JPH1171218A - 植物成長促進剤 - Google Patents

植物成長促進剤

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JPH1171218A
JPH1171218A JP23521597A JP23521597A JPH1171218A JP H1171218 A JPH1171218 A JP H1171218A JP 23521597 A JP23521597 A JP 23521597A JP 23521597 A JP23521597 A JP 23521597A JP H1171218 A JPH1171218 A JP H1171218A
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Japan
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acid
plant
plant growth
polysaccharide
growth promoter
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JP23521597A
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English (en)
Inventor
Katsutoshi Hirose
克利 広瀬
Naonori Hirata
直則 平田
Yasutaka Kosuge
康孝 小菅
Toshihiko Otomatsu
俊彦 音松
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Japan Science and Technology Agency
KNC Laboratories Co Ltd
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
KNC Laboratories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】入手性が容易で、施用方法が簡便で、かつ植物
に対して広い作用スペクトルを有する植物成長促進剤を
提供すること、及び該植物成長促進剤の製造方法を提供
すること。 【解決手段】アオイ目植物から得られる多糖の加水分解
物を有効成分とする植物成長促進剤、並びに(a)アオ
イ目植物から多糖を抽出する工程、(b)抽出した多糖
を酸で加水分解してオリゴ糖を含有する加水分解物を得
る工程、及び(c)得られた加水分解物を有効成分とす
る植物成長促進剤を調製する工程、の各工程を含むこと
を特徴とする植物成長促進剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物成長促進剤、さ
らに詳細にはオクラ、トロロアオイおよびモロヘイヤか
ら抽出された多糖の加水分解により誘導されるオリゴ糖
の組成物を有効成分として含有する植物成長促進剤、具
体的には種子処理剤、種子コート剤、発芽促進剤、茎葉
処理剤、灌注処理剤および肥料組成物等に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、植物の成長を促進させる物質とし
ては、植物ホルモンをはじめとする植物成長促進物質が
あり、具体的にはアブシジン酸、オーキシン、サイトカ
イニン、ジベレリン等が挙げられ、その作用点や作用性
は詳細に調べられている。
【0003】しかしながら、前記植物ホルモンを植物成
長促進剤として用いる場合、植物から植物ホルモンを抽
出し、単離し、精製するには微量であったり、化学的合
成も多工程を要するものが多く、さらにその作用性は植
物の一部のみに特異的に現れたり、施用する時期、量、
方法等により異なる場合があり、実用性に欠けるという
問題があった。
【0004】例えば、アブシジン酸は、冬芽等の植物の
休眠の制御、気孔の開閉の制御、離層形成に関与してお
り、この他に、細胞分裂の誘起、細胞増殖の促進、不定
芽形成の促進等が知られているが、特定の植物種でのみ
見られる効果も多い。不定芽形成においては、形態異常
の抑制や休眠の誘起が知られており、人工種子の作成時
において有益であると考えられている。またアブシジン
酸で処理された培養細胞は、耐凍性を示すことが報告さ
れており、細胞、組織、種子、球根および幼苗等の長期
