本発明は、袋と、この袋の開口に取り付けられている口部材を供えた口部材付き袋及び口部材付き袋の接続構造に関する。本願は、2010年11月22日に日本に出願された特願2010−260606号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
医薬品製造業では、清浄環境下で無菌製剤用のアイソレーターやステンレス製タンクを使用し、混合、反応、抽出、濾過、精製など各種の単位操作を経て、原体や製剤などの薬剤が製造される。一つの単位操作から次の単位操作に移行する際には、これらの単位操作で扱われる原料が、接続されたラインにより、または、移送用容器に移し替えられて移送される。この移送は、同一工場内の薬剤調製区域から充填作業区域へ、また、原体製造工場と製剤工場のように異なる工場間で行われることもある。単位操作において、一回の処理が終了すると、次の処理に備えるために、使用したタンクやライン等が、洗浄される。
洗浄は完全に行われる必要があり、完全な洗浄が行われたことの確認も含まれるため、多くの手間と労力の必要な作業である。
近年、手間と労力の必要な洗浄を避けるために、洗浄が必要なこれらタンク等に替えて、フレキシブル容器を使い捨てで用いる技術が発展しており、その傾向は、特に、バイオ医薬品製造業を中心に発展している。具体的には、ステンレス製タンク等、既存設備との接続口に接続可能な口部材をフレキシブルな袋の開口に取り付けた口部材付き袋が用いられる。
このような口部材付き袋は、以下の特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1に記載の口部材付き袋は、柔軟な袋と、この袋の開口から袋内に入り込む筒部を有する口部材と、袋内に入り込んでいる筒部の外周面との間で袋の開口部を挟み込むクランプと、を有している。
また、特許文献2に記載の口部材付き袋は、柔軟な袋と、この袋の開口から袋内に入り込む筒部を有する口部材と、を有している。口部材は、袋内に入り込んでいる筒部の外周面と、袋の開口部の内周面とが接着されることで、袋に取り付けられている。
特許第3974185号公報 図1、図2
特開2008−37482号公報 図2
しかしながら、いずれの特許文献1,2に記載の口部材付き袋も、袋の開口から袋内に口部材の筒部が入り込んだ状態で、袋の内面と筒部の外面とを接着等している。そのため、袋の内容物を外に出す際、袋内に入り込んでいる筒部の端面と袋の内周面との角部分に、内容物が残存してしまう。特に、内容物が極めて高価な薬剤等である場合、内容物の残存量が少量であっても、製品の製造コストのロスが大きくなる。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたもので、袋の内容物を外に出す際に、内容物の残存量を極めて少なくすることができる口部材付き袋を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するため、本発明の口部材付き袋に係る第一発明は、
開口を有する袋と、この開口に取り付けられている口部材とを備え、前記口部材が筒状の挿通部と、他の容器の容器側接続部と接続するための袋側接続部とを有し、この挿通部の内面側に、前記袋が、前記口部材付き袋の最内周面側に位置するよう配 されている口部材付き袋を提供する。
第一発明では、口部材の内面側に、前記袋が、前記口部材付き袋の最内周面側に位置するよう配されている。そのため、袋内に、この袋を形成するフィルムを挟み込むための部材等が存在しない。よって、袋の内容物を袋外に出す際に、袋内に障害がないので、内容物の残留量を極めて少なくすることができる。
また、本発明の口部材付き袋に係る第二発明は、
上記第一発明において、前記挿通部の袋側の端部に、挿通部の厚みを薄くしてなるテーパ部を有する口部材付き袋を提供する。
第二発明では、挿通部の袋側の端部に挿通部の厚みを薄くしてなるテーパ部を有することにより、挿通部の袋側の端部における柔軟性が向上し、挿通部が袋の動きに追従しやすくなる。その結果、この端部近傍において袋に負荷がかかっても、袋への応力集中が緩和され、袋が損傷しにくくなる。
また、本発明の口部材付き袋に係る第三発明は、
上記第一または第二発明において、前記袋がシール部を有し、前記挿通部の袋側の端部のうち、前記シール部と重なる部分に、前記挿通部の厚みを増してなる肉厚部が形成されている口部材付き袋を提供する。
第三発明では、シール部の周囲が肉厚部で完全に覆われ、シール部が口部材に確実に支持される。その結果、この部分における口部材からのシール部の剥離と、それに伴う口部材の破損や、内容物への異物の混入が防止される。
また、本発明の口部材付き袋に係る第四発明は、
上記第一発明ないし第三発明において、前記口部材が、袋の周囲にインサート成形されている口部材付き袋を提供する。
第四発明では、口部材が、袋の周囲にインサート成形されているため、袋と口部材との溶着部位における密着性が向上する。その結果、前記溶着部位に隙間が形成されず、この隙間による内容物の残留を防止することができる。
また、本発明の口部材付き袋に係る第五発明は、
上記第四発明において、挿通部の内周面を袋側の端部側に向け縮径させてなる段差部が、挿通部の周方向に沿って形成され、この段差部の位置が、前記袋の開口側の端面の位置と一致している口部材付き袋を提供する。
第五発明では、インサート成形時に口部材を構成する樹脂が袋の開口側に漏洩したとしても、樹脂が段差部に留め置かれる。そのため、袋の開口側の端面から袋の内側に樹脂が垂れてしまうことがない。
また、本発明の口部材付き袋に係る第六発明は、
上記第一発明において、
前記袋は、前記開口が形成されている首部と、この首部の前記開口が形成されている側とは反対側に接続されている袋本体と、を有し、前記口部材は、前記袋の前記首部が挿通される挿通孔が形成されている筒状の前記挿通部を有する前記口部材本体と、内周側に前記挿通部が嵌まり込むリング部材と、を有し、
前記袋の前記首部は、前記挿通孔の両端の開口のうち、一方の袋本体側開口から前記挿通孔内に挿通され、前記挿通孔の他方の接続側開口から前記挿通孔外に出され、前記首部のうち、前記挿通孔外に出された前記首部の開口側部分が、前記挿通部の外周面に沿うように折り返され、前記リング部材の内周面と、前記リング部材の内周側に嵌まり込んだ前記挿通部の外周面との間で挟持されて、前記袋が前記口部材に取り付けられ、
前記口部材本体と前記リング部材とのうち、一方の部材の外周側に、前記袋側接続部が形成されている口部材付き袋を提供する。
第六発明では、袋の首部を折り返し、この首部において、袋を形成するフィルムを二重化して、外周側のフィルムに対して、内周側に配した挿通部と、外周側のリング部材とで挟み込んでいるため、折り返し部分よりも袋本体側の袋内には、この袋を形成するフィルムを挟み込むための部材が存在しない。よって、本発明によれば、袋の内容物を袋外に出す際に、袋内に障害がないので、内容物の残留量を極めて少なくすることができる。
また、本発明の口部材付き袋に係る第七発明は、
上記第六発明において、前記口部材本体は、前記挿通部の外周面上であって、前記挿通孔の前記接続側開口を基準にして前記袋本体側開口側の位置から前記挿通部の径方向外方に突出した、前記袋側接続部としてのフランジ部を有している口部材付き袋を提供する。
フランジ部は、挿通孔の接続側開口を基準にして袋本体側開口側の位置に設けられているため、このフランジ部が他の容器のフランジ部と接続された際、挿通部の接続側開口は他の容器の接続口内に入り込む。このため、第二発明では、袋の内容物を他の容器に投入する際、内容物のフランジ部への飛散を防ぐことができる。
また、本発明の口部材付き袋に係る第八発明は、
上記第六または第七発明において、前記リング部材の内周面と、前記挿通部の外周面とのうち、一方の面には他方の面側に突出した凸部が形成され、他方の面には前記凸部が嵌まり込む凹部が形成されている口部材付き袋を提供する。
第八発明では、リング部材の内周側に挿通部が嵌まり込むと、リング部材の内周面に形成された凹部又は凸部に、挿通部の外周面に形成された凸部又は凹部が嵌まり込む。よってリング部材の内周側に挿通部が嵌まり込むと、挿通部に対して、挿通孔が伸びている方向でのリング部材の相対位置が規制される。
また、本発明の口部材付き袋に係る第九発明は、
上記第六から第八のいずれかの発明において、前記挿通孔の内周面に対して前記袋の前記首部は接着されておらず、前記挿通孔の内周面に対向している首部の部分は、前記内周面に対して、前記挿通孔の半径方向に相対変位可能である口部材付き袋を提供する。
挿通孔の内周面に対して袋の首部が接着されておらず、挿通孔の内周面に対向している首部の部分が、内周面に対して、挿通孔の半径方向に相対変位可能であると、袋の内容物を袋外に出す際に、袋本体を揺らすと、この袋本体の揺れに伴って、挿通孔内の首部も揺れ、効果的に袋内の残留量を減らすことができる。
また、本発明の口部材付き袋に係る第十発明は、上記第六から第九のいずれかの発明において、前記口部材本体に、その外周面を径方向外方に拡径させてなる持ち手が形成され、この持ち手の位置が、前記口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が前記口部材本体に触れて差し支えない範囲を規定している口部材付き袋を提供する。
第十発明では、作業者が持ち手を持つことにより、口部材付き袋の操作性が格段に向上する。また、持ち手の位置が、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が口部材本体に触れて差し支えない範囲を規定しているため、例えば作業者が持ち手を超えて不要に口部材付き袋の開口端等に触れることがなく、品質管理及び衛生面でも有利である。
また、本発明の口部材付き袋の接続構造に係る第一発明は、
上記第一から第十のいずれかの発明に係る口部材付き袋と、前記口部材付き袋が接続される前記他の容器の接続ノズルと、を備え、
前記接続ノズルは、前記口部材付き袋の前記袋側接続部が接続される前記容器側接続部と、前記口部材付き袋の前記口部材の少なくとも一部が入り込む接続口と、を有する口部材付き袋の接続構造を提供する。
口部材付き袋の接続構造に係る第一発明では、他の容器の接続口内に、少なくとも口部材の一部が入り込むので、袋の内容物を他の容器に投入する際、内容物の接続部への飛散を防ぐことができる。
本発明では、口部材の内面に装着されている袋内には、この袋を形成するフィルムを挟み込むための部材が存在しない。よって、本発明によれば、袋の内容物を袋外に出す際に、袋内に障害がないので、内容物の残留量を極めて少なくすることができる。
本発明の第一実施形態における口部材付き袋の正面図である。
本発明の第一実施形態における袋の正面図である。
本発明の第一実施形態における口部材の図1における矢印Aに沿った側面図である。
本発明の第一実施形態における口部材の断面図である。
本発明の第一実施形態における口部材の、図4に符号Bで示した部分の拡大断面図である。
本発明の第一実施形態における口部材の厚肉部の構造の例を示す、口部材と袋との接続部位の上方斜視図である。
本発明の第一実施形態における口部材及び供給タンクの接続ノズルの断面図である。
本発明の第一実施形態における口部材及び受入タンクの接続ノズルの断面図である。
本発明の第二実施形態における口部材付き袋の正面図である。
本発明の第二実施形態における口部材の展開断面図である。
本発明の第二実施形態における口部材の断面図である。
本発明の第二実施形態における口部材及び供給タンクの接続ノズルの断面図である。
本発明の第二実施形態における口部材及び受入タンクの接続ノズルの断面図である。
以下、本発明に係る口部材付き袋の実施形態について、図面を用いて説明する。
本発明の第一の実施形態の口部材付き袋は、図1に示すように、硬質の口部材20の内面に、柔軟な袋10が、口部材付き袋の最内周面側に位置するよう 装着されて構成されている。
袋10は、例えば、二枚の合成樹脂フィルムの周縁をヒートシール等によりシールして、又は、合成樹脂のインフレーション成形により得られた筒状のフィルムの周縁をヒートシール等によりシールして、形成される。
袋10を形成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等の入手容易で透明性が高い熱可塑性樹脂が好ましいが、こられに限られるものではない。また、合成樹脂には、何らかの添加剤を添加してもよいが、添加剤が袋の内容物に僅かでも混入してしまう場合や、内容物を変質させることがあるので、添加物の添加はできる限り避けるべきである。フィルムの厚みは、袋10の容量にもよるが、およそ50μm〜1000μmである。また、この袋10は、内袋、外袋の2重袋であってもよい。二重袋の利用形態としては、例えば、二重袋の外面が汚染された場合、汚染された外袋を外してから、清浄エリアに内袋のみを移送し、清浄エリアの汚染を防ぐような形態が考えられる。
