JP2010075089A - 植物ストレス耐性付与剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物に対する様々なストレスが生じる環境において生育を促進するようなストレス耐性を植物に付与できる植物ストレス耐性付与剤組成物を提供。
【解決手段】糖誘導体型界面活性剤とカテキン類と水とを含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であり、前記糖誘導体型界面活性剤が、糖と脂肪酸とのエステル、糖アルコールと脂肪酸とのエステルおよびアルキルグリコシドからなる群から選択される構造を有する糖誘導体型界面活性剤を1種以上含む。前記付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記糖誘導体型界面活性剤の含有量は、85〜99.9重量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物ストレス耐性付与剤組成物に関する。
地球上における陸地の約3分の1は乾燥地に属し、今後の温暖化からさらなる乾燥地の増加が予想される。また人口増加による深刻な食糧不足対策として、植物にとっての乾燥地域、塩類集積地域、高温、低温とされる地域、すなわち従来では生育が困難、あるいは生育が悪化し、収量が低下する地域において、植物の収量を改善、維持、増加する技術開発が急務となっている。
植物は自然界や人工的な環境において生育する際、温度(高温、低温、凍結)、強風、光強度(強光、弱光)、乾燥、無機物の毒性(塩類、重金属、アルミニウム等)、酸素不足、機械(土壌が硬い)、病害虫などの様々なストレスを受ける。しかし植物は、動物のように移動によって様々なストレスから自らを防御することができない。そこで植物は、ストレス耐性を獲得するため、ストレスを受けた場合、様々な物質を生体内に合成することが知られている。たとえば、プロリン、グリシンベタイン、糖類などの適合溶質である(非特許文献1)。また前記のストレスを受けた場合、植物はアブシジン酸等の老化ホルモンを生成し、生育を低下あるいは停止させ、その結果収量を低下させることが知られている。
このような植物のストレス耐性を向上する方法としては、選抜や育種による方法や、遺伝子組み替え(特許文献1参照)、糖類、有機酸類、アミノ酸類等の植物活力剤の施用などがある(特許文献2参照)。一方、アルキルポリグリコシド等の糖誘導体型界面活性剤は、植物活力剤の主剤を分散又は乳化する剤として知られている(特許文献3参照)。また、カテキン類が、植物成長促進剤として有効であることも知れている(例えば、特許文献4および5参照)。
特開2002−262885号公報 特開2005−192534号公報 特開2001−316207号公報 特開平5−339117号公報 特開2003−113139号公報 「蛋白質 核酸 酵素」(共立出版) vol.44 No.15 PP54−65 1999
しかしながら、これら特許文献1、特許文献2に記載の方法はストレス耐性を若干付与させる程度であり、十分な効果は得られず、現在実用化されているものはない。また、特許文献3に記載されるアルキルポリグリコシド等の糖誘導体型界面活性剤は、植物活力剤としての機能は期待されておらず、ストレス耐性を付与できることは予想されていなかった。本発明者らは、植物ストレス耐性付与剤組成物を開発する過程で、植物活力剤として知られるカテキン類が、それ単独ではストレス付与を十分に付与できないことを確認した。
本発明の課題は、植物に対する様々なストレスが生じる環境において生育を促進するようなストレス耐性を植物に付与できる植物ストレス耐性付与剤組成物、植物ストレス耐性付与方法、および植物の生産方法を提供することである。
本発明は、糖誘導体型界面活性剤とカテキン類と水とを含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であり、前記糖誘導体型界面活性剤が、糖と脂肪酸とのエステル、糖アルコールと脂肪酸とのエステル、およびアルキルグリコシドからなる群から選択される構造を有する糖誘導体型界面活性剤を1種以上含み、前記付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記糖誘導体型界面活性剤の含有量が、85〜99.9重量%である。
また、本発明の植物ストレス耐性付与方法は、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を、後述する植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む。
また、本発明の植物の生産方法は、本発明の植物ストレス耐性付与方法を含む。
本発明によれば、植物に対する様々なストレスが生じる環境において生育を促進するようなストレス耐性を植物に付与できる植物ストレス耐性付与剤組成物、植物ストレス耐性付与方法、および植物の生産方法が提供される。
本発明において、「植物」は、植物の文言自体から認識され得るもの、野菜、果実、果樹、穀物、種子、球根、草花、香草(ハーブ)、分類学上の植物等を表すものとする。
ある植物の適切な(ないしはそれに近い)生育環境(例えば、土壌中の塩濃度、温度、湿度等が指標となる)とは異なる環境で前記植物が栽培された場合、前記植物体内の生理代謝機能が減少し生育が阻害される現象が生じる。このような植物の状態を本発明において、「植物にストレスがかかる」または「植物にストレスが負荷される」という。
一般に、農作物などの栽培植物では、植物ごとに適切な栽培条件が知られている。植物がそのような適切な栽培条件ないしそれに近い条件で栽培されている場合は、植物にはストレスが負荷されない。本発明では、植物にストレスが負荷されているかどうかを、以下の植物ストレス率により判定する。すなわち、塩、乾燥、温度等のストレスとなり得る条件が適切な数値を超える条件で栽培されている場合の植物体重量(植物体重量1、ストレス下で栽培された植物体の重量)と、その条件からストレスとなる因子を除いた適切な条件(ストレスを与えない状態)で栽培した場合の植物体重量(植物体重量2、非ストレス下で栽培された植物体の重量)とから、以下の式(ii)により植物ストレス率(%)を算出し、この数値が111%以上となる場合は、生育が10%(重量基準)以上低下することを意味し、ストレスが負荷された栽培条件であると判定される。本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、前記のとおり、この植物ストレス率が111〜200%の栽培条件にある植物に施用される。更に、前記植物ストレス率が、好ましくは120〜180%、より好ましくは120〜160%のストレス栽培条件にある植物に施用する。このような植物ストレス率のストレス栽培条件にある植物に前記付与剤組成物を用いると、植物ストレス耐性付与の観点からより顕著な効果が得られる。なお、前記植物ストレス率は、現実の栽培条件における所定のストレス因子に着目してそのストレス因子を除いた条件を実験室レベルで再現し、その結果を使い算出することもできる。

植物ストレス率(%)=(植物体重量2/植物体重量1)×100 (ii)

ストレスを与えてから植物の生育が低下し、生重量の低下として反映される時点で測定するのが好ましく、その目安としてストレスを与えて始めてから2週間後の時点で測定する。
栽培条件を特徴づけるパラメータによって、植物にかかるストレスを分類できる。土壌又は培養液中の塩濃度(後述するEC値を尺度とする)に起因するストレスは塩ストレス、土壌中の水分含有量(後述するpF値を尺度とする)に起因するストレスは乾燥ストレス、栽培環境の温度に起因するストレスは温度ストレス、土壌中のpHに起因するストレスはpHストレス、土壌中の酸素濃度に起因するストレスは酸素ストレス、物理的障害に起因するストレスは障害ストレス、病害虫に起因するストレスは病害虫ストレス、光強度に起因するストレスは光ストレス、土壌強度に起因するストレスは機械ストレス、接触に起因するストレスは接触刺激等と呼ぶことができる。
日本で栽培される植物では、土壌栽培ではEC値が0.5mS/cm超1.2mS/cm未満が、水耕栽培ではEC値が0.6mS/cm超2.7mS/cm未満が、pF値が1.5超2.7未満が、温度が20℃超25℃未満が、それぞれ塩ストレス、乾燥ストレス、温度ストレスのかからない栽培環境である。以下において、このような栽培環境がストレスのかからない環境とする植物を例として本発明に係る植物ストレス耐性付与剤組成物の効果を説明する。
なお、熱帯地方で栽培される植物では、温度が25℃超35℃未満が、温度ストレスのかからない栽培環境であり、乾燥地帯で栽培される植物では、pF値が2.7超4.2未満が、乾燥ストレスのかからない栽培環境である。これらの環境がストレスのかからない栽培環境である植物を、温度が20℃超25℃未満、pF値が1.5超2.7未満の日本の栽培環境で栽培すると、温度ストレスと乾燥ストレスとがかかる状態になる。このような植物に、本発明に係る植物ストレス耐性付与剤組成物を使用すると、熱帯地方や乾燥地帯の特産物を、前記日本の栽培環境でも育成させることが期待される。
