JPWO2012008042A1 - 植物ストレス耐性付与方法、ならびに植物ストレス耐性付与剤組成物およびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
植物ストレス率(%)=(植物体重量2/植物体重量1)×100 (i)
植物体重量1:ストレス下で栽培された植物体の重量
植物体重量2:非ストレス下で栽培された植物体の重量
植物体重量1は、ストレスを与えてから植物の生育が低下し、重量の低下としてストレスが反映される時点で測定されるのが好ましく、例えば、ストレスを与えて始めてから2週間後の時点で測定するのが好ましい。
本発明におけるセルロース誘導体としては、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類である。中でも植物ストレス耐性付与能を適切に発現させる観点から、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはヒドロキシエチルセルロース(HEC)が好ましい。
本発明におけるカテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類、及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類をあわせた総称である。本発明におけるカテキン類は、Camellia属、例えばC.sinensis及びC.assaimica、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜入り茶等の緑茶類や、総称して鳥龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶、紅茶と呼ばれるダージリン、アッサム、スリランカ等の発酵茶の茶葉から、水や熱水により抽出して得ることができる。また、本発明におけるカテキン類は、溶液の形態、例えば、茶抽出物の濃縮物を媒体に溶解させた溶液、茶葉からの抽出液と茶抽出物の濃縮物との混合物の形態で用いてもよい。前記茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであって、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に詳細に例示されている方法で調製したものをいう。前記茶抽出物の濃縮物は、市販品としては、三井農林社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」、サントリー社製「サンウーロン」等が挙げられる。そのほか、カテキン類は、他の原料起源のもの、カラム精製品及び化学合成品でもよい。前記茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられる。茶抽出物の濃縮物を溶解する媒体は、水、炭酸水、市販されているレベルのカテキン類を含有する茶類等が挙げられる。
本発明では、植物表面へのセルロース誘導体の濡れ性、付着性、または浸透性を向上させるため、必要により、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を用いることで、その結果、セルロース誘導体の効果を増強させ、あるいは効率よく効果を発揮することで本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物におけるセルロース誘導体の使用濃度を低減することができる。
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、さらにキレート剤を含んでもよい。キレート剤を含むと、前記セルロース誘導体と水とを含有する本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物の安定性を飛躍的に向上でき、その結果、前記植物ストレス耐性付与剤組成物のストレス耐性付与効果を安定させることができる。前記キレート剤としては、例えば、キレート能を有する有機酸又はその塩が挙げられる。具体的には、前記キレート剤は、例えば、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸の塩、オキシカルボン酸の塩等が挙げられる。前記多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸等が挙げられる。前記オキシカルボン酸としては、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ヘプトン酸、乳酸、酒石酸等が挙げられる。前記多価カルボン酸の塩としては、多価カルボン酸と、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)、脂肪族アミン等との塩が挙げられる。前記オキシカルボン酸の塩としては、オキシカルボン酸と、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)、アルカノールアミン、脂肪族アミン等との塩が挙げられる。また、前記キレート剤は、無機キレート剤と混合してもよい。前記無機キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)もしくはその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)もしくはその塩、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸一水和物(CDTA)もしくはその塩等のアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、さらに肥料成分を含んでもよい。