JPWO2011132391A1 - 透湿度測定装置及び透湿度測定方法 - Google Patents

透湿度測定装置及び透湿度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透湿度を高精度かつ短時間で測定するための透湿度測定装置及びその測定方法を提供すること【解決手段】本発明の透湿度測定装置1は、チャンバ2と、乾燥ガス導入系路5と、乾燥ガス排出経路6と、水蒸気供給部17と、制御部30と、水蒸気量測定器8とを具備する。チャンバ2は、測定対象物Fにより第1の室13と第2の室14とに区画される。水蒸気供給部27は、第1の室13に水蒸気を供給することが可能である。制御部30は、第1のバルブ13及び第2のバルブ14が開放されているときに測定対象物Fを加湿し、第1のバルブ13及び第2のバルブ14が閉止されているときに第1の室13に水蒸気を供給するように水蒸気供給部8を制御する。水蒸気量測定器8は、第1のバルブ24及び第2のバルブ29が閉止されているときに、測定空間に向けて第1の室13から測定対象物Fを透過した水蒸気の量を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象物の透湿度を測定するための透湿度測定装置及び透湿度測定方法に関する。
食品包装用のフィルム等の評価要件の一つに透湿度がある。透湿度は水蒸気が測定対象物を透過する速度であり、単位時間、単位面積当たりの水蒸気の透過量(g/m/day)で表される。透湿度は、特に水蒸気が測定対象物を透過する速度が小さい場合等には非常に小さい値になり、また水蒸気は空気中に存在することもあって、高精度に測定されることが求められている。
透湿度を測定するための測定装置及び測定方法には種々の形態のものが存在する。例えば、特許文献1には、「水蒸気透過度を測定するための装置とその方法」が記載されている。当該装置では、測定対象物によって第1の室と第2の室とが区画され、第2の室には循環路が接続されている。循環路にはポンプと露点計が設けられている。測定前に、第2の室を含む循環路にパージガスが流通され、水分が除去される。測定では、測定対象物を透過して第2の室に到達した水蒸気はポンプによって循環路を循環する。露点計によって循環路を流通する水蒸気の量が測定され、測定対象物の水蒸気透過性が判断される。
国際公開WO 2009/041632号公報(段落[0010]、図1)
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、高精度を得るために第2の室の水分をできる限り除去しているが、そのために測定が開始された際、第1の室に供給された水蒸気が測定対象物を浸潤させた後、測定対象物を透過する。このため、水蒸気が測定対象物に浸潤するまでに時間を要し、その分測定時間が長くなってしまう。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、透湿度を高精度かつ短時間で測定するための透湿度測定装置及びその測定方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る透湿度測定装置は、チャンバと、乾燥ガス導入系路と、乾燥ガス排出経路と、水蒸気供給部と、制御部と、水蒸気量測定器とを具備する。
上記チャンバは、測定対象物により第1の室と第2の室とに区画される。
上記乾燥ガス導入経路は、第1のバルブを有し、上記第2の室に接続され、上記第1のバルブが開放されているときに上記第2の室に乾燥ガスを導入する。
上記乾燥ガス排出経路は、第2のバルブを有し、上記第2の室に接続され、上記第2のバルブが開放されているときに上記第2の室から上記乾燥ガスを排出する。
上記水蒸気供給部は、上記第1の室に水蒸気を供給することが可能である。
上記制御部は、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが開放されているときに上記測定対象物を加湿し、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが閉止されているときに上記第1の室に水蒸気を供給するように上記水蒸気供給部を制御する。
上記水蒸気量測定器は、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが閉止されているときに、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが閉止されることで形成される測定空間に向けて上記第1の室から上記測定対象物を透過した水蒸気の量を測定する。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る透湿度測定方法は、測定対象物により第1の室と第2の室とに区画されるチャンバの、上記第2の室に乾燥ガスを流通させながら上記測定対象物を加湿する。
