JPWO2012133311A1 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明では、高分子フィルムの分解初期の熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲に絞って高分子フィルムに特殊な熱処理を加えることにより、その後の黒鉛化処理時の発泡を抑制し、黒鉛化昇温速度を速くしても良質のグラファイトフィルムを得ることができる。

Description

本発明は、グラファイトフィルムの製造方法に関するものである。
高分子焼成タイプのグラファイトフィルムは、優れた放熱特性を有していることから、コンピュータなどの各種電子または電気機器に搭載されている半導体素子や他の発熱部品などに放熱部品として用いられる。従来、高分子フィルムを1000℃付近まで予備焼成する炭化工程と、炭化工程にて得られた炭化フィルムを2700℃程度まで熱処理する黒鉛化工程を実施するグラファイトフィルムの製造方法が開発されている。例えば特許文献1では、125μmのポリイミドフィルムを原料とした厚物のグラファイトフィルムの製造方法が開示されており、1000℃までの炭化昇温速度を5℃/min、2800℃までの黒鉛化昇温速度を1℃/minとすることで表面が均一なグラファイトフィルムが得られることが記載されている。
また、特許文献2には、75μmのポリイミドフィルムを原料としたグラファイトフィルムの製造方法が開示されており、1600℃までの炭化昇温速度を1℃/min、5℃/min、20℃/min、2700℃までの黒鉛化昇温速度を3℃/minとすることでグラファイトフィルムが得られることが記載されている。
日本国公開特許公報「特開2008−024571号公報(2008年2月7日公開)」 日本国公開特許公報「特開2000−178016号公報(2000年6月27日公開)」
しかし、特許文献1、2の方法では、グラファイトフィルムの表面剥がれやシワを抑制することが困難であった。本発明は、表面剥がれやシワが抑制されたグラファイトフィルムを製造することを目的とする。
すなわち、本発明のグラファイトフィルムの製造方法は、高分子フィルムを熱処理することによってグラファイトフィルムを製造する方法であって、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲にて、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法に関する(請求項1)
本発明のグラファイトフィルムの製造方法によれば、グラファイトフィルムの表面剥がれ及びグラファイトフィルムのシワを抑制することができる。
過度の発泡によるブツ及び表面剥がれ不良を示す写真図である。 連続式でのフィルム改質工程において昇温速度および冷却速度を制御するための温度勾配を示すグラフおよび加熱処理装置等を示す模式図である。 長尺フィルム連続式でのフィルム改質工程において加熱処理装置等を示す斜視図である。 フィルム改質工程にてフィルムの厚み方向に荷重を加える方法における加熱処理装置等の一例を示す断面図である。 グラファイトフィルムのシワの外観を示す写真図である。 高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理した場合に入るシワを示す写真図である。 高分子フィルムのセット方法を示す模式図である。
本発明は、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲を、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
上記製造方法は、高分子フィルムを熱処理することによってグラファイトフィルムを製造する方法であって、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲にて、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法を意味する。
従来、表面が均一で良質のグラファイトフィルムを得るためには、黒鉛化昇温速度を低速度化しなければならず、生産性が非常に悪かった。
特に厚みの厚い高分子フィルムを原料に用いる場合は、表面剥がれやブツなどの不良が発生する課題があった。本発明では、高分子フィルムの分解初期のある特定の温度域に絞って、特殊な熱処理を加えることにより(本願では、フィルム改質工程ともいう)、その後の黒鉛化処理時の炭化フィルムにおける発泡を抑制でき、黒鉛化昇温速度を速くしても良質のグラファイトフィルムを得ることができる。
フィルム改質工程の効果発現のメカニズムは、以下の通りである。まず、高分子フィルムの分解初期において急激に熱履歴を加えることで、高分子の分子鎖の配向を乱すことができる。配向を乱された高分子フィルムは、グラファイト層が黒鉛化の際に高温領域まで発達し難くなり、黒鉛化の過程で発生する内部ガスをスムーズに抜くことができるため、炭化フィルムの発泡が抑制され、表面が均一なグラファイトフィルムが得られ易くなる。すなわち、フィルム改質工程での熱処理対象物は、高分子フィルムまたは炭化フィルムである(フィルム改質工程では、高分子フィルムまたは炭化フィルムを熱処理する)。なお、本発明で炭化フィルムとは、高分子フィルムを加熱して重量減少が始まっている(重量減少が生じた)フィルムも含む。
また、本発明は、前記フィルム改質工程における熱処理に続けて、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却することもできる。その場合には、分子鎖の配向を乱された高分子が保持されたまま冷却されるため、更に発泡が抑制され表面が均一なフィルムが得られ易くなる。つまり、本発明は、高分子フィルムの分解反応の初期段階においてフィルム改質工程を実施して、高分子フィルムを良質のグラファイトフィルムに転換し易い原料に改質するためのものである。
<フィルム改質工程を実施する温度>
本発明のフィルム改質工程を実施する温度範囲は、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲である。
高分子フィルムの熱分解開始温度より高い温度であれば、熱処理により分子鎖の配向を乱すことができる。また、熱分解中間温度よりも低い温度であれば、分子鎖を乱しすぎて、黒鉛化が進行し難くなることがない。高分子フィルムの熱分解開始温度、熱分解中間温度及び昇温下限値、昇温上限値は、熱処理される高分子フィルム上の実温度である。高分子フィルム上の実温度は、φ0.5mmのシース型K熱電対を使用して、高分子フィルムと熱電対を接触させて測定できる。
なお、高分子フィルムの熱分解開始温度より低い温度や昇温下限値より低い温度の熱処理条件は特に制限されない。また、一度フィルム改質工程を行った後の、昇温上限値よりも高い温度や熱分解中間温度よりも高い温度の熱処理条件も特に制限されない。ここで高分子フィルムの熱分解開始温度とは、その高分子フィルムを10℃/minの昇温速度で熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して1.0%の重量減少が生じる温度と定義する。
詳細には、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の熱分析システムEXSTAR6000及び熱重量測定装置TG/DTA 220Uを用いて、試料量は10mg、窒素雰囲流通下(200mL/min)にて、室温(23℃)から1000℃まで10℃/minの昇温速度で熱処理を行い、1.0%の重量減少が生じる温度である。
本発明の実施例で用いたポリイミドフィルム(株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH 厚み75μm、アピカルNPI 厚み75μm、125μm)の場合には熱分解開始温度は500℃である。熱分解開始温度の測定は、上記定義に従って実施した。また、高分子フィルムの熱分解中間温度とは、フィルム改質工程を実施できる上限の温度である。熱分解中間温度を超えてフィルム改質工程を実施すると、分子鎖を乱しすぎて黒鉛化が進行し難くなる。
例えば、複屈折0.13未満の高分子フィルムの場合、高分子フィルムの熱分解中間温度はその高分子フィルムを10℃/minの昇温速度で熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して40.0%の重量減少が生じる温度と定義する。
詳細には、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の熱分析システムEXSTAR6000及び熱重量測定装置TG/DTA 220Uを用いて、試料量は10mg、窒素雰囲流通下(200mL/min)にて、室温(23℃)から1000℃まで10℃/minの昇温速度で熱処理を行い、40.0%の重量減少が生じる温度である。なお、本願実施例では、複屈折0.12の株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、厚み75μmを使用した。
また、複屈折0.13以上の高分子フィルムの場合は、高分子フィルムの熱分解中間温度はその高分子フィルムを10℃/minの昇温速度で熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して44.0%の重量減少が生じる温度と定義する。詳細の測定は複屈折0.13未満の場合と同様である。なお、本願実施例では、複屈折0.14の株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、厚み75μm、125μmを使用した。
本発明の熱分解中間温度は、好ましくは900℃以下、更に好ましくは800℃以下、更には700℃以下、更には650℃以下、特に好ましくは600℃以下である。熱分解中間温度が900℃以下であると、高分子フィルムの炭化が完全に進行していないため、高分子の性質が残っており割れ難い。また、高分子フィルムの収縮量が小さいために、シワも発生し難い。
実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、複屈折0.12、厚み75μmの場合、熱分解中間温度は750℃である。熱分解中間温度の測定は、上記定義に従って実施した。実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、複屈折0.14、厚み75μm、125μmの場合、熱分解中間温度は800℃である。熱分解中間温度の測定は、上記定義に従って実施した。
<フィルム改質工程の昇温速度、冷却速度>
本発明ではフィルム改質工程において特定の条件で昇温速度を制御することが必要である。本発明のフィルム改質工程における昇温下限値から昇温上限値までの昇温速度は、好ましくは5℃/min以上、より好ましくは10℃/min以上、更に好ましくは、50℃/min以上、特には100℃/minであるとよい。5℃/min以上の速度で急激に高分子フィルムに熱履歴を加えることで分子鎖が乱され、発泡し難い原料に改質させることができる。
また、本発明ではフィルム改質工程において特定条件での冷却速度で行うこともできる。本発明のフィルム改質工程における昇温上限値から昇温下限値までの冷却速度は、好ましくは10℃/min以上、より好ましくは50℃/min以上、更に好ましくは、100℃/min以上、特には300℃/minであるとよい。10℃/min以上の速度で高分子フィルムを冷却することで、乱された分子鎖がそのままの状態で急冷および保持されるため、更に発泡し難い原料に改質することができる。
なお、フィルム改質工程において昇温上限値に達した後は、瞬時に冷却を開始しても、昇温上限値で一定時間温度を維持した後に冷却を開始してもよい。
本発明において、一度フィルム改質工程を行った後の熱処理条件については、昇温速度や冷却速度は特に制限されない。
但し、本発明では、一度フィルム改質工程を行った後に、再度フィルム改質工程の条件で昇温、冷却を行う事を妨げない。
<フィルム改質工程の分解反応と重量減少率>
高分子フィルムを熱処理すると、熱処理温度上昇に伴ってグラファイト骨格を形成しない炭素、酸素、水素、窒素などが、炭酸ガス、水、水素ガス、窒素ガス、タール分などの成分として順次排出される。
分解が進行するにつれ、高分子フィルムは黒色化してガラス質となる。フィルム改質工程における高分子フィルムの重量減少率とは、出発原料である高分子フィルムの初期重量に対して、フィルム改質工程前後のフィルムの重量減少の割合を指す。以下の式で計算できる。上記フィルム改質工程における高分子フィルムの重量減少率とは、フィルム改質工程後の重量減少率という意味である。
重量減少率(%)=
〔(初期の高分子フィルムの重量−フィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量)/初期の高分子フィルムの重量〕×100
上記高分子フィルムの初期重量とは、高分子フィルムを熱処理する前、23℃を保持した雰囲気下で24時間放置後、23℃で測定した高分子フィルムの重量である。また、フィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量とは、フィルム改質工程直後の高分子フィルムを、23℃を保持した雰囲気下で24時間放置後、23℃で測定した高分子フィルムの重量である。
<複屈折>
複屈折とはフィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、複屈折を複屈折率と換言することができる。本発明において、高分子フィルムの複屈折は特に制限はないが、好ましくは0.08以上の複屈折を有する高分子フィルムである。複屈折0.08以上の高分子フィルムを用いると、フィルムの炭化、黒鉛化が進行し易くなるので、グラファイト層が発達したグラファイトフィルムが得られ易くなる。
複屈折により黒鉛化後の発泡のし易さは異なる。複屈折が大きいほど発泡し易くなるので、本発明のフィルム改質工程の効果を発現させるためには、昇温上限値を高く設定し、高分子フィルムの分解を進行させる必要がある。なお、複屈折の上限値は特に限定されないが、例えば、0.20以下、さらに0.18以下とすることができる。
複屈折0.13未満の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、複屈折0.12、厚み75μmの場合、フィルム改質工程にて5℃/min以上の昇温速度で熱処理するのに好ましい温度範囲の昇温上限値は、520℃以上700℃以下、好ましくは555℃以上655℃以下、さらに好ましくは580℃以上605℃以下であるとよい。520℃以上であれば、フィルム改質工程の効果が現れる。昇温上限値が700℃以下であると、フィルム改質工程において高分子フィルムの分子配向を乱し過ぎず、黒鉛化後、フィルムに柔軟性を付与でき、熱拡散率も向上する。また、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難い。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。
フィルム改質工程の昇温下限値は、昇温上限値より低くかつ、好ましくは550℃以下、更に好ましくは525℃以下、特に好ましくは500℃以下である。昇温上限値より低くかつ、昇温下限値を550℃以下から実施することで、フィルム改質工程の効果が現れる。
また、フィルム改質工程では昇温上限値から10℃/min以上の冷却速度で冷却するのに好ましい温度範囲は、フィルム改質工程の昇温上限値から、昇温上限値より低くかつ、好ましくは550℃以下、好ましくは525℃以下、更に好ましくは500℃以下まで冷却するとよい。550℃以下まで冷却することで、フィルム改質工程の効果がさらに現れる。すなわち、高分子フィルムを冷却することにより、分子鎖の配向を乱された高分子が保持されたまま冷却されるため、同一のフィルム改質工程を行った後に、高分子フィルムを冷却した場合には、冷却しなかった場合よりも更に発泡が抑制され表面が均一なグラファイトフィルムが得られ易くなるという効果がある。
複屈折0.13未満の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、複屈折0.12、厚み75μmの場合、フィルム改質工程時の重量減少率が、好ましくは1.1%以上38.0%以下、より好ましくは1.2%以上30.0%以下、さらに好ましくは2.8%以上15.0%以下となるように熱処理するとよい。1.1%以上であれば、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。38.0%以下であると、黒鉛化後にフィルムに柔軟性を付与でき、熱拡散率も向上する。また、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難い。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。上記フィルム改質工程時の重量減少率とは、フィルム改質工程後の重量減少率という意味である。
複屈折0.13以上の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、複屈折0.14、厚み75μm、125μmの場合、フィルム改質工程にて5℃/min以上の昇温速度で熱処理するのに好ましい温度範囲の昇温上限値は、580℃以上750℃以下、好ましくは605℃以上730℃以下、さらに好ましくは630℃以上700℃以下であるとよい。580℃以上であれば、フィルム改質工程の効果が現れる。750℃以下であると、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。フィルム改質工程の昇温下限値は、好ましくは550℃以下、好ましくは525℃以下、更に好ましくは500℃以下である。550℃以下から実施することで、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。
