JP2011181837A - 光電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、光電変換装置において、裏面金属電極層の剥がれが生じにくく、信頼性に優れ、かつ高効率の光電変換装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも光電変換ユニットと、裏面透明導電層と、島状の低屈折率材料と、裏面金属電極層とをこの順に有する光電変換装置であって、前記低屈折率材料の厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする光電変換装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は光電変換装置において、信頼性及び変換効率を向上させることが可能な手段を提供するものであり、特に光電変換装置の裏面電極部の改良に関する。
近年では光電変換装置(以下、太陽電池とも記す)の典型例である薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太陽電池の他に結晶質薄膜太陽電池も開発され、これらを積層した薄膜太陽電池も実用に供されている。薄膜太陽電池は、一般に光入射側に位置する透光性絶縁基板上に順に積層された光入射側透明導電層、少なくとも1つ以上の光電変換ユニット、裏面透明導電層及び裏面金属電極層とを含んでいる。そしてそれぞれの光電変換ユニットはp型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。
光電変換ユニットの厚さの大部分は、実質的に真性の半導体層であるi型層によって占められ、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。したがって、光電変換層であるi型層の膜厚は光吸収のためには厚いほうが好ましいが、必要以上に厚くすればその堆積のためのコストと時間が増大することになる。他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役目を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜太陽電池の重要な特性の1つである開放電圧(Voc)の値が左右される。
しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与せず損失となる。したがって、p型とn型の導電型層の膜厚は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。
上記の光電変換ユニットは、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かに拘わらず、i型の光電変換層が非晶質なものは非晶質光電変換ユニットと称され、i型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットと称される。尚、本発明における「結晶質」との用語は、薄膜光電変換装置の技術分野で一般に用いられている様に、部分的に非晶質状態を含むものをも含むものとする。
非晶質光電変換ユニットを含む薄膜太陽電池の一例として、i型の光電変換層に非晶質シリコンを用いた非晶質薄膜シリコン太陽電池が挙げられる。また結晶質光電変換ユニットを含む薄膜太陽電池の一例として、i型の光電変換層に微結晶シリコンや多結晶シリコンを用いた結晶質薄膜シリコン太陽電池が挙げられる。
ところで、薄膜太陽電池の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニットを積層してタンデム型にする方法がある。この方法においては、薄膜太陽電池の光入射側に光電変換層のバンドギャップが大きい光電変換ユニットを配置し、その後ろに順に光電変換層のバンドギャップが小さい光電変換ユニットを配置することで、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって太陽電池全体としての変換効率の向上が図られる。このようなタンデム型薄膜太陽電池の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットの両方を含むものは、特にハイブリッド型薄膜太陽電池と称されることもある。
例えば、バンドギャップの広いi型非晶質シリコンを光電変換層に使用した非晶質シリコン光電変換ユニットと、バンドギャップの狭いi型結晶質シリコンを光電変換層に使用した結晶質シリコン光電変換ユニットを積層したハイブリッド型薄膜太陽電池においては、i型非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長は長波長側において800nm程度までであるのに対して、i型結晶質シリコンはそれより長い約1100nm程度までの光を光電変換し得るため、入射光のより広い範囲を有効に光電変換することが可能になる。
薄膜太陽電池においては、光電変換ユニットに入射した光をより有効に利用するため、光反射率の高い金属材料により構成される裏面金属電極層が形成される。光電変換ユニットに吸収されずに透過した光の大部分は、裏面金属電極層により反射され光電変換ユニットに再入射して光電変換が行われる。このため、裏面金属電極層の反射率は高いことが望ましく、可視〜近赤外域において高い反射率を有する材料が広く用いられている。
