JPWO2011114934A1 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム、その包装体、及び熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。(1)80℃のグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向のグリセリン収縮率が10%以下であること
(2)100℃のグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向のグリセリン収縮率が0%以上10%以下かつ幅方向のグリセリン収縮率が20%以上40%以下であることであること
(3)120℃のグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向のグリセリン収縮率が40%以上70%以下であること
(4)温度60℃・相対湿度40%の雰囲気下で672時間エージング後のフィルムの幅方向収縮率(所謂、自然収縮率)が1.5%以下であること
(5)温度60℃・相対湿度40%の雰囲気下で672時間エージング後、引張試験機を用いてチャック間距離を100mmとし、フィルム長手方向に引張試験を10回繰り返し、5%引張時までに破断する回数である初期破断回数が2回以下であること
2. 長手方向の引張破壊強さが80MPa以上300MPa以下であることを特徴とする上記第1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
3. 温度60℃・相対湿度40%の雰囲気下で672時間エージング後のフィルムの80℃、100℃、120℃における各々の温度におけるグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向のグリセリン収縮率が、エージング前フィルムの同じ温度のグリセリン収縮率に比較し差が10%以下であることを特徴とする上記第1または第2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
4. ポリエステル樹脂が、エチレンテレフタレート単位を50モル%以上含有し、非晶質成分となり得るモノマーが、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸から選ばれる1種以上であり27モル%以下含有されていることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
5. ポリエステル樹脂が、エチレンテレフタレート単位を50モル%以上含有し、非晶質成分となり得るモノマーが、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸から選ばれる1種以上であり27モル%以下含有されており、ガラス転移点(Tg)を60〜80℃に調節されたものであることを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
6. エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を7モル%以上含有しているポリエステル系樹脂からなる未延伸ポリエステル系フィルムを用いて、上記第1〜第5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造するための製造方法であって、縦延伸後、横延伸し、その後、前記横延伸温度+15℃以上40℃以下の温度で最終熱処理する工程を含むことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
7. 下記(a)〜(f)の各工程を含むことを特徴とする上記第6に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
(a)未延伸ポリエステル系フィルムを、Tg以上(Tg+30℃)以下の温度で長手方向に2.2倍以上3.0倍以下の倍率で縦延伸(一段目の縦延伸)した後、(Tg+10℃)以上(Tg+40℃)以下の温度で長手方向に1.2倍以上1.5倍以下の倍率で縦延伸(二段目の縦延伸)することにより、トータルで2.8倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸する縦延伸工程;
(b)縦延伸後のフィルムに、赤外線ヒータを用いて幅方向に加熱しながら、長手方向に10%以上50%以下のリラックスを実施するアニール工程
(c)アニール後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で130℃以上190℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間にわたって熱処理する中間熱処理工程
(d)中間熱処理後のフィルムを、表面温度が80℃以上120℃以下の温度となるまで積極的に冷却する強制冷却工程
(e)強制冷却後のフィルムを、(Tg+10℃)以上(Tg+50℃)以下の温度で幅方向に2.0倍以上6.0倍以下の倍率で延伸する横延伸工程
(f)横延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で横延伸温度+15℃以上40℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間にわたって熱処理する最終熱処理工程
8. 上記第1〜第5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを基材とし、ミシン目あるいは一対のノッチが設けられたラベルを少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させてなることを特徴とする包装体。
ここで、非晶質成分となりうるモノマーとしては、たとえば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル2−エチル1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル1,3−プロパンジオール、2,2−ジn−ブチル1,3−プロパンジオール、、ヘキサンジオールを挙げることができるが、その中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールやイソフタル酸を用いるのが好ましい。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・・式1
JIS−K7113に準拠し、所定の大きさの短冊状の試験片を作製し、万能引張試験機でその試験片の両端を把持して、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムの長手方向の引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとして算出する。
