JP3569870B2 - トリアコンタノール製剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は1−トリアコンタノールの植物への吸収性或は保存性を改善したトリアコンタノール製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
1−トリアコンタノール(以下TAとする)は、低濃度(0.1〜5ppm)で米、麦、ジャガイモ、キュウリ、トマト、ブドウ、リンゴ、ナシ、モモ、茶、キャベツ、レタス などの食用農産物、草花、ラン、芝、観葉植物等の生長、組織培養、微生物培養等で高い生長促進、増殖を示すことが知られている。
【0003】
また、TAは発芽と呼吸の促進、水分代謝の調整、花芽分化の促進と開花、根の活性増強、早期老化の遅延、光合成と光リン酸化、AT蓄積の促進、農業による薬害の緩和作用、核酸の増加作用をもつ。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようにTAは農作物及び一般の植物生長剤に著しい効果が知られているにも拘わらず、水に不溶性であるためコロイド液のような製剤では高濃度にすることができず、短期間にTA分子が凝集するため植物に効果的に吸収されず、また長期保管も難しく、このため現在その普及が一般化されていない。
【0005】
そこで、本発明者はTAの植物に対する吸収性或は保存安定性を改善するため、長期間安定保存可能で高い成長活性をもつ水溶液形状で提供することを目的として鋭意研究の結果、水溶性グルカン及びアウレオバシジウム培養液(以下GAとする)が1−トリアコンタノールに対してシクロデキストリンと同等の分子包接する性能をもち、これを利用することによって所期の目的が達成できることを見出したものである。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明は上記知見に基づいて、水溶性多糖化合物、アウレオバシジウム培養液の1種又は2種以上及び界面活性剤を添加した水溶液にトリアコンタノールを溶解分散してなるトリアコンタノール製剤を提案するものである。
【0007】
具体的には、水溶性多糖化合物、アウレオバシジウム培養液の1種又は2種以上及び界面活性剤を添加した水溶液を加熱攪拌して水溶液中にトリアコンタノールを溶解分散させる。
【0008】
本発明に係わる製剤はTAがGAに分子包接され均一に水に分散溶解しており、凝集沈殿せずに、植物葉面、茎および細胞膜の糖質との高い親和せいによって植物体へ吸収されので、TA本来の高活性植物活性剤として設計されている。
【0009】
また、本発明に係わる製剤はTAを包接したGAは表面水酸基を有するため植物体内へのTAの吸収を容易にし効果的な運搬体の役割を果たす。
【0010】
したがって、本発明に係る製剤は、穀類、野菜、果樹等の農産物植物及び観葉植物、草花、芝、ラン科植物の植物生長剤として使用することができる。
【0011】
本発明で使用する水溶性多糖化合物としては、例えば水溶性β1−3,1−6グルカン,β1−3及びβ−1−6グルカンなどのβグルカン,α−グルカン又は水溶性の多糖体を使用することができる。
【0012】
また、本発明で使用するアウレオバシジウム培養液はアウレオバシジウム酵母菌(黒カビ酵母菌)発酵により生産する多糖体で、具体的には黒カビ酵菌でショ糖、グルコースなどの糖類発酵培養することにより得られるβ 1−3,1−6グルカンを主成分とする含ビタミン多糖混合ゲルである。
【0013】
本発明で使用される界面活性剤としては、例えば一般的によく使われている天然界面活性剤を挙げることができ、更に好適な界面活性剤としては高級脂肪酸アルコール系の界面活性剤を挙げることができる。
【0014】
なお、TAを溶解分散させる水溶液としては、例えば水溶性多糖化合物又はアウレオバシジウム培養液を1ppm〜100ppm,界面活性剤を0.1〜100ppmを含むものが使用され、この水溶液は20℃以上、好ましくは40〜50℃に加熱攪拌され、TAを溶解分散される。
【0015】
以下に本発明の実施例1〜9を示すが、これは好ましい具体化例を本発明を説明するために述べたものであり、本発明を制限するものではない。
【0016】
実施例1
TA1g,水溶性グルカン10gを高級脂肪酸アルコール系界面活性剤1gを含む水1lに混合して30℃で加温攪拌して均一な高分散TA水溶液(濃度1000ppm)を得た。
【0017】
実施例2
