JP5610811B2 - 農業用添着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、農薬等の植物への付着性を向上できる農業用添着剤と、これを用いた農薬含有組成物及び植物の生産方法に関する。
殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺ダニ剤、植物成長調節剤をはじめとする農薬は、乳剤、水和剤、粒剤、粉剤、フロアブル剤、液剤等の剤型にて使用されている。その際、農薬の効果を十分引き出すために、製剤物性の観点から様々な工夫がなされている。
従来、農薬の効果を十分引き出すために、農薬含有組成物に各種界面活性剤が利用されている。例えば、陰イオン界面活性剤とキレート剤とを組み合わせることでビピリジニウム系除草剤に効果の高い農薬含有組成物が得られることが知られている(例えば特許文献1参照)。また、陽イオン界面活性剤にキレート剤を配合し、更に別の界面活性剤を添加することで、農薬の効果の高い農薬含有組成物が得られることも知られている(例えば特許文献2参照)。
また、農薬含有組成物にセルロース誘導体が含有される場合がある。例えば、特許文献3には、工業的に連続製造を可能とするために、低置換度のヒドロキシプロピルセルロースを含有する農薬錠剤が提案されている。また、特許文献4には、結晶析出の防止及び固化の防止のために、セルロース誘導体として、その2重量%水溶液の粘度が3〜1500mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた顆粒状農薬製剤が提案されている。また、特許文献5には、γ−ブチロラクトンを含有する製剤に関し、貯蔵中のγ−ブチロラクトンからのガスの発生を抑制できる液状農薬製剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロースエーテルを含有する液状農薬製剤が提案されている。
一方、雨等により葉面等から農薬が流れ落ちることを防止するために、固着剤として、その2重量%水溶液の粘度が10〜2000mPa・sのセルロース誘導体を含有する農園芸用顆粒水和剤が提案されている(例えば特許文献6)。
国際公開第95/31903号パンフレット 国際公開第95/17817号パンフレット 特開平06−72804号公報 特開2003−73201号公報 特開2006−143610号公報 特開2005−132741号公報
従来、セルロース誘導体は顆粒状製剤に使用されることが多く、そのため低粘度のセルロース誘導体が使用されていた。本発明者らの検討により、低粘度のセルロース誘導体では、併用される農薬や肥料等の農業用有効成分(以下、単に「有効成分」ともいう)の植物への付着性が不充分であることが判明した。
本発明は、有効成分の植物への付着性を向上できる農業用添着剤と、これを用いた農薬含有組成物及び植物の生産方法を提供する。
本発明の農業用添着剤は、水溶性ヒドロキシプロピルセルロース及び水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上のセルロース誘導体と、界面活性剤と、水とを含有する農業用添着剤であって、前記セルロース誘導体は、該セルロース誘導体の2重量%水溶液の20℃におけるブルックフィールド型粘度計による粘度が、2000mPa・sを超えて40000mPa・s以下であり、前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンのアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンのソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びシリコーン系界面活性剤の群から選ばれる1種以上の界面活性剤である、農業用添着剤である。
本発明の農薬含有組成物は、前記本発明の農業用添着剤と、農薬とを含有する、農薬含有組成物である。
本発明の植物の生産方法は、前記本発明の農業用添着剤を植物に施す工程を含む、植物の生産方法である。
本発明の農業用添着剤及び農薬含有組成物によれば、有効成分の植物への付着性を向上できる。また、本発明の植物の生産方法によれば、有効成分の植物への付着性が向上し、有効成分の効果が高まるため、生産性を向上できる。
本発明の農業用添着剤は、水溶性ヒドロキシプロピルセルロース及び水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上のセルロース誘導体と、界面活性剤と、水とを含有する。
[セルロース誘導体]
本発明の農業用添着剤には、植物の葉面、茎、果実等に対する有効成分の付着性を向上させるために、水溶性ヒドロキシプロピルセルロース及び水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上のセルロース誘導体が含有される(以下、単に「本発明におけるセルロース誘導体」ともいう)。前記「水溶性」とは、20℃の水への溶解度が100mg/L以上であることをいう。なお、本発明におけるセルロース誘導体の水への溶解量は、例えばヒドロキシプロポキシル基置換度やメトキシル基置換度を後述する好適な範囲に調整したり、本発明におけるセルロース誘導体の重量平均分子量を後述する好適な範囲に調整することで、制御できる。
本発明では、水溶性のセルロース誘導体を用いることによって、添着剤を散布する際に、ノズルの閉塞を防止できる上、本発明におけるセルロース誘導体の効果(有効成分の植物への付着性を向上させる効果)を十分に発揮させることができる。なお、従来の顆粒状製剤に使用されるセルロース誘導体は、製剤を製造する上での崩壊剤として配合される場合が多く、通常は、非水溶性のセルロース誘導体が使用されていた。