測定時には、第2室の上記乾燥ガスの流通を停止させ、水蒸気は上記第1の室に供給される。
上記第1の室から上記第2の室へ向けて上記測定対象物を透過した水蒸気の量は、上記第2の室に接続された水蒸気量測定器によって測定される。
第1の実施形態に係る透湿度度測定装置の概略構成を示す図である。 同透湿度測定装置のチャンバの構成を示す断面図である。 第2の実施形態に係る透湿度測定装置の概略構成を示す図である。 実施例及び比較例にかかる透湿度の測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例にかかる透湿度の測定結果を示すグラフである。
本発明の一実施形態に係る透湿度測定装置は、チャンバと、乾燥ガス導入系路と、乾燥ガス排出経路と、水蒸気供給部と、制御部と、水蒸気量測定器とを具備する。
上記チャンバは、測定対象物により第1の室と第2の室とに区画される。
上記乾燥ガス導入経路は、第1のバルブを有し、上記第2の室に接続され、上記第1のバルブが開放されているときに上記第2の室に乾燥ガスを導入する。
上記乾燥ガス排出経路は、第2のバルブを有し、上記第2の室に接続され、上記第2のバルブが開放されているときに上記第2の室から上記乾燥ガスを排出する。
上記水蒸気供給部は、上記第1の室に水蒸気を供給することが可能である。
上記制御部は、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが開放されているときに上記測定対象物を加湿し、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが閉止されているときに上記第1の室に水蒸気を供給するように上記水蒸気供給部を制御する。
上記水蒸気量測定器は、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが閉止されているときに、上記第1のバルブ及び上記第2のバルブが閉止されることで形成される測定空間に向けて上記第1の室から上記測定対象物を透過した水蒸気の量を測定する。
第1のバルブ及び第2のバルブが開放されている測定準備の段階では、第2の室に乾燥ガス導入系路から乾燥ガスが導入され、乾燥ガス排出経路から排出される。これにより測定空間が乾燥される。同時に、制御部が制御する水蒸気供給部によって測定対象物が加湿される。第1のバルブ及び第2のバルブが閉止されている測定の段階では、制御部が制御する水蒸気供給部によって第1の室に供給された水蒸気が測定空間に向けて測定対象物を透過し、水蒸気量測定器によって測定される。測定時には第1のバルブ及び第2のバルブが閉止されているため、測定対象物を透過した水蒸気量が微量であっても精度よく検出することが可能である。また、測定準備の段階で測定対象物は加湿されているため、測定の際に測定対象物に浸潤する時間が不要であり、測定が開始されてから水蒸気量測定器によって水蒸気が検出されるまでの時間を短縮することが可能である。
上記水蒸気供給部は、上記第1の室に接続され上記第1の室に加湿ガスを導入する加湿ガス導入系路を有してもよい。
加湿ガス導入系路から第1の室に加湿ガスを導入することにより、第1の室内の湿度及び温度を維持することができる。これにより、測定準備段階では測定対象物を加湿し、測定段階では第1の室に水蒸気を定量供給することが可能である。
上記水蒸気量測定器は、上記第1のバルブと上記チャンバの間の上記測定空間に配置されていてもよい。
上述のように、測定準備段階では、乾燥ガス導入系路から第2の室に乾燥ガスが導入され、乾燥ガス排出経路から排出される。水蒸気量測定器を、流通する乾燥ガスの上流に当たる第1のバルブとチャンバの間に配置することにより、測定準備段階においてチャンバ内から除去された水分が水蒸気量測定器に付着して測定精度が低下することを防止することが可能である。
上記水蒸気量測定器は露点計であってもよい。
露点計によって、微少な透湿度を高精度に測定することが可能である。
本発明の一実施形態に係る透湿度測定方法は、測定対象物により第1の室と第2の室とに区画されるチャンバの、上記第2の室に乾燥ガスを流通させながら上記測定対象物を加湿する。
測定時には第2の室の上記乾燥ガスの流通を停止させて、水蒸気は上記第1の室に供給される。
上記第1の室から上記第2の室へ向けて上記測定対象物を透過した水蒸気の量は、上記第2の室に接続された水蒸気量測定器によって測定される。
