JPWO2012008042A1 - 植物ストレス耐性付与方法、ならびに植物ストレス耐性付与剤組成物およびその使用 - Google Patents

植物ストレス耐性付与方法、ならびに植物ストレス耐性付与剤組成物およびその使用 Download PDF

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Abstract

植物に対する様々なストレスが生じる環境において生育を促進するようなストレス耐性を植物に付与できる植物ストレス耐性付与方法を提供。メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体、カテキン類および水を含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む植物ストレス耐性付与方法である。また、本発明は、前記植物ストレス耐性付与剤組成物およびその使用を提供する。

Description

本発明は、植物ストレス耐性付与方法、ならびに植物ストレス耐性付与剤組成物およびその使用に関する。
地球上における陸地の約3分の1は乾燥地に属し、今後の温暖化からさらなる乾燥地の増加が予想される。また人口増加による深刻な食糧不足対策として、植物にとっての乾燥地域、塩類集積地域、高温、低温とされる地域、すなわち従来では生育が困難、あるいは生育が悪化し、収量が低下する地域において、植物の収量を改善、維持、増加する技術開発が急務となっている。
植物は自然界や人工的な環境において生育する際、温度(高温、低温、凍結)、強風、光強度(強光、弱光)、乾燥、無機物の毒性(塩類、重金属、アルミニウム等)、酸素不足、機械(土壌が硬い)、病害虫などの様々なストレスを受ける。しかし植物は、動物のように移動によって様々なストレスから自らを防御することができない。そこで植物は、ストレス耐性を獲得するため、ストレスを受けた場合、様々な物質を生体内に合成することが知られている。たとえば、プロリン、グリシンベタイン、糖類などの適合溶質である(非特許文献1)。また前記のストレスを受けた場合、植物はアブシジン酸等の老化ホルモンを生成し、生育を低下あるいは停止させ、その結果収量を低下させることが知られている。
このような植物のストレス耐性を向上する方法としては、選抜や育種による方法や、遺伝子組み替え(特許文献1参照)、糖類、有機酸類、アミノ酸類等の植物活力剤の施用などがある(特許文献2参照)。また、カテキン類が、植物成長促進剤として有効であることも知れている(例えば、特許文献3および4参照)。
特開2002−262885号公報 特開2005−192534号公報 特開平5−339117号公報 特開2003−113139号公報
「蛋白質 核酸 酵素」(共立出版) vol.44 No.15 PP54−65 1999
しかしながら、これら特許文献1および特許文献2に記載の方法はストレス耐性を若干付与させる程度であり、十分な効果は得られず、現在実用化されているものはない。
本発明の課題は、植物に対する様々なストレスが生じる環境において生育を促進するようなストレス耐性を植物に付与できる植物ストレス耐性付与方法、ならびに植物ストレス耐性付与剤組成物およびその使用を提供することである。
本発明は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体、カテキン類および水を含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む植物ストレス耐性付与方法である。
また、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体とカテキン類と水とを含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であり、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%である。
また、本発明の植物の生産方法は、本発明の植物ストレス耐性付与方法を含む。
また、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用は、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物にストレス耐性を付与するための本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用である。
本発明によれば、植物に対する様々なストレスが生じる環境において生育を促進するようなストレス耐性を植物に付与できる植物ストレス耐性付与方法、ならびに植物ストレス耐性付与剤組成物およびその使用が提供される。
本発明において、「植物」は、植物の文言自体から認識され得るもの、野菜、果実、果樹、穀物、種子、球根、草花、香草(ハーブ)、分類学上の植物等を表すものとする。
ある植物の適切な(ないしはそれに近い)生育環境(例えば、土壌中の塩濃度、温度、湿度等が指標となる)とは異なる環境で前記植物が栽培された場合、前記植物体内の生理代謝機能が減少し生育が阻害される現象が生じる。このような植物の状態を本発明において、「植物にストレスがかかる」または「植物にストレスが負荷される」という。
一般に、農作物などの栽培植物では、植物ごとに適切な栽培条件が知られている。植物がそのような適切な栽培条件ないしそれに近い条件で栽培されている場合は、植物にはストレスが負荷されない。本発明では、植物にストレスが負荷されているかどうかを、以下の植物ストレス率により判定する。すなわち、塩、乾燥、温度等のストレスとなり得る条件が適切な数値を超える条件で栽培されている場合の植物体重量(植物体重量1、ストレス下で栽培された植物体の重量)と、その条件からストレスとなる因子を除いた適切な条件(ストレスを与えない状態)で栽培した場合の植物体重量(植物体重量2、非ストレス下で栽培された植物体の重量)とから、以下の式(i)により植物ストレス率(%)を算出し、この数値が111%以上となる場合は、生育が10%(重量基準)以上低下することを意味し、ストレスが負荷された栽培条件であると判定される。本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、前記のとおり、この植物ストレス率が111〜200%の栽培条件にある植物に施用される。更に、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、前記植物ストレス率が、好ましくは120〜180%、より好ましくは120〜160%のストレス栽培条件にある植物に施用する。このような植物ストレス率のストレス栽培条件にある植物に前記植物ストレス耐性記付与剤組成物を用いると、植物ストレス耐性付与の観点からより顕著な効果が得られる。なお、前記植物ストレス率は、所定のストレス因子を有する現実の栽培条件下で栽培された植物体の重量を植物体重量1とし、その所定のストレス因子を除いた条件を実験室レベルで再現し、そのような条件下で栽培された植物体の重量を植物体重量2として、それらの結果を使い式(i)から算出することもできる。

