JPWO2011135979A1 - 撮像用レンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

基板の少なくとも一方の面に、硬化性樹脂製のレンズ部が形成されたウエハレンズを一層以上有する複数の層を積層させた撮像用レンズの製造方法であって、ウエハレンズを含む複数の層を積層する前に、二酸化炭素を噴射させることにより、ドライアイス粒子とし、このドライアイス粒子を、ウエハレンズのレンズ部もしくはレンズ部周辺に衝突させることによって、レンズ部の二酸化炭素洗浄を行う第1のレンズ部洗浄工程を備える。これにより光学性能の劣化及び吸湿による光学性能の変化や、樹脂の基板からの剥がれを防止する。

Description

本発明は、撮像用レンズの製造方法に関する。
従来、光学レンズの製造分野においては、ガラス基板に対し硬化性樹脂からなるレンズ部を設けることで、耐熱性の高い光学レンズを得る技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この技術を適用した光学レンズの製造方法の一例として、ガラス基板の表面に硬化性樹脂からなる光学部材を複数設けたいわゆる「ウエハレンズ」を形成し、その後にレンズ部ごとにガラス基板をカットする方法も提案されている。
このようなウエハレンズは撮像装置、特に携帯電話用のカメラのような小型の光学系を大量に一括生産できる点で優れているが、技術的な課題も存在する。
というのも、昨今ではこのような携帯電話用カメラにおいても高解像度化が進み、レンズ枚数も増える傾向にある。従って、そのような撮像装置における撮像用レンズをウエハレンズで構成する場合、単一のガラス基板にレンズ部を形成したウエハレンズではなく、複数枚のウエハレンズやスペーサを積層したウエハレンズ積層体から構成する必要が生じてくる。
特許第3926380号公報
ところで、上述のようなウエハレンズ積層体を製造する場合、ウエハレンズやスペーサにはゴミが付着している場合がある。ゴミが付着したウエハレンズやスペーサをそのまま使用してウエハレンズを複数枚積層したり、積層後、スペーサを貼り付けると、レンズ間隔が変わってしまい、光学性能の劣化が生じてしまうという問題がある。
そこで、ウエハレンズの積層前やスペーサの貼り付け前に、洗浄処理を行う必要があるが、レンズは樹脂製であるため、水による洗浄は吸水・吸湿性の点から光学性能が変化する場合があるという問題点がある。これはウエハレンズの積層体の場合、個々のウエハレンズを洗浄した際の吸水・吸湿が原因で、ウエハレンズの積層後に積層内において水分が発生し、レンズを曇らせることなどである。また、実際には純水だけでは洗浄しきれないため、洗剤等を用いて洗浄をすることになるが、その場合洗剤が積層される箇所に残りレンズ間隔を悪化させる場合もある。更に洗浄処理として超音波を使用する場合もあるが、この場合、基板から樹脂剥がれが生じることもあり、好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ゴミを確実かつ容易に除去して、光学性能の劣化を防止することができ、また、吸湿による光学性能の変化や、樹脂の基板からの剥がれも防止することができる撮像用レンズの製造方法を提要することを目的としている。
本発明の一態様によれば、基板の少なくとも一方の面に硬化性樹脂製のレンズ部が形成されたウエハレンズを一層以上有する複数の層を積層させた撮像用レンズの製造方法であって、ウエハレンズを含む複数の層を積層する前に、二酸化炭素を噴射させることにより、ドライアイス粒子とし、このドライアイス粒子を、前記ウエハレンズの前記レンズ部もしくはレンズ部周辺に衝突させることによって、前記レンズ部の二酸化炭素洗浄を行う第1の洗浄工程を備えることを特徴とする撮像用レンズの製造方法が提供される。
ここでゴミを確実かつ容易に除去して、光学性能の劣化を防止する観点より、ウエハレンズに積層される撮像素子や、レンズ同士もしくはレンズと撮像素子との間を接合するためのスペーサも洗浄を行う必要がある。よって上記複数の層には、上記ウエハレンズ以外にもスペーサや撮像素子も含まれるものとする。
本発明によれば、ゴミを確実かつ容易に除去して、光学性能の劣化を防止することができ、また、吸湿による光学性能の変化や、樹脂の基板からの剥がれも防止することができる。