上記測定対象物を加湿する工程では、上記第1の室に加湿ガスを流通させてもよい。
上記水蒸気量測定器は、上記乾燥ガスについて上記チャンバの上流側に配置されていてもよい。
上記水蒸気量測定器は、露点計であってもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る透湿度測定装置1の概略構成を示す模式図である。
同図に示すように、透湿度測定装置1は、チャンバ2、ガス供給系3、加湿ガス導入経路4、乾燥ガス導入経路5、加湿ガス排出経路6、乾燥ガス排出経路7、露点計8及び制御部30を有する。
加湿ガス導入経路4、乾燥ガス導入経路5、加湿ガス排出経路6及び乾燥ガス排出経路7はそれぞれチャンバ2に接続されている。ガス供給系3は、加湿ガス導入経路4及び乾燥ガス導入経路5に接続されている。露点計8は乾燥ガス導入経路5上に配置されている。制御部30は後述する各部に接続されている。チャンバ2には、測定対象物であるフィルムFが取り付けられている。
図2はチャンバ2の構成を示す断面図である。
同図に示すように、チャンバ2は、第1チャンバ部9、第2チャンバ部10、締結具11及びガスケット12を有する。第1チャンバ部9と第2チャンバ部10とが締結具11により締結され、ガスケット12は第1チャンバ部9と第2チャンバ部10の接合箇所に配置される。
第1チャンバ部9はステンレス等の材料からなり、凹部9aと、フランジ部9bとが形成されている。凹部9aは開口を有する凹状部分である。凹部9aの開口縁にフランジ部9bが形成され、フランジ部9bに、凹部9aの開口に沿って溝が形成されている。また凹部9aには加湿ガス導入経路4の配管18及び加湿ガス排出経路6の配管26が接続される孔が形成されている。
第2チャンバ部10はステンレス等の水蒸気に対する吸着性、透過性が低い材料からなり、凹部10aと、フランジ部10bとが形成されている。凹部10aは開口を有する凹状部分である。凹部10aの開口縁にフランジ部10bが形成され、フランジ部10bに、凹部10aの開口に沿って溝が形成されている。また、凹部10aには乾燥ガス導入経路5の配管22及び乾燥ガス排出経路7の配管28が接続される孔が形成されている。
第1チャンバ部9と第2チャンバ部10とは同一形状に形成されてもよく、異なる形状に形成されてもよい。ただし、凹部9aと凹部10aの開口形状及びフランジ部9bとフランジ部10bの接合面は対応する必要がある。なお、凹部10aの容積が小さくなるように第2チャンバ部10を形成することにより、フィルムFを透過した水蒸気が拡散するのに必要な時間を低減することができる。
締結具11はフランジ部9bとフランジ部10bを締結する。締結具11は例えばボルトとナット、クランプ等、着脱が容易なものが用いられる。
ガスケット12は、チャンバ2の内部と外部とをシールする。ガスケット12は例えばゴムからなるOリング等である。ガスケット12は、フランジ部9bの溝、フランジ部10bの溝にそれぞれ一つずつ嵌めこまれる。ガスケット12はフランジ部9bとフランジ部10bが締結されるとフィルムFを介して対向し、フィルムFとフランジ部9b、フィルムFとフランジ部10bとの間のガスの連通を遮断する。
フィルムFが取り付けられた状態で第1チャンバ部9と第2チャンバ部10が結合されると、チャンバ2内に、凹部9aとフィルムFで囲まれた第1の室13と、凹部10aとフィルムFで囲まれた第2の室14の二室が形成される。
図1に示すように、ガス供給系3はガス源15と配管16を有する。ガス源15は配管16によって加湿ガス導入経路4の加湿器17及び乾燥ガス導入経路5の純化・加熱器20に接続されている。ガス源15はガスボンベ等であり、加湿ガス導入経路4及び乾燥ガス導入経路5に加湿ガス及び乾燥ガスの元となる原料ガスを供給する。原料ガスは例えば窒素である。
加湿ガス導入経路4は、加湿器17、配管18及び第3のバルブ19を有する。加湿器17は配管18によってチャンバ2の第1の室13に接続されている。加湿器17はガス供給系3から供給される原料ガスに、例えばバブリング等により水蒸気を含有させ加湿ガスを生成する。第3のバルブ19は配管18に設けられ、配管18を開閉する。
乾燥ガス導入経路5は、純化・加熱器20、配管22、第1のバルブ24及び第4のバルブ25を有する。純化・加熱器20は、配管22によって、後述する露点計8を介してチャンバ2の第2の室14に接続されている。純化・加熱器20はガス供給系3から供給される原料ガスから水分及び不純物を除去すると共に原料ガスを加熱し、乾燥ガスを生成する。第1のバルブ24は配管22の純化・加熱器20と露点計8の間に設けられ、配管22を開閉する。第4のバルブ25は配管22の露点計8とチャンバ2の間に設けられ、配管22を開閉する。