本発明において、「植物ストレス耐性付与剤組成物」とは、植物にストレスがかかる生育環境で植物に施用して、植物にかかるストレスを緩和するための組成物をいう。
本発明者らは、植物の適切な育成環境では、植物活力能がほとんど認められない特定の糖誘導体型界面活性剤とストレス耐性付与能が十分でないカテキン類とを主成分とする組成物が、前記植物にストレスがかかる環境で、予想を超えたストレス耐性を付与することを新たに見出した。この知見に基づき、本発明者らは、適切な育成環境における育成と遜色のない、植物の育成を達成させうる植物ストレス耐性付与剤を完成した。
本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物によれば、本来植物が適切に育成する季節および土壌とは異なる季節や土壌において、植物を良好に育成させることができる。従って、そのような植物を、特定の季節や特定の土壌によらずに、年間通じてどの土壌においても生産しうるという産業上の利益を提供できる。
即ち、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物は、糖誘導体型界面活性剤とカテキン類と水とを含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、前記糖誘導体型界面活性剤が、糖と脂肪酸とのエステル、糖アルコールと脂肪酸とのエステル、およびアルキルグリコシドからなる群から選択される構造を有する糖誘導体型界面活性剤を1種以上含みことを特徴とする。また、植物ストレス耐性付与能が適切に発現するには、前記糖誘導体型界面活性剤が前記組成物の主成分の1つであり、前記組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記糖誘導体型界面活性剤の含有量が、85〜99.9重量%であり、好ましくは85〜99重量%、より好ましくは88〜93重量%であり、さらに好ましくは90重量%である。
[糖誘導体型界面活性剤]
本発明における糖誘導体型界面活性剤(以下、単に、糖誘導体型界面活性剤ともいう)は、前記のように、糖と脂肪酸とのエステル、糖アルコールと脂肪酸とのエステル、およびアルキルグリコシドからなる群から選択される構造を有する糖誘導体型界面活性剤を1種以上含む。このような糖誘導体型界面活性剤は、糖または糖アルコール骨格を有しているので、細胞内において浸透圧調整を行うことにより、ストレス耐性を付与することができると推測される。
本発明において、「糖と脂肪酸とのエステル」における「糖」とは、単糖類又は二糖類である。脂肪酸とのエステルが良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、前記単糖類は、好ましくは、グルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース、これらの混合物であり、前記二糖類は、好ましくは、マルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ショ糖、ニゲロース、ツラノース又はこれらの混合物である。前記糖は、より好ましくは、グルコース、フルクトース、マルトース、ショ糖又はこれらの混合物であり、さらに好ましくはグルコース、ショ糖又はこれらの混合物であり、よりさらに好ましくはショ糖である。
本発明において、「糖アルコールと脂肪酸とのエステル」における「糖アルコール」としては、前記糖アルコールは、脂肪酸とのエステルが良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、グリセリン、エリトリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール等であり、より好ましくはソルビトール、グリセリン、エリトリトール、マンニトールであり、さらに好ましくはソルビトール、グリセリンであり、よりさらに好ましくはソルビトールである。
本発明において、「糖と脂肪酸とのエステル」および「糖アルコールと脂肪酸とのエステル」における「脂肪酸」としては、例えば飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸が挙げられる。糖または糖アルコールとのエステルがカテキン類と組合せて良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、前記飽和脂肪酸は、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が好ましく、前記不飽和脂肪酸は、パルミトイル酸、オレイン酸、リノール酸等が好ましい。前記脂肪酸は、より好ましくは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸であり、さらに好ましくはラウリン酸、オレイン酸であり、よりさらに好ましくはラウリン酸である。
前記糖と脂肪酸とのエステルは、カテキン類と組合せて良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、前記した好適な糖と好適な脂肪酸とのエステルが好ましい。中でも、前記糖と脂肪酸とのエステルは、脂肪酸ショ糖エステルが好ましい。前記脂肪酸ショ糖エステルとしては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等の脂肪酸と、ショ糖とのエステルが挙げられる。前記エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、(テトラエステル以上の)ポリエステルおよびこれらの混合物であってもよい。飽和脂肪酸とショ糖とのエステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル等が挙げられる。不飽和脂肪酸とショ糖とのエステルとしては、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。また、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物と、ショ糖とのエステルとしては、オレイン酸、パルミチン酸およびステアリン酸の混合物とショ糖とのエステルが挙げられる。前記脂肪酸ショ糖エステルは、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステルおよびショ糖オレイン酸エステルが好ましくさらにショ糖ステアリン酸エステルがより好ましい。前記脂肪酸ショ糖エステルは、HLB値が、例えば1〜18であり、好ましくは10〜18である。
前記糖アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、カテキン類と組合せて良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、前記した好適な糖アルコールと好適な脂肪酸とのエステルが好ましい。中でも、前記糖アルコールと脂肪酸とのエステルは、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等の脂肪酸と、糖アルコールとのエステルが好ましい。前記エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、(テトラエステル以上の)ポリエステルおよびこれらの混合物であってもよい。前記糖アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。このうち、ストレス耐性付与の観点から、前記糖アルコールと脂肪酸とのエステルは、HLB値が、例えば1〜17であり、好ましくは4〜17、より好ましくは10〜17である。
前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、前記ソルビタン脂肪酸エステルが良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンジステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル等の飽和脂肪酸とソルビタンとのエステル、およびソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル等の不飽和脂肪酸とソルビタンとのエステルであり、より好ましくはソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステルであり、さらに好ましくはソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステルであり、よりさらに好ましくはソルビタンモノラウリン酸エステルである。前記ソルビタン脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、(テトラエステル以上の)ポリエステルおよびこれらの混合物であってもよいが、モノエステルの比率が好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは70〜100重量%程度に高い。また、前記ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は、3〜10が好ましい。