保存への利用が考えられている。しかしながら、アブシ
ジン酸の化学合成が困難であり高価なため、一般的に利
用されるには至っていない。
【0005】したがって、このような経緯から、入手性
が容易で、施用方法も簡便で、かつ植物に対して広い作
用スペクトルを有する植物成長促進剤の開発は、長く植
物関係者から強く望まれていた。
【0006】一方、オクラはアオイ科の一年草で、主に
その若い実を食用としてきたが、取り立てるほどの栄養
価もなく、嗜好品的食品として味噌汁、澄まし汁、スー
プ、シチューの具、バター炒め等に良く使われるほか、
酢の物、和え物、煮物、揚げ物、漬け物にも使用されて
いる。また、トロロアオイはその根が和紙の繋ぎ(糊
料)として利用されたり、胃腸カタル、咽頭カタル等の
薬用として利用されており、モロヘイヤは健康食品とし
て宣伝されている。しかし、オクラ、トロロアオイおよ
びモロヘイヤ等のアオイ目植物の粘質多糖の加水分解物
の生理活性については特に知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術に鑑みてなされたものであり、入手性が容易
で、施用方法が簡便で、かつ植物に対して広い作用スペ
クトルを有する植物成長促進剤を提供することにある。
具体的には種子処理剤、種子コート剤、発芽促進剤、茎
葉処理剤、灌注処理剤および肥料組成物としてその効果
を発揮する植物成長促進剤を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、該植物成長促進剤の
製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる状況において本発
明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、
オクラ、トロロアオイおよびモロヘイヤから抽出された
粘質多糖の酸加水分解により得られるオリゴ糖組成物
が、植物の成長促進作用を有し、種子処理剤、種子コー
ト剤、発芽促進剤、茎葉処理剤、灌注処理剤および肥料
組成物等として有用である事を見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、〔1〕 ア
オイ目植物から得られる多糖の加水分解物を有効成分と
する植物成長促進剤、〔2〕 加水分解物が、アオイ
目植物から得られる多糖を、0.01〜10Nの酸によ
り、10〜110℃の条件で加水分解して得られる成分
である前記〔1〕記載の植物成長促進剤、〔3〕 ア
オイ目植物の実、種子、葉、茎、根および花からなる群
より選ばれる1種以上を用いて得られる前記〔1〕また
は〔2〕記載の植物成長促進剤、〔4〕 アオイ目植
物が、オクラ、トロロアオイおよびモロヘイヤからなる
群より選ばれる1種以上である前記〔1〕〜〔3〕いず
れか記載の植物成長促進剤、〔5〕 多糖が、粘質多
糖である前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の植物成長促
進剤、
【0011】〔6〕 酸が、塩酸、硫酸、リン酸、過
塩素酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸およびシュウ酸
からなる群より選ばれる1種以上である前記〔2〕記載
の植物成長促進剤、〔7〕 加水分解物が、オリゴ糖
を含有することを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕いずれ
か記載の植物成長促進剤、〔8〕 オリゴ糖が、ガラ
クトース、ガラクツロン酸、グルコース、グルクロン酸
およびラムノースからなる群より選ばれる1種以上の単
糖を構成成分の全部または一部とする前記〔7〕記載の
植物成長促進剤、
〔9〕 種子処理剤、種子コート
剤、発芽促進剤、茎葉処理剤、灌注処理剤および肥料組
成物からなる群より選ばれる1以上の用途に用いられる
前記〔1〕〜〔8〕いずれか記載の植物成長促進剤、
〔10〕 (a)アオイ目植物から多糖を抽出する工
程、(b)抽出した多糖を酸で加水分解してオリゴ糖を
含有する加水分解物を得る工程、および(c)得られた
加水分解物を有効成分とする植物成長促進剤を調製する
工程、の各工程を含むことを特徴とする植物成長促進剤
の製造方法、に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の植物成長促進