また、フィルム改質工程にて10℃/min以上の冷却速度で冷却するのに好ましい温度範囲は、フィルム改質工程の昇温上限値から、好ましくは550℃以下、好ましくは525℃以下、更に好ましくは500℃以下まで冷却するとよい。550℃以下まで冷却することで、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。高分子フィルムを冷却した際の効果は上述した通りである。
複屈折0.13以上の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、複屈折0.14、厚み75μm、125μmの場合、フィルム改質工程時の重量減少率が、好ましくは4.0%以上42.5%以下、より好ましくは20.0%以上40.0%以下、さらに好ましくは30.0%以上37.5%以下となるように熱処理するとよい。4.0%以上であれば、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。一方、42.5%以下であると、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難い。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。上記フィルム改質工程時の重量減少率とは、フィルム改質工程後の重量減少率という意味である。
<グラファイトフィルム>
グラファイトフィルムは、原料フィルムである高分子フィルムを熱処理することにより製造できる。グラファイトフィルムの製造に適した高分子フィルムとして、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオキサジアゾールフィルム、ポリベンゾチアゾールフィルム、ポリベンゾビスアゾールフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、ポリベンゾビスオキサゾールフィルム、ポリパラフェニレンビニレンフィルム、ポリベンゾイミダゾールフィルム、ポリベンゾビスイミダゾールフィルム、ポリチアゾールフィルムのうちから選択された少なくとも一種類以上の高分子フィルムを例示できる。
高分子フィルムとして特に好ましいのは、ポリイミドフィルムである。ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりも、炭化および黒鉛化によりグラファイトの層構造が発達し易いためである。
<バッチ式によるグラファイトフィルムの製造方法>
高分子フィルムからグラファイトフィルムを得る製造方法の一例として、フィルム改質工程の後に、炭化工程、黒鉛化工程、加圧処理工程を実施する方法が挙げられる。炭化工程では、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で加熱処理して炭化する。この炭化工程は、通常1000℃程度の温度にてバッチ式で加熱処理を行う。すなわち、炭化工程では高分子フィルムまたは炭化フィルムが熱処理対象物である(炭化工程では、高分子フィルムまたは炭化フィルムを熱処理する)。例えば、室温から10℃/分昇温速度で予備加熱処理を行った場合には、1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行う加熱処理が望ましい。予備加熱処理の段階では、高分子フィルムの配向性が失われないように面方向の圧力を加えてもよい。なお、上記炭化フィルムには、フィルム改質工程後のフィルムも含まれる。
炭化工程に続く黒鉛化工程は、炭化フィルムを超高温炉内にセットして行われる。すなわち、黒鉛化工程では炭化フィルムが熱処理対象物である(黒鉛化工程では炭化フィルムを熱処理する)。
黒鉛化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中で行われるが、アルゴンを不活性ガスとして用いることが最も適当であり、アルゴンに少量のヘリウムを加えるとさらに好ましい。黒鉛化工程の熱処理温度は、2400℃以上、より好ましくは2600℃以上、さらに好ましくは2800℃以上、特に好ましくは2900℃以上である。なお、黒鉛化工程は炭化工程に続けて連続で行ってもよいが、炭化工程後に一旦、温度を冷却して後に黒鉛化工程を単独で行っても構わない。
炭化工程および黒鉛化工程を経た後のグラファイトフィルムは、グラファイト骨格を形成しないN、フィラー(リン酸系)などの内部ガス発生によりグラファイト層が持ち上げられた発泡状態にある。黒鉛化工程後に発泡状態にあるグラファイトフィルムの場合には、圧縮処理、圧延処理などの加圧処理工程を行なって耐屈曲性を向上させることもできる。
<過度の発泡によるブツ及び表面剥がれ不良>
黒鉛化の過程でグラファイトフィルムを過度に発泡させると、フィルム表面が不均一になる。図1の11のようなブツが発生したり、12のように表面から黒鉛片が剥離した状態(以下、表面剥がれともいう)を呈したりする。特に厚みの厚い原料を用いた場合や、複屈折の高い原料を用いた場合に発生し易い。ブツ及び表面剥がれの発生のメカニズムは、黒鉛化工程時において内部ガスの急激な発生により、グラファイトシェル層が膨張し、破壊されることで生じる。
<フィルム改質工程の雰囲気>
本発明のフィルム改質工程は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス中で行われてもよいし、酸素雰囲気下や真空中や減圧雰囲気で実施してもよい。
<フィルム改質工程を実施する方法>
フィルム改質工程にて高分子フィルムを熱処理する方法は特に制限をされず、どのような方法で実施してもよい。例えば、加熱処理装置内に高分子フィルムを保持しバッチ式で熱処理する方法や、加熱処理装置内にフィルムを連続的に供給し、取り出しを行なう連続式が挙げられる。
生産性の観点から本発明のフィルム改質工程は連続式で実施することが好ましい。また、高分子フィルムへの熱履歴を制御し易いため連続式で実施することが好ましい。例えば、高分子フィルムを一定温度に制御された加熱処理装置を通過させることで、急激な昇温および冷却といったバッチ式では難しい瞬間的な熱履歴を加えることができる。
連続式での昇温速度および冷却速度は、空間的な温度勾配をつけた加熱処理装置内を、所定のライン速度でフィルムを通過させることで制御することができる。例えば、図2の25のように加熱処理装置の入り口の温度を455℃に、入り口から50cm部分を最高温度555℃に、最高温度部から10cmに出口を設け温度を455℃に調整した装置がある。装置内は図2の25ように直線的な温度勾配をつけている。ライン速度を50cm/minとすることで、フィルム上の実温度が455℃〜555℃の温度領域において昇温速度が100℃/min、冷却速度が500℃/minになるように調整することができる。
連続式でフィルム改質工程を実施する方法として、高分子フィルムを容器に保持し、容器ごと加熱装置を通過させる方法(以下、容器セット連続式)や、図3のように長尺の高分子フィルムを加熱処理装置へ連続的に供給しながら連続焼成する方法(以下長尺フィルム連続式ともいう)がある。長尺フィルム連続式は、フィルムへ加える熱履歴を制御し易いために特に好ましい。
<張力を制御するための装置>
フィルム改質工程では、高分子フィルムに対してMD方向に張力を加えながら、前記熱処理を行ってもよい。本発明の長尺フィルム連続式でフィルム改質工程を実施する場合、例えば加熱処理装置の前後に高分子フィルムの張力を調整するための張力調整装置を取り付けて、高分子フィルムに張力を加えながら熱処理してもよい。上記張力調整装置は、高分子フィルムに張力を加えるための装置であり、高分子フィルムに張力を加え、張力を調整することができる。張力を調整するための調整装置として、図2のような巻き替え装置の回転軸にトルクを加える方法などが挙げられる。
本発明の長尺フィルム連続式でのフィルム改質工程において、高分子フィルムに加える引張り強さ(張力)は、5kgf/cm以上500kgf/cm以下、好ましくは10kgf/cm以上300kgf/cm以下、更に好ましくは20kgf/cm以上100kgf/cm以下であるとよい。引張り強さは、5kgf/cm以上であると、フィルムの熱分解収縮に伴うシワの発生を抑制できる。また、500kgf/cm以下であると、フィルムの過剰張力による破損を防ぐことができる。
なお、上記好ましい範囲であっても張力を変動させると、張力の変動に起因して高分子フィルムにシワが発生するおそれがあるため、所望の張力に設定した後、張力を一定値に保持することが望ましい。
<フィルム改質工程の高分子フィルムの全透過率>
フィルム改質工程後の高分子フィルムの全透過率は、フィルム改質工程前の高分子フィルムの全透過率より減少する方が好ましい。フィルム改質工程後の高分子フィルムの全透過率の測定方法は実施例の項に記載した。
<フィルムの厚み方向に加える荷重>
本発明のフィルム改質工程において、加熱処理装置内にてフィルムの厚み方向に荷重を加えることが好ましい。荷重を加える方法として、特に限定しないが、図4のように、炉床41にフィルムを添わせ、上から重石42を載せる方法などが挙げられる。フィルムの厚み方向に加える荷重は、下限が好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上、さらに好ましくは1g/cm以上、上限が好ましくは50g/cm以下、より好ましくは20g/cm以下、さらに好ましくは10g/cm以下であるとよい。荷重が0.1g/cm以上であると、フィルムの熱分解収縮に伴うシワを抑制することができる。また、50g/cm以下であると、過剰荷重によるフィルムの破損を防ぐことができる。
<ライン速度>
本発明のフィルム改質工程におけるフィルムのライン速度(以下、ライン速度ともいう)とは、フィルム改質工程におけるフィルムの搬送速度である。ライン速度は、10cm/min以上500cm/min以下、好ましくは20cm/min以上300cm/min以下、好ましくは30cm/min以上150cm/min以下である。ライン速度が10cm/min以上が生産性の観点から好ましい。また、500cm/min以下であれば、加熱処理装置内での均一な熱処理が可能となり、シワなどの不良が発生し難い。
<2段階以上の加熱空間>
本発明のフィルム改質工程において、加熱処理は2段階以上、好ましくは3段階以上、更には4段階以上、更には5段階以上、特には6段階以上であるとよい。加熱処理が2段階以上あることで、一度に起きる熱分解に伴うフィルムの収縮を小さくすることができるため、シワが発生し難い。なお、各段階では加熱処理の温度が異なる。
なお、本発明のグラファイトフィルムの製造方法は、以下の(1)のように表すこともでき、本発明には(2)〜(6)の形態も含まれる。
(1)高分子フィルムを熱処理することによってグラファイトフィルムを製造する方法であって、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲にて、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
(2)前記フィルム改質工程における熱処理に続けて、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却することを特徴とする(1)に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(3)フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が1.1%以上42.5%以下であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(4)前記高分子フィルムの複屈折が0.13未満であって、フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が1.1%以上38.0%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(5)前記高分子フィルムの複屈折が0.13以上であって、フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が4.0%以上42.5%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(6)前記高分子フィルムが加熱処理装置内を移動する間にフィルム改質工程を行うことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(7)前記フィルム改質工程において、加熱処理装置の前後に高分子フィルムの張力を調整するための調整装置が取り付けられ、MD方向に連続した前記高分子フィルムに張力を加えながら熱処理することを特徴とする(6)に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
以下において、本発明の種々の実施例をいくつかの比較例と共に説明する。
<各種物性測定条件>
<フィルム改質工程後のフィルムの物性>
<割れ(紙管巻き付けテスト)>
フィルム改質工程後のフィルムの割れ易さを評価した。割れの評価は、23℃の雰囲気下、フィルム改質工程後のフィルムを各径の紙管に5周巻きつけて、割れるかどうかで行なった。
評価基準は、フィルムが、直径1インチの紙管に巻いても割れない場合をA、直径1インチでは割れるが直径1.5インチでは割れない場合をB、直径1.5インチでは割れるが直径2インチで割れない場合をC、直径2インチでは割れるが直径3インチでは割れない場合をD、直径3インチでも割れる場合をEとした。
<カット試験>
グラファイトフィルムの50mm角の試験片をカッターナイフ(オルファー製、型番:ブラックS型)で2つにカットすることを試み、切れるものを○、カッターナイフで切れず、割れるものを×とした。重量減少率が3%以下であれば、カッターナイフでカットできる。
<重量減少率、重量保持率>
23℃の雰囲気下、以下式で示されるフィルム改質工程後及び炭化工程後の高分子フィルムの重量減少率を測定した。
重量減少率(%)=
〔(初期の高分子フィルムの重量−フィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量(または炭化工程直後の高分子フィルムの重量))/初期の高分子フィルムの重量〕×100
初期の高分子フィルムの重量およびフィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量については、重量減少率の算出式にて規定した通りであり、炭化工程直後の高分子フィルムの重量とは、炭化工程直後の高分子フィルムを、23℃を保持した雰囲気下で24時間放置後、23℃で測定した高分子フィルムの重量である。
また、重量保持率は以下の式から算出される。
重量保持率(%)=100−重量減少率(%)
<全透過率>
フィルム改質工程後の高分子フィルムの全透過率は、NIPPON DENSHOKUから入手できるヘーズメーター(型式:NDH−300A)を使用して、23℃の雰囲気下測定を実施した。3回測定の平均値を表1、3、5に記載した。
<黒鉛化工程の生産性の評価>
黒鉛化工程の生産性を評価するために、各実施例および比較例において均一発泡する昇温速度が何℃/min以下であるかを確認した。具体的には、各実施例および比較例で炭化工程まで終了したフィルムを5cm角にカットし、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に積層し、2900℃まで0.5℃/min、0.6℃/min、0.75℃/min、1℃/min、1.5℃/min、2℃/min、3℃/min、5℃/min、7.5℃/min、10℃/minの昇温速度で、黒鉛化処理をそれぞれ実施した。図1の表面剥がれ不良12のような表面剥がれ、図1のブツ不良11のような0.5mm以上のブツが発生していないフィルムの昇温速度が何℃/min以下かを測定した。黒鉛化昇温速度が5℃/min、7.5℃/min、10℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをA、2℃/min、3℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをB、1℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをC、0.5℃/min、0.6℃/min、0.75℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをD、0.5℃/min以下でも表面剥がれおよびブツが発生するものをEと評価した。
<グラファイトフィルムの物性>
<表面剥がれの評価>
各実施例および比較例において2900℃まで2℃/minの昇温速度で黒鉛化したグラファイトフィルムから発生する黒鉛粉の数を測定した。30mm角にカットしたグラファイトフィルムと50mm角のポリイミドフィルム(株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH:50μm)を積層し、平らな台の上でISO/DIS 2411に記載の質量2kgのローラーで圧着し、グラファイトフィルムを剥した後に、ポリイミドフィルム上に目視にて長径0.1mm以上の黒鉛粉の個数が、2個未満はA、2個以上5個未満はB、5個以上10個未満はC、10個以上20個未満はD、20個以上はEと記載した。
<グラファイトフィルムのシワ>
グラファイトフィルムのシワの発生程度を評価した。図5のようなフィルム端部からの入り込みが5mm以上のシワが、0個はA、1個以上2個未満はB、2個以上3個未満はC、3個以上5個未満はD、5個以上はEと記載した。
<耐屈曲試験(MIT試験)>
