JPWO2012043180A1 - ポリアミド樹脂組成物、およびそれから得られる成形体 - Google Patents

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Abstract

ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を構成成分として含有するポリアミド樹脂組成物であって、前記(A)、(B)、(C)および(D)の配合比率が、質量比で、下記式(I)、(II)および(III)を同時に満たし、(D)の含有割合が得られるポリアミド樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物である。(A)/[(B)+(C)+(D)]=40/60〜90/10 (I)(B)/[(C)+(D)]=8/92〜75/25 (II)(C)/(D)=1/1〜50/1 (III)

Description

本発明は、軽量性、曲げ特性に優れ、成形体としたときの反りを低減することが可能なポリアミド樹脂組成物に関する。
無機補強材を用いて補強されたポリアミド樹脂組成物が知られている。このような無機補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強材のほか、タルク、マイカ等の粒状補強材が用いられている。このような無機補強材が高い含有量で充填されたポリアミド樹脂組成物は、曲げ特性が大幅に向上されたものとなる。しかしながら、その反面、無機補強材に起因して密度が高くなり過ぎるため、各種用途において成形体として用いるには重くなりすぎ、その用途が限定される等の問題がある。
このような密度の高いポリアミド樹脂組成物を軽量化することを目的として、無機補強材に代えて層状珪酸塩を用いることが提案されている。層状珪酸塩を用いることで、低密度でありながら、曲げ特性が顕著に向上されたポリアミド樹脂組成物を得ることが可能である。しかしながら、無機補強材に代えて層状珪酸塩が用いられたポリアミド樹脂組成物は、曲げ特性向上効果は高いが、層状ケイ酸塩によるポリアミド分子鎖の拘束が強いため、得られる成形体が脆くなり、強度向上効果に限界があるという問題がある。
また、曲げ特性を向上させつつ、ポリアミド樹脂組成物を軽量化するために、JP63−251461AおよびJP06−84435Aには、繊維状粘土鉱物が含有されたポリアミド樹脂組成物が提案されている。JP63−251461AおよびJP06−84435Aに開示されたポリアミド樹脂組成物では、軽量化は達成されている。しかしながら、繊維状補強材に特有な異方性が顕著に発現するため、該樹脂組成物から得られる成形体(特に、薄肉の成形体)において、反りの発現が顕著になるという問題がある。
一方、JPS53−121843Aには、板状充填材と繊維状補強材とを併せて含有させた樹脂組成物が提案されている。しかしながら、JPS53−121843Aに開示されたポリアミド樹脂組成物から得られる成形体においては、反りの低減が十分ではなく、加えて、曲げ特性が低下するという問題があった。
このような問題を解決するために、本発明は、ポリアミド樹脂が本来有する性質である靭性を維持しつつ、軽量性、曲げ特性に優れ、成形体としたときの反りを低減することが可能なポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を構成成分として含有するポリアミド樹脂組成物であって、前記(A)、(B)、(C)および(D)の配合比率が、質量比で、下記式(I)、(II)および(III)を同時に満たし、(D)の含有割合が得られるポリアミド樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(A)/[(B)+(C)+(D)]=40/60〜90/1 (I)
(B)/[(C)+(D)]=8/92〜75/25 (II)
(C)/(D)=1/1〜50/1 (III)
(2)繊維状粘土鉱物(B)がセピオライトおよび/またはパリゴルスカイトであることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)繊維状補強材(C)がガラス繊維および/または炭素繊維であることを特徴とする(1)または(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)いずれかのポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
(5)厚みが3mm以下であることを特徴とする(4)の成形体。
(6)(1)〜(3)いずれかのポリアミド樹脂組成物を製造する方法であって、以下の(i)〜(iii)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(i)ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーおよび酸(E)を前記モノマーの融点以上の温度で溶融させた後、さらに繊維状粘土鉱物(B)を混合し、混合物を得る工程。
(ii)工程(i)で得られた混合物を溶融重合に付し、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーを重合させて、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含有する樹脂組成物を得る工程。
(iii)工程(ii)の後に、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含有する樹脂組成物に対して、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を加えて溶融混練する工程。
