JP2011171384A - 薄膜光電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜光電変換装置において、大面積化に適した技術により歩留まりの低下を引き起こさずに高生産性を維持し、かつ、酸化亜鉛からなる透明電極層と光電変換ユニットとの間に良好な接合界面を形成することにより光電変換装置の変換効率を改善する。
【解決手段】光入射側から順に、少なくとも酸化亜鉛層と、p型半導体層と、光電変換層と、裏面電極層とを備える光電変換装置であって、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ただし、N>0)としたことを特徴とする、光電変換装置。
【選択図】図6

Description

本発明は、透明電極層と光電変換ユニットとの間に良好な接合界面を形成することにより変換効率が向上した薄膜光電変換装置に関する。
近年、光電変換装置のなかで、太陽電池を含む光電変換装置の低コスト化、高効率化を両立するために原材料が少なくてすむ薄膜光電変換装置が注目され、開発が精力的に行われている。特に、ガラス等の安価な基板上に低温プロセスを用いて良質の半導体層を形成する方法が低コストを実現可能な方法として期待されている。
一般的に、薄膜光電変換装置を形成するためには、その一部に透明電極層を備えることが不可欠である。薄膜光電変換装置は、透明電極層と裏面電極層の間に、1つ以上の光電変換ユニットを含んで形成され、光は透明電極層側から入射される。
透明電極層は、例えば、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電性酸化物(以下、TCOともいう。)が用いられ、一般に化学気相成長法(CVD)、スパッタリング法、真空蒸着などの方法で形成される。薄膜光電変換装置に用いられる透明電極層はその表面に微細な凹凸を有することにより、入射光の散乱を増大させる効果を有することが望ましい。というのも、薄膜光電変換装置は、従来のバルクの単結晶や多結晶シリコンを使用した光電変換装置に比べて光電変換層を薄くすることが可能であるが、反面、薄膜全体の光吸収が膜厚によって制限されてしまうという問題がある。そこで、光電変換層を含む光電変換ユニットに入射した光をより有効に利用するために、光電変換ユニットに接する透明電極層あるいは金属層の表面を凹凸化(テクスチャ化)し、その界面で光を散乱した後、光電変換ユニット内へ入射させることで光路長を延長させ、光電変換層内での光吸収量を増加させる工夫がなされている。この技術は「光閉じ込め」と呼ばれており、高い光電変換効率を有する薄膜光電変換装置を実用化する上で、重要な要素技術となっている。
光電変換ユニットはpn接合またはpin接合の半導体層からなる。光電変換ユニットにpin接合を用いる場合、p型層、i型層、及びn型層がこの順、またはその逆順に積層されてなり、その主要部を占めるi型の光電変換層が非晶質のものは非晶質光電変換ユニットと呼ばれ、i型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットと呼ばれている。半導体層には、シリコン系薄膜半導体として、非晶質シリコン、薄膜結晶質シリコンなどが用いられている。
薄膜光電変換装置の一例であるシリコン系薄膜光電変換装置は、光電変換ユニットに、p型層、実質的に真性な光電変換層であるi型層、およびn型層から成るpin接合を用いる。このうちi型層に非晶質シリコンを用いたものを非晶質シリコン光電変換ユニット、結晶質を含むシリコンを用いたものを結晶質シリコン光電変換ユニットと呼ぶ。なお、非晶質あるいは結晶質のシリコン系材料としては、半導体を構成する主要元素としてシリコンのみを用いる場合だけでなく、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウムなどの元素をも含む合金材料も用い得る。また、導電型層の主要構成材料としては、必ずしもi型層と同質のものである必要はなく、例えば非晶質シリコン光電変換ユニットのp型層に非晶質シリコンカーバイドを用い得るし、n型層に結晶質を含むシリコン層(微結晶シリコンとも呼ばれる)も用い得る。
薄膜光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2つ以上の光電変換ユニットを積層した、積層型と呼ばれる構造を採用した薄膜光電変換装置が知られている。この方法においては、薄膜光電変換装置の光入射側に大きな光学的禁制帯幅(バンドギャップともいう)を有する光電変換層を含む前方光電変換ユニットを配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する光電変換層を含む後方光電変換ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたる光電変換を可能にし、入射する光を有効利用することにより装置全体としての変換効率の向上が図られている。積層型薄膜光電変換装置の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットを積層したものはタンデム型薄膜光電変換装置と称される。なお、本願では、相対的に光入射側に配置された光電変換ユニットを前方光電変換ユニットと呼び、これよりも相対的に光入射側から遠い側に隣接して配置された光電変換ユニットを後方光電変換ユニットと呼ぶ。