本発明におけるセルロース誘導体は、有効成分の植物への付着性を向上させる観点から、ブルックフィールド型粘度計(以下、B型粘度計ともいう)によって測定される該セルロース誘導体の2重量%水溶液の20℃における粘度(以下、単に「2%粘度」ともいう)が、2000mPa・sを超えて40000mPa・s以下である。有効成分の植物への付着性の向上の観点から、本発明におけるセルロース誘導体の2%粘度は、3000mPa・s以上であることが好ましく、4000mPa・s以上であることがより好ましく、5000mPa・s以上であることが更に好ましく、10000mPa・s以上であることがより更に好ましい。また、セルロース誘導体の水への溶解性の観点から、本発明におけるセルロース誘導体の2%粘度は、38000mPa・s以下であることが好ましく、35000mPa・s以下であることがより好ましく、33000mPa・s以下であることが更に好ましく、30000mPa・s以下であることがより更に好ましい。前記観点を総合すると、本発明におけるセルロース誘導体の2%粘度は、2000mPa・sを超えて40000mPa・s以下であり、3000〜38000mPa・sであることが好ましく、4000〜35000mPa・sであることがより好ましく、5000〜33000mPa・sであることが更に好ましく、10000〜30000mPa・sであることが更により好ましい。
本発明で使用できる水溶性ヒドロキシプロピルセルロースは、2%粘度を前記の好適な範囲に調整して有効成分の植物への付着性を向上させる観点から、ヒドロキシプロポキシル基置換度が3.3〜4であることが好ましく、3.4〜4であることがより好ましく、3.5〜4であることが更に好ましい。ここで、「ヒドロキシプロポキシル基置換度」とは、セルロースのグルコース単位(3つの水酸基を持つ)当りに導入されたヒドロキシプロポキシル基の平均個数である。
また、本発明で使用できる水溶性ヒドロキシプロピルセルロースは、2%粘度を前記の好適な範囲に調整して有効成分の植物への付着性を向上させる観点から、重量平均分子量が10万〜200万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましく、100万〜200万であることが更に好ましい。
なお、水溶性ヒドロキシプロピルセルロースは、例えば特開平9−202801号公報等に記載の公知の方法により製造してもよいし、市販のものを用いてもよい。市販品としては、例えば、日本曹達社製のHPCシリーズや、三晶社製のクルーセル(KLUCEL)シリーズなどがある。また、これら市販品の中で、2%粘度が2000mPa・sを超えて40000mPa・s以下であり、ヒドロキシプロポキシル基の置換度が3.3〜4であり、重量平均分子量が10万〜200万であるものとして、日本曹達社製のHPC−H(4000、3.3、325000)や三晶社製のKLUCEL−M(5000、4.0、850000)、KLUCEL-H(30000、4.0、1150000)などがある。なお、前記市販品の括弧内はそれぞれ、2%粘度(mPa・s)、ヒドロキシプロポキシル基置換度、重量平均分子量を表す。
本発明で使用できる水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、2%粘度を前記の好適な範囲に調整して有効成分の植物への付着性を向上させる観点から、メトキシル基置換度が1.7〜2であることが好ましく、1.7〜1.9であることがより好ましい。ここで、「メトキシル基置換度」とは、セルロースのグルコース単位(3つの水酸基を持つ)当りに導入されたメトキシル基の平均個数である。
なお、水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えば特開平10−158302号公報等に記載の公知の方法により製造してもよいし、市販のものを用いてもよい。市販品としては、例えば、信越化学工業社製のメトローズシリーズ、三晶社製のネオビスコ(NEOVISCO)−MCシリーズ、巴工業社製のメセロースシリーズ、松本油脂製薬社製のマーポローズシリーズ、ザ・ダウ・ケミカルカンパニー製のMETHOCELシリーズなどがある。また、これら市販品の中で、2%粘度が2000mPa・sを超えて40000mPa・s以下であるものとして、信越化学工業社製 メトローズ60SH-4000(4000、1.9)、60SH-10000(10000、1.9)、65SH-4000(4000、1.8)、65SH-15000(15000、1.8)、90SH-4000(4000、1.4)、90SH-15000(15000、1.4)、90SH-30000(30000、1.4)、三晶社製 NEOVISCO MC HM-4000(4000、1.8)、HM-15000(15000、1.8)、RM-4000(4000、1.4)、RM-8000(8000、1.4)、RM-15000(15000、1.4)、RM-30000(30000、1.4)、松本油脂製薬社製 マーポローズ 60MP-4000(4000、1.9)、65MP-4000(4000、1.8)、90MP4000(4000、1.4)、90MP-15000(15000、1.4)、90MP-30000(30000、1.4)、ダウ・ケミカルカンパニー社製 METHOCEL K4M(4300、1.4)、K15M(16000、1.4)、E4M(4300、1.9)、E10M(10800、1.9)などが挙げられる。その中で、さらにメトキシル基の置換度が1.7〜2のものとして、信越化学工業社製 メトローズ60SH-4000、60SH-10000、65SH-4000、65SH-15000、三晶社製 NEOVISCO MC HM-4000、HM-15000、松本油脂製薬社製 マーポローズ 60MP-4000、65MP-4000、ダウ・ケミカルカンパニー社製 METHOCEL E4M、E10Mなどが挙げられる。なお、前記市販品の括弧内はそれぞれ、2%粘度(mPa・s)、メトキシル基置換度を表す。
本発明では、セルロース誘導体として、前記の水溶性ヒドロキシプロピルセルロース又は水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを単独で使用してもよいし、水溶性ヒドロキシプロピルセルロース及び水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースを組み合わせて使用してもよい。有効成分の植物への付着性を向上させる観点からは、水溶性ヒドロキシプロピルセルロースを使用するのが好ましい。
[界面活性剤]