(7)(1)〜(3)いずれかのポリアミド樹脂組成物を製造する方法であって、以下の工程(iv)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
工程(iv):ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を溶融混練する工程。
本発明によれば、ポリアミド樹脂が本来有する性質である靭性を維持しつつ、繊維状粘土鉱物を用いているため軽量性および曲げ特性に優れ、加えて、繊維状補強材および非繊維状粘土鉱物を併せて含有するため成形体としたときの反りを低減することが可能なポリアミド樹脂組成物が得られる。
本発明で得られるポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体の反り量を評価するための試験片であって、金型取出し直後の試験片を示す概略図である。 本発明で得られるポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体において、反り量を評価するための試験片であって、金型から取り出してから24時間経過後の試験片を示す概略図である。
以下、本発明を詳述する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を含有する。
本発明におけるポリアミド樹脂(A)とは、アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸、またはジアミンとジカルボン酸の一対の塩を主たる原料とするアミド結合を主鎖内に有する重合体である。
アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が挙げられる。ジカルボン酸としては、アジピン酸、スべリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等のジカルボン酸等が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、およびこれらの混合物や共重合体等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れ、成形加工が容易である観点から、ナイロン6、ナイロン66が好ましい。
本発明において、繊維状粘土鉱物(B)は、ポリアミド樹脂(A)の曲げ特性を顕著に向上させることを目的として含有される。繊維状粘土鉱物(B)とは、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩鉱物である。なかでも、ポリアミド樹脂中への分散の容易性、得られるポリアミド樹脂組成物の加工時の流動性を損ねない点で、セピオライト、パリゴルスカイトが好ましく用いられる。
セピオライトはMg(SiO11)・3HOを主成分として含有する天然鉱物である。パリゴルスカイトはMgAlSi20(OH)・8HOを主成分として含有する天然鉱物である。なお、パリゴルスカイトにおいては、マグネシウムが鉄やアルミニウムによって置換されていてもよい。
繊維状粘土鉱物(B)の基本的な構造を以下に説明する。
繊維状粘土鉱物(B)とは、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩鉱物であり、八面体の酸化マグネシウム層を中心層として、その両側に正四面体の珪酸塩層が配された三層構造を有するものである。この三層構造はX軸方向(繊維長方向)に沿って伸びているため、繊維状粘土鉱物(B)の結晶は繊維状となり、つまり繊維状結晶となる。繊維状粘土鉱物(B)においては、複数の繊維状結晶が繊維方向に沿って凝集することもある。
繊維状粘土鉱物(B)において、正四面体の珪酸塩層は、数単位ごとにZ軸上で反転して結合している。そのため、八面体の酸化マグネシウム層は不連続層となり、繊維断面にゼオライト孔を形成するものとなる。また、繊維状粘土鉱物(B)は、X軸方向に沿って、多数のシラノール基(Si−OH基)を有している。そのため、前記ゼオライト孔には、水などの極性の高い物質が浸入しやすいという性質を有する。
このように、繊維状粘土鉱物(B)は、他の粘土鉱物と比較して繊維状でありながらも、多孔性である。そのため、嵩高い反面、ポリアミド樹脂(A)中における分散性に優れるという利点がある。その結果、本発明の樹脂組成物中に含有されると、少量で効果的に曲げ特性を向上させることができ、高密度となることがないという効果が奏される。
本発明においては、ポリアミド樹脂(A)の反りをより低減させることを目的として、繊維状補強材(C)が用いられる。すなわち、繊維状粘土鉱物(B)と繊維状補強材(C)とを併用することにより、本発明の樹脂組成物から得られる成形体の反りを著しく低減させることができる。
繊維状補強材(C)は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アスベスト繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、バガス繊維、高強度ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、玄武岩繊維などが挙げられる。これらの繊維状補強材(C)は単独で用いられてもよいし、二種以上組み合わせて用いられてもよい。なかでも、性能や入手の容易性から、ガラス繊維や炭素繊維が好適に用いられる。