フィルム長手方向に20mm、フィルム幅方向に240mmの長さでサンプリングし、フィルム幅方向の長さが200mmとなるように標線を入れる。表線間の長さをエージング前の長さ(mm)とした。概フィルムを温度60℃・相対湿度40%に設定されたギアオーブンで672時間エージングした後、表線間の長さをエージング後の長さ(mm)として以下の式2より求めた。
自然収縮率={(エージング前の長さ−エージング後の長さ)/エージング前の長さ}
×100(%)・・・式2
エージング後のフィルムを長手方向に140mm、幅方向に20mmの長方形にサンプリングした。そのフィルムを万能引張試験機で長手方向の試験片の両端を把持して(片側チャックの噛み位置20mm、チャック間距離100mm)、温度23℃、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、サンプル数10で引張試験を繰り返し、フィルムの長手方向の5%伸長以下の時点で破断した回数を求め、初期破断回数とした。
上式1より、エージング前後のフィルムの各々の所定温度のグリセリン中でフィルム幅方向の熱収縮率を測定した。それを下式3より求めた。
エージング前後の熱収縮率差
=エージング前の熱収縮率−エージング後の熱収縮率・・・式3
上述したように、通常、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、未延伸フィルムを収縮させたい方向(すなわち、主収縮方向、通常は幅方向)のみに延伸することによって製造される。本発明者らが従来の製造方法について検討した結果、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造においては、以下のような問題点があることが判明した。
・単純に幅方向に延伸するだけであると、上述の如く、長手方向の機械的強度が小さくなる。その為、60℃でのエージング処理後のフィルム長手方向の初期破断が多くなり好ましくなく、長手方向に延伸して機械的強度を上げるべきである。
・幅方向に延伸した後に長手方向に延伸する方法を採用すると、どのような延伸条件を採用しても、幅方向の収縮力を十分に発現させることができない。さらに、長手方向の収縮力が同時に発現してしまい、ラベルとした際に収縮装着後の仕上がりが悪くなる。
・長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法を採用すると、幅方向の収縮力は発現させることができるものの、長手方向の収縮力が同時に発現してしまい、ラベルとした際に収縮装着後の仕上がりが悪くなる。
・エージング後のフィルム熱収縮率の低下を小さくするには、エージング温度+20℃迄の熱収縮率を10%以下にして、エージング前後の収縮率変化を小さくすべきであると考えられること
・エージング後の初期破断を良好なものとするためには、長手方向へ配向した分子をある程度残しておくべきであると考えられること
・ラベルとした際の収縮装着後の仕上がりを良好なものとするためには、長手方向への収縮力を発現させないことが不可欠であり、そのためには長手方向へ配向した分子の緊張状態を解消すべきであると考えられること
(1)縦延伸条件の制御
(2)縦延伸後に長手方向へのアニール処理
(3)縦延伸後における中間熱処理
(4)中間熱処理後のフィルムの強制冷却
(5)横延伸条件の制御
(6)横延伸後の最終熱処理
以下、上記した各手段について順次説明する。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、本発明のフィルムロールを得るためには、縦延伸を二段で行うことが好ましい。すなわち、実質的に未配向(未延伸)のフィルムを、まずTg以上(Tg+30℃)以下の温度で2.2倍以上3.0倍以下の倍率となるように縦延伸し(一段目の延伸)、次にTg以下に冷却することなく、(Tg+10)以上(Tg+40℃)以下の温度で1.2倍以上1.5倍以下の倍率となるように縦延伸する(二段目の延伸)ことにより、トータルの縦延伸倍率(すなわち、一段目の縦延伸倍率×二段目の縦延伸倍率)が2.8倍以上4.5倍以下となるように縦延伸することが好ましい。トータルの縦延伸倍率は3.0倍以上4.3倍以下となるように縦延伸するとより好ましい。
上述の如く、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させるためには、長手方向に配向した分子を熱緩和させることが好ましい。縦延伸後フィルムの長手方向の残留収縮応力が高いと、横延伸後のフィルム長手方向の温湯収縮率が高くなり収縮仕上り性が悪くなる欠点がある。横延伸工程で熱処理を加えることがフィルム長手方向の温湯収縮率を下げるのに有効であるが、熱による緩和だけでは十分にフィルム長手方向の温湯収縮率を下げることができるとはいえず、高い熱量が必要となる。そこで、発明者らは、横延伸工程前に少しでも縦延伸後フィルムの長手方向の残留収縮応力を下げる手段を検討した。そして、縦延伸後のフィルムに赤外線ヒータで過熱しながらロール間の速度差を利用して長手方向にリラックスを実施することで、長手方向の配向の減少より残留収縮応力の減少が大きく、残留収縮応力が半減以上することが分かった。
上述の如く、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させるためには、長手方向に配向した分子を熱緩和させることが好ましいが、従来、フィルムの二軸延伸において、一軸目の延伸と二軸目の延伸との間において、高温の熱処理をフィルムに施すと、熱処理後のフィルムが結晶化してしまうため、それ以上延伸することができない、というのが業界での技術常識であった。しかしながら、本発明者らが試行錯誤した結果、縦−横延伸法において、ある一定の条件で縦延伸を行い、その縦延伸後のフィルムの状態に合わせて中間熱処理を所定の条件で行い、さらに、その中間熱処理後のフィルムの状態に合わせて所定の条件で横延伸を施すことによって、横延伸時に破断を起こさせることなく、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させ得る、という驚くべき事実が判明した。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く中間熱処理したフィルムをそのまま横延伸するのではなく、フィルムの温度が80℃以上120℃以下となるように積極的に強制冷却することが好ましい。かかる強制冷却処理を施すことによって、横方向の熱収縮率や厚み斑を良好にすることが可能となる。なお、強制冷却後のフィルムの温度の下限は、85℃以上であるとより好ましく、90℃以上であると更に好ましい。