JPWO2012099175A1 - オートフォーカスシステム - Google Patents

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Abstract

自動追尾機能を備えたオートフォーカスシステムにおいて、ズームによって画角を変更した場合に誤追尾が起こることを抑えることができるオートフォーカスシステムを提供する。オートフォーカスシステムは、光学系により結像された被写体像を撮像する撮像手段と、撮影画像に設定されるオートフォーカス領域内の被写体にピントが合うように、光学系のフォーカス調整を行うオートフォーカス部と、オートフォーカス領域内の所定の被写体を追尾対象とし、撮像手段により新たに撮像された撮影画像における前記追尾対象の存在領域を検出し、当該存在領域を新たなオートフォーカス領域として決定する追尾処理を行うAF領域追尾処理部と、被写界深度を算出する被写界深度演算部と、算出した被写界深度に基づいて、フォーカス調整及び追尾処理の実行を制御する制御部とを備える。

Description

本発明は、オートフォーカス(AF)領域の被写体を追尾対象とし、該追尾対象の位置に応じてAF領域を更新する自動追尾機能を備えたオートフォーカスシステムに関する。
放送用又は業務用のテレビカメラシステムにおいて、特定撮像領域の被写体に自動でピントを合わせるオートフォーカス機能を備えたものが知られている。この種のカメラシステムでは、一般にコントラスト方式のAFが採用されており、撮影映像のコントラストの高さを検出し、そのコントラストが最大(極大)となるように撮影光学系のフォーカスを制御することにより行われている。
AFによりピントを合わせる場合、通常は撮影映像の画面全体に合わせるわけではなく、撮影画像の一部の領域(オートフォーカス領域)の被写体に合わせる。すなわち、コントラスト方式の場合、オートフォーカス領域内の撮影画像(被写体画像)のコントラストが最大となるようにフォーカス調整を行う。
また、オートフォーカス機能を実現するものとして、特許文献1に示すような自動追尾機能を有するオートフォーカスシステムが知られている。特許文献1のオートフォーカスシステムは、自動追尾機能をオフにした固定モードと、自動追尾機能をオンにした追尾モードとのうちいずれかがユーザの操作によって選択されるAFモードが採用されている。
日本国特許4418344号
ところで、自動追尾機能を備えたオートフォーカスシステムにおいて、自動追尾を行っている状態で、ズームによって画角をワイド側に変更した場合に、誤追尾を起こしやすい。その後、画角をワイド側からテレ側に動かしたときに意図する被写体とは別の被写体を追尾してしまうことがあった。
また、オートフォーカス領域の被写体にピントを合わせても、その後のズームによって画角を変更した場合に、ピントが被写体に合わなくなってしまうことがあった。
特許文献1のカメラは、自動追尾機能のオン・オフを、ズームによる画角の変化に応じて自動で切り換えることができないため、ズームによって画角を変更した場合に誤追尾が起こりやすくなる。
本発明は、自動追尾機能を備えたオートフォーカスシステムにおいて、ズームによって画角を変更した場合に誤追尾が起こることを抑えることができるオートフォーカスシステムを提供する。
本発明のオートフォーカスシステムは、光学系により結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された撮影画像に設定されるオートフォーカス領域に対し、該オートフォーカス領域内の被写体にピントが合うように、前記光学系のフォーカス調整を行うオートフォーカス部と、
前記オートフォーカス領域内の所定の被写体を追尾対象とし、前記撮像手段により新たに撮像された撮影画像における前記追尾対象の存在領域を検出し、当該存在領域を新たなオートフォーカス領域として決定する追尾処理を行うAF領域追尾処理部と、
前記光学系から得られる情報に基づいて被写界深度を算出する被写界深度演算部と、
前記被写界深度演算部によって算出した前記被写界深度に基づいて、前記オートフォーカス部による前記フォーカス調整、及び前記AF領域追尾処理部による前記追尾処理の実行を制御する制御部と、を備えるものである。
本発明によれば、自動追尾機能を備えたオートフォーカスシステムにおいて、ズームによって画角を変更した場合に誤追尾が起こることを抑えることができるオートフォーカスシステムを提供できる。
本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムを説明するためのビデオカメラシステムの全体構成を示すブロック図 本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムにおけるオートフォーカス領域の一例を説明するための図 図1のビデオカメラシステムにおけるタッチパネル付き液晶ディスプレイに表示される画面の一例を示す図 自動追尾を停止した場合にLCDに表示される画面の一例を示す図 本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムにおける自動追尾モード時の処理手順を示すフローチャート 本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムにおけるオートフォーカス調整制御の処理手順を示すフローチャート
以下、図面を参照して、本発明の自動追尾機能を備えたオートフォーカスシステムの実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムを説明するためのビデオカメラシステムの全体構成を示すブロック図である。このビデオカメラシステムは、例えば、放送用又は業務用テレビカメラでの撮影に用いられるものである。
図1に示すように、ビデオカメラシステム1は、テレビカメラ10と、自動追尾を行うAF領域追尾処理部を構成する画像処理ユニット18と、AF枠操作部20を含んで構成される。