光電変換ユニットの上に形成される裏面電極層としては、例えば、Al、Agなどの金属層をスパッタリング法または真空蒸着法などにより形成する。また、光電変換ユニットと金属電極との間に、酸化インジウム錫(ITO)、SnO2、ZnOなどのTCOからなる層を形成しても構わない。
上述のような薄膜光電変換ユニットは、SnO2やZnOなどのTCOからなる透明電極層の上に形成される。TCOの中でも、特にSnO2が、透明電極層として従来から広く用いられている。近年では、長波長領域の光に対する透過率、光閉じ込め効果の指標となるヘイズ率の制御性、更には水素ラジカルに対する耐還元性の点で優れたZnOも、透明電極層として用いられるようになってきた。
薄膜光電変換ユニットを形成する方法として、一般的にはプラズマCVD法が用いられる。前述のように、p型半導体層としてp型非晶質シリコンカーバイド層がSnO2の透明電極層上の薄膜光電変換ユニットにおいて広く採用され、高い変換効率が得られている。他方、透明電極層として酸化亜鉛を使用した場合には、SnO2層を用いた場合と同様にp型半導体層としてp型非晶質シリコンカーバイド層を用いても、光電変換装置の開放電圧(Voc)や曲線因子(FF)が低下して高い変換効率を得ることができない事が分かってきた。これは、酸化亜鉛層とp型非晶質シリコンカーバイド層との間において、良好なオーミック接触特性を得ることが難しいためと考えられる。すなわち、この問題を解決して薄膜光電変換装置として高い変換効率を得るためには、酸化亜鉛層と薄膜光電変換ユニットの接合界面における接触抵抗を低くしなくてはならない。
特許文献1では、酸化亜鉛からなる透明電極層に接する薄膜光電変換ユニット中のp型半導体層は透明電極層上に第1のp型結晶質半導体層、第2のp型結晶質半導体層、及びp型非晶質半導体層をプラズマCVDによって順次積層することによって形成され、第1p型結晶質半導体層の形成と第2p型結晶質半導体層の形成との間においてプラズマCVDの放電が所定時間だけ停止されることを特徴としている薄膜光電変換装置が開示されている。これにより、酸化亜鉛の透明電極層と薄膜光電変換ユニットとの間に良好な接合界面層を形成することによって変換効率を高めている。この技術では、結晶質半導体(微結晶シリコン等)製膜時のプラズマ放電等を巧みに制御することにより良好な接合界面を得ているが、非特許文献1で報告されているように微結晶シリコン膜の成長初期過程の制御は極めて困難であり、また酸化亜鉛層/微結晶シリコン層界面にはSiO層が形成される。このようなSiO層は、酸化亜鉛層/p型半導体層界面における反転層となり、良好なオーミック接触を阻害する。また、大面積化が進む薄膜太陽電池プロセスにおいて、プラズマ放電の制御は極めて困難であるため、生産技術的な課題が残る。
一方で、特許文献2では、ガラス基板上にSnO2からなる第1の透明電極層上に酸化亜鉛からなる第2の透明電極層が10nm形成された基板において、第2の透明電極層上に3族元素からなる極薄膜層を形成することで、p型非晶質半導体層と酸化亜鉛からなる透明電極層との界面の接合状態の改善を図り、且つ諸特性を向上させている。しかしながら、ここで用いられる極薄膜層は、ドープ率を増加させ高ドープ層とするため、たとえ数ナノの膜厚としても自由電子キャリアによる自由電子吸収によって赤外域の透過率低下は避けられず、短絡電流値の低下の問題が生じる。さらに、上述したように、プラズマCVD法によりシリコン薄膜を形成する場合、SiO界面層が形成するため、良好なオーミック接触が得られない。また、大面積化が進む薄膜太陽電池プロセスにおいて、極薄膜層を数ナノオーダーの膜厚に制御することは極めて困難であり、生産技術的な課題が残る。
また特許文献3では、透明電極層と光電変換層とが接合する界面が凹凸形状になった構造を有する光起電力装置において、透明電極層の少なくとも光電変換層側に突出した凸部の先端部に金属膜を設けるようにし、特に、上記透明電極層の光電変換層側に突出した凸部の先端から凹部に向かって膜厚が減少するように金属膜を設けることによって良好な界面接合を形成している。この技術では、表面凹凸上の凸部の先端に新たに金属膜を形成しているため、薄膜光電変換ユニットへの金属イオン拡散による性能低下が問題となる。また金属膜を用いた場合、太陽光スペクトルの全波長域において吸収もしくは反射による光学損失が生じ短絡電流低下の問題が生じる。さらに、大面積化が進む薄膜太陽電池プロセスにおいて、金属膜を数ナノオーダーの膜厚に制御し、凸部の先端部に選択的に金属膜を形成することは極めて困難であり、生産技術的な課題が残る。
特開2008−124325号公報 特開平10−144942号公報 特開平7−312437号公報
T.Fujibayashi et al.,Applied Physics Letters 87,221908(2005)
本発明は、大面積化に適した技術により歩留まりの低下を引き起こさずに高生産性を維持し、かつ、酸化亜鉛からなる透明電極層と光電変換ユニットとの間に良好な接合界面を形成することにより変換効率の高い薄膜光電変換装置を提供することを目的としている。