また、強制冷却後のフィルムの温度の上限は、115℃以下であるとより好ましく、110℃以下であると更に好ましい。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、縦延伸、アニール、中間熱処理、自然冷却、強制冷却の後のフィルムを所定の条件で横延伸して最終的な熱処理を行うことが好ましい。すなわち、横延伸は、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、(Tg+10℃)以上(Tg+50℃)以下の温度、例えば80℃以上120℃以下の温度で2.0倍以上6.0倍以下の倍率となるように行うことが好ましい。かかる所定条件での横延伸を施すことによって、縦延伸および中間熱処理によって形成された“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”を保持したまま、幅方向へ分子を配向させて幅方向の収縮力を発現させることが可能となり、フィルム長手方向の引張破壊強さを高くする事が可能となる。なお、横延伸の温度の下限は、85℃以上であるとより好ましく、90℃以上であると更に好ましい。また、横延伸の温度の上限は、115℃以下であるとより好ましく、110℃以下であると更に好ましい。一方、横延伸の倍率の下限は、2.5倍以上であると好ましく、3.0倍以上であるとより好ましい。また、横延伸の倍率の上限は、5.5倍以下であると好ましく、5.0倍以下であるとより好ましい。
横延伸後のフィルムは、テンター内で幅方向の両端際をクリップで把持した状態で、横延伸温度+15℃以上45℃以下の温度で、例えば100℃以上160℃以下の温度で、5秒以上10秒以下の時間にわたって最終的に熱処理されることが好ましい。
温度が160℃より高いと幅方向の収縮率が低下し、100℃の熱収縮率が20%より低くなり好ましくない。また100℃より低いと、幅方向へ充分に弛緩できず、80℃の熱収縮率が10%より高くなり、最終的な製品を常温下で保管した時に、経時で幅方向の収縮(いわゆる自然収縮率)が大きくなり好ましくない。また、熱処理時間は長いほど好ましいが、あまりに長いと設備が巨大化するので、10秒以下の時間が好ましい。
また包装対象物は近年の環境対応によりラベルを剥がして廃棄することが多い。その為、ラベルを剥がし易くするようにミシン目やノッチを予め入れて、当該ラベルを約2〜15%程度熱収縮させて包装体に密着させても良い。
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃に加熱されたグリセリンの中において、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。測定回数2回の熱収縮率の平均値を算定した。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・・式1
長手方向に20cm幅方向に30cmにカットしたフィルム試料を、温度60℃・相対湿度40%に設定されたギアオーブンで672時間エージングした。その後、エージングしたフィルムから10cm×10cmの正方形に2枚ずつ裁断し、所定温度±0.5℃に加熱されたグリセリンの中において、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、上式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。各熱収縮処理温度について測定回数の2回の熱収縮率の平均値を算定した。
JIS−K7113に準拠し、所定の大きさの短冊状の試験片を作製し、万能引張試験機でその試験片の両端を把持して、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムの長手方向の引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとして算出する。
フィルム長手方向に20mm、フィルム幅方向に240mmの長さでサンプリングし、フィルム幅方向の長さが200mmとなるように標線を入れる。表線間の長さをエージング前の長さ(mm)とした。前記フィルムを温度60℃・相対湿度40%に設定されたギアオーブンで672時間エージングした後、表線間の長さをエージング後の長さ(mm)として以下の式2より求めた。測定回数2回の自然収縮率の平均値を算定した。
自然収縮率={(エージング前の長さ−エージング後の長さ)/エージング前の長さ}
×100(%)・・・式2
上式1より、エージング前後のフィルムの各々の所定温度のグリセリン中でフィルム幅方向の熱収縮率を測定した。それを下式3より求めた。
エージング前後の熱収縮率差(%)
=エージング前の熱収縮率(%)−エージング後の熱収縮率(%)・・・式3
フィルムを長手方向に20cm幅方向に30cmにカットしたフィルム試料を、温度60℃・相対湿度40%に設定されたギアオーブンで672時間エージングした。その後、エージング後のフィルムを長手方向に140mm、幅方向に20mmの長方形にサンプリングした。そのフィルムを万能引張試験機で長手方向の試験片の両端を把持して(片側チャックの噛み位置20mm、チャック間距離100mm)、温度23℃、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行った。1枚のエージングフィルム試料からサンプル数10枚を採取し、引張試験を繰り返し、フィルムの長手方向の5%伸長以下の時点で破断した回数を求め、初期破断回数とした。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgを、−40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、得られた吸熱曲線より求めた。吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
エージング後の熱収縮性フィルムに、予め東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷を施した。そして、印刷したフィルムの両端部をジオキソランで接着することにより、円筒状のラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としたラベル)を作成した。しかる後、協和電機株式会社製 シュリンクトンネル(熱風) 型式;K−20
00を用い、通過時間10秒、ゾーン温度150℃で、500mlのPETボトル(胴直径 62mm、ネック部の最小直径25mm)に熱収縮させることにより、ラベルを装着した。なお、装着の際には、ネック部においては、直径50mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。収縮後の仕上がり性の評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