繊維状補強材(C)の樹脂組成物中での平均繊維長は、100〜2000μmであることが好ましく、200〜800μmであることがより好ましい。200μm未満であると、反りを低減させる効果が低くなる場合がある。一方、2000μmを超えると、得られる樹脂組成物の流動性が低くなるなどの操業性悪化を引き起こす場合がある。
繊維状補強材(C)の樹脂組成物中での平均繊維長を上記の範囲に制御するためには、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含有する樹脂組成物に対して、繊維状補強材(C)を加えて溶融混練する際に、溶融混練条件を適宜変更して実施することができる。例えば、二軸押出機のスクリュー構成を変更したり、繊維状補強材(C)の投入位置を変更したりすることで繊維状補強材(C)の平均繊維長を制御することができる。より具体的には、溶融混練時にサイドフィーダーを用いて二軸押出機の中流以降から投入すると、繊維状補強材(C)の平均繊維長を好ましい範囲にすることが容易となる。さらに、繊維状補強材(C)を二軸押出機の中流より投入する場合に比べて、下流から投入することにより繊維状補強材(C)の平均繊維長を長くすることができる。また、繊維状補強材(C)の平均繊維長を短くする場合は、ニーディングディスク等の混練度合を高めるディスクを多用したスクリュー構成とするなどといった手法が採用される。
繊維状補強材(C)の平均繊維径は、5〜20μmであることが好ましく、10〜13μmであることがより好ましい。5μm未満であると、樹脂組成物を得ることが困難になるばかりか、補強効果が低下する場合がある。一方、20μmを超えると、ガラス繊維の靭性が低下し、得られる樹脂組成物が脆くなる場合がある。
繊維状補強材(C)の断面は、一般的な丸形状や、長方形や、それ以外の異形断面であればよい。なかでも、本発明の樹脂組成物から得られた成形体における反りを低減する観点から、長径としては10〜50μm、短径としては5〜20μmの範囲内のもので、長径/短径の比が1.5〜10である偏平な断面形状であることが好ましい。
繊維状補強材(C)として、ガラス繊維や炭素繊維を用いる場合、ポリアミド樹脂(A)と繊維状補強材(C)との密着性を向上させ、得られる樹脂組成物の反りをより低減させるために、該ガラス繊維、炭素繊維は、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
また、シランカップリング剤は、ガラス繊維や炭素繊維を束ねるための集束剤として用いられていてもよい。ガラス繊維や炭素繊維が集束されている場合は、そのフィラメント数は、通常、50〜30000フィラメント程度であることが好ましい。
シランカップリング剤としては、ビニルシラン系シランカップリング剤、アクリルシラン系シランカップリング剤、エポキシシラン系シランカップリング剤、アミノシラン系シランカップリング剤などが挙げられるが、ポリアミド樹脂(A)と繊維状補強材(C)との密着効果を得やすい点で、アミノシラン系カップリング剤が特に好ましい。
非繊維状粘土鉱物(D)は、繊維状補強材(C)とともに本発明の樹脂組成物に含有されることで、該樹脂組成物から得られる成形体の反りを低減する効果を発現させるという利点がある。非繊維状粘土鉱物(D)は、マイカ、タルク、カオリンおよび扁平ガラス繊維の粉末等が挙げられる。なかでも、反りの低減、形状や入手しやすさの観点から、タルクが特に好ましく用いられる。
非繊維状粘土鉱物(D)の形状は、本発明の樹脂組成物から得られた成形体において反りを低減する観点から、板状であることが好ましい。
非繊維状粘土鉱物(D)の平均厚みは、0.001〜20μmであることが好ましく、0.005〜1μmであることがより好ましい。0.001μm未満であるものは入手が困難となる場合がある。一方、20μmを超えると、本発明の樹脂組成物から得られた成形体における反り低減効果が低下するばかりでなく、得られる樹脂組成物が脆くなるとなる場合がある。
非繊維状粘土鉱物(D)の短辺および長辺の長さは、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。0.1μm未満であると、本発明の樹脂組成物から得られた成形体において反りの低減効果が低下する場合がある。一方、100μmを超えると、得られる樹脂組成物が脆くなる場合がある。
非繊維状粘土鉱物(D)のアスペクト比は、5未満であることが好ましく、3未満であることがより好ましい。5以上であると、本発明の樹脂組成物から得られた成形体において反り低減効果が低下するばかりでなく、かえって反りを増大させてしまう場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)の含有比率が、質量比で、下記式(I)、(II)式および(III)式を同時に満たすことが必要である。
(A)/[(B)+(C)+(D)]=40/60〜90/10 (I)
(B)/[(C)+(D)]=8/92〜75/25 (II)
(C)/(D)=1/1〜50/1 (III)
さらに、(D)の含有割合が得られるポリアミド樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部であることが必要である。
上記式(I)において、(A)/[(B)+(C)+(D)]は、45/55〜85/15であることが好ましく、50/50〜80/20であることがより好ましい。上記式(I)中、(A)の含有割合が40質量%未満であると、得られる樹脂組成物の靭性が極端に低下するため、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られる成形体の曲げ強度が低下する。一方、(A)の含有割合が90質量%を超えると、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)の含有量が過少となるため、これらの成分が含有されることにより奏される効果(つまり、曲げ特性の向上効果、および反りの低減効果)が低下する。