グラファイトフィルムの柔軟性は、MIT耐屈曲試験にて実施した。15×100mmの試験片を、東洋精機(株)製のMIT耐揉疲労試験機型式Dを用いて、試験荷重100gf(0.98N)、速度90回/分、折り曲げクランプの曲率半径Rは2mmで行なった。23℃の雰囲気下、折り曲げ角度は左右へ135度で切断するまでの折り曲げ回数を測定した。10000回以上をA、5000回以上10000回未満をB、1000回以上5000回未満をC、100以上1000回未満をD、100回未満をEと評価した。
<熱拡散率測定>
グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmの形状に切り取ったサンプルを、23℃の雰囲気下、10Hzにて測定した。8.0cm/s以上をA、7.0cm/s以上8.0cm/s未満をB、6.0cm/s以上7.0cm/s未満をC、5.0cm/s以上6.0cm/s未満をD、5.0cm/s未満をEと評価した。
<複屈折>
高分子フィルムの複屈折は、メトリコン社製の屈折率・膜厚測定システム(型番:2010 プリズムカプラ)を使用して測定した。測定は、23℃の雰囲気下、波長594nmの光源を用い、TEモードとTMモードでそれぞれ屈折率を測定し、TE−TMの値を複屈折として測定した。
(実施例1)
図2のように、複屈折0.10、厚み75μm、幅200mm、長さ10mの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHを巻き替え装置にセットし、加熱処理装置に連続的に供給しながらフィルム改質工程を実施した。加熱処理装置のMD方向の長さは60cm、TD方向の長さは30cmとし、加熱処理装置の入り口の温度を455℃に、入り口から50cm部分を最高温度(昇温上限値に該当する)555℃に、最高温度部から10cmに出口を設け温度を455℃に調整した。装置内は図2の加熱処理装置内の温度分布25のように直線的な温度勾配をつけ、ライン速度は高分子フィルム上の実温度が455℃〜555℃の温度領域において昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように調整した(この場合、50cm/min)。
フィルムに対して引張り強さ30kgf/cmで張力を加えながらフィルムを搬送した。加熱処理装置内は図4のように黒鉛製の冶具でフィルムを上下から挟みこみ、間を滑らせるように搬送した。フィルムの厚み方向に加わる圧力は2g/cmに調整した。フィルム改質工程後のフィルムのシワ及び割れの評価、重量減少率、全光透過率の測定を行なった。
次に、フィルム改質工程後のフィルムを、正方形になるようにカットし、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。積層品を炭化炉にセットし、1400℃まで2℃/minの昇温速度で炭化した。
次に炭化後の炭化フィルム/黒鉛シート積層品をそのまま黒鉛化炉に投入し、2900℃まで2℃/minの昇温速度で黒鉛化した。得られたフィルムを10MPaの圧力で圧縮し、得られたグラファイトフィルムの外観(表面剥がれ)、耐屈曲性(MIT)熱拡散性を評価した。結果を表1、2に示す。
(実施例2)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例3)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を605℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例4)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例5)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を655℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例6)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を700℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例7)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の入り口温度と出口温度を25℃(RT)に、最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例8)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が300℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例9)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が50℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例10)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が10℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例11)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が5℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1、2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が300℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例13)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が100℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例14)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が50℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例15)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例16)
複屈折0.10、厚み75μm、200mm角の株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHを、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。この積層品を黒鉛製のコンベアベルトを使用して加熱処理装置内を通過させ、フィルム改質工程を実施した。加熱処理後の冷却速度は、50℃/minであった。その他の条件は実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例17)
複屈折0.10、厚み75μm、200mm角の株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHを、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。この積層品を加熱処理装置内にセットし、455℃〜580℃の温度領域の昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minとなるように、バッチ処理にてフィルム改質工程を実施した。その他の条件は、実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例18)
複屈折0.14、厚み75μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、実施例3と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例19)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例20)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を655℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例21)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を700℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例22)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の入り口温度と出口温度を25℃(RT)に、最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例23)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が300℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例24)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が50℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例25)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が10℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例26)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が5℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例27)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が300℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例28)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が100℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例29)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が50℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例30)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例31)
複屈折0.14、厚み75μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと、フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例16と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。加熱処理後の冷却速度は、50℃/minであった。
(実施例32)
複屈折0.14、厚み75μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと、455℃〜630℃の温度領域の昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minとなるように、バッチ処理にてフィルム改質工程を実施したこと以外は、実施例17と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例33)
複屈折0.14、厚み125μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、実施例3と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例34)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例35)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を655℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例36)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を700℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例37)
複屈折0.14、厚み125μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、実施例31と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例38)
複屈折0.14、厚み125μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、実施例32と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例39)
フィルム改質工程後、炭化工程を行わず、黒鉛化工程を行った以外は、実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。すなわち、フィルム改質工程後のフィルムを、正方形になるようにカットし、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。積層品を黒鉛炉にセットし、2900℃まで2℃/minの昇温速度で黒鉛化した。結果を表5、6に示す。
(実施例40)
炭化工程および黒鉛化工程で高分子フィルムをロール状(円筒状)の形態とした以外は、実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。すなわち、(1)フィルム改質工程後、高分子フィルムをカットせず、ロール状(円筒状)に巻かれたフィルム改質工程後の高分子フィルムを、図7のようにフィルムのTD方法と垂直方法が一致するように炭化炉に投入したこと、および、(2)炭化工程後の高分子フィルムを、炭化炉に投入したときと同様の形態で黒鉛化炉に投入し、2℃/minの昇温速度で2900℃まで高分子フィルムを黒鉛化した。結果を表5、6に示す。
(実施例41)
高分子フィルムをカットせず、ロール状(円筒状)に巻かれたフィルム改質工程後の高分子フィルムを、図7のようにフィルムのTD方法と垂直方法が一致するように黒鉛化炉に投入したこと以外は実施例39と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表5、6に示す。
(実施例42)
東レ・デュポン株式会社から入手可能な厚み75μmのカプトンHを使用したこと以外は実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表5、6に示す。
(実施例43)
高分子フィルムとして、厚み75μmのPOD(ポリパラフェニレンオキサジアゾール)を使用したこと以外は実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表5、6に示す。
(比較例1)
フィルム改質工程を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例2)
炭化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、比較例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例3)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を1400℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例4)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が2℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例5)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が2℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例6)
フィルム改質工程を実施しなかったこと以外は、実施例32と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例7)
炭化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、比較例6と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例8)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を1400℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例9)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が2℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例10)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が2℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例11)