前記ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと脂肪酸とのエステル等にアルキレンオキシドが付加した構造を有するものである。前記付加するアルキレンオキシドのモル数は、ソルビタンと脂肪酸とのエステル1モルに対して好ましくは1〜60モル、より好ましくは2〜40モル、さらに好ましくは5〜20モルである。前記ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルは、良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、ソルビタンと飽和脂肪酸とのエステルにアルキレンオキシドが付加した構造の、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル(POEソルビタンモノラウリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル(POEソルビタンモノパルミチン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル(POEソルビタンモノステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアリン酸エステル(POEソルビタントリステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアリン酸エステル(POEソルビタントリイソステアリン酸エステル)等、ソルビタンと不飽和脂肪酸とのエステルにアルキレンオキシドが付加したポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル(POEソルビタンモノオレイン酸エステル)等であり、より好ましくはポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル(POEソルビタンモノラウリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル(POEソルビタンモノパルミチン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル(POEソルビタンモノステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル(POEソルビタンモノオレイン酸エステル)であり、さらに好ましくはポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル(POEソルビタンモノラウリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル(POEソルビタンモノオレイン酸エステル) であり、よりさらに好ましくはポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル(POEソルビタンモノラウリン酸エステル)である。
前記ソルビット脂肪酸エステルとしては、カテキン類と組合せて良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、ソルビットモノラウリン酸エステル、ソルビットモノパルミチン酸エステル、ソルビットモノステアリン酸エステル、ソルビットジステアリン酸エステル、ソルビットジラウリン酸エステル、ソルビットトリステアリン酸エステル等の飽和脂肪酸とソルビットとのエステル、およびソルビットモノオレイン酸エステル、ソルビットトリオレイン酸エステル等の不飽和脂肪酸とソルビットとのエステルであり、より好ましくはソルビットモノラウリン酸エステル、ソルビットモノパルミチン酸エステル、ソルビットモノステアリン酸エステル、ソルビットモノオレイン酸エステルであり、さらに好ましくはソルビットモノラウリン酸エステル、ソルビットモノオレイン酸エステルであり、よりさらに好ましくはソルビットモノラウリン酸エステルである。
前記ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステルは、ソルビットと脂肪酸とのエステル等にアルキレンオキシドが付加した構造のものである。前記付加するアルキレンオキシドのモル数は、ソルビットと脂肪酸とのエステル1モルに対して好ましくは1〜60モル、より好ましくは2〜40モル、さらに好ましくは5〜20モルである。
前記ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステルとしては、前記ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステルが良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、ソルビットと飽和脂肪酸とのエステルにアルキレンオキシドが付加した構造、ポリオキシエチレンソルビットモノラウリン酸エステル(POEソルビットモノラウリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットモノパルミチン酸エステル(POEソルビットモノパルミチン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットモノステアリン酸エステル(POEソルビットモノステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットトリステアリン酸エステル(POEソルビットトリステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットトリイソステアリン酸エステル(POEソルビットトリイソステアリン酸エステル)等、ソルビットと不飽和脂肪酸とのエステルにアルキレンオキシドが付加した構造のポリオキシエチレンソルビットモノオレイン酸エステル(POEソルビットモノオレイン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレイン酸エステル(POEソルビットテトラオレイン酸エステル)等であり、より好ましくはポリオキシエチレンソルビットテトラオレイン酸エステル(POEソルビットテトラオレイン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットモノラウリン酸エステル(POEソルビットモノラウリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットモノパルミチン酸エステル(POEソルビットモノパルミチン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットモノステアリン酸エステル(POEソルビットモノステアリン酸エステル)であり、さらに好ましくはポリオキシエチレンソルビットテトラオレイン酸エステル(POEソルビットテトラオレイン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビットモノラウリン酸エステル(POEソルビットモノラウリン酸エステル)であり、よりさらに好ましくはポリオキシエチレンソルビットテトラオレイン酸エステル(POEソルビットテトララウリン酸エステル)である。
前記グリセリン脂肪酸エステルとしては、前記グリセリン脂肪酸エステルが良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンジラウリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル等の飽和脂肪酸とグリセリンとのエステル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルであり、より好ましくはグリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、およびグリセリンモノパルミチン酸エステルであり、さらに好ましくはグリセリンモノステアリン酸エステル、およびグリセリンモノラウリン酸エステルであり、よりさらに好ましくはグリセリンモノラウリン酸エステルである。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンを重合したポリグリセリンと脂肪酸とのエステルである。前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの重合度、脂肪酸の種類、エステル化率を種々変えることができる。前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、カテキン類と組合せて良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、テトラグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル等のポリグリセリンと飽和脂肪酸とのエステル、およびデカグリセリンオレイン酸エステル等のポリグリセリンと不飽和脂肪酸とのエステルである。