上記式(II)において、(B)/[(C)+(D)]は、10/90〜70/30であることが好ましく、15/85〜65/35であることがより好ましい。上記式(II)中、(B)の含有割合が8質量%未満であると、得られる成形体において、(B)を含有させる効果に乏しく、曲げ特性の向上効果が発現しない。一方、(B)の含有割合が75質量%を超えると、得られる樹脂組成物の靭性が極端に低下するため、得られる成形体が脆くなってしまうばかりでなく、密度が過度に増大してしまい軽量性を損なう。あるいは、樹脂組成物を得る際の後述の工程(ii)における攪拌が困難となるため、ポリアミド樹脂組成物を得ることが困難となったりする。
上記式(III)において、(C)/(D)は3/1〜48/1であることが好ましく、5/1〜46/1であることがより好ましい。(D)の含有比率に対し(C)の含有比率が1倍未満であると、反り低減効果に乏しくなる。一方、(D)の含有比率に対し(C)の含有比率が50倍を超えると、密度が過度に増大してしまい、比強度が低下する。
(D)の含有量は、得られる樹脂組成物100質量部に対して、0.2〜8質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。(D)の含有量が、0.1質量部未満であると、反りの低減効果が乏しくなる。一方、(D)の含有量が10質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物の靭性が乏しくなり得られる成形体は、比強度に劣るものとなる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型剤等の各種の添加剤が含有されていてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法について以下に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物の第1の製造方法は、以下の工程(i)〜(iii)を含むものである。
(i)ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーおよび酸(E)を前記モノマーの融点以上の温度で溶融させた後、さらに繊維状粘土鉱物(B)を混合し、混合物を得る工程。
(ii)工程(i)で得られた混合物を溶融重合に付し、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーを重合させて、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含有する樹脂組成物を得る工程。
(iii)工程(ii)の後に、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含有する樹脂組成物に対して、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を加えて溶融混練する工程。
すなわち、第1の製造方法においては、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーを溶融状態とし、該溶融状態のモノマーに繊維状粘土鉱物(B)を、攪拌などの手段により混合して混合物を得る。その後、得られた混合物を溶融重合に付し、次いで、繊維状補強材(C)と非繊維状粘土鉱物(D)を溶融混練することにより、本発明のポリアミド樹脂組成物が得られる。
まず、工程(i)について、以下に説明する。
工程(i)は、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーを、酸とともに加熱溶融して溶液状とし、繊維状粘土鉱物(B)を加え、攪拌などの手段により混合する工程である。該攪拌方法としては、特に限定されないが、効率よく溶融混合させるために、加熱攪拌する方法などが挙げられる。また、該攪拌方法において、攪拌翼の形状や回転数などは、特に限定されるものではない。
工程(i)の温度は、ポリアミド樹脂を(A)構成するモノマーの融点以上の温度である必要がある。例えば、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーとして、ε−カプロラクタムを用いた場合は、加熱温度を69℃以上にして溶融させることが必要である。また、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩を用いた場合は、加熱温度を202℃以上にして溶融させることが必要である。
酸(E)は、例えば、pKa(25℃、水中での値)が6以下である酸である。具体的には、リン酸、亜リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。また、酸(E)の使用量は、特に限定されないが、重合速度および得られるポリアミドの分子量の観点から、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー100質量部に対して、0.01〜1質量部程度であることが好ましい。
次に、工程(ii)について説明する。
工程(ii)は、工程(i)で得られた混合物を溶融重合に付し、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーを重合させて、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含む樹脂組成物を得る工程である。
