JP2002234809A - 植物活性剤及び植物の活性化方法 - Google Patents

植物活性剤及び植物の活性化方法

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JP2002234809A JP2001031452A JP2001031452A JP2002234809A JP 2002234809 A JP2002234809 A JP 2002234809A JP 2001031452 A JP2001031452 A JP 2001031452A JP 2001031452 A JP2001031452 A JP 2001031452A JP 2002234809 A JP2002234809 A JP 2002234809A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物、特にC3植物に属する植物の生長を促
進するとともに、根及び茎葉中や果実の炭水化物含有量
を増量し、さらに環境への負荷が極めて低い有効かつ安
全な植物活性剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 マツ科植物の木質部又はその細片を低級
脂肪族アルコール又は含水低級脂肪族アルコールで冷浸
して得られる前記植物の有効成分を含有する抽出液又は
抽出エキスに、トレハロースを混合してなる植物活性
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、植物活性剤及び
植物の活性化方法に関し、より詳細にはマツ科植物から
抽出し得る有効成分とトレハロースとを含有してなる植
物活性剤及び植物の活性化方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】緑色植
物は、太陽エネルギーを吸収して、水と二酸化炭素から
有機物を合成し、酸素を放出する光合成を行っている
が、その代謝経路の相違によってC3植物、C4植物、
CAM植物に大別される。
【0003】主な植物は、光合成の型で分類すると、C
3植物に属するものが圧倒的に多い。C3植物として
は、例えば、イネ、小麦等の禾穀類、大豆、エンドウ等
の豆類、ジャガイモ、サツマイモ等のイモ類、トマト、
スイカ、キュウリ等の果菜類、リンゴ、みかん、ブドウ
等の果樹類、アサガオ、ホウセンカ等の観葉植物、その
他、ベントシバ等が挙げられる。
【0004】一般に、これらのC3植物は、光合成能力
が低く、光呼吸を行い、光合成の適温が低く、蒸散係数
が大きい等の点において共通しているが、このことは、
高温では発育が阻害されやすく、さらに乾燥性が弱いた
めに干害を受けることが多いことを意味する。したがっ
て、C3植物に属する作物の生産者は、品質の高い作物
を目指して、高度の栽培管理を行うことが要求される
が、気候によって、これらC3植物の収穫量や、色調、
味覚、等級等の品質等が著しく影響され、人的な管理の
みでは作物の収穫量や品質等を制御することは困難であ
る。
【0005】例えば、C3植物に属するベントシバは、
常緑性で、葉が細く、シバ類ではもっとも美しいため、
日本における殆どのゴルフ場で用いられている。しか
し、夏季での高温多湿が続くと、光合成能力が衰え、呼
吸作用が盛んになる。これにより植物中の炭水化物が減
少し、根細胞への炭水化物の分配が低下し、根の成長が
抑制され、枯れることとなる。
【0006】また、果菜類を代表するスイカは、生育状
態が、地温、気候及び日照量に強く影響をうけるため、
マルチ法やトンネル法等の種々の栽培方法が提案されて
いるが、依然として、その年の気象条件によって、スイ
カの果肉の熟度や酸度等の品質を決定する因子にばらつ
きが生じている。
【0007】これらC3植物の収穫量や品質等の気象条
件による影響を可及的に少なくするためには、植物を活
性化させ、根・茎葉中の炭水化物を増量させて、作物の
生育の促進及び維持を図ることが有効である。
【0008】そこで、通常、植物への施肥が行われてい
るが、多肥はかえって植物の正常な生育を妨げることと
なり、肥料の種類によっては、作物や土壌の汚染等の問
題を引き起こすこともある。よって、肥料によるのみで
は有効かつ安全に、天候の影響を避けることはできな
い。
【0009】また、種々の植物活性剤が市販されている