前記ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルは、カテキン類と組合せて良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、好ましくは、ポリオキシエチレングリセリンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノオレイン酸エステルである。
前記糖アルコールと脂肪酸とのエステルは、良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が好ましく、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルがより好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル(例えば、POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル(例えば、POE(20)ソルビタンモノパルミチン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル(例えば、POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル(例えば、POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル、POE(6)ソルビタンモノオレイン酸エステル)がさらに好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルがさらに好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルがさらに好ましい。
前記アルキルグリコシドは、例えば、下記の一般式(1):
1(OR2xy (1)
〔式中、R1は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基、又はアルキルフェニル基を示し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5〜6を有する還元糖に由来する残基を示し、x(平均値)は0〜5である数を、y(平均値)は1〜5である数を示す〕で表される。
式中、xは、好ましくは0〜2、より好ましくは0である。yは、好ましくは1〜1.5、より好ましくは1〜1.4である。R1の炭素数は、好ましくは9〜16、さらに好ましくは10〜14である。R2は、好ましくはエチレン基である。Gは、その原料として使用される単糖類又は多糖類等の還元糖によってその構造が決定され、単糖類としては、グルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース、これらの混合物などが挙げられ、多糖類としては、マルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、ニゲロース、ツラノース、これらの混合物などが挙げられる。これらのうち、単糖類としては、入手性及び低コストの点からグルコース又はフルクトースが好ましく、グルコースがさらに好ましい。多糖類ではマルトース又はスクロースが好ましい。尚、x及びyはプロトン(1H)NMRにより求める。
前記一般式(1)のアルキルグリコシドは、換言すれば、炭素数5〜6を有する還元糖に由来する糖、すなわち、炭素数5〜6を有する単糖類または多糖類が有する1位の水酸基の水素をR1で置き換え、かつ、x個の水酸基を、OR2で置き換えた構造を有する化合物を意味する。
アルキルグリコシドとしては、前記一般式(1)を満たすものであれば特に限定はないが、良好な植物ストレス耐性付与効果を与える観点から、アルキルポリグルコシドが好ましく、中でも、アルキル(炭素数10)ポリグルコシド、アルキル(炭素数12)ポリグルコシド、アルキル(炭素数14)ポリグルコシド、ミリスチルポリグルコシド、およびこれらの混合物などがより好ましく、この中ではアルキル(炭素数10)ポリグルコシドがさらに好ましい。
前記糖誘導体型界面活性剤としては、飽和脂肪酸とショ糖とのエステル、不飽和脂肪酸とショ糖とのエステル;飽和脂肪酸とソルビタンとのエステル、不飽和脂肪酸とソルビタンとのエステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビット飽和脂肪酸エステル;飽和脂肪酸とグリセリンのエステル;デシルポリグルコシド、ドデシルポリグルコシド、ドデシルポリグルコシド、テトラデシルポリグルコシドおよびこれらの混合物;が好ましく、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル;ソルビタンモノオレイン酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット;グリセロールモノステアリン酸エステル;デシルポリグルコシド、ドデシルポリグルコシド、ドデシルポリグルコシド、テトラデシルポリグルコシドおよびこれらの混合物;がより好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルがさらに好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルがさらに好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルがさらに好ましい。
前記糖誘導体型界面活性剤の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として葉面散布する場合、本発明の付与剤組成物中、0.01〜10000ppmが好ましく、0.1〜5000ppmがより好ましく、更に1〜2000ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、0.01〜10000ppmが好ましく、0.1〜2000ppmがより好ましく、更に1〜1000ppmが好ましい。
[カテキン類]
本発明におけるカテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類、及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類をあわせた総称である。本発明におけるカテキン類は、Camellia属、例えばC.sinensis及びC.assaimica、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜入り茶等の緑茶類や、総称して鳥龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶、紅茶と呼ばれるダージリン、アッサム、スリランカ等の発酵茶の茶葉から水や熱水により抽出して得ることができる。また、本発明におけるカテキン類は、溶液の形態、例えば、茶抽出物の濃縮物を水に溶解させた溶液、茶葉からの抽出液と茶抽出物の濃縮物との混合物として、用いてもよい。前記茶抽出物の濃縮物とは、茶葉を熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであって、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に詳細に例示されている方法で調製したものをいう。前記前記茶抽出物の濃縮物は、市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。そのほか、カテキン類は、他の原料起源のもの、カラム精製品及び化学合成品でもよい。前記茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられる。茶抽出物を溶解する媒体は、水、炭酸水、市販されているレベルのカテキン類を含有する茶類等が挙げられる。
前記付与剤中のカテキン類の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として葉面散布する場合、0.01〜5000ppmが好ましく、0.1〜1000ppmがより好ましく、更に1〜500ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、前記濃度は、0.01〜5000ppmが好ましく、0.05〜1000ppmがより好ましく、更に0.1〜500ppmが好ましい。また、植物ストレス耐性付与能が適切に発現するには、前記組成物に含まれる水以外の成分の合計において、カテキン類の含有量が、0.1〜15重量%であり、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは5〜12重量%であり、さらに好ましくは9〜11重量%である。