本発明の農業用添着剤には、有効成分の植物への付着性を向上させるために、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びシリコーン系界面活性剤の群から選ばれる1種以上の界面活性剤(以下、本発明における界面活性剤ともいう)が含有される。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、有効成分の植物への付着性の観点から、その親水基を構成するポリオキシアルキレン基がポリオキシエチレン基であるものが好ましい。同様の観点から、ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数は4〜50が好ましく、6〜30がより好ましく、8〜23が更に好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの疎水基を構成するアルキル基は、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れでも良いが、有効成分の植物への付着性の観点から、炭素数が8〜22であることが好ましく、炭素数が10〜18であることがより好ましく、炭素数が12〜18であることが更に好ましい。
ポリオキシアルキレンのソルビタン脂肪酸エステルとしては、有効成分の植物への付着性の向上の観点から、その親水基を構成するポリオキシアルキレン基がポリオキシエチレン基であるものが好ましい。同様の観点から、ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数は0〜50が好ましく、6〜40がより好ましく、6〜20が更に好ましい。また、ポリオキシアルキレンのソルビタン脂肪酸エステルの疎水基を構成するアシル基は、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れでも良いが、有効成分の植物への付着性の向上の観点から、炭素数が8〜22であることが好ましく、炭素数が10〜18であることがより好ましく、炭素数が12〜18であることが更に好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、その疎水基を構成するアシル基は飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れでも良いが、有効成分の植物への付着性の向上の観点から、炭素数が8〜22であることが好ましく、炭素数が10〜18であることがより好ましく、炭素数が12〜18であることが更に好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、側鎖変性型〔下記式(1)〕、両末端変性型〔下記式(2)〕、片末端変性型〔下記式(3)〕、両末端側鎖変性型〔下記式(4)〕等があり、その親水性置換基(各式中のX)が、ポリエーテル型〔下記式(5)〕、ポリグリセリン型〔下記式(6)〕、ピロリドン型〔下記式(7)〕、ベタイン型〔下記式(8)〕、硫酸塩型〔下記式(9)〕、リン酸塩型〔下記式(10)〕、4級塩型〔下記式(11)〕の基であるものが挙げられる。この中でもポリエーテル型〔下記式(5)〕であるポリエーテル型変性シリコーン系界面活性剤が好ましい。
Figure 0005610811
Figure 0005610811
本発明では、界面活性剤として、前記の界面活性剤の1種を単独で使用してもよいし、前記の界面活性剤から選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。有効成分の植物への付着性を向上させる観点からは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルを使用することが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを使用することがより好ましい。なお、本発明の農業用添着剤には、その用途に応じて、前記列挙した界面活性剤以外に、他の界面活性剤が添加されていてもよい。他の界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれであってもよい。
他の界面活性剤として、非イオン界面活性剤を使用する場合、非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノール等のポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルソルビトールエステル、ポリオキシアルキレンアルキルグリセロールエステル、ポリオキシアルキレンブロック共重合体(例えばポリオキシプロピレン基を含むもの)、ポリオキシアルキレンブロック共重合体アルキルグリセロールエステル、ポリオキシアルキレンアルキルスルホンアミド、ポリオキシアルキレンロジンエステル、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグリコシドなど、及びこれらのうちの2種以上の混合物などが挙げられる。
他の界面活性剤として、陽イオン界面活性剤を使用する場合、陽イオン界面活性剤の例としては、モノアルキルジ低級アルキルアミン、ジアルキルモノ低級アルキルアミン、アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、アルキルアミンプロピレンオキサイド付加物、タローアミンエチレンオキサイド付加物、オレイルアミンエチレンオキサイド付加物、ソイアミンエチレンオキサイド付加物、ココアミンエチレンオキサイド付加物、合成アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、オクチルアミンエチレンオキサイド付加物など、及びそのメチルクロライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ベンジルクロライド等の4級化物並びにそれらの混合物がある。
