JP2005347444A - 光起電力素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い変換効率を有する光起電力素子を提供することを目的とする。
【解決手段】 光入射側から少なくとも表面保護層、透明電極層、半導体層、導電層を有し、半導体層には少なくとも非晶質シリコン層が一層含まれている光起電力素子において、
表面保護層の最表面に形成したテクスチャーと、表面保護層中に形成された光散乱層とにより、表面保護層へ垂直に入射した光の一部もしくは全部が、該透明電極層へ
10°≦θ≦60°
なる入射角度θで入射するようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光起電力素子に関するものであり、特に光起電力素子への入射光を散乱させて半導体を通過する光を有効に利用することによって、変換効率を向上させた光起電力素子に関する。
近年、大気中の二酸化炭素濃度の増大による地球温暖化の問題を憂慮して、化石燃料を使用する火力発電に替わる発電手段として光起電力素子を利用した太陽電池が注目されている。因みに、日本を含めいくつかの国では政府補助により太陽電池発電設備を一般家庭に普及させる計画がなされ、既にその計画が実施されつつある。また、太陽電池が局所的なその場での発電が可能であることから、交通標識の発光用、緊急避難時の発電用に利用されつつある。こうしたことから将来太陽電池の需要の増大が見込まれている。そうした太陽電池発電設備に使用する太陽電池については、光電変換効率が高いこと、20年程度という長期間にわたって安定した発電能力が得られること、生産性がよいこと、そしてコスト/発電能力が小さいことなどが求められる。
太陽電池の種類としては、結晶系太陽電池、アモルファス系太陽電池、化合物半導体太陽電池等、多種にわたる太陽電池が研究開発されているが、中でもアモルファスシリコン太陽電池は、変換効率が比較的低いことや、光劣化現象がある点が結晶系の太陽電池に及ばないものの、大面積化が容易なことや、材料費が少なくてすむこと、また、光吸収係数が大きいので薄膜で動作するなどの結晶系太陽電池にはない優れた特徴をもっており、将来を有望視されている太陽電池の一つである。アモルファスシリコン太陽電池の場合、現時点でのデメリットとされている変換効率が向上できたとすると飛躍的なコストダウンが期待できることから、変換効率を向上させようとする研究開発は目を見張るほど盛んに行われている。
さて、アモルファスシリコン半導体層を有する太陽電池において、変換効率を向上するうえで非常に難しい点は、発生する電流を向上させることがなかなかできないことにある。一般的に電流を簡単に向上する為の手法としては、半導体層の膜厚を増やすことによって光路長を伸ばし、光の吸収性をあげる手法がある。しかしながら、アモルファスシリコン半導体層において電流を向上させようとして膜厚を増加した場合には、光劣化率が増えてしまい、長期安定性(長期耐久性)がより損なわれる問題がある。また、同様に膜厚を増加した場合には、キャリアの走行性が落ちてフィルファクターが(FF)が悪くなってしまうという問題もある。以上の問題から、膜厚を増やす手法では、意図した程変換効率が向上しないのが現状である。
従って、膜厚を増加すること以外の手法で電流を上げる手段が必要となってくる。
その一つとして挙げられる方法は、光起電力素子の光入射側に設けられた樹脂の中に微粒子を所定量混入することによって、入射した光を散乱せしめて半導体層中の光路長を増大させ、半導体層で吸収される光路長を増大させて、短絡電流を増大させる方法である。このような手法は、例えば、特許文献1や、特許文献2の中で記載されている。
特許文献1では、光起電力素子の受光面側に形成されたマトリクス樹脂中に、充填剤を混入することにより、主に短波長側の光を有効利用する内容が記載されている。
また、特許文献2においては、光入射側に設けられた表面保護層中に微粒子が均一に混入されていることにより、その微粒子による光散乱によって半導体層による光の吸収が増大して短絡電流が増大し、変換効率が向上する内容が記載されている。
しかしながら、単に粒子を樹脂中や充填材中に混入すると粒子界面での反射が幾分増大してしまい、少なからず全光線透過光が落ちてしまうこと、また、粒子を混入することによって光散乱は起こっているものの、その散乱角度が小さい為に光路長を伸ばした効果が少なく、前述の全光線透過率の低下を補うに到る散乱性が得られない場合があることが分かってきた。
さらには、透明電極層に関しては、広い波長範囲で反射率を低減する為に、その光学的膜厚をλ/4(λは反射率を極小にする波長)とする設計となっていることが多いのだが、入射側で光を散乱させて曲げてしまうと、干渉条件がずれてしまい、反射率曲線に変化が現れてしまう。反射率が変化してしまうと短絡電流や変換効率に大きく影響してくることから、実際に入射側で光を曲げる場合には、透明電極層での干渉ずれを考慮する必要がある。しかしながら、いずれの発明においても、光散乱による干渉ずれに関しては言及されておらず、散乱性に関して更に向上させる余地が充分残されていた。
特開昭60−34080号公報 特開平5−335610号公報
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、光入射側で光を散乱させる構造を形成すると同時に、透明電極層への入射角度を制御することにより、確実に光起電力素子の短絡電流、及び変換効率を向上させようとしたものである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究開発を重ねた結果、以下のような光起電力素子が最適であることを見出した。
すなわち本発明の光起電力素子は、光入射側から少なくとも表面保護層、透明電極層、半導体層、導電層を有し、該半導体層には少なくとも非晶質シリコン層が一層含まれている光起電力素子において、該表面保護層の最表面に形成したテクスチャーと、該表面保護層中に形成された光散乱層とにより、該表面保護層へ垂直に入射した光の一部もしくは全部が、該透明電極層へ
10°≦θ≦60°
なる入射角度θで入射するようにしたことを特徴とするものである。