植物ストレス率(%)=(植物体重量2/植物体重量1)×100 (i)
植物体重量1:ストレス下で栽培された植物体の重量
植物体重量2:非ストレス下で栽培された植物体の重量

植物体重量1は、ストレスを与えてから植物の生育が低下し、重量の低下としてストレスが反映される時点で測定されるのが好ましく、例えば、ストレスを与えて始めてから2週間後の時点で測定するのが好ましい。
栽培条件を特徴づけるパラメータによって、植物にかかるストレスを分類できる。土壌又は培養液中の塩濃度(後述するEC値を尺度とする)に起因するストレスは塩ストレス、土壌中の水分含有量(後述するpF値を尺度とする)に起因するストレスは乾燥ストレス、栽培環境の温度に起因するストレスは温度ストレス、土壌中のpHに起因するストレスはpHストレス、土壌中の酸素濃度に起因するストレスは酸素ストレス、物理的障害に起因するストレスは障害ストレス、病害虫に起因するストレスは病害虫ストレス、光強度に起因するストレスは光ストレス、土壌強度に起因するストレスは機械ストレス、接触に起因するストレスは接触刺激ストレス等と呼ぶことができる。
なお、熱帯地方で栽培される植物では、温度が25℃超35℃未満が温度ストレスのかからない栽培環境であり、乾燥地帯で栽培される植物では、pF値が2.7超4.2未満が、乾燥ストレスのかからない栽培環境である。これら熱帯地方および乾燥地方でストレスのかからない栽培環境で生育している植物を、後記する日本でのストレスがかからない栽培環境(温度が20℃超25℃未満、pF値が1.5超2.7未満)で栽培すると、温度ストレスおよび乾燥ストレスがそれぞれかかる状態になる。
日本で栽培される植物では、土壌栽培ではEC値が0.5mS/cm超1.2mS/cm未満が、水耕栽培ではEC値が0.6mS/cm超2.7mS/cm未満が、pF値が1.5超2.7未満が、温度が20℃超25℃未満が、それぞれ塩ストレス、乾燥ストレス、温度ストレスのかからない栽培環境である。本発明に係る植物ストレス耐性付与剤組成物を使用すると、熱帯地方や乾燥地帯で栽培される植物を、前記日本の栽培環境でも育成可能になることが期待される。
以下において、日本の栽培環境がストレスのかからない環境とする植物を例として本発明に係る植物ストレス耐性付与剤組成物の効果を説明する。
本発明において、「植物ストレス耐性付与剤組成物」とは、植物にストレスがかかる生育環境で植物に施用して、植物にかかるストレスを緩和するための組成物をいう。
本発明者らは、植物の適切な育成環境では、植物活力能がほとんど認められない特定のセルロース誘導体と、ストレス耐性付与能がほとんど認められないカテキン類とを主成分とする組成物が、前記植物にストレスがかかる環境で、予想を超えたストレス耐性を植物に付与することを新たに見出した。この知見に基づき、本発明者らは、ストレス下でも適切な育成環境における育成と遜色のない、植物の育成を達成させうる植物ストレス耐性付与方法および植物ストレス耐性付与剤組成物を完成した。
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物によれば、本来植物が適切に育成する季節および土壌とは異なる季節や土壌において、植物を良好に育成させることができる。従って、そのような植物を、特定の季節や特定の土壌によらずに、年間通じてどの土壌においても生産しうるという産業上の利益を提供できる。
即ち、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体とカテキン類と水とを含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%であることを特徴とする。また、植物ストレス耐性付与能が適切に発現するには、前記組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、好ましくは45.0〜99.4重量%、より好ましくは45.5〜99.4重量%、さらに好ましくは46.0〜99.4重量%である。
[セルロース誘導体]
本発明におけるセルロース誘導体としては、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類である。中でも植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはヒドロキシエチルセルロース(HEC)が好ましい。
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物中の前記セルロース誘導体の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として葉面散布する場合、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、50〜50,000ppmが好ましく、70〜10,000ppmがより好ましく、70〜5,000ppmがさらに好ましく、100〜1,500ppmがさらにより好ましく、100〜1,000ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、前記濃度は、同様の観点から、50〜50,000ppmが好ましく、70〜10,000ppmがより好ましく、70〜5,000ppmがさらに好ましく、100〜1,500ppmがさらにより好ましく、100〜1,000ppmがより好ましい。
[カテキン類]
本発明におけるカテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類、及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類をあわせた総称である。本発明におけるカテキン類は、Camellia属、例えばC.sinensis及びC.assaimica、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜入り茶等の緑茶類や、総称して鳥龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶、紅茶と呼ばれるダージリン、アッサム、スリランカ等の発酵茶の茶葉から、水や熱水により抽出して得ることができる。また、本発明におけるカテキン類は、溶液の形態、例えば、茶抽出物の濃縮物を媒体に溶解させた溶液、茶葉からの抽出液と茶抽出物の濃縮物との混合物の形態で用いてもよい。前記茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであって、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に詳細に例示されている方法で調製したものをいう。前記茶抽出物の濃縮物は、市販品としては、三井農林社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」、サントリー社製「サンウーロン」等が挙げられる。そのほか、カテキン類は、他の原料起源のもの、カラム精製品及び化学合成品でもよい。前記茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられる。茶抽出物の濃縮物を溶解する媒体は、水、炭酸水、市販されているレベルのカテキン類を含有する茶類等が挙げられる。
前記植物ストレス耐性付与剤組成物中のカテキン類の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として、葉面散布する場合、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、0.01〜5,000ppmが好ましく、0.1〜1,000ppmがより好ましく、1〜1000ppmが更に好ましく、8〜700ppmがさらにより好ましく、9〜500ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、前記濃度は、同様の観点から、0.01〜5,000ppmが好ましく、0.1〜1,000ppmがより好ましく、1〜1000ppmが更に好ましく、8〜700ppmがさらにより好ましく、9〜500ppmがより好ましい。また、植物ストレス耐性付与能が適切に発現するには、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、カテキン類の含有量が、好ましくは0.5〜55.0重量%、より好ましくは0.8〜55.0重量%、より好ましくは0.8〜54.5重量%、更に好ましくは1.0〜54.0重量%である。
また、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、植物ストレス耐性付与剤組成物中の、前記セルロース誘導体と前記カテンキンの含有量の比(セルロース誘導体/カテンキン)は、0.7〜500が好ましく、0.8〜300がより好ましく、0.8〜200がさらに好ましく、0.8〜100が更により好ましく、0.8〜80がさらにより好ましい。
[界面活性剤]
本発明では、植物表面へのセルロース誘導体の濡れ性、付着性、または浸透性を向上させるため、必要により、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を用いることで、その結果、セルロース誘導体の効果を増強させ、あるいは効率よく効果を発揮することで本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物におけるセルロース誘導体の使用濃度を低減することができる。
このような界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系及びリン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。前記陰イオン界面活性剤としては、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、カルボン酸系及びリン酸エステル系界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。
前記カルボン酸系界面活性剤としては、例えば炭素数6〜30の脂肪酸又はその塩、多価カルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテルカルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩、エステル化化工澱粉等が挙げられる。前記カルボン酸系界面活性剤としては、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、エステル化化工澱粉、更にアルケニルコハク酸化化工澱粉が好ましい。
