JPWO2011152486A1 - 自動車用灯具 - Google Patents

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Abstract

流動性向上剤0.1〜30質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂70〜99.9質量%とを含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材を有する自動車用灯具であって、流動性向上剤が、スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる重合体(A)0.5〜25質量%と、メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる重合体(B)0.5〜25質量%と、スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる重合体(C)50〜90質量%とを含有する、自動車用灯具。

Description

本発明は、流動性向上剤を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形して得られる樹脂部材を有する自動車用灯具に関する。
本発明は、2010年6月2日に、日本に出願された特願2010−127117号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性を備え、機械強度、耐熱性、電気特性、寸法安定性等に優れていることから、自動車のアウターカバー(例えば、ヘッドランプレンズやテールランプレンズ等。)に用いられている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は非晶性であるため、成形加工温度が高く、溶融流動性に劣るという課題を有している。また、近年、自動車部材を軽量化する観点から、ヘッドランプレンズやテールランプレンズを薄肉にし、軽量化することが求められており、そのため、より一層の溶融流動性の向上が求められている。
芳香族ポリカーボネート樹脂の優れた特性を損なうことなく溶融流動性を向上させ、射出成形性を高めるため、例えば、特許文献1には、芳香族ビニル単量体及びフェニル(メタ)アクリレートを重合して得られる共重合体を芳香族ポリカーボネート樹脂に配合する方法が提案されている。
国際公開第2005/030819号パンフレット
しかしながら、特許文献1に提案されている方法では、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性が充分でなく、また、得られる成形品の透明性も充分ではない。
本発明の目的は、透明性等の芳香族ポリカーボネート樹脂本来の特性を大きく損なうことなく、成形加工時の溶融流動性を向上させた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用いることにより、薄肉軽量化が可能であり、しかも透明性等も備えた自動車用灯具を提供することにある。
本発明は、上記課題の解決手段として以下の構成を採用した。
[1]流動性向上剤0.1〜30質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂70〜99.9質量%とを含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材を有する自動車用灯具であって、
前記流動性向上剤は、
スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる重合体(A)0.5〜25質量%と、
メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる重合体(B)0.5〜25質量%と、
スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる重合体(C)50〜90質量%(但し、重合体(A)〜(C)の合計が100質量%)と、を含有する、自動車用灯具。
[2] 流動性向上剤0.1〜30質量%と、粘度平均分子量が18,000以上である芳香族ポリカーボネート樹脂62.5〜97.9質量%と、下記一般式(I):
Figure 2011152486
(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状、炭素数3〜10の分岐鎖状若しくは環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又はスルホニル基を示す。R1〜R4は、各々同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される構成単位の平均繰返し数2〜15の芳香族ポリカーボネートオリゴマー2〜7.5質量%とを配合した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材を有する自動車用灯具であって、
前記流動性向上剤は、
スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる重合体(A)0.5〜25質量%と、
メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる重合体(B)0.5〜25質量%と、
スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる重合体(C)50〜90質量%(但し、重合体(A)〜(C)の合計が100質量%)と、を含有する、自動車用灯具。
本発明の自動車用灯具は、透明性等の芳香族ポリカーボネート樹脂本来の特性を大きく損なうことなく、成形加工時の溶融流動性を向上させた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が用いられているため、薄肉軽量化が可能であり、しかも透明性等も備える。
実施例における輝度測定方法を説明する図であり、側方から見た図である。 実施例における輝度測定方法を説明する図であり、正面図である。 実施例におけるヘイズ測定結果を示すグラフである。 自動車用灯具である自動車用ヘッドランプの縦断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の自動車用灯具は、図3に示すような自動車用ヘッドランプ40であって、ランプボディ41と、アウターカバー42と、ランプボディ41にアウターカバー42に向けて取り付けられた光源43と、光源43から出射した光をアウターカバー42に向けて反射させるリフレクタ44と、アウターカバー42とリフレクタ44の間に設けられたエクステンションリフレクタ45とを備えている。
これら自動車用灯具を構成する部材には、流動性向上剤0.1〜30質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂70〜99.9質量%とを含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材を有する。
[流動性向上剤]
本発明で用いられる流動性向上剤は、重合体(A)0.5〜25質量%と、重合体(B)0.5〜25質量%と、重合体(C)50〜90質量%(但し、重合体(A)〜(C)の合計が100質量%)とを含有する。