剤、その製造方法およびその用途について詳細に説明す
る。 1.本発明の植物成長促進剤 本発明の植物成長促進剤は、アオイ目植物由来の多糖の
酸による加水分解により得られる加水分解物を有効成分
とするものであり、前記加水分解物は、オリゴ糖を含有
することを特徴とする。本発明で使用されるアオイ目に
属する植物としては、具体的には、オクラ、トロロアオ
イ、タチアオイ、アメリカフヨウ、ムクゲ、アルテア、
ノリアサ等のアオイ科やモロヘイヤ等のシナノキ科等に
属する植物等が挙げられ、かかる植物から得られる粘質
多糖が多糖として好ましく用いることができる。特にオ
クラ、トロロアオイ、モロヘイヤ由来の粘質多糖が好適
である。植物体の使用される部分は、その全部であって
も一部であってもよい。植物体の一部を用いて抽出する
場合、用いる部分は特に限定されるものではないが、例
えば、実、種子、葉、茎、根および花等が挙げられる
(以下、「原体」と略する。)。特に、実、種子、葉、
根を用いる場合が好適である。
【0013】多糖の分解方法としては、例えば、酸を用
いた加水分解等の加温下において分解処理する方法等が
ある。ここで用いられる酸としては、例えば、塩酸、硫
酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸、トリフルオロ酢酸、
酢酸、ギ酸およびシュウ酸等の有機酸が挙げられる。こ
れらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。特
に用いる酸は、塩酸が好適である。加水分解に用いる酸
の濃度としては、好ましくは0.01〜10N、より好
ましくは0.1〜6Nである。また、加水分解時の反応
温度としては10〜110℃が好ましく、より好ましく
は40〜110℃である。さらに、加水分解時間は酸濃
度と温度に依存するため一概には言えないが、数分間〜
十数日間が好ましい。
【0014】多糖の加水分解により得られる加水分解物
は特に限定されるものではないが、例えば、ガラクトー
ス、ガラクツロン酸、グルコース、グルクロン酸および
ラムノース等の1種以上の単糖を構成成分の全部または
一部として構成されてなるオリゴ糖を含有する成分が挙
げられる。本発明においては、このオリゴ糖が植物成長
促進作用の発現に特に有効である。本発明の植物成長促
進剤中のオリゴ糖の濃度は、好ましくは1〜3,000
ppmで用いることができる。
【0015】2.本発明の製造方法 本発明の製造方法は、アオイ目植物由来の多糖の加水分
解物を有効成分とする植物成長促進剤を製造する方法で
あり、下記に挙げる工程により行われる。 (a)アオイ目植物から多糖を抽出する工程、(b)抽
出した多糖を酸で加水分解してオリゴ糖を含有する加水
分解物を得る工程、および(c)得られた加水分解物を
有効成分とする植物成長促進剤を調製する工程。
【0016】工程(a)において、用いられる植物は、
前記のようなアオイ目植物である。植物から多糖を抽出
する方法は、特に限定されるものではないが、例えばC
hem.Pharm.Bull.,28,2993〜2
940(1980)、Chem.Pharm.Bul
l.,25,3061〜3065(1977)に記載の
方法に従って粘質多糖を抽出、乾燥することができる。
【0017】具体的には後述の実施例1に示したよう
に、原体を破砕したものを4〜10℃の水または氷水を
加え、4〜10℃で3〜72時間攪拌することにより、
多糖の抽出溶液を得ることができる。
【0018】工程(b)において、工程(a)で抽出し
た多糖を加水分解する方法は、特に限定されるものでは
ないが、例えば、前記のような条件で、酸を用いた加水
分解が好適である。
【0019】また、工程(a)で粘質多糖のみを選択的
に抽出しなくても、原体を粉砕し水抽出して得た細胞壁
由来の粘質多糖を含んだ原液を、工程(b)で酸を用い
て加水分解し、オリゴ糖含有組成物へ誘導することもで
きる。
【0020】多糖を加水分解して得られる加水分解物
は、前記のようにオリゴ糖を含有する成分であり、本発
明における植物成長促進剤の有効成分である。
【0021】工程(c)は工程(b)で得られた加水分
解物を有効成分とする植物成長促進剤を調製する工程で
あり、植物成長促進剤の用途に応じて各種の処理が行わ
れる。例えば、所望により多糖の加水分解物からオリゴ
糖をさらに分離・精製してオリゴ糖を主成分とする植物
