以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体と、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する少なくとも一種の重合性化合物と、溶媒とを有するものである。液晶配向剤とは液晶配向膜を作成するための溶液であり、液晶配向膜とは液晶を所定の方向、本発明においては垂直方向に配向させるための膜である。
まず、本発明の液晶配向剤が含有する重合性化合物について詳述する。本発明の液晶配向剤は、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物(以下「ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物」とも記載する。)を、少なくとも一種以上含有する。すなわち、本発明の液晶配向剤が含有する重合性化合物は、光重合または光架橋する基を有する末端を1つ以上持ち、且つ、ベンゾフェノン構造を持っている化合物である。ここで、光重合する基を有する重合性化合物とは、光を照射することにより重合を生じさせる官能基を有する化合物である。また、光架橋する基を有する化合物とは、光を照射することにより、重合性化合物の重合体や、ポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体と反応してこれらと架橋することができる官能基を有する化合物である。なお、光架橋する基を有する化合物は、光架橋する基を有する化合物同士でも反応する。また、ベンゾフェノン構造とは、下記式で表される構造である。
このような重合性化合物を、詳しくは後述する液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体と共に、液晶配向剤に含有させて、SC−PVA型液晶ディスプレイ等の垂直配向方式の液晶表示素子の製造に用いることにより、この液晶を垂直に配向させる側鎖及び光反応性の側鎖を有する重合体やこの重合性化合物を単独で用いた場合と比較して、応答速度を劇的に向上させることができる。そして、本発明においては重合性化合物がベンゾフェノン構造を有するため、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物を用いなかった場合と比較しても、少ない紫外線照射量で応答速度を十分速くすることができる。また、少ない重合性化合物の添加量でも応答速度を十分に向上できる。
このように液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体と共に、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物を含有する液晶配向剤とすることにより、紫外線の照射量が少ない場合であっても、応答速度を向上させることができる機構は不明であるが、重合性化合物のベンゾフェノン構造部位が紫外線照射によって励起することにより、重合性化合物が効率的に反応することや、その励起によるエネルギーがポリイミド前駆体やポリイミドの光反応性の側鎖に供給されるためポリイミド前駆体やポリイミドの感度が向上したことが要因と推測される。
ここで、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物ではなく、ベンゾフェノン構造を有するポリイミド前駆体やポリイミドを含有する液晶配向剤とすることも考えられる。しかしながら、このようにベンゾフェノン構造がポリイミド前駆体やポリイミドに固定されていると、ベンゾフェノン構造部位の紫外線照射による励起がし難くなるためか、少ない紫外線照射量で応答速度を向上する効果が不十分である。したがって、ポリイミド前駆体やポリイミドではなく、重合性化合物がベンゾフェノン構造を有している必要がある。
また、重合性化合物ではないベンゾフェノン構造を有する化合物を含有する液晶配向剤とすることも考えられる。しかしながら、ベンゾフェノン構造は結晶性が高く昇華や分解反応を起こしやすいため、液晶配向剤に要求される高温(例えば200℃)での焼成によって系内に残りづらい。一方、ベンゾフェノン構造を重合性化合物に導入すると、光重合または光架橋する基を有するためか、後述する実施例に示すように、高温で焼成した場合であっても、少ない紫外線照射量で応答速度を十分向上することができる。
光重合または光架橋する基としては、上記式(II)で表される一価の基が挙げられる。
重合性化合物の具体例としては、下記式(III)で表されるような2つの末端のそれぞれに光重合する基を有する化合物、下記式(IV)で表されるような光重合する基を有する末端と光架橋する基を有する末端を持つ化合物や、下記式(V)で表されるような2つの末端のそれぞれに光架橋する基を有する化合物が挙げられる。なお、下記式(III)〜(V)において、R12、Z1及びZ2は上記式(II)におけるR12、Z1及びZ2と同じであり、Q1はベンゾフェノン構造を有する二価の有機基である。Q1は、オキシアルキレン基やアルキレン基を有していることが好ましい。液晶との相互作用が大きくなりやすいためである。
式(III)で表される重合性化合物の具体例としては、下記式[VI]〜[XI]で表される重合性化合物が挙げられる。下記式[VI]〜[XI]において、Vは、単結合又は−R1O−で表されR1は直鎖もしくは分岐の炭素数1〜10のアルキレン基であり、例えばVは−(CH2)n1−O−である。また、Wは、単結合又は−OR2−で表されR2は直鎖もしくは分岐の炭素数1〜10のアルキレン基、例えばWは−O−(CH2)n1−であり、n1は1〜10の整数、好ましくは2〜10であり、x及びyはそれぞれ独立に1または2であり、R16は水素原子またはメチル基である。なお、V及びWは同一の構造でも異なっていてもよいが、同一であると合成が容易である。
また、1つの末端に光重合または光架橋する基を有する重合性化合物の具体例としては、下記式[XII]〜[XIV]で表される化合物が挙げられる。下記式[XII]及び[XIII]において、Vは、単結合又は−R1O−で表されR1は直鎖もしくは分岐の炭素数1〜10のアルキレン基であり、例えばVは−(CH2)n1−O−であり、R16は水素原子またはメチル基であり、下記式[XIV]において、l1は2〜9の整数である。
そして、3つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有する重合性化合物の具体例としては、下記式で表される化合物ば挙げられる。なお、下記式において、pは3〜6の整数を表し、Q11はベンゾフェノン構造を有し好ましくはオキシアルキレン基やアルキレン基を有するp価の有機基であり、R12は上記式(III)におけるR12と同じである。そして、下記式は、Q11に括弧内の構造がp個結合していることを表し、括弧内の構造はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般的に液晶配向膜の形成過程には溶媒を完全に取り除くために高温で焼成する工程が含まれるが、両末端に重合性基(光重合する基)であるα−メチレン−γ−ブチロラクトン基を有する重合性化合物とすると、熱重合性に乏しい構造なためか、高温、例えば200℃以上の焼成温度に十分耐えることができる。なお、光重合または光架橋する基として、α−メチレン−γ−ブチロラクトン基ではなく、アクリレート基やメタクリレート基を有する重合性化合物であっても、このアクリレート基やメタクリレート基がオキシアルキレン基等のスペーサーを介してフェニレン基と結合している構造を有する重合性化合物であれば、上記末端にα−メチレン−γ−ブチロラクトン基を有する重合性化合物と同様に、熱に対する安定性が向上するためか、高温、例えば200℃以上の焼成温度に十分耐えることができる。
このような重合性化合物のうち、下記式で表される化合物は、新規化合物である。なお、下記式は、左側のベンゼン環に括弧内の構造がq1個に結合していることを表し、この括弧内の構造はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、下記式は、右側のベンゼン環に括弧内の構造がq2個に結合していることを表し、この括弧内の構造はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
(式中、R
31は単結合又は−R
35O−で表され、R
35は直鎖の炭素数1〜10のアルキレン基であり、R
32は単結合又は−OR
36−で表され、R
36は直鎖の炭素数1〜10のアルキレン基であり、R
33及びR
34はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、q1及びq2はそれぞれ独立に1〜3の整数である。)
このような重合性化合物の製造方法は特に限定されず、例えば後述する合成例に従って製造することができる。例えば、重合性化合物は、有機合成化学における手法を組み合わせることによって合成することができる。例えば、下記反応式で表されるタラガ等がP.Talaga,M.Schaeffer,C.Benezra and J.L.Stampf,Synthesis,530(1990)で提案する方法により、SnCl2を用いて2−(ブロモメチル)アクリル酸(2-(bromomethyl)propenoic acid)と、アルデヒドまたはケトンとを反応させて、合成することができる。なお、Amberlyst 15は、ロームアンドハース社製の強酸性イオン交換樹脂である。
また、2−(ブロモメチル)アクリル酸は、下記反応式で表されるラマラーン等がK.Ramarajan,K.Kamalingam,D.J.O' Donnell and K.D.Berlin, Organic Synthesis,vol.61,56-59(1983)で提案する方法で合成することができる。
具体的な合成例としては、式[VI]、式[VII]であれば、例えば下記式の反応で合成することができる。なお、下記反応式において、Mは以下から選択される基であり、R16、V、Wはそれぞれ上記式[VII]におけるR16、V、Wと同じである。また、DCCはジシクロヘキシルカルボジイミドの略称、DMAPはN,N−ジメチル−4−アミノピリジンの略称である。
また、式[XIV]であれば、下記式の反応で合成することができる。下記反応式において、l1は、式[XIV]におけるl1と同じである。
なお、本発明の液晶配向剤は、このような1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物を2種類以上含有していてもよい。
また、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物に加えて、さらに、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物(以下「ベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物」とも記載する。)を1種または2種以上含有していてもよい。このように、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物を、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物と共に含有する液晶配向剤とすることにより、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物を含有しない場合と比較して、顕著に応答速度を向上できる場合がある。
1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物の光重合または光架橋する基としては、上記式(II)で表される一価の基が挙げられる。
1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物の具体例としては、下記式(XV)で表されるような2つの末端のそれぞれに光重合する基を有する化合物、下記式(XVI)で表されるような光重合する基を有する末端と光架橋する基を有する末端を持つ化合物や、下記式(XVII)で表されるような2つの末端のそれぞれに光架橋する基を有する化合物が挙げられる。なお、下記式(XV)〜(XVII)において、R17はHまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、Z3は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の芳香環もしくは複素環であり、Z4は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアルコキシ基によって置換されていてもよい一価の芳香環もしくは複素環である。また、Q2は、ベンゾフェノン構造を有さない二価の有機基である。Q2は、フェニレン基(−C6H4−)、ビフェニレン基(−C6H4−C6H4−)やシクロヘキシレン基(−C6H10−)等の環構造を有していることが好ましい。液晶との相互作用が大きくなりやすいためである。
式(XV)で表される重合性化合物としては、下記式(XVIII)で表される重合性化合物が挙げられる。下記式(XVIII)において、V1は、単結合又は−R21O−で表されR21は直鎖もしくは分岐の炭素数1〜10のアルキレン基であり、W1は、単結合又は−OR22−で表されR22は直鎖もしくは分岐の炭素数1〜10のアルキレン基であり、R18は水素原子またはメチル基である。下記式(XVIII)で表される化合物は、上記式[VI]で表されるベンゾフェノン構造を有する化合物と共に液晶配向剤に含有させることにより、少ない紫外線照射量でも顕著に応答速度を速くすることができる。
上記式(XVIII)で表される化合物の具体例としては、下記式で表される重合性化合物が挙げられる。
このようなベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物の製造方法も特に限定されず、例えば後述する合成例に従って製造することができる。例えば、重合性化合物は、有機合成化学における手法を組み合わせることによって合成することができる。具体的な合成例としては、例えば式[XV]であれば、下記式の反応で合成することができる。なお、下記反応式中、R19及びR20はそれぞれ独立に直鎖もしくは分岐の炭素数1〜10のアルキレン基である。また、THFはテトラヒドロフランの略称である。