また、前記光のうち、300乃至700nmの波長を有する光の50%以上が前記透明電極層へ
10°≦θ≦60°
なる入射角度θで入射するようにしたことを特徴とする。
また、前記テクスチャーは、少なくとも300乃至700nmの波長領域での表面反射率が、テクスチャーが無い場合の表面反射率よりも低くなるように形成されたテクスチャーであることを特徴とする。
また、前記テクスチャーは、入射光に対して必ず一定の傾斜角を有する面からなることを特徴とする。
また、前記傾斜角は45°以下であることを特徴とする。
また、前記光散乱層は、有機高分子樹脂中に粒子が分散されたものであって、該粒子は該有機高分子樹脂とは異なる屈折率を有し、該粒子の混入量は、該粒子と該有機高分子樹脂の合計量に対して30乃至50重量%であることを特徴とする。
また、前記半導体層は、少なくとも非晶質シリコン層が一層含まれていることを特徴とする。
本発明の光起電力素子においては、光入射側にテクスチャーと光散乱層を設けることによって、光の透明電極層への入射角度を大きくとることができ、透明電極層へ10°≦θ≦60°なる入射角度θで光を侵入させることができた。その結果、光路長を大きくとることができ、光電変換効率を向上することができた。
本発明は、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果完成したものであり、以下にその作用とともに、態様例について詳細に説明する。
図1は、本発明の光起電力素子の一例の構成を示す断面図である。図1において、光入射側から101は表面保護層、102は透明電極層、103は半導体層、104は導電層である。また、表面保護層101中には、粒子106を有機高分子樹脂107中に分散してなる光散乱層105が設けられている。また、表面保護層101の最表面には、テクスチャー108が形成されている。
光入射側から表面保護層101へ垂直に入射した光は、最初にテクスチャー108によってその方向を曲げられ、光散乱層105へと進んでいく。ここで垂直とは、図1中矢印で示すように表面保護層や半導体層に対して垂直という意味である。
光散乱層105の中で、光はさらに散乱を受けることにより様々な角度成分をもった光へと変化していき、透明電極層102に様々な入射角度θで入射する。透明電極層102を通過して、半導体層103へと侵入した光は、半導体層103中で光路に角度がついていることによって光路長が垂直入射の時よりも長くとることができ、短絡電流を増大することが可能となる。
しかしながら、透明電極層102に入射する光の角度θがいくらであってもよいというわけではなく、本発明では、表面保護層へ垂直に入射した光の一部もしくは全部が、透明電極層102へ10°≦θ≦60°なる入射角度θで入射するように、テクスチャー108と光散乱層105を形成したことを特徴としている。
透明電極層102への入射角度が10°以下の場合においては、半導体層内103内での光路長の増大による効果がほとんど無い為、短絡電流があまり向上しない。また、透明電極層102への入射角度が60°以上の場合には、光路長の増大効果は充分あるものの、透明電極層表面でのフレネル反射が増大してしまうことと、透明電極層の干渉条件がずれてしまうことによって反射率が向上し、逆に半導体層へ侵入する光が減少してしまう。その結果、かえって短絡電流値は落ちてしまい、変換効率は低減してしまう。
以上の観点から、透明電極層への入射角度は10°≦θ≦60°となるようにすることが好適である。
ここで、光というのは基本的には太陽光であって、300乃至1000nmの波長領域で強度を有する光のことを指している。もちろん、これらの波長領域の光のすべてが、10°≦θ≦60°なる角度で透明電極層へ入射することが好ましいのはいうまでもないが、現実的には全ての光をこれらの角度に制御することは非常に困難である。
そこで、これらの波長領域の中でも、アモルファスシリコンの感度領域である300乃至700nmの光の多くが上記角度を形成していることで、アモルファスシリコン半導体層の短絡電流を向上することができる。とりわけ、表面保護層へ垂直に入射した300乃至700nmの光のうち、50%以上の光が上記角度を形成していることで、短絡電流を向上することができる。
ここで、透明電極層への入射角度が変化した場合に、変換効率あるいは短絡電流がどのような挙動をなすかを調べる為に、以下に詳述するアモルファスシリコン(以下a−Si)太陽電池を作成して強制的に入射角度を変化させる実験を行った結果について詳述しておく。
最初に裏面側の導電層として洗浄したステンレス基板上にスパッタ法によってAl膜厚500nm、ZnO膜厚1000nmを順次形成した。次いで、プラズマCVD法によりSiHとPHとHからn型a−Si層を、SiHとHからi型a−Si層を、SiHとBFとHからp型微結晶μc−Si層を形成し、n層膜厚15nm/i層膜厚350nm/p層膜厚10nmという構成の半導体層を形成した。これにより、300nmから700nmの波長領域に感度を有する半導体層が形成できた。
次に透明電極層としてIn膜厚70nmをO雰囲気下でInを抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。さらに、集電用のグリッド電極を銀ペーストのスクリーン印刷で形成して太陽電池を作製した。
上記方法にて得られた太陽電池の透明導電層及び集電電極上に、アクリル樹脂塗料(屈折率約1.51)をフィルムコートにより塗布し、加熱により溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋させた。これによって、約25μm膜厚の樹脂層が形成された太陽電池を得た。
上述の方法で作製した太陽電池の受光面である透明電極層の一部に、スポット直径1mmの擬似太陽光を垂直(透明電極層への入射角度0°)に照射し、その時に発生する短絡電流値を読み取った。
次に、同様の方法で、スポット直径1mmの擬似太陽光スポット光を、透明導電層への入射角度が10°となるような角度で照射し、その時に発生する短絡電流値を読み取った。また、この場合、角度をつけたことによるフレネル反射が樹脂層の表面で発生するが、そのロス分は、読み取った短絡電流値を後計算で補正して、正しい短絡電流値とした。