裏面電極側の反射率を更に向上させる手段として、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間に低屈折率層を挟み込んだ構成の光電変換装置が知られている。この構成の場合、十分な反射率増強効果を得るためには、低屈折率層の膜厚は、一定以上(例えば、40nm程度以上)が必要であるが、低屈折率の材料は一般に絶縁体であることから、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間に、徒に厚い低屈折率層を挟みこむと、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間の電気的接合の悪化による太陽電池特性の低下という問題が生じる。このため、例えば特許文献1では、開口部を有する低屈折率層を用いることにより、また特許文献2では、層状の薄い低屈折率層を用いることにより、反射率を高めるとともに、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間の電気的接続を図っている。
特開平7−321362号公報 特開2007−266095号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されている方法では、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間の電気的接続と、裏面電極の反射率向上効果とを両立させること、信頼性、そして生産性に関して問題がある。
すなわち、特許文献1に記載の方法では、低屈折率層の開口部の形成にマスク蒸着法を用いている。この手法によると、マスクにより遮蔽された部分であっても、回りこみによりマスク開口部の境界部近傍は低屈折率材料が付着しやすい。このため、開口部の面積を小さくすると、マスク開口部に対する低屈折率材料が付着した境界部の比率が高まり、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間の電気的接続への悪影響が顕著に現れやすい。また、低屈折率層を設けることによる反射率増強効果を十分得るためには、開口率を小さくすることが望ましい。ここで、開口部同士の間隔を大きくすると、裏面透明導電層の抵抗による損失が無視できなくなる場合が生じる。したがって、開口部を有する低屈折率層を用いた場合、開口部の形成方法や配置、そして実際の形状に関して格段の注意を払う必要がある。また、低屈折率層を製膜する際、マスクを使用するため生産性が低下するという問題がある。更に、低屈折率層の膜厚が80nmと厚く、低屈折率層自体の光吸収により反射率の増強効果が損なわれる可能性もある。
また、特許文献2に開示されている太陽電池の場合、低屈折率層は層状に形成された低屈折率材料からなると考えられ、低屈折率層の膜厚が薄いことから、十分な反射率増強効果が得られにくいという問題に加えて、裏面透明導電層と裏面金属電極層との間に層状の絶縁体を挟み込むことになり、安定な電気的接続を確保するのが本質的に困難になるという問題がある。
更に、裏面金属電極層材料には、可視〜赤外域の光に対して最も高い反射率を有する材料の一つであるAgが広く用いられている。Agは一般に付着強度が弱く、特許文献1や特許文献2で開示されているようなAgからなる裏面金属電極層と裏面透明導電層との間に低屈折率層を挟みこんだ構成においては、付着強度不足により裏面金属電極層の剥がれが生じやすいという問題がある。
本発明の目的は、光電変換装置において、裏面金属電極層の剥がれが生じにくく信頼性に優れ、かつ高変換効率の光電変換装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
(1)少なくとも光電変換ユニットと、裏面透明導電層と、島状の低屈折率材料と、裏面金属電極層とをこの順に有する光電変換装置であって、前記低屈折率材料の厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする光電変換装置。
(2)前記低屈折率材料が、LiFを含み、かつ厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする(1)に記載の光電変換装置。
(3)前記低屈折率材料が、MgF2を含み、かつ厚みが1nm以上5nm未満であることを特徴とする(1)に記載の光電変換装置。
(4)前記裏面透明導電層の表面の30%以上90%以下の部分が、前記低屈折率材料により被覆されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光電変換装置。
(5)前記低屈折率材料が、真空蒸着法により製膜されたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の光電変換装置。
(6)前記裏面透明導電層が、In、Zn、Al、Ga、Bのうち少なくとも一つを構成元素に含む酸化物から構成されることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の光電変換装置。
本発明の太陽電池では、裏面金属電極層の付着強度および短絡電流の改善により信頼性および変換効率を向上させることができる。
本発明の光電変換装置の断面を模式的に示した図である。 裏面金属電極/低屈折率材料層/裏面金属電極層構造の反射特性を示す図である。 本発明の光電変換装置の低屈折材料付近の構造を模式的に示した図である。 本発明の光電変換装置の静電容量の測定結果を示す図である。 本発明の光電変換装置の低屈折材料付近の透過型電子顕微鏡像を示す図である。
