JPWO2012014572A1 - 薄膜太陽電池用透明電極、それを用いた薄膜太陽電池用透明電極付き基板および薄膜太陽電池、ならびに薄膜太陽電池用透明電極の製造方法 - Google Patents

薄膜太陽電池用透明電極、それを用いた薄膜太陽電池用透明電極付き基板および薄膜太陽電池、ならびに薄膜太陽電池用透明電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、初期特性と長期使用時の耐湿性とが両立された酸化亜鉛膜を含む透明電極、および当該電極を備える薄膜太陽電池に関する。本発明の透明電極は、主として酸化亜鉛からなる透明導電膜を含む。前記透明導電膜は、下記の特性を有することが好ましい。表面凹凸を有する;キャリア濃度が9×1019cm−3以下である;結晶が(110)の優先配向を有する;X線回折による(002)ピーク強度に対する(110)ピーク強度の比I(110)/I(002)が50以上である;(110)配向を有する結晶子のサイズが、基板に平行な面方向で23nm以上50nm以下であり、かつ基板に垂直な面方向で30nm以上60nm以下である。

Description

本発明は、長期使用時の信頼性が向上された薄膜太陽電池用の透明電極、ならびにそれを用いた薄膜太陽電池用透明電極付き基板および薄膜太陽電池に関する。
近年、環境汚染問題や地球温暖化問題への対策として、太陽電池の研究開発が活発化し、クリーンエネルギーの一つとして導入が進んでいる。中でも、薄膜太陽電池は、低コスト化と高効率化を両立可能な太陽電池として注目されている。特に、ガラス等の安価な基板上に低温プロセスを用いて良質の半導体層を形成する方法が、低コストを実現可能な方法として期待されている。
薄膜太陽電池の光電変換効率を向上する目的で、光電変換ユニットの光入射側に接する透明導電膜の表面を凹凸化(テクスチャ化)し、その界面で散乱された光を光電変換ユニット内へ入射させて光路長を延長させる「光閉じ込め」が実用化されている。表面が凹凸化された透明導電膜としては、例えば、熱化学的気相成長法(「熱CVD法」とも称される)により堆積された酸化錫(SnO)膜が挙げられる。しかし、SnO膜は、約550〜650℃の高温プロセスで堆積する必要があるため、プラスチックフィルムや固体化後のガラス等の安価な基板が使用できず、製造コストが高くなる等の問題がある。
一方、酸化亜鉛(ZnO)は、SnOや酸化インジウム錫(ITO)よりも安価であり、耐プラズマ性が高いため、薄膜太陽電池用の透明電極材料として好適である。例えば、特許文献1では、ガラス等の透光性絶縁基板上に下地層を形成し、その上に150℃〜200℃の低温条件下で低圧熱CVD法(LPCVD法あるいはMOCVD法とも呼ばれる)によって表面に凹凸を有するZnO膜を堆積することが提案されている。
低圧熱CVD法によってZnO膜を堆積する際にドーパントガスを供給することにより、ZnO膜中にホウ素等のドーパントを含有させることが広く行われている。ZnO膜中にホウ素等のドーパントを有することで、膜中のキャリア濃度が増大し、低抵抗の酸化亜鉛膜が得られる。しかしながら、膜中のキャリア濃度がある程度の範囲を超えると、それ以上の低抵抗化は生じない一方で、キャリアによる光吸収に起因してZnO膜の光線透過率が低下するために、太陽電池の電流密度が低下する傾向がある。そのため、変換効率に優れる太陽電池を得るためには、低抵抗化を実現し得る範囲で、透明電極材料である酸化亜鉛膜中のキャリア濃度が可能な限り小さいことが好ましい。
一方、非特許文献1には、低圧熱CVD法により堆積されたホウ素(B)ドープZnO薄膜において、膜中のキャリア濃度が低い場合に、耐湿性が低下することが報告されている。非特許文献1では、キャリア濃度が8×1019cm−3、膜厚2μmのZnO薄膜が加湿環境に曝されると、導電率が1/10以下に低下する、すなわち10倍以上に高抵抗化することが報告されている。薄膜太陽電池の透明電極としてのZnO薄膜がこのように高抵抗化すると、太陽電池のシリーズ抵抗(直列抵抗)が増加し、太陽電池の特性、特に曲線因子(FF)が低下するために、変換効率(Eff)が低下してしまう問題がある。
特開2005−311292号公報
J.Steinhauser et.al,Technical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan 2007,p166
上記のように、透明電極として酸化亜鉛膜を用いた薄膜太陽電池では、酸化亜鉛膜中のキャリア濃度が大きいと、過剰なキャリアによる光吸収に起因して、薄膜太陽電池の初期特性(特に短絡電流密度)が低くなるという問題がある。一方、酸化亜鉛膜中のキャリア濃度を小さくすれば、酸化亜鉛膜の透過率上昇に伴って電流密度が増大し、初期特性に優れる太陽電池が得られるが、酸化亜鉛膜の耐湿性が低いために、長期使用時に曲線因子(FF)の低下による特性低下が生じ易いとの問題があり、初期特性と長時間使用時の耐久性にはトレードオフの関係がある。