加湿ガス排出経路6は、配管26及び第5のバルブ27を有する。配管26は一端がチャンバ2の第1の室13に接続され、他端は図示しない排気系に接続されている。排気系は、真空ポンプ等の排気機構であってもよく、また大気開放であってもよい。第5のバルブ27は配管26に設けられ、配管26を開閉する。
乾燥ガス排出経路7は、配管28及び第2のバルブ29を有する。配管28は一端がチャンバ2の第2の室14に接続され、他端は排気系に接続されている。排気系は、真空ポンプ等の排気機構であってもよく、また大気開放であってもよい。第2のバルブ29は配管28に設けられ、配管28を開閉する。
露点計8は、乾燥ガス導入経路5の配管22の、第1のバルブ24とチャンバ2の第2の室14の間に配置されている。露点計8は、例えば、塩化リチウム露点計、鏡面冷却式露点計、アルファ線露点計等とすることができる。露点計を用いることにより、微少な水蒸気量を高精度に測定することが可能である。また、露点計以外にも、水蒸気量(湿度)を測定することが可能なもの、例えば高分子抵抗式湿度計、高分子容量式湿度計、酸化アルミ容量式湿度計、赤外線湿度計、マイクロ波湿度計等を用いることが可能である。
制御部30は、第1のバルブ24、第2のバルブ29及び加湿器17に接続されている。制御部30は、第1のバルブ24及び第2のバルブ29の開閉状態を検出し、その状態に応じて加湿器17を制御する。具体的には、第1のバルブ24及び第2のバルブ29が開放されているときには、フィルムFが加湿される量の水蒸気を生成させ、第1のバルブ24及び第2のバルブ29が閉止されているときには、加湿ガスが所定の湿度となるように水蒸気を生成させる。また、制御部30は、自らが第1のバルブ24及び第2のバルブ29の開閉を行ってもよい。
透湿度測定装置1は以上のように構成される。第1のバルブ24及び第2のバルブ29が閉止されると、第2の室14、配管22の第1のバルブ24よりチャンバ2側及び配管28の第2のバルブ29よりチャンバ2側によって測定空間が形成される。なお、透湿度測定装置1は、チャンバ2及び各配管の温度をそれぞれ所定の温度に維持する図示しないヒータを備える。
以下、透湿度測定装置1の動作を説明する。
フィルムFの透湿度を測定する前に、以下のようにして測定準備工程が行われる。
第1チャンバ部9のフランジ部9bと、第2チャンバ部10のフランジ部10bの間に測定対象物であるフィルムFがセットされ、透湿度測定装置1の温度が一定に維持される。
この状態で、第2の室14に乾燥ガスが流通される。第2のバルブ29、第4のバルブ25及び第1のバルブ24がこの順に開放され、原料ガスがガス源15から配管16を通って純化・加熱器20に供給され、純化・加熱器20によって乾燥、不純物除去及び加熱され、乾燥ガスが生成される。乾燥ガスは配管22及び露点計8を通って第2の室14に導入される。第2の室14に導入された乾燥ガスは、配管28を通って排出される。
乾燥ガスの流通と同時に、第1の室13に加湿ガスが流通される。第5のバルブ27及び第3のバルブ19がこの順に開放され、原料ガスがガス源15から配管16を通って加湿器17に供給され、加湿器17によって加湿され、加湿ガスが生成される。加湿ガスは配管18を通って第1の室13に導入される。第1の室13に導入された加湿ガスは、配管26を通って排出される。
透湿度測定装置1は、この状態で所定時間維持される。乾燥ガスの流通により、測定空間に存在する水蒸気が除去される。ここで、露点計8は、第2の室14の上流にあたる配管22に設けられているため、第2の室14から放出された水蒸気が露点計8に付着することがない。また、加湿ガスの流通によりフィルムFが加湿(含水)される。
所定時間経過後、フィルムFの透湿度の測定が開始される。第1のバルブ24及び第2のバルブ29がこの順で閉止され、乾燥ガスの流通が停止される。加湿ガスは、このまま第1の室13に水蒸気を供給するために流通させる。ここで、流量の調整、ガス温度や湿度の調整を施してもよい。
第1の室13に導入された加湿ガスに含まれる水蒸気の一部は、測定対象物であるフィルムFから測定空間に透過する。透過した水蒸気は測定空間内を拡散し、露点計8によって測定される。露点計8により測定された露点温度と、フィルムFの面積と、測定経過時間から、透湿度(g/m/day)が得られる。
具体的には、以下の[数1]に示したson−ntagの式(JIS Z−8806参照)を用いて露点温度を水分圧に変換する。
Figure 2011132391
[数1]の式において、PH2Oは水分圧(Pa)、TDPは露点温度(K)である。
