に、それぞれ、50%、37%及び13%であり、未グラフトの(共)重合体(アセトン可溶分)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.23dl/gであった。更に、このゴム強化樹脂(P1)のガラス転移温度は、108℃であった。
2−4−2.ゴム強化樹脂(P2)
合成例3
合成例2で用いたポリブタジエンラテックスに代えて、ポリブタジエンラテックス(体積平均粒子径:368nm、ゲル含有率:65%)を用いた以外は、合成例2と同様にして、ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂(P2)を得た。このゴム強化樹脂(P2)におけるゴム強化グラフト樹脂のグラフト率は55.7%であり、ゴム強化樹脂(P2)に含まれるゴム質重合体部の体積平均粒子径は370nmであった。また、ゴム強化樹脂(P2)に含まれるゴム質重合体、スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は、これらの合計を100%とした場合に、それぞれ、40%、43%及び17%であり、未グラフトの(共)重合体(アセトン可溶分)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.45dl/gであった。更に、このゴム強化樹脂(P2)のガラス転移温度は、108℃であった。
合成例3
合成例2で用いたポリブタジエンラテックスに代えて、ポリブタジエンラテックス(体積平均粒子径:368nm、ゲル含有率:65%)を用いた以外は、合成例2と同様にして、ゴム強化グラフト樹脂を含むゴム強化樹脂(P2)を得た。このゴム強化樹脂(P2)におけるゴム強化グラフト樹脂のグラフト率は55.7%であり、ゴム強化樹脂(P2)に含まれるゴム質重合体部の体積平均粒子径は370nmであった。また、ゴム強化樹脂(P2)に含まれるゴム質重合体、スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は、これらの合計を100%とした場合に、それぞれ、40%、43%及び17%であり、未グラフトの(共)重合体(アセトン可溶分)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.45dl/gであった。更に、このゴム強化樹脂(P2)のガラス転移温度は、108℃であった。
2−4−3.共重合体(P3)
スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、72.5%及び27.5%であるスチレン・アクリロニトリル共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.70dl/gである。また、この共重合体(P3)のガラス転移温度は、108℃であった。
2−4−4.共重合体(P4)
スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、70.5%及び29.5%であるスチレン・アクリロニトリル共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.75dl/gである。また、この共重合体(P4)のガラス転移温度は、108℃であった。
スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、72.5%及び27.5%であるスチレン・アクリロニトリル共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.70dl/gである。また、この共重合体(P3)のガラス転移温度は、108℃であった。
2−4−4.共重合体(P4)
スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、70.5%及び29.5%であるスチレン・アクリロニトリル共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.75dl/gである。また、この共重合体(P4)のガラス転移温度は、108℃であった。
2−4−5.共重合体(P5)
三菱レイヨン社製メタクリル樹脂「アクリペットVH001」(商品名)を用いた。メタクリル酸メチルに由来する構造単位及びアクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、99%及び1%である。また、この共重合体(P5)の重量平均分子量は97,000であり、ガラス転移温度は、110℃である。
2−4−6.共重合体(P6)
三菱レイヨン社製メタクリル樹脂「アクリペットVH5」(商品名)を用いた。メタクリル酸メチルに由来する構造単位及びアクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、98%及び2%である。また、この共重合体(P6)の重量平均分子量は69,000であり、ガラス転移温度は、110℃である。
三菱レイヨン社製メタクリル樹脂「アクリペットVH001」(商品名)を用いた。メタクリル酸メチルに由来する構造単位及びアクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、99%及び1%である。また、この共重合体(P5)の重量平均分子量は97,000であり、ガラス転移温度は、110℃である。
2−4−6.共重合体(P6)
三菱レイヨン社製メタクリル樹脂「アクリペットVH5」(商品名)を用いた。メタクリル酸メチルに由来する構造単位及びアクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、98%及び2%である。また、この共重合体(P6)の重量平均分子量は69,000であり、ガラス転移温度は、110℃である。
2−4−7.共重合体(P7)
日本触媒社製「ポリイミレックスPAS1460」(商品名)を用いた。N−フェニルマレイミドに由来する構造単位、アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、40%、9%及び51%である。また、ガラス転移温度は、173℃であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)は、0.55dl/gである。
