JP5827224B2 - 薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜太陽電池およびその製造方法に関し、特に長期使用時の光電変換特性の低下が抑制された薄膜太陽電池に関する。
近年、環境汚染問題や地球温暖化問題への対策として、太陽電池の研究開発が活発化し、クリーンエネルギーの一つとして導入が進んでいる。中でも、薄膜太陽電池は、低コスト化と高効率化を両立可能な太陽電池として注目されている。特に、ガラス等の安価な基板上に低温プロセスを用いて良質の半導体層を形成する方法が、低コストを実現可能な方法として期待されている。
薄膜太陽電池の光電変換効率を向上する目的で、光電変換ユニットの光入射側に接する透明導電膜の表面を凹凸化(テクスチャ化)し、その界面で散乱された光を光電変換ユニット内へ入射させて光路長を延長させる「光閉じ込め」が実用化されている。表面が凹凸化された透明導電膜としては、例えば、熱化学的気相成長法(「熱CVD法」とも称される)により堆積された酸化錫(SnO)膜が挙げられる。しかし、SnO膜は、約550〜650℃の高温プロセスで堆積する必要があるため、プラスチックフィルムや固体化後のガラス等の安価な基板が使用できず、製造コストが高くなる等の問題がある。
一方、酸化亜鉛(ZnO)は、SnOや酸化インジウム錫(ITO)よりも安価であり、耐プラズマ性が高いため、薄膜太陽電池用の透明電極材料として好適である。例えば、特許文献1では、ガラス等の透光性絶縁基板上に下地層を形成し、その上に150℃〜200℃の低温条件下で低圧熱CVD法(あるいはMOCVD法とも呼ばれる)によって表面に凹凸を有するZnO膜を堆積することが提案されている。
特許文献2には、MOCVD法により堆積されたZnO膜に、200℃未満の雰囲気下で光照射処理を施すことで、ZnO膜の抵抗を大幅に低下し得ることが開示されている。ZnO膜の抵抗が低下することは、太陽電池の透明電極特性上は好ましい。その反面、この低抵抗化はZnO膜内部のキャリア密度の増加に由来すると考えられており、透明導電膜のキャリア密度の増加に起因する光線透過率の低下が懸念される。
特許文献3には、太陽電池の長期使用に伴い、紫外線照射によるガラス基板の変色(以下、「ソラリゼーション」という場合がある)が生じることが開示されている。ガラス基板が変色すると、ガラス基板による光吸収に起因して太陽電池素子に入射する太陽光の強度が低下するため、光電変換効率が低下するとの問題がある。
特開2005−311292号公報 特開2008−282738号公報 特開2008−222542号公報
本発明者らは、光入射側の透明電極として低圧熱CVD法で堆積されたZnO膜を適用した太陽電池において、長期使用によってガラスのみならず透明電極にもソラリゼーションが生じ、光電変換効率が低下する場合があることを見出した。すなわち、特許文献1の実施例に記載の方法で、主に酸化亜鉛からなる透明電極を堆積し、ガラス表面側から光を照射したところ、当該酸化亜鉛膜の低抵抗化とともにキャリア密度増加に由来すると推定される酸化亜鉛膜の透過率低下が確認された。この酸化亜鉛膜の透過率低下は、主に波長800nm以上の長波長領域に見られた。この波長領域は、例えば薄膜多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコン光電変換層、ゲルマニウム光電変換層、化合物半導体(CdTe、CIS、CIGS等)光電変換層の光電変換領域に該当する。そのため、これらの光電変換層の光入射側に位置する透明電極のソラリゼーションは、これらの光電変換層を備える薄膜太陽電池の変換効率の低下を引き起こす原因となり得る。
上記に鑑み、本発明は、光電変換層の光入射側に主に酸化亜鉛膜からなり表面凹凸が形成された透明電極を有する薄膜太陽電池における、長期使用による変換効率の低下の抑制を目的とする。
本発明者らが上記課題について検討の結果、酸化亜鉛膜内の特定の不純物の含有量が透明電極のソラリゼーションに関係していること、および不純物量を所定範囲とすることにより、ソラリゼーションが抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の薄膜太陽電池は、酸化亜鉛膜を含む透明電極、少なくとも波長800nm以上に吸収を有する半導体層を含む光電変換ユニット、および裏面電極をこの順に有する。前記酸化亜鉛膜は表面凹凸を有し、かつ前記酸化亜鉛膜は炭素と水素を含む。前記酸化亜鉛膜中の炭素の含有量は、亜鉛に対して0.10原子%以下であることが好ましく、前記酸化亜鉛膜中の水素の含有量は、亜鉛に対して1.50原子%以下であることが好ましい。また、酸化亜鉛膜中の炭素と水素の含有比は、水素/炭素≦20であることが好ましい。好ましくは、前記酸化亜鉛膜の密度は5.0〜5.8g/cmである。
なお、本明細書において、「表面凹凸を有する」とは、酸化亜鉛膜表面の凹凸の高低差が概ね10nm以上である場合を指し、10nm未満の微細な凹凸のみを有する場合は、「表面凹凸を有する」とは言わないものとする。
本発明の薄膜太陽電池は、透明電極が表面凹凸を有することで、光閉じ込め効果による初期変換効率の向上が見込まれる。さらに、透明電極を構成する酸化亜鉛膜中の炭素および水素濃度が所定範囲であるために、長期使用時の特性低下が抑制され得る。