工程(ii)における重合温度は、210〜300℃であることが好ましい。重合温度が210℃未満であると、重合度を上げることが困難となったり、繊維状粘土鉱物(B)の分散性が低下したりする場合がある。一方、重合温度が300℃を超えると、ポリアミド樹脂(A)が分解し、黄変する場合がある。
第1の製造方法においては、工程(ii)の後に、未反応のモノマーやオリゴマーを除去する工程が設けられていてもよい。
次に、工程(iii)について説明する。
工程(iii)は、工程(ii)で得られたポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含む樹脂組成物に対して、繊維状補強材(C)と非繊維状粘土鉱物(D)を溶融混練する工程である。
工程(iii)においては、例えば、二軸混練押出機等を用いて混練をおこなうことができる。その混練条件は特に限定されないが、例えば、得られる樹脂組成物の可塑化や劣化を抑制する観点から、溶融温度を240〜290℃程度、スクリュー回転数を150〜400rpm程度とすることが好ましい。
工程(iii)においては、工程(ii)で得られたポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含む樹脂組成物の供給を主ホッパーより行い、繊維状補強材(C)と非繊維状粘土鉱物(D)の供給をサイドフィーダーより行うことができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の第2の製造方法は、以下の工程(iv)を含むものである。
工程(iv):ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を溶融混練する工程。
すなわち、本発明のポリアミド樹脂組成物の第2の製造方法においては、ポリアミド樹脂(A)に繊維状粘土鉱物(B)を溶融混練し、次いで、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を溶融混練してもよい。また、ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を一括で仕込んで溶融混練してもよい。
工程(iv)における溶融混練は、二軸混練押出機等を用いることができる。その混練条件は特に限定されないが、例えば、得られる樹脂組成物の可塑化や劣化を抑制する観点から、溶融温度を240〜290℃程度、スクリュー回転数を150〜400rpm程度とすることが好ましい。
本発明の第1および第2の製造方法においては、最終的に本発明のポリアミド樹脂組成物を得た場合に、該樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)の含有量が、上記式(I)〜(III)の範囲となることが必要である。
本発明の第1および第2の製造方法においては、本発明に効果を損なわない範囲において、必要に応じて、他の重合体や添加剤を配合する工程が含まれていてもよい。これらの他の重合体や添加剤の配合は、任意の段階で行われる。
本発明で得られたポリアミド樹脂組成物を、通常の成形加工方法に付することにより、本発明の成形体を得ることができる。例えば、射出成形、押出成形、吹き込み成形、焼結成形などの熱溶融成形法を用いて、成形体とすることができる。また、本発明のポリアミド樹脂組成物を、有機溶媒溶液に溶解させ流延法に付することにより、薄膜とすることもできる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)が併用されている。そのため、従来のガラス繊維、炭素繊維などの繊維状補強材を単独で含有させたポリアミド樹脂組成物と比較して、軽量性および曲げ特性に優れ、成形体としたときの反りが低減されている。そのため、本発明の成形体は、通常、厚肉の成形体が用いられる雑貨、家庭用品用途ばかりでなく、薄肉(例えば、成形体とされたときの厚みが2mm以下である)で寸法精度が要求される用途(例えば、自動車用部品、電気・電子部品用途)において、特に好適に用いられる。
一般的に、成形体が厚肉であると、反りの発現が低減される傾向にあり、成形体が薄肉であると、反りの発現が顕著になる傾向にある。本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂の補強材として、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を同時に含有している。そのため、薄肉の成形体とされた場合であっても、反りの発現を顕著に抑制することが可能となる。
薄肉で寸法精度が要求される用途で用いられる部品としては、例えば、自動車のトランスミッション周り、エンジン周りで使用される部品などが例示される。
具体的には、自動車のトランスミッション周りの部品として、シフトレバー、ギアボックス等の台座に用いるベースプレート、エンジン周りの部品としては、シリンダーヘッドカバー、エンジンマウント、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエータタンク、ラジエータサポート、ウォーターポンプレンレット、ウォーターポンプアウトレット、サーモスタットハウジング、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、タイミングベルトカバー、エンジンカバー等の部品が挙げられる。
電気・電子部品としては、パーソナルコンピュータ、コピー機、スキャナ等複合機、FAXに代表されるOA機器、携帯電話、パームトップコンピュータ、電子書籍、電子辞書等のモバイル機器、液晶テレビ、プラズマテレビ、有機EL等の各種ディスプレイ等の筐体、ハウジング材等の部品が挙げられる。
