JPWO2012120993A1 - 伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法 - Google Patents

伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法 Download PDF

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Abstract

従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルを提供すること。第1の導体と第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る4つの第1の被覆導体ユニットと、第1の被覆導体ユニットと略同じ径を有し誘電体と隣接して配置される3つの第2の導体ユニットを備え、中心に第1の被覆導体ユニットを1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを相互に密接するように交互に配置して極細伝送ケーブルを構成した。

Description

本発明は、伝送ケーブルに関し、例えば、医療機器、通信機器、コンピュータ等の電子機器における信号・電源等の伝送に用いられるケーブルに関する。
例えば、医療機器である超音波診断装置のプローブケーブル、内視鏡ケーブル等の医療用ケーブルや精密制御が要求されるロボットの制御ケーブル等には、芯数が多い集合ケーブルである多芯ケーブルが用いられる。これら医療機器や制御機器の小型軽量化に伴って、機器における信号・電力等の伝送用のケーブルの細径化が要求されてきており、かかるケーブルの電気的性能等を劣化させることなく細径化させる技術の開発が望まれている。
一方、伝送する情報信号等の多様化・大容量化・高速化等に伴って、できるだけ伝送用ケーブルの自身の径を細径化しながらも信号線や電源線の線数を増加させる要求も高いものがある。
特表2002−515630号公報に記載の伝送ケーブルには、外径が小さい同軸ケーブルを多芯に用いた伝送ケーブルが用いられている。
上述した従来の伝送ケーブルでは、同軸ケーブルとしての優れた電気的特性を有しながらも、信号線や電源線の線数を増加させればさせる程、ケーブルの外径も大きくなり、細径化と線数の増加を両立させる更なる工夫はなされていない。従って、例えば、血管内に貫挿される医療用ケーブル等において、更に高品質の情報伝送を可能にしつつ極細径化を図るという要求に答えるのは困難であった。
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルを提供することにある。
この問題を解決するために、本発明者は、鋭意に研究・開発を続けた結果、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルの新たな構造を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、上記目的達成のため、本発明の伝送ケーブルでは、第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと略同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置される第2の導体ユニットとを、合わせて少なくとも7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットのいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを相互に密接するように配置したことを特徴とする。
また、前記伝送ケーブルは、極細ケーブルであるのが望ましい。
ここで、本発明の第1の様相では、4つの前記第1の被覆導体ユニットと3つの前記第2の導体ユニットを備え、前記中心に前記第1の被覆導体ユニットを1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを交互に配置したことを特徴とする。
また、本発明の第2の様相では、3つの前記第1の被覆導体ユニットと4つの前記第2の導体ユニットを備え、前記中心に前記第2の導体ユニットを1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを交互に配置したことを特徴とする。
更に、本発明の第3の様相では、4つの前記第1の被覆導体ユニットと3つの前記第2の導体ユニットを備え、前記中心に前記第2の導体ユニットを1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを、残りの2つの前記第2の導体ユニットを前記中心に配置した第2の導体ユニットと連続するように配置すると共に、4つの前記第1の被覆導体ユニットが2対のペアになるように2つづつを隣接して且つ該2対のペアがそれぞれ隔てられるように前記連続して配置された3つの第2の導体ユニットに対して対象の位置に配置したことを特徴とする。
尚、前記伝送ケーブルの外皮を構成する遮蔽材により前記第1の被覆導体ユニット及び第2の導体ユニットが覆われているのが好適である。
更に、少なくとも以上の伝送ケーブルをユニットとして複数含み、多芯に構成した多芯伝送ケーブルとすることも可能である。この場合、従来の同軸ケーブルをも含む多芯伝送ケーブルとしても良い。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図、(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、電線を極細にした場合の電磁場の変化、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図9は本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その遠端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。
本発明者は、内部導体と誘電体等を介してその同軸上に配置(形成)された外部導体とを有する従来の同軸ケーブルとは異なる新たな導体等の配置構造を備えながら、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有する新規な伝送ケーブルの発明を想到するに至った。この発明によれば、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線等を増加することも可能である。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(a)に示すように、この伝送ケーブル100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体111、121、131、141と各第1の導体111、121、131、141の外周に形成された誘電体113、123、133、143とから成る第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と、第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と略同じ径を有し各誘電体113、123、133、143と隣接して配置される第2の導体ユニット210、220、230とを、合わせて7つ備え、中心に第1の被覆導体ユニット110を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット120、130、140及び第2の導体ユニット210、220、230を相互に密接して交互に配置されるように7個撚りされている。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。ここで、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットはほぼ同じ外径で構成されており、これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを先述したように、7個撚りすることにより図1(a)に示すように断面がほぼ各第1の被覆導体ユニットと各第2の導体ユニットの外周に内接させた線の形状或いは各第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの導体の中心を結んだ線の形状が正六角形になるように構成されている。このような構成で第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが7個撚りされていることで伝送ケーブルが屈曲した場合においても7個撚りされた第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが安定した位置関係を保つことが可能となり信号の劣化を抑えた伝送ケーブルを構成することが可能となっている。
ここで、各第1の導体111,121,131,141は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはパーフロロエチレンプロピレンコポリマー(以下、PFA)により構成された各誘電体113,123,133,143は0.025mmの厚み(T)に被覆されている。一方、各第2の導体ユニット210、220、230は、AWG40(それぞれ同じ30μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りして構成したもの)の径を有する銀メッキ銅合金線の導線である。これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとが7個撚りされた外周をALPET(ポリエステルテープにアルミニウム箔が接着されたもの)からなる遮蔽材300により約15μmの厚みに被覆すると共に、更にその外周にポリエステルテープを巻きつけて構成されたジャケット(厚み10μm)により被覆して構成されている。
このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、図2(a)に示すように、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す。図2(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す。
図2(a)において、上図は、前述した第1の実施形態に係る伝送ケーブル100を示し、各第1の導体111、121、131、141に外径0.03mm(AWG48)の銀メッキ銅合金線で構成された単純線(素線)を用いて、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50Ωに構成すると、第1の導体の外周にPFAにより構成された誘電体は約15μmの厚さで被覆され、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG44(20μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体で構成し、伝送ケーブル100全体として、外径φ0.22mmに形成したとする。この伝送ケーブル100を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、144芯の多芯ケーブルを構成可能である。
一方、図2(b)において、上図は、従来のAWG48の銀メッキ銅合金線を中心導体に用いた同軸ケーブル500を示し、特性インピーダンスが50Ωで構成されるように、中心導体の周囲にPFAで構成された誘電体が被覆され、その誘電体の周囲に外部導体とジャケットが被覆されて構成されている。これにより、全体として、外径φ0.15mmに形成されている。この同軸ケーブル500を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、77芯の多芯ケーブルを構成可能に過ぎないことになる。
以上のように、本実施形態に係る伝送ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成することにより、従来の第1の導体と同じ径の中心導体を用いて本実施形態の伝送ケーブルと伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)と同じ特性インピーダンスの同軸ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成する場合に比べて、同じ外径であれば約倍の配線密度とすることができ、一方、同じ配線密度(芯数)であれば約半分の外径とすることが可能である。
本実施形態に係る伝送ケーブルは、後述するように、従来の同軸ケーブルと略同等以上の電気的特性(伝送特性)が得られるが、その理由(原理)について考察してみた。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、極細ケーブルである場合の電磁界の変化を説明するための図、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す図である。
図3(a)において、左図は、第1の実施形態に係る伝送ケーブルを示すが、その構造を最も単純な系に分解することができる。
ここで、図3(c)において、上図は、中心導体502、誘電体504、外部導体506から成る従来の同軸構造のケーブルを示し、かかる同軸構造のケーブルでは、同下図に示すように、中心導体502と外部導体506間の電磁界分布508が均一となることで高い伝送品質を得ることができる。
一方、図3(b)において、図3(a)の右図に示す系では、図3(b)の左図に示すように、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電磁界分布108が不均一となりかねず、外部にも放射してしまい易い。従って、上述した図3(a)の右図に示す単純な系のままでは、伝送損失が大きい、信号線間のクロストークが大きい、内外ノイズの影響を受け易い等により伝送品質が低下し従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性が得られなくなる虞が生じる。
本発明者は、かかる問題点を解決可能な構造として、上述した第1の実施形態並びに後述する第2及び第3の実施形態に係るケーブル(配線)構造を案出したのである。
即ち、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第1に、図3(b)の左図から右図に示すように、極細い電線を最も近い距離に配置することにより、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電気的結合を高めて(電磁界密度を高くして)電磁界分布108の不均一による伝送品質への影響を略無視できる構造としている。
即ち、たとえ上述した図3(a)の右図に示す単純な系の場合でも、電線が細くなると、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる。この結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されることになるものと解される。
図4は、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図4(a)は、(後述する第2の実施形態の伝送ケーブルの系の一部を抽出したものに該当するが)、第1の導体611に誘電体613を介して3つの第2の導体(ユニット)710、720、730が密接するように近接して配置されており、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間に電磁界分布708が形成される。ここで、図4(a)に示す系でも、上述したように、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルでは、極細い電線である第1の導体611と第2の導体(ユニット)710、720、730が誘電体613を介して密接するように近接して配置されているので、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されている。 また、図4(a)に示す第1の被覆導体ユニットと、図示しない他の第1の被覆導体ユニットとは、第2の導体(ユニット)710、720、730によって隔てられるように配置されるため、第2の導体(ユニット)710、720、730を第1の被覆導体ユニットと略同じ径にすることで、第1の導体−第1の導体間の距離が遠くなり、相互の干渉を抑える効果が高められている。