本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の断面図である。
図1は本発明の一実施形態にかかる薄膜太陽電池の構成を示す模式的な断面図である。図1の薄膜太陽電池5は、透光性絶縁基板1上に、透明電極2、光電変換ユニット3、および裏面電極4をこの順に備える。この薄膜太陽電池5は、透光性絶縁基板1側から光電変換に供される太陽光(hν)が入射される、いわゆる「スーパーストレート型」の薄膜太陽電池である。
前記光電変換ユニット3は、光電変換層32よりも光入射側に一導電型層31を備え、光入射側と反対側に逆導電型層33を備える。光電変換層32は、少なくとも波長800nm以上に吸収を有する半導体層を含む。一実施形態において、薄膜太陽電池5は、光電変換層32が結晶質シリコン系光電変換層であるシリコン系薄膜太陽電池である。なお、本明細書における、「結晶質」、「微結晶」の用語は、部分的に非晶質を含んでいるものも包含する。
スーパーストレート型の薄膜太陽電池において、前記透光性絶縁基板1は、光電変換ユニットよりも光入射側に位置する。そのため、透光性絶縁基板は、より多くの太陽光を光電変換ユニットに吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましい。透光性絶縁基板としては、ガラス板、透光性プラスチックフィルム等が好ましく用いられる。同様の意図から、光入射面における光反射ロスを低減させるように、透光性絶縁基板の光入射面には、無反射コーティングが施されていることが望ましい。透光性絶縁基板1の透明電極2側の表面は、透明電極2との付着力を向上させるために、微細な表面凹凸を有していてもよい。
前記透明電極2は、光電変換ユニット3よりも光入射側に位置し、少なくとも酸化亜鉛膜を含む。前記酸化亜鉛膜は、表面凹凸形状を有する。前記酸化亜鉛膜の表面凹凸の大きさは、光電変換層の種類などに応じて適宜設定される。例えば、結晶質シリコンを含む光電変換層を備える薄膜太陽電池に適した光閉じ込め効果を得るためには、透光性絶縁基板1上に酸化亜鉛膜を含む透明電極2が形成された透明電極付き基板が、10%以上のヘイズ率を有することが好ましい。特に、薄膜太陽電池の光電変換特性を向上させるためには、前記透明電極付き基板が、20〜40%程度のヘイズ率を有することがより好ましい。酸化亜鉛膜の表面凹凸が小さすぎると、十分な光閉じ込め効果を得られない場合がある。逆に、表面凹凸が大きすぎると、薄膜太陽電池に電気的あるいは機械的な短絡を生じさせる原因ともなり、薄膜太陽電池の特性低下を引き起こす場合がある。
なお、本明細書では、薄膜太陽電池用透明電極の光閉じ込め効果に影響する表面凹凸の評価指標として、主にヘイズ率を用いている。ヘイズ率とは、(拡散透過率/全光線透過率)×100[%]で表されるものである(JIS K7136)。ガラス等の透光性絶縁基板1上に透明電極2が形成されている透明電極付き基板では、透光性絶縁基板を含んだ状態でヘイズ率が評価される。
透明電極2を構成する材料としては、酸化亜鉛膜単独でも良く、酸化亜鉛膜以外に、例えば、酸化錫膜や酸化インジウム錫膜などが積層されても良い。また酸化亜鉛膜についても、酸化亜鉛を主として構成されていればよく、必要に応じてその他の成分、例えばインジウムや錫等の金属あるいはこれらの金属の酸化物等を、例えば30重量%程度以内の範囲で含んでいても良い。
本発明において、透明電極2を構成する酸化亜鉛膜中の炭素原子濃度は、亜鉛に対して0.10原子%以下が好ましく、さらには0.06原子%以下が好ましい。酸化亜鉛膜のソラリゼーションを抑制する観点において、酸化亜鉛膜中の炭素原子濃度は理想的には0原子%である。一方、酸化亜鉛膜から炭素原子を完全に除去することは困難であり、除去の負荷等を考慮すると、酸化亜鉛膜中の炭素原子濃度の現実的な下限値は、0.01原子%程度である。酸化亜鉛膜中の水素原子濃度は、亜鉛に対して1.50原子%以下が好ましく、さらには1.10原子%以下が好ましい。酸化亜鉛膜のソラリゼーションを抑制する観点において、酸化亜鉛膜中の水素原子濃度は理想的には0原子%である。一方、酸化亜鉛膜から水素原子を完全に除去することは困難であり、除去の負荷等を考慮すると、酸化亜鉛膜中の水素原子濃度の現実的な下限値は、0.01原子%である。
酸化亜鉛膜中の残留不純物量は、Csイオン源を用いた二次イオン質量分析(SIMS分析ともいう)にて定量分析できる。SIMS分析で検出される酸化亜鉛膜中の不純物は主に炭素と水素であり、これらは主に酸化亜鉛膜製膜時の原料に由来すると考えられる。例えば、ジエチル亜鉛(DEZ)等のアルキル亜鉛を原料として酸化亜鉛膜が製膜される場合には、アルキル亜鉛のアルキル基に由来する炭素や水素が残留不純物として酸化亜鉛膜中に残っていると考えられる。本発明者らの検討によれば、低圧熱CVD法により堆積された酸化亜鉛膜を含む透明電極では、酸化亜鉛膜の堆積条件によって原料由来の残留不純物量が異なっており、この不純物量を小さくすることで、特に長波長領域でのソラリゼーションが抑制されることを見出した。すなわち、酸化亜鉛膜中の残留不純物(炭素および水素)濃度は、ソラリゼーション抑止の観点から、極力小さいことが好ましい。
