JP2006045252A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】良流動性を保ち耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性、成形品外観に優れさらに熱滞留時での成形品の耐シルバー外観と耐衝撃性にも優れた熱可塑性樹脂組成物の提供。
【解決手段】カルボン酸エステル系単量体を含有する規定のグラフト共重合体(A)と含有しないグラフト共重合体(B)の2種類、規定の組成範囲を持つ共重合体(C)、ポリカーボネート樹脂(D)を下記2条件を満たすように配合して得られる熱可塑性樹脂組成物。
条件1:グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の関係
グラフト共重合体(A)のゴム質重合体のゴム平均粒子径rAとグラフト共重合体(B)のゴム質重合体のゴム平均粒子径rBの粒径比が0.2〜0.9である。
条件2:グラフト共重合体(A)でアセトン不可溶成分中にも、アセトン可溶成分中にもカルボン酸エステルが必ず共重合しており、その組成比(φinsolve/φsolve)が0.70以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性、成形加工性、成形品の外観が優れており、さらに成形時の熱滞留に対する耐シルバー外観にも優れた2種類のゴム含有グラフト共重合体と共重合体、ポリカーボネート樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ABS樹脂はすぐれた機械的性質、成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機器、自動車などの各部品を始めとする広範囲な分野で使用されている。特に自動車用途では、耐衝撃性、耐熱性を要求されるために、ABS樹脂にポリカーボネート樹脂を混合した組成物が使用されている。また、ウェルド部位にも高い衝撃性を付与させる目的でポリメタクリル酸エステル樹脂やMBS樹脂を使用する場合がある。
例えば特許文献1では、ABS樹脂とポリカーボネート樹脂に、ポリメタクリル酸エステル樹脂および/またはポリグルタルイミドとMBS樹脂および/またはアクリル酸エステル系グラフト共重合体を添加することで耐衝撃性(ウェルド強度も含む)を改善している。特許文献2では、ポリブタジエンゴムラテックスに不飽和酸単量体やメタクリル酸エステル単量体を含有する共重合体ラテックスをブレンドさせて、ブタジエンゴムを肥大化させた後にビニル系単量体をグラフト共重合させた材料を用いることで、耐衝撃性に優れ且つ耐熱性、成形加工性、滞留熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供している。
特開昭63−221155号公報 特開平8−134299号公報
しかし特許文献1では、成形機内で熱滞留させるとフローマークやジェッティングが発生して外観不良が発生しやすく、そのときの衝撃強度の低下も大きい。ポリメタクリル酸エステルやMBS樹脂の添加により、薬品に対する強度が低下する。また、成形加工性についても十分といえない。今後は軽量化の思考から大型の成形品や薄肉の成形品用途にも本材料を使用する場合が増えており、高温成形での熱滞留による外観不良問題や衝撃低下問題が起こらないように、低温領域で成形できる良流動で高衝撃な材料が求められている。ウェルド強度向上は良流動化で解決することもある。
特許文献2のように、不飽和酸単量体やメタクリル酸エステル単量体の共重合体を添加して肥大化ゴムを作り衝撃強度向上は可能である。しかし、ゴムを肥大化させる衝撃強度の向上には限界があり、薬品・塗料に接触したときの衝撃保持は満足できるものではない。
また、不飽和酸単量体を使用したグラフト共重合では、重合時に発生するコアギュラムによるロスが多くなりやすく製造時のハンドリング性の悪さが懸念される。
そこで本発明は、衝撃強度を向上させ薬品・塗料に対する衝撃強度を保持する目的で、特定条件の異ゴム粒径かつ異組成の2種類のグラフト共重合体と共重合体を使用することで、耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性、成形加工性、成形品外観に優れさらに熱滞留時での成形品の耐シルバー外観にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カルボン酸エステル系単量体を含有する規定のグラフト共重合体と含有しないグラフト共重合体の2種類、規定の組成範囲を持つ共重合体、ポリカーボネート樹脂を溶融混合させることが有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、(イ)ゴム質重合体(aイ)50〜80重量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体(b)19〜40重量%、シアン化ビニル系単量体(c)1〜20重量%、およびカルボン酸エステル系単量体(d)40〜80重量%からなる単量体混合物20〜50重量部をグラフト共重合して得られたグラフト率が30〜100重量%であるグラフト共重合体(A)2〜10重量部
(ロ)ゴム質重合体(aロ)50〜80重量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体(b)40〜80重量%、シアン化ビニル系単量体(c)20〜60重量%をグラフト共重合して得られたグラフト率が30〜100重量%であるグラフト共重合体(B)5〜25重量部