次に、[数1]の式により求めた水分圧を、以下の[数2]に示す式を用いて水分重量に変換する。ここで、水蒸気が理想気体であるものとして近似する。
Figure 2011132391
[数2]の式において、Wは水分重量(g)、Vは第2の室14の体積(m)、Rは気体定数(8.314(JK/mol))、Tgasはガス温度(K)、MwH2Oは水の分子量(18.02(g/mol))である。
次に、[数2]の式で得られた水分重量を、以下の[数3]に示す式を用いて、測定時間及びフィルムFの面積で規格化し、透湿度を求める。
Figure 2011132391
[数3]の式において、WVTRは透湿度(g/m/day)、AはフィルムFの面積(m)である。
以上のようにして、露点温度から透湿度が求められる。ここで、上述のように、測定準備の段階でフィルムFが加湿されているため、測定の際に測定対象物に浸潤する時間が不要であり、測定が開始されてから水蒸気量測定器によって水蒸気が検出されるまでの時間を短縮することが可能である。また、測定準備の段階において、第2の室14から放出された水蒸気が露点計8に付着することがないため、このような水蒸気による測定値への影響が排除され、高精度に透湿度を測定することが可能となる。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る透湿度測定装置100の概略構成を示す模式図である。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同様の構成を有する箇所には同様の符号を付し、説明を省略する。
図3に示すように、透湿度測定装置100では、露点計8の位置が異なり、乾燥ガス排出経路7上に配置されている。また、それに伴ない、第4のバルブ25も乾燥ガス排出経路7上の、チャンバ2と露点計8の間に配置されている。
透湿度測定装置100の動作も透湿度測定装置1と同様である。
具体的には、第1チャンバ部9のフランジ部9bと、第2チャンバ部10のフランジ部10bの間に測定対象物であるフィルムFがセットされ、透湿度測定装置100の温度が一定に維持される。
この状態で、第2の室14に乾燥ガスが流通される。第2のバルブ29、第4のバルブ25及び第1のバルブ24がこの順に開放され、原料ガスがガス源15から配管16を通って純化・加熱器20に供給され、純化・加熱器20によって乾燥、不純物除去及び加熱され、乾燥ガスが生成される。乾燥ガスは配管22及び露点計8を通って第2の室14に導入される。第2の室14に導入された乾燥ガスは、配管28を通って排出される。
乾燥ガスの流通と同時に、第1の室13に加湿ガスが流通される。第5のバルブ27及び第3のバルブ19がこの順に開放され、原料ガスがガス源15から配管16を通って加湿器17に供給され、加湿器17によって加湿され、加湿ガスが生成される。加湿ガスは配管18を通って第1の室13に導入される。第1の室13に導入された加湿ガスは、配管26を通って排出される。
透湿度測定装置1は、この状態で所定時間維持される。乾燥ガスの流通により、測定空間に存在する水蒸気が除去される。ここで、加湿ガスの流通によりフィルムFが加湿される。
所定時間経過後、フィルムFの透湿度の測定が開始される。第1のバルブ24及び第2のバルブ29がこの順で閉止され、乾燥ガスの流通が停止される。加湿ガスは、このまま第1の室13に水蒸気を供給するために流通させる。ここで、流量の調整、ガス温度や湿度の調整を施してもよい。
第1の実施形態と同様に、露点計8により測定された露点温度と、フィルムFの面積と、測定経過時間から、透湿度(g/m/day)が得られる。上述のように、測定準備の段階でフィルムFが加湿されているため、測定の際に測定対象物に浸潤する時間が不要であり、測定が開始されてから水蒸気量測定器によって水蒸気が検出されるまでの時間を短縮することが可能である。
以下、実施例について説明する。
上述の第1の実施形態に係る透湿度測定装置1を用いてサンプル(フィルムF)の透湿度を測定した。第2の室14の体積(数2のV)は8.54×10−5である。Al/PU(Polyurethane)/PET(Polyethylene Terephthalate)バリア膜とAl/Acryl/PETバリア膜をサンプルとした。それぞれのサンプルの面積(数3のA)は3.32×10−3である。
チャンバ2にサンプルをセットし、チャンバ2の温度を80℃、各配管の温度を50℃とした。測定準備段階として、乾燥ガスを第2の室14に、加湿ガスを第1の室13に導入した。乾燥ガスは40℃0%RH(相対湿度)の窒素ガスとし、流量は1L/minとした。加湿ガスは40℃90%RHの窒素ガスとし、流量は5L/minとした。この状態で20時間維持した。