撮像装置とそれに用いられる撮像用レンズの概略構成を示す断面図である。 撮像用レンズの製造工程中で製造されるウエハレンズ積層体を、切断する際の様子を概略的に説明するための図である。 撮像用レンズの製造方法を説明するための工程図である。 二酸化炭素洗浄装置の概略図である。 撮像用レンズの製造方法であって、特に二酸化炭素洗浄を説明するためのレンズ部とノズルの平面図である。 撮像用レンズの製造方法であって、特に二酸化炭素洗浄を説明するためのレンズ部とノズルの平面図である。 図5の変形例である。 図5の変形例である。 図1の変形例であって、撮像装置とそれに用いられる撮像用レンズの概略構成を示す断面図である。 図2の変形例であって、撮像用レンズの製造工程中で製造されるウエハレンズ積層体を、切断する際の様子を概略的に説明するための図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
[撮像装置]
図1に示す通り、撮像装置1は撮像用レンズ2、撮像素子のカバーガラス4、撮像素子6などから構成されており、撮像用レンズ2の下方に、撮像素子のカバーガラス4、撮像素子6が配置されている。撮像素子6としては例えばCMOS型イメージセンサが用いられる。
撮像用レンズ2は2群のレンズ群8,10、スペーサ7 から構成されている。
レンズ群8はガラス基板12を有している。
ガラス基板12の上面には樹脂部16が形成されている。ガラス基板12と樹脂部16との間には絞り18aが形成されている。樹脂部16は凸レンズ部16aとその周辺部の非レンズ部16bとから構成され、これらが一体成形されている。凸レンズ部16aは表面が非球面形状を呈している。絞り18aは非レンズ部16bで覆われている。
ガラス基板12の下面には樹脂部22が形成されている。ガラス基板12と樹脂部22との間には絞り18bが形成されている。樹脂部22は凹レンズ部22aとその周辺部の非レンズ部22bとから構成され、これらが一体成形されている。凹レンズ部22aは表面が非球面形状を呈している。絞り18bは非レンズ部22bで覆われている。
レンズ群8はガラス基板12、樹脂部16,22、絞り18a,18bにより構成されている。
レンズ群10はガラス基板30を有している。
ガラス基板30の上面には樹脂部32が形成されている。樹脂部32は凹レンズ部32aとその周辺部の非レンズ部32bとから構成され、これらが一体成形されている。凹レンズ部32aは表面が非球面形状を呈している。
ガラス基板30の下面には樹脂部34が形成されている。ガラス基板30と樹脂部34との間には絞り18cが形成されている。樹脂部34は凸レンズ部34aとその周辺部の非レンズ部34bとから構成され、これらが一体成形されている。凸レンズ部34aは表面が非球面形状を呈している。絞り18cは非レンズ部34bで覆われている。
レンズ群10はガラス基板30、樹脂部32,34、絞り18cにより構成されている。
レンズ群8の樹脂部16,22とレンズ群10の樹脂部32,34とは 光硬化性樹脂から構成されている。
当該光硬化性樹脂としては、例えば下記に示すようなアクリル樹脂,アリルエステル樹脂,エポキシ系樹脂などが使用可能である。特に、エポキシ樹脂が本発明では面形状の転写精度が良好な点で効果的である。
アクリル樹脂,アリルエステル樹脂を使用する場合にはラジカル重合により反応硬化させることができ、エポキシ樹脂を使用する場合にはカチオン重合により反応硬化させることができる。
レンズ群8,10の各部位を構成する樹脂の種類は互いに同じでもよいし、異なってもいてもよい。
樹脂の詳細は下記(1)〜(3)の通りである。
(1)アクリル樹脂
重合反応に用いられる(メタ)アクリレートは特に制限はなく、一般的な製造方法により製造された下記(メタ)アクリレートを使用することができる。エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらを1種類又は2種類以上を用いることができる。