テレビカメラ10は、ハイビジョンテレビ[HD(High Definition)TV]方式に対応したHDカメラからなるカメラ本体14と、カメラ本体14のレンズマウントに装着される撮影レンズ(光学系)を備えたレンズ装置12とを含んで構成される。
カメラ本体14には、撮像素子(例えばCCD撮像素子)や所要の信号処理回路等が搭載されており、レンズ装置12の撮影レンズにより結像された像は、撮像素子により光電変換された後、信号処理回路によって所要の信号処理が施されてHDTV方式の映像信号(HDTV信号)として、カメラ本体14の映像信号出力端子等から外部に出力される。
また、カメラ本体14には、ビューファインダ16が設置されており、そのビューファインダ16にテレビカメラ10の撮影映像が表示されるようになっている。また、ビューファインダ16には、撮影映像以外の各種情報が表示されるようになっており、例えば、現在の設定されているオートフォーカス領域の輪郭であるAF枠を示す画像(枠画像)が撮影映像に重畳されて表示されるようになっている。
レンズ装置12は、カメラ本体14のレンズマウントに装着される撮影レンズ(ズームレンズ)を備えており、その撮影レンズにより、被写体28がカメラ本体14の撮像素子の撮像面に結像されるようになっている。撮影レンズには、図示を省略するが、その構成要素としてフォーカスレンズ群、ズームレンズ群、絞りなどの撮影条件を調整するための可動部が設けられており、それらの可動部は、モータ(サーボ機構)によって電動駆動されるようになっている。例えば、フォーカスレンズ群やズームレンズ群は光軸方向に移動し、フォーカスレンズ群が移動することによってフォーカス(被写体距離)調整が行われ、またズームレンズ群が移動することによって焦点距離(ズーム倍率)調整が行われる。
なお、オートフォーカス調整に関するシステムにおいては、少なくともフォーカスレンズ群が電動で駆動できればよく、その他の可動部は手動でのみ駆動可能であってもよい。
また、レンズ装置12には、AFユニット40及び図示しないレンズCPU等が搭載されている。レンズCPUはレンズ装置12全体を統括制御するものである。また、AFユニット40は、オートフォーカス調整によるフォーカス制御(自動ピント調整)を行うために必要な情報を取得するための処理部であり、図示を省略するが、AF処理部、AF用撮像回路等から構成されている。
AF用撮像回路はAF処理用の映像信号を取得するためにレンズ装置12に配置されており、CCD撮像素子等の撮像素子(AF用撮像素子という)やAF用撮像素子の出力信号を所定形式の映像信号として出力する処理回路等を備えている。なお、AF用撮像回路から出力される映像信号は輝度信号である。
AF用撮像素子の撮像面には、撮影レンズの光路上に配置されたハーフミラー等によってカメラ本体14の撮像素子に入射する被写体光から分岐された被写体光が結像するようになっている。AF用撮像素子の撮像領域及び被写体距離(ピントが合う被写体の距離)は、カメラ本体14の撮像素子の撮像領域及び被写体距離に一致するように構成されており、AF用撮像素子により取り込まれる被写体画像は、カメラ本体14の撮像素子により取り込まれる被写体画像と一致している。なお、両者の撮影範囲に関しては完全に一致している必要はなく、例えば、AF用撮像素子の撮影範囲の方がカメラ本体14の撮像素子の撮影範囲を包含する大きな範囲であってもよい。
AF処理部は、AF用撮像回路から映像信号を取得し、その映像信号に基づいてオートフォーカス領域の被写体画像のコントラストの高低を示す焦点評価値を算出する。例えば、AF用撮像素子から得られた映像信号から高域周波数成分の信号をハイパスフィルタによって抽出した後、その高域周波数成分の信号のうち後述のようにして設定されるオートフォーカス領域の画像の信号を1画面(1フレーム)分ずつ積算する。このようにして1画面分ごとに得られる積算値はオートフォーカス領域の画像のコントラストの高低を示し、その積算値が焦点評価値としてレンズCPUに与えられる。
レンズCPUは、オートフォーカス領域の輪郭情報(位置、大きさ、形状等)を示すAF枠の情報(AF枠情報)を、後述するように画像処理ユニット18から取得し、そのAF枠情報により指定されたオートフォーカス領域をAF処理の対象範囲に指定する。そして、そのオートフォーカス領域の画像(映像信号)により求められる焦点評価値をAF処理部から取得する。
このようにしてAF用撮像回路から1画面分の映像信号が取得されるごとに(AF処理部で焦点評価値が求められるごとに)AF処理部から焦点評価値を取得すると共に、取得した焦点評価値が最大(極大)、即ち、オートフォーカス領域内の被写体画像のコントラストが最大となるようにフォーカスレンズ群を制御する。例えば、焦点評価値に基づくフォーカスレンズ群の制御方式として山登り方式が一般的に知られており、フォーカスレンズ群を焦点評価値が増加する方向に移動させて行き、焦点評価値が減少し始める点を検出すると、その位置にフォーカスレンズ群を設定する。これにより、オートフォーカス領域内の被写体に自動でピントが合わせられる。
なお、上述のAF処理部は、焦点評価値を算出するために、レンズ装置12に搭載されたAF用撮像素子から映像信号を取得しているが、カメラ本体14の撮像素子より撮影された映像の映像信号をカメラ本体14から取得するような構成としてもよい。また、オートフォーカス領域内の被写体に自動でピントを合わせるためのAF手段はどのようなものであってもよい。
次に、本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムにおけるオートフォーカス領域について説明する。図2は、本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムにおけるオートフォーカス領域の一例を示す図である。図2に示すように、オートフォーカス領域200は、カメラ本体14における撮像素子の撮像領域202(又は撮影範囲)に対して四角形状の領域として設定され、その輪郭がAF枠204として示されている。本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムにおいては、撮像素子のオートフォーカス領域200(AF枠204内の領域)で撮影される被写体にピントが合わされる。