◎:シワ、飛び上り、収縮不足の何れも未発生で、かつ色の斑も見られない
○:シワ、飛び上り、または収縮不足が確認できないが、若干、色の斑が見られる
△:シワが発生するが、飛び上がりや収縮不足は発生無
×:シワ、飛び上り、収縮不足が発生
上記した収縮仕上り性の測定条件と同一の条件でラベルを装着した。そして、装着したラベルとPETボトルとを軽くねじったときに、ラベルが動かなければ○、すり抜けたり、ラベルとボトルがずれたりした場合には×とした。
撹拌機、温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、二塩基酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)を用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対して)添加し、280℃で26.6Pa(0.2トール)の減圧条件下、重縮合反応を行い、固有粘度0.70dl/gのポリエステル(A)を得た。このポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。なお、上記ポリエステル(A)の製造の際には、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して8,000ppmの割合で添加した。また、上記と同様な方法により、表1に示すポリエステル(B、C、E)を合成した。なお、表中、NPGはネオペンチルグリコール、BDは1,4−ブタンジオール、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノールである。ポリエステルA、B、C、D、Eの固有粘度は、それぞれ、0.72dl/g、0.72dl/g、0.72dl/g、1.15dl/g、0.72dl/gであった。なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。
上記したポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCとを重量比5:20:75で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが305μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/minであった。また、未延伸フィルムのTgは75℃であった。
目標の特性となり、エージング後の物性変化が少ない良好な結果であった。
未延伸フィルムの厚みを262μmとし、縦延伸後の長手方向へのアニール処理においてリラックス率を40%とした以外は実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
得られたフィルムは実施例1より引張破壊強度が低くなったが、目標の特性となり、エージング後の物性変化が少ない良好な結果であった。
ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCとポリエステルDとを重量比5:10:65:10で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが305μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/minであった。また、未延伸フィルムのTgは67℃であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。得られたフィルムは実施例1よりエージング前とエージング後での収縮率差が大きいが目標の特性となり、エージング後の物性変化が少ない良好な結果であった。
ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルCを重量比5:65:30で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが311μmの未延伸フィルムを得た。また、未延伸フィルムのTgは75℃であった。
得られた未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、ロールの回転速度差を利用して、縦方向に二段階で延伸した。すなわち、未延伸フィルムを、予熱ロール上でフィルム温度が78℃になるまで予備加熱した後に、表面温度78℃に設定された低速回転ロールと表面温度78℃に設定された中速回転ロールとの間で回転速度差を利用して2.4倍に延伸した(1段目の縦延伸)。さらに、その縦延伸したフィルムを、表面温度95℃に設定された中速回転ロールと表面温度30℃に設定された高速回転ロールとの間で回転速度差を利用して1.2倍に縦延伸した(2段目の縦延伸)(したがって、トータルの縦延伸倍率は、2.88倍であった)。そして縦延伸直後のフィルムを、赤外線ヒータでフィルム温度93℃に過熱しながらロール間の速度差を利用して10%長手方向にリラックスしてアニール処理を施した。また横延伸後の最終熱処理温度を115にした以外は実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
得られたフィルムは実施例1より横方向の収縮率が低く、収縮仕上り性に劣ったが、目標の特性となり、エージング後の物性変化が少ない良好な結果であった。
中間熱処理温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。得られたフィルムは実施例1より長手方向の収縮率が小さくなり、またエージング前後の熱収縮率差が小さくなり、良好な結果であった。
実施例1のポリエステルAをポリエステルEに変更した以外は 実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。尚、未延伸フィルムのTgは74℃であった。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
得られたフィルムは実施例1と同等で、良好な結果であった。
最終熱処理温度を140℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。得られたフィルムは実施例1より収縮率が小さくなり、またエージング前後の熱収縮率差や自然収縮率が小さくなり、良好な結果であった。
実施例1のポリエステルBの重量を20%から10%に減少し,ポリエステルCの重量を75%から85%に変更した。また最終熱処理温度を125℃から133℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。尚、未延伸フィルムのTgは73℃であった。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。得られたフィルムは実施例1と同等で,良好な結果であった。