フィルム改質工程を実施しなかったこと以外は、実施例38と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例12)
炭化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、比較例11と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例13)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を1400℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例14)
特許文献2の実施例1に従って実験を実施した。複屈折0.10、厚み75μm、200mm角のポリイミドフィルム(商品名:カプトン 東レ・デュポン社製)を原料とした1600℃までの炭化昇温速度を1℃/min、2700℃までの黒鉛化昇温速度を3℃/minとすること以外は、比較例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。
(比較例15)
1600℃までの炭化昇温速度を5℃/minとすること以外は、比較例14と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。
(比較例16)
1600℃までの炭化昇温速度を20℃/minとすること以外は、比較例14と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。
<フィルム改質工程>
75μmのアピカルAHの熱分解開始温度500℃以上の温度である昇温下限値から、75μmのアピカルAHの熱分解中間温度750℃以下の温度である昇温上限値までの温度範囲を、5℃/分以上の昇温速度で熱処理した後、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却するフィルム改質工程を実施した実施例1〜実施例17と、フィルム改質工程を実施していない比較例1、比較例2、比較例14〜比較例16を比較する。
比較例1、比較例14では、黒鉛化生産性の評価において0.5℃/minと非常に生産性が悪く、黒鉛化生産性を改善すべく炭化昇温速度を速めた比較例2、比較例15、比較例16は、シワ不良が多く発生し、フィルム改質工程を実施せずに生産性よく表面が均一なグラファイトフィルムを作製することは困難であった。一方、実施例1〜17では、フィルム改質工程を実施したことで高分子フィルムを黒鉛化後に発泡し難い原料フィルムに改質でき、黒鉛化速度を速くしても均一発泡しブツや表面剥がれの不良が発生しなかった。また、フィルム改質工程においてシワ不良もあまり発生せず生産性を改善することができた。
75μmのアピカルNPIの熱分解開始温度500℃以上の温度である昇温下限値から、75μmのアピカルNPIの熱分解中間温度800℃以下の温度である昇温上限値までの温度範囲を、5℃/分以上の昇温速度で熱処理した後、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却するフィルム改質工程を実施した実施例18〜実施例32とフィルム改質工程を実施していない比較例6、比較例7の比較、125μmのアピカルNPIを原料に用いて、高分子フィルムの分解開始温度500℃から熱分解中間温度800℃までの温度領域の一部にてフィルム改質工程を実施した実施例33〜実施例38とフィルム改質工程を実施していない比較例11、比較例12の比較においても同様の傾向があり、フィルム改質工程の効果が確認できた。
<フィルム改質工程の昇温速度>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程の昇温速度が異なる実施例2、実施例8〜実施例11、比較例4を比較する。昇温速度が5℃/min以上である実施例2、実施例8〜実施例11では黒鉛化生産性の評価がよく、フィルム改質工程の効果がよく現れていた。一方、比較例4では、黒鉛化生産性の評価が改善していなかった。これは、速い速度でフィルムに熱履歴を加えたことで分子鎖が乱され、発泡し難い原料に改質させることができたためと考えられる。特に50℃/min以上であると、フィルム改質工程の効果が顕著であった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例19、実施例23〜実施例26、比較例9の比較においても同様の傾向があり、昇温速度は5℃/minでフィルム改質工程の効果が得られ易いことが確認できた。
<フィルム改質工程の冷却速度>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程の冷却速度が異なる実施例2、実施例12〜実施例15、比較例5を比較する。冷却速度が10℃/min以上である実施例2、実施例12〜実施例15では、黒鉛化生産性の評価がよく、フィルム改質工程の効果がよく現れていた。一方、比較例5では、黒鉛化生産性の評価が改善していなかった。これは、速く冷却したことで、乱された分子鎖がそのままの状態で急冷および保持されるため、発泡し難い原料に改質することができたと考えられる。特に100℃/min以上であると、フィルム改質工程の効果が顕著であった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例19、実施例27〜実施例30、比較例10の比較においても同様の傾向があり、冷却速度は速い方がフィルム改質工程の効果が得られ易いことが確認できた。
<フィルム改質工程を実施する温度領域>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する昇温上限値が異なる実施例1〜実施例7と比較例3を比較する。フィルム改質工程の昇温上限値が750℃以下である実施例1〜実施例7は比較例3より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、最高温度が605℃以下であった実施例1〜実施例3は、割れ難かった。
また、フィルム改質工程の昇温上限値が高くなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、580℃以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
一方、昇温上限値を高くし過ぎると、フィルム改質工程にて高分子フィルムの分子配向を乱し過ぎるために、MIT試験や熱拡散率の測定結果が悪くなった。フィルム改質工程の昇温上限値は、630℃以下が特に好ましい。
フィルム改質工程の開始温度のみ異なる実施例2と実施例7は、同様の物性のグラファイトフィルムが得られたため、高分子フィルムの分解開始温度500℃以下の温度域の熱処理条件は特に制御する必要がないことがわかった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する昇温上限値が異なる実施例18〜実施例22と比較例8の比較においても同様の傾向があった。フィルム改質工程の昇温上限値が800℃以下である実施例18〜実施例22は比較例8より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、昇温上限値が630℃以下であった実施例18〜実施例19は、割れ難かった。
また、フィルム改質工程の昇温上限値が高くなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、630℃以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
また、フィルム改質工程の開始温度のみ異なる実施例19と実施例22は、同様の物性のグラファイトフィルムが得られたため、高分子フィルムの分解開始温度500℃以下の温度域の熱処理条件は特に制御する必要がないことがわかった。
125μmのアピカルNPIを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する昇温上限値が異なる実施例33〜実施例36と比較例13の比較においても同様の傾向があった。フィルム改質工程の昇温上限値が800℃以下である実施例33〜実施例36は比較例13より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、昇温上限値が630℃以下であった実施例33〜実施例34は、割れ難かった。
また、フィルム改質工程の最高温度が高くなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、630℃以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
<高分子の分解反応と重量減少率>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、重量減少率が異なるようにフィルム改質工程を実施した実施例1〜実施例6と比較例3を比較する。重量減少率が38.0%以下である実施例1〜実施例6は比較例3より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了していないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、重量減少率15.0%以下であった実施例1〜実施例3は、割れ難かった。
また、重量減少率が大きくなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、重量減少率が2.8%以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
一方、重量減少率を大きくし過ぎると、フィルム改質工程にて高分子フィルムの分子配向を乱し過ぎるために、MIT試験や熱拡散率の測定結果が悪くなった。フィルム改質工程の重量減少率は、26.5%以下が特に好ましい。
75μmのアピカルNPIを原料に用いて、重量減少率が異なる実施例18〜実施例21と比較例8の比較においても同様の傾向があった。重量減少率が44.0%以下である実施例18〜実施例21は比較例8より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了していないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、重量減少率30.0%以下であった実施例18〜実施例19は、割れ難かった。
また、重量減少率が大きくなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、30%以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
125μmのアピカルNPIを原料に用いて、重量減少率が異なる実施例33〜実施例36と比較例13の比較においても同様の傾向があった。重量減少率が44.0%以下である実施例33〜実施例36は比較例13より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了していないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、重量減少率30.0%以下であった実施例33〜実施例34で得られた高分子フィルムは、割れ難かった。
また、重量減少率が大きくなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、30%以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
<フィルム改質工程を実施する方法>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する方法が異なる実施例2、実施例16、実施例17を比較する。長尺フィルム連続式で実施した実施例2、容器セット連続式で実施した実施例16、容器セットバッチ式で実施した実施例17の順に黒鉛化生産性の評価がよく、フィルム改質工程の効果がよく現れていた。これは、実施例2、実施例16は連続式であるために、熱処理後直ぐに炉から取り出せ、冷却速度を速くできたためである。特に、実施例2は熱容量の小さなフィルム単体を加熱空間から取り出すため、冷却速度を速くすることができ、フィルム改質工程の効果が顕著であった。また、長尺フィルム連続式で実施した実施例2はその他の方法と比較して、フィルムそのものに張力を加えながら熱処理できたために、フィルム改質工程後のシワが少なく、紙管巻き付けテストにおいて割れが少なかった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例19、実施例31、実施例32の比較、125μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例34、実施例37、実施例38の比較においても同様の傾向があり、フィルム改質工程は連続式、好ましくは長尺フィルム連続式で実施した方が好ましいことがわかった。
<複屈折と適切なフィルム改質工程の関係>
75μm、複屈折0.10のアピカルAHを原料に用いた実施例1〜実施例6、比較例1と、複屈折0.14のアピカルNPIを原料に用いた実施例18〜実施例21、比較例6を比較する。
まず、発泡処理工程を実施していない比較例1と比較例6の黒鉛化生産性評価を比較すると、比較例1は0.5℃/minまで黒鉛化昇温速度を遅くすると均一発泡させることができるが、比較例6は均一発泡できないことがわかる。これは、複屈折がアピカルAHの方が小さいためにそもそもの分子配向が悪く、アピカルNPIより発泡し難いためである。
次に、発泡処理工程を実施した実施例1〜実施例6と実施例18〜実施例21を比較する。アピカルAHを原料に用いた場合は、実施例2のように重量減少率が2.8%で黒鉛化生産性がAとなったが、アピカルNPI用いた場合は、30.0%でBとなり、アピカルAHの方がフィルム改質工程の効果が表れ易いことがわかった。これも、アピカルAHの方がそもそもの分子配向が悪く、低温での発泡処理工程でも分子鎖を乱せるためである。
また、複屈折の小さなアピカルAHに、高温でフィルム改質工程を実施すると実施例4〜実施例6のようにMIT及び熱拡散率の評価が悪くなった。これは、フィルム改質工程にて過剰に分子鎖を乱しすぎて、黒鉛化が進行し難いフィルムとなったためである。
<炭化工程の有無、および炭化工程での高分子フィルムの形態>
炭化工程を行わなかった実施例39では、グラファイトフィルムに若干シワが生じ易かったものの、その他は実施例2と同様にグラファイトフィルムが得られた。実施例2、39の比較から、炭化工程を行わなくとも、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかる。
ロール状の高分子フィルムに対して炭化工程を行った実施例40では、カットした高分子フィルムの形態で炭化工程を行った実施例2と同品質のグラファイトフィルムが得られた。このことから、炭化工程での高分子フィルムの形態によらず、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかる。
また、炭化工程を行わず、ロール状の高分子フィルムに対して黒鉛化工程を行った実施例41では、シート状にカットした高分子フィルムに対して黒鉛化工程を行った実施例39と同品質のグラファイトフィルムが得られた。このことから、黒鉛化工程での高分子フィルムの形態によらず、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかる。
<高分子フィルムの種類>
実施例2、42の比較から、高分子フィルムの種類が異なっても、本発明に係る製造方法により、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかった。
また、実施例43では、高分子フィルムとしてPODを用いたところ、得られたグラファイトフィルムの熱拡散率は低かったが、表面剥がれ、シワ、MITの面で優れたグラファイトフィルムが得られた。異なる種類の高分子フィルムに対しても、本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法は有効である。
11 ブツ不良
12 表面剥がれ不良
21 高分子フィルム
22 フィルム改質工程後のフィルム
23 加熱処理装置
24 巻き替え装置
25 加熱処理装置内の温度分布
26 長尺フィルム連続式でのフィルム改質工程の模式図
41 炉床
42 重石
51 シワ
61 熱処理後の高分子フィルム
71 フィルム改質工程後または炭化工程後の高分子フィルムの巻物
72 炉床
73 重力方向
本発明は、グラファイトフィルムの製造方法に関するものである。
高分子焼成タイプのグラファイトフィルムは、優れた放熱特性を有していることから、コンピュータなどの各種電子または電気機器に搭載されている半導体素子や他の発熱部品などに放熱部品として用いられる。従来、高分子フィルムを1000℃付近まで予備焼成する炭化工程と、炭化工程にて得られた炭化フィルムを2700℃程度まで熱処理する黒鉛化工程を実施するグラファイトフィルムの製造方法が開発されている。例えば特許文献1では、125μmのポリイミドフィルムを原料とした厚物のグラファイトフィルムの製造方法が開示されており、1000℃までの炭化昇温速度を5℃/min、2800℃までの黒鉛化昇温速度を1℃/minとすることで表面が均一なグラファイトフィルムが得られることが記載されている。