実際に、本発明者らが、特許文献1の実施例に記載の方法で、ガラス基板上に主にZnOからなる透明電極を形成し、これを85℃、湿度85%の環境下に曝したところ、非特許文献1で報告されているのと同様に、キャリア濃度低減に由来すると推定されるZnO膜の透過率向上およびZnO膜高抵抗化が確認された。ZnO膜の透過率向上は、主に800nm以上の長波長領域に見られ、当該長波長領域に吸収を有する光電変換層(例えば、薄膜多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコン光電変換層、ゲルマニウム光電変換層、化合物半導体(CdTe、CIS、CIGS等)光電変換層)を備える太陽電池の短絡電流密度(Jsc)の向上には好ましい。しかしながら、シリーズ抵抗の増大に伴うFFの低下が著しく、結果として、変換効率が低下することが判明した。
上記に鑑み、本発明は、光入射側の透明電極としてZnO透明導電膜が適用された薄膜太陽電池における、初期変換効率の向上と、長期使用時による変換効率の低下の抑制とを両立することを目的とする。
本発明者らは、薄膜太陽電池に適した表面凹凸と透過率を有し、かつ耐湿性が改善された透明導電膜の形成について鋭意検討した。その結果、ZnO膜の結晶構造および結晶子サイズが,透明電極耐湿性と相関を有していることを見出した。そして、特定の配向および結晶子サイズを有するZnO膜を透明電極として適用することによって、初期のキャリア濃度が小さくとも耐湿性に優れた薄膜太陽電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、主として酸化亜鉛からなる透明導電膜を含む薄膜太陽電池用透明電極に関する。前記透明導電膜は、下記の特性を有することが好ましい。
表面凹凸を有する。
キャリア濃度が9×1019cm−3以下である。
結晶が(110)の優先配向を有する。
X線回折による(002)ピーク強度に対する(110)ピーク強度の比I(110)/I(002)が50以上である。
(110)配向を有する結晶子のサイズが、基板に平行な面方向で23nm以上50nm以下であり、かつ基板に垂直な面方向で30nm以上60nm以下である。
また、本発明は、透光性絶縁基板上に前記透明電極が形成された薄膜太陽電池用透明電極付き基板に関する。前記電極付き基板のヘイズ率は、20〜50%であることが好ましい。
さらに、本発明は、少なくとも1つの光電変換ユニットの光入射側に前記透明電極、または前記電極付き基板を備える薄膜太陽電池に関する。一実施形態において、本発明の薄膜太陽電池は、前記光電変換ユニットとして、結晶質光電変換ユニットを含む。
本発明の透明電極は、主にZnOからなり表面凹凸を有する酸化亜鉛膜を有するために、薄膜太陽電池の光入射側電極として用いた場合に、高い光閉じ込め効果が得られる。さらに、本発明の透明電極は、キャリア濃度が小さいために、透明電極による光吸収が小さい。さらには、酸化亜鉛膜が所定の結晶特性を有しているために、キャリア濃度が小さいにも関わらず、湿度等の影響による高抵抗化が抑制される。そのため、本発明の透明電極を光入射側の電極として用いた薄膜太陽電池は、高い初期特性を有するとともに、長期使用時の湿度の影響による性能低下が抑制される。
本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の断面図である。
図1は本発明の一実施形態にかかる薄膜太陽電池の構成を示す模式的な断面図である。図1の薄膜太陽電池は、透光性絶縁基板1上に、透明電極2、光電変換ユニット11、および裏面電極3をこの順に備える。この薄膜太陽電池は、透光性絶縁基板1側から光電変換に供される太陽光(hν)が入射される、いわゆる「スーパーストレート型」の薄膜太陽電池である。前記光電変換ユニット11は、光電変換層112よりも光入射側に一導電型層111を備え、光入射側と反対側に逆導電型層113を備える。一実施形態において、本発明の薄膜太陽電池は、光電変換層112が結晶質シリコン系光電変換層である結晶質シリコン系薄膜太陽電池である。なお、本明細書における、「結晶質」、「微結晶」の用語は、部分的に非晶質を含んでいるものも包含する。
前記透光性絶縁基板1は、スーパーストレート型の薄膜太陽電池を構成した際に、光電変換ユニット11よりも光入射側に位置する。そのため、透光性絶縁基板は、より多くの太陽光を光電変換ユニットに吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましい。透光性絶縁基板としては、ガラス板、透光性プラスチックフィルム等が好ましく用いられる。同様の意図から、光入射面における光反射ロスを低減させるように、透光性絶縁基板の光入射面には、無反射コーティングが施されていることが望ましい。透光性絶縁基板1の透明電極2側の表面は、透明電極2との付着力を向上させるために、微細な表面凹凸を有していてもよい。