日本触媒社製「ポリイミレックスPAS1460」(商品名)を用いた。N−フェニルマレイミドに由来する構造単位、アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、40%、9%及び51%である。また、ガラス転移温度は、173℃であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)は、0.55dl/gである。
2−4−8.共重合体(P8)
合成例4
撹拌機付き反応器に、水250部、ラウリル酸ナトリウム3部、tert−ドデシルメルカプタン0.2部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム0.01部及びクメンハイドロパーオキサイド0.5部を仕込み、反応器内の脱酸素を行った。その後、窒素気流中、60℃で撹拌しながら、α−メチルスチレン70部を仕込んだ。十分に乳化させた後に、アクリロニトリル17部を5時間かけて連続的に滴下し、共重合を行い、重合転化率が85.0%になったところで重合を終了した。
次いで、反応系に、更に、クメンハイドロパーオキサイド0.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.05部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部及びエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム0.01部を仕込んだ。その後、窒素気流中、60℃で撹拌しながら、スチレン6部及びアクリロニトリル6部を0.5時間かけて連続的に滴下し、共重合を行った。滴下終了後、60℃で1.5時間撹拌し、重合を終了した。最終の重合転化率は96.0%であった。その後、塩化カルシウムにより凝固し、水洗、乾燥した。
得られた共重合体(P8)のα−メチルスチレンに由来する構造単位、アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有率は、それぞれ、72%、23%及び5%である。また、ガラス転移温度は、140℃であり、極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.39dl/gであった。
合成例4
撹拌機付き反応器に、水250部、ラウリル酸ナトリウム3部、tert−ドデシルメルカプタン0.2部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム0.01部及びクメンハイドロパーオキサイド0.5部を仕込み、反応器内の脱酸素を行った。その後、窒素気流中、60℃で撹拌しながら、α−メチルスチレン70部を仕込んだ。十分に乳化させた後に、アクリロニトリル17部を5時間かけて連続的に滴下し、共重合を行い、重合転化率が85.0%になったところで重合を終了した。
次いで、反応系に、更に、クメンハイドロパーオキサイド0.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.05部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部及びエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム0.01部を仕込んだ。その後、窒素気流中、60℃で撹拌しながら、スチレン6部及びアクリロニトリル6部を0.5時間かけて連続的に滴下し、共重合を行った。滴下終了後、60℃で1.5時間撹拌し、重合を終了した。最終の重合転化率は96.0%であった。その後、塩化カルシウムにより凝固し、水洗、乾燥した。
得られた共重合体(P8)のα−メチルスチレンに由来する構造単位、アクリロニトリルに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位の含有率は、それぞれ、72%、23%及び5%である。また、ガラス転移温度は、140℃であり、極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.39dl/gであった。
2−4−9.ゴム強化樹脂(P9)
合成例5
攪拌機を備えた内容積10リットルのセパラブルフラスコに、体積平均粒子径が230nmでありゲル含率が90%であるポリブタジエンゴム45部を含むラテックス(固形分濃度50%)を仕込んだ後、オレイン酸カリウム0.5部、ブドウ糖0.2部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄0.01部及び脱イオン水100部を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら昇温し、メタクリル酸メチル40部、スチレン12.5部、アクリロニトリル3.5部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.4部及びt−ドデシルメルカプタン0.8部からなる単量体混合物を、5時間に渡って連続的に添加しつつ、70℃で重合を行った。得られたラテックスを凝固、水洗及び乾燥に供して、ゴム強化グラフト樹脂として、グラフト化ポリブタジエンからなる微粒子と、遊離したメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体とを含有する、粉末状のゴム強化樹脂(P9)を得た(重合転化率98%)。
ゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率は55%であり、ゴム強化樹脂を構成するゴム質重合体部の体積平均粒子径は250nmであった。また、遊離したメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体(アセトン可溶分)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.25dl/gであった。更に、このゴム強化樹脂(P9)ガラス転移温度は、108℃であった。
合成例5