また、特許文献2には、75μmのポリイミドフィルムを原料としたグラファイトフィルムの製造方法が開示されており、1600℃までの炭化昇温速度を1℃/min、5℃/min、20℃/min、2700℃までの黒鉛化昇温速度を3℃/minとすることでグラファイトフィルムが得られることが記載されている。
日本国公開特許公報「特開2008−024571号公報(2008年2月7日公開)」 日本国公開特許公報「特開2000−178016号公報(2000年6月27日公開)」
しかし、特許文献1、2の方法では、グラファイトフィルムの表面剥がれやシワを抑制することが困難であった。本発明は、表面剥がれやシワが抑制されたグラファイトフィルムを製造することを目的とする。
すなわち、本発明のグラファイトフィルムの製造方法は、高分子フィルムを熱処理することによってグラファイトフィルムを製造する方法であって、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲にて、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法に関する(請求項1)
本発明のグラファイトフィルムの製造方法によれば、グラファイトフィルムの表面剥がれ及びグラファイトフィルムのシワを抑制することができる。
過度の発泡によるブツ及び表面剥がれ不良を示す写真図である。 連続式でのフィルム改質工程において昇温速度および冷却速度を制御するための温度勾配を示すグラフおよび加熱処理装置等を示す模式図である。 長尺フィルム連続式でのフィルム改質工程において加熱処理装置等を示す斜視図である。 フィルム改質工程にてフィルムの厚み方向に荷重を加える方法における加熱処理装置等の一例を示す断面図である。 グラファイトフィルムのシワの外観を示す写真図である。 高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理した場合に入るシワを示す写真図である。 高分子フィルムのセット方法を示す模式図である。
本発明は、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲を、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
上記製造方法は、高分子フィルムを熱処理することによってグラファイトフィルムを製造する方法であって、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲にて、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法を意味する。
従来、表面が均一で良質のグラファイトフィルムを得るためには、黒鉛化昇温速度を低速度化しなければならず、生産性が非常に悪かった。
特に厚みの厚い高分子フィルムを原料に用いる場合は、表面剥がれやブツなどの不良が発生する課題があった。本発明では、高分子フィルムの分解初期のある特定の温度域に絞って、特殊な熱処理を加えることにより(本願では、フィルム改質工程ともいう)、その後の黒鉛化処理時の炭化フィルムにおける発泡を抑制でき、黒鉛化昇温速度を速くしても良質のグラファイトフィルムを得ることができる。
フィルム改質工程の効果発現のメカニズムは、以下の通りである。まず、高分子フィルムの分解初期において急激に熱履歴を加えることで、高分子の分子鎖の配向を乱すことができる。配向を乱された高分子フィルムは、グラファイト層が黒鉛化の際に高温領域まで発達し難くなり、黒鉛化の過程で発生する内部ガスをスムーズに抜くことができるため、炭化フィルムの発泡が抑制され、表面が均一なグラファイトフィルムが得られ易くなる。すなわち、フィルム改質工程での熱処理対象物は、高分子フィルムまたは炭化フィルムである(フィルム改質工程では、高分子フィルムまたは炭化フィルムを熱処理する)。なお、本発明で炭化フィルムとは、高分子フィルムを加熱して重量減少が始まっている(重量減少が生じた)フィルムも含む。
また、本発明は、前記フィルム改質工程における熱処理に続けて、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却することもできる。その場合には、分子鎖の配向を乱された高分子が保持されたまま冷却されるため、更に発泡が抑制され表面が均一なフィルムが得られ易くなる。つまり、本発明は、高分子フィルムの分解反応の初期段階においてフィルム改質工程を実施して、高分子フィルムを良質のグラファイトフィルムに転換し易い原料に改質するためのものである。
<フィルム改質工程を実施する温度>
本発明のフィルム改質工程を実施する温度範囲は、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲である。
高分子フィルムの熱分解開始温度より高い温度であれば、熱処理により分子鎖の配向を乱すことができる。また、熱分解中間温度よりも低い温度であれば、分子鎖を乱しすぎて、黒鉛化が進行し難くなることがない。高分子フィルムの熱分解開始温度、熱分解中間温度及び昇温下限値、昇温上限値は、熱処理される高分子フィルム上の実温度である。高分子フィルム上の実温度は、φ0.5mmのシース型K熱電対を使用して、高分子フィルムと熱電対を接触させて測定できる。
なお、高分子フィルムの熱分解開始温度より低い温度や昇温下限値より低い温度の熱処理条件は特に制限されない。また、一度フィルム改質工程を行った後の、昇温上限値よりも高い温度や熱分解中間温度よりも高い温度の熱処理条件も特に制限されない。ここで高分子フィルムの熱分解開始温度とは、その高分子フィルムを10℃/minの昇温速度で熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して1.0%の重量減少が生じる温度と定義する。
詳細には、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の熱分析システムEXSTAR6000及び熱重量測定装置TG/DTA 220Uを用いて、試料量は10mg、窒素雰囲流通下(200mL/min)にて、室温(23℃)から1000℃まで10℃/minの昇温速度で熱処理を行い、1.0%の重量減少が生じる温度である。
本発明の実施例で用いたポリイミドフィルム(株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH 厚み75μm、アピカルNPI 厚み75μm、125μm)の場合には熱分解開始温度は500℃である。熱分解開始温度の測定は、上記定義に従って実施した。また、高分子フィルムの熱分解中間温度とは、フィルム改質工程を実施できる上限の温度である。熱分解中間温度を超えてフィルム改質工程を実施すると、分子鎖を乱しすぎて黒鉛化が進行し難くなる。
例えば、複屈折0.13未満の高分子フィルムの場合、高分子フィルムの熱分解中間温度はその高分子フィルムを10℃/minの昇温速度で熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して40.0%の重量減少が生じる温度と定義する。
詳細には、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の熱分析システムEXSTAR6000及び熱重量測定装置TG/DTA 220Uを用いて、試料量は10mg、窒素雰囲流通下(200mL/min)にて、室温(23℃)から1000℃まで10℃/minの昇温速度で熱処理を行い、40.0%の重量減少が生じる温度である。なお、本願実施例では、複屈折0.12の株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、厚み75μmを使用した。
また、複屈折0.13以上の高分子フィルムの場合は、高分子フィルムの熱分解中間温度はその高分子フィルムを10℃/minの昇温速度で熱処理したときに初期の高分子フィルムの重量に対して44.0%の重量減少が生じる温度と定義する。詳細の測定は複屈折0.13未満の場合と同様である。なお、本願実施例では、複屈折0.14の株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、厚み75μm、125μmを使用した。
本発明の熱分解中間温度は、好ましくは900℃以下、更に好ましくは800℃以下、更には700℃以下、更には650℃以下、特に好ましくは600℃以下である。熱分解中間温度が900℃以下であると、高分子フィルムの炭化が完全に進行していないため、高分子の性質が残っており割れ難い。また、高分子フィルムの収縮量が小さいために、シワも発生し難い。
実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、複屈折0.12、厚み75μmの場合、熱分解中間温度は750℃である。熱分解中間温度の測定は、上記定義に従って実施した。実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、複屈折0.14、厚み75μm、125μmの場合、熱分解中間温度は800℃である。熱分解中間温度の測定は、上記定義に従って実施した。
<フィルム改質工程の昇温速度、冷却速度>
本発明ではフィルム改質工程において特定の条件で昇温速度を制御することが必要である。本発明のフィルム改質工程における昇温下限値から昇温上限値までの昇温速度は、好ましくは5℃/min以上、より好ましくは10℃/min以上、更に好ましくは、50℃/min以上、特には100℃/minであるとよい。5℃/min以上の速度で急激に高分子フィルムに熱履歴を加えることで分子鎖が乱され、発泡し難い原料に改質させることができる。
また、本発明ではフィルム改質工程において特定条件での冷却速度で行うこともできる。本発明のフィルム改質工程における昇温上限値から昇温下限値までの冷却速度は、好ましくは10℃/min以上、より好ましくは50℃/min以上、更に好ましくは、100℃/min以上、特には300℃/minであるとよい。10℃/min以上の速度で高分子フィルムを冷却することで、乱された分子鎖がそのままの状態で急冷および保持されるため、更に発泡し難い原料に改質することができる。
なお、フィルム改質工程において昇温上限値に達した後は、瞬時に冷却を開始しても、昇温上限値で一定時間温度を維持した後に冷却を開始してもよい。
本発明において、一度フィルム改質工程を行った後の熱処理条件については、昇温速度や冷却速度は特に制限されない。
但し、本発明では、一度フィルム改質工程を行った後に、再度フィルム改質工程の条件で昇温、冷却を行う事を妨げない。
<フィルム改質工程の分解反応と重量減少率>
高分子フィルムを熱処理すると、熱処理温度上昇に伴ってグラファイト骨格を形成しない炭素、酸素、水素、窒素などが、炭酸ガス、水、水素ガス、窒素ガス、タール分などの成分として順次排出される。
分解が進行するにつれ、高分子フィルムは黒色化してガラス質となる。フィルム改質工程における高分子フィルムの重量減少率とは、出発原料である高分子フィルムの初期重量に対して、フィルム改質工程前後のフィルムの重量減少の割合を指す。以下の式で計算できる。上記フィルム改質工程における高分子フィルムの重量減少率とは、フィルム改質工程後の重量減少率という意味である。
重量減少率(%)=
〔(初期の高分子フィルムの重量−フィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量)/初期の高分子フィルムの重量〕×100
上記高分子フィルムの初期重量とは、高分子フィルムを熱処理する前、23℃を保持した雰囲気下で24時間放置後、23℃で測定した高分子フィルムの重量である。また、フィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量とは、フィルム改質工程直後の高分子フィルムを、23℃を保持した雰囲気下で24時間放置後、23℃で測定した高分子フィルムの重量である。
<複屈折>
複屈折とはフィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、複屈折を複屈折率と換言することができる。本発明において、高分子フィルムの複屈折は特に制限はないが、好ましくは0.08以上の複屈折を有する高分子フィルムである。複屈折0.08以上の高分子フィルムを用いると、フィルムの炭化、黒鉛化が進行し易くなるので、グラファイト層が発達したグラファイトフィルムが得られ易くなる。
複屈折により黒鉛化後の発泡のし易さは異なる。複屈折が大きいほど発泡し易くなるので、本発明のフィルム改質工程の効果を発現させるためには、昇温上限値を高く設定し、高分子フィルムの分解を進行させる必要がある。なお、複屈折の上限値は特に限定されないが、例えば、0.20以下、さらに0.18以下とすることができる。
複屈折0.13未満の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、複屈折0.12、厚み75μmの場合、フィルム改質工程にて5℃/min以上の昇温速度で熱処理するのに好ましい温度範囲の昇温上限値は、520℃以上700℃以下、好ましくは555℃以上655℃以下、さらに好ましくは580℃以上605℃以下であるとよい。520℃以上であれば、フィルム改質工程の効果が現れる。昇温上限値が700℃以下であると、フィルム改質工程において高分子フィルムの分子配向を乱し過ぎず、黒鉛化後、フィルムに柔軟性を付与でき、熱拡散率も向上する。また、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難い。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。
フィルム改質工程の昇温下限値は、昇温上限値より低くかつ、好ましくは550℃以下、更に好ましくは525℃以下、特に好ましくは500℃以下である。昇温上限値より低くかつ、昇温下限値を550℃以下から実施することで、フィルム改質工程の効果が現れる。
また、フィルム改質工程では昇温上限値から10℃/min以上の冷却速度で冷却するのに好ましい温度範囲は、フィルム改質工程の昇温上限値から、昇温上限値より低くかつ、好ましくは550℃以下、好ましくは525℃以下、更に好ましくは500℃以下まで冷却するとよい。550℃以下まで冷却することで、フィルム改質工程の効果がさらに現れる。すなわち、高分子フィルムを冷却することにより、分子鎖の配向を乱された高分子が保持されたまま冷却されるため、同一のフィルム改質工程を行った後に、高分子フィルムを冷却した場合には、冷却しなかった場合よりも更に発泡が抑制され表面が均一なグラファイトフィルムが得られ易くなるという効果がある。
複屈折0.13未満の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH、複屈折0.12、厚み75μmの場合、フィルム改質工程時の重量減少率が、好ましくは1.1%以上38.0%以下、より好ましくは1.2%以上30.0%以下、さらに好ましくは2.8%以上15.0%以下となるように熱処理するとよい。1.1%以上であれば、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。38.0%以下であると、黒鉛化後にフィルムに柔軟性を付与でき、熱拡散率も向上する。また、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難い。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。上記フィルム改質工程時の重量減少率とは、フィルム改質工程後の重量減少率という意味である。
複屈折0.13以上の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、複屈折0.14、厚み75μm、125μmの場合、フィルム改質工程にて5℃/min以上の昇温速度で熱処理するのに好ましい温度範囲の昇温上限値は、580℃以上750℃以下、好ましくは605℃以上730℃以下、さらに好ましくは630℃以上700℃以下であるとよい。580℃以上であれば、フィルム改質工程の効果が現れる。750℃以下であると、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。フィルム改質工程の昇温下限値は、好ましくは550℃以下、好ましくは525℃以下、更に好ましくは500℃以下である。550℃以下から実施することで、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。
また、フィルム改質工程にて10℃/min以上の冷却速度で冷却するのに好ましい温度範囲は、フィルム改質工程の昇温上限値から、好ましくは550℃以下、好ましくは525℃以下、更に好ましくは500℃以下まで冷却するとよい。550℃以下まで冷却することで、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。高分子フィルムを冷却した際の効果は上述した通りである。
複屈折0.13以上の高分子フィルム、例えば実施例で用いた株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルNPI、複屈折0.14、厚み75μm、125μmの場合、フィルム改質工程時の重量減少率が、好ましくは4.0%以上42.5%以下、より好ましくは20.0%以上40.0%以下、さらに好ましくは30.0%以上37.5%以下となるように熱処理するとよい。4.0%以上であれば、フィルム改質工程の効果が好ましく現れる。一方、42.5%以下であると、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難い。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難い。上記フィルム改質工程時の重量減少率とは、フィルム改質工程後の重量減少率という意味である。