黒酵母菌培養液遠心分離した透明な上澄液15gを高級脂肪酸アルコール系界面活性剤1%を含む水1Lに加えた後、TA0.5gを加え、50℃で1時間加熱攪拌して均一なTA水溶液(濃度500ppm)を得た。
【0018】
実施例3
黒酵母菌培養液を遠心分離した透明な上澄液25gと水溶性グルカン5gを高級脂肪酸アルコール系界面活性剤2%を含む水10Lに溶解した後、TA1gを加え45℃で2時間加熱攪拌して均一なTA水溶液(濃度100ppm)を得た。
【0019】
実施例4
水溶性グルカン5gをエチレンオキシド系界面活性剤1%を含む水5Lに溶解した後、TA0.05gを加え30℃で1時間加熱攪拌して均一なTA水溶液(濃度10ppm)を得た。
【0020】
実施例5
実施例1で調剤したTA水溶液0.1mLを水でうすめTA0.01〜1ppm水溶液とし、その単細胞藻類の細胞増殖と生理活性に及ぼす効果を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
表1で見られるように新規TA−GA水溶液は単細胞培養において0.01〜0.1ppmで顕著な増殖効果を示している。
【0023】
実施例6
実施例2で調剤したTA水溶液を水でうすめ0.1ppmTA−GA水溶液とし、P.Subcordiformisの拡大培養におけるTAの効果を表2、表3、表4に示した。
【0024】
【表2】
【0025】
培養後2,4,8日には、TA添加区は無添加により10%、34.5%、43.8%、60.5%細胞数が増加し12日目には約2.4倍となった。
【0026】
P.Subcordiformisの光合成能及び核酸含量に及ぼすTA−GA水溶液の効果を表3、表4に示した。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
実施例7
タバコの生育と収量及び質改善に及ぼすTA−GA水溶液の効果
実施例3で得られたTA−GA水溶液を水でうすめ0.5ppmにして3〜4ないし4〜5葉期のタバコに葉面散布し、10〜15日後に生長効果を観察した。
【0030】
その結果、草長は約7%、茎の直径は7.5%、葉数は1〜2枚、葉面積は16.2%増加した。また、タバコモザイク病(TMY)は明らかに減少した。
【0031】
実施例8
実施例3のTA−GA水溶液を水でうすめ0.05ppm溶液にして葉面散布によるミリオンベル、花手毬、サフィニア、タピアン、フェアリーベに対する成育試験を行った。
試験方法と条件は次の通りである。
【0032】
各苗株を27×10.5cmのプラスチックポットに各3株づつ移植したものに付いて生育試験を行った。移植したポットの土壌構成は鹿沼土、培養土を1:1の割合で混合したものに市販の化成肥料(10:10:10)を50g混ぜたものである。 試験処理は次のように行った。
【0033】
同種の苗株3株を移植したプラスチックポット3個を、▲1▼「TA−GA」処理区(週に1回処理)、▲2▼「TA−GA」処理区(週に2回処理)、▲3▼無処理区、に分けて成育試験を行った。成育試験中追肥を行わなかった。
【0034】
これらと同時に30cmΦの丸形ポットに苗株を移植したフェアリーベル株のカットバック後の成育試験を行った。その結果を表5 、表6 、表7 、表8 、表9 、表10 に示した。
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
(結論)
TA−GA処理区は無処理区に比べ開花数が多く、根の張りが良く、花びら、茎の大きさと高さが均一に成長した。
苗株により効果度が少し異なるが処理区の総開花数は平均130%程度上回った。また、根重は無処理区に比べ平均130〜140%上回り根の色も健全であった。
【0042】
【発明の効果】
以上要するに、本発明によれば、TA分子が凝集沈降せず、植物の葉面に容易く浸透させることができるTA−GA−界面活性剤系の新規な製剤が提供できる。
Claims (3)
- アウレオバシジウム培養液の1種又は2種以上及び界面活性剤を添加した水溶液にトリアコンタノールを溶解分散してなることを特徴とするトリアコンタノール製剤。
- アウレオバシジウム培養液を1〜100ppm、界面活性剤を0.1〜100ppmを含む水溶液にトリアコンタノールを溶解分散してなる請求項1記載の製剤。
- 農産物植物及び観葉植物、草花、芝、ラン科植物の植物生長剤として使用する請求項1記載の製剤。
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