以下、本発明を、実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
実施例および比較例に用いた原料を以下に示す。
(1)ポリアミド樹脂を構成するモノマー、またはポリアミド樹脂
・(A−1):ε―カプロラクタム(宇部興産社製、融点:69℃)
・(A−2−1):1、10−デカンジアミン
・(A−2−2):テレフタル酸
・(A−3):ポリアミド66(ユニチカ社製、商品名「E2000」)
(2)繊維状粘土鉱物
・(B−1):セピオライト(TOLSA社製、商品名「PANGEL HV」)
・(B−2):パリゴルスカイト(昭和KDE社製、商品名「POLEISY」)
(3)繊維状補強材
・(C−1):ガラス繊維(オーウェンスコーニング社製、商品名「MAFT692」)(平均繊維径13μm、丸形断面を有するガラス繊維)
・(C−2):ガラス繊維(日東紡績社製、商品名「CSG3PA820S」)(長径28μm、短径7μm、長短径の比が4.0の偏平断面を有する偏平ガラス繊維)
・(C−3):炭素繊維(三菱レイヨン社製、商品名「TR06NEB4J」)(平均繊維径7μm、丸形断面を有するPAN系炭素繊維)
・(C−4):ステンレス繊維(日本精線社製、商品名「ナスロンSUS304」)、平均繊維径8μm)
(4)非繊維状粘土鉱物
・(D−1):タルク(日本タルク社製、商品名「K−1」)(平均粒径8μm)
・(D−2):マイカ(クラレ社製、商品名「クラライトマイカ 300D」)(平均粒径40μm、アスペクト比35)
(5)酸
・亜リン酸(ナカライテスク社製)
以下に、実施例および比較例で用いた評価方法を示す。
2.試験方法
(1)灰分
ペレット約5gをルツボに入れ、秤量した後、400℃×2時間、さらに600℃×3時間で焼却処理し、デシケーター中で吸湿を抑制しながら、室温まで十分に冷却した後、ルツボ中の残渣を無機灰分(質量%)として、下式で算出した。
灰分(質量%)=100×{焼却処理後の資料の質量(g)}/{焼却処理前の試料の質量(g)}
(2)樹脂組成物中の繊維状補強材の平均繊維長
試験片(サイズ:10mm×10mm×3mm)を磁性ルツボに入れ、500℃に保持した電気炉で15時間焼却した後の残渣の長さをデジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製 「VHX−500」、倍率20倍)で測定した。該測定は、200本の残渣についておこない、それらの平均値を平均繊維長とした。
(3)密度
射出成形により得られた長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片より、10mm×10mm×4mmのサイズの切片を切り出し、ISO1183に従って、密度(g/cm)測定した。
(4)曲げ強度
射出成形により得られた長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片について、ISO178に従って、曲げ強度(MPa)を測定した。
(5)比強度
上記の(1)および(2)で得られた密度と曲げ強度の測定値から以下の式によって、比強度を算出した。
比強度(kN・m/kg)=[曲げ強度(MPa)]/[密度(g/cm)]
なお、比強度は、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)の含有量の多少によって、得られるポリアミド樹脂組成物の密度、曲げ特性が異なる場合に、単位密度あたりの曲げ強度を算出することで、補強効果の優劣を相互比較しやすくするための指標である。すなわち、比強度の値が高いと、低密度でありながら高い曲げ強度を有する成形体であるということを示す。本発明においては、比強度が150kN・m/kg以上であるものを実用に耐えうるものとした。
(6)曲げ歪(靭性)
射出成形により得られた長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片について、ISO178に従って、曲げ歪み(%)を測定した。
(7)曲げ弾性率
射出成形により得られた長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片について、ISO178に従って、曲げ弾性率(GPa)を測定した。本発明においては、5GPa以上であるものを実用に耐えうるものとした。
(8)反り量
射出成形により得られた直径100mm、厚さ1.6mmの円板状の試験片について、反り量の測定を行った。
すなわち、金型より取り出した試験片を、直ぐにデシケーターに入れ、24時間放置した後、室温(23℃)まで冷却した。ついで、デシケーターから試験片を取り出し、水平盤の上に試験片を静置させた。そして、該試験片において、以下の4点の水平盤(基準面1)からの距離を測定し、その測定値から反り量を算出した。
反り量を測定のための4点は、図1に示された取り出し直後の試験片における、点a、b、cおよびdの4点である。すなわち、図1に示すように、円板状の試験片のサイドゲートの位置をaとする。そして、aに対して、円周方向に反時計まわりに、90°、180°、270°の位置をそれぞれb、c、dとする。
そして、反りが発現した試験片を、図2に示すように水平盤に対して下に凸となるよう静置する。点aを基準点1とし、b〜dの各点における基準点1に対する上向きの変位(点cにおける変位2、点dにおける変位3、点bにおける変位4)を計測した。そして、以下の式により、反り量を算出した。
反り量(mm)=|(点bと点dの変位の合計)/2−(点cの変位)/2|
本発明においては、反り量が3mm未満であるものが好ましいものである。
製造例1