尚、本発明の伝送ケーブルでは、中心導体及びその外周に設けられた誘電体に相当する第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する、外部導体に相当する第2の導体(ユニット)とで信号線が形成されている。 本発明の構成ではこの信号線において決められた特性インピーダンスとなるように各条件(誘電体の種類や外径、外部導体の外径等)が設定される。本発明の信号線の特性インピーダンスは従来の同軸ケーブルの特性インピーダンスに該当するものとなる(ただし、後述する本発明の第3の実施形態に係る差動用の構成ではペアとなる第1の被覆導体ユニットで信号線となりその信号線で決められた特定インピーダンスとなるように各条件(誘電体の外径等)が決められる)。
尚、例えば、図4(a)に示す系において、導体間以外への外部放射等による損失を更に減少させるために、図4(b)に示すように、遮蔽材300によりケーブル外周を被覆するのが有効である。かかる構成とすれば、遮蔽材300により外部への放射が抑えられ、伝送品質の劣化を有効に防止することも可能である。このような遮蔽材としては、金属箔や金属をテープに蒸着した金属化蒸着テープや導電性テープが考えられる。
更に、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第3に、図4(c)に示すように、それぞれ同軸ケーブルにおける中心導体に相当する複数の第1の導体とそれぞれ同軸ケーブルにおける外部導体に相当する複数の第2の導体(ユニット)とが一のケーブル内に非同軸に密接して配置されているにも拘わらず、中心導体に相当する複数の第1の導体相互の干渉は非常に少ないことがある。これは、図4(c)に矢印Rで示すように、第1の導体−第1の導体間(中心−中心導体間)は、双方の誘電体の厚みにより隔てられる分、第1の導体−第2の導体間(中心−外部導体間)に比べて距離が遠くなるので、電場の密度が異なり、相互の干渉は少なくなる。 さらに、本発明では、第2の導体(ユニット)は、第1の被覆導体ユニットと略同じ径を有しており、第2の導体(ユニット)が第1の被覆導体ユニットの径より小さい場合と比べて導体抵抗が小さく、より電位差を大きくすることができるため、第1の導体−第1の導体間の相互の干渉を低減する効果が高まっている。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の実施例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
この実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、上述した第1の実施形態の伝送ケーブルをユニットとして複数(17個)含み、従来の同軸ケーブルと共に多芯の集合ケーブルとして構成したことを特徴としている。
即ち、本実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、内側部51と外側部53とを有している。外側部53は、同心円上に上記した第1の実施形態の伝送ケーブルを17本配置して形成されており、内側部51は、複数の従来の同軸ケーブルを配置して形成されている。より詳細には、内側部51は、中心部51Aと周辺部51Bとに区画されており、中心部51Aは、4本の電源線[AWG44]から成るユニットA−Dと、その両側の4本の同軸ケーブル[AWG46]1−4が配置されている。周辺部51Bには、14本の同軸ケーブル[AWG46]5−18が同心円上に配置されている。一方、外側部53は、上記17本の第1の実施形態の伝送ケーブルa−qを信号線ユニットとして用いており、各伝送ケーブルa−qは、各第1の導体111、121、131、141をAWG48の単純線(素線)、各第2の導体ユニット210、220、230は、ここではAWG40撚り線により形成している。また、周辺部51Bの周囲にALPETテープT1が巻かれ、その周囲に外側部53が形成されている。更に、外側部53の周囲にもALPETテープT2が巻かれ、その外周面側に編組シールド層SLと、更にその外周面側にPFAシースPSが被覆形成されることにより、多芯伝送ケーブル700全体として、外径φ1.9mmに形成されている。従って、これだけの信号線等を含みながら極細の伝送ケーブルを構成することができ、外径φ1.95mmのスペースに通線可能である。例えば、血管内を通す医療用内視鏡等のケーブルとして好適に用い得る。
次に、本実施形態の伝送ケーブルの電気的特性(伝送特性等)について説明する。
図6乃至図9は、本実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性を、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す図である。ここでは、本実施形態の伝送ケーブル100における各第1の導体111、121、131、141をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線(素線)を用いて伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50ΩになるようにとなるようにPFAの誘電体を第1の導体の周囲に被覆して第1の被覆導体ユニットを構成し、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG40(銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体により形成した。また、比較例の同軸ケーブルも、その中心導体をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線とし、特性インピーダンス50ΩとなるようにPFAの誘電体を被覆して構成した同軸ケーブル(中心導体AWG46)2本を平行に隣接させた構成のもので測定した。図6は、上記電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの挿入損失と共に示す。尚、図6では、縦軸の挿入損失は常用対数で表している。
即ち、本発明者は、本実施形態の伝送ケーブルの挿入損失を調べるために、図1(a)に示した配線構造のケーブルユニットを含んで多芯に構成した一実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた挿入損失[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の挿入損失と比較してみた。
図6に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの挿入損失は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図7は、上記電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の多芯同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。尚、図7では、縦軸の反射減衰量は常用対数で表している。
ここでは、本実施形態の伝送ケーブルの反射減衰量を調べるために、本実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた反射減衰量[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の反射減衰量と比較してみた。
図7に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの反射減衰量は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図8は、上記電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図、図9は、その遠端クロストーク特性を示す図であり、両図とも比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。両図におけるクロストーク波形に関しては、実施例では1番に対しその他2番〜4番との比較、比較例の同軸ケーブルでは上記の2本のうち1本の同軸ケーブルに対する他方の同軸ケーブルとの比較で測定した。
図8及び図9に示すように、実施例では各周波数ごとのクロストークは近端の導体同士(図8)、遠端の導体同士(図9)ともに、比較例における両ケーブル同士のクロストークと有意な差は無く、クロストークは充分に抑制されていることを確認できた。
以上、図6乃至図9から明らかなように、本実施形態の伝送ケーブルによれば、同じ特性インピーダンスで構成された従来の同軸ケーブルと略同様の電気的特性(伝送特性等)が得られることが分かった。
次に、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
上述した第1の実施形態の伝送ケーブルと本実施形態の伝送ケーブルは、共に、いわゆるシングルエンド伝送用に好適であるが、第1の実施形態の伝送ケーブルでは第1の導体(中心導体に相当)が4本設けられている点で配線数を重視した構造であるのに対し、本実施形態の伝送ケーブルは、伝送線路として見た場合に理想的であり、伝送品質重視の構造とも言える。
図1(b)に示すように、この伝送ケーブル2100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体2111、2121、2131と各第1の導体2111、2121、2131の外周に形成された誘電体2113、2123、2133とから成る第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と、第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と略同じ径を有し各誘電体2113、2123、2133、2143と隣接して配置される第2の導体ユニット2210、2220、2230、2240とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット2210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130及び第2の導体ユニット2220、2230、2240を相互に密接するように交互に配置している。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1の実施形態のものと同様である。尚、本実施形態においても、各第1の導体2111,2121,2131は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはPFAにより構成された各誘電体2113,2123,2133が0.025mmの厚みに被覆されている。即ち、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくる。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
続いて、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(c)に示すように、この伝送ケーブル3100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体3111、3121、3131、3141と各第1の導体3111、3121、3131、3141の外周に形成された誘電体3113、3123、3133、3143とから成る第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と、第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と略同じ径を有し各誘電3113、3123、3133、3143と隣接して配置される第2の導体ユニット3210、3220、3230とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット3210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを、残りの2つの第2の導体ユニット3220、3230を中心に配置した第2の導体ユニット3210と連続するように配置すると共に、4つの第1の被覆導体ユニットが差動伝送用として2対のペア3110と3120、3130と3140になるように2つづつを隣接して且つ該2対のペアがそれぞれ隔てられるように連続して配置された3つの第2の導体ユニット3210、3220、3230に対して対象の位置に配置したものである。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1及び第2の実施形態のものと同様である。また、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくるのも第1及び第2の実施形態のものと同様である。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1及び第2の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
本実施形態の伝送ケーブルでは、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの配置は、第1の被覆導体ユニットのペア3110と3120と他のペア3130と3140間のノイズをカットし易く、また、グラウンドの電位を安定させ易い構造であり、これらの面からも差動伝送用として最も好適に使用可能であり、差動伝送用としては配線数と伝送品質の両面から、最も効率的に使用することも可能である。
前述した第1の実施形態並びに以上に述べた第2及び第3の実施形態の配線構造に共通する特徴として、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを合わせて7つ備えており、中心に第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットのいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを相互に密接するように配置したことがある。この配置(配線)構造によれば、図1の各断面図において、周囲の6つの導体ユニットにおける隣接する2つの導体ユニットに共通する接線を仮想すれば、全体として正六角形に形成される。このような配置(配線)構造によれば、伝送ケーブル全体が湾曲した場合にも、各導体ユニット相互のズレを生じ難いので、かかるズレにより伝送特性を乱すことも無くなる。
上記第1乃至第3の実施形態では、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるようにしたが、一方を10他方を9の合わせて19備えるようにしても良い。或いは、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるものを一ユニットすれば、そのN倍の配線構造のlケーブルを考えることも可能である。
但し、本発明の伝送ケーブルの上述した伝送原理からも、極細ケーブルであるのが望ましく、高周波用として0.25mmの径、低周波用として0.5mmの径等が考えられる。
また、本発明の伝送ケーブルの第1の被覆導体ユニットに用いられる導体には、AWG36〜AWG58の外径の導体を用いるのが好ましい。より好ましくはAWG38〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、更に好ましくはAWG42〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、最も好ましくはAWG46〜58の外径の導体を用いるのがよい。
【書類名】明細書
【発明の名称】伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法
技術分野