上記のような課題に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の構成により課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、光入射側から順に、少なくとも酸化亜鉛層と、p型半導体層と、光電変換層と、裏面電極層とを備える光電変換装置であって、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ただし、N>0)としたことを特徴とする、光電変換装置に関する。
好ましい実施態様は、前記界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ただし、0<N<0.10)としたことを特徴とする、前記の光電変換装置に関する。
好ましい実施態様は、前記酸化亜鉛層におけるバルクの化学量論組成比が、Zn/O比が1.00を超えて1.08以下であることを特徴とする、前記の光電変換装置に関する。
本発明によれば、薄膜光電変換装置の大面積化における歩留まりの低下を引き起こさずに高生産性を維持し、透明電極の透過性を損なわずして透明電極層と光電変換ユニットとの間に良好な接合界面を形成することが可能となり、薄膜光電変換装置の変換効率を著しく改善することができる。
本発明の一実施形態である薄膜光電変換装置の断面図である。 本発明の一実施形態である集積型薄膜光電変換装置の断面図である。 実施例および比較例についての評価結果を表す図である。 実施例および比較例についての評価結果を表す図である。 実施例および比較例についての評価結果を表す図である。 実施例および比較例についての評価結果を表す図である。
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。
図1に、本発明の実施形態の一例によるスーパーストレイト型薄膜光電変換装置の断面図を示す。透光性基板11上に、酸化亜鉛層12を形成した薄膜光電変換装置用基板1を備えている。その上に、p型半導体層21、光電変換層22、n型半導体層23が積層された前方光電変換ユニット2、p型半導体層31、光電変換層32、n型半導体層33が積層された後方光電変換ユニット3、および導電性酸化物層41、金属層42が積層された裏面電極層4の順に配置され、薄膜光電変換装置5を形成している。
前記透光性基板11には、例えばガラス、透明樹脂等からなる板状部材やシート状部材が主に用いられる。特に透光性基板11として、主にガラス基板を用いると、透過率が高く、安価であることから好ましい。
透光性基板11は薄膜光電変換装置5を構成した際に光入射側に位置することから、より多くの太陽光を透過させて光電変換ユニットに吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましく、その材料としてはガラス板が好適である。同様の意図から、太陽光の光入射面における光反射ロスを低減させるように、透光性基板11の光入射面に無反射コーティングを行うことが望ましい。
また、本発明は、特にスーパーストレイト型薄膜光電変換装置に限定されるものではない。例えば、サブストレイト型薄膜光電変換装置では、基板は透光性基板でなくともよく、例えば、セラミック、金属、カプトン系フィルム等からなる板状部材やシート状部材が主に用いられる。この場合、p型半導体層上に、酸化亜鉛層は形成される。一方、本発明は、n型単結晶シリコン基板上にi型、p型薄膜シリコン層を順次積層形成したヘテロ接合型太陽電池(HIT:Heterojunction with intrinsic thin−layer)の表面電極層として酸化亜鉛層を用いた光電変換装置にも適用可能である。
透明電極層としては、本発明においては酸化亜鉛(ZnO)層12が用いられる。酸化亜鉛層12としては、二元化合物が好ましい。なぜならば、多くの三元化合物(ホモロガス化合物、ZnmIn23+m;m=2〜7)の場合、プラズマCVD法によるシリコン薄膜堆積中に、In原子がシリコン層へ拡散したり、界面において金属析出したりするからである。また、キャリア濃度を制御するための外因性ドナーとなるドーパント材料としては、B、Al、Ga、Si、Sc、F等が用いられうる。薄膜光電変換装置では、波長800nm以上の赤外領域における透過率が重要になるため、酸化亜鉛層のキャリア濃度が1×1021cm-3以下であることが好ましい。
本発明においては、後述する観点から、酸化亜鉛層と後述するp型半導体層との界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ここで、N>0)とすることに特徴を有しており、更にはZn:O=1+N:1(ここで、0<N<0.10)とすることがより好ましい。