酸化亜鉛膜の製膜条件によっては、酸化亜鉛膜中の不純物濃度が膜厚方向で緩やかに傾斜を有する場合がある。この場合は、膜厚方向の中心付近の不純物濃度を、酸化亜鉛膜全体の平均値とみなすことができる。膜厚方向の中心付近とは、膜厚に対して10%程度の範囲を指す。後述するホウ素濃度についても同様である。
これらの残留不純物は、例えば紫外線等の活性光線が照射されると、酸化亜鉛から脱離して、酸化亜鉛膜中のキャリアとして作用し得る。酸化亜鉛からの遊離不純物が多くなると、膜中のキャリア密度が必要以上に増加し、酸化亜鉛膜の透過率低下を引き起こす場合があると考えられる。そのため、酸化亜鉛膜中の残留不純物量は小さいことが好ましい。
また、本発明者らの検討によれば、炭素や水素等の残留不純物が多い酸化亜鉛膜は、密度が小さい傾向があることが判明した。結晶ZnOの密度は5.8g/cm(文献値)であるが、酸化亜鉛膜中に隙間や不純物を多く含んでいると、密度が小さくなる傾向があるため、密度の小さい酸化亜鉛膜は、ソラリゼーションを生じ易い傾向があると考えられる。ソラリゼーションを抑制するためには、酸化亜鉛膜の密度は5.0〜5.8g/cmが好ましく、5.2〜5.7g/cmがより好ましい。また、密度が低い酸化亜鉛膜は、隙間や不純物の影響により導電率が低くなるため、膜厚を厚くしなければ薄膜太陽電池に適した抵抗値が得られ難くなる。
酸化亜鉛膜の密度は、RBS法(ラザフォード後方散乱法)とHFS法(水素前方散乱分析法)の組み合わせで算出できる。なお、これらの分析法が適用できる酸化亜鉛の膜厚は200〜500nmの範囲であり、実際に薄膜太陽電池に使用される一般的な透明電極の膜厚よりも小さい。そのため、酸化亜鉛膜の密度を求める場合は、実際に薄膜太陽電池に用いられる透明電極と同一の条件で、前記分析可能な範囲の膜厚で製膜された酸化亜鉛膜を用いて測定する必要がある。
本発明において、酸化亜鉛膜中の水素原子と炭素原子の比率(H/C)は、20.0以下であることが好ましく、18.0以下であることがより好ましく、4.0以上15.0以下の範囲であることがさらに好ましい。本発明者らの検討によれば、酸化亜鉛膜中のH/Cの比が大きいと、紫外線照射後の酸化亜鉛膜の長波長領域における透過率が低下し易い傾向があることがわかった。この理由は定かではないが、アルキル基由来の不純物の含有量が多い場合には、水分子、水酸基、水素原子等が水素結合等を介してアルキル基と共に酸化膜中に残留するために、H/Cの比が大きくなる傾向があると推定される。そして、アルキル基由来の不純物が、紫外線照射等によって酸化亜鉛から脱離して、キャリア密度が増加し、酸化亜鉛膜の透過率が低下するものと考えられる。一方、酸化亜鉛膜中のH/Cの比が過度に小さい場合は、紫外線照射前後での酸化亜鉛膜の透過率の低下は生じ難いものの、初期状態における酸化亜鉛膜の透過率が小さい傾向がある。
紫外線照射による酸化亜鉛膜の透過率の変化量は、照射する光のスペクトルや時間によって異なるが、所定の積算光量に達すると透過率の低下が終息し、透過率が一定値となる傾向がある。本明細書においては、透過率の低下が終息した状態を「安定化した状態」と呼ぶことにする。高効率な薄膜太陽電池を得るには、安定化した状態で、酸化亜鉛膜を含む透明電極付き基板の波長1000nmにおける透過率が、80%以上であることが好ましい。透過率が80%より低いと、薄膜太陽電池の短絡電流密度(Jsc)が向上せず、変換効率が低くなる傾向がある。
酸化亜鉛膜を安定化した状態とするための紫外線照射の条件としては、擬似太陽光スペクトルのAM1.5の光を、100mW/cmの光量で照射する一般的な試験条件を採用し得る。また、加速度試験として、AM1.5相当の光を300〜500mW/cm程度の光量で照射して、安定化した状態へ到達するまでの照射時間を短縮してもよい。なお、照射光量を上げると、光が照射される基板の温度が上昇するため、加速度試験を行う場合は、基板温度が50℃程度に保たれるよう、基板を冷却するとよい。
本発明における透明電極の製造法は必ずしも制限されるものではないが、透明電極を構成する酸化亜鉛膜は低圧熱CVD法によって堆積されることが好ましい。低圧熱CVD法によれば、基体温度200℃以下の低温でも、光閉じ込め効果を発揮し得る表面凹凸を有する酸化亜鉛膜が形成される。
透明電極に含まれる酸化亜鉛膜は、具体的には、例えば低圧熱CVD法により、基体温度が150℃以上、より好ましくは160℃以上、圧力5Pa以上100Pa未満の条件下で、原料ガスとしての亜鉛源および酸化剤、ドーパントガスならびに希釈ガスを製膜室内に供給することにより製膜される。なお、ここでいう基体温度とは、基体が製膜装置の加熱部と接している面の温度のことをいう。
亜鉛源の原料ガスとしては、例えば、ジエチル亜鉛(DEZ)やジメチル亜鉛等のアルキル亜鉛が好適に用いられる。酸化剤の原料ガスとしては、例えば、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、五酸化二窒素、アルコール類(R(OH))、ケトン類(R(CO)R’)、エーテル類(ROR’)、アルデヒド類(R(COH))、アミド類((RCO)(NH3−x)、x=1,2,3)、スルホキシド類(R(SO)R’)(ただし、RおよびR’はアルキル基)を用いることもできる。中でも、酸化剤としては水が最も好適に用いられる。DEZや水のように常温常圧で液体の原料は、加熱蒸発、バブリング、噴霧などの方法で気化させてから供給することが好ましい。