前記スルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸の縮合物塩、ナフタレンスルホン酸の縮合物塩等が挙げられる。
前記硫酸エステル系界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩等が挙げられる。
前記リン酸エステル系界面活性剤としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、アルキルフェニルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩等が挙げられる。塩としては、例えばアンモニウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸系、イミダゾリン系、アミンオキサイド系が挙げられる。
前記アミノ酸系両性界面活性剤としては、例えばアシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩等が挙げられる。
前記アミンオキサイド系両性界面活性剤としては、例えばアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジエタノールアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルアミンオキサイド等が挙げられる。
前記植物ストレス耐性付与剤組成物中の界面活性剤の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として、葉面散布する場合、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、0.1〜10,000ppmが好ましく、1〜5,000ppmがより好ましく、更に10〜1,000ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、前記濃度は同様の観点から、0.01〜5,000ppmが好ましく、0.1〜1,000ppmがより好ましく、更に1〜500ppmが好ましい。
また、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記界面活性剤の含有量は、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、0.1〜25重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
[キレート剤]
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、さらにキレート剤を含んでもよい。キレート剤を含むと、前記セルロース誘導体と水とを含有する本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物の安定性を飛躍的に向上でき、その結果、前記植物ストレス耐性付与剤組成物のストレス耐性付与効果を安定させることができる。前記キレート剤としては、例えば、キレート能を有する有機酸又はその塩が挙げられる。具体的には、前記キレート剤は、例えば、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸の塩、オキシカルボン酸の塩等が挙げられる。前記多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸等が挙げられる。前記オキシカルボン酸としては、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ヘプトン酸、乳酸、酒石酸等が挙げられる。前記多価カルボン酸の塩としては、多価カルボン酸と、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)、脂肪族アミン等との塩が挙げられる。前記オキシカルボン酸の塩としては、オキシカルボン酸と、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)、アルカノールアミン、脂肪族アミン等との塩が挙げられる。また、前記キレート剤は、無機キレート剤と混合してもよい。前記無機キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)もしくはその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)もしくはその塩、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸一水和物(CDTA)もしくはその塩等のアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。
前記植物ストレス耐性付与剤組成物中の前記キレート剤の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として、葉面散布する場合、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、0.1〜10000ppmが好ましく、1〜5000ppmがより好ましく、更に10〜1000ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、前記濃度は、同様の観点から、0.1〜10000ppmが好ましく、1〜5000ppmがより好ましく、更に10〜1000ppmが好ましい。
また、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記キレート剤の含有量は、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、0.1〜25重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
[肥料成分]
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、さらに肥料成分を含んでもよい。前記肥料成分としては、例えば、有機物およびN、P、K、Ca、Mg、S、B、Fe、Mn、Cu、Zn、Mo、Cl、Si、Na等、更にN、P、K、Ca、Mgの供給源となる無機物が挙げられる。そのような無機物としては、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素、炭酸アンモニウム、リン酸カリウム、過リン酸石灰、熔成リン肥(3MgO・CaO・P25・3CaSiO2)、硫酸カリウム、塩カリ、硝酸石灰、消石灰、炭酸石灰、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また、有機物としては、鶏フン、牛フン、バーク堆肥、ペプトン、ミエキ、発酵エキス等が挙げられる。これら肥料成分は界面活性剤と併用することもできる。養液土耕や水耕栽培のように、元肥の過剰施用を避け、肥料成分をかん水と同様に与えるようなタイプの栽培形態については、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物はさらに肥料成分を含むのが好ましい。
前記植物ストレス耐性付与剤組成物中の前記肥料成分の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として、葉面散布する場合、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ0.1〜5,000ppmが好ましく、1〜1,000ppmがより好ましく、更に10〜500ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、同様の観点から、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ0.1〜5,000ppmが好ましく、1〜1,000ppmがより好ましく、10〜500ppmが好ましい。また、肥料成分を複数種類含む場合、その肥料成分全てを加算した濃度は、葉面散布する場合、同様の観点から、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ1〜10,000ppmが好ましく、10〜5,000ppmがより好ましく、50〜2,000ppmがより好ましい。肥料成分を複数種類含む場合、その肥料成分全てを加算した濃度は、土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、同様の観点から、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ1〜10,000ppmが好ましく、10〜5,000ppmがより好ましく、更に50〜2,000ppmがより好ましい。
また、前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記肥料成分の含有量は、植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、好ましくは0.1〜90重量%、より好ましくは1〜50重量%である。
本発明の植物ストレス耐性付与方法は、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が、111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む。前記方法において、前記植物ストレス耐性付与剤組成物は、前記植物の地上部(例えば葉面)および/または地下部に施用してもよく、植物にストレス耐性付与を効果的行う観点から、前記植物の地上部に施用するのが好ましい。
また、植物にストレス耐性が付与されているかどうかは、前記植物ストレス率を算出する際に用いた、ストレス下で(植物ストレス耐性付与剤組成物を用いないで)栽培された植物体の重量(植物体重量1)と、ストレス下で本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を地下部または地上部に施用して栽培した植物体の重量(植物体重量3)とから、以下の式(ii)により植物ストレス耐性付与率(%)を算出し、判断することができる。植物ストレス耐性付与率は、100%を超えれば植物にストレス耐性が付与されていることになるが、105%以上となることが好ましく、111%以上となることがより好ましい。