以下、同様の方法で、透明導電層への入射角度を10°ずつ増加させて、0°から70°まで入射角度をパラメータとした実験を行った。この実験により得られた結果を図5に示している。
透明電極層への入射角度を0°から増加させていくと、短絡電流値は40°近辺でピークを持ち、その後減少していく傾向が見られた。とりわけ、入射角度θが60°以内の領域においては、0°よりも短絡電流値が上昇を示し、特に10°≦透明電極層への入射角度θ≦60°のところで短絡電流値が急激に上昇することが明らかとなった。
従って、透明電極層への入射角度θが10°≦θ≦60°となるような構成を光入射側に形成することで、短絡電流値が上昇し、変換効率の向上につながることが明らかとなった。
(表面保護層)
本発明において、表面保護層101は、光起電力素子を外部環境から保護するために形成されるものであり、光起電力素子の表面に形成される。材料としては、合成樹脂等の中から耐候性のある材料を適宜材料を選択すればよく、耐候性に加えて、光起電力素子の感度のある波長の光に対する透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは平均90%以上、最適には平均95%以上であることが望ましい。また、長期間屋外に放置しても、透過率の低下が少ないことが望ましい。
表面保護層101は、例えば、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)、EVA(エチレン−ビニルアセテートコポリマー)、フッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、無機ガラスコーテイング材等のように、加熱して溶融するか溶剤に溶かして塗布することのできる材料が適している。
また、表面保護層101は、機能別に最表面透明材と充填材に分けて形成しても良い。この場合、最表面透明材としては、例えばガラス、アクリル、ポリカーボネート、FRP、あるいはETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等が好適に用いられ、充填材としては、例えばシリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)、EVA(エチレンビニルアセテート)等が好適に用いられる。
表面保護層101の厚みとしては、後述するテクスチャーを形成する点や、引っかき傷等のスクラッチから素子を保護する観点から言えば10μm以上の厚みを有することが望ましく、より好ましくは30μm以上である。また、全光線透過率を極度に落とさない点や、建物の不燃材として兼用する場合があることを考えると400μm以下の厚みであることが好ましい。
また、表面保護層には、紫外線による劣化を抑えるために紫外線吸収剤を、また密着性をよくするためにプライマーを含有させてもよい。
また、表面保護層101の最表面に形成するテクスチャー108は、垂直に入射した光を屈折せしめる役目を有するものであり、特に限定無く用いることが可能である。
そのテクスチャーの表面特性としては、テクスチャーが形成された場合の表面反射率が、形成されていない場合の表面反射率よりも低くなるようなテクスチャーが形成されていることが好適である。表面反射率が低くなるようなテクスチャーが形成できた場合には、全光線透過率が実質高くなるので、光散乱層の粒子で全光線透過率が低減する場合にはそのロスを補うことができる。
テクスチャーの形状としては、凹凸の深さが深いほど好適である。凹凸の深さが深い場合には、光の進行方向を大きく曲げることができると同時に、ある凸部で反射した光が隣の凸部に入射する可能性が高くなる為、反射率を低減することができる。凹凸の深さがあまりに浅い場合には、ほとんど平坦に近くなって大きく光を曲げることが難しくなってしまうばかりか、フレネルロスによって表面での反射率も大きくなってしまう。
凹凸は、ランダムな凹凸でも、規則的な凹凸であっても構わないが、図2(a)で示すような一定の規則性を持って配列された凹凸形状や、図2(b)で示すような三角形の山形形状であることが好適である。
このようなテクスチャーの場合は、図6で示すように入射光に対して必ず一定の傾斜角を有する面からなる為、全ての光をある一定の屈折で曲げることができ、大きな効果を得ることができる。ここで、傾斜角とは、表面保護層は半導体層に対して垂直に進んできた入射光と、テクスチャーの面とが形成する角度のことである。
傾斜角については60°以下であることが好ましいが、特に傾斜角が45°以下である場合には、ある面で反射した光が必ず隣の面に入っていく為、反射率を低減することができ、より好適である。
テクスチャーの形成方法としては、予めテクスチャーが形成されたシートや型を用意し、表面保護層を加熱形成する際にそのシートや型を押し付けて形成する方法や、予めテクスチャーが形成された最表面透明材を用意して接着する方法等が挙げられる。
(光散乱層)
本発明において、光散乱層105は、表面保護層101中に設けられており、さらに光散乱層105は、有機高分子樹脂107中に粒子106が均一に分散配置されたものである。
粒子106を有機高分子樹脂107中に均一に分散させた光散乱層を形成するには、例えば、溶剤に溶かした有機高分子樹脂中に粒子を混入し、充分に攪拌した後、これを塗布することによって得られる。塗布の方法としては、スクリーン印刷、ディッピング、ロールコーター、スプレー塗布などの方法があるが、とりわけスプレーで霧状に塗布した場合は、非常にムラのない均一な膜が形成され、好適である。
光散乱層105は、表面保護層101中のどこに形成してもよいし、単層に限らず複層も受けても構わないものであるが、上述のような液状の塗布形態である場合には、透明電極層上に設けることが工程上最も簡易であると考えられる。
光散乱層105に用いられる有機高分子樹脂107としては、表面保護層材との界面での反射を防止するために、同じ材料もしくは同じ屈折率のものを用いることが好適である。すなわち、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)、EVA(エチレン−ビニルアセテートコポリマー)、フッ素樹脂塗料、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、無機ガラスコーテイング材等が好適である。