前記肥料成分としては、例えば、有機物およびN、P、K、Ca、Mg、S、B、Fe、Mn、Cu、Zn、Mo、Cl、Si、Na等、更にN、P、K、Ca、Mgの供給源となる無機物が挙げられる。そのような無機物としては、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素、炭酸アンモニウム、リン酸カリウム、過リン酸石灰、熔成リン肥(3MgO・CaO・P2O5・3CaSiO2)、硫酸カリウム、塩カリ、硝酸石灰、消石灰、炭酸石灰、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また、有機物としては、鶏フン、牛フン、バーク堆肥、ペプトン、ミエキ、発酵エキス等が挙げられる。これら肥料成分は界面活性剤と併用することもできる。養液土耕や水耕栽培のように、元肥の過剰施用を避け、肥料成分をかん水と同様に与えるようなタイプの栽培形態については、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物はさらに肥料成分を含むのが好ましい。
植物ストレス耐性付与率(%)=(植物体重量3/植物体重量1)×100 (ii)
植物体重量3:ストレス下で植物ストレス耐性付与剤組成物を用いて栽培された植物体の重量
植物体重量1:ストレス下で植物ストレス耐性付与剤組成物を用いないで栽培された植物体の重量
(I)植物の準備
培土(肥料成分;N:P:K=0.4:1.9:0.6(g)/培土1kg)を50穴セルトレイに詰め、植物の種子を播種し、その上に培土を薄く覆土し、十分に水を灌水し発芽させる。2葉期の葉が完全に展開した段階で、植物の根部の土を流水で洗い流し、得られた植物を試験に供する。培土としては、呉羽化学社製のクレハ園芸培土等を用いることができる。
温度23℃、相対湿度50%、照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を制御する。このような環境条件は、例えば、温度及び相対湿度を制御できる部屋または人工気象器において温度を調節し、また、蛍光灯等により照度を調節することで得られる。塩ストレス耐性付与試験においては、前記準備による植物を水耕液〔水道水にNaClを濃度が3510ppmとなるように加えたもの(NaClによる水ポテンシャル0.29MPa)〕250mlの入った容器(例えばポリエチレン製容器等)に植える。乾燥ストレス耐性付与試験においては前記準備による植物を乾燥試験用土壌〔水道水にてpF値が2.8となるように調整したもの〕500mlの入った容器(例えば塩化ビニル製ポット等)に植える。
以下の試験区、対照区1、及び対照区2を作成する。試験区、対照区1および対照区2について、準備された植物をそれぞれ10株(計30株)用意し、それぞれの区において2週間水耕栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出する。なお、水分散液の調製の際には植物への影響が少ない前記界面活性剤等を更に含んでもよい。
試験区:試験化合物〔セルロース誘導体及びカテキン〕の水溶液又は水分散液(濃度100ppm)を植物1株あたり10ml、葉面に散布処理する。
対照区1:水耕液にNaClを添加する(塩ストレスを与える。NaCl濃度は3510ppm)が、植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
対照区2:水耕液にNaClを添加せず(塩ストレスを与えず)、且つ植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
得られた植物体全体の重量の平均値から、以下のように標準植物塩ストレス耐性付与率を計算する〔式(ii’)〕。
標準植物塩ストレス耐性付与率(%)=(試験区の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (ii’)
標準植物塩ストレス率(%)=(対照区2の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (i’)
以下の試験区、対照区1、及び対照区2を作成する。試験区、対照区1および対照区2について、準備された植物をそれぞれ10株(計30株)用意し、それぞれの区において2週間栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出する。なお、水分散液の調製の際には植物への影響が少ない前記界面活性剤等を更に含んでもよい。
試験区:乾燥試験用土壌〔水道水にてpF値が2.8となるように調整したもの〕に植物を植えた後、試験化合物〔セルロース誘導体及びカテキン〕の水溶液又は水分散液(濃度100ppm)を植物1株あたり10ml、葉面に散布処理する。
対照区1:乾燥試験用土壌〔水道水にてpF値が2.8となるように調整したもの〕に植物を植えた後、水道水を与えず(乾燥ストレスを与える)、かつ植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
対照区2:前記乾燥試験用土壌に植物を植えた後、水道水を与え(乾燥ストレスを与えず)、且つ植物に試験化合物(セルロース誘導体及びカテキン)を与えない。
得られた植物体全体の重量の平均から、以下のように標準植物乾燥ストレス耐性付与率を計算する〔式(ii’’)〕。
標準植物乾燥ストレス耐性付与率(%)=(試験区の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (ii’’)
標準植物乾燥ストレス率(%)=(対照区2の植物体重量/対照区1の植物体重量)×100 (i’’)
ラウールの法則 π(atm)=cRT
R=0.082(L・atm/mol・K)
T=絶対温度(K)
c=イオンモル濃度(mol/L)
1atm=0.1MPa
[試験方法]
(1)A.土壌栽培