また、本発明の液晶配向剤は、ポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種であり、液晶を垂直に配向させる側鎖と光反応性の側鎖とを有する重合体を含有する。なお、ポリイミド前駆体としては、ポリアミック酸(ポリアミド酸ともいわれる。)や、ポリアミック酸エステル等が挙げられる。
この重合体が有する液晶を垂直に配向させる側鎖は、液晶を基板に対して垂直に配向させることができる構造であれば限定されないが、例えば、長鎖のアルキル基、長鎖アルキル基の途中に環構造や枝分かれ構造を有する基、ステロイド基等の炭化水素基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置き換えた基などが挙げられる。勿論、二種類以上の液晶を垂直に配向させる側鎖を有していてもよい。液晶を垂直に配向させる側鎖は、ポリアミック酸やポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体又はポリイミドの主鎖、すなわち、ポリアミック酸骨格や、ポリイミド骨格等に直接結合していてもよく、また、適当な結合基を介して結合していてもよい。液晶を垂直に配向させる側鎖としては、例えば、水素原子がフッ素で置換されていてもよい炭素数が8〜30、好ましくは8〜22の炭化水素基、具体的には、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フェネチル基、スチリルアルキル基、ナフチル基、フルオロフェニルアルキル基等が挙げられる。その他の液晶を垂直に配向させる側鎖として、例えば下記式(a)で表されるものが挙げられる。
(式(a)中l、m及びnはそれぞれ独立に0又は1の整数を表し、R
3は炭素数2〜6のアルキレン基、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、又は炭素数1〜3のアルキレン−エーテル基を表し、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立にフェニレン基又はシクロアルキレン基を表し、R
7は水素原子、炭素数2〜24のアルキル基又はフッ素含有アルキル基、一価の芳香環、一価の脂肪族環、一価の複素環、又はそれらからなる一価の大環状置換体を表す。)
なお、上記式(a)中のR3は、合成の容易性の観点からは、−O−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン−エーテル基が好ましい。
また、式(a)中のR4、R5及びR6は、合成の容易性及び液晶を垂直に配向させる能力の観点から、下記表1に示すl、m、n、R4、R5及びR6の組み合わせが好ましい。
そして、l、m、nの少なくとも一つが1である場合、式(a)中のR7は、好ましくは水素原子または炭素数2〜14のアルキル基もしくはフッ素含有アルキル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数2〜12のアルキル基もしくはフッ素含有アルキル基である。また、l、m、nがともに0である場合、R7は、好ましくは炭素数12〜22のアルキル基またはフッ素含有アルキル基、一価の芳香環、一価の脂肪族環、一価の複素環、それらからなる一価の大環状置換体であり、より好ましくは炭素数12〜20のアルキル基またはフッ素含有アルキル基である。
液晶を垂直に配向させる側鎖の存在量は、液晶配向膜が液晶を垂直に配向させることができる範囲であれば特に限定されない。但し、前記液晶配向膜を具備する液晶表示素子において、電圧保持率や残留DC電圧の蓄積など、素子の表示特性を損なわない範囲内で、液晶を垂直に配向させる側鎖の存在量は可能な限り少ない方が好ましい。
なお、液晶を垂直に配向させる側鎖を有する重合体が液晶を垂直に配向させる能力は、液晶を垂直に配向させる側鎖の構造によって異なるが、一般的に、液晶を垂直に配向させる側鎖の量が多くなると液晶を垂直に配向させる能力は上がり、少なくなると下がる。また、環状構造を有すると、環状構造を有さないものと比較して、液晶を垂直に配向させる能力が高い傾向がある。
また、本発明の液晶配向剤が含有するポリアミック酸やポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体及びポリイミドの少なくとも一種からなる重合体は、光反応性の側鎖を有する。光反応性の側鎖とは、紫外線(UV)等の光の照射によって反応し、共有結合を形成し得る官能基(以下、光反応性基とも言う)を有する側鎖であり、本発明においては、光反応性基としてメタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含むものである。このように、液晶配向剤に含有させるポリアミック酸やポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体及びポリイミドの少なくとも一種からなる重合体を、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖を有するものとし、上記重合性化合物と共に液晶配向剤に用いることにより、後述する実施例に示すように、応答速度を顕著に向上させることができる。
光反応性の側鎖は、ポリイミド前駆体又はポリイミドの主鎖に直接結合していてもよく、また、適当な結合基を介して結合していてもよい。光反応性の側鎖としては、例えば下記式(b)で表されるものが挙げられる。
(式(b)中、R
8は単結合又は−CH
2−、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、−CH
2O−、−N(CH
3)−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、のいずれかを表し、R
9は単結合、又は、非置換またはフッ素原子によって置換されている炭素数1〜20のアルキレン基を表し、アルキレン基の−CH
2−は−CF
2−又は−CH=CH−で任意に置き換えられていてもよく、次に挙げるいずれかの基が互いに隣り合わない場合において、これらの基に置き換えられていてもよい;−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−、−NH−、二価の炭素環、二価の複素環。R
10は、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基、シンナモイル基を表す。)
なお、上記式(b)中のR8は、通常の有機合成的手法で形成させることができるが、合成の容易性の観点から、−CH2−、−O−、−COO−、−NHCO−、−NH−、−CH2O−が好ましい。
また、R9の任意の−CH2−を置き換える二価の炭素環や二価の複素環の炭素環や複素環としては、具体的には以下のような構造が挙げられるが、これに限定されるものではない。
R10は、光反応性の観点から、メタクリル基、アクリル基またはビニル基であることが好ましい。
また、上記式(b)は、より好ましくは上記式(I)から選択される基を含む構造である。
光反応性の側鎖の存在量は、紫外線の照射によって反応し共有結合を形成することにより液晶の応答速度を速めることができる範囲であることが好ましく、液晶の応答速度をより速めるためには、他の特性に影響が出ない範囲で、可能な限り多いほうが好ましい。例えば、光反応性の側鎖のポリイミド前駆体またはポリイミドへの導入量は、好ましくは10〜70モル%、より好ましくは20〜60モル%、特に好ましくは30〜50モル%である。
このような液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体を製造する方法は特に限定されないが、例えば、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応によってポリアミック酸を得る方法において、液晶を垂直に配向させる側鎖を有するジアミン又は液晶を垂直に配向させる側鎖を有するテトラカルボン酸二無水物や、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖を有するジアミン又はメタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖を有するテトラカルボン酸二無水物を共重合させればよい。
液晶を垂直に配向させる側鎖を有するジアミンとしては、長鎖のアルキル基、長鎖アルキル基の途中に環構造や枝分かれ構造を有する基、ステロイド基等の炭化水素基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置き換えた基を側鎖として有するジアミン、例えば上記式(a)で表される側鎖を有するジアミンを挙げることができる。より具体的には例えば、水素原子がフッ素で置換されていてもよい炭素数が8〜30の炭化水素基等を有するジアミンや、下記式(2)、(3)、(4)、(5)で表されるジアミンを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
(式(2)中のl、m、n、R
3〜R
7の定義は、上記式(a)と同じである。)
(式(3)及び式(4)中、A
10は−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2−、−O−、−CO−、又は−NH−を表し、A
11は単結合若しくはフェニレン基を表し、aは上記式(a)で表される液晶を垂直に配向させる側鎖と同一の構造を表し、a’は上記式(a)で表される液晶を垂直に配向させる側鎖と同一の構造から水素等の元素が一つ取れた構造である二価の基を表す。)
(式(5)中、A
14は、フッ素原子で置換されていてもよい、炭素数3〜20のアルキル基であり、A
15は、1,4−シクロへキシレン基、又は1,4−フェニレン基であり、A
16は、酸素原子、又は−COO−*(ただし、「*」を付した結合手がA
15と結合する)であり、A
17は酸素原子、又は−COO−*(ただし、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2と結合する。)である。また、a
1は0、又は1の整数であり、a
2は2〜10の整数であり、a
3は0、又は1の整数である。)
式(2)における二つのアミノ基(−NH2)の結合位置は限定されない。具体的には、側鎖の結合基に対して、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、3,5の位置が挙げられる。なかでも、ポリアミック酸を合成する際の反応性の観点から、2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置が好ましい。ジアミンを合成する際の容易性も加味すると、2,4の位置、又は3,5の位置がより好ましい。
式(2)の具体的な構造としては、下記の式[A−1]〜式[A−24]で示されるジアミンを例示することができるが、これに限定されるものではない。
(式[A−1]〜式[A−5]中、A
1は、炭素数2〜24のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
(式[A−6]及び式[A−7]中、A
2は、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−、又は−CH
2OCO−を示し、A
3は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
(式[A−8]〜式[A−10]中、A
4は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、又は−CH
2−を示し、A
5は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
(式[A−11]及び式[A−12]中、A
6は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−、−O−、又は−NH−を示し、A
7はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基である。)
(式[A−13]及び式[A−14]中、A
8は、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4−シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
(式[A−15]及び式[A−16]中、A
9は、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4−シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
式(3)で表されるジアミンの具体例としては、下記の式[A−25]〜式[A−30]で示されるジアミンを挙げることができるが、これに限るものではない。
(式[A−25]〜式[A−30]中、A
12は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2−、−O−、−CO−、又は−NH−を示し、A
13は炭素数1〜22のアルキル基又はフッ素含有アルキル基を示す。)
式(4)で表されるジアミンの具体例としては、下記の式[A−31]〜式[A−32]で示されるジアミンを挙げることができるが、これに限るものではない。
この中でも、液晶を垂直に配向させる能力、液晶の応答速度の観点から、[A−1]、[A−2]、[A−3]、[A−4]、[A−5]、[A−25]、[A−26]、[A−27]、[A−28]、[A−29]、[A−30]のジアミンが好ましい。
上記のジアミンは、液晶配向膜とした際の液晶配向性、プレチルト角、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
このような液晶を垂直に配向させる側鎖を有するジアミンは、ポリアミック酸の合成に用いるジアミン成分の5〜50モル%となる量を用いることが好ましく、より好ましくはジアミン成分の10〜40モル%が液晶を垂直に配向させる側鎖を有するジアミンであり、特に好ましくは15〜30モル%である。このように液晶を垂直に配向させる側鎖を有するジアミンを、ポリアミック酸の合成に用いるジアミン成分の5〜50モル%量用いると、応答速度の向上や液晶の配向固定化能力の点で特に優れる。
メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖を有するジアミンとしては、例えば、上記式(b)で表される側鎖を有するジアミンを挙げることができる。より具体的には例えば下記の一般式(6)で表されるジアミンを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
(式(6)中のR
8、R
9及びR
10の定義は、上記式(b)と同じである。)
式(6)における二つのアミノ基(−NH2)の結合位置は限定されない。具体的には、側鎖の結合基に対して、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、3,5の位置が挙げられる。なかでも、ポリアミック酸を合成する際の反応性の観点から、2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置が好ましい。ジアミンを合成する際の容易性も加味すると、2,4の位置、又は3,5の位置がより好ましい。
メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖を有するジアミンとしては、具体的には以下のような化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(式中、Xは単結合、又は、−O−、−COO−、−NHCO−、−NH−より選ばれる結合基、Yは非置換またはフッ素原子によって置換されている炭素数1〜20のアルキレン基を表す。)
上記メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖を有するジアミンは、液晶配向膜とした際の液晶配向性、プレチルト角、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性、液晶表示素子とした際の液晶の応答速度などに応じて、1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
また、このようなメタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖を有するジアミンは、ポリアミック酸の合成に用いるジアミン成分の10〜70モル%となる量を用いることが好ましく、より好ましくは20〜60モル%、特に好ましくは30〜50モル%である。
なお、ポリアミック酸は、本発明の効果を損わない限りにおいて、上記液晶を垂直に配向させる側鎖を有するジアミンや、光反応性基を有するジアミン以外の、その他のジアミンをジアミン成分として併用することができる。具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−(4−アミノフェノキシ)ドデカン、1,12−(3−アミノフェノキシ)ドデカンなどの芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミンが挙げられる。
上記その他のジアミンは、液晶配向膜とした際の液晶配向性、プレチルト角、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
ポリアミック酸の合成で上記のジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物は特に限定されない。具体的には、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、オキシジフタルテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロヘプタンテトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、3,4−ジカルボキシ−1−シクロへキシルコハク酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,3,0]ノナン−2,4,7,9−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,7,9−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,8,10−テトラカルボン酸、トリシクロ[6.3.0.0<2,6>]ウンデカン−3,5,9,11−テトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドリナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロへキサン−1,2−ジカルボン酸、テトラシクロ[6,2,1,1,0,2,7]ドデカ−4,5,9,10−テトラカルボン酸、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2:3,5:6ジカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸等が挙げられる。勿論、テトラカルボン酸二無水物も、液晶配向膜にした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類または2種類以上併用してもよい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応により、ポリアミック酸を得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。一般的には、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる方法である。ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
上記反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されない。さらに、ポリアミック酸が溶解しない有機溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。なお、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で使用しても、混合して使用してもよい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、または有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分又はテトラカルボン酸二無水物成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としてもよい。
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させる際の温度は、任意の温度を選択することができ、例えば−20℃〜150℃、好ましくは−5℃〜100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができ、例えば反応液に対してジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との合計量が1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。
上記の重合反応における、ジアミン成分の合計モル数に対するテトラカルボン酸二無水物成分の合計モル数の比率は、得ようとするポリアミック酸の分子量に応じて任意の値を選択することができる。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミック酸の分子量は大きくなる。あえて好ましい範囲を示すならば0.8〜1.2である。
本発明に用いられるポリアミック酸を合成する方法は上記の手法に限定されず、一般的なポリアミック酸の合成方法と同様に、上記のテトラカルボン酸二無水物に代えて、対応する構造のテトラカルボン酸又はテトラカルボン酸ジハライドなどのテトラカルボン酸誘導体を用い、公知の方法で反応させることでも対応するポリアミック酸を得ることができる。
上記したポリアミック酸をイミド化させてポリイミドとする方法としては、ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。なお、ポリアミック酸からポリイミドへのイミド化率は、必ずしも100%である必要はない。
ポリアミック酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行うことが好ましい。
ポリアミック酸の触媒イミド化は、ポリアミック酸の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量はアミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
また、ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドと、上記ポリアミック酸の合成と同様のジアミンとの反応や、テトラカルボン酸ジエステルと上記ポリアミック酸の合成と同様のジアミンとを適当な縮合剤や、塩基の存在下等にて反応させることにより、製造することができる。または、上記の方法で予めポリアミック酸を合成し、高分子反応を利用してポリアミック酸中のカルボン酸をエステル化することでも得ることができる。具体的には、例えば、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1時間〜4時間反応させることによって、ポリアミック酸エステルを合成することができる。そして、ポリアミック酸エステルを高温で加熱し、脱アルコールを促し閉環させることによっても、ポリイミドを得ることができる。
ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体又はポリイミドの反応溶液から、生成したポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体又はポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリマーは濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上述したように、液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体と、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物と、溶媒とを有するものであればよく、その配合割合に特に限定はないが、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物の含有量は、液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜30質量部である。また、液晶配向剤に含有させる液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体の含有量は1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜15質量%、特に好ましくは3質量%〜10質量%である。
また、本発明の液晶配向剤は、液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体以外の他の重合体を含有していてもよい。その際、重合体全成分中におけるかかる他の重合体の含有量は0.5質量%〜15質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
液晶配向剤が有する重合体の分子量は、液晶配向剤を塗布して得られる液晶配向膜の強度及び、塗膜形成時の作業性、塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
液晶配向剤が含有する溶媒に特に限定はなく、上記液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体や、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物等の含有成分を溶解または分散できるものであればよい。例えば、上記のポリアミック酸の合成で例示したような有機溶媒を挙げることができる。中でもN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドは、溶解性の観点から好ましい。勿論、2種類以上の混合溶媒を用いてもよい。
また、塗膜の均一性や平滑性を向上させる溶媒を、液晶配向剤の含有成分の溶解性が高い溶媒に混合して使用すると好ましい。塗膜の均一性や平滑性を向上させる溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、2−エチル−1−ヘキサノールなどが挙げられる。これらの溶媒は複数種類を混合してもよい。これらの溶媒を用いる場合は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
液晶配向剤には、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物、重合開始剤や重合禁止剤などが挙げられる。なお、重合禁止剤は、高い重合性を有するベンゾフェノン構造を有する重合性化合物やベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物の取扱いを容易にするために添加するものである。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤を使用する場合、その使用割合は、液晶配向剤に含有される重合体の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物などが挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。また液晶配向膜の膜強度をさらに上げるために2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、テトラ(メトキシメチル)ビスフェノール等のフェノール化合物を添加してもよい。これらの化合物を使用する場合は、液晶配向剤に含有される重合体の総量100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。
また、重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、過酸化物からなる化合物などが挙げられる。