希釈ガスとしては、例えば、希ガス(He、Ar、Xe、Kr、Rn)、窒素、水素などが好適に用いられる。ドーパントガスとしては、例えば、ジボラン(B)、トリメチルボラン等のアルキルボラン、アルキルアルミ、アルキルガリウム等のIII族元素を含むものが好適に用いられる。中でも、ホウ素を含むドーパントガスが好ましく、ジボランが最も好ましい。ドーパントガスは、水素等の希釈ガスにより希釈されてから、製膜室内に導入されることが好ましい。
酸化亜鉛膜の製膜において、前記の亜鉛源と酸化剤とは、亜鉛:酸素の化学量論比が、1:1〜1:5となるように、原料ガスが供給されることが好ましい。例えば、亜鉛源としてDEZが用いられ、酸化剤として水が用いられる場合、DEZ:水の比は1:1〜1:5が好ましく、1:2から1:4がより好ましい。酸化亜鉛を製膜するに際して、亜鉛と酸素の比は化学量論的には1:1であればよいが、酸化剤である水の供給量を相対的に多くすることによって、酸化亜鉛膜中の炭素原子濃度および水素原子濃度を小さくすることができる。一方、亜鉛源に対する酸化剤の供給量が過度に大きいと、均一な膜を製膜することが困難となったり、酸化亜鉛膜中のH/Cの比が過度に大きくなる場合がある。
酸化亜鉛膜を低圧熱CVD法により堆積する場合、表面凹凸の形成と電気抵抗とを両立できる範囲で、基体温度を高めに設定することや、亜鉛源(例えばDEZ)に対する酸化剤(例えば水)の供給量を高くすることにより、酸化亜鉛膜中の炭素原子濃度および水素原子濃度を小さくすることができる。酸化亜鉛膜堆積時の基体温度は、前述のごとく150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。基体温度が過度に高いと、所望の抵抗値を有する酸化亜鉛膜が得られ難くなる傾向があることから、酸化亜鉛膜堆積時の基体温度は、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。また、酸化亜鉛膜堆積時の単位時間当たりのガス供給量を小さくすることによっても、膜中の炭素濃度および水素濃度を低下させ得る。そのため、酸化亜鉛膜堆積時の圧力は、100Pa未満が好ましく、50Pa以下がより好ましい。一方、ガス供給量が小さく、圧力が低い場合には、堆積速度が小さくなる傾向があるため、酸化亜鉛膜堆積時の圧力は5Pa以上であることが好ましい。
また、酸化亜鉛膜を含む透明電極を製膜後に、引き続きアルゴン等の非酸化性のガス雰囲気下にて、透明電極を加熱処理することによっても、酸化亜鉛膜中の炭素原子濃度および水素原子濃度を低下させることができる。この加熱処理の条件は、例えば温度180℃〜250℃程度、圧力50Pa〜500Pa程度とすることが好ましい。加熱処理時間は、10分〜120分程度が好ましい。
ドーパントガスの供給量は、透明電極の透過率や抵抗値が所望の範囲となるよう適宜に設定し得る。ジボラン等のホウ素を含むドーパントガスが用いられる場合、酸化亜鉛膜中のホウ素原子濃度が2.0×1020atms/cm以下となるように、ドーパントガスの供給量が調整されることが好ましい。酸化亜鉛膜中のホウ素濃度が高くなると、紫外線照射等によって波長700nm以下の短波長領域でソラリゼーションが生じ、酸化亜鉛膜の透過率が低下する傾向がある。そのため、低圧熱CVD法によって酸化亜鉛膜が製膜される場合、亜鉛源であるDEZに対するBの供給量は1%以下であることが好ましい。酸化亜鉛膜の短波長領域のソラリゼーションを抑制する観点からは、酸化亜鉛膜中のホウ素原子濃度は小さいほど好ましいが、ホウ素濃度が小さ過ぎると、酸化亜鉛膜の抵抗が大きくなり、薄膜太陽電池の透明電極として必要な抵抗値が得られ難い場合がある。そのため、酸化亜鉛膜中には、ホウ素元素が、分析検出限界値付近の2.0×1016atms/cm程度含まれていることが好ましい。そのため、亜鉛源であるDEZに対するBの供給量は0.05%以上であることが好ましい。
酸化亜鉛膜中のホウ素量も、Csイオン源を用いた二次イオン質量分析(SIMS分析ともいう)にて定量分析できる。SIMS分析で検出されるホウ素は、主にドーパントガスに由来する。そのため、例えばドーパントガスとしてBを使用した場合、酸化亜鉛膜中には、ホウ素原子や水素化ホウ素、あるいは水素化ホウ素の重合体の形でホウ素が存在していると考えられる。酸化亜鉛膜中のホウ素およびホウ素化合物のうち、いずれの化学構造を有するホウ素が光吸収に影響しているかは定かではないが、ソラリゼーション抑止の観点から、ホウ素原子の数が極力少ないことが好ましい。