前記透明電極2は、光電変換ユニット11よりも光入射側に位置し、主として酸化亜鉛からなる透明導電膜(以下、単に「酸化亜鉛膜」、あるいは「ZnO膜」と称する場合がある)を含む。この酸化亜鉛膜は、表面凹凸形状を有する。本発明において、酸化亜鉛膜の表面凹凸の大きさは、光電変換層の種類などに応じて適宜設定される。例えば、結晶質シリコン光電変換層を備える薄膜太陽電池に適した光閉じ込め効果を得るためには、透光性絶縁基板1上に酸化亜鉛膜を含む透明電極2が形成された透明電極付き基板が、10%以上のヘイズ率を有することが好ましい。特に、薄膜太陽電池の光電変換特性を向上させるためには、前記透明電極付き基板が、20〜50%程度のヘイズ率を有することが好ましく、20〜40%程度のヘイズ率を有することがさらに好ましい。
なお、本明細書では、薄膜太陽電池用透明電極の光閉じ込め効果に影響する表面凹凸の評価指標として、主にヘイズ率を用いている。ヘイズ率とは、(拡散透過率/全光線透過率)×100[%]で表されるものである(JIS K7136)。ガラス等の透光性絶縁基板1上に透明電極2が形成されている透明電極付き基板では、透光性絶縁基板を含んだ状態でヘイズ率が評価される。
酸化亜鉛膜の表面凹凸が小さすぎると、十分な光閉じ込め効果を得られない場合がある。逆に、表面凹凸が大きすぎると、薄膜太陽電池に電気的あるいは機械的な短絡を生じさせる原因ともなり、薄膜太陽電池の特性低下を引き起こす場合がある。光閉じ込め効果を得るためには、酸化亜鉛膜の表面凹凸は、凹凸の粒径(ピッチ)が概ね50〜500nmで、かつ凹凸の高さが概ね20〜200nmであることが好ましい。酸化亜鉛膜の表面凹凸が大きすぎると、薄膜太陽電池に電気的な短絡が生じる場合があるため、凹凸の高さは40〜150nmがより好ましく、50〜120nmがさらに好ましい。
酸化亜鉛膜中のキャリア濃度は9×1019cm−3以下が好ましく、5×1019cm−3以下がより好ましい。酸化亜鉛膜中のキャリア濃度が増加すると、長波長領域における透過率が低下するため、特に、波長800nm以上の長波長領域に光吸収を有する光電変換層を備える太陽電池において、初期特性(特に短絡電流密度)が低下する傾向がある。そのため、薄膜太陽電池の高効率化のためには、酸化亜鉛膜中のキャリア濃度は極力小さいことが好ましい。一方、キャリア濃度が過度に小さいと、酸化亜鉛膜が高抵抗となり、太陽電池のシリーズ抵抗増大に伴い初期特性(特に曲線因子)が低下する傾向がある。そのため、ZnO膜中のキャリア濃度は、8×1018cm−3以上であることが好ましく、1×1019cm−3以上であることがさらに好ましい。ZnO膜中のキャリア濃度は、ホール測定や分光エリプソメトリー法、SIMS分析等で分析できるが、本明細書では、ホール測定によるキャリア濃度が用いられる。
本発明において、透明電極2を構成する酸化亜鉛膜は、基板面に平行な(110)優先配向面を有することが好ましい。多結晶の酸化亜鉛膜は、(100)、(002)、(101)、(110)の結晶格子面を有するが、本発明においては、酸化亜鉛膜の(002)ピーク強度に対する(110)ピーク強度の比I(110)/I(002)が、50以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましい。酸化亜鉛膜の(110)ピーク強度比が大きいほど、酸化亜鉛膜の耐湿性が向上する傾向があり、キャリア濃度が小さくとも耐湿性に優れる酸化亜鉛膜が得られる。I(110)/I(002)が上記値より小さいと、酸化亜鉛膜が高湿環境に曝された場合に、酸化亜鉛膜の抵抗値が増大し易くなる傾向がある。
酸化亜鉛膜中の(110)配向を有する結晶子は、基板面に平行な面方向のサイズが、23nm以上であることが好ましく、25nm以上であることが好ましい。(110)配向を有する結晶子の基板面に平行な面方向のサイズが前記範囲であれば、ZnO膜の耐湿性が高められる傾向がある。(110)配向を有する結晶子の基板面に平行な面方向のサイズの上限は特に制限されないが、一般的に達成可能な上限は50nm程度であり、好ましくは40nm以下である。
酸化亜鉛膜中の(110)配向を有する結晶子は、基板面に垂直な面方向のサイズが、30nm以上であることが好ましく、35nm以上であることがより好ましい。基板面に垂直な面方向の結晶子サイズが大きくなると、基板面と平行な方向の電子の移動度が増加する。薄膜太陽電池の透明電極として用いられる酸化亜鉛膜は基板面に平行な方向へ電気を流す必要があるため、基板面に垂直な面方向の結晶子サイズが上記のように大きければ、酸化亜鉛膜のキャリア濃度が、例えば9×1019cm−3以下と小さい場合であっても、高い曲線因子を有する薄膜太陽電池が得られうる。また、高湿度環境下では、大気中の水分由来の酸素が酸化亜鉛の結晶子間に浸透し、移動度を低下させていると考えられている。そのため、基板面に垂直な面方向の結晶子サイズを大きくすることは、キャリア濃度が小さい酸化亜鉛膜の耐湿性向上においても重要であると考えられる。(110)配向を有する結晶子の基板面に垂直な面方向のサイズの上限は特に制限されないが、一般的に達成可能な上限は60nm程度であり、好ましくは50nm以下である。