ベンゾイン誘導体の好ましい例としては、(±)−カンファーキノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、2−イソプロピルチオキサントン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル安息香酸、4−クロロベンゾフェノン、アセトフェノン、ジフェニルエタンジオン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、ジベンゾスベロン、9−フルオレノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ジメトキシベンゾイル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ミヒラーズケトン、チバ・スペシャリティー(株)製「ダロキュアーシリーズ1173、4265」、「イルガキュアーシリーズ184、500、651、819、2959」などが挙げられる。ベンゾイン誘導体の中で特に好ましい例としては、チバ・スペシャリティー(株)製イルガキュア651が挙げられる。
また、過酸化物からなる化合物の好ましい例としては、日油(株)製のパーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイル355、パーロイルL、ナイパーBW、ナイパーBMT、パーロイルTCP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ25O、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZ、パーブチルZTなどが挙げられる。過酸化物からなる化合物の中で特に好ましい例としては、日油(株)製「パーロイルL、ナイパーBW、ナイパーBMT、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO」が挙げられる。
また、これらの重合開始剤の2種以上を組み合わせても良く、好ましい組み合わせの例としては、ベンゾフェノンとミヒラーズケトンの混合物が挙げられる。
重合開始剤を使用する場合、その使用割合は、重合開始剤が不純物として作用して表示素子の表示品位が低下することを防ぐために、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物及びベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物の総量に対して10質量%以下が好ましい。
また、重合禁止剤を添加する場合、その使用割合は、重合禁止剤が不純物として作用してしまうことを防ぐために、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物及びベンゾフェノン構造を有さない重合性化合物の総量に対して10重量%以下であることが望ましい。
さらに、液晶配向剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
この液晶配向剤を基板上に塗布して焼成することにより、液晶を垂直に配向させる液晶配向膜を形成することができる。本発明の液晶配向剤は、液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体と共に、1つ以上の末端に光重合または光架橋する基を有し且つベンゾフェノン構造を有する重合性化合物を有するため、得られる液晶配向膜を用いた液晶表示素子の応答速度を速いものとすることができる。
例えば、本発明の液晶配向剤を、基板に塗布した後、必要に応じて乾燥し、焼成を行うことで得られる硬化膜を、そのまま液晶配向膜として用いることもできる。また、この硬化膜をラビングしたり、偏光又は特定の波長の光等を照射したり、イオンビーム等の処理をしたり、SC−PVA用配向膜として液晶充填後の液晶表示素子に電圧を印加した状態でUVを照射することも可能である。
この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス板、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、トリメチルペンテン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリロニトリル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロースなどを用いることができる。また、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は特に限定されず、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等の印刷法、インクジェット法、スプレー法、ロールコート法や、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどが挙げられる。生産性の面から工業的には転写印刷法が広く用いられており、本発明でも好適に用いられる。
上記の方法で液晶配向剤を塗布して形成される塗膜は、焼成して硬化膜とすることができる。液晶配向剤を塗布した後の乾燥の工程は、必ずしも必要とされないが、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合、又は塗布後ただちに焼成されない場合には、乾燥工程を行うことが好ましい。この乾燥は、基板の搬送等により塗膜形状が変形しない程度に溶媒が除去されていればよく、その乾燥手段については特に限定されない。例えば、温度40℃〜150℃、好ましくは60℃〜100℃のホットプレート上で、0.5分〜30分、好ましくは1分〜5分乾燥させる方法が挙げられる。
液晶配向剤を塗布することにより形成された塗膜の焼成温度は限定されず、例えば100〜350℃の任意の温度で行うことができるが、好ましくは120℃〜300℃であり、さらに好ましくは150℃〜250℃である。焼成時間は5分〜240分の任意の時間で焼成を行うことができる。好ましくは10分〜90分であり、より好ましくは20分〜90分である。加熱は、通常公知の方法、例えば、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などで行うことができる。
また、焼成して得られる液晶配向膜の厚みは特に限定されないが、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜120nmである。
そして、本発明の液晶表示素子は、上記の方法により、基板に液晶配向膜を形成した後、公知の方法で液晶セルを作製して得ることができる。液晶表示素子の具体例としては、対向するように配置された2枚の基板と、基板間に設けられた液晶層と、基板と液晶層との間に設けられ本発明の液晶配向剤により形成された上記液晶配向膜とを有する液晶セルを具備する垂直配向方式の液晶表示素子である。具体的には、本発明の液晶配向剤を2枚の基板上に塗布して焼成することにより液晶配向膜を形成し、この液晶配向膜が対向するように2枚の基板を配置し、この2枚の基板の間に液晶で構成された液晶層を挟持し、すなわち、液晶配向膜に接触させて液晶層を設け、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射することで作製される液晶セルを具備する垂直配向方式の液晶表示素子である。このように本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜を用い、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射して、重合性化合物を重合させると共に、重合体が有する光反応性の側鎖同士や、重合体が有する光反応性の側鎖と重合性化合物を反応させることにより、より効率的に液晶の配向が固定化され、応答速度が顕著に優れた液晶表示素子となる。
本発明の液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されないが、通常は、基板上に液晶を駆動するための透明電極が形成された基板である。具体例としては、上記液晶配向膜で記載した基板と同様のものを挙げることができる。従来の電極パターンや突起パターンが設けられた基板を用いてもよいが、本発明の液晶表示素子においては、液晶配向膜を形成する液晶配向剤として上記本発明の液晶配向剤を用いているため、片側基板に例えば1から10μmのライン/スリット電極パターンを形成し、対向基板にはスリットパターンや突起パターンを形成していない構造においても動作可能であり、この構造の液晶表示素子によって、製造時のプロセスを簡略化でき、高い透過率を得ることができる。
また、TFT型の素子のような高機能素子においては、液晶駆動のための電極と基板の間にトランジスタの如き素子が形成されたものが用いられる。
透過型の液晶表示素子の場合は、上記の如き基板を用いることが一般的であるが、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な基板も用いることが可能である。その際、基板に形成された電極には、光を反射するアルミニウムの如き材料を用いることもできる。
液晶配向膜は、この基板上に本発明の液晶配向剤を塗布した後焼成することにより形成されるものであり、詳しくは上述したとおりである。
本発明の液晶表示素子の液晶層を構成する液晶材料は特に限定されず、従来の垂直配向方式で使用される液晶材料、例えばメルク社製のMLC−6608やMLC−6609などのネガ型の液晶を用いることができる。
この液晶層を2枚の基板の間に挟持させる方法としては、公知の方法を挙げることができる。例えば、液晶配向膜が形成された1対の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜上にビーズ等のスペーサーを散布し、液晶配向膜が形成された側の面が内側になるようにしてもう一方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法が挙げられる。また、液晶配向膜が形成された1対の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜上にビーズ等のスペーサーを散布した後に液晶を滴下し、その後液晶配向膜が形成された側の面が内側になるようにしてもう一方の基板を貼り合わせて封止を行う方法でも液晶セルを作製することができる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射することにより液晶セルを作製する工程は、例えば基板上に設置されている電極間に電圧をかけることで液晶配向膜及び液晶層に電界を印加し、この電界を保持したまま紫外線を照射する方法が挙げられる。ここで、電極間にかける電圧としては例えば5〜30Vp−p、好ましくは5〜20Vp−pである。紫外線の照射量は、例えば1〜60J、好ましくは40J以下であり、さらに好ましくは10J以下である。紫外線照射量が少ないほうが、液晶表示素子を構成する液晶や部材の破壊により生じる信頼性低下を抑制でき、かつ紫外線照射時間を減らせることで製造効率が上がるので好適である。そして、本発明においては、少ない照射量でも応答速度を速くすることができるため、例えば5J程度の少ない照射量でも、十分応答速度が速い液晶表示素子を形成することができる。
このように、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射すると、重合性化合物が反応して重合体を形成し、この重合体により液晶分子が傾く方向が記憶されることで、得られる液晶表示素子の応答速度を速くすることができる。また、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射すると、液晶を垂直に配向させる側鎖と、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、アリル基、クマリン基、スチリル基及びシンナモイル基から選択される少なくとも一種を含む光反応性の側鎖とを有するポリイミド前駆体、及び、このポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミドから選択される少なくとも一種の重合体が有する光反応性の側鎖同士や、重合体が有する光反応性の側鎖と重合性化合物が反応するため、得られる液晶表示素子の応答速度を速くすることができる。そして、本発明においては、重合性化合物がベンゾフェノン構造を有するため、少ない紫外線照射量で応答速度を速くすることができ、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物を用いなかった場合と比較して、少ない紫外線照射量で応答速度を速くすることができる。
また、上記液晶配向剤は、PSA型液晶ディスプレイやSC−PVA型液晶ディスプレイ等の垂直配向方式の液晶表示素子を作製するための液晶配向剤として有用なだけでなく、ラビング処理や光配向処理によって作製される液晶配向膜の用途でも好適に使用できる。
以下、実施例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
<重合性化合物>
(重合性化合物RM1(5,5−(ビフェニル−4,4’−ジイルビス(オキシ))ビス(ペンタン−5,1−ジイル)ビス(2−メタクリレート))の合成)
冷却管付き500mlナスフラスコに、ビフェノール14.9g(80.0mmol)、5−ブロモペンチルアセテート35g(167.0mmol)、炭酸カリウム41.5g(300mmol)、およびアセトン250mlを加えて混合物とし、温度60℃で48時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液を純水600mlに注ぎ、白色固体33.6gを得た。この固体をNMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、この白色固体が下記反応式に示される化合物(RM1−A)であることが確認された。収率は95%であった。
1H NMR (CDCl3) δ: 1.57 (m, 4H), 1.74 (m, 4H), 1.86 (m, 4H), 2.06 (s, 6H), 4.02 (t, 4H), 4.12 (t, 4H), 6.95 (d, 4H), 7.47 (d, 4H).