[その他の界面活性剤]
本発明では、植物表面への糖誘導体型界面活性剤の濡れ性、付着性、浸透性を向上させるため、必要により、糖誘導体型界面活性剤と共に、その他の界面活性剤(糖誘導体型界面活性剤を除く)を用いることができる。他の界面活性剤を用いることで、その結果、糖誘導体型界面活性剤の効果を増強させ、あるいは効率よく効果を発揮することで糖誘導体型界面活性剤の使用濃度を低減することができる。
このようなその他の界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系及びリン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。前記陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸系及びリン酸エステル系界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。
前記カルボン酸系界面活性剤としては、例えば炭素数6〜30の脂肪酸又はその塩、多価カルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテルカルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩、エステル化化工澱粉等が挙げられる。前記カルボン酸系界面活性剤としては、エステル化化工澱粉、更にアルケニルコハク酸化化工澱粉が好ましい。
前記スルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸の縮合物塩、ナフタレンスルホン酸の縮合物塩等が挙げられる。
前記硫酸エステル系界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩等が挙げられる。
前記リン酸エステル系界面活性剤として、例えばアルキルリン酸エステル塩、アルキルフェニルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩等が挙げられる。塩としては、例えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸系、イミダゾリン系、アミンオキサイド系が挙げられる。
前記アミノ酸系両性界面活性剤としては、例えばアシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩等が挙げられる。
前記アミンオキサイド系両性界面活性剤としては、例えばアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジエタノールアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルアミンオキサイド等が挙げられる。
前記付与剤組成物中のその他の界面活性剤の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として、葉面散布する場合、0.1〜10000ppmが好ましく、1〜5000ppmがより好ましく、更に10〜1000ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、前記濃度は0.01〜5000ppmが好ましく、0.1〜1000ppmがより好ましく、更に1〜500ppmが好ましい。
また、前記付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記その他の界面活性剤の含有量は、例えば0.1〜25重量%、好ましくは1〜10重量%である。
[キレート剤]
本発明の付与剤組成物は、さらにキレート剤を含んでもよい。キレート剤を含むと、前記糖誘導体型界面活性剤と水とを含有する本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物の安定性を飛躍的に向上でき、その結果、前記付与剤組成物のストレス耐性付与効果を安定させることができる。前記キレート剤としては、例えば、キレート能を有する有機酸又はその塩が挙げられる。具体的には、前記キレート剤は、例えば、多価カルボン酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸の塩、オキシカルボン酸の塩等が挙げられる。前記多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸等が挙げられる。前記オキシカルボン酸としては、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ヘプトン酸、乳酸、酒石酸等が挙げられる。前記多価カルボン酸の塩としては、多価カルボン酸と、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)との塩、アルカノールアミンとの塩、脂肪族アミンとの塩等が挙げられる。前記オキシカルボン酸の塩としては、オキシカルボン酸と、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)との塩、アルカノールアミンとの塩、脂肪族アミンとの塩等が挙げられる。また、前記キレート剤は、無機キレート剤と混合してもよい。前記無機キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)もしくはその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)もしくはその塩、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸一水和物(CDTA)もしくはその塩等のアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。
前記付与剤組成物中の前記キレート剤の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として、葉面散布する場合、0.1〜10000ppmが好ましく、1〜5000ppmがより好ましく、更に10〜1000ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、前記濃度は、0.1〜10000ppmが好ましく、1〜5000ppmがより好ましく、更に10〜1000ppmが好ましい。
また、前記付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記キレート剤の含有量は、例えば0.1〜25重量%、好ましくは1〜10重量%である。
[肥料成分]
本発明の付与剤組成物は、さらに肥料成分を含んでもよい。前記肥料成分としては、例えば、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Fe、Mn、Cu、Zn、Mo、Cl、Si、Na等、更にN、P、K、Ca、Mgの供給源となる無機物及び有機物が挙げられる。そのような無機物としては、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素、炭酸アンモニウム、リン酸カリウム、過リン酸石灰、熔成リン肥(3MgO・CaO・P25・3CaSiO2)、硫酸カリウム、塩カリ、硝酸石灰、消石灰、炭酸石灰、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また、有機物としては、鶏フン、牛フン、バーク堆肥、ペプトン、ミエキ、発酵エキス、有機酸(クエン酸、グルコン酸、コハク酸等)のカルシウム塩、脂肪酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸等)のカルシウム塩等が挙げられる。これら肥料成分は界面活性剤と併用することもできる。養液土耕や水耕栽培のように、元肥の過剰施用を避け、肥料成分をかん水と同じに与えるようなタイプの栽培形態には、本発明の付与剤組成物はさらに肥料成分を含むのが好ましい。