本発明は、伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法に関し、例えば、医療機器、通信機器、コンピュータ等の電子機器における信号・電源等の伝送に用いられる伝送ケーブルに関する。
背景技術
例えば、医療機器である超音波診断装置のプローブケーブル、内視鏡ケーブル等の医療用ケーブルや精密制御が要求されるロボットの制御ケーブル等には、芯数が多い集合ケーブルである多芯ケーブルが用いられる。これら医療機器や制御機器の小型軽量化に伴って、機器における信号・電力等の伝送用のケーブルの細径化が要求されてきており、かかるケーブルの電気的性能等を劣化させることなく細径化させる技術の開発が望まれている。
一方、伝送する情報信号等の多様化・大容量化・高速化等に伴って、できるだけ伝送用ケーブルの自身の径を細径化しながらも信号線や電源線の線数を増加させる要求も高いものがある。
特表2002−515630号公報に記載の伝送ケーブルには、外径が小さい同軸ケーブルを多芯に用いた伝送ケーブルが用いられている。
上述した従来の伝送ケーブルでは、同軸ケーブルとしての優れた電気的特性を有しながらも、信号線や電源線の線数を増加させればさせる程、ケーブルの外径も大きくなり、細径化と線数の増加を両立させる更なる工夫はなされていない。従って、例えば、血管内に貫挿される医療用ケーブル等において、更に高品質の情報伝送を可能にしつつ極細径化を図るという要求に答えるのは困難であった。
発明の開示
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルを提供することにある。
この問題を解決するために、本発明者は、鋭意に研究・開発を続けた結果、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルの新たな構造を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、上記目的達成のため、本発明の伝送ケーブルでは、第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと略同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置される第2の導体とを、合わせて7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体のいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体を相互に密接するように交互に配置し、一の前記第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する前記第2の導体とで一の信号線を形成し、前記信号線が決められた特性インピーダンスとなるように前記誘電体の外径を設定したことを特徴とする。
また、前記伝送ケーブルは、極細ケーブルであるのが望ましい。更に、前記第1の導体の外径がAWG42〜AWG58であるようにしても良い。
ここで、本発明の第1の様相では、4つの前記第1の被覆導体ユニットと3つの前記第2の導体を備え、前記中心に前記第1の被覆導体ユニットを1つ配置したことを特徴とする。
また、本発明の第2の様相では、3つの前記第1の被覆導体ユニットと4つの前記第2の導体を備え、前記中心に前記第2の導体を1つ配置したことを特徴とする。
尚、前記伝送ケーブルの外皮を構成する遮蔽材により前記第1の被覆導体ユニット及び第2の導体が覆われているのが好適である。更に、少なくとも上記伝送ケーブルをユニットとして複数含み、多芯に構成した多芯伝送ケーブルとすることも可能である。この場合、従来の同軸ケーブルをも含む多芯伝送ケーブルとしても良い。
更に、本発明の第3の様相では、第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと略同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置される第2の導体とを、合わせて7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体のいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体を相互に密接するように交互に配置し、一の前記第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する前記第2の導体とで一の信号線を形成し、前記信号線が決められた特性インピーダンスとなるように前記誘電体の外径を設定した伝送ケーブルを使用することを特徴とする信号の伝送方法が得られる。
図面の簡単な説明
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図、(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、電線を極細にした場合の電磁場の変化、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図9は本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その遠端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
発明を実施するための最良の形態
以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。
本発明者は、内部導体と誘電体等を介してその同軸上に配置(形成)された外部導体とを有する従来の同軸ケーブルとは異なる新たな導体等の配置構造を備えながら、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有する新規な伝送ケーブルの発明を想到するに至った。この発明によれば、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線等を増加することも可能である。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(a)に示すように、この伝送ケーブル100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体111、121、131、141と各第1の導体111、121、131、141の外周に形成された誘電体113、123、133、143とから成る第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と、第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と略同じ径を有し各誘電体113、123、133、143と隣接して配置される第2の導体ユニット210、220、230とを、合わせて7つ備え、中心に第1の被覆導体ユニット110を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット120、130、140及び第2の導体ユニット210、220、230を相互に密接して交互に配置されるように7個撚りされている。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。ここで、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットはほぼ同じ外径で構成されており、これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを先述したように、7個撚りすることにより図1(a)に示すように断面がほぼ各第1の被覆導体ユニットと各第2の導体ユニットの外周に内接させた線の形状或いは各第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの導体の中心を結んだ線の形状が正六角形になるように構成されている。このような構成で第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが7個撚りされていることで伝送ケーブルが屈曲した場合においても7個撚りされた第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが安定した位置関係を保つことが可能となり信号の劣化を抑えた伝送ケーブルを構成することが可能となっている。
ここで、各第1の導体111,121,131,141は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはパーフロロエチレンプロピレンコポリマー(以下、PFA)により構成された各誘電体113,123,133,143は0.025mmの厚み(T)に被覆されている。一方、各第2の導体ユニット210、220、230は、AWG40(それぞれ同じ30μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りして構成したもの)の径を有する銀メッキ銅合金線の導線である。これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとが7個撚りされた外周をALPET(ポリエステルテープにアルミニウム箔が接着されたもの)からなる遮蔽材300により約15μmの厚みに被覆すると共に、更にその外周にポリエステルテープを巻きつけて構成されたジャケット(厚み10μm)により被覆して構成されている。
このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、図2(a)に示すように、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す。図2(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す。
図2(a)において、上図は、前述した第1の実施形態に係る伝送ケーブル100を示し、各第1の導体111、121、131、141に外径0.03mm(AWG48)の銀メッキ銅合金線で構成された単純線(素線)を用いて、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50Ωに構成すると、第1の導体の外周にPFAにより構成された誘電体は約15μmの厚さで被覆され、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG44(20μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体で構成し、伝送ケーブル100全体として、外径φ0.22mmに形成したとする。この伝送ケーブル100を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、144芯の多芯ケーブルを構成可能である。
一方、図2(b)において、上図は、従来のAWG48の銀メッキ銅合金線を中心導体に用いた同軸ケーブル500を示し、特性インピーダンスが50Ωで構成されるように、中心導体の周囲にPFAで構成された誘電体が被覆され、その誘電体の周囲に外部導体とジャケットが被覆されて構成されている。これにより、全体として、外径φ0.15mmに形成されている。この同軸ケーブル500を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、77芯の多芯ケーブルを構成可能に過ぎないことになる。
以上のように、本実施形態に係る伝送ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成することにより、従来の第1の導体と同じ径の中心導体を用いて本実施形態の伝送ケーブルと伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)と同じ特性インピーダンスの同軸ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成する場合に比べて、同じ外径であれば約倍の配線密度とすることができ、一方、同じ配線密度(芯数)であれば約半分の外径とすることが可能である。
本実施形態に係る伝送ケーブルは、後述するように、従来の同軸ケーブルと略同等以上の電気的特性(伝送特性)が得られるが、その理由(原理)について考察してみた。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、極細ケーブルである場合の電磁界の変化を説明するための図、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す図である。
図3(a)において、左図は、第1の実施形態に係る伝送ケーブルを示すが、その構造を最も単純な系に分解することができる。
ここで、図3(c)において、上図は、中心導体502、誘電体504、外部導体506から成る従来の同軸構造のケーブルを示し、かかる同軸構造のケーブルでは、同下図に示すように、中心導体502と外部導体506間の電磁界分布508が均一となることで高い伝送品質を得ることができる。
一方、図3(b)において、図3(a)の右図に示す系では、図3(b)の左図に示すように、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電磁界分布108が不均一となりかねず、外部にも放射してしまい易い。従って、上述した図3(a)の右図に示す単純な系のままでは、伝送損失が大きい、信号線間のクロストークが大きい、内外ノイズの影響を受け易い等により伝送品質が低下し従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性が得られなくなる虞が生じる。
本発明者は、かかる問題点を解決可能な構造として、上述した第1の実施形態並びに後述する第2及び第3の実施形態に係るケーブル(配線)構造を案出したのである。
即ち、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第1に、図3(b)の左図から右図に示すように、極細い電線を最も近い距離に配置することにより、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電気的結合を高めて(電磁界密度を高くして)電磁界分布108の不均一による伝送品質への影響を略無視できる構造としている。
即ち、たとえ上述した図3(a)の右図に示す単純な系の場合でも、電線が細くなると、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる。この結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されることになるものと解される。
図4は、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図4(a)は、(後述する第2の実施形態の伝送ケーブルの系の一部を抽出したものに該当するが)、第1の導体611に誘電体613を介して3つの第2の導体(ユニット)710、720、730が密接するように近接して配置されており、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間に電磁界分布708が形成される。ここで、図4(a)に示す系でも、上述したように、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルでは、極細い電線である第1の導体611と第2の導体(ユニット)710、720、730が誘電体613を介して密接するように近接して配置されているので、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されている。 また、図4(a)に示す第1の被覆導体ユニットと、図示しない他の第1の被覆導体ユニットとは、第2の導体(ユニット)710、720、730によって隔てられるように配置されるため、第2の導体(ユニット)710、720、730を第1の被覆導体ユニットと略同じ径にすることで、第1の導体−第1の導体間の距離が遠くなり、相互の干渉を抑える効果が高められている。