(ハ)芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜30重量%およびカルボン酸アルキルエステル以外のその他の共重合可能なビニル系単量体(e)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合して得られたビニル系共重合体(C)5〜40重量部
(二)ポリカーボネート樹脂(D)30〜80重量部
を含有した(A)+(B)+(C)+(D)=100重量部からなり下記2条件を満たした熱可塑性樹脂組成物。
条件1:グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の関係
グラフト共重合体(A)で使用するゴム質重合体のゴム平均粒子径rAとグラフト共重合体(B)で使用するゴム質重合体のゴム平均粒子径rBの粒径比が0.2〜0.9である。
条件2:グラフト共重合体(A)でアセトン不可溶成分中にも、アセトン可溶成分中にもカルボン酸エステルが必ず共重合しており、その組成比(φinsolve/φsolve)が0.70以上である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐薬品性、成形加工性、成形品の外観が均衡して優れており、さらに成形機の熱滞留に対する耐シルバー外観性能と耐衝撃性が優れるものである。各種自動車外装・内装部品、OA機器、家電機器、一般雑貨、住宅機器部品などに有用である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明における グラフト共重合体(A)とは、ゴム質重合体(aイ)50〜80重量部の存在下に 芳香族ビニル系単量体(b)19〜40重量%、シアン化ビニル系単量体(c)1〜20重量%およびカルボン酸エステル系単量体(d)40〜80重量%からなる単量体混合物20〜50重量部をグラフト共重合して得られたものである。ここでいう グラフト共重合体とは、ゴム質重合体にグラフト共重合したものの他に、アセトンに溶解するグラフトしていない共重合体を含むものであり、アセトンで溶解するグラフト共重合体反応物を合わせてグラフト共重合体(A)という。
本発明においてグラフト共重合体(B)とは、ゴム質重合体(aロ)50〜80重量部の存在下に 芳香族ビニル系単量体(b)40〜80重量%、シアン化ビニル系単量体(c)20〜60重量%からなる単量体混合物20〜50重量部をグラフト共重合して得られたものである。ここでいう グラフト共重合体とは、ゴム質重合体にグラフト共重合したものの他に、アセトンに溶解するグラフトしていない共重合体を含むものであり、アセトンで溶解するグラフト共重合体反応物を合わせてグラフト共重合体(B)という。
上記ゴム質重合体(aイ)及び(aロ)としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ましく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体が好ましい。
ゴム質重合体(aイ)及び(aロ)のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.10〜0.50μmであることが、耐衝撃性の点から好ましく、さらに好ましくは0.18〜0.40μmである。なお、重量平均粒子径は「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt,P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定する。
本発明においてビニル系単量体(C)とは、芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜30重量%およびカルボン酸アルキルエステル以外のその他の共重合可能なビニル系単量体(e)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合して得られたビニル系共重合体のことをいう。
2種類のグラフト共重合体(A)と(B)およびビニル系共重合体(C)に用いる芳香族ビニル系単量体(b)としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。
2種類のグラフト共重合体(A)と(B)およびビニル系共重合体(C)に用いるシアン化ビニル系単量体(c)としてはアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エタアクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが耐衝撃性の点で好ましい。
グラフト共重合体(A)に用いるカルボン酸エステル系単量体(d)としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。特にメタクリル酸メチルが耐衝撃性の点で好ましい。
ビニル系共重合体(C)に用いるカルボン酸エステル以外のその他の共重合可能なビニル系単量体(e)としてはマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体およびアクリルアミドなどが使用でき、中でもN−フェニルマレイミドが成形性の点で好ましい。
グラフト共重合体(A)において用いる単量体混合物は、芳香族ビニル系単量体(b)は19〜40重量%である。芳香族ビニル系単量体(b)が19重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、40重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。また、シアン化ビニル系単量体(c)は1〜20重量%である。シアン化ビニル系単量体(c)が1重量%未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく薬品に対する強度も低下し、20重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でない。また、カルボン酸エステル系単量体(d)は40〜80重量%であり、好ましくは50〜80重量%である。40重量%未満では熱可塑性樹脂の高衝撃化を十分発現しなく、80重量%以上であると成形時の熱滞留によりシルバー外観が発生しやすく、また薬品に対する強度も低下する。