特に脂環式構造を持つ(メタ)アクリレートが好ましく、酸素原子や窒素原子を含む脂環構造であってもよい。例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレートや、イソボロニル(メタ)アクリレート、水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また特にアダマンタン骨格を持つと好ましい。例えば、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート(特開2002−193883号公報参照)、アダマンチルジ(メタ)アクリレート(特開昭57−500785)、アダマンチルジカルボン酸ジアリル(特開昭60―100537)、パーフルオロアダマンチルアクリル酸エステル(特開2004−123687)、新中村化学製 2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、1,3-アダマンタンジオールジアクリレート、1,3,5-アダマンタントリオールトリアクリレート、不飽和カルボン酸アダマンチルエステル(特開2000−119220)、3,3’−ジアルコキシカルボニル-1,1’ビアダマンタン(特開2001−253835号公報参照)、1,1’−ビアダマンタン化合物(米国特許第3342880号明細書参照)、テトラアダマンタン(特開2006−169177号公報参照)、2−アルキル−2−ヒドロキシアダマンタン、2−アルキレンアダマンタン、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−tert−ブチル等の芳香環を有しないアダマンタン骨格を有する硬化性樹脂(特開2001−322950号公報参照)、ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類やビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン(特開平11−35522号公報、特開平10−130371号公報参照)等が挙げられる。
また、その他反応性単量体を含有することも可能である。(メタ)アクリレートであれば、例えば、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタアクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとして、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールセプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(2)アリルエステル樹脂
アリル基を持ちラジカル重合による硬化する樹脂で、例えば次のものが挙げられるが、特に以下のものに限定されるわけではない。
芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等が挙げられる。
(3)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を持ち光又は熱により重合硬化するものであれば特に限定されず、硬化開始剤としても酸無水物やカチオン発生剤等を用いることができる。エポキシ樹脂は硬化収縮率が低いため、成形精度の優れたレンズとすることができる点で好ましい。
エポキシの種類としては、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。その一例として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル等を挙げることができる。
硬化剤は硬化性樹脂材料を構成する上で使用されるものであり特に限定はない。また、本発明において、硬化性樹脂材料と、添加剤を添加した後の光学材料の透過率を比較する場合、硬化剤は添加剤には含まれないものとする。硬化剤としては、酸無水物硬化剤やフェノール硬化剤等を好ましく使用することができる。酸無水物硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等を挙げることができる。また、必要に応じて硬化促進剤が含有される。硬化促進剤としては、硬化性が良好で、着色がなく、熱硬化性樹脂の透明性を損なわないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)等のイミダゾール類、3級アミン、4級アンモニウム塩、ジアザビシクロウンデセン等の双環式アミジン類とその誘導体、ホスフィン、ホスホニウム塩等を用いることができ、これらを1種、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