尚、本発明の伝送ケーブルでは、中心導体及びその外周に設けられた誘電体に相当する第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する、外部導体に相当する第2の導体(ユニット)とで信号線が形成されている。 本発明の構成ではこの信号線において決められた特性インピーダンスとなるように各条件(誘電体の種類や外径、外部導体の外径等)が設定される。本発明の信号線の特性インピーダンスは従来の同軸ケーブルの特性インピーダンスに該当するものとなる(ただし、後述する本発明の第3の実施形態に係る差動用の構成ではペアとなる第1の被覆導体ユニットで信号線となりその信号線で決められた特定インピーダンスとなるように各条件(誘電体の外径等)が決められる)。
尚、例えば、図4(a)に示す系において、導体間以外への外部放射等による損失を更に減少させるために、図4(b)に示すように、遮蔽材300によりケーブル外周を被覆するのが有効である。かかる構成とすれば、遮蔽材300により外部への放射が抑えられ、伝送品質の劣化を有効に防止することも可能である。このような遮蔽材としては、金属箔や金属をテープに蒸着した金属化蒸着テープや導電性テープが考えられる。
更に、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第3に、図4(c)に示すように、それぞれ同軸ケーブルにおける中心導体に相当する複数の第1の導体とそれぞれ同軸ケーブルにおける外部導体に相当する複数の第2の導体(ユニット)とが一のケーブル内に非同軸に密接して配置されているにも拘わらず、中心導体に相当する複数の第1の導体相互の干渉は非常に少ないことがある。これは、図4(c)に矢印Rで示すように、第1の導体-第1の導体間(中心-中心導体間)は、双方の誘電体の厚みにより隔てられる分、第1の導体-第2の導体間(中心-外部導体間)に比べて距離が遠くなるので、電場の密度が異なり、相互の干渉は少なくなる。 さらに、本発明では、第2の導体(ユニット)は、第1の被覆導体ユニットと略同じ径を有しており、第2の導体(ユニット)が第1の被覆導体ユニットの径より小さい場合と比べて導体抵抗が小さく、より電位差を大きくすることができるため、第1の導体−第1の導体間の相互の干渉を低減する効果が高まっている。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の実施例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
この実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、上述した第1の実施形態の伝送ケーブルをユニットとして複数(17個)含み、従来の同軸ケーブルと共に多芯の集合ケーブルとして構成したことを特徴としている。
即ち、本実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、内側部51と外側部53とを有している。外側部53は、同心円上に上記した第1の実施形態の伝送ケーブルを17本配置して形成されており、内側部51は、複数の従来の同軸ケーブルを配置して形成されている。より詳細には、内側部51は、中心部51Aと周辺部51Bとに区画されており、中心部51Aは、4本の電源線[AWG44]から成るユニットA-Dと、その両側の4本の同軸ケーブル[AWG46]1−4が配置されている。周辺部51Bには、14本の同軸ケーブル[AWG46]5−18が同心円上に配置されている。一方、外側部53は、上記17本の第1の実施形態の伝送ケーブルa−qを信号線ユニットとして用いており、各伝送ケーブルa−qは、各第1の導体111、121、131、141をAWG48の単純線(素線)、各第2の導体ユニット210、220、230は、ここではAWG40撚り線により形成している。また、周辺部51Bの周囲にALPETテープT1が巻かれ、その周囲に外側部53が形成されている。更に、外側部53の周囲にもALPETテープT2が巻かれ、その外周面側に編組シールド層SLと、更にその外周面側にPFAシースPSが被覆形成されることにより、多芯伝送ケーブル700全体として、外径φ1.9mmに形成されている。従って、これだけの信号線等を含みながら極細の伝送ケーブルを構成することができ、外径φ1.95mmのスペースに通線可能である。例えば、血管内を通す医療用内視鏡等のケーブルとして好適に用い得る。
次に、本実施形態の伝送ケーブルの電気的特性(伝送特性等)について説明する。
図6乃至図9は、本実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性を、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す図である。ここでは、本実施形態の伝送ケーブル100における各第1の導体111、121、131、141をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線(素線)を用いて伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50ΩになるようにPFAの誘電体を第1の導体の周囲に被覆して第1の被覆導体ユニットを構成し、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG40(銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体により形成した。また、比較例の同軸ケーブルも、その中心導体をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線とし、特性インピーダンス50ΩとなるようにPFAの誘電体を被覆して構成した同軸ケーブル(中心導体AWG46)2本を平行に隣接させた構成のもので測定した。図6は、上記電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの挿入損失と共に示す。尚、図6では、縦軸の挿入損失は常用対数で表している。
即ち、本発明者は、本実施形態の伝送ケーブルの挿入損失を調べるために、図1(a)に示した配線構造のケーブルユニットを含んで多芯に構成した一実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた挿入損失[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の挿入損失と比較してみた。
図6に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの挿入損失は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図7は、上記電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の多芯同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。尚、図7では、縦軸の反射減衰量は常用対数で表している。
ここでは、本実施形態の伝送ケーブルの反射減衰量を調べるために、本実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた反射減衰量[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の反射減衰量と比較してみた。
図7に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの反射減衰量は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図8は、上記電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図、図9は、その遠端クロストーク特性を示す図であり、両図とも比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。両図におけるクロストーク波形に関しては、実施例では1番に対しその他2番〜4番との比較、比較例の同軸ケーブルでは上記の2本のうち1本の同軸ケーブルに対する他方の同軸ケーブルとの比較で測定した。
図8及び図9に示すように、実施例では各周波数ごとのクロストークは近端の導体同士(図8)、遠端の導体同士(図9)ともに、比較例における両ケーブル同士のクロストークと有意な差は無く、クロストークは充分に抑制されていることを確認できた。
以上、図6乃至図9から明らかなように、本実施形態の伝送ケーブルによれば、同じ特性インピーダンスで構成された従来の同軸ケーブルと略同様の電気的特性(伝送特性等)が得られることが分かった。
次に、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
上述した第1の実施形態の伝送ケーブルと本実施形態の伝送ケーブルは、共に、いわゆるシングルエンド伝送用に好適であるが、第1の実施形態の伝送ケーブルでは第1の導体(中心導体に相当)が4本設けられている点で配線数を重視した構造であるのに対し、本実施形態の伝送ケーブルは、伝送線路として見た場合に理想的であり、伝送品質重視の構造とも言える。
図1(b)に示すように、この伝送ケーブル2100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体2111、2121、2131と各第1の導体2111、2121、2131の外周に形成された誘電体2113、2123、2133とから成る第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と、第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と略同じ径を有し各誘電体2113、2123、2133、2143と隣接して配置される第2の導体ユニット2210、2220、2230、2240とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット2210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130及び第2の導体ユニット2220、2230、2240を相互に密接するように交互に配置している。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1の実施形態のものと同様である。尚、本実施形態においても、各第1の導体2111,2121,2131は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはPFAにより構成された各誘電体2113,2123,2133が0.025mmの厚みに被覆されている。即ち、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくる。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
続いて、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(c)に示すように、この伝送ケーブル3100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体3111、3121、3131、3141と各第1の導体3111、3121、3131、3141の外周に形成された誘電体3113、3123、3133、3143とから成る第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と、第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と略同じ径を有し各誘電3113、3123、3133、3143と隣接して配置される第2の導体ユニット3210、3220、3230とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット3210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを、残りの2つの第2の導体ユニット3220、3230を中心に配置した第2の導体ユニット3210と連続するように配置すると共に、4つの第1の被覆導体ユニットが差動伝送用として2対のペア3110と3120、3130と3140になるように2つづつを隣接して且つ該2対のペアがそれぞれ隔てられるように連続して配置された3つの第2の導体ユニット3210、3220、3230に対して対象の位置に配置したものである。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1及び第2の実施形態のものと同様である。また、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくるのも第1及び第2の実施形態のものと同様である。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1及び第2の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
本実施形態の伝送ケーブルでは、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの配置は、第1の被覆導体ユニットのペア3110と3120と他のペア3130と3140間のノイズをカットし易く、また、グラウンドの電位を安定させ易い構造であり、これらの面からも差動伝送用として最も好適に使用可能であり、差動伝送用としては配線数と伝送品質の両面から、最も効率的に使用することも可能である。
前述した第1の実施形態並びに以上に述べた第2及び第3の実施形態の配線構造に共通する特徴として、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを合わせて7つ備えており、中心に第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットのいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを相互に密接するように配置したことがある。この配置(配線)構造によれば、図1の各断面図において、周囲の6つの導体ユニットにおける隣接する2つの導体ユニットに共通する接線を仮想すれば、全体として正六角形に形成される。このような配置(配線)構造によれば、伝送ケーブル全体が湾曲した場合にも、各導体ユニット相互のズレを生じ難いので、かかるズレにより伝送特性を乱すことも無くなる。
上記第1乃至第3の実施形態では、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるようにしたが、一方を10他方を9の合わせて19備えるようにしても良い。或いは、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるものを一ユニットすれば、そのN倍の配線構造の1ケーブルを考えることも可能である。
但し、本発明の伝送ケーブルの上述した伝送原理からも、極細ケーブルであるのが望ましく、高周波用として0.25mmの径、低周波用として0.5mmの径等が考えられる。
また、本発明の伝送ケーブルの第1の被覆導体ユニットに用いられる導体には、AWG36〜AWG58の外径の導体を用いるのが好ましい。より好ましくはAWG38〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、更に好ましくはAWG42〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、最も好ましくはAWG46〜58の外径の導体を用いるのがよい。
【書類名】明細書
【発明の名称】伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法
技術分野
本発明は、伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法に関し、例えば、医療機器、通信機器、コンピュータ等の電子機器における信号・電源等の伝送に用いられる伝送ケーブル等に関する。
背景技術