冷却管付き1Lナスフラスコに、エタノール250ml、上記で得られた化合物(RM1−A)18.0g(41mmol)、および10%水酸化ナトリウム水溶液100mlを加えて混合物とし、温度85℃で5時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、1000mlのビーカーに水500mlと反応液を加えて、30分間室温で攪拌した後、10%HCl水溶液80mlを滴下した後、ろ過して白色固体12.2gを得た。この固体をNMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、この白色固体が、下記反応式に示される化合物(RM1−B)であることが確認された。収率は83%であった。
1H NMR (DMSO-d6) δ: 1.46 (m, 8H), 1.71 (m, 4H), 3.41 (m, 4H), 3.98 (m, 4H), 4.39 (m, 2H), 6.96 (m, 4H), 7.51 (m, 4H).
上記で得られた化合物(RM1−B)5.0g(14.0mmol)をトリエチルアミン(Et3N)3.2gと少量の2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)と共にテトラヒドロフラン(THF)30mlに溶解させて室温にて攪拌し、水浴による冷却下、THF20mlにメタクリロイルクロライド3.3g(32mmol)を溶解した溶液を15分間かけて滴下した。滴下後、30分間攪拌し、水浴を除去して室温に戻しながら終夜攪拌を続けた。反応終了後、反応液を純水200mlに注ぎ、ろ過をした後白色固体を得た。この固体をクロロホルムに溶解させ、ヘキサンを用い(ヘキサン/クロロホルム=2/1)沈殿した後、白色固体2.6gを得た。この固体をNMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、この白色固体が、下記反応式に示される重合性化合物RM1であることが確認された。収率は38%であった。
1H-NMR(CDCl3) δ:1.56(m, 4H), 1.74(m, 4H), 1.82(m, 4H), 1.97(s, 6H), 4.03(m, 4H), 4.20(m, 4H), 5.55(m, 2H), 6.10(m, 2H), 6.94(d, 4H), 7.45(d, 4H).
(重合性化合物BP1(4,4’−(4,4’−カルボニルビス(4,1−フェニレン)ビス(オキシ))ビス(ブタン−4,1−ジイル)ビス(2−メタクリレート))の合成)
反応容器に4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(20.00g、93.4mmol)、炭酸カリウム(77.42g、560mmol)、ヨウ化カリウム(7.75g、46.7mmol)、およびN,N’−ジメチルホルムアミド(200g)(以下、DMFと記載)を加え、窒素雰囲気下、反応溶液を100℃で5分加熱撹拌した。そこに、酢酸4−クロロブチル(56.24g、373mmol)のDMF(100g)溶液を滴下しながら加え、滴下終了後、さらに3時間加熱撹拌を行なった。反応を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて追跡し、反応終了後、反応溶液を蒸留水(2.4L)へ注ぎ、析出した固体(BP1−A)をろ過し、蒸留水(1L)で2回洗浄した。
次に、得られた固体(BP1−A)を反応容器に移し、エタノール(410g)、10wt%水酸化ナトリウム水溶液(290g)を加え、85℃で4時間加熱撹拌を行なった。反応をHPLCにて追跡し、反応終了後、反応溶液を蒸留水(1.5L)に注ぎ、10wt%塩酸で液性を酸性にした後、固体をろ過し、蒸留水(1L)で2回、メタノール(500g)で1回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することで、化合物(BP1−B)を得た(27.6g、収率82%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.78-7.76(4H, m), 6.97-6.94(4H, m), 4.04(4H, t), 3.78-3.73(4H, m), 1.97-1.90(4H, m), 1.82-1.75(4H, m).
反応容器に化合物(BP1−B)(27.60g、77.0mmol)、トリエチルアミン(20.23g、200mmol)、THF(300g)を加え、窒素雰囲気下、溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(26.12g、200mmol)のTHF(50g)溶液を発熱に注意しながら徐々に滴下した。滴下終了後、23℃でさらに2時間撹拌を行なった。反応をHPLCにて追跡し、反応終了後、反応溶液に酢酸エチル(1L)と蒸留水(1L)を加え、抽出を行なった。さらに有機層を蒸留水(500g)で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、エバポレーターで溶媒留去した。得られた化合物BP1の粗物をエタノール/ヘキサン混合溶液で再結晶し、得られた固体を減圧乾燥することで、化合物BP1を得た(24.5g、収率64%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.79-7.76(4H, m), 6.96-6.93(4H, m), 6.12-6.11(2H, m), 5.58-5.56(2H, m), 4.25(4H, t), 4.09(4H, t), 1.97-1.86(18H, m).
(重合性化合物BP2(4,4’−カルボニルビス(4,1−フェニレン)ビス(4−(5−(4−メチレン−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)ペンチルオキシ)ベンゾエート)の合成)
冷却管付き200mlナスフラスコに、4−ヒドロキシ安息香酸メチル7.61g(50.0mmol)、6−ブロモ−1−ヘキサノール9.1g(50.0mmol)、炭酸カリウム13.8g(100mmol)、およびアセトン70mlを加えて混合物とし、64℃で24時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、反応液を減圧ろ過して減圧下で溶媒を留去し、黄色の湿潤固体を得た。この固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(カラム:シリカゲル60,0.063−0.200mm,メルク製,溶出液:へキサン/酢酸エチル=1/1(v/v))により精製した。得られた溶液から溶媒を留去し、白色の固体11.3gを得た。この固体のNMR測定結果を以下に示す。この結果から、この白色固体が、下記反応式に示される化合物(BP2−A)であることが確認された。収率は90%であった。
1H-NMR(CDCl3) δ:1.3-1.7 (m, 8H), 3.67 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 4.03 (t, 2H), 6.91 (d, 2H), 7.99 (d, 2H).
次に、冷却管付き100ml三口フラスコに、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)2.2g(10.0mmol)、およびCH2Cl215.0mlを入れて撹拌混合した状態で、上記で得られた化合物(BP2−A)2.5g(10.0mmol)をCH2Cl215.0mlに溶解した溶液を滴下し、室温で6時間さらに撹拌した。その後、フラスコの壁に付着したオイル状物を除いた溶液に、ジエチルエーテル90mlを加えて減圧ろ過した後、減圧下で溶媒を留去し、濃緑色の湿潤固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(カラム:シリカゲル60,0.063−0.200mm,メルク製,溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1(v/v))で精製した。得られた溶液の溶媒を留去し、無色の固体1.3gを得た。この固体をNMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、この無色の固体が、下記反応式に示される化合物(BP2−B)であることが確認された。収率は50%であった。
1H-NMR(CDCl3) δ:1.3-1.8 (m, 6H), 2.49 (t, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.99 (t, 2H), 6.87 (d, 2H), 7.99 (d, 2H), 9.78 (s, 1H).