酸化亜鉛層/p型半導体層界面では、非整流性接触(オーミック接触)が望ましく、再結合電流を流す必要があるため、酸化亜鉛層はn型縮退半導体状態(半金属状態)であることが望ましい。このようなn型縮退半導体は、キャリア濃度(自由電子濃度)が1021cm-3以上で生じる傾向がある現象である。透明導電性酸化物のキャリア濃度を制御する方法としては、適当な不純物添加を行う方法(外因性ドナー)と酸素欠損を形成する方法(真性ドナー)が知られている。したがって、n型縮退半導体への制御のみを考えた場合、不純物添加量を増やすことでキャリア濃度を増加させても良い。しかしながら、非特許文献1で報告されているように、耐還元性の強いZnO上にプラズマCVD法を用いて薄膜シリコン層を形成する場合、酸化亜鉛中の酸素とシリコンが反応し、界面層にSiO層が形成されうる。このようなSiO層は酸化亜鉛層/p型半導体層界面に反転層を形成させるため、理想的なオーミック接触を妨げる要因となりうる。例えば、SnO2等の他の透明導電膜では、耐還元性が弱く、表面が金属状態になるため、反転層は形成し得ない。したがって、酸化亜鉛上においては、p型半導体層との界面近傍において、意図的に酸素欠損を増加させることが望ましい。
しかしながら、酸素欠損の増加は一般的に透過率を低下させる要因ともなりうる。したがって、光学特性を考えると酸素欠損が生じない化学組成量論比であるZn:O=1:1に制御し、不純物添加による外因性ドナーによってオーミック接触を高めるのが従来の方法であった。これに対し、本発明者らは、酸化亜鉛層と後述するp型半導体層との界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ここで、N>0)とするが好ましく、更にはZn:O=1+N:1(ここで、0<N<0.10)とすることがより好ましいことを見出したものである。ここで、上記の酸化亜鉛層とp型半導体層との「界面近傍」とは、界面から概ね50nmの範囲〜界面から概ね200nmの範囲の領域を意味する。
上記の酸化亜鉛層とp型半導体層との「界面近傍」における化学量論組成比については、例えば、エックス線光電子分光分析法、オージェ電子分光分析法等により測定することができる。一般的に、界面近傍の組成比の測定方法としては、エックス線光電子分光分析やオージェ電子分光分析のデプスプロファイル測定が良く用いられる。このデプスプロファイル測定とは、堆積膜をアルゴンイオン等によってエッチングすることによって、界面付近の化学組成を評価する方法である。
一方、酸化亜鉛層のバルクの化学量論組成比については、Zn/O比が1.00を超えて1.08以下とすることが好ましく、更にはZn/O比が1.00を超えて1.04以下とすることがより好ましい。酸化亜鉛層におけるバルクの化学量論組成比が上記範囲にある場合は、酸化亜鉛層の光学特性(透明性)とp型半導体層との界面電気特性(オーミック接触性)が両立できる。
上記の酸化亜鉛層のバルクの化学量論組成比については、例えば、エネルギー分散型蛍光エックス線分光分析法、エックス線光電子分光分析法、オージェ電子分光分析法等により測定することができる。本発明においては、エネルギー分散型蛍光エックス線分析法を用いた。一般的に、化学量論組成比の評価法としては、光電子分光法が良く用いられるが、光電子のエスケイプデプスが数十nmの膜厚であることから、本発明で用いられうる500〜4000nmの膜厚の酸化亜鉛層のバルク組成比を評価するにはエネルギー分散型蛍光エックス線分光分析法の方が好ましい。
本発明における酸化亜鉛層は、例えば、低圧熱CVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法、イオンプレーティング法等の成膜方法を用いて製造することができる。
特に、前記低圧熱CVD法は、200℃以下の低温度で成膜できるため、種々の基板を用いることができる利点があり、かつ、積層型薄膜光電変換装置を形成する場合に重要となる長波長域の光閉じ込め効果に有用な表面テクスチャ構造を備えもつ酸化亜鉛層を成膜できることから、好ましい。そのような低圧熱CVD装置を用いる場合、基板温度が150℃以上、圧力5〜1000Paの条件下で、原料ガスとしてジエチル亜鉛(DEZ)、水、ドーピングガス、および希釈ガスを用いて形成することができる。
本発明における酸化亜鉛層とp型半導体層との界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ここで、N>0)とするためには、例えば、原料ガスで用いられるDEZと水の流量比率を調整することによって制御できる。例えば、DEZの流量を一定にし、水の流量を下げることによって、酸化亜鉛中の亜鉛比率を高めることが可能である。また一方で、水の流量比を一定にし、DEZの流量を上げることで、亜鉛比率を高めることが可能である。しかしながら、DEZの流量を変える場合、成膜速度も変わるため、水の流量を制御することが、膜厚の制御の点でより好ましい。
一方、亜鉛成分の原料ガスとしては、ジエチル亜鉛の他にジメチル亜鉛を用いることもできる。酸素成分の原料ガスとしては、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、五酸化二窒素、アルコール類(R(OH))、ケトン類(R(CO)R’)、エーテル類(ROR’)、アルデヒド類(R(COH))、アミド類((RCO)x(NH3-x)、x=1,2,3)、スルホキシド類(R(SO)R’)(ただし、上記RおよびR’はアルキル基)を用いることもできる。希釈ガスとしては希ガス(He、Ar、Xe、Kr、Rn)、窒素、水素などを用いることができる。ドーピングガスとしてはジボラン(B26)、アルキルアルミ、アルキルガリウムなどを用いることができる。DEZに対するB26の比は0.05%以上が好ましい。DEZ、水は常温常圧で液体なので、加熱蒸発、バブリング、噴霧などの方法で気化させてから、供給することができる。