重合体(A)は、スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%、及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、スチレン(a1)の含有率が40質量%以上かつα−メチルスチレン(a2)の含有率が20質量%以上であれば、重合体(A)は芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶となり、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させ、また、自動車用灯具の耐薬品性が損なわれない。好ましくはスチレン(a1)の含有率が55質量%以上かつα−メチルスチレン(a2)の含有率が21質量%以上である。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、スチレン(a1)の含有量が70質量%以下かつα−メチルスチレン(a2)の含有率が25質量%以下であれば、自動車用灯具の耐表層剥離性及び機械的特性が損なわれない。好ましくはスチレン(a1)の含有量が65質量%以下かつα−メチルスチレン(a2)の含有率が23質量%以下である。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、メタクリル酸フェニル(a3)の含有率が3質量%以上であれば、自動車用灯具の耐表層剥離性及び機械的特性が損なわれない。好ましくは12.5質量%以上である。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、メタクリル酸フェニル(a3)の含有率が39.5質量%以下であれば、重合体(A)は芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶となり、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させ、自動車用灯具の耐薬品性が損なわれない。好ましくは20質量%以下である。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、メタクリル酸グリシジル(a4)の含有率が0.5質量%以上であれば、流動性向上剤と芳香族ポリカーボネート樹脂との溶融混練時に、流動性向上剤の分解を生じることなく、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性を向上させる。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、メタクリル酸グリシジル(a4)の含有率が2質量%以下であれば、流動性向上剤と芳香族ポリカーボネート樹脂との溶融混練時に、滞留による芳香族ポリカーボネート樹脂の劣化を生じることがなく、溶融流動性を向上させる。好ましくは1.5質量%以下である。
単量体混合物(a)は、必要に応じて、単量体(a1)〜(a4)と共重合可能な、他の単量体(a5)を含有してもよい。
他の単量体(a5)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル;(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレン、ジビニルベンゼン等の多官能単量体;安息香酸ビニル;酢酸ビニル;無水マレイン酸;N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;ピペリジル基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、他の単量体(a5)の含有率は0〜5質量%である。
単量体混合物(a)(100質量%)中の、他の単量体(a5)の含有率が5質量%以下であれば、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させ、自動車用灯具の耐薬品性が損なわれない。
重合体(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶であり、屈折率は芳香族ポリカーボネート樹脂に近いことが好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂に対する重合体の相溶性は、以下のようにして確認する。
芳香族ポリカーボネート樹脂95質量部に、重合体5質量部を配合した樹脂組成物を射出成形して試験片を作製し、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」と記す。)を用いて試験片のTEM写真を撮影し、該写真を画像解析する。
芳香族ポリカーボネート樹脂のマトリックス中に分散する重合体ドメインの、体積平均ドメイン径(dv)が、0.05μm以上の相分離として確認される場合、重合体は芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶と判断する。体積平均ドメイン径(dv)が、0.05μm以上の相分離として観察されない場合、重合体は芳香族ポリカーボネート樹脂に対して相溶と判断する。
体積平均ドメイン径(dv)を算出する際の、TEM写真の画像解析には、例えば、Image−ProPlus Ver.4.0 for Windows(登録商標)等の画像解析ソフトを用いることができる。
画像解析より、TEM写真にある全てのドメイン(n個)について、各ドメインの面積Rj(j=1〜n)を求め、下記式1によってドメインの面積から真円換算した場合の直径dj(j=1〜n)を算出する。
式1:dj=((4/π)×Rj)1/2
次に、下記式2によって直径(dj)から体積平均ドメイン径(dv)を算出する。
具体的には、J.MACROMOL.SCI.−PHYS.,B38(5&6),527(1999)に記載されている計算方法を用いる。
式2: dv=(Σdj3/n)1/3
なお、得られる試験片は射出成形により流動が印加されているため、試験片中の重合体ドメインは、流動方向に配向している。そのため、TEM写真の画像解析により算出される体積平均ドメイン径(dv)には異方性を生じることがある。よって、本発明においては、TEM写真の撮影に用いる薄片の切り出しは、流動方向に対して直交する面とする。
重合体(A)を得るための重合方法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法が挙げられるが、回収方法が容易である点で、懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。但し、乳化重合法の場合は、重合体(A)に残存する塩類が芳香族ポリカーボネート樹脂の分解を引き起こすおそれがあるため、カルボン酸系乳化剤を用いて、酸凝固等により重合体の回収を行なうか、燐酸エステル等のノニオンアニオン系乳化剤を用いて、酢酸カルシウム等で塩凝固することが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、過硫酸塩、有機過酸化物又は過硫酸塩と還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤、アゾ化合物が挙げられる。
重合体(A)の質量平均分子量は5000以上であり、10000以上が好ましく、15000以上がより好ましく、30000以上がさらに好ましく、40000以上が特に好ましい。また、重合体(A)の質量平均分子量は200000以下であり、170000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、120000以下がさらに好ましく、100000以下が特に好ましい。
重合体(A)の質量平均分子量が5000以上であれば、相対的に低分子量物が少なく、自動車用灯具の耐熱性等が損なわれない。また、流動性向上剤と芳香族ポリカーボネート樹脂との溶融混練時の発煙等による自動車用灯具の外観不良も生じない。高温時の透明性が良好な自動車用灯具が必要な場合は、重合体の質量平均分子量は高い方がよい。