撮像用レンズ2では、レンズ群8の非レンズ部22bとレンズ群10の非レンズ部32bとの間に接着剤が塗布され、レンズ群8とレンズ群10とが接着されている。非レンズ部22b,32bは凹レンズ部22a,32aのフランジ部に相当している。
レンズ群10には、スペーサ7が接着されている。スペーサ7には開口部7aが形成されている。なお、レンズ群8とレンズ群10とは接着剤により接着されているが、例えば図7、図8のように、レンズ群8とレンズ群10との間にスペーサ7を設けて、スペーサ7を介してレンズ群8,10同士を接着させてもよい。
撮像用レンズ2では、凸レンズ部16a、凹レンズ部22a、凹レンズ部32a、凸レンズ部34aは各表面が非球面形状を呈しており、光軸が一致している。
物体側から像側に向けて、凸レンズ部16aがレンズ群8の物体側光学面である「S1面」を、凹レンズ部22aがレンズ群8の像側光学面である「S2面」を、凹レンズ部32aがレンズ群10の物体側光学面である「S3面」を、凸レンズ部34aがレンズ群10の像側光学面である「S4面」をそれぞれ構成している。
[撮像装置(撮像用レンズ)の製造方法]
続いて、撮像装置1の製造方法(撮像用レンズ2の製造方法を含む)について、図1〜図3を参照しながら簡単に説明する。
始めに、ガラス基板12に対し、IRカットコート14,20を形成する(図3のステップS1)。IRカットコートは、公知の真空蒸着法やスパッタ、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを使用して、ガラス基板12の表裏両面に対しそれぞれIRカットコートを形成する。IRカットコート(赤外線遮蔽膜)は、赤外線を遮光するための膜であり、波長365nmの光に対しては50%以上の透過率を有している。ここで、IRカットコート14,20を2層に分けているのはソリを防止するためである。
次に、ガラス基板12に対し、例えば遮光性フォトレジストを塗布してこれを所定形状にパターニングし、複数の絞り18aを形成する(ステップS2)。遮光性フォトレジストとしては、カーボンブラックを混入させたフォトレジストが使用可能である。
その後、光硬化性樹脂を成形型又はガラス基板に滴下し、当該成形型とウエハ状のガラス基板12とのうち一方を他方に押圧して成形型とガラス基板12との間に光硬化性樹脂を充填し、光照射して光硬化性樹脂を硬化させる。その結果、ガラス基板12に複数の凸レンズ部16aが形成される(ステップS3)。ここで、光硬化性樹脂が特にエポキシ樹脂の場合には、光照射しても反応が完全に進行しないために、離型した際にガラス基板12の反りが発生しにくい。ここで図7、図8のように、上記成形型は、凸レンズ部16a、凹レンズ部22aを個別に滴下して成形する個別の成形型でもよい。
レンズ部16a,22aを形成した後、成形型をガラス基板12から離型する(ステップS4)。離型は、凸レンズ部16aの形成後と、凹レンズ部22aの形成後、にそれぞれ離型するようにしても良いし、両面のレンズ部16a,22aの形成後に一括して離型しても良い。
そして、離型後、ガラス基板12の両面のレンズ部16a,22aに対してポストキュアとして加熱加工する。ポストキュアは、両面のレンズ部16a,22aに対して一括して行っても良いし、レンズ部16a,22aをそれぞれ離型した後、一方のレンズ部毎に行っても良い。
このように離型することによって、複数のレンズ部16a,22aを有するウエハレンズ51が製造される。
その後、レンズ部16a,22aに対して二酸化炭素洗浄を行う(第1のレンズ部洗浄工程:ステップS5)。二酸化炭素洗浄は、後述の二酸化炭素洗浄装置9(図4参照)を用いて行い、液体の二酸化炭素を噴射させることにより、ドライアイス粒子Aとし、このドライアイス粒子をレンズ部16a,22aに衝突させることによって、レンズ部16a,22aに付着したゴミを除去する。具体的な方法については後述する。
上記ウエハレンズ51を製造したのと同様にして、ガラス基板30にも複数の絞り18c、複数の凹レンズ部32a、凸レンズ部34aを形成し、離型する(ステップS6〜S8)。なお、図7、図8のように、凹レンズ部32a、凸レンズ部34aを成形する成形型は、樹脂を個別に滴下して成形する個別の成形型でもよい。
離型後は、ポストキュアを行う。なお、このガラス基板30にはIRカットコートを施さなくて良い。
その後、樹脂部34上に反射防止膜(図示しない)を形成する。反射防止膜は2層構造を有している。樹脂部34に対し直に第1層が形成されており、その上に第2層が形成されている。