ZnO膜の結晶配向および結晶子サイズは、X線回折法(XRD法)で得られる回折パターンおよび各面のピーク強度、さらには各面の半値幅から算出・評価できる。この分析は、ガラス基板上に形成されたZnO膜を測定することにより行われる。基板面と平行な結晶格子面は、一般的な測定方法である2θ/θ測定(X線回折の軸の操作方法からアウト・オブ・プレーン測定とも呼ばれる測定の一つ)により測定できる。
ZnO膜は六方晶系ウルツ鉱型の結晶構造を有するため、結晶子サイズはa軸方向とc軸方向で大きく異なる。上記のように、酸化亜鉛膜が基板面と平行な(110)優先配向面を有する場合は、基板面と結晶構造のc軸方向とが平行となっている。従って、基板面に垂直な方向の結晶子サイズを測定する場合は、イン・プレーン測定と呼ばれるXRD法を用いる必要がある。この測定によれば、基板面と平行な(110)優先配向面を有する結晶子の基板面に垂直な面方向、すなわち(002)優先配向方向の結晶子サイズを測定することができる。なお、結晶子サイズは、アウト・プレーン測定、イン・プレーン測定のいずれにおいても、XRDピーク強度およびピークの半値幅に基づいて、Scherrer法により算出される。
本発明の透明電極の形成方法は必ずしも制限されるものではないが、透明電極を構成する酸化亜鉛膜は低圧熱CVD法によって堆積されることが好ましい。酸化亜鉛膜の製膜法としては、一般には、低圧熱CVD法の他にスパッタ法等も広く用いられているが、スパッタ法により製膜された酸化亜鉛膜は、一般に(002)優先配向性を有しており、表面凹凸が形成され難い。一方、低圧熱CVD法によれば、基体温度200℃以下の低温でも、光閉じ込め効果を発揮し得る表面凹凸を有し、かつ(110)配向性を有する酸化亜鉛膜が形成されやすい。
透明電極に含まれる酸化亜鉛膜は、具体的には、低圧熱CVD法により、基体温度が150℃以上、より好ましくは160℃以上、圧力5Pa〜1000Paの条件下で、原料ガスとしての亜鉛源および酸化剤、ドーパントガスならびに希釈ガスを製膜室内に供給することにより製膜されることが好ましい。なお、ここでいう基体温度とは、基体が製膜装置の加熱部と接している面の温度のことをいう。
亜鉛源の原料ガスとしては、例えば、ジエチル亜鉛(DEZ)やジメチル亜鉛等のアルキル亜鉛が好適に用いられる。酸化剤の原料ガスとしては、例えば、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、五酸化二窒素、アルコール類(R(OH))、ケトン類(R(CO)R’)、エーテル類(ROR’)、アルデヒド類(R(COH))、アミド類((RCO)(NH3−x)、x=1,2,3)、スルホキシド類(R(SO)R’)(ただし、RおよびR’はアルキル基)を用いることもできる。中でも、酸化剤としては水が最も好適に用いられる。DEZや水のように常温常圧で液体の原料は、加熱蒸発、バブリング、噴霧などの方法で気化させてから供給することが好ましい。
希釈ガスとしては、例えば、希ガス(He、Ar、Xe、Kr、Rn)、窒素、水素などが用いられる。中でも、熱伝導性の観点から、水素ガスが好適に用いられる。ドーパントガスとしては、例えば、ジボラン(B)、トリメチルボラン等のアルキルボラン、アルキルアルミ、アルキルガリウム等のIII族元素を含むものが好適に用いられる。中でも、ホウ素を含むドーパントガスが好ましく、ジボランが最も好ましい。ドーパントガスは、水素等の希釈ガスにより希釈されてから、製膜室内に導入されることが好ましい。
酸化亜鉛膜の製膜において、前記の亜鉛源と酸化剤とは、亜鉛:酸素の化学量論比が、1:2〜1:5となるように、原料ガスが供給されることが好ましい。例えば、亜鉛源としてDEZが用いられ、酸化剤として水が用いられる場合、DEZ:水の比は1:2〜1:5が好ましい。酸化亜鉛を製膜するに際して、亜鉛と酸素の比は化学量論的には1:1であればよいが、酸化剤である水の供給量を相対的に多くすることによって、酸化亜鉛の(110)配向性が向上するとともに、結晶子のサイズが大きくなる傾向がある。低圧熱CVD法での酸化亜鉛膜の堆積における、亜鉛源(DEZ)と酸化剤(水)の供給比(水/DEZ)は、2.7以上が好ましく、2.9以上がより好ましい。酸化剤である水の相対的な供給量が多くなるほど、酸化亜鉛の(110)配向性が向上するとともに、結晶子のサイズが大きくなる傾向がある。一方、亜鉛源に対する酸化剤の供給量が過度に大きいと、均一な膜を製膜することが困難となる場合がある。