重合体(A)の質量平均分子量が200000以下であれば、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融粘度が高くならず、充分な溶融流動性の向上効果が得られる。
重合体(B)は、メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%、及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる。
単量体混合物(b)(100質量%)中の、メタクリル酸フェニル(b1)が65〜99.5質量%でメタクリル酸ベンジル(b2)が0.5〜35質量%であれば、自動車用灯具の耐表層剥離性及び機械的特性が損なわれない。
単量体混合物(b)(100質量%)中の、メタクリル酸フェニル(b1)は70〜80質量%、メタクリル酸ベンジル(b2)は20〜30質量%であることが好ましい。
単量体混合物(b)は、必要に応じて、単量体(b1)、(b2)と共重合可能な、他の単量体(b3)を含有してもよい。
他の単量体(b3)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロールアクリルアミド、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の官能基を有するビニル単量体;(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレン、ジビニルベンゼン等の多官能単量体;安息香酸ビニル;酢酸ビニル;無水マレイン酸;N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;ポリカプロラクトンマクロモノマー;ピペリジル基を有するエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物(b)(100質量%)中の、他の単量体(b3)の含有率は0〜10質量%である。
単量体混合物(b)(100質量%)中の、他の単量体(b3)の含有率が10質量%以下であれば、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させ、自動車用灯具の耐薬品性が損なわれない。好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
重合体(B)は、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して相溶である。
即ち、芳香族ポリカーボネート樹脂のマトリックス中に分散する重合体ドメインの、体積平均ドメイン径(dv)が、0.05μm以上の相分離として観察されない。
重合体(B)を得るための重合方法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法が挙げられるが、回収方法が容易である点で、懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。但し、乳化重合法の場合は、重合体(B)に残存する塩類が芳香族ポリカーボネート樹脂の分解を引き起こすおそれがあるため、カルボン酸系乳化剤を用いて、酸凝固等により重合体の回収を行なうか、燐酸エステル等のノニオンアニオン系乳化剤を用いて、酢酸カルシウム等で塩凝固することが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、過硫酸塩、有機過酸化物又は過硫酸塩と還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤、アゾ化合物が挙げられる。
重合体(B)の質量平均分子量は5000以上であり、10000以上が好ましい。また、重合体(B)の質量平均分子量は200000以下であり、120000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、50000以下がさらに好ましい。
重合体(B)の質量平均分子量が5000以上であれば、相対的に低分子量物が少なく、自動車用灯具の耐熱性等が損なわれない。また、流動性向上剤と芳香族ポリカーボネート樹脂との溶融混練時の発煙等による自動車用灯具の外観不良も生じない。
重合体(B)の質量平均分子量が200000以下であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂に対する相溶性が低下せず、自動車用灯具の外観が良好となる。
重合体(C)は、スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる。
単量体混合物(c)(100質量%)中の、スチレン(c1)の含有率が50質量%以上かつα−メチルスチレン(c2)の含有率が20質量%以上であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶となり、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させ、自動車用灯具の耐薬品性が損なわれない。好ましくはスチレン(c1)の含有率が60質量%以上でかつ、α−メチルスチレン(c2)の含有率が21質量%以上である。
単量体混合物(c)(100質量%)中の、スチレン(c1)の含有率が70質量%以下かつα−メチルスチレン(c2)の含有率が25質量%以下であれば、自動車用灯具の耐表層剥離性及び機械的特性が損なわれない。好ましくはスチレン(c1)の含有率が65質量%以下でかつ、α−メチルスチレン(c2)の含有率が23質量%以下である。
単量体混合物(c)(100質量%)中の、メタクリル酸フェニル(c3)の含有率が5質量%以上であれば、自動車用灯具の耐表層剥離性及び機械的特性が損なわれない。好ましくは12.5質量%以上である。
単量体混合物(c)(100質量%)中の、メタクリル酸フェニル(c3)の含有率が30質量%以下であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶となり、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させ、自動車用灯具の耐薬品性が損なわれない。好ましくは20質量%以下である。
単量体混合物(c)は、必要に応じて、単量体(c1)〜(c3)と共重合可能な、他の単量体(c4)を含有してもよい。
他の単量体(c4)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル;(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレン、ジビニルベンゼン等の多官能単量体;安息香酸ビニル;酢酸ビニル;無水マレイン酸;N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;ピペリジル基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物(c)(100質量%)中の、他の単量体(c4)の含有率は0〜5質量%である。
単量体混合物(c)(100質量%)中の、他の単量体(c4)の含有率が5質量%以下であれば、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させ、自動車用灯具の耐薬品性が損なわれない。
重合体(C)は、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶であり、屈折率は芳香族ポリカーボネート樹脂に近いことが好ましい。