が、特異的に植物の根、茎葉中の炭水化物含有量を増加
させる有効なものは見出されていない。
【0010】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、特にC3植物に属する植物の生長を促進するととも
に、根及び茎葉中の炭水化物含有量の増量し、さらに環
境への負荷が極めて低い有効かつ安全な植物活性剤を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に、シ
バ類を健全に発育させる生長促進剤としてマツ科植物の
有効成分を含有する抽出液又は抽出エキスが、特に、シ
バ類等の植物の発育を阻害する病原菌に対して抗菌活性
を有し、ひいてはシバ類等の植物の根及び茎葉に対して
生長促進効果を有することを見出しているが(特許第3
0338255号)、さらに、植物の根及び茎葉中での
炭水化物含有量を増加させる方法について鋭意研究を行
った。その結果、これら抽出液又は抽出エキスに、トレ
ハロースを組み合わせることにより、意外にも、植物、
特にC3植物に対して、生長促進効果、植物の根及び茎
葉中での炭水化物含有量を増加させる相乗効果が得られ
ることを見出し、本発明の完成に至った。
【0012】すなわち、本発明によれば、マツ科植物の
木質部又はその細片を低級脂肪族アルコール又は含水低
級脂肪族アルコールで冷浸して得られる前記植物の有効
成分を含有する抽出液又は抽出エキスに、トレハロース
を混合してなる植物活性剤が提供される。
【0013】また、本発明によれば、マツ科植物の木質
部又はその細片から抽出し得るアンドロスタ−4,16
−ジエン−3−オン又は4−(1,5−ジエチル−3−
オキシル)−シクロヘキセン−1−カルボン酸メチルエ
ステルとトレハロースとを含有してなる植物活性剤が提
供される。
【0014】さらに、本発明によれば、光合成の炭素代
謝経路によって分類されるC3植物に、上記植物活性剤
を散布して、C3植物を活性させることからなる植物の
活性化方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の植物活性剤に使用するこ
とができる植物は、裸子植物に属するマツ科植物であれ
ば特に限定されるものではなく、例えば、エゾマツ、カ
ラマツ、アカマツ、アカクロマツ、ハイマツ、クロマ
ツ、ヒメコマツ等が挙げられる。なかでも、エゾマツ及
びカラマツが好ましい。これらの植物は、日本国内はも
とより、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリ
ア、南米、アフリカ、シベリア等に広く育成しているも
のであり、いずれの地に育成しているものでも使用する
ことができる。マツ科植物中に含有される所望の有効成
分は、原料とするマツ科植物の種類又は産地等により、
量や種類等に若干の差があると考えられる。よって、例
えば日本国内、シベリア等で栽培されたものを原料とす
ることが好ましい。
【0016】本発明の植物活性剤に使用されるマツ科植
物の木質部は、樹木の皮を剥いで得られるものであり、
細片で用いることが好ましい。ここで細片とは、粉末、
オガクズ、切り屑、削り屑、粉砕物、切片等のすべての
形態を包含する。
【0017】本発明の植物活性剤を得るために使用され
る脂肪族低級アルコールとしては、炭素数1〜5の脂肪
族アルコールが挙げられ、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール
等が例示される。なかでも、メタノールが好ましい。ま
た、含水脂肪族低級アルコールとしては、1〜40重量
%程度の水を含有する上記脂肪族低級アルコールが挙げ
られる。
【0018】本発明の植物活性剤に使用される抽出液と
は、マツ科植物の木質部、好ましくはその細片を低級脂
肪族アルコール又は含水低級脂肪族アルコールに冷浸し
て得られた液を意味する。低級脂肪族アルコール又は含
水低級脂肪族アルコールは、マツ科植物の木質部又はそ
の細片の2〜50倍(重量)程度、好ましくは2〜10
倍程度、さらに好ましくは3〜5倍程度使用することが
できる。
【0019】また、冷浸は、10〜35℃程度、さらに
好ましくは20〜30℃の温度で、振盪下又は非振盪下
に、上述したマツ科植物の木質部を上述した溶剤に浸漬
することによって行われる。なお、カラマツ及びエゾマ
ツを用いて、熱抽出する方法について検討したが、熱抽