<グラファイトフィルム>
グラファイトフィルムは、原料フィルムである高分子フィルムを熱処理することにより製造できる。グラファイトフィルムの製造に適した高分子フィルムとして、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオキサジアゾールフィルム、ポリベンゾチアゾールフィルム、ポリベンゾビスアゾールフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、ポリベンゾビスオキサゾールフィルム、ポリパラフェニレンビニレンフィルム、ポリベンゾイミダゾールフィルム、ポリベンゾビスイミダゾールフィルム、ポリチアゾールフィルムのうちから選択された少なくとも一種類以上の高分子フィルムを例示できる。
高分子フィルムとして特に好ましいのは、ポリイミドフィルムである。ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりも、炭化および黒鉛化によりグラファイトの層構造が発達し易いためである。
<バッチ式によるグラファイトフィルムの製造方法>
高分子フィルムからグラファイトフィルムを得る製造方法の一例として、フィルム改質工程の後に、炭化工程、黒鉛化工程、加圧処理工程を実施する方法が挙げられる。炭化工程では、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で加熱処理して炭化する。この炭化工程は、通常1000℃程度の温度にてバッチ式で加熱処理を行う。すなわち、炭化工程では高分子フィルムまたは炭化フィルムが熱処理対象物である(炭化工程では、高分子フィルムまたは炭化フィルムを熱処理する)。例えば、室温から10℃/分昇温速度で予備加熱処理を行った場合には、1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行う加熱処理が望ましい。予備加熱処理の段階では、高分子フィルムの配向性が失われないように面方向の圧力を加えてもよい。なお、上記炭化フィルムには、フィルム改質工程後のフィルムも含まれる。
炭化工程に続く黒鉛化工程は、炭化フィルムを超高温炉内にセットして行われる。すなわち、黒鉛化工程では炭化フィルムが熱処理対象物である(黒鉛化工程では炭化フィルムを熱処理する)。
黒鉛化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中で行われるが、アルゴンを不活性ガスとして用いることが最も適当であり、アルゴンに少量のヘリウムを加えるとさらに好ましい。黒鉛化工程の熱処理温度は、2400℃以上、より好ましくは2600℃以上、さらに好ましくは2800℃以上、特に好ましくは2900℃以上である。なお、黒鉛化工程は炭化工程に続けて連続で行ってもよいが、炭化工程後に一旦、温度を冷却して後に黒鉛化工程を単独で行っても構わない。
炭化工程および黒鉛化工程を経た後のグラファイトフィルムは、グラファイト骨格を形成しないN、フィラー(リン酸系)などの内部ガス発生によりグラファイト層が持ち上げられた発泡状態にある。黒鉛化工程後に発泡状態にあるグラファイトフィルムの場合には、圧縮処理、圧延処理などの加圧処理工程を行なって耐屈曲性を向上させることもできる。
<過度の発泡によるブツ及び表面剥がれ不良>
黒鉛化の過程でグラファイトフィルムを過度に発泡させると、フィルム表面が不均一になる。図1の11のようなブツが発生したり、12のように表面から黒鉛片が剥離した状態(以下、表面剥がれともいう)を呈したりする。特に厚みの厚い原料を用いた場合や、複屈折の高い原料を用いた場合に発生し易い。ブツ及び表面剥がれの発生のメカニズムは、黒鉛化工程時において内部ガスの急激な発生により、グラファイトシェル層が膨張し、破壊されることで生じる。
<フィルム改質工程の雰囲気>
本発明のフィルム改質工程は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス中で行われてもよいし、酸素雰囲気下や真空中や減圧雰囲気で実施してもよい。
<フィルム改質工程を実施する方法>
フィルム改質工程にて高分子フィルムを熱処理する方法は特に制限をされず、どのような方法で実施してもよい。例えば、加熱処理装置内に高分子フィルムを保持しバッチ式で熱処理する方法や、加熱処理装置内にフィルムを連続的に供給し、取り出しを行なう連続式が挙げられる。
生産性の観点から本発明のフィルム改質工程は連続式で実施することが好ましい。また、高分子フィルムへの熱履歴を制御し易いため連続式で実施することが好ましい。例えば、高分子フィルムを一定温度に制御された加熱処理装置を通過させることで、急激な昇温および冷却といったバッチ式では難しい瞬間的な熱履歴を加えることができる。
連続式での昇温速度および冷却速度は、空間的な温度勾配をつけた加熱処理装置内を、所定のライン速度でフィルムを通過させることで制御することができる。例えば、図2の25のように加熱処理装置の入り口の温度を455℃に、入り口から50cm部分を最高温度555℃に、最高温度部から10cmに出口を設け温度を455℃に調整した装置がある。装置内は図2の25ように直線的な温度勾配をつけている。ライン速度を50cm/minとすることで、フィルム上の実温度が455℃〜555℃の温度領域において昇温速度が100℃/min、冷却速度が500℃/minになるように調整することができる。
連続式でフィルム改質工程を実施する方法として、高分子フィルムを容器に保持し、容器ごと加熱装置を通過させる方法(以下、容器セット連続式)や、図3のように長尺の高分子フィルムを加熱処理装置へ連続的に供給しながら連続焼成する方法(以下長尺フィルム連続式ともいう)がある。長尺フィルム連続式は、フィルムへ加える熱履歴を制御し易いために特に好ましい。
<張力を制御するための装置>
フィルム改質工程では、高分子フィルムに対してMD方向に張力を加えながら、前記熱処理を行ってもよい。本発明の長尺フィルム連続式でフィルム改質工程を実施する場合、例えば加熱処理装置の前後に高分子フィルムの張力を調整するための張力調整装置を取り付けて、高分子フィルムに張力を加えながら熱処理してもよい。上記張力調整装置は、高分子フィルムに張力を加えるための装置であり、高分子フィルムに張力を加え、張力を調整することができる。張力を調整するための調整装置として、図2のような巻き替え装置の回転軸にトルクを加える方法などが挙げられる。
本発明の長尺フィルム連続式でのフィルム改質工程において、高分子フィルムに加える引張り強さ(張力)は、5kgf/cm以上500kgf/cm以下、好ましくは10kgf/cm以上300kgf/cm以下、更に好ましくは20kgf/cm以上100kgf/cm以下であるとよい。引張り強さは、5kgf/cm以上であると、フィルムの熱分解収縮に伴うシワの発生を抑制できる。また、500kgf/cm以下であると、フィルムの過剰張力による破損を防ぐことができる。
なお、上記好ましい範囲であっても張力を変動させると、張力の変動に起因して高分子フィルムにシワが発生するおそれがあるため、所望の張力に設定した後、張力を一定値に保持することが望ましい。
<フィルム改質工程の高分子フィルムの全透過率>
フィルム改質工程後の高分子フィルムの全透過率は、フィルム改質工程前の高分子フィルムの全透過率より減少する方が好ましい。フィルム改質工程後の高分子フィルムの全透過率の測定方法は実施例の項に記載した。
<フィルムの厚み方向に加える荷重>
本発明のフィルム改質工程において、加熱処理装置内にてフィルムの厚み方向に荷重を加えることが好ましい。荷重を加える方法として、特に限定しないが、図4のように、炉床41にフィルムを添わせ、上から重石42を載せる方法などが挙げられる。フィルムの厚み方向に加える荷重は、下限が好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上、さらに好ましくは1g/cm以上、上限が好ましくは50g/cm以下、より好ましくは20g/cm以下、さらに好ましくは10g/cm以下であるとよい。荷重が0.1g/cm以上であると、フィルムの熱分解収縮に伴うシワを抑制することができる。また、50g/cm以下であると、過剰荷重によるフィルムの破損を防ぐことができる。
<ライン速度>
本発明のフィルム改質工程におけるフィルムのライン速度(以下、ライン速度ともいう)とは、フィルム改質工程におけるフィルムの搬送速度である。ライン速度は、10cm/min以上500cm/min以下、好ましくは20cm/min以上300cm/min以下、好ましくは30cm/min以上150cm/min以下である。ライン速度が10cm/min以上が生産性の観点から好ましい。また、500cm/min以下であれば、加熱処理装置内での均一な熱処理が可能となり、シワなどの不良が発生し難い。
<2段階以上の加熱空間>
本発明のフィルム改質工程において、加熱処理は2段階以上、好ましくは3段階以上、更には4段階以上、更には5段階以上、特には6段階以上であるとよい。加熱処理が2段階以上あることで、一度に起きる熱分解に伴うフィルムの収縮を小さくすることができるため、シワが発生し難い。なお、各段階では加熱処理の温度が異なる。
なお、本発明のグラファイトフィルムの製造方法は、以下の(1)のように表すこともでき、本発明には(2)〜(6)の形態も含まれる。
(1)高分子フィルムを熱処理することによってグラファイトフィルムを製造する方法であって、高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲にて、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
(2)前記フィルム改質工程における熱処理に続けて、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却することを特徴とする(1)に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(3)フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が1.1%以上42.5%以下であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(4)前記高分子フィルムの複屈折が0.13未満であって、フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が1.1%以上38.0%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(5)前記高分子フィルムの複屈折が0.13以上であって、フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が4.0%以上42.5%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(6)前記高分子フィルムが加熱処理装置内を移動する間にフィルム改質工程を行うことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(7)前記フィルム改質工程において、加熱処理装置の前後に高分子フィルムの張力を調整するための調整装置が取り付けられ、MD方向に連続した前記高分子フィルムに張力を加えながら熱処理することを特徴とする(6)に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
以下において、本発明の種々の実施例をいくつかの比較例と共に説明する。
<各種物性測定条件>
<フィルム改質工程後のフィルムの物性>
<割れ(紙管巻き付けテスト)>
フィルム改質工程後のフィルムの割れ易さを評価した。割れの評価は、23℃の雰囲気下、フィルム改質工程後のフィルムを各径の紙管に5周巻きつけて、割れるかどうかで行なった。
評価基準は、フィルムが、直径1インチの紙管に巻いても割れない場合をA、直径1インチでは割れるが直径1.5インチでは割れない場合をB、直径1.5インチでは割れるが直径2インチで割れない場合をC、直径2インチでは割れるが直径3インチでは割れない場合をD、直径3インチでも割れる場合をEとした。
<カット試験>
グラファイトフィルムの50mm角の試験片をカッターナイフ(オルファー製、型番:ブラックS型)で2つにカットすることを試み、切れるものを○、カッターナイフで切れず、割れるものを×とした。重量減少率が3%以下であれば、カッターナイフでカットできる。
<重量減少率、重量保持率>
23℃の雰囲気下、以下式で示されるフィルム改質工程後及び炭化工程後の高分子フィルムの重量減少率を測定した。
重量減少率(%)=
〔(初期の高分子フィルムの重量−フィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量(または炭化工程直後の高分子フィルムの重量))/初期の高分子フィルムの重量〕×100
初期の高分子フィルムの重量およびフィルム改質工程直後の高分子フィルムの重量については、重量減少率の算出式にて規定した通りであり、炭化工程直後の高分子フィルムの重量とは、炭化工程直後の高分子フィルムを、23℃を保持した雰囲気下で24時間放置後、23℃で測定した高分子フィルムの重量である。
また、重量保持率は以下の式から算出される。
重量保持率(%)=100−重量減少率(%)
<全透過率>
フィルム改質工程後の高分子フィルムの全透過率は、NIPPON DENSHOKUから入手できるヘーズメーター(型式:NDH−300A)を使用して、23℃の雰囲気下測定を実施した。3回測定の平均値を表1、3、5に記載した。
<黒鉛化工程の生産性の評価>
黒鉛化工程の生産性を評価するために、各実施例および比較例において均一発泡する昇温速度が何℃/min以下であるかを確認した。具体的には、各実施例および比較例で炭化工程まで終了したフィルムを5cm角にカットし、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に積層し、2900℃まで0.5℃/min、0.6℃/min、0.75℃/min、1℃/min、1.5℃/min、2℃/min、3℃/min、5℃/min、7.5℃/min、10℃/minの昇温速度で、黒鉛化処理をそれぞれ実施した。図1の表面剥がれ不良12のような表面剥がれ、図1のブツ不良11のような0.5mm以上のブツが発生していないフィルムの昇温速度が何℃/min以下かを測定した。黒鉛化昇温速度が5℃/min、7.5℃/min、10℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをA、2℃/min、3℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをB、1℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをC、0.5℃/min、0.6℃/min、0.75℃/min以下で表面剥がれおよびブツが発生しないものをD、0.5℃/min以下でも表面剥がれおよびブツが発生するものをEと評価した。
<グラファイトフィルムの物性>
<表面剥がれの評価>
各実施例および比較例において2900℃まで2℃/minの昇温速度で黒鉛化したグラファイトフィルムから発生する黒鉛粉の数を測定した。30mm角にカットしたグラファイトフィルムと50mm角のポリイミドフィルム(株式会社カネカ製ポリイミドフィルムアピカルAH:50μm)を積層し、平らな台の上でISO/DIS 2411に記載の質量2kgのローラーで圧着し、グラファイトフィルムを剥した後に、ポリイミドフィルム上に目視にて長径0.1mm以上の黒鉛粉の個数が、2個未満はA、2個以上5個未満はB、5個以上10個未満はC、10個以上20個未満はD、20個以上はEと記載した。
<グラファイトフィルムのシワ>
グラファイトフィルムのシワの発生程度を評価した。図5のようなフィルム端部からの入り込みが5mm以上のシワが、0個はA、1個以上2個未満はB、2個以上3個未満はC、3個以上5個未満はD、5個以上はEと記載した。
<耐屈曲試験(MIT試験)>
グラファイトフィルムの柔軟性は、MIT耐屈曲試験にて実施した。15×100mmの試験片を、東洋精機(株)製のMIT耐揉疲労試験機型式Dを用いて、試験荷重100gf(0.98N)、速度90回/分、折り曲げクランプの曲率半径Rは2mmで行なった。23℃の雰囲気下、折り曲げ角度は左右へ135度で切断するまでの折り曲げ回数を測定した。10000回以上をA、5000回以上10000回未満をB、1000回以上5000回未満をC、100以上1000回未満をD、100回未満をEと評価した。
<熱拡散率測定>
グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmの形状に切り取ったサンプルを、23℃の雰囲気下、10Hzにて測定した。8.0cm/s以上をA、7.0cm/s以上8.0cm/s未満をB、6.0cm/s以上7.0cm/s未満をC、5.0cm/s以上6.0cm/s未満をD、5.0cm/s未満をEと評価した。
<複屈折>
高分子フィルムの複屈折は、メトリコン社製の屈折率・膜厚測定システム(型番:2010 プリズムカプラ)を使用して測定した。測定は、23℃の雰囲気下、波長594nmの光源を用い、TEモードとTMモードでそれぞれ屈折率を測定し、TE−TMの値を複屈折として測定した。
(実施例1)
図2のように、複屈折0.10、厚み75μm、幅200mm、長さ10mの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHを巻き替え装置にセットし、加熱処理装置に連続的に供給しながらフィルム改質工程を実施した。加熱処理装置のMD方向の長さは60cm、TD方向の長さは30cmとし、加熱処理装置の入り口の温度を455℃に、入り口から50cm部分を最高温度(昇温上限値に該当する)555℃に、最高温度部から10cmに出口を設け温度を455℃に調整した。装置内は図2の加熱処理装置内の温度分布25のように直線的な温度勾配をつけ、ライン速度は高分子フィルム上の実温度が455℃〜555℃の温度領域において昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように調整した(この場合、50cm/min)。