即ち、芳香族ポリカーボネート樹脂のマトリックス中に分散する重合体ドメインの、体積平均ドメイン径(dv)が、0.05μm以上の相分離として確認される。
重合体(C)を得るための重合方法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法が挙げられるが、回収方法が容易である点で、懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。但し、乳化重合法の場合は、重合体(C)に残存する塩類が芳香族ポリカーボネート樹脂の分解を引き起こすおそれがあるため、カルボン酸系乳化剤を用いて、酸凝固等により重合体の回収を行なうか、燐酸エステル等のノニオンアニオン系乳化剤を用いて、酢酸カルシウム等で塩凝固することが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、過硫酸塩、有機過酸化物又は過硫酸塩と還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤、アゾ化合物が挙げられる。
重合体(C)の質量平均分子量は5000以上であり、10000以上が好ましく、15000以上がより好ましい。また、重合体(C)の質量平均分子量は200000以下であり、120000以下が好ましく、100000以下がより好ましい。
重合体(C)の質量平均分子量が5000以上であれば、相対的に低分子量物が少なく、自動車用灯具の耐熱性等が損なわれない。また、流動性向上剤と芳香族ポリカーボネート樹脂との溶融混練時の発煙等による自動車用灯具の外観不良も生じない。
重合体(C)の質量平均分子量が200000以下であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂系組成物の溶融粘度が高くならず、溶融流動性の向上効果が得られる。
流動性向上剤中の重合体(A)の含有量は0.5〜25質量%であり、重合体(B)の含有量は0.5〜25質量%であり、重合体(C)の含有量は50〜90質量%である。但し、重合体(A)〜(C)の合計は100質量%である。
好ましくは、重合体(A)の含有量は5〜15質量%であり、重合体(B)の含有量は5〜15質量%であり、重合体(C)の含有量は70〜90質量%である。
流動性向上剤(100質量%)中の、重合体(C)の含有量が90質量%以下であれば、自動車用灯具の透明性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の流動性をさらに向上させることができる。
また、流動性向上剤は、その屈折率が芳香族ポリカーボネート樹脂の屈折率に近くなるような比率で、重合体(A)〜(C)を含有することが好ましい。
上述の重合体(A)〜(C)を上述の比率で含有する流動性向上剤を芳香族ポリカーボネート樹脂に配合して溶融混練することにより、重合体(A)が有するエポキシ基と重合体(B)が有するカルボキシル基とが反応する。反応により、流動性向上剤は芳香族ポリカーボネート樹脂に対して相分離挙動を示し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時に溶融流動性の向上効果を発現する。
成形加工後は、芳香族ポリカーボネート樹脂のマトリックス中に、微細化された流動性向上剤のドメインを形成する。これにより、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の特性(透明性、耐表層剥離性、耐熱性、耐衝撃性及び耐薬品性)を大きく損なうことなく、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性を向上させることができる。
[芳香族ポリカーボネート樹脂]
流動性向上剤が配合される芳香族ポリカーボネート樹脂は、公知の方法又はそれに準じた方法で製造されたものを用いることができる。
例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン系ポリカーボネートである場合、その製造方法としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを原料として用い、アルカリ水溶液及び溶剤の存在下にホスゲンを吹き込んで反応させる方法;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと炭酸ジエステルとを、触媒の存在下にエステル交換させる方法等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量(Mv)が18,000以上のものであることが好ましい。
Mvを18,000以上とすることにより、本発明の成形品の耐薬品性を良好とすることができる。
本PC樹脂としては、例えば、帝人化成(株)製パンライトL−1225WS(商品名、Mv:19,000)、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ユーピロンS−2000(商品名、Mv:22,000)が挙げられる。
[芳香族ポリカーボネートオリゴマー]
本発明で用いられる芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、下式(I)を構成単位とし、この構成単位の平均繰返し数が2〜15、好ましくは4〜12のオリゴマーである。
Figure 2011152486
(式中Rは炭素数1〜10の直鎖状、炭素数3〜10の分岐鎖状若しくは環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又はスルホニル基を示す。R1〜R4は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4アルケニル基を示す。)
Rが示す炭素数1〜10の直鎖状アルキリデン基としては、具体的には、例えば、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
Rが示す炭素数3〜10の分岐鎖状のアルキリデン基としては、具体的には、例えば、イソプロピリデン基、イソブチリデン基等が挙げられる。
Rが示す炭素数3〜10の環状のアルキリデン基としては、具体的には、例えば、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基等が挙げられる。
Rが示すアリール置換アルキリデン基としては、上記アルキリデン基にアリール基が置換した基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
Rが示すアリーレンジアルキリデン基としては、具体的には、例えば、 m−フェニレンジイソプロピリデン基等が挙げられる。
R1〜R4が示すハロゲン原子としては、具体的には、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R1〜R4が示す炭素数1〜4のアルキル基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜4のアルキル基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
R1〜R4が示す炭素数2〜4のアルケニル基とは、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。
R1〜R4は、各々同一又は異なっていてもよい。
R1〜R4の結合位置については、特に限定されない。
Rとしては、イソプロピリデン基(イソプロペニル)が好ましい。