本発明の光電変換装置は、「少なくとも光電変換ユニットと、裏面透明導電層と、島状の低屈折率材料と、裏面金属電極層とをこの順に有する光電変換装置であって、前記低屈折率材料の厚みが1nm以上10nm以下」であることを特徴とする。
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
図1に、本発明の実施形態の一例による多接合型シリコン系光電変換装置の断面模式図を示す。透光性絶縁基板1上に、光入射側透明導電層2、前方光電変換ユニット3、後方光電変換ユニット4、裏面透明導電層5、低屈折率材料6(図1には図示せず)、裏面金属電極層7の順に配置されている。裏面透明導電層と裏面金属電極層とをまとめて裏面電極と記す。前方光電変換ユニットおよび後方光電変換ユニットはそれぞれ、p型シリコン系薄膜層、i型シリコン系薄膜層、n型シリコン系薄膜層から構成されている。
なお、図1には光電変換ユニットが前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットの二つで構成された二接合型光電変換装置となっているが、本発明は光電変換ユニットを3段以上積層した多接合型シリコン系光電変換装置にも適用し得る。三接合型シリコン系光電変換装置としては、例えば第一光電変換ユニットに非晶質シリコン光電変換ユニット、第二光電変換ユニットに非晶質シリコンゲルマニウムあるいは結晶質シリコン系光電変換ユニット、第三光電変換ユニットに非晶質シリコンゲルマニウムあるいは結晶質シリコン系光電変換ユニットを適用する場合などが挙げられるが、光電変換ユニットの組み合わせはこの限りではない。ここで、第一から第三光電変換ユニットの順に、光入射側透明導電層上に積層されているものとする。
基板側から光を入射するタイプの光電変換装置にて用いられる透光性絶縁基板1には、ガラス、透明樹脂等から成る板状部材やシート状部材が適用可能である。上部透明導電層2はSnO2(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)等の導電性金属酸化物から成ることが好ましく、CVD(化学気相成長)、スパッタ、蒸着等の方法を用いて形成されることが好ましい。上部透明導電層2はその表面に微細な凹凸構造(テクスチャー構造)を設けることにより、入射光を散乱させる機能を付与することが望ましい。また、導電性金属酸化物にはフッ素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、珪素、水素等のドーパントを添加しておくことが望ましい。
光入射側透明導電層2の後方に、少なくとも一つの光電変換ユニットが配置される。図1のように2つの光電変換ユニットが積層された構造の場合、光入射側に配置された前方光電変換ユニット3には相対的にバンドギャップの広い材料、例えば非晶質シリコン系材料による光電変換ユニットなどが好ましく用いられる。その後方に配置された後方光電変換ユニット4には、それよりも相対的にバンドギャップの狭い材料、例えば結晶質を含むシリコン系材料による光電変換ユニットや、非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニットなどが好ましく用いられる。
各々の光電変換ユニットは、p型層、実質的に真性な光電変換層であるi型層、およびn型層から成るpin接合によって構成されるのが好ましい。このうちi型層に非晶質シリコンを用いたものを非晶質シリコン光電変換ユニット、結晶質を含むシリコンを用いたものを結晶質シリコン光電変換ユニットと呼ぶ。なお、非晶質あるいは結晶質のシリコン系材料としては、半導体を構成する主要元素としてシリコンのみを用いる場合だけでなく、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウムなどの元素をも含む合金材料であってもよい。
また、導電型層の主要構成材料としては、必ずしもi型層と同質のものである必要はなく、例えば非晶質シリコン光電変換ユニットのp型層に非晶質シリコンカーバイドなどを用い得るし、n型層に結晶質を含むシリコン層(μc−Siとも呼ばれる)なども用い得る。
後方光電変換ユニット4の次には、裏面透明導電層5が形成される。裏面透明導電層5は、優れた緻密性を有し、裏面金属電極層7の金属材料が、結晶質シリコン光電変換ユニット4に拡散・混入することを防止する機能を有することが望ましい。また、裏面電極での光学反射において最適な反射特性を付与することが出来るよう、裏面透明導電層5の膜厚等を調整することが望ましい。
裏面透明導電層5は、ZnO、ITO(インジウム錫酸化物)、SnO2といった酸化物などを用いることが出来るが中でもZnOが好ましく用いられる。何故ならZnOは材料自体が豊富に存在するため安価であり、また高透過であり、更に拡散防止層としても優れているからである。上記の酸化物は、不純物を添加しない真性のものも用いることができるが、ドーピングされたものも好ましく用いられる。例えばZnOを用いた場合には、抵抗率を低減するためアルミニウム、ガリウム、ホウ素等がドーピングされていることが望ましい。
裏面透明導電層5の形成方法は均一な薄膜が形成される手段であれば特に限定されない。例えば、スパッタリング法や真空蒸着法などのPVD(物理気相成長)法や、各種CVD(化学気相成長)法などの他に、透明電極層の原料を含む溶液をスピンコート法やロールコート法、スプレー塗布やディッピング塗布などにより塗布した後に加熱処理などで透明電極層を形成する方法が挙げられる。