他の界面活性剤として、陰イオン界面活性剤を使用する場合、陰イオン界面活性剤の例としては、モノ及びジ−アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジ−アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルファ−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、モノ−アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジ−アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホネートのホルムアルデヒド縮合物、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、オレフィニックスルホン酸塩、モノ及びジアルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ及びジアルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ及びジフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ及びジアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリカルボン酸塩、直鎖及び分岐アルキルアミドポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルケニルポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、脂肪酸又はその塩(例えばカプリル酸及びその塩、ラウリン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、オレイン酸及びその塩、N−メチル脂肪酸タウリド(taurides))、これらのうちの2種以上の混合物等がある。
別の界面活性剤として、両性界面活性剤を使用する場合、両性界面活性剤の例としては、アミノ酸系、イミダゾリン系、アミンオキサイド系の両性界面活性剤が挙げられる。具体的にはアミノ酸系の両性界面活性剤としては、アシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩等が挙げられる。イミダゾリン系の両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、アルキルアシルカルボキシメチルヒドロキシエチルエチレンジアミン塩等が挙げられる。アミンオキサイド系の両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジエタノールアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルアミンオキサイド等が挙げられる。
本発明の農業用添着剤において、本発明におけるセルロース誘導体と界面活性剤の重量比(セルロース誘導体/界面活性剤)は、様々な散布場面に応じて適宜設定すればよいが、有効成分の植物への付着性を向上させる観点からは、0.005〜10であることが好ましい。
なかでも、単位面積当たりの添着剤の散布量が5L/10a〜25L/10aのような少量散布の場合は、散布した液滴が植物に衝突した際、反跳しないようにする観点、及び添着剤の植物に対する濡れ性を向上させることで、有効成分を効率的に植物に浸透させることにより、有効成分の効力を増強させる観点から、重量比(セルロース誘導体/界面活性剤)は、0.005〜0.09がより好ましく、0.01〜0.07が更に好ましく、0.02〜0.05が更により好ましい。
また、単位面積当たりの添着剤の散布量が26L/10a〜200L/10aのような多量散布の場合は、植物に付着した液滴が植物から転落しないように垂れ落ちを防止して付着量を高め、有効成分の効力を増強させる観点から、重量比(セルロース誘導体/界面活性剤)は、0.1〜10がより好ましく、0.1〜5が更に好ましく、0.2〜2が更により好ましい。
[水]
本発明の農業用添着剤は、前述したセルロース誘導体及び界面活性剤以外に、溶媒としてイオン交換水等の水を含有する。なお、本発明の農業用添着剤は、有効成分の植物への付着性を向上させる観点から、粘性を有することが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないことが好ましい。前記「有機溶剤を実質的に含有しない」とは、本発明の効果を阻害しない程度、例えば使用時の含有量(例えば、後述する農薬含有組成物として散布する際の散布液組成物中の含有量)として、0.02重量%未満の含有量であれば、有機溶剤が含有されていてもよいことを意味する。
本発明の農業用添着剤の植物への供給方法としては色々な手段を使うことができる。例えば、本発明の農業用添着剤を含む農業用組成物(例えば農薬含有組成物等)を葉面、茎、果実等に直接散布したり、水耕栽培やロックウールのように根に接触している水耕液や供給水に希釈混合して根表面等に供給(塗布)する方法が挙げられる。本発明の農業用添着剤の効果(有効成分の植物への付着性を向上させる効果)を有効に発揮させるには、本発明の農業用添着剤は、植物の地上部への散布用に適用することが好ましく、葉面散布用に適用することがより好ましい。
本発明の農業用添着剤は、農薬含有組成物や肥料含有組成物等の農業用組成物の一成分として有用である。中でも、本発明の農業用添着剤の効果(有効成分の植物への付着性を向上させる効果)を有効に発揮させるには、本発明の農業用添着剤は、農薬含有組成物に適用することが好ましい。即ち、本発明の、農薬含有組成物は、前記本発明の農業用添着剤と、農薬とを含有する農薬含有組成物である。
本発明の農薬含有組成物は、そのまま使用(例えば散布)することも可能であるが、保存安定性、運送効率等を考慮すれば、高濃度製品(製剤)として調製されることが好ましい。製剤は、使用時(例えば散布時)には、水で希釈して用いられる。
本発明の農薬含有組成物中のセルロース誘導体の含有量は、農薬の植物への付着性を向上させる観点から、高濃度製品(製剤)中の含有量として0.25〜50重量%が好ましく、0.5〜25重量%がより好ましく、1〜10重量%が更に好ましい。また、同様の観点から、農薬含有組成物中のセルロース誘導体の含有量は、使用時の含有量(例えば製剤を水により希釈して散布するときの含有量)として50〜10000ppmが好ましく、100〜5000ppmがより好ましく、100〜1000ppmが更に好ましい。