また、R1〜R4としては、水素又はメチル基等が好ましく、水素がより好ましい。
上記式(I)で表される化合物としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート等が挙げられる。
平均繰返し数が2以上で、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる成形品からのブリードアウトを抑制することができる。また、平均繰返し数が15以下で、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の溶融弾性挙動を抑制することができ、成形加工時の本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性及び本発明の成形品の透明性と耐衝撃性が良好となる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリカーボネートオリゴマーとしては、例えば、三菱化学(株)製ユーピロンAL−071(商品名、式(1)におけるRがイソプロペニルで、R1〜R4が全て水素で、平均繰返し数が12)が挙げられる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマーの製造方法としては、例えば、本芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法と同様の方法が挙げられ、分子量調節剤又は末端停止剤を本芳香族ポリカーボネート樹脂製造時に使用される量よりも多く使用することにより得ることができる。
上記の分子量調節剤又は末端停止剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する化合物及び芳香族カルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
分子量調節剤又は末端停止剤の具体例としては、フェノール、p−t−ブチルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸及びヒドロキシ安息香酸が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
[芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物]
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)は、芳香族ポリカーボネート樹脂70〜99.9質量%と流動性向上剤0.1〜30質量%とを含有する。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)中の、流動性向上剤の含有率は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)中の、流動性向上剤の含有率は20質量%以下が好ましい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)中の、流動性向上剤の含有率が0.1質量%以上であれば、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形加工時の溶融流動性が充分に向上する。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)中の、流動性向上剤の含有率が30質量%以下であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂の機械的特性が損なわれない。
芳香族ポリカーボネート樹脂と流動性向上剤の混合方法としては、例えば、押出成形等の公知の方法が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)は、流動性向上剤0.1〜30質量%、芳香族ポリカーボネート樹脂62.5〜97.9質量%及び芳香族ポリカーボネートオリゴマー2〜7.5質量%を含有することが好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中の流動性向上剤の含有率は、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、7質量%以上が最も好ましい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中の流動性向上剤の含有率は、9質量%以下がより好ましい。
流動性向上剤の含有率が0.1質量%以上で、成形加工時の本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が良好となる。また、流動性向上剤の含有率が30質量%以下で、本発明の成形品の耐衝撃性が良好となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中の芳香族ポリカーボネート樹脂の含有率は、84質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中の芳香族ポリカーボネート樹脂の含有率は、95質量%以下が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の含有率が82質量%以上で、本発明の成形品の透明性及び耐衝撃性が良好となる。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の含有率が98質量%以下で、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が良好となる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、公知の安定剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、難燃剤等の添加剤を配合してもよい。例えば、本発明の成形品の強度、剛性、更には難燃性を向上させるために、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の添加剤を含有させることができる。
更に、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、成形品の耐薬品性の改良のためにポリエチレンテレフタレート等の他のエンジニアリングプラスチックや、成形品の耐衝撃性の向上のためにゴム状弾性体等を配合することができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、流動性向上剤、芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有する混合物を混練することにより得られる。
上記の混練方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単純スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー又はブラベンダーを用いて混練する方法が挙げられる。
[自動車用灯具]
本発明の自動車用灯具は、上述の流動性向上剤0.1〜30質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂70〜99.9質量%とを含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材を具備して構成される。
樹脂部材の成形方法としては、例えば、射出成形等の公知の方法による溶融混練が挙げられる。