第1層は屈折率1.7以上の高屈折率材料から構成された層であり、好ましくはTa2O5,Ta2O5とTiO2との混合物,ZrO2,ZrO2とTiO2との混合物のいずれかで構成されている。第1層はTiO2,Nb2O3,HfO2で構成されてもよい。
第2層は屈折率1.7未満の低屈折率材料から構成された層であり、好ましくはSiO2から構成されている。これら反射防止膜を形成する前に二酸化炭素洗浄を行っても良い。
反射防止膜は第1層、第2層がともに蒸着等の手法により形成されており、好ましくは、第1層、第2層は、その成膜温度がリフロー処理に供される半田等の導電性ペーストの溶融温度に対し−40〜+40℃(好ましくは−20〜+20℃)の範囲に保持されながら、形成されている。
本実施形態では、第1層、第2層の上にさらに第1層、第2層を交互に積層し、反射防止膜を全体で2〜7層構造としてもよい。この場合、樹脂部に直に接触する層は樹脂の種類に応じて、高屈折率材料の層(第1層)としてもよいし、低屈折率材料の層(第2層)としてもよい。ここでは樹脂部に直に接触する層が高屈折率材料の層となっている。
また、樹脂部34の表面にのみ反射防止膜を形成するとしたが、樹脂部16,22,32,34の全ての面に形成しても良い。
撮像素子6におけるゴーストの発生を抑制する意味では、反射防止膜は樹脂部34の表面に設けられることが効果的であり、反射防止膜と樹脂部34との界面でのクラックの発生等の問題を抑制するために、樹脂部34のみに反射防止膜を設けることが好ましい。この場合撮像素子6に一番近い面に反射防止膜を設ける事になる。
このように反射防止膜を形成することによって、複数のレンズ部32a,34aを有するウエハレンズ52が製造される。
反射防止膜形成後、上記ステップS5と同様の二酸化炭素洗浄を行う(第1のレンズ部洗浄工程:ステップS9)。
その後、非レンズ部22b,32bのうち少なくとも一方に接着剤を塗布して、ウエハレンズ51,52を互いに接着する(ステップS10)(図2参照)。
一方、スペーサ7についても上記ステップS5と同様の二酸化炭素洗浄を行う(スペーサ洗浄工程:ステップS11)。
洗浄後のスペーサ7と、レンズ群10の非レンズ群34bのうち少なくとも一方に接着剤を塗布して、洗浄後のスペーサ7とレンズ群10を互いに接着する(ステップS12)。なおウエハレンズ同士の積層工程(S10)を経ずに直接ウエハレンズ単層にスペーサ7を貼りつけても良い。
その結果、ウエハレンズ積層体50が製造される(図2参照)。
その後、ウエハレンズ積層体50の状態で出荷する場合には、図3には図示しないが、出荷前に、ウエハレンズ積層体50に対して、再度、上述の二酸化炭素洗浄を行った後、光学性能検査を行う。その後ウェハレンズ積層体状態の製品については出荷を行う。
一方、断片化して撮像用レンズ2として出荷する場合には、スペーサ7を貼り付けて、ウエハレンズ積層体50とした後、ダイサーなどを使用して、図2に示す通り、1組の凸レンズ部16a,凹レンズ部22a,凹レンズ部32a,凸レンズ部34aを一単位として、その組ごとにウエハレンズ積層体50をダイシングライン60で切断(ダイシング)して断片化する。
その結果、複数の撮像用レンズ2が製造される。
樹脂部16,22,32,34をダイシングする場合、例えば、砥粒による切断でエンドレス刃(回転刃)を用いるダイサーを使用し、エンドレス刃の回転数を1〜2万rpmとすることが好ましい。
樹脂部16,22,32,34をダイシングする場合、物体側の樹脂部16から像側の樹脂部34に向けて切断することが好ましい。ダイシング中は、樹脂部16,22,32,34のダイシング部分で粉塵が舞うため、好ましくはダイシング部分に対し防塵用の純水を流しながら(噴出しながら)切断する。
本実施の形態においては、ダイシングにより撮像用レンズ2を作製した後に、撮像素子のカバーガラス4や撮像素子6を設置する形態としたが、ウエハレンズ積層体50と複数の撮像素子6が設けられた基板を積層した後にダイシングすることで、撮像装置1を得ることも可能である。
電子機器の製造方法の一例として、撮像装置1と他の電子部品とをプリント配線基板に実装する場合には、プリント配線基板上にあらかじめ半田を配置し、そこへ撮像装置1と電子部品とを配置してからリフロー炉に投入・加熱して半田を溶融させ、その後冷却することにより、撮像装置1と電子部品とをプリント配線基板に同時に実装することができる。
[二酸化炭素洗浄]