裏面透明導電層5の膜厚は5nm以上500nm以下が好ましく、15nm以上90nm以下であることがさらに好ましい。裏面透明導電層5の膜厚が上記の範囲内にあれば、裏面透明導電層での光吸収による損失がほぼ無視でき、また、変換ユニットへの裏面金属電極層の金属材料の拡散・混入を防止する効果も得られることからである。
このように形成した裏面透明導電層5の後に、裏面金属電極層7材料を形成する。裏面金属電極層材料としては、Agを好ましく用いることができる。Agは近紫外から赤外域において反射率が高く、また導電率が高いからである。裏面金属電極層材料の製膜方法はスパッタ法、蒸着法等の方法により形成することができる。
裏面透明導電層5と裏面金属電極層7との間に低屈折率材料を形成する。
ここで、低屈折率材料とは、光電変換ユニットが感度を有する波長域において裏面金属電極層材料よりも屈折率が低い材料のことである。
低屈折率材料としては、具体的には、I族元素(Na、Li等)やII族元素(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn等)、III族元素(B、Al等)、IV族元素(Si等)や希土類元素(La、Ce)等のフッ化物や酸化物、酸フッ化物、窒化物、酸窒化物、等が知られており、なかでもフッ化物が望ましく、望ましい材料の一例としては、LiFやMgF2が挙げられる。
本発明における低屈折率材料として上記のものを用いた場合、裏面透明導電層上に島状の低屈折率材料を容易に形成することができるからである。
また、上記低屈折率材料の厚みは、1nm以上10nm以下であることを特徴としている。この範囲の厚みとすることにより、裏面透明導電層表面の30〜90%の領域を低屈折率材料で被覆することができ、光電変換装置の信頼性及び変換効率を向上させることができる。中でも2nm以上5nm以下にすることで、裏面透明導電層と裏面金属電極層との付着強度に関して、特に大きな増強効果が得られるとともに、低屈折率材料自体に光吸収があったとしても、吸収の影響を十分小さくすることができ、高い反射率向上効果が得られることが期待できるためより好ましい。
上記低屈折率材料としては、LiFを含み、かつ厚みが1nm以上10nm以下であるものを用いることが好ましい。上記のものを用いることにより、島状の低屈折率材料を容易に形成することが可能となる。この時、厚みは2nm以上5nm以下のものをより好ましく用いることができ、4nm以上5nm以下のものを特に好ましく用いることができる。
また、上記低屈折率材料としては、MgF2を含み、かつ厚みが1nm以上5nm未満であるものを用いることが好ましい。上記のものを用いることにより、島状の低屈折率材料を容易に形成することが可能となる。
金属層(裏面金属電極層)と第一の透明層(裏面透明導電層)との間に第一の透明層よりも屈折率の低い第二の透明層(低屈折率層)を挟みこむことで反射率が向上させる手法は、所謂「増反射ミラー」として公知の技術である。一例として、Ag(膜厚:300nm)/LiF/ZnO(膜厚:80nm)の単純な三層構造において、LiF膜厚をパラメータとして、ZnO側から光入射させたときの反射スペクトルを非特許文献1に記載の方法で計算した結果を図2に示す。
J.Krc et al.,Progress in Photovoltaics 11(2003)15.
図2から非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットとを積層した多接合型シリコン系光電変換装置において最も特性改善に寄与できる波長700〜1000nmの反射率を明確に向上させるためには、低屈折率材料(LiF)の厚みは少なくとも20nm以上、好ましくは40nm以上とする必要であることが確認できる。一方で、低屈折率材料は一般に電気的には絶縁性であることから、特許文献1および特記文献2において指摘されているように、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間に、厚い低屈折率材料層を挟みこむと、裏面金属電極層と裏面透明導電層との間の電気的接合が悪化し、太陽電池特性が低下するため、低屈折率材料の厚みは徒に大きくすることはできない。こういった機構は、特許文献2において、低屈折率層の膜厚の増加とともに変換効率等の太陽電池特性が向上し、20nmの時に最大となることと、20nmを超えると変換効率が低下することと対応していると考えられる。このような課題に鑑み、低屈折率材料/裏面金属電極層界面での光吸収について、その詳細を検討したところ、低屈折率材料の形状に関して新たな着想を得た。
すなわち、低屈折率材料/裏面金属電極層界面での光吸収は主として低屈折率材料/裏面金属電極層界面に光が照射されたとき、表面プラズモンポラリトン(以下、表面プラズモンと記す)が生じ、これが低屈折率材料/裏面金属電極層界面近傍で減衰することによって起きる。低屈折率材料を島状に形成し、その幅が表面プラズモンの減衰距離(強度が1/eになる距離)よりも十分小さい場合は、低屈折率材料/裏面金属電極層界面で生成した表面プラズモンは、表面プラズモンが消滅する前に裏面透明導電層との界面に到達するため、低屈折率材料を層状に形成した場合の低屈折率材料/裏面金属電極層間に生成した表面プラズモンとは、異なる特性を有することになり、結果として反射率が変化する可能性がある。また、表面プラズモンの低屈折率材料/裏面金属電極層界面方向(島状の低屈折率材料の幅方向)の減衰距離は、層状のLiFとAgとの界面の場合、非特許文献2に記載の式で計算すると少なくとも50μm程度であり、島状の低屈折率材料の幅は50μm以下であればよいことが予想できる。
プラズマ・核融合学会誌 84(2008)10.