フィルムに対して引張り強さ30kgf/cmで張力を加えながらフィルムを搬送した。加熱処理装置内は図4のように黒鉛製の冶具でフィルムを上下から挟みこみ、間を滑らせるように搬送した。フィルムの厚み方向に加わる圧力は2g/cmに調整した。フィルム改質工程後のフィルムのシワ及び割れの評価、重量減少率、全光透過率の測定を行なった。
次に、フィルム改質工程後のフィルムを、正方形になるようにカットし、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。積層品を炭化炉にセットし、1400℃まで2℃/minの昇温速度で炭化した。
次に炭化後の炭化フィルム/黒鉛シート積層品をそのまま黒鉛化炉に投入し、2900℃まで2℃/minの昇温速度で黒鉛化した。得られたフィルムを10MPaの圧力で圧縮し、得られたグラファイトフィルムの外観(表面剥がれ)、耐屈曲性(MIT)熱拡散性を評価した。結果を表1、2に示す。
(実施例2)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例3)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を605℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
参考例1
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
参考例2
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を655℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
参考例3
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を700℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例7)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の入り口温度と出口温度を25℃(RT)に、最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例8)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が300℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例9)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が50℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例10)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が10℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例11)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が5℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1、2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が300℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例13)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が100℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例14)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が50℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例15)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
参考例4
複屈折0.10、厚み75μm、200mm角の株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHを、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。この積層品を黒鉛製のコンベアベルトを使用して加熱処理装置内を通過させ、フィルム改質工程を実施した。加熱処理後の冷却速度は、50℃/minであった。その他の条件は実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
参考例5
複屈折0.10、厚み75μm、200mm角の株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルAHを、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。この積層品を加熱処理装置内にセットし、455℃〜580℃の温度領域の昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minとなるように、バッチ処理にてフィルム改質工程を実施した。その他の条件は、実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表1、2に示す。
(実施例18)
複屈折0.14、厚み75μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、実施例3と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例19)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例20)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を655℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
参考例6
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を700℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例22)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の入り口温度と出口温度を25℃(RT)に、最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例23)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が300℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例24)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が50℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例25)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が10℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例26)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が5℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例27)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が300℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例28)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が100℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例29)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が50℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例30)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
参考例7
複屈折0.14、厚み75μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと、フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、参考例4と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。加熱処理後の冷却速度は、50℃/minであった。
参考例8
複屈折0.14、厚み75μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと、455℃〜630℃の温度領域の昇温速度が100℃/min、冷却速度が10℃/minとなるように、バッチ処理にてフィルム改質工程を実施したこと以外は、参考例5と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例33)
複屈折0.14、厚み125μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、実施例3と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例34)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例35)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を655℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
参考例9
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を700℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
参考例10
複屈折0.14、厚み125μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、参考例7と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
参考例11
複屈折0.14、厚み125μmの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPIを使用したこと以外は、参考例8と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表3、4に示す。
(実施例39)
フィルム改質工程後、炭化工程を行わず、黒鉛化工程を行った以外は、実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。すなわち、フィルム改質工程後のフィルムを、正方形になるようにカットし、厚み200μmの天然黒鉛シートと交互に100枚積層して、5g/cmの荷重がフィルムにかかるように黒鉛製の重石板を載せた。積層品を黒鉛炉にセットし、2900℃まで2℃/minの昇温速度で黒鉛化した。結果を表5、6に示す。
(実施例40)
炭化工程および黒鉛化工程で高分子フィルムをロール状(円筒状)の形態とした以外は、実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。すなわち、(1)フィルム改質工程後、高分子フィルムをカットせず、ロール状(円筒状)に巻かれたフィルム改質工程後の高分子フィルムを、図7のようにフィルムのTD方法と垂直方法が一致するように炭化炉に投入したこと、および、(2)炭化工程後の高分子フィルムを、炭化炉に投入したときと同様の形態で黒鉛化炉に投入し、2℃/minの昇温速度で2900℃まで高分子フィルムを黒鉛化した。結果を表5、6に示す。
(実施例41)
高分子フィルムをカットせず、ロール状(円筒状)に巻かれたフィルム改質工程後の高分子フィルムを、図7のようにフィルムのTD方法と垂直方法が一致するように黒鉛化炉に投入したこと以外は実施例39と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表5、6に示す。
(実施例42)
東レ・デュポン株式会社から入手可能な厚み75μmのカプトンHを使用したこと以外は実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表5、6に示す。
(実施例43)
高分子フィルムとして、厚み75μmのPOD(ポリパラフェニレンオキサジアゾール)を使用したこと以外は実施例2と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表5、6に示す。
(比較例1)
フィルム改質工程を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例2)
炭化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、比較例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例3)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を1400℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例4)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が2℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例5)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を580℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が2℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例6)
フィルム改質工程を実施しなかったこと以外は、参考例8と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例7)
炭化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、比較例6と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例8)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を1400℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例9)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が2℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例10)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を630℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が2℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例18と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例11)
フィルム改質工程を実施しなかったこと以外は、参考例11と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例12)
炭化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、比較例11と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例13)
フィルム改質工程において、加熱処理装置内の最高温度を1400℃に、昇温速度が100℃/min、冷却速度が455℃/minになるように、炉長およびライン速度を調整したこと以外は、実施例33と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。結果を表7、8に示す。
(比較例14)
特許文献2の実施例1に従って実験を実施した。複屈折0.10、厚み75μm、200mm角のポリイミドフィルム(商品名:カプトン 東レ・デュポン社製)を原料とした1600℃までの炭化昇温速度を1℃/min、2700℃までの黒鉛化昇温速度を3℃/minとすること以外は、比較例1と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。