本発明で使用する粒子106としては、その平均粒径が、直径で、好ましくは5μmから100μmであり、より好ましくは10μmから30μmである。粒径が5μm以下の場合については散乱効果が弱くなり、また、100μm以上の場合には、光散乱層自体の厚みも厚くなってしまい、膜剥がれが生じやすくなる為、現実的ではなくなってしまう。従って、5μmから100μmとすることによって、とりわけ非晶質シリコン半導体層での感度領域である波長の光を満遍なく散乱することができ、短絡電流を高めるのに適している。
また、粒子106の混入量としては、該粒子と該有機高分子樹脂の合計量に対して30乃至50重量%であることが好ましい。粒子の混入量が低い場合には、光散乱の効果が充分に得ることができず、また、粒子の混入量が多い場合には、光散乱層自体の全光線透過率が落ちてしまったり、膜が粒子リッチになりすぎて塗膜にならない場合がある。
また、光の散乱効果を上げるには、粒子106の材料の屈折率が有機高分子樹脂107の屈折率に対し、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、最適には0.3以上差があることが望ましい。また、粒子106の材料の、波長300nmから1000nmの光の透過率が、好ましくは平均80%以上、より好ましくは平均90%以上、最適には平均95%以上であることが望ましい。
また、有機高分子樹脂107として好適に用いられる前述の材料は、屈折率が約1.4乃至1.5であるものが多いことから、粒子106の材料としては、屈折率で約1.0から3.0、より好ましくは1.2から2.5であるものが望ましい。この範囲の屈折率を持つ物質は、波長300nmから1000nmの光の透過率も前述の値を満たすものが多く好適である。屈折率で2.5を越えるものは光の散乱能は良いが、波長300nmから1000nmの光の透過率が前述の値が得られないものが多いので好適ではない。
さらに、粒子106の材料は、有機高分子樹脂107の材料との密着性に優れ、化学的に安定であって、有機高分子樹脂107の材料と熱膨張係数の近いものが望ましい。
粒子106の材料の具体例としては、ZnS、TiO、Ta、CeO、ZrO、Sb、Nd、In、SiC、Si、SiO、La、SnO、ZnO、CdO、CdSnO、ThO、MgO、Al、CaO、BaO、Y、Eu、Pr、Gd、Tb、Pr11、Dy、Yb、Er、Ho、CeF、PbF、NdF、LaF、MgF、LiF、NaAlF、NaF、CaF等あるいは以上の化合物を混合したものが好適に用いられる。
また、粒子106の形成方法としては、電気炉法、化学炎法、プラズマ法、レーザー法等の気相反応法、あるいは、抵抗加熱法、プラズマ加熱法、高周波誘導加熱法、電子ビーム加熱法、レーザービーム加熱法、スパッタリング法等の蒸発・凝縮法、あるいは、共沈法、加水分解法、均一沈澱法、酸化加水分解法、還元法等の沈澱法、あるいは、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、噴霧熱分解法などの溶媒蒸発法、あるいは、アトマイズ法が挙げられる。この中でも特に、気相反応法と蒸発・凝縮法が好適に用いられる。
また、微粒子の形状は、球状、円柱状、角柱状、板状、不定形など様々な形のものを用いることができる。
(透明電極層)
本発明において、透明電極層102は光を透過する、光入射側の電極であるとともに、その膜厚を最適化することによって反射防止膜としての役割も兼ねる。透明電極103は半導体層の吸収可能な波長領域において高い透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求される。好ましくは、550nmにおける透過率が、80%以上、より好ましくは、85%以上であることが望ましい。また、抵抗率は好ましくは、5×10−3Ωcm以下、より好ましくは、1×10−3Ωcm以下であることが望ましい。その材料としては、In、SnO、ITO(In+SnO)、ZnO、CdO、CdSnO、TiO、Ta、Bi、MoO、NaWO等の導電性酸化物あるいはこれらを混合したものが好適に用いられる。また、これらの化合物に、導電率を変化させる元素(ドーパント)を添加しても良い。
導電率を変化させる元素(ドーパント)としては、例えば透明電極層102がZnOの場合には、Al、In、B、Ga、Si、F等が、またInの場合には、Sn、F、Te、Ti、Sb、Pb等が、またSnOの場合には、F、Sb、P、As、In、Tl、Te、W、Cl、Br、I等が用いられる。
また、透明電極層102の形成方法としては、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンオン法、デップ法等が好適に用いられる。
(半導体層)
本発明の半導体層103の主たる材料としてはSiが用いられる。Siに加えて、SiとC又はGeとの合金を用いても構わない。半導体層をp型半導体層とするにはIII属元素、n型半導体層とするにはV属元素を含有する。p型層及びn型層の電気特性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以下が最適である。スタックセル場合は、光入射側に近いpin接合のi型半導体層はバンドギャップが広く、遠いpin接合になるにしたがいバンドギャップが狭くなるのが好ましい。光入射側のドープ層(p型層もしくはn型層)は光吸収の少ない結晶性の半導体か、又はバンドギャップの広い半導体が適している。
本発明の構成要素である半導体層103についてさらに説明を加えると、図3は本発明の光起電力素子の一例として、(a)は一組のpin接合をもつ半導体層、(b)は二組のpin接合をもつ半導体層、(c)は三組のpin接合をもつ半導体層を示す模式的な断面図である。図中301、304、307、310、313、316は第一の導電型を示す半導体層であり、i型半導体層302、305、308、311、314、317、第二の導電型を示す半導体層303、306、309、312、315、318である。