そこで、本発明者らは低屈折率材料の形状を層状ではなく、島状になるよう特に注意を払って形成した多接合型シリコン系光電変換装置について鋭意検討を行ったところ、低屈折率材料の形状を島状にした場合は、低屈折率材料の厚みが2.5nm以下と極めて薄い場合であっても顕著な反射率向上効果が得られることを見出した。更に驚くべきことに裏面金属電極層の付着強度が大幅に増加させることができることを明らかにした。
ここで、図3を用いて裏面透明導電層の表面に形成した低屈折率材料の一形態を説明する。図3には、後方光電変換ユニット4、裏面透明導電層5、低屈折率材料6、そして裏面金属電極層7の断面形状が模式的に記されている。後方光電変換ユニットの表面は、後方光電変換ユニットの製膜時に自然に形成された凹凸構造と、光電変換ユニットの下地である光入射側透明導電層の表面凹凸構造に基づく凹凸構造との二つ凹凸構造が重ね合わさった形状となっている。裏面透明導電層の膜厚は後方光電変換ユニットの凹凸構造の高低差よりも小さいので、裏面透明導電層の表面形状は、概ね後方光電変換ユニットの表面形状に沿った形状となっている。隣り合う凹部と凸部の間隔は0.1〜10μm程度であり、その高低差(H1)は、0.1〜0.3μm程度である。
裏面透明導電層表面の凹凸構造を形成するためには、裏面透明導電層自体に凹凸構造を付与してもよいが、裏面透明導電層の下地、すなわち光電変換ユニットの表面に凹凸構造を形成しておき、この形状に沿った裏面透明導電層を形成した方が、容易に凹凸構造を作製できる。光電変換ユニットの表面に凹凸構造を形成するためには、基板、光入射側透明導電層、あるいは光電変換ユニット自体に凹凸構造を設けておいてもよい。
本発明における、「島状」との用語は、薄膜形成技術分野で一般的に用いられているように、薄膜結晶の成長初期段階にみられる、三次元的な島状成長(Volmer―Weber型)や後述するような凹凸構造上に斜め蒸着法によって形成される構造のことであり、低屈折率材料が、裏面透明導電層表面の全面にわたって形成されているわけではなく、裏面透明導電層表面の一部に低屈折率材料の非形成部を有する状態を意味する。
低屈折率材料の製膜方法としては、ゾルゲル法などの液相法も用いることができるが、気相法を用いた製膜方法、例えばスパッタ法や真空蒸着法の方が、再現性よく島状の低屈折率材料を形成しやすいため好適である。なお、気相法を用いて製膜する際には、基板温度は室温程度の低温とすることが望ましく、室温以下に冷却することが更に望ましい。蒸着源から飛来した低屈折率材料の裏面透明導電層表面でのマイグレーションによる拡散を抑えることができるからである。同様の理由から、気相法を用いた場合であっても、スパッタ法に比べて、真空蒸着法の方がより好適である。
また、前述のように裏面透明導電層の表面に凹凸構造がある場合には、真空蒸着装置を用い、斜め蒸着法を用いることにより、更に再現性よく島状の低屈折率材料を形成することができる。斜め蒸着法では、凹凸構造の凸部が影になって、凹部に蒸着材料が直接付着しにくくなるからである。
裏面透明導電層の表面は、30%以上90%以下の部分が低屈折率材料により被覆されていることが望ましい。この範囲内にあれば、低屈折率材料を挿入することによる増反射効果と、裏面金属電極層の付着力の増強効果とが得られ、更に、裏面金属電極層と裏面金属電極層との間の良好な電気的接続も実現できる。
また、本発明における低屈折率層は、低屈折率層形成部の幅が0.01〜50μm、非形成部の幅が0.001〜10μmであることが好ましい。中でもそれぞれ0.1〜10μm、0.03〜3μmであることがより好ましい。上記範囲にあることで裏面金属電極層と裏面金属電極層との間の良好な電気的接続と高い反射率改善効果が期待できる。
なお、単に島状の低屈折率材料を形成するためには、特許文献1に記載されているようにマスク蒸着法によってもよいが、低屈折材料形成部の大きさ(幅)が50μm以下で、かつ被覆率を30〜90%の範囲内になるように低屈折率材料を形成するためには、マスクの平坦性や、蒸着時の開口部からの染み出しを考慮するとマスク蒸着法では特段の注意が必要となる。
低屈折率材料が島状に形成していることは、例えば透過型電子顕微鏡を用いて、断面構造を観察することにより確認すればよい。倍率は10万〜100万倍程度とし、裏面透明導電層と裏面金属電極層との間を含む断面を観察することにより、低屈折率材料の形成状態を確認することができる。
一般に透過型電子顕微鏡による観察では、太陽電池セルの面積に比べると、観測する視野は極めて微小な領域になりやすい。このため、太陽電池セル全体の実態と透過型電子顕微鏡による観察結果とが必ずしも一致しない場合が生じ得る。そこで、透過型電子顕微鏡による観察結果の妥当性を確認しておくために、透過型電子顕微鏡による微視的な観察とは別のマクロな評価を行うことが望ましい。