ドーパントガスの供給量は、酸化亜鉛膜中のキャリア濃度が前記範囲となるように適宜に設定される。例えば、ドーパントガスとしてBが用いられる場合、Bの流量は、DEZに対して、0.05%〜0.5%であることが好ましい。ドーパントガスの供給量を小さくすることにより、酸化亜鉛膜中のキャリア濃度が小さくなるとともに、酸化亜鉛膜の(110)配向性が向上し、さらには、結晶子のサイズが大きくなる傾向がある。ドーパントガスの供給量が過度に大きいと、酸化亜鉛膜のキャリア濃度の上昇により透過率が低下するとともに、酸化亜鉛膜表面に光閉じ込めに十分な凹凸が形成され難くなる傾向がある。
酸化亜鉛膜堆積時の基体温度は、前述のごとく150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。基体温度を高くすると、酸化亜鉛の(110)配向性が向上する傾向があるが、基体温度が過度に高いと、逆に(110)配向性が低下する傾向がある。そのため、低圧熱CVDによる酸化亜鉛膜堆積時の基体温度は200℃以下であることが好ましい。また、低圧熱CVDにより、前記の配向性および結晶子サイズを有する酸化亜鉛膜を得るためには、堆積時の圧力は小さい方が好ましい。具体的には堆積時の圧力は、50Pa以下が好ましく、30Pa以下がより好ましい。
前記の配向性および結晶子サイズを有する酸化亜鉛膜を得るために、酸化亜鉛膜の堆積条件を前述のように調整することの他、酸化亜鉛膜を含む透明電極を堆積後に、引き続き水素ガスやアルゴン等の非酸化性のガス雰囲気下にて、酸化亜鉛膜を200℃以上の温度で加熱処理することも効果的である。この加熱処理の条件は、例えば温度200℃〜250℃程度、圧力50Pa〜500Pa程度とすることが好ましい。加熱処理時間は、10分〜120分程度が好ましい。
酸化亜鉛膜の平均膜厚は、300〜3000nmであることが好ましく、500〜2200nmであることがより好ましい。酸化亜鉛膜が薄すぎると、酸化亜鉛膜の表面に、光閉じ込め効果に有効に寄与する凹凸を付与することが困難となったり、透明電極として必要な導電性が得られ難くなる場合がある。酸化亜鉛膜の厚みを大きくすることで、ピッチおよび高低差の大きい表面凹凸を有する酸化亜鉛膜が得られるとともに、結晶の(110)配向性が高められ、結晶子サイズが大きくなる傾向がある。一方、酸化亜鉛膜の厚みが大き厚すぎると、酸化亜鉛膜自体による光吸収が大きくなるために、光電変換ユニットへ到達する光量が減少し、変換効率が低下する傾向がある。また、酸化亜鉛膜が厚すぎる場合は、製膜時間の増大によりその製膜コストが増大する傾向がある。
透明電極2上には、光電変換ユニット11が形成される。本発明における光電変換ユニット11は、光電変換層112として、太陽光の主波長域(400〜1200nm)に吸収を有する半導体層を含むことが好ましい。特に、本発明の薄膜太陽電池においては、光電変換ユニット11の光入射側に配置される透明電極2のキャリア濃度が低く、長波長領域における透過率が高いために、光電変換層112は、波長800nm以上に吸収を有する半導体層を含むことがより好ましい。このような半導体層としては、非晶質シリコン以外の半導体層、例えば薄膜多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコン半導体層、ゲルマニウム半導体層、化合物(CdTe、CIS、CIGS等)層が例示される。なお、「シリコン系」の材料には、シリコンに加え、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなど、シリコンを含むシリコン合金半導体材料も含まれる。
光電変換ユニット11は、光電変換層112の光入射側および裏面側に、それぞれ一導電型層111および逆導電型層113を有する。例えば、真性結晶質シリコン系薄膜を光電変換層112とした結晶質シリコン系光電変換ユニットでは、光入射側の一導電型層111としてp型層、逆導電型層113としてn型層を有し、p型層側から光が入射されることが好ましい。
結晶質光電変換ユニットは、例えば、プラズマCVD法により、p型層、i型層(光電変換層)、およびn型層を順に堆積することにより形成される。具体例としては、導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン系層、光電変換層となる真性結晶質シリコン層、および導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン系層がこの順に堆積された光電変換ユニットが挙げられる。光電変換ユニットを構成するp型層、i型層およびn型層の各層は上記に限定されず、例えばp型層として非晶質シリコン系膜を用いてもよい。またp型層として、非晶質または微結晶のシリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどの合金材料を用いてもよい。導電型層(p型層およびn型層)の膜厚は3nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がさらに好ましい。