なお、本明細書では、撮像領域202に対するオートフォーカス領域200は、オートフォーカス領域200の輪郭(AF枠204)の位置、大きさ、及び、形状(縦横比)の3つの要素によって決まるものとし、AF枠204の位置、大きさ、及び、形状の3つの要素のうち、少なくとも1つの要素が変更された場合にはオートフォーカス領域200が変更されたものとする。
また、レンズ装置12は、ケーブルを介して、又は、直接的にカメラ本体14と接続され、レンズ装置12とカメラ本体14の各々に設けられたシリアル通信インターフェース(SCI)12a、14aを通じて各種情報のやり取りが行えるようになっている。これによりAFユニット40において現在設定されているAF枠の情報もカメラ本体14に送信され、カメラ本体14内での処理によってビューファインダ16に表示される撮影映像に現在設定されているAF枠の位置、大きさ、形状に対応したAF枠の画像が重畳表示されるようになっている。
画像処理ユニット18は、レンズ装置12のAFユニット40において設定されるオートフォーカス領域(AF枠の位置、大きさ、形状(縦横比))を後述のマニュアル操作又は自動追尾の処理により指定するための処理部である。画像処理ユニット18は、例えば、図示しない筐体内に納められて、レンズ装置12の撮影レンズの鏡胴側部やカメラ本体14の筐体外壁面等に設置される。なお、画像処理ユニット18をレンズ装置12やカメラ本体14に設置する位置はこれに限らず他の任意の位置に設置するようにしてもよく、また、レンズ装置12やカメラ本体14以外の部分に配置するようにしてもよい。
画像処理ユニット18は、SCI58を備えており、そのSCI58は、レンズ装置12に接続され、SCI12aを通じてレンズCPUとの間で各種信号のやり取りが行えるようになっている。これにより、オートフォーカス領域200を指定するAF枠情報が画像処理ユニット18からレンズ装置12のレンズCPUに与えられ、そのAF枠情報に基づいてAFユニット40におけるオートフォーカス領域200が設定される。
また、画像処理ユニット18には映像信号を取り込むための映像入力コネクタが設けられており、その映像入力コネクタにカメラ本体14の映像出力コネクタがダウンコンバータ46を介してケーブルで接続される。これによって、カメラ本体14の映像出力コネクタから出力されたHDTV信号が、ダウンコンバータ46によって、標準テレビ[NTSC(National Television System Committee)]方式の映像信号(SDTV信号)に変換(ダウンコンバート)されて、画像処理ユニット18に入力されるようになっている。
詳細は後述するが画像処理ユニット18は、自動追尾処理を実行する際に、カメラ本体14から入力された映像信号から1コマ分の撮撮画像を順次取り込み、撮影画像の中から所定の追尾対象の被写体を検出する処理を行う。そして、AFによりその被写体にピントが合わせられるようにオートフォーカス領域200を決定し、決定したオートフォーカス領域200の情報をレンズ装置12のレンズCPUに送信する。なお、画像処理ユニット18の構成及び処理内容については後述する。
AF枠操作部20は、画像処理ユニット18と一体の装置として設けられ、後述するタッチパネル付き液晶ディスプレイ(LCD)66が、画像処理ユニット18から取り外し可能に構成されている。なお、AF枠操作部20の一部又は全てが、画像処理ユニット18とは別体の装置として構成され、画像処理ユニット18とケーブル等で接続される態様であってもよい。
AF枠操作部20は、主にAF枠の制御に関する操作を行うための操作部であり、オートフォーカス領域200を操作者がマニュアル操作で指示入力するための操作部材や、所望の被写体を自動で追尾する自動追尾に関する操作を行うための操作部材を備えている。
詳細は省略するが、AF枠操作部20は、オートフォーカス領域の位置(AF枠の位置)をユーザの手動操作により上下左右に移動させるための位置操作部材60(例えば、ジョイスティックやトラックボール)、オートフォーカス領域の大きさ(AF枠の大きさ)を手動操作により変更するためのサイズ操作部材62(例えば、ツマミ)、オートフォーカス領域の形状(AF枠の形状)を手動操作により変更するための形状操作部材64(例えば、ツマミ)、自動追尾の開始を指示する追尾開始スイッチ68、自動追尾の停止を指示する追尾停止スイッチ70を含んでおり、これらの操作部材60、62、64、68、70の設定状態が、画像処理ユニット18におけるメインボード30のCPU38により読み取られるようになっている。
また、AF枠操作部20には、タッチパネル付き液晶ディスプレイ(以下、LCDという。)66が設けられている。LCD66は、自動追尾に関するモード等の設定をタッチ操作(タップ操作)で入力できるようにしたもので、画像処理ユニット18のCPU38によりLCD66に表示される画像が設定内容に応じて適宜切り換えられるようになっている。
なお、本実施の形態では、後述する自動追尾モードによる自動追尾のみが行われる場合には、AF枠操作部20の各操作部材60、62、64、68、70の一部又は全てが設けられていなくてもよい。また、LCD66も必ずしも設けられていなくてもよい。後述する自動追尾モードによれば、これらの操作部材60、62、64、68、70や、LCD66の操作を必要とすることなく、自動追尾が可能であり、ハンディカメラのようなAF枠操作装置の設置がスペース上困難な小型のカメラに好ましく適用することができる。もし、スペース的に問題なく、操作性にも影響を与えなければ各操作部材60、62、64、68、70の一部又は全て、或いはLCD66を適宜設けて、AF枠の位置をマニュアルで変更できるようにしてもよい。
次に画像処理ユニット18の構成及び処理内容について説明する。