本発明の農薬含有組成物中の本発明における界面活性剤の含有量は、農薬の植物への付着性を向上させる観点から、高濃度製品(製剤)中の含有量として5〜80重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましく、20〜50重量%が更に好ましい。また、同様の観点から、農薬含有組成物中の本発明における界面活性剤の含有量は、使用時の含有量として50〜10000ppmが好ましく、100〜5000ppmがより好ましく、100〜1000ppmが更に好ましい。
また、本発明の農薬含有組成物は、本発明における界面活性剤以外の界面活性剤を含有することができるが、農薬の植物への付着性を向上させる観点から、全界面活性剤中、2重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、実質0重量%であることが更に好ましい。
本発明の農薬含有組成物中の水の含有量は、農薬の植物への付着性を向上させる観点から、高濃度製品(製剤)中の含有量として10〜95重量%が好ましく、20〜90重量%がより好ましく、30〜80重量%が更に好ましい。また、同様の観点から、農薬含有組成物中の水の含有量は、使用時の含有量として99.0〜99.99重量%が好ましく、99.5〜99.98重量%がより好ましく、99.8〜99.98重量%が更に好ましい。
本発明の農薬含有組成物において、本発明におけるセルロース誘導体と本発明における界面活性剤とを合わせた含有量は、農薬の植物への付着性を向上させる観点から、高濃度製品(製剤)中の含有量として5〜90重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、20〜50重量%が更に好ましい。また、同様の観点から、農薬含有組成物中の本発明におけるセルロース誘導体と本発明における界面活性剤とを合わせた含有量は、使用時の含有量として100〜10000ppmが好ましく、200〜5000ppmがより好ましく、200〜2000ppmが更に好ましい。
[農薬]
本発明の農薬含有組成物に用いられる農薬は、公知のものが使用でき、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、及び除草剤からなる群より選ばれる農薬が好ましく、例えば「農薬ハンドブック1998年版」(第10版、平成10年12月15日、社団法人日本植物防疫協会発行)に記載されたものが挙げられる。
殺菌剤としては、有機硫黄殺菌剤としてジネブ剤、マンネブ剤、チウラム剤、マンゼブ剤、ポリカーバメート剤、プロピネブ剤等、ベンズイミダゾール系殺菌剤としてベノミル剤、チオファネートメチル剤等、ジカルボン酸系殺菌剤としてイプロジオン剤、プロシミドン剤等、ステロール生合成阻害剤としてトリフミゾール剤、ビテルタノール剤、ピリフェノックス剤、フェナリモル剤、トリホリン剤、トリアジメホン剤、ミクロブタニル剤、ジフェノコナゾール剤、イミベンコナゾール剤等、酸アミド系殺菌剤としてメタラキシル剤、メプロニル剤等、銅殺菌剤として無機銅剤、有機銅剤等、抗生物質殺菌剤としてストレプトマイシン剤、ポリオキシン剤、ブラストサイジンS剤、カスガマイシン剤、バリダマイシン剤、オキシテトラサイクリン剤等、土壌殺菌剤としてエクロメゾール剤、ヒメキサゾール剤等、メラミン生合成阻害剤としてフサライド剤、カルプロパミド剤等、有機リン系殺菌剤としてIBP剤、EDDP剤、ホセチル剤等、無機殺菌剤として無機硫黄剤、炭酸水素塩剤等、メトキシアクリレート系殺菌剤としてアゾキシストロビン剤、クレソキシムメチル剤等、アニリノピリミジン系殺菌剤としてメパニピリム剤等、合成抗細菌剤としてオキソリニック酸剤等、その他の合成殺菌剤としてトリアジン剤、イミノクタジン三酢酸塩剤、イソプロチオラン剤、TPN剤、プロベナゾール剤、キャプタン剤、フルオルイミド剤、DPC剤、イミノクタジンアルベシル酸剤等、天然物殺菌剤として大豆レシチン剤等、生物由来の殺菌剤として対抗菌剤等が挙げられる。
殺虫剤としては、ピレスロイド系殺虫剤としてフェンバレレート剤、シフルトリン剤、ペルメトリン剤、フルシトリネート剤、エトフェンプロックス剤等、有機リン系殺虫剤としてDDVP剤、MEP剤、マラソン剤、ジメトエート剤、PAP剤、MPP剤、DMTP剤、EPN剤等、カーバメート系殺虫剤としてBPMC剤、NAC剤、メソミル剤等、ネライストキシン系殺虫剤としてカルタップ剤等、天然物系殺虫剤として除虫菊由来のピレトリン剤、ピペロニルブトキシド剤、マメ科のかん木デリス由来のロテノン剤、ニコチン剤、大豆レシチン剤、デンプン剤等、昆虫成長制御剤(IGR剤)としてジフルベンズロン剤、テフルベンズロン剤、クロルフルアズロン剤、ブプロフェジン剤、イソプロチオラン剤、フルフェノクスロン剤等が挙げられる。
殺ダニ剤としては、ケルセン剤、BPPS剤、酸化フェンブタスズ剤、ヘキシチアゾクス剤、アミトラズ剤、フェンピロキシメート剤、テブフェンピラド剤、ハルフェンプロックス剤、ビアラホス剤等や、クロロニコチニル系殺ダニ剤としてイミダクロプリド剤等、殺線虫剤としてD−D剤、タゾメット剤、ベノミル剤等、その他の合成殺ダニ剤としてオレイン酸ナトリウム剤、オレイン酸カリウム液剤等、生物由来の殺ダニ剤としてBT剤等が挙げられる。
除草剤としては、酸アミド系除草剤としてDCPA剤、アラクロール剤、アシュラム剤等、尿素系除草剤としてDCMU剤、リニューロン剤等、ビピリジリウム系除草剤としてパラコート剤、ジクワット剤等、ダイアジン系除草剤としてブロマシル剤、レナシル剤等、S−トリアジン系除草剤としてCAT剤、シメトリン剤等、ジニトロアニリン系除草剤としてトリフルラリン剤、ペンディメタリン剤等、カーバメート系除草剤としてチオベンカルブ剤等、芳香族カルボン酸系除草剤としてMDBA剤等、フェノキシ酸系除草剤として2,4−PA剤、シハロホップブチル剤等、有機リン系除草剤としてピペロホス剤、ブタミホス剤等、脂肪酸系除草剤としてペラルゴン酸剤、DPA剤等、スルホニル尿素系除草剤としてチフェンスルフロンメチル剤、フラザルスルフロン剤、ベンスルフロンメチル剤等、ピリミジルオキシ安息香酸系除草剤としてビスピリバックナトリウム塩剤等、ダイアゾール系除草剤としてピラゾレート剤等、その他の有機除草剤としてDBN剤等のニトリル系除草剤、セトキシジム剤、クレトジム剤等が挙げられる。