光電変換層112としての真性結晶質シリコン層は、プラズマCVD法によって基体温度300℃以下で堆積されることが好ましい。結晶質シリコン層が低温で堆積されることにより、膜中に水素原子を多く含ませることができる。水素原子は、結晶粒界や結晶粒内における欠陥(ダングリングボンド)を終端させて不活性化させる作用を有する。具体的には、光電変換層112の水素含有量は1〜30原子%の範囲内にあるのが好ましい。この層は、導電型決定不純物原子の密度が1×1018atms/cm以下である実質的に真性の半導体である薄膜として形成されることが好ましい。さらに、真性結晶質シリコン層に含まれる結晶粒の多くは、透明電極2側から柱状に延びて成長しており、その膜面に対して(110)の優先配向面を有することが好ましい。真性結晶質シリコン層の膜厚は、光吸収の観点から1μm以上が好ましく、結晶質薄膜の内部応力による剥離を抑える観点から10μm以下が好ましい。
結晶質光電変換ユニットは、上記の真性結晶質シリコン層に代えて、光電変換層として、合金材料である結晶質シリコンカーバイド層(例えば光電変換層中に10原子%以下の炭素を含有する結晶質シリコンからなる結晶質シリコンカーバイド層)や、結晶質シリコンゲルマニウム層(例えば光電変換層中に30原子%以下のゲルマニウムを含有する結晶質シリコンからなる結晶質シリコンゲルマニウム層)を有していてもよい。
なお、本発明の薄膜太陽電池は、図1に示したように1つの光電変換ユニットを有するものであってもよく、複数の光電変換ユニットが積層されたものであってもよい。
光電変換ユニット11上には、裏面電極3が形成される。裏面電極としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrから選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも一層の金属層32がスパッタ法または蒸着法などにより形成されることが好ましい。また、光電変換ユニット11と金属層32との間に、例えばITO、SnO、ZnO等の導電性酸化物層31が形成されることが好ましい。この導電性酸化物層31は、光電変換ユニット11と金属層32との間の密着性を高めるとともに、裏面電極3の光反射率を高め、さらに、光電変換ユニットの化学変化を防止する機能を有する。
なお、図1では透光性絶縁基板1側から光が入射されるスーパーストレート型薄膜太陽電池を用いて説明したが、本発明は基板上に、裏面電極、光電変換ユニット、および酸化亜鉛膜を含む透明電極が順に堆積された構成(サブストレート型ともいう)にも適用できる。サブストレート型の構成においても、酸化亜鉛膜を含む透明電極が高い透過率を有するとともに、耐湿性が向上されているために、初期特性に優れ、かつ長期使用時の変換効率の低下が抑止され得る。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
各実施例および比較例における評価は、下記の方法によりおこなった。
(シート抵抗)
四探針プローブを備えたシート抵抗測定装置(三菱油化製 型番「MCP−T250」)を用いて測定した。
(ヘイズ率)
D65光源を用いたヘイズメータ(日本電色工業製 型番「NDH−5000W」を用い、JIS K7136に準拠して測定した。
(キャリア濃度)
Van Der Pauw法の原理を用いたホール効果測定装置(Nanometrics製 型番「HL5500PC」)により、0.503テスラのDC磁場のもと、ターゲット電圧20mVでホール測定を行い、キャリア濃度を算出した。キャリア濃度の算出に際しては、触針式段差計にて測定したZnO膜の膜厚を用いた。
(X線回折ピーク強度比および結晶子サイズ)
X線回折ピーク強度比および結晶子サイズは、X線源としてCu・Kα線を備えるX線回折測定装置(リガク製「SmartLab」)により測定したX線回折データを基に、解析ソフト(リガク製「PDXL software」)にて算出した。
基板面に平行な面方向の結晶配向性および結晶子サイズを評価する際は、2θ/ωモードを選択し、X線強度45kV・200mA、角度域2θ=25〜80°、走査速度0.12°/秒、サンプリング間隔0.02°の条件で、ZnO膜面の約5mm角を測定した。基板面に垂直な面方向を評価する際は、イン・プレーン測定(2θχ)モードを選択し、走査速度を0.48°/秒、サンプリング間隔を0.04°に変更して測定を行った。
得られたX線回折パターンの解析に際しては、Kα2除去およびスムージング処理を行った。結晶子サイズの算出には、Scherrer法を用い、Scherrer定数を0.94とし、半値幅を適用した。
[実施例1]
実施例1として、ガラス基板上に透明電極が形成され、図1に示される薄膜太陽電池を作製するための薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製された。