次にスパッタリング法にて、本発明における酸化亜鉛層を製造する場合について説明する。
反応性スパッタリング法の場合、例えば、Zn:Al等の金属ターゲットやZnO:Al23、ZnO:Ga23等の酸化物ターゲット用いられる。スパッタガスであるAr等の希ガスと、反応性ガスである酸素の混合ガスをRFやDC電源を用いたプラズマ放電により分解することで成膜を行うことができる。スパッタリング法は、大面積化に適しており、塩酸などを用いてウェットエッチングすることにより表面テクスチャ構造を備えもつ酸化亜鉛層を成膜できるし、高ガス圧かつ高基板温度の領域で表面テクスチャ構造を形成することができる。また、ガス中に水を混入させることでもテクスチャ構造を形成することができる。そのようなスパッタリング装置を用いる場合、例えば、基板温度が250℃以上、圧力0.1〜100Paの条件下で、DC電力を0.1〜3.0W/cm2を用いて形成することができる。
本発明における酸化亜鉛層とp型半導体層との界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ここで、N>0)とするためには、反応性ガスである酸素とアルゴンガスのガス流量比(ガス分圧比)により制御することができる。例えば、亜鉛比率を高めるには、酸素分圧を低下させることにより調整できる。一方で、亜鉛比率を下げるには、酸素分圧を増加させることで調整できる。
本発明において、酸化亜鉛層の平均膜厚は限定されるものではないが、500〜4000nmであることが好ましく、さらに800〜1900nmであることがより好ましい。なぜなら、ZnO膜が薄すぎれば、光閉じ込め効果に有効に寄与する表面凹凸を十分に付与すること自体が困難となり、また透明電極として必要な導電性が得られにくく、逆に厚すぎればZnO膜自体による光吸収により、ZnOを透過し光電変換ユニットへ到達する光量が減るため、変換効率が低下するからである。さらに、厚すぎる場合は、成膜時間の増大によりその製膜コストが増大する。前記酸化亜鉛層の表面凹凸は、薄膜光電変換装置に適した光閉じ込め効果を得るために、透光性基板11上に酸化亜鉛層12を形成した状態で、10〜50%程度のヘイズ率を有することが好ましい。このようなヘイズ率を有する酸化亜鉛層の表面凹凸の平均高低差は10〜300nm程度である。酸化亜鉛層12の表面凹凸が小さすぎる場合は十分な光閉じ込め効果を得ることができず、逆に表面凹凸が大きすぎる場合は光電変換装置に電気的および機械的な短絡を生じさせる原因となりうることから、光電変換装置の特性低下を引き起こす場合がある。
次に、前記酸化亜鉛層と接してその上に形成されるp型半導体層について説明する。p型半導体層としては、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物、またはシリコンゲルマニウム等の非晶質あるいは結晶質シリコン合金にBやAl等の不純物原子をドープすることによって形成することができる。特に、酸化亜鉛層と接するp型半導体層ではオーミック接触を高めるため、ドーピング効率の高い結晶質シリコン合金を用いることが好ましい。さらに、p型半導体層は、光電変換に寄与せずに薄膜光電変換装置における内部電界(開放電圧)の形成に寄与し、光電変換装置の窓層として働く。したがって、SiH4とCH4との混合ガスを用いて成膜されるシリコンカーバイドやSiH4とCO2の混合ガスを用いて成膜されるシリコンオキサイド等のワイドバンドギャップ半導体を用いることが好ましい。また、ドーピングガスとしては、B26やB(CH33、BF3が用いられ、ドーピングガス/SiH4のガス比は0.1〜数%の範囲に制御される。具体的には、酸化亜鉛層上に、例えばBが0.01原子%以上ドープされたp型結晶質シリコン層とp型非晶質シリコンカーバイド層を順次積層したp型半導体層が好適に用いられる。p型半導体層における光吸収は短絡電流の損失につながるため、出来る限り薄くすることが望ましい。よって、p型半導体層の厚さは、1〜30nmが好ましく、2〜10nmがより好ましい。
前述のp型半導体層の役割は、スーパーストレイト型薄膜光電変換装置に限定されるものではない。例えば、サブストレイト型薄膜光電変換装置やヘテロ接合型太陽電池のp型半導体層にも適用可能である。
酸化亜鉛層12上に形成される光電変換ユニットは1つの光電変換ユニットとしてもよいが、複数の光電変換ユニットを積層してもよい。なお、ここで光電変換ユニットとは、p型半導体層と光電変換層とn型半導体層とからなる一つの光電変換素子のことを意味する。前方光電変換ユニット2として非晶質シリコン系材料を選べば、約360〜800nmの光に対して感度を有し、後方光電変換ユニット3に結晶質シリコン系材料を選べばそれより長い約1200nmまでの光に対して感度を有する。したがって、光入射側から非晶質シリコン系材料の前方光電変換ユニット2、結晶質シリコン系材料の後方光電変換ユニット3の順で配置される薄膜光電変換装置5は、入射光をより広い範囲で有効利用可能となる。ただし、「シリコン系」の材料には、シリコンに加え、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなど、シリコンを含むシリコン合金半導体材料も含まれうる。