植物ストレス耐性付与率(%)=(植物体重量3/植物体重量1)×100 (ii)

植物体重量3:ストレス下で植物ストレス耐性付与剤組成物を用いて栽培された植物体の重量
植物体重量1:ストレス下で植物ストレス耐性付与剤組成物を用いないで栽培された植物体の重量
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いることにより、塩、温度、乾燥といったストレス因子のある栽培条件で栽培した場合に、110%を超える植物ストレス耐性付与率を達成することができる。
また、本発明では、特定の化合物がストレス耐性を付与できるかどうかの判定基準として、下記標準試験における標準植物ストレス耐性付与率が好ましくは111%以上であることが挙げられる。圃場など、実際の栽培では、多様なストレスが植物にかかるが、この標準試験は、ストレスがかかる環境を特定し、実験室レベルで再現して、試験化合物のストレス耐性の付与効果を試験するものである。この標準植物ストレス耐性付与率が好ましくは111%以上の植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物の地上部または地下部に施用することができる。ここでは、ストレスとして塩ストレス及び乾燥ストレスを例として標準試験を以下に記す。
[標準試験]
(I)植物の準備
培土(肥料成分;N:P:K=0.4:1.9:0.6(g)/培土1kg)を50穴セルトレイに詰め、植物の種子を播種し、その上に培土を薄く覆土し、十分に水を灌水し発芽させる。2葉期の葉が完全に展開した段階で、植物の根部の土を流水で洗い流し、得られた植物を試験に供する。培土としては、呉羽化学社製のクレハ園芸培土等を用いることができる。
(II)試験条件の設定