次に、冷却管付き50mlナスフラスコに、上記で得られた化合物(BP2−B)1.25g(5.0mmol)、2−(ブロモメチル)アクリル酸0.83g(5.0mmol)、Amberlyst(登録商標)15(ロームエンドハース社 商品名)0.8g、THF8.0ml、塩化スズ(II)0.95g(5.0mmol)、および純水2.0mlを加えて混合物とし、70℃で5時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液を減圧ろ過して純水40mlと混合し、そこにジエチルエーテル50mlを加えて抽出した。抽出は3回行った。
抽出後の有機層に、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、減圧ろ過した後の溶液から溶媒を留去し、無色固体1.5gを得た。この固体のNMR測定結果を以下に示す。この結果から、この無色固体が、下記反応式に示される化合物(BP2−C)であることが確認された。収率は94%であった。
1H-NMR(DMSO-d6) δ:1.3-1.8 (m, 8H), 2.62 (m, 1H), 3.04 (s, 1H), 3.81 (s, 3H), 4.05 (t, 2H), 4.54 (m, 1H), 5.70 (s, 1H), 6.01 (s, 1H), 7.03 (d, 2H), 7.89 (d, 2H).
冷却管付き100mlナスフラスコに、エタノール35ml、上記で得られた化合物(BP2−C)1.5g(4.7mmol)、および10%水酸化ナトリウム水溶液5mlを加えて混合物とし、85℃で3時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、500mlのビーカーに水300mlと反応液とを加えて、30分間室温で撹拌した後、10%HCl水溶液5mlを滴下した後、ろ過して白色固体1.3gを得た。
次に、冷却管付き50mlナスフラスコに、得られた白色固体1.1g、Amberlyst(登録商標)15(ロームエンドハース社 商品名)1.0g、およびTHF20.0mlを加えて混合物とし、70℃で5時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液を減圧ろ過した後の溶液から溶媒を留去し、黄色固体を得た。この黄色固体を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v))で精製した後、白色固体0.9gを得た。この固体のNMR測定結果を以下に示す。この結果から、この白色固体が、下記反応式に示される化合物(BP2−D)であることが確認された。収率は71%であった。
1H-NMR(DMSO-d6) δ:1.2-1.8 (m, 8H), 2.60 (m, 1H), 3.09 (m, 1H), 4.04 (m, 2H), 4.55 (m, 1H), 5.69 (s, 1H), 6.02 (s, 1H), 6.99 (d, 2H), 7.88 (d, 2H), 12.5 (s, broad, 1H).
上記で得られた化合物(BP2−D)6.1g(20.0mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン2.1g(10.0mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)0.1g、および少量のBHTを室温にて攪拌下、塩化メチレン80mlに懸濁させ、それにジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)5.2g(24.0mmol)を溶解させた溶液を加えて終夜攪拌した。析出したDCCウレアをろ別し、そのろ液を、0.5N−HCl 50ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50ml、飽和食塩水100mlにて順次2回ずつ洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、黄色固体を得た。この固体をエタノールを用いた再結晶により精製し、白色の固体6.2gを得た。この固体をNMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、この白色の固体が、下記反応式に示される重合性化合物(BP2)であることが確認された。収率は79%であった。
1H NMR (CDCl3) δ:1.45-1.95 (m, 16H), 2.58 (m, 2H), 3.07 (m, 2H), 4.05 (t, 4H), 4.54(m, 2H), 5.64 (s, 2H), 6.24 (s, 2H), 6.98 (d, 4H), 7.32 (d, 4H), 7.91 (d, 4H), 8.18 (d, 4H).
(下記式で表される重合性化合物BP3の合成)
1L四つ口フラスコに、化合物[A](20.00g、93.4mmol)、化合物[B](58.33g、466.8mmol)、炭酸カリウム(77.42g、560.2mmol)、N,N’−ジメチルホルムアミド(300g)(以下、DMFと表記)を加え、窒素置換した後、100℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(4.5L)へ注ぎ、析出した固体をろ過し、蒸留水、メタノールで順次洗浄し、減圧乾燥することで化合物[C]を26.2g得た(収率93%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.72-7.69(4H, m), 7.10-7.08(4H, m), 4.95(2H, brs), 4.10(4H, t), 3.76(4H, t).
次に、1L四つ口フラスコに上記で得られた化合物[C](26.14g、86.5mmol)、トリエチルアミン(22.75g、224.8mmol)及びテトラヒドロフラン(300g)(以下、THFと表記)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(27.11g、207.5mmol)のTHF(100g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(2L)へ注ぎ、酢酸エチル/ヘキサン混合溶液で抽出を行なった。その後、有機層をブラインで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで、オイル状化合物として重合性化合物BP3の粗物を得た。得られた粗物に2−プロパノールを100g加え、室温撹拌することで結晶化させた後、ろ過、減圧乾燥することで、重合性化合物BP3を10.2g得た(収率27%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.80-7.77(4H, m), 7.00-6.98(4H, m), 6.16-6.15(2H, m), 5.61-5.60(2H, m), 4.54(4H, t) , 4.31(4H, t), 1.97-1.96(6H, m).
(下記式で表される重合性化合物BP4の合成)
200L四つ口フラスコに、化合物[A](4.62g、21.6mmol)、化合物[D](9.00g、64.8mmol)、炭酸カリウム(17.9g、129mmol)、アセトン(50g)を加え、窒素置換した後、60℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(750L)へ注ぎ、析出した固体をろ過し、蒸留水、メタノールで順次洗浄し減圧乾燥することで、化合物[E]を4.82g得た(収率63%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.72-7.68(4H, m), 7.09-7.06(4H, m), 4.60(2H, t), 4.14(4H, t), 3.57(4H, q), 1.93-1.87(4H, quin) .
次に、200mL四つ口フラスコに上記で得られた化合物[E](4.82g、14.6mmol)、トリエチルアミン(3.84g、37.9mmol)及びTHF(50g)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(4.18g、35.0mmol)のTHF(25g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(600g)へ注ぎ、酢酸エチル/ヘキサン混合溶液で抽出を行なった。その後、20wt%炭酸カリウム水溶液(200g)、ブラインで3回順次洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで、重合性化合物BP4の粗物を得た。得られた粗物に2−プロパノールを5g加え、室温撹拌することで結晶化させた後、ろ過、減圧乾燥することで、重合性化合物BP4を4.52g得た(収率66%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.80-7.76(4H, m), 6.98-6.94(4H, m), 6.12-6.11(2H, m), 5.59-5.57(2H, m), 4.37(4H, t) , 4.16(4H, t), 2.22(4H, quin), 1.95-1.94(6H, m).
(下記式で表される重合性化合物BP5の合成)
1L四つ口フラスコに、化合物[A](20.00g、93.4mmol)、化合物[F](56.24g、373mmol)、炭酸カリウム(77.42g、560mmol)、ヨウ化カリウム(7.75g、46.7mmol)、DMF(300g)を加え、窒素置換した後、100℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(2.4L)へ注ぎ、析出した固体をろ過し、蒸留水で洗浄し粗物を得た。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.72-7.69(4H, m), 7.09-7.06(4H, m), 4.13-4.06(4H, m), 3.17(4H, d), 1.84-1.72(8H, m) .
次に、得られた粗物を反応容器に移し、エタノール(410g)、10wt%水酸化ナトリウム水溶液(290g)を加え、85℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を10wt%塩酸水溶液(500g)へ注ぎ、析出した固体をろ過した。蒸留水、メタノールで順次洗浄し、減圧乾燥することで、化合物[G]を27.6g得た(収率82%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.79-7.76(4H, m), 6.96-6.94(4H, m), 4.11-4.08(4H, m), 3.75(4H, t), 3.49(2H, s) , 1.95-1.90(4H, m), 1.82-1.77(4H, m).
次に、1L四つ口フラスコに上記で得られた化合物[G](27.56g、76.9mmol)、トリエチルアミン(20.23g、200mmol)及びTHF(300g)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(26.12g、200mmol)のTHF(50g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(2.5L)へ注いだ。しばらく静置した後、上澄みをデカンテーションで除き、固体を酢酸エチル/蒸留水を加え分液した。有機層をさらに蒸留水で3回洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで、重合性化合物BP5の粗物を得た。得られた粗物を2−プロパノール/ヘキサンから結晶化させた後、ろ過、減圧乾燥することで、重合性化合物BP5を17.4g得た(収率46%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.79-7.76(4H, m), 6.96-6.93(4H, m), 6.12-6.11(2H, m), 5.58-5.56(2H, m), 4.25(4H, t) , 4.09(4H, t), 1.95-1.90(14H, m).
(下記式で表される重合性化合物BP6の合成)
1L四つ口フラスコに、化合物[A](17.00g、79.2mmol)、化合物[H] (50.00g、239mmol)、炭酸カリウム(66.09g、239mmol)、DMF(200g)を加え、窒素置換した後、100℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(1.6L)へ注ぎ、析出した固体をろ過し、蒸留水で洗浄し粗物を得た。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.79-7.76(4H, m), 6.96-6.94(4H, m), 4.11-4.08(8H, m), 2.06-1.94(6H, m), 1.88-1.85(4H, m), 1.75-1.69(4H, m), 1.64-1.54(4H, m).