出で得られた抽出液を濃縮して得た抽出エキスを液体ク
ロマトグラフィーに付したところ、保持時間が30分又
はその近傍において検出されるアンドロスタ−4,16
−ジエン−3−オンあるいは40分の位置又はその近傍
に検出される4−(1,5−ジエチル−3−オキシル)
−シクロヘキセン−1−カルボン酸メチルエステルの各
ピーク強度が半減し、それに伴って、後述するシバ類の
生長促進効果及び抗菌効果が低下する傾向がある。よっ
て、本発明においては、上述のような冷浸が好ましい。
振盪下に浸漬する場合には、5〜12時間程度行うこと
が好ましく、8〜10時間程度行うことがより好まし
い。非振盪下に浸漬する場合は、1〜10日間程度行う
ことが好ましく、3〜5日間程度行うことがより好まし
い。なお、これら抽出処理は、1回のみ行ってもよい
が、2回以上行うことが好ましい。
【0020】本発明の植物活性剤に使用される抽出エキ
スとは、上述した抽出液を濃縮したものを意味する。濃
縮は、低温低圧下で行うことが好ましい。また、この濃
縮は乾固するまで行ってもよい。なお、濃縮する前にろ
過し、ろ液を濃縮して抽出エキスとしてもよい。得られ
た抽出エキスは、通常、黒褐色の軟調状の形態で得るこ
とができる。
【0021】得られた抽出液又は抽出エキスは、精製処
理に付してもよい。精製処理方法としては、クロマトグ
ラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法等を単独又は
組み合わせて使用する方法が挙げられる。
【0022】例えば、クロマトグラフ法としては、順相
クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液
体クロマトグラフィー、遠心液体クロマトグラフィー、
カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等
のいずれか又はそれらを組み合わせて使用する方法が挙
げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各
種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することがで
きる。例えば、順相クロマトグラフィーの場合にはクロ
ロホルムーメタノール系の溶媒、逆相クロマトグラフィ
ーの場合には、水ーメタノール系の溶媒を使用すること
ができる。
【0023】また、イオン交換樹脂を使用する溶離法と
しては、得られた抽出液又は抽出エキスを、水を約20
%以上含有する含水低級脂肪族アルコールに希釈/溶解
させ、この溶液をイオン交換樹脂に接触させて吸着させ
た後、低級脂肪族アルコール又は水を約20%以下で含
有する含水低級脂肪族アルコールで溶離する方法が挙げ
られる。この際に使用される低級脂肪族アルコールは、
上述した通りであり、なかでもメタノールが好ましい。
イオン交換樹脂としては、通常、当該分野の精製処理に
使用されるものであれば特に限定されるものではなく、
例えば、巨大網状構造で多孔性の架橋されたポリスチレ
ン系樹脂、アーバンライト、DEAEセルローズ等が挙
げられる。
【0024】上記で得られた抽出液又は抽出エキスを希
釈/溶解するために用いられるものとしては、水又は水
を約20%以上、好ましくは約50%以上含有する含水
低級脂肪族アルコールが挙げられる。低級脂肪族アルコ
ールは、上記と同様のものを用いることができ、なかで
もメタノールが好ましい。
【0025】溶離する際に用いられるものとしては、水
又は水を約20%以下で含有する含水低級脂肪族アルコ
ール、好ましくは低級脂肪族アルコールが挙げられる。
低級脂肪族アルコールは、上記と同様のものを用いるこ
とができ、なかでもメタノールが好ましい。
【0026】上記で得られた抽出液又は抽出エキスをメ
タノールに溶解し、適宜希釈して高速液体クロマトグラ
フィに付した場合、保持時間が30分あるいは40分の
位置又はその近傍にピークが検出される。この際の高速
液体クロマトグラフィは、長さ150mm、直径4.6
mmのカラム、充填剤としてオクタンデシルシリル化シ
リカゲル(YMC社製、商品名ODS−A)、移動相と
して水/メタノール(4:1)を流量0.8mL/分で
使用し、測定波長を210nmとし、メタノールで25
00倍に希釈した抽出エキスを10μL注入して分析し