透明電極2における酸化亜鉛膜の平均膜厚は、0.3μm〜3μmであることが好ましく、0.3μm〜2μmであることがより好ましく、0.5μm〜1.8μmであることがさらに好ましい。酸化亜鉛膜が薄すぎると、酸化亜鉛膜の表面に、光閉じ込め効果に有効に寄与する凹凸を付与することが困難となったり、透明電極として必要な導電性が得られ難くなる場合がある。一方、酸化亜鉛膜が厚すぎると、酸化亜鉛膜自体による光吸収が大きくなるために、光電変換ユニットへ到達する光量が減少し、変換効率が低下する傾向がある。また、酸化亜鉛膜が厚すぎる場合は、製膜時間の増大によりその製膜コストが増大する傾向がある。
酸化亜鉛膜は、表面の凹凸の粒径(ピッチ)が概ね50〜500nmで、かつ凹凸の高さが概ね20〜200nmであることが、太陽電池の光閉じ込め効果を得る点から好ましい。酸化亜鉛膜の表面凹凸が大きすぎると、薄膜太陽電池に電気的な短絡が生じる場合があるため、凹凸の高さは40〜150nmがより好ましく、50〜120nmがさらに好ましい。
透明電極2上には、光電変換ユニット3が形成される。本発明における光電変換ユニット3は、光電変換層32として、太陽光の主波長域(400〜1200nm)に吸収を有する半導体層を含むことが好ましい。特に、本発明においては、光電変換ユニット3の光入射側に配置される透明電極2の長波長領域におけるソラリゼーションが抑制されているため、光電変換層32は、少なくとも波長800nm以上に吸収を有する半導体層を含むことがより好ましい。ここで、「少なくとも波長800nm以上に吸収を有する半導体層」とは、1.55eV以下のフォトンエネルギー領域での吸光係数が2×10cm−1以上である半導体層を指す。このような半導体層としては、例えば、薄膜多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコン系光電変換層、ゲルマニウム光電変換層、化合物半導体(CdTe、CIS、CIGS等)光電変換層が例示される。なお、前記「シリコン系」の材料には、シリコンに加え、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなど、シリコンを含むシリコン合金半導体材料も含まれる。
光電変換ユニット3は、光電変換層32の光入射側および裏面側に、それぞれ一導電型層31および逆導電型層33を有する。例えば、結晶質シリコン系薄膜を光電変換層32とした結晶質シリコン系光電変換ユニットでは、光入射側の一導電型層31としてp型層、逆導電型層33としてn型層を有し、p型層側から光が入射されることが好ましい。
結晶質シリコン系光電変換ユニットは、例えば、プラズマCVD法により、p型層、i型層(光電変換層)、およびn型層を順に堆積することにより形成される。具体例としては、導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン系層、光電変換層となる真性結晶質シリコン層、および導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン系層がこの順に堆積された光電変換ユニットが挙げられる。光電変換ユニットを構成するp型層、i型層およびn型層の各層は上記に限定されず、例えばp型層として非晶質シリコン系膜を用いてもよい。またp型層として、非晶質または微結晶のシリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどの合金材料が用いられてもよい。導電型層(p型層およびn型層)の膜厚は3nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がさらに好ましい。
光電変換層32としての真性結晶質シリコン層は、プラズマCVD法によって基体温度300℃以下で堆積されることが好ましい。結晶質シリコン層が低温で堆積されることにより、膜中に水素原子を多く含ませることができる。水素原子は、結晶粒界や結晶粒内における欠陥(ダングリングボンド)を終端させて不活性化させる作用を有する。具体的には、光電変換層32の水素含有量は1〜30原子%の範囲内にあるのが好ましい。この層は、導電型決定不純物原子の密度が1×1018atms/cm以下である実質的に真性の半導体薄膜として形成されることが好ましい。さらに、真性結晶質シリコン層に含まれる結晶粒の多くは、透明電極2側から柱状に延びて成長しており、その膜面に対して(110)の優先配向面を有することが好ましい。真性結晶質シリコン層の膜厚は、光吸収の観点から1μm以上が好ましく、結晶質薄膜の内部応力による剥離を抑える観点から10μm以下が好ましい。
結晶質光電変換ユニットは、上記の真性結晶質シリコン層に代えて、光電変換層として、合金材料である結晶質シリコンカーバイド層(例えば光電変換層中に10原子%以下の炭素を含有する結晶質シリコンからなる結晶質シリコンカーバイド層)や、結晶質シリコンゲルマニウム層(例えば光電変換層中に30原子%以下のゲルマニウムを含有する結晶質シリコンからなる結晶質シリコンゲルマニウム層)を有していてもよい。