ε−カプロラクタム(A−1)100質量部、亜リン酸0.2質量部を同一容器に入れた。そして、80℃にて加熱しながら均一な溶液になるまで、ホモミキサー(プライミクス社製、商品名「T.K.ホモミクサーMARKII20」)を用いて、4000rpmの回転数で攪拌混合した。その後、攪拌しながらセピオライト(B−1)を1.1質量部添加して、均一な混合物を作製した。次いで、得られた混合物をオートクレーブに投入し、内温260℃で攪拌しながら、1時間重合させた。
重合終了後、オートクレーブの底排弁から、ポリアミド樹脂と(B−1)を含有する樹脂組成物を、ストランド状に引き取った。そして、ストランド状に引き取った該樹脂組成物を、温浴槽にて冷却固化し、ペレタイザーでペレット状に切断した。得られたペレットに対して、95℃の熱水で24時間精錬処理をおこない、未反応のモノマーおよびオリゴマーを除去した。その後、80℃で24時間乾燥させ、さらに、80℃で48時間真空乾燥して、繊維状粘土鉱物配合ポリアミド樹脂(P−1)を得た。
製造例2〜14
表1に示すように、ポリアミド樹脂を構成するモノマー、繊維状粘土鉱物の種類と配合量を変更した以外は、製造例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
Figure 2012043180
製造例15
1,10−デカンジアミン(A−2−1)50質量部、テレフタル酸(A−2−2)48質量部、末端封鎖剤として安息香酸0.7質量部、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.06質量部をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応と破砕を同時に行った。反応により生じた水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
上記の様にして得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド樹脂(P−15)を得た。
実施例1
製造例1で得た繊維状粘土鉱物配合ポリアミド樹脂(P−1)89質量部とタルク(D−1)1質量部をドライブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製、「TEM37BS型」)の根元供給口からトップフィードした。さらにガラス繊維(C−1)10質量部をサイドフィードし、バレル温度250〜270℃、スクリュー回転数200rpm、吐出15kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、該ストランドを冷却水で満たしたバットを通過させて冷却固化した。その後、ペレット状にカッティングしてポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたペレット状のポリアミド樹脂組成物を、射出成形機(東芝機械社製、「EC−100型」)を用い、シリンダー温度270℃、金型温度80℃で射出成形し、試験片を作製した。得られた試験片について、各試験を行った結果を表2に示す。
Figure 2012043180
実施例2〜12、比較例1〜10
表2に示すように、繊維状粘土鉱物配合ポリアミド樹脂、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)の種類と含有量を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。そして、該樹脂組成物を射出成形し試験片を得た。得られた試験片について評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例13
製造例10で得たポリアミド樹脂(P−10)79質量部、繊維状粘土鉱物(B−1)10質量部、タルク(D−1)1質量部をドライブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製、「TEM37BS型」)の根元供給口からトップフィードした。さらにガラス繊維(C−1)10質量部をサイドフィードし、バレル温度250〜270℃、スクリュー回転数200rpm、吐出15kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、該ストランドを冷却水で満たしたバットを通過させて冷却固化した。その後、ペレット状にカッティングしてポリアミド樹脂組成物を得た。これは、工程(iv)である。得られたポリアミド樹脂組成物を射出成形し、試験片を得た。得られた試験片について評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例14
製造例15で得たポリアミド樹脂(P−15)を用い、バレル温度を320〜340℃とした以外は、実施例13と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。そして、該樹脂組成物を射出成形し試験片を得た。得られた試験片について評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例15
ポリアミド樹脂(A−3)を用い、バレル温度を270〜290℃とした以外は、実施例13と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。そして、該樹脂組成物を射出成形し試験片を得た。得られた試験片について評価を実施した。評価結果を表2に示す。
実施例1〜15で得られたポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂が本来有する特性である靭性を維持しつつ、軽量性、曲げ特性、低反り性に優れたものであった。