また、アミノ酸系除草剤としてグリホサート剤、例えば、グリホサートとして入手可能なアンモニウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート、ラウンドアップとして入手可能なイソプロピルアンモニウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート、タッチダウンとして入手可能なトリメチルスルホニウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート、及びインパルスとして入手可能なナトリウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート等が挙げられる。また、ビアラホス剤、例えばハービエースとして入手可能なL−2−アミン−4−[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル]−ブチリル−L−アラニル−L−アラニン等が挙げられる。
これらの除草剤のうち、農薬の増強、すなわち殺草力を向上させる観点から、酸アミド系除草剤、ダイアジン系除草剤、ニトリル系除草剤、ジニトロアニリン系除草剤、芳香族カルボン酸系除草剤及びアミノ酸系除草剤が好ましい。
本発明の農薬含有組成物中の農薬の含有量は、農薬の効力を増強させる観点から、製剤中の含有量として0.1〜99.0重量%が好ましく、1.0〜90.0重量%がより好ましく、2.0〜80.0重量%が更に好ましい。また、同様の観点から、農薬含有組成物中の農薬の含有量は、使用時の含有量として1〜10000ppmが好ましく、5〜8000ppmがより好ましく、10〜5000ppmが更に好ましい。
本発明の農薬含有組成物において、農薬の植物への付着性を向上させる観点、及び農薬の効力を増強させる観点から、農薬と、本発明におけるセルロース誘導体及び本発明における界面活性剤を合わせた含有量との比{農薬/(本発明におけるセルロース誘導体+本発明における界面活性剤)}は、0.01〜20.0であることが好ましく、0.05〜10.0であることがより好ましく、0.1〜5.0であることが更に好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の農薬含有組成物は、キレート剤、pH調整剤、無機塩類、植物成長調節剤等の添加剤を更に含んでもよい。
<キレート剤>
本発明の農薬含有組成物は、農薬の効力を増強させる観点から、キレート剤を更に含んでもよい。キレート剤は、金属イオンをキレートする能力を有するものであれば特に制限されない。本発明に用いられるキレート剤の例としては、アミノポリカルボン酸系キレート剤、芳香族及び脂肪族カルボン酸系キレート剤、アミノ酸系キレート剤、エーテルポリカルボン酸系キレート剤、イミノジメチルホスホン酸(IDP)、アルキルジホスホン酸(ADPA)等のホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤、高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤及びジメチルグリオキシム(DG)が挙げられる。これらのキレート剤は、それぞれフリーの酸の形であっても、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩の形であってもよく、加水分解可能なそれらのエステル誘導体の形であってもよい。
アミノポリカルボン酸系キレート剤の具体例としては、
a)化学式:RNY2で表される化合物、
b)化学式:NY3で表される化合物、
c)化学式:R−NY−CH2CH2−NY−Rで表される化合物、
d)化学式:R−NY−CH2CH2−NY2で表される化合物、
e)化学式:Y2N−R’−NY2で表される化合物、及び、
f)e)の化合物に類似する化合物で、Yを4以上含む化合物、例えば式:
Figure 0005610811
で表される化合物が挙げられる。
前記式中、Rは、水素原子、アルキル基、水酸基、ヒドロキシアルキル基といったこの種の公知のキレート剤を構成する基を表し、Yは−CH2COOH又は−CH2CH2COOHを表し、R’は、アルキレン基、シクロアルキレン基といったこの種の公知のキレート剤を構成する基を表す。
アミノポリカルボン酸系キレート剤の代表例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸(CDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸(HIMDA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸(EDTA−OH)及びグリコールエーテルジアミンテトラ酢酸(GEDTA)、並びにこれらの塩類が挙げられる。
芳香族及び脂肪族カルボン酸系キレート剤の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、イタコン酸、アコニット酸、ピルビン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸(アントラニル酸を含む)、フタル酸、トリメリット酸及び没食子酸、並びにこれらの塩類、メチルエステル類及びエチルエステル類が挙げられる。また、アミノ酸系キレート剤の例としては、グリシン、セリン、アラニン、リジン、シスチン、システイン、エチオニン、チロシン、メチオニン及びこれらの塩類並びにこれらの誘導体が挙げられる。
エーテルポリカルボン酸系キレート剤の例としては、ジグリコール酸や、次式で表される化合物、その類似化合物及びその塩(例えばナトリウム塩)類が挙げられる。
Figure 0005610811
式中、Y1は、水素原子、−CH2COOH又は−COOHを表し、Z1は、水素原子、−CH2COOH又は
Figure 0005610811
を表す。
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤の例としては、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、ヘプトン酸、酒石酸、乳酸及びこれらの塩類が挙げられる。