温度23℃、相対湿度50%、照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を制御する。このような環境条件は、例えば、温度及び相対湿度を制御できる部屋または人工気象器において温度を調節し、また、蛍光灯等により照度を調節することで得られる。塩ストレス耐性付与試験においては、前記準備による植物を水耕液〔水道水にNaClを濃度が3510ppmとなるように加えたもの(NaClによる水ポテンシャル0.29MPa)〕250mlの入った容器(例えばポリエチレン製容器等)に植える。乾燥ストレス耐性付与試験においては前記準備による植物を乾燥試験用土壌〔水道水にてpF値が2.8となるように調整したもの〕500mlの入った容器(例えば塩化ビニル製ポット等)に植える。
(III−1)塩ストレス耐性付与試験における植物ストレス耐性付与剤組成物による処理
以下の試験区、対照区1、及び対照区2を作成する。試験区、対照区1および対照区2について、準備された植物をそれぞれ10株(計30株)用意し、それぞれの区において2週間水耕栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出する。なお、水分散液の調製の際には植物への影響が少ない前記界面活性剤等を更に含んでもよい。
試験区:試験化合物〔セルロース誘導体及びカテキン〕の水溶液又は水分散液(濃度100ppm)を植物1株あたり10ml、葉面に散布処理する。
対照区1:水耕液にNaClを添加する(塩ストレスを与える。NaCl濃度は3510ppm)が、植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
対照区2:水耕液にNaClを添加せず(塩ストレスを与えず)、且つ植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
(IV−1)塩ストレス耐性付与試験における標準植物塩ストレス耐性付与率(%)の算出
得られた植物体全体の重量の平均値から、以下のように標準植物塩ストレス耐性付与率を計算する〔式(ii’)〕。
標準植物塩ストレス耐性付与率(%)=(試験区の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (ii’)
なお、前記標準試験における植物ストレス率(標準植物塩ストレス率)は130%近傍となる。この場合、標準植物塩ストレス率は下記の式(i’)により算出できる。
標準植物塩ストレス率(%)=(対照区2の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (i’)
(III−2)乾燥ストレス耐性付与試験における植物ストレス耐性付与剤組成物による処理
以下の試験区、対照区1、及び対照区2を作成する。試験区、対照区1および対照区2について、準備された植物をそれぞれ10株(計30株)用意し、それぞれの区において2週間栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出する。なお、水分散液の調製の際には植物への影響が少ない前記界面活性剤等を更に含んでもよい。
試験区:乾燥試験用土壌〔水道水にてpF値が2.8となるように調整したもの〕に植物を植えた後、試験化合物〔セルロース誘導体及びカテキン〕の水溶液又は水分散液(濃度100ppm)を植物1株あたり10ml、葉面に散布処理する。
対照区1:乾燥試験用土壌〔水道水にてpF値が2.8となるように調整したもの〕に植物を植えた後、水道水を与えず(乾燥ストレスを与える)、かつ植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
対照区2:前記乾燥試験用土壌に植物を植えた後、水道水を与え(乾燥ストレスを与えず)、且つ植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
(IV−2)乾燥ストレス耐性付与試験における標準植物乾燥ストレス耐性付与率(%)の算出
得られた植物体全体の重量の平均から、以下のように標準植物乾燥ストレス耐性付与率を計算する〔式(ii’’)〕。
標準植物乾燥ストレス耐性付与率(%)=(試験区の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (ii’’)
なお、前記標準試験における植物ストレス率(標準植物乾燥ストレス率)は150%近傍となる。この場合、標準植物乾燥ストレス率は下記の式(i’’)により算出できる。
標準植物乾燥ストレス率(%)=(対照区2の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (i’’)
前記ストレス栽培条件は、好ましくは、栽培環境中の、塩濃度に起因する塩ストレス、水分含有量に起因する乾燥ストレス、及び温度に起因する温度ストレスからなる群から選択される少なくとも1つのストレス因子を含む栽培条件である。
土壌栽培や水耕栽培において肥料等の塩類の集積により栽培溶液中の浸透圧が上昇し植物の吸水が阻害される結果、生育が阻害される現象が生じる。こうした状態は、一般に植物に塩ストレスがかかった状態と認識される。具体的には、塩ストレスが存在する条件とは、例えば水耕栽培における水耕養液の塩による浸透圧ポテンシャルや土壌栽培における土壌中の塩による浸透圧ポテンシャルが0.2MPa(NaCl濃度では2400ppm)以上、更には0.25MPa以上、より更には0.30MPa以上である。本発明によれば、このような浸透圧ポテンシャルを示す条件でも植物が適正に生育する耐性を付与することができる。浸透圧ポテンシャルは、土壌栽培においては、土壌を水で希釈して上澄み液の塩のイオンモル濃度を分析し、以下のラウールの法則により計算する。
ラウールの法則 π(atm)=cRT
R=0.082(L・atm/mol・K)
T=絶対温度(K)
c=イオンモル濃度(mol/L)
1atm=0.1MPa
前記塩ストレスは、例えば、土壌栽培におけるEC値が1.2mS/cm〜3.4mS/cm、または水耕栽培におけるEC値が2.7mS/cm〜5.0mS/cmの塩ストレスである。前記EC値とは、塩類イオン濃度の指標で、溶液の比抵抗の逆数をいい、溶液1cm間における比抵抗値の逆数をmSとして表す。EC値は、土壌栽培の場合は風乾土の重量1に対して蒸留水5の割合に希釈した溶液、水耕栽培の場合は希釈しない溶液の電気伝導度を電気伝導度計にて測定して得られる。
また、土壌栽培において、降雨量や灌水量の減少により土壌中の水分含有量が減少し、植物の吸水が阻害される結果、生育が阻害される現象が生じる。こうした状態は、一般に植物に乾燥ストレスがかかった状態と認識される。具体的には、乾燥ストレスが存在する条件とは、植物が栽培されている土壌のpF値が、土壌水として重力水が認識できなくなる状態を意味する1.7以上、更には2.3以上、より更には2.5以上である。本発明によれば、このようなpF値を示す条件でも植物が適正に生育する耐性を付与することができる。前記乾燥ストレスが存在する条件とは、pF値が、例えば2.7〜4.2、更には2.7〜4.1、より更には3.0〜4.1の乾燥ストレスである。pF値は、「土壌・植物栄養・環境事典」(大洋社、1994年、松坂ら)の61〜62頁に記載のpF値測定法の原理に基づいた土壌水分計(たとえば大起理化工業社製 pFメータ DIK−8343等)により測定することができる。