袋10は、図2に示すように、開口12が形成されている首部11と、この首部11につながっている袋本体15とを有している。首部11の幅寸法W2は、袋本体15の最大幅W1よりも小さい。袋本体15の幅寸法は、首部11に近づくに従い徐々に小さくなっており、首部11との接続部分で、首部11の幅寸法と同じになっている。袋本体15の底シール部16には、袋保持用の二つの貫通孔17が形成されている。この貫通孔17は、袋10を把持するため、又は袋10を棒状のものに引っ掛けるために利用される孔で、袋10が形成している内部空間とは連通していない。また、符号18は、袋10を構成するフィルムの周縁をヒートシールすることによって袋10の側端部に形成されたシール部である。
以下、本実施形態に係る口部材付き袋について更に詳しく説明する。
口部材20は、図3及び図4に示すように、袋10の首部11が挿通される挿通孔23が形成された部材で、前述の挿通孔23が形成されている円筒状の挿通部22と、この挿通部22の外周に形成されている接続部としてのフランジ部31とを有している。そして、挿通部22の内周面に、袋10の首部11の外周面が、溶着により密着固定されている。具体的な溶着方法としては、後述するインサート成形が挙げられる。
挿通部22の両端面26,27のうち、袋本体側の端面26には挿通孔23の袋本体側開口24が形成され、接続側の端面27には挿通孔23の接続側開口25が形成されている。ここで、以下の説明では、挿通孔23の延設方向をX方向とし、接続側開口25側(図における上方)をX方向一端側とし、袋本体側開口24側(図における下方)をX方向他端側とする。
接続側の端面27の近傍には、挿通部22の外周面を挿通部22の径方向外方に拡げてなるフランジ部31が形成されている。言い換えると、挿通部22の外周面上であって、挿通孔23の接続側開口25側の位置に、挿通部22の軸線に垂直な向きに拡がるフランジ部31が形成されている。このフランジ部31のX方向一端側を向く面は接続面32を成し、この接続面32に、X方向他端側に凹んだ環状のシール溝33が、挿通部22と同軸をなすよう形成されている。
挿通部22のうち、フランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の外径は、X方向一端側に向け漸次縮径している。また、図5に示すように、接続側の端面27の近傍には、挿通部22の内周面をX方向他端側に向かうに従い漸次縮径させてなる段差部28が、挿通部22の周方向に沿って形成されている。そして、段差部28の上記他端側の端縁28aの位置は、袋10の開口12側の端面の位置と一致している。
挿通部22の外周面のうち、フランジ部31のX方向他端側及び袋本体側の端面26のX方向一端側には、挿通部22の外周面を径方向外方に拡径させてなる、持ち手29がそれぞれ形成されている。ここで、持ち手29の径方向外方への突出量はフランジ部31よりも小さい。また、持ち手29の形成位置は、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が挿通部22に触れて差し支えない範囲 の両端側にそれぞれ持ち手29が形成されるよう、定められている。言い換えると、持ち手29の位置が、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が挿通部22に触れて差し支えない範囲を規定している。
本実施形態の場合、フランジ部31のX方向一端側は、口部材付き袋が接続されるタンク(後述)との接続部位となるため、袋の内容物への異物混入の観点から、作業者が触れることは好ましくない。また、袋本体側の端面26のX方向他端側は柔軟な袋10となっているため、作業性や袋の破損防止等の観点から、作業者が触れることは好ましくない。そこで、フランジ部31と袋本体側の端面26との間に、挿通部22の外周面を、その周方向に沿って径方向外方に拡径させてなる2個の拡径部を設け、これらの拡径部を、それぞれ持ち手29としている。
挿通部22のX方向他端側の端部は、挿通部22の外周面を上記他端側に向かうに従い漸次縮径させてなるテーパ部30となっている。その結果、テーパ部30の他端縁は袋本体側の端面26と一致する。また、テーパ部30のうち、袋10の側端部に形成されたシール部18と重なる部分には、テーパ部30の径方向に沿った厚みを増してなる肉厚部34が形成されている。肉厚部34は、テーパー部30がシール部18と重なる部分ように周方向に沿って180度対称な位置に2箇所に形成されている。肉厚部34は、図3及び図6に示すように、袋10の周方向に折り曲げられたシール部18を周囲から覆うことによって、肉厚部34の側面におけるシール部18の露出を防止し、シール部18を口部材20のX方向他端側の端部に確実に支持させている。
以上で説明した口部材20は、射出成形用金型(不図示)内に袋10を設置し、首部11の周囲に溶融樹脂を注入することにより、袋10の外周面が挿通孔23の内周面に密着した状態で、袋10と一体的にインサート成形される。この際に金型のパーティングラインと2箇所の肉厚部34を結ぶラインとが重ならない位置、好ましくはパーティングラインとが肉厚部34を結ぶラインが直交するような位置となる金型を用いることが、肉厚部34がシール部18を確実に覆うことができるため好ましい。
また、口部材20の材質は、袋10の材質と同一であることが好ましい。口部材20は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアセタール、ABS樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン等の熱可塑性樹脂で形成されている。これらの合成樹脂のうち、適度な剛性を有し、また成形性にも優れることからポリオレフィン樹脂が好ましく、ガンマ線滅菌時の劣化が少ないことからポリエチレンがより好ましい。また、これらの合成樹脂は、無添加であることが好ましいが、内容物が粉体の場合の口部材付き袋への付着防止のために、界面活性剤系等の帯電防止剤やカーボンなどの導電性の添加剤を混合してもよい。
上記インサート成形により形成された口部材付き袋は、その接続側開口25を蓋で塞ぐか、又は、口部材付き袋全体を別の袋で包装された後、ガンマ線や電子線を照射する等の処理により減菌される。
減菌された口部材付き袋は、例えば、製薬工場の清浄エリア内で開放され、このエリア内のタンク等に接続されて、タンクの内容物が口部材付き袋の袋10内に投入される。そして、この袋10内の内容物に対して所定の操作を施すために、この口部材付き袋は、この操作を施すためのタンクに接続されて、袋内容物がこのタンク内に投入される。
ここで、口部材付き袋が接続されるタンクの構成について説明する。
本実施形態において、口部材付き袋が接続されるタンクとしては、図7に示す、内容物を口部材付き袋に供給する供給タンク50aと、図8に示す、口部材付き袋から内容物を受け入れる受入タンク50bとがある。
供給タンク50a及び受入タンク50bは、いずれも、タンク本体(不図示)と、このタンク本体に形成されている接続ノズル51とを有している。接続ノズル51は、サニタリーフェルールと呼ばれ、内周側にタンク本体の内部とつながる接続口53が形成されている円筒状の接続筒部52と、この接続筒部52の端部外周に形成されているフランジ部(容器側接続部)55とを有している。
接続筒部52の内径、言い換えると、接続口53の開口径は、挿通部22のフランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の最大外径とほぼ同じである。また、フランジ部55の外径は、口部材20のフランジ部31の外径と同じである。
フランジ部55の接続面56には、X方向一端側(タンク本体側)に凹んだ環状のシール溝57が、接続筒部52と同軸をなすよう形成されている。このシール溝57の各寸法は、口部材20のフランジ部31のシール溝33に対応している。つまり、両シール溝33,57の径及び深さはおよそ同一である。
供給タンク50aの接続ノズル51は、図7に示すように、前述の接続筒部52及びフランジ部55の他、接続口53内に配置されたシュート部58を有している。このシュート部58は、口部材20の接続側開口25側に向けて漸次縮径されており、シュート部58の最大径の部分である端部58bが接続口53の奥方の内周面に接続されている。なおシュート部58の材質は、供給タンク50aや接続ノズル51と同一の材質とする他、前述した口部材20と同様の熱可塑性樹脂で形成される。また端部58bを接続口53の内周面に接続しなくともよい。この場合、シュート部58は、接続側開口25に入り込んで当接して支持される。シュート部58のX方向他端側の端部58aは、その外径が口部材20の接続側開口25の内径よりも小さく、X方向において、フランジ部55の接続面56と同じ位置に位置している。なお、シュート部58は、そのX方向他端側の端部58aの外径が口部材20の接続側開口25の内径よりも小さければよく、漸次縮径しなくても、例えば、一部に同径をなす部分を有していてもよい。この供給タンク50aの接続ノズル51又はタンク本体には、タンク本体から接続口53への内容物の流出を制限するシャッター(不図示)が設けられている。
なお、供給タンク50aの接続ノズル51は、タンク本体の下側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の下に取り付けられる。したがって、図7では、X方向一端側が上方になる。また、受入タンク50bの接続ノズル51は、タンク本体の上側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の上に取り付けられる。したがって、図8では、X方向一端側が下方となる。
次に、図7を用いて、供給タンク50aから口部材付き袋への内容物の投入について説明する。
まず、口部材付き袋のフランジ部31のシール溝33にOリング62を嵌め込む。次に、このシール溝33に嵌め込まれたOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込むよう、両フランジ部31,55の接続面32,56を対向させてから、供給タンク50aに対して口部材付き袋を近づける。
口部材付き袋のフランジ部31が供給タンク50aのフランジ部55に近づくと、挿通部22のX方向一端部が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始める。前述したように、接続口53の開口径は、挿通部22のフランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の最大外径とほぼ同じである。また、挿通部22のフランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の外径は、X方向一端側に向かうに従い漸次縮径されており、接続側の端面27において最小になっている。このため、口部材付き袋のフランジ部31が供給タンク50aのフランジ部55に近づいている過程で、供給タンク50aのフランジ55に対して口部材付き袋のフランジ部31が、X方向に垂直な方向において、多少ズレていたとしても、この挿通部22の外周面が、この方向のガイドとして機能し、この方向の位置ズレを修正する。
また、挿通部22のX方向一端部が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始めると、供給タンク50aのシュート部58が口部材付き袋の挿通孔23内に入り込み始める。つまり、挿通部22のX方向一端部は、供給タンク50aの接続口53の内周側と、供給タンク50aのシュート部58の外周側との間の隙間に入り込み始める。
口部材付き袋のフランジ部31が供給タンク50aのフランジ部31にさらに近づくと、口部材付き袋のフランジ部31のシール溝33に嵌め込んだOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込み始める。口部材付き袋のフランジ部31のシール溝33に嵌め込んだOリング62は、供給タンク50aのフランジ部55に対して凸部材である。このため、このOリング62も、挿通部22のX方向一端部の傾斜している外周面と共に、フランジ部31,55の軸方向における、フランジ部31,55同士の相対的位置決め手段として機能する。このため、両フランジ部31,55の接続にあたり、両フランジ部31,55の相対位置を正確に定めることができる。
供給タンク50aの接続口53の内周面が、挿通部22のX方向一端部の外周面に接すると、口部材付き袋のフランジ部31は供給タンク50aのフランジ部55に、これ以上近づけなくなる。よって、この時点で、X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ部31,55の相対位置が定まる。