以下の試験No.の条件下かつ、下記の栽培条件の下、下記準備した植物を栽培した。
試験No:参考(1)(参考例条件(塩ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC値:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(1)、(2)および(3)(実施例条件(塩ストレス条件))
栽培温度:23℃、
EC値:1.3mS/cm(試験(1))、2.0mS/cm(試験(2))、3.0mS/cm(試験(3))
pF値:1.7(毛管飽和状態)。
以下の試験No.の条件下かつ、下記の栽培条件の下、下記準備した植物を栽培した。
試験No:参考(2)(参考例条件(塩ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC値:1.3mS/cm(大塚1/2A処方)
試験No:試験(4)、(5)および(6)(実施例条件(塩ストレス条件))
栽培温度:23℃、
EC値:2.7mS/cm(試験(4))、3.9mS/cm(試験(5))、4.8mS/cm(試験(6))。
照度:5000Lux(蛍光灯)、明/暗周期:16hr/8hr
使用水耕液:大塚1/2A処方条件:(大塚ハウス1号(N:P:K=10:8:27)7.5g/10L、大塚ハウス2号(N:P:K:Ca=10:0:0:23)5g/10Lの配合液でありトータル窒素(N成分)130ppm、燐酸(P成分)60ppm、カリウム(K成分)203ppm)。
栽培期間:2週間。
カテキン:試薬(和光純薬工業社製)
セルロース誘導体:
ヒドロキシプロピルセルロース(1):NISSO HPC-L(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(2):NISSO HPC-SSL(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(3):NISSO HPC-SL(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(4):NISSO HPC-M(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルセルロース(5):NISSO HPC-H(日本曹達社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1):メトローズ60SH-03(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2):メトローズ60SH-50(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(3):メトローズ60SH-10000(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(4):メトローズ65SH-15000(信越化学工業社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5):メトローズ90SH-15000(信越化学工業社製)
メチルセルロース(1):メトローズSM-04(信越化学工業社製)
メチルセルロース(2):メトローズSM-8000(信越化学工業社製)
ヒドロキシエチルメチルセルロース:メトローズSEB-4000(信越化学工業社製)
ヒドロキシエチルセルロース: HECダイセルSP-200(ダイセル化学社製)
カルボキシメチルセルロースNa:CMCダイセル1190(ダイセル化学社製)
パラフィン:試薬(和光純薬工業社製)
下記に従い植物塩ストレス率を測定した。
土壌栽培における環境条件は、人工気象器において温度23℃、相対湿度50%、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に調整した。前記準備によるトウモロコシをそれぞれ10株(計20株)用意し、試験(1)〜(3)または参考(1)のそれぞれにおけるEC値に調節した土壌の入った3号ポット(9cm)に植えた。2週間、植物を土壌栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出した。その植物体重量と、下記式(i−1)を用いて、植物塩ストレス率を算出した。試験(1)〜(3)および参考(1)におけるEC値、pF値、得られた植物体重量および植物塩ストレス率を下記表1aに示す。
植物塩ストレス率(%)=(参考(1)の植物体重量/試験(1)〜(3)のいずれかの植物体重量)×100 (i−1)
表1aに示すとおり、それぞれの植物塩ストレス率は、試験(1)が120%、試験(2)が140%、試験(3)が200%、参考(1)が100%であった。
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。前記準備によるトウモロコシを前記試験No.の条件の土壌を含む3号(9cm)ポットに移植した。試験期間中、塩ストレスを所定の値にするため10%NaCl溶液を1日1回適量添加することでEC値の調節を行った。表1に記載のセルロース誘導体およびカテキン成分を所定濃度で含有する植物ストレス耐性付与剤組成物(残部は水)を調製し、葉面散布した。各試験区(試験No.)の条件を表1に示す。また、各試験区はそれぞれ試験植物として10個体用意し、各試験区において2週間栽培した。植物ストレス耐性付与率は、試験開始2週間後の各個体の植物体重量の平均値を計算し、各EC値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。ストレスが生じない適切な栽培条件として参考例(参考(1))を作成し、植物活力性能を調べた。