pin接合を2組積層したスタックセルのi型シリコン系半導体層の組み合わせとしては、光入射側から(アモルファスシリコン半導体層、アモルファスシリコン半導体層)、(アモルファスシリコン半導体層、微結晶を含んだシリコン半導体層)となるものがあげられる。また、pin接合を3組積層した光起電力素子の例としてはi型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファスシリコン半導体層、アモルファスシリコン半導体層、アモルファスシリコン半導体層)、(アモルファスシリコン半導体層、アモルファスシリコン半導体層、微結晶を含んだシリコン半導体層)、(アモルファスシリコン半導体層、微結晶を含んだシリコン半導体層、微結晶を含んだシリコン半導体層)、(アモルファスシリコン半導体層、微結晶を含んだシリコン半導体層、アモルファスシリコンゲルマニウム半導体層)となるものがあげられる。i型半導体層としては光(630nm)の吸収係数(α)が5000cm−1以上、ソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)による擬似太陽光照射化の光伝導度(σp)が10×10−5S/cm以上、暗伝導度(σd)が10×10−6S/cm以下、コンスタントフォトカレントメソッド(CPM)によるアーバックエナジーが55meV以下であるのが好ましい。i型半導体層としては、わずかにp型、n型になっているものでも使用することができる。またi型半導体層にシリコンゲルマニウム半導体層や、微結晶を含んだシリコン半導体層を用いた場合には、界面準位低減や開放電圧を高める目的で、p/i界面、n/i界面の少なくともどちらか一方に、アモルファスシリコンi型半導体層を挿入した構成をとってもよい。
上述の半導体層103を形成するには、高周波プラズマCVD法が適している。以下、高周波プラズマCVD法によって半導体層103を形成する手順の好適な例を示す。
(1) 減圧状態にできる半導体形成用真空容器内を所定の堆積圧力に減圧する。
(2) 堆積室内に原料ガス、希釈ガス等の材料ガスを導入し、堆積室内を真空ポンプによって排気しつつ、堆積室内を所定の堆積圧力に設定する。
(3) 基板をヒーターによって所定の温度に設定する。
(4) 高周波電源によって発振された高周波を前記堆積室に導入する。前記堆積室への導入方法は、高周波がマイクロ波の場合には導波管によって導き、石英、アルミナ、窒化アルミニウムなどの誘電体窓を介して堆積室内に導入したり、高周波がVHFやRFの場合には同軸ケーブルによって導き、金属電極を介して堆積室内に導入したりする方法がある。
(5) 堆積室内にプラズマを生起させて原料ガスを分解し、堆積室内に配置された基板上に堆積膜を形成する。この手順を必要に応じて複数回繰り返して半導体層103を形成する。
半導体層103の形成条件としては、堆積室内の基板温度は100〜450℃、圧力は0.067Pa(0.5mTorr)〜1.5×10Pa(113Torr)、高周波パワー密度は0.001〜2W/cmが好適な条件としてあげられる。また、必要に応じて高周波導入部にチョークコイルを介して直流電源を接続し、高周波に直流成分を重畳させる方法などをとるのも好ましいものである。
本発明の半導体層103の形成に適した原料ガスとしては、SiF、SiH、SiHF、Siなどのフッ素化シリコン、SiH、Si等の水素化シリコン化合物、合金系にする場合にはさらに、GeHやCHなどのようにGeやCを含有したガス化しうる化合物を水素ガスガスで希釈して堆積室内に導入することが望ましい。さらにHeなどの不活性ガスを添加してもよい。半導体層をp型層とするためのドーパントガスとしてはB、BF等が用いられる。また、半導体層をn型層とするためのドーパントガスとしては、PH、PF等が用いられる。結晶相の薄膜や、SiC等の光吸収が少ないかバンドギャップの広い層を堆積する場合には、原料ガスに対する希釈ガスの割合を増やし、比較的高いパワー密度の高周波を導入するのが好ましい。
大面積で半導体層を形成するために、真空容器内への原料ガスの導入方法として、高周波導入部に複数の孔を設けて、ここを通してプラズマ空間へシャワー状に原料ガスを導入する方法や、複数の孔を設けたガス導入管をプラズマ空間内に配設する方法などは、均質なプラズマを形成することができるために、好ましいものである。
(導電層)
本発明に用いられる導電層104としては、図4に示すような構成が好適であるが、その限りではない。図4としては、光入射側と反対方向から401が基板、402が裏面電極、403が透明導電層を表しており、以下に詳述する。
基板401としては、単結晶質もしくは非単結晶質のものであってもよく、さらにそれらは導電性のものであっても、また電気絶縁性のものであってもよい。さらには、それらは透光性のものであっても、また非透光性のものであってもよいが、変形、歪みが少なく、所望の強度を有するものであることが好ましい。具体的には、Fe,Ni,Cr,Al,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pbなどの金属またはこれらの合金、例えば真鍮、ステンレス鋼などの薄板およびその複合体、およびポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、エポキシなどの耐熱性合成樹脂のフィルムまたはシートまたはこれらとグラスファイバー、カーボンファイバー、ホウ素ファイバー、金属繊維などとの複合体、およびこれらの金属の薄板、樹脂シートなどの表面に異種材質の金属薄膜及び/またはSiO,Si,Al,AlNなどの絶縁性薄膜をスパッタ法、蒸着法、鍍金法などにより表面コーティング処理を行ったものおよび、ガラス、セラミックスなどが挙げられる。基板が金属などの電気導電性である場合には直接電流取り出し用の電極としてもよいし、合成樹脂などの電気絶縁性である場合には堆積膜の形成される側の表面に、Al,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,Mo,W,Fe,V,Cr,Cu,ステンレス,真鍮,ニクロム,SnO,In,ZnO,ITOなどのいわゆる金属単体または合金、および透明導電性酸化物(TCO)を鍍金、蒸着、スパッタなどの方法であらかじめ表面処理を行って電流取り出し用の電極を形成しておくことが望ましい。