成長促進剤を調製することができる。好ましい分離・精
製法の具体例としては、1)遠心分配クロマトグラフィ
ーを用い、アルコール/水系で溶出し、分離する方法;
2)イオン交換樹脂を用い、水系で溶出し、分離する方
法;3)シリカ系アミノカラムを用い、アセトニトリル
/水/トリフルオロ酢酸系あるいはアルコール/水系で
溶出し、分離する方法;4)ゲル濾過分離法等が挙げら
れる。
【0022】また、用途によっては、特にオリゴ糖の分
離・精製を行わずそのまま濃縮して、オリゴ糖の含有量
が、好ましくは0.0001〜3%である植物成長促進
剤を調製してもよい。濃縮は残存する酸の濃度により、
加温の程度が異なるが、概ね20〜80℃で行われる。
また残存する酸は塩基により中和してもよい。塩基とし
ては特に限定されることはなく、無機塩基や有機塩基の
いずれを用いてもよい。より好ましくはカセイソーダ、
カセイカリ、炭酸ソーダ、炭酸カリ、重炭酸ソーダ等の
無機塩基が好ましい。有機塩基としては、トリエチルア
ミン、N−メチルモルホリン等が用いられる。また、濃
縮中発泡することもあり、場合により、消泡シリコーン
TSA−737F(東芝シリコーン社製)等の消泡剤を
加えることも有効である。さらに、植物への浸透性をよ
くするため、界面活性剤を適宜配合してもよい。
【0023】3.本発明の植物成長促進剤の用途 本発明の植物成長促進剤の施用方法は特に限定されるも
のではないが、具体的には、種子処理剤、種子コート
剤、発芽促進剤、茎葉処理剤、灌注処理剤および肥料組
成物としての施用方法が挙げられる。
【0024】種子の発芽の促進、および幼苗の成長促進
のために、得られる加水分解物をそのままの形で土壌に
散布してもよいが、所望の効果を一層高めるためには、
種子処理または種子コーティングが行うことが好まし
い。
【0025】種子処理は、例えば加水分解物を有効成分
とする植物成長促進剤の水溶液に、種子を単に数10分
〜数日間浸漬するだけでもよく、浸漬処理およびそれに
続く乾燥処理後、樹脂によるコーティングを行うことに
より、さらに効果を持続させることもできる。樹脂とし
ては、本発明の目的を阻害しないものであれば、特に限
定されるものではない。また種子コーティングは、例え
ば、珪藻土、炭酸カルシウムおよびタルク等の無機物と
加水分解物を混合してなる混合物で種子を、デンプン、
ゼラチンおよびポリビニールアルコール等の結合剤を用
いてコーティングすることができる。
【0026】茎葉処理剤または灌注処理剤としての利用
では加水分解物を0.001〜10,000ppm、好
ましくは1〜2,000ppmの濃度に希釈して、茎葉
に散布し、あるいは土壌に灌注して使用する。その際、
非イオン系界面活性剤または陽イオン系界面活性剤等の
界面活性剤を加えることにより、植物への浸透性が高ま
り、成長がさらに促進される場合もある。
【0027】肥料組成物としての利用では、植物成長促
進剤を肥料に添加して土壌処理、茎葉処理あるいは灌注
処理を行うことにより、植物の成長を促進させることも
できる。配合される肥料の種類により、植物成長促進剤
の剤形は固形物でも良く、水溶液でもよい。
【0028】また本発明の植物成長促進剤は、植物の成
長効果を発揮させるため、種々の他の薬剤と混合して利
用することもできる。
【0029】本発明の植物成長促進剤の施用時期は、播
種前、播種時、苗、成長期、開花期および成熟期等、特
に限定されるものではない。
【0030】
【実施例】以下、実施例および試験例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0031】実施例1 (1)粘質多糖の調製 宮崎産オクラの若い果実6kgを、大型バーチカルカッ
ターミキサー((株)エフ・エム・アイ製:型式R−4
0B;平刃カッター2枚使用)を使用し、0rpm、
1,500rpmを15秒間ずつ切り換えながら、合計
120秒間粉砕した。この操作を17回繰り返し、10
0kgのオクラを処理した。粉砕された100kgのオ
クラに冷水を250L加え抽出溶液とし、4〜10℃で
20時間攪拌した。攪拌中、溶液の温度が上昇した場
合、適宜氷を投入した。
【0032】このようにして得られた抽出溶液は、加圧
濾過機(容量150L、濾過面積0.44m2 )および
ポリプロピレン製パイロン濾布(通気量20cc/cm
2 )を用い、圧力3kg/cm2 で濾過を行い、原体粉