X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ31,55の相対位置が定まると、接続クランプ63を用いて、両フランジ部31,55相互を接続する。接続クランプ63としては、例えば、ISOフェルールユニオン継手で規定されるクランプがある。
両フランジ部31,55相互の接続が完了すると、供給タンク50a内のシャッター(不図示)を開けることにより、供給タンク52aのタンク本体内の内容物が口部材付き袋へ投入される。
両フランジ部31,55相互の接続が完了した段階では、供給タンク50aのシュート部58の先が口部材付き袋の挿通孔23内に入り込んでいる。このため、供給タンク50aの内容物が、口部材付き袋の袋10外に出ることなく、確実にこの袋10内に投入される。また、本実施形態では、前述したように、両フランジ部31,55間に、シール部材としてのOリング62を介在させているので、両フランジ部31,55の接続部分からの内容物漏れを防ぐことができる。
なお、以上では、シール部材として、Oリング62を用いているが、各フランジ部31,55のシール溝33,57に嵌り込む部分を有していれば、如何なるシール部材を用いてもよく、例えば、Oリング62の替わりにガスケットを用いてもよい。
次に、図8を用いて、口部材付き袋から受入タンク50bへの内容物の投入について説明する。
この場合も、前述した、口部材付き袋のフランジ部31と供給タンク50aのフランジ部55との接続と同様に、口部材付き袋のフランジ部31と受入タンク50bのフランジ部55とを接続する。但し、口部材付き袋内の内容物がこの接続過程で流出しないよう、この接続過程では、袋10の首部11と袋本体15(図2参照) と の境目近傍で、首部11に対して袋本体15を折り曲げ、袋本体の底側を下に向ける。
口部材付き袋のフランジ部31と受入タンク50bのフランジ部55との接続が完了すると、袋10の袋本体15を持ち上げて、袋首部11に対して袋本体15を上に位置させ、袋本体15内の内容物を受入タンク52bへ投入する。
柔軟な袋を硬質の部材に取り付ける場合、柔軟な袋の開口近傍を、内周側に配した硬質部材と、外周側に配した硬質の部材とで挟み込む方法か、または柔軟な袋の開口近傍の内周面と、該内周面側に配した硬質部材の外周面とを接着させる方法がとられることが多い。この場合、袋の内周側に配した硬質の部材が、袋内容物を袋外に出す際の障害となり、この内周側に配した硬質の部材の所に袋内容物が残ってしまう。一方、本実施形態では、挿通部22の内周面に、袋10の首部11の外周面が、袋10が口部材付き袋の最内周面側に位置するよう溶着により密着固定されている。そのため、袋10の内部には、袋10のフィルムを挟み込むための部材または接着された部材が存在しない。よって、本実施形態では、袋内容物を袋10外に出す際に、袋10内に障害がないので、内容物の残留量を少なくすることができる。
また、本実施形態では、挿通部22の内周面に、袋10の首部11の外周面が、袋10の首部11の周囲に溶融樹脂を注入して口部材20を形成するインサート成形を用いた溶着により密着固定され、袋10の首部11の内周面が袋10の固定の為の部材が存在せずスムースである。そのため、首部11付近に内容物が残留することが無い。また、袋10と口部材20との密着部位に隙間(トンネル)が形成されず、この隙間における異物の挟持を防止することができ、作業の際に挟持された異物が隙間から落下することによる内容物の汚染を防止できる。また、インサート成形では金型内に樹脂が良好に行き渡るため、袋10と口部材20との密着性が向上する。その結果、上記隙間の形成が防止されることに加え、口部材付き袋の気密性も向上する。更に、袋10と口部材20との間に組立工程がないため、組立に伴う樹脂の擦れカス等が発生せず、内容物への異物の混入が防止される。また、組立のように作業者が口部材付き袋に接触せずとも口部材付き袋の製造が可能なため、衛生面でも有利である。
また、挿通部22のX方向他端側の端部が、挿通部22の外周面を上記他端側に向かうに従い漸次縮径させてなるテーパ部30を形成している。従って、テーパ部30では、挿通部22のX方向一端側の部位に比べて挿通部22の厚みが薄くなり、柔軟性が向上する。その結果、口部材付き袋から内容物を取り出す際に袋10内に残る内容物が少なくなるように、口部材20に対して袋本体15を揺すった場合でも、テーパ部30が、このテーパ部30からX方向他端側に延びる袋本体15の動きに柔軟に追従し、挿通部22のX方向他端側の端部における首部11への応力集中が緩和される。よって、挿通部22のX方向他端側の端部において首部11に負荷がかかっても、袋10が損傷しにくくなる。
更に、上述したインサート成形を行う際には、挿通部22のX方向他端側の端部に相対的に大きな圧力がかかる。そのため、この部分で袋10が加圧された溶融樹脂に押され、袋10の厚みが薄くなる場合がある。これに対し、テーパ部30が形成されていると、この部分を成形する金型がテーパ部30の形状に応じた先細り状となるため、インサート成形を行った際にこの部分に係る圧力が低下する。その結果、袋10が溶融樹脂に押されて袋10の厚みが局部的に薄くなることはない。
また、テーパ部30のうち、袋10の側端部に形成されたシール部18と重なる部分には、テーパ部30の径方向に沿った厚みを増してなる肉厚部34が形成されている。そのため、シール部18の周囲が肉厚部34で完全に覆われ、肉厚部34の側面におけるシール部18の露出が防止され、シール部18が口部材20のX方向他端側の端部に確実に支持される。その結果、この部分における挿通部22からのシール部18の剥離と、それに伴う口部材20の破損や、内容物への異物の混入が防止される。
また、挿通部22の接続側の端面27の近傍には、段差部28が、その端縁28aの位置が袋10の開口12側の端面の位置と一致するよう、周方向に沿って形成されている。その結果、例えば図5に矢印Fで示すように、インサート成形時に挿通部22を構成する樹脂が袋10の開口12側に漏洩したとしても、樹脂が段差部28に留め置かれる。そのため、袋10の開口12側の端面から袋10の内側に樹脂が垂れることがない。
更に、挿通部22の外周面に持ち手29が形成されているため、手袋を着用して作業をすることが多い医薬品製造業の清浄エリア内の作業者が持ち手29を持つことにより、口部材付き袋の操作性が格段に向上する。また、持ち手29の位置が、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が挿通部22に触れて差し支えない範囲を規定しているため、例えば作業者が持ち手29を超えて不要に口部材付き袋の開口端等に触れることがなく、品質管理及び衛生面でも有利である。
次いで、本発明の第二実施形態に係る口部材付き袋について以下に説明する。なお、以下の記載中、図1ないし図8に示した部材と同様の構成を有する部材に関しては、図1ないし図8に示した部材と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の口部材付き袋は、図9に示すように、硬質の口部材120の内面に、柔軟な袋10が、口部材付き袋の最内周面側に位置するよう 装着されて構成されている。
口部材120は、図10及び図11に示すように、袋10の首部11が挿通される挿通孔123が形成されている口部材本体121と、口部材本体121の一部が内周側に嵌まり込むリング部材141と、を備えている。口部材本体121は、前述の挿通孔123が形成されている円筒状の挿通部122と、この挿通部122の外周に形成されている接続部としてのフランジ部131とを有する。
筒状の挿通部122の両端面126,127のうち、X方向他端側の端面である袋本体側端面126には挿通孔123の袋本体側開口124が形成され、X方向一端側の端面である接続側端面127には挿通孔123の接続側開口125が形成されている。
挿通部122の、X方向における、接続側端面127と袋本体側端面126との間の位置には、挿通部122の外周面を挿通部122の径方向外方に拡げてなるフランジ部131が形成されている。言い換えると、筒状の挿通部122の外周面上であって、挿通孔123の接続側開口125を基準にして袋本体側開口124側の位置に、挿通部122の軸線に垂直な向きに広がるフランジ部131が形成されている。このフランジ部131のX方向一端側を向く面は、接続面132を成し、この接続面132にX方向他端側に凹んだ環状のシール溝133が、挿通部122と同軸をなすよう形成されている。
挿通部122のうち、フランジ部131よりX方向一端側に位置する部分は、リング部材141の内周側に嵌まり込む嵌合部128を成している。この嵌合部128の外周面であって、X方向における、接続側端面127とフランジ部131の接続面132との間の位置には、挿通部122の径方向外方に突出する凸部129が形成されている。
嵌合部128における挿通孔123の内径、言い換えると、挿通孔123の接続側開口125側の部分の内径は、袋10の首部11をX方向に対して垂直な方向に膨らませた際に、首部11の外周面と接続側開口125側の部分の内周面とが接触し得る大きさになっている。一方、挿通孔123の袋本体側開口124側の部分は、袋本体側開口124へ向かうに従い漸次拡径され、袋本体側開口124の位置で最大径になっている。このため、挿通孔123に袋10の首部11を挿通させた際には、挿通孔123の接続側開口125側の部分では首部11の外周面との間に隙間はほとんどないが、挿通孔123の袋本体側開口124側の部分では、首部11の周縁のシール部を折り曲げた状態での外周面との間に隙間が存在する。
リング部材141の内径は、前述したように、挿通部122の嵌合部128が嵌まり込めるよう、この嵌合部128の外径に袋10のフィルムの厚みを足した長さとほぼ同じ大きさである。また、リング部材141のX方向の寸法は、嵌合部128のX方向の寸法とほぼ同じである。このため、このリング部材141に口部材本体121の嵌合部128が嵌り込んだ状態では、リング部材141のX方向他端側の端面142が口部材本体121のフランジ部131に接し、リング部材141のX方向一端側の端面143が口部材本体121の接続側端面127と実質的に同一平面上に位置する。また、このリング部材141の内周面には、このリング部材141に口部材本体121の嵌合部128が嵌り込んだ際、嵌合部128の外周に形成されている凸部129が入り込む凹部149が形成されている。
リング部材141のX方向他端側の端部の外径は、口部材付き袋が接続される容器の接続口53(図12,13参照)の開口径とほぼ同じで、口部材付き袋を容器に接続した際には、このX方向他端側の端部の外周面が容器の接続口53の内周面に接する。また、リング部材141のX方向一端側の外径は、X方向一端側に向かうに従い漸次縮径されており、リング部材141のX方向一端側の端面143において最小外径になっている。
以上で説明した口部材本体121及びリング部材141は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアセタール、ABS樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン等の熱可塑性樹脂で形成されている。これらの合成樹脂のうち、適度な剛性を有し、また成形性にも優れることからポリオレフィン樹脂が好ましく、ガンマ線滅菌時の劣化が少ないことからポリエチレンがより好ましい。また、これらの合成樹脂は、無添加であることが好ましいが、内容物が粉体の場合の口部材付き袋への付着防止のために、界面活性剤系等の帯電防止剤やカーボンなどの導電性の添加剤を混合してもよい。例えば、接続相手側の容器の接続口53や袋10内の内容物に直接接触しない口部材本体121の形成樹脂には、界面活性剤系の添加剤を混合する一方で、接続口53と接触し得るリング部材141及び袋10の形成樹脂を無添加とすると、帯電防止効果を発現させつつ、袋10内の内容物への添加剤の移行及び内容物の変質を防止することができる。
次に、口部材付き袋の製造方法について説明する。
まず、前述した、袋10及び口部材120を準備する。
次いで、図10に示すように、口部材本体121の袋本体側開口124から、袋首部11を挿通孔123内に入れて、この首部11の開口側部分13を、口部材本体121の接続側開口125から挿通孔123外に出す。そして、挿通孔123外に出た首部11の開口側部分13を外側に折り返して、この首部11の開口側部分13を口部材本体121の嵌合部128の外周面に対向させる。
次に、口部材本体121に袋首部11を接着する。後ほど詳細に説明するように、本実施形態では、口部材本体121の嵌合部128をリング部材141に嵌め込み、この嵌合部128の外周面とリング部材141の内周面との間で、折り返された首部11の開口側部分13を挟み込むことで、袋10を口部材120に取り付けている。しかしながら、各部材の寸法によっては、口部材120に対する袋10の取付強度が不十分な場合がある。そこで、本実施形態では、口部材本体121に袋首部11を接着している。