(比較例15)
1600℃までの炭化昇温速度を5℃/minとすること以外は、比較例14と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。
(比較例16)
1600℃までの炭化昇温速度を20℃/minとすること以外は、比較例14と同様にグラファイトフィルムを作製し、各種評価を行った。
<フィルム改質工程>
75μmのアピカルAHの熱分解開始温度500℃以上の温度である昇温下限値から、75μmのアピカルAHの熱分解中間温度750℃以下の温度である昇温上限値までの温度範囲を、5℃/分以上の昇温速度で熱処理した後、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却するフィルム改質工程を実施した実施例1〜3、参考例1〜3、実施例7〜15、参考例4、5と、フィルム改質工程を実施していない比較例1、比較例2、比較例14〜比較例16を比較する。
比較例1、比較例14では、黒鉛化生産性の評価において0.5℃/minと非常に生産性が悪く、黒鉛化生産性を改善すべく炭化昇温速度を速めた比較例2、比較例15、比較例16は、シワ不良が多く発生し、フィルム改質工程を実施せずに生産性よく表面が均一なグラファイトフィルムを作製することは困難であった。一方、実施例1〜3、参考例1〜3、実施例7〜15、参考例4、5では、フィルム改質工程を実施したことで高分子フィルムを黒鉛化後に発泡し難い原料フィルムに改質でき、黒鉛化速度を速くしても均一発泡しブツや表面剥がれの不良が発生しなかった。また、フィルム改質工程においてシワ不良もあまり発生せず生産性を改善することができた。
75μmのアピカルNPIの熱分解開始温度500℃以上の温度である昇温下限値から、75μmのアピカルNPIの熱分解中間温度800℃以下の温度である昇温上限値までの温度範囲を、5℃/分以上の昇温速度で熱処理した後、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却するフィルム改質工程を実施した実施例18〜20、参考例6、実施例22〜30、参考例7、8とフィルム改質工程を実施していない比較例6、比較例7の比較、125μmのアピカルNPIを原料に用いて、高分子フィルムの分解開始温度500℃から熱分解中間温度800℃までの温度領域の一部にてフィルム改質工程を実施した実施例33〜35、参考例9〜11とフィルム改質工程を実施していない比較例11、比較例12の比較においても同様の傾向があり、フィルム改質工程の効果が確認できた。
<フィルム改質工程の昇温速度>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程の昇温速度が異なる実施例2、実施例8〜実施例11、比較例4を比較する。昇温速度が5℃/min以上である実施例2、実施例8〜実施例11では黒鉛化生産性の評価がよく、フィルム改質工程の効果がよく現れていた。一方、比較例4では、黒鉛化生産性の評価が改善していなかった。これは、速い速度でフィルムに熱履歴を加えたことで分子鎖が乱され、発泡し難い原料に改質させることができたためと考えられる。特に50℃/min以上であると、フィルム改質工程の効果が顕著であった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例19、実施例23〜実施例26、比較例9の比較においても同様の傾向があり、昇温速度は5℃/minでフィルム改質工程の効果が得られ易いことが確認できた。
<フィルム改質工程の冷却速度>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程の冷却速度が異なる実施例2、実施例12〜実施例15、比較例5を比較する。冷却速度が10℃/min以上である実施例2、実施例12〜実施例15では、黒鉛化生産性の評価がよく、フィルム改質工程の効果がよく現れていた。一方、比較例5では、黒鉛化生産性の評価が改善していなかった。これは、速く冷却したことで、乱された分子鎖がそのままの状態で急冷および保持されるため、発泡し難い原料に改質することができたと考えられる。特に100℃/min以上であると、フィルム改質工程の効果が顕著であった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例19、実施例27〜実施例30、比較例10の比較においても同様の傾向があり、冷却速度は速い方がフィルム改質工程の効果が得られ易いことが確認できた。
<フィルム改質工程を実施する温度領域>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する昇温上限値が異なる実施例1〜3、参考例1〜3、実施例7と比較例3を比較する。フィルム改質工程の昇温上限値が750℃以下である実施例1〜3、参考例1〜3、実施例7は比較例3より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、最高温度が605℃以下であった実施例1〜実施例3は、割れ難かった。
また、フィルム改質工程の昇温上限値が高くなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、580℃以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
一方、昇温上限値を高くし過ぎると、フィルム改質工程にて高分子フィルムの分子配向を乱し過ぎるために、MIT試験や熱拡散率の測定結果が悪くなった。フィルム改質工程の昇温上限値は、630℃以下が特に好ましい。
フィルム改質工程の開始温度のみ異なる実施例2と実施例7は、同様の物性のグラファイトフィルムが得られたため、高分子フィルムの分解開始温度500℃以下の温度域の熱処理条件は特に制御する必要がないことがわかった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する昇温上限値が異なる実施例18〜20、参考例6、実施例22と比較例8の比較においても同様の傾向があった。フィルム改質工程の昇温上限値が800℃以下である実施例18〜20、参考例6、実施例22は比較例8より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、昇温上限値が630℃以下であった実施例18〜実施例19は、割れ難かった。
また、フィルム改質工程の昇温上限値が高くなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、630℃以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
また、フィルム改質工程の開始温度のみ異なる実施例19と実施例22は、同様の物性のグラファイトフィルムが得られたため、高分子フィルムの分解開始温度500℃以下の温度域の熱処理条件は特に制御する必要がないことがわかった。
125μmのアピカルNPIを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する昇温上限値が異なる実施例33〜35、参考例9と比較例13の比較においても同様の傾向があった。フィルム改質工程の昇温上限値が800℃以下である実施例33〜35、参考例9は比較例13より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了するまで熱処理されていないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、昇温上限値が630℃以下であった実施例33〜実施例34は、割れ難かった。
また、フィルム改質工程の最高温度が高くなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、630℃以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
<高分子の分解反応と重量減少率>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、重量減少率が異なるようにフィルム改質工程を実施した実施例1〜3、参考例1〜3と比較例3を比較する。重量減少率が38.0%以下である実施例1〜3、参考例1〜3は比較例3より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了していないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、重量減少率15.0%以下であった実施例1〜実施例3は、割れ難かった。
また、重量減少率が大きくなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、重量減少率が2.8%以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
一方、重量減少率を大きくし過ぎると、フィルム改質工程にて高分子フィルムの分子配向を乱し過ぎるために、MIT試験や熱拡散率の測定結果が悪くなった。フィルム改質工程の重量減少率は、26.5%以下が特に好ましい。
75μmのアピカルNPIを原料に用いて、重量減少率が異なる実施例18〜20、参考例6と比較例8の比較においても同様の傾向があった。重量減少率が44.0%以下である実施例18〜20、参考例6は比較例8より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了していないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、重量減少率30.0%以下であった実施例18〜実施例19は、割れ難かった。
また、重量減少率が大きくなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、30%以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
125μmのアピカルNPIを原料に用いて、重量減少率が異なる実施例33〜35、参考例9と比較例13の比較においても同様の傾向があった。重量減少率が44.0%以下である実施例33〜35、参考例9は比較例13より紙管巻き付けテストにおいて割れ難かった。これは、高分子フィルムの分解反応が完了していないため、フィルムの収縮量が小さく、シワが入り難かったためである。また、高分子の性質が残っており硬質化していないため高分子フィルムが破損し難かった。特に、重量減少率30.0%以下であった実施例33〜実施例34で得られた高分子フィルムは、割れ難かった。
また、重量減少率が大きくなるほど、黒鉛化生産性の評価がよくなり、発泡度が抑制できた。特に、30%以上であれば黒鉛化生産性の評価が非常によく、フィルム改質工程の効果が十分に得られた。
<フィルム改質工程を実施する方法>
75μmのアピカルAHを原料に用いて、フィルム改質工程を実施する方法が異なる実施例2、参考例4参考例5を比較する。長尺フィルム連続式で実施した実施例2、容器セット連続式で実施した参考例4、容器セットバッチ式で実施した参考例5の順に黒鉛化生産性の評価がよく、フィルム改質工程の効果がよく現れていた。これは、実施例2、参考例4は連続式であるために、熱処理後直ぐに炉から取り出せ、冷却速度を速くできたためである。特に、実施例2は熱容量の小さなフィルム単体を加熱空間から取り出すため、冷却速度を速くすることができ、フィルム改質工程の効果が顕著であった。また、長尺フィルム連続式で実施した実施例2はその他の方法と比較して、フィルムそのものに張力を加えながら熱処理できたために、フィルム改質工程後のシワが少なく、紙管巻き付けテストにおいて割れが少なかった。
75μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例19、参考例7参考例8の比較、125μmのアピカルNPIを原料に用いた実施例34、参考例10参考例11の比較においても同様の傾向があり、フィルム改質工程は連続式、好ましくは長尺フィルム連続式で実施した方が好ましいことがわかった。
<複屈折と適切なフィルム改質工程の関係>
75μm、複屈折0.10のアピカルAHを原料に用いた実施例1〜3、参考例1〜3、比較例1と、複屈折0.14のアピカルNPIを原料に用いた実施例18〜20、参考例6、比較例6を比較する。
まず、発泡処理工程を実施していない比較例1と比較例6の黒鉛化生産性評価を比較すると、比較例1は0.5℃/minまで黒鉛化昇温速度を遅くすると均一発泡させることができるが、比較例6は均一発泡できないことがわかる。これは、複屈折がアピカルAHの方が小さいためにそもそもの分子配向が悪く、アピカルNPIより発泡し難いためである。
次に、発泡処理工程を実施した実施例1〜3、参考例1〜3と実施例18〜20、参考例6を比較する。アピカルAHを原料に用いた場合は、実施例2のように重量減少率が2.8%で黒鉛化生産性がAとなったが、アピカルNPI用いた場合は、30.0%でBとなり、アピカルAHの方がフィルム改質工程の効果が表れ易いことがわかった。これも、アピカルAHの方がそもそもの分子配向が悪く、低温での発泡処理工程でも分子鎖を乱せるためである。
また、複屈折の小さなアピカルAHに、高温でフィルム改質工程を実施すると参考例1〜3のようにMIT及び熱拡散率の評価が悪くなった。これは、フィルム改質工程にて過剰に分子鎖を乱しすぎて、黒鉛化が進行し難いフィルムとなったためである。
<炭化工程の有無、および炭化工程での高分子フィルムの形態>
炭化工程を行わなかった実施例39では、グラファイトフィルムに若干シワが生じ易かったものの、その他は実施例2と同様にグラファイトフィルムが得られた。実施例2、39の比較から、炭化工程を行わなくとも、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかる。
ロール状の高分子フィルムに対して炭化工程を行った実施例40では、カットした高分子フィルムの形態で炭化工程を行った実施例2と同品質のグラファイトフィルムが得られた。このことから、炭化工程での高分子フィルムの形態によらず、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかる。
また、炭化工程を行わず、ロール状の高分子フィルムに対して黒鉛化工程を行った実施例41では、シート状にカットした高分子フィルムに対して黒鉛化工程を行った実施例39と同品質のグラファイトフィルムが得られた。このことから、黒鉛化工程での高分子フィルムの形態によらず、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかる。
<高分子フィルムの種類>
実施例2、42の比較から、高分子フィルムの種類が異なっても、本発明に係る製造方法により、高品質なグラファイトフィルムが得られることがわかった。
また、実施例43では、高分子フィルムとしてPODを用いたところ、得られたグラファイトフィルムの熱拡散率は低かったが、表面剥がれ、シワ、MITの面で優れたグラファイトフィルムが得られた。異なる種類の高分子フィルムに対しても、本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法は有効である。
11 ブツ不良
12 表面剥がれ不良
21 高分子フィルム
22 フィルム改質工程後のフィルム
23 加熱処理装置
24 巻き替え装置
25 加熱処理装置内の温度分布
26 長尺フィルム連続式でのフィルム改質工程の模式図
41 炉床
42 重石
51 シワ
61 熱処理後の高分子フィルム
71 フィルム改質工程後または炭化工程後の高分子フィルムの巻物
72 炉床
73 重力方向

Claims (6)

  1. 高分子フィルムを熱処理することによってグラファイトフィルムを製造する方法であって、
    高分子フィルムの熱分解開始温度以上の温度である昇温下限値から、高分子フィルムの熱分解中間温度以下の温度である昇温上限値までの温度範囲にて、5℃/分以上の昇温速度で熱処理するフィルム改質工程を含み、その後、2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
  2. 前記フィルム改質工程における熱処理に続けて、前記昇温上限値から高分子フィルムの熱分解開始温度以下の温度までの温度範囲を10℃/分以上の冷却速度で冷却することを特徴とする請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  3. フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が1.1%以上42.5%以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  4. 前記高分子フィルムの複屈折が0.13未満であって、フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が1.1%以上38.0%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  5. 前記高分子フィルムの複屈折が0.13以上であって、フィルム改質工程後の高分子フィルムの重量減少率が4.0%以上42.5%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 前記高分子フィルムが加熱処理装置内を移動する間にフィルム改質工程を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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