前方光電変換ユニット2は、例えばpin層の順にプラズマCVD法により各半導体層を積層して形成されうる。具体的には、例えば導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型非晶質シリコンカーバイド層を一導電型層21とし、真性非晶質シリコン層を光電変換層22とし、導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン層を逆導電型層23として、この順に堆積すればよい。この例の場合、非晶質シリコン光電変換ユニットが形成される。
後方光電変換ユニット3は、例えばpin層の順にプラズマCVD法により各半導体層を積層して形成されうる。具体的には、例えば導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン層を一導電型層31とし、真性結晶質シリコン層を光電変換層32とし、導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン層を逆導電型層33としてこの順に堆積すればよい。
図1において、光電変換ユニット3の上には、裏面電極層4が形成されている。裏面電極層としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrから選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも一層の金属層42を、スパッタリング法または真空蒸着法などにより形成することが好ましい。また、光電変換ユニット3と金属層42との間に、ITO(酸化インジウム錫)、SnO2、ZnO等に代表される導電性酸化物層41を形成することが好ましい。この導電性酸化物層41は、光電変換ユニット3と金属層42との間の密着性を高めるとともに、裏面電極4の光反射率を高め、さらに、光電変換ユニット層3の化学変化を防止する機能を有する。
以下、本発明による実施例を説明する。各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(比較例1)
本発明の比較例1として、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比がZn/O=1.00、バルクの化学量論組成比がZn/O=1.00となるZnO膜を形成した酸化亜鉛層を作製した。本実験例のおけるバルクの化学量論組成比は、エネルギー分散型蛍光エックス線分光分析法により評価したが、エックス線光電子分光分析法、オージェ電子分光分析法等によっても評価できる。また、界面近傍の組成比は、エックス線光電子分光分析法により評価したが、オージェ電子分光分析法等によっても評価できる。具体的には、厚み4mm、360mm×465mmのガラス基板の透光性基板11上に前記化学量論組成比を有する酸化亜鉛層12を低圧熱CVD法で形成した。この酸化亜鉛層12は、基板温度を160℃、圧力25Pa、気化したDEZ(ジエチル亜鉛)の流量200sccm、気化した水の流量800sccm、B26流量200sccm、水素流量400sccmで形成した。
形成した酸化亜鉛層を有する薄膜光電変換装置用基板1の上に、非晶質シリコン光電変換ユニット2、結晶質シリコン光電変換ユニット3、及び裏面電極層4を形成することで、積層型薄膜光電変換装置を作製した。さらに、レーザースクライブによって、図2に示す構造の集積型薄膜光電変換装置901を形成した。
具体的には、以下のように集積型薄膜光電変換装置901を形成した。波長1064nmのYAGレーザーを用いて、酸化亜鉛層12に分離溝903を形成し、その後、洗浄、乾燥を行った。
次に、比較例1で形成した酸化亜鉛層12の上に、厚さ10nmのp型微結晶シリコン層および厚さ15nmのp型非晶質シリコンカーバイド層からなる一導電型層21、厚さ350nmの真性非晶質シリコン層の光電変換層22、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層の逆導電型層23からなる非晶質光電変換ユニットの前方光電変換ユニット2を形成した。
続いて、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層の一導電型層31、厚さ2.5μmの真性結晶質シリコン層の光電変換層32、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層の逆導電型層33からなる結晶質シリコン光電変換層ユニットの後方光電変換ユニット3を順次プラズマCVD法で形成した。
次に、532nmの第二高調波のYAGレーザーを用いて、前方光電変換ユニット2、後方光電変換ユニット3を貫通して、接続溝905を形成した。
その次に、裏面電極層4として厚さ90nmのAlドープされたZnOの導電性酸化物層41と厚さ200nmのAgの金属層42をスパッタリング法にて順次形成した。