次に、上述のステップS5におけるウエハレンズ51に対する二酸化炭素洗浄について、図4及び図5を参照して具体的に説明する。
図4は、二酸化炭素洗浄装置の概略図である。
二酸化炭素洗浄装置9は、洗浄室91と、洗浄室91内に設けられてウエハレンズ51が載置されるステージ92と、液体の二酸化炭素を噴射させてステージ92に載置されたウエハレンズ51に対して、ドライアイス粒子Aを衝突させるノズル93と、ノズル93に液体の二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給源94と、ノズル93と二酸化炭素供給源94とを接続するダクト95と、ダクト95に設けられて液体の二酸化炭素を加圧してノズル93から噴射させる加圧装置96と、を備える。また、洗浄室91には、露点を制御するためのN2を供給するための口(図示しない)が設けられている。
さらに、洗浄室91は、ウエハレンズ51を出し入れするための密閉可能な開閉口(図示しない)や、洗浄室91内の気体(炭酸ガス等)を排気するための排気口97、ゴミを捕捉するフィルタ(図示しない)、除電器(図示しない)等が設けられている。
ノズル93は、ウエハレンズ51のレンズ部16aに沿って移動可能に構成されている。図5A,図5Bは、複数のレンズ部及びノズルの平面図である。
図5に示すように、ノズル93は、互いに隣接するレンズ部16a間を移動し、かつ、縦方向に並ぶレンズ部16aや横方向に並ぶレンズ部16aにそれぞれ沿って移動するようになっている。
具体的には、図5Aに示すように、左上のレンズ部16aから右下のレンズ部16aまで蛇行して移動し、その後、図5Bに示すように、右下のレンズ部16aから左上のレンズ部16bまで蛇行して戻るようになっている。なおこのとき図5Aの場合は左上から右上などの左右の行方向、図5Bの場合は右下から右上までの上下の列方向のノズルの動き方向を主走査方向とする。またそれらに対してほぼ垂直の方向を副走査方向とする。
つまり、図5Aに示すように、ノズル93は、横方向に並ぶ1行目のレンズ部16aと2行目のレンズ部16aとの間を狙うよう に配置され、右方向に沿って直線状に移動した後、2行目のレンズ部16aと3行目のレンズ部16aとの間に移動して、左方向に沿って直線状に移動した後、さらに、3行目のレンズ部16aの外側に回りこんで、右方向に沿って直線状に移動する。その後、図5Bに示すように、図5Aの最終洗浄を行ったレンズ部16aから移動を開始して、縦方向に並ぶ1列目のレンズ部16aと2列目のレンズ部16aとの間に配置され、上方向に沿って直線状に移動した後、2列目のレンズ部16aと3列目のレンズ部16aとの間に配置され、下方向に沿って直線状に移動した後、さらに、3列目のレンズ部16aの外側に回りこんで、上方向に沿って直線状に移動する。このような移動によって、図5Aの洗浄開始時のレンズ部16aの位置に戻る。
以上のように、ウエハレンズ51の横方向及び縦方向に複数回移動させて、洗浄することによって、各レンズ部もしくはレンズ部周辺すべてについて一定時間たった後複数回洗浄を行うため、一度の洗浄で取り切れないゴミを含め、確実にゴミの除去を行うことができるようになっている。前記一度の洗浄で取り切れないゴミとは、上記レンズ部は格子状など規則的に配置されている場合が多いが、ノズル93の噴射方向は一方方向のためレンズの影になる部分などゴミが除去されない箇所に残るゴミや、一度除去されたゴミでも他のレンズ部に付着するゴミなどである。これらひとつのレンズの洗浄工程間に一定期間を有することをで、上記他箇所からの空中に舞って落ちてくるゴミなどや、影になる部分のゴミを除去するための移動時間などを確保することができる。
また、ノズル93の噴射口93aは、図5Aの1行目のレンズ部16aに噴射する場合には、移動方向下流側の2行目や3行目に位置するレンズ部16a側を向かないように背を向けるようにして配置する。
図5Bの1列目のレンズ部16aに噴射する場合には、下流側の2列目や3列目に位置するレンズ部16a側を向かないように背を向けるようにして配置する。