ここで、接着には接着剤を用いてもよいが、口部材付き袋が清浄環境下で用いられることから異物混入の可能性をできるかぎり小さくするため、接着剤を用いず、口部材本体121と袋首部11とを共に溶融させて接着させることが好ましい。具体的には、ヒートシール、超音波シール、高周波シールにより接着することが好ましい。
また、袋首部11が接着される、口部材本体121の部位としては、口部材本体121の嵌合部28の外周面と、口部材本体121の接続側端面127とのうち、少なくとも一方の面が好ましく、特に、口部材本体121の接続側端面127が最も好ましい。
袋10から粉の内容物を出す際には、口部材120に対して袋本体15を揺すって、内容物が袋10内に残らないようにすることがある。この場合、袋首部11も、袋本体15の揺れに伴って、ある程度揺れる方が袋10内の残留量を減らすことができることから、本実施形態においては、口部材本体21の挿通孔123の内周面と袋首部11とは接着されていないことが好ましい。
また、前述のように、ヒートシール、超音波シール、高周波シールを行う場合、接着面が平面である方が、接着作業の手間が少なく且つ着実な接着ができる。このため、口部材本体121の嵌合部128の外周面よりも、口部材本体121の平坦な接続側端面127に、袋首部11の外周面を接着することが好ましい。また、口部材本体121の嵌合部128の外周面に、袋首部11の外周面を接着しようとすると、袋首部11に皺が生じ易いため、この観点からも、口部材本体121の接続側端面127に袋首部11の外周面を接着することが好ましい。
なお、接着剤を使用して、袋首部11を口部材本体121の嵌合部128の外周面に接着した場合、本実施形態では、嵌合部128の外周がリング部材41に覆われる構造になっているため、この接着剤による汚染のリスクを抑えることができる。また、接着剤を使用して、袋首部11を口部材本体121の接続側端面127に接着した場合であっても、本実施形態では、接続側端面127が袋からの内容物の排出方向を向いた面であるため、この接着剤による汚染のリスクを抑えることができる。
次に、図11に示すように、リング部材141のX方向他端側から、口部材本体121の嵌合部128をリング部材141に嵌合させる。この過程で、リング部材141の内周面に形成されている凹部149に、嵌合部128の外周面に形成されている凸部129が嵌まり込み、口部材本体121に対するリング部材141のX方向の相対移動が規制される。口部材本体121の嵌合部128にリング部材141が嵌合すると、この嵌合部128の外周面とリング部材141の内周面との間に、折り返された首部11の開口側部分13が挟み込まれる。
以上で、口部材付き袋の組立てが完了する。なお、口部材本体121への袋首部11の接着は、リング部材141を嵌合させた後に行ってもよい。
口部材付き袋の組立てが完了すると、接続側開口125を蓋で塞ぐか、又は、口部材付き袋全体を別の袋で包装した後、この口部材付き袋に、ガンマ線や電子線を照射する等の処理を行って、この口部材付き袋を減菌する。
減菌された口部材付き袋は、例えば、製薬工場の清浄エリア内で開放され、このエリア内のタンク等に接続されて、タンク内容物が口部材付き袋の袋10内に投入される。そして、この袋10内の内容物に対して所定の操作を施すために、この口部材付き袋は、この操作を施すためのタンクに接続されて、袋内容物がこのタンク内に投入される。
ここで、口部材付き袋が接続されるタンクの構成について説明する。
本実施形態において、口部材付き袋が接続されるタンクとしては、図12に示す、内容物を口部材付き袋に供給する供給タンク50aと、図13に示す、口部材付き袋から内容物を受け入れる受入タンク50bとがある。
供給タンク50a及び受入タンク50bは、いずれも、タンク本体(不図示)と、このタンク本体に形成されている接続ノズル51と、を有している。接続ノズル51は、内周側に接続口53が形成されている円筒状の接続筒部52と、この接続筒部52の端部外周に形成されているフランジ部(容器側接続部)55と、を有している。
接続筒部52の内径、言い換えると、接続口53の開口径は、前述したように、リング部材141の最大外径、つまり、リング部材141のX方向他端側の端部の外径とほぼ同じである。また、フランジ部55の外径は、口部材120のフランジ部131の外径と同じである。
このフランジ部55の接続面56には環状のシール溝57が形成されている。このシール溝57の各寸法は、口部材120のフランジ部131のシール溝133に対応している。つまり、両シール溝33,57の径及び深さは、同じである。
供給タンク50aの接続ノズル51は、図12に示すように、前述の接続筒部52及びフランジ部55の他、接続口53内に配置されたシュート部58を有している。このシュート部58X方向他端側の端部58aは、その外径が口部材本体121の接続側開口125の内径よりも小さく、X方向において、フランジ部155の接続面156と同じ位置に位置している。なお、シュート部58は、そのX方向他端側の端部58aの外径が口部材本体21の接続側開口25の内径よりも小さければよく、漸次縮径しなくても、例えば、一部に同径をなす部分を有していてもよい。この接続ノズル51又はタンク本体には、タンク本体から接続口53への内容物の流出を制限するシャッター(不図示)が設けられている。
なお、供給タンク50aの接続ノズル51は、タンク本体の下側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の下に取り付けられる。したがって、図12では、X方向一端側が上方になる。また、受入タンク50bの接続ノズル51は、タンク本体の上側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の上に取り付けられる。したがって、図13では、X方向一端側が下方となる。
次に、図12を用いて、供給タンク50aから口部材付き袋への内容物の投入について説明する。
まず、口部材付き袋のフランジ部131のシール溝133のOリング62を嵌め込む。次に、このシール溝133に嵌め込まれたOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込むよう、両フランジ部131,55の接続面32,56を対向させてから、供給タンク50aに対して口部材付き袋を近づける。
口部材付き袋のフランジ部131が供給タンク50aのフランジ部55に近づくと、口部材付き袋のリング部材141が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始める。前述したように、このリング部材141のX方向他端側の端部の外径は、口部材付き袋が接続されるタンクの接続口53の開口径とほぼ同じで、リング部材141のX方向一端側の外径は、X方向一端側に向けて漸次縮径されており、X方向一端側端面43において最小外径になっている。このため、口部材付き袋のフランジ部131が供給タンク50aのフランジ部55に近づいている過程で、供給タンク50aのフランジ55に対して口部材付き袋のフランジ部131が、X方向に垂直な方向において、多少ズレていたとしても、このリング部材41の外周面が、この方向のガイドとして機能し、この方向の位置ズレを修正する。
また、口部材付き袋のリング部材141が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始めると、供給タンク50aのシュート部58が口部材付き袋の挿通孔123内に入り込み始める。つまり、口部材付き袋のリング部材141及びこのリング部材141に嵌り込んでいる口部材本体121の嵌合部128は、供給タンク50aの接続口53の内周側と、供給タンク50aのシュート部58の外周側との間の隙間に入り込み始める。
口部材付き袋のフランジ部131が供給タンク50aのフランジ部131にさらに近づくと、口部材付き袋のフランジ部131のシール溝133に嵌め込んだOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込み始める。口部材付き袋のフランジ部131のシール溝133に嵌め込んだOリング62は、供給タンク50aのフランジ部55に対して凸部材である。このため、このOリング62も、リング部材41の傾斜している外周面と共に、X方向に垂直な方向における、一方にフランジ部に対する他方のフランジ部の相対的位置決め手段として機能する。このため、両フランジ部131,55の接続にあたり、両フランジ部131,55の相対位置を正確に定めることができる。
供給タンク50aの接続口53の内周面が、リング部材141のX方向他端側の端部の外周面に接すると、口部材付き袋のフランジ部131は供給タンク50aのフランジ部55に、これ以上近づけなくなる。よって、この時点で、X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ部131,55の相対位置が定まる。
X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ131,55の相対位置が定まると、接続クランプ63を用いて、両フランジ部131,55相互を接続する。
両フランジ部131,55相互の接続が完了すると、供給タンク50a内のシャッター(不図示)を開け、供給タンク52aのタンク本体内の内容物を口部材付き袋へ投入する。
両フランジ部131,55相互の接続が完了した段階では、供給タンク50aのシュート部58の先が口部材付き袋の挿通孔123内に入り込んでいる。このため、供給タンク50a内の内容物を、口部材付き袋の袋10外に出ることなく、確実にこの袋10内に投入することができる。また、本実施形態では、前述したように、両フランジ部131,55間に、シール部材としてのOリング62を介在させているので、両フランジ部131,55の接続部分からの内容物漏れを防ぐことができる。
なお、以上では、シール部材として、Oリング62を用いているが、各フランジ部131,55のシール溝133,57に嵌り込む部分を有していれば、如何なるシール部材を用いてもよく、例えば、Oリング62の替わりにガスケットを用いてもよい。
次に、図13を用いて、口部材付き袋から受入タンク50bへの内容物の投入について説明する。
この場合も、前述した、口部材付き袋のフランジ部131と供給タンク50aのフランジ部55との接続と同様に、口部材付き袋のフランジ部131と受入タンク50bのフランジ部55とを接続する。但し、口部材付き袋内の内容物がこの接続過程で流出しないよう、この接続過程では、袋10の首部11と袋本体15との境目近傍で、首部11に対して袋本体15を折り曲げ、袋本体の底側を下に向ける。
口部材付き袋のフランジ部131と受入タンク50bのフランジ部55との接続が完了すると、袋10の袋本体15を持ち上げて、袋首部11に対して袋本体15を上に位置させ、袋本体15内の内容物を受入タンク52bへ投入する。
上述したように、柔軟な袋の開口近郊を内周側に配した硬質部材と、外周側に配した硬質の部材とで挟み込む方法か、または柔軟な袋の開口近傍の内周面と、該内周面側に配した硬質部材の外周面とを接着させる方法により、柔軟な袋を硬質の部材に取り付ける場合、袋の内周側に配した硬質の部材が、袋内容物を袋外に出す際の障害となり、この内周側に配した硬質の部材の所に袋内容物が残ってしまう。一方、本実施形態では、袋10の首部11を折り返し、この首部11において、袋10を形成するフィルムを二重化して、外周側のフィルムに対して、内周側に配した挿通部122と、外周側に配したリング部材141とで挟み込んでいる。そのため、折り返し部分よりも袋本体15側の袋内には、この袋10のフィルムを挟み込むための部材または接着された部材が存在しない。よって、本実施形態では、袋内容物を袋10外に出す際に、袋10内に障害がないので、内容物の残留量を少なくすることができる。
また、本実施形態では、挿通孔123の内周面と袋首部11の外周面とは接着されていない。さらに、本実施形態では、挿通孔123のX方向他端側、つまり挿通孔123の袋本体側の部分が、袋本体側に向けて漸次拡径されており、挿通孔123の内周面と袋首部11の外周面と間の隙間が大きくなっている。このため、袋10内に残る内容物が少なくなるように、口部材20に対して袋本体15を揺すると、袋本体15の揺れに伴って、挿通孔123内の袋首部11も揺れ、効果的に袋10内の残留量を減らすことができる。
以上のように、本実施形態でも、袋10内の内容物の残留量を極めて少なくすることができる。
なお、上記の各実施形態では、挿通孔23,123の断面形状を円形にしているが、この形状は、長円、四角形、三角形でも構わない。但し、円形はX方向に垂直な面内での各種方向に対する方向性がないため、上記の各実施形態のように、挿通孔23,123の断面形状は円形であることが最も好ましい。