また、栽培環境に関して、ある植物の適切な生育温度よりも高い温度あるいは低い温度に植物が暴露された場合、生体内の生理代謝機能が減少し生育が阻害される現象が生じる。こうした状態は、一般に植物に温度ストレスがかかった状態である。具体的には、温度ストレスが存在する条件とは、植物が栽培されている環境における平均栽培温度が25℃以上、更には28℃以上40℃以下、より更には32℃以上40℃以下であるか、又は20℃以下、更には5℃以上17℃以下、より更には5℃以上15℃以下である。本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物によれば、このような平均栽培温度を示す条件でも植物に適正に生育する耐性を付与することができる。ここで平均栽培温度とは、栽培期間(播種から生育終了までの期間)において昼夜問わず1時間おきに測定した栽培温度の平均値である。
本発明によりストレス耐性を付与できる植物としては、果菜類、葉菜類、根菜類、稲、麦類、花卉類等が挙げられる。前記果菜類としては、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン、ソラマメ、エンドウ、エダマメ、トウモロコシ等が挙げられる。前記葉菜類としては、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セルリー、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等が挙げられる。前記根菜類としては、ダイコン、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等が挙げられる。前記麦類としてはコムギ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、ライコムギ等が挙げられる。
本発明の植物の生産方法は、前記植物ストレス耐性付与方法を含む。具体的には、本発明の植物の生産方法は、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む。このような生産方法により、ストレス条件における植物を効率よく生産することができる。
<実施例1:塩ストレス耐性付与試験(トウモロコシ)>
[試験方法]
(1)A.土壌栽培
以下の試験No.の条件下かつ、下記の栽培条件の下、下記準備した植物を栽培した。
試験No:参考(1)(参考例条件(塩ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC値:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(1)、(2)および(3)(実施例条件(塩ストレス条件))
栽培温度:23℃、
EC値:1.3mS/cm(試験(1))、2.0mS/cm(試験(2))、3.0mS/cm(試験(3))
pF値:1.7(毛管飽和状態)。
(2)B.水耕栽培
以下の試験No.の条件下かつ、下記の栽培条件の下、下記準備した植物を栽培した。
試験No:参考(2)(参考例条件(塩ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC値:1.3mS/cm(大塚1/2A処方)
試験No:試験(4)、(5)および(6)(実施例条件(塩ストレス条件))
栽培温度:23℃、
EC値:2.7mS/cm(試験(4))、3.9mS/cm(試験(5))、4.8mS/cm(試験(6))。
(3)栽培条件
照度:5000Lux(蛍光灯)、明/暗周期:16hr/8hr
使用水耕液:大塚1/2A処方条件:(大塚ハウス1号(N:P:K=10:8:27)7.5g/10L、大塚ハウス2号(N:P:K:Ca=10:0:0:23)5g/10Lの配合液でありトータル窒素(N成分)130ppm、燐酸(P成分)60ppm、カリウム(K成分)203ppm)。
栽培期間:2週間。
(4)植物の準備:呉羽化学社製のクレハ園芸培土(肥料成分;N:P:K=0.4:1.9:0.6(g)/培土1kg)を50穴セルトレイに詰め、植物の種子(トウモロコシ“ワイキキ”、コムギ“ホクシン”)を播種し、クレハ園芸培土を薄く覆土し、十分に水を灌水し発芽させる。2葉期の葉が完全に展開した段階で、根部の土を丁寧に流水で洗い流し、試験に供した。
(5)供試薬剤:
カテキン:試薬(和光純薬工業社製)
セルロース誘導体:
ヒドロキシプロピルセルロース(1):NISSO HPC-L(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(2):NISSO HPC-SSL(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(3):NISSO HPC-SL(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(4):NISSO HPC-M(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(5):NISSO HPC-H(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1):メトローズ60SH-03(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2):メトローズ60SH-50(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(3):メトローズ60SH-10000(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(4):メトローズ65SH-15000(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5):メトローズ90SH-15000(信越化学工業社製)
メチルセルロース(1):メトローズSM-04(信越化学工業社製)
メチルセルロース(2):メトローズSM-8000(信越化学工業社製)
ヒドロキシエチルメチルセルロース:メトローズSEB-4000(信越化学工業社製)
ヒドロキシエチルセルロース: HECダイセルSP-200(ダイセル化学社製)
カルボキシメチルセルロースNa:CMCダイセル1190(ダイセル化学社製)
パラフィン:試薬(和光純薬工業社製)
(6)土壌栽培試験における植物塩ストレス率の測定
下記に従い植物塩ストレス率を測定した。
土壌栽培における環境条件は、人工気象器において温度23℃、相対湿度50%、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に調整した。前記準備によるトウモロコシをそれぞれ10株(計20株)用意し、試験(1)〜(3)または参考(1)のそれぞれにおけるEC値に調節した土壌の入った3号ポット(9cm)に植えた。2週間、植物を土壌栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出した。その植物体重量と、下記式(i−1)を用いて、植物塩ストレス率を算出した。試験(1)〜(3)および参考(1)におけるEC値、pF値、得られた植物体重量および植物塩ストレス率を下記表1aに示す。