もちろん、基板が金属などの電気導電性のものであっても、長波長光の基板表面上での反射率を向上させたり、基板材質と堆積膜との間での構成元素の相互拡散を防止するなどの目的で異種の金属層などを前記基板上の堆積膜が形成される側に設けてもよい。また、前記基板の表面性としては、いわゆる平滑面であっても、微小の凹凸面であってもよい。微小の凹凸面とする場合にはその凹凸形状は球状、円錐状、角錐状などであって、かつその最大高さ(Rmax)が好ましくは0.05μm乃至は2μmとすることにより、該表面での光反射が乱反射となり、該表面での反射光の光路長の増大をもたらす。基板の形状は、用途により平滑表面あるいは凸凹表面の板状、長尺ベルト状、円筒状などであることができ、その厚さは、所望通りの光起電力素子を形成し得るように適宜決定するが、光起電力素子として可撓性が要求される場合、基板としての機能が充分発揮される範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、基板の製造上および取り扱い上、機械的強度などの点から、通常は10μm以上とされる。
裏面電極402は光入射方向に対し半導体層の裏面に配される電極である。裏面電極の材料としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、コバルト、タンタル、ニオブ、ジルコニウムなどの金属またはステンレスなどの合金が挙げられる。なかでもアルミニウム、銅、銀、金などの反射率の高い金属が特に好ましい。反射率の高い金属を用いる場合には、裏面電極に半導体層で吸収しきれなかった光を再び半導体層に反射する光反射層の役割を兼ねさせることができる。また、裏面電極は、2種類以上の材料を2層以上積層して形成してもよい。また、裏面電極の形状は平坦であってもよいが、光を散乱する凹凸形状を有することがより好ましい。光を散乱する凹凸形状を有することによって、半導体層で吸収しきれなかった光を散乱させて半導体層内での光路長を延ばし、短絡電流を増大させ、光電変換効率を向上させることができる。光を散乱する凹凸形状は、凹凸の山と谷の高さの差がRmaxで0.2μmから2.0μmであることが望ましい。ただし基板が裏面電極を兼ねる場合には、裏面電極の形成を必要としない場合もある。また、裏面電極の形成には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法、印刷法などが用いられる。また裏面電極を光を散乱する凹凸形状に形成する場合には、形成した金属あるいは合金の膜をドライエッチングするかあるいはウエットエッチングするかあるいはサンドブラストするかあるいは加熱することなどによって形成される。また基板を加熱しながら前述の金属あるいは合金を蒸着することにより光を散乱する凹凸形状を形成することもできる。
透明導電層403は、主に以下のような目的で、裏面電極402と半導体層103の間に配置される。まず、光起電力素子の裏面での乱反射を向上させ、薄膜による多重干渉によって光を光起電力素子内に閉じ込めて、半導体層内の光路長を延ばし、光起電力素子の短絡電流(Jsc)を増大させること。次に、裏面電極としての裏面金属反射層の金属が、半導体層に拡散するかあるいはマイグレーションを起こして、光起電力素子がシャントすることを防止すること。また、透明導電層に若干の抵抗値をもたせることで、半導体層を挟んで設けられた裏面電極402と透明電極層102との間に半導体層のピンホールなどの欠陥で発生するショートを防止することである。透明導電層403は半導体層の吸収可能な波長領域において高い透過率を有することと、適度の抵抗率が要求される。好ましくは、650nm以上の透過率が、80%以上、より好ましくは85%以上、最適には90%以上であることが望ましい。また、抵抗率は好ましくは、1×10−4Ωcm以上、1×10Ωcm以下、より好ましくは、1×10−2Ωcm以上、5×10Ωcm以下であることが望ましい。透明導電層403の材料としては、In,SnO,ITO(In+SnO),ZnO,CdO,CdSnO,TiO,Ta,Bi,MoO,NaxWOなどの導電性酸化物あるいはこれらを混合したものが好適に用いられる。また、これらの化合物に、導電率を変化させる元素(ドーパント)を添加してもよい。導電率を変化させる元素(ドーパント)としては、例えば透明導電層403がZnOの場合には、Al,In,B,Ga,Si,Fなどが、またInの場合には、Sn,F,Te,Ti,Sb,Pbなどが、またSnOの場合には、F,Sb,P,As,In,Tl,Te,W,Cl,Br,Iなどが好適に用いられる。透明導電層403は、EB蒸着、スパッタ蒸着などの各種蒸着法、各種CVD法、スプレー法、スピンオン法、デップ法などにより形成できる。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1では、以下の手順でアモルファスシリコンと微結晶シリコンの積層型太陽電池を作製した。
最初に裏面側の導電層として洗浄したステンレス基板上にスパッタ法によってAl膜厚500nm、ZnO膜厚1000nmを順次形成した。次いで、プラズマCVD法により、n型a−Si層膜厚15nm/i型μC−Si層膜厚2000nm/p型微結晶μc−Si層膜厚10nm/n型a−Si層膜厚10nm/i層膜厚350nm/p型微結晶μc−Si層膜厚10nmという積層構成の半導体層を形成した。
次に透明電極層としてIn膜厚70nmをO雰囲気下でInを抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。さらに、集電用のグリッド電極を銀ペーストのスクリーン印刷で形成して太陽電池を作製した。
次に、アクリル樹脂塗料(屈折率約1.51)に平均粒径15μmのシリカの粒子(屈折率1.41)を10wt%分散させたものを作製した。粒子を分散させる時には、その分散性をよくする為に、混合液に超音波をかけながらよく攪拌した。こうしてできた塗料を、上述の太陽電池の透明導電層及び集電電極上にフィルムコートにより塗布し、加熱により溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋させた。これによってそれぞれ約25μm膜厚の樹脂層(光散乱層)が形成された太陽電池を得た。