ており、例えば、図1(a)に示したように、カラマツ
を用いた抽出エキスは、保持時間は約30分近傍に下記
構造を有するアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オ
ン、図1(b)に示したように、エゾマツを用いた抽出
エキスは約40分近傍に下記構造を有する4−(1,5
−ジエチル−3−オキシル)−シクロヘキセン−1−カ
ルボン酸メチルエステルをそれぞれ示すピークが得られ
る。
【0027】
【化1】
【0028】このように、本発明の植物活性剤における
マツ科植物に含有される成分は、このピークを示す成分
を精製して単離することができる。なお、これらのアン
ドロスタ−4,16−ジエン−3−オンあるいは4−
(1,5−ジエチル−3−オキシル)−シクロヘキセン
−1−カルボン酸メチルエステルが、生長促進等の効果
の指標となることから、これらの成分のみを取り出し
て、トレハロースと組み合わせてもよい。この場合のこ
れらの成分とトレハロースとの重量割合は、後述するマ
ツ科植物の抽出液又は抽出エキスの乾燥重量とトレハロ
ースとの重量割合から換算して、適宜調整することがで
きる。
【0029】本発明の植物活性剤における抽出液又は抽
出エキスは、単一のマツ科植物から得られる抽出液又は
抽出エキス、あるいは複数のマツ科植物から得られる抽
出液又は抽出エキスの混合物であってもよい。また、抽
出液又は抽出エキスは、そのままの状態で、適当な媒体
で希釈/溶解した液の状態で、乾燥又は凍結乾燥等によ
り得られた散剤又は粒剤等の固体の状態で使用すること
ができる。
【0030】また、本発明の植物活性剤に使用されるト
レハロースは、2分子のD−グルコースの還元性基どう
しが結合した二糖類であり、結合がα結合かβ結合かに
よって、3つの異性体が存在するが、それらのすべてが
含まれる。なかでも、天然に存在するα,α結合のトレ
ハロースが好ましい。なお、トレハロースは、市販され
ているものを使用することができるが、必ずしも食品用
途として市販されているほど純度の高いものでなくても
よい。
【0031】トレハロースは、マツ科植物の抽出液又は
抽出エキスの乾燥重量に対して10〜50倍量、好まし
くは30〜40倍量とすることができる。なお、抽出液
又は抽出エキスは、マツ科植物の種類、抽出に用いる溶
媒、抽出方法、精製の有無又は程度等によって、その中
に含有される成分にばらつきがあると考えられるが、通
常使用されるような方法により得られるものであれば有
効に使用することができる。
【0032】本発明の植物活性剤は、液剤、散剤、粒剤
等の種々の形態で使用することができるが、広い面積の
土壌において、均一に散布させるためには、液剤、特に
水溶液の形態が好ましい。例えば、液剤として使用する
場合には、マツ科植物の抽出液または抽出エキスを、水
又は上述した含水脂肪族低級アルコール等により、10
0〜100000倍程度、より好ましくは1000〜3
0000倍程度に希釈し、それにトレハロースを混合し
て使用することができる。なお、液剤として使用する場
合には、植物に影響を与えない他の添加剤、保存剤、分
散剤等の添加剤を併用してもよい。添加剤としては、グ
リセリン、プロピレングリコール、脂肪油、エチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、界
面活性剤等が挙げられる。
【0033】また、散剤、粒剤等として使用する場合に
は、当該分野で公知の添加剤等を使用することができ
る。例えば、乳糖、澱粉、デキストリン、リン酸カルシ
ウム、炭酸カルシウム、合成及び天然の珪酸アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウム、ステ
アリン酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、乾燥酵母、
酸化亜鉛、タルク、カオリン、硼酸末、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈
降炭酸カルシウム、次没子酸ビスマス、硫酸アルミニウ
ムカリウム末等が挙げられる。なお、これら散剤、粒剤
等は、当該分野で公知の方法により製造することができ
る。
【0034】本発明の植物活性剤の使用量は、適用場
所、適用時期、適用方法、対照植物、対照病原菌等によ
り、適宜調節することができるが、例えば、ゴルフ場の