リン酸系キレート剤の例としては、オルトリン酸、ピロリン酸、トリリン酸及びポリリン酸が挙げられる。
高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤の例としては、アクリル酸重合体、無水マレイン酸重合体、α−ヒドロキシアクリル酸重合体、イタコン酸重合体、これらの重合体の構成モノマーの二種以上からなる共重合体及びエポキシコハク酸重合体が挙げられる。
加えて、本発明では、アスコルビン酸、チオグリコール酸、フィチン酸、グリオキシル酸及びグリオキサール酸、並びにそれらの塩類も、キレート剤として好適に用いることができる。
本発明の農薬含有組成物がキレート剤を更に含む場合、農薬の効力を増強させる観点から、本発明におけるセルロース誘導体1モルに対し、0.05〜15倍モルの割合でキレート剤が配合されるのが好ましい。
<pH調整剤>
本発明において使用し得るpH調整剤としては公知のものが使用できる。本発明の農薬含有組成物がpH調整剤を更に含む場合、農薬の効力を増強させる観点から、好ましくは、重量比(本発明におけるセルロース誘導体/pH調整剤)が0.01〜50であり、より好ましくは0.1〜50であり、更に好ましくは0.1〜30であり、更により好ましくは0.2〜10である。
<無機塩類>
本発明において使用し得る無機塩類としては、無機鉱物塩として例えば無機塩クレー、タルク、ベントナイト、ゼオライト、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ホワイトカーボン等が挙げられ、無機アンモニウム塩として例えば硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。
本発明の農薬含有組成物が無機塩類を更に含む場合、農薬の効力を増強させる観点から、好ましくは、重量比(本発明におけるセルロース誘導体/無機塩類)が0.01〜50であり、より好ましくは0.1〜50であり、更に好ましくは0.1〜30であり、更により好ましくは0.2〜10である。
<植物成長調節剤>
本発明において使用し得る植物成長調節剤としては、オーキシン拮抗剤としてマレイン酸ヒドラジド剤、ウニコナゾール剤等、オーキシン剤としてインドール酪酸剤、1−ナフチルアセトアミド剤、4−CPA剤等、サイトカイニン剤としてホルクロルフェニュロン剤等、ジベレリン剤としてジベレリン剤等、その他のわい化剤としてダミノジット剤等、蒸散抑制剤としてパラフィン剤等、エチレン剤としてエテホン剤等、生物由来の植物成長調節剤としてクロレラ抽出物剤等、その他の植物成長調節剤としてコリン剤等が挙げられる。
本発明の農薬含有組成物が植物成長調節剤を更に含む場合、農薬の効力を増強させる観点から、好ましくは、重量比(本発明におけるセルロース誘導体/植物成長調節剤)が0.01〜50であり、より好ましくは0.1〜50であり、更に好ましくは0.1〜30であり、更により好ましくは0.2〜10である。
本発明の農薬含有組成物の高濃度製品(製剤)の製剤型は、乳剤、フロアブル製剤、液剤等いずれでもよく、製剤型は問わない。従って、その製剤型に応じた他の添加剤、例えば乳化剤、分散剤、担体等を含有するものであってもよい。
本発明の植物の生産方法は、前記本発明の農業用添着剤を植物に施す工程を含む、植物の生産方法である。農業用添着剤を植物に施す方法は、特に限定されず、前述したように、本発明の農業用添着剤を含む農業用組成物を葉面、茎、果実等に直接散布したり、水耕栽培やロックウールのように根に接触している水耕液や供給水に希釈混合して根表面等に供給(塗布)する方法が挙げられる。本発明の農業用添着剤の効果(有効成分の植物への付着性を向上させる効果)を有効に発揮させるには、農業用添着剤を植物に施す方法としては、植物の地上部へ散布する方法が好ましく、葉面に散布する方法がより好ましい。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
表3(実施例1〜34)、表4(実施例35〜55)及び表5(比較例1〜18、無処理)に用いたセルロース誘導体及び界面活性剤の略語の意味と物性等を表1(セルロース誘導体)及び表2(界面活性剤)に示す。なお、物性の測定方法は以下に示すとおりである。
[水溶性]
1L(20℃)の水に、101mgのセルロース誘導体を添加して、24時間攪拌した後、その溶液(又は懸濁液)を20℃で、3000Gの条件で、30分間遠心分離し、不溶解残渣を集めた後、この残渣を105℃で3日間乾燥し、乾燥後の重量(乾燥重量)を測定した。そして、乾燥重量が1mg以下の場合を水溶性、1mgを超える場合を非水溶性と判断した。
[2%粘度]
日本薬局方 第一部 粘度測定法 第2法回転粘度計法に従って、以下の操作法により測定を行った。まず、セルロース誘導体の乾燥物2.000gを量り取り、85℃の水98mLを加え、かき混ぜ機を用いて10分間かき混ぜた。次いで、更にかき混ぜながら氷水中で試料を溶かした後、水を加えて100.0gとし、遠心分離して泡を取り除き、測定用試料を調製した。次いで、東機産業社製のB型粘度計(型式 TVB−10、ロータNo.22)を、その回転軸が水平面に対し垂直になるよう設置し、測定用試料(100.0g)を装置に充填した後、20℃になるまで放置した。次に、装置を作動させ(ロータ回転数:12rpm)、回転が定常状態に達し、回転数又はトルクに対応する粘度計の指示メモリが安定した後の指示値を読み取り、粘度を算出した。
[ヒドロキシプロポキシル基置換度]
日本薬局方 第二部 ヒドロキシプロピルセルロースの項に従って、測定を行った。
[メトキシル基置換度]
日本薬局方 第二部 ヒドロキシプロピルメチルセルロースの項に従って、測定を行った。
[重量平均分子量]
重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)/多角度レーザー光散乱検出装置(MALLS)システムにより測定した。測定条件は以下の通りである。
送液ポンプ:Shodex DS−4(昭和電工社製)
デガッサー:ERC3115(ERC社製)
カラム:Shodex SB−806MHQ(昭和電工社製)
光散乱検出器:DOWN(Wyat Technologie社製)