攪拌機を備えた内容積10リットルのセパラブルフラスコに、体積平均粒子径が230nmでありゲル含率が90%であるポリブタジエンゴム45部を含むラテックス(固形分濃度50%)を仕込んだ後、オレイン酸カリウム0.5部、ブドウ糖0.2部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄0.01部及び脱イオン水100部を添加した。次いで、この混合物を攪拌しながら昇温し、メタクリル酸メチル40部、スチレン12.5部、アクリロニトリル3.5部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.4部及びt−ドデシルメルカプタン0.8部からなる単量体混合物を、5時間に渡って連続的に添加しつつ、70℃で重合を行った。得られたラテックスを凝固、水洗及び乾燥に供して、ゴム強化グラフト樹脂として、グラフト化ポリブタジエンからなる微粒子と、遊離したメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体とを含有する、粉末状のゴム強化樹脂(P9)を得た(重合転化率98%)。
ゴム強化グラフト樹脂におけるグラフト率は55%であり、ゴム強化樹脂を構成するゴム質重合体部の体積平均粒子径は250nmであった。また、遊離したメタクリル酸メチル・スチレン・アクリロニトリル共重合体(アセトン可溶分)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.25dl/gであった。更に、このゴム強化樹脂(P9)ガラス転移温度は、108℃であった。
2−4−10.共重合体(P10)
三菱レイヨン社製メタクリル樹脂「アクリペットIRL409」(商品名)を用いた。メタクリル酸メチルに由来する構造単位、スチレンに由来する構造単位及びアクリル酸n−ブチルに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、77%、3%及び20%である。また、この共重合体(P5)のMFR(温度230℃、荷重37.3N)は2.6g/10分であり、ガラス転移温度は、110℃である。
三菱レイヨン社製メタクリル樹脂「アクリペットIRL409」(商品名)を用いた。メタクリル酸メチルに由来する構造単位、スチレンに由来する構造単位及びアクリル酸n−ブチルに由来する構造単位の含有量は、それぞれ、77%、3%及び20%である。また、この共重合体(P5)のMFR(温度230℃、荷重37.3N)は2.6g/10分であり、ガラス転移温度は、110℃である。
2−4−11.共重合体(P11)
スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、76%及び24%であるスチレン・アクリロニトリル共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.42dl/gである。また、この共重合体(P11)のガラス転移温度は、108℃であった。
スチレンに由来する構造単位及びアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量が、それぞれ、76%及び24%であるスチレン・アクリロニトリル共重合体を用いた。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.42dl/gである。また、この共重合体(P11)のガラス転移温度は、108℃であった。
2−4−12.共重合体(P12)
合成例7
内容積10リットルのオートクレーブに、メタクリル酸メチル72部、スチレン21部、アクリロニトリル7部、トルエン20部及びtert−ドデシルメルカプタン0.5部を仕込み、撹拌しながら、150℃で5時間重合して、共重合体(P12)を得た(重合転化率70%)。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.35dl/gである。また、この共重合体(P12)のガラス転移温度は、110℃であった。
合成例7
内容積10リットルのオートクレーブに、メタクリル酸メチル72部、スチレン21部、アクリロニトリル7部、トルエン20部及びtert−ドデシルメルカプタン0.5部を仕込み、撹拌しながら、150℃で5時間重合して、共重合体(P12)を得た(重合転化率70%)。極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.35dl/gである。また、この共重合体(P12)のガラス転移温度は、110℃であった。
2−4−13.他の熱可塑性樹脂原料
上記の原料(P1〜P12)を、表2及び表3に示す割合で、高速混合機により混合した後、φ58mmベント式二軸押出機(L/D=32)に供給して、表2及び表3に示す温度で混練することにより、熱可塑性樹脂(Q1〜Q24及びQ26)を調製した。尚、加飾樹脂シートの作製に際しては、ストランドカット法により得られたペレットを用いた。また、熱可塑性樹脂(Q25)として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリカーボネート樹脂「ノバテック7020A」(商品名)を用い、この熱可塑性樹脂(Q25)を熱可塑性樹脂(Q26)の調製にも用いた。
表2及び表3に、熱可塑性樹脂(Q1〜Q26)のガラス転移温度を示したが、熱可塑性成分が2種以上含まれて、DSC曲線で複数のガラス転移温度が得られた場合、より高い方のガラス転移温度を記載した。
上記の原料(P1〜P12)を、表2及び表3に示す割合で、高速混合機により混合した後、φ58mmベント式二軸押出機(L/D=32)に供給して、表2及び表3に示す温度で混練することにより、熱可塑性樹脂(Q1〜Q24及びQ26)を調製した。尚、加飾樹脂シートの作製に際しては、ストランドカット法により得られたペレットを用いた。また、熱可塑性樹脂(Q25)として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリカーボネート樹脂「ノバテック7020A」(商品名)を用い、この熱可塑性樹脂(Q25)を熱可塑性樹脂(Q26)の調製にも用いた。
表2及び表3に、熱可塑性樹脂(Q1〜Q26)のガラス転移温度を示したが、熱可塑性成分が2種以上含まれて、DSC曲線で複数のガラス転移温度が得られた場合、より高い方のガラス転移温度を記載した。
3.加飾樹脂シートの製造及び評価(1)
実施例1−1
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機3機とを備えた多層フィルム成形機を用い、各押出機に、支持層形成用熱可塑性樹脂(R1−1)、(R2−1)及び(R1−1)の各ペレットを供給した。そして、Tダイから、温度270℃で溶融させた樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表4に記載した層(A)、層(B)及び層(C)を有する、厚さ125μmの支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