画像処理ユニット18は、メインボード30、パターンマッチング処理演算ボード32、顔認識処理演算ボード34を含んで構成される。メインボード30、パターンマッチング処理演算ボード32、顔認識処理演算ボード34の各々にはCPU38、50、52が搭載されており、各ボード毎に個別の演算処理が行われると共に、各CPU38、50、52は、バスや制御線で接続され、相互にデータのやり取りや、演算処理の同期等が図られるようになっている。
画像処理ユニット18における処理は、メインボード30において統括的に行われるようになっている。そのメインボード30には、演算処理を行う上記CPU38の他に、SCI58、デコーダ(A/D変換器)36、スーパーインポーザ42、RAM39等が搭載されている。
SCI58は、上述のようにレンズ装置12のSCI12aとの間でシリアル通信を行うためのインターフェース回路であり、上記AF枠情報等をレンズ装置12に送信する。また、SCI58は、レンズ装置12から絞り値、被写体距離、焦点距離を含む情報を受信する。
メインボード30のCPU38は、レンズ装置12から取得した絞り値、被写体距離、焦点距離を用いて被写界深度を算出する演算処理と、算出された被写界深度に基づいて自動追尾を実行又は中止させるように制御する制御処理を行う。演算処理及び制御処理は、メインボード30、パターンマッチング処理演算ボード32、顔認識処理演算ボード34のいずれか、又は、別途に設けられた処理演算ボード(図示しない)で行われてもよい。
デコーダ36は、上記ダウンコンバータ46から画像処理ユニット18に入力されるテレビカメラ10の撮影映像の映像信号(SDTV信号)を、画像処理ユニット18においてデジタル処理可能なデータに変換するための回路であり、アナログのSDTV信号をデジタルデータの映像信号に変換するA/D変換処理等を行っている。このデコーダ36から出力される撮影映像の映像信号は、パターンマッチング処理演算ボード32や顔認識処理演算ボード34にも送られ、パターンマッチング処理演算ボード32や顔認識処理演算ボード34においてもテレビカメラ10の撮影映像を1コマ単位の撮影画像として取得することができるようになっている。
なお、画像処理ユニット18は、CPU38により書込み・読出し可能なメモリ等も備えており、処理データの記憶などに適宜使用される。また、このメモリには、後述する自動追尾モードにおけるAF枠設定処理において設定されるオートフォーカス領域の位置、大きさ、形状に関する情報が記憶されている。このオートフォーカス領域の位置、大きさ、形状に関する設定情報は、操作者(カメラマン)の好みに応じてAF枠操作部20の所定操作により変更可能であることが好ましい。
スーパーインポーザ42は、デコーダ36により得られた撮影映像の映像信号と、CPU38により生成される画像信号とを合成し、その合成した映像信号をLCD66に出力・表示する回路である。これにより、カメラ本体14に設置されているビューファインダ16と同様にテレビカメラ10の撮影映像がLCD66に表示されると共に、その撮影映像に重ねて、現在設定されているオートフォーカス領域の画像や、タッチパネルでの入力操作を行えるようにしたメニュー画面(メニュー画像)等がLCD66に表示される。なお、撮影映像に重畳させることなくCPU38で生成された画像のみを表示させることも当然可能である。
RAM39は、CPU38の演算処理において使用するデータを一時的に格納するメモリである。
パターンマッチング処理演算ボード32や顔認識処理演算ボード34は、パターンマッチングと顔検出・認証処理を個別に行うための演算ボードであり、各々、演算処理を行うCPU50、52の他に画像データを一時的に格納するVRAM54、56等を備えている。
また、画像処理ユニット18には、SD(Secure Digital)カードやUSBメモリなどの外部メモリとして顔認証データカード74を装填するスロット(不図示)が設けられており、顔認識により特定の人物の顔を検出する際に、その特定の人物の顔を示す認証データを予め顔認証データカード74に保存しておき、その顔認証データカード74をスロットに装填することで、顔認識に必要な認証データを顔認証データカード74からCPU38が読み込めるようになっている。
続いて、上記のごとく構成された画像処理ユニット18によるオートフォーカス領域の制御についてLCD66の表示及び操作に関する処理と共に説明する。
図3は、本発明の実施の形態のオートフォーカスシステムにおけるタッチパネル付き液晶ディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
図3に示すようにLCD66の画面66aには、テレビカメラ10の撮影映像に重畳して各種ボタン300、302からなるメニュー画面(メニュー画像)と、現在設定されているオートフォーカス領域200(図2参照)を示すAF枠204が表示される。メニュー画面の各種ボタン300、302やAF枠204のように撮影映像に重畳される画像は、図1に示した画像処理ユニット18におけるメインボード30のCPU38により生成され、それらの画像が、スーパーインポーザ42においてデコーダ36から出力されるテレビカメラ10の撮影映像に重畳されてLCD66に表示されるようになっている。なお、LCD66の表示(表示内容)に関する制御はCPU38により行われるものである。
また、LCDの画面66aには、レンズ装置12から取得した情報に基づいてレンズの画角を視覚的に示すインジケータ304が設けられている。
一方、LCD66はタッチパネルを備えており、LCD66の画面66aに対して指先等が触れるタッチ操作が行われると、触れた位置(座標)を示す位置情報がCPU38に与えられるようになっている。これにより、LCD66の画面66aに対して行われたタッチ操作の位置や操作の種類(タップ操作、ダブルタップ操作等)がCPU38により検出されるようになっている。そして、その操作に従った処理がCPU38により実行されるようになっている。