透光性絶縁基板1として厚み5mm、125mm角のガラス基板を用いられ、その上に透明電極2として低圧熱CVD法によりBドープZnOが2.0μmの厚みで堆積された。この透明電極2は、基体温度160℃で、原料ガスとしてジエチル亜鉛(DEZ)および水を直接気化方式で反応室内に供給し、ドーパントガスとして、水素により0.5%に希釈されたジボランガスを供給し、減圧条件下CVD法にて形成した。水とDEZの流量比は2.8、ジボランとDEZの流量比は0.25%(DEZ:水素希釈後のジボラン=2:1)であった。
[実施例2]
実施例2においても、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製されたが、ZnO膜堆積時の基体温度が165℃に変更された点、および水/DEZの流量比が3に変更された点において、実施例1と異なっていた。
[実施例3]
実施例3においても、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製されたが、ZnO膜が膜厚2.2μmで堆積された点において、実施例1と異なっていた。
[実施例4]
実施例4では、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製された。その後、引き続いて250℃の真空チャンバーにArガスが導入され、100Paの圧力下で1時間、透明電極付き基板の熱処理が行われた。
[比較例1]
比較例1では、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製されたが、ZnO膜堆積時の基体温度が150℃に変更された点、および水/DEZの流量比が1.7に変更された点において、実施例1と異なっていた。
[比較例2]
比較例2においても、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製されたが、ZnO膜堆積時のジボランとDEZの流量比が0.7%(DEZ:水素希釈後のジボランの供給量=1:1.4)に変更された点において、実施例1と異なっていた。
上記実施例1〜4および比較例1,2のそれぞれにおける酸化亜鉛膜の堆積条件および評価結果を表1に示す。
Figure 2012014572
比較例1で得られたZnO膜付き基板は、85℃85%湿度環境下に24時間曝された後、シート抵抗が大幅に上昇していた。この抵抗変化の挙動は、非特許文献1に示されている特性に近いものであった。実施例1と比較例1の結果から、実施例1の透明電極は、比較例1に比べて、湿度環境下における抵抗変化が抑制されていることが分かる。
一方、比較例2で得られたZnO膜付き基板は、ZnO膜のキャリア濃度が高いために、ZnO膜中の結晶子サイズが小さくても、高湿度環境に曝された際の抵抗変化が抑制されていた。しかしながら、比較例2のZnO膜付き基板は、キャリア濃度が高く、薄膜太陽電池の透明電極として用いた場合には、キャリアによる光吸収に起因する変換効率の低下が懸念される。また、比較例2で得られたZnO膜は、ヘイズ率が小さく、薄膜太陽電池の高効率化に適したヘイズ率と透過率の両立が困難であることがわかる。
これに対して、実施例1〜4のZnO膜は、比較例1と同様に低圧熱CVD法により堆積されているが、比較例1のZnO膜に比して、高湿度環境下における抵抗変化が抑制されている。また、実施例1〜4のZnO膜は、比較例2のZnO膜に比して、キャリア濃度が小さく、かつ表面凹凸が大きいため、薄膜太陽電池の高効率化に適しているといえる。
比較例1、実施例1、および実施例2を対比すると、低圧熱CVDによってZnO膜を堆積する際の基体温度やDEZに対する水の供給量を増加させることによって、(110)配向性や結晶子サイズを増大させ得ることが分かる。また、実施例1と実施例3および実施例4との対比から、ZnO膜の堆積厚みを大きくすることや、堆積後の熱処理によっても、(110)配向性や結晶子サイズを増大させ得ることが分かる。
[実施例5]
実施例5として、実施例1の条件にて製膜された透明電極を用いて、図1に示されるような結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。すなわち、実施例1で得られた薄膜太陽電池用透明電極付き基板の透明電極2上に、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層111、厚さ1.8μmの真性結晶質シリコンの結晶質光電変換層112、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層113が、プラズマCVD法により順次堆積された。その後、裏面電極3として厚さ90nmのAlドープされたZnOの導電性酸化物層31と、厚さ300nmのAgの金属層32とがスパッタ法にて順次堆積された。
[実施例6]
実施例6においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として実施例2に記載のものが適用された点である。