砕残さと、粘質多糖を含む濾液に分別した。得られた濾
液230Lに、緩やかに攪拌しながらメタノールを46
0L加えることにより、繊維状の粘質多糖を析出させ
た。ステンレス製ふるい(16メッシュ)を用いて析出
した粘質多糖を濾別した。得られた繊維状の粘質多糖は
湿重量28kgであった。
【0033】得られた繊維状の粘質多糖に冷水200L
を加え、4時間攪拌し溶解させた。その後、メタノール
450Lをゆっくり加え、再び繊維状の粘質多糖を析出
させた。この操作をさらに2回繰り返し、湿重量26k
gの多糖を得た。減圧加熱乾燥機(40℃)により乾燥
させ、最終的に1.1kgのオクラ粘質多糖を得た。収
率は原体に対し1.1%であった。
【0034】(2)加水分解物の調製 (1)で得られたオクラ粘質多糖100gに、1Nの塩
酸2Lを加え、70℃に昇温後、同温度で5時間攪拌を
続けることにより加水分解を行った。その後、室温に戻
し、吸引濾過し不溶物を取り除き、濾液を得た。この濾
液を25〜35℃のウォーターバスで温めながら、エバ
ポレーターで減圧濃縮した。濃縮後、濃縮物に水を加
え、さらに濃縮を繰り返した。この操作を5度行った
後、濃縮物に少量の水を加え、凍結させ、凍結乾燥を行
い、淡褐色の結晶82.5gを得、これを試料1とし
た。
【0035】(3)オリゴ糖の分離・精製 試料1を遠心分離分配クロマトグラフィーを用い、3つ
の画分に分離した。分離条件は、次の通りである。
【0036】 二層液系;n−BuOH:MeOH:水=4:1:5 固定相:下層(水層) 移動相:上層(n−BuOH層) 回転数:600rpm 移動相流速:15mL/min 試料1の3gを上層20mLと下層20mLに溶解し、
全量を遠心分離分配クロマトグラフィーに注入した。移
動相液量3〜4Lより得たフラクションを試料2とし、
4〜51Lより得たフラクションを試料3とし、さらに
固定相液を反転溶出させた液より得たフラクションを試
料4とした。
【0037】実施例2 オクラの未熟果を180gに水450mLを加え、ミキ
サーで粉砕、濾布で濾過することにより粘質多糖を含む
粗抽出液300mLを得た。この粗抽出液へ12Nの濃
塩酸30mLを加え、70℃に昇温し、同温度で13時
間攪拌を続けることにより加水分解を行った。その後、
室温に戻し吸引濾過後、得られた濾液を35〜40℃の
ウォーターバスで減圧濃縮し濃縮物を得た。得られた濃
縮物に、水を10mL加えて溶解し、攪拌下で飽和重炭
酸ソーダでpHが約7になるように添加し、中和した。
その後、凍結乾燥機で乾燥して得られた4gの淡褐色結
晶を試料5とした。
【0038】実施例3 トロロアオイの根から得られた多糖を用いて実施例1の
(1)および(2)と同様に処理して得られた結晶を試
料6とした。
【0039】実施例4 モロヘイヤの葉から得られた多糖を用いて実施例1と同
様に処理して得られた結晶を試料7とした。
【0040】試験例1 オリゴ糖の構成単糖の確認試験 単糖をトリメチルシリル体に誘導化し、ガスクロマトグ
ラフィーで標準品とRetention Time(R
T)を比較し、単糖の同定を行った。すなわち、ポリプ
ロピレン製のマイクロチューブに試料1を5mg秤量し
て入れ、窒素気流下で1.5NのHClを0.5mL加
え、EYELA DRAY THERMO BATH
MG−2000を用い100℃で5時間加温する。その
後、放冷し室温に戻した後、濾過し、少量の水で洗浄
後、エバポレーターで濃縮し濃縮物を得た。得られた濃
縮物に水およびベンゼンを各々0.2mLずつ加え、さ
らにエバポレーターで濃縮した。この操作を2回繰り返
した。さらにベンゼンを0.4mL加え、濃縮した。こ
の操作をさらに2回繰り返した。こうして得られた固体
と、TMS−HT(トリメチルクロロシランとヘキサメ
チルジシラザンのピリジン溶液)0.5mLを窒素気流
下よく混合し、一晩静置した。
【0041】この液をガスクロマトグラフィーにて分析
した結果、標準品とのRTの一致から、試料1中のオリ
ゴ糖の構成単糖がラムノース、ガラクトース、グルコー
ス、ガラクツロン酸、グルクロン酸であることを確認し
た。
【0042】なお上記標準品は、市販のラムノース、ガ
ラクトース、グルコース、ガラクツロン酸、グルクロン
酸を上記と同様の処理を行い、水酸基をトリメチルシリ
ル化したものである。
【0043】ガスクロマトグラフィーの条件、 カラム:OV−22( ジーエルサイエンス社製) (3.