このように、ノズル93の噴射口93aを、下流側の行や列のレンズ部16aに対して背を向けるようにして配置し、ドライアイス粒子Aを噴射させるので、ドライアイス粒子Aの衝突によって冷却したレンズ部16aは、その後、ドライアイス粒子Aが吹き付けられない場合、昇温することになるが、下流側のレンズ部16aに対してドライアイス粒子Aを衝突させている際にもドライアイス粒子Aが若干吹き付けられることになるので、これによって昇温が緩やかとなる。その結果、温度差によるレンズ部16aのソリを抑制することができる。ガラスと樹脂による積層されたウエハレンズの場合、ガラスと樹脂で線膨張係数が異なることとなる。よって温度差によるソリは発生しやすく、温度差をなるべくつけない事が重要となる。
なお、図6A,図6Bに示すように、ノズル93の噴射口93aを図5A,図5Bとは反対となるように配置しても構わない。具体的には、ノズル93の噴射口93aを、下流側の行や列のレンズ部16a側を向くように配置する。
このように、ノズル93の噴射口93aを配置することによって、レンズ部16aの洗浄とともに、洗浄したゴミも下流側へと同時に移動させることができるので、ゴミが上流側や下流側へと散乱するのを防止することができる。
次に、上記二酸化炭素洗浄装置9の動作について説明する。
まず、ステージ92上にウエハレンズ51を載置する。このとき、ガラス基板12の両面にレンズ部16a,22aが設けられているので、ステージ92側を向くレンズ部22aがステージ91に接触しないように、ステージ92に対してガラス基板12を浮かせて載置することが好ましい。具体的には、ステージ92上にガラス基板12を支持するピン(図示しない)を複数立設させておき、これらピン上にガラス基板12を支持させるようにする。
そして、洗浄室91内を密閉して窒素ガスを充填する。このようにして洗浄室91内を、露点−40℃以下となるように設定する。
その後、加圧装置96を駆動させることにより、二酸化炭素供給源94からノズル93へと液体の二酸化炭素を送り込む。
そして、ノズル93を上述のように隣接するレンズ部16a間に配置させて、所定の方向に移動させる。なお、ノズル93のレンズ部16aに対する傾斜角度は、光軸と直交する面に対して20〜50°とすることが望ましいが特には30〜45°が好ましい。ここで20°以下では二酸化炭素の密度が下がって適切に清掃できない。また50°以上とすると角度がきつすぎてゴミが散乱してしまい適切に清掃できない。
送り込まれた液体の二酸化炭素は、ノズル93の噴射口93aから、ドライアイス粒子Aとなって噴射される。噴射されたドライアイス粒子Aは、ウエハレンズ51のレンズ部16aに所定の角度と速度で衝突する。ドライアイス粒子Aの衝突によってレンズ部16aに付着しているゴミがレンズ部16aから剥離し、除去される。衝突したドライアイス粒子Aは、その後、洗浄室91内で昇華して炭酸ガスとなり、洗浄後、排気口97から排気される。
ウエハレンズ51の洗浄終了後、洗浄室91から取り出す前にウエハレンズ51をヒータ(図示しない)等により加熱することが好ましい(加熱工程)。洗浄により冷却したウエハレンズ51を加熱することにより、洗浄室91外へ取り出した際のソリを防止することができる。
以上の二酸化炭素洗浄は、レンズ部22aに対しても同様に適用でき、また、ステップS9,S10,S11,S13の二酸化炭素洗浄においても同様に適用することができる。
なお、上述の二酸化炭素洗浄装置9では、ノズル93を、ウエハレンズ51のレンズ部16aに対して移動させるとしたが、反対に、ウエハレンズ51側をノズル93に対して移動させてレンズ部16aの洗浄を行うように構成しても良い。この場合、ステージ92を移動可能に構成すれば良い。
また、上記ノズル93の移動方向は、上述した図4や図5に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
以上のように、本実施形態では、ウエハレンズ51,52を積層する前に、液体の二酸化炭素を噴射させることにより、ドライアイス粒子Aとし、ウエハレンズ51のレンズ部16aにドライアイス粒子Aを衝突させることによって、レンズ部16aを洗浄するので、レンズ部16aに付着していたゴミを確実かつ容易に剥離して除去することができる。したがって、ゴミによってレンズ間隔が変わってしまうといった問題も生じることなく、光学性能の劣化を防止することができる。
さらに、ウエハレンズ51,52を積層した後で、二酸化炭素洗浄を行ったスペーサ7を積層し、再度、二酸化炭素洗浄を行うので、ゴミの除去をより確実に行うことができ、光学性能の劣化防止に有効となる。
また、二酸化炭素洗浄は完全なドライ洗浄であるので、従来の水洗浄によるレンズ部の吸湿により光学性能が変化したり、超音波洗浄により樹脂の基板からの剥がれが生じることも防止することができる。