本発明の薄膜太陽電池は、図1に示したように1つの光電変換ユニットを有するものであってもよく、複数の光電変換ユニットが積層されたものであってもよい。複数の光電変換ユニットを有する薄膜太陽電池の一例として、透明電極2の上に、相対的に短波長領域に吸収を有する光電変換層を含む第1の光電変換ユニットと、相対的に長波長領域に吸収を有する光電変換層を含む第2の光電変換ユニットとが順に積層されたタンデム型薄膜太陽電池が挙げられる。このようなタンデム型薄膜太陽電池において、光入射側に配置される第1の光電変換ユニットは、少なくとも波長700nm以下に吸収を有する半導体層を光電変換層として有する光電変換ユニットであることが好ましい。ここで、「少なくとも波長700nm以下に吸収を有する半導体層」とは、1.8eV以上のフォトンエネルギー領域での吸光係数が2×10cm−1以上である半導体層を指す。このような半導体層としては、例えば、非晶質シリコンや非晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンカーバイド等の非晶質シリコン系半導体層、薄膜多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコン系半導体層、ゲルマニウム半導体層、化合物(CdTe、CIS、CIGS等)半導体層が例示される。
このようなタンデム型薄膜太陽電池の一例として、透明電極2上に、非晶質シリコン系光電変換ユニットと前述の結晶質シリコン系光電変換ユニットとが順に積層されたハイブリッド型薄膜太陽電池がある。非晶質光電変換ユニットは、一導電型層、非晶質光電変換層および逆導電型層が含まれる。非晶質光電変換ユニットの光電変換層として、約360〜800nmの光に対して感度を有する非晶質シリコン系材料を用い、結晶質光電変換ユニットの光電変換層として、非晶質シリコンよりも長い約1200nmまでの光に対して感度を有する結晶質シリコン系材料を用いれば、入射光をより広い範囲で有効利用可能な薄膜太陽電池が得られる。
非晶質光電変換ユニットは、例えば、p型非晶質シリコン系層、真性非晶質シリコン系層、およびn型非晶質シリコン系層をこの順にプラズマCVDで堆積することにより得られる。非晶質光電変換ユニットを構成する各層は上記に限定されず、例えばp型層として微結晶シリコン系膜や、微結晶シリコン系膜と非晶質シリコン系膜の積層構造が用いられてもよい。光電変換層としては、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどの合金材料が用いられてもよい。真性非晶質シリコン系層は、膜中の欠陥による再結合電流損失を低減するために、水素を2〜15%含むことが望ましい。また、光照射による劣化を低減するために、真性非晶質シリコン系層の膜厚は50nm以上500nm以下が望ましい。n型層としては、微結晶シリコン系膜が用いられてもよい。
このように複数の光電変換ユニットが積層されたタンデム型薄膜太陽電池は、各光電変換ユニットが直列接続されているため、必然的に最も発電電流値が低い光電変換ユニットによって薄膜太陽電池の電流が律速される。タンデム型薄膜太陽電池では、波長700nm以下の短波長領域における透明電極のソラリゼーションが、光入射側に配置される第1の光電変換ユニットの発電電流の低下を招き、第1の光電変換ユニットと第2の光電変換ユニットの電流バランスを崩す場合がある。そのため、複数の光電変換ユニットを有するタンデム型薄膜太陽電池においては、特に波長700nm以下における透明電極のソラリゼーションが抑制されていることが好ましく、前述のように酸化亜鉛膜中のホウ素濃度を所定範囲とすることが好ましい。
光電変換ユニット3上には、裏面電極4が形成される。裏面電極としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrからなる群より選ばれる1以上の材料からなる少なくとも一層の金属層42が、スパッタ法または蒸着法などにより形成されることが好ましい。また、光電変換ユニット3と金属層42との間に、例えばITO、SnO、ZnO等の導電性酸化物層41が形成されることが好ましい。この導電性酸化物層41は、光電変換ユニット3と金属層42との間の密着性を高めるとともに、裏面電極4の光反射率を高め、さらに、光電変換ユニットの化学変化を防止する機能を有する。
なお、図1では透光性絶縁基板1側から光が入射されるスーパーストレート型薄膜太陽電池を用いて説明したが、本発明は基板上に、裏面電極、光電変換ユニット、および酸化亜鉛膜を含む透明電極が順に堆積された構成(サブストレート型ともいう)にも適用できる。サブストレート型の構成においても、酸化亜鉛膜を含む透明電極のソラリゼーションが抑制されるために、長期使用時の変換効率の低下が抑止され得る。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
各実施例および比較例における評価は、下記の方法によりおこなった。
(シート抵抗)
四探針プローブを備えたシート抵抗測定装置(三菱油化製 型番「MCP−T250」)を用いて測定した。
(ヘイズ率)
D65光源を用いたヘイズメータ(日本電色工業製 型番「NDH−5000W」を用い、JIS K7136に準拠して測定した。
(光線透過率)
分光光度計(島津製作所製 型番「UV−3100PC」)により、ガラス基板側から光を入射して、波長1000nmにおける光線透過率を測定した。
(光線透過率変化)
透過率の低下が終息して安定化した状態となるまで、ガラス板側から紫外線を照射した。透過率の変化は、膜厚による干渉の影響を最小限とするため、波長1800nmにおける透過率にて評価した。