植物塩ストレス率(%)=(参考(1)の植物体重量/試験(1)〜(3)のいずれかの植物体重量)×100 (i−1)

Figure 2012008042

表1aに示すとおり、それぞれの植物塩ストレス率は、試験(1)が120%、試験(2)が140%、試験(3)が200%、参考(1)が100%であった。
(7)A.土壌栽培試験
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。前記準備によるトウモロコシを前記試験No.の条件の土壌を含む3号(9cm)ポットに移植した。試験期間中、塩ストレスを所定の値にするため10%NaCl溶液を1日1回適量添加することでEC値の調節を行った。表1に記載のセルロース誘導体およびカテキン成分を所定濃度で含有する植物ストレス耐性付与剤組成物(残部は水)を調製し、葉面散布した。各試験区(試験No.)の条件を表1に示す。また、各試験区はそれぞれ試験植物として10個体用意し、各試験区において2週間栽培した。植物ストレス耐性付与率は、試験開始2週間後の各個体の植物体重量の平均値を計算し、各EC値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。ストレスが生じない適切な栽培条件として参考例(参考(1))を作成し、植物活力性能を調べた。
得られた結果を表1に示す。その結果、表1に示すように、いずれも、参考例のストレスがない条件(参考(1))では生育効果が現れていないのに対し、EC値の高い塩ストレス条件(試験(1)、試験(2)、試験(3))では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高いことが確認できた。また本発明品と比較品(比較例:本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いない例)を比べても各塩ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高いことが確認できた。
(8)水耕栽培試験における植物塩ストレス率の測定
下記に従い、植物塩ストレス率を測定した。
水耕栽培における環境条件は、人工気象器において温度23℃、相対湿度50%、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に調整した。前記準備によるトウモロコシをそれぞれ10株(計20株)用意し、試験(4)〜(6)または参考(2)のそれぞれにおけるEC値に調節した水耕液の入ったポリエチレンボトル250mlに植えた。各EC値は1/2大塚A処方のEC値1.3を基準とし、適宜比例計算で肥料濃度を増加させ調節した。2週間、植物を水耕栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出した。その植物体重量と、下記式(i−2)を用いて、植物塩ストレス率を算出した。試験(4)〜(6)および参考(2)におけるEC値、得られた植物体重量および植物塩ストレス率を下記表1bに示す。

植物塩ストレス率(%)=(参考(2)の植物体重量/試験(4)〜(6)のいずれかの植物体重量)×100 (i−2)

Figure 2012008042

表1bに示すとおり、それぞれの植物塩ストレス率は、試験(4)が120%、試験(5)が140%、試験(6)が200%、参考(2)が100%であった。
(9)B.水耕栽培試験
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。前記準備によるトウモロコシを各EC値に調節した水耕液の入ったポリエチレンボトル250mlに植えた。各EC値は1/2大塚A処方のEC値1.3を基準とし、適宜比例計算で肥料濃度を増加させ調節した。表1に記載のセルロース誘導体およびカテキン成分を所定濃度で含有する植物ストレス耐性付与剤組成物(残部は水)を調製し、葉面散布した。各試験区(試験No.)の条件を表1に示す。また、各試験区はそれぞれ試験植物として10個体用意し、各試験区において2週間栽培した。植物ストレス耐性付与率は、試験開始2週間後の各個体の植物体重量の平均値を計算し、各EC値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。またストレスが生じない適切な栽培条件として参考例(参考(2))を作成し、植物活力性能を調べた。
得られた結果を表1に示す。その結果、表1に示すように、いずれも、参考例のストレスがない条件(参考(2))では生育効果が現れていないのに対し、EC値の高い塩ストレス条件(試験(4)、試験(5)、試験(6))では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高いことが確認できた。また本発明品と比較品(比較例:本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いない例)を比べても各塩ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高いことが確認できた。
Figure 2012008042
<実施例2:乾燥ストレス耐性付与試験>
[試験条件]
(1)A.土壌栽培(クレハ培土栽培)
以下の試験No.の条件下かつ、下記の栽培条件の下、下記準備した植物を栽培した。
試験No:参考(3)(参考例条件(乾燥ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC値:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(7)、(8)および(9)(実施例条件(乾燥ストレス条件))
栽培温度:23℃、
EC値:1.0(クレハ培土栽培)、
pF値:2.8(試験(7))、3.5(試験(8))、4.1(試験(9))
その他の条件は実施例1に準じた。
(6)土壌栽培試験における植物乾燥ストレス率の測定
下記に従い、植物乾燥ストレス率を測定した。
土壌栽培における環境条件は、人工気象器において温度23℃、相対湿度50%、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に調整した。前記準備によるコムギをそれぞれ10株(計20株)用意し、試験(7)〜(9)または参考(3)のそれぞれにおけるpF値に調節した乾燥試験用土壌500mlの入った3号ポット(9cm)に植えた。試験期間中、乾燥ストレスを所定の値にするため水道水を1日1回適量添加することでpF値の調節を行った。2週間、植物を土壌栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出した。その植物体重量と、下記式(i−3)を用いて、植物乾燥ストレス率を算出した。試験(7)〜(9)および参考(3)におけるpF値、EC値、得られた植物体重量および植物乾燥ストレス率を下記表2aに示す。