また、比較例として、測定準備段階において第1の室に加湿ガスを流通させず、乾燥ガス(40℃0%RHの窒素ガス)を5L/minの流量で流通させた。第2の室には実施例と同様に乾燥ガス(40℃0%RHの窒素ガス)を5L/minの流量で流通させた。この状態で20時間維持した
実施例及び比較例に示した測定準備段階の終了後、乾燥ガスの流通を停止させ、露点温度の測定を開始した。図4及び図5は、測定された露点温度から、上述のようにして透湿度を算出した結果のグラフである。図4はAl/PU/PETバリア膜、図5はAl/Acryl/PETバリア膜をそれぞれサンプルとしたものである。これらの図において横軸は測定時間であり、縦軸は水蒸気透過量(WVTR)である。実施例の測定結果を実線、比較例の測定結果を破線で示す。なおガス温度(数2のTgas)は313Kであった。
図4及び図5に示すように、実施例及び比較例のプロットを比較すると、実施例のプロットの方がより早くピークが検出され、即ちより早く水蒸気量を検出することが可能である。具体的には、図4に示すプロットでは0.05g/m/dayの透湿度が18分早く測定された。また、図5に示すプロットでは0.005g/m/dayの透湿度が32分早く測定された。このように、本測定方法は、本来測定に時間を要する透湿度が小さいサンプルほど有効である。
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更され得る。
上述の実施形態では、加湿ガスによってフィルムを加湿するものとしたがこれに限られない。例えば、チャンバの外からフィルムに直接水分を供給して加湿するものとすることも可能である。
1 透湿度測定装置
2 チャンバ
5 乾燥ガス導入経路
7 乾燥ガス排出経路
8 露点計
17 加湿器
13 第1の室
14 第2の室
24 第1のバルブ
29 第2のバルブ

Claims (8)

  1. 測定対象物により第1の室と第2の室とに区画されるチャンバと、
    第1のバルブを有し、前記第2の室に接続され、前記第1のバルブが開放されているときに前記第2の室に乾燥ガスを導入する乾燥ガス導入経路と、
    第2のバルブを有し、前記第2の室に接続され、前記第2のバルブが開放されているときに前記第2の室から前記乾燥ガスを排出する乾燥ガス排出経路と、
    前記第1の室に水蒸気を供給することが可能な水蒸気供給部と、
    前記第1のバルブ及び前記第2のバルブが開放されているときに前記測定対象物を加湿し、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブが閉止されているときに前記第1の室に水蒸気を供給するように前記水蒸気供給部を制御する制御部と、
    前記第1のバルブ及び前記第2のバルブが閉止されているときに、前記第1のバルブ及び前記第2のバルブが閉止されることで形成される測定空間に向けて前記第1の室から前記測定対象物を透過した水蒸気の量を測定する水蒸気量測定器と
    を具備する透湿度測定装置。
  2. 請求項1に記載の透湿度測定装置であって、
    前記水蒸気供給部は、前記第1の室に接続され前記第1の室に加湿ガスを導入する加湿ガス導入系路を有する
    透湿度測定装置。
  3. 請求項2に記載の透湿度測定装置であって、
    前記水蒸気量測定器は、前記第1のバルブと前記チャンバの間の前記測定空間に配置されている
    透湿度測定装置。
  4. 請求項3に記載の透湿度測定装置であって、
    前記水蒸気量測定器は露点計である
    透湿度測定装置。
  5. 測定対象物により第1の室と第2の室とに区画されるチャンバの、前記第2の室に乾燥ガスを流通させながら前記測定対象物を加湿し、
    前記乾燥ガスの流通を停止させて前記第1の室に水蒸気を供給し、
    前記第1の室から前記第2の室へ向けて前記測定対象物を透過した水蒸気の量を、前記第2の室に接続された水蒸気量測定器によって測定する
    透湿度測定方法。
  6. 請求項5に記載の透湿度測定方法であって、
    前記測定対象物を加湿する工程では、前記第1の室に加湿ガスを流通させる
    透湿度測定方法。
  7. 請求項6に記載の透湿度測定方法であって、
    前記水蒸気量測定器は、前記乾燥ガスについて前記チャンバの上流側に配置されている
    透湿度測定方法。
  8. 請求項7に記載の透湿度測定方法であって、
    前記水蒸気量測定器は、露点計である
    透湿度測定方法。
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