最後に、532nmの第二高調波のYAGレーザーを用いて、前方光電変換ユニット2、後方光電変換ユニット3、および裏面電極層4を貫通して、分離溝904を形成した。
このようにして得られた集積型薄膜光電変換装置901をエアマス1.5(AM1.5)の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定した。このときの薄膜光電変換装置の曲線因子(FF)が69.8%、開放電圧(Voc)が1.302V、短絡電流密度(Jsc)が12.53mA/cm2、変換効率が11.3%であった。
(実施例1)
本発明の実施例1として、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比がZn/O=1.02、バルクの化学量論組成比がZn/O=1.02となるZnO膜を形成した酸化亜鉛層を作製した。具体的には、厚み4mm、360mm×465mmのガラス基板の透光性基板11上に前記化学量論組成比を有する酸化亜鉛層12を低圧熱CVD法で形成した。この酸化亜鉛層12は、基板温度を160℃、圧力25Pa、気化したDEZの流量200sccm、気化した水の流量700sccm、B26流量200sccm、水素流量400sccmで形成した。
形成した酸化亜鉛層を有する薄膜光電変換装置用基板1を用いて、比較例1と同様な方法により集積型光電変換装置を作製し、AM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定した。このときの薄膜光電変換装置のFFが70.7%、Vocが1.323V、Jscが12.44mA/cm2、変換効率が11.6%であった。
(実施例2)
本発明の実施例2として、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比がZn/O=1.04、バルクの化学量論組成比がZn/O=1.04となるZnO膜を形成した酸化亜鉛層を作製した。具体的には、厚み4mm、360mm×465mmのガラス基板の透光性基板11上に前記化学量論組成比を有する酸化亜鉛層12を低圧熱CVD法で形成した。この透明電極層12は、基板温度を160℃、圧力25Pa、気化したDEZの流量200sccm、気化した水の流量600sccm、B26流量200sccm、水素流量400sccmで形成した。
形成した酸化亜鉛層を有する薄膜光電変換装置用基板1を用いて、比較例と同様な方法により集積型光電変換装置を作製し、AM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定した。このときの薄膜光電変換装置のFFが71.3%、Vocが1.346V、Jscが12.32mA/cm2、変換効率が11.8%であった。
(実施例3)
本発明の実施例3として、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比がZn/O=1.06、バルクの化学量論組成比がZn/O=1.06となるZnO膜を形成した酸化亜鉛層を作製した。具体的には、厚み4mm、360mm×465mmのガラス基板の透光性基板11上に前記化学量論組成比を有する酸化亜鉛層12を低圧熱CVD法で形成した。この酸化亜鉛層12は、基板温度を160℃、圧力25Pa、気化したDEZの流量200sccm、気化した水の流量500sccm、B26流量200sccm、水素流量400sccmで形成した。
形成した透明電極層を有する薄膜光電変換装置用基板1を用いて、比較例と同様な方法により集積型光電変換装置を作製し、AM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定した。このときの薄膜光電変換装置のFFが72.4%、Vocが1.353V、Jscが12.18mA/cm2、変換効率が11.9%であった。
(実施例4)
本発明の実施例4として、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比がZn/O=1.08、バルクの化学量論組成比がZn/O=1.08となるZnO膜を形成した酸化亜鉛層を作製した。具体的には、厚み4mm、360mm×465mmのガラス基板の透光性基板11上に前記化学量論組成比を有する酸化亜鉛層12を低圧熱CVD法で形成した。この酸化亜鉛層12は、基板温度を160℃、圧力25Pa、気化したDEZの流量200sccm、気化した水の流量400sccm、B26流量200sccm、水素流量400sccmで形成した。
形成した透明電極層を有する薄膜光電変換装置用基板を用いて、比較例と同様な方法により集積型光電変換装置を作製し、AM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定した。このときの薄膜光電変換装置のFFが73.1%、Vocが1.363V、Jscが11.99mA/cm2、変換効率が11.9%であった。
(実施例5)
本発明の実施例5として、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比がZn/O=1.10、バルクの化学量論組成比がZn/O=1.10となるZnO膜を形成した酸化亜鉛層を作製した。具体的には、厚み4mm、360mm×465mmのガラス基板の透光性基板11上に前記化学量論組成比を有する酸化亜鉛層12を低圧熱CVD法で形成した。この酸化亜鉛層12は、基板温度を160℃、圧力25Pa、気化したDEZの流量200sccm、気化した水の流量300sccm、B26流量200sccm、水素流量400sccmで形成した。