得られた結果を表1に示す。その結果、表1に示すように、いずれも、参考例のストレスがない条件(参考(1))では生育効果が現れていないのに対し、EC値の高い塩ストレス条件(試験(1)、試験(2)、試験(3))では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高いことが確認できた。また本発明品と比較品(比較例:本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いない例)を比べても各塩ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高いことが確認できた。
下記に従い、植物塩ストレス率を測定した。
水耕栽培における環境条件は、人工気象器において温度23℃、相対湿度50%、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に調整した。前記準備によるトウモロコシをそれぞれ10株(計20株)用意し、試験(4)〜(6)または参考(2)のそれぞれにおけるEC値に調節した水耕液の入ったポリエチレンボトル250mlに植えた。各EC値は1/2大塚A処方のEC値1.3を基準とし、適宜比例計算で肥料濃度を増加させ調節した。2週間、植物を水耕栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出した。その植物体重量と、下記式(i−2)を用いて、植物塩ストレス率を算出した。試験(4)〜(6)および参考(2)におけるEC値、得られた植物体重量および植物塩ストレス率を下記表1bに示す。
植物塩ストレス率(%)=(参考(2)の植物体重量/試験(4)〜(6)のいずれかの植物体重量)×100 (i−2)
表1bに示すとおり、それぞれの植物塩ストレス率は、試験(4)が120%、試験(5)が140%、試験(6)が200%、参考(2)が100%であった。
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。前記準備によるトウモロコシを各EC値に調節した水耕液の入ったポリエチレンボトル250mlに植えた。各EC値は1/2大塚A処方のEC値1.3を基準とし、適宜比例計算で肥料濃度を増加させ調節した。表1に記載のセルロース誘導体およびカテキン成分を所定濃度で含有する植物ストレス耐性付与剤組成物(残部は水)を調製し、葉面散布した。各試験区(試験No.)の条件を表1に示す。また、各試験区はそれぞれ試験植物として10個体用意し、各試験区において2週間栽培した。植物ストレス耐性付与率は、試験開始2週間後の各個体の植物体重量の平均値を計算し、各EC値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。またストレスが生じない適切な栽培条件として参考例(参考(2))を作成し、植物活力性能を調べた。
得られた結果を表1に示す。その結果、表1に示すように、いずれも、参考例のストレスがない条件(参考(2))では生育効果が現れていないのに対し、EC値の高い塩ストレス条件(試験(4)、試験(5)、試験(6))では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高いことが確認できた。また本発明品と比較品(比較例:本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いない例)を比べても各塩ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高いことが確認できた。
[試験条件]
(1)A.土壌栽培(クレハ培土栽培)
以下の試験No.の条件下かつ、下記の栽培条件の下、下記準備した植物を栽培した。
試験No:参考(3)(参考例条件(乾燥ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC値:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(7)、(8)および(9)(実施例条件(乾燥ストレス条件))
栽培温度:23℃、
EC値:1.0(クレハ培土栽培)、
pF値:2.8(試験(7))、3.5(試験(8))、4.1(試験(9))
その他の条件は実施例1に準じた。
(6)土壌栽培試験における植物乾燥ストレス率の測定
下記に従い、植物乾燥ストレス率を測定した。
土壌栽培における環境条件は、人工気象器において温度23℃、相対湿度50%、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に調整した。前記準備によるコムギをそれぞれ10株(計20株)用意し、試験(7)〜(9)または参考(3)のそれぞれにおけるpF値に調節した乾燥試験用土壌500mlの入った3号ポット(9cm)に植えた。試験期間中、乾燥ストレスを所定の値にするため水道水を1日1回適量添加することでpF値の調節を行った。2週間、植物を土壌栽培した後の植物体全体の重量を測定し、平均値を算出した。その植物体重量と、下記式(i−3)を用いて、植物乾燥ストレス率を算出した。試験(7)〜(9)および参考(3)におけるpF値、EC値、得られた植物体重量および植物乾燥ストレス率を下記表2aに示す。
植物乾燥ストレス率(%)=(参考(3)の植物体重量/試験(7)〜(9)の植物体重量)×100 (i−3)
表2aに示すとおり、それぞれの植物乾燥ストレス率は、試験(7)が130%、試験(8)が150%、試験(9)が200%、参考(3)が100%であった。