さらに、上記光散乱層上に、厚さ460μmのEVAシートと厚さ50μmのETFEフィルムを積層し、ETFEフィルムの上には図2(b)で示すようなテクスチャー形成の為の金型を載置して、所謂ラミネーションを行った。こうして、金型を剥離することにより、表面には500μmピッチで、入射光に対する傾斜角が45°となるような規則的はテクスチャーを有する保護層が形成された。
ここで同時に、ETFEフィルムとEVAシートの積層体だけを用意しておき、テクスチャーの有るサンプルと、テクスチャーの無いサンプルを作成して反射率を測定した。その結果、今回作成したテクスチャーは、300〜1000nmのほとんどの波長領域にわたって、テクスチャーが無い場合よりも1%程反射率が低くなることが分かった。
こうして作製した太陽電池を、25℃で、ソーラーシュミレータによって、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を照射して、太陽電池素子の特性を測定した。
また一方では、光散乱層を形成する工程から全く同様の工程をスライドガラス上に形成した透明電極層上に施し、スライドガラスサンプルを作製して透明電極層への入射角度の測定を行った。これらの測定結果を表1に示しており、変換効率は10.02%であった。
シリカの粒子の添加量として、20wt%としたところが実施例1とは異なっており、その他は実施例1と全く同様の内容を実施した。その結果を表1に示しており、変換効率は10.02%であった。
シリカの粒子の添加量として、30wt%としたところが実施例1とは異なっており、その他は実施例1と全く同様の内容を実施した。その結果を表1に示しており、変換効率は10.07%であった。
シリカの粒子の添加量として、40wt%としたところが実施例1とは異なっており、その他は実施例1と全く同様の内容を実施した。その結果を表1に示しており、変換効率は10.08%であった。
シリカの粒子の添加量として、50wt%としたところが実施例1とは異なっており、その他は実施例1と全く同様の内容を実施した。その結果を表1に示しており、変換効率は10.07%であった。
シリカの粒子の添加量として、60wt%としたところが実施例1とは異なっており、その他は実施例1と全く同様の内容を実施した。その結果を表1に示しており、変換効率は10.05%であった。
Figure 2005347444
表1の結果より、粒子の添加量を増加する程、透明電極層への入射角度が大きくなり、特にその中で10°≦θ≦60°の占める割合も大きくなっていることが分かる。また、それに伴って変換効率の値も向上していることが明らかとなった。ただ、粒子の添加量を60wt%としたものについては、アクリル樹脂の吸油量が近かったせいか、粒子リッチの塗膜になってしまい、きれいな塗膜が形成できなかったせいもあって変換効率の上昇が停滞してしまった。
また、特に粒子の添加量が30%以上を超えた場合については、変換効率が大きく向上した。これは、添加量を30%以上とすることで、10°≦θ≦60°の割合が大きくなった為と考えられる。
(比較例1)
粒子を全く混入せず、また、金型を載置せずにラミネーションを行ってテクスチャーを最表面に形成しなかった点が実施例3とは異なっており、その他は実施例3と全く同様に太陽電池を作製した。
(比較例2)
粒子を全く混入しなかった点が実施例3とは異なっており、その他は実施例3と全く同様に太陽電池を作製した。
(比較例3)
金型を載置せずにラミネーションを行ってテクスチャーを最表面に形成しなかった点が実施例3とは異なっており、その他は実施例3と全く同様に太陽電池を作製した。
比較例1から比較例3の結果を表2に示す。
Figure 2005347444
ここで、実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至3の結果を照らし合わせると、テクスチャーのみ、もしくは、粒子混入のみの場合においては、透明電極層への入射角度が10°に到達せず、変換効率の向上が見られないのに対し、テクスチャーと粒子混入の両方を兼ね備えた系では、透明電極層への入射角度が10°を超える場合が現れ、変換効率の向上が見られている。このことから、少なくともテクスチャーと粒子による光散乱層を設けることによって、10°以上の透明電極層への入射角度が達成でき、変換効率の向上に効果があることが明らかとなった。
実施例7では、表面保護層の最表面に形成するテクスチャーを変える実験を行った。
実施例7では、集電電極を作製するまでは、実施例1と全く同様の工程で太陽電池を作製した。その後、アクリル樹脂塗料(屈折率約1.51)に平均粒径15μmのシリカの粒子(屈折率1.41)を30wt%分散させた塗料を、上述の太陽電池の透明導電層及び集電電極上にフィルムコートにより塗布し、加熱により溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋させた。これによってそれぞれ約25μm膜厚の樹脂層(光散乱層)が形成された太陽電池を得た。
さらに、上記光散乱層上に、厚さ460μmのEVAシートと厚さ50μmのETFEフィルムを積層し、ETFEフィルムの上には図2(b)で示したようなテクスチャー形成の為の金型を載置して、所謂ラミネーションを行った。
ここで、実施例7では、三角形のピッチが500μmで傾斜角が60°となるようなエンボスができる金型を用意して使用して太陽電池を作製した。
また、実施例1と同様、ETFEフィルムとEVAシートの積層体だけを用意し、テクスチャーの有るサンプルと無いサンプルを作成して反射率を測定した。その結果、傾斜角が30°のサンプルはテクスチャーが無い場合よりも、300〜1000nmのほとんどの波長領域にわたって、1.2%程反射率が低い結果が得られた。また、傾斜角が60°のサンプルは、テクスチャーが無い場合とほとんど同等であることが分かった。
こうして作製した太陽電池に対して、実施例1と同様の評価を行った。
三角形のピッチが500μmで傾斜角が30°となるようなエンボスができる金型を使用してテクスチャーを形成した点が実施例7とは異なっており、その他は実施例7と全く同様に太陽電池を作製した。また、同様の評価を行った。