形成した酸化亜鉛層を有する薄膜光電変換装置用基板を用いて、比較例と同様な方法により集積型光電変換装置を作製し、AM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定した。このときの薄膜光電変換装置のFFが73.5%、Vocが1.361V、Jscが11.23mA/cm2、変換効率が11.2%であった。
(実施例6)
本発明の実施例6として、化学量論組成比が透光性基板近傍においてZn/O=1.00であり、酸化亜鉛層とp型半導体層との間の界面近傍においてZn/O=1.10となるよう制御されたZnOを形成した酸化亜鉛層を作製した。具体的には、厚み4mm、360mm×465mmのガラス基板の透光性基板11上に酸化亜鉛層12を低圧熱CVD法で形成した。この酸化亜鉛層12は、基板温度を160℃、圧力25Pa、気化したDEZの流量200sccm、B26流量200sccm、水素流量400sccmとし、水の流量に関しては、製膜開始時に700sccmとし、段階的に流量を下げて最終的に300sccmになるよう調整した。
形成した酸化亜鉛層を有する薄膜光電変換装置用基板を用いて、比較例と同様な方法により集積型光電変換装置を作製し、AM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定した。このときの薄膜光電変換装置のFFが72.9%、Vocが1.360V、Jscが12.27mA/cm2、変換効率が12.1%であった。
比較例1および実施例1から実施例6において作製した集積型薄膜光電変換装置の酸化亜鉛層の化学量論組成比、曲線因子、開放電圧、短絡電流密度、及び変換効率を表1及び図3〜6に示す。
Figure 2011171384
これらの結果は、酸化亜鉛層の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ただし、N>0)とすることでFF、Vocが改善することを示している。これは、酸化亜鉛層とp型半導体層の接合界面のおける電気特性(オーミック接触特性)の向上によると考えられる。また同時に、低圧熱CVD法により形成した酸化亜鉛層のピラミッド型表面テクスチャ形状は、水流量/DEZ流量の比率が高くなるほど崩れてくる。一般的に、鋭いピラミッド形状はVocを低下させることが報告されており、本実施例におけるVocの改善は、水流量/DEZ流量の比率が低くなったことによるテクスチャ形状の変化も起因していると考えられる。しかしながら、実施例5のようにZnOの化学量論組成比がZn:O=1+N:1(N≧0.10)になるとJscが著しく低下し始める傾向がある。これは、酸化亜鉛層の組成が金属的状態になることで透明性を失い、酸化亜鉛層のおける光吸収損失が生じたためと考えられる。したがって、酸化亜鉛層の化学量論組成比は、Zn:O=1+N:1(ただし、0<N<0.10)であることがより好ましいといえる。一方で、実施例6のように化学量論組成比に傾斜を持たせ、透光性基板近傍をZn/O=1.00とし、酸化亜鉛層と光電変換ユニットにおけるp型半導体層とのへテロ界面近傍をZn/O=1.10とすることでJscの低下を抑制しつつ、FF、Voc特性を改善することが出来る。つまり、酸化亜鉛層とp型半導体層の接合界面近傍のみを化学量論組成比がZn:O=1+N:1(0<N<0.10)となるよう制御することで透明性を維持しつつFF及びVocを改善し、変換効率を向上することが可能となることがわかる。
1 薄膜光電変換装置用基板
11 透光性基板
12 酸化亜鉛層
2 前方光電変換ユニット
21 p型半導体層
22 光電変換層
23 n型半導体層
3 後方光電変換ユニット
31 p型半導体層
32 光電変換層
33 n型半導体層
4 裏面電極層
41 導電性酸化物層
42 金属層
5 薄膜光電変換装置
901 集積型薄膜光電変換装置
902 光電変換セル
903 第1の分離溝
904 第2の分離溝
905 接続溝

Claims (3)

  1. 光入射側から順に、少なくとも酸化亜鉛層と、p型半導体層と、光電変換層と、裏面電極層とを備える光電変換装置であって、酸化亜鉛層とp型半導体層からなる界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ただし、N>0)としたことを特徴とする、光電変換装置。
  2. 前記界面近傍における酸化亜鉛の化学量論組成比をZn:O=1+N:1(ただし、0<N<0.10)としたことを特徴とする、請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記酸化亜鉛層におけるバルクの化学量論組成比が、Zn/O比が1.00を超えて1.08以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光電変換装置。
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