グリ−ンやスイカの栽培場1m2 あたり、混合液/抽出
エキス(乾燥重量)/トレハロースを10〜250L/
20〜500mg/0.2〜25g程度、好ましくは2
5〜75L/50〜150mg/0.5〜1.5g程
度、さらに好ましくは40〜60L/80〜120mg
/2.4〜4.8g程度となるように使用することがで
きる。
【0035】本発明の植物活性剤は、光合成をする植物
全般に対して使用することができるが、特に光合成の代
謝経路の違いによって分類されるC3植物に属するもの
に有効である。なかでも、ベントシバ、ペレニアル、ケ
ンタッキーブルーグラス等の常緑性で、主としてゴルフ
場で使用されているシバ;スイカ、メロン、トマト、イ
チゴ、キュウリ等の果菜類;キャベツ、ハクサイ、ほう
れんそう、レタス等の葉菜類;にんじん、大根等の根菜
類等に有効である。
【0036】本発明の植物活性化方法においては、植物
活性剤を、植物、特にC3植物の茎や葉等に、通常、直
接噴霧するが、これらの植物が植えられている土壌に散
布してもよい。
【0037】本発明において、植物の活性化とは、植物
の発育を阻害する病原菌に対して抗菌活性を示して病気
にかかりにくくして健全に生長させること、植物の根及
び茎葉に対する生長を促進させること、植物の根及び茎
葉中での炭水化物含有量を増加させること等の植物を健
全に生長させるすべて作用を意味する。
【0038】
【実施例】以下、本発明の植物活性剤についての実施例
を、具体的に説明する。 実施例1:マツ科植物の有効成分の分離方法、抽出エキ
ス 製材過程で得られたカラマツのオガクズ1kgを10L
容器に秤量し、メタノール(工業用メタノール:メタノ
ール含量99.8%以上)5Lを加え、3日間室温で浸
漬する。次いで、常温でろ紙によりろ過した後、溶媒を
減圧下で留去し、カラマツの抽出エキス120gを得
た。
【0039】カラマツの抽出エキスを約100mg精密
に計り、メタノールを加えて溶解し、正確に25mlと
する。その1mlを正確にとり、メタノールを加えて、
正確に10mlとし、孔径0.45μmのメンブランフ
ィルターでろ過したものをクロマトグラフィー用試料溶
液とした。
【0040】クロマトグラフィー用試料溶液10μLに
ついて、以下の条件で液体クロマトグラフィーに付した
結果、カラマツの抽出エキスにおいては、図1(a)に
示したように、保持時間約30分近傍でアンドロスタ−
4,16−ジエン−3−オンに起因する単一大きなピー
ク得られた。 (操作条件) 検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm) カラム:オクタンデシルシリル化シリカゲル 150×
4.6mmI.D.(YMC社製、商品名ODS−A) カラム温度:40℃付近の一定温度 移動相:水/メタノール混液(4:1) 流量:0.80mL/分
【0041】実施例2:抽出エキスとのトレハロースと
の混合液 実施例1で得られたカラマツの抽出エキス6gを秤量
し、ポリソルベート80を60g加えた。加温しながら
溶解させてカラマツエキス溶液を調製した。一方、トレ
ハロース240gに精製水250mLを加えて、トレハ
ロースを完全に溶解させ、トレハトース水溶液を調製し
た。
【0042】得られたトレハロース水溶液にカラマツエ
キス溶液を徐々に加え、精製水で全量を300Lとし
て、抽出エキスとトレハロースとの混合試験液を調製し
た。
【0043】なお、比較のために、実施例1で得られた
カラマツの抽出エキス6gを秤量し、ポリソルベート8
0を12g加え、加温しながら溶解させる。この溶液を
ろ過した後、全量を精製水で300Lとしてカラマツエ
キス試験液を調製した。
【0044】また、トレハロース240gに精製水60
0mLを加えて、トレハロースを完全に溶解させた。こ
の溶液をろ過した後、全量を精製水で300Lとしてト
レハロース試験液を調製した。
【0045】実施例3:抽出エキスとトレハロースとの
混合液のベントシバへの効果 ゴルフ場のベントシバグリーン200m2の区域をカラ
マツエキス試験液区、混合試験液区、トレハロース試験
液区、対照区とし、各区域に、各試験液を50Lずつ散
布した(カラマツエキス試験液区:カラマツエキス1
g、混合試験液区:カラマツエキス1g・トレハロース
40g、トレハロース試験液区:トレハロース40
g)。