前記付与剤組成物中の前記肥料成分の濃度は、植物体へ施用する際の濃度として、葉面散布する場合、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ0.1〜5000ppmが好ましく、1〜1000ppmがより好ましく、更に10〜500ppmがより好ましい。土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ0.1〜5000ppmが好ましく、1〜1000ppmがより好ましく、更に10〜500ppmが好ましい。また、肥料成分全てを加算した濃度は、葉面散布する場合、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ1〜10000ppmが好ましく、10〜5000ppmがより好ましく、更に50〜2000ppmがより好ましい。肥料成分全てを加算した濃度は、土壌及び水耕栽培において地下部から施用する場合、N成分、P成分、K成分の濃度としてそれぞれ1〜10000ppmが好ましく、10〜5000ppmがより好ましく、更に50〜2000ppmがより好ましい。
また、前記付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計に対して、前記肥料成分の含有量は、例えば0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%である。
本発明の植物ストレス耐性付与方法は、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が、111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む。前記方法において、前記付与剤組成物は、前記植物の地上部および/または地下部に施用してもよい。
また、植物にストレス耐性が付与されているかどうかは、上記植物ストレス率のストレス栽培条件でストレス耐性付与剤組成物を用いないで栽培した植物の植物体重量(植物体重量1)と、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を地下部または地上部より施用して栽培した植物の植物体重量(植物体重量3、ストレス下で栽培された植物にストレス耐性付与処理を行った植物体の重量)とから、以下の式(iii)により植物ストレス耐性付与率(%)を算出し、判断することができる。植物ストレス耐性付与率は、100%を超えれば植物にストレス耐性が付与されていることになるが、105%以上、更に111%以上となることが好ましい。
植物ストレス耐性付与率(%)=(植物体重量3/植物体重量1)×100 (iii)

本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を用いることにより、塩、温度、乾燥といったストレス因子のある栽培条件で栽培した場合に、110%を超える植物ストレス耐性付与率を達成することができる。
また、本発明では、特定の化合物がストレス耐性を付与できるかどうかの判定基準として、下記標準試験による標準植物塩ストレス耐性付与率が好ましくは111%以上であることが挙げられる。圃場など、実際の栽培では、多様なストレスが植物にかかるが、この標準試験は、ストレスがかかる環境を特定し実験室レベルで再現して、試験化合物のストレス耐性の付与効果を試験するものである。この標準植物塩ストレス耐性付与率が好ましくは111%以上の植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物の地上部または地下部に施用することができる。標準植物塩ストレス耐性付与率を測定するための標準試験(ここでは、対照区2も作成している)を以下に記す。
[標準試験]
(I)植物の準備
培土(肥料成分;N:P:K=0.4:1.9:0.6(g)/培土1kg)を50穴セルトレイに詰め、トマト"桃太郎"(タキイ種苗)の種子を播種し、培土を薄く覆土し、十分に水を灌水し発芽させる。2葉期の葉が完全に展開した段階で、トマトの根部の土を流水で洗い流し、試験に供する。培土としては、呉羽化学(株)製のクレハ園芸培土等を用いることができる。
(II)試験条件の設定
温度23℃、相対湿度50%、照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を制御する。このような環境条件は、例えば、温度及び相対湿度を制御できる部屋または人工気象器において温度を調節し、また、蛍光灯等により照度を調節することで得られる。上記準備によるトマトを水耕液〔水道水にNaClを濃度が3510ppmとなるように加えたもの(NaClによる水ポテンシャル0.29MPa)〕250mlの入った容器(例えばポリエチレン製容器等)に植える。
(III)植物ストレス耐性付与剤組成物による処理
以下の試験区、対照区1、及び対照区2を作成する。試験区、対照区1、対照区2、何れも個体は10個体(計30個体)用意し、2週間後の植物体全体の生重量を測定する。なお、水分散液の調製の際には植物への影響が少ない既知の界面活性剤等を使用してもよい。
試験区:試験化合物〔糖誘導体型界面活性剤〕の水溶液又は水分散液(濃度100ppm)をトマト1株あたり10ml、葉面に散布処理する。
対照区1:水耕液にNaClを添加する(塩ストレスを与える)が、トマトに試験化合物
(植物ストレス耐性付与剤組成物)を与えない。
対照区2:水耕液にNaClを添加せず(塩ストレスを与えず)、且つトマトに試験化合物(植物ストレス耐性付与剤組成物)を与えない。
(IV)標準植物塩ストレス耐性付与率(%)の算出
得られた植物体全体の生重量の平均値で以下のように標準植物塩ストレス耐性付与率を計算する〔式(i)〕。
標準植物塩ストレス耐性付与率(%)=(試験区の植物体生重量/対照区1の植物体生重量)×100 (i)
なお、上記標準試験における植物ストレス率(標準植物塩ストレス率)は130%近傍となる。この場合、標準植物塩ストレス率は下記の式(ii)'により算出できる。
標準植物塩ストレス率(%)=(対照区2の植物体生重量/対照区1の植物体生重量)×100 (ii)'
前記ストレス栽培条件は、好ましくは、栽培環境中の、塩濃度に起因する塩ストレス、水分含有量に起因する乾燥ストレス、及び温度に起因する温度ストレスの少なくとも1つのストレス因子を含む栽培条件である。
土壌栽培や水耕栽培において肥料等の塩類の集積により栽培溶液中の浸透圧が上昇し植物の吸水が阻害される結果、生育が阻害される現象が生じる。こうした状態は、一般に植物に塩ストレスがかかった状態と認識される。具体的には、例えば水耕栽培における水耕養液の塩による浸透圧ポテンシャルや土壌栽培における土壌中の塩による浸透圧ポテンシャルが0.2MPa(NaCl濃度では2400ppm)以上、更には0.25MPa以上、より更には0.30MPa以上で塩ストレスがある条件であるといえる。本発明によれば、このような浸透圧ポテンシャルを示す条件でも植物が適正に生育する耐性を付与す
ることができる。浸透圧ポテンシャルは、土壌栽培においては、土壌を水で希釈して上澄み液の塩濃度を分析することによって、以下のラウールの法則により計算する。
ラウールの法則 π(atm)=cRT
R=0.082(L・atm/mol・K)
T=絶対温度(K)
c=イオンモル濃度(mol/L)
1atm=0.1MPa
前記塩ストレスは、例えば、土壌栽培における土壌EC値が1.2mS/cm〜3.4mS/cm、または水耕栽培におけるEC値が2.7mS/cm〜5.0mS/cmの塩ストレスである。前記EC値とは、塩類イオン濃度の指標で、溶液の比抵抗の逆数をいい、溶液1cm間における比抵抗値の逆数をmSとして表す。ECの測定方法は、土壌の場合は風乾土の重量1に対して蒸留水5の割合に希釈した溶液、水耕栽培の場合は希釈しない溶液の電気伝導度を電気伝導度計にて測定する。
また、土壌栽培において、降雨量や灌水量の減少により土壌中の水分含有量が減少し、植物の吸水が阻害される結果、生育が阻害される現象が生じる。こうした状態は、一般に植物に乾燥ストレスがかかった状態と認識される。具体的には、植物が栽培されている土壌のpF値が、土壌水として重力水が認識できなくなる状態を意味する1.7以上、更には2.3以上、より更には2.5以上で乾燥ストレスがある条件であるといえる。本発明によれば、このようなpF値を示す条件でも植物が適正に生育する耐性を付与することができる。ここで、pF値は、「土壌・植物栄養・環境事典」(大洋社、1994年、松坂ら)の61〜62頁の「pF値測定法」に記述されている原理に則り測定することができる。前記前記乾燥ストレスは、土壌pF値が、例えば2.7〜4.2、好ましくは2.7〜4.1、より好ましくは3.0〜4.1の乾燥ストレスである。pF値の測定は「土壌・植物栄養・環境事典」(大洋社、1994年、松坂ら)に記載のpF値測定法の原理に基づいた土壌水分計(たとえば大起理化工業(株)製 pFメータ DIK−8343等)により測定することができる。
また、栽培環境に関して、ある植物の適切な生育温度よりも高い温度あるいは低い温度に植物が暴露された場合、生体内の生理代謝機能が減少し生育が阻害される現象が生じる。こうした状態は、一般に植物に温度ストレスがかかった状態である。具体的には、植物が栽培されている環境における平均栽培温度が25℃以上、更には28℃以上40℃以下、より更には32℃以上40℃以下である、又は20℃以下、更には5℃以上17℃以下、より更には5℃以上15℃以下であると、温度ストレスがある条件である。本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物によれば、このような平均栽培温度を示す条件でも植物に適正に生育する耐性を付与することができる。ここで平均栽培温度とは、栽培期間(播種から生育終了までの期間)において昼夜問わず1時間おきに測定した栽培温度の平均値である。