植物乾燥ストレス率(%)=(参考(3)の植物体重量/試験(7)〜(9)の植物体重量)×100 (i−3)

Figure 2012008042

表2aに示すとおり、それぞれの植物乾燥ストレス率は、試験(7)が130%、試験(8)が150%、試験(9)が200%、参考(3)が100%であった。
(3)土壌栽培試験
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。前記準備によるコムギを前記試験No.の条件の土壌を含む3号(9cm)ポットに移植した。試験期間中、乾燥ストレスを所定の値にするため水道水を1日1回適量添加することでpF値の調節を行った。表2に記載のセルロース誘導体およびカテキン成分の所定濃度で含有する植物ストレス耐性付与剤組成物(残部は水)を調製し、葉面散布した。各試験区(試験No.)の条件を表2に示す。また、各試験区はそれぞれ試験植物として10個体用意し、各試験区において2週間栽培した。植物ストレス耐性付与率は、試験開始2週間後における各個体の植物体重量の平均値を計算し、各pF値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。乾燥ストレスが生じない適切な栽培条件として参考例(参考(3))を作成し、植物活力性能を調べた。
なお、植物乾燥ストレス率は、前記標準試験において、所定の乾燥ストレスを与える条件(試験(7)、試験(8)または試験(9))を対照区1とし、その所定の乾燥ストレスを除いた条件(参考(3))を対照区2として、それらの結果と前記式(i’’)を使い算出した。それぞれの植物乾燥ストレス率は、試験(7)が130%、試験(8)が150%、試験(9)が200%であった。
得られた結果を表2に示す。その結果、表2に示すように、いずれも、参考例の乾燥ストレスが生じない条件(参考(3))では生育効果が現れていないのに対し、pF値の高い乾燥ストレス条件(試験(7)、試験(8)、試験(9))では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高かった。また本発明品と比較品(比較例:本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いない例)を比べても各乾燥ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高いことが確認できた。
Figure 2012008042
本発明の植物ストレス耐性付与方法および植物ストレス耐性付与剤は、例えば寒冷地や熱帯地方における農業において有用である。

Claims (10)

  1. メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体、カテキン類および水を含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、
    前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む植物ストレス耐性付与方法。
  2. 前記ストレス栽培条件が、栽培環境中の、塩濃度に起因する塩ストレス、水分含有量に起因する乾燥ストレス、及び温度に起因する温度ストレスからなる群から選択される少なくとも1つのストレス因子を含む栽培条件である請求項1に記載の植物ストレス耐性付与方法。
  3. 前記塩ストレスが、土壌栽培におけるEC値が1.2mS/cm〜3.4mS/cm、または水耕栽培におけるEC値が2.7mS/cm〜5.0mS/cmの塩ストレスであり、
    前記乾燥ストレスが、pF値が2.7〜4.2の乾燥ストレスであり、
    前記温度ストレスが、平均栽培温度が28〜40℃又は5〜17℃の温度ストレスである請求項2に記載の植物ストレス耐性付与方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の植物ストレス耐性付与方法を含む植物の生産方法。
  5. メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体、カテキン類および水を含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、
    前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物。
  6. 前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記カテキン類の含有量が、0.5〜55.0重量%である請求項5記載の植物ストレス耐性付与剤組成物。
  7. 植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物にストレス耐性を付与するための請求項5または6に記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。
  8. 前記ストレス栽培条件が、栽培環境中の、塩濃度に起因する塩ストレス、水分含有量に起因する乾燥ストレス、及び温度に起因する温度ストレスからなる群から選択される少なくとも1つのストレス因子を含む栽培条件である請求項7に記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。
  9. 前記塩ストレスが、土壌栽培におけるEC値が1.2mS/cm〜3.4mS/cm、または水耕栽培におけるEC値が2.7mS/cm〜5.0mS/cmの塩ストレスであり、
    前記乾燥ストレスが、pF値が2.7〜4.2の乾燥ストレスであり、
    前記温度ストレスが、平均栽培温度が28℃〜40℃又は5℃〜17℃の温度ストレスである請求項7または8に記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。
  10. 前記植物が、果菜類、葉菜類、根菜類、稲、麦類、および花卉類からなる群から選択される少なくとも1種である請求項7〜9のいずれかに記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。
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