グラフト共重合体(B)において用いる単量体混合物は、芳香族ビニル系単量体(b)は40〜80重量%である。芳香族ビニル系単量体(b)が40重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、80重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。また、シアン化ビニル系単量体(c)は20〜60重量%である。シアン化ビニル系単量体(c)が20重量%未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく薬品に対する強度も低下し、60重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でない。
グラフト共重合体(A)を得る際のゴム質重合体(aイ)と単量体混合物との割合は、ゴム質重合体(aイ)50〜80重量部の存在下に、単量体混合物50〜20重量部をグラフト重合する必要がある。ゴム質重合体(aイ)が50重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、80重量部を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、ウェルドラインが目立ったり、成形温度を上げる手段が必要になり熱滞留の影響を受けやすくなる等、成形外観の低下による影響を受ける。
グラフト共重合体(A)を得る際のゴム質重合体(aロ)と単量体混合物との割合は、ゴム質重合体(aロ)50〜80重量部の存在下に、単量体混合物50〜20重量部をグラフト重合する必要がある。ゴム質重合体(aロ)が50重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、80重量部を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、ウェルドラインが目立ったり、成形温度を上げる手段が必要になり熱滞留の影響を受けやすくなる等、成形外観の低下による影響を受ける。
グラフト共重合体(A)及びグラフト共重合体(B)は通常の重合法で得ることができる。例えばゴム質重合体ラテックスの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給して乳化重合する方法などによって得ることができる。
これらの2種類のグラフト共重合体の重合方法は同一でもよく、また各々が別の重合方法から製造してもよい。
グラフト共重合体(A)及びグラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト共重合させたものの他に、グラフトしていない共重合体を含有するものであり、これらを合わせてグラフト共重合体という。 グラフト共重合体(A)及びグラフト共重合体(B)のグラフト率は、耐衝撃性および光沢外観が均衡して優れる樹脂組成物を得るために30〜100重量%であることが必要であり、好ましくは30〜80重量%である。ここで、グラフト率は次式により算出される。
グラフト率(%)=(ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系共重合体量)/(グラフト共重合体のゴム含有量)×100

グラフト共重合体(A)のゴム質重合体のゴム粒子径rAとグラフト共重合体(B)のゴム質重合体のゴム粒子径rBについては、下記条件1を満たす必要がある。好ましくは0.3〜0.8である。本範囲においてゴムのバイモーダルによる衝撃向上の効果が付随できる。粒子径比が0.2未満であると、得られる熱可塑性樹脂の高衝撃化が十分ではなく、0.9を超えても、得られる熱可塑性樹脂の高衝撃化は十分ではない。
条件1: 0.2≦rA/rB≦0.9

グラフト共重合体(A)のカルボン酸エステル系単量体については、下記条件2を満たす必要がある。好ましくは0.90以上である。組成比が0.70未満であると得られる熱可塑性樹脂の高衝撃化が十分ではなく、薬品に対する強度も低下する。
条件2: 0.70≦φinsolve/φsolve
アセトン不可溶分カルボン酸エステル=φinsolve
アセトン可溶分カルボン酸エステル =φsolve

本発明におけるビニル系共重合体(C)は、単量体混合物中の芳香族ビニル系単量体(b)は10〜90重量%である。芳香族ビニル系単量体(b)が10重量%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、90重量%を越えると得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。また、シアン化ビニル系単量体(c)は10〜30重量%である。シアン化ビニル系単量体(c)が10重量%未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、薬品に対する強度も十分とはいえない。30重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性も耐衝撃性も十分でない。