具体的には、暗箱内で太陽電池セルの静電容量を測定するといった方法が挙げられる。一般に、光電変換ユニットは、光照射がなければ数〜数十mV程度の低電圧であれば電圧を印加しても電流は流れないことから、低電圧下では絶縁体と見なすことがでる。また、裏面透明導電層よりも十分高抵抗(例えば、3桁以上)であれば、低屈折率材料は実質的に絶縁体と見なすことができる。このため、層状に低屈折率材料が形成した場合、光電変換装置の等価回路は、光電変換ユニットに対応するコンデンサと、低屈折率材料層に対応するコンデンサとが直列接続した構造で記述することができる。したがって、光電変換層ユニットの誘電率や膜厚が一定の場合には、低屈折率材料の膜厚の増加とともに単調に静電容量は低下することになる。一方、低屈折率材料を島状に形成した場合には、裏面透明導電層と裏面金属電極層とが直接接する部分が生じる。また、裏面金属電極層の体積抵抗率(10ー6Ωcmオーダー)は、一般に裏面透明導電層(高々10ー4Ωcmオーダー)や低屈折率材料よりも極めて低いことから、島状に形成した低屈折率材料の寸法が例えば10μm程度であったとしても、裏面金属電極層および裏面透明導電層は一面ほぼ同電位となるため、低屈折率材料部には電位差(電界)が生じ得ない。そのため、島状に形成した低屈折率材料部の影響は電気的には無視することができ、島状に形成した低屈折率材料を設けても静電容量は変化することはない。
以上示した低屈折率材料の構造と静電容量との関係について、具体例を挙げて更に詳細を説明する。まず、裏面透明導電層と裏面金属電極層との間に低屈折率材料としてLiFを導入した非晶質シリコン単接合太陽電池において、LiFの製膜時間と太陽電池の静電容量との関係を評価した。この評価においては、LiFの製膜には真空蒸着法を用い、10-5Paオーダーの真空下で、水晶振動子式膜厚計を用いて、製膜速度が0.01±0.001nm/秒となるように温度調整した坩堝を蒸着源として製膜を行った。また、LiFの製膜時には基板の加熱は特に行わなかった。なお、本検討の前に100nm程度のLiF薄膜を製膜し、膜厚を触針式段差計により計測することで水晶振動子式膜厚計の校正を行った。LiFの製膜後、連続してAgを250nm製膜し、Ag層と光入射側透明導電層の間に端子を設け、静電容量を測定した。測定にはLCRメータを使用し、測定時の周波数(f)は100Hz、交流電圧(VPP)は50mVとした。
比較のため、LiFの製膜をスパッタ法により行った非晶質シリコン単接合太陽電池を作製し、静電容量を測定した。ここでスパッタ法を用いたのは、真空蒸着法よりもスパッタ法の方が層状の膜になりやすいからである。なお、スパッタ法でLiFを製膜したときも製膜速度は0.01nm/秒になるように投入電力を事前に調整した。
これらの測定結果を図4に示す。前述のように、製膜の初期から層状にLiFが形成すると仮定すると、製膜時間の増加とともに非晶質シリコン単接合太陽電池セルの静電容量は減少すると予想される。スパッタ法でLiFの製膜を行った非晶質シリコン単接合太陽電池においては、この予想と一致した結果となったが、真空蒸着法を用いて製膜した非晶質シリコン単接合太陽電池の測定結果はこれと対応せず、製膜時間がおよそ800秒までは、静電容量の低下は殆ど見られなかった。一方、製膜時間がおよそ800秒を超えると静電容量の低下が見られた。この現象は、前述の考察から、まず、LiFが島状に形成し、その後、島状に形成したLiFがより大きく成長することにより隣接するLiFと接触し、層状に形状が変化すると解釈できる。したがって、製膜時間が800秒以下の場合は、LiFの形状は島状であり、800秒を超える場合は、層状であることが静電容量測定から判別できる。
なお、静電容量測定時に過大な電流が流れ、静電容量の測定が困難な場合は、逆方向にバイアス電圧を印加しておけば、電流は抑制できる場合がある。また、セル面積が大きく、金属電極や光入射側透明導電層の抵抗による電圧降下によって評価が困難な場合は、レーザースクライブ法等を用いて評価しやすい大きさ、例えば1cm2程度にセルを分割して評価を行えばよい。
以上のように、透過型電子顕微鏡による形状の観察と静電容量測定とを併用することで低屈折率材料の形状を具体的に評価することができる。
なお、シリコン系薄膜太陽電池を用いて実施の形態を説明したが、これはシリコン系薄膜太陽電池に限定されるものではなく、裏面金属電極層と裏面透明電極とを有し、裏面電極に入射光が到達する構成の太陽電池であれば、同様の効果を得ることができる。
本発明における光電変換装置は、多接合太陽電池、特に光入射側に非晶質シリコン系光電変換ユニットと、裏面電極側に結晶質系シリコン系光電変換ユニットとを配置した多接合薄膜太陽電池において好ましく用いることができる。この構成の太陽電池の場合は、結晶系シリコン系光電変換ユニットの発電層の光吸収係数は大きくないため、太陽電池に入射した太陽光は、裏面電極と光入射側透明電極との間を複数回往復することになる。当該太陽電池において高い特性を実現する方法の一つとして、結晶系シリコン系光電変換ユニットで入射光を十分吸収させることが挙げられる。これを実現するためには、発電層の膜厚を大きくしてもよいが、この方法では、製膜に要する時間が長くなり不経済であり、開放端電圧の低下を招き、更に、結晶系シリコン系光電変換ユニットの剥離も生じやすくなるという不具合が生じやすい。一方、本発明で開示した裏面電極の反射率の向上方法によれば、これらの不具合を生じることなく太陽電池特性を向上させることが期待できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