例えば、医療機器である超音波診断装置のプローブケーブル、内視鏡ケーブル等の医療用ケーブルや精密制御が要求されるロボットの制御ケーブル等には、芯数が多い集合ケーブルである多芯ケーブルが用いられる。これら医療機器や制御機器の小型軽量化に伴って、機器における信号・電力等の伝送用のケーブルの細径化が要求されてきており、かかるケーブルの電気的性能等を劣化させることなく細径化させる技術の開発が望まれている。一方、伝送する情報信号等の多様化・大容量化・高速化等に伴って、できるだけ伝送用ケーブルの自身の径を細径化しながらも信号線や電源線の線数を増加させる要求も高いものがある。特表2002−515630号公報に記載の伝送ケーブルには、外径が小さい同軸ケーブルを多芯に用いた伝送ケーブルが用いられている。
上述した従来の伝送ケーブルでは、同軸ケーブルとしての優れた電気的特性を有しながらも、信号線や電源線の線数を増加させればさせる程、ケーブルの外径も大きくなり、細径化と線数の増加を両立させる更なる工夫はなされていない。従って、例えば、血管内に貫挿される医療用ケーブル等において、更に高品質の情報伝送を可能にしつつ極細径化を図るという要求に答えるのは困難であった。
発明の開示
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルを提供することにある。
この問題を解決するために、本発明者は、鋭意に研究・開発を続けた結果、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルの新たな構造を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、上記目的達成のため、本発明の伝送ケーブルでは、同軸ケーブルの中心導体に相当する第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置され、同軸ケーブルの外部導体に相当する第2の導体とを、合わせて7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体のいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体を相互に密接するように交互に配置し、一の前記第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する全ての前記第2の導体とで一の信号線を形成し、前記信号線が決められた特性インピーダンスとなるように前記誘電体の外径を設定したことを特徴とする。
また、前記伝送ケーブルは、外径が0.5mm以下のケーブルであるのが望ましい。更に、前記第1の導体の外径がAWG42〜AWG58であるようにしても良い。
ここで、本発明の第1の様相では、4つの前記第1の被覆導体ユニットと3つの前記第2の導体を備え、前記中心に前記第1の被覆導体ユニットを1つ配置したことを特徴とする。
また、本発明の第2の様相では、3つの前記第1の被覆導体ユニットと4つの前記第2の導体を備え、前記中心に前記第2の導体を1つ配置したことを特徴とする。
尚、前記伝送ケーブルの外皮を構成する遮蔽材により前記第1の被覆導体ユニット及び第2の導体が覆われているのが好適である。更に、少なくとも上記伝送ケーブルをユニットとして複数含み、多芯に構成した多芯伝送ケーブルとすることも可能である。この場合、従来の同軸ケーブルをも含む多芯伝送ケーブルとしても良い。
更に、本発明の第3の様相では、同軸ケーブルの中心導体に相当する第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置され、同軸ケーブルの外部導体に相当する第2の導体とを、合わせて7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体のいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体を相互に密接するように交互に配置し、一の前記第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する全ての前記第2の導体とで一の信号線を形成し、前記信号線が決められた特性インピーダンスとなるように前記誘電体の外径を設定した伝送ケーブルを使用することを特徴とする信号の伝送方法が得られる。
図面の簡単な説明
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図、(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、電線を極細にした場合の電磁場の変化、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図9は本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その遠端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
発明を実施するための最良の形態
以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。
本発明者は、内部導体と誘電体等を介してその同軸上に配置(形成)された外部導体とを有する従来の同軸ケーブルとは異なる新たな導体等の配置構造を備えながら、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有する新規な伝送ケーブルの発明を想到するに至った。
この発明によれば、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線等を増加することも可能である。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(a)に示すように、この伝送ケーブル100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体111、121、131、141と各第1の導体111、121、131、141の外周に形成された誘電体113、123、133、143とから成る第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と、第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と同じ径を有し各誘電体113、123、133、143と隣接して配置される第2の導体ユニット210、220、230とを、合わせて7つ備え、中心に第1の被覆導体ユニット110を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット120、130、140及び第2の導体ユニット210、220、230を相互に密接して交互に配置されるように7個撚りされている。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。ここで、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットは同じ外径で構成されており、これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを先述したように、7個撚りすることにより図1(a)に示すように断面がほぼ各第1の被覆導体ユニットと各第2の導体ユニットの外周に内接させた線の形状或いは各第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの導体の中心を結んだ線の形状が正六角形になるように構成されている。このような構成で第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが7個撚りされていることで伝送ケーブルが屈曲した場合においても7個撚りされた第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが安定した位置関係を保つことが可能となり信号の劣化を抑えた伝送ケーブルを構成することが可能となっている。
ここで、各第1の導体111,121,131,141は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはパーフロロエチレンプロピレンコポリマー(以下、PFA)により構成された各誘電体113,123,133,143は0.025mmの厚み(T)に被覆されている。一方、各第2の導体ユニット210、220、230は、AWG40(それぞれ同じ30μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りして構成したもの)の径を有する銀メッキ銅合金線の導線である。これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとが7個撚りされた外周をALPET(ポリエステルテープにアルミニウム箔が接着されたもの)からなる遮蔽材300により約15μmの厚みに被覆すると共に、更にその外周にポリエステルテープを巻きつけて構成されたジャケット(厚み10μm)により被覆して構成されている。
このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、図2(a)に示すように、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す。図2(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す。
図2(a)において、上図は、前述した第1の実施形態に係る伝送ケーブル100を示し、各第1の導体111、121、131、141に外径0.03mm(AWG48)の銀メッキ銅合金線で構成された単純線(素線)を用いて、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50Ωに構成すると、第1の導体の外周にPFAにより構成された誘電体は約15μmの厚さで被覆され、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG44(20μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体で構成し、伝送ケーブル100全体として、外径φ0.22mmに形成したとする。この伝送ケーブル100を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、144芯の多芯ケーブルを構成可能である。
一方、図2(b)において、上図は、従来のAWG48の銀メッキ銅合金線を中心導体に用いた同軸ケーブル500を示し、特性インピーダンスが50Ωで構成されるように、中心導体の周囲にPFAで構成された誘電体が被覆され、その誘電体の周囲に外部導体とジャケットが被覆されて構成されている。これにより、全体として、外径φ0.15mmに形成されている。この同軸ケーブル500を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、77芯の多芯ケーブルを構成可能に過ぎないことになる。
以上のように、本実施形態に係る伝送ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成することにより、従来の第1の導体と同じ径の中心導体を用いて本実施形態の伝送ケーブルと伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)と同じ特性インピーダンスの同軸ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成する場合に比べて、同じ外径であれば約倍の配線密度とすることができ、一方、同じ配線密度(芯数)であれば約半分の外径とすることが可能である。
本実施形態に係る伝送ケーブルは、後述するように、従来の同軸ケーブルと略同等以上の電気的特性(伝送特性)が得られるが、その理由(原理)について考察してみた。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、極細ケーブルである場合の電磁界の変化を説明するための図、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す図である。
図3(a)において、左図は、第1の実施形態に係る伝送ケーブルを示すが、その構造を最も単純な系に分解することができる。
ここで、図3(c)において、上図は、中心導体502、誘電体504、外部導体506から成る従来の同軸構造のケーブルを示し、かかる同軸構造のケーブルでは、同下図に示すように、中心導体502と外部導体506間の電磁界分布508が均一となることで高い伝送品質を得ることができる。
一方、図3(b)において、図3(a)の右図に示す系では、図3(b)の左図に示すように、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電磁界分布108が不均一となりかねず、外部にも放射してしまい易い。従って、上述した図3(a)の右図に示す単純な系のままでは、伝送損失が大きい、信号線間のクロストークが大きい、内外ノイズの影響を受け易い等により伝送品質が低下し従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性が得られなくなる虞が生じる。
本発明者は、かかる問題点を解決可能な構造として、上述した第1の実施形態並びに後述する第2及び第3の実施形態に係るケーブル(配線)構造を案出したのである。即ち、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第1に、図3(b)の左図から右図に示すように、極細い電線を最も近い距離に配置することにより、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電気的結合を高めて(電磁界密度を高くして)電磁界分布108の不均一による伝送品質への影響を略無視できる構造としている。 即ち、たとえ上述した図3(a)の右図に示す単純な系の場合でも、電線が細くなると、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる。この結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されることになるものと解される。
図4は、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図4(a)は、(後述する第2の実施形態の伝送ケーブルの系の一部を抽出したものに該当するが)、第1の導体611に誘電体613を介して3つの第2の導体(ユニット)710、720、730が密接するように近接して配置されており、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間に電磁界分布708が形成される。ここで、図4(a)に示す系でも、上述したように、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルでは、極細い電線である第1の導体611と第2の導体(ユニット)710、720、730が誘電体613を介して密接するように近接
して配置されているので、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されている。 また、図4(a)に示す第1の被覆導体ユニットと、図示しない他の第1の被覆導体ユニットとは、第2の導体(ユニット)710、720、730によって隔てられるように配置されるため、第2の導体(ユニット)710、720、730を第1の被覆導体ユニットと同じ径にすることで、第1の導体−第1の導体
間の距離が遠くなり、相互の干渉を抑える効果が高められている。
尚、本発明の伝送ケーブルでは、中心導体及びその外周に設けられた誘電体に相当する第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する、外部導体に相当する第2の導体(ユニット)とで信号線が形成されている。 本発明の構成ではこの信号線において決められた特性インピーダンスとなるように各条件(誘電体の種類や外径、外部導体の外径等)が設定される。本発明の信号線の特性インピーダンスは従来の同軸ケーブルの特性インピーダンスに該当するものとなる(ただし、後述する本発明の第3の実施形態に係る差動用の構成ではペアとなる第1の被覆導体ユニットで信号線となりその信号線で決められた特定インピ
ーダンスとなるように各条件(誘電体の外径等)が決められる)。