尚、上記樹脂の溶融温度は、熱電対式温度計を用いて測定した。また、フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
実施例1−1
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機3機とを備えた多層フィルム成形機を用い、各押出機に、支持層形成用熱可塑性樹脂(R1−1)、(R2−1)及び(R1−1)の各ペレットを供給した。そして、Tダイから、温度270℃で溶融させた樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表4に記載した層(A)、層(B)及び層(C)を有する、厚さ125μmの支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
尚、上記樹脂の溶融温度は、熱電対式温度計を用いて測定した。また、フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
次いで、図柄層形成用インキを用いて、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)における層(A)の表面に、木目調のグラビア印刷を行い、図柄層を形成した。そして、支持層用フィルムにおける図柄層側の表面に、硬化性組成物を塗布(バーコーター:13ミル)し、塗膜を80℃で2分間乾燥した後、大気中、高圧水銀灯による紫外線照射(照射量1.0J/cm2)により硬化させ、表4に示す厚さの透明保護層を形成することにより、図1に示す構造を有する加飾樹脂シートを得た。
支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)及び得られた加飾樹脂シートについて、各種評価を行い、その結果を表4に示した。
支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)及び得られた加飾樹脂シートについて、各種評価を行い、その結果を表4に示した。
実施例1−2〜1−6
表4に記載した層(A)、層(B)及び層(C)用の支持層形成用熱可塑性樹脂の各ペレットを用いた以外は、実施例1−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
表4に記載した層(A)、層(B)及び層(C)用の支持層形成用熱可塑性樹脂の各ペレットを用いた以外は、実施例1−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
実施例1−7
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機2機とを備えた多層フィルム成形機を用い、各押出機に、支持層形成用熱可塑性樹脂(R1−1)及び(R2−1)のペレットを供給した。そして、Tダイから、温度270℃で溶融させた樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表4に記載した層(A)及び層(B)を有する、厚さ125μmの支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
次いで、実施例1−1と同様にして、図柄層及び透明保護層を、それぞれ、形成して、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機2機とを備えた多層フィルム成形機を用い、各押出機に、支持層形成用熱可塑性樹脂(R1−1)及び(R2−1)のペレットを供給した。そして、Tダイから、温度270℃で溶融させた樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表4に記載した層(A)及び層(B)を有する、厚さ125μmの支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
次いで、実施例1−1と同様にして、図柄層及び透明保護層を、それぞれ、形成して、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
比較例1−1
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機とを備えたフィルム成形機を用い、押出機に、支持層形成用熱可塑性樹脂(R1−1)のペレットを供給した。そして、Tダイから、温度270℃で溶融させた樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、厚さ125μmの支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
次いで、実施例1−1と同様にして、図柄層及び透明保護層を、それぞれ、形成して、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機とを備えたフィルム成形機を用い、押出機に、支持層形成用熱可塑性樹脂(R1−1)のペレットを供給した。そして、Tダイから、温度270℃で溶融させた樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、厚さ125μmの支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
次いで、実施例1−1と同様にして、図柄層及び透明保護層を、それぞれ、形成して、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
比較例1−2
熱可塑性樹脂(R1−1)に代えて、熱可塑性樹脂(R2−1)を用いた以外は、比較例1−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
熱可塑性樹脂(R1−1)に代えて、熱可塑性樹脂(R2−1)を用いた以外は、比較例1−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表4に示した。