樹脂部材は、特に自動車用灯具のアウターカバーとして好適に用いられる。
自動車用灯具のアウターカバーには、自動車用灯具の配光を乱すことなく、光源から出射された光を前方へ照射する特性が要求される。これは、自動車用灯具の配光が乱れた場合には、運転者の視認性を妨げる可能性があるからである。上述した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材をアウターカバーに使用することによって、より配光制御を容易にすることができる。
また、自動車用灯具のアウターカバーは、三次元に曲面化された形状を有し、その終端は、自動車の側方から後方側に向けて廻り込む廻り込み部を有している。この廻り込み部では、自動車用灯具のアウターカバーの肉厚を薄肉化した場合には成形加工時に樹脂が到達しにくい。しかしながら、上述した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は廻り込み部まで充填されやすく、その結果、薄肉化したアウターカバーが得られ、軽量化が達成される。
自動車用灯具の光源としては、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、HIDランプの他、冷陰極管、LED、有機EL等の自己発光体を用いることができる。
本発明に係る自動車用灯具の別の態様としては、例えば、以下が挙げられる。
本発明に係る自動車用灯具は、
ランプボディと、
アウターカバーと、
光源と、
リフレクタと、
エクステンションリフレクタと、
を有し、
前記アウターカバーは、流動性向上剤0.1〜30質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂70〜99.9質量%とを有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物から成形され、
前記流動性向上剤は、
スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる重合体(A)0.5〜25質量%と、
メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる重合体(B)0.5〜25質量%と、
スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる重合体(C)50〜90質量%(但し、重合体(A)〜(C)の合計が100質量%)と、を含有する自動車用灯具である。
また、本発明に係るさらに別の態様としては、例えば、以下の態様が挙げられる。
本発明に係る自動車用灯具は、
ランプボディと、
アウターカバーと、
光源と、
リフレクタと、
エクステンションリフレクタと、
を有し、
前記アウターカバーは、
流動性向上剤0.1〜30質量%と、粘度平均分子量が18,000以上である芳香族ポリカーボネート樹脂62.5〜97.9質量%と、下記一般式(I):
Figure 2011152486
[式中、各記号は前記に同じ]で表される構成単位の平均繰返し数2〜15の芳香族ポリカーボネートオリゴマー2〜7.5質量%と、を配合した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物から成形され、
前記流動性向上剤は、
スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる重合体(A)0.5〜25質量%と、
メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる重合体(B)0.5〜25質量%と、
スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる重合体(C)50〜90質量%(但し、重合体(A)〜(C)の合計が100質量%)と、を含有する自動車用灯具である。
本発明に係る自動車用灯具の一形態としては、アウターカバー(例えば、ヘッドランプレンズやテールランプレンズ)が挙げられる。
本発明の自動車用灯具の一実施形態例について説明する。
本発明の自動車用灯具は、図3に示すような車両用ヘッドランプ40であって、ランプボディ41と、前面レンズ42と、ランプボディ41に前面レンズ42に向けて取り付けられた光源43と、光源43から発した光を前面レンズ42に向けて反射させるリフレクタ44と、前面レンズ42に取り付けられたエクステンションリフレクタ45とを備えている。リフレクタ44及びエクステンションリフレクタ45の表面にはアルミニウム等からなる反射面が、アンダーコート層の上に蒸着されているか、あるいはアンダーコート層なしでダイレクトに蒸着されている。そのため、高い反射率で光を反射できるようになっている。
図3では、自動車ヘッドランプとして記載されているが、本発明に係るアウターカバーは、ヘッドランプレンズに限られず、テールランプレンズに用いることもできる。また、本発明のアウターカバーは、自動車用灯具以外にも、船舶、鉄道車両、航空機の灯具に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中の「部」は「質量部」を表す。「%」は、ヘイズの値を除き、「質量%」を表す。
(重合率の測定)
以下の手順により、重合体の重合率を測定した。
1)アルミ皿の質量を0.1mgの単位まで測定する。(A)
2)アルミ皿に重合体を約1g取り、質量を0.1mgの単位まで測定する。(B)
3)重合体の入ったアルミ皿を180℃の乾燥機に入れ、45分間加熱する。
4)重合体の入ったアルミ皿を乾燥機から取出し、デシケーター内で室温まで冷却した後、質量を0.1mgの単位まで測定する。(C)
5)下記式により、重合体の固形分を算出する。
(C−A)/(B−A)×100[%]
6)算出した固形分を、仕込み時の固形分で割り、重合体の重合率を算出する。
(質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定)
以下の手順により、重合体の(Mw)及び(Mn)を測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、標準ポリスチレンによる検量線から求めた。測定条件は以下のとおり。
カラム :TSK−GEL SUPER HZM−N(東ソー(株)製)
測定温度 :40℃
溶離液 :クロロホルム
溶離液速度 :0.6ml/分
検出器 :RI
(エポキシ基量の測定)
以下の手順により、重合体(A)のエポキシ基量を測定した。
1)ブランクの測定
1−1)下記の溶液Aをホールピペットで10ml採取し、100mlの共栓付き三角フラスコに入れる。
溶液A:0.1N塩酸(テトラヒドロフラン/エタノール=1/1)溶液
1−2)採取した溶液Aを、フェノールフタレインを指示薬として下記の溶液Bで滴定する。微紅色が30秒間続いた点を滴定の終点とし、このときの溶液Bの滴定量をX(ml)とする。
溶液B:0.1N水酸化カリウム(アルコール性)溶液
2)重合体(A)の測定
2−1)100mlの共栓付き三角フラスコに、重合体(A)を4〜7gの範囲でW(g)を取る。ここにテトラヒドロフラン(THF)30mlを加え、重合体(A)を溶解する。
2−2)重合体(A)の溶液が入った三角フラスコに、溶液Aをホールピペットで10ml採取して加える。
2−3)該三角フラスコに冷却管を取り付け、60℃で5分間加熱する。
2−4)該三角フラスコを冷却した後、フェノールフタレインを指示薬として溶液Bで滴定する。微紅色が30秒間続いた点を滴定の終点とし、このときの溶液Bの滴定量をY(ml)とする。
2−5)下記式により、重合体(A)のエポキシ基量を小数点以下第1位まで算出する(式中のfは溶液Bの力価を示す)。