尚、例えば、図4(a)に示す系において、導体間以外への外部放射等による損失を更に減少させるために、図4(b)に示すように、遮蔽材300によりケーブル外周を被覆するのが有効である。かかる構成とすれば、遮蔽材300により外部への放射が抑えられ、伝送品質の劣化を有効に防止することも可能である。このような遮蔽材としては、金属箔や金属をテープに蒸着した金属化蒸着テープや導電性テープが考えられる。
更に、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第3に、図4(c)に示すように、それぞれ同軸ケーブルにおける中心導体に相当する複数の第1の導体とそれぞれ同軸ケーブルにおける外部導体に相当する複数の第2の導体(ユニット)とが一のケーブル内に非同軸に密接して配置されているにも拘わらず、中心導体に相当する複数の第1の導体相互の干渉は非常に少ないことがある。これは、図4(c)に矢印Rで示すように、第1の導体-第1の導体間(中心-中心導体間)は、双方の誘電体の厚みにより隔てられる分、第1の導体-第2の導体間(中心-外部導体間)に比べて距離が遠くなるので、電場の密度が異なり、相互の干渉は少なくなる。 さらに、本発明では、第2の導体(ユニット)は、第1の被覆導体ユニットと同じ径を有しており、第2の導体(ユニット)が第1の被覆導体ユニットの径より小さい場合と比べて導体抵抗が小さく、より電位差を大きくすることができるため、第1の導体−第1の導体間の相互の干渉を低減する効果が高まっている。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の実施例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
この実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、上述した第1の実施形態の伝送ケーブルをユニットとして複数(17個)含み、従来の同軸ケーブルと共に多芯の集合ケーブルとして構成したことを特徴としている。
即ち、本実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、内側部51と外側部53とを有している。外側部53は、同心円上に上記した第1の実施形態の伝送ケーブルを17本配置して形成されており、内側部51は、複数の従来の同軸ケーブルを配置して形成されている。より詳細には、内側部51は、中心部51Aと周辺部51Bとに区画されており、中心部51Aは、4本の電源線[AWG44]から成るユニットA-Dと、その両側の4本の同軸ケーブル[AWG46]1−4が配置されている。周辺部51Bには、14本の同軸ケーブル[AWG46]5−18が同心円上に配置されている。一方、外側部53は、上記17本の第1の実施形態の伝送ケーブルa−qを信号線ユニットとして用いており、各伝送ケーブルa−qは、各第1の導体111、121、131、141をAWG48の単純線(素線)、各第2の導体ユニット210、220、230は、ここではAWG40撚り線により形成している。また、周辺部51Bの周囲にALPETテープT1が巻かれ、その周囲に外側部53が形成されている。更に、外側部53の周囲にもALPETテープT2が巻かれ、その外周面側に編組シールド層SLと、更にその外周面側にPFAシースPSが被覆形成されることにより、多芯伝送ケーブル700全体として、外径φ1.9mmに形成されている。従って、これだけの信号線等を含みながら極細の伝送ケーブルを構成することができ、外径φ1.95mmのスペースに通線可能である。例えば、血管内を通す医療用内視鏡等のケーブルとして好適に用い得る。
次に、本実施形態の伝送ケーブルの電気的特性(伝送特性等)について説明する。 図6乃至図9は、本実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性を、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す図である。ここでは、本実施形態の伝送ケーブル100における各第1の導体111、121、131、141をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線(素線)を用いて伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50ΩになるようにPFAの誘電体を第1の導体の周囲に被覆して第1の被覆導体ユニットを構成し、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG40(銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体により形成した。また、比較例の同軸ケーブルも、その中心導体をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線とし、特性インピーダンス50ΩとなるようにPFAの誘電体を被覆して構成した同軸ケーブル(中心導体AWG46)2本を平行に隣接させた構成のもので測定した。図6は、上記電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの挿入損失と共に示す。尚、図6では、縦軸の挿入損失は常用対数で表している。
即ち、本発明者は、本実施形態の伝送ケーブルの挿入損失を調べるために、図1(a)に示した配線構造のケーブルユニットを含んで多芯に構成した一実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた挿入損失[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の挿入損失と比較してみた。
図6に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの挿入損失は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図7は、上記電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の多芯同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。尚、図7では、縦軸の反射減衰量は常用対数で表している。
ここでは、本実施形態の伝送ケーブルの反射減衰量を調べるために、本実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた反射減衰量[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の反射減衰量と比較してみた。
図7に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの反射減衰量は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図8は、上記電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図、図9は、その遠端クロストーク特性を示す図であり、両図とも比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。両図におけるクロストーク波形に関しては、実施例では1番に対しその他2番〜4番との比較、比較例の同軸ケーブルでは上記の2本のうち1本の同軸ケーブルに対する他方の同軸ケーブルとの比較で測定した。
図8及び図9に示すように、実施例では各周波数ごとのクロストークは近端の導体同士(図8)、遠端の導体同士(図9)ともに、比較例における両ケーブル同士のクロストークと有意な差は無く、クロストークは充分に抑制されていることを確認できた。
以上、図6乃至図9から明らかなように、本実施形態の伝送ケーブルによれば、同じ特性インピーダンスで構成された従来の同軸ケーブルと略同様の電気的特性(伝送特性等)が得られることが分かった。
次に、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
上述した第1の実施形態の伝送ケーブルと本実施形態の伝送ケーブルは、共に、いわゆるシングルエンド伝送用に好適であるが、第1の実施形態の伝送ケーブルでは第1の導体(中心導体に相当)が4本設けられている点で配線数を重視した構造であるのに対し、本実施形態の伝送ケーブルは、伝送線路として見た場合に理想的であり、伝送品質重視の構造とも言える。
図1(b)に示すように、この伝送ケーブル2100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体2111、2121、2131と各第1の導体2111、2121、2131の外周に形成された誘電体2113、2123、2133とから成る第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と、第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と同じ径を有し各誘電体2113、2123、2133、2143と隣接して配置される第2の導体ユニット2210、2220、2230、2240とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット2210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130及び第2の導体ユニット2220、2230、2240を相互に密接するように交互に配置している。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1の実施形態のものと同様である。尚、本実施形態においても、各第1の導体2111,2121,2131は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはPFAにより構成された各誘電体2113,2123,2133が0.025mmの厚みに被覆されている。即ち、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくる。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
続いて、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(c)に示すように、この伝送ケーブル3100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体3111、3121、3131、3141と各第1の導体3111、3121、3131、3141の外周に形成された誘電体3113、3123、3133、3143とから成る第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と、第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と同じ径を有し各誘電3113、3123、3133、3143と隣接して配置される第2の導体ユニット3210、3220、3230とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット3210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを、残りの2つの第2の導体ユニット3220、3230を中心に配置した第2の導体ユニット3210と連続するように配置すると共に、4つの第1の被覆導体ユニットが差動伝送用として2対のペア3110と3120、3130と3140になるように2つづつを隣接して且つ該2対のペアがそれぞれ隔てられるように連続して配置された3つの第2の導体ユニット3210、3220、3230に対して対象の位置に配置したものである。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1及び第2の実施形態のものと同様である。また、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくるのも第1及び第2の実施形態のものと同様である。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1及び第2の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。本実施形態の伝送ケーブルでは、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの配置は、第1の被覆導体ユニットのペア3110と3120と他のペア3130と3140間のノイズをカットし易く、また、グラウンドの電位を安定させ易い構造であり、これらの面からも差動伝送用として最も好適に使用可能であり、差動伝送用としては配線数と伝送品質の両面から、最も効率的に使用することも可能である。
前述した第1の実施形態並びに以上に述べた第2及び第3の実施形態の配線構造に共通する特徴として、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを合わせて7つ備えており、中心に第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットのいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを相互に密接するように配置したことがある。この配置(配線)構造によれば、図1の各断面図において、周囲の6つの導体ユニットにおける隣接する2つの導体ユニットに共通する接線を仮想すれば、全体として正六角形に形成される。このような配置(配線)構造によれば、伝送ケーブル全体が湾曲した場合にも、各導体ユニット相互のズレを生じ難いので、かかるズレにより伝送特性を乱すことも無くなる。
上記第1乃至第3の実施形態では、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるようにしたが、一方を10他方を9の合わせて19備えるようにしても良い。或いは、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるものを一ユニットすれば、そのN倍の配線構造の1ケーブルを考えることも可能である。但し、本発明の伝送ケーブルの上述した伝送原理からも、極細ケーブルであるのが望ましく、高周波用として0.25mmの径、低周波用として0.5mmの径等が考えられる。
また、本発明の伝送ケーブルの第1の被覆導体ユニットに用いられる導体には、AWG36〜AWG58の外径の導体を用いるのが好ましい。より好ましくはAWG38〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、更に好ましくはAWG42〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、最も好ましくはAWG46〜58の外径の導体を用いるのがよい。
【書類名】明細書
【発明の名称】伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法
【技術分野】
本発明は、伝送ケーブル、多芯伝送ケーブル及び信号の伝送方法に関し、例えば、医療機器、通信機器、コンピュータ等の電子機器における信号・電源等の伝送に用いられる伝送ケーブル等に関する。
【背景技術】
例えば、医療機器である超音波診断装置のプローブケーブル、内視鏡ケーブル等の医療用ケーブルや精密制御が要求されるロボットの制御ケーブル等には、芯数が多い集合ケーブルである多芯ケーブルが用いられる。これら医療機器や制御機器の小型軽量化に伴って、機器における信号・電力等の伝送用のケーブルの細径化が要求されてきており、かかるケーブルの電気的性能等を劣化させることなく細径化させる技術の開発が望まれている。一方、伝送する情報信号等の多様化・大容量化・高速化等に伴って、できるだけ伝送用ケーブルの自身の径を細径化しながらも信号線や電源線の線数を増加させる要求も高いものがある。特表2002−515630号公報に記載の伝送ケーブルには、外径が小さい同軸ケーブルを多芯に用いた伝送ケーブルが用いられている。
上述した従来の伝送ケーブルでは、同軸ケーブルとしての優れた電気的特性を有しながらも、信号線や電源線の線数を増加させればさせる程、ケーブルの外径も大きくなり、細径化と線数の増加を両立させる更なる工夫はなされていない。従って、例えば、血管内に貫挿される医療用ケーブル等において、更に高品質の情報伝送を可能にしつつ極細径化を図るという要求に答えるのは困難であった。