図1に示した構造の光電変換装置を以下に示す方法で製造した。絶縁性透光性基板1には、無アルカリガラス基板を使用した。光入射側透明電極層2には熱CVD法により作製したSnO2を用いた。この際の透明電極層2の膜厚は800nm、シート抵抗は10Ω/□、ヘーズは15〜20%とした。
この上に、高周波プラズマCVD装置を用いて、ボロンドープのp型シリコンカーバイド(SiC)層を10nm、ノンドープの非晶質シリコン光電変換層を250nm、リンドープのn型μc−Si層を20nmの膜厚で製膜した。これにより、前方光電変換ユニットであるpin接合の非晶質シリコン光電変換ユニット(前方光電変換ユニット)3を形成した。
更に、ボロンドープのp型微結晶シリコン層を15nm、ノンドープの結晶質シリコン光電変換層を700nm、リンドープのn型微結晶シリコン層を20nmの膜厚でそれぞれプラズマCVD法により製膜した。これにより、後方光電変換ユニットであるpin接合の結晶質シリコン光電変換ユニット(後方光電変換ユニット)4を形成した。
結晶質シリコン光電変換ユニット形成済み工程仕掛品を高周波プラズマCVD装置から大気中に取り出した後、高周波マグネトロンスパッタリング装置の製膜室に導入し、後方光電変換ユニット4の上に、裏面透明導電層として厚さ80nmのAlを添加したZnO(AZO)層を形成した。
ここでは、スパッタターゲットとして、2wt%のAlを添加したZnO焼結体を用いた。スパッタガスとしてArガスを導入し、基板を150℃に加熱、圧力を0.27Paとした上でAZO層の製膜を行った。AZO層の製膜を行ったあと、裏面透明導電層形成済み工程仕掛品は、高周波マグネトロンスパッタリング装置から再び大気中に取り出した後、真空蒸着機に導入し、低屈折率材料を蒸着した。
ここで、蒸着材料としてLiF粉末(高純度化学製、純度:99.9%以上)を用いた。製膜の際には、LiF粉末が入った坩堝を約700℃に加熱することによりLiFを蒸発(昇華)させた。製膜中の真空度は1×10-4Pa以下、製膜速度は0.01±0.001nm/秒とした。低屈折率材料の形成量は製膜時間を変化させることで制御した。なお、製膜中の製膜速度を水晶振動子式膜厚計により観測し、坩堝温度を制御することにより製膜速度を一定範囲内に保った。
引き続き、真空蒸着装置を用いて裏面金属電極層としてAg層を250nmの膜厚で製膜した。製膜中の真空度は1×10-4Pa以下、製膜速度は0.2±0.02nm/秒とした。
なお、低屈折率材料の製膜時間を、250秒間(実施例1)、500秒間秒(実施例2)、750秒間(実施例3)と異なる3種類の多接合シリコン太陽電池を製造した。また、本実験の前に、単結晶シリコン基板上に100分間製膜し、水晶振動子式膜厚計の校正を行うとともに、単結晶シリコン基板上に製膜したLiF層の屈折率を分光エリプソメトリー法により測定した。波長600nmにおけるLiF層の屈折率は1.38であった。同様にAZOの屈折率を測定したところ1.91であり、LiFがAZOよりも低屈折率であることを確認した。
(比較例1)
低屈折率材料の形成工程を含まないことを除いて実施例1と同様にして作製した。
(比較例2)
LiFの製膜時間を1100秒間としたこと除いて実施例1と同様にして作製した。
(比較例3〜5)
LiFの形成方法が高周波マグネトロンスパッタ法である点を除いて実施例1と同様にして作製した。すなわち、LiFの製膜は、100mmφのLiFターゲット(高純度化学製、純度99.9%)を使用し、Ar雰囲気下で、圧力を8Pa、高周波電力を300W、基板温度を150℃、製膜時間をそれぞれ400秒(比較例3)、800秒(比較例4)、1200秒(比較例5)として行った。このときの製膜速度は0.01nm/秒であった。
(比較例6)
低屈折率材料としてMgF2を用い、製膜方法として電子ビーム蒸着法を用いたことを除いて実施例2と同様にして作製した。なお、MgF2の屈折率は1.39であった。なお、このMgF2の製膜方法は特許文献2に記載の方法に準拠した方法とした。
上記実施例及び比較例の光電変換装置の光電変換特性の光電変換特性は、AM1.5のスペクトル分布を有するソーラシミュレータを用いて、25℃の下で擬似太陽光を100mW/cm2のエネルギー密度で照射して出力特性を測定し、開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)、発電効率(Eff)を得た。また、裏面金属電極層の付着強度はテープ引き剥がし試験により実施した。テープ引き剥がし試験では、裏面金属電極層上に試験用テープ(550P、住友スリーエム)を張り付け、裏面金属電極層表面から垂直方向に一気に引き剥がした。付着強度は、引き剥がしたテープ粘着面への裏面金属電極層の付着率を測定し、1.付着率80%以上、2.付着率60%以上80%未満、3.付着率40%以上60%未満、4.付着率20%以上40%未満、5.20%未満の五段階に分類して評価した。また、低屈折率材料の形状は、透過型電子顕微鏡(日立社製HF2000)を用いて観察するとともに、低屈折率材料により裏面透明導電層が被覆されている割合(被覆率)を測定した。ここで被覆率は、透過型電子顕微鏡像から裏面透明導電層の裏面金属電極層側の表面の長さ(A)と、裏面透明導電層と低屈折率材料とが接している部分の長さ(B)とを読み取り、(B)/(A)により算出した。