2mm×3m) インジェクト温度:250℃ ディテクター温度:250℃ 圧力:100℃の時100kPa(キロパスカル) カラム温度:100℃で3分間保温した後、3℃/分で
昇温し、250℃で保持。
【0044】検出単糖体のRetention Time ラムノース/トリメチルシリル体の Retention Time :
5.5, 6.8分 ガラクトース/トリメチルシリル体の Retention Time
:11.7, 13.6分 グルコース/トリメチルシリル体の Retention Time :
12.1, 15.5分 ガラクツロン酸/トリメチルシリル体の Retention Tim
e :18.4, 19.1分 グルクロン酸/トリメチルシリル体の Retention Time
:21.6, 22.1分
【0045】試験例2 種子処理による成長促進効果 1.試料の処理濃度 試料1〜試料7、ガラクトース、ガラクツロン酸、グル
コース、グルクロン酸およびラムノースの各単糖、実施
例1の(1)で得られた多糖を以下の濃度に調整してサ
ンプルとして用いた。
【0046】1000ppm、300ppm、100p
pm、30ppm、10ppm、3ppm、1ppm
【0047】2.試験法 1)直径3.5cmのシャーレに東洋ろ紙No.1を敷
き、各濃度に調整したサンプルを各1mLずつ加えた。
コントロールは、蒸留水のみとした。
【0048】2)1)に10粒ずつのケイトウの種子を
入れ、暗黒下で25℃で培養した(各濃度で2シャーレ
ずつ)。5日間培養後、幼植物の下はい軸の長さを測定
し、コントロールでの長さに対する割合を求めた。
【0049】得られた結果を表1に示すが、試料1〜試
料7に、コントロールと比較して顕著な成長促進効果が
認められた。これに対し、単糖や多糖を使用した場合に
は効果は認められなかった。また、オリゴ糖を遠心分離
分配クロマトグラフィーにより分離・精製した試料であ
る試料2〜試料4において、コントロールと比較して、
より顕著な成長促進効果が認められたため、植物成長促
進作用の発現にはオリゴ糖が有効であることが示され
た。
【0050】
【表1】
【0051】試験例3 各植物の種子に対する処理による成長促進効果 試料5を用いて、試験例2と同様にしてシバ、レタス、
トマト、ダイコン、ケールおよびアオビユの種子を処理
し培養を行った。レタスは5日間、その他は6日間培養
後、幼植物の下はい軸の長さを測定し、コントロールで
の長さに対する割合を求めた。
【0052】得られた結果を表2に示すが、試料5は、
コントロールと比較してどの植物に対しても顕著な成長
促進効果が認められた。
【0053】
【表2】
【0054】試験例4 茎葉処理による成長促進効果 試料1の20ppm、60ppmの各濃度の水溶液を作
り、さらに界面活性剤として非イオン系界面活性剤であ
るSorpol 8043(東邦化学(株)社製)を2
0ppmになるように加え、ノースボール5cmの苗
(各5苗)の葉と茎に、2日に1回の割合で5回、噴霧
器により噴霧し、10日後の茎の長さを調べた。
【0055】得られた結果を表3に示すが、試料1にコ
ントロールと比較して顕著な成長促進効果が認められ
た。
【0056】
【表3】
【0057】試験例5 灌注処理による成長促進効果 試料1の50ppm、100ppmの各濃度の水溶液を
作り、ノースボール5cmに伸びた苗(各5苗)の根本
に、2日に1回の割合で5mLずつ5回灌注処理をし、
10日後の葉の大きさを調べた。
【0058】得られた結果を表4に示すが、試料1にお
いてコントロールと比較して顕著な成長促進効果が認め
られた。
【0059】
【表4】
【0060】試験例6 発芽促進効果 (試験方法−1)直径6cmのポリプロピレン製皿に、
ピートモス(カキウチ(株)製)を培地として敷き、霧
吹きにより水を含ませた。その後、試料5の150pp
m、300ppmの各濃度の水溶液0.5mLをピート
モス培地に霧吹きで吹き付け、サニーレタスの種子40
粒ずつを置いた。1日に2度霧吹きで水遣りをし、12
日後の芽吹き状況を調査した。