本熱可塑性樹脂において耐衝撃性を発揮させるためには、シアン化ビニル系単量体(c)は10〜25重量%が最適な組成である。また、カルボン酸アルキルエステル以外のその他の共重合可能なビニル系単量体(e)はその存在が任意であり、0〜80重量%、好ましくは0〜70重量%である。その他の共重合可能なビニル系単量体(d)が80重量%を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。ここでその他の共重合可能なビニル系単量体(e)にカルボン酸アルキルエステルは使用すべきではない。本来、カルボン酸アルキルエステルにより本熱可塑性樹脂組成物は衝撃強度を向上させる働きを持つが、グラフト共重合体(A)に含有しており添加しているために問題ない。また、添加により成形時の熱滞留で外観を悪化させ、薬品に対する強度も低下し好ましくない。
ビニル系共重合体(C)の粘度は特に制限されるものではないが、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃測定)が0.30〜0.55dl/gの範囲であることが、耐衝撃性、流動性の点から望ましく、特に0.30〜0.50dl/gの範囲のものが好ましく用いられる。
ビニル系共重合体(C)の製造法は特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法など通常の方法で製造することができる。組成物以外の重合残物(例えば重合開始剤、重合助剤、未反応単量体)が少ない方が成形時及び熱滞留時の外観が良好になるため、水を使用し重合残物を落とせる懸濁重合法または乳化重合法が好ましい。
ポリカ−ボネ−ト樹脂(D)としては、一般には2,2−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エ−テル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン、スルフィドまたはスルホキサイド系などのビスフェノ−ル類からなる重合体、もしくは共重合体が用いられる。芳香族ポリカ−ボネ−トは任意の方法によって製造されるものが使用可能である。例えば、4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(通称ビスフェノ−ルA)からのポリカ−ボネ−トの製造には、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホスゲンを吹き込んで製造するホスゲン法、または4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと炭酸ジエステルとを触媒存在下でエステル交換させて製造する方法などが利用できる。
また、ポリカ−ボネ−ト樹脂(D)の粘度は特に制限されるものではないが、テトラヒドロフラン溶液で30℃測定の極限粘度が0.25〜0.55dl/gの範囲であることが、耐衝撃性、流動性、耐薬品性の点から望ましく、特に0.30〜0.50dl/gの範囲のものが、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と溶融成形時の流動性のバランスに優れ好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、グラフト共重合体(A)は2〜10重量部、好ましくは4〜10重量部である。グラフト共重合体(A)が10重量部を越えると、成形機内での熱滞留時においてシルバー外観が発生しやすく、2重量部未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の高衝撃化が十分に発揮されない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、グラフト共重合体(B)は5〜25重量部、好ましくは5〜20重量部である。グラフト共重合体(B)が25重量部を越えると、流動性が十分ではなく、また成形機内での熱滞留時においてシルバー外観が発生しやすい。5重量部未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においてビニル系共重合体(C)は5〜40重量部、好ましくは10〜40重量部である。ビニル系共重合体(B)が40重量部を越えると耐衝撃性が十分ではない。5重量部未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分でなく、またグラフト共重合体とポリカーボネート樹脂を部分相溶する働きが薄くなり耐衝撃性も十分ではなくなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においてポリカーボネート樹脂(D)は30〜80重量部、好ましくは40〜75重量部である。ポリカーボネート樹脂(D)が80重量部を超えると流動性が十分ではなく、30重量部未満では得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、耐熱性が十分ではなくなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じてリン系化合物や無水マレイン酸のようなアルカリ中和効果を持つ添加剤を含有せしめることができる。ここでいうリン系化合物とは、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリアリルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリキシレニルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ヒドロキシフェニルジフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステルやこれらを各種置換基で変成した化合物などである。