表4によれば、比較例1−1は、ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂を含む組成物のみを用いて形成された支持層を備える加飾樹脂シートの例であり、耐熱性が十分ではなく、図10に示すような射出成形を利用して加飾成形品を製造する場合には、画像が変形することが予想される。また、比較例1−2は、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂を含む組成物のみを用いて形成された支持層を備える加飾樹脂シートの例であり、可撓性が劣っていた。一方、実施例1−1〜1−7は、本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム及び加飾樹脂シートの例であり、耐熱性及び可撓性のバランスに優れることが分かる。
4.加飾樹脂シートの製造及び評価(2)
実施例2−1
多層フィルムの作製のために、ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機2機とを備えたフィルム成形機を用いた。層(A)及び層(B)の形成のために、フィルム成形機における各押出機に、熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)の各ペレットを供給した。そして、各ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから連続的に吐出させ、軟質の積層型フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表5に記載した厚さの、層(A)及び層(B)を有する支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
尚、上記樹脂の溶融温度は、熱電対式温度計を用いて測定した。また、フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
実施例2−1
多層フィルムの作製のために、ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機2機とを備えたフィルム成形機を用いた。層(A)及び層(B)の形成のために、フィルム成形機における各押出機に、熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)の各ペレットを供給した。そして、各ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから連続的に吐出させ、軟質の積層型フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表5に記載した厚さの、層(A)及び層(B)を有する支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
尚、上記樹脂の溶融温度は、熱電対式温度計を用いて測定した。また、フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
次いで、図柄層形成用インキを用いて、支持層用フィルムにおける層(A)の表面に、木目調のグラビア印刷を行い、図柄層を形成した。そして、支持層用フィルムにおける図柄層側の表面に、硬化性組成物を塗布(バーコーター:13ミル)し、塗膜を80℃で2分間乾燥した後、大気中、高圧水銀灯による紫外線照射(照射量1.0J/cm2)により硬化させ、表5に示す厚さの透明保護層を形成することにより、図1に示す構造を有する加飾樹脂シートを得た。支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)及び得られた加飾樹脂シートについて、各種評価を行い、その結果を表5に示した。
実施例2−2〜2−9
層(A)及び層(B)の形成のために、表5に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表5に示した。
層(A)及び層(B)の形成のために、表5に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表5に示した。
実施例2−10〜2−22
層(A)及び層(B)の形成のために、表6〜表8に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表5〜表7に示した。
層(A)及び層(B)の形成のために、表6〜表8に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表5〜表7に示した。
実施例2−23
熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q5)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q5)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
実施例2−24
熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)に代えて、熱可塑性樹脂(Q12)及び(Q3)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)に代えて、熱可塑性樹脂(Q12)及び(Q3)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
実施例2−25
熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)に代えて、熱可塑性樹脂(P5)及び(Q3)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)に代えて、熱可塑性樹脂(P5)及び(Q3)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
比較例2−1
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機とを備えたフィルム成形機を用い、押出機に、熱可塑性樹脂(Q12)のペレットを供給した。そして、ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから吐出させ、軟質フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、厚さ125μmの支持層用フィルムを得た。