LCD66の画面66aにおける基本的な操作として、各ボタン300、302に予め割り当てられた指示を入力する操作や、オートフォーカス領域(AF枠204によって囲まれた領域)を指定する操作があり、前者の操作は、各ボタン300、302の位置を指先等でタップ操作するものである。後者のオートフォーカス領域を指定する操作は、例えば、撮影映像が表示されたLCD66の画面66a上において、オートフォーカス領域を移動させたい位置をタップ操作すれば、その位置が中心となるようにオートフォーカス領域を移動させることができる。また、オートフォーカス領域の輪郭を示すAF枠204の頂点や辺を指先等でタッチしてそのままスライドするドラッグ操作によってドラッグ操作した位置までタッチした頂点や辺の位置を移動させてオートフォーカス領域の大きさや形状を変更することができる。
なお、オートフォーカス領域の位置、大きさ、形状は、AF枠操作部20の位置操作部材60、サイズ操作部材62、形状操作部材64の操作でも変更可能である。
LCD66の画面66aに表示されるメニュー画面(メニュー画像)について説明すると、図3において、”AF枠固定”と表示された固定モード選択ボタン300、”自動追尾”と表示された自動追尾モード選択ボタン302は、オートフォーカスの制御モードを選択するボタンである。これらのボタン300、302のいずれかをタップ操作することで、固定モード、自動追尾モードのうちから所望のモードを選択することできるようになっている。
固定モードは、オートフォーカス領域(位置、大きさ、形状)を操作者がマニュアル操作で指定し、その指定した位置にAF枠を表示して、オートフォーカス領域を固定するモード(マニュアルモード)である。この固定モードは、カメラをほとんど動かさないニュース番組などでの撮影に有益なモードである。
図3のLCD66の画面66aにおいて固定モード選択ボタン300をタップ操作すると固定モードが選択され、画像処理ユニット18のメインボード30に搭載されたCPU38は、固定モードの処理を実行する。
即ち、CPU38は、上記のようにLCD66の画面66aに対するオートフォーカス領域を変更する操作や、AF枠操作部20に設けられたAF枠204をマニュアル操作で変更するための操作部材(位置操作部材60、サイズ操作部材62、形状操作部材64)の操作に基づいてオートフォーカス領域を決定する。CPU38は、オートフォーカス領域を決定すると、そのオートフォーカス領域の輪郭の情報を示すAF枠情報をSCI58を通じてレンズ装置12のレンズCPUに送信する。
自動追尾モードは、オートフォーカス領域内の所定の被写体を追尾対象とし、撮像手段により新たに撮像された撮影画像における前記追尾対象の存在領域を検出し、当該存在領域を新たなオートフォーカス領域として決定する処理を行うモードである。自動追尾モードは、「物体追尾モード」、「顔検出追尾モード」、「顔認識追尾モード」、「全自動追尾モード」を含む、複数のモードを有している。LCD66の画面66aで自動追尾モードを選択した後、更に、「物体追尾モード」、「顔検出追尾モード」、「顔認識追尾モード」、「全自動追尾モード」のうちから所望のモードがユーザによって選択される。なお、LCD66の画面66aのメニュー画面で、「固定モード」、「物体追尾モード」、「顔検出追尾モード」、「顔認識追尾モード」、「全自動追尾モード」のうちから所望のモードがユーザによって選択できるようになっていてもよい。
物体追尾モードは、任意の物体を追尾させるモードである。この追尾対象とされた物体の少なくとも一部がAF枠で囲われて表示されている。この物体追尾モードは、人物の顔以外を追尾する競馬中継、カ−レース中継などでの撮影に有益なモードである。このモードでは、撮影映像に対して操作者が追尾対象としたい任意の物体の画像を含むようにオートフォーカス領域を指定すると、AF枠に囲われたオートフォーカス領域内の物体が追尾対象として設定される。そして、その追尾対象の画像が基準パターンとして登録され、パターンマッチング処理演算ボード32のCPU50において、順次得られる撮影画像に対して、基準パターンに一致する画像範囲を検出するためのパターンマッチング処理が行われる。メインボード30のCPU38は、その基準パターンが検出された範囲を新たなオートフォーカス領域として決定し、このオートフォーカス領域の情報をレンズ装置12のレンズCPUに送信する。なお、物体の自動追尾を開始する際にレンズ装置12においてAFによるフォーカス制御が行われていない場合(AFモードとなっていない場合)には、物体の自動追尾の開始と連動してAFの開始も指示される。
顔検出追尾モードは、任意の人物の顔をAF枠で追尾させるモードである。この追尾対象とされた人物の顔領域がオートフォーカス領域としてAF枠で囲われて表示される。この顔検出追尾モードは、人物の顔を検出して追尾する歌謡番組などでの撮影に有益なモードである。このモードでは、まず、顔認識処理演算ボード34のCPU52において撮影画像の中から任意の人物の顔画像を検出するための周知の顔検出処理が行われる。そして、検出された顔画像の中から追尾対象とする顔画像を操作者が指定すると、その指定された顔画像が追尾対象として設定される。以後、順次得られる撮影画像に対して顔認識処理演算ボード34のCPU52により顔検出処理が行われると共に、検出された顔画像の中から追尾対象の顔画像を特定する処理がメインボード30のCPU38により行われる。メインボード30のCPU38は、検出された追尾対象の顔画像の範囲を新たなオートフォーカス領域として決定し、オートフォーカス領域の情報をレンズ装置12のレンズCPUに送信する。
顔認識追尾モードは、事前に認証データとして登録した人物の顔をAF枠で追尾させるモードである。この追尾対象とされた人物の顔画像がオートフォーカス領域としてAF枠で囲われて表示される。この顔認識追尾モードは、撮影する人物が事前に決まっている歌謡番組やスポーツ中継などでの撮影に有益なモードである。このモードでは、図1に示したスロット(不図示)に装填された顔認証データカード74から追尾対象とする人物の顔の認証データが取り込まれる。そして、顔検出追尾モードと同様に顔認識処理演算ボード34のCPU52において顔検出処理が行われると共に、検出された顔画像の中から追尾対象の顔画像が認証データを用いた周知の顔認証処理により検出される。メインボード30のCPU38は、顔認識処理によって検出された顔画像の範囲を新たなオートフォーカス領域として決定し、このオートフォーカス領域の情報をレンズ装置12のレンズCPUに送信する。