【0046】なお、対照区は精製水50L中にポリソル
ベート80を20g溶解した液を噴霧した。
【0047】上記試験液の散布は、平成12年4月下旬
から11月初旬にかけて行い、散布の1週間後に全草を
刈り取り、ベントシバの根部の乾燥重量の乾物率と、茎
葉中の炭水化物含有量とを測定した。その結果を表1及
び表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1によれば、混合試験液区では、対照区
と比較して、年間を通じて明らかに根部の重量の増加が
観察された。特に、7月下旬から8月中旬は、平均気温
28℃の続く、猛暑であったにもかかわらず、混合試験
液区において、顕著な根部重量の増加が見られた。
【0051】表2によれば、混合試験液区では、年間を
通して、対照区と比較して、炭水化物含有量の増加が観
察された。特に、8月の猛暑により、対照区では著しく
炭水化物含有量を減少しているにもかかわらず、混合試
験液区では、炭水化物の含有量が確実に高く維持されて
いた。
【0052】これらのことから、茎葉中の炭水化物含有
量の増加は、根茎の発達を促し、ベントシバの密度を高
めて、呼吸の促進による夏バテを防止して、植物の活性
化を促していることがわかる。
【0053】また、上記と同様の試験液の散布を、平成
10年から平成12年まで3回行い、各年のベントシバ
の茎葉中の水分含有量を測定した。その結果を図2に示
す。
【0054】図2によれば、平成12年8月下旬に最高
気温32℃を記録したが、混合試験液区では、その時期
に水分含有率が高い値を示した。この傾向は、平成10
年及び平成11年にも観察される。
【0055】また、平成10年は、冷夏で、7月下旬に
最高気温が観測されたが、そのような時期においても混
合試験液区では、水分含有率が高い値を示している。
【0056】つまり、気温の上昇にともなって、茎葉中
の水分の蒸散が強まるが、混合試験液区では、根部の吸
水が活発になり、高温による葉温の上昇を防止してい
る。よって、ベントシバは、夏期でも、吸水を活発にし
て水分ストレスを防止して、根部の生長を促進させ、正
常な光合成能力を維持することができた。
【0057】さらに、各試験区に対する年間の施肥回数
及び化成肥料中の三要素N、P、Kの1m3あたりの年
間使用量、年間の農薬使用量を測定した。その結果を表
3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】表3によれば、混合試験液区は、年間の施
肥回数を減らしている。しかも、夏期(7〜9月)は使
用していない。それに伴い年間の化成肥料中のN、P、
Kのいずれもの使用量が減少した。また、年間の農薬使
用量について、混合試験区は対照区に比較して53%減
少した。特に、夏期には、60%も減少した。つまり、
夏期を通して、抵抗性が強く、丈夫なベントシバに生長
していることが確認された。
【0060】実施例4:抽出エキスとトレハロースとの
混合液のスイカへの効果 フジフラクト(麦芽糖の加水分解物:果糖44.8%、
ブドウ糖49.8%(日本食品工業株式会社))を35
0g秤量し、精製水を200ml加えて溶解する。さら
に実施例3のカラマツエキス試験液を300mL加え、
全量を精製水で25Lとしてカラマツ・フジクラフト混
合液を調製する。
【0061】スイカ畑50m2ずつ、混合試験液区、カ
ラマツ・フジクラフト混合液区、対照区に分け、各試験
液を25Lずつ散布した。なお、混合試験液区には実施
例2で調製した混合試験液を使用し、対照区にはポリソ
ルベート80を10g秤量し、精製水で25Lとしたも
のを使用した。
【0062】試験期間は、平成12年4月から8月で、
着果期、成熟期で茎葉がやや退色した時期、その1週間
後の3回散布した。3回散布した後、茎葉を採取して葉
緑素含有量をアーノン法で測定した。その結果を表4に
示す。
【0063】
【表4】
【0064】表4によれば、混合試験液区では、明らか
に他の区よりも葉緑素濃度が増加した。葉緑素濃度の増
大は、高い光合成能力の維持、ひいてはスイカの生長促
進に有効である。
【0065】また、8月中旬に各試験区から採取したス
イカの全糖含有量を測定した。その結果を表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】表5によれば、混合試験区では、糖類含有
量の顕著な増加が確認された。なかでも、非還元糖(シ