特に、(A)、(B)、(C)および(D)の配合比率が最適である実施例2は、比強度、曲げ弾性率、および低反り性のバランスに顕著に優れるものであった。
さらに、繊維状補強材(C)として、扁平断面のガラス繊維や炭素繊維を用いた実施例7および8は、すべての性能のバランスにおいてさらに優れたものであった。
非繊維状粘土鉱物(D)としてマイカが用いられた実施例12は、タルクが用いられた実施例9と比較すると、低反り性により優れるものであった。
比較例1で得られたポリアミド樹脂組成物は、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を配合しなかったため、反り量が大きかった。
比較例2で得られた樹脂組成物は、非繊維状粘土鉱物(D)を配合しなかったため、反り量を十分に低減することができなかった。
比較例3で得られた樹脂組成物は、繊維状補強材(C)を配合しなかったため、反り量を十分に低減することができなかった。
比較例4で得られた樹脂組成物は、繊維状粘土鉱物(B)を配合しなかったため、曲げ特性の改善が不十分となり、比強度に劣る結果となった。
比較例5で得られた樹脂組成物は、繊維状粘土鉱物(B)の配合量が過少であったため、曲げ特性の改善が不十分となり、比強度に劣る結果となった。
比較例6においては、繊維状粘土鉱物(B)の配合量が過多であったため、工程(ii)における攪拌が困難となった。そのため、その後の重合が不十分となり、樹脂組成物を得ることができなかった。
比較例7で得られた樹脂組成物は、非繊維状粘土鉱物(D)に対し、繊維状補強材(C)の配合量が過少であったため、反り量の低減が十分ではなかった。
比較例8で得られた樹脂組成物は、非繊維状粘土鉱物(D)に対し、繊維状補強材(C)の配合量が過多であった。そのため、該樹脂組成物から得られた成形体の靭性に乏しくなり、比強度に劣る結果となった。
比較例9で得られた樹脂組成物は、非繊維状粘土鉱物(D)の配合量が過少であったため、反り量の低減が十分ではなかった。
比較例10で得られた樹脂組成物は、非繊維状粘土鉱物(D)の配合量が過多であった。そのため、該樹脂組成物から得られたポリアミド樹脂組成物の靭性が乏しくなり、成形体の比強度が劣る結果となった。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、軽量性、曲げ特性および靭性に優れ、成形体としたときの反りが顕著に低減されている。そのため、様々な材料分野、特に薄肉成形体とした場合に反りが問題となる分野において好適に用いられることができ、非常に有用である。

Claims (7)

  1. ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を構成成分として含有するポリアミド樹脂組成物であって、前記(A)、(B)、(C)および(D)の配合比率が、質量比で、下記式(I)、(II)および(III)を同時に満たし、(D)の含有割合が得られるポリアミド樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
    (A)/[(B)+(C)+(D)]=40/60〜90/10 (I)
    (B)/[(C)+(D)]=8/92〜75/25 (II)
    (C)/(D)=1/1〜50/1 (III)
  2. 繊維状粘土鉱物(B)がセピオライトおよび/またはパリゴルスカイトであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 繊維状補強材(C)がガラス繊維および/または炭素繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
  5. 厚みが3mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の成形体。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造する方法であって、以下の(i)〜(iii)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
    (i)ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーおよび酸(E)を前記モノマーの融点以上の温度で溶融させた後、さらに繊維状粘土鉱物(B)を混合し、混合物を得る工程。
    (ii)工程(i)で得られた混合物を溶融重合に付し、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーを重合させて、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含有する樹脂組成物を得る工程。
    (iii)工程(ii)の後に、ポリアミド樹脂(A)および繊維状粘土鉱物(B)を含有する樹脂組成物に対して、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を加えて溶融混練する工程。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造する方法であって、以下の工程(iv)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
    工程(iv):ポリアミド樹脂(A)、繊維状粘土鉱物(B)、繊維状補強材(C)および非繊維状粘土鉱物(D)を溶融混練する工程。

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