実施例1と同じ原料で厚さ120μmの未延伸フィルムを得た。概未延伸フィルムを縦
延伸、縦延伸後のアニール、中間熱処理をしないで 90℃に加熱後に横方向に80℃で4倍延伸し、110℃で5.0秒最終熱処理して、幅500mmで約30μmの一軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
得られたフィルムは実施例1よりエージング後の幅方向の収縮率低下が大きく、また自然収縮率も高く、初期破断回数も高く、収縮仕上り性も劣り、好ましく無い結果であった。
横延伸後の最終熱処理温度を90℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、幅500mmで約30μmの二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
得られたフィルムは実施例1よりエージング前後の幅方向の収縮率差が大きくなり、また自然収縮率も高く、好ましく無い結果であった。
Claims (8)
- エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を7モル%以上含有しているポリエステル系樹脂からなる熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。(1)80℃のグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向のグリセリン収縮率が10%以下であること
(2)100℃のグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向のグリセリン収縮率が0%以上10%以下かつ幅方向のグリセリン収縮率が20%以上40%以下であることであること
(3)120℃のグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向のグリセリン収縮率が40%以上70%以下であること
(4)温度60℃・相対湿度40%の雰囲気下で672時間エージング後のフィルムの幅方向収縮率(所謂、自然収縮率)が1.5%以下であること
(5)温度60℃・相対湿度40%の雰囲気下で672時間エージング後、引張試験機を用いてチャック間距離を100mmとし、フィルム長手方向に引張試験を10回繰り返し、5%引張時までに破断する回数である初期破断回数が2回以下であること - 長手方向の引張破壊強さが80MPa以上300MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 温度60℃・相対湿度40%の雰囲気下で672時間エージング後のフィルムの80℃、100℃、120℃における各々の温度におけるグリセリン中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向のグリセリン収縮率が、エージング前フィルムの同じ温度のグリセリン収縮率に比較し差が10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- ポリエステル樹脂が、エチレンテレフタレート単位を50モル%以上含有し、非晶質成分となり得るモノマーが、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸から選ばれる1種以上であり27モル%以下含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- ポリエステル樹脂が、エチレンテレフタレート単位を50モル%以上含有し、非晶質成分となり得るモノマーが、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸から選ばれる1種以上であり27モル%以下含有されており、ガラス転移点(Tg)を60〜80℃に調節されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を7モル%以上含有しているポリエステル系樹脂からなる未延伸ポリエステル系フィルムを用いて、請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造するための製造方法であって、縦延伸後、横延伸し、その後、前記横延伸温度+15℃以上40℃以下の温度で最終熱処理する工程を含むことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
- 下記(a)〜(f)の各工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
(a)未延伸ポリエステル系フィルムを、Tg以上(Tg+30℃)以下の温度で長手方向に2.2倍以上3.0倍以下の倍率で縦延伸(一段目の縦延伸)した後、(Tg+10℃)以上(Tg+40℃)以下の温度で長手方向に1.2倍以上1.5倍以下の倍率で縦延伸(二段目の縦延伸)することにより、トータルで2.8倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸する縦延伸工程;
(b)縦延伸後のフィルムに、赤外線ヒータを用いて幅方向に加熱しながら、長手方向に10%以上50%以下のリラックスを実施するアニール工程
(c)アニール後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で130℃以上190℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間にわたって熱処理する中間熱処理工程
(d)中間熱処理後のフィルムを、表面温度が80℃以上120℃以下の温度となるまで積極的に冷却する強制冷却工程
(e)強制冷却後のフィルムを、(Tg+10℃)以上(Tg+50℃)以下の温度で幅方向に2.0倍以上6.0倍以下の倍率で延伸する横延伸工程
(f)横延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で横延伸温度+15℃以上40℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間にわたって熱処理する最終熱処理工程 - 請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを基材とし、ミシン目あるいは一対のノッチが設けられたラベルを少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させてなることを特徴とする包装体。
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