また、ノズル93から各レンズ部16aにドライアイス粒子Aを衝突させる構成であるので、ノズル93のレンズ部16aに対する角度やガス流速、ドライアイス粒子Aの粒径及び密度を容易に調整することができ、洗浄に効果的である。
1 撮像装置
2 撮像用レンズ
4 撮像素子のカバーガラス
6 撮像素子
7 スペーサ
8,10 レンズ群
9 二酸化炭素洗浄装置
12 ガラス基板
14 IRカットコート
16 樹脂部
16a 凸レンズ部
16b 非レンズ部
18a,18b,18c 絞り
20 IRカットコート
22 樹脂部
22a 凹レンズ部
22b 非レンズ部
30 ガラス基板
32 樹脂部
32a 凹レンズ部
32b 非レンズ部
34 樹脂部
34a 凸レンズ部
34b 非レンズ部
50 ウエハレンズ積層体
51,52 ウエハレンズ
60 ダイシングライン
91 洗浄室
92 ステージ
93 ノズル
93a 噴射口
94 二酸化炭素供給源
95 ダクト
96 加圧装置
97 排気口
A ドライアイス粒子

Claims (10)

  1. 基板の少なくとも一方の面に硬化性樹脂製のレンズ部が形成されたウエハレンズを一層以上有する複数の層を積層させた撮像用レンズの製造方法であって、
    ウエハレンズを含む複数の層を積層する前に、二酸化炭素を噴射させることにより、ドライアイス粒子とし、このドライアイス粒子を、前記ウエハレンズの前記レンズ部もしくはレンズ部周辺に衝突させることによって、前記レンズ部の二酸化炭素洗浄を行う第1の洗浄工程を備えることを特徴とする撮像用レンズの製造方法。
  2. 前記複数の層のうち少なくとも一層は前記二酸化炭素洗浄を行ったスペーサであることを特徴とする請求項1に記載の撮像用レンズの製造方法。
  3. 前記複数の層を積層した後に、前記ウエハレンズの前記レンズ部もしくはレンズ部周辺及び前記スペーサに対して前記二酸化炭素洗浄を行う第2のレンズ部洗浄工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像用レンズの製造方法。
  4. 前記ウエハレンズは、複数の前記レンズ部を有しており、
    複数の前記レンズ部のうち、横方向に並ぶレンズ部の行及び縦方向に並ぶレンズ部の列に沿って、二酸化炭素を噴射するノズルを相対移動する最中に 、各レンズ部に対して前記ドライアイス粒子を衝突させて前記二酸化炭素洗浄を行う工程を少なくとも2回以上行い、前記工程と工程の間は一定期間を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像用レンズの製造方法。
  5. 前記複数回繰り返すうち少なくとも1回は異なるノズル噴射方向から前記ドライアイス粒子を衝突させて前記二酸化炭素洗浄を行うことを特徴とする請求項4に記載の撮像用レンズの製造方法。
  6. 前記ノズルを、互いに隣接するレンズ部の間を狙うような位置に配置して相対移動させることを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像用レンズの製造方法。
  7. 前記ノズルの噴射口は、前記ノズルの移動方向のうち主走査方向に対して垂直となるように配置することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の撮像用レンズの製造方法。
  8. 前記ノズルの噴射口は、前記ノズルの移動方向のうち副走査方向における下流側の列及び行のレンズ部に対して背を向ける方向に噴射するようにして配置することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の撮像用レンズの製造方法。
  9. 前記ノズルの噴射口は、前記ノズルの移動方向のうち副走査方向における下流側の前記列及び前記行のレンズ部側を向く方向に噴射するように配置することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の撮像用レンズの製造方法。
  10. 前記二酸化炭素洗浄を行った前記ウエハレンズに対して、加熱する加熱工程を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の撮像用レンズの製造方法。
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