本発明によりストレス耐性を付与できる植物としては、果菜類、葉菜類、根菜類、稲、麦類、花卉類等が挙げられる。前記果菜類としては、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン、ソラマメ、エンドウ、エダマメ、トウモロコシ等が挙げられる。前記葉菜類としては、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セルリー、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等が挙げられる。前記根菜類としては、ダイコン、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等が挙げられる。
本発明の植物の生産方法は、前記植物ストレス耐性付与方法を含む。具体的には、本発明の植物の生産方法は、本発明の植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む。このような生産方法により、ストレス条件における植物を効率よく生産することができる。
塩ストレス耐性付与試験(トマト)
[試験方法]
(1)A.土壌栽培
試験No:比較(1)(比較例条件(ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(1)、(2)、(3)(実施例条件(塩ストレス条件))
栽培温度:23℃、EC:1.3、2.0、3.0 mS/cm、pF値:1.7(毛管飽和状態)
(2)B.水耕栽培
試験No:比較(2)(比較例条件(ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC:1.3mS/cm(大塚1/2A処方)
試験No:試験(4)、(5)、(6)(実施例条件(塩ストレス条件))
栽培温度:23℃、EC:2.7、3.9、4.8mS/cm
(3)栽培条件
照度:5000Lux(蛍光灯)、明/暗周期:16hr/8hr
使用土壌:クレハ園芸培土((呉羽化学(株)製)肥料成分;N:P:K=0.4:1.9:0.6(g)/培土1kg)
使用水耕液:大塚1/2A処方条件:(大塚ハウス1号(N:P:K=10:8:27)7.5g/10L、大塚ハウス2号(N:P:K:Ca=10:0:0:23)5g/10Lの配合液でありトータル窒素130ppm、燐酸60ppm、カリウム203ppm)
栽培期間:2週間
(4)植物の準備:呉羽化学(株)製のクレハ園芸培土(肥料成分;N:P:K=0.4:1.9:0.6(g)/培土1kg)を50穴セルトレイに詰め、トマト“桃太郎”の種子を播種し(実施例4では各植物の種子または苗)、クレハ園芸培土を薄く覆土し、十分に水を灌水し発芽させる。2葉期の葉が完全に展開した段階で、トマトの根部の土を丁寧に流水で洗い流し、試験に供した。
(5)供試薬剤:
(a)糖誘導体型界面活性剤:
POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル:レオドールTW−O120V(花王(株))
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル:レオドールTW−L120(花王(株))
POE(20)ソルビタンモノパルミチン酸エステル:レオドールTW−P120(花王(株))
POE(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル:レオドールTW−P120(花王(株))
ソルビタンモノオレイン酸エステル:エマゾールO−10(F)(花王(株))
POE(6)ソルビタンモノオレイン酸エステル:レオドールTW−O106(花王(株))

アルキル(炭素数10)ポリグルコシド:AG−10LK〔花王(株)〕
アルキル(炭素数12−14)ポリグルコシド:AG−124〔花王(株)〕
ショ糖ステアリン酸エステル(炭素数C18、モノエステル比率30重量%、HLB=5):S−570〔三菱化学フーズ(株)〕
ショ糖ステアリン酸エステル(炭素数C18、モノエステル比率50重量%、HLB=9):S−970〔三菱化学フーズ(株)〕
ショ糖ステアリン酸エステル(炭素数C18、モノエステル比率55重量%、HLB=11):S−1170〔三菱化学フーズ(株)〕
ショ糖ステアリン酸エステル(炭素数C18、モノエステル比率70重量%、HLB=15):S−1570〔三菱化学フーズ(株)〕
ショ糖パルチミン酸エステル(炭素数C16、モノエステル比率70重量%、HLB=15):P−1570〔三菱化学フーズ(株)〕
ショ糖オレイン酸エステル(炭素数C18:1(:1は不飽和結合が1であることを示す)、モノエステル比率70重量%、HLB=15):O−1570〔三菱化学フーズ(株)〕
(b)カテキン類:
カテキン(試薬):和光純薬(株)
(c)糖誘導体型以外の界面活性剤
ラウリル硫酸ナトリウム:エマール0(花王(株))
オレイン酸カリウム:FR−14(花王(株))
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:ネオペレックスNo6(花王(株))
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム:エマールE−70C(花王(株))
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩:デモールN(花王(株))
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム:ペレックスOT−P(花王(株))
POE(20)ラウリルエーテル:エマルゲン120(花王(株))
POE(20)セチルエーテル:エマルゲン220(花王(株))
POE(20)ステアリルエーテル:エマルゲン320P(花王(株))
POE(20)オレイルエーテル:エマルゲン420(花王(株))
POE(3)ノニルフェニルエーテル:エマルゲン903(花王(株))
POE(5)ラウリルアミン:アミート105(花王(株))
ポリエチレングリコールモノオレイン酸エステル:エマノーン4110(花王(株))
POE(25)硬化ヒマシ油:エマノーンCH−25(花王(株))
ステアリルアミンアセテート:アセタミン86(花王(株))
ステアリルベタイン:アンヒトール86B(花王(株))
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド:コータミン86W(花王(株))
ラウリルジメチルアミンオキサイド:アンヒトール20N(花王(株))
塩化ベンザルコニウム:サニゾールC(花王(株))
(d)その他の薬剤:
プロリン、グリシンベタイン、ラフィノース:和光純薬(株)
(6)処理液施用量:葉面散布 10ml/株 水耕栽培(地下部処理) 250ml/株
(7)土壌栽培(地下部処理)50ml/株
[塩ストレス耐性付与試験方法]
(1)A.土壌栽培試験
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。上記準備によるトマトを3号(9cm)ポットに移植した。試験期間中、塩ストレスを所定の値にするため10%NaCl溶液を1日1回適量添加することでECの調節を行った。表1の化合物を所定濃度で含有する処理液(残部は水)を調製し、葉面散布、または地下部へ処理した。また、各試験区はそれぞれ反復を10個体用意し、試験開始2週間後の各個体の植物体生重量平均値を計算し、各EC条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。ストレスが生じない適切な栽培条件として比較例を作成し、植物活力性能を調べた。その結果、表1に示すように、いずれも本発明品は、比較例のストレスがない条件では生育効果が現れていないのに対し、EC値の高い塩ストレス条件では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高かった。また本発明品と比較品を比べても各塩ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高かった。
(2)B.水耕栽培試験