【0061】その結果、蒸留水のみのコントロールと比
較した発芽率は試料5の処理種子において顕著に高かっ
た。結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】(試験法−2)直径8cmのポリプロピレ
ン製皿に、イソライトCG小粒(イソライト工業(株)
製)を培地として敷き、霧吹きにより水を含ませた。そ
の後、試料1の100ppm、300ppmの各濃度の
水溶液0.5mLずつを培地に霧吹きで吹きつけ、チン
ゲンサイおよびミニトマトの種子20粒ずつを置いた。
表面が乾いてきたら、水遣りをし、3,6,11日後の
芽吹き状況を調査した。コントロールは蒸留水のみで、
同様に処理した。
【0064】チンゲンサイについての結果を表6に、ミ
ニトマトについての結果を表7に示すが、蒸留水のみの
コントロールと比較して、試料1に顕著な発芽促進効果
が認められた。
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【発明の効果】本発明により、種子処理剤、種子コート
剤、発芽促進剤、茎葉処理剤、灌注処理剤および肥料組
成物として有用な植物成長促進剤を提供することが可能
となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小菅 康孝 兵庫県神崎郡市川町西川辺527 神戸天然 物化学株式会社市川研究所内 (72)発明者 音松 俊彦 兵庫県神崎郡市川町西川辺527 神戸天然 物化学株式会社市川研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アオイ目植物から得られる多糖の加水分
    解物を有効成分とする植物成長促進剤。
  2. 【請求項2】 加水分解物が、アオイ目植物から得られ
    る多糖を、0.01〜10Nの酸により、10〜110
    ℃の条件で加水分解して得られる成分である請求項1記
    載の植物成長促進剤。
  3. 【請求項3】 アオイ目植物の実、種子、葉、茎、根お
    よび花からなる群より選ばれる1種以上を用いて得られ
    る請求項1または2記載の植物成長促進剤。
  4. 【請求項4】 アオイ目植物が、オクラ、トロロアオイ
    およびモロヘイヤからなる群より選ばれる1種以上であ
    る請求項1〜3いずれか記載の植物成長促進剤。
  5. 【請求項5】 多糖が、粘質多糖である請求項1〜4い
    ずれか記載の植物成長促進剤。
  6. 【請求項6】 酸が、塩酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、
    トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸およびシュウ酸からなる
    群より選ばれる1種以上である請求項2記載の植物成長
    促進剤。
  7. 【請求項7】 加水分解物が、オリゴ糖を含有すること
    を特徴とする請求項1〜6いずれか記載の植物成長促進
    剤。
  8. 【請求項8】 オリゴ糖が、ガラクトース、ガラクツロ
    ン酸、グルコース、グルクロン酸およびラムノースから
    なる群より選ばれる1種以上の単糖を構成成分の全部ま
    たは一部とする請求項7記載の植物成長促進剤。
  9. 【請求項9】 種子処理剤、種子コート剤、発芽促進
    剤、茎葉処理剤、灌注処理剤および肥料組成物からなる
    群より選ばれる1以上の用途に用いられる請求項1〜8
    いずれか記載の植物成長促進剤。
  10. 【請求項10】 (a)アオイ目植物から多糖を抽出す
    る工程、(b)抽出した多糖を酸で加水分解してオリゴ
    糖を含有する加水分解物を得る工程、および(c)得ら
    れた加水分解物を有効成分とする植物成長促進剤を調製
    する工程、の各工程を含むことを特徴とする植物成長促
    進剤の製造方法。
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