まず、本評価の一例として、図5に実施例2の多接合太陽電池の裏面透明導電層と裏面金属電極層との界面近傍の透過型電子顕微鏡像を示す。図5においては、LiFが形成されている部分を点線で囲っている。図5に示した断面像よりLiFは裏面透明導電層の一部にしか形成されておらず、すなわち島状に形成されていることが確認できる。また、この試料に関して被覆率を測定したところ、被覆率は60%であった。また、透過型電子顕微鏡像から読み取ったLiFの厚みは5±1nmであり、これは製膜速度と製膜時間の積とほぼ一致した。
以下の表1は、上記の多接合シリコン太陽電池の被覆率、裏面金属電極層の付着強度、静電容量(比較例1との相対値)と、光電変換特性を示したものである。実施例および比較例として挙げた多接合シリコン太陽電池の特性は、比較例1として挙げた従来の多接合シリコン太陽電池の特性との比率で示されている。なお、比較例1の太陽電池特性は、開放電圧が1.38V、短絡電流密度が8.5mA/cm2、曲線因子が83%、発電効率が9.7%であり、静電容量は61nFであった。
なお、表1に示した厚みとは、製膜速度と製膜時間の積から算出した値である。
表1の結果から、まず、裏面金属電極層の付着強度に関しては、裏面透明導電層と裏面金属電極層との間に層状の低屈折率材料を挿入しても付着力の向上は得られないが、島状の低屈折率材料を挿入することにより裏面金属電極層の付着強度が増加するということを読み取ることができる。また、高い裏面金属電極層の付着強度を得るためには、低屈折率材料の被覆率を30〜90%の範囲内にすることが望ましいことが分かる。
一方、太陽電池特性に関しては、被覆率が60%までは被覆率の増加とともに短絡電流および曲線因子が増加する傾向が認められる。被覆率が60%を越えると、被覆率が90%までは短絡電流は増加し、その後飽和する傾向にある。よって低屈折率材料の被覆率が60%程度、すなわち厚みが5nm程度のものが特に好ましいと考えられる。一方、曲線因子は60%を境にして低下するが、30〜90%の範囲内にあれば、比較例1の低屈折率材料を含まない光電変換装置よりも高効率の光電変換装置を実現することができる。
比較例3の光電変換装置の静電容量は59.6nFであった。この値は比較例1の光電変換装置の静電容量61nFよりも低い。このように静電容量が低下したことから、スパッタ法でLiFを形成した場合は、真空蒸着法とは異なりLiFの形状は層状となることが確認できる。また、実施例1〜3と比較例3〜5の比較から、低屈折率材料の厚みが同等であっても、低屈折率材料の形状を島状にした方が、裏面金属電極層の付着強度と変換効率がいずれも高くなることが分かる。
比較例6の結果から、低屈折率材料として膜厚5nmのMgF2を用いた場合には、静電容量が比較例1よりも低下していることから低屈折率材料の形状が島状ではなく層状となると考えられ、このため裏面透明導電層と裏面金属電極層との間の電気的接続の悪化によりFFが低下し、また裏面金属電極の付着強度が低下することが分かる。この結果からも、特許文献2に記載の低屈折率層は、層状であることが確認できる。
以上の結果から、島状の低屈折率材料を用いることにより、裏面金属電極層との付着強度、また変換効率が高い光電変換装置を得ることができると考えられる。
1 透光性絶縁基板
2 光入射側透明導電層
3 前方光電変換ユニット
4 後方光電変換ユニット
5 裏面透明導電層
6 低屈折率材料
7 裏面金属電極層

Claims (6)

  1. 少なくとも光電変換ユニットと、裏面透明導電層と、島状の低屈折率材料と、裏面金属電極層とをこの順に有する光電変換装置であって、前記低屈折率材料の厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする光電変換装置。
  2. 前記低屈折率材料が、LiFを含み、かつ厚みが1nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記低屈折率材料が、MgF2を含み、かつ厚みが1nm以上5nm未満であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
  4. 前記裏面透明導電層の表面の30%以上90%以下の部分が、前記低屈折率材料により被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換装置。
  5. 前記低屈折率材料が、真空蒸着法により製膜されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換装置。
  6. 前記裏面透明導電層が、In、Zn、Al、Ga、Bのうち少なくとも一つを構成元素に含む酸化物から構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換装置。
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