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。前記準備によるコムギを前記試験No.の条件の土壌を含む3号(9cm)ポットに移植した。試験期間中、乾燥ストレスを所定の値にするため水道水を1日1回適量添加することでpF値の調節を行った。表2に記載のセルロース誘導体およびカテキン成分の所定濃度で含有する植物ストレス耐性付与剤組成物(残部は水)を調製し、葉面散布した。各試験区(試験No.)の条件を表2に示す。また、各試験区はそれぞれ試験植物として10個体用意し、各試験区において2週間栽培した。植物ストレス耐性付与率は、試験開始2週間後における各個体の植物体重量の平均値を計算し、各pF値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。乾燥ストレスが生じない適切な栽培条件として参考例(参考(3))を作成し、植物活力性能を調べた。
なお、植物乾燥ストレス率は、前記標準試験において、所定の乾燥ストレスを与える条件(試験(7)、試験(8)または試験(9))を対照区1とし、その所定の乾燥ストレスを除いた条件(参考(3))を対照区2として、それらの結果と前記式(i’’)を使い算出した。それぞれの植物乾燥ストレス率は、試験(7)が130%、試験(8)が150%、試験(9)が200%であった。
得られた結果を表2に示す。その結果、表2に示すように、いずれも、参考例の乾燥ストレスが生じない条件(参考(3))では生育効果が現れていないのに対し、pF値の高い乾燥ストレス条件(試験(7)、試験(8)、試験(9))では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高かった。また本発明品と比較品(比較例:本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いない例)を比べても各乾燥ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高いことが確認できた。
Claims (10)
- メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体、カテキン類および水を含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、
前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む植物ストレス耐性付与方法。 - 前記ストレス栽培条件が、栽培環境中の、塩濃度に起因する塩ストレス、水分含有量に起因する乾燥ストレス、及び温度に起因する温度ストレスからなる群から選択される少なくとも1つのストレス因子を含む栽培条件である請求項1に記載の植物ストレス耐性付与方法。
- 前記塩ストレスが、土壌栽培におけるEC値が1.2mS/cm〜3.4mS/cm、または水耕栽培におけるEC値が2.7mS/cm〜5.0mS/cmの塩ストレスであり、
前記乾燥ストレスが、pF値が2.7〜4.2の乾燥ストレスであり、
前記温度ストレスが、平均栽培温度が28〜40℃又は5〜17℃の温度ストレスである請求項2に記載の植物ストレス耐性付与方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の植物ストレス耐性付与方法を含む植物の生産方法。
- メチルセルロース(MC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、プロピルセルロース(PC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルプロピルセルロース(HEPC)、メチルエチルセルロース(MEC)、メチルプロピルセルロース(MPC)およびエチルプロピルセルロース(EPC)からなる群から選択される少なくとも1種類のセルロース誘導体、カテキン類および水を含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、
前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記セルロース誘導体の含有量が、45.0〜99.5重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物。 - 前記植物ストレス耐性付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記カテキン類の含有量が、0.5〜55.0重量%である請求項5記載の植物ストレス耐性付与剤組成物。
- 植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物にストレス耐性を付与するための請求項5または6に記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。
- 前記ストレス栽培条件が、栽培環境中の、塩濃度に起因する塩ストレス、水分含有量に起因する乾燥ストレス、及び温度に起因する温度ストレスからなる群から選択される少なくとも1つのストレス因子を含む栽培条件である請求項7に記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。
- 前記塩ストレスが、土壌栽培におけるEC値が1.2mS/cm〜3.4mS/cm、または水耕栽培におけるEC値が2.7mS/cm〜5.0mS/cmの塩ストレスであり、
前記乾燥ストレスが、pF値が2.7〜4.2の乾燥ストレスであり、
前記温度ストレスが、平均栽培温度が28℃〜40℃又は5℃〜17℃の温度ストレスである請求項7または8に記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。 - 前記植物が、果菜類、葉菜類、根菜類、稲、麦類、および花卉類からなる群から選択される少なくとも1種である請求項7〜9のいずれかに記載の植物ストレス耐性付与剤組成物の使用。
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