(ZnO膜中の不純物量)
ZnO膜の膜厚方向中央付近における不純物量を、膜厚方向(基板に垂直な方向)のSIMS分析(一次イオン種:Cs、一次イオン加速電圧:14.5kV、二次イオン極性:Negative)にて測定した。
(ZnO膜の密度)
ガラス基板上に、各実施例および比較例と同様の条件により、厚み0.5μmのZnO膜を堆積し、このZnO膜の密度をRBS/HFS法で評価した。
まず、RBS単独測定および理論計算を用いた解析により、水素以外の組成を求めた。RBSの測定条件は、入射イオンHe++、入射ビーム径2mm、試料電流12nA、入射エネルギー2.3MeV、入射角0度、散乱角160度、照射量50μC、チャンバー真空度6.7×10−5Paにて実施した。
次に、RBS/HFS同時測定を行い、RBS単独測定から求められた水素以外の組成を適用して、水素を含む深さ方向の組成を求めた。測定条件は、入射エネルギー2.4MeV、入射角75度、散乱角160度、反跳角30度、照射量0.1〜50μCであり、その他の条件は上記RBS単独測定と同一であった。
深さ方向の単位換算の際には、原子密度に関する仮定が必要となる。本例においては、試料のZnO膜厚が、触針式段差計による測定値と一致するように、「深さ(cm)=深さ(atoms/cm)/原子数密度(atoms/cm)」の換算式を用いて、深さ方向の単位換算を行った。
測定中に付着したと思われる最表面の汚染炭化水素の原子数密度としては、無定形炭素の値:10.0×1022atoms/cmを用いた。ガラス基板の原子数密度としては、SiO(石英)のバルク密度:7.97×1022atoms/cmを用いた。得られたZnO膜の面密度(atoms/cm)、および数密度(atoms/cm)から、ZnO膜の密度(g/cm)を求めた。
[実施例1]
実施例1として、ガラス基板上に透明電極が形成され、図1に示される薄膜太陽電池5を作製するための薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製された。
透光性絶縁基板1として厚み5mm、125mm角のガラス基板が用いられ、その上に透明電極2として低圧熱CVD法によりBドープZnOが1.5μmの厚みで堆積された。この透明電極2は、基体温度160℃で、原料ガスとしてジエチル亜鉛(DEZ)と水、ドーパントガスとしてジボランガスが供給され、減圧条件下のCVD法により堆積された。なお、水/DEZの流量比は1.6、ジボラン/DEZの流量比は0.005であった。
[実施例2]
実施例2では、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製されたが、ZnO膜堆積時の水/DEZの流量比が2.3に変更された点において、実施例1と異なっていた。
[実施例3]
実施例3では、実施例2と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製されたが、ZnO膜堆積時の総ガス流量が2/3とされた点において、実施例2と異なっていた。
[実施例4]
実施例4では、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製された。その後、引き続いて200℃の真空チャンバーにArガスが導入され、100Paの圧力下で1時間、透明電極付き基板の熱処理が行われた。
[比較例1]
比較例1では、透光性絶縁基板1として厚み5mm、125mm角のガラス基板が用いられ、その上に透明電極2としてスパッタ法によりAlドープZnOが500nmの厚みで堆積された。ZnO膜を堆積する際の条件は、ターゲットとして10インチφの2%AlドープZnOが用いられ、基体温度250℃のArガス雰囲気下で、RFパワー400Wであった。
[比較例2]
比較例2では、実施例1と同様に薄膜太陽電池用透明電極付き基板が作製されたが、酸化亜鉛膜製膜時の基体温度が150℃に変更され、水/DEZの流量比が3に変更された点において、実施例1と異なっていた。
上記実施例1〜4および比較例1,2のそれぞれにおける酸化亜鉛膜の堆積条件および評価結果を表1に示す。
Figure 0005827224
以上の結果から、実施例1〜4の透明電極は、比較例2の透明電極に比して、紫外線照射前後(安定化前後)での透過率の低下が小さく、ソラリゼーションが抑制されていることが分かる。また、スパッタ法により製膜された比較例1の透明電極(2%AlドープZnO)は、ソラリゼーションを生じないものの、表面凹凸を有しておらず、ヘイズ率が小さい。そのため、比較例1の透明電極は、光閉じ込め効果を利用する薄膜太陽電池には不向きであるといえる。
実施例2と実施例3の対比から、ZnO膜堆積時の供給ガス量を小さくすることで、膜中の炭素濃度および水素濃度を低減し得ることがわかる。また、実施例1と実施例4との対比から、ZnO膜堆積後の加熱処理によっても、炭素濃度および水素濃度を低減し得ることがわかる。
[実施例5]