【発明の開示】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルを提供することにある。
この問題を解決するために、本発明者は、鋭意に研究・開発を続けた結果、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有しながらも、更なる細径化や線数の増加を可能とする伝送ケーブルの新たな構造を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、上記目的達成のため、本発明の伝送ケーブルでは、同軸ケーブルの中心導体に相当する第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置され、同軸ケーブルの外部導体に相当する第2の導体とを、合わせて7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体のいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体を相互に密接するように交互に配置し、一の前記第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する全ての前記第2の導体とで一の信号線を形成し、前記信号線が決められた特性インピーダンスとなるように前記誘電体の外径を設定したことを特徴とする。
また、前記伝送ケーブルは、外径が0.5mm以下のケーブルであるのが望ましい
こで、本発明の第1の様相では、4つの前記第1の被覆導体ユニットと3つの前記第2の導体を備え、前記中心に前記第1の被覆導体ユニットを1つ配置したことを特徴とする。
また、本発明の第2の様相では、3つの前記第1の被覆導体ユニットと4つの前記第2の導体を備え、前記中心に前記第2の導体を1つ配置したことを特徴とする。
尚、前記伝送ケーブルの外皮を構成する遮蔽材により前記第1の被覆導体ユニット及び第2の導体が覆われているのが好適である。更に、少なくとも上記伝送ケーブルをユニットとして複数含み、多芯に構成した多芯伝送ケーブルとすることも可能である。この場合、従来の同軸ケーブルをも含む多芯伝送ケーブルとしても良い。
更に、本発明の第3の様相では、同軸ケーブルの中心導体に相当する第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置され、同軸ケーブルの外部導体に相当する第2の導体とを、合わせて7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体のいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体を相互に密接するように交互に配置し、一の前記第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する全ての前記第2の導体とで一の信号線を形成し、前記信号線が決められた特性インピーダンスとなるように前記誘電体の外径を設定した伝送ケーブルを使用することを特徴とする信号の伝送方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図、(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図、(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、電線を極細にした場合の電磁場の変化、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
図9は本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性のうち、その遠端クロストーク特性を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。
本発明者は、内部導体と誘電体等を介してその同軸上に配置(形成)された外部導体とを有する従来の同軸ケーブルとは異なる新たな導体等の配置構造を備えながら、従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性を有する新規な伝送ケーブルの発明を想到するに至った。
この発明によれば、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線等を増加することも可能である。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(a)に示すように、この伝送ケーブル100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体111、121、131、141と各第1の導体111、121、131、141の外周に形成された誘電体113、123、133、143とから成る第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と、第1の被覆導体ユニット110、120、130、140と同じ径を有し各誘電体113、123、133、143と隣接して配置される第2の導体ユニット210、220、230とを、合わせて7つ備え、中心に第1の被覆導体ユニット110を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット120、130、140及び第2の導体ユニット210、220、230を相互に密接して交互に配置されるように7個撚りされている。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。ここで、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットはほぼ同じ外径で構成されており、これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを先述したように、7個撚りすることにより図1(a)に示すように断面がほぼ各第1の被覆導体ユニットと各第2の導体ユニットの外周に内接させた線の形状或いは各第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの導体の中心を結んだ線の形状が正六角形になるように構成されている。このような構成で第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが7個撚りされていることで伝送ケーブルが屈曲した場合においても7個撚りされた第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットが安定した位置関係を保つことが可能となり信号の劣化を抑えた伝送ケーブルを構成することが可能となっている。
ここで、各第1の導体111,121,131,141は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはパーフロロエチレンプロピレンコポリマー(以下、PFA)により構成された各誘電体113,123,133,143は0.025mmの厚み(T)に被覆されている。一方、各第2の導体ユニット210、220、230は、AWG40(それぞれ同じ30μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りして構成したもの)の径を有する銀メッキ銅合金線の導線である。これらの第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとが7個撚りされた外周をALPET(ポリエステルテープにアルミニウム箔が接着されたもの)からなる遮蔽材300により約15μmの厚みに被覆すると共に、更にその外周にポリエステルテープを巻きつけて構成されたジャケット(厚み10μm)により被覆して構成されている。
このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、図2(a)に示すように、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す。図2(b)は、従来の同軸ケーブルを多芯に構成する一例としての多芯同軸ケーブルの断面構成を模式的に示す。
図2(a)において、上図は、前述した第1の実施形態に係る伝送ケーブル100を示し、各第1の導体111、121、131、141に外径0.03mm(AWG48)の銀メッキ銅合金線で構成された単純線(素線)を用いて、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50Ωに構成すると、第1の導体の外周にPFAにより構成された誘電体は約15μmの厚さで被覆され、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG44(20μmの銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体で構成し、伝送ケーブル100全体として、外径φ0.22mmに形成したとする。この伝送ケーブル100を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、144芯の多芯ケーブルを構成可能である。
一方、図2(b)において、上図は、従来のAWG48の銀メッキ銅合金線を中心導体に用いた同軸ケーブル500を示し、特性インピーダンスが50Ωで構成されるように、中心導体の周囲にPFAで構成された誘電体が被覆され、その誘電体の周囲に外部導体とジャケットが被覆されて構成されている。これにより、全体として、外径φ0.15mmに形成されている。この同軸ケーブル500を用いて外径φ1.5mmの多芯伝送ケーブルを構成する場合には、同下図に示すように、77芯の多芯ケーブルを構成可能に過ぎないことになる。
以上のように、本実施形態に係る伝送ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成することにより、従来の第1の導体と同じ径の中心導体を用いて本実施形態の伝送ケーブルと伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)と同じ特性インピーダンスの同軸ケーブルを用いて多芯伝送ケーブルを構成する場合に比べて、同じ外径であれば約倍の配線密度とすることができ、一方、同じ配線密度(芯数)であれば約半分の外径とすることが可能である。
本実施形態に係る伝送ケーブルは、後述するように、従来の同軸ケーブルと略同等以上の電気的特性(伝送特性)が得られるが、その理由(原理)について考察してみた。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送イメージ(原理)を説明するための図であり、(a)は、その伝送イメージ(原理)を示し、(b)は、極細ケーブルである場合の電磁界の変化を説明するための図、(c)は、従来の同軸ケーブルの伝送イメージ(原理)を示す図である。
図3(a)において、左図は、第1の実施形態に係る伝送ケーブルを示すが、その構造を最も単純な系に分解することができる。
ここで、図3(c)において、上図は、中心導体502、誘電体504、外部導体506から成る従来の同軸構造のケーブルを示し、かかる同軸構造のケーブルでは、同下図に示すように、中心導体502と外部導体506間の電磁界分布508が均一となることで高い伝送品質を得ることができる。
一方、図3(b)において、図3(a)の右図に示す系では、図3(b)の左図に示すように、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電磁界分布108が不均一となりかねず、外部にも放射してしまい易い。従って、上述した図3(a)の右図に示す単純な系のままでは、伝送損失が大きい、信号線間のクロストークが大きい、内外ノイズの影響を受け易い等により伝送品質が低下し従来の同軸ケーブルと同等の電気的特性が得られなくなる虞が生じる。
本発明者は、かかる問題点を解決可能な構造として、上述した第1の実施形態並びに後述する第2及び第3の実施形態に係るケーブル(配線)構造を案出したのである。即ち、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第1に、図3(b)の左図から右図に示すように、極細い電線を最も近い距離に配置することにより、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の電気的結合を高めて(電磁界密度を高くして)電磁界分布108の不均一による伝送品質への影響を略無視できる構造としている。 即ち、たとえ上述した図3(a)の右図に示す単純な系の場合でも、電線が細くなると、中心導体に相当する第1の導体と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる。この結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されることになるものと解される。
図4は、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの伝送原理を説明するための図であり、(a)は、その導体間の電磁場の状態、(b)は、その遮蔽材の効果、(c)は、その導体間における電磁場の状態と極性との関係を示す。
図4(a)は、(後述する第2の実施形態の伝送ケーブルの系の一部を抽出したものに該当するが)、第1の導体611に誘電体613を介して3つの第2の導体(ユニット)710、720、730が密接するように近接して配置されており、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間に電磁界分布708が形成される。ここで、図4(a)に示す系でも、上述したように、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルでは、極細い電線である第1の導体611と第2の導体(ユニット)710、720、730が誘電体613を介して密接するように近接
して配置されているので、中心導体に相当する第1の導体611と外部導体に相当する第2の導体(ユニット)710、720、730間の距離が非常に近くなり、電場の密度は大変高くなって電気的結合が強くなる結果、導体間以外への放射等による損失が減少し伝送品質の劣化が抑制されている。 また、図4(a)に示す第1の被覆導体ユニットと、図示しない他の第1の被覆導体ユニットとは、第2の導体(ユニット)710、720、730によって隔てられるように配置されるため、第2の導体(ユニット)710、720、730を第1の被覆導体ユニットと同じ径にすることで、第1の導体−第1の導体
間の距離が遠くなり、相互の干渉を抑える効果が高められている。
尚、本発明の伝送ケーブルでは、中心導体及びその外周に設けられた誘電体に相当する第1の被覆導体ユニットと、これに隣接する、外部導体に相当する第2の導体(ユニット)とで信号線が形成されている。 本発明の構成ではこの信号線において決められた特性インピーダンスとなるように各条件(誘電体の種類や外径、外部導体の外径等)が設定される。本発明の信号線の特性インピーダンスは従来の同軸ケーブルの特性インピーダンスに該当するものとなる(ただし、後述する本発明の第3の実施形態に係る差動用の構成ではペアとなる第1の被覆導体ユニットで信号線となりその信号線で決められた特定インピ
ーダンスとなるように各条件(誘電体の外径等)が決められる)。
尚、例えば、図4(a)に示す系において、導体間以外への外部放射等による損失を更に減少させるために、図4(b)に示すように、遮蔽材300によりケーブル外周を被覆するのが有効である。かかる構成とすれば、遮蔽材300により外部への放射が抑えられ、伝送品質の劣化を有効に防止することも可能である。このような遮蔽材としては、金属箔や金属をテープに蒸着した金属化蒸着テープや導電性テープが考えられる。