また、上記の各実施形態では、袋10として、図2に例示するように、開口12が形成されている首部11と、この首部11につながる袋本体15とを有し、首部11の幅寸法W2が、袋本体15の最大幅W1よりも小さい袋10を使用したが、袋10の形状は特に限定されない。例えば、首部11と袋本体15との区別のない、単なる筒状の袋10を用いてもよい。
また、図9ないし図13に示す実施形態では、口部材120を構成する二つの部材のうち、口部材本体121に、接続部としてのフランジ部131を形成したが、リング部材141にフランジ部131を形成してもよい。また、この実施形態では、フランジ部131が接続部を成しているが、リング部材141の外周又は口部材本体121の外周にオスネジを形成し、これを接続部としてもよい。
本発明によれば、袋内の内容物を外に出す際に、内容物の残存量を極めて少なくすることが可能な口部材付き袋を提供することができる。
10:袋、11:首部、12:開口、13:開口側部分、15:袋本体、17:貫通孔、20,120:口部材、22,122:挿通部、23,123:挿通孔、24,124:袋本体側開口、25,125:接続側開口、26,126:袋本体側端面、27:接続側端面、28:段差部、29,129:凸部、31,131:フランジ部(袋側接続部)、33,133:シール溝、30:テーパ部、34:肉厚部、50a:供給タンク、50b:受入タンク、51:接続ノズル、52:接続筒部、53:接続口、55:フランジ部(容器側接続部)、57:シール溝、62:Oリング、63:接続クランプ、121:口部材本体、128:嵌合部、129:凸部141:リング部材、149:凹部
フランジ部は、挿通孔の接続側開口を基準にして袋本体側開口側の位置に設けられているため、このフランジ部が他の容器のフランジ部と接続された際、挿通部の接続側開口は他の容器の接続口内に入り込む。このため、第七発明では、袋の内容物を他の容器に投入する際、内容物のフランジ部への飛散を防ぐことができる。
口部材付き袋のフランジ部31と受入タンク52bのフランジ部55との接続が完了すると、袋10の袋本体15を持ち上げて、袋首部11に対して袋本体15を上に位置させ、袋本体15内の内容物を受入タンク52bへ投入する。
口部材付き袋のフランジ部131と受入タンク52bのフランジ部55との接続が完了すると、袋10の袋本体15を持ち上げて、袋首部11に対して袋本体15を上に位置させ、袋本体15内の内容物を受入タンク52bへ投入する。
本発明は、袋と、この袋の開口に取り付けられている口部材を供えた口部材付き袋及び口部材付き袋の接続構造に関する。本願は、2010年11月22日に日本に出願された特願2010−260606号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
医薬品製造業では、清浄環境下で無菌製剤用のアイソレーターやステンレス製タンクを使用し、混合、反応、抽出、濾過、精製など各種の単位操作を経て、原体や製剤などの薬剤が製造される。一つの単位操作から次の単位操作に移行する際には、これらの単位操作で扱われる原料が、接続されたラインにより、または、移送用容器に移し替えられて移送される。この移送は、同一工場内の薬剤調製区域から充填作業区域へ、また、原体製造工場と製剤工場のように異なる工場間で行われることもある。単位操作において、一回の処理が終了すると、次の処理に備えるために、使用したタンクやライン等が、洗浄される。
洗浄は完全に行われる必要があり、完全な洗浄が行われたことの確認も含まれるため、多くの手間と労力の必要な作業である。
近年、手間と労力の必要な洗浄を避けるために、洗浄が必要なこれらタンク等に替えて、フレキシブル容器を使い捨てで用いる技術が発展しており、その傾向は、特に、バイオ医薬品製造業を中心に発展している。具体的には、ステンレス製タンク等、既存設備との接続口に接続可能な口部材をフレキシブルな袋の開口に取り付けた口部材付き袋が用いられる。
このような口部材付き袋は、以下の特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1に記載の口部材付き袋は、柔軟な袋と、この袋の開口から袋内に入り込む筒部を有する口部材と、袋内に入り込んでいる筒部の外周面との間で袋の開口部を挟み込むクランプと、を有している。
また、特許文献2に記載の口部材付き袋は、柔軟な袋と、この袋の開口から袋内に入り込む筒部を有する口部材と、を有している。口部材は、袋内に入り込んでいる筒部の外周面と、袋の開口部の内周面とが接着されることで、袋に取り付けられている。
特許第3974185号公報 図1、図2
特開2008−37482号公報 図2
しかしながら、いずれの特許文献1,2に記載の口部材付き袋も、袋の開口から袋内に口部材の筒部が入り込んだ状態で、袋の内面と筒部の外面とを接着等している。そのため、袋の内容物を外に出す際、袋内に入り込んでいる筒部の端面と袋の内周面との角部分に、内容物が残存してしまう。特に、内容物が極めて高価な薬剤等である場合、内容物の残存量が少量であっても、製品の製造コストのロスが大きくなる。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたもので、袋の内容物を外に出す際に、内容物の残存量を極めて少なくすることができる口部材付き袋を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するため、本発明の口部材付き袋に係る第一発明は、
開口を有する袋と、この開口に取り付けられている口部材とを備え、前記口部材が筒状の挿通部と、他の容器の容器側接続部と接続するための袋側接続部とを有し、この挿通部の内面側に、前記袋が、前記口部材付き袋の最内周面側に位置するよう配され、前記口部材が、前記袋の周囲にインサート成形され、前記挿通部の内周面を前記袋側の端部側に向け縮径させてなる段差部が、前記挿通部の周方向に沿って形成され、この段差部の位置が、前記袋の前記開口側の端面の位置と一致している口部材付き袋を提供する。
第一発明では、口部材の内面側に、前記袋が、前記口部材付き袋の最内周面側に位置するよう配されている。そのため、袋内に、この袋を形成するフィルムを挟み込むための部材等が存在しない。よって、袋の内容物を袋外に出す際に、袋内に障害がないので、内容物の残留量を極めて少なくすることができる。
また、口部材が、袋の周囲にインサート成形されているため、袋と口部材との溶着部位における密着性が向上する。その結果、前記溶着部位に隙間が形成されず、この隙間による内容物の残留を防止することができる。
さらに、インサート成形時に口部材を構成する樹脂が袋の開口側に漏洩したとしても、樹脂が段差部に留め置かれる。そのため、袋の開口側の端面から袋の内側に樹脂が垂れてしまうことがない。
また、本発明の口部材付き袋に係る第二発明は、
上記第一発明において、前記挿通部の袋側の端部に、挿通部の厚みを薄くしてなるテーパ部を有する口部材付き袋を提供する。
第二発明では、挿通部の袋側の端部に挿通部の厚みを薄くしてなるテーパ部を有することにより、挿通部の袋側の端部における柔軟性が向上し、挿通部が袋の動きに追従しやすくなる。その結果、この端部近傍において袋に負荷がかかっても、袋への応力集中が緩和され、袋が損傷しにくくなる。
また、本発明の口部材付き袋に係る第三発明は、
上記第一または第二発明において、前記袋がシール部を有し、前記挿通部の袋側の端部のうち、前記シール部と重なる部分に、前記挿通部の厚みを増してなる肉厚部が形成されている口部材付き袋を提供する。
第三発明では、シール部の周囲が肉厚部で完全に覆われ、シール部が口部材に確実に支持される。その結果、この部分における口部材からのシール部の剥離と、それに伴う口部材の破損や、内容物への異物の混入が防止される。
また、本発明の口部材付き袋に係る第四発明は、上記第一から第三のいずれかの発明において、前記口部材の前記挿通部に、その外周面を径方向外方に拡径させてなる持ち手が形成され、この持ち手の位置が、前記口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が前記口部材本体に触れて差し支えない範囲を規定している口部材付き袋を提供する。
第四発明では、作業者が持ち手を持つことにより、口部材付き袋の操作性が格段に向上する。また、持ち手の位置が、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が口部材本体に触れて差し支えない範囲を規定しているため、例えば作業者が持ち手を超えて不要に口部材付き袋の開口端等に触れることがなく、品質管理及び衛生面でも有利である。
また、本発明の口部材付き袋の接続構造に係る第一発明は、
上記第一から第四のいずれかの発明に係る口部材付き袋と、前記口部材付き袋が接続される前記他の容器の接続ノズルと、を備え、
前記接続ノズルは、前記口部材付き袋の前記袋側接続部が接続される前記容器側接続部と、前記口部材付き袋の前記口部材の少なくとも一部が入り込む接続口と、を有する口部材付き袋の接続構造を提供する。
口部材付き袋の接続構造に係る第一発明では、他の容器の接続口内に、少なくとも口部材の一部が入り込むので、袋の内容物を他の容器に投入する際、内容物の接続部への飛散を防ぐことができる。
本発明では、口部材の内面に装着されている袋内には、この袋を形成するフィルムを挟み込むための部材が存在しない。よって、本発明によれば、袋の内容物を袋外に出す際に、袋内に障害がないので、内容物の残留量を極めて少なくすることができる。
本発明の一実施形態における口部材付き袋の正面図である。
本発明の一実施形態における袋の正面図である。
本発明の一実施形態における口部材の図1における矢印Aに沿った側面図である。
本発明の一実施形態における口部材の断面図である。
本発明の一実施形態における口部材の、図4に符号Bで示した部分の拡大断面図である。
本発明の一実施形態における口部材の厚肉部の構造の例を示す、口部材と袋との接続部位の上方斜視図である。
本発明の一実施形態における口部材及び供給タンクの接続ノズルの断面図である。
本発明の一実施形態における口部材及び受入タンクの接続ノズルの断面図である。
本発明の参考例における口部材付き袋の正面図である。
本発明の参考例における口部材の展開断面図である。
本発明の参考例における口部材の断面図である。
本発明の参考例における口部材及び供給タンクの接続ノズルの断面図である。
本発明の参考例における口部材及び受入タンクの接続ノズルの断面図である。
以下、本発明に係る口部材付き袋の実施形態について、図面を用いて説明する。
本発明の実施形態の口部材付き袋は、図1に示すように、硬質の口部材20の内面に、柔軟な袋10が、口部材付き袋の最内周面側に位置するよう装着されて構成されている。
袋10は、例えば、二枚の合成樹脂フィルムの周縁をヒートシール等によりシールして、又は、合成樹脂のインフレーション成形により得られた筒状のフィルムの周縁をヒートシール等によりシールして、形成される。
袋10を形成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等の入手容易で透明性が高い熱可塑性樹脂が好ましいが、こられに限られるものではない。また、合成樹脂には、何らかの添加剤を添加してもよいが、添加剤が袋の内容物に僅かでも混入してしまう場合や、内容物を変質させることがあるので、添加物の添加はできる限り避けるべきである。フィルムの厚みは、袋10の容量にもよるが、およそ50μm〜1000μmである。また、この袋10は、内袋、外袋の2重袋であってもよい。二重袋の利用形態としては、例えば、二重袋の外面が汚染された場合、汚染された外袋を外してから、清浄エリアに内袋のみを移送し、清浄エリアの汚染を防ぐような形態が考えられる。
袋10は、図2に示すように、開口12が形成されている首部11と、この首部11につながっている袋本体15とを有している。首部11の幅寸法W2は、袋本体15の最大幅W1よりも小さい。袋本体15の幅寸法は、首部11に近づくに従い徐々に小さくなっており、首部11との接続部分で、首部11の幅寸法と同じになっている。袋本体15の底シール部16には、袋保持用の二つの貫通孔17が形成されている。この貫通孔17は、袋10を把持するため、又は袋10を棒状のものに引っ掛けるために利用される孔で、袋10が形成している内部空間とは連通していない。また、符号18は、袋10を構成するフィルムの周縁をヒートシールすることによって袋10の側端部に形成されたシール部である。
以下、本実施形態に係る口部材付き袋について更に詳しく説明する。
口部材20は、図3及び図4に示すように、袋10の首部11が挿通される挿通孔23が形成された部材で、前述の挿通孔23が形成されている円筒状の挿通部22と、この挿通部22の外周に形成されている接続部としてのフランジ部31とを有している。そして、挿通部22の内周面に、袋10の首部11の外周面が、溶着により密着固定されている。具体的な溶着方法としては、後述するインサート成形が挙げられる。