[実施例7]
実施例7においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として実施例3に記載のものが適用された点である。
[実施例8]
実施例8においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として実施例4に記載のものが適用された点である。
[比較例3]
比較例3においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製され。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として比較例1に記載のものが適用された点である。
上記実施例5〜8および比較例3で作製された結晶質シリコン系薄膜太陽電池にAM1.5の光を100mW/cmの光量で照射して、開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(F.F.)および変換効率(Eff)を測定した。また、各結晶質シリコン系薄膜太陽電池を、温度85℃湿度85%の環境下に24時間曝した後、再度、薄膜太陽電池の変換効率(Eff’)を測定し、変換効率の低下量ΔEff=Eff−Eff’を求めた。なお、実使用に供される太陽電池は、樹脂とフィルムにて封止されているのに対して、上記実施例および比較例の太陽電池は封止がなされていないため、上記の加湿試験による評価は、過酷条件下での加速試験である。実施例および比較例の太陽電池の出力特性の測定結果を表2に示す。
Figure 2012014572
表1と表2とを対比すると、加湿試験前後の透明電極の抵抗上昇と太陽電池の変換効率の低下との間に相関があることがわかる。実施例5の太陽電池の加湿試験後の出力特性は、開放電圧(Voc)が0.53V、短絡電流密度(Jsc)が28.4mA/cm、曲線因子(FF)が0.67であり、加湿試験前に比して、主にFFが低下していた。このことから、加湿による透明電極の抵抗上昇により、FFが低下することが、変換効率に影響していると考えられる。すなわち、本発明の透明電極を備える薄膜太陽電池は、加湿環境に曝されても、透明電極の抵抗上昇が抑制されているために、変換効率の低下が小さいと考えられる。
以上のように、本発明の透明電極を用いた薄膜太陽電池は、初期性能が高く、長期使用時の特性の低下が抑制されている。これらの透明電極は、結晶質シリコン系薄膜太陽電池に限らず、その他のシリコン系薄膜太陽電池や薄膜化合物太陽電池等にも好適に用いられる。
1 透光性絶縁基板
2 透明電極
11 光電変換ユニット
111 一導電型層
112 光電変換層
113 逆導電型層
3 裏面電極
31 導電性酸化物層
32 金属層

Claims (9)

  1. 主として酸化亜鉛からなる透明導電膜を含み、前記透明導電膜が下記の特性を有する、薄膜太陽電池用透明電極:
    表面凹凸を有する;
    キャリア濃度が9×1019cm−3以下である;
    結晶が(110)の優先配向を有する;
    X線回折による(002)ピーク強度に対する(110)ピーク強度の比I(110)/I(002)が50以上である;
    (110)配向を有する結晶子のサイズが、基板に平行な面方向で23nm以上50nm以下であり、かつ基板に垂直な面方向で30nm以上60nm以下である。
  2. 透光性絶縁基板上に、請求項1に記載の透明電極が形成された、薄膜太陽電池用透明電極付き基板。
  3. ヘイズ率が20〜50%である、請求項2に記載の透明電極付き基板。
  4. 請求項2または3に記載の透明電極付き基板と、少なくとも一つの光電変換ユニットを有し、前記透明電極付き基板が前記少なくとも一つの光電変換ユニットよりも光入射側に配置されている、薄膜太陽電池。
  5. 請求項1に記載の透明電極と、少なくとも一つの光電変換ユニットを有し、前記透明電極が前記少なくとも一つの光電変換ユニットよりも光入射側に配置されている、薄膜太陽電池。
  6. 前記少なくとも少なくとも一つの光電変換ユニットとして、結晶質光電変換ユニットを含む、請求項4または5に記載の薄膜太陽電池。
  7. 請求項1または2に記載の薄膜太陽電池用透明電極の製造方法であって、前記透明導電膜が低圧熱CVD法によって堆積される、透明電極の製造方法。
  8. 前記透明導電膜の堆積において、ジエチル亜鉛と水が原料として用いられ、水の供給量が、ジエチル亜鉛の供給量に対して2倍以上である、請求項7に記載の透明電極の製造方法。
  9. 低圧熱CVD法によって前記透明導電膜が堆積された後、引き続き非酸化性ガス雰囲気下で酸化亜鉛膜が加熱される工程を有する、請求項7または8に記載の透明電極の製造方法。
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