全自動追尾モードでは、上述した顔検出追尾モードと同様に、顔認識処理演算ボード34のCPU52において撮影画像の中から任意の人物の顔画像を検出するための周知の顔検出処理が行われる。そして、検出された顔画像の中に人物の顔画像が含まれる場合には、操作者が指定することなく、その顔画像が追尾対象として自動的に設定される。その際、撮影画像の中に複数の顔画像が含まれる場合には、顔の大きさや位置に応じて追尾対象とする顔画像が決定される。一方、撮影画像の中に人物の顔画像が含まれない場合には、上述した物体追尾モードによる自動追尾が実行される。
上述のように構成されたビデオカメラシステム1は、自動追尾モードが選択されることで自動追尾を実行する。そして、自動追尾を行う場合に、レンズ装置12から得られた情報によって被写界深度を算出し、被写界深度に基づいて自動追尾を実行又は中止させるように制御する。こうすれば、自動追尾の実行時に、レンズ装置12のズームによって撮影画像の画角をワイド側に変更する場合にも、誤追尾を避けることができる。
図4は、自動追尾を停止した場合にLCDに表示される画面の一例を示している。図4に示すように、ズームをワイドにした場合に、追尾対象の被写体が小さくなると、この被写体に合わせてオートフォーカス領域を設定しても、設定したオートフォーカス領域内で十分な大きさのコントラストを得ることができなくなる。このような場合には、被写界深度が深くなるので、被写界深度に基づいて、自動的に自動追尾の実行を停止する。そして、オートフォーカス領域は、所定の位置(例えば、撮像エリアの中央)に変更し、変更されたオートフォーカス領域の輪郭を表すAF枠204が画面66aに重畳して表示する。また、画面66aには、自動追尾を停止したことを視覚的に示す追尾停止マーク306が表示される。自動追尾を停止した場合に、オートフォーカスを行うか、直前のフォーカス位置に固定するかは任意である。後述するように、オートフォーカス調整も、被写界深度に基づいて、その実行又は中止を制御してもよい。
自動追尾を停止した際にオートフォーカス調整を行う場合には、撮像エリアの所定の位置(例えば撮像エリアの中央)の被写体に対して行う。
続いて、画像処理ユニット18による自動追尾モードが選択されたときの処理について説明する。なお、以下の説明では、顔認識追尾モードの処理を例に説明する。
図5は、画像処理ユニットのCPUにおける自動追尾モードが選択されたときの処理手順を示したフローチャートである。
所定操作によって自動追尾モードが選択されると、まず、メインボード30のCPU38は、オートフォーカス領域を予め決められた初期位置に設定するAF枠設定処理を行う。そして、顔認識しているか否かを示すフラグ(Face_flag)をfalseに設定する(ステップS10)。このAF枠設定処理では、メインボード30のメモリ(不図示)に記憶されている初期設定のオートフォーカス領域の位置、大きさ、形状に関する情報に基づいて、撮影範囲(撮像エリア)におけるオートフォーカス領域を設定する。そして、このようにして設定したオートフォーカス領域の情報(位置、大きさ、形状)を示すAF枠情報をSCI58を通じてレンズ装置12のレンズCPUに送信する。これによって、レンズ装置12のAFユニット40において、オートフォーカス領域が、AF枠情報により指定した範囲に設定される。
続いてCPU38からの指示により顔認識処理演算ボード34のCPU52は、デコーダ36から1コマ分の撮影画像の画像データを取り込む(ステップS12)。そして、取り込んだ画像データをメインボード30のCPU38に通知する。
次に、メインボード30のCPU38は、レンズ装置12から絞り値、被写体距離、焦点距離を取得する(ステップS14)。このステップS14では、CPU38は、取得した絞り値、被写体距離、焦点距離それぞれを、対応する顔画像に紐付けしたデータとして編集し、RAM39に一時的に格納する。
次に、メインボード30のCPU38は、ステップS14で生成された、絞り値、被写体距離、焦点距離を含むデータを用いて被写界深度を算出する演算処理を実行する(ステップS16)。
ステップS16の演算処理では、被写界深度は以下の式(1)によって算出される。ただし、式(1)において、Lrを後方被写界深度とし、Lfを前方被写界深度とする。
Figure 2012099175
後方被写界深度Lrは、式(2)のようにして算出され、前方被写界深度Lfは、式(3)によって算出される。ただし、以下の式において、レンズ装置12のレンズの焦点距離をf、絞り値(Fナンバー)をFNo、許容錯乱円をδ、被写体距離をLとする。
Figure 2012099175
Figure 2012099175
レンズの光軸上にある被写体を結像面(撮像素子の撮像面)に結像させたときに、像のボケの量がある値以下であると、被写体にピントを合わせた点の前後のある範囲でピントが合ったように見える。このときの像のボケの量のある値を径として、光軸を中心として想定される円が許容錯乱円である。なお、許容錯乱円の径は、撮像素子のイメージサイズ、カメラの性能、使用条件等によって変化する。
ピントが合って見える範囲において、結像面側の結像範囲を焦点深度という。なお、焦点深度dは、d=2δ×FNoによって算出することができる。
なお、被写界深度には、次の性質がある。
(i)絞り値が大きいほど、深くなる。
(ii)焦点距離が短いほど、深くなる。
(iii)被写体距離が長いほど、深くなる。
(iv)前方被写界深度より後方の被写界深度のほうが深い。
ステップS16に続いて、メインボード30のCPU38は、ステップS16で算出された被写界深度を所定の閾値と比較し、被写界深度が閾値より浅いか否かを判断する(ステップS20)。ここでは、閾値を被写体距離の50%とする。被写界深度が閾値より浅い場合には、ステップS26の処理手順へ進む。被写界深度が閾値以上である場合には、ステップS22の処理手順へ進む。