挿通部22の両端面26,27のうち、袋本体側の端面26には挿通孔23の袋本体側開口24が形成され、接続側の端面27には挿通孔23の接続側開口25が形成されている。ここで、以下の説明では、挿通孔23の延設方向をX方向とし、接続側開口25側(図における上方)をX方向一端側とし、袋本体側開口24側(図における下方)をX方向他端側とする。
接続側の端面27の近傍には、挿通部22の外周面を挿通部22の径方向外方に拡げてなるフランジ部31が形成されている。言い換えると、挿通部22の外周面上であって、挿通孔23の接続側開口25側の位置に、挿通部22の軸線に垂直な向きに拡がるフランジ部31が形成されている。このフランジ部31のX方向一端側を向く面は接続面32を成し、この接続面32に、X方向他端側に凹んだ環状のシール溝33が、挿通部22と同軸をなすよう形成されている。
挿通部22のうち、フランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の外径は、X方向一端側に向け漸次縮径している。また、図5に示すように、接続側の端面27の近傍には、挿通部22の内周面をX方向他端側に向かうに従い漸次縮径させてなる段差部28が、挿通部22の周方向に沿って形成されている。そして、段差部28の上記他端側の端縁28aの位置は、袋10の開口12側の端面の位置と一致している。
挿通部22の外周面のうち、フランジ部31のX方向他端側及び袋本体側の端面26のX方向一端側には、挿通部22の外周面を径方向外方に拡径させてなる、持ち手29がそれぞれ形成されている。ここで、持ち手29の径方向外方への突出量はフランジ部31よりも小さい。また、持ち手29の形成位置は、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が挿通部22に触れて差し支えない範囲の両端側にそれぞれ持ち手29が形成されるよう、定められている。言い換えると、持ち手29の位置が、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が挿通部22に触れて差し支えない範囲を規定している。
本実施形態の場合、フランジ部31のX方向一端側は、口部材付き袋が接続されるタンク(後述)との接続部位となるため、袋の内容物への異物混入の観点から、作業者が触れることは好ましくない。また、袋本体側の端面26のX方向他端側は柔軟な袋10となっているため、作業性や袋の破損防止等の観点から、作業者が触れることは好ましくない。そこで、フランジ部31と袋本体側の端面26との間に、挿通部22の外周面を、その周方向に沿って径方向外方に拡径させてなる2個の拡径部を設け、これらの拡径部を、それぞれ持ち手29としている。
挿通部22のX方向他端側の端部は、挿通部22の外周面を上記他端側に向かうに従い漸次縮径させてなるテーパ部30となっている。その結果、テーパ部30の他端縁は袋本体側の端面26と一致する。また、テーパ部30のうち、袋10の側端部に形成されたシール部18と重なる部分には、テーパ部30の径方向に沿った厚みを増してなる肉厚部34が形成されている。肉厚部34は、テーパ部30がシール部18と重なる部分ように周方向に沿って180度対称な位置に2箇所に形成されている。肉厚部34は、図3及び図6に示すように、袋10の周方向に折り曲げられたシール部18を周囲から覆うことによって、肉厚部34の側面におけるシール部18の露出を防止し、シール部18を口部材20のX方向他端側の端部に確実に支持させている。
以上で説明した口部材20は、射出成形用金型(不図示)内に袋10を設置し、首部11の周囲に溶融樹脂を注入することにより、袋10の外周面が挿通孔23の内周面に密着した状態で、袋10と一体的にインサート成形される。この際に金型のパーティングラインと2箇所の肉厚部34を結ぶラインとが重ならない位置、好ましくはパーティングラインとが肉厚部34を結ぶラインが直交するような位置となる金型を用いることが、肉厚部34がシール部18を確実に覆うことができるため好ましい。
また、口部材20の材質は、袋10の材質と同一であることが好ましい。口部材20は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアセタール、ABS樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン等の熱可塑性樹脂で形成されている。これらの合成樹脂のうち、適度な剛性を有し、また成形性にも優れることからポリオレフィン樹脂が好ましく、ガンマ線滅菌時の劣化が少ないことからポリエチレンがより好ましい。また、これらの合成樹脂は、無添加であることが好ましいが、内容物が粉体の場合の口部材付き袋への付着防止のために、界面活性剤系等の帯電防止剤やカーボンなどの導電性の添加剤を混合してもよい。
上記インサート成形により形成された口部材付き袋は、その接続側開口25を蓋で塞ぐか、又は、口部材付き袋全体を別の袋で包装された後、ガンマ線や電子線を照射する等の処理により減菌される。
減菌された口部材付き袋は、例えば、製薬工場の清浄エリア内で開放され、このエリア内のタンク等に接続されて、タンクの内容物が口部材付き袋の袋10内に投入される。そして、この袋10内の内容物に対して所定の操作を施すために、この口部材付き袋は、この操作を施すためのタンクに接続されて、袋内容物がこのタンク内に投入される。
ここで、口部材付き袋が接続されるタンクの構成について説明する。
本実施形態において、口部材付き袋が接続されるタンクとしては、図7に示す、内容物を口部材付き袋に供給する供給タンク50aと、図8に示す、口部材付き袋から内容物を受け入れる受入タンク50bとがある。
供給タンク50a及び受入タンク50bは、いずれも、タンク本体(不図示)と、このタンク本体に形成されている接続ノズル51とを有している。接続ノズル51は、サニタリーフェルールと呼ばれ、内周側にタンク本体の内部とつながる接続口53が形成されている円筒状の接続筒部52と、この接続筒部52の端部外周に形成されているフランジ部(容器側接続部)55とを有している。
接続筒部52の内径、言い換えると、接続口53の開口径は、挿通部22のフランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の最大外径とほぼ同じである。また、フランジ部55の外径は、口部材20のフランジ部31の外径と同じである。
フランジ部55の接続面56には、X方向一端側(タンク本体側)に凹んだ環状のシール溝57が、接続筒部52と同軸をなすよう形成されている。このシール溝57の各寸法は、口部材20のフランジ部31のシール溝33に対応している。つまり、両シール溝33,57の径及び深さはおよそ同一である。
供給タンク50aの接続ノズル51は、図7に示すように、前述の接続筒部52及びフランジ部55の他、接続口53内に配置されたシュート部58を有している。このシュート部58は、口部材20の接続側開口25側に向けて漸次縮径されており、シュート部58の最大径の部分である端部58bが接続口53の奥方の内周面に接続されている。なおシュート部58の材質は、供給タンク50aや接続ノズル51と同一の材質とする他、前述した口部材20と同様の熱可塑性樹脂で形成される。また端部58bを接続口53の内周面に接続しなくともよい。この場合、シュート部58は、接続側開口25に入り込んで当接して支持される。シュート部58のX方向他端側の端部58aは、その外径が口部材20の接続側開口25の内径よりも小さく、X方向において、フランジ部55の接続面56と同じ位置に位置している。なお、シュート部58は、そのX方向他端側の端部58aの外径が口部材20の接続側開口25の内径よりも小さければよく、漸次縮径しなくても、例えば、一部に同径をなす部分を有していてもよい。この供給タンク50aの接続ノズル51又はタンク本体には、タンク本体から接続口53への内容物の流出を制限するシャッター(不図示)が設けられている。
なお、供給タンク50aの接続ノズル51は、タンク本体の下側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の下に取り付けられる。したがって、図7では、X方向一端側が上方になる。また、受入タンク50bの接続ノズル51は、タンク本体の上側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の上に取り付けられる。したがって、図8では、X方向一端側が下方となる。
次に、図7を用いて、供給タンク50aから口部材付き袋への内容物の投入について説明する。
まず、口部材付き袋のフランジ部31のシール溝33にOリング62を嵌め込む。次に、このシール溝33に嵌め込まれたOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込むよう、両フランジ部31,55の接続面32,56を対向させてから、供給タンク50aに対して口部材付き袋を近づける。
口部材付き袋のフランジ部31が供給タンク50aのフランジ部55に近づくと、挿通部22のX方向一端部が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始める。前述したように、接続口53の開口径は、挿通部22のフランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の最大外径とほぼ同じである。また、挿通部22のフランジ部31よりX方向一端側に位置する部分の外径は、X方向一端側に向かうに従い漸次縮径されており、接続側の端面27において最小になっている。このため、口部材付き袋のフランジ部31が供給タンク50aのフランジ部55に近づいている過程で、供給タンク50aのフランジ55に対して口部材付き袋のフランジ部31が、X方向に垂直な方向において、多少ズレていたとしても、この挿通部22の外周面が、この方向のガイドとして機能し、この方向の位置ズレを修正する。
また、挿通部22のX方向一端部が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始めると、供給タンク50aのシュート部58が口部材付き袋の挿通孔23内に入り込み始める。つまり、挿通部22のX方向一端部は、供給タンク50aの接続口53の内周側と、供給タンク50aのシュート部58の外周側との間の隙間に入り込み始める。
口部材付き袋のフランジ部31が供給タンク50aのフランジ部31にさらに近づくと、口部材付き袋のフランジ部31のシール溝33に嵌め込んだOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込み始める。口部材付き袋のフランジ部31のシール溝33に嵌め込んだOリング62は、供給タンク50aのフランジ部55に対して凸部材である。このため、このOリング62も、挿通部22のX方向一端部の傾斜している外周面と共に、フランジ部31,55の軸方向における、フランジ部31,55同士の相対的位置決め手段として機能する。このため、両フランジ部31,55の接続にあたり、両フランジ部31,55の相対位置を正確に定めることができる。
供給タンク50aの接続口53の内周面が、挿通部22のX方向一端部の外周面に接すると、口部材付き袋のフランジ部31は供給タンク50aのフランジ部55に、これ以上近づけなくなる。よって、この時点で、X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ部31,55の相対位置が定まる。
X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ31,55の相対位置が定まると、接続クランプ63を用いて、両フランジ部31,55相互を接続する。接続クランプ63としては、例えば、ISOフェルールユニオン継手で規定されるクランプがある。
両フランジ部31,55相互の接続が完了すると、供給タンク50a内のシャッター(不図示)を開けることにより、供給タンク52aのタンク本体内の内容物が口部材付き袋へ投入される。
両フランジ部31,55相互の接続が完了した段階では、供給タンク50aのシュート部58の先が口部材付き袋の挿通孔23内に入り込んでいる。このため、供給タンク50aの内容物が、口部材付き袋の袋10外に出ることなく、確実にこの袋10内に投入される。また、本実施形態では、前述したように、両フランジ部31,55間に、シール部材としてのOリング62を介在させているので、両フランジ部31,55の接続部分からの内容物漏れを防ぐことができる。
なお、以上では、シール部材として、Oリング62を用いているが、各フランジ部31,55のシール溝33,57に嵌り込む部分を有していれば、如何なるシール部材を用いてもよく、例えば、Oリング62の替わりにガスケットを用いてもよい。