濃度検出器:Shodex RI−71(昭和電工社製)
溶離液:0.1M NaNO3水溶液(1.0mL/分)
試料濃度:0.02〜0.3重量%
溶媒:0.1M NaNO3水溶液
溶媒注入量:200μL
なお、分子量の検量線は数種類のポリエチレングリコール(和光純薬社製の分子量200、400、600、1000、2000、4000、6000、8000、20000、500000、2000000、3500000)を標準試料として作成した。
Figure 0005610811
Figure 0005610811
[殺草試験]
12cmポットにイヌビエを生育させ、草丈が18cm程度の植物体を試験に供した。水1Lにラウンドアップ液剤(日産化学工業社製除草剤;グリホサートイソプロピルアミン塩として有効分41重量%)を4.8gと、表3〜表5に示す量のセルロース誘導体と、界面活性剤及び有機溶剤とを混合し農薬含有組成物を製造した。次いで、各農薬含有組成物を表3〜表5に示す散布量で前記植物体全体にかかるように葉面散布し、殺草効力を評価した。殺草効力の評価は散布後14日目に地上部重量を量り、無処理区の地上部生重量を基準とした殺草率を下記式に基づき算出した。殺草率の数値が高いほど、農薬効力(殺草効果)が高いことを示す。
殺草率(%)=(無処理区の地上部重量−処理区の地上部重量)/無処理区の地上部重量×100
表3〜表5の結果から、本発明の農薬含有組成物によれば、その殺草効果を向上できることが確認された。
[殺虫試験]
12cmポットに草丈15cmになるまでイネ苗を生育させた。イネ1株に、羽化後3〜5日経過したウンカを10個体、3反復にて供試し培養した。水1Lにスミチオン乳剤(住友化学社製殺虫剤;フェニトロチオンとして有効分50重量%)0.3gと、表3〜表5に示す量のセルロース誘導体と、界面活性剤及び有機溶剤とを混合し農薬含有組成物を製造した。次いで、各農薬含有組成物を表3〜表5に示す散布量でウンカが付着したイネ苗へ葉面散布した。風乾後、金網円筒をかぶせ、その3日後、生存虫数を測定し、下記式により殺虫率を算出した。殺虫率の数値が高いほど、農薬効力(殺虫効果)が高いことを示す。
殺虫率(%)=(無処理区の生存虫数−処理区の生存虫数)/無処理区の生存虫数×100
表3〜表5の結果から、本発明の農薬含有組成物によれば、その殺虫効果を向上できることが確認された。
[殺ダニ試験]
12cmポットに5葉期になるまでインゲンを生育させた。1株あたりカンザワハダニ30匹を3反復にてうえつけた。水1Lにニッソラン水和剤(日本曹達社殺ダニ剤;ヘキシチアゾクスとして有効分10重量%)0.3gと、表3〜表5に示す量のセルロース誘導体と、界面活性剤及び有機溶剤とを混合し農薬含有組成物を製造した。次いで、各農薬含有組成物を表3〜表5に示す散布量でインゲンへ葉面散布した。風乾後、金網円筒をかぶせ、3日後に生存ダニ数を測定し、下記式により殺ダニ率を算出した。殺ダニ率の数値が高いほど、農薬効力(殺ダニ効果)が高いことを示す。
殺ダニ率(%)=(無処理区の生存ダニ数−処理区の生存ダニ数)/無処理区の生存ダニ数×100
表3〜表5の結果から、本発明の農薬含有組成物によれば、その殺ダニ効果を向上できることが確認された。
[殺菌試験]
12cmポットに3葉期になるまでキュウリを栽培した。殺菌剤抵抗性菌であるキュウリ灰色カビ病菌(Botrytis cinerea)の胞子懸濁液(菌数は10個/mL)を、キュウリに50mL/10aの散布量で散布した。その後、25℃、90%相対湿度下に静置し、菌を感染させた。3日後、水1Lにベンレート水和剤(住友化学社製殺菌剤;ベノミルとして有効分50重量%)0.5gと、表3〜表5に示す量のセルロース誘導体と、界面活性剤及び有機溶剤とを混合し農薬含有組成物を製造した。次いで、各農薬含有組成物を表3〜表5に示す散布量でキュウリに葉面散布した。次いで、ポットを25℃、85%相対湿度下に静置し、一週間後、病斑数を数え、以下の式を用いて防除価を算出した。防除価の数値が高いほど、農薬効力(殺菌効果)が高いことを示す。
防除価(%)={1−(処理区の病斑数/無処理区の病斑数)}×100
表3〜表5の結果から、本発明の農薬含有組成物によれば、その殺菌効果を向上できることが確認された。
Figure 0005610811
Figure 0005610811
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Claims (5)

  1. 水溶性ヒドロキシプロピルセルロースと、界面活性剤と、水と、農薬とを含有する、農薬含有組成物であって、
    前記水溶性ヒドロキシプロピルセルロースは、該水溶性ヒドロキシプロピルセルロースの2重量%水溶液の20℃におけるブルックフィールド型粘度計による粘度が、2000mPa・sを超えて40000mPa・s以下であり、
    前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンのアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンのソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びシリコーン系界面活性剤の群から選ばれる1種以上の界面活性剤であり、
    前記農薬と、前記水溶性ヒドロキシプロピルセルロース及び前記界面活性剤を合わせた含有量との比{農薬/(水溶性ヒドロキシプロピルセルロース+界面活性剤)}が、0.01〜2.2/1.5である、農薬含有組成物
  2. 前記水溶性ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル基置換度が3.3〜4である請求項1記載の農薬含有組成物
  3. 前記水溶性ヒドロキシプロピルセルロースと前記界面活性剤との重量比(水溶性ヒドロキシプロピルセルロース/界面活性剤)が、0.005〜10である請求項1又は2に記載の農薬含有組成物
  4. 葉面散布用である請求項1〜の何れか1項記載の農薬含有組成物
  5. 請求項1〜の何れか1項記載の農薬含有組成物を植物に施す工程を含む、植物の生産方法。
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