りん系化合物の中でも、フェニルジイソデシルホスファイトやジフェニルイソデシルホスファイトが好ましい。無水マレイン酸はアルカリ中和効果としては特に好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、有機ニッケル系などの光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類などの可塑剤、デカブロモビフェニールエーテル、テトラブロモビスフェノールA、塩素化ポリエチレン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーポネート、三酸化アンチモン、縮合リン酸エステルなどの難燃剤・難燃助剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを添加することもできる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維および金属繊維などの繊維系補強剤を必要に応じて添加することもできる。また、アスベスト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ワラステナイト、タルク、マイカ、クレー、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの充填剤を必要に応じて添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限されない。加熱装置を有するシリンダーで単軸、二軸のスクリューを使用して溶融混合する方法などが採用可能であり、特に二軸のスクリューを使用することが好ましい。加熱温度も本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混合時の温度勾配等を自由に設定することができる。グラフト共重合体(A)及びグラフト共重合体(B)及びビニル系共重合体(C)を溶融混合してABS樹脂を製造した後に、再度ポリカーボネート樹脂(D)とともに溶融混合させて製造する方法、あるいはグラフト共重合体(A)及びグラフト共重合体(B)及びビニル系共重合体(C)を溶融混合している途中で、ポリカーボネート樹脂(D)をサイドフィードさせて溶融混練により製造する方法、グラフト共重合体(A)及びグラフト共重合体(B)及びビニル系共重合体(C)、ポリカーボネート樹脂(D)を全部配合させてから溶融混練により製造する方法などが挙げられる。
上記によって得られた熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形および、ガスアシスト成形などの現在の熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形することができ、特に制限されるものではない。
本発明の樹脂混合物は耐衝撃性、剛性、成形加工性、耐熱性、成形品の外観に優れた特徴を生かして、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、自動車部品類に適している。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。参考例および実施例中で用いた特性および物性の測定方法を以下に示す。
(1)グラフト共重合体(A)のグラフト率
グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加え3時間還流した。この溶液を8000rpm(10,000G)30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、乾燥重量(n)を測定した。
グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100
ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
(2)グラフト共重合体(A)のメタクリル酸メチル組成比(φinsolve/φsolve)
グラフト共重合体にアセトンを加えて3時間還流した。この溶液を8000rpm
(10,000G)30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥した。また、可溶分は蒸留乾燥させて固形分を析出させた。それぞれにおいて、FT−IRによりスチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチルの組成比を測定し、
メタクリル酸メチルの重量比を求めた。
(3)ビニル系共重合体(B)の極限粘度
ビニル系重合体(B)の極限粘度は、ウベローデ粘度計を使用し、測定温度30℃、試料濃度0.4g/dlのメチルエチルケトン溶媒より測定した。
(4)芳香族ポリカ−ボネ−ト(D)の極限粘度
芳香族ポリカ−ボネ−ト(D)の極限粘度はWATERS社ゲル浸透クロマトグラフGPC−244を用いて、次のような測定条件でポリスチレンを基準に測定した。
カラム:TSK−gel−GMHXL、
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1ml/分
測定温度:30℃
試料濃度:0.1%
検出器:示差屈折率検出器
(5)アイゾット衝撃強さ:ASTM D256−56A(23℃条件で測定、テストピース厚み=6.4mm)。
(6)MFR(メルトフローレート値):ISO1133(240℃、98N荷重)。
(7)熱滞留後の成形品外観と衝撃強度:
滞留成形時の熱安定性および成形品外観評価試験は次のように評価した。射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃および金型温度60℃に設定し、シリンダー中に樹脂組成物を15分滞留後、6.4mm厚アイゾット試験片と50×40×3mm各板を成形し、最も低下したショットでのアイゾット衝撃強さの保持率(%)を評価するとともに、角板成形品のシルバーストリーク(銀状模様)有無を目視で判定した。
◎:シルバーストリークは観察されなかった。
○:ゲート近傍に直径2mm未満の小さなシルバーストリークが僅かに観察された。
△:ゲート近傍に直径10mm未満のシルバーストリークが観察された。
×:成形品の全面にシルバーストリークが観察された。
(8)耐薬品性:
射出成形した短冊状試験片(127mm×12.7mm×1.5mm)を図1に示した
1/4楕円治具に沿わして固定後、試験片表面に下記3種類の薬品を塗布する。23℃環境下で48時間放置後、クレーズおよびクラックの発生有無を確認し、式Iより臨界歪み(%)を算出した。その数値について0.7%未満であれば×、0.7%以上であれば△、
クラックやクレーズが見つからない場合は○として評価を行った。
薬品A’ :ワックスリムーバー
薬品B’ :トルエン/メチルエチルケトン=3/1混合溶液
薬品C’ :シンナー

式I
Figure 2006045252
(a=127mm、b=38mm、t=1.5mm)

参考例1(グラフト共重合体(A)の調製)
(1)グラフト共重合体(A−1)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)55部(固形分換算)の存在下でスチレン23%、アクリロニトリル8%、メタクリル酸メチル69%からなる単量体混合物45部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(A−1)を調製した。得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率は44%であった。φinsolve/φsolve=1.08であった。
(2)グラフト共重合体(A−2)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.20μm、ゲル含率80%)55部(固形分換算)の存在下でスチレン23%、アクリロニトリル8%、メタクリル酸メチル69%からなる単量体混合物45部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(A−2)を調製した。得られたグラフト共重合体(A−2)のグラフト率は44%であった。φinsolve/φsolve=0.75であった。
(3)グラフト共重合体(A−3)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.20μm、ゲル含率80%)55部(固形分換算)の存在下でスチレン15%、メタクリル酸メチル85%からなる単量体混合物45部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(A−3)を調製した。得られたグラフト共重合体(A−3)のグラフト率は50%であった。φinsolve/φsolve=
1.11であった。
(4)共重合体(A−4)の調整
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.20μm、ゲル含率80%)55部(固形分換算)にスチレン23%、アクリロニトリル8%、メタクリル酸メチル69%
からなる単量体混合物45部を乳化重合させたラテックスを混合させた。得られた重合体は硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状の共重合体(A−4)を調製した。グラフト重合はしておらず、アセトン不可溶成分側にはメタクリル酸メチルは存在していない。
(5)グラフト共重合体(A−5)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)100部(固形分換算)の存在下でメタクリル酸メチル21.6部を混合して作った肥大化ゴム66.9量部(ゴム分55重量部)に、スチレン23%、アクリロニトリル8%、メタクリル酸メチル47.4%からなる単量体混合物33.1部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(A−5)を調製した。得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率は48%であった。φinsolve/φsolve=1.10であった。
参考例2(グラフト共重合体(B)の調製)
(1)グラフト共重合体(B−1)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.26μm、ゲル含率88%)60部(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(B−1)を調製した。得られたグラフト共重合体(B−1)のグラフト率は42%であった。
(2)グラフト共重合体(B−2)の調整
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.20μm、ゲル含率88%)60部(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(B−1)を調製した。得られたグラフト共重合体(B−1)のグラフト率は37%であった。
参考例3(ビニル系共重合体(C)の調製)
(1)ビニル系共重合体(C−1)の調製
スチレン76%、アクリロニトリル24%の単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体(C−1)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−1)はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度が0.45dl/gであった。