次に、図8を用いて、口部材付き袋から受入タンク52bへの内容物の投入について説明する。
この場合も、前述した、口部材付き袋のフランジ部31と供給タンク50aのフランジ部55との接続と同様に、口部材付き袋のフランジ部31と受入タンク50bのフランジ部55とを接続する。但し、口部材付き袋内の内容物がこの接続過程で流出しないよう、この接続過程では、袋10の首部11と袋本体15(図2参照)との境目近傍で、首部11に対して袋本体15を折り曲げ、袋本体の底側を下に向ける。
口部材付き袋のフランジ部31と受入タンク50bのフランジ部55との接続が完了すると、袋10の袋本体15を持ち上げて、袋首部11に対して袋本体15を上に位置させ、袋本体15内の内容物を受入タンク52bへ投入する。
柔軟な袋を硬質の部材に取り付ける場合、柔軟な袋の開口近傍を、内周側に配した硬質部材と、外周側に配した硬質の部材とで挟み込む方法か、または柔軟な袋の開口近傍の内周面と、該内周面側に配した硬質部材の外周面とを接着させる方法がとられることが多い。この場合、袋の内周側に配した硬質の部材が、袋内容物を袋外に出す際の障害となり、この内周側に配した硬質の部材の所に袋内容物が残ってしまう。一方、本実施形態では、挿通部22の内周面に、袋10の首部11の外周面が、袋10が口部材付き袋の最内周面側に位置するよう溶着により密着固定されている。そのため、袋10の内部には、袋10のフィルムを挟み込むための部材または接着された部材が存在しない。よって、本実施形態では、袋内容物を袋10外に出す際に、袋10内に障害がないので、内容物の残留量を少なくすることができる。
また、本実施形態では、挿通部22の内周面に、袋10の首部11の外周面が、袋10の首部11の周囲に溶融樹脂を注入して口部材20を形成するインサート成形を用いた溶着により密着固定され、袋10の首部11の内周面が袋10の固定の為の部材が存在せずスムースである。そのため、首部11付近に内容物が残留することが無い。また、袋10と口部材20との密着部位に隙間(トンネル)が形成されず、この隙間における異物の挟持を防止することができ、作業の際に挟持された異物が隙間から落下することによる内容物の汚染を防止できる。また、インサート成形では金型内に樹脂が良好に行き渡るため、袋10と口部材20との密着性が向上する。その結果、上記隙間の形成が防止されることに加え、口部材付き袋の気密性も向上する。更に、袋10と口部材20との間に組立工程がないため、組立に伴う樹脂の擦れカス等が発生せず、内容物への異物の混入が防止される。また、組立のように作業者が口部材付き袋に接触せずとも口部材付き袋の製造が可能なため、衛生面でも有利である。
また、挿通部22のX方向他端側の端部が、挿通部22の外周面を上記他端側に向かうに従い漸次縮径させてなるテーパ部30を形成している。従って、テーパ部30では、挿通部22のX方向一端側の部位に比べて挿通部22の厚みが薄くなり、柔軟性が向上する。その結果、口部材付き袋から内容物を取り出す際に袋10内に残る内容物が少なくなるように、口部材20に対して袋本体15を揺すった場合でも、テーパ部30が、このテーパ部30からX方向他端側に延びる袋本体15の動きに柔軟に追従し、挿通部22のX方向他端側の端部における首部11への応力集中が緩和される。よって、挿通部22のX方向他端側の端部において首部11に負荷がかかっても、袋10が損傷しにくくなる。
更に、上述したインサート成形を行う際には、挿通部22のX方向他端側の端部に相対的に大きな圧力がかかる。そのため、この部分で袋10が加圧された溶融樹脂に押され、袋10の厚みが薄くなる場合がある。これに対し、テーパ部30が形成されていると、この部分を成形する金型がテーパ部30の形状に応じた先細り状となるため、インサート成形を行った際にこの部分に係る圧力が低下する。その結果、袋10が溶融樹脂に押されて袋10の厚みが局部的に薄くなることはない。
また、テーパ部30のうち、袋10の側端部に形成されたシール部18と重なる部分には、テーパ部30の径方向に沿った厚みを増してなる肉厚部34が形成されている。そのため、シール部18の周囲が肉厚部34で完全に覆われ、肉厚部34の側面におけるシール部18の露出が防止され、シール部18が口部材20のX方向他端側の端部に確実に支持される。その結果、この部分における挿通部22からのシール部18の剥離と、それに伴う口部材20の破損や、内容物への異物の混入が防止される。
また、挿通部22の接続側の端面27の近傍には、段差部28が、その端縁28aの位置が袋10の開口12側の端面の位置と一致するよう、周方向に沿って形成されている。その結果、例えば図5に矢印Fで示すように、インサート成形時に挿通部22を構成する樹脂が袋10の開口12側に漏洩したとしても、樹脂が段差部28に留め置かれる。そのため、袋10の開口12側の端面から袋10の内側に樹脂が垂れることがない。
更に、挿通部22の外周面に持ち手29が形成されているため、手袋を着用して作業をすることが多い医薬品製造業の清浄エリア内の作業者が持ち手29を持つことにより、口部材付き袋の操作性が格段に向上する。また、持ち手29の位置が、口部材付き袋の取り扱いに際し作業者が挿通部22に触れて差し支えない範囲を規定しているため、例えば作業者が持ち手29を超えて不要に口部材付き袋の開口端等に触れることがなく、品質管理及び衛生面でも有利である。
次いで、本発明の参考例に係る口部材付き袋について以下に説明する。なお、以下の記載中、図1ないし図8に示した部材と同様の構成を有する部材に関しては、図1ないし図8に示した部材と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本参考例の口部材付き袋は、図9に示すように、硬質の口部材120の内面に、柔軟な袋10が、口部材付き袋の最内周面側に位置するよう装着されて構成されている。
口部材120は、図10及び図11に示すように、袋10の首部11が挿通される挿通孔123が形成されている口部材本体121と、口部材本体121の一部が内周側に嵌まり込むリング部材141と、を備えている。口部材本体121は、前述の挿通孔123が形成されている円筒状の挿通部122と、この挿通部122の外周に形成されている接続部としてのフランジ部131とを有する。
筒状の挿通部122の両端面126,127のうち、X方向他端側の端面である袋本体側端面126には挿通孔123の袋本体側開口124が形成され、X方向一端側の端面である接続側端面127には挿通孔123の接続側開口125が形成されている。
挿通部122の、X方向における、接続側端面127と袋本体側端面126との間の位置には、挿通部122の外周面を挿通部122の径方向外方に拡げてなるフランジ部131が形成されている。言い換えると、筒状の挿通部122の外周面上であって、挿通孔123の接続側開口125を基準にして袋本体側開口124側の位置に、挿通部122の軸線に垂直な向きに広がるフランジ部131が形成されている。このフランジ部131のX方向一端側を向く面は、接続面132を成し、この接続面132にX方向他端側に凹んだ環状のシール溝133が、挿通部122と同軸をなすよう形成されている。
挿通部122のうち、フランジ部131よりX方向一端側に位置する部分は、リング部材141の内周側に嵌まり込む嵌合部128を成している。この嵌合部128の外周面であって、X方向における、接続側端面127とフランジ部131の接続面132との間の位置には、挿通部122の径方向外方に突出する凸部129が形成されている。
嵌合部128における挿通孔123の内径、言い換えると、挿通孔123の接続側開口125側の部分の内径は、袋10の首部11をX方向に対して垂直な方向に膨らませた際に、首部11の外周面と接続側開口125側の部分の内周面とが接触し得る大きさになっている。一方、挿通孔123の袋本体側開口124側の部分は、袋本体側開口124へ向かうに従い漸次拡径され、袋本体側開口124の位置で最大径になっている。このため、挿通孔123に袋10の首部11を挿通させた際には、挿通孔123の接続側開口125側の部分では首部11の外周面との間に隙間はほとんどないが、挿通孔123の袋本体側開口124側の部分では、首部11の周縁のシール部を折り曲げた状態での外周面との間に隙間が存在する。
リング部材141の内径は、前述したように、挿通部122の嵌合部128が嵌まり込めるよう、この嵌合部128の外径に袋10のフィルムの厚みを足した長さとほぼ同じ大きさである。また、リング部材141のX方向の寸法は、嵌合部128のX方向の寸法とほぼ同じである。このため、このリング部材141に口部材本体121の嵌合部128が嵌り込んだ状態では、リング部材141のX方向他端側の端面142が口部材本体121のフランジ部131に接し、リング部材141のX方向一端側の端面143が口部材本体121の接続側端面127と実質的に同一平面上に位置する。また、このリング部材141の内周面には、このリング部材141に口部材本体121の嵌合部128が嵌り込んだ際、嵌合部128の外周に形成されている凸部129が入り込む凹部149が形成されている。
リング部材141のX方向他端側の端部の外径は、口部材付き袋が接続される容器の接続口53(図12,13参照)の開口径とほぼ同じで、口部材付き袋を容器に接続した際には、このX方向他端側の端部の外周面が容器の接続口53の内周面に接する。また、リング部材141のX方向一端側の外径は、X方向一端側に向かうに従い漸次縮径されており、リング部材141のX方向一端側の端面143において最小外径になっている。
以上で説明した口部材本体121及びリング部材141は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアセタール、ABS樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン等の熱可塑性樹脂で形成されている。これらの合成樹脂のうち、適度な剛性を有し、また成形性にも優れることからポリオレフィン樹脂が好ましく、ガンマ線滅菌時の劣化が少ないことからポリエチレンがより好ましい。また、これらの合成樹脂は、無添加であることが好ましいが、内容物が粉体の場合の口部材付き袋への付着防止のために、界面活性剤系等の帯電防止剤やカーボンなどの導電性の添加剤を混合してもよい。例えば、接続相手側の容器の接続口53や袋10内の内容物に直接接触しない口部材本体121の形成樹脂には、界面活性剤系の添加剤を混合する一方で、接続口53と接触し得るリング部材141及び袋10の形成樹脂を無添加とすると、帯電防止効果を発現させつつ、袋10内の内容物への添加剤の移行及び内容物の変質を防止することができる。
次に、口部材付き袋の製造方法について説明する。
まず、前述した、袋10及び口部材120を準備する。
次いで、図10に示すように、口部材本体121の袋本体側開口124から、袋首部11を挿通孔123内に入れて、この首部11の開口側部分13を、口部材本体121の接続側開口125から挿通孔123外に出す。そして、挿通孔123外に出た首部11の開口側部分13を外側に折り返して、この首部11の開口側部分13を口部材本体121の嵌合部128の外周面に対向させる。
次に、口部材本体121に袋首部11を接着する。後ほど詳細に説明するように、本参考例では、口部材本体121の嵌合部128をリング部材141に嵌め込み、この嵌合部128の外周面とリング部材141の内周面との間で、折り返された首部11の開口側部分13を挟み込むことで、袋10を口部材120に取り付けている。しかしながら、各部材の寸法によっては、口部材120に対する袋10の取付強度が不十分な場合がある。そこで、本参考例では、口部材本体121に袋首部11を接着している。
ここで、接着には接着剤を用いてもよいが、口部材付き袋が清浄環境下で用いられることから異物混入の可能性をできるかぎり小さくするため、接着剤を用いず、口部材本体121と袋首部11とを共に溶融させて接着させることが好ましい。具体的には、ヒートシール、超音波シール、高周波シールにより接着することが好ましい。
また、袋首部11が接着される、口部材本体121の部位としては、口部材本体121の嵌合部28の外周面と、口部材本体121の接続側端面127とのうち、少なくとも一方の面が好ましく、特に、口部材本体121の接続側端面127が最も好ましい。
袋10から粉の内容物を出す際には、口部材120に対して袋本体15を揺すって、内容物が袋10内に残らないようにすることがある。この場合、袋首部11も、袋本体15の揺れに伴って、ある程度揺れる方が袋10内の残留量を減らすことができることから、本参考例においては、口部材本体21の挿通孔123の内周面と袋首部11とは接着されていないことが好ましい。