次いで、この支持層用フィルムの一面側に、実施例2−1と同様にして、図柄層及び透明保護層を、順次、形成して、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機とを備えたフィルム成形機を用い、押出機に、熱可塑性樹脂(Q12)のペレットを供給した。そして、ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから吐出させ、軟質フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、厚さ125μmの支持層用フィルムを得た。
次いで、この支持層用フィルムの一面側に、実施例2−1と同様にして、図柄層及び透明保護層を、順次、形成して、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
比較例2−2
熱可塑性樹脂(Q12)に代えて、熱可塑性樹脂(Q1)を用いた以外は、比較例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
熱可塑性樹脂(Q12)に代えて、熱可塑性樹脂(Q1)を用いた以外は、比較例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
比較例2−3
熱可塑性樹脂(Q12)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)を用いた以外は、比較例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
熱可塑性樹脂(Q12)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)を用いた以外は、比較例2−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表7に示した。
表5〜表7の結果から、以下のことが分かる。比較例2−1は、ガラス転移温度が108℃の熱可塑性樹脂のみを用いて形成された1層型支持層を備える加飾樹脂シートの例であり、耐熱性及び耐傷性が十分でなかった。比較例2−2は、ガラス転移温度が135℃の熱可塑性樹脂のみを用いて形成された1層型支持層を備える加飾樹脂シートの例であり、可撓性が劣っており、耐傷性も十分ではなかった。比較例2−3は、層(B)を備えない加飾樹脂シート用ベースフィルム及び加飾樹脂シートの例であり、耐熱性及び可撓性が劣っていた。一方、実施例2−1〜2−25は、本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム及び加飾樹脂シートの例であり、耐熱性、硬度、真空成形性、耐傷性及び可撓性のバランスに優れることが分かる。
5.加飾樹脂シートの製造及び評価(3)
実施例3−1
多層フィルムの作製のために、ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機3機とを備えたフィルム成形機を用いた。層(A)、層(B)及び層(C)の形成のために、フィルム成形機における各押出機に、熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)の各ペレットを供給した。そして、各ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから連続的に吐出させ、軟質の積層型フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表8に記載した厚さの、層(A)、層(B)及び層(C)を有する支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
尚、上記樹脂の溶融温度は、熱電対式温度計を用いて測定した。また、フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
実施例3−1
多層フィルムの作製のために、ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機3機とを備えたフィルム成形機を用いた。層(A)、層(B)及び層(C)の形成のために、フィルム成形機における各押出機に、熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)の各ペレットを供給した。そして、各ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから連続的に吐出させ、軟質の積層型フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表8に記載した厚さの、層(A)、層(B)及び層(C)を有する支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。
尚、上記樹脂の溶融温度は、熱電対式温度計を用いて測定した。また、フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
次いで、図柄層形成用インキを用いて、支持層用フィルムにおける層(A)の表面に、木目調のグラビア印刷を行い、図柄層を形成した。そして、支持層用フィルムにおける図柄層側の表面に、硬化性組成物を塗布(バーコーター:13ミル)し、塗膜を80℃で2分間乾燥した後、大気中、高圧水銀灯による紫外線照射(照射量1.0J/cm2)により硬化させ、表8に示す厚さの透明保護層を形成することにより、図1に示す構造を有する加飾樹脂シートを得た。支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)及び得られた加飾樹脂シートについて、各種評価を行い、その結果を表8に示した。
実施例3−2〜3−20
層(A)、層(B)及び層(C)の形成のために、表8〜表9に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表8〜表9に示した。
層(A)、層(B)及び層(C)の形成のために、表8〜表9に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表8〜表9に示した。