(2)ビニル系共重合体(C−2)の調製
スチレン76%、アクリロニトリル24%の単量体混合物を塊状重合してビニル系共重合体(C−2)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−2)はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度が0.48dl/gであった。
(3)ビニル系共重合体(C−3)の調製
スチレン50%、N−フェニルマレイミド30%、アクリロニトリル20%、の単量体混合物を乳化重合してビニル系共重合体(C−3)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−3)はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度が0.48dl/gであった。
(4)ビニル系共重合体(C−4)の調製
スチレン76%、アクリロニトリル24%の単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体(C−4)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−4)はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度が0.59dl/gであった。
(5)ビニル系共重合体(C−5)の調製
スチレン64%、アクリロニトリル36%の単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体(C−5)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−5)はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度が0.52dl/gであった。
(6)ビニル系共重合体(C−6)の調製
スチレン70%、アクリロニトリル25%、メタクリル酸メチル5%の単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体(C−6)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−6)はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度が0.52dl/gであった。
参考例4( ポリカ−ボネ−ト樹脂(D)の調製)
(1)ポリカーボネート樹脂(D−1)の調製
4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンを用いて、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホスゲンを吹き込んで芳香族ポリカ−ボネ−ト(D−1)を調製した。得られたポリマはテトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の極限粘度が0.43dl/gであった。
(2)ポリカーボネート樹脂(D−2)の調製
4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンを用いて、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホスゲンを吹き込んで芳香族ポリカ−ボネ−ト(D−1)を調製した。得られたポリマはテトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の極限粘度が0.35dl/gであった。
(3)ポリカーボネート樹脂(D−3)の調製
上述した参考例4に記載のポリカーボネート樹脂(D−1)と(D−2)を50%ずつブレンドしてポリカーボネート樹脂(D−3)を調整した。

実施例1〜実施例12(熱可塑性樹脂組成物の製造)
参考例1で製造したグラフト共重合体(A)、参考例2で製造したグラフト共重合体(B)、参考例3で製造した共重合体(C)、参考例4で製造したポリカーボネート樹脂(D)を表1に示した比率で配合し、ポリカーボネート樹脂の熱分解を抑制する目的で無水マレイン酸を0.2%添加して、ベント付30mmφ2軸押出機で樹脂温度260℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形機により、シリンダー温度260℃、金型温度60℃で試験片を成形し、物性を測定し、得られた測定結果を表2に示した。
比較例1〜比較例10(熱可塑性樹脂組成物の製造)
実施例と同様に、参考例1で製造したグラフト共重合体(A)、参考例2で製造したグラフト共重合体(B)、参考例3で製造した共重合体(C)、参考例4で製造したポリカーボネート樹脂(D)を表1に示した比率で配合し、ポリカーボネート樹脂の熱分解を抑制する目的で無水マレイン酸を0.2%添加して、ベント付30mmφ2軸押出機で樹脂温度260℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形機により、シリンダー温度260℃、金型温度60℃で試験片を成形し、物性を測定し、得られた測定結果を表2に示した。
Figure 2006045252
Figure 2006045252
表2の結果から次のことが明らかである。本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜11)はいずれも耐衝撃性、耐薬品性、成形加工性、成形品の外観が均衡して優れており、さらに成形機の熱滞留に対する耐シルバー外観性能と耐衝撃性が優れる。