エポキシ基量=f×0.1×((X−Y)/1000)/W×1000(mmol/g)
(カルボキシル基量の測定)
以下の手順により、重合体(B)のカルボキシル基量を測定した。
1)200mlの共栓付き三角フラスコに、重合体(B)を12〜15gの範囲でV(g)を取る。ここにTHF100mlを加え、重合体(B)を溶解する。
2)重合体(B)の溶液を、フェノールフタレインを指示薬として上記の溶液Bで滴定する。微紅色が30秒間続いた点を滴定の終点とし、このときの溶液Bの滴定量をZ(ml)とする。
3)下式により、重合体(B)のカルボキシル基量を小数点以下第1位まで算出する(式中のfは溶液Bの力価を示す)。
カルボキシル基量=f×0.1×(Z/1000)/V×1000(mmol/g)
(重合体の相溶性)
芳香族ポリカーボネート樹脂に対する重合体の相溶性は、以下のようにして確認した。
芳香族ポリカーボネート樹脂(パンライトL−1225WS、帝人化成(株)製)95部に重合体5部を配合し、射出成形機(機種名「IS−100」、東芝機械(株)製)を用いて、成形温度280℃、金型温度80℃の条件で、縦50mm×横50mm×厚さ2mmの試験片を作製した。
凍結ミクロトームで試験片の中心部から薄片を切り出し、該薄片を、四酸化ルテニウム又は四酸化オスミウムを用いて染色して試料を得た。染色剤は、重合体に含まれる官能基の種類に応じて最適なものを選択した。
得られた試料のTEM写真(倍率:5000倍)を撮影し、芳香族ポリカーボネート樹脂中に分散する重合体の体積平均ドメイン径(dv)を測定した。
(充填率測定)
得られた自動車用灯具のアウターカバーの重量から、充填率を測定し、以下の基準で判定した。
○:充填率が100%に達している。
△:充填率は100%に達していないが、成形条件を調整すれば100%に達する。
×:充填率は100%に達しておらず、成形条件を調整しても100%に達しない。
(ヘイズ測定)
自動車用灯具のアウターカバーの一部を切り取り、実施例1〜2,比較例1〜2はヘイズコンピュータ(機種名「HA−2」、スガ試験機(株)製)を用い、実施例3,比較例3〜4はヘイズコンピュータ(機種名「HZ−2」、スガ試験機(株)製)を用いて、以下の測定条件でヘイズを測定し、以下の基準で判定した。
1)室温で測定
2)100℃で5分間加熱後測定
3)再び室温に戻して測定
4)120℃で2時間アニールした後、室温に戻して測定
判定 ○:すべての測定でヘイズが4%未満
×:上記「○」以外の場合
(不要な拡散光の輝度測定)
自動車用灯具のアウターカバーの一部を切り取り、トプコン輝度計(機種名「BM−5A」)を用いて、アウターカバーにHID照明を照射し、図1A及び図1Bのようにして、アニール前後での不要な拡散光の輝度を測定した。
図1A及び図1Bに示すとおり、測定ポイントPは、HID照明10の正面を避けて設定した。この測定ポイントPは、HID照明光がアウターカバー20内を伝播しないために、輝度が低い箇所である。この測定ポイントPでの輝度が15000以下であれば、アウターカバー20に入射した光を制御しやすいと判断できる。図中符号30は輝度計である。
[製造例1]重合体(A−1)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化剤混合物を投入して攪拌し、窒素雰囲気下で内温を60℃まで加熱した。
乳化剤混合物:
フォスファノールRS−610Na 1.0部
(花王(株)製、アニオン系乳化剤)
脱イオン水 293部
次いで、下記の還元剤混合物をセパラブルフラスコ内に投入した。
還元剤混合物:
硫酸第一鉄 0.0001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0003部
ロンガリット 0.3部
脱イオン水 5部
下記の単量体混合物を180分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し、その後60分間攪拌して重合を終了し、重合体(A−1)ラテックスを得た。
単量体混合物:
スチレン 60.0部
α−メチルスチレン 22.5部
メタクリル酸フェニル 15.7部
メタクリル酸メチル 0.8部
メタクリル酸グリシジル 1.0部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
酢酸カルシウム5部を溶解した水溶液625部を83℃に加温し攪拌した。ここに、得られた重合体(A−1)ラテックスを徐々に滴下した。次いで、91℃に昇温して5分間保持し、ラテックスの凝固を行なった。凝固物を分離洗浄後、75℃で24時間乾燥して、重合体(A−1)を得た。
重合体(A−1)の重合率は95%、(Mw)は52000、(Mn)は23000、エポキシ基量は0.04mmol/gであった。
芳香族ポリカーボネート樹脂中での重合体(A−1)の(dv)は0.4μmであり、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶であった。
[製造例2]重合体(B−1)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(B−1)を得た。
単量体混合物:
メタクリル酸フェニル 75.0部
メタクリル酸ベンジル 25.0部
3−メルカプトプロピオン酸 3.0部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(B−1)の重合率は99%、(Mw)は14000、(Mn)は2000、カルボキシル基量は0.2mmol/gであった。
芳香族ポリカーボネート樹脂中での重合体(B−1)のドメインは観察されず、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して相溶であった。
[製造例3]重合体(C−1)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(C−1)を得た。
単量体混合物:
スチレン 62.5部
α−メチルスチレン 22.5部
メタクリル酸フェニル 14.3部
メタクリル酸メチル 0.7部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(C−1)の重合率は95%、(Mw)は52000、(Mn)は23000であった。
芳香族ポリカーボネート樹脂中での重合体(C−1)の(dv)は0.4μmであり、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶であった。
[製造例4]重合体(D)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(D)を得た。
単量体混合物:
スチレン 87.5部
メタクリル酸フェニル 12.5部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(D)の重合率は95%、(Mw)は49000、(Mn)は22000であった。
芳香族ポリカーボネート樹脂中での重合体(D)の(dv)は0.4μmであり、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して非相溶であった。
[実施例1〜2、比較例1〜2]
芳香族ポリカーボネート樹脂(商品名「パンライトL−1225WS」、帝人化成(株)製、粘度平均分子量1.9万)及び流動性向上剤を表1に示す割合で配合し、2軸押出機(機種名「TEM−35」、東芝機械(株)製)を用いて、280℃で溶融混練して、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形温度300℃、金型温度80℃、射出圧力100kgf/cm2の条件で射出成形を行ない、横440mm、奥行き60mm、縦160mm、肉厚2.3mmの自動車用灯具のアウターカバーを得た。