次に、得られた粗物を反応容器に移し、エタノール(350g)、10wt%水酸化ナトリウム水溶液(245g)を加え、85℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を10wt%塩酸水溶液(500g)へ注ぎ、析出した固体をろ過した。蒸留水、メタノール、酢酸エチルで順次洗浄し、減圧乾燥することで、化合物[I]を14.53g得た(収率51%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.79-7.75(4H, m), 6.96-6.93(4H, m), 4.10-4.04(4H, m), 3.71-3.69(4H, t), 1.90-1.83(4H, m) , 1.70-1.53(12H, m).
次に、1L四つ口フラスコに上記で得られた化合物[I](14.53g、37.6mmol)、トリエチルアミン(5.33g、52.6mmol)及びTHF(200g)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(6.87g、52.6mmol)のTHF(25g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(1.7L)へ注いだ。そこに酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒を加え、分液操作にて水層を除去した。さらに有機層を10wt%炭酸カリウム水溶液、ブラインで3回順次洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで、重合性化合物BP6の粗物を得た。得られた粗物を2−プロパノール/ヘキサンで洗浄し、得られた固体を減圧乾燥することで、重合性化合物BP6を13.1g得た(収率66%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.78-7.76(4H, m), 6.95-6.93(4H, m), 6.12-6.11(2H, m), 5.57-5.56(2H, m), 4.18(4H, t) , 4.06(4H, t), 1.95-1.92(6H, m), 1.92-1.76(6H, m), 1.67-1.28(6H, m).
(下記式で表される重合性化合物BP7の合成)
1L四つ口フラスコに化合物[A](20.00g、93.4mmol)、トリエチルアミン(24.57g、243mmol)及びTHF(250g)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(29.3g、224mmol)のTHF(50g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(2.4L)へ注いだ。析出した固体をろ過し、蒸留水、メタノールで順次洗浄した後、得られた固体を減圧乾燥することで、重合性化合物BP7を27.6g得た(収率84%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.86-7.82(4H, m), 7.42-7.39(4H, m), 6.34-6.33(2H, m), 5.97-5.95(2H, m), 2.03-2.02(6H, m).
(下記式で表される重合性化合物BP8の合成)
1L四つ口フラスコに、化合物[J](25.00g、102mmol)、化合物[H](95.53g、457mmol)、炭酸カリウム(112.3g、812mmol)、DMF(300g)を加え、窒素置換した後、100℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(2.4L)へ注いだ。そこに酢酸エチル/ヘキサンを加え分液操作により水層を除去した後、ブラインで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで粗物を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.53(2H, d), 6.40(2H, dd), 6.34(2H, d), 4.19-3.76(16H, m), 1.87-1.04(24H, m).
次に、得られた粗物を反応容器に移し、エタノール(770g)、10wt%水酸化ナトリウム水溶液(1000g)を加え、85℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を10wt%塩酸水溶液(880g)へ注ぎ、析出した固体をろ過した。蒸留水、メタノール、酢酸エチルで順次洗浄し、減圧乾燥することで、化合物[K]を59.04g得た(収率98%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.52(2H, d), 6.47(2H, dd), 6.34(2H, d), 4.00(4H, t), 3.78-3.67(8H, m), 3.50(4H, m), 1.89-1.79(4H, m), 1.67-1.54(8H, m), 1.43-1.36(8H, m), 1.09-1.00(4H, m).
次に、2L四つ口フラスコに上記で得られた化合物[K](59.03g、99.9mmol)、トリエチルアミン(47.5g、470mmol)及びTHF(800g)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(58.76g、450mmol)のTHF(100g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(3.5L)へ注いだ。そこに酢酸エチルを加え、分液操作にて水層を除去した。さらに有機層を20wt%炭酸カリウム水溶液、ブラインで3回順次洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで重合性化合物BP8を70.7g得た(収率82%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3, δppm):7.53(2H, d), 6.47(2H, dd), 6.34(2H, d), 6.09(4H, d), 5.56-5.55(4H, m), 4.22-3.99(12H, m), 3.77(4H, t), 2.05-1.06(36H, m).
(下記式で表される重合性化合物BP9の合成)
1L四つ口フラスコに、化合物[L](50.00g、180mmol)、化合物[H](338.1g、1.62mol)、炭酸カリウム(298.4g、2.16mol)、DMF(600g)を加え、窒素置換した後、100℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(3.6L)へ注いだ。そこに酢酸エチルを加え分液操作により水層を除去した後、ブラインで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで粗物を得た。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.03(1H, d), 6.89(2H, s), 6.85(1H, d), 4.02-3.78(24H, m), 1.96-1.04(36H, m).
次に、得られた粗物を反応容器に移し、エタノール(1000g)、10wt%水酸化ナトリウム水溶液(875g)を加え、85℃で加熱撹拌を行なった。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を10wt%塩酸水溶液(880g)へ注ぎ、析出した固体をろ過した。蒸留水、メタノール、酢酸エチルで順次洗浄し、減圧乾燥することで、化合物[M]を97.52g得た(収率73%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.01(1H, d), 6.88(2H, s), 6.83(1H, d), 4.39-4.27(8H, m), 4.01-3.76(12H, m), 3.43-2.46(4H, m), 1.73-1.02(36H, m).
次に、2L四つ口フラスコに上記で得られた化合物[M](97.52g、123mmol)、トリエチルアミン(86.91g、859mmol)及びTHF(700g)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、メタクリロイルクロリド(105.8g、810mmol)のTHF(85g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(4.5L)へ注いだ。そこに酢酸エチル/ヘキサン混合溶液を加え、分液操作にて水層を除去した。さらに有機層を20wt%炭酸カリウム水溶液、ブラインで3回順次洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで重合性化合物BP9を146.7g得た(収率99%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.02(1H, d), 6.89(2H, s), 6.84(1H, d), 6.26-6.20(1H, m), 5.98-5.93(6H, m), 5.62-5.56(5H, m), 4.08-3.78(24H, m), 1.95-1.03(54H, m).
(下記式で表される重合性化合物BP10の合成)
2L四つ口フラスコに化合物[I](45.26g、117mmol)、トリエチルアミン(30.81g、305mmol)及びTHF(600g)を仕込み、窒素置換して反応溶液を10℃以下になるように冷却した。そこに、アクリロイルクロリド(25.44g、281mmol)のTHF(75g)溶液を発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、反応溶液を23℃に戻しさらに撹拌を継続した。HPLCにて反応追跡を行い、反応終了確認後、反応溶液を蒸留水(4L)へ注いだ。そこにジクロロメタンを加え、分液操作にて水層を除去した。さらに有機層を10wt%炭酸カリウム水溶液、ブラインで3回順次洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、エバポレーターで溶媒留去することで重合性化合物BP10を55.3g得た(収率95%)。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6, δppm):7.66-7.73(4H, m), 7.04-7.00(4H, m), 6.31-6.27(2H, m), 6.18-6.11(2H, m), 5.92-5.89(2H, m), 4.12-4.02(8H, m), 1.77-1.44(12H, m).