ステップS20においてNOと判定した場合には、CPU38は、自動追尾を中止すべきと判断し、自動追尾をOFFに設定する(ステップS22)。そして、CPU38は、オートフォーカス領域をデフォルトで設定された位置(例えば、撮影画像の中央)に移動させる決定を行い、そのオートフォーカス領域の情報を示すAF枠情報をSCI58を通じてレンズ装置12のレンズCPUに送信する。(ステップS24)。ステップS24の処理が終了すると、ステップS10の処理に戻る。
ステップS20においてYESと判定した場合には、CPU38は、Face_flagが「false」であるか否かを判定する(ステップS26)。そして、Face_flagが「false」である場合には、ステップS30の処理手順へ進む。Face_flagが「true」である場合には、ステップS28の処理手順へ進む。
ステップS26のいてYESと判定した場合には、CPU38は、ステップS14における顔検出処理により撮影画像内に顔画像が検出されたか否かを判定する(ステップS30)。撮影画像内に顔画像を検出した場合には、ステップ32の処理手順へ進む。撮影画像内に顔画像を検出しない場合には、ステップ36の処理手順へ進む。
ステップS30においてYESと判定した場合には、CPU38は、Face_flagを「true」に設定する(ステップS31)。ステップS31の処理に続いて、CPU38は、自動追尾を開始する(ステップS32)。そして、CPU38は、検出した顔画像の範囲を新たなオートフォーカス領域として設定(更新)し、そのオートフォーカス領域の情報を示すAF枠情報をレンズ装置12のレンズCPUに送信する(ステップS34)。そして、レンズ装置12は、AF枠情報に基づいて新たなオートフォーカス領域でオートフォーカス調整を実行する(ステップS36)。ステップS36の処理が終了すると、ステップS12の処理に戻る。
ステップS26においてNOと判定した場合には、CPU38は、基準パターンの画像が移動したか否か、即ち、基準パターンを検出した画像範囲が、現在設定されているオートフォーカス領域と相違しているか否かを判定する(ステップS28)。なお、撮影画像内での基準パターンの画像の大きさが変化した場合もこの判定処理でYESと判定される。
ステップS28においてYESと判定した場合には、ステップS34の処理へ進む。ステップS28においてNOと判定した場合には、ステップS36の処理へ進む。
上述したビデオカメラシステム1によれば、自動追尾モードでは、撮影画像内に人物の顔画像が含まれているか否かが判定され、撮影画像内に人物の顔画像が含まれていると判定された場合には、人物の顔画像が追尾対象に設定され、そして、顔検出処理による自動追尾が実行される。その際、ズームによって画角が変更される場合には、被写界深度に基づいて自動追尾の実行の可否が判断され、自動追尾が実行不可と判断されると、自動追尾が自動的に中止される。また、自動追尾が実行可と判断されると、自動追尾が実行される。
また、ビデオカメラシステム1は、自動追尾の実行だけでなく、被写界深度に基づいてオートフォーカス調整の実行又は中止を制御することができる。ビデオカメラシステム1は、上述した自動追尾の制御と並行して、オートフォーカス調整の実行又は中止の制御を行うことができる。
図6は、被写界深度に基づいてオートフォーカス調整を制御するときの処理手順を示したフローチャートである。
オートフォーカスが実行されると、メインボード30のCPU38は、自動追尾モードによって設定されたオートフォーカス領域においてピントを被写体に合わせる。続いて、メインボード30のCPU38は、レンズ装置12から絞り値、被写体距離、焦点距離を取得する(ステップS40)。
次に、メインボード30のCPU38は、ステップS40で生成された、絞り値、被写体距離、焦点距離を含むデータを用いて被写界深度を算出する演算処理を実行する(ステップS42)。
ステップS42に続いて、メインボード30のCPU38は、ステップS40で算出された被写界深度が無限遠であるか否かを判断する(ステップS44)。ここで、被写界深度が無限遠であるとは、演算の結果、被写界深度内に無限遠が含まれることを意味する。
ステップS44において、被写界深度が無限遠であると判断した場合には、ステップS46の処理手順へ進む。被写界深度が無限遠ではないと判断した場合には、ステップS48の処理手順へ進む。
ステップS44においてYESと判定した場合には、CPU38は、オートフォーカス調整をOFFに設定する(ステップS22)。そして、CPU38は、オートフォーカス調整を中止する情報をSCI58を通じてAFユニット40に送信する。(ステップS46)。ステップS46の処理が終了すると、ステップS40の処理に戻る。
ステップS44においてNOと判定した場合には、CPU38は、オートフォーカス調整の実行を許可する(ステップS48)。そして、AFユニット40は、既に設定されているオートフォーカス領域でオートフォーカス調整を実行する(ステップS48)。ステップS48の処理が終了すると、ステップS40の処理に戻る。
上述したビデオカメラシステム1によれば、オートフォーカス調整を行う場合、設定されたオートフォーカス領域の被写体にピントが合わされる。その際、ズームによって画角が変更される場合には、被写界深度に基づいてオートフォーカス調整の実行の可否が判断され、オートフォーカス調整が実行不可と判断されると、オートフォーカス調整が自動的に中止される。また、オートフォーカス調整が実行可と判断されると、オートフォーカス調整が実行される。
また、ビデオカメラスシステム1によれば、メインボード30のSPU38が、被写界深度に基づいて、自動追尾及びフォーカス調整のうち少なくとも一方の実行の可否を判断し、不可と判断した場合には中止するように制御する。自動追尾及びフォーカス調整のONとOFFを自動的に制御することで、以下のような場合に、誤追尾が起こることを防止することができる。