また、前述のように、ヒートシール、超音波シール、高周波シールを行う場合、接着面が平面である方が、接着作業の手間が少なく且つ着実な接着ができる。このため、口部材本体121の嵌合部128の外周面よりも、口部材本体121の平坦な接続側端面127に、袋首部11の外周面を接着することが好ましい。また、口部材本体121の嵌合部128の外周面に、袋首部11の外周面を接着しようとすると、袋首部11に皺が生じ易いため、この観点からも、口部材本体121の接続側端面127に袋首部11の外周面を接着することが好ましい。
なお、接着剤を使用して、袋首部11を口部材本体121の嵌合部128の外周面に接着した場合、本参考例では、嵌合部128の外周がリング部材41に覆われる構造になっているため、この接着剤による汚染のリスクを抑えることができる。また、接着剤を使用して、袋首部11を口部材本体121の接続側端面127に接着した場合であっても、本参考例では、接続側端面127が袋からの内容物の排出方向を向いた面であるため、この接着剤による汚染のリスクを抑えることができる。
次に、図11に示すように、リング部材141のX方向他端側から、口部材本体121の嵌合部128をリング部材141に嵌合させる。この過程で、リング部材141の内周面に形成されている凹部149に、嵌合部128の外周面に形成されている凸部129が嵌まり込み、口部材本体121に対するリング部材141のX方向の相対移動が規制される。口部材本体121の嵌合部128にリング部材141が嵌合すると、この嵌合部128の外周面とリング部材141の内周面との間に、折り返された首部11の開口側部分13が挟み込まれる。
以上で、口部材付き袋の組立てが完了する。なお、口部材本体121への袋首部11の接着は、リング部材141を嵌合させた後に行ってもよい。
口部材付き袋の組立てが完了すると、接続側開口125を蓋で塞ぐか、又は、口部材付き袋全体を別の袋で包装した後、この口部材付き袋に、ガンマ線や電子線を照射する等の処理を行って、この口部材付き袋を減菌する。
減菌された口部材付き袋は、例えば、製薬工場の清浄エリア内で開放され、このエリア内のタンク等に接続されて、タンク内容物が口部材付き袋の袋10内に投入される。そして、この袋10内の内容物に対して所定の操作を施すために、この口部材付き袋は、この操作を施すためのタンクに接続されて、袋内容物がこのタンク内に投入される。
ここで、口部材付き袋が接続されるタンクの構成について説明する。
本参考例において、口部材付き袋が接続されるタンクとしては、図12に示す、内容物を口部材付き袋に供給する供給タンク50aと、図13に示す、口部材付き袋から内容物を受け入れる受入タンク50bとがある。
供給タンク50a及び受入タンク50bは、いずれも、タンク本体(不図示)と、このタンク本体に形成されている接続ノズル51と、を有している。接続ノズル51は、内周側に接続口53が形成されている円筒状の接続筒部52と、この接続筒部52の端部外周に形成されているフランジ部(容器側接続部)55と、を有している。
接続筒部52の内径、言い換えると、接続口53の開口径は、前述したように、リング部材141の最大外径、つまり、リング部材141のX方向他端側の端部の外径とほぼ同じである。また、フランジ部55の外径は、口部材120のフランジ部131の外径と同じである。
このフランジ部55の接続面56には環状のシール溝57が形成されている。このシール溝57の各寸法は、口部材120のフランジ部131のシール溝133に対応している。つまり、両シール溝33,57の径及び深さは、同じである。
供給タンク50aの接続ノズル51は、図12に示すように、前述の接続筒部52及びフランジ部55の他、接続口53内に配置されたシュート部58を有している。このシュート部58X方向他端側の端部58aは、その外径が口部材本体121の接続側開口125の内径よりも小さく、X方向において、フランジ部155の接続面156と同じ位置に位置している。なお、シュート部58は、そのX方向他端側の端部58aの外径が口部材本体21の接続側開口25の内径よりも小さければよく、漸次縮径しなくても、例えば、一部に同径をなす部分を有していてもよい。この接続ノズル51又はタンク本体には、タンク本体から接続口53への内容物の流出を制限するシャッター(不図示)が設けられている。
なお、供給タンク50aの接続ノズル51は、タンク本体の下側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の下に取り付けられる。したがって、図12では、X方向一端側が上方になる。また、受入タンク50bの接続ノズル51は、タンク本体の上側に取り付けられ、口部材付き袋は、この接続ノズル51の上に取り付けられる。したがって、図13では、X方向一端側が下方となる。
次に、図12を用いて、供給タンク50aから口部材付き袋への内容物の投入について説明する。
まず、口部材付き袋のフランジ部131のシール溝133のOリング62を嵌め込む。次に、このシール溝133に嵌め込まれたOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込むよう、両フランジ部131,55の接続面32,56を対向させてから、供給タンク50aに対して口部材付き袋を近づける。
口部材付き袋のフランジ部131が供給タンク50aのフランジ部55に近づくと、口部材付き袋のリング部材141が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始める。前述したように、このリング部材141のX方向他端側の端部の外径は、口部材付き袋が接続されるタンクの接続口53の開口径とほぼ同じで、リング部材141のX方向一端側の外径は、X方向一端側に向けて漸次縮径されており、X方向一端側端面43において最小外径になっている。このため、口部材付き袋のフランジ部131が供給タンク50aのフランジ部55に近づいている過程で、供給タンク50aのフランジ55に対して口部材付き袋のフランジ部131が、X方向に垂直な方向において、多少ズレていたとしても、このリング部材41の外周面が、この方向のガイドとして機能し、この方向の位置ズレを修正する。
また、口部材付き袋のリング部材141が供給タンク50aの接続口53内に入り込み始めると、供給タンク50aのシュート部58が口部材付き袋の挿通孔123内に入り込み始める。つまり、口部材付き袋のリング部材141及びこのリング部材141に嵌り込んでいる口部材本体121の嵌合部128は、供給タンク50aの接続口53の内周側と、供給タンク50aのシュート部58の外周側との間の隙間に入り込み始める。
口部材付き袋のフランジ部131が供給タンク50aのフランジ部131にさらに近づくと、口部材付き袋のフランジ部131のシール溝133に嵌め込んだOリング62が、供給タンク50aのフランジ部55のシール溝57に嵌り込み始める。口部材付き袋のフランジ部131のシール溝133に嵌め込んだOリング62は、供給タンク50aのフランジ部55に対して凸部材である。このため、このOリング62も、リング部材41の傾斜している外周面と共に、X方向に垂直な方向における、一方にフランジ部に対する他方のフランジ部の相対的位置決め手段として機能する。このため、両フランジ部131,55の接続にあたり、両フランジ部131,55の相対位置を正確に定めることができる。
供給タンク50aの接続口53の内周面が、リング部材141のX方向他端側の端部の外周面に接すると、口部材付き袋のフランジ部131は供給タンク50aのフランジ部55に、これ以上近づけなくなる。よって、この時点で、X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ部131,55の相対位置が定まる。
X方向及びX方向に垂直な方向における両フランジ131,55の相対位置が定まると、接続クランプ63を用いて、両フランジ部131,55相互を接続する。
両フランジ部131,55相互の接続が完了すると、供給タンク50a内のシャッター(不図示)を開け、供給タンク52aのタンク本体内の内容物を口部材付き袋へ投入する。
両フランジ部131,55相互の接続が完了した段階では、供給タンク50aのシュート部58の先が口部材付き袋の挿通孔123内に入り込んでいる。このため、供給タンク50a内の内容物を、口部材付き袋の袋10外に出ることなく、確実にこの袋10内に投入することができる。また、本参考例では、前述したように、両フランジ部131,55間に、シール部材としてのOリング62を介在させているので、両フランジ部131,55の接続部分からの内容物漏れを防ぐことができる。
なお、以上では、シール部材として、Oリング62を用いているが、各フランジ部131,55のシール溝133,57に嵌り込む部分を有していれば、如何なるシール部材を用いてもよく、例えば、Oリング62の替わりにガスケットを用いてもよい。
次に、図13を用いて、口部材付き袋から受入タンク50bへの内容物の投入について説明する。
この場合も、前述した、口部材付き袋のフランジ部131と供給タンク50aのフランジ部55との接続と同様に、口部材付き袋のフランジ部131と受入タンク50bのフランジ部55とを接続する。但し、口部材付き袋内の内容物がこの接続過程で流出しないよう、この接続過程では、袋10の首部11と袋本体15との境目近傍で、首部11に対して袋本体15を折り曲げ、袋本体の底側を下に向ける。
口部材付き袋のフランジ部131と受入タンク52bのフランジ部55との接続が完了すると、袋10の袋本体15を持ち上げて、袋首部11に対して袋本体15を上に位置させ、袋本体15内の内容物を受入タンク52bへ投入する。
上述したように、柔軟な袋の開口近郊を内周側に配した硬質部材と、外周側に配した硬質の部材とで挟み込む方法か、または柔軟な袋の開口近傍の内周面と、該内周面側に配した硬質部材の外周面とを接着させる方法により、柔軟な袋を硬質の部材に取り付ける場合、袋の内周側に配した硬質の部材が、袋内容物を袋外に出す際の障害となり、この内周側に配した硬質の部材の所に袋内容物が残ってしまう。一方、本参考例では、袋10の首部11を折り返し、この首部11において、袋10を形成するフィルムを二重化して、外周側のフィルムに対して、内周側に配した挿通部122と、外周側に配したリング部材141とで挟み込んでいる。そのため、折り返し部分よりも袋本体15側の袋内には、この袋10のフィルムを挟み込むための部材または接着された部材が存在しない。よって、本参考例では、袋内容物を袋10外に出す際に、袋10内に障害がないので、内容物の残留量を少なくすることができる。
また、本参考例では、挿通孔123の内周面と袋首部11の外周面とは接着されていない。さらに、本参考例では、挿通孔123のX方向他端側、つまり挿通孔123の袋本体側の部分が、袋本体側に向けて漸次拡径されており、挿通孔123の内周面と袋首部11の外周面と間の隙間が大きくなっている。このため、袋10内に残る内容物が少なくなるように、口部材20に対して袋本体15を揺すると、袋本体15の揺れに伴って、挿通孔123内の袋首部11も揺れ、効果的に袋10内の残留量を減らすことができる。
以上のように、本参考例でも、袋10内の内容物の残留量を極めて少なくすることができる。
なお、上記の実施形態、参考例では、挿通孔23,123の断面形状を円形にしているが、この形状は、長円、四角形、三角形でも構わない。但し、円形はX方向に垂直な面内での各種方向に対する方向性がないため、上記の実施形態及び参考例のように、挿通孔23,123の断面形状は円形であることが最も好ましい。
また、上記の実施形態、参考例では、袋10として、図2に例示するように、開口12が形成されている首部11と、この首部11につながる袋本体15とを有し、首部11の幅寸法W2が、袋本体15の最大幅W1よりも小さい袋10を使用したが、袋10の形状は特に限定されない。例えば、首部11と袋本体15との区別のない、単なる筒状の袋10を用いてもよい。
また、図9ないし図13に示す参考例では、口部材120を構成する二つの部材のうち、口部材本体121に、接続部としてのフランジ部131を形成したが、リング部材141にフランジ部131を形成してもよい。また、この参考例では、フランジ部131が接続部を成しているが、リング部材141の外周又は口部材本体121の外周にオスネジを形成し、これを接続部としてもよい。
本発明によれば、袋内の内容物を外に出す際に、内容物の残存量を極めて少なくすることが可能な口部材付き袋を提供することができる。
10:袋、11:首部、12:開口、13:開口側部分、15:袋本体、17:貫通孔、20,120:口部材、22,122:挿通部、23,123:挿通孔、24,124:袋本体側開口、25,125:接続側開口、26,126:袋本体側端面、27:接続側端面、28:段差部、29,129:凸部、31,131:フランジ部(袋側接続部)、33,133:シール溝、30:テーパ部、34:肉厚部、50a:供給タンク、50b:受入タンク、51:接続ノズル、52:接続筒部、53:接続口、55:フランジ部(容器側接続部)、57:シール溝、62:Oリング、63:接続クランプ、121:口部材本体、128:嵌合部、129:凸部141:リング部材、149:凹部