<液晶配向剤の調製>
下記液晶配向剤の調製で用いた略号は以下のとおりである。
BODA:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
3AMPDA:下記式で表される3,5−ジアミノ−N−(ピリジン−3−イルメチル)ベンズアミド
PCH:1,3−ジアミノ−4−[4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ]ベンゼン
m−PDA:m−フェニレンジアミン
p−PDA:p−フェニレンジアミン
BEM−S:下記式で表される2−(メタクリロイロキシ)エチル 3,5−ジアミノベンゾエート
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
また、ポリイミドの分子量測定条件は、以下の通りである。
装置:センシュー科学社製 常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(SSC−7200)、
カラム:Shodex社製カラム(KD−803、KD−805)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量約900,000、150,000、100,000、30,000)、および、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
また、ポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード Φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)1.0mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム社製NMR測定器(JNW−ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミック酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。なお下記式において、xはアミック酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミック酸のNH基のプロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
(液晶配向剤A1〜A5の調製)
BODA(8.01g、32.0mmol)、3AMPDA(5.81g、24.0mmol)、PCH(10.66g、28.0mmol)、BEM−S(7.40g、28mmol)をNMP(123.4g)中で混合し、80℃で5時間反応させたのち、CBDA(9.26g、47.2mmol)とNMP(41.1g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(204g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(20.3g)、およびピリジン(62.8g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(2700ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(A)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は16000、重量平均分子量は39000であった。
得られたポリイミド粉末(A)(6.0g)にNMP(24.0g)を加え、室温にて5時間攪拌して溶解させた。この溶液にNMP(20.0g)、およびBCS(50.0g)を加え、室温にて5時間攪拌することにより液晶配向剤(A1)を得た。
また、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP1を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A2)を調製した。
同様に、液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物RM1を54mg(固形分に対して9質量%)、重合性化合物BP1を6.0mg(固形分に対して1質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A3)を調製した。
同様に、液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物RM1を48mg(固形分に対して8質量%)、重合性化合物BP1を12.0mg(固形分に対して2質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A4)を調製した。
同様に、液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物RM1を54mg(固形分に対して9質量%)、重合性化合物BP2を6.0mg(固形分に対して1質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A5)を調製した。
(液晶配向剤A6の調製)
上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物RM1を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A6)を調製した。
(液晶配向剤B1及びB2の調製)
BODA(8.01g、32.0mmol)、3AMPDA(5.81g、24.0mmol)、PCH(10.66g、28.0mmol)、m−PDA(3.03g、28mmol)をNMP(110.3g)中で混合し、80℃で5時間反応させたのち、CBDA(8.94g、45.6mmol)とNMP(36.8g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(183g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(20.2g)、およびピリジン(63.7g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(2400ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(B)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は18000、重量平均分子量は36000であった。
得られたポリイミド粉末(B)(6.0g)にNMP(24.0g)を加え、室温にて5時間攪拌して溶解させた。この溶液にNMP(20.0g)、およびBCS(50.0g)を加え、室温にて5時間攪拌することにより液晶配向剤(B1)を得た。
また、上記の液晶配向剤(B1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP2を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(B2)を調製した。
(液晶配向剤A7〜A13の調製)
上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP3を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A7)を調製した。
同様に、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP4を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A8)を調製した。
同様に、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP6を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A9)を調製した。
同様に、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP7を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A10)を調製した。
同様に、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP8を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A11)を調製した。
同様に、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP9を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A12)を調製した。
同様に、上記の液晶配向剤(A1)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物BP10を60mg(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(A13)を調製した。
<液晶セルの作製>
(サンプル1)
上記で得られた液晶配向剤(A2)を用いて下記に示すような手順で液晶セルの作製を行った。液晶配向剤(A2)を、画素サイズが100μm×300μmでライン/スペースがそれぞれ5μmのITO電極パターンが形成されているITO電極基板のITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで90秒間乾燥した後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
また、液晶配向剤(A2)を電極パターンが形成されていないITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで90秒乾燥させた後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
上記の2枚の基板について一方の基板の液晶配向膜上に6μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤(協立化学製XN−1500T)を印刷した。次いで、もう一方の基板の液晶配向膜が形成された側の面を内側にして、先の基板と貼り合せた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルにネガ型の液晶(MLC−6608)を減圧注入法によって注入し、120℃のオーブン中でIsotropic処理(加熱による液晶の再配向処理)を行い液晶セルを作製した。
得られた液晶セルの作製直後の応答速度を、下記方法により測定した。その後、この液晶セルに20Vp−pの電圧を印加した状態で、この液晶セルの外側から365nmのバンドパスフィルターを通したUVを5J、10J、または、20Jそれぞれ照射した。その後、再び応答速度を測定し、UV照射前後での応答速度を比較した。液晶セル作製直後(表において「初期」と表記する)、及び、UVを照射した後(表において「UV後」と表記する)の応答速度の結果を表2に示す。
「応答速度の測定方法」
まず、バックライト、クロスニコルの状態にした一組の偏光版、光量検出器の順で構成される測定装置において、一組の偏光版の間に液晶セルを配置した。このときライン/スペースが形成されているITO電極のパターンがクロスニコルに対して45°の角度になるようにした。そして、上記の液晶セルに電圧±4V、周波数1kHzの矩形波を印加し、光量検出器によって観測される輝度が飽和するまでの変化をオシロスコープにて取り込み、電圧を印加していない時の輝度を0%、±4Vの電圧を印加し、飽和した輝度の値を100%として、輝度が10%から90%まで変化するのにかかる時間を応答速度とした。
(サンプル2)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A3)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル3)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A4)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル4)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A5)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル5)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A6)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル6)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(B2)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
この結果、表2に示すように、光反応性の側鎖を有するポリイミド等の重合体と、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物とを添加したサンプル1〜サンプル4では、UV照射量が5Jという少ない照射量でも充分応答速度が向上していることがわかった。これは、重合性化合物がベンゾフェノン構造を持つことにより、少ないUV照射量でも、重合性化合物の同士の重合反応、ポリイミド等の重合体の光反応性の側鎖と重合性化合物との反応や、ポリイミド等の重合体の光反応性の側鎖同士の反応が一気に進むためであると考えられる。
また、重合性化合物としてベンゾフェノン構造を有さないもののみを用いたサンプル5では、紫外線照射量が少なくなると応答速度が遅くなった。
またサンプル6では、ポリイミド等の重合体中に光反応性の側鎖基を有さないため、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物を添加しても、サンプル1〜サンプル4と比較して、十分な応答速度は得られなかった。これはポリイミド等の重合体が光反応性の側鎖を有さないので、ベンゾフェノン構造により重合性化合物同士の重合反応が進行しても、ポリイミド等の重合体の光反応性の側鎖と重合性化合物との反応や、ポリイミド等の重合体の光反応性の側鎖同士の反応が生じないため、液晶の配向方向を充分に固定化することができなかったためであると考えられる。
(液晶配向剤D1の調製)
BODA(6.01g、24.0mmol)、p−PDA(2.60g、24.0mmol)、PCH(6.85g、18.0mmol)、BEM−S(4.76g、18.0mmol)をNMP(81.5g)中で溶解し、80℃で5時間反応させたのち、CBDA(6.94g、35.4mmol)とNMP(27.2g)を加え、40℃で10時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(135g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(18.3g)、およびピリジン(23.6g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(1700ml)に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(C)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は12000、重量平均分子量は39000であった。
得られたポリイミド粉末(C)(6.0g)にNMP(74.0g)を加え、50℃にて12時間攪拌して溶解させた。この溶液にBCS(20.0g)を加え、50℃にて5時間攪拌することにより液晶配向剤(D)を得た。
液晶配向剤(D)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物(BP2)を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(D1)を調製した。
同様に、液晶配向剤(D)10.0gに対して上記で得られた重合性化合物(RM1)を0.06g(固形分に対して10質量%)添加し、室温で3時間攪拌して溶解させ、液晶配向剤(D2)を調製した。
<液晶セルの作製>
(サンプル7)
上記で得られた液晶配向剤(D1)を用いて下記に示すような手順で液晶セルの作製を行った。得られた液晶配向剤(D1)を、画素サイズが100μm×300μmでライン/スペースがそれぞれ5μmのITO電極パターンが形成されているITO電極基板のITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで90秒間乾燥した後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
また、液晶配向剤(D1)を電極パターンが形成されていないITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで90秒乾燥させた後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
上記の2枚の基板について一方の基板の液晶配向膜上に6μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤(溶剤型熱硬化タイプのエポキシ樹脂)を印刷した。次いで、もう一方の基板の液晶配向膜が形成された側の面を内側にして、先の基板と貼り合せた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに液晶MLC−6608(メルク社製商品名)を減圧注入法によって注入し、120℃のオーブン中でIsotropic処理(加熱による液晶の再配向処理)を行い液晶セルを作製した。
得られた液晶セルの作製直後の応答速度を、下記方法により測定した。その後、この液晶セルに20Vp−pの電圧を印加した状態で、この液晶セルの外側から313nmのバンドパスフィルターを通したUVを20J照射した。その後、再び応答速度を測定し、UV照射前後での応答速度を比較した。液晶セル作製直後(表において「初期」と表記する)、及び、UVを照射した後(表において「UV後」と表記する)の応答速度の結果を表3に示す。
「応答速度の測定方法」
まず、バックライト、クロスニコルの状態にした一組の偏光版、光量検出器の順で構成される測定装置において、一組の偏光版の間に液晶セルを配置した。このときライン/スペースが形成されているITO電極のパターンがクロスニコルに対して45°の角度になるようにした。そして、上記の液晶セルに電圧±4V、周波数1kHzの矩形波を印加し、光量検出器によって観測される輝度が飽和するまでの変化をオシロスコープにて取り込み、電圧を印加していない時の輝度を0%、±4Vの電圧を印加し、飽和した輝度の値を100%として、輝度が10%から90%まで変化するのにかかる時間を応答速度とした。結果を表3に示す。
(サンプル8)
液晶配向剤(D1)のかわりに液晶配向剤(D2)を用いた以外はサンプル7と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
表3のサンプル7及びサンプル8と、表2のサンプル4を比較すると、RM1やBP2をそれぞれ単独で含有するサンプル8やサンプル7と比べて、RM1とBP2の両方を含有するサンプル4は、非常に応答速度の向上効果が大きいことが分かる。
(サンプル9)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A7)を用い、焼成温度を160℃へ変更した以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル10)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A8)を用い、焼成温度を160℃へ変更した以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル11)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A9)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル12)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A10)を用い、焼成温度を160℃へ変更した以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル13)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A11)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル14)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A12)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
(サンプル15)
液晶配向剤(A2)のかわりに液晶配向剤(A13)を用いた以外はサンプル1と同様の操作を行って、UV照射前後での応答速度を比較した。
この結果、表4に示すように、光反応性の側鎖を有するポリイミド等の重合体と、ベンゾフェノン構造を有する重合性化合物とを添加したサンプル9〜サンプル15でも、UV照射量が5Jという少ない照射量でも充分応答速度が向上していた。