更に、本発明の実施形態に係る伝送ケーブルの特徴として、第3に、図4(c)に示すように、それぞれ同軸ケーブルにおける中心導体に相当する複数の第1の導体とそれぞれ同軸ケーブルにおける外部導体に相当する複数の第2の導体(ユニット)とが一のケーブル内に非同軸に密接して配置されているにも拘わらず、中心導体に相当する複数の第1の導体相互の干渉は非常に少ないことがある。これは、図4(c)に矢印Rで示すように、第1の導体-第1の導体間(中心-中心導体間)は、双方の誘電体の厚みにより隔てられる分、第1の導体-第2の導体間(中心-外部導体間)に比べて距離が遠くなるので、電場の密度が異なり、相互の干渉は少なくなる。 さらに、本発明では、第2の導体(ユニット)は、第1の被覆導体ユニットと同じ径を有しており、第2の導体(ユニット)が第1の被覆導体ユニットの径より小さい場合と比べて導体抵抗が小さく、より電位差を大きくすることができるため、第1の導体−第1の導体間の相互の干渉を低減する効果が高まっている。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る伝送ケーブルを多芯に構成する他の実施例としての多芯伝送ケーブルの断面構成を模式的に示す図である。
この実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、上述した第1の実施形態の伝送ケーブルをユニットとして複数(17個)含み、従来の同軸ケーブルと共に多芯の集合ケーブルとして構成したことを特徴としている。
即ち、本実施例の多芯伝送ケーブルは、同図に示すように、内側部51と外側部53とを有している。外側部53は、同心円上に上記した第1の実施形態の伝送ケーブルを17本配置して形成されており、内側部51は、複数の従来の同軸ケーブルを配置して形成されている。より詳細には、内側部51は、中心部51Aと周辺部51Bとに区画されており、中心部51Aは、4本の電源線[AWG44]から成るユニットA-Dと、その両側の4本の同軸ケーブル[AWG46]1−4が配置されている。周辺部51Bには、14本の同軸ケーブル[AWG46]5−18が同心円上に配置されている。一方、外側部53は、上記17本の第1の実施形態の伝送ケーブルa−qを信号線ユニットとして用いており、各伝送ケーブルa−qは、各第1の導体111、121、131、141をAWG48の単純線(素線)、各第2の導体ユニット210、220、230は、ここではAWG40撚り線により形成している。また、周辺部51Bの周囲にALPETテープT1が巻かれ、その周囲に外側部53が形成されている。更に、外側部53の周囲にもALPETテープT2が巻かれ、その外周面側に編組シールド層SLと、更にその外周面側にPFAシースPSが被覆形成されることにより、多芯伝送ケーブル700全体として、外径φ1.9mmに形成されている。従って、これだけの信号線等を含みながら極細の伝送ケーブルを構成することができ、外径φ1.95mmのスペースに通線可能である。例えば、血管内を通す医療用内視鏡等のケーブルとして好適に用い得る。
次に、本実施形態の伝送ケーブルの電気的特性(伝送特性等)について説明する。 図6乃至図9は、本実施形態に係る伝送ケーブルの電気的特性を、比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す図である。ここでは、本実施形態の伝送ケーブル100における各第1の導体111、121、131、141をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線(素線)を用いて伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスを50ΩになるようにPFAの誘電体を第1の導体の周囲に被覆して第1の被覆導体ユニットを構成し、各第2の導体ユニット210、220、230をAWG40(銀メッキ銅合金線を7本撚りした撚り線)の導体により形成した。また、比較例の同軸ケーブルも、その中心導体をAWG46の銀メッキ銅合金線の単純線とし、特性インピーダンス50ΩとなるようにPFAの誘電体を被覆して構成した同軸ケーブル(中心導体AWG46)2本を平行に隣接させた構成のもので測定した。図6は、上記電気的特性のうち、その挿入損失を示す図であり、比較例としての従来の同軸ケーブルの挿入損失と共に示す。尚、図6では、縦軸の挿入損失は常用対数で表している。
即ち、本発明者は、本実施形態の伝送ケーブルの挿入損失を調べるために、図1(a)に示した配線構造のケーブルユニットを含んで多芯に構成した一実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた挿入損失[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の挿入損失と比較してみた。
図6に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの挿入損失は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図7は、上記電気的特性のうち、その反射減衰量を示す図であり、比較例としての従来の多芯同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。尚、図7では、縦軸の反射減衰量は常用対数で表している。
ここでは、本実施形態の伝送ケーブルの反射減衰量を調べるために、本実施例の多芯伝送ケーブルを用いて伝送を行った場合の周波数[GHz]に応じた反射減衰量[dB]を調べ、従来の多芯同軸ケーブルを用いて同様に伝送を行った場合の反射減衰量と比較してみた。
図7に示すように、実施例と比較例では各周波数ごとの反射減衰量は殆ど一致しており、両ケーブル間に差が無いことを確認できた。
図8は、上記電気的特性のうち、その近端クロストーク特性を示す図、図9は、その遠端クロストーク特性を示す図であり、両図とも比較例としての従来の同軸ケーブルの同様の特性と共に示す。両図におけるクロストーク波形に関しては、実施例では1番に対しその他2番〜4番との比較、比較例の同軸ケーブルでは上記の2本のうち1本の同軸ケーブルに対する他方の同軸ケーブルとの比較で測定した。
図8及び図9に示すように、実施例では各周波数ごとのクロストークは近端の導体同士(図8)、遠端の導体同士(図9)ともに、比較例における両ケーブル同士のクロストークと有意な差は無く、クロストークは充分に抑制されていることを確認できた。
以上、図6乃至図9から明らかなように、本実施形態の伝送ケーブルによれば、同じ特性インピーダンスで構成された従来の同軸ケーブルと略同様の電気的特性(伝送特性等)が得られることが分かった。
次に、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
上述した第1の実施形態の伝送ケーブルと本実施形態の伝送ケーブルは、共に、いわゆるシングルエンド伝送用に好適であるが、第1の実施形態の伝送ケーブルでは第1の導体(中心導体に相当)が4本設けられている点で配線数を重視した構造であるのに対し、本実施形態の伝送ケーブルは、伝送線路として見た場合に理想的であり、伝送品質重視の構造とも言える。
図1(b)に示すように、この伝送ケーブル2100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体2111、2121、2131と各第1の導体2111、2121、2131の外周に形成された誘電体2113、2123、2133とから成る第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と、第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130と同じ径を有し各誘電体2113、2123、2133、2143と隣接して配置される第2の導体ユニット2210、2220、2230、2240とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット2210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット2110、2120、2130及び第2の導体ユニット2220、2230、2240を相互に密接するように交互に配置している。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1の実施形態のものと同様である。尚、本実施形態においても、各第1の導体2111,2121,2131は0.04mm(AWG46)の径を有する銀メッキ銅合金線の単純線(素線)であり、伝送ケーブルの各信号線(隣り合う第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットで構成される)の特性インピーダンスが50Ωになるようにその外周にはPFAにより構成された各誘電体2113,2123,2133が0.025mmの厚みに被覆されている。即ち、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくる。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。
続いて、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルについて説明する。図1(c)は、本発明の第3の実施形態に係る伝送ケーブルの断面図である。
図1(c)に示すように、この伝送ケーブル3100は、従来の同軸ケーブルにおける内部導体に相当する第1の導体3111、3121、3131、3141と各第1の導体3111、3121、3131、3141の外周に形成された誘電体3113、3123、3133、3143とから成る第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と、第1の被覆導体ユニット3110、3120、3130、3140と同じ径を有し各誘電3113、3123、3133、3143と隣接して配置される第2の導体ユニット3210、3220、3230とを、合わせて7つ備え、中心に第2の導体ユニット3210を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを、残りの2つの第2の導体ユニット3220、3230を中心に配置した第2の導体ユニット3210と連続するように配置すると共に、4つの第1の被覆導体ユニットが差動伝送用として2対のペア3110と3120、3130と3140になるように2つづつを隣接して且つ該2対のペアがそれぞれ隔てられるように連続して配置された3つの第2の導体ユニット3210、3220、3230に対して対象の位置に配置したものである。そして、これら導体の外周を遮蔽材300により被覆すると共に、更にその外周をジャケット400により被覆した極細伝送ケーブルとして構成されている。各第1の導体の径及び線材、各誘電体の厚み、各第2の導体ユニットの径及び構成(撚り線)、遮蔽材及びジャケットの構成等は、第1及び第2の実施形態のものと同様である。また、第1の導体の径と、特性インピーダンスの値が決まっていることから、誘電体の材質に応じて誘電体の厚みが決められ、第1の被覆導体ユニットの外径、ひいては伝送ケーブル全体の外径が決まってくるのも第1及び第2の実施形態のものと同様である。このように構成された本実施形態の伝送ケーブルを複数用いて多芯伝送ケーブルを構成すれば、第1及び第2の実施形態と同様に、従来の同軸ケーブルに比べて更なる細径化が可能となる一方、同じ外径であれば従来の同軸ケーブルに比べて信号線数等を飛躍的に増加することも可能である。本実施形態の伝送ケーブルでは、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットの配置は、第1の被覆導体ユニットのペア3110と3120と他のペア3130と3140間のノイズをカットし易く、また、グラウンドの電位を安定させ易い構造であり、これらの面からも差動伝送用として最も好適に使用可能であり、差動伝送用としては配線数と伝送品質の両面から、最も効率的に使用することも可能である。
前述した第1の実施形態並びに以上に述べた第2及び第3の実施形態の配線構造に共通する特徴として、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを合わせて7つ備えており、中心に第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットのいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを相互に密接するように配置したことがある。この配置(配線)構造によれば、図1の各断面図において、周囲の6つの導体ユニットにおける隣接する2つの導体ユニットに共通する接線を仮想すれば、全体として正六角形に形成される。このような配置(配線)構造によれば、伝送ケーブル全体が湾曲した場合にも、各導体ユニット相互のズレを生じ難いので、かかるズレにより伝送特性を乱すことも無くなる。
上記第1乃至第3の実施形態では、第1の被覆導体ユニットと第2の導体ユニットとを、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるようにしたが、一方を10他方を9の合わせて19備えるようにしても良い。或いは、一方を4つ他方を3つの合わせて7つ備えるものを一ユニットすれば、そのN倍の配線構造の1ケーブルを考えることも可能である。但し、本発明の伝送ケーブルの上述した伝送原理からも、極細ケーブルであるのが望ましく、高周波用として0.25mmの径、低周波用として0.5mmの径等が考えられる。
また、本発明の伝送ケーブルの第1の被覆導体ユニットに用いられる導体には、AWG36〜AWG58の外径の導体を用いるのが好ましい。より好ましくはAWG38〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、更に好ましくはAWG42〜AWG58の外径の導体を用いるのがよく、最も好ましくはAWG46〜58の外径の導体を用いるのがよい。

Claims (7)

  1. 第1の導体と該第1の導体の外周に形成された誘電体とから成る第1の被覆導体ユニットと、前記第1の被覆導体ユニットと略同じ径を有し前記誘電体と隣接して配置される第2の導体ユニットとを、合わせて少なくとも7つ備え、中心に前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットのいずれか一方を1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを相互に密接するように配置したことを特徴とする伝送ケーブル。
  2. 前記伝送ケーブルは、極細ケーブルであることを特徴とする請求項1に記載の伝送ケーブル。
  3. 4つの前記第1の被覆導体ユニットと3つの前記第2の導体ユニットを備え、前記中心に前記第1の被覆導体ユニットを1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを交互に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送ケーブル。
  4. 3つの前記第1の被覆導体ユニットと4つの前記第2の導体ユニットを備え、前記中心に前記第2の導体ユニットを1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを交互に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送ケーブル。
  5. 4つの前記第1の被覆導体ユニットと3つの前記第2の導体ユニットを備え、前記中心に前記第2の導体ユニットを1つ配置し、その周囲に残りの6つの前記第1の被覆導体ユニット又は第2の導体ユニットを、残りの2つの前記第2の導体ユニットを前記中心に配置した第2の導体ユニットと連続するように配置すると共に、4つの前記第1の被覆導体ユニットが2対のペアになるように2つづつを隣接して且つ該2対のペアがそれぞれ隔てられるように前記連続して配置された3つの第2の導体ユニットに対して対象の位置に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送ケーブル。
  6. 前記伝送ケーブルの外皮を構成する遮蔽材により前記第1の被覆導体ユニット及び第2の導体ユニットが覆われていることを特徴とする請求項1に記載の伝送ケーブル。
  7. 少なくとも請求項1に記載の伝送ケーブルをユニットとして複数含み、多芯に構成したことを特徴とする多芯伝送ケーブル。
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