実施例5として、図1に示されるような結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。透明電極2は実施例1の条件にて製膜された。すなわち、実施例1で得られた薄膜太陽電池用透明電極付き基板の透明電極2上に、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層31、厚さ1.8μmの真性結晶質シリコンの結晶質光電変換層32、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層33が、プラズマCVD法により順次堆積された。その後、裏面電極4として厚さ90nmのAlドープされたZnOの導電性酸化物層41と、厚さ300nmのAgの金属層42とがスパッタ法にて順次堆積された。
[実施例6]
実施例6においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として実施例2に記載のものが適用された点である。
[実施例7]
実施例7においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として実施例3に記載のものが適用された点である。
[実施例8]
実施例8においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として実施例4に記載のものが適用された点である。
[比較例3]
比較例3においても、実施例5と同様に結晶質シリコン系薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例5と異なるのは、透明電極2として比較例2に記載のものが適用された点である。
上記実施例5〜8および比較例3で作製された結晶質シリコン系薄膜太陽電池にAM1.5の光を100mW/cmの光量で照射して、開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(F.F.)および変換効率(Eff)を測定した。また、各結晶質シリコン系薄膜太陽電池に、実施例1〜4および比較例2の透明電極付き基板を安定化させるための条件と同様の条件で、透明絶縁基板側から紫外線を照射した後、再度、薄膜太陽電池の変換効率(Eff’)を測定し、変換効率の低下量ΔEff=Eff−Eff’を求めた。測定結果を表2に示す。
Figure 0005827224
表1と表2とを対比すると、透明電極の波長1800nmにおける透過率の低下量と薄膜太陽電池の変換効率低下量(ΔEff)がほぼ比例していることから、透明電極のソラリゼーションが変換効率の低下に影響していると考えられる。
以上のように、本発明の薄膜太陽電池は、初期性能が高く、かつ透明電極のソラリゼーションが抑制されているために、長期使用時の特性の低下が抑制されている。また、実施例1〜4で得られたような本発明の薄膜太陽電池用透明電極は、薄膜太陽電池の光入射側透明電極として好適である。これらの透明電極は、結晶質シリコン系薄膜太陽電池に限らず、その他のシリコン系薄膜太陽電池や薄膜化合物太陽電池等にも好適に用いられる。
1 透光性絶縁基板
2 透明電極
3 光電変換ユニット
31 一導電型層
32 光電変換層
33 逆導電型層
4 裏面電極
41 導電性酸化物層
42 金属層
5 薄膜太陽電池

Claims (6)

  1. 光入射側から順に、透光性絶縁基板上に酸化亜鉛膜を含む透明電極が形成された透明電極付き基板、波長800nm以上に吸収を有する半導体層を含む光電変換ユニット、および裏面電極を有する薄膜太陽電池であって、
    透明電極付き基板は、前記透光性絶縁基板が前記透明電極の光入射側に位置しており、かつ10%以上のヘイズ率を有し、
    前記酸化亜鉛膜は表面凹凸を有し、かつ前記酸化亜鉛膜は炭素および水素を含み、
    前記酸化亜鉛膜中の炭素の含有量は、亜鉛に対して0.10原子%以下であり、前記酸化亜鉛膜中の水素の含有量は、亜鉛に対して1.50原子%以下であり、水素の含有量と炭素の含有量の比が、水素/炭素≦20である、薄膜太陽電池。
  2. 前記酸化亜鉛膜中の水素の含有量と炭素の含有量の比が、4≦水素/炭素≦15である、請求項1に記載の薄膜太陽電池。
  3. 前記酸化亜鉛膜の密度が5.0〜5.8g/cmである、請求項1または2に記載の薄膜太陽電池。
  4. 前記酸化亜鉛膜に所定時間紫外線が照射され、透過率の低下が終息した状態において、前記透明電極付き基板の波長1000nmにおける透過率が80%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜太陽電池。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の薄膜太陽電池を製造する方法であって、
    前記透明電極の前記酸化亜鉛膜が、低圧熱CVD法によって製膜されることを特徴とする、薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 前記酸化亜鉛膜を製膜後に、非酸化性のガス雰囲気下にて前記酸化亜鉛膜の加熱処理が行われる、請求項に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
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