得られたアウターカバーの充填率測定、ヘイズ測定、輝度測定の結果を、表1及び図2に示す。
Figure 2011152486
本発明の流動性向上剤を配合した実施例1及び2では、充填率が100%に達した。
また、実施例1及び2では、いずれの測定においても、ヘイズが3%以下であった。
一般に自動車用灯具のアウターカバーは、屋外で曝露試験を3年行なうとヘイズが約3%増加する。また、自動車用灯具のアウターカバーに用いる透明材料は、屋外曝露試験において、3年後のヘイズが7%以下でなければならないという北米法規がある。このため、自動車用灯具のアウターカバーの製造後のヘイズは、4%未満であることが求められる。実施例1及び2は、この要求を満たした。
また、実施例1及び2では、アニール処理後に不要な拡散光の輝度が10000以下となり、アニールすることによって、よりアウターカバーによる配光制御が容易となることがわかった。
流動性向上剤を配合しなかった比較例1では、いずれの測定においても、ヘイズが3%以下であり、自動車用灯具のアウターカバーに求められる4%未満を満たした。また、輝度が低く、アニール処理を行なわなくてもアウターカバーでの配光制御が可能であることがわかった。
しかし、充填率は100%に満たなかった。具体的には、アウターカバーの約2/3しか充填されなかった。
本発明の範囲外となる流動性向上剤を配合した比較例2では、充填率が100%に満たなかった。具体的には、アウターカバーの廻り込み部で僅かに樹脂が充填されなかった。
また、いずれの測定においても、ヘイズが4%以上であり、自動車用灯具のアウターカバーとしては不適応であった。
また、不要な拡散光の輝度が高く、アニール処理をしてもアウターカバーでの配光制御ができないことがわかった。
[実施例3、比較例3〜4]
芳香族ポリカーボネート樹脂(商品名「パンライトL−1225WS」、帝人化成(株)製、粘度平均分子量1.9万)、流動性向上剤及び芳香族ポリカーボネートオリゴマー(三菱化学(株)製、ユーピロンAL−071(商品名)、式(1)の構成単位の平均繰り返し数は12)を表2に示す割合で配合し、2軸押出機(機種名「TEM−35」、東芝機械(株)製)を用いて、280℃で溶融混練して、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形温度300℃、金型温度80℃、射出圧力100kgf/cm2の条件で射出成形を行ない、横550mm、奥行き100mm、縦300mm、肉厚2mmの自動車用灯具のアウターカバーを得た。
尚、流動性向上剤中の重合体(A−1)の含有率は15%、重合体(B−1)の含有率は15%及び重合体(C−1)の含有率は70%とした。
得られたアウターカバーの充填率測定、ヘイズ測定、輝度測定の結果を、表2に示す。
Figure 2011152486
本発明の流動性向上剤を配合し、さらに芳香族ポリカーボネートオリゴマーを配合した実施例3は、実施例1及び2よりも大きく、薄肉のアウターカバーである。
実施例3では充填率が100%に達した。
また、実施例3では、いずれの測定においても、ヘイズが3%以下であり、上述の要求を満たした。
また、実施例3では、アニール処理前後ともに不要な拡散光の輝度が低く、アニール処理を行なわなくてもアウターカバーでの配光制御が可能であることがわかった。
流動性向上剤を配合しなかった比較例3では、いずれの測定においても、ヘイズが3%以下であり、自動車用灯具のアウターカバーに求められる4%未満を満たした。また、輝度が低く、アニール処理を行なわなくてもアウターカバーでの配光制御が可能であることがわかった。
しかし、充填率は100%に満たなかった。具体的には、アウターカバーの約2/3しか充填されなかった。
本発明の範囲外となる流動性向上剤を配合した比較例4では、充填率が100%に達した。
しかし、いずれの測定においても、ヘイズが4%以上であり、自動車用灯具のアウターカバーとしては不適応であった。
また、不要な拡散光の輝度が高く、アニール処理をしてもアウターカバーでの配光制御ができないことがわかった。
本発明の自動車用灯具には、透明性等の芳香族ポリカーボネート樹脂本来の特性を損なうことなく、成形加工時の溶融流動性を向上させた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が用いられている。そのため、本発明の自動車用灯具は、薄肉軽量化が可能であり、しかも透明性等も備える。
10 HID照明
20 アウターカバー
30 輝度計
P 測定ポイント
40 自動車用ヘッドランプ
41 ランプボディ
42 アウターカバー
43 光源
44 リフレクタ
45 エクステンションリフレクタ

Claims (2)

  1. 流動性向上剤0.1〜30質量%と、芳香族ポリカーボネート樹脂70〜99.9質量%とを含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材を有する自動車用灯具であって、
    前記流動性向上剤は、
    スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる重合体(A)0.5〜25質量%と、
    メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる重合体(B)0.5〜25質量%と、
    スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる重合体(C)50〜90質量%(但し、重合体(A)〜(C)の合計が100質量%)とを含有する、自動車用灯具。
  2. 流動性向上剤0.1〜30質量%と、粘度平均分子量が18,000以上である芳香族ポリカーボネート樹脂62.5〜97.9質量%と、下記一般式(I):
    Figure 2011152486
    (式中Rは炭素数1〜10の直鎖状、炭素数3〜10の分岐鎖状若しくは環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又はスルホニル基を示す。R1〜R4は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示す。)で表される構成単位の平均繰返し数2〜15の芳香族ポリカーボネートオリゴマー2〜7.5質量%とを配合した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形した樹脂部材を有する自動車用灯具であって、
    前記流動性向上剤は、
    スチレン(a1)40〜70質量%、α−メチルスチレン(a2)20〜25質量%、メタクリル酸フェニル(a3)3〜39.5質量%及びメタクリル酸グリシジル(a4)0.5〜2質量%を含有する単量体混合物(a)を重合して得られる重合体(A)0.5〜25質量%と、
    メタクリル酸フェニル(b1)65〜99.5質量%及びメタクリル酸ベンジル(b2)0.5〜35質量%を含有する単量体混合物(b)を3−メルカプトプロピオン酸の存在下で重合して得られる重合体(B)0.5〜25質量%と、
    スチレン(c1)50〜70質量%、α−メチルスチレン(c2)20〜25質量%、及びメタクリル酸フェニル(c3)5〜30質量%を含有する単量体混合物(c)を重合して得られる重合体(C)50〜90質量%(但し、重合体(A)〜(C)の合計が100質量%)と、を含有する、自動車用灯具。
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