実施例7及び実施例8の評価結果を表3に示している。
これら表3の結果と、実施例3で粒子を30wt%混入した場合の結果を照らし合わせると、一定の傾斜角を持ち、かつその角度が45度以下とすることで、変換効率が大きく向上する効果が期待できることが明らかとなった。
Figure 2005347444
実施例9では、集電電極を作製するまでは、実施例1と全く同様の工程で太陽電池を作製した。その後、アクリル樹脂塗料(屈折率約1.51)に平均粒径8μmのシリカの粒子(屈折率1.41)を30wt%分散させた塗料を、上述の太陽電池の透明導電層及び集電電極上にフィルムコートにより塗布し、加熱により溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋させた。これによってそれぞれ約25μm膜厚の樹脂層(光散乱層)が形成された太陽電池を得た。なお、30μmの粒子を使用した場合については、樹脂層の厚みよりも粒子の厚みの方が大きくなってしまった。
さらにその後のラミネーションによる表面保護層形成過程においては、実施例1と同様にして太陽電池を作製した。また、作製した太陽電池に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
平均粒径10μmのシリカの粒子(屈折率1.41)を使用した点が実施例9とは異なっており、その他は実施例9と全く同様に太陽電池を作製し、全く同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
平均粒径20μmのシリカの粒子(屈折率1.41)を使用した点が実施例9とは異なっており、その他は実施例9と全く同様に太陽電池を作製し、全く同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
平均粒径30μmのシリカの粒子(屈折率1.41)を使用した点が実施例9とは異なっており、その他は実施例9と全く同様に太陽電池を作製し、全く同様の評価を行った。その結果を表4に示す。なお、本実施例で30μmの粒子を使用した場合については、樹脂層の厚みよりも粒子の厚みの方が大きくなってしまった。
Figure 2005347444
これら表4の結果と、実施例1で粒子を30wt%混入した場合の結果を照らし合わせると、粒子の粒径を10μm以上とすることで、変換効率が大きく向上する効果が期待できることが明らかとなった。
実施例13では、集電電極を作製するまでは、実施例1と全く同様の工程で太陽電池を作製した。その後、アクリル樹脂塗料(屈折率約1.51)に平均粒径20μmのシリカの粒子(屈折率1.39)を45wt%分散させた塗料を、上述の太陽電池の透明導電層及び集電電極上にスプレーコートにより霧状に塗布し、加熱により溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋させた。これによってそれぞれ約25μm膜厚の樹脂層(光散乱層)が形成された太陽電池を得た。
さらにその後のラミネーションによる表面保護層形成過程においては、実施例1と同様にして太陽電池を作製した。また、これら作製した太陽電池に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表5に示す。
本実施例では、粒子と混入量の組み合わせによって透明電極層への入射角度を大きくとることができ、その結果、変換効率の向上も大きくする効果が得られた。
Figure 2005347444
本発明の実施態様例の光起電力素子の構成を示す断面図である。 本発明のテクスチャーを説明する模式的概略図である。 本発明の半導体層を示す概略図である。 本発明に導電層を示す概略図である。 本発明の実施例の模擬実験の結果を示すグラフである。 傾斜角を説明する為の該略図である。
符号の説明
101 表面保護層
102 透明電極層
103 半導体層
104 導電層
105 光散乱層
106 粒子
107 有機高分子樹脂
108 テクスチャー
301、304、307、310、313、316 第一の導電型を示す半導体層
302、305、308、311、314、317 i型半導体層
303、306、309、312、315、318 第二の導電型を示す半導体層
401 基板
402 裏面電極
403 透明導電層

Claims (6)

  1. 光入射側から少なくとも表面保護層、透明電極層、半導体層、導電層を有し、該半導体層には少なくとも非晶質シリコン層が一層含まれている光起電力素子において、
    該表面保護層の最表面に形成したテクスチャーと、該表面保護層中に形成された光散乱層とにより、
    該表面保護層へ垂直に入射した光の一部もしくは全部が、該透明電極層へ
    10°≦θ≦60°
    なる入射角度θで入射するようにしたことを特徴とする光起電力素子。
  2. 前記光のうち、300乃至700nmの波長を有する光の50%以上が前記透明電極層へ
    10°≦θ≦60°
    なる入射角度θで入射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 前記テクスチャーは、
    少なくとも300乃至700nmの波長領域での表面反射率が、テクスチャーが無い場合の表面反射率よりも低くなるように形成されたテクスチャーであることを特徴とする請求項1乃至2に記載の光起電力素子。
  4. 前記テクスチャーは、入射光に対して必ず一定の傾斜角を有する面からなることを特徴とする請求項1乃至3に記載の光起電力素子。
  5. 前記傾斜角は45°以下であることを特徴とする請求項4に記載の光起電力素子。
  6. 前記光散乱層は、有機高分子樹脂中に粒子が分散されたものであって、
    該粒子は該有機高分子樹脂とは異なる屈折率を有し、
    該粒子の混入量は、該粒子と該有機高分子樹脂の合計量に対して30乃至50重量%であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の光起電力素子。
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