撮影画像においてピントが合っていない領域が存在し、撮影画像に移動する被写体が存在する場合であって、オートフォーカス領域内における被写体画像から十分なコントラストを得られる場合には、自動追尾がON、AFがONに制御される。
撮影画像のどの位置でもピントが合っており、該撮影画像の撮像範囲に移動する被写体が存在する場合がある。このような場合には、被写界深度が無限遠であるためオートフォーカス調整を行う必要はないが、被写体の自動追尾を行うことが想定される。このよう場合には、自動追尾がONに制御され、かつオートフォーカス調整がOFFに制御される。
撮影画像においてピントが合っていない領域が存在し、追尾対象の被写体が小さすぎる場合には、AFエリアの範囲内における被写体画像から十分なコントラストを得られないため、自動追尾の精度が低下してしまう。このような場合には、自動追尾がOFFに制御され、かつオートフォーカス調整がONに制御される。
撮影画像のどの位置でもピントが合っており、追尾対象の被写体が小さすぎる場合には、自動追尾及びオートフォーカス調整がともにOFFに制御される。
本明細書には、以下のオートフォーカスシステムが開示されている。
(1)光学系により結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された撮影画像に設定されるオートフォーカス領域に対し、該オートフォーカス領域内の被写体にピントが合うように、前記光学系のフォーカス調整を行うオートフォーカス部と、
前記オートフォーカス領域内の所定の被写体を追尾対象とし、前記撮像手段により新たに撮像された撮影画像における前記追尾対象の存在領域を検出し、当該存在領域を新たなオートフォーカス領域として決定する追尾処理を行うAF領域追尾処理部と、
前記光学系から得られる情報に基づいて被写界深度を算出する被写界深度演算部と、
前記被写界深度演算部によって算出した前記被写界深度に基づいて、前記オートフォーカス部による前記フォーカス調整、及び前記AF領域追尾処理部による前記追尾処理の実行を制御する制御部と、を備えるオートフォーカスシステム。
(2)(1)に記載のオートフォーカスシステムであって、
前記制御部は、前記被写界深度が所定の閾値より小さい場合に、前記追尾処理の実行を行わないように制御するオートフォーカスシステム。
(3)(1)又は(2)に記載のオートフォーカスシステムであって、
前記制御部は、前記被写界深度が無限遠である場合に、前記フォーカス調整の実行を行わないように制御するオートフォーカスシステム。
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載のオートフォーカスシステムであって、
前記被写界深度演算部は、前記光学系から得られる絞り値と、被写体距離、焦点距離の情報に基づいて前記被写界深度を算出するオートフォーカスシステム。
(5)(1)から(4)のいずれか1つに記載のオートフォーカスシステムであって、
前記AF領域追尾処理部は前記オートフォーカス領域内の人物像を追尾対象とするオートフォーカスシステム。
本発明に係るオートフォーカスシステムは、自動追尾機能を備え、ズームによって画角を変更した場合に誤追尾が起こることを抑えることができるため、デジタルカメラ特にコンパクトなデジタルカメラやカメラ付携帯電話機、カメラ付電子装置、内視鏡用撮像装置等に適用すると有用である。
本出願は、2011年1月18日出願の日本特許出願番号2011−8333に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1 ビデオカメラシステム
10 テレビカメラ
12 レンズ装置
14 カメラ本体
16 ビューファインダ
18 画像処理ユニット
20 AF枠操作部
30 メインボード
40 AFユニット
32 パターンマッチング処理演算ボード
34 顔認識処理演算ボード
38、50、52 CPU
66 液晶ディスプレイ(LCD)

Claims (5)

  1. 光学系により結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された撮影画像に設定されるオートフォーカス領域に対し、該オートフォーカス領域内の被写体にピントが合うように、前記光学系のフォーカス調整を行うオートフォーカス部と、
    前記オートフォーカス領域内の所定の被写体を追尾対象とし、前記撮像手段により新たに撮像された撮影画像における前記追尾対象の存在領域を検出し、当該存在領域を新たなオートフォーカス領域として決定する追尾処理を行うAF領域追尾処理部と、
    前記光学系から得られる情報に基づいて被写界深度を算出する被写界深度演算部と、
    前記被写界深度演算部によって算出した前記被写界深度に基づいて、前記オートフォーカス部による前記フォーカス調整、及び前記AF領域追尾処理部による前記追尾処理の実行を制御する制御部と、を備えるオートフォーカスシステム。
  2. 請求項1に記載のオートフォーカスシステムであって、
    前記制御部は、前記被写界深度が所定の閾値より小さい場合に、前記追尾処理の実行を行わないように制御するオートフォーカスシステム。
  3. 請求項1又は2に記載のオートフォーカスシステムであって、
    前記制御部は、前記被写界深度が無限遠である場合に、前記フォーカス調整の実行を行わないように制御するオートフォーカスシステム。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載のオートフォーカスシステムであって、
    前記被写界深度演算部は、前記光学系から得られる絞り値、被写体距離、焦点距離の情報に基づいて前記被写界深度を算出するオートフォーカスシステム。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載のオートフォーカスシステムであって、
    前記AF領域追尾処理部は、前記オートフォーカス領域内の人物像を追尾対象とするオートフォーカスシステム。
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