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。上記準備によるトマトを各ECに調節した水耕液の入ったポリエチレンボトル250mlに植えた。各ECは1/2大塚A処方のEC値1.3を基準とし、適宜比例計算で肥料濃度を増加させ調節した。表1の化合物を所定濃度で含有する処理液(残部は水)を調製し、葉面散布、または地下部へ処理した。また、各試験区はそれぞれ反復を10個体用意し、試験開始2週間後の各個体の植物体生重量の平均値を計算し、各EC条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。またストレスが生じない適切な栽培条件として比較例を作成し、植物活力性能を調べた。得られた結果を表1に示す。その結果、表1に示すように、いずれも本発明品は、比較例のストレスがない条件では生育効果が現れていないのに対し、EC値の高い塩ストレス条件では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高かった。また本発明品と比較品を比べても各塩ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高かった。
Figure 2010075089

Figure 2010075089
乾燥ストレス耐性付与試験(トマト)
[試験条件]
A.土壌栽培(クレハ培土栽培)
試験No:比較(1)(比較例条件(ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(1)、(2)、(3)(実施例条件(乾燥ストレス条件))
栽培温度:23℃、EC:1.0(クレハ培土栽培)、pF値:2.8、3.5、4.1
その他の条件は実施例1に準じた。
[乾燥ストレス耐性付与試験方法]
A.土壌栽培試験
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。上記準備によるトマトを3号(9cm)ポットに移植した。試験期間中、乾燥ストレスを所定の値にするため水道水を1日1回適量添加することでPF値の調節を行った。表2の化合物の所定濃度で含有する処理液(残部は水)を調製し、葉面散布、または地下部へ処理した。また、各試験区はそれぞれ反復を10個体用意し、試験開始2週間後における各個体の植物体生重量の平均値を計算し、各PF値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。乾燥ストレスが生じない適切な栽培条件として比較例を作成し、植物活力性能を調べた。得られた結果を表2に示す。その結果、表2に示すように、いずれも本発明品は、比較例の乾燥ストレスが生じない条件では生育効果が現れていないのに対し、PF値の高い乾燥ストレス条件では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高かった。また本発明品と比較品を比べても各乾燥ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高かった。
Figure 2010075089

Figure 2010075089
温度ストレス耐性付与試験(トマト)
[試験条件]
A.土壌栽培(クレハ培土栽培)
試験No:比較(1)(比較例条件(ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(1)、(2)、(3)、(4)(実施例条件(温度ストレス条件))
栽培温度:23℃、EC:1.0(クレハ培土栽培)、温度:10℃、16℃、29℃、35℃
その他の条件は実施例1に準じた。
[温度ストレス耐性付与試験方法]
A.土壌栽培試験
人工気象器において蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期、及び各温度に環境条件を調整した。上記準備によるトマトを3号(9cm)ポットに移植した。表3の化合物の所定濃度で含有する処理液(残部は水)を調製し、葉面散布、または地下部へ処理した。また、各試験区はそれぞれ反復を10個体用意し、試験開始2週間後における各個体の植物体生重量の平均値を計算し、各温度条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。温度ストレスが生じない適切な栽培条件として比較例を作成し、植物活力性能を調べた。その結果、表3に示すように、いずれも本発明品は、比較例の温度ストレスが生じない条件では生育効果が現れていないのに対し、温度ストレス条件では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高かった。また本発明品と比較品を比べても各温度ストレス条件では本発明品の植物活力付与性能が高かった。
Figure 2010075089

Figure 2010075089
乾燥ストレス耐性付与試験(各植物)
[試験条件]
A.土壌栽培(クレハ培土栽培)
試験No:比較(1)(比較例条件(ストレスがない適切な生育条件))
栽培温度:23℃、EC:1.0mS/cm(クレハ培土栽培)、pF値:1.7(毛管飽和状態)
試験No:試験(1)(実施例条件(乾燥ストレス条件))
栽培温度:23℃、EC:1.0(クレハ培土栽培)、pF値:3.5
その他の条件は実施例1に準じた。
植物種(品種):ナス(千両二号)、キュウリ(地這)、イチゴ(とよのか)、ダイズ(エンレイ)、アズキ(丹波大納言)、コムギ(ホクシン)、トウモロコシ(カクテル90L)、バレイショ(トヨシロ)、ダイコン(四十日大根)、ニンジン(イナリ五寸)、チンゲンサイ、ホウレンソウ(アクティブ)、キク(神馬)
[乾燥ストレス耐性付与試験方法]
A.土壌栽培試験
人工気象器において温度23℃、蛍光灯による照度5000Lux、1日の明暗周期が16hr明期、8hr暗期に環境条件を調整した。上記準備による各植物を5号(15cm)ポットに移植した。試験期間中、乾燥ストレスを所定の値にするため水道水を1日1回適量添加することでPF値の調節を行った。表4の化合物の所定濃度で含有する処理液(残部は水)を調製し、葉面散布、または地下部へ処理した。また、各試験区はそれぞれ反復を10個体用意し、試験開始2週間後における各個体の植物体生重量の平均値を計算し、各PF値条件における無処理区を100とした場合の相対値として表した。乾燥ストレスが生じない適切な栽培条件として比較試験(試験No:比較(1))を作成し、植物活力性能を調べた。得られた結果を表4に示す。その結果、表4に示すように、いずれも本発明品は、比較例の乾燥ストレスが生じない条件では生育効果が現れていないのに対し、PF値の高い乾燥ストレス条件では極めて高い生育向上効果を示し、植物活力付与性能が高かった。また本発明品と比較品を比べても各乾燥ストレス条件では本発明品のストレス耐性付与性能が高かった。
Figure 2010075089
本発明の植物ストレス耐性付与剤は、例えば寒冷地や熱帯地方における農業において有用である。

Claims (6)

  1. 糖誘導体型界面活性剤とカテキン類と水とを含有する植物ストレス耐性付与剤組成物であって、
    前記糖誘導体型界面活性剤が、糖と脂肪酸とのエステル、糖アルコールと脂肪酸とのエステル、およびアルキルグリコシドからなる群から選択される構造を有する糖誘導体型界面活性剤を1種以上含み、
    前記付与剤組成物に含まれる水以外の成分の合計において、前記糖誘導体型界面活性剤の含有量が、85〜99.9重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物。
  2. 前記アルキルグリコシドが、下記の一般式(1):
    1(OR2xy (1)
    〔式中、R1は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基、又はアルキルフェニル基を示し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5〜6を有する還元糖に由来する残基を示し、x(平均値)は0〜5である数を、y(平均値)は1〜5である数を示す〕で表される請求項1記載の植物ストレス耐性付与剤組成物。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111〜200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含む植物ストレス耐性付与方法。
  4. 前記ストレス栽培条件が、栽培環境中の、塩濃度に起因する塩ストレス、水分含有量に起因する乾燥ストレス、及び温度に起因する温度ストレスの少なくとも1つのストレス因子を含む栽培条件である請求項3に記載の植物ストレス耐性付与方法。
  5. 前記塩ストレスが、土壌栽培における土壌EC値が1.2mS/cm〜3.4mS/cm、または水耕栽培におけるEC値が2.7mS/cm〜5.0mS/cmの塩ストレスであり、
    前記乾燥ストレスが、土壌pF値が2.7〜4.2の乾燥ストレスであり、
    前記温度ストレスが、平均栽培温度が28〜40℃又は5〜17℃の温度ストレスである請求項4に記載の植物ストレス耐性付与方法。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の植物ストレス耐性付与方法を含む植物の生産方法。
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