実施例3−21
多層フィルムの作製のために、ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機2機とを備えたフィルム成形機を用いた。層(A)及び層(B)の形成のために、フィルム成形機における各押出機に、熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)の各ペレットを供給した。そして、各ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから吐出させ、軟質の積層型フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表10に記載した厚さの、層(A)及び層(B)を有する積層フィルムを得た。
次いで、この積層フィルムにおける層(B)の表面に、東レ社製半透明ポリエステルフィルム「ルミラーX10S」(商品名、表10に「Q27」で示す)を、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、表10に記載した厚さの、層(A)、層(B)及び層(C)を有する支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。この支持層用フィルムを用いて、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表10に示した。
多層フィルムの作製のために、ダイ幅1,600mm及びリップ間隔1mmのTダイと、スクリュー径115mmの押出機2機とを備えたフィルム成形機を用いた。層(A)及び層(B)の形成のために、フィルム成形機における各押出機に、熱可塑性樹脂(Q7)及び(Q1)の各ペレットを供給した。そして、各ペレットを、温度270℃で溶融させ、溶融樹脂をTダイから吐出させ、軟質の積層型フィルムを得た。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が70℃に制御されたキャストロールに面密着させつつ、冷却固化させ、表10に記載した厚さの、層(A)及び層(B)を有する積層フィルムを得た。
次いで、この積層フィルムにおける層(B)の表面に、東レ社製半透明ポリエステルフィルム「ルミラーX10S」(商品名、表10に「Q27」で示す)を、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、表10に記載した厚さの、層(A)、層(B)及び層(C)を有する支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を得た。この支持層用フィルムを用いて、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表10に示した。
実施例3−22〜3−37
層(A)、層(B)及び層(C)の形成のために、表10〜表11に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表10〜表11に示した。
層(A)、層(B)及び層(C)の形成のために、表10〜表11に記載した熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、支持層用フィルム(加飾樹脂シート用ベースフィルム)を作製し、その後、図柄層及び透明保護層を形成して加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表10〜表11に示した。
実施例3−38
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)、(Q5)及び(Q7)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)、(Q5)及び(Q7)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
実施例3−39
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)、(Q5)及び(Q12)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(Q7)、(Q5)及び(Q12)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
実施例3−40
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(Q12)、(Q3)及び(Q12)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(Q12)、(Q3)及び(Q12)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
実施例3−41
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(P5)、(Q3)及び(Q12)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
熱可塑性樹脂(Q7)、(Q1)及び(Q11)に代えて、熱可塑性樹脂(P5)、(Q3)及び(Q12)を用いた以外は、実施例3−1と同様にして、加飾樹脂シートを製造した。各種評価の結果を表12に示した。
表8〜表12の結果から、実施例3−1〜3−41は、本発明の加飾樹脂シート用ベースフィルム及び加飾樹脂シートの例であり、耐熱性、硬度、真空成形性、耐傷性及び可撓性のバランスに優れることが分かる。
本発明の加飾樹脂シートは、支持層側で接合した樹脂基材部を備える加飾成形品であって、図柄層により示されている文字、数字、絵、模様等が、透明保護層を介して視認される加飾成形品の製造に好適である。加飾成形品は、自動車等の車両、船舶、航空機等の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、空調機等の家庭電化機器、OA機器、電機・電子機器等の筐体や表面材、容器等の日用雑貨、スポーツ用品、文具等として用いることができる。
1:加飾樹脂シート
11:透明保護層
13:図柄層
15:支持層
151:層(A)
152:層(B)
153:層(C)
17:接着層
2:溶融状態の支持層形成用熱可塑性樹脂組成物