ョ糖類)の含有量が顕著に増加しており、特に果肉の外
側で増加が大きいことが分かった。
【0068】通常、スイカは、食味、香り、果肉の質
(シャリ)等の感覚的な要素で、その品質が評価される
が、糖度のような数値化された客観的な要素によっても
スイカの品位を評価する指標とすることができた。つま
り、本発明においては、客観的な糖度の増加により、高
い品質のスイカが得られることがわかった。
【0069】また、混合試験区でのスイカの収量は、対
照区に比較して、重量として30%以上の増加が見られ
た。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、マツ科植物から得られ
る抽出液又は抽出エキスに、トレハロースを混合してな
る植物活性剤又はマツ科植物の木質部又はその細片から
抽出し得るアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン
又は4−(1,5−ジエチル−3−オキシル)−シクロ
ヘキセン−1−カルボン酸メチルエステルとトレハロー
スとを含有してなる植物活性剤が提供されるため、光合
成を行う植物、特にC3植物の属する植物における根か
らの吸水量の増加、茎葉中での炭水化物含有量の増加、
根茎の発達の促進及び重量の増加、葉緑素含有量の増加
等、植物の生育効果を活性化させることができる。特
に、マツ科植物から得られる抽出液又は抽出エキスにト
レハロースを混合することにより、年間を通した、気温
の変動等に依存しない上記効果を、相乗的に得ることが
できる。よって、高品質の作物を生産することができる
とともに、耐病性を強めて農薬の使用量の減少、施肥量
の減少を実現することができ、年間を通じての作物の生
産コストを削減し、幅広い生育・管理による省力化を図
ることができ、経済的な波及効果をもたらす。
【0071】また、農薬や肥料による土壌の汚染等の環
境に対する負荷を最小限に抑えることができ、社会的な
ニーズに十分応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマツ科植物の抽出エキスを高速液体ク
ロマトグラフィーに付した場合のチャートである。
【図2】本発明の植物活性剤によるベントシバ茎葉中の
水分含有量への効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村井 清春 富山県富山市大町199−1 Fターム(参考) 2B022 AA01 EA10 4H011 AB03 BA06 BB05 BB06 BB08 BB22 BC18 DA13 DD03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マツ科植物の木質部又はその細片を低級
    脂肪族アルコール又は含水低級脂肪族アルコールで冷浸
    して得られる前記植物の有効成分を含有する抽出液又は
    抽出エキスと、トレハロースとを含むことからなる植物
    活性剤。
  2. 【請求項2】 トレハロースが、マツ科植物の抽出液又
    は抽出エキスの乾燥重量に対して10〜50倍量含有さ
    れる請求項1に記載の植物活性剤。
  3. 【請求項3】 マツ科植物の木質部又はその細片から抽
    出し得るアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン又
    は4−(1,5−ジエチル−3−オキシル)−シクロヘ
    キセン−1−カルボン酸メチルエステルとトレハロース
    とを含有してなる植物活性剤。
  4. 【請求項4】 水溶液の形態である請求項1〜3のいず
    れか1つに記載の植物活性剤。
  5. 【請求項5】 光合成の二酸化炭素固定経路によって分
    類されるC3植物に、請求項1〜4のいずれか1つの植
    物活性剤を散布して、C3植物を活性させることからな
    る植物の活性化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020241053A1 (ja) * 2019-05-30 2020-12-03 長瀬産業株式会社 肥料組成物、クロロフィル含有量増加剤および植物の生産方法。

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