一方、 グラフト共重合体(A)について、カルボン酸エステル系単量体組成が80重量%を超え、シアン化ビニル系単量体が0%の場合(比較例1)は成形機での熱滞留時において成形外観不良及び衝撃保持率の低下が確認され、薬品に対する強度も他例に比較して弱く好ましくない。
共重合体(A−4)のように、カルボン酸エステルが全くグラフト重合していない場合(比較例2)は成形品の耐衝撃性が劣り、薬品に対する強度も他例に比較して弱く好ましくない。
グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の使用するゴム粒径の比rA/rBについて、その値が1.0と規定範囲0.2〜0.9にない場合(比較例3)は成形品の耐衝撃性が劣るため好ましくない。
共重合体(C)の芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体の組成について64%/36%と規定組成範囲から外れる場合(比較例4)は成形品の耐衝撃性が十分な数値ではなく好ましくない。
ビニル系共重合体(C)にカルボン酸エステルを使用する場合(比較例5)は成形機での熱滞留時において成形外観不良及び衝撃保持率の低下が確認され、薬品に対する強度も他例に比較して弱く好ましくない。
グラフト共重合体(A)が添加部数10部を超える場合(比較例6)は成形機での熱滞留時において成形外観不良及び衝撃保持率の低下が確認され、薬品に対する強度も他例に比較して弱く好ましくない。
グラフト共重合体(A)を使用しない場合(比較例7)は成形品の耐衝撃性が劣るために好ましくない。
グラフト共重合体(B)を使用しない場合(比較例8)は成形品の耐衝撃性が劣り、更に成形機での熱滞留時において成形外観不良及び衝撃保持率の低下が確認され、薬品に対する強度も他例に比較して弱く好ましくない。
ビニル系共重合体(C)が5部より少ない場合(比較例9)は流動性が劣り、大型成形等では成形時の樹脂温度を上げる必要性が生じるために好ましくない。また成形機での熱滞留時において成形外観不良及び衝撃保持率の低下が確認されるために好ましくない。
グラフト共重合体(A−5)のように、メタクリル酸メチルをゴムに混合して肥大化させて製造したものを用いてかつグラフト共重合体(B)を使用しない場合(比較例10)は、成形機での熱滞留時において成形外観不良及び衝撃保持率の低下が確認され、薬品に対する強度も他例に比較して弱く好ましくない。
射出成形した短冊状試験片の図面である。
符号の説明
X:クラック発生箇所からの距離

Claims (6)

  1. (イ)ゴム質重合体(aイ)50〜80重量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体(b)19〜40重量%、シアン化ビニル系単量体(c)1〜20重量%、およびカルボン酸エステル系単量体(d)40〜80重量%からなる単量体混合物20〜50重量部をグラフト共重合して得られたグラフト率が30〜100重量%であるグラフト共重合体(A)2〜10重量部
    (ロ)ゴム質重合体(aロ)50〜80重量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体(b)40〜80重量%、シアン化ビニル系単量体(c)20〜60重量%からなる単量体混合物20〜50重量部をグラフト共重合して得られたグラフト率が30〜100重量%であるグラフト共重合体(B)5〜25重量部
    (ハ)芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜30重量%およびカルボン酸アルキルエステル以外のその他の共重合可能なビニル系単量体(e)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合して得られたビニル系共重合体(C)5〜40重量部
    (二)ポリカーボネート樹脂(D)30〜80重量部
    を含有した(A)+(B)+(C)+(D)=100重量部からなり下記2条件を満たした熱可塑性樹脂組成物。
    条件1:グラフト共重合体(A)とグラフト共重合体(B)の関係
    グラフト共重合体(A)で使用するゴム質重合体のゴム平均粒子径rAとグラフト共重合体(B)で使用するゴム質重合体のゴム平均粒子径rBの粒径比が0.2〜0.9である。
    条件2:グラフト共重合体(A)でアセトン不可溶成分中にも、アセトン可溶成分中にもカルボン酸エステルが共重合しており、その組成比(φinsolve/φsolve)が0.70以上である。
  2. 前記グラフト共重合体(A)及び(B)のゴムが、ポリブタジエンであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ビニル系共重合体(C)が、懸濁重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ビニル系共重合体(C)が、乳化重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ビニル系共重合体(C)のメチルエチルケトン溶媒での30℃測定の極限粘度が0.30〜0.55dl/gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記ポリカーボネート樹脂(D)のテトラヒドロフラン溶液において、30℃測定の極限粘度が0.25〜0.55dl/gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物
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