3:樹脂成形部
5:加飾成形品
71:射出成形用金型(雄型)
72:射出成形用金型(雌型)
75:吸引孔
8:真空成形用型
11:透明保護層
13:図柄層
15:支持層
151:層(A)
152:層(B)
153:層(C)
17:接着層
2:溶融状態の支持層形成用熱可塑性樹脂組成物
3:樹脂成形部
5:加飾成形品
71:射出成形用金型(雄型)
72:射出成形用金型(雌型)
75:吸引孔
8:真空成形用型
Claims (16)
- 透明保護層、図柄層及び支持層を、順次、備える積層型の加飾樹脂シートにおいて、
上記透明保護層は、熱可塑性樹脂又は硬化樹脂を含み、
上記支持層は、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R2)を含む層(B)と、該熱可塑性樹脂(R2)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R1)を含む層(A)とを備えることを特徴とする加飾樹脂シート。 - 上記支持層が、上記図柄層側から、上記層(A)、及び、上記層(B)の順に構成され、
上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度は125℃以上であり、
上記熱可塑性樹脂(R1)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有するアクリル系樹脂(R11)を含む請求項1に記載の加飾樹脂シート。 - 上記支持層が、更に、熱可塑性樹脂(R3)を含む層(C)を備え、上記図柄層側から、上記層(A)、上記層(B)、及び、上記層(C)の順に構成され、
上記熱可塑性樹脂(R3)のガラス転移温度は、上記熱可塑性樹脂(R2)のガラス転移温度より低い請求項2に加飾樹脂シート。 - 上記熱可塑性樹脂(R2)が、ゴム質重合体(b1)の存在下に、重合性不飽和単量体(b2)を重合して得られたゴム強化グラフト樹脂、重合性不飽和単量体(b3)に由来する構造単位を有する(共)重合体及びポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
- 上記重合性不飽和単量体(b2)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含む請求項4に記載の加飾樹脂シート。
- 上記重合性不飽和単量体(b3)が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも1種を含む請求項4又は5に記載の加飾樹脂シート。
- 上記マレイミド系化合物に由来する構造単位の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、10〜25質量%である請求項5又は6に記載の加飾樹脂シート。
- 上記重合性不飽和単量体(b3)に含まれる上記芳香族ビニル化合物がα−メチルスチレンを含み、該α−メチルスチレンに由来する構造単位の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して、30〜60質量%である請求項6に記載の加飾樹脂シート。
- 上記熱可塑性樹脂(R2)に含まれる、上記ゴム質重合体(b1)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R2)に対して10〜20質量%である請求項4乃至8のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
- 上記アクリル系樹脂(R11)が、ゴム質重合体(a1)の存在下に、重合性不飽和単量体(a2)を重合して得られたゴム強化樹脂(L1)であって、ゴム強化グラフト樹脂、及び、上記重合性不飽和単量体(a2)に由来する構造単位を有する(共)重合体を含むゴム強化樹脂(L1)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を含む(共)重合体(L2)とを用いて得られ、上記ゴム強化樹脂(L1)及び上記(共)重合体(L2)の使用量の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%である請求項2乃至9のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
- 上記アクリル系樹脂(R11)の全体に対して、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位の割合が25〜95質量%である請求項2乃至10のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
- 上記熱可塑性樹脂(R1)に含まれる、上記ゴム質重合体(a1)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(R1)に対して10〜20質量%である請求項10又は11に記載の加飾樹脂シート。
- 上記熱可塑性樹脂(R3)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位を有する(共)重合体、ゴム質重合体(c1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体(c2)を重合して得られたゴム強化グラフト樹脂並びに飽和ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む請求項3乃至12のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
- 厚さが50〜1,500μmである請求項1乃至13のいずれか一項に記載の加飾樹脂シート。
- 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の加飾樹脂シートを備えることを特徴とする加飾成形品。
- 加飾樹脂シートの支持層に用いられるフィルムであって、ガラス転移温度が120℃以上の熱可塑性樹脂(R1)を含む層と、該熱可塑性樹脂(R1)より低いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(R2)を含む層とを備えることを特徴とする加飾樹脂シート用ベースフィルム。
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